(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】改善された波長分散を有する、位置選択的に置換されたセルロースエステルをベースとする負の複屈折の補償フィルム
(51)【国際特許分類】
C08J 5/18 20060101AFI20240422BHJP
C08K 5/1545 20060101ALI20240422BHJP
C08K 5/07 20060101ALI20240422BHJP
C08K 5/3492 20060101ALI20240422BHJP
C08L 1/08 20060101ALI20240422BHJP
C08B 3/16 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
C08J5/18 CEP
C08K5/1545
C08K5/07
C08K5/3492
C08L1/08
C08B3/16
(21)【出願番号】P 2022548702
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(86)【国際出願番号】 US2021017357
(87)【国際公開番号】W WO2021163117
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-10-18
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594055158
【氏名又は名称】イーストマン ケミカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チエンチエン
(72)【発明者】
【氏名】ブキャナン,チャールズ・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】エルキンス,ケイシー・リン
(72)【発明者】
【氏名】マコーネル,ウェズレー・ウェイン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ビン
(72)【発明者】
【氏名】シャープ,ロバート・ジャックス
(72)【発明者】
【氏名】アフメッド,ムスタファ・ホンベル
【審査官】福井 弘子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-297554(JP,A)
【文献】特表2020-518681(JP,A)
【文献】国際公開第2018/183463(WO,A1)
【文献】特表2014-513178(JP,A)
【文献】特開2006-328298(JP,A)
【文献】国際公開第2013/073533(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/00-5/02
C08J 5/12-5/22
C08K 5/1545
C08K 5/07
C08K 5/3492
C08L 1/08
C08B 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)
(i)複数の芳香族-CO-置換基、
(ii)複数の第1の不飽和または飽和(C
1~6)アルキル-CO-置換基、および
(iii)複数のヒドロキシル置換基
を含む、位置選択的に置換されたセルロースエステルであって、
ここで:
ヒドロキシルの置換度(「DS
OH」)が0.2~1.1であり、
セルロースエステルが、0.15~0.8の芳香族-CO-置換基のC2置換度(「C2DS
ArCO」)を有し、
セルロースエステルが、0.05~0.6の芳香族-CO-置換基のC3置換度(「C3DS
ArCO」)を有し、
セルロースエステルが、0.05~0.6の芳香族-CO-置換基のC6置換度(「C6DS
ArCO」)を有し、
芳香族-CO-置換基の全置換度(「全DS
ArCO」)が0.25~2.0であり、
芳香族-CO-が、
(i)(C
6~20)アリール-CO-[式中、アリールは、非置換であるか、または1~5つのR
1によって置換されている];
または
(ii)ヘテロアリール-CO-[式中、ヘテロアリールは、N、O、またはSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員環であり、ヘテロアリールは、非置換であるか、または1~5つのR
1によって置換されている]
である、位置選択的に置換されたセルロースエステルと;
(2)
【化1】
[式中:
環Aは、(C
6~20)アリールまたはN、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリールであり;
環Bは、(C
6~20)アリールまたはN、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリールであり;
環Cは、(C
6~20)アリールまたはN、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリールであり;
R
1は、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル;飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20)アルキル;任意選択により1~5つのアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロによって置換されている(C
6~20)アリール;N、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリール;または-CH
2C(O)-R
3であり、
R
2は、独立に、水素、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル、または飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20)アルキルであり;
R
3は、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20)アルキル、(C
6~20)アリール、またはN、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリールであって、ここで、アリールまたはヘテロアリールは、非置換であるか、または1~5つのR
6によって置換され;
R
4は、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20)アルキル、または飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル-CO-(C
1~20)アルキルであり、ここで、各基は、非置換であるか、または1~3つのヒドロキシル、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルコキシ、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20)アルコキシ、飽和もしくは不飽和ヒドロキシ(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルコキシ-(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルコキシ-ヒドロキシ(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルコキシ-(C
1~20)アルキル-CO-(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル-CO、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル-COO、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル-O-CO-(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル-COO-(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルコキシ-(C
1~20)アルキル-COO-(C
1~20)アルキル、または(C
1~20)アルコキシ-(C
1~20)アルキル-O-CO-(C
1~20)アルキルによって置換され;
各R
5は、独立に、ヒドロキシ、シアノ、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルコキシ、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20)アルコキシ、またはハロであり;
各R
6は、独立に、ヒドロキシ、シアノ、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルコキシ、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20)アルコキシ、またはハロまたは(C
6~20)アリールであり、ここで、アリールは、非置換であるか、または1~5つのR
7によって置換され;
各R
7は、独立に、ヒドロキシル、飽和もしくは不飽和(C
1~6)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~6)アルキル、または飽和もしくは不飽和(C
1~6)アルコキシルであり;
R
8は、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルコキシル、または飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20)アルコキシルであり;
各R
9は、R
4-O-、ヒドロキシル、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル、N、OもしくはSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する飽和もしくは不飽和ヘテロ(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル-CO-(C
1~20)アルキル-、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル-COO-(C
1~20)アルキル-、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル-COO-、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル-O-CO-、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル-CO-、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルコキシ-(C
1~20)アルキル-CO-O-(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルコキシ-(C
1~20)アルキル-O-CO-(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルコキシ-(C
1~20)アルキル-COO-(C
1~20)アルキル、(C
1~20)アルコキシ-(C
1~20)アルキル-O-CO-(C
1~20)アルキル-(C
6~10)アリール、N、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリール[ここで、各基は、非置換であるか、または1~3つのヒドロキシル、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルコキシ、または飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20)アルコキシルによって置換されている]、飽和もしくは不飽和ヒドロキシ(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルコキシ-(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルコキシ-ヒドロキシ(C
1~20)アルキル、または飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルコキシ-(C
1~20)アルキル-CO-(C
1~20)アルキル-、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル-CO、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル-COO、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル-O-CO-(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルキル-COO-(C
1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20)アルコキシ-(C
1~20)アルキル-COO-(C
1~20)アルキル、または(C
1~20)アルコキシ-(C
1~20)アルキル-O-CO-(C
1~20)アルキルであり;
各nは、0、1、2、3、4または5であり;
各mは、0、1、2、3または4であり;
kは、0、1,3または4である]
である、成分Aと;
を含む、フィルムであって、
ここで:
成分Aが、組成物の総重量に対して30wt%未満で存在し、
フィルムの厚さ(「d」)(μm)が10μm~200μmであり、
フィルムが、ゼロ未満のR
e(589nm)を示し、
R
e(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものが-10~-0.5であり、
R
th(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものが-6.0~6.0であり、
フィルムが、-3.0~3.0の[[-R
th(589nm)/R
e(589nm)]+0.5](「N
z」)を示し、
各R
e(589nm)が、589nmで測定した面内リタデーションであり、
各R
th(589nm)が、589nmで測定した面外リタデーションであり、
フィルムが延伸されており、
R
e(550nm)に対するR
e(450nm)の比が1.05未満であり、ここで、R
e(450nm)が、450nmで測定した面内リタデーションであり、R
e(550nm)が、550nmで測定した面内リタデーションである、
フィルム。
【請求項2】
N
zが0.2~0.8である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
R
e(589nm)が-120~-320nmであり、R
th(589nm)が-60~60nmである、請求項1または2に記載のフィルム。
【請求項4】
N
zが0.8~1.2である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
R
e(589nm)が-120~-320nmであり、R
th(589nm)が60~220nmである、請求項1または4に記載のフィルム。
【請求項6】
R
e(550nm)に対するR
e(450nm)の比が0.75~0.85である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項7】
R
e(550nm)に対するR
e(650nm)の比が0.95超であり、ここで、R
e(650nm)が、650nmで測定した面内リタデーションであり、R
e(550nm)が、550nmで測定した面内リタデーションである、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項8】
R
e(550nm)に対するR
e(650nm)の比が1.10~1.2である、請求項7に記載のフィルム。
【請求項9】
成分Aが、
【化2】
である、請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項10】
成分Aが、1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオン、アヴォベンゾン、2-ヒドロキシ-4-(オクチルオキシ)フェニル(フェニル)メタノン、(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)(2-ヒドロキシフェニル)メタノン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(ヘキシルオキシ)フェノール、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-[2-ヒドロキシ-3-(ドデシルオキシおよびトリデシルオキシ)プロポキシ]フェノール、イソオクチル2-(4-(4,6-ジ([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-3-ヒドロキシフェノキシ)プロパノエート、6,6’-(6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)ビス(3-ブトキシフェノール)、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(3-((2-エチルヘキシル)オキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ)フェノール、7-ジエチルアミノ-4-メチルクマリン、またはこれらの組合せである、請求項1~9のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項11】
芳香族-CO-が(C
6~20)アリール-CO-であり、ここで、アリールが非置換であるか、または1~5つのR
1によって置換されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項12】
芳香族-CO-が、非置換であるか、または1~5つのR
1によって置換されている、ベンゾイルまたはナフトイルである、請求項11に記載のフィルム。
【請求項13】
芳香族-CO-が、非置換であるか、または1~5つのR
1によって置換されている、ベンゾイルである、請求項12に記載のフィルム。
【請求項14】
セルロースエステルが、0.40~1.60の全DS
ArCOを有する、請求項13に記載のフィルム。
【請求項15】
C2DS
ArCOとC3DS
ArCOとの合計が0.30~1.25である、請求項14に記載のフィルム。
【請求項16】
芳香族-CO-が、非置換であるか、または1~5つのR
1によって置換されているナフトイルである、請求項12に記載のフィルム。
【請求項17】
セルロースエステルが、0.3~0.8の全DS
ArCOを有する、請求項16に記載のフィルム。
【請求項18】
C2DS
ArCOとC3DS
ArCOとの合計が0.2~0.6である、請求項17に記載のフィルム。
【請求項19】
セルロースエステルが、複数の第2の(C
1~20)アルキル-CO-置換基をさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のフィルム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
負の複屈折を有するセルロースエステル(「CE」)ベースのフィルムは、ディスプレイに好ましい。しかしながら、負の複屈折のCEフィルムは、典型的には、正常波長分散を表示し、色ずれが生じる。この問題を解消するために、フラットまたは逆波長分散など、改善された波長分散を示すようにフィルムを調整する必要がある。しかしながら、負の複屈折のCEフィルムでフラットまたは逆波長分散を実現する方法についてはほとんど知られていない。出願者らは、改善された波長分散を有する、位置選択的に置換されたセルロースエステル(「RCE」)および特定の小分子成分を含む延伸フィルムを開示した。一部のフィルムは、ZまたはA特性を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本出願は、
(1)
(i)複数の芳香族-CO-置換基、
(ii)複数の第1の不飽和または飽和(C1~6)アルキル-CO-置換基、および
(iii)複数のヒドロキシル置換基
を含む、位置選択的に置換されたセルロースエステルであって、
ここで:
ヒドロキシルの置換度(「DSOH」)が0.2~1.1であり、
セルロースエステルが、0.15~0.8の芳香族-CO-置換基のC2置換度(「C2DSArCO」)を有し、
セルロースエステルが、0.05~0.6の芳香族-CO-置換基のC3置換度(「C3DSArCO」)を有し、
セルロースエステルが、0.05~0.6の芳香族-CO-置換基のC6置換度(「C6DSArCO」)を有し、
芳香族-CO-置換基の全置換度(「全DSArCO」)が0.25~2.0であり、
芳香族-CO-が、
(i)(C6~20)アリール-CO-[式中、アリールは、非置換であるか、または1~5つのR1によって置換されている];
(ii)ヘテロアリール-CO-[式中、ヘテロアリールは、N、O、またはSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員環であり、ヘテロアリールは、非置換であるか、または1~5つのR1によって置換されている]
である、位置選択的に置換されたセルロースエステルと、
(2)
【0003】
【0004】
[式中:
環Aは、(C6~20)アリールまたはN、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリールであり;
環Bは、(C6~20)アリールまたはN、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリールであり;
環Cは、(C6~20)アリールまたはN、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリールであり;
R1は、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル;飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル;任意選択により1~5つのアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロによって置換されている(C6~20)アリール;N、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリール;または-CH2C(O)-R3であり、
R2は、独立に、水素、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、または飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキルであり;
R3は、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、(C6~20)アリール、またはN、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリールであって、ここで、アリールまたはヘテロアリールは、非置換であるか、または1~5つのR6によって置換され;
R4は、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、または飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-CO-(C1~20)アルキルであり、ここで、各基は、非置換であるか、または1~3つのヒドロキシル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルコキシ、飽和もしくは不飽和ヒドロキシ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-ヒドロキシ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-CO-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-CO、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-COO、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-O-CO-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-COO-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-COO-(C1~20)アルキル、または(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-O-CO-(C1~20)アルキルによって置換され;
各R5は、独立に、ヒドロキシ、シアノ、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルコキシ、またはハロであり;
各R6は、独立に、ヒドロキシ、シアノ、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルコキシ、またはハロまたは(C6~20)アリールであり、ここで、アリールは、非置換であるか、または1~5つのR7によって置換され;
各R7は、独立に、ヒドロキシル、飽和もしくは不飽和(C1~6)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~6)アルキル、または飽和もしくは不飽和(C1~6)アルコキシルであり;
R8は、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシル、または飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルコキシルであり;
各R9は、R4-O-、ヒドロキシル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、N、OもしくはSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する飽和もしくは不飽和ヘテロ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-CO-(C1~20)アルキル-、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-COO-(C1~20)アルキル-、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-COO-、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-O-CO-、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-CO、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-CO-O-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-O-CO-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-COO-(C1~20)アルキル、(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-O-CO-(C1~20)アルキル-(C6~10)アリール、N、OもしくはSからなる群から選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリール[ここで、各基は、非置換であるか、または1~3つのヒドロキシル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ、または飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルコキシルによって置換されている]、飽和もしくは不飽和ヒドロキシ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-ヒドロキシ(C1~20)アルキル、または飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-CO-(C1~20)アルキル-、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-CO、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-COO、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-O-CO-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-COO-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-COO-(C1~20)アルキル、または(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-O-CO-(C1~20)アルキルであり;
各nは、0、1、2、3、4または5であり;
各mは、0、1、2、3または4であり;
kは、0、1、3、または4である]
である成分Aと、
を含むフィルムであって、
ここで:
フィルムの厚さ(「d」)(ミクロン)が、10μm~200μmであり、
フィルムが、ゼロ未満のRe(589nm)を示し、
Re(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものが10~-0.5であり、
Rth(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものが-6.0~6.0であり、
フィルムが、-3.0~3.0の[[-Rth(589nm)/Re(589nm)]+0.5](「Nz」)を示し、
各Re(589nm)が、589nmで測定した面内リタデーションであり、
各Rth(589nm)が、589nmで測定した面外リタデーションであり、
フィルムが延伸されている、
フィルムを開示する。
【0005】
本出願は、以下の図面について言及する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一方向(x方向)に延伸するリタデーションフィルムの概略図を提供する。
【
図2】補償フィルム中の波長分散モード:(a)正常波長分散、(b)フラット波長分散、および(c)逆波長分散の図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、本発明の以下の詳細な説明およびその中で記述される実施例を参照することによって、より容易に理解することができる。本発明は、記載される特定の方法、配合、および条件に限定されず、変更が可能とすることを理解されたい。また、本明細書中で用いられる用語は、本発明の特定の態様を説明することのみを目的とし、限定されることは意図しないことも理解すべきである。
【0008】
定義
本明細書および後続の特許請求の範囲において、多数の用語が言及されるが、これらは、以下の意味を有すると定義されるものとする。
【0009】
値は、所与の数を「約」または「およそ」で表すことができる。同様に、範囲を、本明細書において、「約」+特定の1つの値から、かつ/または「約」+別の特定の値までを表すことができる。そのような範囲を表すとき、別の態様は、特定の1つの値から、かつ/または他の特定の値までを含む。同様に、頭に「約」を用いることによって値を近似値として表すとき、特定の値は別の態様を形成すると理解されよう。
【0010】
本明細書中で用いられる場合、用語「ある(a)」、「ある(an)」および「その(the)」は、1または複数を意味する。
本明細書中で用いられる場合、用語「および/または」は、2以上の項目のリスト中で用いられるとき、列挙された項目のいずれか1つをそれ自体で用いることができる、または2つ以上の列挙された項目の任意の組合せで用いることができることを意味する。例えば、組成物が、成分A、Bおよび/またはCを含有すると説明される場合、組成物は、単独のA、単独のB、単独のC、AとBの組合せ、AとCの組合せ、BとCの組合せ、またはA、BおよびCの組合せを含有することができる。
【0011】
本明細書中で用いられる場合、用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」および「含む(comprise)」は、用語の前に列挙された対象から用語の後に列挙された1つ以上の要素への移行のために用いられるオープンエンド移行句であり、移行句の後に列挙される1つ以上の要素は必ずしも、対象を構成する要素のみではない。
【0012】
本明細書中で用いられる場合、用語「有する(having)」、「有する(has)」および「有する(have)」は、上記の「含む(comprising)」、「含む(comprises)」および「含む(comprise)」と同じオープンエンドの意味を有する。
【0013】
本明細書中で用いられる場合、用語「含む(including)」、「含む(includes)」および「含む(include)」は、上記の「含む(comprising)」、「含む(comprises)」および「含む(comprise)」と同じオープンエンドの意味を有する。
【0014】
光学フィルムの製造における使用に好適な位置選択的に置換されたセルロースエステルは、複数のアルキル-アシルまたはアルキル-CO-置換基、複数のアリール-アシルまたはアリール-CO-置換基、ヘテロアリール-アシルまたはヘテロアリール-CO-置換基を含むことができる。本明細書中で用いられる場合、用語「アシル置換基」または「R-CO-」は、構造:
【0015】
【0016】
を有する置換基を示すものとする。
セルロースエステル中のそのようなアシルまたはR-CO-基は、一般に、エステル結合を介して(すなわち、酸素原子を通じて)セルロースのピラノース環に結合される。
【0017】
芳香族-CO-は、芳香族含有環系を有するアシル置換基である。例としては、アリール-CO-またはヘテロアリール-CO-が挙げられる。具体例としては、ベンゾイル、ナフトイル、およびフロイルが挙げられ、それぞれ、非置換であるか、または置換されている。
【0018】
本明細書中で用いられる場合、用語「アリール-アシル」置換基は、「R」がアリール基であるアシル置換基を示すものとする。本明細書中で用いられる場合、用語「アリール」は、アレーン(すなわち、単環式または多環式芳香族炭化水素)中の環炭素から水素原子を除去することによって形成される一価の基を示すものとする。ある場合には、アリール-アシル基の前に炭素単位が付く(例えば、(C5~6)アリール-アシル、(C6~12)アリール-アシル、または(C6~20)アリール-アシル)。さまざまな実施形態における使用に好適なアリール基の例としては、これらに限定されないが、フェニル、ベンジル、トリル、キシリル、およびナフチルが挙げられる。そのようなアリール基は、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0019】
本明細書中で用いられる場合、用語「アルキル-アシル」は、「R」がアルキル基であるアシル置換基を示すものとする。本明細書中で用いられる場合、用語「アルキル」は、非芳香族炭化水素から水素原子を除去することによって形成される一価の基を示すものとし、ヘテロ原子を含んでもよい。本明細書における使用に好適なアルキル基は、直鎖状、分枝状、または環状であってもよく、飽和でも不飽和でもよい。本明細書における使用に好適なアルキル基としては、(C1~20)、(C1~12)、(C1~5)、または(C1~3)アルキル基のいずれかが挙げられる。さまざまな実施形態において、アルキルは、C1~5直鎖状アルキル基であってもよい。さらに他の実施形態において、アルキルは、C1~3直鎖状アルキル基であってもよい。好適なアルキル基の具体例としては、これらに限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、シクロペンチル、およびシクロヘキシル基が挙げられる。アルキル-アシル基の例としては、アセチル、プロピオニル、ブチロイルなどが挙げられる。
【0020】
「ハロアルキル」は、少なくとも1個の水素がハロゲン基で置き換えられるアルキル置換基を意味する。ハロアルキル基中の炭素単位が含まれていることが多い(例えばハロ(C1~6)アルキル)。ハロアルキル基は、直鎖状でも分枝状であってもよい。ハロアルキルの非限定例としては、クロロメチル、トリフルオロメチル、ジブロモエチルなどが挙げられる。
【0021】
「ヘテロアルキル」は、1個以上の炭素原子が、例えばN、OまたはSなどのヘテロ原子で置き換えられるアルキルを意味する。
「ヘテロアリール」は、アリール環中の少なくとも1つの炭素単位が、O、NおよびSなどのヘテロ原子で置き換えられるアリールを意味する。ヘテロアリールは、単環式でも多環式であってもよい環である。多くの場合、ヘテロアリール環系を構成する単位、例えば、5~20員環系が含まれる。5員ヘテロアリールは、ヘテロアリール環を形成する5個の原子を有する環系を意味する。ヘテロアリールの非限定例としては、ピリジニル、キノリニル、ピリミジニル、チオフェニルなどが挙げられる。
【0022】
「アルコキシ」は、アルキル-O-または酸素基に末端結合したアルキル基を意味する。多くの場合、炭素単位が含まれる(例えば、(C1~6)アルコキシ)。アルコキシの非限定例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシなどが挙げられる。
【0023】
「ハロアルコキシ」は、複数の水素のうちの少なくとも1個がハロゲンで置き換えられるアルコキシを意味する。多くの場合、炭素単位が含まれる(例えば、ハロ(C1~6)アルコキシ)。ハロアルコキシの非限定例としては、トルフルオロメトキシ、ブロモメトキシ、1-ブロモ-エトキシなどが挙げられる。
【0024】
「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードなどのハロゲンを意味する。
「置換度」は、一無水グルコース単位(「AGU」)当たりの置換基の置換レベルを説明するために用いられる。一般に、従来のセルロースは、置換されうる各AGU中の3つヒドロキシル基を含有する。したがって、DSは、0~3の間の値を有しうる。しかしながら、低分子量セルロース混合エステルは、末端基寄与から3より少し高い全置換度を有しうる。低分子量セルロース混合エステルは、本開示においてより詳細に後述する。DSが統計的平均値であるため、1の値は、すべてのAGUが単一置換基を有することを保証しない。ある場合では、一部は2つ、また一部は3つの置換基を有する非置換の無水グルコース単位であり得、大半の場合、値は整数でない。全DSは、一無水グルコース単位当たりの全置換基の平均数として定義される。一AGU当たりの置換度はまた、例えば、ヒドロキシル、アセチル、ブチリル、またはプロピオニルなどの特定の置換基も指しうる。加えて、置換度は、無水グルコース単位の炭素単位のいずれかを指定することができる。
【0025】
置換度がヒドロキシルを指す場合、すなわち、DSOHの場合、置換されない一無水グルコース当たりの平均ヒドロキシル基を指す。結果として、DSOHは、全置換度の計算には用いられない。
【0026】
数値域
本明細書は、本発明に関連する特定のパラメータを定量化するために数値域を用いる。数値域を記載する場合、その範囲は、範囲の下限値のみを列挙するクレーム制限ならびに範囲の上限値のみを列挙するクレーム制限の文字的サポートを与えるものとして解釈されるべきであることを理解されたい。例えば、開示される10~100の数値域は、「10超」(上界なし)を列挙するクレームおよび「100未満」(下界なし)を列挙するクレームの文字的サポートを提供する。
【0027】
本明細書は、本発明に関連する特定のパラメータを定量化するために特定の数値を用いるが、この特定の数値は、特に数値域の一部ではない。本明細書中に記載されるそれぞれの特定の数値は、広範囲、中程度の範囲、狭い範囲の文字的サポートを提供するものとして解釈されるものと理解されたい。それぞれの特定の数値に関連する広い範囲は、数値プラス/マイナス数値の60パーセントを2有効桁まで四捨五入したものである。それぞれの特定の数値に関連する中程度の範囲は、数値プラス/マイナス数値の30パーセントを2有効桁まで四捨五入したものである。それぞれの特定の数値に関連する狭い範囲は、数値プラス/マイナス数値の15パーセントを2有効桁まで四捨五入したものである。例えば、本明細書が62°Fの特定温度を記載する場合、該説明は、25°F~99°F(62°F+/-37°F)の広い数値域、43°F~81°F(62°F+/-19°F)の中程度の数値域、および53°F~71°F(62°F+/-9°F)の狭い数値域の文字的サポートを提供する。これらの広い、中程度の、および狭い数値域は、特定値のみに該当するだけでなく、これらの特定値間の差にも該当すべきである。したがって、本明細書が、110psiaの第1の圧力および48psiaの第2の圧力(62psiの差)を記載する場合、これらの2つのストリーム間の圧力差の広範囲、中範囲、および狭範囲は、それぞれ、25~99psi、43~81psi、および53~71psiであると考えられる。
【0028】
特許文献および刊行物が参照される本出願を通して、これらの参考文献の全体開示は、本発明が関与する最新技術をより完全に説明するために、本発明と矛盾しない程度まで参照により本出願に組み込まれることが意図される。
【0029】
補償フィルムは、液晶ディスプレイ(LCD)および有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)の画質を改善するために重要である。等方性物質の場合、屈折率は、入射光の偏光状態にかかわらず同じである。物質が指向性および異方性になるに従い、屈折率は方向に依存するようになる。異なる方向に沿った各屈折率間の差は複屈折である。高分子フィルムの場合、通常、ポリマーを指向性にして複屈折をもたらすために延伸が必要である。補償フィルムの複屈折は、画質に重要である。これは、補償フィルムを特性評価するために、面内複屈折(Δne)および面外複屈折(Δnth)で広範に使用されている。ΔneおよびΔnthは、以下の式によって規定される。
【0030】
Δne=(nx-ny)
Δnth=[nz-(nx+ny)/2]
式中、nxは、フィルム面内の延伸方向に沿った屈折率であり、一方でnyは、フィルム面内の延伸方向に対して垂直にある屈折率であり、nzは、フィルム面に対して垂直にある屈折率である。ほとんどのポリマー材料において、フィルムが方向(x方向)に沿って延伸されるとき、フィルム面内の、延伸方向に沿った屈折率(nx)は、延伸方向に垂直の屈折率(ny)より大きく、すなわち、Δne=(nx-ny)はゼロより大きく、延伸方向は遅軸である。こうしたポリマー材料は、正の複屈折を有する。一部のポリマー材料は、負の複屈折を有する。そうした材料は、一方向(x方向)に沿って延伸されるとき、フィルム面内の、延伸方向に沿った屈折率(nx)は、延伸方向に垂直の屈折率(ny)より小さく、すなわち、Δne=(nx-ny)はゼロより小さく、フィルム面内の延伸方向は速軸である。
【0031】
これに応じて、面内リタデーション(Re)および面外リタデーション(Rth)が、Δneと補償フィルムの厚さ(d)との積およびΔnthとdとの積として規定される。
Re=(nx-ny)*d
Rth=[nz-(nx+ny)/2]*d
ここで、正の複屈折を有する高分子フィルムの場合、nxはフィルム面内の遅軸に沿った屈折率であり、nyはフィルム面内の速軸に沿った屈折率であり、nzはフィルム面に対して垂直の屈折率であり;負の複屈折を有するフィルムの場合、nxはフィルム面内の速軸に沿った屈折率であり、nyはフィルム面内の遅軸に沿った屈折率であり、nzはフィルム面に対して垂直の屈折率である。
【0032】
加えて、Nz係数も広範に使用され、以下の式によって規定される。
Nz=(nx-nz)/(nx-ny)=-Rth/Re+0.5
ここで、正複屈折を有する高分子フィルムの場合、nxはフィルム面内の遅軸に沿った屈折率であり、nyはフィルム面内の速軸に沿った屈折率であり、nzはフィルム面に対して垂直の屈折率であり;負の複屈折を有するフィルムの場合、nxはフィルム面内の速軸に沿った屈折率であり、nyはフィルム面内の遅軸に沿った屈折率であり、nzはフィルム面に対して垂直の屈折率である。
【0033】
適用分野に応じて、3つの屈折率すべてが異なる(nx≠ny、nx≠nzおよびny≠nz)二軸フィルムや、2つの屈折率が非常に近いが第3の屈折率とは異なる(nx=ny≠nz、nx=nz≠ny、ny=nz≠nx)一軸フィルムなどのさまざまな補償フィルムが開発されてきた。一軸フィルムの場合、A+フィルム、A-フィルム、C+フィルムおよびC-フィルムがあり、これらは以下の式によって規定される。
A+:nx>ny=nz;Nz係数=1
A-:nx<ny=nz;Nz係数=1
C+:nx=ny<nz;Nz係数=∞
C-:nx=ny>nz;Nz係数=∞
二軸フィルムの場合、二軸フィルムの重要な一カテゴリーは、nx>nz>nyまたはny>nz>nxのZフィルムであり;最も具体的には、Nz係数=0.5をもたらすnz=(nx+ny)/2を有する二軸フィルムが特に興味深い。
【0034】
加えて、波長分散も補償フィルムに重要である。波長分散は、光の波長による複屈折またはリタデーションに関連する。R
e(450nm)/R
e(550nm)、R
e(650nm)/R
e(550nm)、R
th(450nm)/R
th(550nm)およびR
th(650nm)/R
th(550nm)は、450nm、550nmおよび650nmのリタデーションの比を示し、波長分散を特性評価するために広範に使用される。
図2に示すように、正常波長分散は、補償フィルムの複屈折またはリタデーションが、Re(450nm)/Re(550nm)>1、Re(650nm)/Re(550nm)<1での短波長で小さいことを意味し、フラット波長分散は、補償フィルムの複屈折またはリタデーションが、Re(450nm)/Re(550nm)=1、Re(650nm)/Re(550nm)=1で試験した波長域にわたって一定であることを意味し、逆波長分散は、補償フィルムの複屈折またはリタデーションが、Re(450nm)/Re(550nm)<1、Re(650nm)/Re(550nm)>1での短波長でより小さいことを意味する。逆波長分散は、ディスプレイの色ずれを顕著に低下させることができるため大変望ましい。
【0035】
セルロースエステルは、補償フィルムに幅広く使用されてきた。セルロースエステルは、ポリカーボネートおよびポリ(環状オレフィン)などの他の材料と比較して多くの利点を有する。ほとんどのセルロースエステル系補償フィルムは、酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロースおよび酢酸酪酸セルロースなどの脂肪族アシル置換基を有するセルロースエステルから作製される。アシル置換基は、無作為に分布される。また、こうした補償フィルムの複屈折は通常、nx>nyで正であり、ここでnxはフィルム面内の延伸方向に沿った屈折率であり、一方でnyはフィルム面内の延伸方向に垂直の屈折率である。負の複屈折(nx<ny)を有するセルロースエステルは、芳香族アシル置換基を加え、芳香族アシル置換基または長鎖脂肪族アシル置換基の位置を制御することによって達成することができる。負の複屈折を有するセルロースエステルから作製される補償フィルムの一問題は、Re(450nm)/Re(550nm)>1およびRe(650nm)/Re(550nm)<1の該補償フィルムの正常波長分散である。負の複屈折およびフラットまたは逆波長分散を有するセルロースエステルをベースとする市販製品は存在しない。より具体的には、負の複屈折およびフラットまたは逆波長分散を有するセルロースエステルをベースとするZフィルムのための市販製品は存在しない。
【0036】
さまざまな実施形態において、ピラノース環のC2およびC3にアリール-アシル置換基が優先的に組み込まれる、位置選択的に置換されたセルロースエステルを用いることができる。位置選択性は、炭素13NMR分光法によってセルロースエステル中のC6、C3およびC2における相対的置換度(「RDS」)を決定することによって測定することができる(Macromolecules、1991年、24、3050~3059頁)。一タイプのアシル置換基の場合または第2のアシル置換基が少量しか存在しない(DS<0.2)とき、RDSは、環炭素の統合によって直接、最も容易に決定することができる。同様の量の2つ以上のアシル置換基が存在するとき、環RDSの決定に加えて、場合によっては、カルボニル炭素の統合によって各置換基のRDSを独立に決定するために、セルロースエステルを追加の置換基と完全に置換させる必要がある。従来のセルロースエステルでは、位置選択性は一般に観察されず、C6/C3、C6/C2、またはC3/C2のRDS比は一般に1に近いか、またはそれ以下である。本質的には、従来のセルロースエステルはランダムコポリマーである。対照的に、適当な溶媒中に溶解したセルロースに1種以上のアシル化試薬を添加すると、セルロースのC6位は、C2位およびC3位よりずっと速くアシル化される。その結果、C6/C3比およびC6/C2比は1より優位に大きく、これは6,3-または6,2-強化された位置選択的に置換されたセルロースエステルの特徴である。
【0037】
位置選択的に置換されたセルロースエステルの例およびその調製方法は、US2010/0029927、US2010/0267942、およびUS8,354,525に記載されており、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。一般に、これらの出願は、イオン性液体中にセルロースを溶解し、次いでそれをアシル化試薬と接触させることによるセルロースエステルの調製に関する。これに応じて、本発明のさまざまな実施形態のために、位置選択的に置換されたセルロースエステルを調製するために2つの一般的な方法を用いることができる。一方法では、位置選択的に置換されたセルロースエステルは、まずセルロース溶液を1種以上のアルキルアシル化試薬と接触させ、後続して、所望の置換度(「DS」)および重合度(「DP」)を有するセルロースエステルを生成するために十分な接触温度および接触時間で、セルロース溶液をアリールアシル化試薬と接触させることによる段階的添加を用いて調製することができる。この段階的添加において、アルキル基を含有するアシル基をC6に優先的に取り入れてよく、アリール基を含有するアシル基をC2および/またはC3に優先的に取り入れてよい。あるいは、位置選択的に置換されたセルロースエステルは、セルロース溶液を1種以上のアルキルアシル化試薬と接触させ、後続して、アルキル基を含有するアシル基が優先的にC6に取り入れられたアルキルエステルを単離することによって調製することができる。次いで、アルキルエステルを適当な有機溶媒に溶解し、所望の置換度(「DS」)および重合度(「DP」)を有するセルロースエステルを生成するために十分な接触温度および接触時間で、アリール基を含有するアシル基をC2および/C3に優先的に取り入れることができるアリール-アシル化試薬と接触させてよい。
【0038】
位置選択的に置換されたセルロースエステルの例およびその調製方法は、US20170306054およびUS20170307796にも記載されており、それらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。一般に、これらの出願は、低い置換度(DS)を有する出発セルロースエステルを適当な有機溶媒に溶解し、それを次いで、アシル化試薬と接触させることによるセルロースエステルの調製に関する。これに応じて、本発明のさまざまな実施形態のために、位置選択的に置換されたセルロースエステルを調製するために2つの一般的方法を用いることができる。一方法では、位置選択的に置換されたセルロースエステルは、まず出発セルロースエステル溶液を1種以上のアルキルアシル化試薬と接触させ、後続して、所望の置換度(「DS」)および重合度(「DP」)を有するセルロースエステルを生成するために十分な接触温度および接触時間で、セルロース溶液をアリールアシル化試薬と接触させることによる段階的添加を用いて調製することができる。この段階的添加において、アルキル基を含有するアシル基をC6に優先的に取り入れてよく、アリール基を含有するアシル基をC2および/またはC3に優先的に取り入れてよい。あるいは、位置選択的に置換されたセルロースエステルは、出発セルロースエステル溶液を1種以上のアルキルアシル化試薬と接触させ、後続して、アルキル基を含有するアシル基が優先的にC6に取り入れられたアルキルエステルを単離することによって調製することができる。次いで、アルキルエステルを任意の適当な有機溶媒に溶解し、所望の置換度(「DS」)および重合度(「DP」)を有するセルロースエステルを生成するために十分な接触温度および接触時間で、アリール基を含有するアシル基をC2および/C3に優先的に取り入れることができるアリール-アシル化試薬と接触させてよい。
【0039】
こうして調製されたセルロースエステルは、一般に、以下の構造を含む:
【0040】
【0041】
式中、R2、R3、およびR6は、水素(ただし、R2、R3、およびR6は同時に水素ではないことを条件とする)、アルキル-アシル基、および/またはアリール-アシル基(上記のものなど)であり、これらは、エステル結合を介してセルロースに結合される。
【0042】
これらの方法によって調製されたセルロースエステルの重合度(「DP」)は、少なくとも10であってもよい。他の実施形態では、セルロースエステルのDPは、少なくとも50、少なくとも100、または少なくとも250であってもよい。他の実施形態では、セルロースエステルのDPは、約5~約100の範囲、または約10~約50の範囲とすることができる。
【0043】
本明細書における使用に好適なアシル化試薬としては、これらに限定されないが、本明細書中に記載の位置選択的に置換されたセルロースエステルのアシル置換基における使用に好適な上記アルキルもしくはアリール基を含有する、アルキルもしくはアリールカルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物、および/またはカルボン酸エステルを挙げることができる。好適なカルボン酸無水物の例としては、これらに限定されないが、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、ピバロイル無水物、安息香酸無水物、およびナフトイル無水物が挙げられる。カルボン酸ハロゲン化物の例としては、これらに限定されないが、塩化または臭化アセチル、プロピオニル、ブチリル、ピバロイル、ベンゾイル、およびナフトイルが挙げられる。カルボン酸エステルの例としては、これらに限定されないが、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ピバロイル、ベンゾイルおよびナフトイルメチルエステルが挙げられる。1つ以上の実施形態において、アシル化試薬は、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、ピバロイル無水物、ベンゾイル無水物、およびナフトイル無水物からなる群から選択される1種以上のカルボン酸無水物であってもよい。
【0044】
延伸フィルム
本出願は、(1)(i)複数の芳香族-CO-置換基、(ii)複数の第1の不飽和または飽和(C1~6)アルキル-CO-置換基、および(iii)複数のヒドロキシル置換基を含む位置選択的に置換されたセルロースエステルであって、ここで、ヒドロキシルの置換度(「DSOH」)が0.2~1.1であり、セルロースエステルが、0.15~0.8の芳香族-CO-置換基のC2置換度(「C2DSArCO」)を有し、セルロースエステルが、0.05~0.6の芳香族-CO-置換基のC3置換度(「C3DSArCO」)を有し、セルロースエステルが、0.05~0.6の芳香族-CO-置換基のC6置換度(「C6DSArCO」)を有し、芳香族-CO-置換基の全置換度(「全DSArCO」)が0.25~2.0であり、芳香族-CO-が、(C6~20)アリール-CO-[式中、アリールは、非置換であるか、または1~5つのR1によって置換されている]、ヘテロアリール-CO-[式中、ヘテロアリールは、N、O、またはSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員環であり、ヘテロアリールは、非置換であるか、または1~5つのR1によって置換されている]である、位置選択的に置換されたセルロースエステルと、(2)
【0045】
【0046】
[式中:環Aは、(C6~20)アリールまたはN、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリールであり;環Bは、N、O、またはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する(C6~20)アリールまたは5~10員ヘテロアリールであり;環Cは、N、O、またはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する(C6~20)アリールまたは5~10員ヘテロアリールであり;R1は、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル;飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル;任意選択により1~5つのアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロによって置換されている(C6~20)アリール;N、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリール;または-CH2C(O)-R3であり;R2は、独立に、水素、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、または飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキルであり;R3は、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、(C6~20)アリール、またはN、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリールであり、ここで、アリールまたはヘテロアリールは、非置換であるか、または1~5つのR6によって置換されており;R4は、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、または飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-CO-(C1~20)アルキルであり、ここで、各基は、非置換であるか、または1~3つのヒドロキシル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルコキシ、飽和もしくは不飽和ヒドロキシ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-ヒドロキシ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-CO-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-CO、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-COO、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-O-CO-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-COO-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-COO-(C1~20)アルキル、または(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-O-CO-(C1~20)アルキルによって置換されており;各R5は、独立に、ヒドロキシ、シアノ、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルコキシ、またはハロであり;各R6は、独立に、ヒドロキシ、シアノ、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルコキシ、またはハロまたは(C6~20)アリールであり、ここで、アリールは、非置換であるか、または1~5つのR7によって置換されており;各R7は、独立に、ヒドロキシル、飽和もしくは不飽和(C1~6)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~6)アルキル、または飽和もしくは不飽和(C1~6)アルコキシルであり;R8は、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシル、または飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルコキシルであり;各R9は、R4-O-、ヒドロキシ、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、N、OもしくはSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する飽和もしくは不飽和ヘテロ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-CO-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-COO-(C1~20)アルキル-、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-COO-、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-O-CO-、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-CO、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-CO-O-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-O-CO-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-COO-(C1~20)アルキル、(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-O-CO-(C1~20)アルキル-(C6~10)アリール、N、OもしくはSからなる群から選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリールであり、ここで、各基は、非置換であるか、または1~3つのヒドロキシル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ、または飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルコキシル、飽和もしくは不飽和ヒドロキシ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-ヒドロキシ(C1~20)アルキル、または飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-CO-(C1~20)アルキル-、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-CO、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-COO、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-O-CO-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-COO-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-COO-(C1~20)アルキル、または(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-O-CO-(C1~20)アルキルによって置換されており;各nは、0、1、2、3、4または5であり;各mは、0、1、2、3または4であり、kは、0、1、3または4である]である成分Aと、を含むフィルムであって、ここで:成分Aが、組成物の総重量に対して30wt%未満で存在し、フィルムの厚さ(「d」)(μm)が、10μm~200μmであり、フィルムが、ゼロ未満のRe(589nm)を示し、Re(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものが、-10~-0.5であり、Rth(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものが、-6.0~6.0であり、フィルムが、-3.0~3.0の[[-Rth(589nm)/Re(589nm)]+0.5](「Nz」)を示し、各Re(589nm)が、589nmで測定した面内リタデーションであり、各Rth(589nm)が、589nmで測定した面外リタデーションであり、フィルムが延伸されている、フィルムを開示する。
【0047】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、R9は、R4-O-である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、R9は、(C1~20)アルキル、(C1~20)アルキル-、(C1~20)アルキル-O-(C1~20)アルキル-、または(C1~20)アルキル-O-(C1~20)アルキル-O-である。
【0048】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-60nm~60nmであり、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は、0.95~1.02であり、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は、0.95~1.05であり、ここで、Re(450nm)、Re(550nm)およびRe(650nm)は、それぞれ、450nm、550nmおよび650nmで測定した面内リタデーションである。
【0049】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(589nm)は、-240nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-60nm~60nmである。この実施形態の一クラスにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-160nmであり、Rth(589nm)は、-30nm~30nmである。
【0050】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-60nm~60nmであり、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は、075~0.95であり、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は、0.97~1.15である。
【0051】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-160nmであり、Rth(589nm)は、-30nm~30nmである。この実施形態の一クラスにおいて、Re(589nm)は、-240nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-30nm~30nmである。
【0052】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、Nzは-2.0~2.0である。
この実施形態の一クラスにおいて、またはこの実施形態中の他の任意のクラスとの組合せにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-60nm~60nmであり、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は、0.95~1.02であり、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は、0.95~1.05であり、ここで、Re(450nm)、Re(550nm)、およびRe(650nm)は、それぞれ、450nm、550nmおよび650nmで測定した面内リタデーションである。
【0053】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(589nm)は、-240nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-60nm~60nmである。このクラスの一サブクラスにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-160nmであり、Rth(589nm)は、-30nm~30nmである。
【0054】
この実施形態の一クラスにおいて、またはこの実施形態中の他の任意のクラスとの組合せにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-60nm~60nmであり、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比が、0.75~0.95であり、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比が0.97~1.15である。
【0055】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-160nmであり、Rth(589nm)は、-30nm~30nmである。このクラスの一サブクラスにおいて、Re(589nm)は、-240nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-30nm~30nmである。
【0056】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は、1.05未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0057】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0058】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は、1.10~1.2であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0059】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は0.75~0.85であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0060】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0061】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)は1.10~1.2であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0062】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものは-6.0~-0.5であり、Rth(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものは-1.0~1.0である。
【0063】
この実施形態の一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は1.05未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0064】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0065】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.2であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0066】
この実施形態の一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は0.75~0.85であり、ここでRe(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0067】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0068】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.2であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0069】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものは-6.0~-0.5であり、Rth(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものは0.15~4.2である。
【0070】
この実施形態の一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は1.05未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0071】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0072】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.2であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0073】
この実施形態の一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は0.75~0.85であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0074】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0075】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.2であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0076】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は1.05未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0077】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0078】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.0超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0079】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.25であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0080】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は0.9未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0081】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0082】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.0超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0083】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.25であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0084】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は0.75~0.85であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0085】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0086】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.0超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0087】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.25であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0088】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、Nzは-1.5~1.5である。
この実施形態の一クラスにおいて、またはこの実施形態中の他の任意のクラスとの組合せにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-60nm~60nmであり、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は、0.95~1.02であり、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は、0.95~1.05であり、ここで、Re(450nm)、Re(550nm)、およびRe(650nm)は、それぞれ、450nm、550nmおよび650nmで測定した面内リタデーションである。
【0089】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(589nm)は、-240nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-60nm~60nmである。このクラスの一サブクラスにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-160nmであり、Rth(589nm)は、-30nm~30nmである。
【0090】
この実施形態の一クラスにおいて、またはこの実施形態中の他の任意のクラスとの組合せにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-60nm~60nmであり、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比が、0.75~0.95であり、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比が0.97~1.15である。
【0091】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-160nmであり、Rth(589nm)は、-30nm~30nmである。このクラスの一サブクラスにおいて、Re(589nm)は、-240nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-30nm~30nmである。
【0092】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は、1.05未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0093】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0094】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.2であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0095】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は0.75~0.85であり、ここでRe(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0096】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0097】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.2であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0098】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものは-6.0~-0.5であり、Rth(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものは-1.0~1.0である。
【0099】
この実施形態の一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は1.05未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0100】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0101】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.2であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0102】
この実施形態の一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は0.75~0.85であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0103】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0104】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.2であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0105】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものは-6.0~-0.5であり、Rth(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものは0.15~4.2である。
【0106】
この実施形態の一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は1.05未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0107】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0108】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.2であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0109】
この実施形態の一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は0.75~0.85であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0110】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0111】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.2であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0112】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は1.05未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0113】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0114】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.0超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0115】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.25であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は0.9未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0116】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0117】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.0超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0118】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.25であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0119】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は0.75~0.85であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0120】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0121】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.0超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0122】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.25であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0123】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、Nzは0.2~0.8である。
この実施形態の一クラスにおいて、Re(589nm)は-120~-320nmであり、Rth(589nm)は-60~60nmである。
【0124】
この実施形態の一クラスにおいて、またはこの実施形態中の他の任意のクラスとの組合せにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-60nm~60nmであり、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は、0.95~1.02であり、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は、0.95~1.05であり、ここで、Re(450nm)、Re(550nm)、およびRe(650nm)は、それぞれ、450nm、550nmおよび650nmで測定した面内リタデーションである。
【0125】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(589nm)は、-240nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-60nm~60nmである。このクラスの一サブクラスにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-160nmであり、Rth(589nm)は、-30nm~30nmである。
【0126】
この実施形態の一クラスにおいて、またはこの実施形態中の他の任意のクラスとの組合せにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-60nm~60nmであり、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比が、0.75~0.95であり、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比が0.97~1.15である。
【0127】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-160nmであり、Rth(589nm)は、-30nm~30nmである。このクラスの一サブクラスにおいて、Re(589nm)は、-240nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-30nm~30nmである。
【0128】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものは-6.0~-0.5であり、Rth(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものは-1.8~1.8である。
【0129】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は1.05未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0130】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0131】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.2であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0132】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は0.75~0.85であり、ここでRe(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0133】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0134】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.2であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0135】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものは-6.0~-0.5であり、Rth(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものは-1.0~1.0である。
【0136】
この実施形態の一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は1.05未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0137】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0138】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.2であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0139】
この実施形態の一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は0.75~0.85であり、ここでRe(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0140】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0141】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.2であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は1.05未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0142】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0143】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.0超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0144】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.25であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0145】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は0.9未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0146】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0147】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.0超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0148】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.25であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0149】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は0.75~0.85であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0150】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0151】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.0超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0152】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.25であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0153】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、Nzは0.4~0.6である。
この実施形態の一クラスにおいて、またはこの実施形態中の他の任意のクラスとの組合せにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-60nm~60nmであり、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は、0.95~1.02であり、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は、0.95~1.05であり、ここで、Re(450nm)、Re(550nm)、およびRe(650nm)は、それぞれ、450nm、550nmおよび650nmで測定した面内リタデーションである。
【0154】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(589nm)は、-240nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-60nm~60nmである。このクラスの一サブクラスにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-160nmであり、Rth(589nm)は、-30nm~30nmである。
【0155】
この実施形態の一クラスにおいて、またはこの実施形態中の他の任意のクラスとの組合せにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-60nm~60nmであり、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比が、0.75~0.95であり、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比が0.97~1.15である。
【0156】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-160nmであり、Rth(589nm)は、-30nm~30nmである。このクラスの一サブクラスにおいて、Re(589nm)は、-240nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-30nm~30nmである。
【0157】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は、1.05未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0158】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0159】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.2であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0160】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は0.75~0.85であり、ここでRe(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0161】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0162】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.2であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0163】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は1.05未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0164】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0165】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.0超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0166】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.25であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0167】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は0.9未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0168】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0169】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.0超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0170】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.25であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0171】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は0.75~0.85であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0172】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0173】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.0超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0174】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.25であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0175】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、Nzは0.8~1.2である。
この実施形態の一クラスにおいて、Re(589nm)は-120~-320nmであり、Rth(589nm)は60~120nmである。
【0176】
この実施形態の一クラスにおいて、またはこの実施形態中の他の任意のクラスとの組合せにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-60nm~60nmであり、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は、0.95~1.02であり、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は、0.95~1.05であり、ここで、Re(450nm)、Re(550nm)、およびRe(650nm)は、それぞれ、450nm、550nmおよび650nmで測定した面内リタデーションである。
【0177】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(589nm)は、-240nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-60nm~60nmである。このクラスの一サブクラスにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-160nmであり、Rth(589nm)は、-30nm~30nmである。
【0178】
この実施形態の一クラスにおいて、またはこの実施形態中の他の任意のクラスとの組合せにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-60nm~60nmであり、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比が、0.75~0.95であり、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比が0.97~1.15である。
【0179】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(589nm)は、-120nm~-160nmであり、Rth(589nm)は、-30nm~30nmである。このクラスの一サブクラスにおいて、Re(589nm)は、-240nm~-320nmであり、Rth(589nm)は、-30nm~30nmである。
【0180】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものは-6.0~-0.5であり、Rth(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものは0.15~4.2である。
【0181】
この実施形態の一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は1.05未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0182】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0183】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.2であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0184】
この実施形態の一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は0.75~0.85であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0185】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0186】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.2であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0187】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものは-8.0~-0.5であり、Rth(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものは0.15~5.6である。
【0188】
この実施形態の一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は1.05未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0189】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0190】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.2であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0191】
この実施形態の一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は0.75~0.85であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0192】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0193】
このサブクラスの一部分的サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.2であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0194】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は1.05未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0195】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0196】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.0超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0197】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.25であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0198】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は0.9未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0199】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0200】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.0超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0201】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.25であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0202】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は0.75~0.85であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0203】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0204】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.0超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0205】
このクラスの一サブクラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.25であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0206】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、Re(589nm)/dとd(nm)との比に1000を乗じたものは-6.0~-0.5である。この実施形態の一クラスにおいて、Rth(589nm)/dとd(nm)との比に1000を乗じたものは-3.0~3.0である。この実施形態の一クラスにおいて、Rth(589nm)/dとd(nm)との比に1000を乗じたものは-2.0~2.0である。この実施形態の一クラスにおいて、Rth(589nm)/dとd(nm)との比に1000を乗じたものは-1.8~1.8である。この実施形態の一クラスにおいて、Rth(589nm)/dとd(nm)との比に1000を乗じたものは-1.0~1.0である。
【0207】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、Re(589nm)/dとd(nm)との比に1000を乗じたものは-8.0~-0.5である。この実施形態の一クラスにおいて、Rth(589nm)/dとd(nm)との比に1000を乗じたものは-3.0~3.0である。この実施形態の一クラスにおいて、Rth(589nm)/dとd(nm)との比に1000を乗じたものは-2.4~2.4である。この実施形態の一クラスにおいて、Rth(589nm)/dとd(nm)との比に1000を乗じたものは-1.8~1.8である。この実施形態の一クラスにおいて、Rth(589nm)/dとd(nm)との比に1000を乗じたものは-1.0~1.0である。
【0208】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、Rth(589nm)/dとd(nm)との比に1000を乗じたものは-3.0~3.0である。一実施形態において、Rth(589nm)/dとd(nm)との比に1000を乗じたものは-2.0~2.0である。一実施形態において、Rth(589nm)/dとd(nm)との比に1000を乗じたものは-1.8~1.8である。一実施形態において、Rth(589nm)/dとd(nm)との比に1000を乗じたものは-1.0~1.0である。
【0209】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は1.05未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0210】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0211】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.0超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0212】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.25であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0213】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は1.0未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0214】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0215】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.0超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0216】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.25であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0217】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は0.9未満であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0218】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0219】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.0超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0220】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.25であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0221】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比は0.75~0.85であり、ここで、Re(450nm)は、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0222】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0223】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.0超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0224】
この実施形態の一クラスにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.25であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0225】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は0.95超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.0超であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、Re(550nm)に対するRe(650nm)の比は1.10~1.25であり、ここで、Re(650nm)は、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)は、550nmで測定した面内リタデーションである。
【0226】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、フィルムは、一軸延伸される、二軸延伸される、または各角度で延伸される。この実施形態の一クラスにおいて、フィルムは、一軸延伸されるか、または二軸延伸される。この実施形態の一クラスにおいて、フィルムは一軸延伸される。この実施形態の一クラスにおいて、フィルムは二軸延伸される。この実施形態の一クラスにおいて、フィルムは各角度で延伸される。
【0227】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、成分Aは、
【0228】
【0229】
である。
この実施形態の一クラスにおいて、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、成分Aは、1wt%超で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~30wt%の範囲で存在する。一実施形態において、成分Aは、1wt%~20wt%の範囲で存在する。一実施形態において、成分Aは、1wt%~15wt%の範囲で存在する。
【0230】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、成分Aは、
【0231】
【0232】
である。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%超で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~30wt%の範囲で存在する。一実施形態において、成分Aは、1wt%~20wt%の範囲で存在する。一実施形態において、成分Aは、1wt%~15wt%の範囲で存在する。
【0233】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、成分Aは、
【0234】
【0235】
である。
この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%超で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~30wt%の範囲で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~20wt%の範囲で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~15wt%の範囲で存在する。
【0236】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、成分Aは、
【0237】
【0238】
である。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%超で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~30wt%の範囲で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~20wt%の範囲で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~15wt%の範囲で存在する。
【0239】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、成分Aは、
【0240】
【0241】
である。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%超で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~30wt%の範囲で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~20wt%の範囲で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~15wt%の範囲で存在する。
【0242】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、成分Aは、1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオン、アヴォベンゾン、2-ヒドロキシ-4-(オクチルオキシ)フェニル(フェニル)メタノン、(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)(2-ヒドロキシフェニル)メタノン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(ヘキシルオキシ)フェノール(Tinuvin 1577)、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-[2-ヒドロキシ-3-(ドデシルオキシ-およびトリデシルオキシ)プロポキシ]フェノール(Tinuvin 400)、イソオクチル2-(4-(4,6-ジ([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-3-ヒドロキシフェノキシ)プロパノエート(Tinuvin 479)、6,6’-(6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)ビス(3-ブトキシフェノール)(Tinuvin 460)、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(3-((2-エチルヘキシル)オキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ)フェノール(Tinuvin 405)、7-ジエチルアミノ-4-メチルクマリン、またはこれらの組合せである。
【0243】
この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%超で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~30wt%の範囲で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~20wt%の範囲で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~15wt%の範囲で存在する。
【0244】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、成分Aは、1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオンである。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%超で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~30wt%の範囲で存在する。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、成分Aは、1wt%~20wt%の範囲で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~15wt%の範囲で存在する。
【0245】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、成分Aはアヴォベンゾンである。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%超で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~30wt%の範囲で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~20wt%の範囲で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~15wt%の範囲で存在する。
【0246】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、成分Aは、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(ヘキシルオキシ)フェノール(Tinuvin 1577)である。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは1wt%超で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~30wt%の範囲で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~20wt%の範囲で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~15wt%の範囲で存在する。
【0247】
一実施形態において、成分Aはイソオクチル2-(4-(4,6-ジ([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-3-ヒドロキシフェノキシ)プロパノエート(Tinuvin 479)である。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%超で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~30wt%の範囲で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~20wt%の範囲で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~15wt%の範囲で存在する。
【0248】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、成分Aは6,6’-(6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)ビス(3-ブトキシフェノール)(Tinuvin 460)である。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%超で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~30wt%の範囲で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~20wt%の範囲で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、成分Aは、1wt%~15wt%の範囲で存在する。
【0249】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、セルロースエステルは、0.7~2.2の、第1の不飽和または飽和(C1~6)アルキル-アシル置換基(「DSFAk」)の置換度を有する。一実施形態において、セルロースエステルは、0.7~1.9の、第1の不飽和または飽和(C1~6)アルキル-アシル置換基(「DSFAk」)の置換度を有する。
【0250】
この実施形態の一クラスにおいて、第1の不飽和または飽和(C1~20)アルキル-CO-置換基は、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、3-メチルブタノイル、ペンタノイル、4-メチルペンタノイル、3-メチルペンタノイル、2-メチルペンタノイル、ヘキサノイル、またはクロトニルである。この実施形態の一クラスにおいて、第1の不飽和または飽和(C1~6)アルキル-CO-置換基は、アセチル、プロピオニル、またはクロトニルである。
【0251】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、セルロースエステルは、複数の第2の(C1~20)アルキル-CO-置換基をさらに含む。この実施形態の一クラスにおいて、第2の(C1~20)アルキル-CO-置換基(「DSSAk」)の置換度は0.05~0.6である。
【0252】
この実施形態の一クラスにおいて、第2の(C1~20)アルキル-CO-置換基は、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、3-メチルブタノイル、ペンタノイル、4-メチルペンタノイル、3-メチルペンタノイル、2-メチルペンタノイル、ヘキサノイル、ピバロイル(pivalyl)、または2-エチルヘキサノイルである。この実施形態の一クラスにおいて、第2の(C1~20)アルキル-CO-置換基は、アセチル、イソブチリル、3-メチルブタノイル、ペンタノイル、4-メチルペンタノイル、3-メチルペンタノイル、2-メチルペンタノイル、ヘキサノイル、または2-エチルヘキサノイルである。この実施形態の一クラスにおいて、第2の(C1~20)アルキル-CO-置換基は、アセチルまたは2-エチルヘキサノイルである。
【0253】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、芳香族-CO-は(C6~20)アリール-CO-[式中、アリールは、非置換であるか、または1~5つのR1によって置換されている]である。この実施形態の一クラスにおいて、芳香族-CO-は、非置換であるか、または1~5つのR1によって置換されている、ベンゾイルまたはナフトイルである。この実施形態の一クラスにおいて、芳香族-CO-は、非置換であるか、または1~5つのR1によって置換されている芳香族-CO-はベンゾイルである。この実施形態の一クラスにおいて、芳香族-CO-は、非置換であるか、または1~5つのR1によって置換されているナフトイルである。
【0254】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、芳香族-CO-は、非置換であるか、または1~5つのR1によって置換されているベンゾイルである。この実施形態の一クラスにおいて、セルロースエステルは、0.40~1.20の全DSArCOを有する。このクラスの一サブクラスにおいて、C2DSArCOとC3DSArCOの合計は0.30~0.75である。
【0255】
この実施形態の一クラスにおいて、セルロースエステルは、0.50~1.10の全DSArCOを有する。このクラスの一サブクラスにおいて、C2DSArCOとC3DSArCOの合計は0.30~0.75である。
【0256】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、芳香族-CO-は、非置換であるか、または1~5つのR1によって置換されているナフトイルである。この実施形態の一クラスにおいて、セルロースエステルは、0.30~0.6の全DSArCOを有する。このクラスの一サブクラスにおいて、C2DSArCOとC3DSArCOの合計は0.20~0.40である。このクラスの一サブクラスにおいて、C2DSArCOとC3DSArCOの合計は0.30~0.40である。
【0257】
この実施形態の一クラスにおいて、セルロースエステルは、0.50~1.10の全DSArCOを有する。このクラスの一サブクラスにおいて、C2DSArCOとC3DSArCOの合計は0.20~0.40である。このクラスの一サブクラスにおいて、C2DSArCOとC3DSArCOの合計は0.30~0.40である。
【0258】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、芳香族-CO-は、ヘテロアリール-CO-[式中、ヘテロアリールは、N、O、またはSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員環であり、ヘテロアリールは、非置換であるか、または1~5つのR1によって置換されている]である。この実施形態の一クラスにおいて、ヘテロアリール-CO-は、ピリジニル-CO-、ピリミジニル-CO-、フラニル-CO-、またはピロリル-CO-である。この実施形態の一クラスにおいて、ヘテロアリール-CO-は2-フロイルである。
【0259】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、セルロースエステルは、0.4~1.6の全DSArCOを有する。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、セルロースエステルは、1.0~1.6の全DSArCOを有する。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、セルロースエステルは、0.3~1.25の全DSArCOを有する。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、セルロースエステルは、0.4~1.2の全DSArCOを有する。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、セルロースエステルは、0.4~0.8の全DSArCOを有する。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、セルロースエステルは、0.3~0.8の全DSArCOを有する。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、セルロースエステルは、0.3~0.6の全DSArCOを有する。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、セルロースエステルは、0.2~0.6の全DSArCOを有する。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、セルロースエステルは、0.2~0.5の全DSArCOを有する。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、セルロースエステルは、0.8~1.2の全DSArCOを有する。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、セルロースエステルは、0.5~1.1の全DSArCOを有する。
【0260】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、DSOHは0.3~1.0である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、DSOHは0.3~0.9である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、DSOHは0.4~0.9である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、DSOHは0.5~0.9である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、DSOHは0.6~0.9である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、DSOHは0.4~0.8である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、DSOHは0.5~0.8である。
【0261】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、C2DSArCOとC3DSArCOの合計は0.3~1.25である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、C2DSArCOとC3DSArCOの合計は0.2~0.4である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、C2DSArCOとC3DSArCOの合計は0.3~0.4である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、C2DSArCOとC3DSArCOの合計は0.4~1.2である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、C2DSArCOとC3DSArCOの合計は0.4~1.1である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、C2DSArCOとC3DSArCOの合計は0.4~1.0である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、C2DSArCOとC3DSArCOの合計は0.5~1.1である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、C2DSArCOとC3DSArCOの合計は0.6~1.0である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、C2DSArCOとC3DSArCOの合計は0.6~1.25である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、C2DSArCOとC3DSArCOの合計は0.30~0.75である。
【0262】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、成分Aは1wt%超で存在する。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、成分Aは2.5wt%超で存在する。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、成分Aは1wt%~30wt%の範囲で存在する。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、成分Aは2.5wt%~30wt%の範囲で存在する。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、成分Aは5wt%~30wt%の範囲で存在する。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、成分Aは2.5wt%~25wt%の範囲で存在する。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、成分Aは1wt%~30wt%の範囲で存在する。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、成分Aは1wt%~20wt%の範囲で存在する。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、成分Aは1wt%~18wt%の範囲で存在する。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、成分Aは1wt%~15wt%の範囲で存在する。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、成分Aは1wt%~10wt%の範囲で存在する。
【0263】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、mは1である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、mは2である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、mは3である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、mは4である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、mは5である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、mは1、2、3または4である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、mは1、2または3である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、mは1または2である。
【0264】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、nは1である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、nは2である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、nは3である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、nは4である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、nは5である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、nは1、2、3または4である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、nは1、2または3である。一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、nは1または2である。
【0265】
フィルムの加工性および可撓性を改善するために可塑剤を添加してもよい。これは、ガラス転位点およびフィルムを形成する材料の融解温度を低下させ得、ひいては、温度低下および/またはフィルム製造の簡易化を促進しうる。可塑剤は、本明細書で開示するセルロースエステルと相溶すべきであり、特にメルトキャスティングによるフィルム成形の場合の不揮発性可塑剤化合物を要するフィルム調製およびコンディショニング工程において適用される最高温度より高い沸点を有するべきである。
【0266】
一実施形態において、または他の任意の実施形態との組合せにおいて、フィルムは、0.1~15wt%の可塑剤をさらに含む。
この実施形態の一クラスにおいて、またはこの実施形態の他の任意のクラスとの組合せにおいて、可塑剤は、0.1~10wt%で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、またはこの実施形態の他の任意のクラスとの組合せにおいて、可塑剤は、0.1~5wt%で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、またはこの実施形態の他の任意のクラスとの組合せにおいて、可塑剤は、5~10wt%で存在する。この実施形態の一クラスにおいて、またはこの実施形態の他の任意のクラスとの組合せにおいて、可塑剤は、3~7wt%で存在する。
【0267】
この実施形態の一クラスにおいて、またはこの実施形態の他の任意のクラスとの組合せにおいて、可塑剤は、ホスフェートタイプの可塑剤、フタレートタイプの可塑剤、テレフタレートタイプの可塑剤、トリメリテートタイプの可塑剤、ベンゾエートタイプの可塑剤、グリコレートタイプの可塑剤、シトレートタイプの可塑剤、多価アルコールエステルタイプの可塑剤、ポリオールタイプの可塑剤、またはポリエステルタイプの可塑剤から選択される。
【0268】
グリコレート可塑剤の非限定例としては、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグルコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグルコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレートおよびオクチルフタリルエチルグリコレートが挙げられる。
【0269】
ホスフェートタイプの可塑剤の非限定例としては、リン酸トリフェニルおよびリン酸トリクレジルが挙げられる。
シトレートタイプの可塑剤の非限定例としては、クエン酸トリアセチルおよびクエン酸トリブチルが挙げられる。
【0270】
ベンゾエートタイプの可塑剤の非限定例としては、安息香酸2-ナフチル(BANE)、ジ安息香酸ジプロピレングリコール、およびジ安息香酸ジエチレングリコールが挙げられる。
【0271】
フタレートタイプの可塑剤の非限定例としては、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル、フタル酸ジフェニル、およびフタル酸ジヘキシルが挙げられる。
【0272】
テレフタレートタイプの可塑剤の非限定例としては、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジブチル、テレフタル酸ジ-2-エチルヘキシル、テレフタル酸ジフェニルおよびテレフタル酸ジヘキシルが挙げられる。
【0273】
ポリエステルタイプの可塑剤の非限定例としては、Admex 523、Admex 6995、およびAdmex 760などのアジピン酸ポリエステルが挙げられる。
ポリオールタイプの可塑剤の非限定例としては、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ソルビトール、1,3-プロパンジオール、エチレングリコール、グリセリン、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、トリメチロールプロパン、およびキシリトールが挙げられる。
【0274】
多価アルコールエステルタイプの可塑剤の非限定例としては、ビス(2-エチルヘキサン酸)トリエチレングリコール、ジ安息香酸ジプロピレングリコール、およびジ安息香酸ジエチレングリコールが挙げられる。トリメリテートタイプの可塑剤の非限定例としては、トリメリット酸トリス(2-エチルヘキサノエート)、およびリン酸クレジルジフェニルが挙げられる。
【0275】
この出願において開示されるフィルムは、LCD、OLED、およびQD OLED装置において有用である。本出願は、先に開示したフィルムのいずれかを含む装置を開示する。
【0276】
一実施形態において、装置は、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)、または量子ドット有機発光ダイオード(QD OLED)装置である。この実施形態の一クラスにおいて、装置はLCD装置である。この実施形態の一クラスにおいて、装置はOLED装置である。この実施形態の一クラスにおいて、装置はOD OLED装置である。
【0277】
実施形態
実施形態1。(1)(i)複数の芳香族-CO-置換基、(ii)複数の第1の不飽和または飽和(C1~6)アルキル-CO-置換基、および(iii)複数のヒドロキシル置換基を含む位置選択的に置換されたセルロースエステルであって、ここで、ヒドロキシルの置換度(「DSOH」)が0.2~1.1であり、セルロースエステルが、0.15~0.8の芳香族-CO-置換基のC2置換度(「C2DSArCO」)を有し、セルロースエステルが、0.05~0.6の芳香族-CO-置換基のC3置換度(「C3DSArCO」)を有し、セルロースエステルが、0.05~0.6の芳香族-CO-置換基のC6置換度(「C6DSArCO」)を有し、芳香族-CO-置換基の全置換度(「全DSArCO」)が0.25~2.0であり、芳香族-CO-が、(C6~20)アリール-CO-[式中、アリールは、非置換であるか、または1~5つのR1によって置換されている]、ヘテロアリール-CO-[式中、ヘテロアリールは、N、O、またはSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員環であり、ヘテロアリールは、非置換であるか、または1~5つのR1によって置換されている]である、位置選択的に置換されたセルロースエステルと、(2)
【0278】
【0279】
[式中:環Aは、(C6~20)アリールまたはN、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリールであり;環Bは、N、O、またはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する(C6~20)アリールまたは5~10員ヘテロアリールであり;環Cは、N、O、またはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する(C6~20)アリールまたは5~10員ヘテロアリールであり;R1は、飽和もしくは不飽和の(C1~20)アルキル;飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル;任意選択により1~5つがアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロによって置換されている(C6~20)アリール;N、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリール;または-CH2C(O)-R3であり;R2は、独立に、水素、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、または飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキルであり;R3は、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、(C6~20)アリール、またはN、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリールであり、ここで、アリールまたはヘテロアリールは、非置換であるか、または1~5つのR6によって置換されており;R4は、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、または飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-CO-(C1~20)アルキルであり、ここで、各基は、非置換であるか、または1~3つのヒドロキシル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルコキシ、飽和もしくは不飽和ヒドロキシ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-ヒドロキシ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-CO-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-CO、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-COO、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-O-CO-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-COO-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-COO-(C1~20)アルキル、または(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-O-CO-(C1~20)アルキルによって置換されており;各R5は、独立に、ヒドロキシ、シアノ、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルコキシ、またはハロであり;各R6は、独立に、ヒドロキシ、シアノ、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルコキシ、またはハロまたは(C6~20)アリールであり、ここで、アリールは、非置換であるか、または1~5つのR7によって置換されており;各R7は、独立に、ヒドロキシル、飽和もしくは不飽和(C1~6)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~6)アルキル、または飽和もしくは不飽和(C1~6)アルコキシルであり;R8は、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシル、または飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルコキシルであり;各R9は、R4-O-、ヒドロキシ、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、N、OもしくはSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する飽和もしくは不飽和ヘテロ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-CO-(C1~20)アルキル-、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-COO-(C1~20)アルキル-、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-COO-、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-O-CO-、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-CO、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-CO-O-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-O-CO-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-COO-(C1~20)アルキル、(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-O-CO-(C1~20)アルキル-(C6~10)アリール、N、OもしくはSからなる群から選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリールであり、ここで、各基は、非置換であるか、または1~3つのヒドロキシル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ、または飽和もしくは不飽和ハロ(C1~20)アルコキシル、飽和もしくは不飽和ヒドロキシ(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-ヒドロキシ(C1~20)アルキル、または飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-CO-(C1~20)アルキル-、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-CO、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-COO、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-O-CO-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルキル-COO-(C1~20)アルキル、飽和もしくは不飽和(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-COO-(C1~20)アルキル、または(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-O-CO-(C1~20)アルキルによって置換されており;各nは、0、1、2、3、4または5であり;各mは、0、1、2、3または4であり、kは、0、1、3または4である]である成分Aと、を含む、フィルムであって、ここで:成分Aが、組成物の総重量に対して30wt%未満で存在し、フィルムの厚さ(「d」)(μm)が、10μm~200μmであり、フィルムが、ゼロ未満のRe(589nm)を示し、Re(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものが、-10~-0.5であり、Rth(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものが、-6.0~6.0であり、フィルムが、-3.0~3.0の[[-Rth(589nm)/Re(589nm)]+0.5](「Nz」)を示し、各Re(589nm)が、589nmで測定した面内リタデーションであり、各Rth(589nm)が、589nmで測定した面外リタデーションであり、フィルムが延伸されている、フィルム。
【0280】
実施形態2。(1)(i)複数の芳香族-CO-置換基;(ii)複数の第1の不飽和または飽和(C1~6)アルキル-CO-置換基;および(iii)複数のヒドロキシル置換基を含む位置選択的に置換されたセルロースエステルであって、ここで:ヒドロキシルの置換度(「DSOH」)が0.2~1.1であり、セルロースエステルが、0.15~0.7の、芳香族-CO-置換基のC2置換度(「C2DSArCO」)を有し、セルロースエステルが、0.05~0.5の、芳香族-CO-置換基のC3置換度(「C3DSArCO」)を有し、セルロースエステルが、0.05~0.6の、芳香族-CO-置換基のC6置換度(「C6DSArCO」)を有し、芳香族-CO-が(C6~20)アリール-CO-[式中、アリールは、非置換であるか、または1~5つのR1によって置換されている];ヘテロアリール-CO-[式中、ヘテロアリールは、N、O、またはSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員環であり、ヘテロアリールは、非置換であるか、または1~5つのR1によって置換されている]である、位置選択的に置換されたセルロースエステルと、(2)
【0281】
【0282】
[式中:環Aは、(C6~20)アリールまたはN、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリールであり;環Bは、(C6~20)アリールであり;環Cは、(C6~20)アリールであり;R1は、アルキル;ハロアルキル;任意選択により1~5つのアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロによって置換されている(C6~20)アリール;N、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリール;または-CH2C(O)-R3であり、R2は、独立に、水素、アルキル、またはハロアルキルであり;R3は、アルキル、ハロアルキル、(C6~20)アリール、またはN、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリールであって、ここで、アリールまたはヘテロアリールは、非置換であるか、または1~5つのR6によって置換され;R4は、(C1~20)アルキル、ハロ(C1~20)アルキル、(C1~20)アルキル-CO-(C1~20)アルキルであり、ここで、それぞれ(すなわち、アルキル、ハロアルキル、またはアルキル-CO-アルキル)は、非置換であるか、または1~3つのヒドロキシル、(C1~20)アルコキシル、またはハロ(C1~20)アルコキシル、ヒドロキシ(C1~20)アルキル、(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル、(C1~20)アルコキシ-ヒドロキシ(C1~20)アルキル、または(C1~20)アルコキシ-(C1~20)アルキル-CO-(C1~20)アルキル-によって置換され;各R5は、独立に、ヒドロキシ、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、またはハロであり;各R6は、独立に、ヒドロキシ、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、もしくはハロまたは(C6~20)アリールであり、ここで、アリールは、非置換であるか、または1~5つのR7によって置換され;各R7は、独立に、ヒドロキシル、(C1~6)アルキル、ハロ(C1~6)アルキル、または(C1~6)アルコキシルであり;R8は、(C1~20)アルキル、ハロ(C1~20)アルキル、(C1~20)アルコキシル、またはハロ(C1~20)アルコキシルであり;各nは、0、1、2、3、4または5であり;各mは、0、1、2、3または4である]である成分Aと、を含み、成分Aは、組成物の総重量に対して30wt%未満で存在し、フィルムの厚さ(「d」)(μm)は10μm~200μmであり、フィルムは、ゼロ未満のRe(589nm)を示し、Re(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものは-10~-0.5であり、Rth(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものは-6.0~6.0であり、フィルムは、-3.0~3.0の[[-Rth(589nm)/Re(589nm)]+0.5](「Nz」)を示し、各Re(589nm)は、589nmで測定した面内リタデーションであり、各Rth(589nm)は、589nmで測定した面外リタデーションであり、フィルムは延伸されている、
請求項1に記載のフィルム。
【0283】
実施形態3。Nzが0.2~0.8である、実施形態1または2のいずれか1つのフィルム。
実施形態4。Re(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものが-6.0~-0.5であり、Rth(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものが-1.8~1.8である、実施形態1~3のいずれか1つのフィルム。
【0284】
実施形態5。Nzが0.8~1.2である、実施形態1または2のいずれか1つのフィルム。
実施形態6。Re(589nm)が-120nm~-320nmであり、Rth(589nm)が-60nm~60nmであり、Re(550nm)に対するRe(450nm)の比が0.95~1.05であり、ここで、Re(450nm)、Re(550nm)およびRe(650nm)が、それぞれ、450nm、550nmおよび650nmで測定した面内リタデーションである、実施形態1~5のいずれか1つのフィルム。
【0285】
実施形態7。Re(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものが-6.0~-0.5であり、Rth(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものが0.15~4.2である、実施形態1~6のいずれか1つのフィルム。
【0286】
実施形態8。Re(550nm)に対するRe(450nm)の比が1.05未満であり、ここで、Re(450nm)が、450nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)が、550nmで測定した面内リタデーションである、実施形態1~7のいずれか1つのフィルム。
【0287】
実施形態9。Re(550nm)に対するRe(450nm)の比が0.75~0.85である、実施形態1~8のいずれか1つのフィルム。
実施形態10。Re(550nm)に対するRe(650nm)の比が0.95超であり、ここで、Re(650nm)が、650nmで測定した面内リタデーションであり、Re(550nm)が、550nmで測定した面内リタデーションである、実施形態1~9のいずれか1つのフィルム。
【0288】
実施形態11。Re(550nm)に対するRe(650nm)の比が1.10~1.2である、実施形態10のフィルム。
実施形態12。成分Aが、
【0289】
【0290】
である、実施形態1~11のいずれか1つのフィルム。
実施形態12。成分Aが、1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオン、アヴォベンゾン、2-ヒドロキシ-4-(オクチルオキシ)フェニル(フェニル)メタノン、(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)(2-ヒドロキシフェニル)メタノン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(ヘキシルオキシ)フェノール、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-[2-ヒドロキシ-3-(ドデシルオキシおよびトリデシルオキシ)プロポキシ]フェノール、イソオクチル2-(4-(4,6-ジ([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-3-ヒドロキシフェノキシ)プロパノエート、6,6’-(6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)ビス(3-ブトキシフェノール)、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(3-((2-エチルヘキシル)オキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ)フェノール、7-ジエチルアミノ-4-メチルクマリン、またはこれらの組合せである、実施形態1~11のいずれか1つのフィルム。
【0291】
実施形態13。芳香族-CO-が(C6~20)アリール-CO-[式中、アリールは、非置換であるか、または1~5つのR1によって置換されている]である、実施形態1~12のいずれか1つのフィルム。
【0292】
実施形態14。芳香族-CO-が、非置換であるか、または1~5つのR1によって置換されている、ベンゾイルまたはナフトイルである、実施形態13のフィルム。
実施形態15。芳香族-CO-が、非置換であるか、または1~5つのR1によって置換されている、ベンゾイルである、実施形態14のフィルム。
【0293】
実施形態16。セルロースエステルが、0.40~1.60の全DSArCOを有する、実施形態15のフィルム。
実施形態17。C2DSArCOとC3DSArCOとの合計が0.30~1.25である、実施形態18のフィルム。
【0294】
実施形態18。芳香族-CO-が、非置換であるか、または1~5つのR1によって置換されているナフトイルである、実施形態14のフィルム。
実施形態19。セルロースエステルが、0.3~0.8の全DSArCOを有する、実施形態17~19のいずれか1つのフィルム。
【0295】
実施形態20。C2DSArCOとC3DSArCOとの合計が0.2~0.6である、実施形態19のフィルム。
実施形態21。第1の不飽和または飽和(C1~20)アルキル-CO-置換基が、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、3-メチルブタノイル、ペンタノイル、4-メチルペンタノイル、3-メチルペンタノイル、2-メチルペンタノイル、ヘキサノイル、またはクロトニルである、実施形態1~20のいずれか1つのフィルム。
【0296】
実施形態22。セルロースエステルが、複数の第2の(C1~20)アルキル-CO-置換基をさらに含む、実施形態1~21のいずれか1つのフィルム。
実施形態23。可塑剤をさらに含む、実施形態1~22のいずれか1つのフィルム。
【0297】
実施形態24。実施形態1~23のいずれか1つのフィルムを含む装置。
実施形態25。液晶ディスプレイ(「LCD」)、有機発光ダイオード(「OLED」)または量子ドット有機発光ダイオード(「QD OLED」)である、実施形態24の装置。
【実施例】
【0298】
略語
1MIM:1-メチルイミダゾール;2EHまたは2-EH:2-エチルヘキサノイル;2EHCl:塩化2-エチルヘキサノイル;AcOH:酢酸;Ak:アルキルアシルまたはアルキル-CO-;Ak1はFAkと同一である;Ak2はSAkと同一である;Ar:アリール;ArCO:アリール-アシルまたはアリール-CO-;atm:大気圧;Bz:ベンゾイル;BzCl:塩化ベンゾイル;Bz2O:安息香酸無水物;℃:摂氏度;C2DS:C2位の置換度;C3DS:C3位の置換度;C6DS:C6位の置換度;CAcPr:アセチルプロピオニル置換セルロースエステルまたは酢酸プロピオン酸セルロース;CCrBz:クロトニルおよびベンゾイル置換セルロースエステルまたはクロトン酸安息香酸セルロース;CE:セルロースエステル;COc:オクタノイル置換セルロースエステルまたはオクタン酸セルロース;CPN;シクロペンタノン;CPr:プロピオニル置換セルロースエステルまたはプロピオン酸セルロース;CPrBz:プロピオニルおよびベンゾイル置換セルロースエステルまたはプロピオン酸安息香酸セルロース;CPr2EH:プロピオニルおよび2-エチルヘキサノイル置換セルロースエステルまたはプロピオン酸2-エチルヘキサン酸セルロース;CPr2EHBz:プロピオニル、2-エチルヘキサノイルおよびベンゾイル置換セルロースエステルまたはプロピオン酸2-エチルヘキサン酸安息香酸セルロース;CPr2EHF:プロピオニル、2-エチルヘキサノイルおよびフラノイル置換セルロースエステルまたはプロピオン酸2-エチルヘキサン酸フロ酸セルロース;CPr2EHNp:プロピオニル、2-エチルヘキサノイルおよびナフトイル置換セルロースエステルまたは2-エチルヘキサン酸ナフトエ酸セルロース(cellulose 2-ethylhexanoate naphthoate);CPrNp:プロピオニルおよびナフトイル置換セルロースエステルまたはプロピオン酸ナフトエ酸セルロース;CPrAcBz:プロピオニル、アセチルおよびベンゾイル置換セルロースエステルまたはプロピオン酸酢酸安息香酸セルロース;CCrBz:クロトニル、ベンゾイル置換セルロースエステルまたはクロトン酸安息香酸セルロース;CPrPvNp:プロピオニル、ピバロイルおよびナフトイル置換セルロースエステルまたはプロピオン酸ピバル酸ナフトエ酸セルロース;DCM:ジクロロメタン;DEAMC:7-ジエチルアミノ-4-メチルクマリン;DEP:フタル酸ジエチル;DHODPO:(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)(2-ヒドロキシフェニル)メタノン;BANE:安息香酸2-ナフチル;DMAC:ジメチルアセトアミド;DMSO:ジメチルスルホキシド;DPDO:1,3-ジフェニルプロパン-1,3-ジオン;DS:平均置換度;eq:当量;EtOH:エタノール;Ex:実施例;F:フラン-2-CO-;FAk:第1のアルキル-アシル、Ak1または第1のアルキル-CO-;FAr:第1のアリール-アシルまたは第1のアリール-CO-;FCl:塩化フラン-2-カルボニル;g:グラム;HODPO:(2-ヒドロキシ-4-(オクチルオキシ)フェニル)(フェニル)メタノン;i-PrOH:イソプロパノール;KOAc:酢酸カリウム;MEK:メチルエチルケトン;hrまたはh:時間;L:リットル;MeOH:メタノール;min:分;mL:ミリリットル;μm:マイクロメートルまたはミクロン;mol:モル;mol eq:無水グルコース単位のモル数に対するモル当量;NMP:N-メチルピロリドン;Np:ナフトイル;NpCl:塩化ナフトイル;Pr:プロピオニル;Pr2O:プロピオン酸無水物;PrCl:塩化プロピオニル;RBF:丸底フラスコ;RM:反応混合物;SM:出発物質;Int;中間体;rt:室温;SAk:第2のアルキル-アシルまたは第2のアルキル-CO-;SAr:第2のアリール-アシルまたは第2のアリール-CO-;TBMADMP:ジメチルリン酸トリブチルメチルアンモニウム;Tot.:合計;TFA:トリフルオロ酢酸;TFAA:無水トリフルオロ酢酸;UV:紫外線。
【0299】
NMR特性評価:プロトンNMRデータを、600MHzで操作するJEOL Model Eclipse-600 NMR分光計で入手した。サンプル管のサイズは5mmであり、サンプル濃度は、1mLのDMSO-d6当たり約20mgだった。各スペクトルを、64のスキャンおよび15秒のパルス遅延を用いて80℃で記録した。1~2滴のトリフルオロ酢酸-dを各サンプルに添加して、目的のスペクトル領域から残留水をシフトした。内部基準としてDMSO-d6の中心ピークを用いてテトラメチルシランから化学シフトを100万分の1(「ppm」)で報告する(2.49ppm)。
【0300】
定量的13C NMRデータを、100MHzで操作するJEOL Model GX-400 NMR分光計で入手した。サンプル管のサイズは10mmであり、サンプル濃度は、1mLのDMSO-d6当たり約100mg/mLだった。緩和剤としてのセルロースエステル100mg当たり5mgで、クロム(III)アセチルアセトネートを各サンプルに添加した。各スペクトルは、典型的には、10000のスキャンおよび1秒のパルス遅延を用いて、80℃で記録した。内部基準としてDMSO-d6の中心ピークを用いてテトラメチルシランから化学シフトをppmで報告する(39.5ppm)。
【0301】
US2012/0262650で開示された手順を適応することによって、セルロースエステルのさまざまなアシル基のプロトンおよび炭素NMR割当、置換度および相対的置換度(「RDS」)を決定した。
【0302】
DMTA測定を、5分間の等温温度に設定したTA Instruments製のDMA Q800で行い、後続して3℃/minでの25℃~230℃への温度ランプ上で行った。振動ずれは0.1%で設定した。
【0303】
フィルムの調製のためのセルロースエステル溶液およびフィルム調製物は、US2012/0262650に開示される手順を適応することによって作製した。
フィルムキャスティングのための溶液調製:セルロースエステル固形物および添加剤を溶媒に添加して、セルロースエステル、成分Aおよび可塑剤の総重量に対して8~16wt%の最終濃度を得た。混合物を密封し、ローラー上に置き、24時間混合して均一な溶液を作製した。
【0304】
フィルム中の成分Aおよび可塑剤のパーセンテージは、以下のとおりに規定される。成分Aまたは可塑剤のパーセンテージ=成分Aまたは可塑剤の重量/セルロースエステル、成分A、可塑剤および添加される他のすべての成分の総重量。
【0305】
溶液の濃度は、以下のように規定される。溶液の濃度=(溶媒を除外したセルロースエステル、成分A、可塑剤および他のすべての成分)の総重量/(セルロースエステル、成分A、可塑剤、添加される他のすべての成分および溶媒)の総重量。
【0306】
溶液調製に使用される溶媒は、これらに限定されないが、シクロペンタノン(CPN)、DCM、DCMとアセトン、エタノールまたはメタノールとの混合物、例えばアセトン/DCM=10/90(wt/wt)、メタノール/DCM=10/90(wt/wt)、メタノール/DCM=5/95およびエタノール/DCM=10/90(wt/wt)、エタノール/DCM=5/95(wt/wt)であってもよい。
【0307】
フィルムキャスティング:上記で調製した溶液を、ドクターブレードを使用して、ガラス板上にキャスティングして、所望の厚さのフィルムを得た。キャスティングは、45%~50%に制御した相対湿度下の換気フード中で行った。キャスティング後、アセトン/DCM=10/90(wt/wt)、メタノール/DCM/メタノール=10/90(wt/wt)およびエタノール/DCM=10/90(wt/wt)、メタノール/DCM=5/95(wt/wt)、およびエタノール/DCM=5/95(wt/wt)を溶媒として使用した場合、特に断りのない限り、カバーパン下でフィルムを60~110分間乾燥させて、溶媒の蒸発速度を最小限にした後でパンを取り除いた。フィルムを15~30分間乾燥させ、次いでフィルムをガラスから剥がし、強制空気オーブン中、100℃で10分間焼きなました。100℃で焼きなました後、フィルムをさらに10分間、より高い温度(120℃)で焼きなました。CPNを溶媒として使用した場合、特に断りのない限り、フィルムをカバーパン下で75分間乾燥した後でパンを取り除いた。フィルムを、さらに2時間、フード中でさらに乾燥した後、フィルムをガラスから剥がし、強制空気オーブン中、100℃で10分間焼きなました。100℃で焼きなました後、フィルムをさらに10分間、より高い温度(130℃)で焼きなました。
【0308】
フィルム延伸:フィルム延伸は、Bruckner Karo IV実験室用フィルム引き伸ばし器によって行った。伸張比、伸長温度、予熱およびポストアニーリングなどの延伸条件を変えて、用途の必要条件に応じた特定の光学的リタデーションおよび分散を得た。
【0309】
光学的測定:フィルムの光学的リタデーションおよび分散の測定は、370~1000nmのスペクトル領域を有するJ.A.Woollam M-2000V Spectroscopicc Ellipsometerまたは250~2500nmのスペクトル領域を有するJ.A.Woollam RC2 Ellipsometerを使用して行った。J.A.Woolam Co.,Inc.製のRetMeas(リタデーション測定)プログラムを使用して光学フィルムの面内リタデーション(Re)および面外リタデーション(Rth)を得た。フィルム厚さは、Metricon Prism Coupler 2010(Metricon Corp.製)または手持ち型Positector 6000を使用して測定した。ヘイズおよびb*の測定は、拡散透過率モード(2.54cm(1インチ)直径のポート)のHunterLab Ultrascan VIS比色計を使用して行った。
【0310】
化学薬品:DEP、Admex 523、Admex 525、Admex 760およびAdmex 6995は、Eastman Chemical Companyから入手し、1,3-ジフェニルプロパン-1,3-ジオン、(2-ヒドロキシ-4-(オクチルオキシ)フェニル)(フェニル)メタノン、(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)(2-ヒドロキシフェニル)メタノンおよび7-ジエチルアミノ-4-メチルクマリンは、Millipore Sigmaから購入し、(2-ヒドロキシ-4-(オクチルオキシ)フェニル)(フェニル)メタノンは、Alfa-Aesarから購入し、アヴォベンゾンは、東京化成工業株式会社から購入し、Tinuvin 400、Tinuvin 405およびTinuvin 1577は、Ciba Specialty Chemical Corp.から購入し、Tinuvin 460およびTinuvin 479はBASFから購入した。
【0311】
実施例1
5口丸底フラスコに、TBMADMP(4405.2g)を添加した。TBMADMPを、1.20~1.80mm Hg下、100℃で(5時間)加熱した。真空の除去後、NMP(1887.9g、30wt%)をRMに添加し、RMを室温まで冷却した。DPv610セルロース(473.3g、7wt%)を20分にわたってRMに添加した。結果として得られたRMを室温で55分間攪拌した。混合物を100℃で(6時間)攪拌し、30℃で(3時間)攪拌し、102℃に再加熱した。RMに、Pr2O(456g、1.2当量)を67分にわたって添加した。46分後、Bz2O(2115g、3.30当量)をRMに、20分にわたって添加した。RMを67分間攪拌し、冷やした30%のH2O2(45mlL)をRMにゆっくり添加した。次いで、混合物を30分間攪拌した。粗生成物をMeOH/H2O(95/5)溶液中で沈降させ、材料を濾過し、MeOHで洗浄(5×)し、真空(55mm Hg、50℃)下で乾燥して標題生成物を得た。1H NMRによる分析:DSPr=1.64およびDSBz=0.69。13C NMRによる分析:C6DS=0.94、C3DS=0.56、C2DS=0.83。ベンゾエートカルボニル共鳴の積分により、13C NMRは、C2DSBz+C3DSBz-C6DSBz=0.39も示した。
【0312】
実施例2
Ex2は、3.3当量の代わりに3.35当量のBz2Oを使用して、Ex1の調製手順を適応することによって調製した。
【0313】
【0314】
中間体1(CPr、DSpr=1.13)
4口丸底フラスコに、N2雰囲気下、オーバーヘッド攪拌および底弁を用いて、iPrOH(259g)を添加した。ジャケットは41℃に設定した。反応容器に、Eastman(商標)CAP 482-20(60g、1モル当量)を添加し、RMを40分間攪拌した。RMに、AcOH(4.63g、0.41モル当量)およびDMSO(259g)中のN2H4・H2O(18.0g、1.89モル当量)を添加した。RMを24時間攪拌した。水を添加することによって粗生成物を沈降させた。粗生成物をウォッシュバッグで濾過し、多量の水で洗浄した。固形物をアルミニウムパンに移し、真空下(60℃)で終夜乾燥して標題化合物を得た。1H NMR、13C NMR:DSpr=1.13、DSOH=1.87、C2DS=0.26、C3DS=0.34、C6DS=0.53。
【0315】
中間体2(CPr、DSPr=1.16)
Int 2は、Int 1の調製手順を適応するが、例外としてN2H4・H2O(1.87モル当量)およびAcOH(0.4モル当量)をEastman(商標)CAP482-20(1.0モル当量)に添加することによって調製した。1H NMR、13C NMR:DSpr=1.16、DSOH=1.84、C2DS=0.26、C3DS=0.32、C6DS=0.57。
【0316】
中間体3(CPr、DSPr=1.18)
Int 3は、Int 1の調製手順を適応するが、例外としてN2H4・H2O(1.85モル当量)およびAcOH(0.4モル当量)をEastman(商標)CAP482-20(1.0モル当量)に添加することによって調製した。1H NMR、13C NMR:DSpr=1.18、DSOH=1.82、C2DS=0.28、C3DS=0.31、C6DS=0.59。
【0317】
中間体4(CPr、DSpr=1.40)
Int 4は、Int 1の調製手順を適応するが、例外としてN2H4・H2O(1.57モル当量)およびAcOH(0.35モル当量)をEastman(商標)CAP482-20(1.0モル当量)に添加することによって調製した。1H NMR、13C NMR:DSpr=1.40、DSOH=1.60、C2DS=0.32、C3DS=0.44、C6DS=0.63。
【0318】
中間体5(CPr、DSpr=1.64)
Int 5は、Int 1の調製手順を適応するが、例外としてN2H4・H2O(1.25モル当量)およびAcOH(0.29モル当量)をEastman(商標)CAP482-20(1.0モル当量)に添加することによって調製した。1H NMR、13C NMR:DSpr=1.64、DSOH=1.36、C2DS=0.41、C3DS=0.52、C6DS=0.71。
【0319】
中間体6(CPr、DSpr=1.10)
Int 6は、Int 1の調製手順を適応するが、例外としてN2H4・H2O(1.94モル当量)およびAcOH(0.42モル当量)をEastman(商標)CAP482-20(1.0モル当量)に添加することによって調製した。1H NMR、13C NMR:DSpr=1.10、DSOH=1.90、C2DS=0.23、C3DS=0.30、C6DS=0.58。
【0320】
中間体7(CPr2EH、DSpr=1.13およびDS2EH=0.49)
窒素雰囲気下、オーバーヘッド機械的攪拌子を備えたジャケット付き4口樹脂窯反応フラスコに、無水DMAC(1.86モル当量)およびNMI(0.39モル当量)を添加した。Int 1(0.089モル当量)をRMに添加し、RMを(30℃で)48時間攪拌した。次いで、DMAC(0.089モル当量)中の2-EHCl(0.52モル当量)を25分にわたってゆっくり添加した。RMを(70℃で)16時間攪拌し、水(4L)を添加することによって粗生成物を沈降させた。固形物を集め、脱イオン水で6時間連続的に洗浄し、真空下(55℃)で終夜乾燥して標題化合物を得た。1H NMRおよび13C NMR:DSPr=1.13、DS2EH=0.49、DSOH=1.38、C2DS=0.38、C3DS=0.40、C6DS=0.85。
【0321】
中間体8(酢酸プロピオン酸セルロース、DSAc=0.17、DSpr=1.66、DSOH=1.17)
Int 8は、US20090096962A(Ex18)に記載のとおりに調製した。
【0322】
中間体9(CPr、DSPr=1.15)および10(プロピオン酸セルロース、DSPr=1.41)
N2H4・H2OおよびAcOHによるInt 1の合成手順を適応することによって、Int 9および10を合成した。DSPrを1Hおよび13C NMRによって決定した。
【0323】
実施例3(CPrBz、DsPr=1.15、DsBz=1.13)
窒素雰囲気下、DMAC(172mL、21.2モル当量)および1-メチルイミダゾール(32mL、4.5モル当量)を含有する丸底フラスコ中の攪拌された混合物に、真空下で終夜乾燥したInt 2(20g、1.0モル当量)を添加した。RMを50℃で4時間攪拌し、26℃に冷却し、次いでBzCl(DMAC(14mL)中14.2g、1.15モル当量)をRM中へ、1時間にわたってゆっくり添加した。RMを26℃で14時間攪拌した。粗生成物は、沈降したiPrOH(2.2L)であり、固形物を水(2×500mL)で洗浄し、脱イオン水で5時間連続的に洗浄し、真空下で終夜乾燥して標題化合物を得た。1H NMRおよび13C NMR:DsPr=1.15、DsBz=1.13(表3)。
【0324】
Ex4~Ex11およびEx25は、Ex3の調製手順を適応するが、例外として表2に示すように異なるSMおよびBzClレベルを使用することによって調製した。化合物を、表3に示すように、1H NMRおよび13C NMRによって特性評価した。
【0325】
表2は、Ex3~11の調製条件を提供する。
【0326】
【0327】
表3は、Ex3~11およびEx25のNMR特性評価を提供する。Ex25は、本明細書に記載の手順を適応することによって調製した。
【0328】
【0329】
実施例12(CPrAcBz、DsPr=1.66、DsAc=0.17、DsBz=0.86)
Ex12は、Ex 3の調製手順を適応するが、例外としてInt 8(1.0当量、20g、CAcPr、DSAc0.17およびDSPr=1.66)ならびにBzCl(10.2g、0.95当量)を使用することによって調製した。1H NMRおよび13C NMR:DsPr=1.66、DsAc=0.17、DsBz=0.86(表4)。
【0330】
表4は、Ex12のNMR特性評価を提供する。
【0331】
【0332】
実施例13(CPr2EHBz、DsPr=1.13、DsAc=0.49、DsBz=0.96)および14(CPr2EHBz、DsPr=1.13、DsAc=0.49、DsBz=1.02)
Ex13および14は、Ex 3の調製手順を適応することによって調製した。Ex13では、Int 7(10g、1.0モル当量)およびBzCl(5.1g、0.98モル当量)を使用し、Ex14では、Int 7(10g、1.0モル当量)およびBzCl(0.97モル当量)を使用した。
【0333】
表5は、Ex13および14のNMR特性評価を提供する。
【0334】
【0335】
実施例15(CPrBz、DsPr=1.54、DsBz=0.63)
Ex15は、Ex3の調製手順を適応するが、例外としてInt 1を使用することによって調製した。Int 1(20g、1.0モル当量)を完全に溶解した後、DMAC(2mL)中のBzCl(1.87g、0.15モル当量)を26℃で1時間にわたって添加し、RMを26℃で1時間攪拌した。次いで、DMAC(3.7mL)中のPrCl(3.95g、0.5モル当量)を26℃で1時間にわたって添加し、1時間攪拌した。次いで、DMAC(5mL)中のBzCl(6.09g、0.5モル当量)を26℃で1時間にわたって添加し、RMを14時間攪拌した。生成物を、Ex3の調製手順に記載のとおりに精製した。
【0336】
実施例16(CPrBz、DsPr=1.69、DsBz=0.63)
Ex16は、Ex15(Ex3)の調製手順に従うが、例外としてInt 1(20g、1.0モル当量)を完全に溶解した後、DMAC(5mL)中のPrCl(4.5g、0.5モル当量)を26℃で1時間にわたって添加し、RMを26℃で1時間攪拌して調製した。次いで、DMAC(9mL)中のBzCl(8.44g、0.68モル当量)を26℃で1時間にわたって添加し、26℃で14時間攪拌した。標題化合物を単離し、Ex3の調製手順に従って精製した。
【0337】
実施例17(CPrNp、DsPr=1.68、DsNp=0.46)
Ex17は、Ex16の調製手順を適応するが、例外としてInt 3を使用することによって調製した。Int 3(20g、1モル当量)を完全に溶解した後、DMAC(4.75mL)中のPrCl(4.45g、0.55モル当量)を26℃で1時間にわたって添加し、RMを26℃で1時間攪拌した。次いで、DMAC(8.6mL)中のNpCl(0.5モル当量)を26℃で1時間にわたって添加し、RMを26℃で14時間攪拌した。標題化合物を単離し、Ex3の調製手順に記載のとおりに精製した。
【0338】
実施例24(CPrBz、DsPr=1.60、DsBz=0.92)
Ex24は、Ex15の調製手順に従ったが、例外としてInt 3を使用して調製した。Int 3(20g、1.0モル当量)を完全に溶解した後、DMAC(5mL)中のPrCl(3.85g、0.45モル当量)を26℃で1時間にわたって添加し、RMを26℃で1時間攪拌した。次いで、DMAC(9mL)中のBzCl(10.72g、0.90モル当量)を26℃で1時間にわたって添加し、26℃で14時間攪拌した。標題化合物を単離し、Ex3の調製手順に従って精製した。
【0339】
表6は、Ex15~17およびEx24のNMR特性評価を提供する。Ex24は、本出願に記載の手順を適応することによって調製した。
【0340】
【0341】
実施例18(CPr2EHF、DsPr=1.18、Ds2EH=0.36、DsF=0.99)
Int 3(115g、1モル当量)を、窒素雰囲気下で、4口樹脂窯に含まれるDMAC(931g)とNMI(186g)との混合物に添加し、RMを32℃で4時間攪拌した。RMを26℃に冷却し、2-EHCl(31.93g、0.4モル当量)を60分にわたってゆっくり添加し、RMを26℃で2時間攪拌した。次いで、DMAC(85g)中のFCl(71.65g。Int 3に基づいて1.09モル当量)を120分にわたってゆっくり添加し、RMを26℃で12時間攪拌した。粗生成物を、MeOH(2L)を用いて沈降させ、次いで固形物を濾過し、脱イオン水で5時間連続的に洗浄した。材料を真空下、55℃で終夜乾燥して標題化合物を得た。1H NMR、13C NMR:DSPr=1.18、DS2EH=0.36、DSF=0.99;DSOH=0.51;C2DS=0.88;C3DS=0.65;C6DS=0.97。
【0342】
表7は、Ex18のNMR特性評価を提供する。
【0343】
【0344】
実施例19(CCrBz、DSCr=1.39、DsBz=1.33)
一般的手順は、出願WO2019190756A1(中間体1および実施例1の調製)に記載されていた。
【0345】
ステップ(1)中間体11(クロトン酸セルロース)の調製
1ARYセルロースパルプ(70g、1.0当量、5wt%)を、冷やした(25℃の)ジャケット付き反応窯に添加した。次いで、TFAA(151g、1.67モル当量)のトリフルオロ酢酸(1180g、24当量)溶液を、オーバーヘッド攪拌しながら、冷やしたセルロース固形物に添加した。添加を完了した後、RMを55℃で加熱し、16時間攪拌し、次いで室温まで冷却した。次いで、トランス-クロトン酸(52.0g、1.4モル当量)、TFA(10mL)、および無水トリフルオロ酢酸(154g、1.7モル当量)の溶液を調製し、45分間攪拌した。結果として得られた試薬混合物を、室温で、RMに添加し、結果として得られたRMを8時間攪拌した。RMを脱イオン水(1000mL)で処理し、濾過した固体材料を得た。固形物をiPrOH中に懸濁し、30分間攪拌し、混合物を濾過した。結果として得られた固形物を水性KOAc(5M、2000mL)中に懸濁し、36時間攪拌した。固形物を濾過して集め、脱イオン水で8時間連続的に洗浄し、真空下(60℃、12時間)で乾燥して標題中間体を得た。1H NMR、13C NMR:DSCr=1.39、DSOH=1.61、C2DS=0.61、C3DS=0.72、C6DS=0.05。
【0346】
ステップ2、実施例19(クロトン酸安息香酸セルロース)の調製
オーブン乾燥した1000mLのジャケット付き3口丸底フラスコ(機械的攪拌子を備える)に、Int 11(20g、1.0モル当量)、後続してピリジン(150mL)およびジメチルアセトアミド(50mL)をジャケット付き丸底フラスコにN2雰囲気下で添加した。RMを、窒素の雰囲気下で固体添加用漏斗を使用して投入した。RMを50℃まで加熱し、固体が溶解するまで混合物を攪拌し、次いでRMを25℃まで冷却した。次いでBzCl(15.08g、1.4当量)を25℃で2分にわたって添加し、RMを30分間攪拌した後、50℃で終夜攪拌した。アセトン(約150mL)をRMに添加し、後続して脱イオン水(2200mL)を添加して粗生成物を沈降させた。粗生成物を濾過し、iPrOH:水の1:1溶液で洗浄した(2×)。粗生成物を脱イオン水で少なくとも5時間連続的に洗浄し、固形物を濾過して集め、真空(22.5mm Hg、60℃)下で終夜乾燥した。1H NMR、13C NMR:DSCr=1.39、DSBz=1.33、DSOH=0.29、C2DS=0.83、C3DS=0.89、C6DS=0.99。
【0347】
実施例20(CPrBz、DsPr=1.81、DsBz=0.68)
Ex20は、Ex19の合成手順を適応するが、例外としてInt 12(プロピオン酸安息香酸セルロース)の調製のステップ1中で、BzOH(0.5モル当量)、TF2O(0.8モル当量)、TFA(10mL)を、一緒に45分間攪拌した後で使用し、結果として得られた試薬混合物を反応混合物に添加し、RMを3時間(45℃で)攪拌することによって調製した。その後、プロピオン酸(0.8モル当量)、TF2O(0.8モル当量)およびTFA(10mL)を45分間攪拌し、結果として得られた試薬溶液をRMに添加し、結果として得られたRMを5時間攪拌した。Ex19のステップ1に記載のワークアップを用いた後でInt 12を得た。第1の混合無水物を添加して3時間攪拌した後、混合物を45℃で反応窯に添加した。反応物質を5時間攪拌させた。1H NMR、13C NMR:DSPr=0.81、DSBz=0.52、DSOH=1.67、C2DS=0.64、C3DS=0.63、C6DS=0.05。
【0348】
ステップ2では、Int 12(1.0モル当量)およびBzCl(0.15モル当量)を室温で3時間攪拌し、次いでプロピオン酸無水物(1モル当量)を50℃で終夜攪拌した。Ex19のステップ2に記載のとおりに標題生成物を単離した。1H NMRおよび13C NMR:DSPr=1.81、DSBz=0.68、DSOH=0.51、C2DS=0.86、C3DS=0.76、C6DS=0.87。
【0349】
表8は、Ex19~20のNMR特性評価を提供する。
【0350】
【0351】
実施例21、プロピオン酸ピバル酸ナフトエ酸セルロースCPrPvNp(DsPr=1.18、DsPv=0.39、DsNp=1.18)
Ex21は、US20170306054(Ex12、表3)に記載のとおりに調製した。
【0352】
実施例22、プロピオン酸2-エチルヘキサン酸ナフトエ酸セルロースCPr2EHNp(DsPr=1.18、Ds2EH=0.40、DsNp=1.26)
Ex22は、US出願第62/891561号(Ex7、表9)に記載の手順に従って調製した。
【0353】
表9は、Ex21~22のNMR特性評価を提供する。
【0354】
【0355】
フィルムキャスティングおよび延伸
表10は、成分Aを含むまたは含まない一般的フィルム組成物;キャスティング溶液を調製するために使用される溶媒系;延伸される場合にキャストフィルムを延伸するために使用される温度;およびフィルムの伸張比を提供する。伸張比は、「x」または「c」のいずれかで提供される。「x」は、フィルムが、2辺が保持され、他の2辺が自由である状態で、縦方向に沿って延伸されたことを示す。「c」は、フィルムが、4辺すべてが保持されて、縦方向に沿って延伸されたことを示す。例えば、セルロースエステルEx1で作製され、成分A(0~20wt%)を含むまたは含まないキャスティング溶液を、DCM溶液中10%のアセトン中で調製した。
【0356】
フィルム18.1~18.4、フィルム21.1~21.3、およびフィルム22.1~22.3に関しては、対応する樹脂および成分Aは、対応する溶液Aを調製するための対応する溶媒中に溶解された。固形分wt%が12wt%のEastman(商標)CAP482-20(90wt%)およびTPP(10wt%)の1:9EtOH/DCM溶液を調製した。CAP482-20溶液を、45%~50%に制御した相対湿度で、換気フード中にて、ガラス基板上でキャスティングした。フィルムを、カバーパン下で45分間乾燥させて溶媒の蒸発速度を最小限にした後、パンを取り除いた。対応する溶液Aを、Eastman CAP482-20フィルム上でキャスティングした。二層フィルムをカバーパン下で45分間乾燥させて、溶媒の蒸発速度を最小限にした後、パンを取り除き、パンを取り除いた後でさらに15分間乾燥した。次いで、二層フィルムをガラスから剥がし、100℃の強制空気オーブン中で10分間焼きなました。100℃の焼きなましの後、フィルムをより高い温度(120℃)で、さらに10分間焼きなました。二層フィルムを延伸した後、上層を剥がし取り、下層を測定した。
【0357】
表10は、例示的フィルムの対応する溶液の成分および延伸条件を提供する。
フィルム中の成分Aおよび可塑剤のパーセンテージは、以下のとおりに規定する。成分Aまたは可塑剤のパーセンテージ=成分Aまたは可塑剤の重量/(セルロースエステル、成分A、可塑剤および添加する他のすべての成分)の総重量。
【0358】
溶液濃度は、以下のとおりに規定する。溶液濃度=(セルロースエステル、成分A、可塑剤および溶媒を除いて添加する他のすべての成分)の総重量/(セルロースエステル、成分A、可塑剤、添加する他のすべての成分および溶媒)の総重量。
【0359】
例えば、フィルム1.3の場合、樹脂1(8g、95wt%)および成分A(0.421g、5wt%)を1:9アセトン/DCM(75.8g、濃度10wt%)に添加した。樹脂1および成分Aが完全に溶解するまで、混合物をローラー上に置いた。
【0360】
例えば、フィルム25.2の場合、樹脂25(15g、88wt%)、成分A(1.19g、7wt%)および可塑剤Admex523(0.85g、5wt%)を5:95MeOH/DCM(104.7g、濃度14wt%)中に添加した。樹脂1、成分Aおよび可塑剤が完全に溶解するまで、混合物をローラー上に置いた。
【0361】
【0362】
【0363】
表11に示すように、負の複屈折またはリタデーションを有する対応する対照フィルムサンプルと比較して、本発明のフィルムサンプルは、負の複屈折またはリタデーションを有しながら改善された波長分散を示した。例えば、フィルム1.1およびフィルム1.2(対照サンプル)は、1.13~1.15のRe(450nm)/Re(550nm)および0.93~0.94のRe(650nm)/Re(550nm)を有する。フィルム1.3~1.14およびフィルム1.18~1.19は、0.69~1.06のRe(450nm)/Re(550nm)および0.95~1.02のRe(650nm)/Re(550nm)を有する改善された波長分散を有し、フィルム1.3、フィルム1.11およびフィルム1.13は、0.91~0.93のRe(450nm)/Re(550nm)および0.98のRe(650nm)/Re(550nm)を有する。フィルム1.5および1.6は、0.69~0.78のRe(450nm)/Re(550nm)および1.01~1.02のRe(650nm)/Re(550nm)の、さらに調整された波長分散を示した。
【0364】
表11に示すように、本発明のフィルムサンプルは、改善された波長分散を示し、-3.0~3.0のNz係数を有する。具体的には、フィルム1.5、1.7、1.10、1.11、2.6、3.3、3.5、4.5、4.6、4.7、5.4、7.4、8.3、8.4、9.1、9.2、10.1、10.2、12.4、12.5、15.3、16.3、17.7、24.1および25.1は、0.2~0.8のNz係数を有し、これはZフィルムとして使用することができる。本発明のフィルムサンプルは、1.02未満のRe(450nm)/Re(550nm)、0.95以上のRe(650nm)/Re(550nm)、-6.0~-0.5のRe(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものを有し、改善された波長分散を有する。より具体的には、フィルム1.7、2.6、3.3、3.5、4.6、4.7、5.4、7.4、8.3、8.4、9.1、10.1、10.2、12.4、12.5、15.3、16.3、17.7および25.1は、0.3~0.7の改善されたNz係数を有する。さらにより具体的には、フィルム1.7、3.5、8.3、8.4、15.3および25.1は、0.4~0.6のさらに改善されたNz係数を有する。さらにより具体的には、フィルム15.3、16.3および17.7は、0.3~0.7のNz係数を有し、0.90以下のRe(450nm)/Re(550nm)、0.99以上のRe(650nm)/Re(550nm)、-6.0~-0.5のRe(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものを有する、さらに改善された波長分散を有する。
【0365】
フィルム1.3、1.19、2.5、3.4、5.3、6.3、7.5、9.3、10.3、11.1、11.3、11.4、13.4、17.6、18.4、19.4、19.6、20.3は、0.8~1.2のNz係数を有し、これは-Aフィルムとして使用することができる。このフィルムサンプルは、1.05以下のRe(450nm)/Re(550nm)、0.95以上のRe(650nm)/Re(550nm)、-6.0~-0.5のRe(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものを有する改善された波長分散を有する。より具体的には、フィルム1.3、6.3、7.5、11.1および17.6は、0.95以下のRe(450nm)/Re(550nm)、0.97以上のRe(650nm)/Re(550nm)を有する、さらに改善された波長分散を有する。
【0366】
表11はまた、実施例(フィルム21.1~22.3)が、対照サンプルと比較して改善された波長分散を有さないことも示す。
表11は、調製したフィルムの追加のデータを提供する。延伸後のフィルム厚さ、589nmで測定したRe、589nmで測定したRth、Re(450nm)/Re(550nm)、Nz係数、Re/d、Rth/dが提供される。
【0367】
【0368】
【0369】
表12に示すように、可塑剤をフィルム中に取り入れた。表x中のフィルムの場合、0.3~0.7のNz係数が得られる。より具体的には、例示的フィルムのRe(450nm/550nm)値は1.0以下であり、R
e(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものは-6.0~-0.5である。
本発明は以下の実施態様を含む。
[1](1)
(i)複数の芳香族-CO-置換基、
(ii)複数の第1の不飽和または飽和(C
1~6
)アルキル-CO-置換基、および
(iii)複数のヒドロキシル置換基
を含む、位置選択的に置換されたセルロースエステルであって、
ここで:
ヒドロキシルの置換度(「DS
OH
」)が0.2~1.1であり、
セルロースエステルが、0.15~0.8の芳香族-CO-置換基のC2置換度(「C2DS
ArCO
」)を有し、
セルロースエステルが、0.05~0.6の芳香族-CO-置換基のC3置換度(「C3DS
ArCO
」)を有し、
セルロースエステルが、0.05~0.6の芳香族-CO-置換基のC6置換度(「C6DS
ArCO
」)を有し、
芳香族-CO-置換基の全置換度(「全DS
ArCO
」)が0.25~2.0であり、
芳香族-CO-が、
(i)(C
6~20
)アリール-CO-[式中、アリールは、非置換であるか、または1~5つのR
1
によって置換されている];
(ii)ヘテロアリール-CO-[式中、ヘテロアリールは、N、O、またはSから選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員環であり、ヘテロアリールは、非置換であるか、または1~5つのR
1
によって置換されている]
である、位置選択的に置換されたセルロースエステルと;
(2)
【化13】
[式中:
環Aは、(C
6~20
)アリールまたはN、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリールであり;
環Bは、(C
6~20
)アリールまたはN、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリールであり;
環Cは、(C
6~20
)アリールまたはN、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリールであり;
R
1
は、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル;飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20
)アルキル;任意選択により1~5つのアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロによって置換されている(C
6~20
)アリール;N、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリール;または-CH
2
C(O)-R
3
であり、
R
2
は、独立に、水素、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル、または飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20
)アルキルであり;
R
3
は、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20
)アルキル、(C
6~20
)アリール、またはN、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリールであって、ここで、アリールまたはヘテロアリールは、非置換であるか、または1~5つのR
6
によって置換され;
R
4
は、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20
)アルキル、または飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル-CO-(C
1~20
)アルキルであり、ここで、各基は、非置換であるか、または1~3つのヒドロキシル、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルコキシ、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20
)アルコキシ、飽和もしくは不飽和ヒドロキシ(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルコキシ-(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルコキシ-ヒドロキシ(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルコキシ-(C
1~20
)アルキル-CO-(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル-CO、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル-COO、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル-O-CO-(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル-COO-(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルコキシ-(C
1~20
)アルキル-COO-(C
1~20
)アルキル、または(C
1~20
)アルコキシ-(C
1~20
)アルキル-O-CO-(C
1~20
)アルキルによって置換され;
各R
5
は、独立に、ヒドロキシ、シアノ、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルコキシ、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20
)アルコキシ、またはハロであり;
各R
6
は、独立に、ヒドロキシ、シアノ、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルコキシ、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20
)アルコキシ、またはハロまたは(C
6~20
)アリールであり、ここで、アリールは、非置換であるか、または1~5つのR
7
によって置換され;
各R
7
は、独立に、ヒドロキシル、飽和もしくは不飽和(C
1~6
)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~6
)アルキル、または飽和もしくは不飽和(C
1~6
)アルコキシルであり;
R
8
は、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルコキシル、または飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20
)アルコキシルであり;
各R
9
は、R
4
-O-、ヒドロキシル、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル、N、OもしくはSから選択される1~2個のヘテロ原子を含有する飽和もしくは不飽和ヘテロ(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル-CO-(C
1~20
)アルキル-、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル-COO-(C
1~20
)アルキル-、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル-COO-、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル-O-CO-、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル-CO-、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルコキシ-(C
1~20
)アルキル-CO-O-(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルコキシ-(C
1~20
)アルキル-O-CO-(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルコキシ-(C
1~20
)アルキル-COO-(C
1~20
)アルキル、(C
1~20
)アルコキシ-(C
1~20
)アルキル-O-CO-(C
1~20
)アルキル-(C
6~10
)アリール、N、OもしくはSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員ヘテロアリール[ここで、各基は、非置換であるか、または1~3つのヒドロキシル、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルコキシ、または飽和もしくは不飽和ハロ(C
1~20
)アルコキシルによって置換されている]、飽和もしくは不飽和ヒドロキシ(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルコキシ-(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルコキシ-ヒドロキシ(C
1~20
)アルキル、または飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルコキシ-(C
1~20
)アルキル-CO-(C
1~20
)アルキル-、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル-CO、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル-COO、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル-O-CO-(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルキル-COO-(C
1~20
)アルキル、飽和もしくは不飽和(C
1~20
)アルコキシ-(C
1~20
)アルキル-COO-(C
1~20
)アルキル、または(C
1~20
)アルコキシ-(C
1~20
)アルキル-O-CO-(C
1~20
)アルキルであり;
各nは、0、1、2、3、4または5であり;
各mは、0、1、2、3または4であり;
kは、0、1,3または4である]
である、成分Aと;
を含む、フィルムであって、
ここで:
成分Aが、組成物の総重量に対して30wt%未満で存在し、
フィルムの厚さ(「d」)(μm)が10μm~200μmであり、
フィルムが、ゼロ未満のR
e
(589nm)を示し、
R
e
(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものが-10~-0.5であり、
R
th
(589nm)とd(nm)との比に1000を乗じたものが-6.0~6.0であり、
フィルムが、-3.0~3.0の[[-R
th
(589nm)/R
e
(589nm)]+0.5](「N
z
」)を示し、
各R
e
(589nm)が、589nmで測定した面内リタデーションであり、
各R
th
(589nm)が、589nmで測定した面外リタデーションであり、
フィルムが延伸されている
フィルム。
[2]N
z
が0.2~0.8である、[1]に記載のフィルム。
[3]R
e
(589nm)が-120~-320nmであり、R
th
(589nm)が-60~60nmである、[1]または[2]に記載のフィルム。
[4]N
z
が0.8~1.2である、[1]に記載のフィルム。
[5]R
e
(589nm)が-120~-320nmであり、R
th
(589nm)が60~220nmである、[1]または[4]に記載のフィルム。
[6]R
e
(550nm)に対するR
e
(450nm)の比が1.05未満であり、ここで、R
e
(450nm)が、450nmで測定した面内リタデーションであり、R
e
(550nm)が、550nmで測定した面内リタデーションである、[1]~[5]のいずれかに記載のフィルム。
[7]R
e
(550nm)に対するR
e
(450nm)の比が0.75~0.85である、[6]に記載のフィルム。
[8]R
e
(550nm)に対するR
e
(650nm)の比が0.95超であり、ここで、R
e
(650nm)が、650nmで測定した面内リタデーションであり、R
e
(550nm)が、550nmで測定した面内リタデーションである、[1]~[7]のいずれかに記載のフィルム。
[9]R
e
(550nm)に対するR
e
(650nm)の比が1.10~1.2である、[8]に記載のフィルム。
[10]成分Aが、
【化14】
である、[1]~[9]のいずれかに記載のフィルム。
[11]成分Aが、1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオン、アヴォベンゾン、2-ヒドロキシ-4-(オクチルオキシ)フェニル(フェニル)メタノン、(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)(2-ヒドロキシフェニル)メタノン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(ヘキシルオキシ)フェノール、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-[2-ヒドロキシ-3-(ドデシルオキシおよびトリデシルオキシ)プロポキシ]フェノール、イソオクチル2-(4-(4,6-ジ([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-3-ヒドロキシフェノキシ)プロパノエート、6,6’-(6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)ビス(3-ブトキシフェノール)、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(3-((2-エチルヘキシル)オキシ)-2-ヒドロキシプロポキシ)フェノール、7-ジエチルアミノ-4-メチルクマリン、またはこれらの組合せである、[1]~[10]のいずれかに記載のフィルム。
[12]芳香族-CO-が(C
6~20
)アリール-CO-であり、ここで、アリールが非置換であるか、または1~5つのR
1
によって置換されている、[1]~[11]のいずれかに記載のフィルム。
[13]芳香族-CO-が、非置換であるか、または1~5つのR
1
によって置換されている、ベンゾイルまたはナフトイルである、[12]に記載のフィルム。
[14]芳香族-CO-が、非置換であるか、または1~5つのR
1
によって置換されている、ベンゾイルである、[13]に記載のフィルム。
[15]セルロースエステルが、0.40~1.60の全DS
ArCO
を有する、[14]に記載のフィルム。
[16]C2DS
ArCO
とC3DS
ArCO
との合計が0.30~1.25である、[15]に記載のフィルム。
[17]芳香族-CO-が、非置換であるか、または1~5つのR
1
によって置換されているナフトイルである、[13]に記載のフィルム。
[18]セルロースエステルが、0.3~0.8の全DS
ArCO
を有する、[17]に記載のフィルム。
[19]C2DS
ArCO
とC3DS
ArCO
との合計が0.2~0.6である、[18]に記載のフィルム。
[20]セルロースエステルが、複数の第2の(C
1~20
)アルキル-CO-置換基をさらに含む、[1]~[19]のいずれかに記載のフィルム。
【0370】