(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】UV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク
(51)【国際特許分類】
C09D 11/101 20140101AFI20240423BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20240423BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20240423BHJP
C09D 11/037 20140101ALI20240423BHJP
【FI】
C09D11/101
B32B27/20 A
B32B27/30 A
C09D11/037
(21)【出願番号】P 2021548593
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 EP2020052264
(87)【国際公開番号】W WO2020169316
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2023-01-04
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】311007051
【氏名又は名称】シクパ ホルディング ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】SICPA HOLDING SA
【住所又は居所原語表記】Avenue de Florissant 41,CH-1008 Prilly, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ヴェヤ, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】モンニー, アンジェル
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-119598(JP,A)
【文献】特開2013-158933(JP,A)
【文献】国際公開第2018/041935(WO,A1)
【文献】特表2016-534901(JP,A)
【文献】特開2001-106937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/10
B32B 27/20
B32B 27/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)75~99重量%の、25℃で200~2000mPasの粘度を有するインクビヒクルであって、
a)25~55重量%の、1つまたは複数の、分子量が800g/モルeqPSを超えるラジカル硬化性オリゴマー、
b)10~50重量%の、1つまたは複数の、以下のi~iiiからなる群から選択されるラジカル硬化性モノマー:
i.トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、アルコキシル化トリメチロールプロパントリメタクリレート、アルコキシル化グリセロールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、アルコキシル化ペンタエリトリトールトリアクリレート、およびこれらの混合物からなる群から選択されるトリアクリレート;
ii.ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルコキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレートおよびそれらの混合物からなる群より選択されるテトラアクリレート;
iii.ならびにその混合物;
c)0.1~20重量%の、1つまたは複数のフリーラジカル光開始剤、
d)任意の50重量%以下の、1つまたは複数の、モノアクリレート、ジアクリレートおよびそれらの混合物から選択される、ラジカル硬化性モノマーである反応希釈剤、
を含むインクビヒクル(但し、a)、b)、c)およびd)の重量百分率は、インクビヒクルの総重量に基づく)と、
ii)1~25重量%の、フレーク状の非金属または金属基材を含む顔料であって、当該非金属または金属基材が、1つまたは複数の金属酸化物、1つまたは複数の金属酸化物水和物、1つまたは複数の金属亜酸化物、1つまたは複数の金属フッ化物、またはこれらの材料の混合物から独立して作製された1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティング層を含み、且つ環境に面する少なくとも部分的な表面処理層を含み、当該表面処理層は1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティング層の最上層と直接接触し、フルオロ化合物から選択される1つまたは複数の表面改質剤から作製され、前記フルオロ化合物が、1つまたは複数のリン(P)含有基、または、1つまたは複数のシリコン(Si)含有基で官能化されている顔料と、
を含有するUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク(但し、i)およびii)の重量パーセントは、UV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインクの総重量に基づく)。
【請求項2】
前記顔料が、1つまたは複数の金属層を含む多層からなるフレーク状の金属基材を含み、且つ前記顔料が、1つまたは複数の金属酸化物および/または1つまたは複数の金属フッ化物から独立して作製された1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティングを含む、請求項1に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク。
【請求項3】
前記金属基材が、1つまたは複数の金属酸化物から独立して作製された1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティングを含む、請求項2に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク。
【請求項4】
前記顔料が、天然マイカ、合成マイカ及びガラスからなる群から選択される1つまたは複数の材料からなるフレーク状の非金属基材を含む、請求項1に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク。
【請求項5】
前記非金属基材が、1つまたは複数の金属酸化物から独立して作製された1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティングを含む、請求項4に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク。
【請求項6】
前記フルオロ化合物が、1つまたは複数のホスフェート含有基、1つまたは複数のシラン含有基、または1つまたは複数のシロキサン含有基で官能化されたパーフルオロポリエーテルである、請求項1~5のいずれか一項に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク。
【請求項7】
前記フルオロ化合物がフルオロアルキルであり、前記フルオロアルキルが1つまたは複数のシロキサン含有基で官能化されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク。
【請求項8】
前記フレーク
状の非金属または金属基材が、1~100μmの平均粒径(d50)を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク。
【請求項9】
1つまたは複数のカチオン硬化性化合物を更に含み、且つ1つまたは複数のカチオン光開始剤を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク。
【請求項10】
1つまたは複数の染料および/または1つまたは複数の無機顔料、有機顔料またはそれらの混合物を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク。
【請求項11】
セキュリティ文書または物品上に1つまたは複数のセキュリティ特徴を製造するための、請求項1~10のいずれか一項に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインクの使用。
【請求項12】
a.請求項1~10のいずれか一項に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインクを基材上に印刷する工程と、
b.UV-Vis放射線の存在下で、セキュリティ特徴を形成するように、UV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインクを硬化させる工程と、
によって得られるセキュリティ特徴。
【請求項13】
基材と、請求項1~10のいずれか一項に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインクのUV-Vis放射線硬化によって得られる放射線硬化コーティングとを含む物品。
【請求項14】
前記基材が、紙または他の繊維材料、紙含有材料、ガラス、金属、セラミックス、プラスチックおよびポリマー、金属化プラスチックまたはポリマー、複合材料、およびそれらの2以上の混合物または組み合わせからなる群より選択される、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
請求項13または14に記載の物品を製造する方法であって、
a.請求項1~10のいずれか一項に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインクを基材上に印刷する工程と、
b.1つまたは複数のセキュリティ特徴を形成するように、UV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインクを硬化させる工程と、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[001] 本発明は、基材、特にセキュリティ文書またはセキュリティ物品にセキュリティ特徴を印刷するのに適したセキュリティインクの分野に関する。
【0002】
[発明の背景]
[002] カラーコピーやカラー印刷の品質が絶えず向上し、紙幣、有価文書やカード、交通切符やカード、タックス・バンダロール、製品ラベルなどの偽造・変造・違法複製の影響を受けないセキュリティ文書を保護するために、これらの文書に様々なセキュリティ手段の特徴を組み込むことが従来から行われている。
【0003】
[003] 例えばセキュリティ文書に対するセキュリティ特徴は、一般に、一方では「隠れた」セキュリティ特徴、他方では「明白な」セキュリティ特徴に分類することができる。隠れたセキュリティ特徴によって提供される保護は、そのような特徴は検出が困難であり、典型的には、検出のために特殊な機器および知識を必要とするという概念に依拠し、一方、「明白な」セキュリティ特徴は、補助されない人間の感覚で容易に検出可能であるという概念に依拠し、例えば、そのような特徴は、依然として生成および/またはコピーが困難であるが、触覚を介して可視および/または検出可能であり得る。しかしながら、ほとんどのユーザ、特に、それによって保護された文書またはアイテムのセキュリティ特徴についての事前の知識を有していないユーザは、それらの存在および性質についての実際の知識を有している場合にのみ、セキュリティ特徴に基づいてセキュリティチェックを実際に実行するため、明白なセキュリティ特徴の有効性は、セキュリティ特徴としてのそれらの容易な認識に大きく依存する。
【0004】
[004] 顕在的なセキュリティ特徴の例には、反射特徴および光学的に可変な特徴が含まれ、セキュリティ特徴は、観察角度の変化に応じて、明度および/または彩度および/または色相の変化によって表されるカラーシフトまたはカラー変化を示す。典型的には、セキュリティ特徴は、フレーク状の多層干渉顔料を含むインクから製造される。
【0005】
[005] WO2003/020834A1は、光学的に可変なセキュリティ特徴を生成するためのフレーク形状の多層干渉顔料を含む水ベースのセキュリティインクを開示している。水性インク中の顔料の腐食を回避または低減する目的で、顔料の表面は、例えばフッ素化リン酸有機エステルなどの不動態化剤によって処理される。しかし、水ベースのセキュリティインクは印刷が困難であり、その結果、長い乾燥プロセスが生じる。
【0006】
[006] WO2006/117271A1は、光学的に可変なセキュリティ特徴を生成するためのフレーク形状の多層干渉顔料を含む溶媒ベースのセキュリティインクを開示している。しかしながら、環境問題に対する公衆の感受性の増大、ならびにREACHおよびGHSなどの環境規制に対する化学産業の必要な応答性は、著しく低減された量の有機溶媒(揮発性有機成分、VOC)を含有するインクの配合をもたらし、上記フレーク状顔料を含むUV-Vis硬化性スクリーン印刷インクの開発を産業に動機付けた。
【0007】
[007] フレーク状顔料を含む反射特徴部及び光学的可変特徴部の知覚される光学特性は、基材上の乾燥インク中の上記フレーク状顔料の配向に依存することが当該技術分野において既知である。フレーク状顔料を含む水系または溶媒系インクの段階的な乾燥プロセスは、有利には、上記塗布されたインクの厚さの低減を可能にし、フレーク状顔料が、上記インクが塗布される基材に対して実質的に平行に配向することを可能にし、したがって、良好な光学特性を示す反射特徴および光学的可変をもたらすが、フレーク状顔料を含むUV-Vis硬化性インクの瞬間的な硬化プロセスは、上記顔料のランダムな配向をもたらし、したがって、不十分な光学特性を示し得る反射特徴および光学的可変をもたらし得る。
【0008】
[008] フレーク形状の顔料に基づく反射特徴および光学的に可変のセキュリティ特徴の顕著な効果および光学的特性を改善する目的で、上記顔料は、疎水性化合物で表面処理されており、その結果、上記顔料は、上記顔料を含むインクが塗布される基材に実質的に平行な平面内により容易に配置される。表面処理顔料は、文献ではリーフィング顔料と呼ばれている。
【0009】
[009] EP1090963A1は、フッ素含有ホスフェートで表面処理されたフレーク状の玉虫色顔料、ならびに該顔料を含むインク、塗料、プラスチックまたは化粧品を開示している。EP1090963A1は、溶媒ベースのグラビア印刷インクを開示している。
【0010】
[010] US2002/0096087は、例えばフッ素含有シランのような少なくとも1種の有機疎水性カップリング剤を含有する小板形状顔料、並びに塗料、インク、プラスチック、コーティングおよび化粧品におけるそれらの使用に基づく小板形状真珠光沢顔料を開示している。
【0011】
[011] US2004/0069187には、カップリング剤およびパーフルオロアルキル基を有する有機化合物で被覆された薄片状顔料、ならびに印刷インクにおけるそれらの使用が開示されている。
【0012】
[012] US2015/0166799は、フルオロアルキル基と、少なくとも1種のシロキサンおよび/または少なくとも1種のシランから構築された親水性基とを含有する有機コーティングでコーティングされたフレーク状効果顔料、ならびに多くの用途におけるそれらの使用、ならびに塗料、インク、プラスチック、コーティングおよび化粧品におけるそれらの使用を開示した。
【0013】
[013] US2016/0207344は、基材上の少なくとも2つの領域単位からなる印刷画像を開示しており、第1の領域単位は、非金属無機材料を含む外層を含む第1のフレーク状効果顔料を含み、第2の領域単位は、フルオロアルキル基及びアミノアルキル基を含有する有機官能性シロキサンなどの有機表面改質剤を含む外層を含む第2のフレーク状効果顔料を含む。US2016/0207344は、溶媒系インクまたはUV-Vis硬化性インクであり得る印刷インクを開示している。
【0014】
[014] WO2013/119387A1は、リーフィング金属顔料フレーク、アクリレートオリゴマーおよび/またはアクリレートモノマー、開始剤または開始剤の混合物、ならびに第三級アミンである硬化促進剤を含むUV-Vis硬化性金属装飾組成物を開示している。開示されたリーフィング金属顔料フレークは、脂肪酸、リン化合物、シランまたは脂肪族アミンで表面処理される。開示されたUV-Vis硬化性インクは、劣った視覚的外観及び低い彩度を含む劣った光学特性を有する。
【0015】
[015] したがって、フレーク形状の多層干渉顔料に基づく反射特徴および光学的可変特徴を製造するための、特に、高い偽造復元力および優れた光学特性を必要とする高度に要求の厳しい用途のための、無溶媒または低VOC含有UV-Vis硬化性セキュリティインクであって、上記セキュリティ特徴が、彩度、明度および/またはカラーシフト特性に関して改善された光学特性を示す、UV-Vis硬化性セキュリティインクが依然として必要とされている。
【0016】
[要旨]
[016] 従って、本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を克服することである。
【0017】
[017] 第1の態様では、本発明は、
i)約75~約99重量%の、25℃で約200~約2000mPasの粘度を有するインクビヒクルであって、
a)約25~約55重量%の、1つまたは複数の、分子量が800g/モルeqPSを超えるラジカル硬化性オリゴマー、
b)約10~約50重量%の、1つまたは複数の、以下のi~iiiからなる群から選択されるラジカル硬化性モノマー:
i.トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、アルコキシル化トリメチロールプロパントリメタクリレート、アルコキシル化グリセロールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、アルコキシル化ペンタエリトリトールトリアクリレート、およびこれらの混合物からなる群から選択されるトリアクリレート、好ましくはトリメチロールプロパントリアクリレート、アルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、アルコキシル化グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、およびこれらの混合物からなる群から選択されるトリアクリレート;
ii.ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルコキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレートおよびそれらの混合物からなる群より選択されるテトラアクリレート、好ましくはジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、アルコキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレートおよびそれらの混合物からなる群より選択されるテトラアクリレート;
iii.ならびにその混合物;
c)約0.1~約20重量%の、1つまたは複数のフリーラジカル光開始剤、好ましくはアミノケトン、ヒドロキシケトン、アルコキシケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ケトスルフォン、ベンジルケタール;ベンゾインエーテル、ホスフィンオキシド、フェニルグリオキシレート、チオキサントン、およびそれらの混合物からなる群より選ばれるフリーラジカル光開始剤、より好ましくはホスフィンオキシド、α-ヒドロキシケトン、およびそれらの混合物からなる群より選択されるフリーラジカル光開始剤、
d)任意の50重量%以下の、1つまたは複数の、モノアクリレート、ジアクリレートおよびそれらの混合物から選択される、ラジカル硬化性モノマーである反応希釈剤、
を含むインクビヒクル(但し、a)、b)、c)およびd)の重量百分率は、インクビヒクルの総重量に基づく)と、
ii)約1~約25重量%の、フレーク状の非金属または金属基材を含む顔料であって、当該非金属または金属基材が、1つまたは複数の金属酸化物、1つまたは複数の金属酸化物水和物、1つまたは複数の金属亜酸化物、1つまたは複数の金属フッ化物、またはこれらの材料の混合物から独立して作製された1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティング層を含み、且つ環境に面する少なくとも部分的な表面処理層を含み、当該表面処理層は1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティング層の最上層と直接接触し、フルオロ化合物から選択される1つまたは複数の表面改質剤から作製され、前記フルオロ化合物が、1つまたは複数のリン(P)含有基、または、1つまたは複数のシリコン(Si)含有基で官能化されている顔料と、
を含有するUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク、好ましくはUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインクを提供する。
【0018】
[018] 本明細書に記載されるUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク、好ましくは本明細書に記載されるUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインクの、セキュリティ文書または物品上の1つまたは複数のセキュリティ特徴およびそれらから得られるセキュリティ特徴を製造するための使用も本明細書に記載される。
【0019】
[019] また、本明細書に記載されるUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク、好ましくは本明細書に記載されるUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインクから作製されるセキュリティ特徴も本明細書に記載される。
【0020】
[020] また、本明細書には、基材と、本明細書に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク、好ましくは本明細書に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインクの放射線硬化によって得られる放射線硬化コーティングとを含む物品が記載される。
【0021】
[021] また、本明細書には、以下の工程を含む、本明細書に記載の物品を製造するための方法も記載される。
a. 好ましくは輪転グラビア印刷法、フレキソ印刷法およびスクリーン印刷法からなる群から選択される、より好ましくはスクリーン印刷法からなる群から選択される印刷法によって、本明細書に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク、好ましくは本明細書に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインクを基材上に印刷する工程、および
b. 1つまたは複数のセキュリティ特徴を形成するように、UV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインクを硬化させる工程
【0022】
[詳細な説明]
[022] 以下の定義は、明細書で論じられ、特許請求の範囲に記載された用語の意味を解釈するために使用される。
【0023】
[023] 本明細書で使用されているように、「a」という用語は、1つだけでなく2つ以上も示し、必ずしもその参照名詞を単数に限定するものではない。
【0024】
[024] 本明細書で使用される用語「約」は、問題の量または値が、指定された値またはそれに近い他の値であり得ることを意味する。この語句は、示された値の±5%の範囲内の類似の値が、本発明による同等の結果または効果を促進することを伝えることを意図している。
【0025】
[025] 本明細書で使用される場合、用語「および/または」または「または/および」は、上記群の要素のすべてまたはいずれか1つのみが存在し得ることを意味する。例えば、「Aおよび/またはB」は、「Aのみ、またはBのみ、またはAとBの両方」を意味する。
【0026】
[026] 本明細書で使用される場合、用語「少なくとも」は、1つまたは2つ以上、例えば1つまたは2つまたは3つを定義することを意味する。
【0027】
[027] 「セキュリティ文書」という用語は、通常、少なくとも1つのセキュリティ特徴によって偽造または詐欺から保護される文書を指す。セキュリティ文書の例は、特に限定されるものではないが、価値文書および価値商品を含む。
【0028】
[028] 用語「UV-Vis硬化性」および「UV-Vis硬化」は、UVまたはUVおよび電磁スペクトルの可視部分(典型的には、100nm~800nm、好ましくは150~600nm、より好ましくは200~400nm)における波長成分を有する照射の影響下での光重合による放射線硬化を指す。
【0029】
[029] 本発明は、好ましくは、UV-Vis放射線ラジカル硬化性輪転グラビアセキュリティインク、UV-Vis放射線ラジカル硬化性フレキソ印刷セキュリティインク、およびUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインク、より好ましくは、UV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインクからなる群から選択される、UV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインクを提供する。
【0030】
[030] 当業者に知られているように、輪転グラビアという用語は、例えば、Handbook of Print Media, Helmut Kipphan, Springer Edition, page 48に記載されている印刷プロセスを指す。輪転グラビアは、シリンダーの表面に画像要素を彫刻する印刷プロセスである。非イメージ領域は一定の元のレベルにある。印刷の前に、印刷版全体(非印刷要素および印刷要素)にインクを付け、インクを満たす。インクは、印刷前にワイパーまたはブレードによって非画像から除去され、その結果、インクはセル内にのみ残る。画像は、典型的には2~4バールの範囲の圧力によって、および基材とインクとの間の粘着力によって、セルから基材に転写される。輪転グラビアという用語は、例えば、異なるタイプのインクに依存する凹版印刷プロセス(当技術分野では、彫刻スチールダイまたは銅プレート印刷プロセスとも呼ばれる)を含まない。
【0031】
[031] フレキソ印刷方法は、好ましくは、チャンバー式ドクターブレード、アニロックスローラーおよびプレートシリンダーを備えたユニットを使用する。アニロックスローラーは、体積および/または密度がインクまたはワニスの塗布速度を決定する小さなセルを有することが有利である。チャンバーに入れられたドクターブレードはアニロックスローラーに対して横になり、セルを満たし、同時に余分なインクまたはワニスを掻き取る。アニロックスローラーはインクを版胴に移し、版胴は最終的にインクを基材に移す。プレートシリンダーは、ポリマーまたはエラストマー材料から製造することができる。ポリマーは主にプレート中の感光性樹脂として、また時にはスリーブ上の継ぎ目のないコーティングとして用いられる。感光性樹脂プレートは、紫外線(UV)で硬化する感光性樹脂でできている。フォトポリマープレートを必要なサイズに切断し、UV露光装置に入れる。プレートの一方の側をUV光に完全に暴露して、プレートの基部を硬化または硬化させる。次いで、プレートを裏返し、ジョブのネガを未硬化側に取り付け、プレートをさらにUV光に曝露する。これにより、イメージ領域のプレートが硬化する。次に、プレートを処理して、非画像領域から未硬化のフォトポリマーを除去し、これらの非画像領域のプレート表面を下げる。処理後、プレートを乾燥し、露光後にUV光を照射してプレート全体を硬化させる。フレキソ印刷用の版シリンダーの調製は、Printing Technology, J. M. Adams and P. A. Dolin, Delmar ThomsonLearning, 5th Edition, pages359-360に記載されている。
【0032】
[032] スクリーン印刷(当技術分野ではシルクスクリーン印刷とも呼ばれる)は、典型的には、インク遮断ステンシルを支持するために織られたメッシュから作製されたスクリーンを使用する印刷技術である。取り付けられたステンシルは、基材上に鋭いエッジの画像としてインクを転写するメッシュの開口領域を形成する。スキージは、インク遮断ステンシルと共にスクリーンを横切って移動し、インクを開口領域内の織られたメッシュの糸を通過させる。スクリーン印刷の重要な特徴は、他の印刷技術よりも厚いインクを基材に塗布できることである。したがって、スクリーン印刷は、他の印刷技術では(容易に)達成できない約10~50μm以上の値を有するインク堆積物が必要とされる場合にも好ましい。一般に、スクリーンは、例えばアルミニウムまたは木材のフレーム上に張られたメッシュと呼ばれる多孔質の微細に織られた織物片から作られる。現在、ほとんどのメッシュは、合成繊維や鋼の糸などの人工材料で作製されている。好ましい合成材料は、ナイロンまたはポリエステル糸である。
【0033】
[033] 合成または金属糸に基づく織られたメッシュに基づいて作製されたスクリーンに加えて、スクリーンは、孔のグリッドを有する固体金属シートから開発されている。このようなスクリーンは、第1の電解槽において、分離剤を備えたマトリックス上にスクリーン骨格を形成することによって金属スクリーンを電解形成し、形成されたスクリーン骨格をマトリックスから剥離し、スクリーン骨格を第2の電解槽において電解処理して、骨格上に金属を堆積させることを含む方法によって調製される。
【0034】
[034] スクリーン印刷機には、フラットベッド、シリンダー、ロータリースクリーンの3種類がある。フラットベッドおよびシリンダースクリーン印刷機は、どちらもフラットスクリーンおよび3段階往復プロセスを使用して印刷操作を行う点で類似している。スクリーンは、まず、基材上の所定の位置に移動され、次いで、スキージは、メッシュに対して押圧され、画像領域上に引き出され、次いで、スクリーンは、基材から持ち上げられ、プロセスを完了する。フラットベッドプレスでは、プリントされる基材は、典型的には、スクリーンに平行な水平プリントベッド上に配置される。シリンダプレスを用いて、基材をシリンダーに取り付ける。フラットベッドおよびシリンダースクリーン印刷プロセスは不連続プロセスであり、その結果、一般にウェブで最大45m/分、またはシート供給プロセスで3000枚/時の速度に制限される。
【0035】
[035] 逆に、回転スクリーン印刷機は、連続的な高速印刷用に設計されている。回転スクリーンプレスで使用されるスクリーンは、例えば、上述の電鋳法を使用して通常得られるか、または鋼製糸で織られた薄い金属シリンダーである。開放端のシリンダーの両端をキャップし、プレスの側面のブロックにはめ込む。印刷中、インクはシリンダーの一端にポンプで送られ、常に新しいインクが供給される。スキージは、回転スクリーンの内側に固定され、スキージ圧力は、良好で一定の印刷品質を可能にするように維持され、調整される。回転スクリーンプレスの利点は、ウェブで150m/分、シート供給プロセスで10000枚/時に容易に到達できる速度である。
【0036】
[036] スクリーン印刷は、例えば、The Printing Ink Manual, R. H. Leach and R. J. Pierce, SpringerEdition, 5th Edition, pages 58-62、Printing Technology, J.M. Adams and P. A. Dolin, Delmar Thomson Learning, 5th Edition, pages 293-328およびHandbook of Print Media, H. Kipphan, Springer, pages 409-422およびpages498-499にさらに記載されている。
【0037】
[037] 本明細書に記載されるUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク、好ましくはUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインクは、ブルックフィールド粘度計(モデル「DV-Iプライム」、500~2500mPasの粘度については100rpmでのスピンドルS27、2500mPas以上の粘度については50rpmでのスピンドルS27、500mPas以下の粘度については100rpmでのスピンドルS21)を用いて、25℃で約200~約2000mPasの間の粘度を有するインクビヒクル約75~約99重量%を含む。本明細書に記載のインクビヒクルは、a)少なくとも800g/モルeqPSの分子量を有する1つまたは複数のラジカル硬化性オリゴマーの約25~約55重量%、およびb)1つまたは複数のラジカル硬化性モノマーの約10~約50重量%を含み、重量%はインクビヒクルの総重量を基準とする。
【0038】
[038] 本明細書で用いるラジカル硬化性オリゴマーとは、約800g/モルeqPS以上の重量平均分子量(MW)を有する比較的高分子量のポリマー化合物を指す。ここに記載する重量平均分子量は、Malvern Viskotek GPCmaxを用い、6つのポリスチレン標準(分子量472~512000g/モル)を用いて検量線(log(分子量)=f(保持容量))を作成したOECD試験法118に従ってGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定する。測定中、温度を35℃に固定し、試料は、分析され、THF(Acros,99.9%、無水)に溶解される生成物10mg/mLを含有する。以下の実施例に記載するように、試料は1ml/分の速度で独立して注入される。ポリマーの分子量は、以下の式を用いて、95%の信頼レベルおよび同じ溶液の3回の測定の平均を用いて、クロマトグラムからポリスチレン換算重量平均分子量(PSeqMW)として計算される:
【数1】
ここで、H
iは保持容量V
iのベースラインからの検出器信号のレベルであり、M
iは保持容量V
iにおけるポリマー画分の分子量であり、nはデータ点の数である。
【0039】
[039] 本明細書に記載されるラジカル硬化性オリゴマーは、好ましくは、分岐していても実質的に直鎖状であってもよい(メタ)アクリレートオリゴマーであり、(メタ)アクリレート官能基は、それぞれ、オリゴマー骨格に結合した末端基および/またはペンダント側基であり得る。本発明の文脈における用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよび対応するメタクリレートを指す。好ましくは、ラジカル硬化性オリゴマーは、(メタ)アクリル系オリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、アミン変性ポリエーテル系(メタ)アクリレートオリゴマーまたはエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、より好ましくはウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーおよびエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーである。オリゴマーの官能性は限定されないが、好ましくは3以下である。
【0040】
[040] ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの好適な例は、限定されるものではないが、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、特にジアクリレート、トリアクリレート、テトラアクリレート、およびヘキサアクリレート、例えば、CN90、CN92、CN93、CN94、CN95、CN96、CN98、CN99で始まるグレード番号でSartomerによって販売されているもの、およびEbecyl(登録商標)225、230、242、244、245、246、264、265、266、267、271、280/15IB、284、286、294/25HD、1258、1291、4101、4141、4201、4250、4220、4265、4396、4397、4491、4513、4666、4680、4683、4738、4740、4820、4858、4859、5129、8110、8209、8254、8296、8307、8402、8465および8602の名称でAllnexによって販売されているもの;ならびに芳香族(メタ)アクリレートオリゴマー、特にジアクリレート、トリアクリレート、テトラアクリレートおよびヘキサアクリレート、例えば、CN91(CN910A70を除く)で始まるグレード番号およびCN97で始まるグレード番号でSartomerによって販売されているもの、およびEbecyl(登録商標)204、205,206、210、214、215、220、2221、4501、6203、8232および8310の名称でAllnexによって販売されているものを含む。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、芳香族、脂肪族または脂環式ジイソシアネートと反応し、ヒドロキシアクリレートでキャップされたポリエーテルまたはポリエステルをベースとすることができる。特に好適な脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、Genomer*4316の名称でRahnにより販売され、特に好適な芳香族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、Ebecryl(登録商標)2003の名称でAllnexにより販売されている。
【0041】
[041] エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーの好適な例は、限定されるものではないが、脂肪族エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、特にモノアクリレート、ジアクリレートおよびトリアクリレート、および芳香族エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、特にビスフェノール-A(メタ)アクリレートオリゴマー、例えば、Sartomerが104、109、1XXで始まるグレード番号、ならびにCN2003EU、UVE150/80およびUVE151Mのグレード番号で販売しているもの、およびAllnexがEbecryl(登録商標)600、604、605、609、641、646、648、812、1606、1608、3105、3300、3203、3416、3420、3608、3639、3700、3701、3702、3703、3708、3730、3740、5848、6040の名称で販売しているものを含む。
【0042】
[042] 本明細書に記載されるインクビヒクルは、本明細書に記載されるb)約10~約50重量%の、1つまたは複数のラジカル硬化性モノマーを含み、重量%はインクビヒクルの総重量を基準とし、上記1つまたは複数のラジカル硬化性モノマーは、トリアクリレート、テトラアクリレート、およびそれらの混合物からなる群から選択される。本明細書で使用するラジカル硬化性モノマーとは、本明細書に記載する方法に従って測定したときに、800/モルeqPS未満の重量平均分子量MWを有する比較的低分子量の化合物を指す。
【0043】
[043] 本明細書に記載される1つまたは複数のラジカル硬化性モノマートリアクリレートは、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、アルコキシル化トリメチロールプロパントリメタクリレート、アルコキシル化グリセロールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、アルコキシル化ペンタエリトリトールトリアクリレート、およびそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、トリメチロールプロパントリアクリレート、アルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、アルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、アルコキシル化グリセロールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0044】
[044] 特に好適なトリメチロールプロパントリアクリレート(CAS番号15625-89-5)は、AllnexによりTMPTAの名称で、RahnによりMiramer M300の名称で、またはSartomerによりSR351の名称で販売されている。特に好適なトリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA、CAS番号3290-92-4)は、SR350の名称でSartomerにより販売されている。
【0045】
[045] 好ましくは、本明細書に記載のアルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートは、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(特に、エトキシル化(EO3)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化(EO6)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化(EO9)トリメチロールプロパントリアクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選択される)、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選択される。特に好適なアルコキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(CAS番号28961-43-5)は、Allnexにより、Ebecyl(登録商標)160の名称で、Rahnにより、Miramer M360(PO3 TMPTA)、M3130(EO3 TMPTA)、M3160(EO6 TMPTA)、M3190(EO9 TMPTA)の名称で、またはSartomerにより、SR454(EO3 TMPTA)、SR492(PO3 TMPTA)、SR499(EO6 TMPTA)、SR502(EO9 TMPTA)の名称で販売されている。
【0046】
[046] 好ましくは、本明細書に記載されるアルコキシル化トリメチロールプロパントリメタクリレートは、エトキシル化トリメチロールプロパントリメタクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリメタクリレートおよびそれらの混合物であり、より好ましくは、エトキシル化(EO3)トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシル化(EO6)トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシル化(EO9)トリメチロールプロパントリメタクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選択され、特に好適なエトキシル化トリメチロールプロパントリメタクリレートは、Eternal Materialsにより、EM3380およびEM3382の名称で販売されている。
【0047】
[047] 好ましくは、本明細書に記載のアルコキシル化グリセロールトリアクリレートは、エトキシル化グリセロールトリアクリレートおよびプロポキシル化グリセロールトリアクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくはプロポキシル化グリセロールトリアクリレートであり;特に好適なプロポキシル化グリセロールトリアクリレート(GPTA;CAS番号52408-84-1)は、RahnによりMiramer M320の名称で、AllnexによりEbecyl(登録商標)53の名称で、またはSartomerによりSR9019、SR9020およびSR9021の名称で販売されている。
【0048】
[048] 特に好適なペンタエリトリトールトリアクリレート(PETA、CAS番号3524-68-3)は、RahnによりMiramer M340の名称で、SartomerによりSR444Dの名称で、またはAllnexによりペンタエリトリトールトリアクリレート及びテトラアクリレートの混合物としてPETIAの名称で販売されている。
【0049】
[049] 好ましくは、本明細書に記載のアルコキシル化ペンタエリトリトールトリアクリレートは、エトキシル化ペンタエリトリトールトリアクリレート、プロポキシル化ペンタエリトリトールトリアクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、エトキシル化(EO3)ペンタエリトリトールトリアクリレート、エトキシル化(EO6)ペンタエリトリトールトリアクリレート、エトキシル化(EO9)ペンタエリトリトールトリアクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選択され、特に好適なエトキシル化ペンタエリトリトールトリアクリレートは、SR593の名称でSartomerにより販売されている。
【0050】
[050] 本明細書に記載の1つまたは複数のラジカル硬化性モノマーテトラアクリレートは、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルコキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、およびそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、アルコキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0051】
[051] 特に好適なジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(DiTMPTA、CAS番号94108-97-1)は、Allnexにより、Ebecyl(登録商標)140の名称で、Rahnにより、Miramer M410の名称で、またはSartomerにより、SR355の名称で販売されている。
【0052】
[052] 特に好適なペンタエリトリトールテトラアクリレート(PETTA、CAS番号4986-89-4)は、MiwonによりMiramer M420の名称で、SartomerによりSR295の名称で、またはAllnexによりペンタエリトリトールトリアクリレートおよびテトラアクリレートの混合物としてPETIAの名称で販売されている。
【0053】
[053] 好ましくは、本明細書に記載のアルコキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレートは、エトキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレート、プロポキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選択され、特に好適なエトキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレート(PPTTA、CAS番号51728-26-8)は、M4004の名称でRahnにより、SR494の名称でSartomerにより、またはEbecyl(登録商標)50の名称でAllnexにより販売されている。
【0054】
[054] 一実施形態によれば、本明細書に記載されるインクビヒクルは、本明細書に記載される1つまたは複数のラジカル硬化性モノマーを含み、当該1つまたは複数のラジカル硬化性モノマーは、本明細書に記載されるトリアクリレートおよびその混合物からなる群から選択される。別の実施形態によれば、本明細書に記載されるインクビヒクルは、本明細書に記載される1つまたは複数のラジカル硬化性モノマーを含み、当該1つまたは複数のラジカル硬化性モノマーは、本明細書に記載されるテトラアクリレートからなる群から選択される。別の実施形態によれば、本明細書に記載されるインクビヒクルは、本明細書に記載される1つまたは複数のラジカル硬化性モノマーを含み、当該1つまたは複数のラジカル硬化性モノマーは、本明細書に記載されるトリアクリレートおよび本明細書に記載されるテトラアクリレート、すなわち、本明細書に記載されるトリアクリレートおよび本明細書に記載されるテトラアクリレートの混合物からなる群から選択される。
【0055】
[055] 本明細書に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク、好ましくはUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインクのインクビヒクルは、約0.1~約20重量%の1つまたは複数の光開始剤、好ましくは約1~約15重量%をさらに含み、重量%はインクビヒクルの総重量を基準とする。ラジカル硬化性インクまたは組成物は、重合を開始させるフリーラジカルを放出する1つまたは複数の光開始剤のエネルギーによる活性化からなるフリーラジカル機構によって硬化される。当業者に知られているように、1つまたは複数の光開始剤は、それらの吸収スペクトルに従って選択され、放射線源の発光スペクトルに適合するように選択される。本明細書に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク、好ましくはUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインクに含まれるインクビヒクルを調製するために使用されるモノマーおよびオリゴマーに応じて、異なる光開始剤を使用することができる。
【0056】
[056] フリーラジカル光開始剤の適切な例は、当業者に公知であり、限定されるものではないが、アミノケトン(例えば、α-アミノケトン)、ヒドロキシケトン(例えば、α-ヒドロキシケトン)、アルコキシケトン(例えば、α-アルコキシケトン)、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ケトスルフォン、ベンジルケタール、ベンゾインエーテル、ホスフィンオキシド、フェニルグリオキシレート、およびチオキサントンを含む。
【0057】
[057] α-ヒドロキシケトンの適切な例は、限定されるものではないが、(1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン)(CAS番号106797-53-9);1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(CAS番号947-19-3);2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(CAS番号7473-98-5);2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-tert-ブチル)フェニルプロパン-1-オン(CAS番号68400-54-4);2-ヒドロキシ-1-[4-[[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロパノイル)フェニル]メチル]フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン(CAS番号474510-57-1);2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロパノイル)フェノキシ]フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン(CAS番号71868-15-0);およびオリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン](CAS番号163702-01-0)を含む。
【0058】
[058] α-アミノケトンの適切な例としては、ベンゾイル部分を含むもの、またはα-アミノアセトフェノンと呼ばれるもの、例えば、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(CAS番号71868-10-5);2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノ-フェニル)-ブタン-1-オン(CAS番号119313-12-1);および2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン(CAS番号119344-86-4)が挙げられる。
【0059】
[059] アセトフェノンの好適な例は、限定されるものではないが、2,2-ジエトキシアセトフェノン(CAS番号6175-45-7);2-エチルヘキシル-4-ジメチルアミノ安息香酸(CAS番号21245-02-3);および2-メトキシ-2-フェニルアセトフェノン(CAS番号3524-62-7)を含む。
【0060】
[060] ベンゾフェノンの好適な例は、限定されるものではないが、ベンゾフェノン(CAS番号119-61-9);ポリマー性ベンゾフェノン誘導体;2-メチルベンゾフェノン(CAS番号131-58-8);3-メチルベンゾフェノン(CAS番号643-65-2);4-メチルベンゾフェノン(CAS番号134-84-9);2,4,6-トリメチルベンゾフェノン(CAS番号954-16-5);3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン(CAS番号41295-28-7);4-フェニルベンゾフェノン(CAS番号2128-93-0);4-クロロベンゾフェノン(CAS番号134-85-0);4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(CAS番号90-93-7);メチル-2-ベンゾイルベンゾエート(CAS番号606-28-0)、4-(4-メチルフェニルチオ)ベンゾフェノン(CAS番号:83846-85-9)、4-ヒドロキシベンゾフェノンラウレート(CAS番号:142857-24-7)、50%ベンゾフェノン(CAS 119-61-9)と50%1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(CAS番号:947-19-3)の混合物を含む。
【0061】
[061] ケトスルフォンの適切な例は、限定されるものではないが、1-[4-(4-ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]-2-メチル-2-(4-メチルフェニルスルフォニル)プロパン-1-オン(CAS番号272460-97-6)を含む。
【0062】
[062] ベンジルケタールの適切な例は、限定されるものではないが、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(CAS番号24650-42-8)を含む。
【0063】
[063] ベンゾインエーテルの適切な例は、限定されるものではないが、2-エトキシ-1,2-ジフェニルエタノン(CAS番号574-09-4);2-イソプロポキシ-1,2-ジフェニルエタノン(CAS番号6652-28-4);2-イソブトキシ-1,2-ジフェニルエタノン(CAS番号22499-12-3);2-ブトキシ-1,2-ジフェニルエタノン(CAS番号22499-11-2);2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタノン(CAS番号24650-42-8);および2,2-ジエトキシアセトフェノン(CAS番号6175-45-7)を含む。
【0064】
[064] ホスフィンオキシドの好適な例は、限定されるものではないが、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(CAS番号75980-60-8);エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナート(CAS番号84434-11-7);フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(CAS番号162881-26-7);ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(CAS番号145052-34-2);Speedcure XKmとしてLambsonより販売された、置換されたアシル-ホスフィンオキシド(CAS番号該当無し)、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(CAS番号75980-60-8)と2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(CAS番号7473-98-5)の混合物、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(CAS番号162881-26-7)と2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(CAS番号7473-98-5)の混合物、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナート(CAS番号84434-11-7)と2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(CAS番号7473-98-5)の混合物を含む。
【0065】
[065] チオキサントンの好適な例は、限定されるものではないが、2-メチルチオキサントン(CAS番号15774-82-0);2,4-ジエチルチオキサントン(CAS番号82799-44-8);2-イソプロピルチオキサントン(CAS番号5495-84-1);1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン(CAS番号142770-42-1);および重合チオキサントン誘導体を含む。
【0066】
[066] フェニルグリオキシレートの好適な例は、限定されるものではないが、ベンゾイルギ酸メチル(CAS番号15206-55-0);2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]エチル 2-オキソ-2-フェニル酢酸(CAS番号211510-16-6);および2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]エチル 2-オキソ-2-フェニル酢酸(CAS番号211510-16-6)とオキシ-フェニル-酢酸 2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステル(CAS番号442536-99-4)の混合物を含む。
【0067】
[067] 有用な光開始剤の他の例は、"Chemistry & Technology of UV & EB Formulation forCoatings, Inks & Paints"、Volume III、"Photoinitiators for Free Radical Cationic and AnionicPolymerization"、第2版、J. V. Crivello & K. Dietliker、G.Bradley編、1998年にJohnWiley & SonsがSITA Technology Limitedと共同で発行したものなどの標準的な教科書に見出すことができる。
【0068】
[068] 本明細書に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク、好ましくはUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインクのインクビヒクルは、約0%~約50重量%、好ましくは約0%~40%、より好ましくは約0%~30%の、モノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物から選択されるラジカル硬化性モノマーである1つまたは複数の反応性希釈剤を更に含むことができ、その重量%は、インクビヒクルまたは場合によってはUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインクの総重量を基準とする。
【0069】
[069] 一実施形態によれば、本明細書に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク、好ましくはUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインクは、モノ(メタ)アクリレートである1つまたは複数の反応性希釈剤を含む。別の実施形態によれば、本明細書に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク、好ましくはUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインクは、ジ(メタ)アクリレートである1つまたは複数の反応性希釈剤を含む。別の実施形態によれば、本明細書に記載されるUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク、好ましくはUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインクは、モノ(メタ)アクリレートである1つまたは複数の反応性希釈剤、およびジ(メタ)アクリレートである1つまたは複数の反応性希釈剤を含む。
【0070】
[070] 本明細書に記載の1つまたは複数のモノアクリレートおよびジアクリレートは、本明細書に記載の方法に従って測定したときに、800g/モルeqPS未満の重量平均分子量MWを有する比較的低分子量の化合物を指す。
【0071】
[071] 好適なモノ(メタ)アクリレートは、アルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、および脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートからなる群から選択することができる。好適な例は、Genomer*1122の名称でRahnにより販売されている。
【0072】
[072] 特に好適なアルキルアクリレートは、限定されるものではないが、デシルアクリレート(CAS番号2499-59-4);オクチルアクリレート(CAS番号2156-96-9);ラウリルアクリレート(CAS番号2156-97-0)、トリデシルアクリレート(CAS番号3076-04-8);イソデシルアクリレート(CAS番号1330-61-6);ステアリルアクリレート(CAS番号4813-57-4)、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート(CAS番号7328-17-8)を含む。特に好適なアルキルメタクリレートは、限定されるものではないが、ラウリルメタクリレート(CAS番号142-90-5)、トリデシルメタクリレート(CAS番号2495-25-2)、テトラデシルメタクリレート(CAS番号2549-53-3)、イソデシルメタクリレート(CAS番号29964-84-9)、ステアリルメタクリレート(CAS番号32360-05-7)を含む。
【0073】
[073] 特に好適なシクロアルキルアクリレートは、限定されるものではないが、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート(CAS番号86178-38-3);イソボルニルアクリレート(CAS番号5888-33-5);4-tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート(CAS番号84100-23-2);(5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチルアクリレート(CAS番号66492-51-1);テトラヒドロフルフリルメタクリレート(CAS番号2399-48-6)、2-(1,2-シクロヘキサジエニルジカルボキシイミド)エチルアクリレート(CAS番号106646-48-4)、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボキシイミド、N-(2-ヒドロキシエチル)-,アクリレート(CAS番号15458-80-7);およびアクリロイルモルホリン(CAS番号5117-12-4)を含む。特に好適なシクロアルキルメタクリレートは、限定されるものではないが、グリシジルメタクリレート(CAS番号106-91-2);イソボルニルメタクリレート(CAS番号7534-94-3);およびテトラヒドロフルフリルメタクリレート(CAS番号2455-24-5)を含む。
【0074】
[074] 特に好適なベンジルおよびフェニルアクリレートは、限定されるものではないが、ベンジルアクリレート(CAS番号2495-35-4);2-フェノキシエチルアクリレート(CAS番号48145-04-6);2-フェノキシエチルアクリレート(CAS番号48145-04-6)とエトキシル化(EO4)フェノールアクリレート(CAS番号56641-05-5)の混合物;エトキシル化(EO4)フェノールアクリレート(CAS番号56641-05-5)とエトキシル化(EO8)ノニルフェノールアクリレート(CAS番号50974-47-5)の混合物;プロポキシル化(PO2)ノニルフェノールアクリレート(CAS番号71926-19-7);エトキシル化o-フェニルフェノールアクリレート(CAS番号72009-86-0);p-キュミルフェノキシエチルアクリレート(CAS番号86148-08-5);ジシクロペンテニルアクリレート(CAS番号33791-58-1);およびジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(CAS番号65983-31-5)が挙げられる。特に好適なメタクリル酸ベンジルおよびメタクリル酸フェニルには、メタクリル酸ベンジル(CAS番号2495-37-6)およびメタクリル酸フェノキシエチル(CAS番号10595-06-9)を含む。
【0075】
[075] 特に好適な脂肪族ウレタンアクリレートは、限定されるものではないが、2-(N-ブチルカルバモイルオキシ)エチルアクリレート(CAS番号63225-53-6)を含む。
【0076】
[076] 好適なジアクリレートには、エチレングリコールジアクリレート(CAS番号2274-11-5)、1,4-ブタンジオールジアクリレート(CAS番号1070-70-8)、1,3-ブタンジオールジアクリレート(CAS番号19485-03-1)、2-メチル-1,3-プロパンジオールジアクリレート(CAS番号86168-86-7)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジアクリレート(CAS番号64194-22-5)、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジアクリレート(CAS番号67019-04-9)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(CAS番号13048-33-4)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(CAS番号2223-82-7)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(CAS番号107481-28-7)、エトキシル化1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(CAS番号84170-27-4)、プロポキシ化1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(CAS番号84170-73-0)、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート(CAS番号84170-74-1)、エトキシル化2-メチル-1,3-プロパンジオールジアクリレート(CAS番号634592-28-2)、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(CAS番号42594-17-2)、ジエチレングリコールジアクリレート(CAS番号:4074-88-8)、ジプロピレングリコールジアクリレート(CAS番号:57472-68-1)、トリエチレングリコールジアクリレート(CAS番号:1680-21-3)、トリプロピレングリコールジアクリレート(CAS番号:42978-66-5)、テトラエチレングリコールジアクリレート(CAS番号:17831-71-9)、ポリエチレングリコール200/400/600ジアクリレート(CAS番号:26570-48-9)、エトキシル化(EO2/EO3/EO4/EO10)ビスフェノールAジアクリレート(CAS番号64401-02-1)が挙げられる。
【0077】
[077] 好適なジメタクリレートは、限定されるものではないが、エチレングリコールジメタクリレート(CAS番号97-90-5);1,4-ブタンジオールジメタクリレート(CAS番号2082-81-7);1,3-ブタンジオールジメタクリレート(CAS番号1189-08-8);1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート(CAS番号6606-59-3);ネオペンチルグリコールジメタクリレート(CAS番号1985-51-9);1,9-ノナンジオールジアクリレート(CAS番号107481-28-7);ジエチレングリコールジメタクリレート(CAS番号2358-84-1);トリエチレングリコールジメタクリレート(CAS番号109-16-0);テトラエチレングリコールジメタクリレート(CAS番号109-17-1);ポリエチレングリコール200/400/600ジメタクリレート(CAS番号25852-47-5);およびエトキシル化()EO2/EO3/EO4/EO10)ビスフェノールAジメタクリレート(CAS番号41637-38-1)を含む。
【0078】
[078] 本明細書に記載のインクビヒクルまたはUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク、好ましくはUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインクは、炭素繊維、タルク、雲母(白雲母)、ウォラストナイト、焼成粘土、チャイナクレー、カオリン、炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム、アルミニウム炭酸ナトリウム)、ケイ酸塩(例えば、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム)、硫酸塩(例えば、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム)、チタネート(例えば、チタン酸カリウム)、アルミナ水和物、シリカ、フュームドシリカ、モンモリロナイト、グラファイト、アナターゼ、ルチル、ベントナイト、バーミキュライト、ジンクホワイト、硫化亜鉛、木粉、石英粉末、天然繊維、合成繊維、およびこれらの組み合わせからなる群から好ましくは選択される1つまたは複数の充填剤またはエキステンダーを更に含んでもよい。存在する場合、1つまたは複数の充填剤またはエキステンダーは、好ましくは約0.1~約20重量%、より好ましくは約0.1~約10重量%の量で存在し、重量パーセントは、インクビヒクルまたはUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインクの総重量に基づく。
【0079】
[079] 本明細書に記載されるインクビヒクルまたはUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク、好ましくはUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインクは、更に、法医学マーカーおよび/または法医学タガントを含む1つまたは複数のマーカー物質および/またはタガント、および/または当技術分野で公知の磁性材料、当技術分野で公知の発光材料、当技術分野で公知の導電性材料、当技術分野で公知の赤外線吸収材料および当該技術分野で公知の(表面増強)ラマン活性化合物からなる群から選択される1つまたは複数の機械可読材料を含んでもよい。本明細書で使用される「機械可読材料」という用語は、肉眼では認識できない少なくとも1つの特徴的な特性を示し、その層を含む層または物品を、その認証のために特定の機器を使用することによって認証する方法を与えるように、層に含めることができる材料を指す。
【0080】
[080] 本明細書に記載のインクビヒクルまたはUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク、好ましくはUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインクは、限定されるものではないが、有機顔料粒子、無機顔料粒子、有機染料およびそれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数の着色成分、および/または1つまたは複数の添加剤をさらに含んでもよい。後者には、UV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク、好ましくはUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインクの、例えば、稠度(例えば、沈降防止剤及び可塑剤)、発泡特性(例えば、消泡剤及び脱気剤)、潤滑性(ワックス)などの物理的、レオロジー的および化学的パラメータを調節するために使用される化合物および材料が含まれるが、これらに限定されるものではない。本明細書に記載の添加剤は、インクビヒクルまたはUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク、好ましくは本明細書に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインク、当該技術分野で公知の量および形態で存在してもよく、添加剤の少なくとも1つの寸法の範囲が1~1000nmである、ナノ材料と呼ばれる形態を含む。
【0081】
[081] 本明細書に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク、好ましくはUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインクは、約1~約25重量%の、本明細書に記載の非金属または金属フレークを含む。
【0082】
[082] 本明細書に記載の顔料は、本明細書に記載の1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティング層で少なくとも部分的に被覆され、環境に面し、本明細書に記載の1つまたは複数の表面改質剤から作製された少なくとも部分的な表面処理層を含むフレーク状の非金属または金属基材を含む。「環境に面する」とは、表面処理層が顔料の最上層であり、外層として機能することを意味する。少なくとも部分的な表面処理層は、本明細書に記載の1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティング層の最上層と直接接触している。
【0083】
[083] 本明細書に記載される顔料のフレーク状の非金属または金属基材は、1つまたは複数の金属酸化物、1つまたは複数の金属酸化物水和物、1つまたは複数の金属亜酸化物、1つまたは複数の金属フッ化物またはこれらの材料の混合物から独立して作製される1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティングを含み;言い換えれば、本明細書に記載される非金属または金属フレークは、1つまたは複数の金属酸化物、1つまたは複数の金属酸化物水和物、1つまたは複数の金属亜酸化物、1つまたは複数の金属フッ化物またはこれらの材料の混合物から作製される1つまたは複数の層で少なくとも部分的にコーティングされる。
【0084】
[084] 金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属酸窒化物またはこれらの材料の混合の層の膜厚は、通常5~1000nm、好ましくは10~800nm、特に20~600nmである。
【0085】
[085] 当業者に知られているように、1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティングは、沈殿法、湿式化学法、ゾルゲル法、物理蒸着(PVD)法または化学蒸着(CVD)法によってフレーク状の非金属または金属基材に適用することができ、これらの方法は、基材材料およびコーティング材料に応じて選択される。あるいは、金属酸化物および/または酸化物水和物からなる1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティングは、金属表面の化学的酸化(例えば、過マンガン酸塩または他の強力な酸化剤による)によって、または、所定の時間、時間、温度および少なくとも部分的なコーティングの所望の厚さに依存する雰囲気組成および雰囲気組成を高温で空気中または制御された雰囲気(例えば、酸素および/または水蒸気が富化された)中でフレーク状の金属顔料を加熱することによって、フレーク状の金属基材上に得ることができる。例えば、金属酸化物および/または金属水和物からなる少なくとも部分的なコーティングを得るために、フレーク状の金属顔料を300℃のオーブン中で、乾燥空気中で30分間焼成することができる。
【0086】
[086] 本明細書で使用される、D50値で表される顔料のサイズは、好ましくは約1~約100μm、好ましくは約5~約50μmの範囲である。顔料の厚さは、通常0.1~5μm、好ましくは0.2~4μmである。
【0087】
[087] 一実施形態によれば、本明細書に記載される顔料のフレーク状非金属基材は、好ましくは天然雲母、合成雲母、タルク、グラファイト、ホウケイ酸(例えば、ガラス)およびカオリンからなる群から選択される1つまたは複数の材料から構成され、より好ましくは天然雲母、合成雲母およびガラスからなる群から選択され、さらにより好ましくは天然雲母および合成雲母からなる群から選択される。
【0088】
[088] 本明細書に記載されるフレーク状の非金属基材は、1つまたは複数の金属酸化物、1つまたは複数の金属酸化物水和物、1つまたは複数の金属亜酸化物、1つまたは複数の金属フッ化物、またはこれらの材料の混合物、好ましくは1つまたは複数の金属酸化物および/または1つまたは複数の金属酸化物水和物、より好ましくは1つまたは複数の金属酸化物から独立して作製される1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティングを含む。好適な金属酸化物は、限定されるものではないが、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化鉄、酸化錫、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化チタン、およびこれらの任意の混合物を含む。好ましくは、本明細書に記載の非金属基材は、二酸化チタン、酸化スズ、酸化鉄、酸化クロム、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の金属酸化物から独立して作製される1つ以上の少なくとも部分的なコーティングを含む、非金属基材、好ましくは天然雲母または合成雲母からなる。本明細書に記載される顔料のための特に好ましいフレーク形状の非金属基材は、二酸化チタンから独立して作られた1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティングを含む天然雲母または合成雲母(すなわち、フレーク形状の雲母基材+TiO2)、または二酸化チタンを含む混合物、ならびに2つ以上の少なくとも部分的なコーティングを含む天然または合成雲母であって、上記1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティングのうちの1つは二酸化チタンから作られ、上記1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティングのうちのもう1つは酸化錫から作られる(すなわち、フレーク形状の雲母基材+SnO2+TiO2またはフレーク形状の雲母基材+TiO2+SnO2)からなる。
【0089】
[089] 一実施形態によれば、本明細書に記載される顔料のフレーク状金属基材は、好ましくはアルミニウム、銅、亜鉛、錫、真鍮、鉄、チタン、クロム、ニッケル、銀、金、鋼、それらの合金、および好ましくはアルミニウム、鉄および真鍮からなる群から選択されるそれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数の金属からなる単層からなる。本明細書に記載のフレーク状の金属基材は、1つまたは複数の金属酸化物、1つまたは複数の金属酸化物水和物、1つまたは複数の金属亜酸化物、1つまたは複数の金属フッ化物、またはこれらの材料の混合物、好ましくは1つまたは複数の金属酸化物および/または1つまたは複数の金属酸化物水和物、より好ましくは1つまたは複数の金属酸化物を含む1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティングを独立に含む。好適な金属酸化物は、限定されるものではないが、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化鉄、酸化錫、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化クロムおよび酸化チタンを含む。
【0090】
[090] 一実施形態によれば、本明細書に記載の顔料のフレーク状金属基材は、好ましくはアルミニウム、銅、亜鉛、錫、真鍮、鉄、チタン、クロム、ニッケル、銀、金、鋼、それらの合金、および好ましくはアルミニウム、クロム、鉄、それらの合金、およびそれらの混合物からなる群から独立して選択される1つまたは複数の金属からなる3層構造からなる。本明細書に記載のフレーク状の金属基材は、1つまたは複数の金属酸化物、1つまたは複数の金属酸化物水和物、1つまたは複数の金属亜酸化物、1つまたは複数の金属フッ化物、またはこれらの材料の混合物、好ましくは1つまたは複数の金属酸化物および/または1つまたは複数の金属酸化物水和物、より好ましくは1つまたは複数の金属酸化物を含む1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティングを独立に含む。好適な金属酸化物は、限定されるものではないが、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化鉄、酸化錫、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化クロムおよび酸化チタンを含む。フレーク状金属基材の好適な例としては、Al/M/Alの3層構造が挙げられ、Mは鉄または鉄とクロムの混合物であり、上記フレーク状金属基材は、1つまたは複数の金属フッ化物、好ましくはフッ化マグネシウムからなる1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティングを含む。
【0091】
[091] 一実施形態によれば、本明細書に記載される顔料のフレーク状金属基材は、1つまたは複数の金属層、および任意に1つまたは複数の非金属層を含む多層からなる。
【0092】
[092] 1つの好ましい実施形態によれば、本明細書に記載される顔料のフレーク状金属基材は、1つまたは複数の金属層と、US4,705,300、US4,705,356、US4,721,271、US5,084,351、US5,214,530、US5,281,480、US5,383,995、US5,569,535、US5,571624、およびこれらに関連する文献に開示されているようなファブリーペロー反射体/誘電体/吸収体多層構造を含む薄膜干渉多層である、任意の1つまたは複数の非金属層とを含む多層からなる。好ましくは、本明細書に記載される1つまたは複数の金属層を含む多層は、ファブリ-ペロー吸収体/誘電体/反射体/誘電体/吸収体多層構造を含む薄膜干渉顔料であり、吸収体層は、部分的に透過し、部分的に反射し、誘電体層は、透過し、反射層は、入射光を反射する。好ましくは、反射層は、金属、合金、およびそれらの組合せからなる群から選択され、好ましくは、反射性金属、反射性金属合金、およびそれらの組合せからなる群から選択され、より好ましくは、アルミニウム、クロム、ニッケル、およびそれらの混合物からなる群から選択され、さらに好ましくは、アルミニウムである。好ましくは、誘電体層は、フッ化マグネシウム、二酸化ケイ素およびそれらの混合物からなる群から独立して選択され、より好ましくはフッ化マグネシウムである。好ましくは、吸収体層は、クロム、ニッケル、金属合金およびそれらの混合物からなる群から独立して選択され、より好ましくはクロムである。特に好ましい薄膜干渉多層は、Cr/MgF2/Al/MgF2/Cr多層構造を含むファブリ-ペロー吸収体/誘電体/反射体/誘電体/吸収体多層構造を含む。薄膜干渉多層からなる本明細書に記載の顔料のフレーク状金属基材は、1つまたは複数の金属酸化物、1つまたは複数の金属酸化物水和物、1つまたは複数の金属亜酸化物、1つまたは複数の金属フッ化物、またはこれらの材料の混合物、好ましくは1つまたは複数の金属酸化物および/または1つまたは複数の金属酸化物水和物、より好ましくは1つまたは複数の金属酸化物からなる少なくとも部分的コーティングをさらに含む。好ましい金属酸化物は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化鉄、酸化錫、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化クロムおよび酸化チタン、好ましくは酸化クロムおよびそれらの混合物である。
【0093】
[093] 非金属または金属基材は、本明細書に記載の少なくとも部分的な表面処理層をさらに含み、当該表面処理層は環境に面し、1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティング層の最上層と直接接触している。換言すれば、本明細書に記載の少なくとも部分的な表面処理層は、1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティングの最上層コーティング上に存在する。本明細書に記載の少なくとも部分的な表面処理層は、官能化フルオロ化合物から選択される1つまたは複数の表面改質剤から構成され、該フルオロ化合物は、リン(P)含有化合物またはケイ素(Si)含有化合物で官能化されている。本明細書に記載の官能化フルオロ化合物は、好ましくは、1以上のホスフェート含有基、1以上のシラン含有基または1以上のシロキサン含有基で官能化される。
【0094】
[094] 表面改質は様々な方法で行うことができる。例えば、本明細書に記載される1つまたは複数の表面改質剤は、有機溶媒および/または水に溶解され得、次いで、本明細書に記載される1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティング層を含むフレーク状の非金属または金属基材に、混合によって適用され得、次いで、そのようにして得られた顔料が乾燥される。あるいは、1つまたは複数の表面改質剤による表面処理は、フレーク状の非金属または金属基材が、本明細書に記載の1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティング層で、ワンポットプロセスで少なくとも部分的にコーティングされた直後に行うことができる。任意の焼成工程は、表面処理の前に、本明細書に記載の1つまたは複数の少なくとも部分的なコーティング層を含むフレーク状の非金属または金属基材上で実施することができる。
【0095】
[095] 本明細書に記載の1つまたは複数の表面改質剤は、本明細書に記載の方法に従って測定したときに、約2000g/モルeqPS未満の重量平均分子量を有することが好ましい。
【0096】
[096] 一実施形態によれば、本明細書に記載される1つまたは複数の表面改質剤は、1つまたは複数のリン(P)含有基または1つまたは複数のケイ素(Si)含有基で官能化されたパーフルオロポリエーテル化合物であるフルオロ含有化合物、特に、1つまたは複数のリン酸基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、1つまたは複数のシラン基を有するパーフルオロポリエーテル化合物、または1つまたは複数のシロキサン基を有するパーフルオロポリエーテル化合物である。
【0097】
[097] 一実施形態によれば、本明細書に記載される1つまたは複数の表面改質剤は、1つまたは複数のリン酸基、好ましくはリン酸エステル基またはホスホン酸エステル基で一官能化または二官能化されたパーフルオロポリエーテル化合物(すなわち、構造-CH
2O-(CF
2)
m-(CF
2-CF
2-O)
n-CF
2-を含む)、より好ましくはリン酸基、好ましくはリン酸エステル基またはホスホン酸エステル基を有するアルコキシル化パーフルオロポリエーテル化合物誘導体からなる。好ましくは、本明細書に記載される1つまたは複数の表面変性剤は、以下の式(I)のパーフルオロポリエーテル化合物である。
【化1】
ここで、p=1-2、q=1-4であり、R
fはCH
2O-(CF
2)
m-(CF
2-CF
2-O)
n-CF
2である。本発明の表面改質剤の特に好適な例は、Fluorolink(登録商標)P54の名称でSolvayから市販されている。
【0098】
[098] 別の実施形態によれば、本明細書に記載される1つまたは複数の表面改質剤は、1つまたは複数のシラン基、好ましくはアルコキシル化シラン基で官能化されたパーフルオロポリエーテル化合物である。好ましくは、本明細書に記載の1つまたは複数の表面改質剤は、以下の式(II)のパーフルオロポリエーテル化合物誘導体からなる。
【化2】
式中、R
Iは、1~10個の炭素原子、好ましくは1~5個の炭素原子、さらに好ましくは2~4個の炭素原子のアルキレンであり;R
IIは、1~4個の炭素原子、好ましくは1~3個の炭素原子の直鎖または分岐アルキル基であり;nは、0~3の整数であり、好ましくは3であり;pおよびqは、q/p比が0.2~4であるような数であり;pは、0とは異なる数である。好ましくは、本明細書に記載される1つまたは複数の表面変性剤は、以下の式(III)のシラン基で官能化されたパーフルオロポリエーテル化合物である。
【化3】
式中、R
Iは、1~10個の炭素原子、好ましくは1~5個の炭素原子、さらに好ましくは2~4個の炭素原子のアルキレンであり、pおよびqは、q/p比が0.2~4であり、pが0と異なる数である。本発明の表面改質剤の特に好適な例は、Fluorolink(登録商標)S10の名称でSolvayから市販されており、以下の式(IV)を有する。
【化4】
ここで、p=2-6およびq=2-4である。
【0099】
[099] 一実施形態によれば、本明細書に記載の1つまたは複数の表面改質剤は、1つまたは複数のリン(P)含有基または1つまたは複数のケイ素(Si)含有基で官能化されたフルオロアルキル化合物、特に1つまたは複数のリン酸基を有するフルオロアルキル化合物または1つまたは複数のシロキサン基を有するフルオロアルキル化合物であるフッ素含有化合物からなる。
【0100】
[0100] 一実施形態によれば、本明細書に記載される1つまたは複数の表面変性剤は、1つまたは複数のリン酸基で官能化されたフルオロアルキル化合物からなり、好ましくは以下の式:
(RfCnH2nO)mPO(OM)3-mまたは(RfSO2NRCnH2nO)mPO(OM)3-m
(式中、Rfは同一または異なり、直鎖または分岐のC3~C21フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、フルオロキシアルキル(fluoroxyalkyl)基またはパーフルオロキシアルキル(perfluoroxyalkyl)基を表し、nは1~12であり、mは1~3であり、Mは水素、アルカリ金属、アンモニウム基または置換アンモニウム基を表し、Rは水素または炭素数1~3のアルキレンを表す。)
に従う。
【0101】
[0101] 一実施形態によれば、本明細書に記載の1つまたは複数の表面改質剤は、1つまたは複数のシロキサン基で官能化されたフルオロアルキル化合物からなる。
【0102】
[0102] 一つまたは複数のシロキサン基で官能化されたフルオロアルキル化合物の好適な例としては、少なくとも一つの式[NHx(CH2)aNHy(CH2)bNHz]-のトリアミノ基(基は、1~4個の炭素原子を有する少なくとも一つのN-結合アルキレン基を介して少なくとも一つのケイ素原子に結合し、aおよびbは同一であるかまたは異なり、1~6の範囲の整数であり、xは0または1または2であり、yは0または1であり、zは0または1または2であり、ただし(x+y+z)≦4である。)、および少なくとも一つのSi-C結合フルオロアルキル基を有する式F3C(CF2)r(CH2)s-(rは0または1~18の範囲の整数であり、sは0または2である。)を有するオルガノシロキサンが挙げられる。
【0103】
[0103] 一つまたは複数のシロキサン基で官能化されたフルオロアルキル化合物の他の好適な例としては、以下の化合物が挙げられる:
【化5】
式中、Aは、式:H
2N(CH
2)
f(NH)
g(CH
2)
hSi(OR)
3-z(CH
3)
zの化合物から誘導されるアミノアルキル基である。
ここで、0≦f≦6、f=0ならばg=0、f>0ならばg=1、0≦h≦6、および0≦Z1;
Bは、式R
1-Y
m-(CH
2)
2Si(R
2)y(OR)
3-yの化合物から誘導されるフルオロアルキル基であり
(式中、R
1は、1-9の炭素原子を有するモノ-、オリゴ-または過フッ素化アルキル基またはモノ-、オリゴ-または過フッ素化アリール基であり、Yは、CH
2、OまたはS基であり、R
2は、1-8の炭素原子を有する直鎖、分岐または環状アルキル基またはアリール基であり、mは0または1であり、0≦y≦1である)
Cは、式R
3-Si(CH
3)(OR)
2の化合物から誘導されるアルキル基であり
Dは、式R-Si(OR)
3の化合物から誘導されるアルキル基であり
(式中、R
3は同一または異なって、1-8の炭素原子を有する直鎖、分岐または環状のアルキル基であり、Rは同一または異なって、1-8の炭素原子を有する直鎖、分岐または環状のアルキル基またはアリール基である。)
HXは酸であり、ここでXは無機または有機酸基であり、
0≦y≦1,0≦z≦1,a>0,b>0,c≧0,d≧0,e≧0,(a+b+c+d)≧2である。
【0104】
[0104] 一つまたは複数のシロキサン基で官能化されたフルオロアルキル化合物の他の好適な例としては、以下の化合物が挙げられる:
【化6】
式中、Aはビスアミノアルコール基に相当し、Bはアミノアルキル基に相当し、Cはアルキル基に相当し、Dはエポキシまたはエーテル基に相当し、有機官能基、好ましくはE-Si(R
8)
v(OR
9)
3-vに相当し、YはOR
1に相当し、架橋および/または3次元架橋構造においては互いに独立してOR
1またはO
1/2に相当し
R
1、R
2、R
4、R
6および/またはR
9は実質的に水素に対応し、R
3、R
5、R
7および/またはR
8は有機官能基に対応し、HXは酸であり、ここでXは無機または有機酸基であり、
0≦x≦1,0≦y≦1,0≦u≦1,a≧1,b≧0,c≧0,d≧0,w≧0,e≧0,(a+b+c+d+w)≧2である。
【0105】
[0105] 本発明はさらに、本明細書に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性インク、好ましくはUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷インクを製造する方法、およびそれから得られるインクを提供する。本明細書に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性インク、好ましくはUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷インクは、i)本明細書に記載のインクビヒクルの成分、すなわち本明細書に記載の1つ以上のラジカル硬化性オリゴマー、本明細書に記載のトリアクリレート、テトラアクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のラジカル硬化性モノマー、本明細書に記載の1つ以上のフリーラジカル光開始剤、及び本明細書に記載の任意選択の添加剤を、ii)本明細書に記載の顔料と分散又は混合することによって調製することができ、ここで、上記化合物の全ては、単一工程で分散又は混合することができ、又はインクビヒクルを最初に調製し、次いで本明細書に記載の顔料を添加し、次いで本明細書に記載の顔料を添加し、そのように得られる混合物は分散または混合されている。本明細書に記載される1つ以上の光開始剤は、全ての他の成分の分散または混合ステップ中に添加されてもよく、または後の段階、すなわちインクの形成後に添加されてもよい。
【0106】
[0106] 本明細書に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性インク、好ましくはUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷インクは、好ましくは輪転グラビアプロセス、フレキソ印刷プロセス、スクリーン印刷プロセス、より好ましくはスクリーン印刷プロセスからなる群から選択される印刷プロセスによってセキュリティ特徴を生成するために、本明細書に記載の基材上に塗布される。
【0107】
[0107] 本発明は、さらに、本明細書に記載されるセキュリティ特徴を生成するための方法、およびそれから得られるセキュリティ特徴を提供する。この方法は、印刷工程a)、好ましくは、輪転グラビア印刷工程、フレキソ印刷工程、スクリーン印刷工程、より好ましくは、スクリーン印刷工程からなる群から選択される印刷工程であって、本明細書に記載の基材上に、本明細書に記載のUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインクを印刷する工程と、UV-Vis放射線の存在下でUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインクを硬化させる工程b)とを含み、本明細書に記載のもののような1つまたは複数のセキュリティ特徴を形成するように実施される。好ましくは、本明細書に記載される方法は、本明細書に記載される基材上に、本明細書に記載されるUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインクをスクリーン印刷プロセスによって印刷するステップa)と、UV-Vis放射線の存在下でUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインクを硬化させるステップb)とを含み、本明細書に記載されるような1つまたは複数のセキュリティ特徴を形成するように実施される。本発明はさらに、本明細書に記載される基材上に本明細書に記載されるUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク、好ましくはUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインクから作製されるセキュリティ特徴を提供する。
【0108】
[0108] 本明細書に記載される基材は、好ましくは、セルロース、紙含有材料、ガラス、金属、セラミックス、プラスチックおよびポリマー、金属化プラスチックまたはポリマー、複合材料、およびそれらの2以上の混合物または組合せなどの紙または他の繊維材料(織布および不織布繊維材料を含む)からなる群から選択される。典型的な紙、紙様またはその他の繊維状材料は、限定されるものではないが、アバカ、綿、リネン、木材パルプ、およびそれらのブレンドを含む種々の繊維から製造される。当業者には周知のように、綿および綿/リネンブレンドは紙幣に好適であり、一方、木材パルプは一般に非紙幣セキュリティ文書に用いられる。プラスチックおよびポリマーの典型的な例は、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)を含むポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリアミド、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(1,4-ブチレンテレフタレート)(PBT)などのポリエステル、ポリ(エチレン 2,6-ナフトエート)(PEN)およびポリ塩化ビニル(PVC)を含む。商標Tyvek(登録商標)で販売されているもののようなスパンボンドオレフィン繊維も基材として使用することができる。金属化されたプラスチックまたはポリマーの典型的な例は、それらの表面上に連続的または不連続的に配置された金属を有する上述のプラスチックまたはポリマー材料を含む。金属の典型的な例は、限定されるものではないが、アルミニウム、クロム、銅、金、銀、それらの合金、および上述の金属の2以上の組み合わせを含む。上述のプラスチックまたはポリマー材料の金属化は、電着プロセス、高真空コーティングプロセス、またはスパッタリングプロセスによって行うことができる。複合材料の典型的な例としては、限定するものではないが、紙と、上述したような少なくとも1つのプラスチック又はポリマー材料との多層構造又は積層体、並びに上述したような紙状又は繊維状材料に組み込まれたプラスチック及び/又はポリマー繊維が挙げられる。もちろん、基材は、当業者に公知のさらなる添加剤、例えば充填剤、サイズ剤、増白剤、加工助剤、強化剤または湿潤強化剤などを含むことができる。
【0109】
[0109] 本発明はさらに、本明細書に記載の基材および本明細書に記載のセキュリティ特徴を含むセキュリティ文書、または本明細書に記載のセキュリティ特徴のうちの2つ以上を含むセキュリティ文書を提供する。セキュリティ文書は、限定されるものではないが、価値文書および価値商品を含む。価値文書の典型的な例は、限定されるものではないが、紙幣、証書、チケット、小切手、バウチャー、収入印紙および税金ラベル、契約書等、パスポート、IDカード、ビザ、運転免許証、銀行カード、クレジットカード、取引カード、アクセス文書またはカード、入場券、公共交通機関のチケットまたはタイトル等のID文書を含む。「価値商品」という用語は、例えば本物の薬品のような包装の内容を保証するために、偽造および/または違法な複製から保護することができる、特に医薬品、化粧品、電子機器または食品産業用の包装材料を指す。これらの包装材料の例は、限定されるものではないが、認証ブランドラベル、改ざん証拠ラベルおよびシールなどのラベルを含む。好ましくは、本明細書に記載されるセキュリティ文書は、紙幣、身分証明書、権利付与文書、運転免許証、クレジットカード、アクセスカード、輸送タイトル、バウチャー、および保護された製品ラベルからなる群から選択される。あるいは、本明細書に記載されるセキュリティ特徴は、例えば、セキュリティスレッド、セキュリティ・ストライプ、箔、デカール、窓、またはラベルなどの補助基材上に生成され、その結果、別のステップでセキュリティ文書に転送されてもよい。
【0110】
[0110] セキュリティレベルおよびセキュリティ文書の偽造および不法な複製に対する耐性をさらに向上させる目的で、本明細書に記載される基材は、印刷された、コーティングされた、またはレーザでマークされた、またはレーザで穿孔されたしるし、透かし、セキュリティスレッド、繊維、プランシェット、発光化合物、窓、箔、デカール、プライマー、およびこれらの2以上の組み合わせを含むことができる。
【0111】
[0111] 汚れまたは耐薬品性および清浄度を通して耐久性を向上させ、したがってセキュリティ文書の循環寿命を向上させる目的で、またはその美的外観(例えば光学的光沢)を変更する目的で、本明細書に記載のセキュリティ特徴またはセキュリティ文書の上に1つまたは複数の保護層を適用することができる。存在する場合、1つまたは複数の保護層は、典型的には、透明であっても、わずかに着色されていても、または着色されていてもよく、多かれ少なかれ光沢のある保護ワニスで作られる。保護ワニスは、放射線硬化性組成物、熱乾燥組成物またはそれらの任意の組合せとすることができる。好ましくは、1つまたは複数の保護層は、放射線硬化性である。より好ましくは、UV-Vis硬化性組成物。
【0112】
[0112] 本明細書に記載されるセキュリティ特徴は、基材上に直接提供されてもよく、基材上には、(紙幣用途などのために)永続的に保持されなければならない。あるいは、製造目的のために一時的な基材上にセキュリティ特徴を提供し、そのセキュリティ特徴をその後そこから除去することもできる。その後、セキュリティ特徴の製造のために本明細書に記載されたUV-Vis放射線ラジカル硬化性セキュリティインク、好ましくはUV-Vis放射線ラジカル硬化性スクリーン印刷セキュリティインクの硬化/硬化後、一時基材をセキュリティ特徴から除去することができる。
【0113】
[0113] あるいは、別の実施形態では、接着層が、セキュリティ特徴上に存在してもよく、または、セキュリティ特徴を含む基材上に存在してもよく、接着層は、セキュリティ特徴が提供される側とは反対側の基材の側、またはセキュリティ特徴と同じ側、およびセキュリティ特徴の上に存在してもよい。したがって、接着層は、硬化工程が完了した後に適用される、セキュリティ特徴または基材に適用されてもよい。そのような物品は、印刷または機械を含むその他のプロセスを必要とせず、かなりの労力を要することなく、あらゆる種類の文書または他の物品またはアイテムに添付することができる。あるいは、本明細書に記載のセキュリティ特徴を含む本明細書に記載の基材は、別個の転写工程で文書または物品に適用することができる転写箔の形態であってもよい。この目的のために、基材には剥離コーティングが施され、その上に本明細書に記載のようにセキュリティ特徴が生成される。1つまたは複数の接着層を、そのようにして製造されたセキュリティ特徴の上に適用することができる。
【0114】
[0114] また、2つ以上、すなわち、2つ、3つ、4つ等の本明細書で説明されるセキュリティ特徴を含む基材、セキュリティ文書、装飾要素および物品が本明細書で説明される。また、本明細書に記載されるセキュリティ特徴を含む物品、特にセキュリティ文書、装飾要素またはオブジェクトも本明細書で説明される。
【0115】
[0115] 上述したように、本明細書に記載するセキュリティ特徴は、セキュリティ文書または装飾要素を保護および認証するために使用することができる。
【0116】
[0116] 装飾要素または物品の典型的な例は、限定されるものではないが、高級品、化粧品包装、自動車部品、電子/電気機器、家具および爪物品を含む。
【0117】
[0117] セキュリティ文書は、限定されるものではないが、価値文書および価値商品を含む。価値文書の典型的な例には、限定されるものではないが、紙幣、証書、チケット、小切手、バウチャー、収入印紙および税金ラベル、契約書等、パスポート、IDカード、ビザ、運転免許証、銀行カード、クレジットカード、取引カード、アクセス文書またはカード、入場券、公共交通機関の切符、学業証明書または肩書等のID文書、好ましくは紙幣、ID文書、権利付与文書、運転免許証およびクレジットカードを含む。「価値商品」という用語は、特に、化粧品、栄養補給品、医薬品、アルコール、タバコ製品、飲料または食品、電気/電子製品、織物または宝石、すなわち、本物の薬品のような包装の内容を保証するために、偽造および/または違法な複製から保護されなければならない製品のための包装材料を指す。これらの包装材料の例は、限定されるものではないが、認証ブランドラベル、改ざん証拠ラベルおよびシールなどのラベルを含む。開示された基材、価値文書および価値商品は、本発明の範囲を限定することなく、例示目的のためにのみ与えられていることが指摘される。
【0118】
[0118] 当業者は、本発明の精神から逸脱することなく、上述の特定の実施形態に対するいくつかの修正を想定することができる。このような修飾は、本発明に包含される。
【0119】
[0119] さらに、本明細書を通して参照される全ての文書は、本明細書に完全に記載されるように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0120】
[実施例]
[0120] 以下、本発明を非限定的な実施例を参照してより詳細に説明する。以下の実施例は、UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク、ならびにそれらから得られるセキュリティ特徴の調製および特性についてのより詳細を提供する。
【0121】
[0121] 2系列のスクリーン印刷セキュリティインクを調製し、基材上に塗布した。
E1~E6は、異なるフレークを用いて調製され、ここで、該フレークの表面は、該フレーク上に表面処理層を提供するために、異なる化合物で独立に処理されている。表1にフレークの説明を示す。表2Aは、例えばUS8147932のような先行技術に従って、比較溶媒ベースのスクリーン印刷セキュリティインク(C1、C3、C5およびC9)を調製するために使用される溶媒ベースのインクビヒクルの説明を提供する。表2Bは、本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E1-E6)を調製するため、および比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C2、C4、C6、C7、C8およびC10)を調製するために使用されるUV-Vis硬化性インクビヒクルの説明である。表2C-1および2C-2は、本発明のUV-vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E1-E6)から製造され、従来技術による比較UV-vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C2、C4、C6、C7、C8およびC10)から製造され、比較溶媒ベースのスクリーン印刷セキュリティインク(C1、C3、C5およびC9)から製造されたセキュリティ特徴の光学特性を提供する。
E7~E34およびC11~C19は、5層薄膜干渉顔料(すなわち、光学的に可変な顔料)(ChromaFlair(登録商標))(フレークP1b)であるフレークを用いて調製され、ここで、該フレークの表面は、該フレーク上に表面処理層を提供するために、Fluorolink(登録商標)P54(リン(P)含有化合物、特にホスフェート含有基で官能化されたパーフルオロポリエーテル)で処理されている。表3A~9Aは、本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E7-E34)および比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C11-C19)を調製するために使用されるインクビヒクルの説明を提供する。表3B~9Bは、本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E7-E34)から作製され、比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C11-C19)から作製されたセキュリティ特徴の光学特性を提供する。
各種化合物(b-g)によるフレーク(P1-P4)の表面処理の調製
【表1】
【0122】
方式1a(フレークChromaFlair(登録商標)(Viavi Solutions)処理用Fluorolink(登録商標)P54)
[0122] Fluorolink(登録商標)P54(Solvay、水中20重量%)を等量のイソプロピルアルコール(Brenntag-Schweizer、99%)に溶解し、10重量%溶液を得た。
【0123】
[0123] 1リットルのポリプロピレンビーカー中で、50gのフレークを440gのイソプロピルアルコール(Brenntag-Schweizer、99%)に加え、Dispermat(LC 220-12)を用いて600rpmで10分間室温で分散させた。Fluorolink(登録商標)P54の10重量%溶液10gを分散液に加え、さらに600rpmで15分間室温で分散させた。得られた分散物を、真空下で濾紙を備えたBuchner漏斗(水ポンプ)に注ぎ、200gのイソプロピルアルコール(Brenntag-Schweizer、99%)で3回洗浄し、最後に200gのアセトン(Brenntag-Schweizer、99%)で1回洗浄した。最後に、表面処理された高アスペクト比顔料を真空下で5分間乾燥させた。
【0124】
方法1b(フレークPyrisma(登録商標)Yellow T30-20(Merck)処理用Fluorolink(登録商標)P54およびLumina(登録商標)Turquoise 9T30D(BASF))
[0124] 50mLのポリプロピレン試験管中で、2gのフレークを17.2gのイソプロパノール(Brenntag-Schweizer、99%)に室温で加えた。0.8gのFluorolink(登録商標)P54の10重量%溶液(方法1aについて記載した手順)を添加し、チューブを2分間激しく振盪した。フレークの沈降の後、溶媒の最上層をシリンジで除去し、次いでフレークを20gのイソプロピルアルコール(Brenntag-Schweizer、99%)で2回、および20gのアセトン(Brenntag-Schweizer、99%)で1回洗浄した。このようにして得られた表面処理されたフレークを、ペーパーフィルター上で室温で30分間乾燥した。
【0125】
方法1c(無色反射顔料処理用Fluorolink(登録商標)P54(Viavi Solutions))
[0125] 50mLのポリプロピレン試験管中で、2gのフレークを17.6gのイソプロパノール(Brenntag-Schweizer、99%)に室温で加えた。0.4gのFluorolink(登録商標)P54の10重量%溶液(方法1aについて記載した手順)を添加し、チューブを2分間激しく振盪した。フレークの沈降の後、溶媒の最上層をシリンジで除去し、次いでフレークを20gのイソプロピルアルコール(Brenntag-Schweizer、99%)で2回、および20gのアセトン(Brenntag-Schweizer、99%)で1回洗浄した。このようにして得られた表面処理されたフレークを、ペーパーフィルター上で室温で30分間乾燥した。
【0126】
方式2(フレークChromaFlair(登録商標)(Viavi Solutions)処理用Fluorolink(登録商標)S10)
[0126] Fluorolink(登録商標)S10(Solvay)を含む100gの溶液を、a)0.5gの酢酸(Sigma-Aldrich、99.8%)、2gの脱イオン水および97gのイソプロピルアルコール(Brenntag-Schweizer、99%)、およびb)0.5gのFluorolink(登録商標)S10の混合物を、室温で、該混合物に混合することによって調製した。得られた溶液をDispermat(LC 220-12)を用いて600rpmで30分間分散し、Fluorolink(登録商標)S10の0.5重量%溶液を得た。
【0127】
[0127] 50mLのポリプロピレン試験管中で、0.5重量%のFluorolink(登録商標)S10溶液15gにフレーク2gを加え、2分間激しく振盪した。表面処理されたフレークを真空下(水ポンプ)でビュヒナー漏斗で濾過し、該フレークがまだ湿っている間に、ガラス製品に入れ、使用前に100℃のオーブンで30分間乾燥させた。
【0128】
方法3(フレークChromaFlair(登録商標)(Viavi Solutions)処理用PolyFox(商標)156A)
[0128] PolyFox(商標)156Aを含む溶液100gを、22.2gのPolyFox(商標)156A(Omnova・Solutions、水中30重量%)および77.8gの水およびイソプロパノール(Brenntag-Schweizer、99%)の50/50混合物を混合して調製し、PolyFox(商標)156Aの6.67重量%溶液を得た。
【0129】
[0129] 50mLのポリプロピレン試験管中で、2gのフレークを17.4gのイソプロパノール(Brenntag-Schweizer、99%)に室温で加えた。PolyFox(商標)156Aの6.67重量%溶液0.6gを分散液に添加し、チューブを2分間激しく振盪した。表面処理されたフレークを真空下(水ポンプ)でビュヒナー漏斗で濾過し、該フレークがまだ湿っている間に、ガラス製品に入れ、使用前に100℃のオーブンで30分間乾燥させた。
【0130】
方法4(フレークChromaFlair(登録商標)(Viavi Solutions)処理用Lakeland PAE-185)
[0130] Lakeland PAE-185を含む溶液100gを、LakelandPAE-185(Lakeland Laboratories Ltd.、>90%)2.4gと、水とイソプロパノールの50/50混合物97.6g(Brenntag-Schweizer、99%)とを混合して調製し、Lakeland PAE-185の2.2重量%溶液を得た。
【0131】
[0131] 50mLのポリプロピレン試験管中で、2gのフレークを16.2gのイソプロパノール(Brenntag-Schweizer、99%)に加え、1.8gのLakeland PAE-185の2.2重量%溶液を分散液に加え、試験管を2分間激しく振盪した。表面処理されたフレークを真空下(水ポンプ)でビュヒナー漏斗で濾過し、該フレークがまだ湿っている間に、ガラス製品に入れ、使用前に100℃のオーブンで30分間乾燥させた。
【0132】
方式5(フレークChromaFlair(登録商標)(Viavi Solutions)処理用Dynasilan(登録商標)F8815)
[0132] Dynasilan(登録商標)F8815を含む溶液100gを、Dynasilan(登録商標)F8815(Evonik、>99%)2gおよび水とイソプロパノールの50/50混合物98g(Brenntag-Schweizer、99%)を混合して調製し、Dynasilan(登録商標)F8815の2重量%溶液を得た。
【0133】
[0133] 50mLのポリプロピレン試験管中で、2gのフレークを13gのイソプロピルアルコール(Brenntag-Schweizer、99%)に添加した。Dynasilan(登録商標)F8815の2重量%溶液5gを分散液に添加し、チューブを2分間激しく振盪した。表面処理されたフレークを真空下(水ポンプ)でビュヒナー漏斗で濾過し、該フレークがまだ湿っている間に、ガラス製品に入れ、使用前に100℃のオーブンで30分間乾燥させた。
<インク(E1~E6およびC1~C9)の調製およびそれから得られる印刷されたセキュリティ特徴>
A0.溶媒ベースのインクビヒクルV0(表2A)およびUV-Vis硬化性インクビヒクルV1(表2B)の調製
【表2A】
【0134】
[0134] 表2Aに示すインクビヒクルV0の成分を、Dispermat(モデルCV-3)を用いて室温で15分間、1000-1500rpmで混合、分散し、インクビヒクルV0を100g得た。
【0135】
[0135] 表2Aに示す粘度値を、ブルックフィールド粘度計(モデル「DV-I Prime」、100rpmでのスピンドルS27)上で25℃にて約15gのインクビヒクルについて独立に測定した。
【表2B】
【0136】
[0136] 使用したオリゴマー(RAHN社製GENOMER
*4316およびAllnex社製Ebecyl(登録商標)2003)の重量平均分子量は、OECD試験法118に従ってGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により独立に測定した。Malvern Viskotek GPCmaxを使用した。装置は、定組成ポンプ、脱ガス器、オートサンプラーおよび示差屈折計、粘度計および二重角度光散乱検出器(7°および90°)を含む三重検出器TDA302を備えた。この特定の測定には、示差屈折計のみを使用した。検量線(log(分子量)=f(保持容量))は6種のポリスチレン標準(分子量472~512000g/モル)を用いて作成した。2つのカラムViskotek TM4008L(カラム長30.0cm、内径8.0mm)を直列に連結した。固定相は、粒径6μm、最大孔径3000Åのスチレン-ジビニルベンゼン共重合体で構成した。測定中、温度は35℃に固定した。分析した試料は、THF(Acros,99.9%、無水)に溶解した10mg/mLのGenomer
*4316を含有し、1mL/分の速度で注入した。ポリマーの分子量は、以下の式を用いて、95%の信頼レベルおよび同じ溶液の3回の測定の平均で、ポリスチレン換算重量平均分子量(PSeqMW)としてクロマトグラムから計算した:
【数2】
ここで、H
iは保持容量V
iのベースラインからの検出器信号のレベルであり、M
iは保持容量V
iにおけるポリマー画分の分子量であり、nはデータ点の数である。ソフトウェアは、装置に付属のOmnisec5.12を使用した。
【0137】
[0137] 表2Bに示すインクビヒクルV1の成分を、Dispermat(モデルCV-3)を用いて室温で15分間、1000-1500rpmで混合、分散し、インクビヒクル100gを得た。
【0138】
[0138] 表2Bに示す粘度値を、ブルックフィールド粘度計(モデル「DV-I Prime」、100rpmでのスピンドルS27)上で25℃にて約15gのインクビヒクルについて独立に測定した。
【0139】
A1.比較溶媒ベースのスクリーン印刷セキュリティインク(C1、C3、C5およびC9)の調製
[0139] 比較溶媒ベースのスクリーン印刷セキュリティインク(C1、C3、C5およびC9)を、それぞれ、表2Aに記載の溶媒ベースのインクビヒクルV0およびフレークP1a、P2a、P3aおよびP4a(すなわち、さらなる表面処理なしで市販されているものとして使用される)を用いて調製した。
【0140】
[0140] 17重量%のフレークP1a、P2a、P3aおよびP4aを独立に83重量%のインクビヒクルV0に添加し、800-1000rpmで5分間Dispermat(モデルCV-3)を用いて室温で分散させ、独立に20gの比較溶媒ベースのスクリーン印刷セキュリティインクを得た。
【0141】
A2.比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C2、C4、C6、C7、C8およびC10)および本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E1-E6)の調製
[0141] 比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C2、C4、C6およびC10)を、それぞれ、表2Bに記載のインクビヒクルV1およびフレークP1a、P2a、P3aおよびP4a(すなわち、さらなる表面処理なしで市販されているものとして使用した)を用いて調製した。
【0142】
[0142] 比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C7およびC8)を、それぞれ、表2Bに記載のインクビヒクルV1およびフレークP1eおよびP1f(すなわち、フッ素含有化合物からなるが、1つまたは複数のリン(P)含有基または1つまたは複数のケイ素(Si)含有基(P1e)で官能化されていない表面処理、またはフッ素含有化合物からならず、1つまたは複数のリン(P)含有基または1つまたは複数のケイ素(Si)含有基(P1f)で官能化されている表面処理のいずれかを含む)を用いて調製した。
【0143】
[0143] 本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E1-E6)は、表2Bに記載のUV-Vis硬化性インクビヒクルV1と、それぞれ表面処理されたフレークP1b、P2b、P3b、P1c、P1dおよびP4bとを用いて調製した。
【0144】
[0144] このフレーク17重量%をインクビヒクルV1の83重量%に独立に添加し、800-1000rpmで5分間Dispermat(モデルCV-3)を用いて室温で分散させて、表2C-1に記載の比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C2、C4、C6、C7およびC8)20gと表2C-1に記載の本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E1-E5)20gと、表2C-2に記載の比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C10)と、表2C-2に記載の本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E6)を独立に得た。
【0145】
A3.インクによるセキュリティ特徴の調製(E1-E6およびC1-C10)
[0145] 比較溶剤ベースのスクリーン印刷セキュリティインク(C1、C3、C5およびC9)、比較UV-Vis硬化性のスクリーン印刷セキュリティインク(C2、C4、C6、C7、C8およびC10)、および本発明のUV-Vis硬化性のスクリーン印刷セキュリティインク(E1-E6)を、90スレッド/cm(230メッシュ)を使用して、信用用紙の紙片(LouisenthalからのBNP paper、100g/m2、14.5cm×17.5cm)上に独立して手作業で塗布した。印刷パターンのサイズは6cm×10cmであった。
【0146】
[0146] 印刷工程の後、溶剤型スクリーン印刷セキュリティインクから作製されたセキュリティ特徴を、約50℃の温度で約1分間、熱風乾燥機で独立して乾燥させた。
【0147】
[0147] 印刷工程の後、UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインクから作製されたセキュリティ特徴は、IST Metz GmbHからの乾燥機(2つのランプ:鉄ドープ水銀ランプ200W/cm2+水銀ランプ200W/cm2)の下でUV-Vis光に100m/分の速度で2回曝露することによって、独立して硬化された。
【0148】
A4-a.インクE1~E5およびC1~C8から作製されたセキュリティ特徴の光学特性(表2C-1)
[0148] 上述のセキュリティ特徴の光学特性は、目視、およびゴニオメータ(Phyma GmbH AustriaによるGoniospektrometer Codec WI-10 5&5)を使用して決定され、表2C-1に提供される。
【0149】
[0149] 相対的目視評価は以下の基準で実施した:
「彩度」(色の強度または色の飽和度の尺度に相当する)は、拡散照明(直射日光のない窓を通過する光など)の下で法線に対して0°の角度で観察され、観察する試料は、拡散光源に対して垂直に保持された。
比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C2、C4およびC6)および本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E1、E2およびE3)から作製されたセキュリティ特徴を、比較溶媒系インク(C1、C3およびC5)から作製されたセキュリティ特徴とそれぞれ比較した。
比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C7およびC8)および本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E4およびE5)から作製されたセキュリティ特徴を、比較溶媒ベースインク(C1)から作製されたセキュリティ特徴と比較した。
以下の尺度を使用した:「++」(高い彩度がすぐに分かる)、「+」(高い彩度がより詳細な検討の下で観察可能である)、「0」(同様の彩度)、「-」(低い彩度がより詳細な検討の下で観察可能である)、および「--」(低い彩度がすぐに分かる)。
「カラートラベル」(視野角に応じた色または色相の変化に対応する)は、最初に試料を法線に対して約0°の角度で観察し、観察する試料を拡散光源に対して垂直に保持することによって観察した。次いで、色の変化を観察しながら、(試料を垂直または水平に回転させることによって)視野角を徐々に法線に対して約80°に変化させた。
比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C2、C4およびC6)および本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E1、E2およびE3)から作製されたセキュリティ特徴を、比較溶媒系インク(C1、C3およびC5)から作製されたセキュリティ特徴とそれぞれ比較した。
比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C7およびC8)および本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E4およびE5)から作製されたセキュリティ特徴を、比較溶媒ベースインク(C1)から作製されたセキュリティ特徴と比較した。
以下の尺度を使用した:「++」(より広いカラートラベルが容易に観察できた)、「+」(より詳細な検討の下でより広いカラートラベルが観察できた)、「0」(同様のカラートラベル)、「-」(より詳細な検討の下でより狭いカラートラベルが観察できた)、および「--」(より狭いカラートラベルが容易に観察できた)
【0150】
[0150] 上述のゴニオメータを用いた評価は、以下のように行われた:印刷されたセキュリティ特徴のL
*a
*b
*値は、22.5°の照明で法線に対してそれぞれ22.5°(表2C-1において22.5°/22.5°として示される)および45°の照明で法線に対して45°(表2C-1において45°/45°として示される)の2つの角度で測定された。C
*(彩度)値は、CIELAB(1976)色空間に従ってa
*およびb
*値から、以下の式に従って計算される:
【数3】
【0151】
A4-b.インクE6およびC9~C10から作製されたセキュリティ特徴の光学特性(表2C-2)
[0151] 上述のセキュリティ特徴の光学特性は、視覚的に、およびA5-aに記載され、表2C-2に提供される同じゴニオメータを使用して決定された
【0152】
[0152] 相対的目視評価は以下の基準で実施した:
「明度」(白/黒のアスペクトの尺度に相当する)は、拡散照明下(直射日光のない窓を通過する光など)で法線に対して0°の角度で観察され、観察試料は、拡散光源に対して垂直に保持された。
比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C10)および本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E6)から作製されたセキュリティ特徴を、比較溶剤系インク(C9)から作製されたセキュリティ特徴と比較した。
以下の尺度を使用した:「++」(明度が高いことがすぐに分かる)、「+」(明度が高いことがより詳細な検討の下で観察可能である)、「0」(同程度の明度)、「-」(明度が低いことがより詳細な検討の下で観察可能である)、「--」(明度が低いことがすぐ分かる)
【0153】
[0153] 上述のゴニオメータによる明度値は、22.5°の照明で法線に対してそれぞれ22.5°(表2C-2では22.5°/22.5°)および45°の照明で法線に対して45°(表2C-2では45°/45°)の2つの角度での測定から直接得られた。
【表2C-1】
【表2C-2】
【0154】
[0154] 表2Cに示すように、本発明のインクE1、E2、E3およびE6から作製されたセキュリティ特徴は、比較UV-可視硬化性スクリーン印刷セキュリティインクC2、C4、C6およびC10(市販されているものと同じインクビヒクル、フレーク)から作製されたセキュリティ特徴および比較溶媒ベース印刷セキュリティインクC1、C3、C5およびC9(従来技術によるインクビヒクル、市販されているものとして使用されるフレーク)から作製されたセキュリティ特徴と比較して、大幅に改善された光学性能(目視評価およびゴニオメータ評価)を示した。
【0155】
[0155] 本発明のインクE4~E5から作製されたセキュリティ特徴は、比較溶媒ベースのスクリーン印刷セキュリティインク(C1)およびUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインクC7およびC8(同一のインクビヒクル、異なる表面処理)から作製されたセキュリティ特徴と比較して、改善された光学性能(視覚評価およびゴニオメータ評価)を示した。
【0156】
[0156] 特に、フッ素含有化合物からなるが、1つまたは複数のリン(P)含有基または1つまたは複数のケイ素(Si)含有基(特に、リン酸基、シランおよび/またはシロキサン基を欠く)(C7、硫酸基を有するフッ素含有化合物)で官能化されていない表面処理層を含む、比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインクから作製されたセキュリティ特徴は、貧弱な光学特性(目視評価およびゴニオメータ評価)だけでなく、比較溶媒ベースのスクリーン印刷セキュリティインク(C1)から作製されたセキュリティ特徴よりも悪い特性も示した。
【0157】
[0157] フルオロ含有化合物ではなく、1以上のリン(P)含有基または1以上のケイ素(Si)含有基(特にホスフェート、シランおよび/またはシロキサン基)(C8、アルキルを有するアルキルホスフェートエステル)で官能化された表面処理層を含み、比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインクから作製されたセキュリティ特徴は、貧弱な光学特性(目視評価およびゴニオメータ評価)だけでなく、比較溶媒ベースのスクリーン印刷セキュリティインク(C1)から作製されたセキュリティ特徴よりも悪い特性も示した。
<インク(E7およびC11~C14)の調製およびそれから得られる印刷されたセキュリティ特徴-ジアクリレートモノマー>
B0. UV-Vis硬化性インクビヒクルV1~V5の調製(表3A)
【表3A】
【0158】
[0158] 表4ABに示す各インクビヒクルV1~V5の成分を、Dispermat(モデルCV-3)を用いて室温で15分間1000-1500rpmで混合分散し、インクビヒクル100gを得た。
【0159】
[0159] 表3Aに示す粘度値を、ブルックフィールド粘度計(モデル「DV-I Prime」、V1については100rpmでのスピンドルS27、およびV2~V5については100rpmでのスピンドルS21)上で25℃にて約15gのインクビヒクルについて独立に測定した。
【0160】
B1. UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E7およびC11-C14)の調製
[0160] 本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E7)および比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C11-C14)を、表3Aに記載の各インクビヒクルV1~V5およびフレークP1bを用いて調製した。セキュリティインクE7は、表2CのインクE1と同一であり、比較インク(C11-C14)と同時に調製した。
【0161】
[0161] 本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E7)および表3Bに記載の比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C11-C14)20gをそれぞれ独立に得るために、17重量%のフレークP1bをそれぞれ83重量%のインクビヒクルV1-V5に添加し、800-1000rpmで5分間Dispermat(モデルCV-3)を用いて室温で分散させた。
【0162】
B2.インクE7およびC11~C14から作製されたセキュリティ特徴の調製および光学特性(表3B)
[0162] 比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C11-C14)および本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E7)を、90スレッド/cmスクリーン(230メッシュ)を使用して、信用用紙の紙片(LouisenthalからのBNP paper、100g/m2、14.5cm×17.5cm)上に手作業で独立に塗布した。
【0163】
[0163] 印刷パターンのサイズは6cm×10cmであった。印刷工程の後、UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインクから作製されたセキュリティ特徴は、IST Metz GmbHからの乾燥機(2つのランプ:鉄ドープ水銀ランプ200W/cm2+水銀ランプ200W/cm2)の下でUV-Vis光に100m/分の速度で2回曝露することによって、独立して硬化された。
【0164】
[0164] 上記のセキュリティ特徴の光学的特性は、目視、およびA4-aに記載され、表3Bに提供される同じゴニオメータを使用して決定された。
【0165】
[0165] 相対的目視評価は以下の基準で実施した:
「彩度」(色の強度または色の飽和度の尺度に相当する)は、拡散照明(直射日光のない窓を通過する光など)の下で法線に対して0°の角度で観察され、観察する試料は、拡散光源に対して垂直に保持された。
以下の尺度を用いた:優良、良好、十分、不良。不良彩度とは、要求の厳しい最終用途のセキュリティ特徴として使用するのに適さないサンプルを指す。
「カラートラベル」(視野角に応じた色または色相の変化に対応する)は、最初に試料を法線に対して約0°の角度で観察し、観察する試料を拡散光源に対して垂直に保持することによって観察した。次いで、色の変化を観察しながら、(試料を垂直または水平に回転させることによって)視野角を徐々に法線に対して約80°に変化させた。以下の尺度を用いた:優良、良好、十分、不良。不良カラートラベルは、視野角を変化させる際の色の差が肉眼では容易に認識されないか、または全く認識されないことを意味し、したがって、セキュリティ特徴は、高度に要求の厳しい最終用途には適さない。
「インキ被覆」:インキ被覆が不十分な場合、白の斑点が多少拡大し、外観が損なわれる。以下の尺度を用いた:優良、良好、十分、不良。「優良」とは、印刷されたセキュリティ特徴が約50cmの距離から観察されたときに白い斑点がないことを意味する。「良好」とは、白い斑点がいくつかあるが、外観にはほとんど影響がないことを意味する。「十分」とは、白い斑点の数が多いが、印刷されたセキュリティ特徴がまだ使用可能であることを意味する。「不良」とは、白の斑点の程度が非常に高く、セキュリティ特徴が使用できないことを意味する。
B3.結果 インクE7およびC11~C14から作製されたセキュリティ特徴の調製
【表3B】
【0166】
[0166] 表3Bに示されるように、比較インクC11~C14から作製されたセキュリティ特徴は、ゴニオメータで測定したとき、視覚的外観が悪く、彩度の値が低かった。インク被覆率が特に悪く、その結果、白の斑点が拡大し、印刷されたセキュリティ特徴の全体的な外観に悪影響を及ぼした。表3Bに示されるように、1種以上のオリゴマーを含むが、1種以上のトリアクリレートモノマーおよび/またはテトラアクリレートモノマーを欠くUV-可視硬化性スクリーン印刷セキュリティインクは、1種以上のトリアクリレートモノマーおよび/またはテトラアクリレートモノマーを欠くために、低い光学特性、特に、低い彩度および低いインク被覆率に悩まされる。
<インク(E8~E10およびC13~C17)の調製および得られた印刷されたセキュリティ特徴-オリゴマーの影響>
C0.UV-Vis硬化性インクビヒクルV1~V5の調製(表4A)
【表4A】
【0167】
[0167] 表4Aに示す各インクビヒクルV1およびV6~V12の成分を、Dispermat(モデルCV-3)を用いて室温で1000-1500rpmで15分間混合分散し、各インクビヒクル100gを得た。
【0168】
[0168] 表4Aに示す粘度値を、ブルックフィールド粘度計(モデル「DV-I Prime」、V1およびV9については100rpmのスピンドルS27、V6、V7、V8およびV12については100rpmのスピンドルS21,V10およびV11については50rpmのスピンドルS27)で25℃にて約15gのインクビヒクルについて独立に測定した。
【0169】
C1.比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E8~E10およびC15~C19)の調製
[0169] 本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E8-E10)および比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C15-C19)を、表4Aに記載の各インクビヒクルV1およびV6~V12とフレークP1bとを用いて調製した。セキュリティインクE9は、表2CのインクE1と同一であり、インクE9-10およびC15-C19と同時に調製した。
【0170】
[0170] 表4Aに示されるように、E8~E10およびC15~C19について、フレーク、光開始剤および消泡剤は同じであり、同じ量であった。
【0171】
[0171] 各インクビヒクルV1およびV6-V12の83重量%に対して、17重量%のフレークP1bを独立に添加し、Dispermat(モデルCV-3)を用いて、800-1000rpmで5分間、室温で分散させ、表4Bに記載の本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E8-E10)および比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C15-C19)20gを独立に得た。
【0172】
[0172] 比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインクC19は、WO2013/119387A1の実施例3に開示されたものと同じインクビヒクルを含んでいた。WO2013/119387A1に記載されているように、2重量%(全UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインクに基づく)エチル4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート(EDB、CAS10287-53-3、硬化促進剤)を印刷前に上記インクに添加した。最終インクは、16.7重量%の顔料、81.3重量%のインクビヒクルおよび2重量%の相乗剤を含有する。
【0173】
C2 インクE8~E10およびC15~C19から作製されたセキュリティ特徴の調製および光学特性(表4B)
[0173] 比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(C15-C19)および本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E8-E10)を、90スレッド/cmスクリーン(230メッシュ)を使用して、信用用紙の紙片(LouisenthalからのBNP paper、100g/m2、14.5cm×17.5cm)上に手作業で独立に塗布した。
【0174】
[0174] 印刷パターンのサイズは6cm×10cmであった。印刷工程の後、UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインクから作製されたセキュリティ特徴は、IST Metz GmbHからの乾燥機(2つのランプ:鉄ドープ水銀ランプ200W/cm2+水銀ランプ200W/cm2)の下でUV-Vis光に100m/分の速度で2回曝露することによって、独立して硬化された。
【0175】
[0175] 上記のセキュリティ特徴の光学的特性は、目視およびA4-aで説明したゴニオメータを使用して測定したものであり、表4Bに示す。相対的目視評価は、上記の項目B2に記載されているのと同じ基準で実施した。
C3.結果 インクE8~E10およびC15~C19から作製されたセキュリティ特徴の調製
【表4B】
【0176】
[0176] 表4Bに示すように、請求項に記載の範囲内の粘度を有するインクビヒクルを含み、請求項に記載の範囲内の1つまたは複数のオリゴマーを含むUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインクE8~E10で作製されたセキュリティ特徴は、比較インクで作製されたセキュリティ特徴と比較して、改善された視覚的外観、およびゴニオメータ(目視評価およびゴニオメータ評価)によって測定される、改善された彩度値を示した。
【0177】
[0177] 請求項の範囲外の粘度(それぞれ55および118mPas)を有するインクビヒクルを含む比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインクC15およびC16は、工業用スクリーン印刷機上で正確な印刷品質を保証するには低すぎる粘度を被った。また、上記比較インクC15、C16は、光学特性が悪い。
【0178】
[0178] 比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインクC17およびC18は良好な/優良な光学特性を示したのに対して、比較インクC17およびC18は請求項の範囲外の粘度(それぞれ、4700および6860mPas)を有するインクビヒクルを含み、その粘度によれば工業用スクリーン印刷機上で正確な印刷品質を保証することができない。
【0179】
[0179] 請求項の範囲外の粘度(129mPas)を有するインクビヒクルを含む比較UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインクC19は、工業用スクリーン印刷機で正確な印刷品質を保証するには粘度値が低すぎる。また、上記比較インクC19は、光学特性が劣っていた。
<インク(E11-E15)調製およびそれから得られた印刷セキュリティ特徴-オリゴマーの影響>
D0.UV-Vis硬化性インクビヒクルV1およびV13-V15の調製(表5A)
【表5A】
【0180】
[0180] 表5Aに示す各インクビヒクルV1およびV13~V15の成分を、Dispermat(モデルCV-3)を用いて室温で1000-1500rpmで15分間混合分散し、各インクビヒクル100gを得た。
【0181】
[0181] 表5Aに示す粘度値を、ブルックフィールド粘度計(モデル「DV-I Prime」、100rpmでのスピンドルS27)上で25℃にて約15gのインクビヒクルについて独立に測定した。
【0182】
D1.UV-Vis硬化性スクリーン印刷用セキュリティインクの調製(E11-E15)
[0182] 本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E11-E15)は、表5Aに記載の各インクビヒクルV1およびV13-V15と、フレークP1bとを用いて調製した。セキュリティインクE11は、表2CのインクE1と同一であり、インクE12~E15と同時に調製した。
【0183】
[0183] 17重量%のフレークP1bを、83重量%のそれぞれのインクビヒクルV1およびV13-V15に独立に添加し、800-1000rpmで5分間、Dispermat(モデルCV-3)を用いて室温で分散させ、表5Bに記載の発明によるUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E11-E15)20gを独立に得た。
【0184】
D2.インクE11~E15から作製されたセキュリティ特徴の調製および光学特性(表5B)
[0184] 本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E11-E15)を、90スレッド/cmスクリーン(230メッシュ)を使用して、信用用紙の紙片(LouisenthalからのBNP paper、100g/m2、14.5cm×17.5cm)上に手作業で独立に塗布した。
【0185】
[0185] 印刷パターンのサイズは6cm×10cmであった。印刷工程の後、UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインクから作製されたセキュリティ特徴は、IST Metz GmbHからの乾燥機(2つのランプ:鉄ドープ水銀ランプ200W/cm2+水銀ランプ200W/cm2)の下でUV-Vis光に100m/分の速度で2回曝露することによって、独立して硬化された。
【0186】
[0186] 上記のセキュリティ特徴の光学的特性は、目視およびA4-aで説明したゴニオメータを使用して測定したものであり、表5Bに示す。相対的目視評価は、上記の項目B2に記載されているのと同じ基準で実施した。
D3.結果 インクE11~E15から作製されたセキュリティ特徴の調製
【表5B】
【0187】
[0187] 表5Bに示されるように、請求項の範囲内の粘度を有するインクビヒクルを含み、請求項の範囲内の1以上のオリゴマーを含み、10-50重量%の請求項の範囲内の1以上のトリアクリレートモノマーを含むUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインクE11~E15から作製されたセキュリティ特徴は、ゴニオメータ(目視評価およびゴニオメータ評価)によって測定されるように、十分から優良な視覚的外観および高い彩度を示した。
<インク(E16-E19)調製およびそれから得られる印刷されたセキュリティ特徴-トリアクリレートモノマーの影響>
E0.UV-Vis硬化性インクビヒクルV1およびV16-V18の調製(表6A)
【表6A】
【0188】
[0188] 表6Aに示す各インクビヒクルV1およびV16~V18の成分を、Dispermat(モデルCV-3)を用いて室温で1000-1500rpmで15分間混合分散し、各インクビヒクル100gを得た。
【0189】
[0189] 表6Aに示す粘度値を、ブルックフィールド粘度計(モデル「DV-I Prime」、V1、V16およびV17については100rpmのスピンドルS27、およびV18については100rpmのスピンドルS21)上で25℃にて約15gのインクビヒクルについて独立に測定した。
【0190】
E1.UV-Vis硬化性スクリーン印刷用セキュリティインクの調製(E16-E19)
[0190] 本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E16-E19)は、表6Aに記載の各インクビヒクルV1およびV16-V18と、フレークP1bとを用いて調製した。セキュリティインクE16は、表2CのインクE1と同一であり、インクE17~E19と同時に調製した。
【0191】
[0191] 17重量%のフレークP1bを、83重量%のそれぞれのインクビヒクルV1およびV16-V18に独立に添加し、800-1000rpmで5分間、Dispermat(モデルCV-3)を用いて室温で分散させ、表6Bに記載の発明によるUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E16-E19)20gを独立に得た。
【0192】
E2.インクE16~E19から作製されたセキュリティ特徴の調製および光学特性(表6B)
[0192] 本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E16-E19)を、90スレッド/cmスクリーン(230メッシュ)を使用して、信用用紙の紙片(LouisenthalからのBNP paper、100g/m2、14.5cm×17.5cm)上に手作業で独立に塗布した。
【0193】
[0193] 印刷パターンのサイズは6cm×10cmであった。印刷工程の後、UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインクから作製されたセキュリティ特徴は、IST Metz GmbHからの乾燥機(2つのランプ:鉄ドープ水銀ランプ200W/cm2+水銀ランプ200W/cm2)の下でUV-Vis光に100m/分の速度で2回曝露することによって、独立して硬化された。
【0194】
[0194] 上記のセキュリティ特徴の光学的特性は、目視およびA4-aで説明したゴニオメータを使用して測定したものであり、表6Bに示す。相対的目視評価は、上記の項目B2に記載されているのと同じ基準で実施した。
E3.結果 インクE16~E19から作製されたセキュリティ特徴の調製
【表6B】
【0195】
[0195] 表6Bに示されるように、請求項の範囲内の粘度を有するインクビヒクルを含み、請求項の範囲内の1種以上のオリゴマーを含み、請求項の範囲内の1種以上のトリアクリレートモノマーを含むUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインクE16~E19から作製されたセキュリティ特徴は、ゴニオメータ(目視評価およびゴニオメータ評価)によって測定されるように、優良な視覚的外観および高い彩度を示した。
<インク(E20-E25)調製およびそれから得られる印刷されたセキュリティ特徴-トリアクリレートモノマーの影響>
F0.UV-Vis硬化性インクビヒクルV1およびV19-V23の調製(表7A)
【表7A】
【0196】
[0196] 表7Aに示す各インクビヒクルV1およびV19~V23の成分を、Dispermat(モデルCV-3)を用いて室温で1000-1500rpmで15分間混合分散し、各インクビヒクル100gを得た。
【0197】
[0197] 表7Aに示す粘度値を、ブルックフィールド粘度計(モデル「DV-I Prime」、100rpmでのスピンドルS27)上で25℃にて約15gのインクビヒクルについて独立に測定した。
【0198】
F1.UV-Vis硬化性スクリーン印刷用セキュリティインクの調製(E20-E25)
[0198] 本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E20-E25)は、表7Aに記載の各インクビヒクルV1およびV19-V23と、フレークP1bとを用いて調製した。セキュリティインクE20は、表2CのインクE1と同一であり、インクE21~E25と同時に調製した。
【0199】
[0199] 17重量%のフレークP1bを、83重量%のそれぞれのインクビヒクルV1およびV19-V23に独立に添加し、800-1000rpmで5分間、Dispermat(モデルCV-3)を用いて室温で分散させ、表7Bに記載の発明によるUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E20-E25)20gを独立に得た。
【0200】
F2.インクE20~E25から作製されたセキュリティ特徴の調製および光学特性(表7B)
[0200] 本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E20-E25)を、90スレッド/cmスクリーン(230メッシュ)を使用して、信用用紙の紙片(LouisenthalからのBNP paper、100g/m2、14.5cm×17.5cm)上に手作業で独立に塗布した。
【0201】
[0201] 印刷パターンのサイズは6cm×10cmであった。印刷工程の後、UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインクから作製されたセキュリティ特徴は、IST Metz GmbHからの乾燥機(2つのランプ:鉄ドープ水銀ランプ200W/cm2+水銀ランプ200W/cm2)の下でUV-Vis光に100m/分の速度で2回曝露することによって、独立して硬化された。
【0202】
[0202] 上記のセキュリティ特徴の光学的特性は、目視およびA4-aで説明したゴニオメータを使用して測定したものであり、表7Bに示す。相対的目視評価は、上記の項目B2に記載されているのと同じ基準で実施した。
F3.結果 インクE20~E25から作製されたセキュリティ特徴の調製
【表7B】
【0203】
[0203] 表7Bに示されるように、請求項の範囲内の粘度を有するインクビヒクルを含み、請求項の範囲内の1種以上のオリゴマーを含み、請求項の範囲内の1種以上のトリアクリレートモノマーを含むUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインクE20~E25から作製されたセキュリティ特徴は、ゴニオメータ(目視評価およびゴニオメータ評価)によって測定されたとき、良好から優良な視覚的外観および高い彩度を示した。
<インク(E26-29)調製およびそれから得られる印刷されたセキュリティ特徴-テトラアクリレートモノマーの影響>
G0.UV-Vis硬化性インクビヒクルV1およびV24-V26の調製(表8A)
【表8A】
【0204】
[0204] 表8Aに示す各インクビヒクルV1およびV24~V26の成分を、Dispermat(モデルCV-3)を用いて室温で1000-1500rpmで15分間混合分散し、各インクビヒクル100gを得た。
【0205】
[0205] 表8Aに示す粘度値を、ブルックフィールド粘度計(モデル「DV-I Prime」、100rpmでのスピンドルS27)上で25℃にて約15gのインクビヒクルについて独立に測定した。
【0206】
G1.UV-Vis硬化性スクリーン印刷用セキュリティインクの調製(E26-E29)
[0206] 本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E26-E29)は、表8Aに記載の各インクビヒクルV1およびV24-V26と、フレークP1bとを用いて調製した。セキュリティインクE26は、表2CのインクE1と同一であり、インクE27~E29と同時に調製した。
【0207】
[0207] 17重量%のフレークP1bを、83重量%のそれぞれのインクビヒクルV1およびV24-V26に独立に添加し、800-1000rpmで5分間、Dispermat(モデルCV-3)を用いて室温で分散させ、表8Bに記載の発明によるUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E26-E29)20gを独立に得た。
【0208】
G2.インクE26~E29から作製されたセキュリティ特徴の調製および光学特性(表8B)
[0208] 本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E26-E29)を、90スレッド/cmスクリーン(230メッシュ)を使用して、信用用紙の紙片(LouisenthalからのBNP paper、100g/m2、14.5cm×17.5cm)上に手作業で独立に塗布した。
【0209】
[0209] 印刷パターンのサイズは6cm×10cmであった。印刷工程の後、UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインクから作製されたセキュリティ特徴は、IST Metz GmbHからの乾燥機(2つのランプ:鉄ドープ水銀ランプ200W/cm2+水銀ランプ200W/cm2)の下でUV-Vis光に100m/分の速度で2回曝露することによって、独立して硬化された。
【0210】
[0210] 上記のセキュリティ特徴の光学的特性は、目視およびA4-aで説明したゴニオメータを使用して測定したものであり、表8Bに示す。相対的目視評価は、上記の項目B2に記載されているのと同じ基準で実施した。
G3 結果 インクE26~E29から作製されたセキュリティ特徴の調製
【表8B】
【0211】
[0211] 表8Bに示されるように、UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインクE26~E29から作製されたセキュリティ特徴は、請求項の範囲内の粘度を有するインクビヒクルを含み、請求項の範囲内の1種以上のオリゴマーを含み、請求項の範囲内の1種以上のトリアクリレートモノマーを含む(E26)、または請求項の範囲内の1種以上のテトラアアクリルアテモノマーを含む(E27-E29)、ゴニオメータ(目視評価およびゴニオメータ評価)によって測定されたように、優良な視覚的外観および高い彩度を示した。
<インク(E30-34)調製およびそれから得られる印刷されたセキュリティ特徴-トリアクリラート/テトラクリラートモノマーの影響>
H0.UV-Vis硬化性インクビヒクルV1およびV27-V30の調製(表9A)
【表9A】
【0212】
[0212] 表9Aに示す各インクビヒクルV1およびV30~V34の成分を、Dispermat(モデルCV-3)を用いて室温で1000-1500rpmで15分間混合分散し、各インクビヒクル100gを得た。
【0213】
[0213] 表7Aに示す粘度値を、ブルックフィールド粘度計(モデル「DV-I Prime」、100rpmでのスピンドルS27)上で25℃にて約15gのインクビヒクルについて独立に測定した。
【0214】
H1.UV-Vis硬化性スクリーン印刷用セキュリティインクの調製(E30-E34)
[0214] 本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E30-E34)は、表9Aに記載の各インクビヒクルV1およびV27-V30と、フレークP1bとを用いて調製した。セキュリティインクE30は、表2CのインクE1と同一であり、インクE31~E34と同時に調製した。
【0215】
[0215] 17重量%のフレークP1bを、83重量%のそれぞれのインクビヒクルV1およびV27-V30に独立に添加し、800-1000rpmで5分間、Dispermat(モデルCV-3)を用いて室温で分散させ、表9Bに記載の発明によるUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E30-E34)20gを独立に得た。
【0216】
H2 インクE30~E34から作製されたセキュリティ特徴の調製および光学特性(表9B)
[0216] 本発明のUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインク(E30-E34)を、90スレッド/cmスクリーン(230メッシュ)を使用して、信用用紙の紙片(LouisenthalからのBNP paper、100g/m2、14.5cm×17.5cm)上に手作業で独立に塗布した。
【0217】
[0217] 印刷パターンのサイズは6cm×10cmであった。印刷工程の後、UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインクから作製されたセキュリティ特徴は、IST Metz GmbHからの乾燥機(2つのランプ:鉄ドープ水銀ランプ200W/cm2+水銀ランプ200W/cm2)の下でUV-Vis光に100m/分の速度で2回曝露することによって、独立して硬化された。
【0218】
[0218] 上記のセキュリティ特徴の光学的特性は、目視およびA4-aで説明したゴニオメータを使用して測定したものであり、表9Bに示す。相対的目視評価は、上記の項目B2に記載されているのと同じ基準で実施した。
H3.結果 インクE30~E34から作製されたセキュリティ特徴の調製
【表9B】
【0219】
[0219] 表9Bに示すように、UV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインクE30~E34から作製されたセキュリティ特徴は、請求項に記載の範囲内の粘度を有するインクビヒクルを含み、請求項に記載の範囲内の1つまたは複数のオリゴマーを含み、請求項に記載の範囲内の1つまたは複数のトリアクリレートモノマーと請求項に記載の範囲内の1つまたは複数のテトラアアクリルアテモノマーとの組合せを含むUV-Vis硬化性スクリーン印刷セキュリティインクE1~E2から作製されたセキュリティ特徴は、ゴニオメータ(目視評価およびゴニオメータ評価)で測定したとき、良好から優良な視覚的外観および高い彩度を示した。