(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】集塵装置
(51)【国際特許分類】
B03C 3/40 20060101AFI20240422BHJP
B01D 46/71 20220101ALI20240422BHJP
B03C 3/019 20060101ALI20240422BHJP
B03C 3/155 20060101ALI20240422BHJP
B03C 3/80 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
B03C3/40 A
B01D46/71
B03C3/019
B03C3/155 A
B03C3/80
(21)【出願番号】P 2022195336
(22)【出願日】2022-12-07
(62)【分割の表示】P 2018161371の分割
【原出願日】2018-08-30
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000101617
【氏名又は名称】アマノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】西田 政記
(72)【発明者】
【氏名】勝島 慎二郎
(72)【発明者】
【氏名】北林 功一
(72)【発明者】
【氏名】中川 祥平
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-227152(JP,A)
【文献】特開昭54-085481(JP,A)
【文献】特開昭57-165048(JP,A)
【文献】特開2017-029957(JP,A)
【文献】実開昭59-146051(JP,U)
【文献】実開平05-056213(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0175850(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D46/00-46/90
B01D39/00-39/20
B03C3/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロナ放電によって帯電した塵埃を含む含塵空気を流通させて塵埃を捕集するフィルタユニットを備えた集塵装置であって、
前記フィルタユニットに向かって圧縮空気を吹き付けて前記フィルタユニットに捕集された塵埃を除塵する除塵部と、
接地状態を切り替える接地制御部と、を備え、
前記フィルタユニットは、
前記集塵装置に備えられたアースに電気的に接続され、含塵空気に含まれる帯電した塵埃を付着させる網部材と、
前記網部材の流通方向下流側に接触または隙間を挟んで対向配置され、前記網部材を通過した含塵空気に含まれる塵埃を濾過する濾過部材と、を備え、
前記接地制御部は、前記除塵部が停止している場合に前記網部材と前記アースとを電気的に接続し、前記除塵部が動作している場合に前記網部材と前記アースとの接続を解除することを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
前記フィルタユニットは、前記濾過部材に固定されて前記濾過部材に塵埃を濾過された清浄空気を通過させる開口部を有する固定部材を更に備え、
前記接地制御部は、
前記開口部に対向する位置に設けられ、前記アースに電気的に接続されている接地板と、
前記開口部の内側に突き出すように設けられ、前記除塵部が停止している場合に前記フィルタユニットで塵埃を濾過された清浄空気に押し出されて一方に回転して前記接地板に接触し、前記除塵部が動作している場合に圧縮空気に押し出されて他方に回転して前記接地板から離間する回動板と、を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の集塵装置。
【請求項3】
含塵空気を流通させながらコロナ放電によって含塵空気に含まれた塵埃を帯電させる帯電部と、
前記アースに電気的に接続された筐体を備えており、前記帯電部よりも流通方向下流側に設けられた前記フィルタユニットを
前記筐体の内部に設けた集塵部と、を更に備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の集塵装置。
【請求項4】
前記網部材は、導電性材料で形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の集塵装置。
【請求項5】
前記網部材は、金属製の金網であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の集塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コロナ放電によって含塵空気中の粒子を帯電させて捕集する集塵装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の集塵装置は、空気流路の上流側に設けられた電気集塵部と、電気集塵部の下流側に設けられたバグフィルタ部と、電気集塵部とバグフィルタ部との間に配置された整流板と、整流板と電気集塵部との間に粉末吸着剤を放出する噴霧口と、を備えていた。電気集塵部は、含塵空気中の塵埃を帯電させて凝集させながら捕集する。電気集塵部は含塵空気中の塵埃の80~90%を集塵するため、バグフィルタ部に進入する塵埃を少なくすることができた。また、電気集塵部を通過した塵埃は、噴霧口から噴霧された粉末吸着剤に吸着された後、整流板によってバグフィルタの濾布全体に渡って拡散して濾過されていた。さらに、バグフィルタ部の濾布に付着した塵埃は、バグフィルタ部の上方に配置されたノズルから圧縮空気を噴射して払い落とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の集塵装置では、バグフィルタ部の直前に整流板を設け、且つ整流板の直前で粉末吸着剤を噴射しなければ、バグフィルタ部に進入する塵埃を少なくすることができなかった。換言すれば、バグフィルタ部の濾布の目詰りを抑制して濾布の交換に係るコストを抑えることができるが、整流板、噴射口および粉末吸着剤等を追加・維持するための余分なコストが生じていた。
【0006】
また、特許文献1に記載の集塵装置では、バグフィルタ部の上流側に配置した電気集塵部が含塵空気中の80~90%の塵埃を集塵するにも関わらず、この電気集塵部に付着した塵埃を除塵することについては十分に考慮されていなかった。
【0007】
本発明は、上記した課題を考慮し、除塵部による除塵効果を向上させることができる集塵装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の集塵装置は、コロナ放電によって帯電した塵埃を含む含塵空気を流通させて塵埃を捕集するフィルタユニットを備えた集塵装置であって、前記フィルタユニットに向かって圧縮空気を吹き付けて前記フィルタユニットに捕集された塵埃を除塵する除塵部と、接地状態を切り替える接地制御部と、を備え、前記フィルタユニットは、前記集塵装置に備えられたアースに電気的に接続され、含塵空気に含まれる帯電した塵埃を付着させる網部材と、前記網部材の流通方向下流側に接触または隙間を挟んで対向配置され、前記網部材を通過した含塵空気に含まれる塵埃を濾過する濾過部材と、を備え、前記接地制御部は、前記除塵部が停止している場合に前記網部材と前記アースとを電気的に接続し、前記除塵部が動作している場合に前記網部材と前記アースとの接続を解除する。
【0009】
本発明の第1の集塵装置によれば、帯電した塵埃の捕集によって網部材に蓄積された電荷を除去することができるため、帯電した塵埃と網部材との間に安定した電位差を生じさせて静電気力(クーロン力)を安定して作用させることができる。
また、除塵部が停止している場合に網部材を接地することで、網部材が帯電した塵埃を安定して捕集することができる。一方で、除塵部が動作している場合に網部材の接地を解除することで、帯電した塵埃と網部材との間に生ずる電位差を不安定にして静電気力を弱めることができる。これにより、逆流した空気(圧縮空気)によって網部材に付着した塵埃を容易に払い落とすことができる。つまり、除塵部による除塵効果を向上させることができる。
さらに、集塵装置に備えられたフィルタユニットによれば、含塵空気中の帯電した塵埃を網部材によって大まかに捕集することができるため、網部材を通過した含塵空気中の塵埃を減少させることができる。これにより、濾過部材によって濾過すべき塵埃が少なくなるため、濾過部材の目詰りを抑制することができる。また、網部材上で捕集された塵埃同士が凝集して粗大化するため、含塵空気の連続吸引により網部材上で粗大化して堆積した塵埃が崩れて網部材を通過し、濾過部材の表面に付着したとしても、粗大化した塵埃は濾過部材の内側へ侵入し難い。このため、網部材が無い場合に比べて、濾過部材の目詰りを抑制することができる。
【0010】
本発明の第2の集塵装置は、上記した第1の集塵装置において、前記フィルタユニットは、前記濾過部材に固定されて前記濾過部材に塵埃を濾過された清浄空気を通過させる開口部を有する固定部材を更に備え、前記接地制御部は、前記開口部に対向する位置に設けられ、前記アースに電気的に接続されている接地板と、前記開口部の内側に突き出すように設けられ、前記除塵部が停止している場合に前記フィルタユニットで塵埃を濾過された清浄空気に押し出されて一方に回転して前記接地板に接触し、前記除塵部が動作している場合に圧縮空気に押し出されて他方に回転して前記接地板から離間する回動板と、を含んでいることが好ましい。
【0011】
本発明の第2の集塵装置では、清浄空気と圧縮空気とが流通する領域に回動板を回動可能に設け、清浄空気と圧縮空気との流通によって回動板を揺動させる構成とした。この構成によれば、清浄空気または圧縮空気が開口部を通過することで、回動板が接地板を介して接地される状態と、回動板が接地板から離れて接地解除される状態とを切り替えることができる。これにより、例えば、回動板の接触状態を切り替えるための動力や制御回路等を別途備える必要が無く、簡単な構造で網部材の接地状態を切り替えることができる。
【0012】
本発明の第3の集塵装置は、上記した第1または第2の集塵装置において、含塵空気を流通させながらコロナ放電によって含塵空気に含まれた塵埃を帯電させる帯電部と、前記帯電部よりも流通方向下流側に設けられた前記フィルタユニットを含む集塵部と、を更に備えていることが好ましい。
【0013】
本発明の第3の集塵装置によれば、先に網部材で塵埃を捕集することができるため、後で塵埃を濾過する濾過部材の目詰りを抑制することができる。その結果、フィルタユニットの交換頻度を少なくすることができる。
【0014】
本発明の第4の集塵装置は、上記した第1ないし第3のいずれかの集塵装置において、前記網部材は、導電性材料で形成されていることが好ましい。
【0015】
本発明の第5の集塵装置は、上記した第1ないし第3のいずれかの集塵装置において、前記網部材は、金属製の金網であることが好ましい。
【0016】
本発明の第4および第5の集塵装置によれば、網部材を、金属製の金網の導電性材料で形成することで、帯電した塵埃と網部材との間の電位差により生ずる静電気力(クーロン力)を作用させることができ、網部材に帯電した塵埃を捕集することができる。また、網部材は静電気力によって塵埃を引き寄せて付着させるため、塵埃を衝突させて集塵する慣性集塵に比べて、網部材の目開きを大きく設定することができる。これにより、網部材の目詰りを抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、除塵部による除塵効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る集塵装置を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る集塵装置の制御系統を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るフィルタユニットおよび除塵部を示す断面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るフィルタユニットおよび除塵部を示す断面図(逆洗時)である。
【
図6】本発明の第1実施形態の第1変形例に係るフィルタユニットを示す斜視図である。
【
図7】本発明の第1実施形態の第2変形例に係るフィルタユニットを示す側面図である。
【
図8】本発明の第1実施形態の第4変形例に係るフィルタユニット、除塵部および接地制御部を示す断面図である。
【
図9】本発明の第1実施形態の第4変形例に係るフィルタユニット、除塵部および接地制御部を示す断面図(逆洗時)である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る集塵装置を示す斜視図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る集塵装置を示す側面図である。
【
図12】本発明の第2実施形態に係るフィルタユニットを示す斜視図である。
【
図14】本発明の第2実施形態に係るフィルタユニットを示す断面図(逆洗時)である。
【
図15】本発明の第2実施形態の変形例に係るフィルタユニットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、各図に示す「Fr」は「前」を示し、「Rr」は「後」を示し、「L」は「左」を示し、「R」は「右」を示し、「U」は「上」を示し、「D」は「下」を示している。本明細書では、説明の便宜のために方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0020】
[第1実施形態]
図1ないし
図4を参照して、第1実施形態に係る集塵装置1について説明する。
図1は集塵装置1を示す斜視図である。
図2は集塵装置1の制御系統を示すブロック図である。
図3はフィルタユニット26および除塵部12を示す断面図である。
図4は、
図3のIV-IV断面図である。
【0021】
[集塵装置の構成]
集塵装置1は、含塵空気中の塵埃をコロナ放電によって帯電させて捕集する装置である。例えば、集塵装置1は、プラズマ加工機やレーザ加工機による金属加工を行う工場内に設置されている。また、例えば、集塵装置1は、金属加工時に発生する金属ヒューム等の微細な塵埃を集塵する。なお、集塵装置1は、金属加工工場に限らず、塵埃が発生する場所に設置することができる。集塵装置1が集塵する塵埃は、金属ヒュームに限らず、帯電させて集塵可能な粒子であれば、その種類は問わない。
【0022】
図1および
図2に示すように、集塵装置1は、帯電部10と、集塵部11と、除塵部12と、を備えている。帯電部10は、含塵空気を流通させながらコロナ放電によって含塵空気に含まれた塵埃を帯電させる機能を有している。集塵部11は、帯電した塵埃を捕集する機能を有している。除塵部12は、集塵部11に捕集された塵埃を払い落とす機能を有している。なお、以下の説明において、「流通方向」とは、含塵空気が流れる方向を指す。また、「上流」および「下流」並びにこれらに類する用語は、含塵空気の流通方向における「上流」および「下流」並びにこれらに類する概念を指す。
【0023】
[帯電部]
図2に示すように、帯電部10は、放電極と接地極とを含む荷電極13と、荷電極13に接続されている高圧電源14と、を備えている。高圧電源14が荷電極13(放電極と接地極との間)に数kV~数十kVの直流電圧を印加することで、放電極と接地極との間にコロナ放電が発生する。
図1に示すように、帯電部10の上流側には、含塵空気を導入するための第1吸気ダクト15が接続されている。帯電部10の下流側には、集塵部11に連通する第2吸気ダクト16が接続されている。なお、安定してコロナ放電を発生させるために、荷電極13の接地極は接地(アース)されていることが望ましい。接地極は、直接、大地に接続されてもよいし、後述する集塵部11の筐体17が大地に接続されている場合には筐体17と電気的に接続されてもよい。
【0024】
[集塵部]
図1に示すように、集塵部11は、略直方体状の外観を構成する筐体17を備えている。筐体17には、内部空間を上下方向に二分割する金属製(例えば、ステンレス等)の仕切板18が設けられている。筐体17の内部空間は、仕切板18よって下方のダーティルームR1と上方のクリーンルームR2とに仕切られている。なお、
図1では、クリーンルームR2の内部を示すために、筐体17の上部を仮想線(二点鎖線)で示している。
【0025】
仕切板18には、円形状の仕切開口部18Aが6つ形成されている。6つの仕切開口部18Aは、後述する6つのフィルタユニット26に対応するように、前後方向に2列、左右方向に3列に並べられている。また、仕切板18の下面には、左右方向3列の仕切開口部18Aに対応するように3組のガイドレール対(図示せず)が設けられている。
【0026】
筐体17の前面下側には、ダーティルームR1を開放するフィルタ点検開口部17Aが形成されている。筐体17には、フィルタ点検開口部17Aを開閉するためのフィルタ点検扉(図示せず)が取り付けられている(
図1ではフィルタ点検扉は取り外されている。)。また、筐体17のダーティルームR1よりも下方には、落下した塵埃を貯留するためのバケット19が設けられている。筐体17には、バケット19を開閉するためのバケット点検扉19Dが設けられている。なお、筐体17は、これに電気的に接続された金属棒または電線を大地に埋設することで接地(アース)されている(図示せず)。
【0027】
筐体17の左側面にはダーティルームR1に連通する吸気口20が開口しており、吸気口20には第2吸気ダクト16を介して帯電部10が接続されている。筐体17の上面にはクリーンルームR2に連通する排気口21が開口しており、排気口21には排気ダクト(図示せず)が接続されている。また、排気ダクト内またはクリーンルームR2内には、吸気口20から排気口21に向かう気流を形成するための排気ファン22(
図2参照)が設けられている。
【0028】
図2に示すように、集塵部11は、制御部23と、操作入力部23Aと、表示/入力部23Bと、時計/タイマ23Cと、外部入出力部23Dと、差圧計23Eと、3つの集塵フィルタ部24(
図1参照)と、を備えている。
【0029】
制御部23は、演算処理装置や記憶装置等(図示せず)を含んでいる。制御部23のインターフェース(図示せず)には、操作入力部23A、表示/入力部23B、時計/タイマ23C、外部入出力部23D、差圧計23Eおよび排気ファン22(モータ)が電気的に接続されている。また、制御部23のインターフェースには、帯電部10の高圧電源14、後述する除塵部12の電磁弁43等も電気的に接続されている。
【0030】
操作入力部23Aは、集塵装置1の起動・停止を切り替えるON/OFFボタン等を有している。表示/入力部23Bは、タッチパネル等を含み、各種設定の入力や表示を行う機能を有している。表示/入力部23Bで入力された内容は、制御部23の記憶装置に記憶されて集塵装置1動作制御に適宜用いられる。時計/タイマ23Cは、現在の時刻を表示/入力部23Bに表示させたり、設定された時間を計測したりする機能を有している。外部入出力部23Dは、レーザ加工機等と連動するための信号を入出力する機能を有している。差圧計23Eは、ダーティルームR1とクリーンルームR2との圧力差を検出する機能を有している。この圧力差を検出することで各フィルタユニット26の圧力損失を計測することができる。
【0031】
<集塵フィルタ部>
図1に示すように、3つの集塵フィルタ部24は、筐体17のダーティルームR1にて左右方向に並設されている。なお、3つの集塵フィルタ部24は同一構造であるため、以下、1つの集塵フィルタ部24について説明する。
【0032】
集塵フィルタ部24は、フィルタプレート25と、2つのフィルタユニット26と、を含んでいる。各々のフィルタユニット26は、帯電部10よりも流通方向下流側に設けられ、コロナ放電によって帯電した塵埃を含む含塵空気を流通させて塵埃を捕集する機能を有している。なお、2つのフィルタユニット26は同一構造であるため、以下、1つのフィルタユニット26について説明する。
【0033】
<フィルタプレート>
図1に示すように、フィルタプレート25は、例えば、ステンレス等の金属材料で、前後方向に長い略矩形板状に形成されている。フィルタプレート25には、2つの差込穴25A(
図3参照)が前後方向に並んで形成されている。フィルタプレート25の左右両端部は、下方に折曲した状態とされて一対のガイド片25Bを形成している。また、フィルタプレート25の前端部は、上方に折り曲げられることで当接片25Cを形成している。なお、フィルタプレート25の前側には、蝶ボルトB1(
図3参照)を貫通させるための穴(図示せず)が形成されている。
【0034】
<フィルタユニット>
図1、
図3および
図4に示すように、フィルタユニット26は、網部材30と、濾過部材31と、固定部材32と、取付部材33と、を備えている。網部材30は、含塵空気に含まれる帯電した塵埃を付着させる機能を有している。濾過部材31は、網部材30の内側に配置され、網部材30を通過した含塵空気に含まれる塵埃を濾過する機能を有している。固定部材32と取付部材33とは、網部材30と濾過部材31との両端面に取り付けられ、網部材30と濾過部材31とをユニット化する機能を有している。
【0035】
(網部材)
図1および
図3に示すように、網部材30は、上下方向(軸方向)に延びた略円筒状に形成されている。網部材30は、フィルタプレート25の差込穴25Aに挿入可能な外径に形成されている。網部材30は、上部から下部まで略同一直径に形成されている。網部材30は、例えば、耐腐食性に優れるステンレス(SUS304)等の金属製の金網である。なお、添付の図面では、網部材30の一部の網目を図示している。
【0036】
網部材30には、線径1mm以下で、数メッシュ~数十メッシュ程度の平織り金網が用いられている。詳細には、網部材30の線径は、0.1~0.9mmの範囲に設定することができるが、0.3~0.8mmの範囲に設定することが好ましく、0.6~0.7mmの範囲に設定することが更に好ましい。また、網部材30のメッシュ数(1インチ当たりの網目の数)は、1~20メッシュの範囲に設定することができるが、3~10メッシュの範囲に設定することが好ましく、6~7メッシュの範囲に設定することが更に好ましい。また、網部材30の網目(開口径)は、1~10mmの範囲に設定することができるが、2~5mmの範囲に設定することが好ましく、3~4mmの範囲に設定することが更に好ましい。
【0037】
(濾過部材)
図3および
図4に示すように、濾過部材31は、上下方向(軸方向)に延びた略円筒状に形成されている。濾過部材31は、網部材30と軸方向に略同一の長さに形成され、且つ網部材30よりも小さな外径に形成されている。濾過部材31は、上部から下部まで略同一直径に形成されている。濾過部材31は、例えば、ポリプロピレンまたはポリエステル等の樹脂繊維から形成された不織布である。なお、濾過部材31は、静電気を保持させた樹脂繊維(いわゆるエレクトレット)で形成されてもよい。濾過部材31は、不織布に山折りと谷折りを繰り返して複数の折目をつけたプリーツ状に形成されている。濾過部材31の折目は、軸方向(上下方向)に延びている。
【0038】
濾過部材31は、網部材30に挿入された状態で、網部材30の内周面(流通方向下流側)に隙間を挟んで対向配置されている。詳細には、濾過部材31の流通方向上流側に位置する折目31Aは、網部材30との間に隙間(数mm)を挟んで対向している。網部材30は、濾過部材31の外周面を覆うと共に濾過部材31と同一軸上(同心円上)に配置されている。なお、本明細書において「同一軸上(同心円上)」とは、完全な同一を要求するものではなく、製造上の数ミリ程度の誤差を許容する意味である。
【0039】
(固定部材)
図1および
図3に示すように、網部材30と濾過部材31との上端部(一端部)は、固定部材32に固定されている。固定部材32は、濾過部材31に塵埃を濾過された清浄空気を通過させる円形状の開口部34Aを有している。詳細には、固定部材32は、フランジ部34と、ベンチュリ管35と、を含んでいる。フランジ部34とベンチュリ管35とは一体に形成されている。
【0040】
フランジ部34は、平面から見て開口部34A(ベンチュリ管35の上端部)から外側に広がる鍔状に形成されている。つまり、フランジ部34は、平面から見て円環状に形成されている。フランジ部34の外径は、フィルタプレート25の差込穴25Aの直径よりも大きく形成されている。また、開口部34Aの直径は、濾過部材31の内径よりも僅かに小さく形成されている。
【0041】
図3に示すように、ベンチュリ管35は、フランジ部34の開口部34Aの縁部から下方に延設されている。ベンチュリ管35は、開口部34Aと連続した貫通穴を有する管である。ベンチュリ管35は、フランジ部34(開口部34A)と同一軸上に配置され、濾過部材31に挿入可能な外径に形成されている。ベンチュリ管35は、上下両端部よりも中央部分で括れた略円筒状に形成されている。ベンチュリ管35は、流通方向下流側から上流側に向かう空気(清浄空気または圧縮空気)の流速を増加させる機能を有している。
【0042】
フランジ部34の下面には、網部材30と濾過部材31との上端部を嵌合させるための円環状の凹みが形成されている。網部材30と濾過部材31との上端部は、フランジ部34の凹みに嵌合した状態で接着剤を介して固定される。この状態で、ベンチュリ管35は、濾過部材31に差し込まれ、濾過部材31の内周面(流通方向下流側に位置する折目31A)に隙間を挟んで対向配置される。また、ベンチュリ管35の下端は、濾過部材31の上下方向中央よりも上方に配置される。
【0043】
(取付部材)
図3に示すように、網部材30と濾過部材31との下端部(他端部)は、取付部材33に固定されている。取付部材33は、プレート部36と、内部支持体37と、を有している。プレート部36と内部支持体37とは一体に形成されている。
【0044】
プレート部36は底面から見て円環状に形成され、内部支持体37はプレート部36から上方に膨出する略ドーム状に形成されている。プレート部36の外径は、フィルタプレート25の差込穴25Aの直径よりも小さく、且つ網部材30の外径よりも僅かに大きく形成されている。内部支持体37は、プレート部36と同一軸上に配置され、濾過部材31に挿入可能な外径に形成されている。内部支持体37は、下方から上方に向かって外径を徐々に小さくするように形成されている。
【0045】
図3および
図4に示すように、内部支持体37の上部には、複数の接続アーム37Aが径方向外側に向かって延設されている。複数の接続アーム37Aは、内部支持体37の周方向に略等間隔に配置されている。各接続アーム37Aの先端部には、円環状の接続帯37Bが接続されている。接続帯37Bの表面には、複数の溝が形成されている。
【0046】
図3に示すように、プレート部36の上面には、網部材30と濾過部材31との下端部を嵌合させるための円環状の凹みが形成されている。網部材30と濾過部材31との下端部は、プレート部36の凹みに嵌合した状態で接着剤を介して固定される。また、内部支持体37は濾過部材31内に差し込まれ、接続帯37Bは表面の溝に塗布した接着剤を介して濾過部材31の内周面(流通方向下流側に位置する折目31A)に固定される。この状態で、内部支持体37は、濾過部材31の内周面(流通方向下流側に位置する折目31A)に隙間を挟んで対向配置される。詳細には、内部支持体37は上方が先細る形状であるため、内部支持体37の外周面と濾過部材31の内周面との間隔は、下方から上方に向かって徐々に大きく(広く)なる。また、内部支持体37の上端は、濾過部材31の上下方向中央付近に配置される。したがって、内部支持体37の上端は、ベンチュリ管35の下端から下方に離れており、ベンチュリ管35の下端との間に空間を形成する。
【0047】
[集塵フィルタ部の組立]
次に、
図3を参照して、集塵フィルタ部24の組立手順について説明する。集塵フィルタ部24は、2つのフィルタユニット26をフィルタプレート25に支持させることで構成される。
【0048】
具体的には、各フィルタユニット26は、フィルタプレート25の上面から差込穴25Aに差し込まれる。各フィルタユニット26のフランジ部34が差込穴25Aの周縁部に当接することで、各フィルタユニット26はフィルタプレート25に吊り下げられた状態で支持される。以上によって、集塵フィルタ部24の組立作業が完了する。
【0049】
[集塵フィルタ部の取付]
次に、
図1および
図3を参照して、集塵フィルタ部24を筐体17に取り付ける手順について説明する。なお、3つの集塵フィルタ部24の取付手順は同一であるため、以下、1つの集塵フィルタ部24の取付手順について説明する。
【0050】
集塵フィルタ部24は、筐体17のフィルタ点検開口部17AからダーティルームR1内に配置される(
図1参照)。具体的には、作業者は、フィルタプレート25の一対のガイド片25Bを仕切板18のガイドレール対に載せた状態で、集塵フィルタ部24をダーティルームR1内に押し込む。すると、
図3に示すように、各フィルタユニット26の開口部34Aは、仕切板18の仕切開口部18Aに対応して配置される。次に、作業者は、フィルタプレート25の前側に開いた穴に蝶ボルトB1を差し込み、蝶ボルトB1の先端部を仕切板18に形成された雌ネジ(図示せず)に螺合させる。蝶ボルトB1の螺合に伴って集塵フィルタ部24は僅かに引き上げられ、フィルタユニット26の開口部34Aの周縁部は、シール部材Sを押し潰しながら仕切開口部18Aの周縁部に密着する。
【0051】
以上によって、集塵フィルタ部24は、ダーティルームR1内の所定位置に固定され、仕切板18に吊り下げられた状態で支持される。また、この状態で、各フィルタユニット26の開口部34Aは、仕切板18の仕切開口部18Aを介してクリーンルームR2に露出している(
図1参照)。
【0052】
[除塵部]
図1ないし
図3に示すように、除塵部12は、ヘッダタンク41と、3つのブローチューブ42と、3つの電磁弁43と、を備えている。除塵部12は、フィルタユニット26に向かって圧縮空気を吹き付けてフィルタユニット26に捕集された塵埃を除塵する(以下、「逆洗」ともいう。)機能を有している。
【0053】
図1に示すように、ヘッダタンク41は、クリーンルームR2内で左右方向に延びた円筒状のパイプである。ヘッダタンク41は、仕切開口部18Aを避けるように仕切板18上の前側に配置されている。ヘッダタンク41の右端部は、筐体17の外部に延びており、工場に備えられたコンプレッサ(図示せず)に連通している。
【0054】
3つのブローチューブ42は、3つの電磁弁43を介してヘッダタンク41に接続されている。3つのブローチューブ42は、左右方向に3列並んだ仕切開口部18Aに対応する位置で、ヘッダタンク41から後方に延設されている。各々のブローチューブ42は、前後方向に並んだ2つの仕切開口部18A(フィルタユニット26)を横断するように配置されている。各々のブローチューブ42の下面には、コンプレッサから供給された圧縮空気を吹き出すための2つの吹出し口42Aが形成されている(
図3参照)。2つの吹出し口42Aは、前後方向に並んだ2つの仕切開口部18A(の略中心)に対応した位置に開口している(
図3参照)。
【0055】
[集塵動作]
次に、
図1ないし
図3を参照して、集塵装置1の集塵動作について説明する。
【0056】
まず、操作者は、操作入力部23AのON/OFFボタンを押し下げて、帯電部10や集塵部11(表示/入力部23B、差圧計23Eおよび排気ファン22等)を起動させる(動作開始の準備状態にする)。なお、ON/OFFボタンの押下によって帯電部10が起動した後に、集塵部11が起動する設定としてもよい。また、操作者による操作入力部23Aの操作に代えて、外部入出力部23Dが、レーザ加工機等の稼働信号を受信したことをトリガとして帯電部10等を起動させてもよい。
【0057】
次に、制御部23は、帯電部10の高圧電源14を制御して荷電極13に高電圧を印加させ、放電極と接地極との間にコロナ放電を発生させる。また、制御部23は、集塵部11の排気ファン22を回転させる。すると、吸気口20から排気口21に向かう気流が形成されるため、含塵空気が外部から第1吸気ダクト15を通過して帯電部10内に取り込まれる(
図1参照)。含塵空気中の塵埃は、帯電部10内を通過する間にコロナ放電によって帯電し、互いに引き合って凝集して粗大化する(粒径にして20倍以上に粗大化する)。
【0058】
帯電・粗大化した塵埃を含む含塵空気は、帯電部10内から第2吸気ダクト16を通過して集塵部11のダーティルームR1内に取り込まれる(
図1参照)。含塵空気に含まれる帯電・粗大化した塵埃は、集塵フィルタ部24の各フィルタユニット26を通過する間に除去される(
図3の太矢印参照)。具体的には、帯電・粗大化した塵埃は、静電気力(クーロン力)によって網部材30に付着する。網部材30の網目を通過した含塵空気は、濾過部材31を通過する間に塵埃を濾過されて清浄空気になる。
【0059】
網部材30は、濾過部材31による濾過に先立って、帯電・粗大化した塵埃を集塵し、堆積させた塵埃同士を凝集させて更に粗大化を促進させる機能を有している。例えば、含塵空気の連続吸引に伴って堆積した塵埃が崩れて網部材30を通過したとしても、粗大化した塵埃は、濾過部材31の表面に付着し、内側には進入することができない。このように、網部材30が無い場合に比べて、濾過部材31の目詰りを抑制することができる。なお、後述する逆洗によって除塵された塵埃が濾過部材31に再付着した場合も、同様の理由により、濾過部材31の目詰りを抑制することができる。
【0060】
清浄空気は、フィルタユニット26の開口部34AからクリーンルームR2内に排気され、クリーンルームR2を通って排気口21から外部に排気される(
図1参照)。
【0061】
以上のように、濾過部材31による塵埃の濾過に先立って、網部材30が帯電・粗大化した塵埃を大まかに取り除くため、塵埃の付着・堆積による濾過部材31の負荷を減らすことができる。なお、操作者が操作入力部23AのON/OFFボタンを押し下げた場合(外部入出力部23Dがレーザ加工機等の停止信号を受信した場合)、制御部23は、帯電部10や集塵部11等を停止させる。これにより、集塵装置1の集塵動作が停止する。この際、起動時とは逆に、集塵部11が停止した後に、帯電部10が停止する設定としてもよい。また、フィルタユニット26によって捕集されずに落下した塵埃は、バケット19内に堆積する。
【0062】
[除塵動作]
次に、
図5を参照して、集塵装置1の除塵動作(逆洗動作)について説明する。
図5はフィルタユニット26および除塵部12を示す断面図(逆洗時)である。
【0063】
制御部23の記憶装置には、フィルタユニット26の圧力損失(ダーティルームR1とクリーンルームR2との差圧)の閾値が予め記憶されている。制御部23は、上記の閾値と差圧計23Eの検出値とを比較し、検出値が閾値を越えたと判断した場合に除塵動作を実行する。また、制御部23は、3つの集塵フィルタ部24を1つずつ順番に除塵動作を行う。なお、除塵動作の実行タイミングは、上記に限らず、例えば、集塵装置1が停止した場合に除塵動作を実行してもよいし、予め時計/タイマ23Cで設定したタイミングで除塵動作を実行してもよい。なお、差圧の閾値やタイマの時間(間隔)等は、表示/入力部23Bによって操作者が事前に設定する。
【0064】
また、除塵動作を行う場合、制御部23は、集塵部11の排気ファン22を停止させる。このように、除塵動作は、排気ファン22を停止させて含塵空気の吸引を止めた状態で行うことが好ましいが、これに限らず、排気ファン22を停止させずに含塵空気の吸引を継続したまま行ってもよい。この場合は、排気ファン22の回転数を通常時(集塵動作時)よりも低下させてもよい。
【0065】
集塵部11が起動すると、電磁弁43は、制御部23に制御されて閉弁される。すると、コンプレッサに接続されたヘッダタンク41に圧縮空気が蓄えられる。
【0066】
制御部23は、検出値が閾値を越えたと判断すると、電磁弁43は、制御部23に制御されて開弁される。すると、ヘッダタンク41に蓄えられた圧縮空気は、ブローチューブ42を通って、2つの吹出し口42Aから2つのフィルタユニット26の開口部34Aに向けて噴出される(
図5の一点鎖線参照)。
【0067】
圧縮空気は、開口部34Aからベンチュリ管35を流通して増速され、濾過部材31の内側に流れ込む(
図5の太矢印参照)。この際、濾過部材31の下部において内部支持体37の外周面と濾過部材31の内周面との間隔が上方から下方に向かって徐々狭まっているため、濾過部材31の内側に流れ込んだ圧縮空気は、流速を大きく落とすことなく濾過部材31の下部まで流れて行く。
【0068】
濾過部材31の内側に流れ込んだ圧縮空気は、濾過部材31から網部材30に向かって通過する(
図5の太矢印参照)。濾過部材31と網部材30に対して圧縮空気が逆流することで、濾過部材31および網部材30付着した塵埃が払い落とされる。このように、網部材30および濾過部材31に捕集された塵埃は、開口部34Aを通じて流通方向下流側から上流側に吹き出された圧縮空気によって除塵される。なお、払い落とされた塵埃は集塵部11の下部に備えられたバケット19内に落下し、堆積した塵埃は適宜廃棄される。
【0069】
なお、制御部23は、圧縮空気の噴射開始(電磁弁43の開弁)から所定時間経過後(数秒後)、電磁弁43を閉弁する制御を行う。これにより、ヘッダタンク41に再び圧縮空気が蓄えられる。
【0070】
以上説明した第1実施形態に係るフィルタユニット26によれば、含塵空気中の帯電した塵埃を網部材30によって捕集することができるため、網部材30を通過した含塵空気中の塵埃を減少させることができる。これにより、濾過部材31によって濾過すべき塵埃が少なくなるため、濾過部材31の目詰りを抑制することができる。また、清浄空気を排出する開口部34Aからフィルタユニット26内に向かって圧縮空気を吹き出すことで、逆流した空気が濾過部材31と網部材30とを通過し、濾過部材31と網部材30とに付着した塵埃を同時期に払い落すことができる。つまり、網部材30と濾過部材31との除塵(逆洗)を同時期に行うことができる。
【0071】
また、第1実施形態に係るフィルタユニット26によれば、濾過部材31が山折りと谷折りを繰り返したプリーツ状に形成されているため、折目の無い板状である場合に比べて、表面積(濾過面積)を増加させることができる。これにより、濾過部材31は長期間に亘って塵埃を濾過し続けることができる(濾過部材31の長寿命化を図ることができる)。
【0072】
また、網部材30と濾過部材31の折目31Aとの間には隙間が形成されているため、逆洗時に濾過部材31が外側(流通方向上流側)に膨れても、その折目31Aが網部材30に接触することを抑制することができる。
【0073】
なお、網部材30と濾過部材31との隙間は、濾過部材31の長さに比例して調整することもできる。例えば、濾過部材31の長さが500mmで網部材30との隙間が5mmである場合、濾過部材31の長さが1000mmにした場合には、網部材30との隙間は10mmになる。なお、濾過部材31を短くした場合には当該隙間も狭くなる。これにより、逆洗時に濾過部材31が膨れても、網部材30との接触を抑制できる。
【0074】
さらに、濾過部材31は、上下方向中央部分で内部支持体37(各接続アーム37Aおよび接続帯37B)に固定されているため、逆洗時に濾過部材31が外側に大きく膨らむことを抑制することができる。なお、接続アーム37Aおよび接続帯37Bが、上下方向に複数設けられ、上下方向に複数箇所で濾過部材31と接続されていてもよい。
【0075】
また、第1実施形態に係るフィルタユニット26によれば、固定部材32と取付部材33とを用いて網部材30と濾過部材31とをユニット化することができる。これにより、網部材30と濾過部材31とをまとめて集塵装置1に着脱することができるため、網部材30と濾過部材31とを別々に集塵装置1に着脱する場合に比べて、着脱作業を容易に行うことができる。
【0076】
また、第1実施形態に係るフィルタユニット26によれば、網部材30が濾過部材31の外周を囲むように配置されているため、網部材30が周方向外側から内側に向かう含塵空気中の塵埃を満遍なく捕集することができる。これにより、濾過部材31において目詰りが偏って発生することが抑制され、濾過部材31の負荷増加や摩耗を周方向に亘って略均一にすることができる。
【0077】
また、第1実施形態に係るフィルタユニット26によれば、網部材30を導電性材料(例えば、金属製)で形成することで、帯電した塵埃と網部材30との間の電位差から生ずる静電気力(クーロン力)を作用させることができ、網部材30に帯電した塵埃を捕集することができる。また、網部材30は静電気力によって塵埃を引き寄せて付着させるため、塵埃を衝突させて集塵する慣性集塵に比べて、網部材30の目開きを大きく設定することができる。これにより、網部材30の目詰りを抑制することができる。
【0078】
また、第1実施形態に係る集塵装置1によれば、先に網部材30で塵埃を捕集することができるため、後で塵埃を濾過する濾過部材31の目詰りを抑制することができる。その結果、フィルタユニット26の交換頻度を少なくすることができる。また、清浄空気を排出する開口部34Aからフィルタユニット26内に向かって圧縮空気を吹き出すことで、濾過部材31と網部材30とに付着した塵埃を同時期に払い落すことができる。
【0079】
[第1実施形態の第1変形例]
以上説明した第1実施形態に係るフィルタユニット26では、網部材30が上部から下部まで略同一直径となる円筒状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。
図6に示すように、第1変形例に係るフィルタユニット26では、網部材38が、上下両端部(軸方向両端部)から中央部に向かって徐々に径方向外側に膨らむような形状となっている。したがって、網部材38と濾過部材31との隙間は、上下両側から中央に向かって徐々に大きく(広く)なるように形成されている。なお、本明細書において、網部材38や濾過部材31の「上下方向(軸方向)中央部」とは、厳密に中央であることを要求するものではなく、上下両端部(軸方向両端部)を除いた上下両端部の間に挟まれた中間領域を意味する。したがって、濾過部材31が径方向外側に膨らみ易い位置に対応して、網部材38で最大径となる位置を調整することもできる。例えば、第1実施形態に係るフィルタユニット26の濾過部材31であれば、フランジ部34と内部支持体37の接続アーム37A(接続帯37B)との間において網部材38が最大径となるように形成することが好ましい。
【0080】
以上説明した第1実施形態の第1変形例に係るフィルタユニット26によれば、網部材30が上下方向中央部で膨らんだ形状であるため、逆洗時において濾過部材31の上下方向中央部で外側に膨らむことを許容することができる。これにより、外側に膨らみ易い濾過部材31の上下方向中央部が網部材30に接触することを抑制することができる。
【0081】
[第1実施形態の第2変形例]
また、第1実施形態に係るフィルタユニット26では、濾過部材31の内側において、ベンチュリ管35と内部支持体37との間が空間になっているため、濾過部材31は、この空間に対応する位置で径方向外側に膨らみ易かった。そこで、
図7に示すように、第2変形例に係るフィルタユニット26では、濾過部材31の膨らみ易い部分に、濾過部材31の外周面に巻き付けられるベルト31Bが設けられている。ベルト31Bは、例えば、ステンレス等の金属や合成樹脂等で形成されている。なお、
図7では、濾過部材31およびベルト31Bを示すために、略半周分の網部材30を除去した状態を示している。
【0082】
以上説明した第1実施形態の第1変形例に係るフィルタユニット26によれば、逆洗時において濾過部材31の膨らみ易い部分をベルト31Bで押さえることができる。さらに、ベルト31Bは、濾過部材31と網部材30との隙間を維持するスペーサとしての機能を兼ね備えていることが好ましい。
【0083】
[第1実施形態の第3変形例]
以上説明した第1実施形態に係る集塵装置1では、網部材30が、接地されていなかったが、接地されていてもよい。例えば、網部材30は、集塵装置1に備えられたアースに電気的に接続されていてもよい。具体的な接地方法としては、例えば、網部材30と仕切板18等の金属部分とを金属ワイヤ(図示せず)で繋いでもよい。また、例えば、網部材30をフィルタプレート25に金属製のボルトで固定してもよい。さらに、金属フィラー等の導電性物質を含む導電性材料をフランジ部34の裏面の凹みに塗布し、網部材30をフランジ部34の凹みに嵌合させてもよい。この場合、集塵フィルタ部24を組み立てると、導電性材料は、網部材30とフィルタプレート25に接触し、網部材30は、フィルタプレート25等を介してアースに接続される。なお、アースとは、集塵装置1全体の接地極の他、筐体17(の金属部分)、帯電部10に備えられた接地極等を指しており、網部材30はこれらの何れかに接続されていればよい。
【0084】
以上説明した第1実施形態の第3変形例に係る集塵装置1によれば、網部材30を接地して蓄積された電荷を除去することができるため、帯電した塵埃と網部材30との間に安定した電位差を生じさせて静電気力(クーロン力)を安定して作用させることができる。
【0085】
[第1実施形態の第4変形例]
以上説明した第1実施形態の第3変形例に係る集塵装置1では、網部材30が常に接地されていたが、本発明はこれに限定されない。
図8および
図9に示すように、第4変形例に係る集塵装置1は、除塵部12が停止している場合に網部材30とアースとを電気的に接続し、除塵部12が動作している場合に網部材30とアースとの接続を解除する接地制御部45を更に備えている。
図8に示すように、接地制御部45は、固定部材32の開口部34Aに対向する位置に設けられた接地板46と、開口部34Aの内側に突き出すように設けられた回動板47と、を含んでいる。接地板46および回動板47は、それぞれ、例えば、ステンレス等の金属材料で略板状に形成されている。
【0086】
接地板46は、仕切板18に金属製のボルトで固定され、仕切板18を介してアースに電気的に接続されている。接地板46の先端部は、空気の流通を遮るように開口部34Aの中心に向かって斜め上方に屈曲している。回動板47は、フランジ部34の上面に配置され、フランジ部34の裏面の凹みに設けられた金属板(図示せず)と金属製のボルトでフランジ部34に共締めされている。これにより、網部材30と回動板47とは、金属板を介して電気的に接続される。回動板47は、回動軸47Aを中心に回動(揺動)する回動アーム47Bを有している。回動アーム47Bは、空気の流通を遮るように開口部34Aの中心に向かって延設されている。
【0087】
図8に示すように、除塵部12が停止している場合(集塵動作中)、回動板47の回動アーム47Bは、フィルタユニット26で塵埃を濾過された清浄空気に押し出されて回動軸47Aを中心に上方(一方)に回転して接地板46の屈曲した先端部に接触する。したがって、網部材30は、回動板47や接地板46等を介してアースに接続された状態になる。
【0088】
一方、
図9に示すように、除塵部12が動作している場合(除塵動作中)、回動板47の回動アーム47Bは、吹出し口42Aから吹き出された圧縮空気に押し出されて回動軸47Aを中心に下方(他方)に回転して接地板46から離間する。したがって、網部材30は、アースとの接続が切れた状態になる。
【0089】
以上説明した第1実施形態の第4変形例に係る集塵装置1によれば、除塵部12が停止している場合に網部材30を接地することで、帯電した塵埃を網部材30で安定して捕集することができる。一方で、除塵部12が動作している場合に網部材30の接地を解除することで、帯電した塵埃と網部材30との間の静電気力を弱めることができる。これにより、逆流した空気(圧縮空気)によって網部材30に付着した塵埃を容易に払い落とすことができる。つまり、除塵部12による除塵効果を向上させることができる。
【0090】
また、第4変形例に係る集塵装置1では、清浄空気と圧縮空気とが流通する領域(開口部34A)に回動板47を回動可能に設け、清浄空気と圧縮空気との流通によって回動板47を揺動させる構成とした。この構成によれば、清浄空気または圧縮空気が開口部34Aを通過することで、回動板47が接地板46を介して接地される状態と、回動板47が接地板46から離れて接地解除される状態とを切り替えることができる。これにより、例えば、回動板47の接触状態を切り替えるための動力や制御回路等を別途備える必要が無く、簡単な構造で網部材30の接地状態を切り替えることができる。
【0091】
なお、接地制御部45は、開口部34Aを通る空気を利用して回動板47を揺動させる構成であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、制御部23が駆動制御するモータ(図示せず)を設け、このモータで回動アーム47Bを回動軸47A周りに回動させてもよい。他にも、例えば、網部材30とアースとの導通経路上に、導通と遮断とを切り替えるスイッチ(図示せず)を設け、制御部23が、除塵部12の動作と停止とに基づいてスイッチの切り替え制御をしてもよい。
【0092】
なお、第1実施形態に係るフィルタユニット26は、その軸を上下方向に延ばした起立姿勢で集塵装置1に取り付けられていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、フィルタユニット26は、その軸を前後方向または左右方向に延ばした横臥姿勢で集塵装置1に取り付けられてもよいし、斜めに傾いた姿勢で集塵装置1に取り付けられてもよい。
【0093】
また、第1実施形態に係るフィルタユニット26(網部材30、濾過部材31)は、円筒状に形成されていたが、これに限らず、三角形や四角形等の多角形状断面を有する角筒状に形成されていてもよい(図示せず)。
【0094】
[第2実施形態]
図10ないし
図14を参照して、第2実施形態に係る集塵装置2について説明する。
図10は集塵装置2を示す斜視図である。
図11は集塵装置2を示す側面図である。
図12はフィルタユニット56を示す斜視図である。
図13は、
図12のXIII-XIII断面図である。
図14はフィルタユニット56を示す断面図(逆洗時)である。なお、以下の説明では、第1実施形態(第1および第2変形例を含む。)に係る集塵装置1と同様の構成については同一の符号を付し、同様の説明は省略する。
【0095】
図10および
図11に示すように、集塵装置2は、帯電部10と、集塵部50と、除塵部12と、を備えている。
【0096】
[集塵部]
集塵部50は、上下方向に長い略直方体状の筐体51を備えている。筐体51には、内部空間を前後方向に二分割する金属製の仕切板52が設けられている。仕切板52は、略垂直に立設された縦仕切板52Vと、縦仕切板52Vの上端部から上斜め後方に向かって傾斜した傾斜仕切板52Sと、を有している。筐体51の内部空間は、仕切板52よって後方のダーティルームR1と前方のクリーンルームR2とに仕切られている。なお、筐体51の前面には、クリーンルームR2を開放するためのフィルタ点検扉51Aが設けられている。また、
図10および
図11では、筐体51の内部を示すために、筐体51を仮想線(二点鎖線)で示している。
【0097】
縦仕切板52Vには、上下方向に長い略長方形状の仕切開口部(図示せず)が4つ形成されている。4つの仕切開口部は、2行2列の格子状に配置されている。また、各々の仕切開口部には、平板形状の開閉板53が開閉可能に取り付けられている。各々の開閉板53の中央部には、上下方向に細長いスリット開口部53Aが形成されている。
【0098】
筐体51の上部の右側面には、ダーティルームR1に連通する吸気口20が開口しており、吸気口20には第2吸気ダクト16を介して帯電部10が接続されている。筐体51の上面には、排気ファン22を内蔵した排気部54が設けられている。排気部54の天面には、排気ダクト(図示せず)が接続された排気口21が開口している。排気部54は、クリーンルームR2と排気口21(排気ダクト)とを連通させている。
【0099】
集塵部50は、制御部23と、制御部23に接続された操作入力部23A等(
図2参照)と、4つのフィルタユニット56と、を備えている。なお、4つのフィルタユニット56は同一構造であるため、以下、1つのフィルタユニット56について説明する。
【0100】
<フィルタユニット>
図12に示すように、フィルタユニット56は、全体として、前後に長く左右に扁平な略直方体状に形成されている。
図12および
図13に示すように、フィルタユニット56は、一対の網部材60と、一対の濾過部材61と、固定部材62と、取付部材63と、を備えている。
【0101】
(網部材、濾過部材)
図12および
図13に示すように、各々の網部材60は、板状に形成された金網である。
図13に示すように、各々の濾過部材61は、側方から見て略長方形状に形成され、不織布に上下方向に延びた複数の折目61Aを付けたプリーツ状に形成されている。一対の濾過部材61は、空隙Gを挟んで対向するように配置されている。一対の網部材60は、一対の濾過部材61を挟んで対向するように配置されている。一対の濾過部材61(流通方向上流側に位置する折目61A)は、一対の網部材60の内側面(流通方向下流側)に隙間(数mm)を挟んで対向配置されている。
【0102】
(固定部材)
図12および
図13に示すように、一対の網部材60と一対の濾過部材61との前端部(一端部)は、固定部材62に固定されている。
図13に示すように、固定部材62の開口部64Aは、一対の濾過部材61の空隙Gに対応して形成されている。固定部材62は、フランジ部64と、棒状部65と、を含んでいる。
【0103】
フランジ部64は、正面から見て開口部64Aから外側に広がる鍔状に形成されている。フランジ部64は、正面から見て、縦仕切板52Vに開口した仕切開口部よりも大きな略長方形状に形成されている。フランジ部64の背面には、網部材60と濾過部材61との前端部を嵌合させるための矩形状の凹みが形成されている。棒状部65は、フランジ部64の上下両端部から後方に延びた一対の支持アーム64Bの間に架設されている。棒状部65は、略円柱状に形成され、一対の濾過部材61の空隙Gに配置されている。
【0104】
(取付部材)
図12および
図13に示すように、一対の網部材60と一対の濾過部材61との後端部(他端部)および上下両端部は、取付部材63に固定されている。詳細には、取付部材63は、左右一対の接合部材63Aで構成されている。接合部材63Aは、網部材60および濾過部材61の端部(前端部を除く。)を覆うように形成された合成樹脂製の枠体である。接合部材63Aは、側方から見て前方を開口したコ字(U字)状に形成されている。
【0105】
1つの接合部材63Aは、1つの網部材60と1つの濾過部材61と一体となるようにインサート成型されている。例えば、金型(図示せず)に網部材60および濾過部材61を装填した後に、金型に合成樹脂を注入して接合部材63Aを成形する。これにより、1つの網部材60と1つの濾過部材61が、接合部材63Aで固定され、フィルタユニット56の右半分または左半分が形成される。
【0106】
半分形成された一対のフィルタユニット56は、一対の濾過部材61を向き合わせた姿勢で接続された後、一対の濾過部材61等をフランジ部64の凹みに嵌め込んで接着される。以上のように、フィルタユニット56が組み立てられる。
【0107】
[除塵部]
図10および
図11に示すように、除塵部12は、コンプレッサに接続されたヘッダタンク41と、ヘッダタンク41に2つの電磁弁43を介して接続された2つのブローチューブ42と、を備えている。
【0108】
ヘッダタンク41は、クリーンルームR2内の上部で左右方向に延設されている。2つのブローチューブ42は、左右方向に2列並んだフィルタユニット56に対応する位置で、ヘッダタンク41からクリーンルームR2の床面まで上下方向に延設されている。ブローチューブ42は、クリーンルームR2の床面等に着脱可能に取り付けられている。各々のブローチューブ42の後面には、2つの吹出し口42Aが、上下方向に並んだ2つの開口部64A(スリット開口部53A)に対応した位置に開口している(
図13参照)。
【0109】
[フィルタユニットの取付]
次に、フィルタユニット56を筐体51に取り付ける手順について説明する。なお、4つのフィルタユニット56の取付手順は同一であるため、以下、1つのフィルタユニット56の取付手順について説明する。
【0110】
まず、作業者は、フィルタ点検扉51Aを開いてクリーンルームR2を開放した後、ブローチューブ42を取り外す。続いて、作業者は、開閉板53を開いて仕切開口部を開口させる。作業者は、固定部材62を手前にしたフィルタユニット56を、仕切開口部からダーティルームR1内に挿入する。次に、作業者は、開閉板53を閉じ、フランジ部64を開閉板53と縦仕切板52Vとの間に挟んで固定する。なお、ダーティルームR1には、挿入されたフィルタユニット56を支持するための支持フレーム(図示せず)が設けられている。
【0111】
以上によって、フィルタユニット56は、ダーティルームR1内の所定位置に固定される(
図10および
図11参照)。また、この状態で、フィルタユニット56の開口部64Aは、開閉板53のスリット開口部53Aを介してクリーンルームR2に露出している。なお、作業者は、フィルタユニット56を取り付けた後、ブローチューブ42を取り付け、フィルタ点検扉51Aを閉じる。
【0112】
[集塵動作]
次に、
図10ないし
図13を参照して、集塵装置2の集塵動作について簡単に説明する。
【0113】
帯電部10や集塵部11が起動し、集塵動作が開始されると、含塵空気中の塵埃は、帯電部10によって帯電されて粗大化した後、集塵部50のダーティルームR1内に取り込まれる(
図10参照)。ダーティルームR1内に取り込まれた含塵空気は、筐体51の内面とフィルタユニット56の間、または左右に隣接するフィルタユニット56の間を下降気流となって流れる(
図10参照)。
【0114】
含塵空気は、フィルタユニット56の左右両側から中央に向かって通過する(
図12参照)。含塵空気に含まれる帯電・粗大化した塵埃は、フィルタユニット56を左右両側から中央(空隙G)に向かって通過する間に除去される(
図13参照)。具体的には、帯電・粗大化した塵埃は静電気力で一対の網部材60に付着し、一対の網部材60を通過した含塵空気は一対の濾過部材61に濾過されて清浄空気になる。
【0115】
清浄空気は、一対の濾過部材61の空隙Gで合流し、開口部64A(スリット開口部53A)からクリーンルームR2内に排気される(
図13参照)。清浄空気は、上昇気流となってクリーンルームR2内を流れ、排気部54を通って排気口21から外部に排気される(
図11参照)。
【0116】
以上のように、濾過部材61による塵埃の濾過に先立って、網部材60が帯電・粗大化した塵埃を大まかに取り除くため、塵埃の付着・堆積による濾過部材61の負荷を減らすことができる。なお、フィルタユニット56によって捕集されずに落下した塵埃は、バケット19内に堆積する。
【0117】
[除塵動作]
次に、
図14を参照して、集塵装置2の除塵動作(逆洗動作)について簡単に説明する。
【0118】
制御部23が差圧計23Eの検出値が閾値を越えたと判断すると、電磁弁43は制御部23に制御されて開弁される。すると、ヘッダタンク41に蓄えられた圧縮空気は、ブローチューブ42を通って、2つの吹出し口42Aから2つのフィルタユニット56の開口部64Aに向けて噴出される(
図14の破線参照)。
【0119】
噴出された圧縮空気は、一対の濾過部材61の空隙Gに配置された棒状部65に衝突して拡散される。空隙Gで拡散した圧縮空気は、一対の濾過部材61から一対の網部材60に向かって逆流し、各濾過部材61および各網部材60付着した塵埃を払い落とす。なお、払い落とされた塵埃はバケット19内に落下し、堆積した塵埃は適宜廃棄される。
【0120】
以上説明した第2実施形態に係るフィルタユニット56によれば、一対の濾過部材61が一対の網部材60の間に配置されているため、網部材60が塵埃を捕集した後の含塵空気を濾過部材61に通過させながら濾過することができる。これにより、網部材60を通過した含塵空気中の塵埃を減少させることができ、濾過部材61の目詰りを抑制することができる。また、清浄空気を排出する開口部64Aからフィルタユニット56内に向かって圧縮空気を吹き出すことで、逆流した空気が一対の濾過部材61と一対の網部材60とを通過し、これらに付着した塵埃を同時期に払い落すことができる。
【0121】
また、第2実施形態に係るフィルタユニット56によれば、一対の網部材60の両側方から含塵空気を取り込むことができ、一対の網部材60および一対の濾過部材61によって大量の含塵空気から塵埃を取り除くことができる。
【0122】
[第2実施形態の変形例]
なお、以上説明した第2実施形態に係るフィルタユニット56では、網部材60が板状の金網であったが、本発明はこれに限定されない。
図15に示すように、網部材70は、濾過部材61の側面から上下両端部までを覆う箱状(略コ字(U字状)断面)に形成されていてもよい。つまり、網部材70の上下両側は、濾過部材61の上下両端面を覆うように折り曲げられている。また、網部材70の後側は、濾過部材61の後端面を覆うように折り曲げられている。この場合、一対の網部材70は、一対の濾過部材61の外側面、上下両端面および後端面に隙間を挟んで対向配置されている。
【0123】
また、
図15に示すように、取付部材73の一対の接合部材73Aは、第2実施形態の接合部材63Aよりも細く形成されており、網部材70の折り曲げた面の先端部に固定されている。これにより、接合部材73Aが網部材70の折り曲げた面を完全に覆うことがないため、網部材70の折り曲げた面を露出させることができる。また、除塵された塵埃が接合部材73A上に堆積することを抑制することもできる。また、逆洗によって除塵された塵埃は、網部材70の下端部から落下するため、除塵された塵埃が濾過部材61に再付着することを抑制することができる。その結果、濾過部材61の目詰りを防ぐことができる。
【0124】
なお、以上説明した網部材70のような構成は、第2実施形態(変形例を含む。)に係るフィルタユニット56に限らず、濾過部材の下端面が露出したフィルタユニットに適用することができる。例えば、網部材が、濾過部材の側面から下端部までを覆う断面略L字状に形成されてもよい。網部材は、板状の網部材を折り曲げたり、網部材を断面略L字状に編み込んだりする等、様々な方法で断面略L字状に形成することができる。この構成によれば、集塵動作時には濾過部材の下端面への塵埃の付着を抑えることができ、除塵動作時には除塵された塵埃をフィルタユニットの下端部周辺に堆積することなくバケット19へと落下させることができる。これにより、除塵された塵埃が濾過部材に再付着することが抑制され、その結果、濾過部材の目詰りを抑制することができる。
【0125】
なお、網部材70は、濾過部材61の外側面および上下両端面を覆い、濾過部材61の後端面を覆わない形状であってもよい。つまり、網部材70の後側は、折り曲げられていなくてもよい。この場合、接合部材73Aの後面は、網部材70と濾過部材61との後端部を覆うような形状であってもよい。
【0126】
なお、第2実施形態(変形例を含む。以下同じ。)に係るフィルタユニット56では、網部材60,70が、濾過部材61の側面に対して略平行に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。第2実施形態に係るフィルタユニット56に対し、第1実施形態の第1変形例に係るフィルタユニット26と同様の技術思想を適用し、網部材60,70が、上下両側および左右両側よりも中央領域で外側に膨らむように形成されてもよい(図示せず)。
【0127】
また、第2実施形態に係るフィルタユニット56に対し、第1実施形態の第2変形例に係るフィルタユニット26と同様の技術思想を適用し、逆洗時に濾過部材61の膨らみ易い部分にベルト(図示せず)を巻き付けてもよい。さらに、第2実施形態に係る集塵装置2に対し、第1実施形態の第3変形例または第4変形例に係る集塵装置1と同様の接地構造(図示せず)を適用してもよい。
【0128】
なお、第1および第2実施形態(各変形例を含む。以下同じ。)に係るフィルタユニット26,56では、網部材30,60,70として金網が用いられていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、網部材30,60,70は、パンチングメタル等、金属板に複数の穴を開けたものであってもよい。
【0129】
また、第1および第2実施形態に係るフィルタユニット26,56では、網部材30,60,70がステンレス製であったが、これに限らず、鉄やアルミ合金等の導電性を有する金属で形成されていてもよい。また、網部材30,60,70は、金属製に限らず、導電性樹脂やカーボン等の導電性を有する繊維を網状に形成したものでもよい。
【0130】
また、第1および第2実施形態に係るフィルタユニット26,56では、濾過部材31,61がプリーツ状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、濾過部材26,61は、折目のない1枚の厚い濾材で形成されていてもよいし、シート状の濾材を複数積層して形成されていてもよい(何れも図示せず)。
【0131】
また、第1および第2実施形態に係るフィルタユニット26,56では、濾過部材31,61が、網部材30,60,70の内周面に隙間を挟んで対向していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、逆洗時における濾過部材31,61の膨らみが小さい場合には、濾過部材31,61が網部材30,60,70の内面(流通方向下流側)に接触した状態で対向していてもよい。
【0132】
また、第1および第2実施形態に係るフィルタユニット26,56では、固定部材32,62が、網部材30,60および濾過部材31,61に固定されていたが、本発明はこれに限定されない。固定部材32,62は、網部材30,60および濾過部材31,61のうち少なくとも濾過部材31,61に固定されていればよい。網部材30,60は他の部材に固定されていてもよい。
【0133】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る集塵装置の一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明の技術は、金属や樹脂等の加工機から発生する微粒子を集塵するための集塵装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0135】
1,2 集塵装置
10 帯電部
11,50 集塵部
12 除塵部
26,56 フィルタユニット
30,60,70 網部材
31,61 濾過部材
32,62 固定部材
34A,64A 開口部
45 接地制御部
46 接地板
47 回動板