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特許7476436箔体の送り装置、及び、箔体に対する波付け装置
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  • 特許-箔体の送り装置、及び、箔体に対する波付け装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】箔体の送り装置、及び、箔体に対する波付け装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 13/04 20060101AFI20240422BHJP
   B21D 47/00 20060101ALI20240422BHJP
   B65H 23/188 20060101ALI20240422BHJP
   B21D 43/00 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
B21D13/04 B
B21D47/00 C
B65H23/188
B21D43/00 J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024508992
(86)(22)【出願日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 JP2023037555
【審査請求日】2024-02-14
(31)【優先権主張番号】P 2022205685
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000104607
【氏名又は名称】株式会社キャタラー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 和樹
(72)【発明者】
【氏名】原田 親志
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-320920(JP,A)
【文献】中国実用新案第211515847(CN,U)
【文献】特開平08-057550(JP,A)
【文献】特開平07-108176(JP,A)
【文献】特開2005-066665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 13/04
B21D 47/00
B65H 23/188
B21D 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に延出する1対の側端を有し、少なくとも一部に一方向の送り方向に沿って連続して延びる非穿孔部を有する箔体を、波付け加工を施す波付け部に向けて送る、箔体の送り装置であって、
前記箔体を前記箔体の前記側端と平行な方向に送り出す送り出し部と、
前記送り出し部と前記波付け部との間の経路上に設けられ、前記送り出し部と前記波付け部との間の前記箔体を前記波付け部に向けて送り出す、第1の箔体押さえと、
前記第1の箔体押さえと前記波付け部との間の経路上に設けられ、前記第1の箔体押さえと前記箔体の送り方向に沿って離間し、前記波付け部と前記第1の箔体押さえとの間の前記箔体を前記波付け部に向けて送り出す、第2の箔体押さえと、
を有し、
前記第1の箔体押さえ及び前記第2の箔体押さえは、前記箔体が前記送り方向に移動する際に前記非穿孔部を押圧しながら、前記箔体に対して前記送り方向に所定の張力を負荷する押圧部をそれぞれ有し、
前記第1の箔体押さえの前記押圧部と、前記第2の箔体押さえの前記押圧部との離間方向は、前記送り方向に平行であ
前記非穿孔部が、前記箔体の前記1対の側端の延出方向に直交する前記箔体の幅方向中央部であって前記側端に平行に形成されているとき、前記第1の箔体押さえの前記押圧部及び前記第2の箔体押さえの前記押圧部は、それぞれ、前記箔体の前記非穿孔部の領域内を前記非穿孔部の幅と同じ又はそれよりも幅狭の面で押さえる、
箔体の送り装置。
【請求項2】
前記第1の箔体押さえは、前記押圧部で前記箔体を押圧させる第1のエアシリンダを有し、
前記第1のエアシリンダは、前記第1の箔体押さえの前記押圧部を介して一定の圧力で前記箔体の前記非穿孔部を押さえ、
前記第2の箔体押さえは、前記押圧部で前記箔体を押圧させる第2のエアシリンダを有し、
前記第2のエアシリンダは、前記第2の箔体押さえの前記押圧部を介して一定の圧力で前記箔体の前記非穿孔部を押さえる、
請求項1に記載の送り装置。
【請求項3】
前記箔体の前記1対の側端を含む側端領域が前記非穿孔部であるとき、前記第1の箔体押さえの前記押圧部及び前記第2の箔体押さえの前記押圧部の少なくとも一方は、二股に分かれて前記箔体の前記側端領域を押さえる、請求項1又は請求項2に記載の送り装置。
【請求項4】
前記非穿孔部が、前記箔体の前記1対の側端を含む側端領域、及び、前記箔体の前記1対の側端の延出方向に直交する前記箔体の幅方向中央部であって前記側端に平行に前記1対の側端に平行に形成されているとき、前記第1の箔体押さえの前記押圧部及び前記第2の箔体押さえの前記押圧部の少なくとも一方は、少なくとも三股に分かれて前記箔体の前記側端領域、及び、前記箔体の幅方向中央部の前記非穿孔部をそれぞれ押さえる、請求項1又は請求項2に記載の送り装置。
【請求項5】
前記箔体の前記1対の側端をそれぞれガイドし、前記1対の側端が送り方向から外れることを抑制するように、前記第1の箔体押さえと前記第2の箔体押さえとの間に設けられる1対のガイド部材を有する、
請求項1又は請求項2に記載の送り装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の箔体の送り装置と、
前記送り装置の前記第2の箔体押さえの下流側に設けられ、前記送り方向に直交する方向に延びる回転軸を有し、前記回転軸の軸回りに回転しながら前記箔体に波付け加工を施す波付け部と
を有する、箔体に対する波付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箔体の送り装置、及び、箔体に対する波付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関から排出される排ガスに含まれる有害物質を浄化させる排気ガス浄化触媒(フィルタ)が用いられる。排気ガス浄化触媒は、触媒が配置されるメタル担体の基体となるハニカム体が外筒内に保持される。
【0003】
メタル担体の基体となるハニカム体は、一般に、それぞれ箔状の平板と波板とが交互に積層された構造体が、ロール状に巻回して製造される。例えば日本国特開平7-108176号公報、日本国特開2005-066665号公報に開示されているように、平板に積層される波板を製造する場合、例えばコイル材(原反ロール)等の供給源から繰り出される箔体(箔状の平板)を送り装置で送り、波付け部で波付け加工されて形成される。
【0004】
この場合、波板を形成するための箔体が波付け部に蛇行して送られると、波付け部で波付けされた波板の品質にバラツキが生じ得る。このため、箔体は、供給源から繰り出される箔体を所定の方向に蛇行を抑制しながら送ることが求められる。
【発明の概要】
【0005】
この発明は、繰り出される箔体を所定の送り方向に送る際に、蛇行を抑制しながら送ることが可能な、箔体の送り装置、及び、その送り装置を含む箔体に対する波付け装置を提供することを目的とする。
【0006】
一態様に係る箔体の送り装置は、互いに平行に延出する1対の側端を有し、少なくとも一部に一方向の送り方向に沿って連続して延びる非穿孔部を有する前記箔体を、波付け加工を施す波付け部に向けて送る。送り装置は、前記箔体を前記1対の側端と平行は方向に送り出す送り出し部と、前記送り出し部と前記波付け部との間の経路上に設けられ、前記送り出し部と前記波付け部との間の前記箔体を前記波付け部に向けて送り出す第1の箔体押さえと、前記第1の箔体押さえと前記波付け部との間の経路上に設けられ、前記第1の箔体押さえと前記箔体の送り方向に沿って離間し、前記波付け部と前記第1の箔体押さえとの間の前記箔体を前記波付け部に向けて送り出す、第2の箔体押さえと、を有する。前記第1の箔体押さえ及び前記第2の箔体押さえは、前記箔体が前記送り方向に移動する際に前記非穿孔部を押圧しながら、前記箔体に対して前記送り方向に所定の張力を負荷する押圧部をそれぞれ有する。前記第1の箔体押さえの前記押圧部と、前記第2の箔体押さえの前記押圧部との離間方向は、前記送り方向に平行である。前記非穿孔部が、前記箔体の前記1対の側端の延出方向に直交する前記箔体の幅方向中央部であって前記側端に平行に形成されているとき、前記第1の箔体押さえの前記押圧部及び前記第2の箔体押さえの前記押圧部は、それぞれ、前記箔体の前記非穿孔部の領域内を前記非穿孔部の幅と同じ又はそれよりも幅狭の面で押さえる。
【0007】
本発明によれば、繰り出される箔体を所定の送り方向に送る際に、蛇行を抑制しながら送ることが可能な、箔体の送り装置、及び、その送り装置を含む箔体に対する波付け装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るメタル担体の基体となるハニカム体の製造装置の一部である、波付け装置の概略図。
図2】第1実施形態に係る、図1の製造装置の波付け装置を上から見た概略図。
図3図1及び図2の製造装置の波付け装置で波付けした波板を用いてハニカム体を形成する製造装置の一部である、搬送装置及び巻回装置の概略図。
図4】第2実施形態に係る、図1の製造装置の波付け装置を上から見た概略図。
図5】第3実施形態に係る、図1の製造装置の波付け装置を上から見た概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら発明を実施するための形態について説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1には、メタル担体の基体となるハニカム体300の製造装置200の一部である、波付け装置10の概略図を示す。図2には、図1の製造装置200の波付け装置10を上から見た概略図を示す。図3には、図1及び図2の製造装置200の波付け装置10で波付けした波板100aを用いてハニカム体300を形成する製造装置200の一部である、搬送装置400及び巻回装置500の概略図を示す。
なお、図1から図3には、XYZ直交座標系を規定する。X軸は、薄板状の箔体100(波板100a)及び平板150の搬送方向に沿う。Y軸は、箔体100(波板100a)及び平板150の幅方向に沿う。幅方向は搬送方向に直交する。Z軸は、箔体100(波板100a)及び平板150の搬送方向及び幅方向に直交する。Z軸は鉛直方向に向くことが好適である。
【0011】
まず、メタル担体の基体となるハニカム体300の一連の製造方法(製造工程)について簡単に説明する。
図1及び図2に示すように、箔体100を加工して波板100aを形成する。そして、波板100aを所定長さに切断した後、図3に示すように、その波板100aの例えば下側に、所定長さの平板150を配置して、搬送装置400のチャック410a,410bで波板100aと平板150とを重ねた積層体を巻回装置500に搬送する。このとき、波板100aの長さ(箔体100の長さではない)と、平板150の長さは、同じであってもよく、異なっていてもよく、後述するようにロール状に巻回しハニカム体300を形成したときに、平板150の長手方向端部に対して波板100aの長手方向端部が出っ張りすぎず、引き込まれすぎていなければよい。
【0012】
そして、巻回装置500は、平板150が巻回装置500のローラ510a,510b上を移動しながら、所定の回転軸500aの軸回りに、波板100aと平板150とを重ねた積層体をロール状に巻回することにより、ハニカム体300を形成する。なお、箔体100の送り装置12と、巻回装置500との配置によっては、回転軸500aは、後述する回転軸22a1と平行である。また、巻回装置500のローラ510a,510bは回転軸500aと平行である。さらに、巻回装置500のローラ510a,510bは、回転軸22a1と平行であり得る。
【0013】
箔体100(波板100a)及び平板150は、例えばステンレス鋼材等の金属材で形成される。
【0014】
本実施形態では、主に、図1及び図2に示すように、箔体100を加工して波板100aを製造する、波付け装置10について説明する。波付け装置10で製造し、切断した波板は、平板150と重ねられて巻回装置500によりハニカム体300が形成される際、ハニカム体300を所定の品質に形成するように、波板100aの波付けを所定の品質に形成することが求められる。
【0015】
波付け装置10は、箔体100の送り装置12と、箔体100に波付け加工を施す波付け部14とを有する。
【0016】
図2に示すように、本実施形態では、箔体100は、少なくとも一部に一方向の送り方向(X軸方向)に沿って連続して延びる非穿孔部(非穿孔帯)110を有し、1対の側端(両端)112,114が互いに平行に延出される。箔体100の1対の側端112,114を含む領域は、非穿孔部110として形成される。なお、本実施形態に係る箔体100の1対の側端112,114を含む側端領域に加えて、1対の側端112,114に対して離間する位置、例えば、1対の側端112,114間の幅方向中央部の領域の、計3つの領域が、非穿孔部110として形成される。すなわち、箔体100は、本実施形態では、長手方向に沿って長く、幅方向に並べられた3つの非穿孔部110を有する。
【0017】
箔体100の長手方向は、箔体100の1対の側端112,114の延出方向に沿う方向として規定される。また、箔体100の幅方向は、1対の側端112,114の延出方向(長手方向)に直交する方向(短手方向)として規定される。
【0018】
隣接する非穿孔部110間は、それぞれ例えば円形状の穿孔122が規則的に並べられて形成された、穿孔部(穿孔帯)120として形成される。穿孔部120の穿孔122は、箔体100の延出方向(送り方向)に沿って所定間隔に並べられている。穿孔部120の穿孔122は、箔体100の延出方向に直交する幅方向に沿って所定間隔にジグザグに並べられている。穿孔122の形状は、多角形や、楕円等、適宜の形状に形成され得る。
【0019】
なお、ここでは箔体100に穿孔部120を有する例について説明するが、穿孔部120(穿孔122)は必ずしも必要というわけではない。すなわち、箔体100の全部が非穿孔部110として形成されていてもよい。
【0020】
また、コイル材22aの箔体100には、予め穿孔部120が形成されていることが好適である。なお、箔体100がコイル材22aから送り装置12に送られる直前に、すなわち、コイル材22aと送り装置12との間で、打ち抜き加工等により、穿孔部120が形成されてもよい。
【0021】
送り装置12は、供給部22と、押圧部240及び受部241を有する第1の箔体押さえ(ゲート)24と、押圧部260及び受部261を有する第2の箔体押さえ(ゲート)26と、1対のガイド部材28a,28bとを有する。
【0022】
供給部22の一例は、箔体100をロール状に巻いたコイル材(原反ロール)22aである。箔体100は、例えば円筒状の芯材(図示せず)に巻き付けられるコイル材22aから引き出される。コイル材22aの回転軸22a1は、Y軸に平行で、床面に水平である。箔体100は、Z軸に沿う厚さが一定の薄板状で、Y軸に沿う幅に対してX軸に沿う長手方向(延出方向)が長く形成される。箔体100の長手方向の長さは、少なくとも10m以上であり、例えば50m程度など、適宜に設定される。
【0023】
供給部22は、コイル材22aを回転軸22a1の軸回りに回転させる。このため、供給部22は、薄板状の箔体100を一方向の所定の送り方向に送り出すことができる。この送り方向は、箔体100の長手方向(送り方向)と平行である。
【0024】
第1の箔体押さえ24は、コイル材22aと波付け部14との間の経路上に設けられ、コイル材22aに対向して配置される。第1の箔体押さえ24は、コイル材22aと波付け部14との間の箔体100を波付け部14に向けて送り出す。このとき、第1の箔体押さえ24は、供給部22による箔体100の供給、第2の箔体押さえ26による箔体100の押さえ、及び、波付け部14による箔板100の波付けと協働して、箔体100の蛇行を抑制するように押さえる。
【0025】
第2の箔体押さえ26は、第1の箔体押さえ24と波付け部14との間の経路上に設けられる。第2の箔体押さえ26は、第1の箔体押さえ24と箔体100の送り方向に沿って離間する。第2の箔体押さえ26は、波付け部14と第1の箔体押さえ24との間の箔体100を波付け部14に向けて送り出す。このとき、第2の箔体押さえ26は、供給部22による箔体100の供給、第1の箔体押さえ24による箔体100の押さえ、及び、波付け部14による波付けと協働して、箔体100の蛇行を抑制するように押さえる。
【0026】
本実施形態では、第1の箔体押さえ24の押圧部240は、箔体100が搬送されているとき、送り方向に移動する箔体100の幅方向中央部の非穿孔部110を受部241に対して連続的に押圧する。押圧部240による押圧方向は、鉛直方向下向き(-Z軸方向)であることが好適である。一方、本実施形態の第1の箔体押さえ24では、箔体100の1対の側端112,114を含む領域を押圧していない。
【0027】
また、第2の箔体押さえ26の押圧部260は、箔体100が搬送されているとき、送り方向に移動する箔体100の幅方向中央部の非穿孔部110を受部261に対して連続的に押圧する。押圧部260による押圧方向は、鉛直方向下向き(-Z軸方向)であることが好適である。一方、本実施形態の第2の箔体押さえ26では、箔体100の1対の側端112,114を含む領域を押圧していない。
【0028】
したがって、それぞれ第1の箔体押さえ24の押圧部240及び受部241の組、及び、第2の箔体押さえ26の押圧部260及び受部261の組は、箔体100の送り方向(X軸方向)に沿う長手方向に沿って連続して延びる箔体100の幅方向中央部の非穿孔部110を連続的に支持する。すなわち、箔体100のうち、幅方向中央部の非穿孔部110は、第1の箔体押さえ24の押圧部240により支持され、かつ、第2の箔体押さえ26の押圧部260により支持されながら、所定方向(送り方向)に搬送される。
【0029】
第1の箔体押さえ24は、押圧部240を箔体100及び受部241に向けて押圧するように伸縮するエアシリンダ(第1のエアシリンダ)244を有する。エアシリンダ244は、押圧部240の例えば直上に設けられ、押圧部240を上下方向に移動させる。エアシリンダ244は例えば一定の圧力で押圧部240のうち、幅方向中央部の押圧部240を箔体100の幅方向中央部の非穿孔部110に向けて押圧し、その非穿孔部110を押さえる。すなわち、第1のエアシリンダ244は、第1の箔体押さえ24の押圧部240を介して例えば一定の圧力で箔体100の非穿孔部110を押さえる。第1の箔体押さえ24は、箔体100に対して、押圧部240と押圧部240に対向する受部241とによって、適宜の摺動抵抗を発揮させる。
【0030】
第2の箔体押さえ26は、押圧部260を箔体100及び受部261に向けて押圧するように伸縮するエアシリンダ(第2のエアシリンダ)264を有する。エアシリンダ264は、押圧部260の例えば直上に設けられ、押圧部260を上下方向に移動させる。エアシリンダ264は例えば一定の圧力で押圧部260のうち、幅方向中央部の押圧部260を箔体100の幅方向中央部の非穿孔部110に向けて押圧し、その非穿孔部110を押さえる。すなわち、第2のエアシリンダ264は、第2の箔体押さえ26の押圧部260を介して例えば一定の圧力で箔体100の非穿孔部110を押さえる。第2の箔体押さえ26は、箔体100に対して、押圧部260と押圧部260に対向する受部261とによって、適宜の摺動抵抗を発揮させる。
【0031】
例えば、上流側の第1の箔体押さえ24の押圧部240と受部241とによる箔体100の非穿孔部110に対する摺動抵抗の方が、下流側の第2の箔体押さえ26の押圧部260と受部261とによる箔体100の非穿孔部110に対する摺動抵抗よりも大きいことが好適である。この場合、下流側の第2の箔体押さえ26の押圧部260及び受部261の組の方が、上流側の第1の箔体押さえ24の押圧部240及び受部241の組に比べて、箔体100の幅方向中央部の非穿孔部110を滑らせて、箔体100を下流側に送りやすい。このため、第1の箔体押さえ24と第2の箔体押さえ26との間で、箔体100に対して送り方向に沿って適宜の張力を与えることができ、第1の箔体押さえ24と第2の箔体押さえ26との間で、箔体100が滞留して送り方向に撓むことを防止することができる。
【0032】
ここでの適宜の張力は、第1の箔体押さえ24と第2の箔体押さえ26との間で箔体100が送り方向に沿う張力によっては切断されず、かつ、箔体100が撓まずに波付け部14のローラ14a,14b間で波付けされる状態に、波付け部14に搬送される張力を意味する。
【0033】
なお、供給部22による箔体100の送り速度が図示しない制御装置により調整されることで、第1の箔体押さえ24の上流側での、箔体100の滞留が抑制される。
【0034】
押圧部240及び受部241の組、押圧部260及び受部261の組における、箔体100の非穿孔部110に当接される領域は、箔体100の非穿孔部110にキズを付けることがないように、角部がない形状に形成される。また、押圧部240及び受部241の組、押圧部260及び受部261の組のうち、箔体100の非穿孔部110に当接される領域は、箔体100の搬送時に箔体100を撓ませることを防止し、平板状態を維持するように、ブレーキをかけすぎるような素材及び形状ではなく、適宜の滑り性を維持する素材及び形状が用いられる。
【0035】
なお、押圧部240,260は、箔体100の非穿孔部110の間の穿孔部120には接触しない大きさに形成される。
【0036】
そして、本実施形態では、第1の箔体押さえ24の押圧部240、及び、第2の箔体押さえ26の押圧部260は、例えばそれぞれ所定方向(送り方向)に延びる線状に形成される。例えば、押圧部240,260の下端部のYZ平面での断面は、下に凸の半球状等、下に凸の曲面として形成される。なお、例えば、押圧部240が箔体100に当接すると、弾性変形により、幅方向に適宜の幅を有し、長手方向に例えば押圧部240の長手方向の長さを有する接触面が形成される。このとき、押圧部240は、箔体100の非穿孔部110の領域内を非穿孔部110の幅と同じ又はそれよりも幅狭の面で押さえる。ここでは、押圧部240の長手方向がX軸方向に沿うとし、幅方向の幅の大きさを無視するものとする。この場合、押圧部240は、箔体100の非穿孔部110を直線状に押圧することができる。同様に、例えば、押圧部260が箔体100に当接すると、弾性変形により、幅方向に適宜の幅を有し、長手方向に例えば押圧部260の長手方向の長さを有する接触面が形成される。このとき、押圧部260は、箔体100の非穿孔部110の領域内を非穿孔部110の幅と同じ又はそれよりも幅狭の面で押さえる。ここでは、押圧部260の長手方向がX軸方向に沿うとし、幅方向の幅の大きさを無視するものとする。この場合、押圧部260は、箔体100の、押圧部240と同じ非穿孔部110を直線状に押圧することができる。これら押圧部240,260の直線状の押圧領域を結ぶ仮想的な線分は、箔体100の送り方向と平行である。すなわち、第1の箔体押さえ24の押圧部240と、第2の箔体押さえ26の押圧部260との離間方向(仮想的な線分が沿う方向)は、供給部22から箔体100が送られる送り方向に平行である。このため、送り装置12は、離間した2箇所(押圧部240と受部241の組、及び、押圧部260と受部261の組)で箔体100の共通の非穿孔部110を直線状に押圧しながら、箔体100を所定方向に送る。したがって、箔体100が振れることが抑制され、箔体100の非穿孔部110は、送り方向に負荷される上述した張力によって送り方向からずれ難く、箔体100の蛇行が抑制された状態で、送り方向に送られる。
なお、第1の箔体押さえ24の幅方向中央部の押圧部240で非穿孔部110を押圧する領域に含まれる第1の押圧線領域242を規定する。本実施形態では、押圧部240に対向する受部241が上に凸の円柱状に形成される。このため、押圧部240と箔体100の非穿孔部110との接触領域は、長手方向に沿って長く形成されていなくてもよい。第2の箔体押さえ26の幅方向中央部の押圧部260で非穿孔部110を押圧する領域に含まれる第2の押圧線領域262を規定する。本実施形態では、押圧部260に対向する受部241が上に凸の円柱状に形成される。このため、押圧部260と箔体100の非穿孔部110との接触領域は、長手方向に沿って長く形成されていなくてもよい。このとき、線状の第1の押圧線領域242と線状の第2の押圧線領域262とを仮想的に結ぶ線分は、所定方向(送り方向)、すなわち、X軸方向に平行である。このため、押圧部240と受部241の組、及び、押圧部260と受部261の組の離間する2箇所(2点)によって長手方向に延びる非穿孔部110を支持することにより、箔体100に適宜の張力を与えながら、下流側に送ることができる。したがって、押圧部240と受部241の組、及び、押圧部260と受部261の組が直線状に接する場合と同様に、箔体100の非穿孔部110は、送り方向に負荷される上述した張力によって送り方向からずれ難く、箔体100の蛇行が抑制された状態で、送り方向に送られる。
【0037】
1対のガイド部材28a,28bは、例えば、第1の箔体押さえ24と第2の箔体押さえ26との間に設けられる。図示しないが、第1の箔体押さえ24に対して、1対のガイド部材28a,28bと同様のガイド部材が設けられ、第2の箔体押さえ26に対して、1対のガイド部材28a,28bと同様のガイド部材が設けられることも好適である。また、第2の箔体押さえ26と、波付け部14との間に例えば1対のガイド部材28a,28bと同様のガイド部材28cが設けられることも好適である。
【0038】
1対のガイド部材28a,28bには、例えば幅方向(Y軸方向)に沿う長穴28a1,28a2,28b1,28b2が形成されている。1対のガイド部材28a,28bの下側には、それぞれ図示しないプレートが配設されている。そして、ネジ29a1,29a2,29b1,29b2を、これら長穴28a1,28a2,28b1,28b2を通してプレートに固定することにより、1対のガイド部材28a,28bを位置調整可能である。
【0039】
1対のガイド部材28a,28bは、箔体100の1対の側端112,114をそれぞれガイドする。1対のガイド部材28a,28bは、例えば互いに平行な平面として形成される。したがって、1対のガイド部材28a,28bは、1対の側端112,114が送り方向から外れ、箔体100が蛇行することを抑制する。
【0040】
なお、1対のガイド部材28a,28bは、第1の箔体押さえ24及び第2の箔体押さえ26によって箔体100の蛇行が抑制できれば、不要となり得る。
【0041】
波付け部14は、例えば1対の波付けローラ14a,14bを有し、箔体100に波付け加工を施す。1対の波付けローラ14a,14bの回転軸14a1,14b1は、コイル材22aの回転軸22a1と平行である。また、回転軸14a1,14b1は、Z軸方向に離間することが好適である。波付けローラ14a,14bの外周面には、それぞれ平歯車のように多数の歯が形成される。波付けローラ14a,14bの歯は、箔体100の幅方向(Y軸方向)に平行な状態に形成されている。
波付けローラ14a,14bの外周面の歯同士が互いに噛み合わせられ、波付けローラ14a,14b間を箔体100が通るときに、箔体100に波付けされる。このため、波付けローラ14a,14b間を上流側から下流側に通った箔体100は、波板100aとして形成される。波板100aは、波付けされた直後に例えば所定長さに切断される。または、波板100aは、一旦、例えばコイル材22aのように巻回され、ハニカム体300として形成される際に切断されてもよい。
【0042】
本実施形態によれば、第1の箔体押さえ24の押圧部240及び受部241の組と第2の箔体押さえ26の押圧部260及び受部261の組とを送り方向に離間して配置した。そして、第1の箔体押さえ24の押圧部240及び受部241の組と第2の箔体押さえ26の押圧部260及び受部261の組とによって、箔体100の非穿孔部110を2箇所で支持することができる。このとき、第1の箔体押さえ24の押圧部240及び受部241の組と第2の箔体押さえ26の押圧部260及び受部261の組との間の箔体100に適宜の張力を負荷して、その箔体100を波付け部14に送ることができる。このため、箔体100は、送り方向に負荷される張力によって箔体100の非穿孔部110が送り方向からずれ難くされ、箔体100の蛇行が抑制された状態で、送り装置12によって、所定の送り方向(下流側の波付け部14)に送られる。
【0043】
したがって、本実施形態によれば、繰り出される箔体100を所定の方向に送る際に、蛇行を抑制しながら波付け部14に送ることが可能な、箔体100の送り装置12、及び、その送り装置12を含む箔体100に対する波付け装置10を提供することができる。
また、ガイド部材28a,28bを用いることにより、繰り出される箔体100を所定の方向に、より蛇行を抑制しながら波付け部14に送ることができる。
【0044】
本実施形態では、送り装置12の第1の箔体押さえ24がエアシリンダ244を有し、第2の箔体押さえ26がエアシリンダ264を有する例について説明した。エアシリンダ244,264を用いずに、箔体100の非穿孔部110を適宜の圧力で押圧することができ、例えば、押圧部240,260と箔体100との間に所定の範囲の摺動抵抗を発揮させることができるのであれば、エアシリンダ244,264は不要となり得る。
【0045】
また、本実施形態で説明したエアシリンダ244,264の代わりに、受部241,261に圧力センサ等を配置し、フィードバック制御により、サーボモータ等で押圧部240,260を動かすことも好適である。この場合、押圧部240,260から箔体100の非穿孔部110に所望の押圧力が負荷されるように制御することができる。また、押圧部240,260を受部241,261に対して近接及び離隔させるものとして、適宜のアクチュエータを用いることができる。
【0046】
本実施形態では、箔体100は、穿孔部120を有する例について説明した。穿孔部120は必ずしも必要ではない。このため、箔体100は、全面が非穿孔部110で形成されていてもよい。
【0047】
(第2実施形態)
第2実施形態について、図4を用いて説明する。本実施形態は第1実施形態の変形例であって、第1実施形態で説明した部材と同一の部材及び/又は同一の機能を有する部材には極力同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0048】
第1の箔体押さえ24は、2つの組の押圧部240及び受部241を有する。ここでは、一方の組の押圧部240及び受部241は、側端112を含む領域の非穿孔部110を押圧し、他方の組の押圧部240及び受部241は、側端114を含む領域の非穿孔部110を押圧するものとする。このため、押圧部240は、例えば二股に分かれて箔体100の側端112,114を含む領域(非穿孔部110)を押さえる。このとき、押圧部240は、箔体100の側端112,114を含む領域(非穿孔部110)内を、それぞれの非穿孔部110の幅と同じ又はそれよりも幅狭の面で押さえることが好適である。
このため、本実施形態に係る押圧部240及び受部241の組は、箔体100の幅方向中央部の非穿孔部110を押圧しない例である。
【0049】
第2の箔体押さえ26は、2つの組の押圧部260及び受部261を有する。ここでは、一方の組の押圧部260及び受部261は、側端112を含む領域の非穿孔部110を押圧し、他方の組の押圧部260及び受部261は、側端114を含む領域の非穿孔部110を押圧するものとする。このため、押圧部260は、例えば二股に分かれて箔体100の側端112,114を含む領域(非穿孔部110)を押さえる。このとき、押圧部260は、箔体100の側端112,114を含む領域(非穿孔部110)内を、それぞれの非穿孔部110の幅と同じ又はそれよりも幅狭の面で押さえることが好適である。
このため、本実施形態に係る押圧部260及び受部261の組は、箔体100の幅方向中央部の非穿孔部110を押圧しない例である。
【0050】
この場合、第1のエアシリンダ244は、1つを2つの押圧部240を移動させるように形成されていてもよく、各押圧部240ごとに設けられていてもよい。同様に、第2のエアシリンダ264は、1つを2つの押圧部260を移動させるように形成されていてもよく、各押圧部260ごとに設けられていてもよい。
【0051】
例えば、上流側の第1の箔体押さえ24の押圧部240と受部241との組による箔体100の非穿孔部110に対する摺動抵抗の方が、下流側の第2の箔体押さえ26の押圧部260と受部261との組による箔体100の非穿孔部110に対する摺動抵抗よりも大きいことが好適である。
【0052】
本実施形態に係る送り装置12は、長手方向に離間した2箇所(押圧部240と受部241の組、及び、押圧部260と受部261の組)で箔体100の共通の非穿孔部110を直線状に押圧しながら、箔体100を所定方向に送る。本実施形態では、押圧部240と受部241の組、及び、押圧部260と受部261の組がそれぞれ2組であるので、1つの非穿孔部110をそれぞれ2箇所で、2つの非穿孔部110を計4箇所で長手方向に沿う直線状に押圧しながら、箔体100を所定方向に送る。したがって、箔体100が振れることが抑制され、箔体100の非穿孔部110は、送り方向に負荷される上述した張力によって送り方向からずれ難く、箔体100の蛇行が抑制された状態で、送り方向に送られる。
【0053】
したがって、本実施形態によれば、繰り出される箔体100を所定の方向に送る際に、蛇行を抑制しながら波付け部14に送ることが可能な、箔体100の送り装置12、及び、その送り装置12を含む箔体100に対する波付け装置10を提供することができる。
また、ガイド部材28a,28bを用いることにより、繰り出される箔体100を所定の方向に、より蛇行を抑制しながら波付け部14に送ることができる。
【0054】
なお、本実施形態では、第1の箔体押さえ24の押圧部240と受部241との組の数、第2の箔体押さえ26の押圧部260と受部261との組の数がそれぞれ2であり、押圧部240,260が二股である例について説明した。第1の箔体押さえ24の押圧部240と受部241との組の数、第2の箔体押さえ26の押圧部260と受部261との組の数のいずれかが1であってもよい。すなわち、箔体100の1対の側端112,114を含む側端領域が非穿孔部110であるとき、第1の箔体押さえ24の押圧部240及び第2の箔体押さえ26の押圧部260の少なくとも一方が二股に分かれて箔体100の側端領域を押さえることができればよい。このような場合も、第1の箔体押さえ24と第2の箔体押さえ26との間で箔体100が滞留することを抑制するため、第1の箔体押さえ24の押圧部240と受部241との全体による箔体100の非穿孔部110に対する摺動抵抗の方が、第2の箔体押さえ26の押圧部260と受部261との全体による箔体100の非穿孔部110に対する摺動抵抗よりも大きいことが好適である。このため、第1の箔体押さえ24と第2の箔体押さえ26との間で、箔体100に対して送り方向に沿って適宜の張力を与えることができ、第1の箔体押さえ24と第2の箔体押さえ26との間で、箔体100が滞留して送り方向に撓むことを防止することができる。
【0055】
(第3実施形態)
第3実施形態について、図5を用いて説明する。本実施形態は第1実施形態及び第2実施形態の変形例であって、第1実施形態及び第2実施形態で説明した部材と同一の部材及び/又は同一の機能を有する部材には極力同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0056】
第1の箔体押さえ24は、3つの組の押圧部240及び受部241を有する。ここでは、1つの押圧部240及び受部241の組は、側端112を含む領域の非穿孔部110を押圧し、残りの2つのうち、1つの押圧部240及び受部241の組は、側端114を含む領域の非穿孔部110を押圧し、残りの1つの押圧部240及び受部241の組は、側端112,114間の幅方向中央部の領域の非穿孔部110を押圧するものとする。このため、押圧部240は、例えば三股に分かれて箔体100の側端112,114を含む領域である非穿孔部110、及び、幅方向中央部の非穿孔部110を押さえる。このとき、押圧部240は、箔体100の3つの非穿孔部110を、それぞれの非穿孔部110の幅と同じ又はそれよりも幅狭の面で押さえることが好適である。
【0057】
第2の箔体押さえ26は、3つの組の押圧部260及び受部261を有する。ここでは、1つの押圧部260及び受部261の組は、側端112を含む領域の非穿孔部110を押圧し、残りの2つのうち、1つの押圧部260及び受部261の組は、側端114を含む領域の非穿孔部110を押圧し、残りの1つの押圧部260及び受部261の組は、側端112,114間の幅方向中央部の領域の非穿孔部110を押圧するものとする。このため、押圧部260は、例えば三股に分かれて箔体100の側端112,114を含む領域である非穿孔部110、及び、幅方向中央部の非穿孔部110を押さえる。このとき、押圧部260は、箔体100の3つの非穿孔部110を、それぞれの非穿孔部110の幅と同じ又はそれよりも幅狭の面で押さえることが好適である。
【0058】
この場合、第1のエアシリンダ244は、1つを3つの押圧部240を移動させるように形成されていてもよく、各押圧部240ごとに設けられていてもよい。同様に、第2のエアシリンダ264は、1つを3つの押圧部260を移動させるように形成されていてもよく、各押圧部260ごとに設けられていてもよい。
【0059】
本実施形態に係る送り装置12は、長手方向に離間した2箇所(押圧部240と受部241の組、及び、押圧部260と受部261の組)で箔体100の共通の非穿孔部110を直線状に押圧しながら、箔体100を所定方向に送る。本実施形態では、押圧部240と受部241の組、及び、押圧部260と受部261の組がそれぞれ3組であるので、1つの非穿孔部110をそれぞれ2箇所で、3つの非穿孔部110を計6箇所で長手方向に沿う直線状に押圧しながら、箔体100を所定方向に送る。したがって、箔体100が振れることが抑制され、箔体100の非穿孔部110は、送り方向に負荷される上述した張力によって送り方向からずれ難く、箔体100の蛇行が抑制された状態で、送り方向に送られる。
【0060】
したがって、本実施形態によれば、繰り出される箔体100を所定の方向に送る際に、蛇行を抑制しながら波付け部14に送ることが可能な、箔体100の送り装置12、及び、その送り装置12を含む箔体100に対する波付け装置10を提供することができる。
【0061】
また、ガイド部材28a,28bを用いることにより、繰り出される箔体100を所定の方向に、より蛇行を抑制しながら波付け部14に送ることができる。
【0062】
なお、本実施形態では、第1の箔体押さえ24の押圧部240と受部241との組の数、第2の箔体押さえ26の押圧部260と受部261との組の数がそれぞれ3であり、押圧部240,260が三股である例について説明した。第1の箔体押さえ24の押圧部240と受部241との組の数、第2の箔体押さえ26の押圧部260と受部261との組の数のいずれかが1又は2であってもよい。すなわち、箔体100の1対の側端112,114を含む側端領域が非穿孔部110であるとき、第1の箔体押さえ24の押圧部240及び第2の箔体押さえ26の押圧部260の少なくとも一方が三股に分かれて箔体100の側端領域を押さえることができればよい。このような場合も、第1の箔体押さえ24と第2の箔体押さえ26との間で箔体100が滞留することを抑制するため、第1の箔体押さえ24の押圧部240と受部241との全体による箔体100の非穿孔部110に対する摺動抵抗の方が、第2の箔体押さえ26の押圧部260と受部261との全体による箔体100の非穿孔部110に対する摺動抵抗よりも大きいことが好適である。このため、第1の箔体押さえ24と第2の箔体押さえ26との間で、箔体100に対して送り方向に沿って適宜の張力を与えることができ、第1の箔体押さえ24と第2の箔体押さえ26との間で、箔体100が滞留して送り方向に撓むことを防止することができる。
【0063】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下、出願時の請求の範囲を付記する。
[付記1]
互いに平行に延出する1対の側端を有し、少なくとも一部に一方向の送り方向に沿って連続して延びる非穿孔部を有する箔体を、波付け加工を施す波付け部に向けて送る、箔体の送り装置であって、
前記箔体を前記箔体の前記側端と平行な方向に送り出す送り出し部と、
前記送り出し部と前記波付け部との間の経路上に設けられ、前記送り出し部と前記波付け部との間の前記箔体を前記波付け部に向けて送り出す、第1の箔体押さえと、
前記第1の箔体押さえと前記波付け部との間の経路上に設けられ、前記第1の箔体押さえと前記箔体の送り方向に沿って離間し、前記波付け部と前記第1の箔体押さえとの間の前記箔体を前記波付け部に向けて送り出す、第2の箔体押さえと、
を有し、
前記第1の箔体押さえ及び前記第2の箔体押さえは、前記箔体が前記送り方向に移動する際に前記非穿孔部を押圧しながら、前記箔体に対して前記送り方向に所定の張力を負荷する押圧部をそれぞれ有し、
前記第1の箔体押さえの前記押圧部と、前記第2の箔体押さえの前記押圧部との離間方向は、前記送り方向に平行である、
箔体の送り装置。
[付記2]
前記第1の箔体押さえは、前記押圧部で前記箔体を押圧させる第1のエアシリンダを有し、
前記第1のエアシリンダは、前記第1の箔体押さえの前記押圧部を介して一定の圧力で前記箔体の前記非穿孔部を押さえ、
前記第2の箔体押さえは、前記押圧部で前記箔体を押圧させる第2のエアシリンダを有し、
前記第2のエアシリンダは、前記第2の箔体押さえの前記押圧部を介して一定の圧力で前記箔体の前記非穿孔部を押さえる、
付記1に記載の送り装置。
[付記3]
前記非穿孔部が、前記箔体の前記1対の側端の延出方向に直交する前記箔体の幅方向中央部であって前記側端に平行に形成されているとき、前記第1の箔体押さえの前記押圧部及び前記第2の箔体押さえの前記押圧部は、それぞれ、前記箔体の前記非穿孔部の領域内を前記非穿孔部の幅と同じ又はそれよりも幅狭の面で押さえる、付記1又は付記2に記載の送り装置。
[付記4]
前記箔体の前記1対の側端を含む側端領域が前記非穿孔部であるとき、前記第1の箔体押さえの前記押圧部及び前記第2の箔体押さえの前記押圧部の少なくとも一方は、二股に分かれて前記箔体の前記側端領域を押さえる、付記1又は付記2に記載の送り装置。
[付記5]
前記非穿孔部が、前記箔体の前記1対の側端を含む側端領域、及び、前記箔体の前記1対の側端の延出方向に直交する前記箔体の幅方向中央部であって前記側端に平行に前記1対の側端に平行に形成されているとき、前記第1の箔体押さえの前記押圧部及び前記第2の箔体押さえの前記押圧部の少なくとも一方は、少なくとも三股に分かれて前記箔体の前記側端領域、及び、前記箔体の幅方向中央部の前記非穿孔部をそれぞれ押さえる、付記1又は付記2に記載の送り装置。
[付記6]
前記箔体の前記1対の側端をそれぞれガイドし、前記1対の側端が送り方向から外れることを抑制するように、前記第1の箔体押さえと前記第2の箔体押さえとの間に設けられる1対のガイド部材を有する、
付記1ないし付記5のいずれか1に記載の送り装置。
[付記7]
付記1ないし付記6のいずれか1に記載の箔体の送り装置と、
前記送り装置の前記第2の箔体押さえの下流側に設けられ、前記送り方向に直交する方向に延びる回転軸を有し、前記回転軸の軸回りに回転しながら前記箔体に波付け加工を施す波付け部と
を有する、箔体に対する波付け装置。
【要約】
箔体の送り装置は、箔体を、波付け加工を施す波付け部に向けて送る。送り装置は、前記箔体を前記箔体の1対の側端と平行な送り方向に送り出す送り出し部と、第1の箔体押さえと、第2の箔体押さえと、を有する。第1の箔体押さえ及び第2の箔体押さえは、前記送り出し部と前記波付け部との間の前記箔体を前記波付け部に向けて送り出す。前記第1の箔体押さえ及び前記第2の箔体押さえは、前記箔体が前記送り方向に移動する際に前記非穿孔部を押圧しながら、前記箔体に対して前記送り方向に所定の張力を負荷する押圧部をそれぞれ有する。前記第1の箔体押さえの前記押圧部と、前記第2の箔体押さえの前記押圧部との離間方向は、前記送り方向に平行である。
図1
図2
図3
図4
図5