(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】海洋風力タービンの監視
(51)【国際特許分類】
G01N 27/00 20060101AFI20240422BHJP
G01N 27/02 20060101ALI20240422BHJP
G01N 17/00 20060101ALI20240422BHJP
G01N 17/04 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
G01N27/00 L
G01N27/02 Z
G01N17/00
G01N17/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022149822
(22)【出願日】2022-09-21
(62)【分割の表示】P 2019547321の分割
【原出願日】2018-03-07
【審査請求日】2022-10-13
(32)【優先日】2017-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518399243
【氏名又は名称】オルステッド・ウィンド・パワー・エー/エス
【氏名又は名称原語表記】Orsted Wind Power A/S
【住所又は居所原語表記】Kraftvaerksvej 53,7000 Fredericia,Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ビリット・ブール・イェンセン
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0091413(US,A1)
【文献】特表2011-501131(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0247815(US,A1)
【文献】特表2013-509520(JP,A)
【文献】特開2014-052279(JP,A)
【文献】国際公開第2013/068739(WO,A2)
【文献】特開昭62-019748(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02124034(EP,A1)
【文献】特開平01-267447(JP,A)
【文献】特開2012-077601(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03101411(EP,A1)
【文献】国際公開第2016/114136(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00 - G01N 27/10
G01N 27/14 - G01N 27/24
G01N 17/00 - G01N 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の劣化を推定する方法であって、前記鋼鉄支持構造が第一のタイプのコーティングで、第一の表面が被覆され、前記方法が、
(a)一つまたは複数のセンサー素子を有する第一のセンサーを提供するステップであって、前記一つまたは複数のセンサー素子の第一のセンサー素子が、導電材料で作成され、前記第一のタイプのコーティングで被覆される、ステップと、
(b)前記鋼鉄支持構造に関連して前記第一のセンサーを配置するステップと、
(c)前記第一のセンサー素子を通して電流を誘起するステップ
であって、前記電流は、前記第一のセンサーの一部を形成する電池または電力ケーブルを介して前記第一のセンサーに接続された外部電源によって提供される、ステップと、
(d)前記第一のセンサー素子の前記コーティングの劣化を、第一の時間間隔において、前記第一のセンサーの電気的特性を測定し、測定値を第一のデータとして保存することにより、監視するステップと、
(e)前記第一のデータから前記鋼鉄支持構造の前記コーティングの劣化を推定するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
ステップ(d)が、水または海底、すなわち電解質を通して前記第一のセンサー素子と基準電極との間に電流を誘起することと、前記第一のセンサー素子と前記基準電極との間の電気インピーダンスを推定することと、を含み、ステップ(e)が、前記第一のデータを分析することによって前記第一のセンサー素子と前記基準電極との間の電気インピーダンスの経時変化を推定し、前記鋼鉄支持構造の前記コーティングの劣化を推定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の時点で前記第一のセンサー素子と前記基準電極との間の前記電気インピーダンスは推定され、前記第一のデータとして保存される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(e)が、前記コーティングが特定の点まで劣化した時点(T1)を推定することをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
曲線フィットは、(T1)を見つけるために使用される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
(f)時点(T2)が(T1)に依存して選択される時点(T2)で、前記鋼鉄支持構造に追加的な防腐保護を適用するステップをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記防腐保護が陰極防食システムである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記防腐保護が新規コーティングである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(a)がさらに、
一つまたは複数のセンサー素子を有する第二のセンサーを提供することを含み、ここにおいて、前記一つまたは複数のセンサー素子の第一のセンサー素子が、導電材料で作成され、前記第一のタイプのコーティングで被覆される、
ステップ(b)がさらに、
前記鋼鉄支持構造に関連して前記第二のセンサーを配置することを含み、
ステップ(c)がさらに、
前記第二のセンサーの前記第一のセンサー素子を通して電流を誘起することを含み、 ステップ(d)がさらに、
前記第二のセンサーの前記第一のセンサー素子の前記コーティングの劣化を、第一の時間間隔において、前記第一のセンサー素子の電気的特性を測定し、前記測定値を第二のデータとして保存することにより、監視することを含み、
ステップ(e)がさらに、
前記第一のデータおよび前記第二のデータの両方から前記鋼鉄支持構造の前記コーティングの劣化を推定することを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
第二のタイプのコーティングが、前記第一のタイプのコーティングと同一あるか、または、
前記第二のタイプのコーティングが、前記第一のタイプのコーティングとは異なり、前記鋼鉄支持構造が第二のタイプのコーティングで第二の表面上が被覆されている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第一のセンサーは、第二のセンサー素子、第一の電気絶縁体、および第二の電気絶縁体をさらに含み、前記第二のセンサー素子は、前記第一の電気絶縁体によって前記第一のセンサー素子から分離され、前記第二の電気絶縁体および前記第一のセンサー素子はともに、前記第二のセンサー素子および前記第一の電気絶縁体を封入し、前記第二のセンサー素子および前記第一の電気絶縁体が水と接触するのを保護し、前記第一の電気絶縁体は、それが水と接触すると、その電気インピーダンスを破壊、溶解、および/または低下させるように構成され、それによって、前記第一のセンサー素子と前記第二のセンサー素子との間の電気抵抗/インピーダンスは、腐食が前記第一のセンサー素子にピンホールを形成し、水が前記第一の電気絶縁体と接触することを可能にした後に低下し、
ステップ(e)は、前記第一のデータを処理してピンホールが前記第一のセンサー素子に形成された時点T3を推定することを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(d)が、複数の時点で、
・ 前記第二のセンサー素子の前記電気インピーダンスまたは、
・ 前記第二のセンサー素子と、少なくとも前記第一の電気絶縁体によって、前記第二のセンサー素子から分離された基準電極との間の電気インピーダンスまたは、
・ 前記第一のセンサー素子の第一の端に接続された第一の電気端子と、前記第一のセンサー素子の第二の端に接続された第二の電気端子との間の前記電気インピーダンスのいずれかを測定することを含み、T3は、複数の推定された電気5インピーダンスを処理することによって推定される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
T3が、前記電気インピーダンスまたは前記電気インピーダンスの推定変化速度が、所定の閾値に到達または超える時点として推定される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の劣化を推定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海洋風力は電気を生産する効果的な方法であることが証明されている。しかし、風力タービンを支えるための安全な基礎を提供することは困難である。基盤の要求された寿命が25年を超えるという事実によって、その作業は簡単ではない。
【0003】
鋼鉄支持構造は、海洋風力タービンを支援するために一般的に使用される。ただし、鋼鉄支持構造は多くの様子で劣化している。最も重要なものの一つは、腐食である。新鮮な水と比較して、海水は腐食速度を増加させる。海水(電解質)の塩は、電解質の導電率を増加させる。腐食を考慮するには、鋼鉄支持構造に使用される鋼鉄の量は一般的に増加し、コーティングが表面に行われ、陰極防食が適用される。しかしながら、鋼鉄の量を増やし、コーティングをおこない、陰極防食を使用することは、鋼鉄支持構造の費用を増加させる。
【0004】
海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の劣化をより正確に推定するための方法を提供することが課題となる。
【発明の概要】
【0005】
第一の態様によれば、本発明は、海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の劣化を推定する方法であって、前述の鋼鉄支持構造が第一のタイプの鋼鉄で作製される、方法に関する。前述の方法は、
(a)一つまたは複数のセンサー素子を有する第一のセンサーを提供するステップであって、前述の一つまたは複数のセンサー素子の第一のセンサー素子が、前述の第一のタイプの鋼鉄に対応するタイプの鋼鉄で作製される、ステップと、
(b)前述の鋼鉄支持構造に関連して前述の第一のセンサーを配置するステップと、 (c)前述の一つまたは複数のセンサー素子の少なくとも一つを通して電流を誘起するステップと、
(d)前述の第一のセンサーの一部の劣化を、第一の時間間隔において、第一のセンサーの電気的特性を測定し、測定値を第一のデータとして保存することにより、監視するステップと、
(e)前述の第一のデータから前述の鋼鉄支持構造の劣化を推定するステップと、を含む。
【0006】
その結果、鋼鉄支持構造の鋼鉄に対応する一種類の鋼鉄で作られたセンサー素子を有するセンサーを使用することにより、鋼鉄支持構造の劣化の単純かつ正確な方法が提供される。
【0007】
鋼鉄支持構造は、基礎モノパイル、空間のフレーム構造、例えばジャケットまたは三脚、適合タワー、重力構造物またはTLP(テンション脚プラットフォーム)などの海洋構造物のための浮遊構造物、セミサブ、スパープラットフォームまたはトライパイルなどのでありうる。第一のセンサーは、一般的な腐食、ピット腐食、およびまたはコーティングの劣化を検出するように構成されうる。鋼鉄支持構造は移行片を備えうる。
【0008】
第一のセンサーは、鋼鉄支持構造において、鋼鉄支持構造上に配置されるか、鋼鉄支持構造に固定されるか、鋼鉄支持構造に近い海底に固定されうる。第一のセンサーは、鋼鉄支持構造の外部に、または鋼鉄支持構造の中空内部に配置されうる。第一のセンサーは、海面の下に、海底内に、チルドゾーン内に、スプラッシュゾーン内に、または大気中ゾーン内に配置されてもよい。第一のセンサーは、固定要素が鋼鉄支持構造に固定される固定要素に固定されてもよい。
【0009】
電流は、第一のセンサー素子または第一のセンサーの別のセンサー素子を通して誘起されてもよい。電流は、センサー素子の第一の側に接続された第一の電気端子を通してセンサー素子に入り、センサー素子の第二の側に接続された第二の電気端子を通してセンサー素子を出てもよい。別の方法としてまたは追加的に、電流は、電気端子を通してセンサー素子に入り、水とまたは海底に面した外側表面を通してセンサー素子を出て、または外側表面を通してセンサー素子に入り、電気端子を通してセンサー素子を出てもよい。外部表面は、鋼鉄支持構造が処理される方法と同じ方法で処理されてもよい。例えば、同じコーティングまたは類似のコーティングで被覆される、および/または同じ方法でサンドブラストされるような方法で処理されうる。電流は、DC電流またはAC電流であってもよい。電流は、第一のセンサーの一部を形成する電池または電力ケーブルを介して第一のセンサーに接続された外部電源から、第一のセンサーに供給される。外部電源としては例えば、外部電池、電力グリッド、または風力タービンの発電機などである。電流は固定されていてもよく、既知の大きさを有してもよい。別の方法として、電源は既知の大きさの固定電圧を提供してもよく、それによって電流は少なくとも一つのセンサー素子のインピーダンス/抵抗率の関数である。
【0010】
第一の時間間隔は、少なくとも1週間、1ヶ月、6ヶ月、1年間、2年間、5年、10年、15年、20年、または25年でありうる。第一の時間間隔は、1年未満、2年未満、5年未満、10年未満、15年未満、20年未満、または25年未満でありうる。電気的特性は、例えば、少なくとも、秒当たり、分当たり、時間当たり、日当たり、または週当たりなど、定期的に測定されてもよい。
【0011】
第一のセンサーの測定された電気的特性は、第一のセンサー素子または別のセンサー素子の電圧降下、第一のセンサー素子または別のセンサー素子を通る電流、二つのセンサー素子間の電圧降下、またはセンサー素子および基準電極の電圧降下としうる。第一のセンサーは、電気的特性を測定するように構成された処理ユニットを備えてもよい。第一のセンサーは、第一のセンサー素子または別のセンサー素子の腐食を推定するように構成されてもよく、例えば、第一のセンサーは、電気抵抗(ER)腐食プローブであってもよい。別の方法として、または追加的に、第一のセンサーは、第一のセンサー素子または別のセンサー素子に適用されるコーティングの劣化を推定するように構成されうる。
【0012】
鋼鉄支持構造の劣化は、鋼鉄支持構造の劣化が第一のセンサー素子の劣化に実質的に対応すると仮定することによって推定されうる。第一のデータは、処理ユニットを使用して処理されて、鋼鉄支持構造の劣化を推定しうる。処理ユニットは、第一のセンサー内に配置されてもよく、第一のセンサーから分離されてもよいが、鋼鉄支持構造とは関連して配置されてもよく、または鋼鉄支持構造とは別個に配置されてもよく、例えばインターネットなどのWAN上での処理ユニットに第一のデータが転送されてもよい。
【0013】
第一のセンサー素子は、鋼鉄支持構造と実質的に同一の時点でおよび同じ生産設備で作製されてもよい。このことは、第一のセンサー素子の鋼鉄の属性が鋼鉄支持構造の鋼鉄の属性と類似していることを確実にしうる。
【0014】
いくつかの実施形態では、ステップ(a)が第二のセンサーを提供することをさらに含み、前述の第二のセンサーがZn基準電極を含み、ステップ(b)が前述の第二のセンサーを海底内に埋め込むことをさらに含む。
【0015】
その結果、Zn基準電極を使用することによって、電極は、海底に存在する特殊環境に対してより良好に適合されうる。したがって、Zn基準電極は、Ag/AgCl基準電極によって提供される測定値と比較して、より信頼性の高い測定値を提供しうる。
【0016】
第二のセンサーは、海底内、または海底の沈殿物が経時的に生じうるところ、または水中で埋め込まれてもよい。基準電極は、構造接続と基準電極との間の電圧差として、電解質電位に対し構造を測定するために使用されうる。また、二つ以上の基準電極(Zn、Ag/AgCl、またはその他)間の電位差は、水と中、海底中または水とおよび海底の間の勾配を評価して、計測することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、前述の鋼鉄支持構造が第一の表面を第一のタイプのコーティングで被覆され、第一のセンサー素子が前述の第一のタイプのコーティングで被覆され、ステップ(c)は、前述の第一のセンサー素子を通る電流を誘起することをさらに含み、ステップ(d)は、前述の第一のセンサー素子の電気的特性の変化を測定することをさらに含み、ステップ(e)は、前述の第一のデータから前述の鋼鉄支持構造のコーティングの劣化を推定することをさらに含む。
【0018】
その結果、鋼鉄支持構造のコーティングの劣化を推定する単純かつ効果的な方法が提供される。
【0019】
第一のセンサーは、鋼鉄支持構造の被覆された第一の表面の近傍に配置されうる。第一のセンサー素子全体または第一のセンサー素子の一部のみが被覆されてもよい。第一のセンサー素子は、水と/雰囲気または海底に面する外部表面を有してもよく、ここで外部表面が被覆されてもよい。外部表面は、平面状であってもよく、または鋼鉄支持構造の湾曲に一致する湾曲を有してもよい。コーティングは、異なる層厚および異なる数の層で溶剤がないか、または高い固形のエポキシ塗料であり、トップコート(ポリウレタンまたはポリシロキサン)があってもなくてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態ではステップ(d)は、水または海底、すなわち電解質を通して前述の第一のセンサー素子と基準電極との間に電流を誘起することと、第一のセンサー素子と基準電極との間の電気インピーダンスを推定することとを含み、ステップ(e)は、第一のデータを分析することによって第一のセンサー素子と基準電極との間の電気インピーダンスの経時変化を推定し、前述の鋼鉄支持構造のコーティングの劣化を推定することをさらに含む。
【0021】
コーティングは通常、電気絶縁体として機能する。従って、例えば、周波数の範囲にわたって、電気インピーダンスの変化を分析することによって、劣化が見積もられてもよく、例えば、電気インピーダンス低下はコーティングの劣化を示す。
【0022】
推定劣化は、コーティングの絶対厚さ/状態または相対的推定劣化の推定としうる。電気インピーダンスの経時変化とコーティングの劣化との間の相関関係は、本発明によるセンサーを備えた適切な数の鋼鉄支持構造の検査(非破壊検査または破壊検査)によって見出されうる。
【0023】
いくつかの実施形態では、ステップ(e)が、コーティングが特定の点に劣化した時点(T1)を推定することをさらに含む。
【0024】
特定の点は、絶対パラメータ値または相対パラメータ値であってもよい。パラメータ値は、腐食を防ぐためのコーティングの能力を示しうる。特定の点は、コーティングが腐食から鋼鉄支持構造を保護するのを停止したとき、または残されたその元の防食能力の特定の割合を有するときであってもよい。曲線フィットを使用してT1を見つけることができ、例えば、
図11に関連して説明した通り、曲線は第一のデータに適合され、T1を予測するために使用されうる。
【0025】
いくつかの実施形態では、方法は、
(f)時点(T2)が(T1)に依存して選択される時点(T2)で、前述の鋼鉄支持構造に追加的な防腐保護を適用するステップをさらに含む。
【0026】
結果として、追加的に腐食保護が必要な時点で適用されうる。
【0027】
いくつかの実施形態では、腐食保護は、陰極防食システムである。
【0028】
いくつかの実施形態では、腐食保護は新しいコーティングである。
【0029】
いくつかの実施形態では、ステップ(a)はさらに、
一つまたは複数のセンサー素子を有する第二のセンサーを提供することを含み、
前述の一つまたは複数のセンサー素子の第一のセンサー素子は、導電材料、例えば、金属で作成され、第二のタイプのコーティングで被覆され、
ステップ(b)がさらに、
前述の第二のセンサーを前述の鋼鉄支持構造に関連して配置することを含み、
ステップ(c)がさらに、
前述の第二のセンサーの前述の第一のセンサー素子を通して電流を誘起することを含み、
ステップ(d)がさらに、
前述の第二のセンサーの前述の第一のセンサー素子のコーティングの劣化を、第一の時間間隔において、第一のセンサー素子の電気的特性を測定し、測定値を第二のデータとして保存することにより、監視することを含み、
ステップ(e)がさらに、
前述の第一のデータおよび前述の第二のデータの両方から前述の鋼鉄支持構造のコーティングの劣化を推定することを含む。
【0030】
その結果、二つのセンサーを利用することで、鋼鉄支持構造の異なる部品の劣化が、推定されうる。
【0031】
いくつかの実施形態では、第二のタイプのコーティングは、第一のタイプのコーティングと同一である。または、
第二のタイプのコーティングが、第一のタイプのコーティングとは異なり、鋼鉄支持構造が第二のタイプのコーティングで第二の表面上が被覆されている。
【0032】
いくつかの実施形態では、鋼鉄支持構造が、中空内部を囲む壁を有し、鋼鉄支持構造が、中空内部から外部への通路を形成する壁内の第一の開口部を有し、ステップ(b)が第一の開口部に第一のセンサーを配置することを含む。
【0033】
結果として、第一のセンサーは効果的に保護されうる。第一のセンサーを開口部内に配置することは、さらに、第一のセンサーが、鋼鉄支持構造体がさらされる条件を模倣する局所的条件にさらされることを確実にすることができる。例えば、第一のセンサーが鋼鉄支持構造の外部に取り付けられている場合、センサーの周囲に特別な流動条件が生じる可能性があり、それが潜在的に第一のセンサー素子の劣化の仕方を変えることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、第一のセンサーが、第一のセンサーの部分が第一の開口部からおよび外部に延在しない方法で、第一の開口部の内側に配置される。
【0035】
いくつかの実施形態において、鋼鉄支持構造が海底に固定される前に、第一のセンサーが第一の開口部の内側に配置され、第一の開口部は海底に挿入された鋼鉄支持構造の一部に形成され、鋼鉄支持構造はその後海底に固定され、それによって第一のセンサーは海底に配置され、海底に挿入された鋼鉄支持構造の一部の劣化を示す測定値を提供することができる。
【0036】
結果として、第一のセンサーは、海底に挿入された鋼鉄支持構造の部品の劣化を示す測定値を提供しうる。
【0037】
いくつかの実施形態では、第一のセンサーは固定要素に固定され、固定要素は第一の開口部に挿入される。
【0038】
固定要素の使用により、異なる鋼鉄支持構造および/または鋼鉄支持構造上の異なる位置に対して同じタイプのセンサーを使用することが可能になる。これにより、コストを削減し、信頼性を向上させる。
【0039】
固定要素を使用することは、さらに、第一の開口部と固定要素の間に締りばめが形成されることを保証するのに役立ち、それによって、鋼鉄支持構造の内部と外部との間の水の交換を防止できる。
【0040】
いくつかの実施形態では、第一の開口部および固定要素は、円形または楕円形の形状を有する。
【0041】
このことは、第一の鋼鉄支持構造の強度を著しく低減することなく、第一の開口部を簡単に作ることができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、複数のセンサーは、固定要素に固定される。
【0043】
いくつかの実施形態では、第一のセンサー素子が外部に面し、一つまたは複数の電源または制御ケーブルが、第一のセンサーに接続され、一つまたは複数の電源または制御ケーブルが、鋼鉄支持構造の中空内部内に配置される。
【0044】
結果として、電源または制御ケーブルは効果的に保護されうる。
【0045】
いくつかの実施形態では、鋼鉄支持構造体が海底に固定される前に、一つまたは複数の電源または制御ケーブルが、第一のセンサーに接続され、保護要素が、第一の開口部の下の中空内部の内壁から突出しており、前述の保護要素が、鋼鉄支持構造が、海底に挿入されたときに、一つまたは複数の電源または制御ケーブルを保護するように構成される。
【0046】
いくつかの実施形態では、前述の第一のセンサーは、第二のセンサー素子、第一の電気絶縁体、および第二の電気絶縁体をさらに含み、前述の第二のセンサー素子は、前述の第一の電気絶縁体によって前述の第一のセンサー素子から分離され、前述の第二の電気絶縁体および前述の第一のセンサー素子はともに、前述の第二のセンサー素子および第一の電気絶縁体を封入し、第二のセンサー素子および第一の電気絶縁体が水と接触するのを保護し、前述の第一の電気絶縁体は、それが水と接触すると、その電気インピーダンスを破壊、溶解、および/または低下させるように構成され、それによって、第一のセンサー素子と第二のセンサー素子との間の電気インピーダンスは、腐食が第一のセンサー素子にピンホールを形成し、水が第一の電気絶縁体と接触することを可能にした後に、低下し、ステップ(e)は、前述の第一のデータを処理し、ピンホールが第一のセンサー素子に形成されたときの時点T3を推定することを含む。
【0047】
その結果、ピット腐食の程度が推定されうる。ピット腐食は多くの場合、一様な腐食よりも大きな問題を構成することがよくあるので、この情報は非常に貴重なものとなる。
【0048】
第一のセンサーは、平均腐食に対するピット腐食の程度が決定されうる平均腐食を検出するようにさらに構成されうる。第一の電気絶縁体は、流体または鋼鉄支持構造を取り囲む水との電気抵抗率よりも高い電気抵抗率を有する粉末であってもよく、例えば、精製水または大気中空気などである。別の方法として、第一の電気絶縁体は海綿体であってもよい。海綿体はラボレベルのフィルタで作製されてもよい。第二の電気絶縁体は、第一のセンサー素子よりも実質的に遅く腐食する/劣化する材料で作製されるべきである。第二の電気絶縁体はエポキシで作製されてもよい。第二の電気絶縁体は、第一のセンサーのハウジングによって部分的に形成されうる。
【0049】
いくつかの実施形態では、ステップ(d)は、複数の時点で、
・ 第二のセンサー素子の電気インピーダンスまたは、
・ 第二のセンサー素子と、少なくとも第一の電気絶縁体によって、第二のセンサー素子から分離された基準電極との間の電気インピーダンスまたは、
・ 第一のセンサー素子の第一の端に接続された第一の電気端子と、第一のセンサー素子の第二の端に接続された第二の電気端子との間の電気インピーダンスのいずれかを計測することを含み、
T3は、複数の推定された電気インピーダンスを処理することによって推定される。
【0050】
基準電極は、接地電極であってもよく、例えば、第一のセンサーは、それによって鋼鉄支持構造が接地電極として機能する構造接続を含んでもよい。
【0051】
ピンホールが第一のセンサー素子内に形成された後、水は第二のセンサー素子と接触する。これにより三つの影響が生じることがある。
【0052】
第一に、第二のセンサー素子と第二のセンサー素子から少なくとも第一の電気絶縁体により分離された基準電極との間のインピーダンスは、第一の電気絶縁体の絶縁特性が減少するにつれて減少する。第一のセンサー素子は、基準電極として機能してもよい。別の方法として、第一のセンサーは専用の基準電極を備えうる。
【0053】
第二に、第二のセンサー素子は腐食を起こす。この腐食は、第二のセンサー素子のインピーダンスの増加、すなわち、
図6~7に関連して説明されたものと類似した増加を測定することによって決定されうる。
【0054】
第三に、第一のセンサー素子の第一の端に接続された第一の電気端子と第一のセンサー素子の第二の端に接続された第二の電気端子との間のインピーダンスは、第一の電気絶縁体が電解質接続として機能するとき低下する。
【0055】
こうして、三つの影響のうち少なくとも一つを検出するための第一のセンサーを監視することによって、T3が決定されうる。
【0056】
いくつかの実施形態では、T3が、電気インピーダンスまたは電気インピーダンスの推定変化速度が所定の閾値に到達または超える時点として推定される。
【0057】
第二の態様によれば、本発明は、海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の劣化を推定する方法であって、前述の鋼鉄支持構造が第一のタイプのコーティングで、第一の表面が被覆され、前述の方法は、
(a)一つまたは複数のセンサー素子を有する第一のセンサーを提供するステップであって、前述の一つまたは複数のセンサー素子の第一のセンサー素子が金属で作成され、第一のタイプのコーティングで被覆される、ステップと、
(b)前述の鋼鉄支持構造に関連して前述の第一のセンサーを配置するステップと、 (c)前述の第一のセンサー素子を通して電流を誘起するステップと、
(d)前述の第一のセンサー素子のコーティングの劣化を、第一の時間間隔において、第一のセンサー素子の電気的特性を測定し、測定値を第一のデータとして保存することにより、監視するステップと、
(e)前述の第一のデータから前述の鋼鉄支持構造のコーティングの劣化を推定するステップと、を含む。
【0058】
その結果、鋼鉄支持構造のコーティングの劣化を推定する単純かつ効果的な方法が提供される。
【0059】
第三の態様によれば、本発明は、海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の劣化を推定する方法であって、鋼鉄支持構造が中空内部を囲む壁を有し、壁が中空内部から外部への通路を形成する第一の開口部を有し、前述の方法は、
(a)一つまたは複数のセンサー素子を有する第一のセンサーを提供するステップであって、前述の一つまたは複数のセンサー素子の第一のセンサー素子が、金属製である、ステップと、
(b)前述の第一のセンサーを前述の鋼鉄支持構造の前述の第一の開口部に配置するステップと、
(c)前述の一つまたは複数のセンサー素子の少なくとも一つを通して電流を誘起するステップと、
(d)前述の第一のセンサーの一部の劣化を、または直接的に鋼鉄支持構造の劣化を、第一の時間間隔において、第一のセンサーの電気的特性を測定し、測定値を第一のデータとして保存することにより、監視するステップと、
(e)前述の第一のデータから前述の鋼鉄支持構造の劣化を推定するステップと、を含む。
【0060】
結果として、第一のセンサーは効果的に保護されうる。第一のセンサーを開口部内に配置することは、さらに、第一のセンサーが、鋼鉄支持構造体がさらされる条件を模倣する局所的条件にさらされることを確実にすることができる。例えば、第一のセンサーが鋼鉄支持構造の外部に取り付けられている場合、センサーの周囲に特別な流動条件が生じる可能性があり、それが潜在的に第一のセンサー素子の劣化の仕方を変えることができる。
【0061】
第一のセンサーは、電気抵抗(ER)腐食プローブとしうる。別の方法として、第一のセンサーは、例えば、Zn基準電極などの基準電極を備えてもよく、構造の接続と基準電極との間の電圧差として電解質電位に対する構造を測定するために使用されてもよい。また、二つ以上の基準電極(Zn、Ag/AgCl、またはその他)間の電位差は、水と中、海底中または水とおよび海底の間の勾配を評価して、計測することができる。
【0062】
第四の態様によれば、本発明は、海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の劣化を推定する方法であって、本方法は、
第一のセンサー素子、第二のセンサー素子、第一の電気絶縁体、および第二の電気絶縁体を含む第一のセンサーを提供するステップであって、前述の第一のセンサー素子は、金属製であり、前述の第二のセンサー素子は、前述の第一の電気絶縁体によって前述の第一のセンサー素子から分離され、前述の第二の電気絶縁体および前述の第一のセンサー素子はともに、前述の第二のセンサー素子および第一の電気絶縁体を封入し、第二のセンサー素子および第一の電気絶縁体が水と接触するのを保護し、前述の第一の電気絶縁体は、それが水と接触すると、その電気インピーダンスを破壊、溶解、および/または低下させるように構成され、それによって、第一のセンサー素子と第二のセンサー素子との間の電気インピーダンスは、腐食が第一のセンサー素子にピンホールを形成し、水が第一の電気絶縁体と接触することを可能にした後に、低下する、ステップと、
(b)前述の鋼鉄支持構造に関連して前述の第一のセンサーを配置するステップと、 (c)前述の第一のセンサー素子および/または前述の第二のセンサー素子を通して電流を誘起するステップと、
(d)前述の第一のセンサー素子の劣化を、第一の時間間隔において、第一のセンサーの電気的特性を測定し、測定値を第一のデータとして保存することにより、監視するステップと、
(e)前述の第一のデータを処理してピンホールが第一のセンサー素子に形成された時点T3を推定することによって、前述の鋼鉄支持構造の劣化を、前述の第一のデータから推定するステップと、を含む。
【0063】
その結果、ピット腐食の程度が推定されうる。これは、ピット腐食が、疲労が極限限度状態(ULS)ではなく設計ドライバーである均一な腐食よりも著しい問題を構成することがよくあるので、非常に重要でありうる。
【0064】
第五の態様によれば、本発明は、海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の劣化を推定する方法であって、前述の鋼鉄支持構造が第一のタイプの鋼鉄で作製される、本方法は、
(a)第二のセンサーを提供するステップであって、前述の第二のセンサーがZn基準電極を含む、ステップと、
(b)前述の鋼鉄支持構造に関連して前述の第二のセンサーを埋め込むステップと、
(c)前述のZn基準電極を使用して局所電位を測定するにより、鋼鉄支持構造の腐食の程度を推定するステップと、を含む。
【0065】
第六の態様によれば、本発明は、風力タービン、制御ユニット、および第一のセンサーを支持する鋼鉄支持構造を備えるシステムに関し、
・ 前述の鋼鉄支持構造が第一のタイプの鋼鉄で作製され、
・ 第一のセンサーは一つまたは複数のセンサー素子を有し、前述の一つまたは複数のセンサー素子の第一のセンサー素子は、前術の第一のタイプの鋼鉄に対応するタイプの鋼鉄で作製され、
・ 前述の第一のセンサーが前述の鋼鉄支持構造に関連して配置され、
・ 前述の第一のセンサーが、前述の一つまたは複数のセンサー素子のうちの少なくとも一つを介して電流を誘起するように構成され、
・ 前述のシステムが、前述の第一のセンサーの一部の劣化を、第一の時間間隔において、第一のセンサーの電気的特性を測定し、測定値を第一のデータとして保存することにより、監視するように構成され、
・ 前述のシステムが、前述の処理ユニット使って、前述の第一のデータを処理し、前述の鋼鉄支持構造の劣化を推定するためのように構成される。
【0066】
本発明の異なる態様は、上記および下記のように異なる方法で実施することができる。下記のことは、それぞれが、上述の態様の少なくとも一つに関連して説明した一つまたは複数の利益および利点をもたらす。それぞれが、上述の及び/又は従属請求項に開示された態様の少なくとも一つに関連して記載された好ましい実施形態に対応する一つ又は複数の好ましい実施形態を有する。さらに、当然のことながら、本明細書に記述した態様の一つに関連して説明した実施形態は、他の態様にも同様に適用されうる。
【0067】
本発明の上記および/または追加的な物体、特徴および利点は、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態の以下の実施形態および非限定的な詳細な説明によってさらに解明される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態による鋼鉄支持構造に関連して配置された複数のセンサーを備えた鋼鉄支持構造上に配置された海洋風力タービンタービンの概略図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態による、第一のタイプの鋼鉄から作製された海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の劣化を推定する方法のフローチャートを示す。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態による、海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の劣化を推定する方法のフローチャートを示す。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態による、海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の劣化を推定する方法のフローチャートを示す。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態による、海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の劣化を推定する方法のフローチャートを示す。
【
図6】
図6a~
図6bは、本発明の実施形態による、海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の壁上に配置されたセンサーの概略図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態による、
図6に示すセンサーで使用されうる電気回路を示す。
【
図8】
図8a~
図8dは、本発明の実施形態による、海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の壁上に配置されたセンサーの中央断面を示す。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態による、海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の壁上に配置されたセンサーの中央断面を示す。
【
図10】
図10a~
図10eは、本発明の実施形態による、海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の壁上に配置されたセンサーの中央断面を示す。
【
図11】
図11は、経時的な第一のセンサー素子と基準電極との間の電気インピーダンス/抵抗の関数の実施例を示す。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態による、海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の壁上に配置されたセンサーの中央断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下の説明では、本発明の実施方法を示す添付図面を参照する。
【0070】
図1は、本発明の実施形態による、複数のセンサー111~117が、鋼鉄支持構造180と連結して配置されている、鋼鉄支持構造180上に配置された海洋風力タービンタービン181の概略図を示す。風力タービン181は、水平軸風力タービンである。風力タービン181は、タワー182、ナセル183、および三つの動翼185に接続されたロータハブ184を備える。動翼/ロータハブアセンブリは、発電機187を駆動するシャフト188に接続される。発電機187は、電気ケーブル190を介してグリッドに提供される電気エネルギーを生成する。鋼鉄支持構造180は、部分的に水170に水没され、部分的に海底160に埋め込まれる。鋼鉄支持構造は移行片189を備える。電気ケーブル190は、j-チューブなどの案内装置171を使用して、外部水と110から鋼鉄支持構造180の中空内部120内に案内されうる。鋼鉄支持構造180はこの実施形態では、モノパイル構造である。
【0071】
第一のセンサー111が、シア表面(sear surface)の下の鋼鉄支持構造180の外側に取り付けられている。第二のセンサー112が、鋼鉄支持構造180の近くの海底に埋め込まれる。第三のセンサー113が、鋼鉄支持構造180の第一の開口部121に配置されている。第四のセンサー114が、鋼鉄支持構造180の第二の開口部122に配置されている。第五のセンサー115が、鋼鉄支持構造180の内側に取り付けられている。第六のセンサー116が、潮汐/飛沫または大気ゾーン171において鋼鉄支持構造の外側に取り付けられる。第七のセンサー117が、潮汐/飛沫または大気ゾーンにおいて鋼鉄支持構造の移行片181に取り付けられている。
【0072】
第一および第二の開口部121および122は、中空内部120から外部110へと通路を形成する。第一の開口部121は、水中に水没された鋼鉄支持構造180の部分に形成され、第二の開口部122は、海底160内に埋め込まれた鋼鉄支持構造180の部分に形成される。
【0073】
第一のセンサー111、第三のセンサー113、第六のセンサー116、および第七のセンサー117は、電源および/または制御ケーブルを介して中央制御ユニット123に接続される。ケーブルは、鋼鉄支持構造180内にある小さな穴を通して鋼鉄支持構造180の内部に入ってもよい。第一のセンサー111、第三のセンサー113、第六のセンサー116、および第七のセンサー117は、中央制御ユニット123から電力を受け、記録されたデータをケーブルを介して中央制御ユニット123に送信しうる。第二のセンサー112、第四のセンサー114、および第五のセンサー115はそれぞれ、電力を供給する電池を備える。第二のセンサー112、第四のセンサー114、および第五のセンサー115は、記録されたデータを中央制御ユニット123または別の制御ユニットに送信するように構成された無線通信ユニットをさらに備えてもよい。第二のセンサー112、第四のセンサー114、および第五のセンサー115は、センサーによって生成されるデータを保存するように構成されたメモリユニットをさらに備えてもよい。他の実施形態では、すべてのセンサーは、電源および/または制御ケーブルを介して接続されてもよい。
【0074】
図2は、本発明の実施形態による、第一のタイプの鋼鉄から作製された海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の劣化を推定する方法のフローチャートを示す。第一のステップ201では、一つまたは複数のセンサー素子を有する第一のセンサーが提供されており、一つまたは複数のセンサー素子の第一のセンサー素子は、第一のタイプの鋼鉄に対応する鋼鉄のタイプで作製される。次のステップ202では、第一のセンサーは鋼鉄支持構造に関連して配置される。次に、ステップ203では、第一のセンサーの少なくとも一つまたは複数のセンサー素子を通して電流が誘起される。次に、ステップ204において、第一のセンサーの電気的特性を測定し、第一のデータとして測定値を保存することによって、第一のセンサーの一部の劣化が第一の時間間隔で監視される。最後に、ステップ204では、鋼鉄支持構造の劣化は第一のデータから推定される。
【0075】
図3は、本発明の実施形態による、海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の劣化を推定する方法のフローチャートを示す。鋼鉄支持構造はこの実施形態において、第一のタイプのコーティングで第一の表面上が被覆されている。第一のステップ301において、一つまたは複数のセンサー素子を有する第一のセンサーが提供されており、一つまたは複数のセンサー素子の第一のセンサー素子は金属で作製され、第一のタイプのコーティングで被覆されている。次のステップ302では、第一のセンサーは鋼鉄支持構造に関連して配置される。次に、ステップ303では、第一のセンサー素子を通して電流が誘起される。次に、ステップ304において、第一のセンサー素子のコーティングの劣化は、第一のセンサー素子の電気的特性を測定し、第一のデータとして測定値を保存することによって第一の時間間隔で監視される。最後に、ステップ305では、鋼鉄支持構造のコーティングの劣化は、第一のデータから推定される。
【0076】
図4は、本発明の実施形態による、海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の劣化を推定する方法のフローチャートを示す。鋼鉄支持構造は、中空内部を囲む壁を有し、壁は外部に中空内部から通路を形成する第一の開口部を有する。第一のステップ401では、一つまたは複数のセンサー素子を有する第一のセンサーが提供され、ここで一つまたは複数のセンサー素子の第一のセンサー素子は金属で作製される。次のステップ402では、第一のセンサーは鋼鉄支持構造の第一の開口部内に配置される。次に、ステップ403において、一つまたは複数のセンサー素子のうちの少なくとも一つを通して電流が誘起される。次に、ステップ404において、第一の時間間隔において、第一のセンサーの一部の劣化は、第一のセンサーの電気的特性を測定し、測定値を第一のデータとして保存することにより、監視される。最後に、ステップ405では、鋼鉄支持構造の劣化は第一のデータから推定される。
【0077】
図5は、本発明の実施形態による、海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の劣化を推定する方法のフローチャートを示す。第一のステップ501では、第一のセンサー素子、第二のセンサー素子、第一の電気絶縁体、および第二の電気絶縁体を備える第一のセンサーが提供される。第一のセンサー素子は金属製である。第二のセンサー素子は第一の電気絶縁体によって第一のセンサー素子から分離されている。第二の電気絶縁体および第一のセンサー素子は共に第二のセンサー素子および第一の電気絶縁体を封入し、第二のセンサー素子および第一電気絶縁体が水と接触するのを防ぐ。第一の電気絶縁体は、水と接触するときに、その電気インピーダンスを破壊、溶解、および/または低下させるように構成され、それによって、腐食が、第一のセンサー素子のピンホールを形成し、水が第一の電気絶縁体と接触することができるようになった後、第一のセンサー素子および第二のセンサー素子の間の電気インピーダンスが低下する。次のステップ502では、第一のセンサーは鋼鉄支持構造に関連して配置される。次に、ステップ503では、第一のセンサー素子および/または第二のセンサー素子を通して電流が誘起される。次に、ステップ504において、第一のセンサー素子の劣化は、第一のセンサーの電気的特性を測定し、第一のデータとして測定値を保存することによって、第一の時間間隔でモニターされる。最後に、ステップ505では、鋼鉄支持構造の劣化は、第一のデータを処理してピンホールが第一のセンサー素子に形成された時点T3を推定することによって、第一のデータから推定される。
【0078】
図6aおよび6bは、本発明の実施形態による、海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の壁680上に配置されたセンサー601の概略図を示す。
図6aは、正面図を示し、
図6bは線699に沿って切り取られた断面を示す。壁680のわずかな部分のみが示されている。センサー601は、電気抵抗腐食センサーである。センサー601は、第一のセンサー素子602および基準センサー素子603を備える。第一のセンサー素子は金属で作製される。第一のセンサー素子602および鋼鉄支持構造は、同一のタイプの鋼製であってもよい。第一のセンサー素子602および基準センサー素子603は、同一の材料で作製されることが好ましい。基準センサー素子603は温度センサーとして使用される。基準センサー素子603は、センサー601のハウジングによって封入され、それによって腐食性環境から保護される。第一のセンサー素子602は腐食性環境に晒され、腐食の結果として経時的により薄くなる。第一のセンサー素子602の厚さ682は、以下の式を使用して推定されうる。
【0079】
【0080】
ここで、dは第一のセンサー素子602の厚さ682であり、ρ(T)は、温度Tでの第一のセンサー素子602の材料の抵抗率であり、Lは第一のセンサー素子602の長さ683であり、Wは第一のセンサー素子602の幅681であり、Rは第一のセンサー素子の抵抗である。
【0081】
したがって、時間経過での複数の点での第一のセンサー素子の温度および抵抗率を測定することによって、絶対腐食および腐食速度が推定される。
図7は、第一のセンサー601で使用されうる電気回路を示す。電流源616は、第一のセンサー素子602および基準センサー素子603を通して誘起される電流を提供する。二つの抵抗器615および614が提供されている。二つの抵抗器614および615は、第一のセンサー素子602および基準センサー素子603の電気抵抗よりも実質的に高い電気抵抗を有することが好ましい。これにより、第一のセンサー素子602を通して誘起される電流が第一のセンサー素子602の腐食によって小さい程度にのみ影響を受けることを確実にする。第一のセンサー素子602の厚さ682を推定するために、第一のセンサー素子602および基準センサー素子603の抵抗は、602および603にわたる測定された電圧に基づいて算出されてもよい。センサー601は、第一のセンサー素子602の平均腐食のみを決定することができ、例えば、センサー601はピット腐食の程度を決定できない。
【0082】
図8a~
図8dは、本発明の実施形態による、海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の壁880上に配置されたセンサー801の中央断面を示す。センサー801は、ピット腐食を推定するように構成される。センサー801は、
図6a~bに示すセンサー601の外側寸法と類似した外側寸法を有しうる。センサー801は、時刻(p1、p2、p3、p4)の異なる点で示されており、ここで
図8aはセンサー801が壁880上に配置された直後であるp1でのセンサーを示し、
図8bはp1の後であるp2でのセンサー801を示し、
図8cはp2の後であるp3でのセンサー801を示し、
図8dはp3の後であるp4でのセンサー801を示す。センサー801は、金属からなる第一のセンサー素子802、第二のセンサー素子805、第一の電気絶縁体804、および第二の電気絶縁体を備える。この実施形態では、センサー801のハウジングは、第二の電気絶縁体を構成する。第二のセンサー素子805はまた、金属製でもよい。第二のセンサー素子805は、第一の電気絶縁体804によって第一のセンサー素子802から分離される。この実施形態では、第一のセンサー素子802、第二のセンサー素子805および第一の電気絶縁体804は、
図6aに示す第一のセンサー素子602の幅681および長さ683と類似した幅および長さを有してもよい平面素子であり、例えば実質的に等しい幅および長さを有しうる。第二の電気絶縁体および第一のセンサー素子802はともに、第二のセンサー素子805および第一の電気絶縁体804を封入し、第二のセンサー素子805および第一の電気絶縁体804が水と接触するのを保護する。(腐食が第一の素子801の穴が形成されるまで)第一の電気絶縁体804は、水と接触するときに、その電気インピーダンスを破壊、溶解、および/または低下させるように構成され、それによって、腐食が、第一のセンサー素子802のピンホールを形成し、水が第一の電気絶縁体804と接触することができるようになった後、第一のセンサー素子802および第二のセンサー素子805の間の電気インピーダンスが低下する。一例として、第一の電気絶縁体804は一枚の紙片であってもよい。p1では、腐食プロセスは開始されず、センサー801のすべての素子は無傷である。p2で、第一のセンサー素子802は腐食し始める。この例では、腐食は不均一であり、ピット899が形成される。この時点で、ピット899はピンホールを形成していないため、センサー(第二の電気絶縁体)および第一のセンサー素子802のハウジングによって保護されているため、第一の電気絶縁体804および第二のセンサー素子は無傷である。p3において、ピット899は、ピンホール(第一のセンサー素子が局所的に腐食している)の形成をもたらし、それによって第一の電気絶縁体804は水の電解質と接触し、その電気インピーダンスの破壊、溶解、および/または下降のいずれかになる。一例として、第一の電気絶縁体が紙片である場合、紙はピンホールを通って流れる水とによって湿らされ、それによって紙の電気インピーダンスが下降する。
【0083】
ピンホールが第一のセンサー素子802に形成され、水が第二のセンサー805素子と接触すると、その結果として三つの影響がでてくる。
【0084】
第一に、第二のセンサー素子805と、少なくとも第一の電気絶縁体804によって第二のセンサー素子805から分離された基準電極との間のインピーダンスは、第一の電気絶縁体804の絶縁特性が減少するにつれて、減少する。第一のセンサー素子802は、基準電極として機能し得る。別の方法として、第一のセンサー901は、
図9に示すように、専用の基準電極906を備えうる。
【0085】
第二に、
図8dに示すように、第二のセンサー素子805は腐食し始める。この腐食は、第二のセンサー素子のインピーダンスの増加を測定することによって、決定されうる。すなわち、
図6a~bに関連して説明したように、第一のセンサー素子602の腐食がどのように推定されるかに類似して決定される。
【0086】
第三に、第一のセンサー素子802の第一の端に接続された第一の電気端子と第一のセンサー素子の第二の端に接続された第二の電気端子802との間のインピーダンスは、ピンホールが第一の電気絶縁体804が電解質接点を提供するにつれて直ちに低下する。
【0087】
したがって、センサー801は、第二のセンサー素子805と基準電極の間のインピーダンス、第二のセンサー素子805のインピーダンス、および/または第一のセンサー素子802のインピーダンスのインピーダンスを定期的に測定し、および第一のデータとして測定値を保存するように構成された電気回路を備えてもよい。センサー801の処理ユニットまたは第一のデータへのアクセスを有する処理ユニットは、上記に説明するように、インピーダンスの増大および/または減少を検出することによって、第一のデータを処理することによって、ピンホールが第一のセンサー素子802内に形成される時の時間T3の点を推定しうる。センサー801は随意に、温度センサー803をさらに備えてもよく、
図6~7に関連して説明したように、第一のセンサー素子802の平均腐食を推定するように構成されてもよい。これにより、下記の式から決定されるピット腐食の程度の相対的な測定が可能となる:
【0088】
【0089】
式中、PFは相対的測定値であり、d_iは第一のセンサー素子802の初期厚さであり、d_pはT3での第一のセンサー素子の平均高さである。
【0090】
こうして、PFは0と1の数字であり、0は、腐食が完全に均一であり、ピット腐食が存在しないことを意味し、1は、ピット腐食のみが発生したことを意味する。実際には、ピットの形成が第一のセンサー素子802の平均高さの減少につながるため、PFは1になることはできない。
【0091】
図10a~10eは、本発明の実施形態による、海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の壁1080上に配置されたセンサー1001の中央断面を示す。この実施形態では、鋼鉄支持構造の壁は、第一のタイプのコーティングで第一の表面上で被覆1079される。壁1080のわずかな部分のみが示されている。センサー1001は、第一のセンサー素子1002および基準電極1006を備える。センサー1001は、第一のセンサー素子1002と電極1006との間の電圧/インピーダンスを推定するように構成される。基準電極1006は、構造接続であってもよい。センサー1001は、第一のセンサー素子1002と基準電極1006との間のDC電圧を測定するように構成されてもよく、Zn基準電極は、センサー1001が海底に埋め込まれている場合に特に適切でありうる。この実施形態では、第一のセンサー素子1002は、
図6aに示す第一のセンサー素子602の幅681および長さ683と類似した幅および長さを有しうる平面素子である。
【0092】
第一のセンサー素子1002は金属で作製される。第一のセンサー素子1002および鋼鉄支持構造は、同一のタイプの鋼製であってもよい。第一のセンサー素子1002は、第一のタイプのコーティングで被覆され、すなわち、鋼鉄支持構造および第一のセンサー素子1002は同一のタイプのコーティングで被覆される。センサー1001は、水、または海底を介して、第一のセンサー素子1002と基準電極1006との間の電流1008を誘起し、第一のセンサー素子1002と基準電極1006との間の電気インピーダンス/抵抗を推定するように構成されている。センサー1001は、ホイートストンのブリッジなどの適切な電気回路を使用することによって、第一のセンサー素子1002と基準電極1006との間の電気インピーダンス/抵抗を推定するように構成されうる。インピーダンス/抵抗は、コーティング1007の厚さ/状態、外部環境(海底または水)の導電率、およびコーティング1007の導電率によって影響を受ける。外部環境(海底または水)の導電率、およびコーティング1007の導電率は両方と比較的安定しているため、推定インピーダンス/抵抗はコーティングの厚さ/状態の良好な指標であり、コーティング1007の劣化の結果として
図11に示すように通常経時的に低下する。センサー1001はさらに、適宜、温度センサー1003(
図10eにのみ示す)を含んでもよい。温度センサーは、センサー1001が外部環境(海底または水)の導電率およびコーティング1007の導電率の温度依存の変化を考慮に入れることを可能にしうるが、これによってインピーダンス/抵抗が特定の基準温度(例えば、外部環境の毎年の平均温度)で推定されうる。
【0093】
センサー1001は異なる時点(p1、p2、p3、p4、p5)で示されている。
図10aは、センサー1001が壁1080上に配置された直後であるp1でのセンサーを示す。
図10bは、コーティングがわずかに劣化しているp1の後であるp2でのセンサー1001を示す。
図10cは、コーティングが著しく劣化しているp2の後であるp3でのセンサー1001を示す。
図10dは、コーティングの機能が働かなくなったp3の後であるp4でのセンサー1001を示す。
図10eは、p4の後であるp5でのセンサー1001を示す。
【0094】
図11は、第一のセンサー素子1002と基準電極1006との間の経時の電気インピーダンス/抵抗の関数1129の実施例を示し、軸1122は時間を表し、軸1121はインピーダンス/抵抗を表す。垂直線1126はp2に対応し、垂直線1127はp3に対応し、垂直線1128はp4に対応し、垂直線1130はp5に対応する。インピーダンス/抵抗率は、コーティングが完全に破壊されるまで、または絶縁体として機能する能力を失うまで低下する。コーティングがp4で絶縁能力を損なわれた後、インピーダンス/抵抗率は、センサー1001がどこで使用されるかに依存して、絶縁性を提供するコーティング能力について残されているものに加えて水の導電率、または絶縁性を提供するコーティング能力について残されているものに加えて海底の導電率によって決定されるほぼ一定のレベルに維持される。
【0095】
センサー1001は、複数の時点で第一のセンサー素子1002と基準電極1006との間の電気インピーダンス/抵抗を推定し、第一のデータとして推定を保存するように構成されうる。第一のデータは、鋼鉄支持構造1079のコーティングの劣化を推定するために処理されうる。第一のデータは、コーティングが特定の点に劣化した時点(T1)を推定するために処理されうる。特定の点は、絶対パラメータ値または相対パラメータ値であってもよい。パラメータ値は、腐食から保護するコーティングの能力を示しうる。特定の点は、コーティングが腐食に対して鋼鉄支持構造を保護するのを停止したとき、または残されたその元の保護能力の特定の割合を有するときであってもよい。曲線フィットを使用してT1を見つけることができ、例えば、曲線が第一のデータに適合され、T1を予測するために使用されうる。
【0096】
図11は、線形曲線フィット1124がp2およびp3で予想される電気インピーダンス/抵抗に適用されて、コーティングが腐食に対して鋼鉄支持構造を保護するのを停止する時点を予測する単純な例を示す。この例において、予測1125と実際の時点1128との間の相対的に大きな不一致がある。より良い予測は、正しい曲線が曲線フィットに対して使用される場合、もたらされる。例えば、指数関数曲線またはより多くのデータ点が使用される場合である。以前のセンサーからの経験値を評価することによって、適切な曲線フィットが見出されうる。
【0097】
図12は、本発明の実施形態による、海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の壁1280上に配置されたセンサー1201の中央断面を示す。センサー1201は、第一のセンサー素子1202を備え、鋼鉄支持構造の壁に電気的に接続される。従って、この実施形態では、鋼鉄支持構造の金属1280は、基準電極1206として機能する。センサー1201は、
図10a~eに関連して開示されたセンサーと類似し、第一のセンサー素子1202と基準電極1206との間の電気インピーダンス/抵抗を推定するように構成される。
【0098】
一部の実施形態について詳細に説明し、詳細に示してきたが、本発明はそれらに限定されないが、以下の請求項で定義される主題の範囲内の他の方法で具体化されてもよい。特に、本発明の範囲から逸脱することなくその他の実施形態を利用して構造的および機能的変更を行うことができることが理解されよう。
【0099】
いくつかの手段を列挙する装置請求項では、これらの手段のいくつかは、一つのハードウェアおよび同一のハードウェアのアイテムによって具体化されうる。特定の対策が、相互に異なる従属請求項において列挙され、または異なる実施形態に記載されるという事実は、これら対策の組み合わせが有利に利用できないことを示唆していない。
【0100】
本明細書で使用される場合、「comprises/comprising」という用語は、記述された特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を指定するために取られるが、一つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素またはその群の存在または付加を除外しないことを強調すべきである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の劣化を推定する方法であって、前記鋼鉄支持構造が第一のタイプの鋼鉄で作製され、前記方法が、
(a)一つまたは複数のセンサー素子を有する第一のセンサーを提供するステップであって、前記一つまたは複数のセンサー素子の第一のセンサー素子が、前記第一のタイプの鋼鉄に対応するタイプの鋼鉄で作製される、ステップと、
(b)前記鋼鉄支持構造に関連して前記第一のセンサーを配置するステップと、
(c)前記一つまたは複数のセンサー素子の少なくとも一つを通して電流を誘起するステップと、
(d)前記第一のセンサーの一部の劣化を、第一の時間間隔において、前記第一のセンサーの電気的特性を測定し、前記測定値を第一のデータとして保存することにより、監視するステップと、
(e)前記第一のデータから前記鋼鉄支持構造の劣化を推定するステップと、を含む、方法。
[2] 前記鋼鉄支持構造が、第一の表面上を第一のタイプのコーティングで被覆され、前記第一のセンサー素子が前記第一のタイプのコーティングで被覆され、ステップ(c)が、前記第一のセンサー素子を通る電流を誘起することをさらに含み、ステップ(d)が、前記第一のセンサー素子の電気的特性の変化を測定することをさらに含み、ステップ(e)が、前記第一のデータから前記鋼鉄支持構造の前記コーティングの劣化を推定することをさらに含む、[1]に記載の方法。
[3] ステップ(d)が、水または海底を通して前記第一のセンサー素子と基準電極との間に電流を誘起することと、前記第一のセンサー素子と前記基準電極との間の電気インピーダンスを推定することと、を含み、ステップ(e)が、前記第一のデータを分析することによって前記第一のセンサー素子と前記基準電極との間の電気インピーダンスの経時変化を推定し、前記鋼鉄支持構造の前記コーティングの劣化を推定することをさらに含む、[2]に記載の方法。
[4] ステップ(e)が、前記コーティングが特定の点まで劣化した時点(T1)を推定することをさらに含む、[3]に記載の方法。
[5] (f)時点(T2)が(T1)に依存して選択される時点(T2)で、前記鋼鉄支持構造に追加的な防腐保護を適用するステップをさらに含む、[4]に記載の方法。 [6] 前記防腐保護が陰極防食システムである、[5]に記載の方法。
[7] 前記防腐保護が、新しいコーティングまたは既存のコーティングにおける修理である、[5]に記載の方法。
[8] ステップ(a)が第二のセンサーを提供することをさらに含み、前記第二のセンサーがZn基準電極を含み、ステップ(b)が前記第二のセンサーを海底内に埋め込むことをさらに含む、[1]~[7]のいずれか一項に記載の方法。
[9] 前記鋼鉄支持構造が、中空内部を囲む壁を有し、前記鋼鉄支持構造が、前記中空内部から外部への通路を形成する前記壁内の第一の開口部を有し、ステップ(b)が前記第一の開口部に前記第一のセンサーを配置することを含む、[1]~[8]のいずれか一項に記載の方法。
[10] 前記第一のセンサーが、前記第一のセンサーの部分が前記第一の開口部からおよび外部に延在しない方法で、前記第一の開口部の内側に配置される、[9]に記載の方法。
[11] 前記鋼鉄支持構造が海底に固定される前に、前記第一のセンサーが前記第一の開口部の内側に配置され、前記第一の開口部は海底に挿入された前記鋼鉄支持構造の一部に形成され、前記鋼鉄支持構造はその後海底に固定され、それによって前記第一のセンサーは海底に配置され、海底に挿入された前記鋼鉄支持構造の前記一部の劣化を示す測定値を提供することができる、[10]に記載の方法。
[12] 前記第一のセンサーが固定要素に固定され、前記固定要素が前記第一の開口部に挿入される、[9]~[11]のいずれか一項に記載の方法。
[13] 複数のセンサーが前記固定要素に固定されている、[12]に記載の方法。 [14] 前記第一の開口部および前記固定要素が円形または楕円形の形状を有する、[9]~[12]のいずれか一項に記載の方法。
[15] 前記第一のセンサー素子が外部に面し、一つまたは複数の電源または制御ケーブルが、前記第一のセンサーに接続され、前記一つまたは複数の電源または制御ケーブルが、前記鋼鉄支持構造の前記中空内部内に配置される、[9]~[14]のいずれか一項に記載の方法。
[16] 前記鋼鉄支持構造体が海底に固定される前に、前記一つまたは複数の電源または制御ケーブルが、前記第一のセンサーに接続され、保護要素が、第一の開口部の下の前記中空内部の前記内壁から突出しており、前記保護要素が、前記鋼鉄支持構造が、海底に挿入されたときに、一つまたは複数の電源または制御ケーブルを保護するように構成される、[15]に記載の方法。
[17] 前記第一のセンサーは、第二のセンサー素子、第一の電気絶縁体、および第二の電気絶縁体をさらに含み、前記第二のセンサー素子は、前記第一の電気絶縁体によって前記第一のセンサー素子から分離され、前記第二の電気絶縁体および前記第一のセンサー素子はともに、前記第二のセンサー素子および前記第一の電気絶縁体を封入し、前記第二のセンサー素子および前記第一の電気絶縁体が水と接触するのを保護し、前記第一の電気絶縁体は、それが水と接触すると、その電気インピーダンスを破壊、溶解、および/または低下させるように構成され、それによって、前記第一のセンサー素子と前記第二のセンサー素子との間の前記電気抵抗/インピーダンスは、腐食が前記第一のセンサー素子にピンホールを形成し、水が前記第一の電気絶縁体と接触することを可能にした後に、低下し、ステップ(e)は、前記第一のデータを処理し、ピンホールが前記第一のセンサー素子に形成されたときの時点T3を推定することを含む、[1]~[16]のいずれか一項に記載の方法。
[18] ステップ(d)が、複数の時点で、
・ 前記第二のセンサー素子の前記電気インピーダンスまたは、
・ 前記第二のセンサー素子と、少なくとも前記第一の電気絶縁体によって、前記第二のセンサー素子から分離された基準電極との間の電気インピーダンスまたは、
・ 前記第一のセンサー素子の第一の端に接続された第一の電気端子と、前記第一のセンサー素子の第二の端に接続された第二の電気端子との間の前記電気インピーダンスのいずれかを測定することを含み、
T3は、前記複数の推定された電気インピーダンスを処理することによって推定される、[17]に記載の方法。
[19] T3が、前記電気インピーダンスまたは前記電気インピーダンスの推定変化速度が、所定の閾値に到達または超える時点として推定される、[14]に記載の方法。 [20] 風力タービン、制御ユニット、および第一のセンサーを支持する鋼鉄支持構造を備えるシステムであって、
・ 前記鋼鉄支持構造が第一のタイプの鋼鉄で作製され、
・ 第一のセンサーは一つまたは複数のセンサー素子を有し、前記一つまたは複数のセンサー素子の第一のセンサー素子は、前記第一のタイプの鋼鉄に対応するタイプの鋼鉄で作製され、
・ 前記第一のセンサーが前記鋼鉄支持構造に関連して配置され、
・ 前記第一のセンサーが、前記一つまたは複数のセンサー素子のうちの少なくとも一つを介して電流を誘起するように構成され、
・ 前記システムが、前記第一のセンサーの一部の劣化を、第一の時間間隔において、前記第一のセンサーの電気的特性を測定し、前記測定値を第一のデータとして保存することにより、監視するように構成され、
・ 前記システムが、前記処理ユニット使って、前記第一のデータを処理し、前記鋼鉄支持構造の劣化を推定するためのように構成される、システム。
[21] 海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の劣化を推定する方法であって、前記鋼鉄支持構造が第一のタイプのコーティングで、第一の表面が被覆され、前記方法が、
(a)一つまたは複数のセンサー素子を有する第一のセンサーを提供するステップであって、前記一つまたは複数のセンサー素子の第一のセンサー素子が、導電材料、例えば、金属で作成され、前記第一のタイプのコーティングで被覆される、ステップと、
(b)前記鋼鉄支持構造に関連して前記第一のセンサーを配置するステップと、
(c)前記第一のセンサー素子を通して電流を誘起するステップと、
(d)前記第一のセンサー素子の前記コーティングの劣化を、第一の時間間隔において、前記第一のセンサーの電気的特性を測定し、前記測定値を第一のデータとして保存することにより、監視するステップと、
(e)前記第一のデータから前記鋼鉄支持構造の前記コーティングの劣化を推定するステップと、を含む、方法。
[22] ステップ(d)が、水または海底、すなわち電解質を通して前記第一のセンサー素子と基準電極との間に電流を誘起することと、前記第一のセンサー素子と前記基準電極との間の電気インピーダンスを推定することと、を含み、ステップ(e)が、前記第一のデータを分析することによって前記第一のセンサー素子と前記基準電極との間の電気インピーダンスの経時変化を推定し、前記鋼鉄支持構造の前記コーティングの劣化を推定することをさらに含む、[21]に記載の方法。
[23] ステップ(e)が、前記コーティングが特定の点まで劣化した時点(T1)を推定することをさらに含む、[21]~[22]のいずれか一項に記載の方法。
[24] (f)時点(T2)が(T1)に依存して選択される時点(T2)で、前記鋼鉄支持構造に追加的な防腐保護を適用するステップをさらに含む、[21]~[23]のいずれか一項に記載の方法。
[25] 前記防腐保護が陰極防食システムである、[24]に記載の方法。
[26] 前記防腐保護が新規コーティングである、[24]に記載の方法。
[27] ステップ(a)がさらに、
一つまたは複数のセンサー素子を有する第二のセンサーを提供することを含み、ここにおいて、前記一つまたは複数のセンサー素子の第一のセンサー素子が、導電材料、例えば、金属で作成され、前記第一のタイプのコーティングで被覆される、
ステップ(b)がさらに、
前記鋼鉄支持構造に関連して前記第二のセンサーを配置することを含み、
ステップ(c)がさらに、
前記第二のセンサーの前記第一のセンサー素子を通して電流を誘起することを含み、 ステップ(d)がさらに、
前記第二のセンサーの前記第一のセンサー素子の前記コーティングの劣化を、第一の時間間隔において、前記第一のセンサー素子の電気的特性を測定し、前記測定値を第二のデータとして保存することにより、監視することを含み、
ステップ(e)がさらに、
前記第一のデータおよび前記第二のデータの両方から前記鋼鉄支持構造の前記コーティングの劣化を推定することを含む、[21]~[26]のいずれか一項に記載の方法。 [28] 前記第二のタイプのコーティングが、前記第一のタイプのコーティングと同一あるか、または、
前記第二のタイプのコーティングが、前記第一のタイプのコーティングとは異なり、前記鋼鉄支持構造が第二のタイプのコーティングで第二の表面上が被覆されている、[27]に記載の方法。
[29] 海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の劣化を推定する方法であって、 (a)第一のセンサー素子、第二のセンサー素子、第一の電気絶縁体、および第二の電気絶縁体を含む第一のセンサーを提供するステップであって、前記第一のセンサー素子は、金属製であり、前記第二のセンサー素子は、前記第一の電気絶縁体によって前記第一のセンサー素子から分離され、前記第二の電気絶縁体および前記第一のセンサー素子はともに、前記第二のセンサー素子および前記第一の電気絶縁体を封入し、前記第二のセンサー素子および前記第一の電気絶縁体が水と接触するのを保護し、前記第一の電気絶縁体は、それが水と接触すると、その電気インピーダンスを破壊、溶解、および/または低下させるように構成され、それによって、前記第一のセンサー素子と前記第二のセンサー素子との間の前記電気インピーダンスは、腐食が前記第一のセンサー素子にピンホールを形成し、水が前記第一の電気絶縁体と接触することを可能にした後に低下する、ステップと、 (b)前記鋼鉄支持構造に関連して前記第一のセンサーを配置するステップと、
(c)前記第一のセンサー素子および/または前記第二のセンサー素子を通して電流を誘起するステップと、
(d)前記第一のセンサー素子の劣化を、第一の時間間隔において、前記第一のセンサーの電気的特性を測定し、前記測定値を第一のデータとして保存することにより、監視するステップと、
(e)前記第一のデータを処理してピンホールが前記第一のセンサー素子に形成された前記時点T3を推定することによって、前記鋼鉄支持構造の劣化を、前記第一のデータから推定するステップと、を含む、方法。
[30] ステップ(d)が、複数の時点で、
・ 前記第二のセンサー素子の前記電気インピーダンスまたは、
・ 前記第二のセンサー素子と、少なくとも前記第一の電気絶縁体によって、前記第二のセンサー素子から分離された基準電極との間の電気インピーダンスまたは、
・ 前記第一のセンサー素子の第一の端に接続された第一の電気端子と、前記第一のセンサー素子の第二の端に接続された第二の電気端子との間の前記電気インピーダンスのいずれかを測定することを含み、T3は、前記複数の推定された電気5インピーダンスを処理することによって推定される、[29]に記載の方法。
[31] T3が、前記電気インピーダンスまたは前記電気インピーダンスの推定変化速度が、所定の閾値に到達または超える時点として推定される、[29]または[30]に記載の方法。
[32] 海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の劣化を推定する方法であって、前記鋼鉄支持構造が中空内部を囲む壁を有し、前記壁が前記中空内部から外部への通路を形成する第一の開口部を有し、
(a)一つまたは複数のセンサー素子を有する第一のセンサーを提供するステップであって、前記一つまたは複数のセンサー素子の第一のセンサー素子は金属製である、ステップと、
(b)前記第一のセンサーを前記鋼鉄支持構造の前記第一の開口部に配置するステップと、
(c)前記一つまたは複数のセンサー素子の少なくとも一つを通して電流を誘起するステップと、
(d)前記第一のセンサーの一部の劣化を、または直接的に前記鋼鉄支持構造の劣化を、第一の時間間隔において、前記第一のセンサーの電気的特性を測定し、前記測定値を第一のデータとして保存することにより、監視するステップと、
(e)前記第一のデータから前記鋼鉄支持構造の劣化を推定するステップと、を含む、方法。
[33] 前記第一のセンサーが、前記第一のセンサーの部分が前記第一の開口部からおよび外部に延在しない方法で、前記第一の開口部の内側に配置される、[32]に記載の方法。
[34] 前記鋼鉄支持構造が海底に固定される前に、前記第一のセンサーが前記第一の開口部の内側に配置され、前記第一の開口部は海底に挿入された前記鋼鉄支持構造の一部に形成され、前記鋼鉄支持構造はその後海底に固定され、それによって前記第一のセンサーは海底に配置され、海底に挿入された前記鋼鉄支持構造の前記一部の劣化を示す測定値を提供することができる、[33]に記載の方法。
[35] 前記第一のセンサーが固定要素に固定され、前記固定要素が前記第一の開口部に挿入される、[32]~[34]のいずれか一項に記載の方法。
[36] 前記第一の開口部および前記固定要素が円形または楕円形の形状を持つ、[35]に記載の方法。
[37] 複数のセンサーが前記固定要素に固定されている、[35]~[36]に記載の方法。
[38] 前記第一のセンサー素子が外部に面し、一つまたは複数の電源または制御ケーブルが、前記第一のセンサーに接続され、前記一つまたは複数の電源または制御ケーブルが、前記鋼鉄支持構造の前記中空内部内に配置される、[32]~[37]のいずれか一項に記載の方法。
[39] 前記鋼鉄支持構造体が海底に固定される前に、前記一つまたは複数の電源または制御ケーブルが、前記第一のセンサーに接続され、保護要素が、第一の開口部の下の前記中空内部の前記内壁から突出しており、前記保護要素が、前記鋼鉄支持構造が、海底に挿入されたときに、一つまたは複数の電源または制御ケーブルを保護するように構成される、[38]に記載の方法。
[40] 海洋風力タービンを支持する鋼鉄支持構造の劣化を推定する方法であって、前記鋼鉄支持構造が第一のタイプの鋼鉄で作製され、前記方法が、
(a)センサーを提供するステップであって、前記センサーがZn基準電極を含む、ステップと、
(b)前記鋼鉄支持構造に関連して前記センサーを埋め込むステップと、
(c)前記Zn基準電極を使用して局所電位を測定するにより、前記鋼鉄支持構造の腐食の程度を推定するステップと、を含む、方法。