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特許7476336縮合反応によって架橋可能なポリマーを生産するための調製物、縮合反応によって架橋可能なポリマー組成物、シリコーンエラストマーを生産するためのプロセス、およびシリコーンエラストマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】縮合反応によって架橋可能なポリマーを生産するための調製物、縮合反応によって架橋可能なポリマー組成物、シリコーンエラストマーを生産するためのプロセス、およびシリコーンエラストマー
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/06 20060101AFI20240422BHJP
   C08K 5/544 20060101ALI20240422BHJP
   C08K 5/5415 20060101ALI20240422BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240422BHJP
   C08G 77/26 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
C08L83/06
C08K5/544
C08K5/5415
C08K3/013
C08G77/26
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022554559
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2021053898
(87)【国際公開番号】W WO2021180438
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-09-07
(31)【優先権主張番号】102020202971.7
(32)【優先日】2020-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522356706
【氏名又は名称】ヘヒトル,ヴォルフガング
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘヒトル,ヴォルフガング
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03280072(US,A)
【文献】信越化学工業株式会社,シリコーンオイル KF-96 性能試験結果,2020年03月,p. 1-13
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00 -101/14
C08K 3/00 - 13/08
C08G 77/00 - 77/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縮合反応によって架橋可能なポリマーを含む、縮合反応によって架橋可能なポリマー組成物であって、前記縮合反応によって架橋可能なポリマーは、
- 少なくとも1つのアミノプロピルトリエトキシシランと、
- 2つの末端ヒドロキシル基を有し、次の式(1)によって表される少なくとも1つのポリジアルキルシロキサンと:
HO-[-SiR -O-] -OH 式(1)
を含む調製物によって得られ、
式(1)において、R およびR は同じかまたは異なり得、1から8つの炭素原子を有するアルキル基からなる群から選択され、xは30から2500の整数であって、前記ポリジアルキルシロキサン対前記アミノプロピルトリエトキシシランの質量比が20:1から50:1であり、
前記ポリマー組成物はさらに、
少なくとも1つのエトキシ官能性の架橋剤、および少なくとも別のアミノプロピルトリエトキシシランと、
親水性の高分散シリカを含む少なくとも1つのフィラーと、
少なくとも1つの架橋触媒と、を含む、縮合反応によって架橋可能なポリマー組成物。
【請求項2】
前記エトキシ官能性の架橋剤が、少なくとも1つのエトキシ官能性のケイ素含有架橋剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記エトキシ官能性の架橋剤が、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ケイ酸テトラエチル、ケイ酸テトラエチルの部分加水分解物、および1,2-ビス-(トリエトキシシリル)エタンから選択される、請求項に記載の組成物。
【請求項4】
記架橋触媒がビス(2-エチルヘキサン酸)亜鉛である、請求項に記載の組成物。
【請求項5】
前記アミノプロピルトリエトキシシランは、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、シクロヘキシルアミノプロピルトリエトキシシランおよびN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシランから選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリジアルキルシロキサン対前記アミノプロピルトリエトキシシランの質量比が31:1から36:1である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
さらに少なくとも1つのシリコーン可塑剤を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記シリコーン可塑剤が、1993年のISO3219に従って測定される23℃における35から1000mPa・sの粘度を有するトリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンからなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
シリコーンエラストマーを生産するための方法であって:
- 縮合反応によって架橋可能なポリマーを生産するための調製物を:
・ 少なくとも1つのアミノプロピルトリエトキシシランと、
・ 2つの末端ヒドロキシル基を有し、次の式(1)を有する少なくとも1つのポリジアルキルシロキサンとの混合によって生産し:
HO-[-SiR-O-]-OH 式(1)
式(1)において、R1およびR2は同じかまたは異なり得、1から8つの炭素原子を有するアルキル基からなる群から選択され、xは30から2500の整数であるステップと;
- 前記調製物を湿気の排除下において室温で少なくとも9日から12週の期間に渡って貯蔵するステップと;
- 少なくとも1つのエトキシ官能性の架橋剤と、少なくとも別のアミノプロピルトリエトキシシランと、親水性の高分散シリカを含む少なくとも1つのフィラーと、少なくとも1つの架橋触媒とを前記貯蔵された調製物に追加して、請求項1に記載のポリマー組成物を得るステップと;
- 湿気の影響下において、ミン官能化ポリジアルキルシロキサン、前記アミノプロピルトリエトキシシラン、および前記エトキシ官能性の架橋剤の縮合によって、前記ポリマー組成物を反応させるステップと、
を含む、シリコーンエラストマーを生産するための方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのエトキシ官能性の架橋剤が、少なくとも1つのエトキシ官能性のケイ素含有架橋剤である、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縮合反応によって架橋可能なポリマーを生産するための調製物、縮合反応によって架橋可能なポリマー組成物、シリコーンエラストマーを生産するためのプロセス、およびプロセスによって生産されるシリコーンエラストマーに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーンエラストマーは優良なソフト弾性特性を特徴とする。ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンをエトキシシランと低温架橋することによってシリコーンエラストマーを調製する試みがなされており、雰囲気中の湿気に対する暴露によって加硫がされる。しかしながら、雰囲気中の湿気を排除するときでさえも、剛性化または硬化さえも防止され得ないということが示されている。それゆえに、雰囲気中の湿気の排除下において貯蔵され得るポリマー組成物の生産は先には可能ではなかった。特許文献1からは、末端ヒドロキシル基を含むポリジメチルシロキサンが第4の置換基として窒素複素環を含有するトリエトキシシランと反応させられるシリコーンエラストマーを生産するためのプロセスが公知である。しかしながら、その特定のトリエトキシシランの生産は複素環の組み込みを原因として労力がかかり、かつコスト高である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第102007037197号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来技術から出発して、縮合反応によって架橋可能なポリマーを生産するための調製物を提供することが本発明の目的であり、これは湿気の排除下において貯蔵安定性である。さらにその上、縮合反応によって架橋可能なポリマー組成物を提供することが本発明の目的であり、これは湿気に暴露されるときに加硫しながらエタノールを放出し、これは優良な機械的および物理的特性を有するシリコーンエラストマーを生産するために用いられる。さらにその上、シリコーンエラストマーを生産するための容易なかつ安価な方法と、方法によって生産されるシリコーンエラストマーとを提供することが本発明の目的であり、シリコーンエラストマーは優良な機械的および物理的特性を特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は独立クレームの特徴を特徴とする。有利なさらなる実施形態は下位クレームで規定される。
【0006】
それゆえに、第1の態様に従うと、本発明は縮合反応によって架橋可能なポリマーを生産するための調製物に関する。調製物は、少なくとも1つのアミノプロピルトリエトキシシランと、
2つの末端ヒドロキシル基を有する少なくとも1つのポリジアルキルシロキサンとを含有する。ポリジアルキルシロキサンは次の式(1)を有する:
HO-[-SiR-O-]-OH 式(1)
式(1)において、RおよびRは同じかまたは異なり得、1から8つの炭素原子を有するアルキル基からなる群から選択され、xは30から2500の整数である。ポリジアルキルシロキサンは、好ましくは、1993年のISO3219に従って測定される23℃における20,000から350,000mPa・sの粘度を有し、これはアミノプロピルトリエトキシシランの組み込みを促進し、その結果、均質な調製物が得られ得る。さらに有利には、ポリジアルキルシロキサンはポリジメチルシロキサンである。
【0007】
調製物は、単純に上の成分を混合することによって得られ得、湿気の排除下において時間の長い期間に渡って変化、分解、または反応することなしに貯蔵され得る。それゆえに、調製物は容易に調製され得、縮合反応によって架橋され得るポリマーを生産するために用いられ得る。この文脈において、調製物は他の成分を含有し得るが、ただし、それらは本発明に必須のそれぞれの成分の時期尚早な反応を開始または促進しない。
【0008】
縮合重合反応の高い利用性および反応性ゆえに、アミノプロピルトリエトキシシランは3-アミノプロピルトリエトキシシラン、シクロヘキシルアミノプロピルトリエトキシシランおよびN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシランから選択される。
【0009】
高い反応ポテンシャルを有する安定性の調製物を得るために、前記ポリジアルキルシロキサン対前記アミノプロピルトリエトキシシランの質量比は好ましくは20:1から50:1であり、約31:1から36:1の質量比が特に有利である。
【0010】
生産されるべきシリコーンエラストマーの弾性特性を改善するために、前記調製物は好ましくは少なくとも1つのシリコーン可塑剤を含有し、前記シリコーン可塑剤は、とりわけ、1993年のISO3219に従って測定される23℃における35から1000mPa・sの粘度を有するトリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンからなる群から選択される。
【0011】
本発明の別の態様においては、縮合反応によって架橋可能なポリマー組成物もまた記載される。この点で、本発明に従うポリマー組成物は、上に記載されている本発明に従う貯蔵安定性の調製物を含有する。加えて、ポリマー組成物は、調製物に含有されるポリジアルキルシロキサンを架橋するための少なくとも1つのエトキシ官能性の架橋剤を含有し、架橋剤は、とりわけ、シリコーン特性をさらに改善するための少なくとも1つのエトキシ官能性のケイ素含有架橋剤である。さらにその上、ポリマー組成物は少なくとも別のアミノプロピルトリエトキシシランを含有し、これは調製物に含有されるアミノプロピルトリエトキシシランと同じかまたは異なり得る。ポリマー組成物は湿気の非存在下において安定性であり続けるが、湿気(湿気、または水の追加)に対する暴露によって反応してシリコーンエラストマーを形成し得、少なくともアミノプロピルトリエトキシシランは調製物のポリジアルキルシロキサンおよびエトキシ官能性の架橋剤と反応して、縮合反応によってシリコーンエラストマーを形成する。ポリマー組成物から形成されるシリコーンエラストマーはソフト弾性特性ならびに良好な機械的および物理的特性を特徴とする。同時に、ポリマー組成物は他の加工成分、例えば着色料、重合阻害剤、フィラー、顔料、または香料を含有し得る。
【0012】
優良な架橋特性ゆえに、前記エトキシ官能性の架橋剤は、好ましくは、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ケイ酸テトラエチル、ケイ酸テトラエチルの部分加水分解物、および1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタンからなる群から選択される。
【0013】
シリコーンエラストマーの機械的および物理的特性を適合させるために、ポリマー組成物は好ましくはさらに少なくとも1つのフィラーを含み得る。加えて、重合反応を促進するために、少なくとも1つの架橋触媒が代替的にまたは加えて提供され得る。
【0014】
好適なフィラーは、とりわけ、石英または石英粉、チョーク、珪藻土、ケイ酸カルシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、フュームド、高分散シリカ、沈降シリカ、およびカーボンブラックを包含する。
【0015】
好適な架橋触媒は、チタン化合物、ジルコニウム化合物、亜鉛化合物、アルミニウム化合物、またはスズ化合物を包含する。
【0016】
それはASTMのD624-00(2012)に従う引裂伝播抵抗などのシリコーンエラストマーの機械的強度を増大させるので、高分散シリカは特に好適なフィラーであるということが示されている。それは高反応性、難なく商業的に入手可能であり、一般的に用いられるスズ触媒とは違って見かけ上は毒性学的に安全であるので、架橋触媒としては、ビス(2-エチルヘキサン酸)亜鉛が好適であることが示されている。
【0017】
本発明の別の態様においては、シリコーンエラストマーを生産するためのプロセスが記載される。ここで、方法は、第1に、縮合反応によって架橋可能なポリマーを生産するための調製物を生産するステップを含む。この点で、調製物は上で開示されている調製物として形成され得、混合によって調製され得る。それゆえに、調製物は、少なくとも1つのアミノプロピルトリエトキシシランと、次の式(1)を有する2つの末端ヒドロキシル基を有する少なくとも1つのポリジアルキルシロキサンとを含有し:
HO-[-SiR-O-]-OH 式(1)
式(1)において、RおよびRは同じかまたは異なり得、1から8つの炭素原子を有するアルキル基からなる群からなる群から選択され、xは30から2500の整数である。このやり方で得られる調製物は湿気の排除下において貯蔵安定性であり、次段のプロセスステップにおいては、さらなる加工の前に少なくとも9日から12週の期間に渡って室温で湿気の排除下において貯蔵されることが要求される。具体的には、約2週の貯蔵期間が有利であり、9日未満の貯蔵期間は十分ではない。理論によって拘束されることなしに、貯蔵の理由は、おそらくは、ポリジアルキルシロキサンのヒドロキシル末端基とのアミノプロピルトリエトキシシランの反応が非常にゆっくり進み、よって、大規模な変換度を待つことが有利であるということである。ポリマー組成物を生産するための調製物の時期尚早な使用は剛性化または硬化さえももたらし、その結果、それを防湿容器に移すことは可能ではないであろう。おそらくは、ペースト状のコンシステンシーについて、湿気の排除下において安定性である望ましいポリマー組成物を得るためには、ヒドロキシル末端基を大きく取り除くことが必要である。
【0018】
別のプロセスステップにおいては、少なくとも1つのエトキシ官能性の架橋剤が前記貯蔵された調製物に追加され、この架橋剤は具体的には少なくとも1つのエトキシ官能性のケイ素含有架橋剤であり、とりわけ、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ケイ酸テトラエチル、ケイ酸テトラエチルの部分加水分解物、および1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタンからなる群から選択される。さらにその上、少なくとも別のアミノプロピルトリエトキシシランが前記貯蔵された調製物に追加され、アミノプロピルトリエトキシシランは調製物に含有されるアミノプロピルトリエトキシシランと同じかまたは異なり得る。この混合物は、縮合反応として行われる爾後の重合反応のための反応混合物を提供する。
【0019】
それゆえに、別のプロセスステップにおいては、前記反応混合物は湿気の影響下において前記アミン官能化ポリジアルキルシロキサン、前記アミノプロピルトリエトキシシラン、および前記エトキシ官能性の架橋剤の縮合によって反応させられる。具体的には、湿気は雰囲気中の湿気によって導入され得、とりわけ均一な重合反応を促進する。代替的には、所定量の水もまた追加され得る。
【0020】
プロセスは、優良なソフト弾性、物理的および機械的特性を有するシリコーンエラストマーの生産を、容易なかつコストエフェクティブな様式で可能化する。本発明に従うプロセスは多大な産業的な労力なしに実装され得る。
【0021】
反応速度を促進するために、プロセスは、さらに、前記貯蔵された調製物に少なくとも1つの架橋触媒を追加するステップを含み得る。
【0022】
上で開示される通り本発明に従う調製物、ポリマー調製物、および本発明に従うプロセスについて規定される利点、有利な効果、およびさらなる実施形態は、それぞれが相互適用を見出す。
【0023】
本発明の別の態様として、本発明に従うプロセスによって生産され得るシリコーンエラストマーもまた記載される。それは、少なくともポリジアルキルシロキサン、アミノプロピルトリエトキシシラン、およびエトキシ官能性の架橋剤が縮合によって互いに結合され、エトキシ官能性の架橋剤は、とりわけ、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ケイ酸テトラエチル、ケイ酸テトラエチルの部分加水分解物、および1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタンからなる群から選択されるということを特徴とする。これは、シリコーンエラストマーのソフト弾性構造を作り出すことと、優良な物理的および機械的特性、例えば低いショアA硬度とをもたらす。
【0024】
シリコーンネットワークはポリジアルキルシロキサンのヒドロキシル末端基および架橋剤のエトキシ基を反応させることによって形成され、ヒドロキシル末端基は湿気暴露によって形成される。ポリマーはその自由運動性を失い、それゆえにポリマー組成物の流動性を失う(loose)。80,000mPa・sの粘度を有するジアルキルポリシロキサンは平均で約1000ジメチルシロキサン単位を含む。非架橋および架橋状態両方において、ポリマー鎖は伸張されず、無秩序であり、絡合している。互いとのポリマー鎖の相互作用は非常に低い。ネットワークは小さい力のみを適用するときでさえも変形させられ得、力が解除されるときには、元々の無秩序な状態が復元される。それゆえに、流動性のまたは軟質ペーストポリマー組成物はソフト弾性エラストマーに変換される。
【実施例
【0025】
本発明は例を参照しながらより詳細に説明されるが、それらに限定されない。
【0026】
例1-縮合反応によって架橋可能なポリマーを生産するための第1の調製物の生産
次の成分がスクリューキャップベッセルに秤量され、細いスパチュラを用いて混ぜ合わせられ、室温(22℃)で2週に渡って湿気の排除下において貯蔵された:
- 1993年のISO3219に従って23℃で測定される約80,000mPa・sの粘度を有する141.7gのヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(73.15質量%)(IUPAC:PDMSヒドロキシ末端、CAS:70131-67-8)
- 1993年のISO3219に従って23℃で測定される約100mPa・sの粘度を有する47.7gのシリコーン可塑剤(24.63質量%)(IUPAC:PDMSメチル末端、CAS:63148-62-9
- 4.3gのアミノプロピルトリエトキシシラン(2.22質量%)(IUPAC:3-アミノプロピルトリエトキシシラン、CAS:919-30-2)。
【0027】
例2-縮合反応によって架橋可能なポリマーを生産するための第2の調製物の生産
次の成分がスクリューキャップベッセルに秤量され、細いスパチュラを用いて混ぜ合わせられ、湿気の排除下において2週に渡って室温(22℃)で貯蔵された:
- 1993年のISO3219に従って23℃で測定される約80,000mPa・sの粘度を有する241.1gのヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(72.99質量%)(IUPAC:PDMSヒドロキシ末端、CAS:70131-67-8)
- 1993年のISO3219に従って23℃で測定される約100mPa・sの粘度を有する81.6gのシリコーン可塑剤(24.40質量%)(IUPAC:PDMSメチル末端、CAS:63148-62-9)
- 7.6gの2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン(2.30質量%)(IUPAC:2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、CAS:5089-72-5)。
【0028】
例3-縮合反応によって架橋可能なポリマーを生産するための第3の調製物の生産
次の成分がスクリューキャップベッセルに秤量され、細いスパチュラを用いて混ぜ合わせられ、湿気の排除下において2週に渡って室温(22℃)で貯蔵された:
- 1993年のISO3219に従って23℃で測定される約80000mPa・sの粘度を有する329.1gのヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(73.20質量%)(IUPAC:PDMSヒドロキシ末端、CAS:70131-67-8)
- 1993年のISO3219に従って23℃で測定される約100mPa・sの粘度を有する110.5gのシリコーン可塑剤(24.58質量%)(IUPAC:PDMSメチル末端、CAS:63148-62-9)
- 10.0gのアミノプロピルトリエトキシシラン(2.22質量%)(IUPAC:3-アミノプロピルトリエトキシシラン、CAS:919-30-2)。
【0029】
例4-縮合反応によって架橋可能なポリマーを生産するための第4の調製物の生産
次の成分がスクリューキャップベッセルに秤量され、細いスパチュラを用いて混ぜ合わせられ、湿気の排除下において2週に渡って室温(22℃)で貯蔵された:
- 1993年のISO3219に従って23℃で測定される約80000mPa・sの粘度を有する176.5gのヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(73.51質量%)(IUPAC:PDMSヒドロキシ末端、CAS:70131-67-8)
- 1993年のISO3219に従って23℃で測定される約100mPa・sの粘度を有する59.2gのシリコーン可塑剤(24.66質量%)(IUPAC:PDMSメチル末端、CAS:63148-62-9)
- 4.4gの2-アミノプロピルトリエトキシシラン(1.83質量%)(IUPAC:3-アミノプロピルトリエトキシシラン、CAS:919-30-2)。
【0030】
例5-縮合反応によって架橋可能な第1のポリマー組成物Aの生産
紙コップ中で、下に列記される組成物Aの成分が細いスパチュラを用いて均一に混合され、スクリュートップ缶に注加され、それから、湿気の排除下において密封貯蔵された。
例1からの35.7gの調製物、貯蔵時間:湿気の排除下において室温で2週(82.83質量%)
2.5gのケイ酸テトラエチル(5.80質量%)(IUPAC:オルトケイ酸テトラエチル、CAS:78-10-4)
0.8gのアミノプロピルトリエトキシシラン(1.86質量%)(IUPAC:3-アミノプロピルトリエトキシシラン、CAS:919-30-2)
0.6gのビス(2-エチルヘキサン酸)亜鉛(1.39質量%)(IUPAC:ビス(2-エチルヘキサン酸)亜鉛、CAS:136-53.8)
3.5gの親水性の高分散シリカ(HDK(登録商標)V15、ワッカーケミー;8.12質量%)(IUPAC:ジオキソシラン、CAS:112945-52-5)
生産後のおよび湿気の排除下における室温での4週の貯蔵後の日のポリマー組成物のコンシステンシーは、軟質かつペースト上であり、安定性であった。
スキン形成時間は23.9℃かつ24%の相対湿度において約60分であった。スキン形成時間は、新しく展延された組成物の表面に鉛筆の先端で3分間隔でかすかに触れることによって決定された。スキン形成時間は、組成物が鉛筆の先端に付着したままではないときに完了した。
室温22℃における24時間の開放貯蔵後に(すなわち、湿気の影響下において)、乾燥した表面を有する弾性のスキンが形成された。
DIN53505-87に従って測定された硬化したポリマー組成物のショアA硬度は23であった。
もたらされたシリコーンエラストマーの外見はかすかに曇り、半透明であった。
【0031】
例6-縮合反応によって架橋可能な第2のポリマー組成物Bの生産
紙コップ中で、下に列記される組成物Bの成分が細いスパチュラを用いて均一に混合され、スクリュートップ缶に注加され、それから、湿気の排除下において密封貯蔵された。
例1からの35.5gの調製物、貯蔵時間:湿気の排除下において室温で2週(82.56質量%)
2.5gのビニルトリエトキシシラン(5.81質量%)(IUPAC:ビニルトリエトキシシラン、CAS:78-08-0)
0.3gのアミノプロピルトリエトキシシラン(0.70質量%)(IUPAC:3-アミノプロピルトリエトキシシラン、CAS:919-30-2)
0.6gのビス(2-エチルヘキサン酸)亜鉛、(1.40質量%)(IUPAC:ビス(2-エチルヘキサン酸)亜鉛、CAS:136-53.8)
4.1gの親水性の高分散シリカ(HDK(登録商標)V15、ワッカーケミー;9.43質量%)(IUPAC:ジオキソシラン、CAS:112945-52-5)
生産後のおよび湿気の排除下における室温での4週の貯蔵後の日のポリマー組成物のコンシステンシーは、軟質かつペースト状であり、安定性であった。
スキン形成時間は23.9℃かつ24%の相対湿度において約45分であった。スキン形成時間は上に記載されている通り測定された。
室温22℃における6時間の開放貯蔵後に(すなわち、湿気の影響下において)、乾燥した表面を有する弾性のスキンが形成された。
DIN53505-87に従って測定された硬化したポリマー組成物のショアA硬度は26であった。
もたらされたシリコーンエラストマーの外見はかすかに曇り、半透明であった。
【0032】
例7-縮合反応によって架橋可能な第3のポリマー組成物Bの生産
紙コップ中で、下に列記される組成物Cの成分が細いスパチュラを用いて均一に混合され、スクリュートップ缶に注加され、それから、湿気の排除下において密封貯蔵された。
例2からの32.9gの調製物、貯蔵時間:湿気の排除下において室温で2週(78.33質量%)
2.2gのビニルトリエトキシシラン(5.24質量%)(IUPAC:ビニルトリエトキシシラン、CAS:78-08-0)
1.1gの1,2ビス-(トリエトキシシリル)エタン(2,62質量%)(IUPAC1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、CAS:16068-37-4)
1.4gのアミノプロピルトリエトキシシラン(3.33質量%)(IUPAC:3-アミノプロピルトリエトキシシラン、CAS:919-30-2)
0.9gのビス(2-エチルヘキサン酸)亜鉛、(2.14質量%)(IUPAC:ビス(2-エチルヘキサン酸)亜鉛、CAS:136-53,8)
3.5gの親水性の高分散シリカ(HDK(登録商標)V15、ワッカーケミー;8.33質量%)(IUPAC:ジオキソシラン、CAS:112945-52-5)
生産後のおよび湿気の排除下における室温22℃での4週の貯蔵後の日のポリマー組成物のコンシステンシーは、軟質かつペースト状であり、安定性であった。
スキン形成時間は23.9℃かつ24%の相対湿度において約60分であった。スキン形成時間は上に記載されている通り測定された。
室温22℃における24時間の開放貯蔵後に(すなわち、湿気の影響下で)、乾燥した表面を有する弾性のスキンが形成された。
DIN53505-87に従って測定された硬化したポリマー組成物のショアA硬度は24であった。
もたらされたシリコーンエラストマーの外見は白っぽく、曇っていた。
【0033】
例8-縮合反応によって架橋可能な第4のポリマー組成物Dの生産
紙コップ中で、下に列記される組成物Dの成分が細いスパチュラを用いて均一に混合され、スクリュートップ缶に注加され、それから、湿気の排除下において密封貯蔵された。
例3からの70.8gの調製物、貯蔵時間:湿気の排除下において室温で2週(83.29質量%)、
7.0gの親水性の高分散シリカ(HDK(登録商標)V15、ワッカーケミー(8.24質量%)(IUPAC:ジオキソシラン、CAS:112945-52-5)、
4.0gのケイ酸テトラエチル(4.71質量%)(IUPAC:オルトケイ酸テトラエチル、CAS:78-10-4)、
1.3gアミノプロピルトリエトキシシラン(1,53質量%)(IUPAC:3-アミノプロピルトリエトキシシラン、CAS:919-30-2)、
1.9gのビス(2-エチルヘキサン酸)亜鉛(2.24質量%)(IUPAC:ビス(2-エチルヘキサン酸)亜鉛、CAS:136-53-8)。
生産の24h後のコンシステンシー:スパチュラから流去する。
硬化のために、40.0gの組成物Dおよび1.5gの蒸留水(3.75質量%)が紙コップ中で混合され、リリースフィルムによってライニングされた小さいスクリューバイアルに注加され、密封容器中で貯蔵された。18時間後に、スクリューバイアルの内容は乾燥し、完全加硫された。
加工時間が組成物の別のサンプルによって決定された。この目的のために、スパチュラが組成物中に浸され、取り出された。組成物がスパチュラから流去する限りは、加工時間の終わりはまだ到達されていなかった。加工時間の終わりは、流去する一筋の組成物が中断し、かすかに上方に収縮し、それゆえに短くなったときに到達された。
この方法による組成物Dの加工時間は25℃かつ23%の相対湿度において35分であった。
【0034】
例9-縮合反応によって架橋可能な第5のポリマー組成物Eの生産
紙コップ中で、下に列記される組成物Eの成分が細いスパチュラを用いて均一に混合され、スクリュートップ缶に注加され、それから、湿気の排除下において密封貯蔵された。
例4からの71.0gの調製物、貯蔵時間:湿気の排除下において室温で2週(83,33質量%)、
7.0gの親水性の高分散(highly dipersed)シリカ(HDK(登録商標)V15、ワッカーケミー(8,22質量%)(IUPAC:ジオキソシラン、CAS:11945-52-5)、
4.0gのビニルトリエトキシシラン(4.69質量%)(IUPAC:ビニルトリエトキシシラン、CAS:78-08-0)、
1.3gのアミノプロピルトリエトキシシラン(1.53質量%)(IUPAC:3-アミノプロピルトリエトキシシラン、CAS:919-30-2)、
1.9gのビス(2-エチルヘキサン酸)亜鉛、(2.23質量%)(IUPAC:ビス(2-エチルヘキサン酸)亜鉛、CAS:136-53-8)。
生産の24h後のコンシステンシー:スパチュラから流去する。
硬化のために、40.0gの組成物Eおよび1.2gの蒸留水(3.00質量%)が紙コップ中で混合され、リリースフィルムによってライニングされた小さいスクリューバイアルに注加され、密封容器中で貯蔵された。18時間後に、スクリューバイアルの内容は乾燥し、完全加硫された。
24.4℃かつ24%の相対湿度における組成物Eの加工時間:75分。加工時間は例8で指示されている通り決定された。
【0035】
例10-縮合反応によって架橋可能な第6のポリマー組成物Fの生産
紙コップ中で、下に列記される組成物Fの成分が細いスパチュラを用いて均一に混合され、スクリュートップ缶に注加され、それから、湿気の排除下において密封貯蔵された。
例4からの71.8gの調製物、室温における貯蔵時間:湿気の排除下において2週(63.09質量%)、
36.3gの石英粉(31.90質量%)(IUPAC:ジオキソシラン、CAS:14808-60-7)、
40%の二酸化ケイ素含量を有する4.0gの縮合ケイ酸テトラエチル(3.51質量%)(IUPAC:ポリケイ酸エチル、CAS:11099-06-2)、
0.7gのアミノプロピルトリエトキシシラン(silan)(0.62質量%)(IUPAC:3-アミノプロピルトリエトキシシラン、CAS:919-3-2)、
1.0gのビス(2-エチルヘキサン酸(ethylhexanoat))亜鉛、(0.88質量%)(IUPAC:ビス(2-エチルヘキサン酸)亜鉛、CAS:136-53-8)。
生産の24h後のコンシステンシー:スパチュラから流去する。
硬化のために、40.0gの組成物Fおよび1.0gの蒸留水(2.50質量%)が混合され、小さいスクリューバイアルに注加され、密封容器中で貯蔵された。18時間後に、スクリューバイアルの内容は乾燥し、完全加硫された。
上の例において測定された(mesured)組成物Fの加工時間は24,4℃かつ24%の相対湿度において15分であった。
【0036】
例11-接着試験
例5から7の組成物による接着試験が種々の基材上で実施された。この目的のために、組成物はスパチュラによって基材に塗工され、かすかにプレスされた。平均の層厚さは最高で3mmであった。
24%の相対湿度における22℃での7日の室温貯蔵後に、接着結合が検査された。次の表は、対応する結果を要約している。ここで、「+」は:加硫されたコーティングが機械的破壊によってのみそれぞれの基材から剥離され得るということを意味した。「-」は:加硫されたコーティングがいずれかの残留物を残すことなしにそれぞれの基材から剥離され得るということを意味した。
【0037】
【表1】
【0038】
例12-接着試験
例8から10の組成物による接着試験が種々の基材上で実施された。この目的のために、組成物はスパチュラによって基材に塗工され、かすかにプレスされた。平均の層厚さは最高で3mmであった。
24%の相対湿度における23℃での2日の室温貯蔵後に、結合強度がチェックされた。次の表は対応する結果の概観を与える。ここで、「+」は:加硫されたコーティングが機械的破壊によってのみそれぞれの基材から剥離され得るということを意味した。「-」は:加硫されたコーティングがいずれかの残留物を残すことなしにそれぞれの基材から剥離され得るということを意味した。
【0039】
【表2】
【0040】
例13-加硫挙動に対する水の用量の影響
さらにその上、加硫挙動に対する水の用量の影響が検討された。この目的のために、組成物Cの新たなバッチが例3からの調製物を用いて調製された(組成物Cの繰り返しバッチ)。
15gのこの繰り返しバッチに、次の物質が追加された:
1)追加なし
2)0.2g蒸留水
3)0.4g蒸留水
4)0.6g蒸留水
4つの混合物は、それぞれが、リリースフィルムによってライニングされた小さいスクリューバイアルに注加され、約1cmの層厚さをもたらした。24℃かつ23%の相対湿度における24時間の貯蔵時間後に、サンプルの加硫状態が検査された。
結果は次の通りであった:
サンプル1:薄い乾燥したスキン。下側は依然として柔らかい。
サンプル2:厚い乾燥したスキン。十分に加硫されず、非常に粘着性。
サンプル3:完全加硫。底側乾燥。
サンプル4:完全加硫。底側乾燥。
別の24時間の追加の貯蔵時間後に、サンプルの加硫状態が再検査される。
次の結果が得られた:
精査1:乾燥したスキン。かすかに、より厚い。下側は依然として柔らかい。
精査2:完全加硫。底側乾燥。
精査3:完全加硫。底側乾燥。
精査4:完全加硫。底側乾燥。
解釈:深い層の加硫は水の追加によって加速される。
【0041】
例14-高分散シリカ(ワッカー、HDK(登録商標)V15)による流動性の組成物の調製
流動性の実現はプロセス条件に依存する:
親水性の高分散シリカがバッチの終わりに混ぜられたときには、結果は、1液型組成物について望まれるような剛性のかつペースト状のコンシステンシーであった。
親水性の高分散(highly dipersed)シリカが提示されているポリマーに混合されて「剛性の相」を形成し、低粘度製剤成分(架橋剤、触媒、可能性としては接着促進剤)の追加が後続する場合には、2液型組成物について通常望まれるような流動性の最終生産物が形成された。
基本的に、石英粉のみを含有する材料は自由流動性であった。