(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/32 20180101AFI20240422BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20240422BHJP
F24F 11/86 20180101ALI20240422BHJP
【FI】
F24F11/32
F25B49/02 570A
F25B49/02 520Z
F24F11/86
(21)【出願番号】P 2022550280
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(86)【国際出願番号】 JP2020035356
(87)【国際公開番号】W WO2022059154
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊内 啓
(72)【発明者】
【氏名】三浦 賢
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-221623(JP,A)
【文献】特開平05-010607(JP,A)
【文献】特開2003-166740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/32
F25B 49/02
F24F 11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2台以上の室外機と、1台以上の室内機とが、同一の冷媒配管に並列に接続された空気調和機であって、
前記2台以上の室外機の運転能力に基づいて、前記2台以上の室外機の運転優先順位を決定する制御部を備え、
前記制御部は、
前記2台以上の室外機の運転優先順位を、一定時間毎に前記室外機の運転能力が大きい順と、前記室外機の運転能力が小さい順とに変更し、
前記2台以上の室外機のうち故障により停止した室外機が存在する場合、当該室外機の前記運転優先順位を最下位に固定し、
前記運転優先順位を最下位に固定した室外機以外の室外機に異常を検出した場合、当該異常を検出した室外機の運転優先順位を前記最下位の1つ優先度が高い順位にする
、
空気調和機。
【請求項2】
2台以上の室外機と、1台以上の室内機とが、同一の冷媒配管に並列に接続された空気調和機であって、
前記2台以上の室外機の運転能力に基づいて、前記2台以上の室外機の運転優先順位を決定する制御部を備え、
前記制御部は、
前記2台以上の室外機の運転優先順位を、一定時間毎に前記室外機の運転能力が大きい順と、前記室外機の運転能力が小さい順とに変更し、
前記室外機から異常を検出して停止した室外機の運転優先順位を最下位とし、
前記異常を検出して停止した前記室外機以外の室外機が故障により停止した場合、前記故障により停止した室外機の前記運転優先順位を最下位に固定すると共に、前記異常を検出して停止した室外機の運転優先順位を最下位から1つ繰り上げる
、
空気調和機。
【請求項3】
前記室外機は、圧縮機を含み、
前記制御部は、前記圧縮機の油不足を検出した場合、当該圧縮機を含む室外機の異常を検出する、
請求項
1に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記室外機は、圧縮機を含み、
前記制御部は、前記冷媒配管を介して流れる冷媒の冷媒不足を検出した場合、前記圧縮機の冷媒が所定値以下である前記室外機を検出した場合、当該検出した室外機の異常を検出する、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記制御部は、前記故障して停止した前記運転優先順位が最下位の前記室外機、及び前記異常を検出して停止した前記最下位より1つ優先度が高い前記室外機を除いて前記運転優先順位を決定する、
請求項
1に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
複数台の室外機を同一の冷媒系統へ並列に接続するタイプの空気調和機において、各室外機の運転積算時間を均一化させるために室外機単位でのローテーション制御を行う技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-249529号公報
【文献】特開2003-166740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、既述の技術では、複数の室外機のうち1台が故障した場合、故障直後は複数台あるうちの正常な室外機が継続運転することで、運転の継続は可能である。ところが、この継続運転では、能力不足となり、空調性を損なう事態が生じていた。さらに、空気調和機の全室外機が停止した後、再度、空気調和機が運転を開始する際に、故障した室外機の運転優先順位が上位にある場合、能力不足となるだけでなく、運転開始ができなくなる場合もあった。また、異常停止や異常を検出した室外機の運転優先順位が上位にあった場合、不調である室外機が運転中に頻繁に停止し、又は、能力不足となり、空調性を損なうことがあり、このような場合には、使用者に不快感を与えていた。
実施形態は、複数の室外機のうちに室外機の故障が生じても空調性を維持できる空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によると、2台以上の室外機と、1台以上の室内機とが、同一の冷媒配管に並列に接続された空気調和機は、前記2台以上の室外機の運転能力に基づいて、前記2台以上の室外機の運転優先順位を決定する制御部を備える。前記制御部は、前記2台以上の室外機の運転優先順位を、一定時間毎に前記室外機の運転能力が大きい順と、前記室外機の運転能力が小さい順とに変更する。また、前記制御部は、前記2台以上の室外機のうち故障により停止した室外機が存在する場合、当該室外機の前記運転優先順位を最下位に固定する。さらに、前記制御部は、前記運転優先順位を最下位に固定した室外機以外の室外機に異常を検出した場合、当該異常を検出した室外機の運転優先順位を前記最下位の1つ優先度が高い順位にする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、空気調和機の全体構成の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、制御の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
(第1実施形態)
以下、第1の実施形態における空気調和機について図面を参照して説明する。
図1は、空気調和機1の全体構成の一例を示す模式図である。なお、
図1においては、一例として、空気調和機1が4台の室外機、及び5台の室内機を有する場合で説明するが、室外機の台数、及び室内機の台数は、この台数に限定されるものではない。
【0008】
図1に示すように、空気調和機1は、並列に配置された室外機4台として、室外機2、室外機3、室外機4、及び室外機5を有している。また、空気調和機1は、並列に配置された室内機5台として、室内機6、室内機7、室内機8、室内機9、及び室内機Aを有している。室外機2、室外機3、室外機4、及び室外機5と、室内機6、室内機7、室内機8、室内機9、及び室内機Aとは、電気配線100、及び冷媒配管200を介して接続されている。
【0009】
室外機2、室外機3、室外機4、及び室外機5は、それぞれ、主たる要素として、図示を省略するが、油の量を検出するセンサを備える圧縮機、逆止弁、オイルセパレータ、四方弁、熱交換器、膨張弁、リキッドタンク、室外ユニットファン、アキュムレータ、開閉弁、及び冷媒配管200へ流れる冷媒の流量を検出するセンサを備えている。
【0010】
室外機2、室外機3、室外機4、及び室外機5は、それぞれ、制御装置21、制御装置31、制御装置41、及び制御装置51を有している。各制御装置21、制御装置31、制御装置41、及び制御装置51は、それぞれ、CPU、メモリ、記憶装置(不揮発メモリ)、入出力回路、タイマなどを含み、所定の演算処理を実行する。また、電気配線100を介して制御装置21、制御装置31、制御装置41、及び制御装置51が通信可能に構成され、相互に情報を送受信可能になっている。なお、各室外機2~5の圧縮機が備えるセンサ、及び、冷媒の流量を検出するセンサが検出する検出値は、それぞれの制御装置21、制御装置31、制御装置41、及び制御装置51に出力される。
【0011】
また、室外機2が有する制御装置21は、他の室外機3、室外機4、及び室外機5の制御装置31、制御装置41、及び制御装置51からそれぞれ受信する通信情報に基づいて、運転積算時間の算出、各室外機2~室外機5の運転能力の算出、及び後述する運転優先順位の変更等の空気調和機1の統括的な制御を実行する。なお、本実施形態では、制御装置21が統括的な役割を果たす制御装置であるが、この統括的な役割は、制御装置31、制御装置41、又は制御装置51であってもよい。また、所定のタイミングで統括的な役割を果たす制御装置が、制御装置21、制御装置31、制御装置41、及び制御装置51の間で入れ代わってもよい。さらに、制御装置21、制御装置31、制御装置41、及び制御装置51のうちの複数の制御装置で既述の統括的な役割を果たすようにしてもよい。
【0012】
室内機6、室内機7、室内機8、室内機9、及び室内機Aは、それぞれ、建屋、ビル内に設置され、設置された空間の空気の温度を調整する。
【0013】
室内機6、室内機7、室内機8、室内機9、及び室内機Aは、それぞれ、制御装置61、制御装置71、制御装置81、制御装置91、及び制御装置A1を有している。制御装置61、制御装置71、制御装置81、制御装置91、及び制御装置A1は、電気配線100を介して室外機の制御装置、特に統括的な役割を果たす制御装置21と通信を行う。
【0014】
上記のように構成される空気調和機1において、制御装置21は、室内機6~9,Aが設置された室内の空気を調和するために室外機2、室外機3、室外機4、及び室外機5のうちから稼働する室外機を運転優先順位に基づいて選択し、動作させる。
図2は、空気調和機1の制御装置21が実行する制御の一例を示すフローチャートである。本実施形態では、制御装置21内のメモリに格納されるプログラムをCPUが実行することにより、以下の処理を実現することとするが、制御装置21内に回路を設け、当該回路により以下の処理を実現するようにしてもよい。
【0015】
図2に示すように、制御装置21は、所定のタイミングで空気調和機1の運転を開始する(ST101)。例えば、所定の時刻になったタイミングや運転開始の指示に基づいて、空気調和機1の運転が開始される。
【0016】
次に、制御装置21は、各室外機(室外機2から室外機5)の運転優先順位を運転能力の大きい順に設定する(ST102)。例えば、室外機2~5の運転能力が、室外機2>室外機3>室外機4>室外機5である場合には、運転優先順位が、室外機2は優先順位P1、室外機3は優先順位P2、室外機4は優先順位P3、室外機5は優先順位P4になる。本実施形態では、優先順位の優先度は、P1>P2>P3>P4であり、優先順位P1が最も優先度が高く、優先順位P4が最も優先度が低い。
【0017】
次に、制御装置21は、室外機2から室外機5の中で故障して停止している室外機があるか否かを判定する(ST103)。故障して停止している室外機は、運転動作が不能になり、停止している室外機である。故障して停止している室外機があると判定した場合(ST103:YES)、制御装置21は、全室外機2から室外機5が全て故障停止しているか否かを判定する(ST104)。全室外機2から室外機5が全て故障停止していると判定した場合(ST104:YES)、制御装置21は、運転をストップし(ST117)し、運転を終了する。
【0018】
また、全室外機2から室外機5が全て故障停止していないと判定した場合(ST104:NO)、制御装置21は、既に故障して停止している室外機があるか否かを判定する(ST105)。既に故障して停止している室外機があると判定した場合(ST105:YES)、制御装置21は、故障停止した室外機の運転優先順位を最下位に準ずる下位に固定する(ST106)。例えば、今回、室外機3が故障停止したと判定された際に、既に室外機4が故障停止している場合は、室外機4が優先順位P4に固定されているため、室外機3の優先順位は、最下位のP4に準ずる(言い換えれば、最下位より1つ優先度が高い)P3に固定される。
【0019】
既に故障停止している室外機がないと判定した場合(ST105:NO)、制御装置21は、故障停止した室外機の運転優先順位を最下位に固定する(ST107)。例えば、今回、室外機3が故障停止したと判定された際に、既に故障停止している室外機が存在しない場合は、室外機3の優先順位は、最下位の優先順位P4に固定される。
【0020】
ステップST106の処理、又はステップST107の処理の後、制御装置21は、異常検出した室外機があるか否かを判定する(ST108)。室外機の異常は、例えば、圧縮機の油分が不足、又は冷媒配管200に流れる冷媒の不足を検出した場合であり、運転は可能であるが、要求されるパフォーマンスを発揮できない可能性がある状態である。これらは、電気配線100を介して制御装置21が他の制御装置31~51から受信する情報に基づいて検出することが可能である。異常検出した室外機があると判定した場合(ST108:YES)、制御装置21は、異常検出した室外機の運転優先順位を最下位に準ずる下位に変更する(ST109)。例えば、既に室外機3が故障停止しており、室外機3が優先順位P4に固定されている場合、今回、室外機5に異常が検出された場合、室外機5の運転優先順位が優先順位P3に変更される。
【0021】
ステップST109の処理が終了し、又はステップST108において異常検出した室外機がないと判定した場合(ST108:NO)、制御装置21は、運転優先順位が低下した室外機が上位であった場合、下位の室外機の運転優先順位を1つ繰り上げる(ST112)。例えば、運転優先順位の設定が、室外機2は優先順位P1、室外機3は優先順位P2、室外機4は優先順位P3、室外機5は優先順位P4である場合、室外機3が故障停止した場合、室外機3の運転優先順位を優先順位P4に固定し、運転優先順位が室外機3より下位であった室外機4、及び室外機5の運転優先順位をそれぞれ優先順位P2、及びP3に1つずつ繰り上げる。また、運転優先順位が室外機3より上位であった室外機2の運転優先順位は、優先順位P1から変更せずに優先順位P1のままである。
【0022】
一方、故障停止した室外機がないと判定した場合(ST103:NO)、制御装置21は、異常検出した室外機があるか否かを判定する(ST110)。異常を検出した室外機は、既述のように、圧縮機の油分が不足、冷媒配管200に流れる冷媒の不足を検出した場合のように、運転停止信号を受信した場合、サーモオフ等の正常停止以外の原因に起因して停止した室外機である。異常検出した室外機があると判定した場合(ST110:YES)、制御装置21は、異常検出した室外機の運転優先順位を最下位に準ずる下位に変更する(ST111)。例えば、今回、室外機3が異常検出したと判定された際に、既に故障停止している室外機が存在しない場合は、室外機3の優先順位は、最下位の優先順位P4に固定され、既に故障停止している室外機が1つ存在する場合は、最下位に準ずる優先順位P3に変更される。
【0023】
このようにステップST112の処理が終了し、又は、ステップST110の処理で異常検出した室外機がないと判定した場合(ST110:NO)、制御装置21は、積算運転時間がT時間を経過したか否かを判定する(ST113)。ここで、T時間は、予め規定された規定時間であり、一例をあげれば、T時間は30時間と規定される。積算運転時間がT時間を経過したと判定した場合(ST113:YES)、制御装置21は、故障停止、又は異常を検出している室外機を除き、運転優先順位(運転能力の大きい順と小さい順)を逆転する(ST114)。例えば、故障停止している室外機、及び異常停止した室外機が無い場合において、室外機2は優先順位P1、室外機3は優先順位P2、室外機4は優先順位P3、室外機5は優先順位P4である場合、室外機2は優先順位P4、室外機3は優先順位P3、室外機4は優先順位P2、室外機5は優先順位P1に運転優先順位が変更される。また、室外機5が故障停止している場合においては、室外機5が優先順位P4に固定されているため運転優先順位の変更から除外され、室外機2は優先順位P1、室外機3は優先順位P2、室外機4は優先順位P3である場合、室外機2は優先順位P3、室外機3は優先順位P2、室外機4は優先順位P1に変更される。なお、制御装置21により積算運転時間がT時間を経過していないと判定された場合(ST113:NO)、処理は、ステップST103の処理へ戻る。
【0024】
ステップST114の処理を終了した後、制御装置21は、積算運転時間をリセットする(ST115)。そして、制御装置21は、運転停止信号を受信したか否かを判定する(ST116)。運転停止信号は、所定の時刻になったタイミングや運転停止の指示に基づいて、制御装置21に送信される。運転停止信号を受信したと判定した場合(ST116:YES)、制御装置21は、空気調和機1の運転をストップし(ST117)、運転を終了する。一方、制御装置21により運転停止信号を受信していないと判定された場合(ST116:NO)、処理は、ステップST103の処理へ戻る。
【0025】
以上のように、制御装置21が、故障停止した室外機を除いて、又は故障停止した室外機、及び異常を検出した室外機を除いて、積算運転時間がT時間(つまり、一定期間)を経過する毎に、室外機の能力に応じた運転優先順位を逆転することにより、室外機2~5の運転時間を均一化することができる。また、制御装置21が故障停止した室外機の運転優先順位を最下位に固定することにより、空気調和機1は、その他の室外機により使用者の要求に応じた通常運転を行うことができるため、使用者に不便を与えることなく空調を行うことができる。さらに、制御装置21は、異常検出した室外機を最下位、又は、最下位より1つ高い順位にすることにより、異常検出した室外機の運転頻度を低下させる。これにより、空気調和機1は、異常検出した室外機が停止する事態の発生を抑止し、使用者に不便を与えることがなく、空調を行うことができる。
【0026】
(第2実施形態)
本実施形態は、空気調和機1に含まれる室外機の運転優先順位の設定を変更するように構成された点が上記第1実施形態と異なっている。したがって、運転優先順位の設定を変更する処理について詳細に説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、これらについては詳細な説明は省略する。
【0027】
図3は、空気調和機1の制御装置21が実行する制御の一例を示すフローチャートである。
図3に示すように、制御装置21は、所定のタイミングで空気調和機1の運転を開始する(ST201)。例えば、所定の時刻になったタイミングや運転開始の指示に基づいて、空気調和機1の運転が開始されるのは、上記ステップST101の処理と同様である。
【0028】
次に、制御装置21は、各室外機(室外機2から室外機5)の運転優先順位を設定する(ST202)。例えば、制御装置21は、室外機2の優先順位をP1、室外機3の優先順位をP2、室外機4の優先順位をP3、室外機5の優先順位をP4と設定する。
【0029】
次に、制御装置21は、ステップST203からステップST213の処理を実行する。このステップST203からステップST213の処理は、既述のステップST103からステップST113の処理とそれぞれ同様の処理である(参照:
図2)。このため、ステップST203かステップST213の処理の説明は省略する。
【0030】
ステップST213において、積算運転時間がT時間を経過したと判定した場合(ST213:YES)、制御装置21は、運転優先順位が最上位の室外機の運転優先順位を故障又は異常検出していない室外機の中で最下位に変更する(ST214)。ステップST214の処理を終えると、制御装置21は、故障又は異常検出していない室外機の中で運転優先順位が最上位以外だった室外機の運転優先順位を1つ繰り上げる(ST115)。
【0031】
例えば、室外機3が故障停止しており、運転優先順位の設定が室外機2は優先順位P1、室外機3は優先順位P4、室外機4は優先順位P2、室外機5は優先順位P3である場合、運転優先順位が最上位である室外機2の運転優先順位が故障停止していない室外機の中で最下位の優先順位P3になる。また、室外機4は優先順位P2から優先順位P1になり、室外機5は優先順位P3から優先順位P2になり、優先順位がそれぞれ1つ繰り上がる。このように室外機3の優先順位P4を除いて、室外機2,4,5で優先順位が変更される。
【0032】
次に、制御装置21が、積算運転時間をリセットし(ST216)、運転停止信号受信したか否かを判定し(ST217)、運転停止信号を受信した場合(ST217:YES)、空気調和機1の運転をストップして(ST218)、処理を終了し、運転低信号を受信していないと判定した場合、ステップST203の処理へ戻るのは、上記第1実施形態と同様である。
【0033】
以上のように、制御装置21が、故障停止した室外機を除いて、又は故障停止した室外機、及び異常を検出した室外機を除いて、運転優先順位を変更することにより、空気調和機1は、他の室外機が通常通りの運転を行うことができ、使用者に不便を与えることなく、空調を行うことができる。
【0034】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
1…空気調和機、2~5…室外機、6~9,A…室内機、21~51…制御装置、61~91,A1…制御装置、100…電気配線、200…冷媒配管、P1~P4…優先順位