(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】エアロゾル供給システムで使用するための物品
(51)【国際特許分類】
A24C 5/01 20200101AFI20240422BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20240422BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240422BHJP
【FI】
A24C5/01
A24D1/20
A24F40/20
(21)【出願番号】P 2022537596
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(86)【国際出願番号】 GB2020053299
(87)【国際公開番号】W WO2021123817
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-15
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ホルフォード, スティーブン
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/185014(WO,A1)
【文献】特開2014-90720(JP,A)
【文献】特表2016-538848(JP,A)
【文献】米国特許第5499636(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24C 5/01
A24D 1/20
A24F 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒーターを備えた非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品であって、
少なくとも1つのエアロゾル形成材料を含むエアロゾル生成材料と、
前記エアロゾル生成材料の下流に配置された第1の管状体であり、フィラメントトウを含む第1の管状体と、
前記第1の管状体の下流に配置された口側端部セクションと
を備え、
前記物品が前記非燃焼性エアロゾル供給デバイスに挿入されているときに、前記非燃焼性エアロゾル供給デバイスの前記ヒーターと前記第1の管状体との間の最小距離が少なくと
も3mmであるように構成されている、物品。
【請求項2】
前記エアロゾル生成材料と前記第1の管状体との間に配置された第2の管状体をさらに備え、
前記第2の管状体の長さが、前記物品が前記非燃焼性エアロゾル供給デバイスに挿入されているときに、前記非燃焼性エアロゾル供給デバイスの前記ヒーターから少なくと
も3mmだけ離れるように延在するような長さである、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記第2の管状体が、紙から形成されている、請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記第2の管状体が、少なくとも300ミクロンの壁厚、及び/又は少なくとも100コレスタ単位の透過性を有する、請求項2又は3に記載の物品。
【請求項5】
前記エアロゾル生成材料の長さが、前記物品が前記非燃焼性エアロゾル供給デバイスに挿入されているときに、前記非燃焼性エアロゾル供給デバイスの前記ヒーターから少なくと
も3mmだけ離れるように延在するような長さである、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記エアロゾル生成材料及び前記第1の管状体を少なくとも部分的に取り囲むラッパーをさらに備える、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記ラッパーが、前記エアロゾル生成材料と前記第1の管状体との間の空洞を画定し、前記空洞の長さが、前記物品が前記非燃焼性エアロゾル供給デバイスに挿入されているときに、前記非燃焼性エアロゾル供給デバイスの前記ヒーターから少なくと
も3mmだけ離れるように延在するような長さである、請求項6に記載の物品。
【請求項8】
前記ラッパーが、1重量%以下のクエン酸塩の含有量を有する、請求項6又は7に記載の物品。
【請求項9】
前記第1の管状体が、0.5mm~2.5mmの壁厚を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項10】
前記第1の管状体が、少なくとも12mmの長さを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の物品。
【請求項11】
前記第1の管状体のフィラメントトウが、等周比25以下の断面のフィラメントを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の物品。
【請求項12】
外部の空気が前記物品に流入することができるように配置された少なくとも1つの通気領域をさらに備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の物品。
【請求項13】
前記少なくとも1つの通気領域が、外部の空気を前記エアロゾル生成材料に供給するように配置されている、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記少なくとも1つの通気領域が、外部の空気を前記第1の管状体の空洞に供給するように配置されている、請求項12又は13に記載の物品。
【請求項15】
前記少なくとも1つの通気領域が、単一列の通気開口を備える、請求項12~14のいずれか一項に記載の物品。
【請求項16】
前記少なくとも1つの通気領域が、2列以上の通気開口を備える、請求項12~15のいずれか一項に記載の物品。
【請求項17】
前記少なくとも1つの通気領域によって提供される通気のレベルが、前記物品を通過する前記非燃焼性エアロゾル供給デバイスによって生成されるエアロゾルの量の45%~65%の範囲内、又は前記物品を通過する前記非燃焼性エアロゾル供給デバイスによって生成されるエアロゾルの量の40%~60%である、請求項12~16のいずれか一項に記載の物品。
【請求項18】
前記口側端部セクションが第3の管状体を備える、請求項1~17のいずれか一項に記載の物品。
【請求項19】
前記第3の管状体が、前記物品の口側端部を画定する、請求項18に記載の物品。
【請求項20】
前記第3の管状体の長さが
、10mmより長い、又
は12mmより長い、請求項18又は19に記載の物品。
【請求項21】
前記口側端部セクションが、内側本体及び外側本体を備え、前記内側本体の長さを通る気体の流れに対する抵抗が、前記外側本体の長さを通る気体の流れに対する抵抗よりも小さい、請求項1~20のいずれか一項に記載の物品。
【請求項22】
シート材料をさらに備え、
前記シート材料が強度不連続性パターンを有し、その結果、前記シート材料の少なくとも一部分の曲率が不均一になる、請求項1~21のいずれか一項に記載の物品。
【請求項23】
前記第1の管状体が、第2のエアロゾル生成材料を備える、請求項1~22のいずれか一項に記載の物品。
【請求項24】
前記エアロゾル生成材料が
、2000コレスタ単位より大きいレベルの透過性を有するラッパーで包まれ、前記物品が、前記エアロゾル生成材料の下流に、少なくとも1つの通気領域を備える下流部分を備える、請求項1~23のいずれか一項に記載の物品。
【請求項25】
前記口側端部セクションが、フィラメントトウの本体を備え、前記フィラメントトウの本体のフィラメントトウが、前記フィラメントトウに対して生成されたトウ性能曲線の最小重量と最大重量との間の範囲
の10%
~30%の前記本体の長さ1mm当たりの重量を有する、請求項1~24のいずれか一項に記載の物品。
【請求項26】
ヒーターを備えた非燃焼性エアロゾル供給デバイスと、
請求項1~25のいずれか一項に記載の物品と
を備えるシステム。
【請求項27】
ヒーターを備えた非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品を製造する方法であって、
少なくとも1つのエアロゾル形成材料を含むエアロゾル生成材料を用意するステップと、
前記エアロゾル生成材料の下流に管状体を配置するステップであって、前記管状体がフィラメントトウを含む、ステップと、
前記管状体の下流に口側端部セクションを配置するステップと
を含み、
前記物品が、前記物品が前記非燃焼性エアロゾル供給デバイスに挿入されているときに、前記非燃焼性エアロゾル供給デバイスの前記ヒーターと前記管状体との間の最小距離が少なくとも3mmであるように構成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、非燃焼性エアロゾル供給システムで使用するための物品、物品を含む非燃焼性エアロゾル供給システム、及び非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定のタバコ産業製品は、使用中にエアロゾルを生じさせ、ユーザーによってそれが吸引される。例えば、タバコ加熱デバイスは、タバコなどのエアロゾル生成基材を燃やさずに加熱することによってエアロゾルを形成するために基材を加熱する。そのようなタバコ産業製品は、一般に吸い口を含んでおり、エアロゾルは、それを通過してユーザーの口に達する。
【発明の概要】
【0003】
本明細書で説明するいくつかの実施形態では、第1の態様において、ヒーターを備えた非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品が提供され、本物品は、
少なくとも1つのエアロゾル形成材料を含むエアロゾル生成材料と、
エアロゾル生成材料の下流に配置された第1の管状体であって、フィラメントトウを含む、第1の管状体と、
第1の管状体の下流に配置された口側端部セクションとを備え、
物品は、物品が非燃焼性エアロゾル供給デバイスに挿入されているときに、非燃焼性エアロゾル供給デバイスのヒーターと第1の管状体との間の最小距離が少なくとも約3mmであるように構成される。
【0004】
本明細書で説明するいくつかの実施形態では、第2の態様において、
ヒーターを備えた非燃焼性エアロゾル供給デバイスと、
請求項1~22のいずれか一項に記載の物品と
を具備するシステムが提供される。
【0005】
本明細書で説明するいくつかの実施形態では、第3の態様において、ヒーターを備えた非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品を製造する方法が提供され、本方法は、
少なくとも1つのエアロゾル形成材料を含むエアロゾル生成材料を用意するステップと、
エアロゾル生成材料の下流に管状体を配置するステップであって、管状体がフィラメントトウを含む、ステップと、
管状体の下流に口側端部セクションを配置するステップとを含み、
物品は、物品が非燃焼性エアロゾル供給デバイスに挿入されているときに、非燃焼性エアロゾル供給デバイスのヒーターと管状体との間の最小距離が少なくとも約3mmであるように構成される。
【0006】
次に、単なる例として添付の図面を参照して実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】非燃焼性エアロゾル供給システムで使用するための物品であって、第1の中空管状体、第2の中空管状体、及び第1の中空管状体と第2の中空管状体との間に配置された円柱状体を備える口側端部セクションを含む物品の図である。
【
図2】非燃焼性エアロゾル供給システムで使用するための物品であって、非燃焼性エアロゾル供給システムのヒーターから最小距離だけ離れて延在するように構成されたエアロゾル生成セクションを含む物品の図である。
【
図3】非燃焼性エアロゾル供給システムで使用するための物品であって、ラッパー(被覆体)によって形成された、エアロゾル生成材料の下流の空洞を含む物品の図である。
【
図4】非燃焼性エアロゾル供給システムで使用するための物品であって、第1の代替の口側端部セクションを含む物品の図である。
【
図4a】非燃焼性エアロゾル供給システムで使用するための物品であって、第2の代替の口側端部セクションを含む物品の図である。
【
図4b】非燃焼性エアロゾル供給システムで使用するための物品であって、第3の代替の口側端部セクションを含む物品の図である。
【
図5】非燃焼性エアロゾル供給システムで使用するための物品であって、非円形の断面を有する材料本体を備えた口側端部セクションを含む物品の図である。
【
図6】物品を製造する方法のステップの概略図である。
【
図8】外側カバーが取り除かれており、物品が存在しない状態の
図7のデバイスの図である。
【
図10】外側カバーが省略された状態の
図7のデバイスの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で使用するとき、「送達システム」という用語は、少なくとも1つの物質をユーザーに送達するシステムを含むように意図されており、
シガレット、シガリロ、シガー、及びパイプ用又は手巻き用若しくは手作りシガレット用のタバコなどの燃焼性エアロゾル供給システム(タバコ、タバコ派生品、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ代替品、又は他の喫煙材に基づくかどうかにかかわらない)と、
エアロゾル生成材料を組み合わせて使用してエアロゾルを生成するための電子タバコ、タバコ加熱製品、及びハイブリッドシステムなど、エアロゾル生成材料を燃焼させることなくエアロゾル生成材料から化合物を放出する非燃焼性エアロゾル供給システムと、
限定するものではないが、ロゼンジ、ガム、パッチ、吸引可能な粉末を含む物品、及び口腔タバコ製品(スヌース及び湿潤嗅ぎタバコを含む)などの口腔製品を含む少なくとも1つの物質で、ニコチンを含む場合も含まない場合もある少なくとも1つの物質を、エアロゾルを形成することなく経口的、経鼻的、経皮的、又は別の方法でユーザーに送達する、エアロゾルのない送達システムと
を含む。
【0009】
本開示によれば、「燃焼性」エアロゾル供給システムは、ユーザーへの少なくとも1つの物質の送達を容易にするために、エアロゾル供給システムのエアロゾル生成構成材料(又はその成分)が使用中に燃焼される又は燃やされるシステムである。
【0010】
本開示によれば、「非燃焼性」エアロゾル供給システムは、ユーザーへの少なくとも1つの物質の送達を容易にするために、エアロゾル供給システムのエアロゾル生成構成材料(又はその成分)が燃焼されない又は燃やされないシステムである。
【0011】
本明細書で説明する実施形態では、送達システムは、電力式非燃焼性エアロゾル供給システムなどの非燃焼性エアロゾル供給システムである。
【0012】
いくつかの実施形態では、非燃焼性エアロゾル供給システムは、ベイピングデバイス又は電子ニコチン送達システム(END:electronic nicotine delivery system)としても知られている電子タバコであるが、エアロゾル生成材料内のニコチンの存在は必要条件ではないことに留意されたい。
【0013】
いくつかの実施形態では、非燃焼性エアロゾル供給システムは、非燃焼加熱式システムとしても知られているエアロゾル生成材料加熱システムである。そのようなシステムの一例としては、タバコ加熱システムがある。
【0014】
一実施形態では、非燃焼性エアロゾル供給システムは、エアロゾル化可能材料(それらのうちの1つ又は複数は加熱されてもよい)の組合せを使用してエアロゾルを生成するためのハイブリッドシステムである。エアロゾル化可能材料のそれぞれは、例えば、固体、液体、又はゲルの形態であってもよく、ニコチンを含んでも含まなくてもよい。一実施形態では、ハイブリッドシステムは、液体又はゲルのエアロゾル化可能材料と、固体のエアロゾル化可能材料とを備える。固体のエアロゾル化可能材料は、例えば、タバコ又は非タバコ製品を含んでもよい。
【0015】
典型的には、非燃焼性エアロゾル供給システムは、非燃焼性エアロゾル供給デバイスと、非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用するための消耗品とを備えることができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、本開示は、エアロゾル生成材料を備え、非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用されるように構成された消耗品に関する。これらの消耗品は、本開示全体を通して、物品と呼ばれることもある。
【0017】
消耗品は、エアロゾル生成材料を備える、又はそれよりなる物品であり、その一部又は全部が、ユーザーの使用中に消費されるように意図される。消耗品は、エアロゾル生成材料収納領域、エアロゾル生成材料移送構成要素、エアロゾル生成領域、ハウジング、ラッパー、吸い口、フィルター、及び/又はエアロゾル改質剤など、1つ以上の他の構成要素を備えてもよい。消耗品はまた、使用時にエアロゾル生成材料にエアロゾルを生成させるために熱を放出するヒーターなどのエアロゾル生成器を備えてもよい。ヒーターは、例えば、可燃性材料、電気伝導によって加熱可能な材料、又はサセプタを備えてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、非燃焼性エアロゾル供給システム、例えば、その非燃焼性エアロゾル供給デバイスは、パワー源及び制御器を備えてもよい。パワー源は、例えば、電気パワー源又は発熱パワー源であってもよい。いくつかの実施形態では、発熱パワー源は、発熱パワー源の近傍のエアロゾル生成材料又は熱伝達材料にパワーを熱の形態で分配するようにエネルギーを与えることができる炭素基材を備える。
【0019】
いくつかの実施形態では、非燃焼性エアロゾル供給システムは、消耗品、エアロゾル生成器、エアロゾル生成領域、ハウジング、吸い口、フィルター、及び/又はエアロゾル改質剤を受け入れるための領域を備えてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用するための消耗品は、エアロゾル生成材料、エアロゾル生成材料収納領域、エアロゾル生成材料移送構成要素、エアロゾル生成器、エアロゾル生成領域、ハウジング、ラッパー、フィルター、吸い口、及び/又はエアロゾル改質剤を備えてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、送達される物質は、エアロゾル生成材料、又はエアロゾル化されることを意図されない材料であってもよい。必要に応じて、どちらの材料も、1つ以上の活性成分、1つ以上の香料、1つ以上のエアロゾル形成材料、及び/又は1つ以上の他の機能材料を含んでもよい。
【0022】
エアロゾル生成器は、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成させるように構成された装置である。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成器は、エアロゾル生成材料に熱エネルギーを受けさせ、その結果、エアロゾル生成材料から1つ以上の揮発成分を放出させてエアロゾルを形成するように構成されたヒーターである。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成器は、加熱することなくエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成させるように構成される。例えば、エアロゾル生成器は、エアロゾル生成材料に、振動、圧力上昇、又は静電エネルギーのうちの1つ以上を受けさせるように構成されてもよい。
【0023】
エアロゾル生成材料は、例えば、加熱される、照射される、又は任意の他の方法でエネルギーを与えられると、エアロゾルを生成することができる材料である。エアロゾル生成材料は、例えば、固体、液体、又はゲルの形態であってもよく、活性物質及び/又は香味料を含んでもよいし含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料は、「非晶質固体」(これに代えて、「モノリシック固体」(すなわち、非繊維状)と呼ばれることがある)を含んでもよい。いくつかの実施様態では、非晶質固体は乾燥ゲルであってもよい。非晶質固体は、その中に液体などの何らかの流体を保持することができる固体材料である。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料は、例えば、約50重量%、60重量%、又は70重量%~約90重量%、95重量%、又は100重量%の非晶質固体を含んでもよい。
【0024】
エアロゾル生成材料は、1つ以上の活性物質及び/又は香料、1つ以上のエアロゾル形成材料、並びに、任意選択で、1つ以上の他の機能材料を含んでもよい。
【0025】
エアロゾル形成材料は、エアロゾルを形成することができる1つ以上の成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル形成材料は、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1、3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソエリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、及び炭酸プロピレンのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0026】
1つ以上の他の機能材料は、pH調整剤、着色剤、保存剤、結合剤、充填剤、安定剤、及び/又は酸化防止剤のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0027】
材料は、支持体上に、又はその中に存在して基材を形成してもよい。支持体は、例えば、紙、カード、段ボール、厚紙、再生材料、プラスチック材料、セラミック材料、複合材料、ガラス、金属、若しくは合金であってもよい、又はそれらを含んでもよい。いくつかの実施形態では、支持体はサセプタを備える。いくつかの実施形態では、サセプタは、材料内に埋め込まれる。いくつかの代替の実施形態では、サセプタは、材料の片側又は両側にある。
【0028】
エアロゾル改質剤は、典型的には、エアロゾル生成領域の下流に配置され、例えば、エアロゾルの味、香味、酸味、又は別の特性を変えることによって、生成されたエアロゾルを改質するように構成された物質である。エアロゾル改質剤は、エアロゾル改質剤を選択的に放出するように動作可能な、エアロゾル改質剤放出構成要素で提供されてもよい。
【0029】
エアロゾル改質剤は、例えば、添加剤又は吸着剤であってもよい。エアロゾル改質剤は、例えば、香味料、着色剤、水、及び炭素吸着剤のうちの1つ以上を含んでもよい。エアロゾル改質剤は、例えば、固体、液体、又はゲルであってもよい。エアロゾル改質剤は、粉末、糸、又は顆粒の形態であってもよい。エアロゾル改質剤は、濾過材がなくてもよい。
【0030】
サセプタは、交流磁場などの変動磁場の侵入によって加熱可能な材料である。サセプタは、導電性材料であってよく、その結果、変動磁場がそれに侵入することによって、加熱材料が誘導加熱される。加熱材料は、磁性体であってもよく、その結果、変動磁場がそれに侵入することによって、加熱材料が磁気ヒステリシス加熱される。サセプタは、導電性と磁性の両方を有してもよく、その結果、サセプタは両方の加熱メカニズムによって加熱可能である。変動磁場を生成するように構成されたデバイスは、本明細書では磁場生成器と呼ばれる。
【0031】
誘導加熱は、導電性物体に変動磁場を侵入させることによってその物体が加熱されるプロセスである。このプロセスは、ファラデーの電磁誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒーターは、電磁石と、この電磁石に交流電流などの変動電流を流すためのデバイスとを備えることができる。電磁石と加熱される物体とが、電磁石によって生じた変動磁場がこの物体に侵入するように適切な相対位置に配置されると、この物体内に1つ以上の渦電流が生成される。この物体は電流の流れに対して抵抗を有する。したがって、この物体内にこのような渦電流が生成されると、物体の電気抵抗に抗して流れ、それによってこの物体が加熱される。このプロセスは、ジュール加熱、オーム加熱、又は抵抗加熱と呼ばれる。誘導加熱することができる物体はサセプタとして知られている。
【0032】
一実施形態では、サセプタは閉回路の形態である。サセプタが閉回路の形態のときは、使用時のサセプタと電磁石との間の磁気結合が強くなり、その結果、ジュール加熱が増大し、又は改善されることが判明した。
【0033】
磁気ヒステリシス加熱は、磁性材料からなる物体に変動磁場が侵入することによってその物体が加熱されるプロセスである。磁性材料は、原子スケールの磁石、すなわち磁気双極子を多く含んでいると考えることができる。磁場がこのような材料に侵入すると、磁気双極子は磁場に沿って整列する。したがって、交流磁場(例えば、電磁石によって生じたもの)などの変動磁場が磁性材料に侵入すると、磁気双極子の向きは、印加された変動磁場に応じて変化する。このような磁気双極子の再配向によって、磁性材料内に熱が発生する。
【0034】
物体が導電性と磁性の両方を有するときは、その物体に変動磁場を侵入させると、物体にジュール加熱と磁気ヒステリシス加熱の両方を生じさせることができる。さらに、磁性材料を使用すると、磁場を強めることができ、それによりジュール加熱を強めることができる。
【0035】
上記のプロセスのそれぞれでは、熱は、外部熱源によって熱伝導で生成されるのではなく、物体自体の内部で生成されるので、特に、物体の材料及び幾何形状を適切に選び、その物体に対して変動磁場の大きさ及び向きを適切に選ぶことによって、物体内の急速な温度上昇と、より均一な熱分布とを達成することができる。さらに、誘導加熱及び磁気ヒステリシス加熱では、変動磁場の源と物体との間に物理的な接続部を設ける必要がないので、設計自由度及び加熱プロファイルの制御性を高めるとともに、コストを下げることができる。
【0036】
物品、例えばロッド状の物品は、製品の長さに従って、「レギュラー」(典型的には、68~75mm、例えば約68mm~約72mmの範囲)、「ショート」又は「ミニ」(68mm以下)、「キングサイズ」(典型的には、75~91mm、例えば約79mm~約88mmの範囲)、「ロング」又は「スーパーキング」(典型的には、91~105mm、例えば約94mm~約101mmの範囲)、及び「ウルトラロング」(典型的には、約110mm~約121mmの範囲)と命名されることが多い。
【0037】
物品はまた、製品の円周に従って、「レギュラー」(約23~25mm)、「ワイド」(25mm超)、「スリム」(約22~23mm)、「デミスリム」(約19~22mm)、「スーパースリム」(約16~19mm)、及び「マイクロスリム」(約16mm未満)と命名される。
【0038】
したがって、キングサイズでスーパースリム形式の物品は、例えば約83mmの長さ及び約17mmの円周を有する。
【0039】
各形式は、異なる長さの吸い口を有して作製することができる。吸い口の長さは、約30mm~50mmとなる。チップペーパーは、吸い口をエアロゾル生成材料に接続し、通常、吸い口より長く、例えば3~10mm長く、その結果、チップペーパーは吸い口を覆い、例えば基材のロッドの形態のエアロゾル生成材料に重なって、吸い口をロッドに接続する。
【0040】
本明細書で説明する物品及びそのエアロゾル生成材料並びに吸い口は、限定するものではないが、上記の形式のいずれかで作ることができる。
【0041】
本明細書で使用する「上流」及び「下流」という用語は、使用時、物品又はデバイスを通って引き込まれる主流エアロゾルの方向に関連して定められる相対的な用語である。
【0042】
本明細書で説明するフィラメントトウ又はフィルター材料は、酢酸セルロースの繊維トウを含むことができる。フィラメントトウはまた、ポリビニルアルコール(PVOH:polyvinyl alcohol)、ポリ乳酸(PLA:polylactic acid)、ポリカプロラクトン(PCL:polycaprolactone)、ポリ(1-4ブタンジオールスクシネート)(PBS:poly(1-4 butanediol succinate))、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)(PBAT:poly(butylene adipate-co-terephthalate))、デンプン系材料、綿、脂肪族ポリエステル材料、及び多糖ポリマー、又はこれらの組合せなど、繊維を形成するために使用される他の材料を使用して形成することができる。フィラメントトウは、材料が酢酸セルローストウである場合はトリアセチンなど、トウにとって好適な可塑剤によって可塑化されてもよく、又はトウは非可塑化されてもよい。トウは、「Y」形、「X」形、又は「O」形の断面を有する繊維など、任意の好適な仕様を有することができる。トウの繊維は、フィラメントあたり2.5~15デニール、例えば、フィラメントあたり8.0~11.0デニールの単繊度値、及び5,000~50,000デニール、例えば10,000~40,000デニールの総繊度値を有する。断面で見たとき、繊維は25以下の等周比L2/Aを有してもよく、それは、20以下が好ましく、15以下がより好ましい。ここで、Lは、断面の周囲長さ、Aは断面の面積である。本明細書で説明するフィルター材料はまた、紙などのセルロース系材料を含む。このような材料は、空気及び/又はエアロゾルが材料を通過することができるように、約0.1~約0.45グラム/立方センチメートルなどの比較的低密度を有する場合がある。このような材料は、フィルター材料として説明したが、主目的が、構成要素の吸引抵抗を増大させるなど、それ自体、濾過に関係しなくてもよい。
【0043】
本明細書で使用するとき、「タバコ材料」という用語は、タバコ又はその派生品若しくは代替品を含む任意の材料を指す。「タバコ材料」という用語は、タバコ、タバコ派生品、膨張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ以上を含んでもよい。タバコ材料は、挽きタバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押出タバコ、タバコ茎、タバコ葉柄、再生タバコ、及び/又はタバコ抽出物のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、送達される物質は活性物質を含む。
【0045】
本明細書で使用するとき、活性物質は、生理学的反応を達成又は強化するように意図された材料である生理学的活性材料であってもよい。活性物質は、例えば、栄養補助食品、向知性薬、及び向精神薬から選択されてもよい。活性物質は、自然に発生したものでも、又は合成して得られるものでもよい。活性物質は、例えば、ニコチン、カフェイン、タウリン、テイン、ビタミン(B6又はB12又はCなど)、メラトニン、カンナビノイド、又はその成分、誘導体、若しくは組合せを含んでもよい。活性物質は、タバコ、大麻、又は別の植物性物質の1つ以上の成分、誘導体、又は抽出物を含んでもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、活性物質はニコチンを含む。いくつかの実施形態では、活性物質は、カフェイン、メラトニン、又はビタミンB12を含む。
【0047】
本明細書で説明したように、活性物質は、1つ以上の植物性物質、又はその成分、誘導体、若しくは抽出物を含んでもよい、或いはそれらに由来してもよい。本明細書で使用するとき、「植物性物質」という用語は、限定するものではないが、抽出物、葉、樹皮、繊維、葉柄、根、種子、花、果実、花粉、殻、皮などを含む、植物に由来した任意の材料を含む。これに代えて、この材料は、植物性物質中に天然に存在する、又は合成により得られる活性化合物を含んでもよい。この材料は、液体、気体、固体、粉末、粉塵、破砕粒子、顆粒、ペレット、断片、細片、シートなどの形態であってもよい。植物性物質の例は、タバコ、ユーカリノキ、スターアニス、麻、カカオ、大麻、ウイキョウ、レモングラス、ペパーミント、スペアミント、ルイボス、カモミール、亜麻、ショウガ、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、ローレル、甘草、抹茶、マテ、オレンジの皮、パパイヤ、バラ、セージ、茶(緑茶又は紅茶など)、タイム、クローブ、シナモン、コーヒー、アニシード(アニス)、バジル、ベイリーフ、カルダモン、コリアンダー、クミン、ナツメグ、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、ラベンダー、レモンピール、ミント、ジュニパー、ニワトコの花、バニラ、ウィンターグリーン、シソ、ウコン、ターメリック、サンダルウッド、シラントロ、ベルガモット、オレンジの花、マートル、カシス、バレリアン、ピメント、メース、ダミアン、マジョラム、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、カルヴィ、バーベナ、タラゴン、ゼラニウム、マルベリー、チョウセンニンジン、テアニン、テアクリン、マカ、アシュワガンダ、ダミアナ、ガラナ、クロロフィル、バオバブ、又はそれらの任意の組合せである。ミントは、ヨウシュハッカ(Mentha Arventis)、グレープフルーツミント(Mentha c.v.)、エジプトミント(Mentha niliaca)、ペパーミント(Mentha piperita)、ライムミント(Mentha piperita citrata c.v.)、チョコレートミント(Mentha piperita c.v.)、カーリーミント(Mentha spicata crispa)、ワイルドミント(Mentha cardifolia)、ホースミント(Mentha longifolia)、パイナップルミント(Mentha suaveolens variegata)、ペニーロイヤルミント(Mentha pulegium)、イングリッシュスペアミント(Mentha spicata c.v.)、及びアップルミント(Mentha suaveolens)のミント品種から選択されてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、活性物質は、1つ以上の植物性物質、又はその成分、誘導体、若しくは抽出物を含み、或いはそれらに由来し、その植物性物質はタバコである。
【0049】
いくつかの実施形態では、活性物質は、1つ以上の植物性物質、又はその成分、誘導体、若しくは抽出物を含み、或いはそれらに由来し、その植物性物質は、ユーカリノキ、スターアニス、カカオ、及び麻から選択される。
【0050】
いくつかの実施形態では、活性物質は、1つ以上の植物性物質、又はその成分、誘導体、若しくは抽出物を含み、或いはそれらに由来し、その植物性物質は、ルイボス及びウイキョウから選択される。
【0051】
いくつかの実施形態では、送達される物質は香料を含む。
【0052】
本明細書で使用するとき、「香料」及び「香味料」という用語は、成人消費者用の製品において、現地の規制によって許可される場合に、所望の味、香り、又は他の体性感覚を作り出すために使用することができる材料を指す。それらは、自然に発生した香味材料、植物性物質、植物性物質の抽出物、合成して得られる材料、又はそれらの組合せ(例えば、タバコ、大麻、甘草、アジサイ、オイゲノール、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メープル、抹茶、メンソール、ニホンハッカ、アニシード(アニス)、シナモン、ターメリック、インディアンスパイス、アジアンスパイス、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、レッドベリー、クランベリー、ピーチ、アップル、オレンジ、マンゴー、クレメンティン、レモン、ライム、トロピカルフルーツ、パパイヤ、ルバーブ、ブドウ、ドリアン、ドラゴンフルーツ、キュウリ、ブルーベリー、マルベリー、柑橘類、ドランブイ(Drambuie)、バーボン、スコッチ、ウィスキー、ジン、テキーラ、ラム、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、アロエベラ、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、カート(khat)、ナスワール(naswar)、キンマ(betel)、シーシャ(shisha)、パイン、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、オレンジの花、サクラの花、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ワサビ、ピーマン、ショウガ、コリアンダー、コーヒー、麻、ハッカ属の任意の品種から得られるミント油、ユーカリノキ、スターアニス、カカオ、レモングラス、ルイボス、亜麻、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、ローレル、マテ、オレンジの皮、バラ、茶(緑茶又は紅茶など)、タイム、ジュニパー、エルダーフラワー、バジル、ベイリーフ、クミン、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、レモンピール、ミント、シソ、クルクマ、シラントロ、マートル、カシス、バレリアン、ピメント、メース、ダミアン、マジョラム、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、カルヴィ、バーベナ、タラゴン、リモネン、チモール、カンフェン)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化剤、又は刺激剤、糖類及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに他の添加剤、例えば、チャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息清涼剤を含んでもよい。それらは、模造成分、合成成分、若しくは天然成分、又はそれらのブレンドであってもよい。それらは、任意の適切な形態、例えば、液体(油など)、固体(粉末など)、又は気体であってもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、香料は、メンソール、スペアミント、及び/又はペパーミントを含む。いくつかの実施形態では、香料は、キュウリ、ブルーベリー、柑橘類、及び/又はレッドベリーの香味成分を含む。いくつかの実施形態では、香料はオイゲノールを含む。いくつかの実施形態では、香料は、タバコから抽出された香味成分を含む。いくつかの実施形態では、香料は、大麻から抽出された香味成分を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、香料は、嗅神経又は味覚神経に加えて、又はその代わりに、第5脳神経(三叉神経)を刺激することによって通常化学的に誘起され、知覚される体性感覚を達成するように意図された感覚剤を含んでもよく、これらは、加熱効果、冷却効果、ひりつき効果、麻痺効果を提供する薬剤を含んでもよい。適切な熱効果剤は、限定するものではないが、バニリルエチルエーテルであってもよく、適切な冷却剤は、限定するものではないが、ユーカリプトール、WS-3であってもよい。
【0055】
本明細書で説明する図では、同等の特徴、物品、又は構成要素を示すために類似の参照符号が使用される。
【0056】
図1~
図5は、非燃焼性エアロゾル供給システムの一部として使用するための様々な物品1a~1gを示す。物品は、例えば、いくつかの実施形態による、ヒーター101を備えた非燃焼性エアロゾル供給デバイス100(
図7~
図11B参照)とともに使用することができる。本例及び本明細書で説明する他の例では、物品は、タバコ加熱製品消耗品とすることができる。
【0057】
図1を参照すると、物品1aは、少なくとも1つのエアロゾル形成材料を含むエアロゾル生成材料2のロッドと、エアロゾル生成材料2の下流に配置され、フィラメントトウを含む第1の管状体3と、第1の管状体3の下流に配置された口側端部セクション20とを備える。物品1aは、物品1aが非燃焼性エアロゾル供給デバイス100に挿入されているときに、非燃焼性エアロゾル供給デバイス100のヒーター101と第1の管状体3との間の最小距離dが少なくとも約3mmであるように構成される。本例では、エアロゾル生成材料は、本明細書で説明するようなタバコ材料である。
【0058】
非燃焼性エアロゾル供給デバイス100のヒーター101と第1の管状体との間の最小距離dは、ヒーター101からの熱が第1の管状体3のフィラメントトウを損傷することを防止する。特に、フィラメントトウは、当技術分野で知られているように、可塑剤で硬くされ酢酸セルローストウの場合がある。ヒーター101からの熱は、第1の管状体3を収縮させることがある。これは、第1の管状体3とヒーター101との間に間隙を設けることによって回避される。
【0059】
最小距離dは、3mm以上であってもよい。最小距離dは、約3mmから約18mmまでが好ましく、約3mm~約12mm、例えば、約3mm~約10mm、及びその間の値など、約3mm~約15mmがより好ましい。例示的な最小距離dは、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、及び10mmを含む。
【0060】
物品1aは、物品1aの口側端部に吸い口セクション20を備える。
【0061】
各実施形態では、物品は、エアロゾル生成材料2及び第1の管状体3を少なくとも部分的に取り囲んで、エアロゾル生成材料2を第1の管状体3に接続するラッパー6をさらに備える。ラッパーは、口側端部セクション20も取り付けるために物品1aの全長に沿って延在してもよい。ラッパーは、物品1aの全長に沿って延在しているように示されているが、その代わりに、ラッパーは、エアロゾル生成材料2の長さに沿って部分的に延在してもよく、例えば、エアロゾル生成材料2を覆って3mm~10mm延在してもよい。エアロゾル生成材料は、追加のラッパー10とも呼ばれるラッパー10で包まれてもよい。
【0062】
ラッパー6は、硝酸ナトリウム又は硝酸カリウムなどのクエン酸塩を含む紙材料であってもよい。このような例では、ラッパー6は、2重量%以下、又は1重量%以下のクエン酸塩の含有量を有してもよい。これは、物品1aが非燃焼性エアロゾル供給デバイス100で加熱されるとき、ラッパー6の炭化を抑制する。
【0063】
第1の管状体3は、「ホットパフ(高温吸引)」の現象を低減するための放熱体として機能するように構成される。「ホットパフ」とは、不快に高い温度でユーザーに送達されるエアロゾルとして定義される。ホットパフは、ユーザーがエアロゾルを高速度で加熱された物品1aを通して引くことによって、エアロゾルの熱が放散される時間が短くなるときに悪化し得る。非燃焼性エアロゾル供給デバイス100に挿入されるとき、第1の管状体3は、口側端部セクションをヒーター101から離して、エアロゾルが口側端部セクション20に達する前に熱が放散する空間を提供する。さらに、エアロゾルが第1の管状体3を通って引かれるとき、熱はエアロゾルから離れて第1の管状体3に伝導されることが理解されるであろう。このように、第1の管状体3は、ヒートシンクとして作用する。
【0064】
第1の管状体3の壁厚は、少なくとも約325μmから約2mmまでが好ましく、500μm~1.5mmが好ましく、750μm~1mmがより好ましい。本例では、第1の管状体3は、約1mmの壁厚を有する。代替の例では、壁厚は、約0.5mm~約3mm、例えば、約1mm~約2.5mm又は約2mmとすることができる。第1の管状体3の「壁厚」は、第1の管状体3の半径方向の壁の厚さに相当する。これは、例えば、ノギスを用いて測定することができる。いくつかの例では、壁厚が一様でない場合、壁厚とは、管状体3の最小壁厚のことである。
【0065】
いくつかの実施形態では、第1の管状体3の壁の厚さは、少なくとも325ミクロンであり、少なくとも400、500、600、700、800、900、又は1000ミクロンが好ましい。いくつかの実施形態では、第1の管状体3の壁の厚さは、少なくとも1250ミクロン又は1500ミクロンである。
【0066】
いくつかの実施形態では、第1の管状体3の壁の厚さは、2000ミクロン未満であり、1500ミクロン未満が好ましい。
【0067】
第1の管状体3の壁の厚さが厚いことは、熱質量が大きいことを意味し、第1の管状体3を通過するエアロゾルの温度を下げ、第1の管状体3の下流位置にある口側端部セクション20の表面温度を下げるのに役立つことが判明した。これは、第1の管状体3の熱質量がより大きいことによって、より薄い壁厚を有する第1の管状体3と比較して、第1の管状体3がエアロゾルからより多くの熱を吸収することができるためと考えられる。また、第1の管状体3の厚さが厚いと、エアロゾルを口側端部セクション20の中央に流し、その結果、口側端部セクション20の外側部分に伝達されるエアロゾルからの熱がより少なくなる。
【0068】
いくつかの実施形態では、第1の管状体3の壁の材料の透過性は、少なくとも100コレスタ単位であり、少なくとも500又は1000コレスタ単位が好ましい。
【0069】
第1の管状体3の比較的高い透過性によって、エアロゾルから第1の管状体3に伝達される熱量が増加し、したがって、エアロゾルの温度が低下することが判明した。第1の管状体3の透過性はまた、エアロゾルから第1の管状体3に移動する水分の量を増加させることも判明し、これは、ユーザーの口の中でのエアロゾルの感触を改善することが判明した。また、第1の管状体3の透過性が高いと、レーザーを用いて第1の管状体3に通気孔を開けることが容易になり、これは、より低い出力のレーザーを用いることができることを意味する。
【0070】
第1の管状体3は、等周比L2/Aが25以下、20以下、又は15以下の断面を有するフィラメントを含むフィラメントトウを備えてもよい。ここで、Lは断面の外周の長さ、Aは断面の面積である。言い換えれば、フィラメントは、実質的に「O」形の断面を備えてもよく、又はできるだけそれに近い形状の断面を備えてもよい。所与の単繊度に対して、実質的に「O」形の断面を有するフィラメントは、「Y」形又は「X」形のフィラメントなどの他の断面形状よりも表面積が小さい。したがって、ユーザーへのエアロゾルの送達が改善される。
【0071】
第1の管状体3を通って引かれるエアロゾルは、第1の管状体3の中央空洞3aとともに第1の管状体3自体のフィラメントを部分的に通過することが理解されるであろう。実質的に「O」形の断面を有するフィラメントを備えることによって、より大きな割合のエアロゾルが第1の管状体3自体のフィラメントを通過して、第1の管状体3への熱伝達をさらに増加させる。
【0072】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明したエアロゾル生成材料2は、第1のエアロゾル生成材料2であり、第1の管状体3は、第2のエアロゾル生成材料を備えてもよい。例えば、第2のエアロゾル生成材料は、第1の管状体3の内面に配置されていてもよい。
【0073】
第2のエアロゾル生成材料は、少なくとも1つのエアロゾル形成材料を含み、少なくとも1つのエアロゾル改質剤、又は他の感覚剤材料も含んでもよい。エアロゾル形成材料及び/又はエアロゾル改質剤は、本明細書で説明した任意のエアロゾル形成材料又はエアロゾル改質剤、又はそれらの組合せとすることができる。
【0074】
使用時、第1のエアロゾル生成材料2から生成されたエアロゾルは、第1の管状体3を通って引き込まれるので、第1のエアロゾルからの熱は、第2のエアロゾル生成材料のエアロゾル形成材料をエアロゾル化して、第2のエアロゾルを形成することができる。第2のエアロゾルは、第1のエアロゾルの香料に追加又は補足する香味料を含んでもよい。
【0075】
第1の管状体3に第2のエアロゾル生成材料を設けると、第1のエアロゾルの香味又は外観を高める又は補足する第2のエアロゾルを生成することができる。
【0076】
物品1aは、外部の空気が物品に流入することができるように配置された少なくとも1つの通気領域12をさらに備えてもよい。図示の実施形態では、通気領域12は、ラッパー6、及び通気領域12の位置に設けられた任意の他のラッパーに切り込まれた一列の通気開口又は穿孔を備える。通気開口は、物品1aの周囲を1列に延在してもよい。通気領域12は、2列以上の通気開口を備えてもよい。通気領域12を設けることによって、周囲の空気が使用中に物品に引き込まれてエアロゾルをさらに冷却することができる。
【0077】
図示の実施形態では、少なくとも1つの通気領域12は、外部の空気を第1の管状体3の空洞3aに供給するように配置される。これを達成するために、1つ以上の列の通気開口が、第1の管状体3を覆うように物品の周囲に延在する。
【0078】
一例では、通気領域12は、口側端部からそれぞれ17.925mmと18.625mmの位置にある、レーザー穿孔として形成された第1及び第2の平行な列の穿孔を備える。これらの穿孔は、ラッパー6、及び第1の管状体の周りに設けられた他のラッパーを通り抜けて、第1の管状体3の中を通る。代替の実施形態では、通気は他の位置で行われることができる。
【0079】
これに代えて、通気は、単一の列の穿孔、例えばレーザー穿孔を通じて第1の管状体3が配置された物品1aの部分内に行うことができる。これは、エアロゾルの形成を改善することが判明しており、これは、所与の通気レベルに対して、穿孔を通る空気流が、複数の列の穿孔よりも均一であることに起因すると考えられる。
【0080】
少なくとも1つの通気領域12の正確な位置は重要ではないことは理解されよう。別の実施形態では、少なくとも1つの通気領域12は、外部の空気をエアロゾル生成材料2に供給するように配置される。これを達成するために、1つ以上の列の通気開口が、エアロゾル生成材料2のロッドを覆うように物品の周囲に延在する。
【0081】
少なくとも1つの通気領域12によって提供される通気のレベルは、物品1aが非燃焼性エアロゾル供給デバイス100で加熱されるとき、物品1aを通過するエアロゾル生成材料2によって生成されるエアロゾルの量の40%~70%の範囲内である。
【0082】
エアロゾルの温度は一般に、通気レベルが下がるとともに上昇することが判明した。しかしながら、エアロゾルの温度と通気レベルとの間の関係は直線的ではないと思われ、例えば、製造公差による通気のばらつきは、目標通気レベルが低いときには影響が少ない。例えば、通気量の許容誤差が±15%では、75%の目標通気レベルに対して、エアロゾル温度は、通気の下限(60%の通気)において約6℃だけ上昇する場合がある。しかしながら、60%の目標通気レベルでは、エアロゾル温度は、通気の下限(45%換気)において約3.5℃しか上昇しない場合がある。したがって、物品の目標通気レベルは、40%~70%、例えば45%~65%の範囲内とすることができる。少なくとも20個の物品の平均通気レベルは、40%~70%、例えば45%~70%、又は51%~59%とすることができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、追加のラッパー10が、エアロゾル生成材料2とラッパー6との間のエアロゾル生成材料2を少なくとも部分的に取り囲む。特に、物品の製造中、エアロゾル生成材料は、まず、追加のラッパー10によって包まれてから、ラッパー6によって物品1aの他の構成要素と組み合わせて取り付けられる。
【0084】
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料を取り囲む追加のラッパー10は、例えば、約1000コレスタ単位より大きい、又は約1500コレスタ単位より大きい、又は約2000コレスタ単位より大きい高レベルの透過性を有する。追加のラッパー10の透過性は、シガレットペーパー、フィルタープラグラップ、及びフィルター接合紙として使用される材料の空気透過性の決定に関するISO2965:2009に従って測定することができる。
【0085】
追加のラッパー10は、固有の高レベルの透過性レベルを有する材料、固有の多孔性の材料から形成されてもよく、又は、透過性区域又は領域を有する追加のラッパー10を設けることによって最終の透過性レベルが達成される場合、固有の任意のレベルの透過性を有する材料から形成されてもよい。透過性の追加のラッパー10を設けることで、喫煙品に空気が入る経路が提供される。追加のラッパー10は、エアロゾル生成材料2のロッドを通って入る空気の量が、吸い口の通気領域12を通って物品1aに入る空気の量より相対的に多くなるような透過性を備えることができる。この構成を有する物品1aは、より風味の良いエアロゾルを生成することができ、それは、ユーザーをより満足させることができる。
【0086】
図1に示す実施形態では、物品1aは、エアロゾル生成材料2と第1の管状体3との間に配置された第2の管状体5をさらに備える。第2の管状体5の長さは、少なくとも最小距離dだけ非燃焼性エアロゾル供給デバイス100のヒーター101から離して、第1の管状体3とヒーターとの間に必要な分離を提供するように延在するような長さである。
【0087】
第2の管状体5は、エアロゾル生成材料2と第1の管状体3との間に空洞5aを画定し、空洞5aの長さは、物品が非燃焼性エアロゾル供給デバイス100に挿入されているとき、少なくとも約3mmだけ非燃焼性エアロゾル供給デバイス100のヒーター101から離れるように延在するような長さである。
【0088】
第2の管状体5は、紙から形成される。詳細には、第2の管状体5は、ラッパー6の下にある紙管5を備える。紙管は、空洞5aの周りで物品1aにさらなる剛性を与える。
【0089】
第2の管状体5は、少なくとも200ミクロン、少なくとも300ミクロンの壁厚、及び/又は少なくとも100コレスタ単位の透過性を有することが好ましい。第2の管状体5を少なくとも100コレスタ単位の透過性を有するように構成することによって、物品1aが非燃焼性エアロゾル供給デバイス100によって加熱されたときにエアロゾル生成材料2によって生成されるエアロゾルからの水分を第2の管状体5が吸収することができる。さらに、透過性が100コレスタ単位より大きい紙は一般に、軽量で、製造時に作業がしやすい。
【0090】
図2によって示される実施形態では、エアロゾル生成材料2のロッドの長さは、物品1bが非燃焼性エアロゾル供給デバイス100に挿入されているときに、非燃焼性エアロゾル供給デバイス100のヒーター101から最小距離dだけ離れるように延在するような長さである。したがって、エアロゾル生成材料2のロッドは、第1の管状体3をエアロゾル生成材料のロッドから間隔を空けて配置する必要なく、第1の管状体3とヒーターとの間に必要な間隔を提供する。
【0091】
図3によって示される実施形態では、第1の管状体は、物品1cが非燃焼性エアロゾル供給デバイス100に挿入されているとき、非燃焼性エアロゾル供給デバイス100のヒーター101と第1の筒状体3との間の最小距離dが保たれるように、エアロゾル生成材料2から離される。エアロゾル生成材料2と第1の管状体3との間の空間は空洞6aを画定する。
【0092】
図1~
図3によって示される実施形態では、口側端部セクション20は、第3の管状体22を備える。第3の管状体22は、物品1a~1cの口側端部を画定する。第3の管状体22は、可塑剤で硬くされた酢酸セルロースの管を備えてもよい。第3の管状体22は、口側端部セクション20に、口側端部で開口する空洞部22aを画定する。
【0093】
いくつかの実施形態では、約10mmより長い、例えば約10mm~約30mm、又は約12~約25mmの長さを有する管状体22を使用することが特に有利になり得る。物品1を通じてエアロゾルを引くとき、消費者の唇は、場合によっては物品1の口側端部から約12mmまで延在する可能性があることが判明し、したがって、少なくとも10mm、又は少なくとも12mmの長さを有する管状体22は、消費者の唇のほとんどがこの要素4を囲むことを意味する。
【0094】
物品1a~1cは材料本体21を含む。材料本体21は、第1のプラグラップ23など、追加の包装材料で包まれる。第1のプラグラップ23は、50gsm未満の坪量を有することが好ましく、約20gsm~40gsmの坪量を有することがより好ましい。第1のプラグラップ23の厚さは、30μm~60μmが好ましく、35μm~45μmがより好ましい。第1のプラグラップ23は、例えば、100コレスタ単位未満、例えば50コレスタ単位未満の透過性を有する、非多孔性のプラグラップであることが好ましい。しかしながら、他の実施形態では、第1のプラグラップ23は、例えば、200コレスタ単位より大きい透過性を有する、多孔性のプラグラップとすることができる。
【0095】
材料本体21の長さは、約15mm未満であることが好ましい。材料本体21の長さは、約10mm未満であることがより好ましい。加えて、又は代替策として、材料本体21の長さは、少なくとも約5mmである。材料本体21の長さは、少なくとも約6mmであることが好ましい。いくつかの好ましい実施形態では、材料本体21の長さは、約5mm~約15mmであり、約6mm~約12mmがより好ましく、約8mm~約12mmがさらにより好ましく、約8mm、9mm、又は10mmが最も好ましい。本例では、材料本体21の長さは10mmである。
【0096】
本例では、材料本体21は、フィラメントトウから形成される。本例では、材料本体21に使用されたトウは、単繊度が8.4デニール(d.p.f.:denier per filament)で、総繊度が21,000デニールを有する。これに代えて、トウは、例えば、単繊度が9.5デニール(d.p.f.)で、総繊度が12,000デニールを有し得る。これに代えて、トウは、例えば、単繊度が8デニール(d.p.f.)で、総繊度が15,000デニールを有する。本例では、トウは、可塑化された酢酸セルローストウを含む。トウに使用される可塑剤は、トウの約7重量%を構成する。本例では、可塑剤はトリアセチンである。他の例では、異なる材料を使用して材料本体21を形成することができる。例えば、材料本体21は、トウではなく、例えば、紙巻きタバコに使用するために知られている紙フィルターと同様の方法で、紙から形成することができる。これに代えて、本体21は、酢酸セルロース以外のトウ、例えばポリ乳酸(PLA)、フィラメントトウに対して本明細書で説明した他の材料、又は同様の材料から形成することができる。トウは、酢酸セルロースから形成されることが好ましい。トウは、酢酸セルロースから形成されていようが、又は他の材料から形成されていようが、少なくとも5d.p.f.が好ましくは、少なくとも6d.p.f.がより好ましく、少なくとも7d.p.f.がさらにより好ましい。これらの単繊度の値では、より小さいd.p.f.値を有するトウよりも、より低い材料本体21の前後間での圧力降下となる、より小さな表面積を有する、比較的粗く、厚い繊維を有するトウになる。十分に均一な材料本体21を達成するためには、トウの単繊度は、12d.p.f.以下が好ましく、11d.p.f.以下が好ましく、10d.p.f.以下がさらにより好ましい。
【0097】
材料本体21を形成するトウの総繊度は、大きくても30,000デニールが好ましく、大きくても28,000デニールがより好ましく、大きくても25,000デニールがさらにより好ましい。これらの総繊度の値のトウは、物品1の断面積の小さな割合を占めて、物品1にわたる圧力降下が、より高い総繊度値を有するトウよりも低くなる。材料本体21を適切な硬さにするために、トウの総繊度は、少なくとも8,000デニールであることが好ましく、少なくとも10,000デニールであることがより好ましい。総繊度が10,000~25,000デニールでありながら、単繊度が5~12デニールであることが好ましい。総繊度が11,000~22,000デニールでありながら、単繊度が6~10デニールであることがより好ましい。トウのフィラメントの断面形状が「Y」形であることが好ましいが、他の実施形態では、本明細書で提供するのと同じd.p.f.及び総繊度値を有する、「X」形又は「O」形のフィラメントなどの他の形状を使用することができる。トウは、25以下の等周比の断面を有するフィラメントを含んでもよく、等周比は、20以下が好ましく、15以下がより好ましい。いくつかの例では、材料本体21は、トウ内に分散された吸着材(例えば、チャコール)を含んでもよい。
【0098】
いくつかの例では、材料本体21はカプセルを備えてもよい。カプセルは、破壊可能なカプセル、例えば液体ペイロードを取り囲む固体の脆いシェルを有するカプセルを構成することができる。いくつかの例では、単一のカプセルが使用される。カプセルは、材料本体21内に全体的に埋め込まれる。言い換えれば、カプセルは、材料本体を形成する材料によって完全に取り囲まれる。他の例では、複数の破壊可能なカプセル、例えば2つ、3つ、又はそれ以上の破壊可能なカプセルが、材料本体21内に配置されてもよい。必要とされるカプセルの数に対応するために、材料本体21の長さを延ばすことができる。複数のカプセルが使用される例では、大きさ及び/又はカプセルのペイロードに関して、個々のカプセルを互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。他の例では、各材料本体が1つ以上のカプセルを含む、複数の材料本体が設けられてもよい。
【0099】
いくつかの実施形態では、非燃焼性エアロゾル供給システムは、エアロゾル改質構成要素と、使用時に、エアロゾル生成材料がエアロゾルを供給するようにエアロゾル生成材料を加熱するように動作可能なヒーター101とを備えて提供される。エアロゾル改質構成要素は、第1及び第2のカプセルを備える。第1のカプセルは、エアロゾル改質構成要素の第1の部分に配置され、第2のカプセルは、第1の部分の下流にあるエアロゾル改質構成要素の第2の部分に配置される。
【0100】
エアロゾル改質構成要素の第1の部分は、ヒーター101の動作中に第1の温度に加熱されてエアロゾルを生成し、第2の部分は、ヒーターの動作中に第2の温度に加熱されてエアロゾルを生成し、第2の温度は、第1の温度よりも少なくとも摂氏4度低い。第2の温度は、第1の温度より少なくとも摂氏5、6、7、8、9、又は10度低いことが好ましい。
【0101】
エアロゾル改質構成要素は、物品の1つ以上の構成要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル改質構成要素は材料本体21を含み、第1及び第2のカプセルは材料本体21内に配置される。材料本体は、酢酸セルロース又は紙を含んでもよい。別の実施形態では、エアロゾル改質構成要素は、2つの材料本体を含み、第1及び第2のカプセルは、それぞれ第1及び第2の材料本体に配置される。いくつかの実施形態では、エアロゾル改質構成要素は、これに代えて、又はこれに加えて、材料本体(複数可)の上流及び/又は下流に1つ以上の管状要素を含む。エアロゾル生成構成要素は、吸い口を備えてもよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、第2のカプセルは、第1のカプセルから少なくとも7mmの距離だけ間隔を空けて配置される。ここで、この距離は、第1のカプセルと第2のカプセルの中心間の距離として測定される。第2のカプセルは、第1のカプセルから少なくとも8、9、又は10mmの距離だけ間隔を空けて配置されることが好ましい。第1のカプセルと第2のカプセルの間の距離が長くなると、第1の温度と第2の温度の差が大きくなることが判明した。
【0103】
第1のカプセルは、エアロゾル改質剤を備える。第2のカプセルは、第1のカプセルのエアロゾル改質剤と同じであっても異なっていてもよいエアロゾル改質剤を備える。いくつかの実施形態では、ユーザーは、各カプセルからエアロゾル改質剤を放出するためにエアロゾル改質構成要素に外力を加えることによって第1及び第2のカプセルを選択的に破裂させることができる。
【0104】
第2のカプセルのエアロゾル改質剤は、第1の温度と第2の温度の差により、第1のカプセルのエアロゾル改質剤より低い温度に加熱される。
【0105】
この温度差に基づいて、第1のカプセルのエアロゾル改質剤と第2のカプセルのエアロゾル改質剤を選択することができる。例えば、第1のカプセルは、第2のカプセルの第2のエアロゾル改質剤よりも低い蒸気圧を有する第1のエアロゾル改質剤を備えてもよい。カプセルが両方とも同じ温度に加熱された場合、第2のカプセルのエアロゾル改質剤のより高い蒸気圧は、第1のカプセルのエアロゾル改質剤よりも多くの量の第2のエアロゾル改質剤が揮発することを意味する。しかしながら、第2のカプセルはより低い温度に加熱されるので、この影響は少なく、その結果、第1及び第2のカプセルの破壊時に、より均等な量の第1のカプセルのエアロゾル改質剤及び第2のカプセルのエアロゾル改質剤が揮発する。
【0106】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のカプセルは、同じエアロゾル改質プロファイルを有し、これは、同じタイプのエアロゾル改質剤を同じ量含むことを意味し、その結果、両方のカプセルが同じ温度に加熱されて破壊された場合、両方のカプセルがエアロゾルの同じ改質を引き起こす。しかしながら、第1のカプセルは第2のカプセルよりも高温に加熱されるので、第2のカプセルの改質剤に比べてより多くの量の第1のカプセルのエアロゾル改質剤が、例えば揮発し、したがって、第2のカプセルよりも顕著なエアロゾルの改質を引き起こす。したがって、両方のカプセルが同じである(これによって、エアロゾル改質構成要素をより容易及び/又はより安価に製造することができる)にもかかわらず、ユーザーは、エアロゾルのより顕著な改質を引き起こすために第1のカプセルを破壊するか、エアロゾルのあまり顕著でない改質を引き起こすために第2のカプセルを破壊するか、又はエアロゾルの最大の改質を引き起こすために両方のカプセルを破壊するかを決定することができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のカプセルは、両方とも第1及び第2のエアロゾル改質剤を備える。第1のエアロゾル改質剤は、第2のエアロゾル改質剤よりも低い蒸気圧を有する。したがって、エアロゾルを生成するためにシステムを使用しているとき、より高温の第1のカプセルが破壊されたときと比較して、第2のカプセルが破壊されたときは、第1のエアロゾル改質剤よりも大きな割合の第2のエアロゾル改質剤が気化される。したがって、同じカプセルを使用して、エアロゾル改質構成要素の第1又は第2の部分におけるカプセルの位置に基づいて、エアロゾルの異なる改質を生じさせることができる。
【0108】
カプセルは、コアシェル構造を有する。言い換えれば、カプセルは、液状剤、例えば香味料又は他の薬剤をカプセル化するシェルを備えており、液状剤は、本明細書で説明した香味料又はエアロゾル改質剤のうちのいずれか1つとすることができる。カプセルのシェルは、香味料又は他の薬剤を材料本体21内へ放出するために、ユーザーが破裂させることができる。第1のプラグラップ23は、プラグラップの材料をカプセルの液体ペイロードに対して実質的に不透過性にするためのバリアコーティングを備えることができる。これに代えて、又はこれに加えて、第2のプラグラップ23及び/又は包装材料6は、プラグラップ23及び/又は包装材料6の材料をカプセルの液体ペイロードに対して実質的に不透過性にするためにバリアコーティングを備えることができる。
【0109】
いくつかの例では、カプセルは球形で、約3mmの直径を有する。他の例では、他の形状及び大きさのカプセルを使用することができる。カプセルの総重量は、約10mg~約50mgの範囲内とすることができる。
【0110】
所与のトウ仕様(8.4Y21000など)に対して、トウ重量の範囲のそれぞれに対して、トウを使用して形成されたロッドの長さを通じた圧力降下を表すトウ性能曲線を生成することが知られている。ロッドの長さ及び円周、ラッパー厚さ、並びにトウの可塑剤レベルなどのパラメータが指定され、これらをトウ仕様と組み合わせて、トウ性能曲線が生成される。トウ性能曲線は、標準的なフィルターロッド形成機械を使用して達成可能な最小重量と最大重量の間の異なるトウ重量によって提供される圧力降下を示す。そのようなトウ性能曲線は、例えば、トウの供給者から入手可能なソフトウェアを使用して計算することができる。フィラメントトウに対して生成されたトウ性能曲線の最小重量と最大重量との間の範囲の約10%~約30%の材料本体21の長さ1mmあたりの重量を有するフィラメントトウを含む材料本体21を使用することが特に有利であることが判明した。これは、本体21が形成された後の収縮を避けるのに十分なトウ重量を提供すること、許容できる圧力降下を提供すること、一方では、本明細書で説明した大きさのカプセルに対してトウ内のカプセル配置も助けることとの間で許容可能なバランスを提供することができる。
【0111】
第3の管状体22は、材料本体21によって第1の管状体3から離されている。プラグラップ23によって、第3の管状体22は材料本体21に取り付けられる。特に、物品の製造中、第3の管状体22は、まず、プラグラップ23によって材料本体21に取り付けられてから、ラッパー6によって物品1の他の構成要素と組み合わせて取り付けられる。
【0112】
第3の管状体22は必須ではなく、省略してもよいことは理解されよう。例えば、
図4によって示される物品1dでは、口側端部セクション20’の口側端部は、第1の管状体3と隣り合う材料本体21を備える。
【0113】
図4aによって示される別の実施形態では、物品1eの口側端部セクション20’’は、第4の管状体24によって第1の管状体3から離された材料本体21を備える。
【0114】
図4bによって示される別の実施形態では、物品1fの口側端部セクション20’’’は、内側本体21aと外側本体21bとを備える材料本体21を備える。外側本体21bは、内側本体21aを取り囲む管である。内側本体21aの長さを通る気体の流れに対する抵抗は、外側本体21bの長さを通る気体の流れに対する抵抗よりも小さい。これは、内側本体21aよりも高い繊維密度を有する外側本体21bを設けることによって達成することができる。
【0115】
図5によって断面で示される別の実施形態では、物品1gの口側端部セクション20’’’’は、非円形の断面を有する材料本体21を備える。この実施形態では、材料本体21とラッパー6との間に延在する追加の包装材料23のシートは、強度不連続性パターンを備える。前記強度不連続性の結果、前記追加の包装材料23の少なくとも一部分の曲率が不均一になって、材料本体21にその非円形断面を与える。図示の実施形態では、追加の包装材料23、及び追加の包装材料23内の材料本体21は、星形の断面を呈する。
【0116】
本明細書で説明するタバコ材料では、タバコ材料はエアロゾル形成材料を含む。この文脈では、「エアロゾル形成材料」は、エアロゾルの生成を促す薬剤である。エアロゾル形成材料は、最初の気化並びに/又は吸引可能な固体及び/若しくは液体エアロゾルへのガスの凝縮を促すことによって、エアロゾルの生成を促すことができる。いくつかの実施形態では、エアロゾル形成材料は、エアロゾル生成材料からの香料の送達を改善することができる。概して、任意の好適なエアロゾル形成材料又は薬剤は、本明細書で説明したものを含めて、本発明のエアロゾル生成材料内に含まれてもよい。他の好適なエアロゾル形成材料には、限定するものではないが、ソルビトール、グリセロール、及びプロピレングリコール又はトリエチレングリコールのようなグリコールなどのポリオール、一価アルコール、高沸点炭化水素などの非ポリオール、乳酸などの酸、グリセロール誘導体、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチルなどのエステル、又はミリスチン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルを含むミリスチン酸、並びにステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチル、及びテトラデカン二酸ジメチルなどの脂肪族カルボン酸エステルが含まれる。いくつかの実施形態では、エアロゾル形成材料は、グリセロール、プロピレングリコール、又はグリセロールとプロピレングリコールの混合物であってもよい。使用されるグリセロール、プロピレングリコール、又はグリセロールとプロピレングリコールの混合物の総量は、乾燥重量基準で測定して、タバコ材料の10%~30%、例えば15%~25%の範囲であってもよい。グリセロールは、タバコ材料の10~20重量%、例えば、構成物の13~16重量%、又は構成物の約14重量%若しくは15重量%の量で存在してもよい。プロピレングリコールは、存在する場合、構成物の0.1~0.3重量%の量で存在してもよい。
【0117】
エアロゾル形成材料は、タバコ材料の任意の成分、例えば、タバコ成分、及び/又は(あれば)充填剤成分に含まれてもよい。これに代えて、又はこれに加えて、エアロゾル形成材料は、タバコ材料に別々に付け加えられてもよい。どちらの場合も、タバコ材料中のエアロゾル生成材料の総量は、本明細書で定めたようにすることができる。
【0118】
次に、ヒーター101を備えた非燃焼性エアロゾル供給デバイス100とともに使用するための物品を製造する方法を、
図6を参照して説明する。本方法は、
少なくとも1つのエアロゾル形成材料を含むエアロゾル生成材料2を用意するステップS1と、
エアロゾル生成材料の下流に第1の管状体3を配置するステップS2であって、管状体3がフィラメントトウを含む、ステップS2と、
管状体の下流に口側端部セクション20を配置するステップS3と
を含む。物品は、物品が非燃焼性エアロゾル供給デバイスに挿入されているときに、非燃焼性エアロゾル供給デバイスのヒーターと管状体との間の最小距離が少なくとも約3mmであるように構成することができる。
【0119】
図7は、本明細書で説明した物品のエアロゾル生成材料2などのエアロゾル生成媒体/材料からエアロゾルを生成するためのヒーター101を備えた非燃焼性エアロゾル供給デバイス100の一例を示している。概略的に述べると、デバイス100は、エアロゾル生成媒体を備える交換可能な物品110、例えば本明細書で説明した物品のいずれかを加熱して、デバイス100のユーザーによって吸引されるエアロゾル又は他の吸引可能な媒体を生成するために使用することができる。デバイス100及び交換可能な物品110は一緒にシステムを形成する。
【0120】
デバイス100は、デバイス100の様々な構成要素を取り囲んで収容するハウジング102(外側カバーの形態)を備える。デバイス100は、一端に開口104を有しており、物品110は、ヒーター101(以降、加熱アセンブリと呼ぶ)による加熱のために開口104を通して挿入することができる。使用時、物品110は、加熱アセンブリに完全又は部分的に挿入することができ、ヒーターアセンブリの1つ以上の構成要素によって加熱することができる。
【0121】
この例のデバイス100は、第1の端部部材106を備えており、第1の端部部材106は、物品110が定位置にないときは開口104を閉じるように第1の端部部材106に対して可動の蓋108を備える。
図7で、蓋108は開構成で示されているが、蓋108は閉構成へ動かすことができる。例えば、ユーザーは、矢印「B」の方向に蓋108をスライドさせることができる。
【0122】
デバイス100はまた、押下されるとデバイス100を動作させるボタン又はスイッチなどのユーザーが操作可能な制御要素112を含んでもよい。例えば、ユーザーは、スイッチ112を操作することによって、デバイス100をオンにすることができる。
【0123】
デバイス100はまた、デバイス100のバッテリーを充電するためにケーブルを受け入れることができるソケット/ポート114などの電気構成要素を備えてもよい。例えば、ソケット114は、USB充電ポートなどの充電ポートであってもよい。
【0124】
図8は、外側カバー102が取り除かれており、物品110が存在しない状態の
図7のデバイス100を示す。デバイス100は、長手方向軸線134を定める。
図8に示すように、第1の端部部材106は、デバイス100の一端に配置され、第2の端部部材116は、デバイス100の反対側の端部に配置される。第1の端部部材106及び第2の端部部材116はともに、デバイス100の端面を少なくとも部分的に画定する。例えば、第2の端部部材116の底面は、デバイス100の底面を少なくとも部分的に画定する。外側カバー102の縁部も、端面の一部分を画定してもよい。この例では、蓋108も、デバイス100の上面の一部分を画定する。
【0125】
開口104に最も近いデバイスの端部は、使用時にユーザーの口に最も近くなるため、デバイス100の近位端(又は口側端部)として知られていることがある。使用時、ユーザーは、物品110を開口104に挿入し、ユーザー制御部112を操作して、エアロゾル生成材料の加熱を開始し、デバイス内で生成されたエアロゾルを引き込む。これによって、エアロゾルは、流路に沿ってデバイス100を通ってデバイス100の近位端の方へ流れる。
【0126】
開口104から最も遠いデバイスの他端は、使用時にユーザーの口から最も遠い端部であるため、デバイス100の遠位端として知られていることがある。ユーザーがデバイス内で生成されたエアロゾルを引き込むと、エアロゾルは、デバイス100の遠位端から離れる方へ流れる。
【0127】
デバイス100は、パワー源118をさらに備える。パワー源118は、例えば、再充電可能なバッテリー又は再充電不可のバッテリーなどのバッテリーであってもよい。好適なバッテリーの例には、例えば、リチウムバッテリー(リチウムイオンバッテリーなど)、ニッケルバッテリー(ニッケルカドミウムバッテリーなど)、及びアルカリバッテリーが含まれる。バッテリーは、加熱アセンブリに電気的に結合されて、必要とされるとき、コントローラ(図示せず)の制御下で、エアロゾル生成材料を加熱するための電力を供給する。この例では、バッテリーは、バッテリー118を定位置で保持する中央支持体120に接続されている。
【0128】
デバイスは、少なくとも1つの電子モジュール122をさらに備える。電子モジュール122は、例えばプリント回路基板(PCB:printed circuit board)を備えてもよい。PCB122は、プロセッサなどの少なくとも1つのコントローラ、及びメモリを支持することができる。PCB122はまた、デバイス100の様々な電子構成要素を一緒に電気的に接続するための1つ以上の電気トラックを備えてもよい。例えば、デバイス100全体にわたって電力を分配することができるように、バッテリー端子はPCB122に電気的に接続されてもよい。ソケット114も、電気トラックを介してバッテリーに電気的に結合されてもよい。
【0129】
例示的なデバイス100では、加熱アセンブリは誘導加熱アセンブリであり、物品110のエアロゾル生成材料を誘導加熱プロセスによって加熱するために様々な構成要素を備える。誘導加熱は、電磁誘導によって導電体(サセプタなど)を加熱するプロセスである。誘導加熱アセンブリは、誘導要素、例えば1つ以上のインダクタコイルと、交流などの変動電流を誘導要素に通すためのデバイスとを備えることができる。誘導要素内の変動電流は、変動磁場を生じさせる。変動磁場は、誘導要素に対して好適に配置されたサセプタに侵入し、サセプタ内に渦電流を生成する。サセプタは、渦電流に対して電気抵抗を有し、したがってこの抵抗に逆らって渦電流が流れることによって、サセプタがジュール加熱によって加熱される。サセプタが鉄、ニッケル、又はコバルトなどの強磁性材料を含む場合、サセプタの磁気ヒステリシス損失によっても、すなわち、磁性材料内の磁気双極子の向きが、変動磁場と向きを合わせる結果として変動することによっても、熱を発生させることができる。誘導加熱では、例えば、伝導による加熱と比較すると、熱はサセプタ内部で発生し、それによって急速な加熱が可能になる。さらに、誘導ヒーターとサセプタとの間のいかなる物理的な接触も必要なく、それによって、構造及び用途の自由度を大きくすることができる。
【0130】
例示的なデバイス100の誘導加熱アセンブリは、サセプタ構成体132(本明細書では、「サセプタ」と呼ぶ)、第1のインダクタコイル124、及び第2のインダクタコイル126を備える。第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、導電性材料から作られる。この例では、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、螺旋形インダクタコイル124、126を提供するように螺旋形に巻かれたリッツ線/ケーブルから作られる。リッツ線は、複数の個別のワイヤを含み、これらのワイヤは個々に絶縁されており、これらが撚り合わされて単一のワイヤを形成する。リッツ線は、導体の表皮効果損失を低減させるように設計されている。例示的なデバイス100では、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、矩形の断面を有する銅のリッツ線から作られる。他の例では、リッツ線は、円形などの他の形状の断面を有することもできる。
【0131】
第1のインダクタコイル124は、サセプタ132の第1のセクションを加熱するための第1の変動磁場を生成するように構成され、第2のインダクタコイル126は、サセプタ132の第2のセクションを加熱するための第2の変動磁場を生成するように構成される。この例では、第1のインダクタコイル124は、デバイス100の長手方向軸線134に沿う方向に第2のインダクタコイル126に隣り合っている(すなわち、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は重なっていない)。サセプタ構成体132は、単一のサセプタ、又は2つ以上の別々のサセプタを備えてもよい。第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126の端部130は、PCB122に接続することができる。
【0132】
いくつかの例では、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、互いに異なる少なくとも1つの特性を有してもよいことが理解されよう。例えば、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126とは異なる少なくとも1つの特性を有してもよい。より詳細には、一例では、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126とは異なるインダクタンス値を有してもよい。
図8では、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は異なる長さのものであり、その結果、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126よりサセプタ132の小さいセクションに巻かれている。したがって、第1のインダクタコイル124は、(個々の巻き間の間隔は実質的に同じであると仮定すると)第2のインダクタコイル126とは異なる数の巻き数を備えてもよい。さらに別の例では、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126とは異なる材料から作られてもよい。いくつかの例では、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は実質的に同一であってもよい。
【0133】
この例では、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、反対の方向に巻かれている。これは、インダクタコイルが異なる時点で動作しているときに有用となり得る。例えば、最初、第1のインダクタコイル124が物品110の第1のセクション/部分を加熱するように動作していることがあり、その後、第2のインダクタコイル126が物品110の第2のセクション/部分を加熱するように動作してもよい。コイルを反対方向に巻くことは、特定のタイプの制御回路とともに使用されるとき、動作していないコイルに誘導される電流を低減する助けになる。
図8では、第1のインダクタコイル124は右巻き螺旋であり、第2のインダクタコイル126は左巻き螺旋である。しかしながら、別の実施形態では、インダクタコイル124及びインダクタコイル126は同じ方向に巻かれてもよいし、第1のインダクタコイル124は左巻き螺旋であってもよく、第2のインダクタコイル126は右巻き螺旋であってもよい。
【0134】
この例のサセプタ132は中空であり、したがって、内部にエアロゾル生成材料を受け入れる受け部を画定する。例えば、物品110は、サセプタ132内に挿入することができる。この例では、サセプタ120は、断面が円形の管状である。
【0135】
サセプタ132は1つ以上の材料から作られてもよい。サセプタ132は、ニッケル又はコバルトをコーティングされた炭素鋼を含むことが好ましい。
【0136】
いくつかの例では、サセプタ132は、少なくとも2つの材料を選択的にエアロゾル化するために2つの異なる周波数で加熱することができる少なくとも2つの材料を含んでもよい。例えば、(第1のインダクタコイル124によって加熱される)サセプタ132の第1のセクションは第1の材料を含んでもよく、第2のインダクタコイル126によって加熱されるサセプタ132の第2のセクションは異なる第2の材料を含んでよい。別の例では、第1のセクションは、第1及び第2の材料を含んでもよく、第1のインダクタコイル124の動作に基づいて、第1及び第2の材料を異なるように加熱することができる。第1の材料及び第2の材料は、サセプタ132によって定められた軸線に沿って隣り合っていてもよいし、サセプタ132内で異なる層を形成してもよい。同様に、第2のセクションは、第3及び第4の材料を含んでもよく、第2のインダクタコイル126の動作に基づいて、第3及び第4の材料を異なるように加熱することができる。第3の材料及び第4の材料は、サセプタ132によって定められた軸線に沿って隣り合っていてもよいし、サセプタ132内で異なる層を形成してもよい。例えば、第3の材料は第1の材料と同じであってもよく、第4の材料は第2の材料と同じであってもよい。これに代えて、材料のそれぞれは異なっていてもよい。例えば、サセプタは炭素鋼又はアルミニウムを含んでもよい。
【0137】
図8のデバイス100は絶縁部材128をさらに備え、絶縁部材128は、概ね管状でサセプタ132を少なくとも部分的に取り囲むことができる。絶縁部材128は、例えば、プラスチックなどの任意の絶縁材料から構成されてもよい。この特定の例では、絶縁材料はポリエーテルエーテルケトン(PEEK:polyether ether ketone)から構成される。絶縁材料128は、サセプタ132で生成される熱からデバイス100の様々な構成要素を絶縁する助けとなり得る。
【0138】
絶縁部材128はまた、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126を完全に、又は部分的に支持することができる。例えば、
図8に示すように、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、絶縁部材128の周りに配置され、絶縁部材128の半径方向外向きの表面と接触している。いくつかの例では、絶縁部材128は、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126と当接しない。例えば、絶縁部材128の外面と、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126の内面との間にはわずかな隙間があってもよい。
【0139】
特定の例では、サセプタ132、絶縁部材128、並びに第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、サセプタ132の中央長手方向軸線の周りに同心である。
【0140】
図9は、デバイス100の部分断面の側面図である。この例では外側カバー102が存在している。第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126の矩形断面形状をより明瞭に見ることができる。
【0141】
デバイス100は、サセプタ132の一端と係合してサセプタ132を定位置に保持する支持部136をさらに備える。支持部136は第2の端部部材116に接続される。
【0142】
デバイスはまた、制御要素112内に、関連する第2のプリント回路基板138を備えてもよい。
【0143】
デバイス100は、デバイス100の遠位端の方に配置された第2の蓋/キャップ140及びばね142をさらに備える。ばね142によって第2の蓋140を開くことができて、サセプタ132にアクセスすることができる。ユーザーは、サセプタ132及び/又は支持部136を清浄にするために第2の蓋140を開くことができる。
【0144】
デバイス100は、サセプタ132の近位端から離れるようにデバイスの開口104の方へ延在する拡張チャンバ144をさらに備える。物品110がデバイス100内に受け入れられたときに物品110に当接して保持するために、拡張チャンバ144内に保持クリップ146が少なくとも部分的に配置される。拡張チャンバ144は端部部材106に接続される。
【0145】
図10は、外側カバー102を省いた、
図9のデバイス100の分解図である。
【0146】
図11Aは、
図9のデバイス100の一部分の断面を示す。
図11Bは、
図11Aの1つの領域の拡大図である。
図11A及び
図11Bは、サセプタ132内に受け入れられた物品110を示し、ここでは、物品110は、物品110の外面がサセプタ132の内面と当接するような寸法である。これは、加熱が最も効率的になることを確実にする。この例の物品110はエアロゾル生成材料110aを備える。エアロゾル生成材料110aはサセプタ132内に配置される。物品110はまた、フィルター、包装材料、及び/又は冷却構造体などの他の構成要素を備えてもよい。
【0147】
図11Bは、サセプタ132の外面が、インダクタコイル124、126の内面から、サセプタ132の長手方向軸線158に垂直な方向に測って距離150だけ間隔を空けて配置されていることを示す。1つの特定の例では、距離150は、約3mm~4mm、約3~3.5mm、又は約3.25mmである。
【0148】
図11Bは、絶縁部材128の外面が、インダクタコイル124、126の内面から、サセプタ132の長手方向軸線158に垂直な方向に測って距離152だけ間隔を空けて配置されていることをさらに示す。1つの特定の例では、距離152は約0.05mmである。別の例では、距離152は実質的に0mmであり、その結果、インダクタコイル124、126は絶縁部材128と当接して接触する。
【0149】
一例では、サセプタ132は、約0.025mm~1mm、又は約0.05mmの壁厚154を有する。
【0150】
一例では、サセプタ132は、約40mm~60mm、約40mm~45mm、又は約44.5mmの長さを有する。
【0151】
一例では、絶縁部材128は、約0.25mm~2mm、0.25mm~1mm、又は約0.5mmの壁厚156を有する。
【0152】
使用時、本明細書で説明した物品のいずれも、
図7~
図11を参照して説明したデバイス100などの非燃焼性エアロゾル供給デバイスに挿入することができる。物品の吸い口20、20’、20’’、20’’’、20’’’’の少なくとも一部分は、非燃焼性エアロゾル供給デバイス100から突出しており、ユーザーの口に入れることができる。エアロゾルは、デバイス100を使用してエアロゾル生成材料2を加熱することによって生成される。エアロゾル生成材料2によって生成されるエアロゾルは、吸い口20、20’、20’’、20’’’、20’’’’を通ってユーザーの口に届く。
【0153】
本明細書で説明した様々な実施形態は、特許請求される特徴の理解及び教示を助けるためだけに提示されている。これらの実施形態は、実施形態のうちの単なる代表的な例として提供されており、すべての実施形態を網羅したものでもなければ、他の実施形態を排除するものでもない。本明細書で説明した利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって規定されたとおりに本発明の範囲を限定するもの、又は特許請求の範囲の均等物を制限するものと考えるべきではなく、特許請求される発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用し、変形を施すことができることを理解されたい。本発明の様々な実施形態は、本明細書で詳細に説明したもの以外の、開示された要素、構成要素、特徴、部品、ステップ、手段などの適切な組合せを適切に備えてもよく、それらのみから構成されてもよく、又は実質的にそれらから構成されてもよい。加えて、本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性のある他の発明を含む可能性がある。