(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】ガスエンジン交換装置のためのモータ制御
(51)【国際特許分類】
H02P 29/00 20160101AFI20240422BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20240422BHJP
B60L 53/80 20190101ALI20240422BHJP
【FI】
H02P29/00
B60L3/00 H
B60L53/80
(21)【出願番号】P 2022525878
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(86)【国際出願番号】 US2020059488
(87)【国際公開番号】W WO2021092444
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-06-06
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598073073
【氏名又は名称】ミルウォーキー エレクトリック ツール コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】オーバーマン、ティモシー、アール.
(72)【発明者】
【氏名】シーグラー、デイヴィッド、ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ヒューバー、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】チャップマン、3世、ウィリアム、エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ギャラガー、パトリック、ディー.
(72)【発明者】
【氏名】バートレット、ティモシー、ジェイ.
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-051579(JP,A)
【文献】特開平01-224484(JP,A)
【文献】特開平04-112694(JP,A)
【文献】特開平11-287497(JP,A)
【文献】特開平11-311195(JP,A)
【文献】特開平02-164298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 29/00
B60L 3/00
B60L 53/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力機器におけるガス-エンジンの交換のためのガスエンジン交換装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジングに結合され、バッテリパックを取り外し可能に受け入れるよう構成されるバッテリレセプタクルと、
前記ハウジング内部に位置するモータと、
前記モータからトルクを受け、前記ハウジングの側面から突出する動力取出シャフトと、
前記バッテリパックから前記モータに電力を選択的に提供するよう構成される電力スイッチングネットワークと、
前記電力スイッチングネットワークに結合され、前記電力スイッチングネットワークを制御して前記モータを回転させるよう構成される
、電子プロセッサであって、
前記モータのためのコマンド速度を受信し、
前記モータのための以前の出力速度を受信し、
前記コマンド速度が除外ゾーン内にあるかどうかを特定し、
前記コマンド速度が前記除外ゾーンの外側にあることに応じて、前記モータのための出力速度を前記コマンド速度に設定し、
前記コマンド速度が前記除外ゾーン内にあることに応じて、
前記以前の出力速度に基づいて前記出力速度
を設定し、
前記コマンド速度が前記除外ゾーン内にあると特定されたかどうかに基づいて設定される前記出力速度に従って前記モータを回転させるよう前記電力スイッチングネットワークを制御するよう構成される
、
電子プロセッサと、を備える、
ガスエンジン交換装置。
【請求項2】
前記電子プロセッサは、
前記以前の出力速度が前記除外ゾーンよりも大きいことに応じて、前記出力速度を前記除外ゾーンの上限に設定する
ことによって前記以前の出力速度に基づいて前記出力速度を設定するよう構成される、請求項1に記載のガスエンジン交換装置。
【請求項3】
前記電子プロセッサは、
前記以前の出力速度が前記除外ゾーン未満であることに応じて、前記出力速度を前記除外ゾーンの下限に設定する
ことによって前記以前の出力速度に基づいて前記出力速度を設定するよう構成される、請求項1に記載のガスエンジン交換装置。
【請求項4】
前記除外ゾーンは、前記モータに結合される機械システムの共振周波数の周りにヒステリシスを画成する、請求項1に記載のガスエンジン交換装置。
【請求項5】
更に、振動センサを備え、前記電子プロセッサは、前記振動センサの出力に基づいて前記共振周波数を識別するよう構成される、請求項4に記載のガスエンジン交換装置。
【請求項6】
振動センサを備え、前記電子プロセッサは、前記振動センサの出力に基づいて前記除外ゾーンを生成するよう構成される、請求項1に記載のガスエンジン交換装置。
【請求項7】
前記動力取出シャフトに結合されるポンプを備える、請求項1に記載のガスエンジン交換装置。
【請求項8】
前記電子プロセッサを取り囲み、不活性流体を含む筐体と、
前記筐体内で前記不活性流体を循環させるよう構成されるポンプと、
前記筐体に結合される熱交換器と、を備える、
請求項1に記載のガスエンジン交換装置。
【請求項9】
動力機器におけるガス-エンジンの交換のためのガスエンジン交換装置であって、
ハウジングと、
振動センサと、
前記ハウジングに結合され、バッテリパックを取り外し可能に受け入れるよう構成される
、バッテリレセプタクルと、
前記ハウジング内部に位置するモータと、
前記モータからトルクを受け、前記ハウジングの側面から突出する
、動力取出シャフトと、
前記バッテリパックから前記モータに電力を選択的に提供するよう構成される電力スイッチングネットワークと、
前記電力スイッチングネットワークに結合され、前記電力スイッチングネットワークを制御して前記モータを回転させるよう構成される
、電子プロセッサであって、
前記モータのためのコマンド速度を受信し、
前記モータのための以前の出力速度を受信し、
前記振動センサの出力
及び前記モータのための前記以前の出力速度に基づいて、前記コマンド速度とは異なる前記モータのための出力速度を特定し、
前記特定した出力速度に従って前記モータを回転させるよう、前記電力スイッチングネットワークを制御するよう構成される
、
電子プロセッサと、を備える、
ガスエンジン交換装置。
【請求項10】
前記電子プロセッサは、
前記振動センサの前記出力に基づいて除外ゾーンを特定し
、
前記コマンド速度が前記除外ゾーン内にあることに応じて、前記出力速度を
前記以前の出力速度に基づく速度に設定する
ことによって、
前記コマンド速度とは異なる前記モータのための前記出力速度を特定するよう構成される、
請求項
9に記載のガスエンジン交換装置。
【請求項11】
ハウジングと、前記ハウジングに結合され、バッテリパックを取り外し可能に受け入れるよう構成される
、バッテリレセプタクルと、前記ハウジング内部に位置するモータと、前記モータからトルクを受け、前記ハウジングの側面から突出する
、動力取出シャフトと、前記バッテリパックから前記モータに電力を選択的に提供するよう構成される電力スイッチングネットワークと、前記電力スイッチングネットワークに結合され、前記電力スイッチングネットワークを制御して前記モータを回転させるよう構成される
、電子プロセッサとを含む
、動力機器におけるガス-エンジンの交換のためのガスエンジン交換装置を操作するための方法であって、
前記電子プロセッサによって、前記モータのためのコマンド速度を受信することと、
前記電子プロセッサによって、前記モータのための以前の出力速度を受信することと、
前記電子プロセッサによって、前記コマンド速度が除外ゾーン内にあるかどうかを特定することと、
前記電子プロセッサによって、前記コマンド速度が前記除外ゾーンの外側にあることに応じて、前記モータのための出力速度を前記コマンド速度に設定することと、
前記電子プロセッサによって、前記コマンド速度が前記除外ゾーン内にあることに応じて、
前記以前の出力速度に基づいて前記出力速度
を設定することと、
前記電子プロセッサによって、前記コマンド速度が前記除外ゾーン内にあると特定されたかどうかに基づいて設定される前記出力速度に従って前記モータを回転させるよう前記電力スイッチングネットワークを制御することと、を含む、
方法。
【請求項12】
前記電子プロセッサによって、
前記以前の出力速度が前記除外ゾーンよりも大きいことに応じて、前記出力速度を前記除外ゾーンの上限に設定すること
によって前記以前の出力速度に基づいて前記出力速度を設定することを
更に含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記電子プロセッサによって、
前記以前の出力速度が前記除外ゾーン未満であることに応じて、前記出力速度を前記除外ゾーンの下限に設定すること
によって前記以前の出力速度に基づいて前記出力速度を設定することを
更に含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記除外ゾーンは、前記モータに結合される機械システムの共振周波数の周りにヒステリシスを画成する、請求項
11に記載の方法。
【請求項15】
前記ガスエンジン交換装置は、振動センサを含み、
前記電子プロセッサによって、前記振動センサの出力に基づいて前記共振周波数を識別すること、を
更に含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記ガスエンジン交換装置は
、振動センサを含み
、
前記電子プロセッサによって、前記振動センサの出力に基づいて前記除外ゾーンを生成すること、を
更に含む、
請求項
11に記載の方法。
【請求項17】
ハウジングと、前記ハウジングに結合され、バッテリパックを取り外し可能に受け入れるよう構成される
、バッテリレセプタクルと、前記ハウジング内部に位置するモータと、前記モータからトルクを受け、前記ハウジングの側面から突出する
、動力取出シャフトと、前記バッテリパックから前記モータに電力を選択的に提供するよう構成される電力スイッチングネットワークと、前記電力スイッチングネットワークに結合され、前記電力スイッチングネットワークを制御して前記モータを回転させるよう構成される
、電子プロセッサとを含む
、動力機器におけるガス-エンジンの交換のためのガスエンジン交換装置を操作するための方法であって、
前記電子プロセッサによって、前記モータのためのコマンド速度を受信することと、
前記電子プロセッサによって、前記モータのための以前の出力速度を受信することと、
前記電子プロセッサによって、振動センサの出力
及び前記モータのための前記以前の出力速度に基づいて、前記コマンド速度とは異なる前記モータのための出力速度を特定することと、
前記電子プロセッサによって、前記特定した出力速度に従って前記モータを回転させるよう、前記電力スイッチングネットワークを制御することと、を含む、
方法。
【請求項18】
前記コマンド速度とは異なる前記モータのための前記出力速度を特定することは、
前記電子プロセッサによって、前記振動センサの前記出力に基づいて除外ゾーンを特定することと
、
前記電子プロセッサによって、前記コマンド速度が前記除外ゾーン内にあることに応じて、前記出力速度を
前記モータの前記以前の出力速度に基づく速度に設定することと、を含む、
請求項
17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2019年11月8日出願の米国仮特許出願第62/932,711号明細書及び2020年4月14日出願の米国仮特許出願第63/009,642号明細書の利益を主張するものであり、それらそれぞれの内容の全てを引用して本明細書中に組み込む。
【0002】
本願は、ガスエンジン交換用モータユニットに関し、特に、動力機器と共に用いるためのガスエンジン交換用モータユニットに関する。
【背景技術】
【0003】
小型の単気筒又は多気筒ガソリンエンジンを動力機器に取り付けて、動力取出シャフトにより機器を駆動することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置は、ハウジングと、ハウジングに結合され、バッテリパックを取り外し可能に受け入れるよう構成されるバッテリレセプタクルと、ハウジング内部に位置するモータと、モータからトルクを受け、ハウジングの側面から突出する動力取出シャフトと、バッテリパックからモータに電力を選択的に提供するよう構成される電力スイッチングネットワークと、電子プロセッサとを含んで提供される。電子プロセッサは、電力スイッチングネットワークに結合され、電力スイッチングネットワークを制御してモータを回転させるよう構成される。電子プロセッサは、モータのためのコマンド速度を受信し、コマンド速度が除外ゾーン内にあるかどうかを特定し、コマンド速度が除外ゾーンの外側にあることに応じて、モータのための出力速度をコマンド速度に設定し、コマンド速度が除外ゾーン内にあることに応じて、出力速度を除外ゾーン外側の速度に設定し、コマンド速度が除外ゾーン内にあると特定されたかどうかに基づいて設定される出力速度に従ってモータを回転させるよう電力スイッチングネットワークを制御するよう構成される。
【0005】
幾つかの実施形態において、電子プロセッサは、以前の出力速度が除外ゾーンよりも大きいことに応じて、出力速度を除外ゾーンの上限に設定するよう構成される。幾つかの実施形態において、電子プロセッサは、以前の出力速度が除外ゾーン未満であることに応じて、出力速度を除外ゾーンの下限に設定するよう構成される。幾つかの実施形態において、除外ゾーンは、モータに結合される機械システムの共振周波数の周りにヒステリシスを画成する。幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置は振動センサを含み、電子プロセッサは、振動センサの出力に基づいて共振周波数を識別するよう構成される。幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置は振動センサを含み、電子プロセッサは、振動センサの出力に基づいて除外ゾーンを生成するよう構成される。
【0006】
幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置は、ハウジングと、振動センサと、ハウジングに結合され、バッテリパックを取り外し可能に受け入れるよう構成されるバッテリレセプタクルと、ハウジング内部に位置するモータと、モータからトルクを受け、ハウジングの側面から突出する動力取出シャフトと、バッテリパックからモータに電力を選択的に提供するよう構成される電力スイッチングネットワークと、電子プロセッサとを含んで提供される。電子プロセッサは、電力スイッチングネットワークに結合され、電力スイッチングネットワークを制御してモータを回転させるよう構成される。電子プロセッサは、振動センサの出力に基づいて除外ゾーンを生成し、モータのためのコマンド速度を受信し、コマンド速度に基づいてモータのための出力速度を特定して動作速度を除外ゾーンの外側の値に制限し、特定した出力速度に従ってモータを回転させるよう電力スイッチングネットワークを制御するよう構成される。
【0007】
幾つかの実施形態において、電子プロセッサは、以前の出力速度が除外ゾーンよりも大きいことに応じて、出力速度を除外ゾーンの上限に設定するよう構成される。幾つかの実施形態において、電子プロセッサは、以前の出力速度が除外ゾーン未満であることに応じて、出力速度を除外ゾーンの下限に設定するよう構成される。幾つかの実施形態において、除外ゾーンは、モータに結合される機械システムの共振周波数の周りにヒステリシスを画成する。幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置は振動センサを含み、電子プロセッサは、振動センサの出力に基づいて共振周波数を識別するよう構成され、除外ゾーンは、識別した共振周波数に基づいて生成される。
【0008】
幾つかの実施形態において、システムは、ポンプとガスエンジン交換装置とを含んで提供される。ガスエンジン交換装置は、ハウジングと、ハウジングに結合され、バッテリパックを取り外し可能に受け入れるよう構成されるバッテリレセプタクルと、ハウジング内部に位置するモータと、モータからトルクを受け、ハウジングの側面から突出し、ポンプに結合する動力取出シャフトと、バッテリパックからモータに電力を選択的に提供するよう構成される電力スイッチングネットワークと、電子プロセッサとを含んで提供される。電子プロセッサは、電力スイッチングネットワークに結合され、電力スイッチングネットワークを制御してモータを回転させるよう構成される。電子プロセッサはまた、モータのためのコマンド速度を受信し、コマンド速度が除外ゾーン内にあるかどうかを特定し、コマンド速度が除外ゾーンの外側にあることに応じて、モータのための出力速度をコマンド速度に設定し、コマンド速度が除外ゾーン内にあることに応じて、出力速度を除外ゾーン外側の速度に設定し、コマンド速度が除外ゾーン内にあると特定されたかどうかに基づいて設定される出力速度に従ってモータを回転させるよう電力スイッチングネットワークを制御するよう構成される。
【0009】
幾つかの実施形態において、電子プロセッサは、以前の出力速度が除外ゾーンよりも大きいことに応じて、出力速度を除外ゾーンの上限に設定するよう構成される。幾つかの実施形態において、電子プロセッサは、以前の出力速度が除外ゾーン未満であることに応じて、出力速度を除外ゾーンの下限に設定するよう構成される。幾つかの実施形態において、除外ゾーンは、モータに結合される機械システムの共振周波数の周りにヒステリシスを画成する。幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置は振動センサを含み、電子プロセッサは、振動センサの出力に基づいて共振周波数を識別するよう構成され、除外ゾーンは、識別した共振周波数に基づいて生成される。
【0010】
幾つかの実施形態において、方法は、ガスエンジン交換装置の電子プロセッサによって、モータのためのコマンド速度を受信することを含んで提供される。方法は、更に、電子プロセッサによって、コマンド速度が除外ゾーン内にあるかどうかを特定することを含む。更に、電子プロセッサは、コマンド速度が除外ゾーンの外側にあることに応じて、モータのための出力速度をコマンド速度に設定し、コマンド速度が除外ゾーン内にあることに応じて、出力速度を除外ゾーン外側の速度に設定する。方法は更に、電子プロセッサによって、コマンド速度が除外ゾーン内にあると特定されたかどうかに基づいて設定される出力速度に従ってガスエンジン交換装置のモータを回転させるよう電力スイッチングネットワークを制御することを含む。
【0011】
方法の幾つかの実施形態において、電子プロセッサは、以前の出力速度が除外ゾーンより大きいことに応じて、出力速度を除外ゾーンの上限に設定する。方法の幾つかの実施形態において、電子プロセッサは、以前の出力速度が除外ゾーン未満であることに応じて、出力速度を除外ゾーンの下限に設定する。方法の幾つかの実施形態において、除外ゾーンは、モータに結合される機械システムの共振周波数の周りにヒステリシスを画成する。方法の幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置は振動センサを含み、電子プロセッサは、振動センサの出力に基づいて共振周波数を識別する。幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置は振動センサを含み、電子プロセッサは、振動センサの出力に基づいて除外ゾーンを生成する。
【0012】
幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置は、ハウジングと、ハウジングに結合され、バッテリパックを取り外し可能に受け入れるよう構成されるバッテリレセプタクルと、ハウジング内部に位置するモータと、モータからトルクを受け、ハウジングの側面から突出する動力取出シャフトと、バッテリパックからモータに電力を選択的に提供するよう構成される電力スイッチングネットワークと、電子プロセッサとを含んで提供される。電子プロセッサは、電力スイッチングネットワークに結合され、電力スイッチングネットワークを制御してモータを回転させるよう構成される。電子プロセッサは、モータのためのコマンド速度を受信し、コマンド速度に基づいてモータのための出力速度を生成し、暴走状態を検出し、暴走状態を緩和するよう構成される。
【0013】
幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置を操作するための方法が提供され、ガスエンジン交換装置は、ハウジングと、ハウジングに結合され、バッテリパックを取り外し可能に受け入れるよう構成されるバッテリレセプタクルと、ハウジング内部に位置するモータと、モータからトルクを受け、ハウジングの側面から突出する動力取出シャフトと、バッテリパックからモータに電力を選択的に提供するよう構成される電力スイッチングネットワークと、電子プロセッサとを含む。電子プロセッサは、電力スイッチングネットワークに結合され、電力スイッチングネットワークを制御してモータを回転させるよう構成される。方法は、ガスエンジン交換装置がモータのためのコマンド速度を受信することと、コマンド速度に基づいてモータのための出力速度を生成することと、暴走状態を検出することと、暴走状態を緩和することとを含む。
【0014】
幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置は、ハウジングと、ハウジングに結合され、バッテリパックを取り外し可能に受け入れるよう構成されるバッテリレセプタクルと、ハウジング内部に位置するモータと、モータからトルクを受け、ハウジングの側面から突出する動力取出シャフトと、バッテリパックからモータに電力を選択的に提供するよう構成される電力スイッチングネットワークと、電子プロセッサとを含んで提供される。電子プロセッサは、電力スイッチングネットワークに結合され、電力スイッチングネットワークを制御してモータを回転させるよう構成される。電子プロセッサは、モータ電流を監視し、モータ電流に基づいて負荷状態を推定し、負荷状態に基づいてモータコマンド速度を設定するよう構成される。
【0015】
幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置を操作するための方法が提供され、ガスエンジン交換装置は、ハウジングと、ハウジングに結合され、バッテリパックを取り外し可能に受け入れるよう構成されるバッテリレセプタクルと、ハウジング内部に位置するモータと、モータからトルクを受け、ハウジングの側面から突出する動力取出シャフトと、バッテリパックからモータに電力を選択的に提供するよう構成される電力スイッチングネットワークと、電子プロセッサとを含む。電子プロセッサは、電力スイッチングネットワークに結合され、電力スイッチングネットワークを制御してモータを回転させるよう構成される。方法は、ガスエンジン交換装置がモータ電流を監視することと、モータ電流に基づいて負荷状態を推定することと、負荷状態に基づいてモータコマンド速度を設定することとを含む。
【0016】
幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置は、ハウジングと、ハウジングに結合され、バッテリパックを取り外し可能に受け入れるよう構成されるバッテリレセプタクルと、ハウジング内部に位置するモータと、モータからトルクを受け、ハウジングの側面から突出する動力取出シャフトと、バッテリパックからモータに電力を選択的に提供するよう構成される電力スイッチングネットワークと、電子プロセッサとを含んで提供される。電子プロセッサは、電力スイッチングネットワークに結合され、電力スイッチングネットワークを制御してモータを回転させるよう構成される。電子プロセッサは、位置制御コマンドを受信し、装填位置を特定し、装填位置に基づいてモータを制御するよう構成される。
【0017】
幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置を操作するための方法が提供され、ガスエンジン交換装置は、ハウジングと、ハウジングに結合され、バッテリパックを取り外し可能に受け入れるよう構成されるバッテリレセプタクルと、ハウジング内部に位置するモータと、モータからトルクを受け、ハウジングの側面から突出する動力取出シャフトと、バッテリパックからモータに電力を選択的に提供するよう構成される電力スイッチングネットワークと、電子プロセッサとを含む。電子プロセッサは、電力スイッチングネットワークに結合され、電力スイッチングネットワークを制御してモータを回転させるよう構成される。方法は、ガスエンジン交換装置が位置制御コマンドを受信することと、装填位置を特定することと、装填位置に基づいてモータを制御することとを含む。
【0018】
任意の実施形態を詳細に説明する前に、実施形態は、その用途において、以下の説明に記載するか、又は以下の図面に示す構成部品の構造及び配置の詳細に限定されないことを理解されたい。本明細書中に説明する実施形態は、様々な方法において実施又は実行することが可能である。また、本明細書中で用いる表現及び用語は説明のためのものであり、制限するものとして見なしてはならないことは、理解されたい。本明細書中での「including」、「comprising」、又は「having」、及びそれらの変形例の使用は、それ以降に挙げる項目及びその均等物並びに追加項目を包含することを意味する。用語「取り付けられる」、「接続される」、及び「結合される」は、広義に用いられ、直接的及び間接的両方の取り付け、接続、及び結合を包含する。更に、「接続される」及び「結合される」は、物理的若しくは機械的な接続或いは結合に限定されず、直接的又は間接的に関わらず、電気的な接続若しくは結合を含むことができる。加えて、項目のリストと共に本明細書中で用いるように、「及び/又は」とは、項目が全て一緒に、サブセットで、又は代替として取られる可能性があることを意味する(例えば、「A、B、及び/又はC」は、A;B;C;A及びB;B及びC;A及びC;又はA、B、及びCを意味する)。
【0019】
複数のハードウェア及びソフトウェアベースの装置、並びに複数の異なる構造的構成部品が、本明細書中に説明する実施形態を実装するために利用されてもよいことに留意されたい。更に、後続の段落において説明するように、図面に示す特定の構成は、例示的な実施形態として意図しており、他の代替の構成が可能である。用語「プロセッサ」、「中央処理装置」、及び「CPU」は、特に指定のない限り交換可能である。用語「プロセッサ」又は「中央処理装置」若しくは「CPU」が、特定の機能を実行するユニットを識別するものとして用いられる場合、特に指定のない限り、それらの機能は、単一のプロセッサ、又は並列プロセッサ、直列プロセッサ、タンデムプロセッサ、若しくはクラウド処理/クラウドコンピューティング構成を含む任意の形態で配置される複数のプロセッサによって実行することができることを理解されたい。
【0020】
加えて、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、及び電子構成部品又はモジュールを含んでいてもよく、これらは、検討の目的のために、構成部品の大部分がハードウェアのみで実装されているかのように図示及び説明する可能性があることを理解されたい。しかし、当業者は、この詳細な説明を読むことに基づいて、少なくとも1つの実施形態において、電子ベースの態様が、マイクロプロセッサ及び/又は特定用途向け集積回路(「ASIC」)等の1つ以上の処理ユニットによって実行可能なソフトウェア(例えば、非一時的コンピュータ読取可能媒体に格納される)において実装されてもよいことを認識するであろう。このため、複数のハードウェア及びソフトウェアベースの装置、並びに複数の異なる構造的構成部品が、実施形態を実装するために利用されてもよいことに留意されたい。
【0021】
他の特徴及び態様は、以下の詳細な説明及び添付図面の考慮によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態によるガスエンジン交換装置の斜視図である。
【
図2】
図1のガスエンジン交換装置の平面図である。
【
図4】
図1のガスエンジン交換装置のバッテリパックの斜視図である。
【
図6】
図1のガスエンジン交換装置のバッテリレセプタクルの断面図である。
【
図7】
図1のガスエンジン交換装置のモータの断面図である。
【
図8】
図1のガスエンジン交換装置のモータ、歯車列、及び動力取出シャフトの略図である。
【
図9】
図1のガスエンジン交換装置のブロック図である。
【
図10】
図1のガスエンジン交換装置のモータを駆動するための電力スイッチングネットワークの略図である。
【
図11】Aは、モータの前進動作中の
図10の電力スイッチングネットワークの動作を示す図である。Bは、モータの逆動作中の
図10の電力スイッチングネットワークの動作を示す図である。
【
図12】
図1のガスエンジン交換装置のモータコントローラの略ブロック図である。
【
図13】
図12のモータコントローラによって用いられる速度プロファイルを示す図である。
【
図14】
図1のガスエンジン交換装置のモータの速度制御のための例示的な方法のフロー図である。
【
図15】
図1のガスエンジン交換装置を含むポンプシステムを示す。
【
図16】ポンプシステムの速度-トルク動作曲線を示す。
【
図17】
図1のガスエンジン交換装置のモータの暴走検出及び制御のための方法のフロー図である。
【
図18】
図1のガスエンジン交換装置を用いる負荷監視のための方法のフロー図である。
【
図19】幾つかの実施形態による、負荷状態を識別するために有用なモータ電流における外乱を示す図である。
【
図20】幾つかの実施形態による、負荷状態を識別するために有用なモータ電流における外乱を示す図である。
【
図21】
図1のガスエンジン交換装置を含むミキシングシステムを示す。
【
図22】
図1のガスエンジン交換装置を含む切断システムを示す。
【
図23】
図1のガスエンジン交換装置を用いる負荷位置決めのための例示的な方法のフロー図である。
【
図24】
図1のガスエンジン交換装置における1つ以上の電子部品のための冷却システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1及び2に示すように、動力機器の一部と共に用いるためのガスエンジン交換装置10は、第1の側面18と、第1の側面18に隣接する第2の側面22と、第2の側面22に対向する第3の側面26と、第1の側面18に対向する第4の側面28と、第2及び第3の側面22、26間に延在する第5の側面30と、第5の側面30に対向する第6の側面32とを有するハウジング14を含んでいる。ガスエンジン交換装置10はまた、第1の側面18でハウジング14に結合されるフランジ34と、ハウジング14内部に位置する電気モータ36と、第2の側面22から突出し、モータ36からのトルクを受け取る動力取出シャフト38とを含んでいる。以下で更に詳細に説明するように、幾つかの実施形態において、動力取出シャフト38は、第1の側面18及びフランジ34から突出している。
図3に示すように、ガスエンジン交換装置10はまた、ハウジング14内部に位置決めされ、モータ36に電気的に接続される配線及びコントローラ46を含む制御電子機器42も含んでいる。同様のガスエンジン交換装置10は、2019年8月26日出願の米国特許出願第16/551,197号明細書に記載及び図示されており、その内容の全てを引用して本明細書中に組み込む。
【0024】
図1~6に示すように、ガスエンジン交換装置10はまた、ハウジング14内のバッテリレセプタクル54に取り外し可能に受け入れられてバッテリパック50から制御電子機器42を介してモータ36に電流を伝達するバッテリパック50も含んでいる。
図4~6を参照すると、バッテリパック50は、支持部62と、パックハウジング58によって支持される複数のバッテリセル68に電気的に接続される第1の端子66とを有するバッテリパックハウジング58を含んでいる。支持部62は、バッテリレセプタクル54の相補突出部/凹部74(
図6に示す)と協働する突出部/凹部70を有するスライドオン編成を提供する。
図4~6に示す実施形態において、バッテリパック50の突出部/凹部70はガイドレールであり、バッテリレセプタクル54の突出部/凹部74はガイド凹部である。同様のバッテリパックは、2018年7月2日出願の米国特許出願公開第2019/0006980号明細書に記載及び図示されており、その内容の全てを引用して本明細書中に組み込む。幾つかの実施形態において、バッテリセル68は、最大約80Vの公称電圧を有する。幾つかの実施形態において、バッテリセル68は、最大約120Vの公称電圧を有する。幾つかの実施形態において、バッテリパック50は、最大約6lbの重量を有する。幾つかの実施形態において、バッテリセル68のそれぞれは、最大21mmの直径及び最大約71mmの長さを有する。幾つかの実施形態において、バッテリパック50は、最大20個のバッテリセル68を含む。幾つかの実施形態において、バッテリセル68は直列に接続される。幾つかの実施形態において、バッテリセル68は、約40A~約60Aの間の持続動作放電電流を出力するよう動作可能である。幾つかの実施形態において、バッテリセル68のそれぞれは、約3.0Ah~約5.0Ahの間の容量を有する。
【0025】
図6は、幾つかの実施形態によるガスエンジン交換装置10のバッテリレセプタクル54を示している。バッテリレセプタクル54は、突出部/凹部74と、第2の端子78と、ラッチ機構82と、電力切断スイッチ86とを含んでいる。突出部/凹部74は、バッテリパック50をガスエンジン交換装置10のバッテリレセプタクル54に装着するようバッテリパック50の突出部/凹部70と協働する。バッテリパック50がガスエンジン交換装置10に装着されると、第2の端子78及び第1の端子66は電気的に接続される。ラッチ機構82は、バッテリレセプタクル54の表面から突出し、バッテリパック50と係合してバッテリパック50とバッテリレセプタクル54との間の係合を維持するよう構成される。従って、バッテリパック50は、バッテリパック50がガスエンジン交換装置10のハウジング14によって支持可能であるように、バッテリレセプタクル54に接続可能であり、それによって支持可能である。幾つかの実施形態において、バッテリパックレセプタクル54は、モータ36からバッテリパック50に伝達される振動を抑制するために、モータ36とバッテリパック50との間に最大可能離間距離を生じる位置においてハウジング14上に配置される。幾つかの実施形態において、エラストマー部材が、モータ36からハウジング14を介してバッテリパック50に伝達される振動を抑制するために、バッテリパックレセプタクル54上に配置される。
【0026】
他の実施形態(図示せず)において、ラッチ機構82は、ラッチ機構82がバッテリパック50上の対応する構造と係合してバッテリパック50とバッテリレセプタクル54との間の係合を維持するように、様々な位置(例えば、バッテリレセプタクル54の側壁、端壁、上端壁等)に配設されてもよい。ラッチ機構82は、ラッチ部材94と動作可能に係合する枢動自在なアクチュエータ又はハンドル90を含んでいる。ラッチ部材94は、レセプタクル54のボア98内に摺動自在に配設され、付勢部材102(例えば、ばね)によってラッチ位置に向かって付勢されて、バッテリレセプタクル54の表面を通って、バッテリパック50内のキャビティ内に突出する。
【0027】
ラッチ機構82はまた、ラッチ部材94をバッテリパック50から引き出すハンドル90の作動の間、バッテリパック50をバッテリレセプタクル54から電気的に接続/切断することを容易にする電力切断スイッチ86(例えば、マイクロスイッチ)も含んでいる。電力切断スイッチ86は、バッテリレセプタクル54からバッテリパック50を取り外す前に、ガスエンジン交換装置10からバッテリパック50を電気的に切断するよう作用してもよい。電力切断スイッチ86は、ラッチ部材94がラッチ位置(即ち、ラッチ部材94が完全にバッテリパック50のキャビティ内部にある場合)から中間位置に移動する場合に作動する。電力切断スイッチ86は、コントローラ46に電気的に接続されており、バッテリパック50がガスエンジン交換装置10から切断されていることを示す割込を生成してもよい。コントローラ46が割込を受信すると、コントローラ46は、電源切断動作を開始して、ガスエンジン交換装置10の制御電子機器42を安全に電源切断する。同様のラッチ機構及び切断スイッチは、米国特許出願公開第2019/0006980号明細書に記載及び図示されており、引用して本明細書中に組み込んでいる。
【0028】
図7に示すように、モータ36は、外径97を有するモータハウジング96と、最大約80mmの公称外径103を有する固定子99と、出力シャフト106を有し、固定子99内部で回転するために支持される回転子104と、ファン108とを含んでいる。同様のモータは、米国特許出願公開第2019/0006980号明細書に記載及び図示されており、引用して本明細書中に組み込んでいる。幾つかの実施形態において、モータ36はブラシレス直流モータである。幾つかの実施形態において、モータ36は、少なくとも約2760Wの電力出力を有する。幾つかの実施形態において、モータ36の電力出力は、動作中に2760W未満に低下する可能性がある。幾つかの実施形態において、ファン108は、モータハウジング96の直径97大きい直径109を有している。幾つかの実施形態において、モータ36は、迅速な過負荷制御のために電子クラッチ(図示せず)により停止させることができる。幾つかの実施形態において、モータ36は、最大約443,619mm
3の体積を有する。幾つかの実施形態において、モータは、最大約4.6lbの重量を有する。ハウジング14は、空気が出口ベントを通して排出される前に、モータファン108が、空気を入口ベントを通して制御電子機器42に沿って引き込んで、制御電子機器42を冷却するように、入口ベント及び出口ベントを含んでいる。
図7に示す実施形態において、モータ36は内部回転子モータであるが、他の実施形態において、モータ36は、最大約80mmの公称外径(即ち、回転子の公称外径)を有する外部回転子モータとすることができる。
【0029】
図8を参照すると、モータ36は、様々な構成で動力取出シャフト38にトルクを伝達することができる。幾つかの実施形態において、出力シャフト106はまた、モータ36がいかなる中間歯車列も欠いて動力取出シャフト38を直接駆動するような、動力取出シャフト38でもある。例えば、モータ36は、直接駆動式多極数モータであってもよい。
図8に示すように、他の実施形態において、ガスエンジン交換装置10は、モータ36から動力取出シャフト38にトルクを伝達する歯車列110を含む。幾つかの実施形態において、歯車列110は、モータ36から動力取出シャフト38へのトルクの伝達を中断する機械クラッチ(図示せず)を含むことができる。幾つかの実施形態において、歯車列110は、出力シャフト106から動力取出シャフト38にトルクを伝達する遊星トランスミッションを含んでいてもよく、出力シャフト106の回転軸は、動力取出シャフト38の回転軸と同軸である。幾つかの実施形態において、歯車列110は、出力シャフト106の回転軸が、動力取出シャフト38の回転軸からオフセットされ、それと平行となるように、回転子の出力シャフト106と係合する平歯車を含んでいる。幾つかの実施形態において、歯車列110は、出力シャフト106の回転軸が動力取出シャフト38の回転軸に対して垂直となるように、傘歯車を含んでいる。傘歯車を利用する他の実施形態において、出力シャフト106の回転軸は、動力取出シャフト38の回転軸に対して垂直、平行、又は同軸ではなく、動力取出シャフト38はフランジ34から突出している。
【0030】
幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置10は、オン/オフインジケータ(図示せず)を含んでいる。幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置10は、空中浮遊デブリをモータ36及び制御電子機器42の中に入れないようにするフィルタ(図示せず)を含んでいる。幾つかの実施形態において、フィルタは、汚れフィルタセンサ(図示せず)及び自己洗浄機構(図示せず)を含んでいる。幾つかの実施形態において、モータ36は、減速又はぬかるみにはまり込む等の抵抗に遭遇する場合に、ガスエンジン応答を模倣するであろう。幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置10は、制御電子機器42(
図1及び2)を空冷するためのヒートシンク202をハウジング14内に含んでいる。幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置10は液冷式である。
【0031】
幾つかの実施形態において、回転子104の出力シャフト106は、以下で更に説明するように、前進及び後退の両方の能力を有している。幾つかの実施形態において、前進及び後退能力は、余分な歯車及び時間遅延なしに前進/後退能力を達成することができないガスエンジンと比較して、歯車列110の歯車をシフトすることなく制御可能である。従って、ガスエンジン交換装置10は、高速化、軽量化、低コスト化を提供する。ガスエンジン交換装置10は、ガスエンジンと比較して、より少ない可動部品を有し、燃焼システムを持たないため、追加の速度、重量、及びコストの利点も提供する。
【0032】
ガスエンジン交換装置10は、長期間にわたって地面に対して任意の向き(垂直、水平、上下逆)で動作することが可能であり、1つの向き及びわずかな傾きで短時間しか動作することができない4サイクルガスエンジンに優る利点を与える。ガスエンジン交換装置10は、ガス、オイル、又は他の流体を必要としないため、漏れ又は溢れを生じることなく、上下逆に又は任意の所与の側面で運転し、輸送し、保管することができる。
【0033】
動作時において、ガスエンジン交換装置10を用いてガスエンジンシステムを交換することができる。具体的には、ガスエンジン交換装置10は、フランジ34内の複数のアパーチャによって画成される第1のボルトパターンを第2のボルトパターンと整列させることによって、第2のボルトパターンを有する動力機器の一部に取り付けることができる。幾つかの実施形態において、フランジ34は、アダプタがフランジ34を動力機器に結合するように、フランジ34自体と第2のボルトパターンを有する動力機器の一部のフランジとの間に配置される1つ以上の中間取付部材又はアダプタを含んでいてもよい。これらの実施形態において、アダプタは、フランジ34の第1のボルトパターンがアダプタの第1のボルトパターンと整列し、アダプタの第2のボルトパターンが動力機器の一部に画成される第2のボルトパターンと整列し、それによってガスエンジン交換装置10のフランジ34が動力機器の一部に結合されることを可能にするように、第2のボルトパターン及び第1のボルトパターンの両方を含んでいる。
【0034】
代替として、ガスエンジン交換装置10は、動力取出シャフトと機器ビットとを動作可能に接続するベルトを設けることによって、ベルトシステムを用いて動力機器の一部に接続することができる。従って、ガスエンジン交換装置10の動力取出シャフト38は、機器を駆動するために用いることができる。
【0035】
動作中、ガスエンジン交換装置10のハウジング14は、ガスエンジン交換装置10において燃焼がないため、内燃ユニットのハウジングよりも比較的はるかに低温である。具体的には、ガスエンジンユニットの運転時、ガスエンジンユニットのハウジングは220℃以上となる。対照的に、ガスエンジン交換装置10の運転時、ハウジング14の外面の全ては、95℃未満である。以下の表1及び2は、ガスエンジン交換装置10のハウジング14上の種々のコンポーネントの温度限界を更に具体的に列挙している。
【0036】
以下の表1は、電動工具において通常用いられる種々のコンポーネントの米国保険業者安全試験所(Underwriter’s Laboratories)(UL)の温度限界を、それらのコンポーネントが金属、プラスチック、ゴム、木材、磁器、又はガラス質から形成されているかどうかに関して列挙している。例えば、少なくとも幾つかの実施形態において、プラスチックの定格温度がガスエンジン交換装置10によって超えられることはない。
【0037】
【0038】
以下の表2は、バッテリパック50のバッテリパックハウジング58の種々のコンポーネントのUL温度限界を、それらのコンポーネントが金属、プラスチック、又はゴムから形成されているかどうかに関して列挙している。例えば、少なくとも幾つかの実施形態において、プラスチックの定格温度がガスエンジン交換装置10によって超えられることはない。
【0039】
【0040】
図9は、例示的な一実施形態によるガスエンジン交換装置10の簡略化したブロック図を示している。
図9に示すように、ガスエンジン交換装置10は、電子プロセッサ302と、メモリ306と、バッテリパック50と、電力スイッチングネットワーク310と、モータ36と、回転子位置センサ314と、電流センサ318と、ユーザ入力装置322(例えば、スロットル、トリガ、又は電源ボタン)と、トランシーバ326と、インジケータ330(例えば、発光ダイオード)と、振動センサ320とを含んでいる。幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置10は、
図9に示すものよりも少ない又は追加のコンポーネントを含む。例えば、ガスエンジン交換装置10は、バッテリパック燃料計、作業灯、追加センサ、キルスイッチ、電力切断スイッチ86等を含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、電子プロセッサ302、メモリ306、電力スイッチングネットワーク310、回転子位置センサ314、電流センサ318、ユーザ入力装置322、トランシーバ326、インジケータ330、及び振動センサ320のうちの1つ以上を含む
図9に示すガスエンジン交換装置10の要素は、
図3に示す制御電子機器42の少なくとも一部を形成し、電子プロセッサ302及びメモリ306は、
図3に示すコントローラ46の少なくとも一部を形成している。
【0041】
メモリ306は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他の非一時的コンピュータ読取可能媒体、又はそれらの組み合わせを含む。電子プロセッサ302は、メモリ306と通信してデータを格納し、格納されたデータを取り出すよう構成される。電子プロセッサ302は、メモリ306から命令及びデータを受信し、とりわけ命令を実行するよう構成される。特に、電子プロセッサ302は、メモリ306に格納された命令を実行して、本明細書中に説明する方法を実行する。
【0042】
上で説明したように、幾つかの実施形態において、バッテリパック50は、異なるバッテリパック50をガスエンジン交換装置10に着脱して、異なる量の電力をガスエンジン交換装置10に提供してもよいように、ガスエンジン交換装置10のハウジングに着脱自在に取り付けられる。バッテリパック50(例えば、公称電圧、持続動作放電電流、大きさ、セルの数、動作等)、並びにモータ36(例えば、出力、大きさ、動作等)の更なる説明は、
図1~8に関して上で提供されている。
【0043】
電力スイッチングネットワーク310は、電子プロセッサ302がモータ36の動作を制御することを可能にする。一般に、ユーザ入力装置322が押下される(又は他の方法で作動される)場合、電流が、電力スイッチングネットワーク310を介してバッテリパック50からモータ36に供給される。ユーザ入力装置322が押下されていない(又は他の方法で作動していない)場合、電流は、バッテリパック50からモータ36に供給されない。幾つかの実施形態において、ユーザ入力装置322が押下される量は、モータ36の所望の回転速度に関連するか、又はそれに対応している。他の実施形態において、ユーザ入力装置322が押下される量は、所望のトルクに関連するか、又はそれに対応している。他の実施形態において、モータ36に対して所望の回転速度又はトルクを提供するよう電子プロセッサ302と通信する別個の入力装置(例えば、スライダ、ダイヤル等)がガスエンジン交換装置10に含まれる。
【0044】
電子プロセッサ302がユーザ入力装置322から駆動要求信号を受信することに応じて、電子プロセッサ302は電力スイッチングネットワーク310を作動させてモータ36に電力を供給する。電力スイッチングネットワーク310を介して、電子プロセッサ302は、モータ36に利用可能な電流の量を制御し、それによってモータ36の速度及びトルク出力を制御する。電力スイッチングネットワーク310は、多数の電界効果トランジスタ(FET)、バイポーラトランジスタ、又は他の種類の電気スイッチを含んでいてもよい。例えば、電力スイッチングネットワーク310は、電子プロセッサ302からパルス幅変調(PWM)信号を受信してモータ36を駆動する6-FETブリッジ(
図10参照)を含んでいてもよい。
【0045】
回転子位置センサ314及び電流センサ318は、電子プロセッサ302に結合され、ガスエンジン交換装置10又はモータ36の異なるパラメータを示す様々な制御信号を電子プロセッサ302に伝達する。幾つかの実施形態において、回転子位置センサ314は、1つのホールセンサ又は複数のホールセンサを含む。他の実施形態において、回転子位置センサ314は、モータ36に取り付けられる直角位相エンコーダを含む。回転子位置センサ314は、モータ36の回転子の磁石がホールセンサの面を横切って回転する場合の指標(例えば、パルス)等のモータフィードバック情報を電子プロセッサ302に出力する。更に他の実施形態において、回転子位置センサ314は、例えば、モータコイルにおいて生成される逆起電力(逆emf)の指標を提供する電圧又は電流センサを含む。電子プロセッサ302は、回転子位置センサ314、即ち、電圧又は電流センサから受信する逆起電力信号に基づいて、回転子位置、回転子速度、及び回転子加速度を特定してもよい。回転子位置センサ314は、電流センサ318と組み合わされて、電流及び回転子位置複合センサを形成することができる。この実施例において、複合センサは、モータ36のアクティブ相コイルに流れる電流を提供し、また、モータ36の1つ以上の非アクティブ相コイル内に電流を提供する。電子プロセッサ302は、アクティブ相コイルに流れる電流に基づいてモータに流れる電流を測定し、非アクティブ相コイル内の電流に基づいてモータ速度を測定する。
【0046】
回転子位置センサ314からのモータフィードバック情報に基づいて、電子プロセッサ302は、回転子の位置、速度、及び加速度を特定することができる。モータフィードバック情報及びユーザ入力装置322からの信号に応じて、電子プロセッサ302は、制御信号を送信して、電力スイッチングネットワーク310を制御し、モータ36を駆動する。例えば、電力スイッチングネットワーク310のFETを選択的に有効及び無効にすることによって、バッテリパック50から受け取る電力を、モータ36の回転子を回転させるよう、周期的にモータ36の固定子巻線に選択的に印加する。モータフィードバック情報は、電子プロセッサ302によって用いられて、電力スイッチングネットワーク310への制御信号の適切なタイミングを保証し、場合によっては、閉ループフィードバックを提供して、モータ36の速度を所望のレベルになるよう制御する。例えば、モータ36を駆動するため、回転子位置センサ314からのモータ位置決め情報を用いて、電子プロセッサ302は、回転子磁石が固定子巻線に対してどこにあるかを特定し、(a)所定のパターンで次の固定子巻線対(又は複数の対)を励磁して所望の回転方向に回転子磁石に対して磁力を与え、(b)先に励磁された固定子巻線対(又は複数の対)を消磁して回転子の回転方向と反対にある回転子磁石への磁力の印加を防ぐ。
【0047】
電流センサ318は、ガスエンジン交換装置10の動作中にモータ36の電流レベルを監視又は検出し、検出された電流レベルを示す制御信号を電子プロセッサ302に提供する。電子プロセッサ302は、以下でより詳細に説明するように、検出された電流レベルを用いて電力スイッチングネットワーク310を制御してもよい。
【0048】
トランシーバ326は、有線又は無線通信ネットワーク334による電子プロセッサ302と外部装置338(例えば、スマートフォン、タブレット、又はラップトップコンピュータ)との間の通信を可能にする。幾つかの実施形態において、トランシーバ326は、別個の送信及び受信コンポーネントを備えていてもよい。幾つかの実施形態において、トランシーバ326は、ガスエンジン交換装置10に取り付けられる無線アダプタを備えていてもよい。幾つかの実施形態において、トランシーバ326は、電子プロセッサ302から受信する情報を搬送波無線信号に符号化し、通信ネットワーク334を介して外部装置338に符号化した無線信号を送信する無線トランシーバである。トランシーバ326はまた、通信ネットワーク334を介して外部装置338から受信する無線信号から情報を復号し、復号した情報を電子プロセッサ302に提供する。幾つかの実施形態において、トランシーバ326は、通信ネットワーク334を介して1つ以上の外部センサ340と通信する。例えば、外部センサ340は、ガスエンジン交換装置10が取り付けられる機器に関連付けられてもよい。幾つかの実施形態において、外部センサ340は、速度センサ、位置センサ等である。
【0049】
通信ネットワーク334は、ガスエンジン交換装置10、外部装置338、及び外部センサ340間の有線又は無線接続を提供する。通信ネットワーク334は、近距離ネットワーク、例えば、BLUETOOTHネットワーク、Wi-Fiネットワーク等、又は長距離ネットワーク、例えば、インターネット、セルラーネットワーク等を備えていてもよい。
【0050】
図9に示すように、インジケータ330はまた、電子プロセッサ302に結合され、電子プロセッサ302から制御信号を受信して、ガスエンジン交換装置10の異なる状態に基づいてオン及びオフにするか、又はその他の場合は情報を伝達する。インジケータ330は、例えば、1つ以上の発光ダイオード(「LED」)、又は表示画面を含む。インジケータ330は、ガスエンジン交換装置10の状態又はそれに関連する情報を表示するよう構成されてもよい。例えば、インジケータ330は、ガスエンジン交換装置10の測定された電気的特性、ガスエンジン交換装置10の状態、ガスエンジン交換装置10のモード等を示すよう構成される。インジケータ330はまた、可聴又は触覚出力を介してユーザに情報を伝達する要素を含んでいてもよい。幾つかの実施形態において、インジケータ330は、動作中に負荷によって用いられている電力量を示すエコインジケータを含む。
【0051】
ガスエンジン交換装置10のコンポーネント間を示す接続は、
図9では簡略化している。実際には、ガスエンジン交換装置のコンポーネントが電力及び制御信号のための幾つかの配線によって相互接続されるため、ガスエンジン交換装置10の配線はより複雑である。例えば、電力スイッチングネットワーク310の各FETは制御ラインによって電子プロセッサ302に別々に接続され、電力スイッチングネットワーク310の各FETはモータ36の端子に接続され、バッテリパック50から電力スイッチングネットワーク310への電力ラインは正電線及び負/接地電線を含む、等である。加えて、電力線は、増加した電流を処理するよう大きなゲージ/直径を有することができる。更に、図示していないが、追加の制御信号及び電力ラインが、ガスエンジン交換装置10の追加のコンポーネントを相互接続するために用いられる。
【0052】
図10は、ガスエンジン交換装置10のモータ36を駆動するための電力スイッチングネットワーク310の一実施例を示している。電力スイッチングネットワーク310は、3つのハイサイドFET H1、H2、及びH3と、3つのローサイドFET L1、L2、及びL3とを含んでおり、それぞれは第1の、即ち導通状態と、第2の、即ち非導通状態とを有している。電力スイッチングネットワーク210は、バッテリパック50からモータ36に電力を選択的に印加するために用いられる。ハイサイドスイッチ及びローサイドスイッチが、モータ36を順方向及び逆方向に動作させるために制御される例示的な方法を以下に説明する。
【0053】
ハイサイドスイッチ及びローサイドスイッチは、(パルス幅変調)PWM転流、中心線転流、又は他の転流方式を用いて制御されてもよい。
図11Aは、順方向に回転するようモータ36を制御する単純なPWM転流を示している。
図11Aに示すように、ハイサイドFET H1、H2、及びH3のそれぞれは、転流位相全体にわたって周期的に導通している。FET H1、H2、及びH3のうちの1つが導通を停止すると、次のハイサイドFETが導通を開始する。同様に、ローサイドFET L1、L2及びL3のそれぞれは、転流位相全体にわたって周期的に導通している。FET L1、L2及びL3のうちの1つが導通を停止すると、次のローサイドFETが導通を開始する。しかし、ハイサイド又はローサイドFETの一方又は両方は、モータ36の所望の速度又はモータ36に対する負荷に基づいて、転流位相の期間のみにわたって(例えば、75%、50%、25%、又は別のデューティ比を有するPWM信号により)作動してもよい。図示の実施例において、モータ36を順方向に駆動するため、ハイサイド及びローサイドFETが所定の対で、且つ所定のシーケンスで作動する。
図11Aに示す実施例において、H1とL2がまず第1に作動し、次にH2とL3が作動し、次にH3とL1が作動する。このシーケンスは、前進動作におけるモータ36の運転時間の間継続される。
図11Bは、逆方向に回転するようモータ36を制御する単純なPWM転流を示している。
図11Bに示す実施例において、H1とL3がまず第1に作動し、次にH3とL2が作動し、次にH2とL1が作動する。このシーケンスは、逆動作におけるモータ36の運転時間の間継続される。幾つかの実施形態において、シーケンスに対する1つ以上の変形例を、所望のモータ動作に基づいて行うことができる。例えば、ハイサイド及びローサイドFETの一方又は両方は、モータの速度を制御するよう、それらの作動フェーズ中のある周波数で切り替えられてもよい。加えて、ハイサイド及びローサイドFETの作動位相は、他の作動との重複を生成するようシフトされて、異なる制御(例えば、フィールド指向制御)を達成してもよい。
【0054】
図12は、幾つかの実施形態において、メモリ306に格納され、電子プロセッサ302によって実行されるソフトウェアによって実装されるモータコントローラ400の略ブロック図である。モータコントローラ400は、プロファイルジェネレータ405と、速度コントローラ410と、トルクコントローラ415と、ブラシレスコントローラ420と、D/DTユニット425とを含む。幾つかの実施形態において、D/DTユニット425は、シャフト角度の導関数を計算して、シャフト速度を特定する。プロファイルジェネレータ405は、スロットル設定(例えば、ユーザ入力装置322から)及びシステム設定を受信する。プロファイルジェネレータ405は、速度コントローラ410のための速度基準及びトルクコントローラ415のためのトルク基準を生成する。プロファイルジェネレータ405は、速度及びトルク制御をモータ36に結合される機械システムの特定の特徴と整合させる。
【0055】
トルクコントローラ415は、回転子位置センサ314からシャフト角度フィードバックを受信し、速度コントローラ410は、D/DTユニット425からシャフト速度フィードバックを受信する。ブラシレスコントローラ420は、速度コントローラ410及びトルクコントローラ415の速度及びトルク出力を受信し、上で説明したような電力スイッチングネットワーク310のための制御信号を生成する。例えば、ブラシレスコントローラ420は、電力スイッチングネットワーク310の電力スイッチング素子のそれぞれに対するPWM信号のシーケンスを生成してモータ36を駆動してもよい。モータコントローラ400は、広い動作範囲にわたって独立した速度及びトルク制御を提供する。モータコントローラ400は、内燃機関の一般的な速度範囲を超える広い速度範囲にわたる動作を可能にする。例えば、レシプロエンジンは、小さな動作速度及びトルク伝達範囲に制限される一方で、モータコントローラ400は、内燃機関によって駆動されるシステムにおいて一般的な複雑なギアボックス又は減速機を必要とすることなく、その範囲にわたって完全なトルク制御を有する略無限の速度範囲を提供する。モータコントローラ400は、失速速度又はそれをわずかに上回る速度で定格トルクを発生させることができるため、ジョグ及びインチング用途のための低速動作を支援する。
【0056】
プロファイルジェネレータ405は、機械システムと一致する速度プロファイルの使用を可能にし、それによって、ポンピング用途におけるポンプキャビテーション又は水撃作用の検出、ファン及びポンプのための非線形速度及びトルク関係、リフティング及びテンション巻上げ用途のためのトルク制限及び制御等の特徴を可能にする。幾つかの実施形態において、機械システムへの損傷を軽減するため、モータコントローラ400は、失速又はロック状態を検出し、トルクコントローラ415によって出力されるトルクを制限する。モータコントローラ400は、不正確な機械式ガバナを必要とする内燃機関によって動作する機械システムと比較して、滑らかな加速及び速度の閉ループ調節を可能にする。モータコントローラ400は、負荷に依存しない速度制御を提供し、それによって、負荷下での(例えば、切断又は仕上げ用途のための)一定速度動作を可能にする。幾つかの実施形態において、プロファイルジェネレータ405は、シャフト速度、シャフト角度、又はその両方を受信する。
【0057】
図13及び14を参照すると、モータコントローラ400は、スキップ速度技術を採用して、モータ36に結合される機械システムに固有の機械的共振を回避している。
図13は、幾つかの実施形態による、プロファイルジェネレータ405によって用いられる速度プロファイルを示す
図450である。
図14は、モータ36の速度制御のための例示的な方法のフロー
図500である。
【0058】
機械システムは、多くの場合、機械システムの固有共振周波数に関連する回転速度を有している。これらの速度における動作は、機械システムの過度の摩耗及び故障を引き起こす可能性がある。一般的な内燃機関用途において、振動ダンパ又は他の方法を用いて、機械的振動による損傷を防止してもよい。モータコントローラ400は、幾つかの実施形態において、機械的共振を引き起こす速度を回避し、振動減衰機器の必要性を軽減するようプログラムされている。プロファイルジェネレータ405は、所定のプログラムされた速度範囲を回避する速度プロファイルを提供する。一実施形態において、プロファイルジェネレータ405は、ヒステリシスを有する速度コマンドを提供する。
【0059】
プロファイルジェネレータ405は、コマンド速度(例えば、スロットル設定又はシステム設定によって特定される)を受信し、速度コントローラ410のための出力速度を生成する。
図13に示すように、コマンド速度及び出力速度は、コマンド速度がスキップ速度に近づくまで追従する。除外ゾーン455は、プログラムされた速度範囲(例えば、機械システムに対して定義されたスキップ速度又は共振周波数の境界)に対応して定義される。例えば、除外ゾーン455は、上限速度460及び下限速度465によって定義される。コマンド速度が増加し続けても、プロファイルジェネレータ405は、コマンド速度が除外ゾーン455の上限460を超えるまで、出力速度を第1の(低)速度値470に維持する。第1の(低)速度値470は、下限速度465におけるコマンド速度に関連付けられる速度値である。コマンド速度が除外ゾーン455を超えた後、出力速度はコマンド速度に一致するよう増加する。プロファイルジェネレータ405は、増加コマンド速度及び減少コマンド速度の両方に対して除外ゾーンを実装する。例えば、コマンド速度が上限460以下に減少すると、プロファイルジェネレータ405は、コマンド速度が除外ゾーン455の下限465未満に減少するまで、出力速度を第2の(高)速度値475に維持する。第2の(高)速度値470は、上限速度460におけるコマンド速度に関連付けられる速度値である。コマンド速度が除外ゾーン455未満に減少した後、出力速度はコマンド速度に一致するよう低下する。幾つかの実施形態において、複数の除外ゾーンがプロファイルジェネレータ405によって実装されてもよい。
【0060】
幾つかの実施形態において、除外ゾーン455は、プロファイルジェネレータ405に予めプログラムされている。例えば、除外ゾーンの上限及び下限は、ガスエンジン交換装置10が含まれる特定の機械システムの振動試験、及びメモリ306に保存される限界に基づいて特定されてもよい。他の実施形態において、プロファイルジェネレータ405は、機械システムの振動を測定する振動センサ320(
図9参照)を採用している。幾つかの実施形態において、プロファイルジェネレータ405は、振動限界を超える振動センサ320の出力に応じて除外ゾーン455を採用する。幾つかの実施形態において、プロファイルジェネレータ405は、機械システムの振動特性に関するデータが振動センサ320によってある期間にわたって収集される際に、除外ゾーン455を動的に設定する学習技法を用いている。
【0061】
幾つかの実施形態において、プロファイルジェネレータ405は、振動センサ320のリアルタイム出力に基づいて除外ゾーン455を動的に特定する。振動センサ320が第1の閾値を超える振動を測定した場合、プロファイルジェネレータ405は出力速度を第1の値に制限し、それによって除外ゾーン455の第1の限界(即ち、コマンド速度が減少している場合は上限、又はコマンド速度が増加している場合は下限)を設定する。コマンド速度が変化し続けるにつれて、プロファイルジェネレータ405は、出力速度を暫定コマンド速度に設定し、振動センサ320が第1の閾値未満の振動を測定したかどうかを特定する。振動レベルが暫定コマンド速度において第1の閾値を下回らない場合、プロファイルジェネレータ405は、ガスエンジン交換装置10が依然として除外ゾーン455にあると特定し、出力速度を第1の値に戻す。振動レベルが暫定コマンド速度において第1の閾値を下回った場合、プロファイルジェネレータ405は、除外ゾーンの第2の限界を超えたと特定し、暫定コマンド速度における継続運転を可能にする。幾つかの実施形態において、プロファイルジェネレータ405は、第2の限度を超えるまで、コマンド速度の変化の所定の増分で暫定コマンド速度を設定する。
【0062】
上で述べたように、
図14のフロー
図500は、モータ36の速度制御方法のためのものである。フロー
図500を、ガスエンジン交換装置10上に実装される
図12のモータコントローラ400、及び
図13に概して示すような除外ゾーンに関して説明する。しかし、幾つかの実施形態において、フロー
図500の方法は、他の装置又はモータコントローラ400の変形例によって実装され、幾つかの実施形態において、フロー図は、
図13に示すものとは異なる形態をとる除外ゾーンと共に実装される。
図14を参照すると、ブロック505において、プロファイルジェネレータ405は、モータ36に対するコマンド速度(例えば、先に説明したように、スロットル設定又はシステム設定によって示す)を受信する。例えば、幾つかの実施形態において、スロットル設定及びシステム設定は、モータ36の所望の速度を表す値である。
【0063】
ブロック510において、プロファイルジェネレータ405は、コマンド速度が除外ゾーン内にあるかどうかを特定する(ブロック510において)。例えば、プロファイルジェネレータ405は、ブロック505において受信したコマンド速度を、上限速度460及び下限速度465によって定義される除外ゾーンと比較する。プロファイルジェネレータ405が、比較に基づいて、コマンド速度が下限速度465よりも大きく、上限速度460よりも小さいと特定する場合、プロファイルジェネレータは、コマンド速度が除外ゾーン内にあると特定する。コマンド速度が除外ゾーン内にないと特定することに応じて、プロファイルジェネレータ405は、出力速度をコマンド速度に設定する(ブロック515において)。
【0064】
コマンド速度が除外ゾーン内にあると特定することに応じて、プロファイルジェネレータ405は、以前の出力速度が除外ゾーンよりも低かった(ブロック520において)(即ち、下方から近づく)かどうかを特定する。以前の出力速度が除外ゾーンよりも低かったと特定することに応じて、プロファイルジェネレータは、コマンド速度を下限465に設定し、それによって、出力速度を下限465に関連付けられる第1の(低)速度470に設定する(ブロック525において)。別の言い方をすれば、ブロック525において、プロファイルジェネレータは出力速度を除外ゾーンの下限に設定する。以前の出力速度が除外ゾーンよりも低くなかった(即ち、上方から近づく)場合、プロファイルジェネレータは、コマンド速度を上限460に設定し、それによって出力速度を除外ゾーンの第2の(高)速度475に設定する(ブロック530において)。別の言い方をすれば、ブロック530において、プロファイルジェネレータは出力速度を除外ゾーンの上限に設定する。
【0065】
プロファイルジェネレータ405は、次のコマンド速度を受信し(ブロック505において)、コマンド速度がもはや除外ゾーン内になくなるまで速度制限を繰り返す(ブロック515において)。
【0066】
上で述べたように、幾つかの実施形態において、フロー
図500は、
図13に示すものとは異なる形態をとる除外ゾーンと共に実装される。例えば、幾つかの実施形態において、複数の除外ゾーンが実装され、それぞれが、それ自体の速度上限及び速度下限並びに関連付けられた第1及び第2の速度を有する。かかる実施形態において、ブロック510において、プロファイルジェネレータ405は、様々な除外ゾーンに対して異なる制限を有するとはいえ、コマンド速度が除外ゾーン455内にあるかどうかを特定することに関して上で述べたものと同様の比較関数を用いて、コマンド速度が除外ゾーンのいずれか1つにあるかどうかを特定する。更に、ブロック525及び530において、出力速度は、それぞれ、コマンド速度が特定された除外ゾーンに関連する第1又は第2の速度に設定される。
【0067】
図15は、ガスエンジン交換装置10を支持するフレーム624とポンプ628とを含むポンプシステム620を示し、ガスエンジン交換装置10はポンプ628を駆動するよう動作可能である。図示のポンプ628は、材料をポンプ628の入口636からポンプ628の出口640に移動させるよう軸を中心として回動自在な、ポンプ628のハウジング632内部に位置決めされるインペラを有する遠心ポンプである。幾つかの実施形態において、ポンプシステム620のガスエンジン交換装置10は、
図12~14に関して上で説明したモータ制御を実施する。
【0068】
図16は、ポンプシステム620の速度-トルク動作曲線700を示している。モータコントローラ400内のプロファイルジェネレータ405は、理論動作曲線705に厳密に一致する動作範囲全体にわたって速度及びトルク制御を提供する。
【0069】
図17は、幾つかの実施形態による、モータ36の暴走検出及び制御のための例示的な方法のフロー
図800である。モータコントローラ400は、潜在的な暴走状態を識別し、それに対応するために暴走検出技術を採用している。例えば、ガスエンジン交換装置10が、芝刈り機、ガーデントラクタ等のような車両を移動させる動力を提供する実施形態において、車両は、車両の速度が、モータのコマンド速度を増加させる信号がない場合に増加する(例えば、ユーザ入力装置322を用いて)ように、坂道上で操作されてもよい。フロー
図800を、ガスエンジン交換装置10に実装される
図12のモータコントローラ400に関して説明する。しかし、幾つかの実施形態において、フロー
図800の方法は、他の装置又はモータコントローラ400の変形例によって実装される。
【0070】
図17を参照すると、ブロック805において、モータコントローラ400のプロファイルジェネレータ405は、モータ36に対するコマンド速度(例えば、先に説明したように、スロットル設定又はシステム設定によって示す)を受信する。例えば、幾つかの実施形態において、スロットル設定及びシステム設定は、モータ36の所望の速度を表す値である。ブロック810において、モータコントローラ400は、モータ36に対するコマンド速度を生成する。例えば、幾つかの実施形態において、プロファイルジェネレータ405は、ガスエンジン交換装置10によって電力供給される機器のプロファイルに基づいてコマンド速度を生成し、ブラシレスコントローラ420は、コマンド速度に基づいてモータ36のための駆動パラメータ(例えば、PWMデューティサイクル)を生成する。幾つかの実施形態において、速度コントローラは、シャフト速度フィードバックがブラシレスコントローラ420によって採用される駆動パラメータを調節するために採用される閉ループ制御プロセスを採用している。幾つかの実施形態において、速度コントローラは、ブラシレスコントローラ420によって生成される駆動パラメータが、プロファイルジェネレータ405によって受信されるスロットル設定及びシステム設定に従って(例えば、固定PWMデューティサイクルを介して)設定される開ループ制御プロセスを採用している。
【0071】
モータコントローラ400は、ブロック815において暴走状態を検出する。幾つかの実施形態において、速度コントローラ410は、暴走状態を識別するよう、モータ36のシャフト又は動力取出シャフト140等のシャフト速度を監視する。一実施例において、シャフト速度が所定の時間間隔内に所定の値だけ増加する場合、速度コントローラ410は暴走状態を識別する。例えば、モータコントローラ400は、回転子位置センサ314からの出力を用いてシャフト速度を定期的に(例えば、100ms、10ms、又は1ms毎に)検出し、同じ頻度で、以前の読み取り値に対する(例えば、100ms又は1秒前からの)シャフト速度の変化を検出してもよい。モータコントローラ400は更に、シャフト速度の変化を閾値と比較し、シャフト速度の検出された変化が閾値を超える場合、暴走状態を識別してもよい。モータ36の速度は、ガスエンジン交換装置10によって動力供給される車両の速度に比例するため、シャフト速度の予期しない増加は、暴走状態を示す。幾つかの実施形態において、速度コントローラ410は、暴走状態を識別するために外部センサ340からの情報を採用する。例えば、外部センサ340は、ガスエンジン交換装置10によって動力供給される車両の対地速度を測定するセンサであってもよい。シャフト速度が所定の時間間隔内に所定の値だけ増加するかどうかを特定するのではなく(又はそれに加えて)、モータコントローラは、車両対地速度が所定の時間間隔内に所定の値だけ増加するかどうかを特定する。この特定は、シャフト速度と同様の技術を用いるが、代わりに感知された車両対地速度を用いて実施されてもよい。幾つかの実施形態において、閾値は、ユーザが速度増加を要求することを考慮し、所望のスロットル設定に部分的に基づいて設定される。例えば、閾値は、ユーザがスロットル設定信号によって示されるような車両速度増加を要求する場合に増加され、ユーザがスロットル設定信号によって示されるような車両速度減少を要求する場合に減少されてもよい。このようにして、車両に対する速度を増加させる一般的な要求は、暴走状態として検出される可能性が低くなる。
【0072】
暴走状態の検出に応じて、モータコントローラ400は、ブロック820において暴走状態を緩和する。幾つかの実施形態において、モータコントローラ400は、暴走状態の検出に応じてコマンド速度を低下させる。幾つかの実施形態において、モータコントローラ400は、暴走状態の検出に応じて制動信号を生成する。一実施例において、モータコントローラ400は、すべてのハイサイド及びローサイドFETをオフに制御することによって電力スイッチングネットワーク310をオフにして、モータ36が惰走して停止することを可能にしている。FETがオフになるとモータに電流が供給されなくなるため、モータ36に作用する摩擦又は負荷によってモータ36は停止する。他の実施例において、受動的又は能動的制動がモータ36を停止させるために用いられてもよい。受動制動中、モータコントローラ400は、ハイサイドFET及びローサイドFETに制御信号を提供して、モータを制動負荷(例えば、1つ以上の固定子コイルと接地との間に結合される制動コイル又は制動抵抗器)に接続し、モータ36内のエネルギーを迅速に消散させ、モータ36を制動してもよい。能動的制動中、モータコントローラ400は、ハイサイドFETをオフにし、ローサイドFETをオンにするよう制御して、モータコイルを接地に短絡させ、コイル内の残りのエネルギーを接地に消散させてもよい。他の実施例において、モータコントローラ400は、ハイサイドFET及びローサイドFETに制御信号を提供して、回生制動を実行し、モータ36内のエネルギーを電力スイッチングネットワーク310を介してバッテリパック50に戻してもよい。更に別の実施例において、動的パルシングがモータ36を制動するために用いられてもよい。モータコントローラ400は、制御信号をハイサイドFET及びローサイドFETに提供して、モータ36の回転子に電気制動力を提供してもよい。モータコントローラ400は、回転子位置センサ314を監視して、回転子がちょうど位相を通過する場合に位相(即ち、対応する対のハイサイド及びローサイドFET)を作動させてもよい。例えば、回転子位置センサ314は、回転子がちょうどFET H1及びL2に対応する位相を過ぎて回転したことを示す。これに応じて、モータコントローラ400は、FET H1及びL2を作動させて、固定子コイルを通る電流を駆動し、回転子の回転方向と反対の方向に回転子に制動力を提供して回転を停止させる磁界を生成してもよい。モータコントローラ400は、
図11Aと同様のシーケンスではあるが、結合された固定子コイルによって生成される結果として生じる磁場が回転を停止させる制動力を提供し続けるように、回転子位置センサ314からの回転子位置情報に基づくタイミングで、FET対を作動させ続けてもよい。幾つかの実施形態において、モータコントローラ400は、交換装置10によって動力供給される車両の電子制御式機械ブレーキに信号を送信する。
【0073】
図18、19、及び20を参照すると、モータコントローラ400は、負荷の状態を推定し、負荷パラメータの関数として負荷速度を調整するために負荷監視技術を採用している。
図18は、幾つかの実施形態による、負荷監視のための例示的な方法のフロー
図900である。
図19及び20は、幾つかの実施形態による、負荷状態を識別するために有用なモータ電流における外乱を示す
図450である。例えば、ガスエンジン交換装置10がセメントミキサーに動力を提供する実施形態において、負荷の粘度は、ミキサーの内容物及び回転速度に基づいて可変である。ミキサーの回転速度を増加させると一般に粘度が低下する一方で、ミキサーの回転速度を減少させると一般に粘度が上昇する。ガスエンジン交換装置10が芝刈り機又は鋸等の切断刃に動力を提供する別の実施形態において、切断される材料の密度は可変である(例えば、草の長さ及び厚さ又は材料組成に基づいて)。切断刃の回転速度を増加させることは、厚い草又は密度の高い材料に対して有用である一方で、切断刃の回転速度を減少させることは、密度の低い草又は材料に対して有用であり、これは電力消費を低減する。フロー
図900を、ガスエンジン交換装置10に実装される
図12のモータコントローラ400に関して説明する。しかし、幾つかの実施形態において、フロー
図900の方法は、他の装置又はモータコントローラ400の変形例によって実装される。
【0074】
図18を参照すると、モータコントローラ400は、ブロック905においてモータ36の電流パラメータを監視する。幾つかの実施形態において、モータコントローラ400は、モータ電流におけるオーバーシュート状態を識別する。例えば、セメントミキサーの実施形態において、ミキサーを最初に回転させると、材料はミキサーの壁に付着する。材料の粘度に依存するある特定の回転位置において、材料はミキサーの底部に落下し、結果としてミキサーに対する負荷の急激な減少をもたらす。
図19に示すように、この負荷低減は、モータ電流曲線1010におけるオーバーシュート1000によって証明される。
図20に示すように、切断刃の実施形態において、切断される材料の密度の増加は、モータ電流曲線1110における傾斜部1100によって証明される。
【0075】
モータコントローラ400は、ブロック910において負荷状態を推定する。例えば、モータコントローラは、負荷状態として負荷粘度又は密度パラメータを推定する。ミキシング実施形態において、回転位置及びオーバーシュート1000の大きさは、材料粘度の関数である。幾つかの実施形態において、モータコントローラ400は、回転位置を特定するために回転子位置センサ314を用いる。幾つかの実施形態において、外部センサ340は、ミキサーの回転位置を提供する位置センサである。切断実施例において、傾斜部1100の大きさ及び傾斜は、材料密度の関数である。幾つかの実施形態において、プロファイルジェネレータ405は、負荷状態を感知したモータパラメータに関連付ける、ガスエンジン交換装置10によって電力供給される機器のプロファイルを格納する。幾つかの実施形態において、プロファイルは、ルックアップテーブル、方程式モデル、又はディープラーニングモデルを含む。
【0076】
モータコントローラ400は、ブロック915において、負荷状態に基づいてモータコマンド速度を設定する。幾つかの実施形態において、モータコントローラ400(例えば、プロファイルジェネレータ405)は、粘度目標値を用いてプログラムされ、推定した粘度負荷状態に応じてモータ36のコマンド速度を調整して、推定した粘度負荷状態を粘度目標値付近に駆動又は維持する。幾つかの実施形態において、切断用途の場合、モータコントローラ400は、推定密度の変化に対して比例してコマンド速度を変化させる。幾つかの実施形態において、モータコントローラ400は、密度が増加するにつれて切断刃のコマンド速度を増加させ、密度が減少するにつれてコマンド速度を減少させる。幾つかの実施形態において、モータコントローラ400は、推定負荷状態の関数としてコマンド速度のための調整係数を指定するモデル又はルックアップテーブルを格納している。
【0077】
図21は、ガスエンジン交換装置10を支持するフレーム1205とミキシングドラム1210とを含むミキシングシステム1200を示しており、ガスエンジン交換装置10はミキシングドラム1210を回転させるよう動作可能である。幾つかの実施形態において、ミキシングシステム1200のガスエンジン交換装置10は、
図18及び19に関して上で説明したモータ制御を実施する。
【0078】
図22は、図示した実施形態における切断鋸である切断システム1300を示している。切断システム1300は、ハウジング1305と、ハウジング1305に結合され、そこから延在する支持アーム1310と、支持アーム1310によって担持される切断ホイール1315と、切断ホイール1315の周縁の一部を覆うガード1320とを含んでいる。切断ホイール1315は、刃、研磨ディスク、又はワークピースから材料を除去することができる任意の他の回動自在な要素とすることができる。第1の又は後方ハンドル1325は、ハウジング1305の後部から支持アーム1310と略反対の方向に延在している。切断システム1300を操作するためのトリガ1330は、後方ハンドル1325上に位置する。図示の実施形態において、切断システム1300はまた、ハウジング1305の上側部分の周囲に巻装される第2の又は前方ハンドル1335も含んでいる。前方ハンドル1335及び後方ハンドル1325は、切断システム1300の両手操作を容易にする握持領域を提供する。図示の切断システム1300は、コードレス電動鋸であり、ガスエンジン交換装置10を含んでいる。幾つかの実施形態において、切断システム1300のガスエンジン交換装置10は、
図18及び20に関して上で説明したモータ制御を実施する。
【0079】
図23は、幾つかの実施形態による、装填位置決めのための例示的な方法のフロー
図1400である。例えば、ガスエンジン交換装置10がセメントミキサーに動力を供給する実施形態において、材料は、ミキシングドラムが第1の回転位置に位置決めされる場合にミキシングドラム内に装填され、ミキシングドラムが第2の回転位置に位置決めされる場合にミキシングドラムから取り出されてもよい。
【0080】
図23を参照すると、モータコントローラは、ブロック1405において位置制御コマンドを受信する。幾つかの実施形態において、ユーザは、外部装置338(
図9参照)を用いて位置制御コマンドを入力する。例えば、ユーザは、外部装置338又はユーザ入力装置322(例えば、押しボタン)上に表示される制御を選択することによって、装填位置又は取出位置を選択してもよい。幾つかの実施形態において、外部装置338は、ガスエンジン交換装置10によって駆動される機器に関連付けられる有線又は無線の遠隔制御装置である。位置制御コマンドは、負荷を特定の位置(例えば、セメントミキサー1200のミキシングドラムの特定の回転位置)まで回転させるようモータコントローラ400に指示する。
【0081】
ブロック1410において、モータコントローラ400は、装填位置を特定する。幾つかの実施形態において、モータコントローラ400は、負荷の位置を特定するために回転子位置センサ314を用いる。幾つかの実施形態において、外部センサ340は、負荷の位置(例えば、ミキシングドラムの回転位置)を提供する位置センサである。
【0082】
ブロック1415において、モータコントローラ400は、装填位置に基づいてモータ36を制御する。幾つかの実施形態において、プロファイルジェネレータ405によって格納されるプロファイルは、装填若しくは取出位置、又は機器に関連付けられる他の位置のための装填位置等の位置データを含んでいる。ブロック1405において受信した位置制御コマンド及びブロック1410において特定した装填位置に応じて、モータコントローラ400は、位置制御コマンドに対応する装填位置に応じてモータ36を停止させる。例えば、モータコントローラ400は、ミキシングドラムの特定の回転位置に到達するまで回転させ、その地点でモータ36を停止させるようモータ36を制御してもよい。負荷の所望の位置に到達する前に、モータ36は位置オーバーシュートを低減するよう減速してもよい。
【0083】
幾つかの実施形態において、位置制御コマンドに対応する装填位置は、ガスエンジン交換装置10をセットアップする製造業者によって、又は装置のユーザによって設定される。例えば、外部装置338又はユーザ入力装置322を採用して、位置制御コマンドに対応する装填位置を指定してもよい。例えば、外部装置338又はユーザ入力装置322を介したユーザ入力に応じて、現在の装填位置が、位置制御コマンドに対応する装填位置目標として格納されてもよい。幾つかの実施形態において、複数の位置制御コマンドは、複数の装填位置目標(例えば、装填位置及び取出位置)に対応して提供されてもよく、それぞれは、同様の技法を用いて(例えば、製造業者のセットアップを介して、又は外部装置338若しくはユーザ入力装置322を用いるユーザを介して)モータコントローラ400に設定されてもよい負荷の異なる所望の装填位置に関連付けられてもよい。例えば、ユーザ入力装置322は、現在の装填位置をそれぞれ所望の装填位置及び所望の取出位置として格納するようモータコントローラ400に入力を提供する装填位置設定ボタン及び取出位置設定ボタンを含んでいてもよい。格納された所望の装填位置及び所望の取出位置は、次いで、ブロック1415においてモータコントローラ400によって用いられてもよく、ここで2つの格納された位置のうちの1つは、位置制御コマンドが装填位置又は取出位置に回転されるべき負荷を要求したかどうかに応じて選択される。
【0084】
電動工具は、侵入、振動、及び熱要素に潜在的に曝露される可能性があり、電動工具の電子機器は、これらの要素による損傷を受けやすい可能性がある。様々な技術が、ガスエンジン交換装置10の1つ以上の電子部品を極限環境から保護するために用いられてもよい。一実施例において、過度の熱は電子機器を損傷する可能性がある。幾つかの実施形態において、工具性能を向上させる過度の熱環境に対する保護技術は、熱伝導性ポッティングを用いることを含む。別の技術は、1つ以上の電子部品を加圧鉱油バッグに入れ、冷却して熱を逃がし、向上した性能を可能にすることを含む。これらの技術はまた、水又は他の物質の侵入等の環境上の危険に対する保護も提供することができる。また、開接点は、極端な条件において工具寿命を延ばすよう、帯電した又は敏感な構成部品のための接着剤又は低圧射出成形金型により覆われていてもよい。幾つかの用途において、これらの技法はまた、振動からのリスクを軽減し、回路基板に半田付けされる構成部品の歪み解放を支援することに有効である。
【0085】
図24は、
図1のガスエンジン交換装置における1つ以上の電子部品のための冷却システム1500を示している。冷却システム1500は、電子機器筐体1510と、ポンプ1520と、熱交換器1530とを含んでいる。
図9における電子プロセッサ302及びメモリ306等のガスエンジン交換装置10の損傷を受けやすい構成部品は、電子機器筐体1510内に設けてもよい。ポンプ1520は、熱を除去するよう、鉱油等の不活性流体を電子機器筐体1510を通して循環させる。熱交換器130は、不活性流体を冷却して冷却システム1500から熱を除去する。幾つかの実施形態において、熱交換器は、外部環境に熱を放射する、フィンベースのヒートシンク等の放射型熱交換器であってもよい。周囲環境内の空気は、熱を除去するようフィンの上を循環してもよい。電子機器筐体1510はまた、侵入、振動、歪み等からの保護を提供する役割を果たす。
【0086】
ガスエンジン交換装置10によって駆動される、上で説明した機械システムは、内燃機関によって駆動される従来の機器に勝る多くの利点を含み、その幾つかを以下に説明する。
【0087】
幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置10は、新しい機器と嵌合することができ、メモリ306は、新しい機器との動作のためにガスエンジン交換装置10を最適化するよう再プログラムすることができる。幾つかの実施形態において、電子プロセッサ302は、ガスエンジン交換装置10がどの種類の新しい機器と嵌合しているかを自動的に認識し、それに応じてガスエンジン交換装置10の動作を管理する。幾つかの実施形態において、電子プロセッサ302は、新しい機器との無線周波数識別(RFID)通信を介して、ガスエンジン交換装置10がどの機器と嵌合しているかを自動的に検出することができる。
【0088】
幾つかの実施形態において、メモリ306は、BLUETOOTH又はWi-Fi通信プロトコルのどちらか一方を介して再プログラム可能である。幾つかの実施形態において、電子プロセッサ302は、同じ機器の異なる使用のための制御モードを有する。制御モードは、プリセット又はユーザプログラム可能であってもよく、BLUETOOTH又はWi-Fiを介して遠隔でプログラムされてもよい。幾つかの実施形態において、電子プロセッサ302は、ガスエンジン交換装置10が機器に対して一方向制御を行うことができるように、又はオペレータがスマートフォンアプリケーションを用いてガスエンジン交換装置10に対して一方向制御を行うことができるように、マスター/スレーブ機器間通信及び連携を利用する。
【0089】
幾つかの実施形態において、オペレータ又は相手先商標製造会社(OEM)は、例えば、コントローラエリアネットワーク(CAN)のようなインターフェースを介して電子プロセッサ302を通じてガスエンジン交換装置10の速度を制御する限定されたアクセスを許可される。幾つかの実施形態において、電子プロセッサ302は、歯車列110内の単一の歯車セットにより、ガソリンエンジンよりも広範囲の速度選択が可能である。例えば、制御電子機器42は、2,000RPM未満でモータ36を駆動するよう構成され、これは、ガソリンエンジンが可能ないかなる速度よりも低く、これにより、関連する機器が、バッテリパック50の全放電にわたってガソリンエンジンよりも大きな全実行時間を有することが可能になる。加えて、制御電子機器42は、3,600RPMを超えてモータを駆動するよう構成され、これは、ガソリンエンジンが可能ないかなる速度よりも高く、より多くのトルクを出力する能力を有する。モータ36のより広い速度範囲は、ガソリンエンジンよりも高い効率及び能力を提供する。幾つかの実施形態において、オペレータは、速度に加えてモータ36によって引き出される電流を制御するアクセスを有することができる。
【0090】
幾つかの実施形態において、電子プロセッサ302は、データを記録し、報告するよう構成される。例えば、電子プロセッサ302は、ガスエンジン交換装置10の状態を監視し、読み取るための有線又は無線診断を提供するよう構成される。例えば、電子プロセッサ302は、例えばレンタルシナリオにおいて、ガスエンジン交換装置10の実行時間を監視し、記録することができる。幾つかの実施形態において、モータ36及び電子プロセッサ302は、バッテリパック50を充電するために回生制動を用いる。幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置10は、照明又は付属品のためのDC出力を含む。幾つかの実施形態において、電子プロセッサ302は、電圧、電流、動き、速度、及び/又は熱電対を介してガスエンジン交換装置10の異常又は動作不良を検出することができる。幾つかの実施形態において、電子プロセッサ302は、ガスエンジン交換装置10の意図しない使用又は停止を検出することができる。ガスエンジン交換装置10によって駆動される機器が意図した特性で動作していない場合、又は正しく若しくは安全に用いられていない場合、電子プロセッサ302は、異常を検出し、ガスエンジン交換装置10を停止させることができる。例えば、ガスエンジン交換装置10は、ガスエンジン交換装置10及び機器が意図した向きにあるかどうかを感知する1つ以上の加速度計を含むことができる。また、ガスエンジン交換装置10が意図した向きにない(即ち、機器が転倒した)と電子プロセッサ302が特定した場合、電子プロセッサ302は、ガスエンジン交換装置10を停止させることができる。
【0091】
幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置10は、加速度計、ジャイロスコープ、GPSユニット、又はリアルタイムクロック等の、動力機器の一部と共に用いるためのユーザ選択センサと電気的に接続するアクセス可能なセンサポート(図示せず)を含み、オペレータが、電子プロセッサ302によって感知及び検出される変数をカスタマイズすることを可能にする。幾つかの実施形態において、電子プロセッサ302は、視覚的、聴覚的、又は触覚的通知を介して、バッテリが消耗している場合等のバッテリパック50の状態をオペレータに示すことができる。幾つかの実施形態において、電子プロセッサ302は、ウインチ等の補助装置を駆動するよう、モータ36とは別個の補助モータを動作させることができる。補助モータは、ガスエンジン交換装置10の内部又は外部にあってもよい。
【0092】
幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置10は、タッチディスプレイ又はノブ及びボタンの組み合わせ等のカスタマイズ可能なユーザインターフェース上のデジタル制御を含むことができる。対照的に、アナログガソリンエンジンは、かかるデジタル制御を含んでいない。幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置10のためのユーザインターフェースは、モジュール式、有線式、又は無線式とすることができ、ガスエンジン交換装置10に取り付け可能であるか、又は手持ち式とすることができる。幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置10は、バッテリパック50の充電及び温度等のガスエンジン交換装置10のある特定の特性のための状態インジケータを含む、遠隔制御により制御することができる。幾つかの実施形態において、ガスエンジン交換装置10は、遠隔のプログラム可能な装置により状態表示を提供することができる。