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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】補強要素付き凍結プローブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/02 20060101AFI20240422BHJP
【FI】
A61B18/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022205250
(22)【出願日】2022-12-22
(62)【分割の表示】P 2021517650の分割
【原出願日】2019-11-01
(65)【公開番号】P2023024647
(43)【公開日】2023-02-16
【審査請求日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】62/754,352
(32)【優先日】2018-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/823,366
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】303039785
【氏名又は名称】バイオコンパティブルズ ユーケー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ラマディアニ、サティシュ
(72)【発明者】
【氏名】トゥルマー、ドロール
(72)【発明者】
【氏名】ブライウィーズ、モーデチェイ
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/350536(US,A1)
【文献】国際公開第2005/000106(WO,A2)
【文献】特表平07-501240(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0079867(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0264920(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結プローブにおいて、
遠位端及び近位端を有する長尺状シャフトと、
前記長尺状シャフトの前記遠位端にある作用ヘッドであって、前記作用ヘッドは膨張チャンバーを含み、かつ、前記作用ヘッドに接触する組織をアブレーションするように構成された前記作用ヘッドとを備え、
前記長尺状シャフトは、
前記膨張チャンバーに高圧ガスを供給するように構成された第1の通路であって、前記第1の通路の遠位端でジュールトムソンオリフィスに終端する前記第1の通路と、
前記膨張チャンバーからガスを排出するための第2の通路であって、前記第1の通路を囲むように同軸に配置される第2の通路と、
前記第1の通路及び前記第2の通路を囲むように同軸に配置される真空チャンバーと、を含み、
前記凍結プローブは、前記長尺状シャフトの前記遠位端側に配置されて前記長尺状シャフトの撓曲を防止するように構成された長尺状補強要素をさらに備え、
前記長尺状補強要素は、把持部を備え、前記把持部は、前記把持部が前記真空チャンバーの壁から周方向に間隔をあけて配置されることによって前記把持部と前記真空チャンバーの壁との間に断熱性空隙を形成するように前記長尺状シャフトの外周囲に配置されており、且つ、前記長尺状シャフトの一部によって前記作用ヘッドから間隔をあけて配置され、前記作用ヘッドが組織をアブレーションするとき、前記把持部がアブレーションされる組織から間隔をあけて配置されるように、前記長尺状シャフトに沿って配置される凍結プローブ。
【請求項2】
前記長尺状シャフトの横断面の直径は、0.9~2.0mmである、請求項1に記載の凍結プローブ。
【請求項3】
前記長尺状シャフト及び前記作用ヘッドは合わせて、前記長尺状補強要素を超えて遠位方向に最大100mm延びる、請求項1に記載の凍結プローブ。
【請求項4】
前記長尺状補強要素は、前記長尺状シャフトの外周囲に同軸に配置される、請求項1に記載の凍結プローブ。
【請求項5】
前記第1の通路と前記第2の通路との間の熱エネルギーの交換からなる1個の熱交換構成をさらに備え、前記第1の通路及び前記第2の通路は、前記長尺状シャフト内に直線的且つ同心に配置される、請求項1に記載の凍結プローブ。
【請求項6】
前記長尺状シャフトの横断面の直径は、1.2mmである、請求項2に記載の凍結プローブ。
【請求項7】
前記把持部が前記長尺状シャフトと連続するように前記把持部から延びるテイル部をさらに備える、請求項1に記載の凍結プローブ。
【請求項8】
前記長尺状シャフトは前記第1の通路を囲んでおり、前記第1の通路は注入管と同じ長さをもって延在しており、前記第2の通路は、前記作用ヘッド内に延びる排出管と同じ長さをもって延在しており、前記真空チャンバーが前記長尺状シャフトの延長として形成されかつ前記長尺状シャフトと同一直径を有するよう、前記真空チャンバーは、前記真空チャンバーの外周壁によって外部に対して区切られており且つ前記排出管の壁によって内部に対して区切られている、請求項1に記載の凍結プローブ。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の凍結プローブと、凍結流体源と、前記凍結プローブへの凍結流体の送達を制御する制御部とを備える、凍結手術システム。
【請求項10】
前記第1の通路と前記第2の通路との間の熱エネルギーの交換からなる1個の熱交換構成をさらに備え、前記第1の通路及び前記第2の通路は、前記長尺状シャフト内に直線的且つ同心に配置される、請求項9に記載の凍結手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結アブレーションで使用するための凍結プローブ及び凍結アブレーションのためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
凍結手術中、外科医は、1つ以上の凍結プローブを配備して組織を凍結及び解凍することによって患者の解剖学的構造の標的部位を切除する。一例では、凍結プローブは、ジュールトムソン効果を使用して、プローブ尖端部の冷却又は加熱を行う。そのような場合には、凍結プローブ内の凍結流体が高圧から低圧に膨張すると、装置の尖端は、この尖端付近の組織を凍結切除するのに必要な温度以下の温度に冷却される。膨張した凍結流体と凍結プローブの外壁との間の熱伝達によって尖端の周囲の組織内に「アイスボール(ice ball、氷結領域)」が形成され、組織の凍結アブレーションが行われる。
【0003】
凍結プローブは、経皮的に配備される針の形状を有し得る。一般的な凍結アブレーション技術は、複数の凍結ニードルを組み合わせて使用し、それぞれを個別に制御して予め計画された3次元切除領域を凍結アブレーションする。このような凍結プローブのアレイを使用すると、切除領域の形状を制御することが可能になるとともに、アブレーションされる組織の寸法、形状、及び位置に一致する方法で形成されたアイスボールの正確な三次元配置が可能になる。しかしながら、この手法の欠点は、複数の凍結プローブが導入されるため、作業領域が混雑するにつれて、それらの制御と処理が困難になる可能性があることである。市販の凍結プローブは、配置を容易にするために直線状又は湾曲状のシャフトで提供される。
【0004】
凍結針のシャフトの長さは、多くの場合、約150~250mmである。このシャフトの長さの結果として、生体内(in situ)におけるシャフトの回転モーメントは比較的大きく、組織内における位置決めの容易性や尖端への横方向の力に影響を与える可能性がある。これは、表面から数センチメートル以内の組織を切除する場合に特に顕著である。
【0005】
また、現在利用可能な装置は、比較的大きなアイスボールを生成するように構成されているため、繊細な組織の周囲など小さなアブレーションが必要とされる場合や緊要な切除が必要とされる場合にはあまり有用ではない。
【発明の概要】
【0006】
したがって、第1の態様では、本発明は、凍結アブレーションで使用するための凍結プローブを提供する。この凍結プローブは、遠位端及び近位端を備える長尺状シャフトと、長尺状シャフトの遠位端にあり、且つ膨張チャンバーを備える作用ヘッドとからなり、長尺状シャフトは、高圧ガスを膨張チャンバーに供給し、且つその遠位端でジュールトムソンオリフィスに終端する第1の通路と、膨張チャンバーからガスを排出し、且つ第1の通路の外周囲に同軸上に配置された第2の通路と、第1及び第2の通路の外周囲に同軸上に配置された真空チャンバーとを備え、凍結プローブは、長尺状シャフトの遠位端に向かってそれと堅固な係合で配置された長尺状補強要素をさらに備え、この補強要素は、使用中、補強要素の一定の長さにわたって長尺状シャフトが屈曲することを防止する。
【0007】
凍結プローブは、例えば、経皮的使用のための凍結針である。
長尺状シャフトは、遠位端及び近位端を有し、且つ第1の通路、第2の通路、及び真空チャンバーを備える。シャフトの直径は、真空チャンバーの外径によって画定される。
【0008】
作用ヘッドは、長尺状シャフトの遠位端に設けられる。
長尺状シャフトの断面の直径は、最も幅の広い部分で0.9~2.0mmである。好ましくは、長尺状シャフトの直径は、0.9~1.4mmであり、特には1.0~1.3mmであり、最適には、1.2mm+/-0.1mmである。
【0009】
シャフトと作用ヘッドの組み合わせは、補強要素を超えて遠位方向に(シャフトに隣接する位置で、作用ヘッドの尖端から補強要素の最も遠位の範囲までを測定)、最大100mm、好ましくは8~60mm、より好ましくは20~40mm、最適には30mm+/-5mm延びる。
【0010】
シャフトは、「テイル」として補強部材を越えて近位方向に延び、少なくとも第1の通路を凍結ガスなどの凍結流体の供給源に接続するように構成された連結部で近位方向に終端する。連結部は、排出管を受承するとともに開口部を設けて、戻ってきた凍結ガスを大気に排出可能にするように構成される。連結部は、第1の通路をヘリウムなどの加熱ガス源に接続するように構成され得る。
【0011】
補強要素の近位で、シャフトはさらに保護カバーを含んでもよい。カバーは、シャフトを屈曲可能に構成されているが、シャフトのねじれを低減又は防止する。保護カバーは、補強要素の最近位部を超えて遠位方向に延びるとともに、補強要素から近位方向に延びるテイル部の少なくとも一部を覆い得る。
【0012】
第1の通路は、一般には、外周壁を有する注入管によって画定されて、外周壁を有する注入管と同一の広がりを有する。第1の通路は、凍結ガス(又は加熱ガス)の供給源から膨張チャンバーに高圧ガスを供給する。好ましくは、第1の通路は、膨張チャンバーの中に延び、その最遠位端にて、又はその近くで、チャンバー内に終端する。注入管は、テイル部の近位端まで近位方向に延びる。注入管は一般に、上記のようにコネクタに終端する。
【0013】
注入管は、第2の通路内に適合するサイズを有し、ガスの効率的な排出を行うために第2の通路の十分な断面積を有する。したがって、注入管の直径は、装置の必要とされる流れ特性によって決定され得る。装置の所望の外径に応じて、注入管の外径は、例えば0.25~0.5mm、好ましくは0.3~0.4mmである。第1の通路の直径は、0.15~0.25mm、好ましくは0.15~0.2mmである。
【0014】
注入管は一般に金属製であり、例えばステンレス鋼で形成され得る。
凍結ガス又は凍結流体としての使用に適した高圧ガスには、CO、アルゴン、窒素空気、クリプトン、CF、キセノン又はNOが含まれ、好ましくは、凍結ガスはアルゴンである。本明細書で使用される場合、ガスに使用される「高圧」という用語は、凍結プローブのジュールトムソン冷却に適切なガスの圧力を指す。たとえば、アルゴンガスの場合、「高圧」アルゴンは通常3000psi~4500psi(約20700~31000kPa)であるが、多少高い圧力と低い圧力も使用され得る。
【0015】
ジュールトムソンオリフィスを介した高圧ガスの膨張も、加熱を形成するために使用される。特定のガス(「加熱ガス」)は、ジュールトムソンオリフィスの中を通過するとより低温ではなくより高温になる(例えば室温又はより高温で通過された場合)。ヘリウムは、この特性を有するガスの一例である。したがって、ヘリウムをジュールトムソンオリフィスの中に通すと、プローブの尖端は温まり、組織の解凍は促進される。
【0016】
第1の通路は、その遠位端でジュールトムソンオリフィスに終端し、作用ヘッドの膨張チャンバー内に配置される。高圧ガスは、第1の通路から供給され、ジュールトムソンオリフィスから出ると、膨張して冷却される。冷却された膨張ガス及び形成された液化ガスは、作用ヘッドの外面を冷却することにより隣接する身体組織を凍結して所望の凍結アブレーション効果を生じる。
【0017】
第1の通路は、ヘリウムなどの加熱ガスを供給することもできる。加熱ガスは、冷却ガスの液化によって得られる温度よりも低い反転温度を有するか、又は冷却ガスの液化によって得られる温度と同程度の低い温度でも負のジュールトムソン係数を有する。したがって、第1の通路は、高圧凍結ガスを供給する第1のガス源に接続可能であるとともに、高圧加熱ガスを供給する第2のガス源に接続可能に構成される。ガス源間の切り替えは、一般に制御ユニットによって制御されるため、第1及び第2のガス源への接続は、同一の近位連結部を介して行うことができる。
【0018】
したがって、本発明にかかる凍結プローブは、冷却から加熱に迅速に切り替えることができ、処置の速度を改善するとともに、作用ヘッドが組織に固着するのをより容易に防止することができる。凍結プローブは、プローブの温度が約0℃の温度と-40℃未満の温度との間で急速に切り替わるように、凍結プローブに高速の周期的な温度変化を引き起こすこともできる。
【0019】
第2の通路は、ガスを膨張チャンバーから排気口に向かって排出する。第2の通路は、一般にガスを排出する排出管によって画定され、それと同一の広がりを有し、内周壁及び外周壁を有する。第2の通路は、第1及び第2の通路が共通の周壁を共有し得るように第1の通路の外周囲に同軸上に配置され、その内周壁は、注入管の外周壁と同一の壁である。好ましくは、第2の通路の近位端は大気に開放される。
【0020】
第2の通路は、排気されるガスの効率的な戻り流を可能にするのに十分な断面積を有するため、排出管の直径は、装置の必要とされる流れ特性によって決定され得る。これにより、単純な向流伝熱式熱交換器(counter flow recuperative
heat exchanger)が形成される。装置の所望の外径に応じて、第2の通路の直径は、例えば0.6~1.2mm、好ましくは0.7~0.8mmであり得る。
【0021】
排出管は一般に金属製であり、例えばステンレス鋼で形成され得る。
第1の通路及び第2の通路の同軸配置は、単純な熱交換器として機能する。第2の通路の近位端の膨張ガスは、その地点で第1の通路の高圧ガスよりも低温であるため、膨張チャンバーに向かって供給される高圧凍結ガスを冷却する。この配置は、継続的使用中に、ガスが第2の通路を介して排出されるにつれて、第1の通路を介して供給される低温ガスがますます冷たくなる正のフィードバック機構を形成する。
【0022】
冷却され、膨張したガスは、注入管を中心として周方向に形成された第2の通路を通って戻ると、単純な向流熱交換機構で注入管に流入するガスを冷却する。
したがって、装置は、シャフト内に直線的かつ同心円状に配置された注入管と排出管との間の熱エネルギーの交換を含む単一の熱交換構成を備える。この構成により、シャフト自体を近位端から遠位端まで均一な直径にすることができる。
【0023】
これは、装置の尖端の外周囲にアイスボールを形成するために必要な唯一の熱交換機構として機能する。プローブのサイズのため、及び生成されるアイスボールのサイズが小さいため、さらなる熱交換器は必要ない。例えば、凍結アブレーション装置に一般に見られるらせんコイル熱交換器は必要ない。これにより、熱交換装置が一般に配置される装置の把持部の重量は抑えられる。
【0024】
第2の通路は、追加の熱交換機能を有しないで、排出管の近位端から遠位端まで延びる。同様に、第1の通路は、追加の熱交換機能を有しないで、注入管の近位端から遠位端まで延びる。したがって、どちらの管の流れもほとんど又は全く中断されることなく、注入管は、連結部から膨張チャンバー内に位置する最遠位端まで近位方向に延び、排出管は、大気への排気口から(一般に連結部から)作用ヘッドまで遠位方向に延びる。
【0025】
他の熱交換装置がないため、第1の通路の中を通過する凍結ガスの流れに対する抵抗はシャフト全体で均一であり、第2の通路で戻る凍結ガスの流れに対する抵抗はシャフト全体で均一である。注入管内の流れも排出管内の流れも、らせん状熱交換器などの他の管を備えた熱交換構成によって影響を受ける(例えば妨害、迂回、分断又は減速される)ことがない。
【0026】
真空チャンバーは、内周壁及び外周壁を有し、外周壁は、プローブの長尺状シャフトの外周を画定する。いくつかの例では、真空チャンバーは、例えば、真空チャンバーが第2の通路と周壁を共有するように、第1及び第2の通路の外周囲に同軸上に配置され、真空チャンバーの内周壁は、第2の通路の外周壁と同一の壁である。真空チャンバーは、作用ヘッドまで遠位方向に延びるが、作用ヘッドを超えて延びていない。これにより、アイスボールの範囲が作用ヘッドを含む装置の遠位端に制限され、シャフトのより近位部分を囲む組織は低温から保護される。また、これにより、操作者は凍結プローブを安全に取り扱うことができる。真空チャンバーの内壁が第2の通路の外壁をも形成する配置は、シャフトの直径を最小にするように装置を構築することを可能にし、非常に小さい寸法の凍結プローブを可能にする。
【0027】
好ましくは、排出管は、真空チャンバーの最も遠位の範囲を超えて遠位方向に延びる。これにより、排出管の最遠位端は、作用ヘッドの近位チャンバーの中に延びることが可能になり、作用ヘッドを取り付けるための堅固な取り付け部を形成する。好ましくは、注入管は、排出管の最遠位端を越えて形成された膨張チャンバーの中に排出管の最遠位端を越えて延びる。
【0028】
好ましくは、真空チャンバーの外壁は、真空チャンバーの先細り端が排出管の外壁と連結部を形成するように、その遠位端で先細にされている。これにより、真空チャンバーの外壁と作用ヘッドの間に周方向のくぼみが形成される。好ましくは、真空チャンバーの外壁は、排出管上で押し込み嵌めをなす。これにより、装置の組み立てが容易になり、装置の総外径を最小化することができる。好ましくは、作用ヘッドは、真空管及び/又は排出管に溶接又ははんだ付けされる。この構成により、真空管の外壁を排出管の外壁に容易に取り付けることができる。一アプローチでは、真空スリーブの外壁は、作用ヘッドに取り付けられる前に、真空炉内で排出管の外壁に溶接又はろう付けされる。
【0029】
好ましくは、作用ヘッドの表面及び真空スリーブの外管は、均一な直径を有する連続表面を提供する。周方向のくぼみの存在は、作用ヘッドと排出管及び/又は真空管との間に強力な溶接又ははんだ接合部を形成し、装置が均一な直径の連続表面を有することを可能にする。接合部は、好ましくはレーザー溶接される。
【0030】
作用ヘッドは、好ましくは、単一の固体の材料片から形成される(例えば、モノリシックユニットとして)。作用ヘッドは、近位端で開放され、且つ、このチャンバーを囲むチャンバー壁を有して、作用ヘッドの近位端からチャンバーの遠位端まで延びるチャンバーを備える。ヘッドの近位チャンバーは、典型的には1~3mmの深さを有し、好ましくは、1~2mmの深さである。ヘッドの直径は、シャフトの直径とほぼ同一であり、平滑で均一な外面を形成する。チャンバーの遠位では、作用ヘッドは中実である。作用ヘッドは、鈍い遠位端を有してもよいが、好ましくは、作用ヘッドは、組織を貫通するように構成された鋭利な遠位端を有し、好ましくは三面トロカール型の尖端の形態である。尖端からチャンバー壁の最近位部位までの間で測定される、作用ヘッドの長さは、一般に2~10mmである。チャンバー壁の近位部分は、好ましくは、排出管の遠位端と連結部を形成する。好ましくは、チャンバー壁の近位部分の内面は、排出管の遠位端の外面と連結部を形成し、好ましくは、押し込み嵌めを形成する。装置の膨張チャンバーは、チャンバーの遠位端と排出管の遠位端との間に形成される。チャンバーはチャンバーの壁で囲まれている。
【0031】
好ましくは、作用ヘッドの長さは、作用ヘッドが真空チャンバーの最遠位端に出会う部位から作用ヘッドの遠位端まで測定された長さで2~7mm(図1に示す)である。好ましくは、作用ヘッドの長さは、2.5~6mmであり、より好ましくは、4mm+/-1.5mmである。
【0032】
好ましくは、作用ヘッドは、作用ヘッドと接触する身体組織を効果的に凍結するために、金属、例えばステンレス鋼などの熱伝導材料で形成される。一実施形態では、作用ヘッドは、好ましくは熱伝導材料で形成された外側シース層を有する。
【0033】
プローブは、長尺状シャフトの遠位端に向かって配置された長尺状補強要素を含む。この要素は、操作中にシャフトの支持体として機能し、使用中に補強要素の一定の長さにわたって長尺状シャフトの屈曲を抑制し、好ましくは防止するように構成される。シャフトは、その幅が狭いという性質と、シャフトを構成する管状要素(注入管、排出管、及び真空チャンバーの外壁)の壁の薄さのために、他の点では非常に可鍛性がある。補強要素は、シャフトに十分な支持を設けるためにシャフトの軸線に沿って延びる。補強要素は、シャフトを操作するための把持部として機能し得る。尖端が組織に押し込まれたときにシャフトがこの要素に対して動くのを防止するために、補強要素は一般にシャフトに固着されている。一の構成では、補強要素は、シャフトの外周囲に配置され、例えば、シャフトの外周囲に同軸上及び/又は周方向に配置される。補強要素は、例えば、シャフトの外周囲に同軸上に配置された補強管である。
【0034】
補強要素は、把持部又はハンドルの形状をなしてもよいし、又は補強要素に加えて把持部が設けられてもよい。把持部はシャフトの把持性を向上させるのにも役立つ。一般に、把持部は、長尺状シャフトに同軸をなす。好ましくは、把持部は、真空スリーブよりも大きな直径を有し、一般に、手で快適に握るのに適したサイズ及び形状を有する。把持部は、プローブを操作するのに適した部分を形成するだけでなく、この部位でシャフトを強化して、操作中にシャフトの撓曲を防止する。把持部は、絶縁材料、さらなる真空チャンバー、又はそれらの組み合わせ、あるいはその両方のいずれかである絶縁層を備えてもよい。把持部は、操作中に装置を把持するのを支援するためにポリマーシースを備え得る。シースは、プローブのサイズや種類など、装置の識別標識を運ぶためにも使用され得る。
【0035】
本発明の凍結アブレーション装置は、真っ直ぐなシャフト又は角度の付いたシャフトのいずれかを備え、シャフトは、挿入部位での混雑を少なくするために曲げられ、一般にほぼ直角の曲げが使用される。
【0036】
一般に、注入管及び排出管は、装置の把持部を介して連続している。好ましくは、注入管及び排出管は、把持部の近位範囲を超えて延びており、それぞれ高圧ガスの流入径路及び低圧ガスの返送経路を提供する。高圧ガスの流入経路は、近位方向にクライオ凍結ガス源への接続に適したコネクタに好ましくは終端する。返送経路は、戻されたガスを大気に開放するための開口部に好ましくは終端する。
【0037】
真空チャンバーの外壁は、把持部の中を貫通して延びる。真空チャンバーの外壁は、ガスの戻りラインの少なくとも一部を絶縁するために、さらに近位に、把持部の近位に延びてもよい。高圧ガスの流入及び低圧ガスの返送の経路(及び存在する場合は真空チャンバー)には、経路の損傷を防止するために外側保護チューブが設けられ得る。
【0038】
本発明の更なる態様では、本明細書に記載されているような1つ以上の凍結プローブを含む凍結アブレーションのためのシステムが提供される。一般に、そのようなシステムは、経皮的使用に適した凍結ニードルなどの1つ以上の複数の凍結プローブ、1つ以上の凍結流体源、及び制御システムを含む。凍結手術システムは、標的組織(例えば、腫瘍)を凍結切除するために使用され得る。適切な低温流体と圧力を選択することにより、それらを使用して組織を多かれ少なかれ冷却することができる。
【0039】
極低温流体源はアルゴン、窒素、空気、クリプトン、CO、CF、キセノンなどのガス、及び約1000psi(約6900kPa)を超える圧力から膨張したときに極低温(たとえば、190ケルビン未満の温度)に達することができる別のさまざまなガスを供給することができる。本明細書で使用される場合、「凍結流体」は、約1000psi(約6900kPa)を超える圧力(例えば一般には約3500psi(約24000kPa))から膨張したときに低温(例えば、190ケルビン未満)に達する任意の流体を指す。供給源は、凍結及び加熱流体の流れを制御するための1つ以上の弁及び/又は調整器を備え得る。
【0040】
制御システムは、凍結プローブへの凍結流体の供給を制御するように構成され、例えば1つ以上のセンサー、流量計、タイマー、アナログ/デジタル変換器、有線又は無線通信モジュール、バルブコントローラなどを含み得る。さらに、制御システムは、凍結プローブに供給される凍結流体の流量、温度、及び圧力を調整することもできる。
【0041】
さらなる実施形態では、患者の組織をアブレーションする方法が提供され、該方法は、切除される組織内、組織、又は組織の近くに、本明細書に記載の凍結プローブの尖端を配置する工程と、プローブ尖端を極低温に冷却するのに十分な圧力で第1の通路を介してジュールトムソンオリフィスに凍結ガスを送達してプローブ尖端に接触している患者の組織を凍結する工程と、その後、組織を解凍する工程とを備える。
【0042】
組織は、必要に応じてプローブを除去できるように少なくとも十分に解凍されるが、一般には、凍結及び解凍の数サイクル、例えば2、3、又はそれ以上のサイクルが実行される。別のアプローチでは、組織を自然に解凍するのではなく、プローブ尖端を温めて組織を解凍するのに十分な圧力で、加温ガスが、ジュールトムソンオリフィスに供給される。
【0043】
一般に、凍結操作は、プローブ尖端の周囲に凍結組織の「アイスボール」を形成する。
いくつかのアプローチでは、亜酸化窒素などの冷却ガスを凍結ガスの代わりに使用することができる。ジュールトムソンオリフィスからの出口におけるそのようなガスの膨張は、極低温への冷却を引き起こさないが、組織の破壊又は損傷を引き起こすが組織を殺さない程度の十分に低い温度にする。このアプローチは、プローブが神経組織の低温神経溶解に使用される場合に特に有用であり、神経組織は、そのような温度にさらされた後には再生できるが、極低温にさらされた後は再生できない。
【0044】
1つ以上の凍結プローブが、アブレーションによって治療される組織又はその近くに配置される。アルゴンなどの高圧ガスが凍結プローブに送達され、プローブの尖端に治療対象の組織を取り囲むアイスボールが形成される。アイスボールの形成は、超音波やMRIなどの画像化術を使用して追跡することができ、アイスボールが目的のサイズに達したときに冷却は停止される。次に、体温を使用してアイスボールを自然に解凍するか、ヘリウムなどの加熱ガスを供給してプローブの尖端を温めることにより解凍を加速させることができる。ヘリウムによる解凍はより速いため好ましい。
【0045】
一般には、1つ以上のアイスボール形成及び解凍サイクルが、標的組織を切除するために使用される。一般に1、2、又は3サイクルが使用される。
腫瘍の凍結アブレーションは、治療された病変から離れた病変に速達効果をもたらすことが知られている。1つの腫瘍が凍結アブレーションを用いて切除された場合、第1の腫瘍から離れた別の腫瘍が縮小することが観察されている。この効果は、腫瘍抗原の放出によって媒介されると考えられており、それは、免疫系を刺激して遠隔の腫瘍を認識する(例えばMehta et al 2016、Gastroenterology Research and Practice Volume 2016、Article ID 9251375を参照)。
【0046】
これらの観察を受けて、凍結アブレーションとさまざまな免疫調節剤の組み合わせを使用して腫瘍を治療することが提案されている(例えば、Abdo et al 2018、Frontiers in Oncology第8巻第85条を参照)。
【0047】
治療の1つのアプローチにおいて、腫瘍の凍結アブレーションは、凍結アブレーション治療の前、その最中、又はその後に投与される免疫調節薬と組み合わせて使用され得る。そのような薬物には、例えば、イピリムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブなどの抗CTLA-4、抗PD-1、及び抗PDL-1抗体などのチェックポイント阻害剤が含まれる。
【0048】
本発明のプローブは、神経の部分的(軸索断裂)又は完全な切除(神経断裂)による痛みの治療における使用にも特に適している。
長尺状シャフトの寸法が縮減された凍結プローブ(例えば、シャフトの長さ及び直径が縮減された本発明の凍結プローブ)を利用することにより、混雑が低減されるため、切除部位に存在する凍結プローブの数を増やすことが可能である。これにより、より多くの数の凍結プローブが所与の領域に収まると仮定すると、3次元アブレーション標的部位を正確に切除する機能がさらに向上する。さらに、真っ直ぐな凍結プローブと曲がった凍結プローブの組み合わせを使用することにより、さらに多くの凍結プローブを切除部位の所与の領域に配備することができ、複数の凍結プローブが配備されたときの混雑をさらに低減し得る。
【0049】
直径が小さく長さが短いため、プローブは、一般のプローブを正確に使用することが困難又は不可能な小さな体積の組織にアクセスするのにも役立つ。それらは、乳児の状態の治療に特に有用である。
【0050】
本願のプローブを使用して治療可能なさらなる具体的な症状は、モートン神経腫瘍であり、これは、中足骨間足底神経の良性神経腫瘍であり、そのサイズのために標準的なプローブではアクセスできない。
【0051】
本発明の態様は、図を参照して、以下の非限定的な例によってさらに説明される。これらは、例示することのみを目的として提供されており、特許請求の範囲に含まれる別例は、当業者であれば、これらに照らして容易に理解できる。本明細書で引用されるすべての参考文献は、参照により組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】凍結プローブシャフトの要素を断面で示す概略図。
図1A】作用ヘッドとシャフトの間の連結構成を高倍率で示す図。
図2】凍結プローブの曲がったシャフト構成を示す図。
図3】補強要素の例を備えた凍結プローブの要素を示す概略図。装置は、断面で示されている。
図4】補強要素の別例を備えた凍結プローブの要素を示す概略図。装置は、断面で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0053】
実施例
凍結ニードルを、上記記載に従って、内径0.18mm及び外径0.33mmの注入管を有するように形成した。排出管は、内径が0.72mmであり、真空スリーブを含む全体の直径は、1.2mmであった。作用ヘッドの長さは、約5mmであった。尖端からテイル部の近位端までの装置全体の長さは3mであり、シャフトと作用ヘッドは合わせて補強要素から30mm延びていた。
【0054】
針は、3500psi(約24000kPa)で送達されたアルゴンを用いて2分で直径10mm、3.5分で直径14mm、5分で直径15mmのアイスボールを生成した。
図面
図1は、凍結プローブ(1)の簡略図の断面を示す。凍結プローブ(1)は、尖端(16)を有する作用ヘッド(5)を含む長尺状シャフト(2)を有する。長尺状シャフト(2)は、注入管(17)と同一の広がりを有する第1の通路(3)を囲む。第2の通路(4)は、排出管(18)と同一の広がりを有する。第1の通路(3)及び第2の通路(4)は同心をなし、第2の通路(4)は、第1の通路(3)を囲んでいる。第2の通路(4)は、排出口(19)を介して近位方向に大気に開放されている。
【0055】
作用ヘッド(5)は作用ヘッド近位チャンバー(20)を有し、近位チャンバー(20)はチャンバー壁(21)に囲まれ且つ遠位で遠位端壁(25)に囲まれている。排出管(18)は、作用ヘッド(5)の近位チャンバー(20)の中に突出する。膨張チャンバー(6)は、排出管(18)の遠位端(24)と作用ヘッド近位チャンバー(20)の遠位端壁(25)との間に形成される。膨張チャンバーは、作用ヘッド近位チャンバー(20)の内壁(23)によって画成されている。注入管(17)の最遠位端(26)は、一般に、膨張チャンバー(6)の中に突出し、第1の通路(3)の最遠位端に形成されるジュールトムソンオリフィス(7)で終端する。
【0056】
注入管(17)は、凍結流体源(この図には示されていない)から圧力下で凍結ガスを送達するように構成される。凍結ガスは、ジュールトムソンオリフィス(7)を出ると膨張し、排出管(18)を通って開口部(19)で大気に排出される。
【0057】
長尺状シャフト(2)は、外周真空チャンバー壁(27)が外部との境界をなし、排出管(18)の壁(22)が内部との境界をなす真空チャンバー(8)をさらに備える。真空チャンバーは、作用ヘッドの近位のシャフトを断熱するように構成されているため、目的のアイスボールの近位側の組織の損傷を防止する。遠位では、真空チャンバーの壁(27)は先細にされ(14)、この部位で排出管(18)上で押し込み嵌めをなして、2つの管(41)の間に連結部を形成する。真空チャンバー壁(27)は、作用ヘッドに取り付ける前に、真空炉内で排出管(18)の壁に溶接又はろう付けされる。排出管(18)の最遠位端(24)は、作用ヘッド近位チャンバー(20)の近位部(28)の中に挿入可能なように、真空チャンバー(14)の壁の先細り端を越えて突出する。作用ヘッド近位チャンバー(20)の壁(21)の近位端(29)は、真空チャンバー外壁(27)の遠位端(30)に当接して、真空チャンバーの外壁(27)及び作用ヘッド遠位チャンバー壁(21)の近位端(29)の間に周方向凹部(31)を形成する。作用ヘッド(5)、真空チャンバーの外壁(27)、及び排出管(18)は、この部位(15)で溶接又ははんだ付けされて、真空管を密閉し、ヘッドを所定の位置に保持する。
【0058】
図1Aは、作用ヘッドと長尺状シャフトの間の接合を示す拡大図である。符号は図1と同一である。
図2は、シャフト(2)及び遠位作用ヘッド(5)を備えた凍結プローブ(1)を示す。シャフトは屈曲した形態を有するため、複数の装置を使用する場合に挿入部位の過密を防止するのに役立つ。シャフトは、熱収縮カバー(155)で覆われたシャフトよりも外径が大きい把持部103を有する。シャフト(2)は、テイル部(150)として把持部(103)の近位方向に延びる。この部分では、シャフトは、把持部(103)から近位コネクタ(151)まで延びるカバーによって覆われ、近位コネクタ(151)は、第1の通路を凍結流体源(図示せず)に接続するように構成される。コネクタはまた、排出口(19)を介して低圧ガスを大気(300)に排出するための第2の通路の遠位出口を備える。コネクタは、高圧ガス源に接続するための入口(302)をさらに備える。
【0059】
図3は、凍結プローブの特徴を説明するための凍結プローブの断面を示す図である。凍結プローブ(1)は、プローブの操作を支援し、組織への挿入中のシャフトの屈曲を防止するとともにシャフトのねじれを防止するように機能する把持部(103)を有する。凍結プローブは、把持部(103)の中を貫通して遠位方向に延びる長尺状シャフト(2)を有する。作用ヘッド(5)は、長尺状シャフト(2)の遠位に設けられる。シャフトは、テイル部(150)として把持部(103)の近位方向に延び、テイル部(150)は、第1の通路(3)を凍結流体源(図示せず)に接続するように構成された継手(151)で終端する。
【0060】
長尺状シャフト(2)は、注入管(17)と同一の広がりを有する第1の通路(3)を囲む。第2の通路(4)は、排出管(18)と同一の広がりを有する。第2の通路(4)は、例えば、排出口(19)を介して、近位方向に大気に開放される。注入管(17)の最遠位端(26)は、一般に、膨張チャンバー(6)に突出し、第1の通路(3)の最遠位端(32)に形成されるジュールトムソンオリフィス(7)で終端する。
【0061】
注入管(17)は、凍結流体源(この図には示されていない)から圧力下で凍結ガスを送達するように構成される。凍結ガスは、ジュールトムソンオリフィス(7)を出ると膨張し、排出管(18)を通って開口部(19)で大気に排出される。
【0062】
真空チャンバー(8)は、排出管(18)上に形成され、外周真空チャンバー壁(27)によって外部から囲まれている。真空チャンバーは、作用ヘッドの近位にあるシャフトを断熱するように構成されているため、目的のアイスボールの近位にある組織の損傷を防止する。
【0063】
シャフト(2)は、把持部(103)の中を貫通して延び、図に示すようにテイル部(150)に連続し、又は取り外し可能なテイル部(図示せず)に連結部を形成する。
把持部(103)は、真空チャンバー壁(27)よりも大きな直径を有し、操作中にシャフトが曲がるのを防止して、シャフトがねじれるのを防止するシャフトの補強領域を形成する。一構成では、把持部は、真空チャンバー壁(27)よりも大きな直径を有するスリーブ(104)を備える。スリーブ(104)は、金属製又はポリマー製であり得る。1つのアプローチでは、スリーブは、スリーブ直径に段差を設けて、真空チャンバー壁(27)上に押し込み嵌めを形成するテーパー領域(164、165)を有する。把持部(103)は、スリーブ(104)と真空チャンバー壁(27)との間に空隙(106)を含む。スリーブのテーパー領域(164、165)は、この場合、特にスリーブが金属である場合に特に有用である。なぜなら、それらは、薄い金属スリーブが最小の重量で広い把持部を設けるとともに、スリーブに剛性を付与することができるためである。空隙(106)が存在する場合、排気されてさらなる断熱性を付与し得る。真空チャンバーの壁とスリーブとの間の領域は、絶縁材料で満たされてもよい。
【0064】
テイル部(150)は、一般には、少なくとも把持部(103)からテイル部(150)の近位部分(152)まで延びるカバー(107)を備えてもよい。カバー(107)は、テイル部(150)を保護し、テイル部内のねじれを低減する。カバー(107)は、テイル部(150)内の真空スリーブ壁(27)上に緩く形成され、又は真空スリーブ壁(27)に向けられる。コーティング(155)をスリーブ上に設けて、スリーブを真空チャンバー壁(27)にシールすることができる。コーティングは、カバー(107)の遠位端(154)を所定の位置に保持するために延びていてもよい。このコーティング(155)は、例えば、熱収縮スリーブからなる。
【0065】
図4は、把持部のさらなる実施形態を示す。凍結プローブ(1)は、プローブを操作するための把持部(103)を有し、使用中のプローブの屈曲を防止して、シャフト(2)のねじれを防止する。凍結プローブは、把持部(103)の中を貫通して遠位に延びる長尺状シャフト(2)を有する。作用ヘッド(5)は、長尺状シャフト(2)の遠位側に設けられる。シャフトは、テイル部(150)として把持部(103)の近位方向に延び、第1の通路(3)を凍結流体源(図示せず)に接続するように構成された継手(151)で終端する。長尺状シャフト(2)は、注入管(17)と同一の広がりを有する第1の通路(3)を囲む。第2の通路(4)は、排出管(18)と同一の広がりを有する。第2の通路(4)は、近位で大気に開放されている。注入管(17)の最遠位端(26)は、一般に、膨張チャンバー(6)の中に突出し、第1の通路(3)の最遠位端(32)に形成されるジュールトムソンオリフィス(7)で終端する。
【0066】
注入管(17)は、凍結流体源(この図には示されていない)から圧力下で凍結ガスを供給するように構成されている。凍結ガスは、ジュールトムソンオリフィス(7)を出ると膨張し、排出管(18)を通って遠位開口部で大気中に排出される(この図には示されていない)。
【0067】
真空チャンバー(8)は、外周真空チャンバー壁(27)によって外部から囲まれた排出管(18)上に形成される。真空チャンバーは、作用ヘッド(5)の近位にあるシャフトを断熱するように構成されているため、目的のアイスボールの近位側にある組織の損傷を防止する。
【0068】
シャフト(2)は、把持部(103)の中を貫通して延び、図に示すようにテイル部(150)と連続し、又は凍結流体源及び任意に近位ガス排出ポートへの接続を形成する取り外し可能なテイル部分(図示せず)と連結部を形成する。
【0069】
把持部(103)は、真空チャンバー壁(27)よりも大きな直径を有し、シャフトの屈曲を防止して、操作中にシャフトを保護するシャフトの補強領域を形成する。一構成では、把持部(103)は、真空チャンバー壁(27)よりも大きな内径を有する第1のスリーブ(130)を備える。スリーブ(130)は、真空チャンバーの壁に適合して、シャフトに追加的な剛性を付与する。円筒形のカバー(155)は第1のスリーブ上に設けられ、第1のスリーブ(155)の近位端(156)を越えて近位方向に延びて、テイル部(150)の少なくとも一部を覆う。好ましくは、カバー(155)は、テイル部の近位端まで延びる(この図には示されていない)。
【0070】
第1のスリーブ(130)及びカバー(155)は、一般にはポリプロピレン又はPEEKなどのポリマー材料であり、把持部の遠位端(158)で真空スリーブ壁(27)の外周囲に周方向に延びる把持部ノーズ要素(157)によって遠位方向に所定の位置に保持され且つ第1のスリーブ(130)の軸方向外方の部位で第2のスリーブ(161)の最遠位端(162)を受承するように構成されている。これにより、より幅の広いスリーブ、より幅の広い把持部が可能になり、操作が容易になる。把持部ノーズ要素は、シャフト(2)の外周囲に周方向に延び、第1のスリーブ(130)の遠位端(159)及びカバー(155)の遠位端(160)の外周囲に周方向に延びる。
【0071】
第2のスリーブ(161)の近位端(166)は、把持部の近位端(164)で真空スリーブ壁(27)の外周囲に周方向に延びる把持部テイル要素(163)によって同様の方法で受承される。
【0072】
把持部(103)は、第2のスリーブ(161)の軸方向内方に空間(106)を含み、これは、任意に絶縁材料で充填されてもよいが、より軽い把持部を提供するために空であることが好ましい。
【0073】
外側コーティング(この図には示されていない)は、スリーブ、及び任意にノーズ要素とテイル要素のうちの少なくとも一部を覆って把持部に平滑な面を形成し得る。この点についても、熱収縮管は有用である。
(付記1)凍結プローブにおいて、遠位端及び近位端を有する長尺状シャフトと、前記長尺状シャフトの遠位端にあり、且つ膨張チャンバーを備える作用ヘッドとを備え、前記長尺状シャフトは、前記膨張チャンバーに高圧ガスを供給するように構成され、且つ第1の通路の遠位端でジュールトムソンオリフィスに終端する前記第1の通路と、前記膨張チャンバーからガスを排出し、且つ前記第1の通路の外周囲に同軸上に配置された第2の通路と、前記第1の通路及び前記第2の通路の外周囲に同軸上に配置された真空チャンバーとを備え、前記凍結プローブは、前記長尺状シャフトの遠位端に向かって配置されて前記長尺状シャフトの撓曲を防止する長尺状の補強要素をさらに備え、前記補強要素は、真空チャンバー壁よりも大きな直径と、前記真空チャンバー壁に対して把持部直径に段差を設けるテーパー領域とを有する把持部を備え、前記把持部は、前記長尺状シャフトを中心として前記真空チャンバー壁から間隔をあけるように配置される、凍結プローブ。
(付記2)前記長尺状シャフトの横断面の直径は、0.9~2.0mmである、付記1に記載の凍結プローブ。
(付記3)前記長尺状シャフト及び前記作用ヘッドは合わせて、前記補強要素を超えて遠位方向に、最大100mm延びる、付記1又は2に記載の凍結プローブ。
(付記4)前記補強要素は、前記長尺状シャフトの外周囲に同軸上に配置される、付記1~3のいずれか一つに記載の凍結プローブ。
(付記5)前記補強要素は、前記凍結プローブを操作するための前記把持部として構成される、付記1~4のいずれか一つに記載の凍結プローブ。
(付記6)前記把持部は、前記凍結プローブを操作するための把持部である、付記1~4のいずれか一つに記載の凍結プローブ。
(付記7)前記把持部は中空である、付記5又は付記6に記載の凍結プローブ。
(付記8)前記第1の通路と前記第2の通路との間の熱エネルギーの交換からなる単一の熱交換構成を含み、前記第1及び前記第2の通路は、前記長尺状シャフト内で直線的かつ同心に配置される、付記1~7のいずれか一つに記載の凍結プローブ。
(付記9)前記作用ヘッドの長さは、2~7mmである、付記1~8のいずれか一つに記載の凍結プローブ。
(付記10)付記1~9のいずれか一つに記載の1つ以上の凍結プローブを備え、凍結流体の供給源と、凍結プローブへの凍結流体の送達を制御する制御部とをさらに備える、凍結手術システム。
図1
図1A
図2
図3
図4