(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】洗面器を設置及び取付けるための装置
(51)【国際特許分類】
A47K 1/00 20060101AFI20240422BHJP
【FI】
A47K1/00 B
A47K1/00 F
(21)【出願番号】P 2022535204
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2020084864
(87)【国際公開番号】W WO2021116012
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-12-14
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】519116218
【氏名又は名称】ラートハマー、アンドレ
(73)【特許権者】
【識別番号】519116229
【氏名又は名称】フェヒター、ハラルト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラートハマー、アンドレ
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-534405(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第19710647(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03401452(EP,A1)
【文献】実公昭07-006152(JP,Y1)
【文献】実開昭54-132535(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 1/00-1/05
E03C 1/322
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗面器(1)を設置及び取付けるための装置であって、壁(2)又は取付けフレーム(3)に固定され得る取付けボックス(4)が設けられており、前記取付けボックスは、給水及び排水のための接続を提供し、且つ前記洗面器(1)を固定するための固定手段を提供し、
主に垂直力を受けるため及び取付け中の案内のための保持案内要素(5)と、壁(2)又は取付けフレーム(3)への固定のための固定要素(6)とを有する
装置において、
前記保持案内要素(5)が少なくとも2つの引出しスライドを有し、前記引出しスライドの固定部分(7)が前記取付けボックス(4)に固定接続され、また洗面台と共に移動可能な前記引出しスライドの部分(8)が前記洗面器(1)に接続されている又は接続可能であることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記固定要素(6)が1つ又は複数の締付け要素(9)を有し、前記1つ又は複数の締付け要素(9)は、一方で前記取付けボックス(4)に、他方で前記洗面器(1)に接続され又は接続可能であり、それにより前記洗面器(1)が、前記壁(2)又は前記取付けフレーム(3)の方向に締め付けられ得ることを特徴とする、請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
締付け要素(9)が可動に配置された背板(12)が、前記洗面器(1)の背面(11)の凹部(10)に配置及び固定されること、及び前記締付け要素(9)が、前記取付けボックス(4)に接続され得る締付けアンカ(13)を有することを特徴とする、請求項1
又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記締付けアンカ(13)が、前記洗面器(1)に隣接する端部領域に牽引要素(14)を有すること、及び締付けウエッジ(15)が、前記牽引要素(14)と前記背板(12)の間に設けられることを特徴とする、請求項
3に記載の装置。
【請求項5】
前記締付けウエッジ(15)が、前進要素(16)によって前記背板(12)に沿って変位可能であることを特徴とする、請求項
4に記載の装置。
【請求項6】
前記前進要素(16)が、ねじ付きタブ(17)のねじ内で回転可能なねじ要素であることを特徴とする、請求項
5に記載の装置。
【請求項7】
前記締付けアンカ(13)が、前記取付けボックス(4)に固定され得るねじボルト(18)と、前記ねじボルト(18)にねじ止めされ得るねじスリーブ(19)とを有すること、及び前記ねじスリーブ(19)が前記牽引要素(14)を有することを特徴とする、請求項4から
6までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記背板(12)が、固定ボルト(20)によって前記洗面器(1)に接続されることを特徴とする、請求項
3から
7までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記凹部(10)内における前記背板(12)が、高さ調節可能であることを特徴とする、請求項
3から
8までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記背板(10)が、前記固定ボルト(20)のための固定穴(36)であって、細長い穴として形成された固定穴(36)を有することを特徴とする、
請求項8を引用する請求項
9に記載の装置。
【請求項11】
前記洗面器(1)と共に移動可能な前記引出しスライドの前記部分(8)が管として、特に角管として形成され、この内部に、前記取付けボックス(4)に接続された前記引出しスライド(7)の前記固定部分が挿入され得ることを特徴とする、請求項1から
10までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記洗面器(1)の移動を容易にするために、摺動要素が
、前記引出しスライドの前
記部分(8)に設けられることを特徴とする、請求項1から
11までのいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面器(washbasin)を設置及び取付けるための装置(arrangement;装置又は構成)であって、壁又は取付けフレームへ固定され得る取付けボックスが設けられており、取付けボックスは給水及び排水のための接続を提供し、且つ洗面器を固定するための固定手段を有している、装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種類の装置は、壁に洗面器又は同様のデバイスを可能な限り容易に、迅速に、及び費用を抑えて取り付けるのに、並びに水の入口及び出口のために必要な接続部を設けるのに役立つ。今日まで知られている洗面器は、それらが比較的に取付けが複雑であるという欠点、及び接続タップ、給水及び排水ホース、サイホンなどの、洗面器の下に配置される設備がむき出しであり、したがって外観が良くないという欠点を有する。
【0003】
壁接続及び排水のサイホンのための別個のカバー、又は洗面器へ接続されるカバーを設けることが公知である。これらのカバーは、洗面器を非常にかさばらせ、重くする、特別に設計される洗面化粧台、又は洗面器の底部の凸部を必要とする。洗面器の取付けは、一連で全体を成す工程からなり、複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、上述の欠点のない洗面器の装置を提供することである。特に、本目的は、追加のカバー要素なしで洗面器の接続部を隠すことである。これは、給水接続部だけでなく、排水にも関する。本目的はまた、そうでなければ取付けのために必要である、拡張ホース、別個のサイホンなどの追加物の使用を回避することである。別の目的は、接続部によって洗面器の下に洗面化粧台を設けるのを阻害しないことである。さらなる目的は、障害者が利用し易くすること、及び破壊行為をより困難にすることである。
【0006】
特定の目的は、非常に平坦な断面形状を有し、一方で、依然として固定のための必要な安定性をもたらす洗面器を配置することが可能であることである。
【0007】
この種類の装置は、EP3523486において既に提案されている。しかしながら、固定構造における変更が有利であり、取付けをより容易に及びより迅速にし得ることが見出された。
【0008】
これは、複数の同様の洗面器が取り付けられる必要がある場合に、例えば大規模な住宅又は旅館複合施設において、特に有利である。本発明による洗面器の迅速な取付けにより、大幅な費用節減が可能である。取付けのための穴あけは必要なく、その結果、パイプに穴をあける危険を回避する。取付けは、作業員によって行われ得る。
【0009】
建築中に、全ての接続部及び固定点が既に設けられた、埋込み式ボックスとしての取付けボックスを有する取付けフレームなどの、予め組み立てられた要素が設置される。洗面器はまた、完全に予め製造されて出荷され、接続され、簡素な手段によって作動され得る。
【0010】
本発明による装置は、好ましくは、装置が、主に垂直力を受けるための保持案内要素、並びに壁へ又は取付けフレームへ固定するための固定要素を有することを特徴とする。保持案内要素は、好ましくは、少なくとも2つの引出しスライドを有し、引出しスライドの固定部分が、取付けボックスへ固定して接続され、洗面台と共に動くことができる引出しスライドの部分が、洗面器へ接続される、又は接続可能である。
【0011】
場合により、装置が、主に垂直力を受けるための及び取付け中に案内するための保持案内要素、並びに壁へ又は取付けフレームへ固定するための固定要素を有することがもたらされる。
【0012】
保持案内要素は、少なくとも2つの引出しスライドを有することができ、引出しスライドの固定部分が、取付けボックスへ固定して接続され、洗面台と共に動くことができる引出しスライドの部分が、洗面器へ接続される、又は接続可能である。
【0013】
さらに、固定要素は、一方で取付けボックスへ、及び他方で洗面器へ接続される、又は接続可能である、1つ又は複数の締付け要素を有する場合があり、それによって、洗面器が壁又は取付けフレームの方向に締め付けられ(クランプされ)得る。
【0014】
本発明のさらなる特徴によると、締付け要素が変位可能に配置される背板が、洗面器の背面の凹部に配置及び固定され、締付け要素が、取付けボックスへ接続され得る締付けアンカを有する。
【0015】
好ましくは、締付けアンカは、洗面器に隣接する端部領域に牽引要素を有し、締付けウエッジが、牽引要素と背板との間に設けられる。締付けウエッジは、前進要素によって背板に沿って変位可能である。前進要素は、ねじ付きタブのねじで回転可能である、ねじ要素であり得る。
【0016】
場合により、締付けアンカは、取付けボックスへ固定され得るねじボルト、及びねじボルトにねじ止めされ得るねじスリーブを有し、ねじスリーブが、牽引要素を有する。
【0017】
装置は、さらに、背板が、固定ボルトによって洗面器へ接続されることを特徴とする。
【0018】
本発明のさらなる特徴によると、洗面器と共に動くことができる引出しスライドの部分は、取付けボックスへ接続される引出しスライドの固定部分が挿入され得る、管として、特に角管として形成される。
【0019】
装置は、場合により、摺動要素、好ましくは摺動ローラが、洗面器の変位を容易にするために、引出しスライドの可動部分に設けられることを特徴とする。
【0020】
本発明のさらなる特徴は、以下の説明、特許請求項、及び図面において見出され得る。
【0021】
以下において、本発明が、図を参照して、実例としてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】壁又は取付けフレームに設置される壁面構造体要素もまた示される、洗面器の前面図である。
【
図2】取付けボックスへ固定される洗面器の底面図である。
【
図3】
図1における線D-Dに沿った断面を示す図である。
【
図7】E-E断面における保持案内手段の装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、その背面で取付けフレーム3へ固定される、洗面器1の透視前面図を示す。その縦支柱21及び横支柱22を有する取付けフレーム3は、好ましくは、例えば、軽量構造体で作られ得る、壁2の一体部分である。取付けフレーム3及びそれへ接続される取付けボックス4はまた、本建築における壁内に造り付けられ得る。後に説明されるように、取付けボックス4は、給水パイプ、排水パイプ及びサイホンなどの全ての接続部が設けられる、従来の埋込み式ボックスに対応する。
【0024】
軽量構造体でここに設けられる壁2を設置するために、ねじ23は、壁構造体の縦梁32(例えば、
図7を参照)へ取付けフレーム3を接続するために使用され得る。そのような壁2は、通常、石膏ボードなどの板要素で覆われる。
【0025】
図1において、好ましくは引出しスライドとして形成される、2つの保持案内要素5が、透視で示される。さらに、
図1は固定ボルト20を示し、固定ボルト20によって、安定用背板12が洗面台へ接続される。さらに、固定要素6が示され、固定要素6によって、洗面器1が、壁又は取付けフレーム3に係止される取付けボックス4へ固定され得る。
【0026】
洗面台の本体は、セラミック、又はポーセレン、金属、自然石、プラスチック若しくは人工石などの他の材料から通常の方式で作製され得る。有利には、洗面器1は、低い高さ24を有することができ、さらに、洗面器1は、取付けボックス4をその全ての設備と共に完全に包み込み、その結果、洗面器1が取り付けられると、取付けボックス4は完全に隠れる。
【0027】
図2は、取付けボックス4を有する洗面器1の底面図を示し、2つのねじ穴25が、洗面器1において示され、ねじ穴25を通して、ねじ止め工具が、以下に示される締付け要素9へ挿入され得る。ねじ止め工具の実例は、例えば、マイナス若しくはプラススクリュードライバ、又は六角棒スパナである。
【0028】
取付けボックス4は、通常、水道配管、及び排水のためのサイホンを有し、前記部分はここでは示されない。取付けボックス4に配置される、保持案内要素5並びに固定要素6が示される。
【0029】
図3、4、5及び7は、
図1における線A-A、B-B、D-D及びE-Eに沿った断面を示す。
【0030】
洗面器1は、その背面11に扁平な連続した凹部26を有し、凹部26において、安定用背板12が、固定ボルト20によって固定される。固定ボルト20は、洗面器へ固定して接続され、例えば、洗面器の母材にねじ止めされる、又はそれぞれの孔27で接着若しくは締め付けられる。背板12は、ねじナットによって、締められる。背板12は、4つのそのような固定ボルト20によって、洗面器1へ固定して接続され、取付け中及び取付け後に、洗面器1に必要な強度を与える。凹部10における背板12の位置は、固定穴36が細長い穴(
図6も参照)であるので、高さ調節可能である。
【0031】
図4、5及び6は、取付けフレーム3に洗面器1を締め付けるための構造体要素を例示する。洗面器1の幅広凹部29において、締付けウエッジ15が背板12に設けられ、締付けウエッジ15は、前進要素16によって上向きに押され得る。締付けウエッジ15は、その楔形表面で牽引要素14上を進み、それによって、洗面器1がその背面11で取付けフレーム3又はその前面に配置される壁2に対して堅固に引き付けられるように、締付けアンカ13を幅広凹部29内へ移動させる。
【0032】
この締付けデバイスの構造及び機能は、
図6において最も良好に示される。前進要素16は、例えば、ねじ付きタブ17へ固定されるねじ付きスリーブ30内を進む、ねじ付きボルトである。ねじ付きスリーブ30は、洗面器1のねじ穴25(
図2を参照)を通して下から取り扱うことができる。締付けアンカ13は、横断ボルトの形態の牽引要素14を有する、ねじスリーブ19を有する。ねじスリーブ19の内側のねじは、ねじボルト18のねじと嵌合し、ねじボルト18は、取付けボックス4の壁に位置付けされる、ねじ31にねじ止めされる。
【0033】
ねじスリーブ19、ねじボルト18及びねじ31のこの装置は、締付けアンカ13の調節機構が壁2及び洗面器1の仕上り寸法へ適合するのを可能にする。
【0034】
図7は、保持案内要素5のうちの1つを通る、
図1における線E-Eに沿った断面を示す。
【0035】
これらは、一定の距離で取付けボックス4から洗面器の設備の接続部へ配水パイプを接続するために、壁2からこの距離で洗面器1を受容及び保持するのに役立つ。さらに、保持案内要素5は、部分的に取付けボックス4に及び部分的に壁構造体に位置付けされるサイホンの受入パイプにおける、洗面器1の排水接続部の目標の及び寸法の正確な取付けを可能にする(接続部及びサイホンは示されない)。
【0036】
図7において示される保持案内要素5は、好ましくは、引出しスライドである。
【0037】
引出しスライドの固定部分7は、例えば、ねじ34によって及び/又は溶接によって、取付けボックス4へ固定して接続される。部分7は、横向きに開放したC形断面を有し、前端に進入開口部35を有して、摺動ローラ33の進入を可能にする。
【0038】
摺動ローラ33は、引出しスライドの可動部分8において側面に位置付けられ、それによって、洗面器1が、壁止めまで滑らかに押されるのを可能にする。引出しスライドの可動部分8は、好ましくは角管として形成され、可動部分8は、洗面器1の凹部10に位置付けされ、背板12へ接続され、好ましくは溶接され、洗面器1の背面11を超えて突出する。
【符号の説明】
【0039】
1 洗面器
2 壁
3 取付けフレーム
4 取付けボックス
5 保持案内要素
6 固定要素
7 引出しスライドの固定部分
8 引出しスライドの可動部分
9 締付け要素
10 凹部
11 背面
12 背板
13 締付けアンカ
14 牽引要素
15 締付けウエッジ
16 前進要素
17 ねじ付きタブ
18 ねじボルト
19 ねじスリーブ
20 固定ボルト
21 縦支柱
22 横支柱
23 ねじ
24 高さ
25 ねじ穴
26 扁平凹部
27 孔
28 ねじナット
29 幅広凹部
30 ねじ付きスリーブ
31 ねじ(ねじ山)
32 縦梁
33 摺動ローラ
34 ねじ
35 進入開口部
36 固定穴