(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】高耐摩耗性の遠赤外線セラミック研磨釉薬タイルの製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 41/86 20060101AFI20240422BHJP
C03C 8/04 20060101ALI20240422BHJP
E04F 13/14 20060101ALI20240422BHJP
E04F 15/08 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
C04B41/86 A
C03C8/04
E04F13/14 103A
E04F15/08 A
(21)【出願番号】P 2022570161
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(86)【国際出願番号】 CN2020138630
(87)【国際公開番号】W WO2021232784
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-11-16
(31)【優先権主張番号】202010422883.0
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515266393
【氏名又は名称】蒙娜麗莎集団股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 一軍
(72)【発明者】
【氏名】楊 元東
(72)【発明者】
【氏名】張 克林
(72)【発明者】
【氏名】王 賢超
(72)【発明者】
【氏名】黄 玲艷
【審査官】小川 武
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-004152(JP,A)
【文献】特開平06-191920(JP,A)
【文献】特開平01-133960(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107586096(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107176790(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103467103(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107129150(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 33/00-33/36、41/86
C03C 8/00-8/04
B32B 18/00
E04F 13/14,15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高耐摩耗性の遠赤外線セラミック研磨釉薬タイルの製造方法であって、素地において、順次遠赤外線表面釉薬、インクジェット印刷、透明な遠赤外線研磨釉薬、耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬を施し、次に焼成して、研磨することを含み、
ここで、前記遠赤外線表面釉薬の化学組成は、質量で、SiO
2:63%~73%、Al
2O
3:16%~24%、Fe
2O
3:0.5~0.7%、TiO
2:0.25~0.35%、CaO:0.3~0.6%、MgO:0.4~1.0%、K
2O:3.0~4.0%、Na
2O:1.5~2.5%、ZrO
2:3.2~9.6%、Rb
2O:120~180ppm、Y
2O
3:90~130ppm、強熱減量:1.1~1.5%を含み、
前記透明な遠赤外線研磨釉薬の化学組成は、質量で、SiO
2:50%~60%、Al
2O
3:6%~8%、Fe
2O
3:0.2~0.3%、TiO
2:0.25~0.35%、CaO:5.5~8.5%、MgO:3.1~4.2%、BaO:3.5~6.5%、ZnO:8.0~13.0%、K
2O:3.0~4.0%、Na
2O:1.0~2.0%、Rb
2O:100~155ppm、Y
2O
3:70~110ppm、強熱減量:2.0~3.5%を含み、
前記耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬の化学組成は、質量で、SiO
2:40~50%、Al
2O
3:9~11.5%、Fe
2O
3:0.2~0.3%、TiO
2:0.25~0.35%、CaO:6~8.5%、MgO:2.5~4.5%、BaO:9.5~13.0%、ZnO:10.0~16.0%、K
2O:2.0~4.0%、Na
2O:0.6~1.0%、Rb
2O:60~110ppm、Y
2O
3:40~80ppm、強熱減量:3.5~5.0%を含み、
さらに、前記遠赤外線表面釉薬、前記透明な遠赤外線研磨釉薬、前記耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬は、遠赤外線長石粉末を使用して遠赤外線機能を提供し、かつ前記遠赤外線長石粉末は不純物イオンがドープされ、格子
が高度に非対称
なマグネシウムアルミノケイ酸塩を含む化合物であることを特徴とする高耐摩耗性の遠赤外線セラミック研磨釉薬タイルの製造方法。
【請求項2】
前記遠赤外線表面釉薬の鉱物組成は、質量で、遠赤外線長石粉末30%~40%、曹長石:10~20%、カオリン5~10%、石英砂15~25%、ケイ酸ジルコニウム5~15%、か焼カオリン5~10%、アルミナ5~10%を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記透明な遠赤外線研磨釉薬の鉱物組成は、質量で、遠赤外線長石粉末25~35%、酸化亜鉛8~12%、炭酸バリウム5~8%、焼結タルク7~9%、カオリン8~10%、ガラスフリット35~45%を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記透明な遠赤外線研磨釉薬はウォーターフォール釉薬方法で施釉し、ウォーターフォール釉薬のプロセスパラメータは比重1.80~1.85、重量300~350g/m
2であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬の鉱物組成は、質量で、遠赤外線長石粉末15~25%、酸化亜鉛10~15%、炭酸バリウム12~16%、焼結タルク7~9%、カオリン8~10%、ガラスフリット35~45%、150メッシュコランダム4~6%を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬はウォーターフォール釉薬方法で施釉し、ウォーターフォール釉薬のプロセスパラメータは比重1.80~1.85、重量350~400g/m
2であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックタイルの生産および製造の技術分野に属し、耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬のセラミックタイル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
研磨釉薬タイル製品は、その鮮やかな色、豊かな模様、明るい釉薬表面の質感で消費者に深く愛されている。ただし、現在においては、完全研磨釉薬製品は、透明性と耐摩耗性を兼備できていない。高透明な完全研磨釉薬製品は、透明性が高く、模様がはっきりしていて、質感が豊かであるが、高耐摩耗性の完全研磨釉薬製品は、耐摩耗性が良好であるが、透明性が低く、模様がかすんで、質感がざらざらし、研磨後の平坦性が劣る。近年、セラミック技術の発展に伴い、セラミックタイルは装飾材料として使用されるだけでなく、多くの機能性材料と組み合わされて多くの機能性セラミックタイルを生み出している。遠赤外線の光波が継続的に放出されるため、遠赤外線タイルは、血液循環の改善、生体分子の活性化、人間の免疫力の強化、抗菌など、人体に多くのプラスの効果をもたらし、一部のメーカーは遠赤外線アンティークタイルシリーズを製造しており、遠赤外線研磨釉薬タイルはまだ大量生産されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】中国実用新案第203022281号明細書
【文献】中国特許出願公開第108751710号明細書
【文献】中国特許出願公開第107285812号明細書
【文献】中国特許出願公開第107382373号明細書
【非特許文献】
【0004】
【文献】ZIIANG, Lingjie et al., Effects of Heat Treatment on Far-Infrared Emissivity of Tourmaline, Journal of Ceramics, Vol.30, No.3, September 2009, pp. 286-289
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の問題を考慮して、本発明は、遠赤外線機能、高透明性、高耐摩耗性を備えたセラミック研磨釉薬タイル及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、本発明は、高耐摩耗性の遠赤外線セラミック研磨釉薬タイルの製造方法を提供し、素地において、順次遠赤外線表面釉薬、インクジェット印刷、透明な遠赤外線研磨釉薬、耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬を施し、次に焼成して、研磨することを含む。
【0007】
上記発明によれば、遠赤外線表面釉薬、透明な遠赤外線研磨釉薬、耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬を組み合わせて使用することにより、研磨釉薬タイルは、遠赤外線機能、高透明性、高耐摩耗性を兼備することができる。
【0008】
好ましくは、前記遠赤外線表面釉薬の鉱物組成は、質量で、遠赤外線長石粉末30%~40%、曹長石:10~20%、カオリン5%~10%、石英砂15%~25%、ケイ酸ジルコニウム5%~15%、か焼カオリン(Calcinated Kaolin)5%~10%、アルミナ5%~10%を含む。
【0009】
好ましくは、前記遠赤外線表面釉薬の化学組成は、質量で、SiO2:63%~73%、Al2O3:16%~24%、Fe2O3:0.5~0.7%、TiO2:0.25~0.35%、CaO:0.3~0.6%、MgO:0.4~1.0%、K2O:3.0~4.0%、Na2O:1.5~2.5%、Rb2O:120~180ppm、Y2O3:90~130ppm、ZrO2:3.2~9.6%、強熱減量:1.1~1.5%を含む。
【0010】
好ましくは、前記透明な遠赤外線研磨釉薬の鉱物組成は、質量で、遠赤外線長石粉末25~35%、酸化亜鉛8~12%、炭酸バリウム5~8%、焼結タルク7~9%、カオリン8~10%、ガラスフリット35~45%を含む。
【0011】
好ましくは、前記透明な遠赤外線研磨釉薬の化学組成は、質量で、SiO2:50%~60%、Al2O3:6%~8%、Fe2O3:0.2~0.3%、TiO2:0.25~0.35%、CaO:5.5~8.5%、MgO:3.1~4.2%、BaO:3.5~6.5%、ZnO:8.0~13.0%、K2O:3.0~4.0%、Na2O:1.0~2.0%、Rb2O:100~155ppm、Y2O3:70~110ppm、強熱減量:2.0~3.5%を含む。
【0012】
好ましくは、前記透明な遠赤外線研磨釉薬はウォーターフォール釉薬方法で施釉し、ウォーターフォール釉薬のプロセスパラメータは比重1.80~1.85、重量300~350g/m2である。
【0013】
好ましくは、前記耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬の鉱物組成は、質量で、遠赤外線長石粉末15~25%、酸化亜鉛10~15%、炭酸バリウム12~16%、焼結タルク7~9%、カオリン8~10%、ガラスフリット35~45%、150メッシュコランダム4~6%を含む。
【0014】
好ましくは、前記耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬の化学組成は、質量で、SiO2:40~50%、Al2O3:9~11.5%、Fe2O3:0.2~0.3%、TiO2:0.25~0.35%、CaO:6~8.5%、MgO:2.5~4.5%、BaO:9.5~13.0%、ZnO:10.0~16.0%、K2O:2.0~4.0%、Na2O:0.6~1.0%、Rb2O:60~110ppm、Y2O3:40~80ppm、強熱減量:3.5~5.0%を含む。
【0015】
好ましくは、前記耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬はウォーターフォール釉薬方法で施釉し、ウォーターフォール釉薬のプロセスパラメータは比重1.80~1.85、重量350~400g/m2である。
【0016】
第2の態様では、本出願は、上記の製造方法のいずれかによって得られる、高耐摩耗性の遠赤外線セラミック研磨釉薬タイルを提供する。
【発明の効果】
【0017】
該研磨釉薬タイルの遠赤外線法線方向の放射率は0.89に達し、耐摩耗性は6000
rpm(レベル4)に達し、鏡面光沢度は高く、透明性は強い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態のプロセスフロー図である。
【
図2】実施例1で製造された研磨釉薬タイルの表面を示す図である。
【
図3】実施例2で製造された研磨釉薬タイルの表面を示す図である。
【
図4】実施例3で製造された研磨釉薬タイルの表面を示す図である。
【
図5】実施例4で製造された研磨釉薬タイルの表面を示す図である。
【
図6】実施例5で製造された研磨釉薬タイルの表面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の最適な実施形態
本発明は、以下の実施形態によってさらに説明され、以下の実施形態は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明を限定するものではないことを理解されたい。以下のパーセントは、特に指定がない限り、すべて質量パーセントを指す。
【0020】
本発明の実施形態の遠赤外線表面釉薬処方の鉱物組成は、質量で、遠赤外線長石粉末30%~40%、曹長石:10~20%、カオリン5%~10%、石英砂15%~25%、ケイ酸ジルコニウム5%~15%、か焼カオリン5%~10%、アルミナ5%~10%を含む。遠赤外線長石粉末とは、遠赤外線放射率の高い長石粉末の一種で、不純物イオンをドープした、格子が高度に非対称なマグネシウムアルミノケイ酸塩を含む化合物であり、該化合物は高い遠赤外線放射率を持っている。一つの実施例では、その化学組成は、質量で、SiO2:70~80%、Al2O3:10~13%、Fe2O3:0.3~0.5%、P2O5:0.25~0.35%、CaO:0.5~1.0%、MgO:0.8~1.2%、Rb2O:400ppm~450ppm、Y2O3:280ppm~320ppm、K2O:8.0~9.0%、Na2O:2.0~3.0%、強熱減量:0.5~1.0%である。その遠赤外線放射率は0.91以上に達することができる。この分野では、トルマリン、二酸化ジルコニウムなどが一般的に遠赤外線機能を提供するために使用されるが、トルマリンはヒドロキシシリケート化合物であり、950度を超える温度で分解し、構造が破壊され、遠赤外線放射率が大幅に削減され、二酸化ジルコニウムの分離は難しく、コストは比較的高く、放射性は比較的高い。遠赤外線長石粉末は、優れた高温安定性と低い放射性を持っている。この実施形態では、遠赤外線長石粉末を使用して遠赤外線機能を提供し、放射性なしで低コストで高い遠赤外線放射率を提供でき、人体および環境に害を及ぼさない。
【0021】
本発明の一つの実施形態の遠赤外線表面釉薬の化学組成は、質量で、SiO2:63%~73%、Al2O3:16%~24%、Fe2O3:0.5~0.7%、TiO2:0.25~0.35%、CaO:0.3~0.6%、MgO:0.4~1.0%、K2O:3.0~4.0%、Na2O:1.5~2.5%、ZrO2:3.2~9.6%、Rb2O:120~180ppm、Y2O3:90~130ppm、強熱減量:1.1~1.5%を含む。そのうち、MgO~SiO2~Al2O3は、いくつかの不純物イオン(Fe3 +、Y3 +、Mn2 +、Cu2 +など)がドープされた高度に非対称な格子を持つマグネシウムアルミノケイ酸塩化合物を形成してY3+、Mn2+、遠赤外線放射機能を持つ。
【0022】
40℃~400℃での遠赤外線表面釉薬の膨張係数は8.0816×10-6/K~8.3816×10-6/Kになる。
【0023】
本発明の一つの実施形態による透明な遠赤外線研磨釉薬(または「高透明な遠赤外線研磨釉薬」、「高透明性の遠赤外線研磨釉薬」)の鉱物組成は、質量で遠赤外線長石粉末25~35%、酸化亜鉛8~12%、炭酸バリウム5~8%、焼結タルク7~9%、カオリン8~10%、ガラスクフリット35~45%を含む。ガラスフリットとは、高透明なフリットを指し、その化学組成は、SiO2:64%~70%、Al2O3:3%~6%、Fe2O3:0.2~0.3%、TiO2:0.15~0.25%、CaO:16%~22%、MgO:1%~4%、K2O:2%~4%、Na2O:0.5%~1.5%、ZnO:1%~4%であることができる。
【0024】
本発明の一つの実施形態による透明な遠赤外線研磨釉薬の化学組成は、質量で、SiO2:50%~60%、Al2O3:6%~8%、Fe2O3:0.2~0.3%、TiO2:0.25~0.35%、CaO:5.5~8.5%、MgO:3.1~4.2%、BaO:3.5~6.5%、ZnO:8.0~13.0%、K2O:3.0~4.0%、Na2O:1.0~2.0%、Rb2O:100~155ppm、Y2O3:70~110ppm、強熱減量:2.0~3.5%を含む。
【0025】
上記の透明な遠赤外線研磨釉薬は、Al2O3含有量が比較的少なく、CaO、MgO、ZnO含有量が高く、研磨釉薬の高温粘度が小さいため、研磨釉薬層の気泡を完全に排出することができ、研磨釉薬には失透剤が含まれていないため、釉薬層の透明性が高い。
【0026】
40℃~400℃での透明な遠赤外線研磨釉薬の膨張係数は6.0516×10-6 /K~6.4816×10-6 /Kであることができる。
【0027】
本発明の一つの実施形態による耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬(または「高耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬」)の鉱物組成は、質量で、遠赤外線長石粉末15~25%、酸化亜鉛10~15%、炭酸バリウム12~16%、焼成タルク7~9%、カオリン8~10%、ガラスフリット35~45%、150メッシュコランダム4~6%を含む。前記ガラスフリットの化学組成は上記の通りであることができる。
【0028】
本発明の一つの実施形態による耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬の化学組成は、質量で、SiO2:40~50%、Al2O3:9~11.5%、Fe2O3:0.2~0.3%、TiO2:0.25~0.35%、CaO:6~8.5%、MgO:2.5~4.5%、BaO:9.5~13.0%、ZnO:10.0~16.0%、K2O:2.0~4.0%、Na2O:0.6~1.0%、Rb2O:60~110ppm、Y2O3:40~80ppm、強熱減量:3.5~5.0%を含む。
【0029】
上記の耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬中のBaOの含有量は比較的高く、ZnOとCaOのフラックス作用の下でバリウム長石結晶を形成することができ、バリウム長石結晶の硬度と耐摩耗性は比較的高い。上記の耐摩耗性の遠赤外線釉薬の遠赤外線長石粉末に含まれるマグネシウムアルミノケイ酸塩は、反応プロセス中に保持され、これらのマグネシウムアルミノケイ酸塩結晶の硬度と耐摩耗性も比較的高い。長石バリウム結晶とマグネシウムアルミノケイ酸塩結晶と少量のコランダムは、釉薬研磨の硬度と耐摩耗性を向上させるための要件を満たすことができる。
【0030】
40℃~400℃での耐摩耗性遠赤外線研磨釉薬の膨張係数は5.9516×10-6
/K~6.1816×10-6/Kであることができる。
【0031】
本発明の一つの実施形態の研磨釉薬タイルは、素地に遠赤外線表面釉薬、透明な遠赤外線釉薬、耐摩耗性の遠赤外線釉薬を塗布し、焼成することにより得られる。好ましい実施形態では、研磨釉薬タイルは、下から上に素地、遠赤外線表面釉薬、模様層、透明な遠赤外線研磨釉薬層、および耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬層を有する。該研磨釉薬タイルの製造方法は、
図1を参照して以下に例示する。
【0032】
まず、素地を製造する。素地は、当技術分野で一般的に使用されている方法によって製造することができ、例えば、一般的なセラミックベース材料からプレスを介して成形することによって得られる。成形後に乾燥させることができる。40℃~400℃での素地の膨張係数は7.4816×10-6/K~7.6816×10-6/Kであることができる。
【0033】
次に、素地に遠赤外線表面釉薬を施す。遠赤外線表面釉薬は遠赤外線を放射し、素地のベースカラーを覆い、インクの発色を促進することができる。遠赤外線表面釉薬は、スプレーまたはウォーターフォール釉薬によって施釉することができる。釉薬スラリーを製造する場合、ボールミル配合率は、遠赤外線表面釉薬(乾燥材料)70.4%~72.4%、トリポリリン酸ナトリウム0.11~0.16%、メチルセルロースナトリウム0.14~0.21%、水28.5~29.5%であることができる。細かさは、325メッシュのふるい残留物≦0.6%にすることができる。スプレー釉薬プロセスのパラメータは、比重1.40~1.50、重量450~650g/m2であることができる。該スプレー釉薬プロセスパラメータを使用すると、表面釉薬が沈殿しにくくなり、スプレーの均一性が高くなり、ドライホール等の欠陥が発生しにくくなる。遠赤外線表面釉薬層の厚さは0.25mm~0.30mmにすることができる。
【0034】
次に、遠赤外線表面釉薬に模様をインクジェット印刷する。
【0035】
次に、高透明性の遠赤外線研磨釉薬を施す。高透明性の遠赤外線研磨釉薬は、ウォーターフォール釉薬で施釉することができる。釉薬スラリーを製造する場合、ボールミル配合率は、高透明性の遠赤外線研磨釉薬(乾燥材料)71.5%~73.5%、トリポリリン酸ナトリウム0.14~0.21%、メチルセルロースナトリウム0.10~0.12%、水27~29%であることができる。細かさは、325メッシュのふるい残留物≦0.6%にすることができる。ウォーターフォール釉薬のプロセスパラメータは比重1.80~1.85、重量250~300g/m2であることができる。該ウォーターフォール釉薬プロセスパラメータを使用すると、研磨釉薬表面を均一で平坦にし、釉薬層と素地の水分を減らすことができる。高透明性の遠赤外線釉薬層の厚さは0.13mm~0.16mmであることができる。
【0036】
次に、高耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬を施す。高耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬は、ウォーターフォール釉薬で施釉することができる。釉薬スラリーを製造する場合、ボールミル配合率は、高耐摩耗性の遠赤外線表面釉薬(乾燥材料)71.5%~73.5%、トリポリリン酸ナトリウム0.14~0.21%、メチルセルロースナトリウム0.10~0.12%、水27~29%であることができる。細かさは、325メッシュのふるい残留物≦0.6%にすることができる。ウォーターフォール釉薬のプロセスパラメータは比重1.80~1.85、重量350~400g/m2である。該ウォーターフォール釉薬プロセスパラメータを使用すると、研磨釉薬表面を均一で平坦にすることができ、かつ釉薬層と素地の水分を減らすことができる。高耐摩耗性の遠赤外線釉薬層の厚さは0.15mm~0.20mmであることができる。
【0037】
その後、焼成炉で焼成する。 最高焼成温度は1200~1220℃、焼成サイクルは120~150分であることができる。
【0038】
焼成炉を出た後、研磨する。一つの実施形態では、弾性研磨ブロックで研磨し、研磨ブロックは、140メッシュ8グループ、240メッシュ6グループ、300メッシュ6グループ、400メッシュ8グループ、600メッシュ4グループ、800メッシュ4グループ、1000メッシュ4グループ、1500メッシュ4グループ、2000メッシュ4グループ、3000メッシュ8グループに配列されている。この方法は深研磨に使用できるため、研磨後の釉薬の表面がより滑らかになる。
【0039】
この実施形態では、高透明性の遠赤外線研磨釉薬と高耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬との組み合わせにより、研磨釉薬タイルに高い透明性と高い耐摩耗性を与えることができる。また、表面釉薬と研磨釉薬の処方では、両方に遠赤外線長石粉末が含まれているため、遠赤外線機能が強い。本発明における遠赤外線表面釉薬、高透明性の遠赤外線研磨釉薬、耐
摩耗性の遠赤外線研磨釉薬はすべて遠赤外線材料を使用しており、より強い遠赤外線機能が得られ、遠赤外線機能を備えたものが1つしかない場合、その遠赤外線放射率は低くなる。本発明の高透明性の遠赤外線研磨釉薬および高耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬は、膨張係数が低く、釉薬層が厚いため、タイル形状のアーチが生じやすく、研磨が困難であり、遠赤外線表面釉薬は膨張係数が高く、タイルの形状を調整できる。さらに、高透明性の遠赤外線研磨釉薬にはアルミニウムの含有量が少なく、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などのフラックスの含有量が多いため、焼成プロセス中の耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬の流動性を向上させることができる。遠赤外線研磨釉薬の表面はより滑らかで、研磨に役立ち、同時に、高耐摩耗の遠赤外線研磨釉薬におけるバリウム長石は、結晶化して特定のサイズに成長しやすくなる。
【0040】
ここで、遠赤外線材料を使用して、研磨釉薬処方を調整することによって製造プロセスを組み合わせる技術を提供し、研磨釉薬タイルの耐摩耗性と遠赤外線機能を実現し、研磨後、製品の遠赤外線法線方向の放射率は0.89以上に達し、耐摩耗性は6000rpm(レベル4)に達し、鏡面光沢度は高く、透明性は強い。
【0041】
本発明の実施形態
以下は、さらに実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。以下の実施例は、本発明をさらに説明するためにのみ使用され、本発明の保護範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、本発明の上記の内容に従って当業者によってなされたいくつかの本質的でない改善および調整は、本発明の保護範囲に属することも理解されるべきである。以下の例における具体的なプロセスパラメータなどは、適切な範囲の一つの例にすぎない。すなわち、当業者は、本明細書の説明を通じて適切な範囲内で選択を行うことができ、以下に例示する特定の数値に限定されることを意図したものではない。遠赤外線長石粉末は内モンゴル華宸再生資源科技有限公司から購入し、その化学組成は、SiO2:75.5%、Al2O3:10.5%、Fe2O3:0.45%、P2O5:0.27%、CaO:0.75%、MgO:1.03%、Rb2O:430ppm、Y2O3:310ppm、K2O:8.17%、Na2O:2.68%、強熱減量:0.72%である。
【0042】
実施例1
1.素地原料の処方は、厳選されたソーダライトパウダー5%、中温砂15%、低温ナトリウム砂15%、バンサンド18%、シャオグアンボールクレイ6%、ウォッシュドボールクレイ12%、焼成ボーキサイト6%、ブラックタルク1%、カリアルミ砂18%、生鉱石スライム4%である。 その化学組成は、SiO2:63.5~65%、Al2O3:21~24%、Fe2O3:0.4~0.7%、TiO2:0.25~0.35%、CaO:0.25~0.35%、MgO:0.5~0.80%、K2O:2.0~2.4%、Na2O:2.6~3.0%、強熱減量:4.5~5.5%である。原料をプレスで成形・乾燥し、素地を得た。素地の膨張係数は7.4816×10-6/Kである。
【0043】
2.素地に遠赤外線表面釉薬を施した。遠赤外線表面釉薬の処方組成は、遠赤外線長石粉末35%、曹長石13%、カオリン9%、石英砂20%、ケイ酸ジルコニウム10%、か焼カオリン8%、アルミナ5%である。遠赤外線表面釉薬の化学組成は、SiO2:66.82%、Al2O3:18.05%、Fe2O3:0.5%、TiO2:0.26%、CaO:0.58%、MgO:0.5%、K2O:3.23%、Na2O:1.8%、ZrO2:6.4%、Rb2O:150ppm、Y2O3:109ppm、強熱減量:1.27%である。40℃~400℃での遠赤外線表面釉薬の膨張係数は8.1816×10-6/Kである。ボールミル配合率は、遠赤外線表面釉薬乾燥材料70.91%、トリポリリン酸ナトリウム0.16%、メチルセルロースナトリウム0.15%、水28.78%である。325メッシュのふるい残留物≦0.6%。遠赤外線表面釉薬は、スプレー釉薬を使用し、施釉の比重は1.45、施釉量は500g/m2である。
【0044】
3.遠赤外線表面釉薬に模様をインクジェットした。
【0045】
4.高透明性の遠赤外線研磨釉薬をウォーターフォールした。高透明な遠赤外線研磨釉薬の鉱物組成は、遠赤外線長石粉末30%、酸化亜鉛10%、炭酸バリウム6%、焼結タルク7%、カオリン9%、ガラスフリット38%である。高透明な遠赤外線研磨釉薬の化学組成は、SiO2:59.38%、Al2O3:6.53%、Fe2O3:0.21%、TiO2:0.26%、CaO:8.01%、MgO:3.51%、BaO:3.84%、ZnO:10.69%、K2O:3.76%、Na2O:1.1%、Rb2O:129ppm、Y2O3:93ppm、強熱減量:2.46%である。40℃~400℃での高透明な遠赤外線釉の膨張係数は6.1516×10-6/Kである。ボールミル配合率は、高透明性の遠赤外線研磨釉薬乾燥材料72.0%、トリポリリン酸ナトリウム0.15%、メチルセルロースナトリウム0.11%、水27.74%である。325メッシュのふるい残留物≦0.6%。高透明性の遠赤外線研磨釉薬は、ウォーターフォール釉薬で、施釉比重は 1.83、施釉量は310g/m2である。釉薬層の厚さは0.14mmである。
【0046】
5.高耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬をウォーターフォールした。高耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬の鉱物組成は、遠赤外線長石粉末17%、酸化亜鉛12%、炭酸バリウム14%、焼結タルク7%、カオリン9%、ガラスフリット36%、150メッシュコランダム5%である。高耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬の化学組成は、SiO2:46.36%、Al2O3:10.06%、Fe2O3:0.21%、TiO2:0.27%、CaO:7.48%、MgO:3.28%、BaO:10.88%、ZnO:12.68%、K2O:2.64%、Na2O:0.75%、Rb2O:73ppm、Y2O3:53ppm、強熱減量:4.13%である。40℃~400℃での高耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬の膨張係数は6.0816×10-6/Kである。ボールミル配合率は、高耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬乾燥材料72.0%、トリポリリン酸ナトリウム0.15%、メチルセルロースナトリウム0.11%、水27.74%である。325メッシュのふるい残留物≦0.6%。高耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬は、ウォーターフォール釉薬で、施釉比重は 1.83、施釉量は360g/m2である。釉薬層の厚さは0.18mmである。
【0047】
6.焼成炉で焼成し、焼成温度は1220℃、焼成サイクルは120分である。
【0048】
7.焼成炉を出た後、弾性研磨ブロックで研磨し、研磨ブロックは、140メッシュ8グループ、240メッシュ4グループ、300メッシュ4グループ、400メッシュ8グループ、600メッシュ4グループ、800メッシュ4グループ、1000メッシュ4グループ、1500メッシュ4グループ、2000メッシュ4グループ、3000メッシュ8グループに配列された。
【0049】
得られた研磨釉薬タイルの表面を
図2に示す。
図2の左図は実像、右図は釉薬層を60倍に拡大した写真である。左図から、蛍光管の反射が真っ直ぐで、鏡面光沢度が高く、透明性が高いことがわかり、右図から、気泡が少なく、大きな粒子の結晶や失透成分がなく、インクジェット模様がはっきりしていることがわかる。得られた研磨釉薬タイルの耐摩耗性は、釉薬タイル耐摩耗性試験機(メーカー:寧夏研究院股ふん有限公司、モデル:CYM-8)で試験し、耐摩耗性は6000rpm(レベル4)である。得られた研磨釉薬タイルの遠赤外線法線方向の放射率をフーリエ変換赤外分光計で試験した後、その遠赤外線法線方向の放射率は0.892であった。
【0050】
実施例2
実施例1との相違点は以下のとおりである。高透明な遠赤外線研磨釉薬の鉱物組成は、
遠赤外線長石粉末25%、酸化亜鉛8%、炭酸バリウム5%、焼結タルク9%、カオリン8%、ガラスフリット45%である。高透明な遠赤外線研磨釉薬の化学組成は、SiO2:59.24%、Al2O3:6.11%、Fe2O3:0.20%、TiO2:0.26%、CaO:8.38%、MgO:4.12%、BaO:3.89%、ZnO:8.84%、K2O:3.53%、Na2O:1.02%、Rb2O:107ppm、Y2O3:77ppm、強熱減量:2.11%である。40℃~400℃での高透明な遠赤外線釉の膨張係数は6.1816×10-6/Kである。
【0051】
得られた研磨釉薬タイルの表面を
図3に示す。
図3の左図は実像、右図は釉薬層を60倍に拡大した写真である。左図から、蛍光管の反射が真っ直ぐで、鏡面光沢度が高く、透明性が高いことがわかり、右図から、気泡が少なく、大きな粒子の結晶や失透成分がなく、インクジェット模様がはっきりしていることがわかる。釉薬タイル耐摩耗性試験機で得られた研磨釉薬タイルの耐摩耗性を試験し、耐摩耗性は6000rpm(レベル4)であった。得られた研磨釉薬タイルの遠赤外線法線方向の放射率をフーリエ変換赤外分光計で試験した後、その遠赤外線法線方向の放射率は0.891であった。
【0052】
実施例3
実施例1との相違点は以下のとおりである。高透明な遠赤外線研磨釉薬の鉱物組成は、遠赤外線長石粉末27%、酸化亜鉛12%、炭酸バリウム8%、焼結タルク9%、カオリン9%、ガラスフリット35%である。高透明な遠赤外線研磨釉薬の化学組成は、SiO2:54.51%、Al2O3:6.18%、Fe2O3:0.21%、TiO2:0.26%、CaO:7.37%、MgO:4.06%、BaO:6.22%、ZnO:12.61%、K2O:3.44%、Na2O:1.01%、Rb2O:116ppm、Y2O3:84ppm、強熱減量:2.88%である。40℃~400℃での高透明な遠赤外線釉の膨張係数は6.1316×10-6/Kである。
【0053】
得られた研磨釉薬タイルの表面を
図4に示す。
図4の左図は実像、右図は釉薬層を60倍に拡大した写真である。左図から、蛍光管の反射が真っ直ぐで、鏡面光沢度が高く、透明性が高いことがわかり、右図から、気泡が少なく、大きな粒子の結晶や失透成分がなく、インクジェット模様がはっきりしていることがわかる。釉薬タイル耐摩耗性試験機で得られた研磨釉薬タイルの耐摩耗性を試験し、耐摩耗性は6000rpm(レベル4)であった。得られた研磨釉薬タイルの遠赤外線法線方向の放射率をフーリエ変換赤外分光計で試験した後、その遠赤外線法線方向の放射率は0.891であった。
【0054】
実施例4
実施例1との相違点は以下のとおりである。高耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬の鉱物組成は、遠赤外線長石粉末15%、酸化亜鉛15%、炭酸バリウム12%、焼結タルク8%、カオリン9%、ガラスフリット35%、150メッシュコランダム6%である。高耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬の化学組成は、SiO2:44.77%、Al2O3:10.87%、Fe2O3:0.20%、TiO2:0.26%、CaO:7.05%、MgO:3.76%、BaO:9.52%、ZnO:15.57%、K2O:2.43%、Na2O:0.69%、Rb2O:64ppm、Y2O3:46ppm、強熱減量:3.68%である。40℃~400℃での高耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬の膨張係数は6.1816×10-6/Kである。
【0055】
得られた研磨釉薬タイルの表面を
図5に示す。
図5の左図は実像、右図は釉薬層を60倍に拡大した写真である。左図から、蛍光管の反射が真っ直ぐで、鏡面光沢度が高く、透明性が高いことがわかり、右図から、気泡が少なく、大きな粒子の結晶や失透成分がなく、インクジェット模様がはっきりしていることがわかる。釉薬タイル耐摩耗性試験機で得られた研磨釉薬タイルの耐摩耗性を試験し、耐摩耗性は6000rpm(レベル4)であ
った。得られた研磨釉薬タイルの遠赤外線法線方向の放射率をフーリエ変換赤外分光計の試験方法で試験した後、その遠赤外線法線方向の放射率は0.89であった。
【0056】
実施例5
実施例1との相違点は以下のとおりである。高耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬の鉱物組成は、遠赤外線長石粉末19%、酸化亜鉛10%、炭酸バリウム12%、焼結タルク7%、カオリン8%、ガラスフリット40%、150メッシュコランダム4%である。高耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬の化学組成は、SiO2:50.0%、Al2O3:9.0%、Fe2O3:0.22%、TiO2:0.27%、CaO:8.31%、MgO:3.38%、BaO:9.52%、ZnO:10.73%、K2O:2.90%、Na2O:0.82%、Rb2O:82ppm、Y2O3:59ppm、強熱減量:3.60%である。40℃~400℃での高耐摩耗性の遠赤外線研磨釉薬の膨張係数は6.0216×10-6/Kである。
【0057】
得られた研磨釉薬タイルの表面を
図6に示す。
図6の左図は実像、右図は釉薬層を60倍に拡大した写真である。左図から、蛍光管の反射が真っ直ぐで、鏡面光沢度が高く、透明性が高いことがわかり、右図から、気泡が少なく、大きな粒子の結晶や失透成分がなく、インクジェット模様がはっきりしていることがわかる。釉薬タイル耐摩耗性試験機の方法で得られた研磨釉薬タイルの耐摩耗性を試験し、耐摩耗性は6000rpm(レベル4)であった。得られた研磨釉薬タイルの遠赤外線法線方向の放射率をフーリエ変換赤外分光計で試験した後、その遠赤外線法線方向の放射率は0.89であった。