IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オリオンズ バイオサイエンス エヌブイの特許一覧 ▶ ブイアイビー ブイゼットダブリュの特許一覧 ▶ ウニベルシテイト ヘントの特許一覧

<>
  • 特許-標的化キメラタンパク質及びその使用 図1A
  • 特許-標的化キメラタンパク質及びその使用 図1B
  • 特許-標的化キメラタンパク質及びその使用 図2A
  • 特許-標的化キメラタンパク質及びその使用 図2B
  • 特許-標的化キメラタンパク質及びその使用 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】標的化キメラタンパク質及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20240423BHJP
   A61K 38/21 20060101ALI20240423BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240423BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240423BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
A61K38/21
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P35/02
C07K19/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019563679
(86)(22)【出願日】2018-02-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-05
(86)【国際出願番号】 EP2018052814
(87)【国際公開番号】W WO2018141964
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2021-02-02
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】62/454,993
(32)【優先日】2017-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519287389
【氏名又は名称】オリオンズ バイオサイエンス ビーブイ
(73)【特許権者】
【識別番号】512027441
【氏名又は名称】ブイアイビー ブイゼットダブリュ
(73)【特許権者】
【識別番号】513190014
【氏名又は名称】ウニベルシテイト ヘント
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】クレイ、ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】タベルニエ、ジャン
【合議体】
【審判長】加々美 一恵
【審判官】上條 肇
【審判官】鶴 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-500796(JP,A)
【文献】国際公開第2015/138600(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00 - 15/90
C07K 1/00 - 19/00
CAPlus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JST7580/JMEDPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)シグナル調節タンパク質α-1(SIRP1α)を認識して結合する認識ドメインを含む標的化部分であって、前記認識ドメインが、全長抗体、単一ドメイン抗体、組換え重鎖抗体(VHH)、一本鎖抗体(scFv)、サメ重鎖抗体(VNAR)、マイクロプロテイン、DARPin、アンチカリン、アドネクチン、アプタマー、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)を含む標的化部分、及び
(b)改変型シグナル伝達物質であって、前記改変型シグナル伝達物質は、配列番号46又は配列番号47のアミノ酸配列と少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むヒトインターフェロンα2(IFNα2)を含み、野生型IFNα2と比べて、IFN-α受容体に対する親和性又は活性の低下又は除去をもたらすR149Aの変異を有している改変型シグナル伝達物質、
を含み、
前記親和性又は活性の低下は、前記標的化部分への結合によって回復可能であり、
前記標的化部分と改変型IFNα2シグナル伝達物質が1つ又は複数のリンカーにより連結されていてもよい、キメラタンパク質。
【請求項2】
免疫細胞上の抗原又は受容体を認識して結合する認識ドメインを含む、1つ又は複数の追加標的化部分をさらに含み、前記免疫細胞がマクロファージ、単球、及び樹状細胞から選択される、請求項1に記載のキメラタンパク質。
【請求項3】
前記1つ又は複数の追加標的化部分が、PD-L1、PD-L2、PD-1、及びClec9Aのうちの1つ又は複数を認識する、請求項2に記載のキメラタンパク質。
【請求項4】
前記認識ドメインが目的の抗原又は受容体を機能的に調整する、請求項1に記載のキメラタンパク質。
【請求項5】
前記認識ドメインが目的の抗原又は受容体を認識して結合するがその機能を調整しない、請求項1に記載のキメラタンパク質。
【請求項6】
前記改変型シグナル伝達物質が、シグナル伝達物質の受容体における親和性又は活性を野生型シグナル伝達物質と比べて低下させる1つ又は複数の変異を含む、請求項1に記載のキメラタンパク質。
【請求項7】
(a)SIRP1αを認識して結合する認識ドメインを含む第1の標的化部分、
(b)PD-1を認識して結合する認識ドメインを含む第2の標的化部分、及び
(c)野生型IFNα2と比べてIFN-α受容体に対する親和性又は活性の低下又は除去をもたらすR149Aの変異を有する改変型ヒトインターフェロンα2(IFNα2)
を含み
記第1の標的化部分及び前記第2の標的化部分からなる群より選択される少なくとも1つの標的化部分と前記改変型IFNα2が1つ又は複数のリンカーにより連結されていてもよい、キメラタンパク質。
【請求項8】
請求項1~請求項のいずれか一項に記載のキメラタンパク質を含む、がんの治療において使用するための医薬。
【請求項9】
前記がんが、基底細胞がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん、脳及び中枢神経系のがん、乳がん、腹膜がん、子宮頸部がん、絨毛癌、大腸がん、結合組織がん、消化器がん、子宮内膜がん、食道がん、眼のがん、頭頚部がん、胃腸がん、神経膠芽腫、肝癌、肝細胞癌、上皮内新生物、腎臓がん、喉頭がん、白血病、肝臓がん、肺がん、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸がん、呼吸器がん、唾液腺癌、肉腫、皮膚がん、扁平上皮がん、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮又は子宮内膜のがん、泌尿器がん、外陰がん、リンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病、並びに他のがん腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、並びに母斑症に関連する異常血管増殖、及びメグズ症候群のうちの1つ又は複数から選択される、請求項に記載の医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は2017年2月6日に出願された米国仮特許出願第62/454,993号の利益と優先権を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0002】
技術分野
本発明はSIRP1αを認識して結合する少なくとも1つの標的化部分を含むキメラタンパク質、並びに診断薬及び治療薬としてのそれらの使用に部分的に関する。本発明はまた、前記キメラタンパク質を含む医薬組成物、及びがんを含む様々な疾患の治療におけるそれらの使用に関する。
【0003】
配列表
本出願は、EFS-Webを介してASCIIフォーマットで提出され、参照によりその全体が本明細書に取り込まれる配列表を含む。2018年1月31日に作成されたそのASCIIコピーはORN-027PC-Sequence_Listing_ST25.txtという名称であり、サイズが282,624バイトである。
【背景技術】
【0004】
がんは毎年世界中で700万人近くの死因となっており、且つ、医療の大きな進歩にもかかわらずほとんど治療不可能であることが今日までに示されている世界的な健康上の問題である。苛立たしいことに、がんは免疫系による検出及び駆除を潜り抜け、それによって疾患に対する身体の防護を回避する方法を発達させているようである。例えば、がん細胞がマクロファージによる貪食を回避する1つのメカニズムは、マクロファージ上の抑制性受容体、すなわち、シグナル調節タンパク質α-1(SIRP1α)に関与するCD47の上方制御を介したものである。具体的には、がん細胞上のCD47とSIRP1αとの相互作用によって、がん細胞の貪食を阻害する「私を食べないで(don’t eat me)」というシグナルが生じる。Myc癌遺伝子はがん細胞でのCD47の発現、すなわちMycの強力なin vivo腫瘍成長促進活性に関係があるとされている免疫抑制機構を誘導する。
【0005】
Mycファミリーの細胞性癌遺伝子の活性化はヒトのがんにおけるがんの発生に関わる最も一般的な事象のうちの1つである。Mycタンパク質ファミリーは、配列特異的転写因子として機能すると考えられている非常に近縁の3種類の細胞核リンタンパク質(c-Myc、N-Myc、及びL-Myc)をコードする。Mycタンパク質は、成長、増殖、アポトーシス、代謝、分化、自己新生、及び血管新生を含む生物学的過程にとって重要な様々な遺伝子を活性化する。がん細胞において非常に高活性なMycタンパク質を阻害しようとする努力にもかかわらず、この癌遺伝子は治療的標的化に対して高い耐性を保ち続ける。さらに、活性のあるMycタンパク質によって様々な制がん剤に対する腫瘍の耐性が促進されることを示唆する証拠がある。
【0006】
よって、Myc駆動性の癌を含むがんを効果的に標的化することができる新規治療薬の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
様々な態様において、本発明は、SIRP1αに特異的に結合する少なくとも1つの標的化部分を有するキメラタンパク質に関する。様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質に、例えば、マクロファージ細胞を直接的又は間接的に目的の部位へ動員する用途を有する。様々な実施形態において、キメラタンパク質は、活性を減弱するために改変されていてもよいシグナル伝達物質、例えば、限定されないが、インターフェロン、インターロイキン、及び腫瘍壊死因子をさらに含む。様々な実施形態において、キメラタンパク質は、目的の他の標的(例えば、抗原、受容体)に結合する追加標的化部分を含む。ある実施形態では、目的の他の標的(例えば、抗原、受容体)は腫瘍細胞上に存在する。別の実施形態では、目的の他の標的(例えば、抗原、受容体)は免疫細胞上に存在する。いくつかの実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、免疫細胞(例えばマクロファージ)を作用部位(非限定的な例として、腫瘍微小環境など)へ直接的又は間接的に動員し得る。いくつかの実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、マクロファージによる標的細胞(例えば腫瘍細胞)の貪食を促進する。
【0008】
様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質は、がん、感染症、免疫障害、及び他の疾患及び障害などの様々な疾患又は障害の治療に使用され、本発明は様々な治療方法を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】抗マウスSirp1α VHHを使用する結合アッセイを示す図である。抗マウスSIRP1α VHHの段階希釈物をFACSに基づいたmSIRPA結合アッセイにおいてマウスSIRP1α発現細胞に対して試験した。蛍光強度の幾何平均をプロットした。
図1B】抗マウスSirp1α VHHを使用する結合アッセイを示す図である。抗マウスSIRP1α VHHの段階希釈物をマウスCD47-マウスSIRPα結合アッセイにおいて試験した。三連の測定値の平均値±標準偏差をプロットした。
図2A】抗マウスSirp1α VHH/ヒトIFN Q124Rキメラを使用するB16in vivo試験を示す図である。PBS対照に対する腫瘍成長が比較されている。抗マウスSirp1α VHH/ヒトIFN Q124Rキメラは下の曲線であり、PBSは上の曲線である。
図2B】抗マウスSirp1α VHH/ヒトIFN Q124Rキメラを使用するB16in vivo試験を示す図である。図2Aの腫瘍試験のマウスにおける様々な安全性パラメーター、すなわち、白血球数(「wbc」)、リンパ球数(「ly」)、好中球数(「ne」)、単球数(「mo」)、赤血球数(「rbc」)、ヘモグロビン(「hb」);ヘモクリット(「hct」)、血小板(「plt」)、及び平均血小板容積(「mpv」)を評価した。各セットにおいて、左のバーはPBSであり、右のバーは抗マウスSirp1α VHH/ヒトIFN Q124Rである。
図3】100ng/mlのキメラによる刺激を受け(又は刺激を受けず)、且つ、リン酸化STAT1について染色されたB16細胞を示す図である。データは平均蛍光強度としてプロットされている。抗マウスSirp1α VHH/抗マウスPD-L1 VHH/ヒトIFN Q124R、及び改変型ヒトIFNα Q124Rに対する単一特異性抗BcII10 VHH融合体(非標的化IFN Q124R対照)を分析した。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、シグナル調節タンパク質α-1(SIRP1α)を特異的に認識して結合する標的化部分を有する標的化キメラタンパク質の発見に部分的に基づく。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は多重特異性であり、1つ又は複数の標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は1種類又は複数種類の受容体に対する親和性が低下している改変型シグナル伝達物質(例えば、インターフェロン)をさらに含む。様々な実施形態において、キメラタンパク質は、マクロファージなどの免疫細胞に結合し、それらの免疫細胞を治療作用が必要な部位(例えば、腫瘍又は腫瘍微小環境)へ直接的又は間接的に動員し得る。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、マクロファージによる腫瘍細胞の貪食を誘導及び/又は促進する。本開示のキメラタンパク質は有益な治療特性及び副作用の低減を示す。
【0011】
標的化キメラタンパク質
様々な実施形態において、本発明は、シグナル調節タンパク質α-1(SIRP1α)を特異的に認識して結合する標的化部分を含む標的化キメラタンパク質に関する。SIRP1α(SIRPαとしても知られる)は、抑制性メンバー(SIRPα)、活性化メンバー(SIRPβ)、非シグナル伝達メンバー(SIRPγ)、及び可溶性メンバー(SIRPδ)を包含する細胞免疫受容体ファミリーに属する。SIRP1αは、マクロファージ、顆粒球、骨髄性樹状細胞(DC)、肥満細胞、及び造血幹細胞を含むそれらの前駆細胞を含む骨髄性細胞上に主に発現する。SIRP1αは、広範に発現する膜貫通糖タンパク質CD47と相互作用して貪食を調節する抑制性受容体として作用する。特に、標的細胞上に発現したCD47のマクロファージ上のSIRP1αとの結合によって、標的細胞の貪食を負に調節する抑制性シグナルが生じる。
【0012】
様々な実施形態において、本発明は、マクロファージ上のSIRP1αを特異的に認識して結合する標的化部分を含む標的化キメラタンパク質に関する。
【0013】
様々な実施形態において、本発明は、単球上のSIRP1αを特異的に認識して結合する標的化部分を含む標的化キメラタンパク質に関する。
【0014】
様々な実施形態において、本発明は、TAM(腫瘍関連マクロファージ)上のSIRP1αを特異的に認識して結合する標的化部分を含む標的化キメラタンパク質に関する。
【0015】
様々な実施形態において、本発明は、これらに限定されないがcDC2及びpDCを含む樹状細胞上のSIRP1αを特異的に認識して結合する標的化部分を含む標的化キメラタンパク質に関する。
【0016】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、SIRP1αを認識する認識ドメインを有する標的化部分を含む。ある実施形態では、認識ドメインはSIRP1α上に存在する1つ又は複数の直鎖状エピトープを認識する。本明細書において使用される場合、直鎖状エピトープとはSIRP1α上に存在するアミノ酸の任意の連続配列のことをいう。別の実施形態では、認識ドメインは、SIRP1α上に存在する1つ又は複数の立体構造エピトープを認識する。本明細書において使用される場合、立体構造エピトープとは抗原認識ドメインが認識可能である特徴及び/又は形状及び/又は三次構造を有する三次元面を形成する(不連続であってもよい)アミノ酸の1つ又は複数のセクションのことをいう。
【0017】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、SIRP1αの全長及び/又は成熟型及び/又はアイソフォーム及び/又はスプライスバリアント及び/又は断片及び/又は他の任意の天然類似体若しくは合成類似体、バリアント、若しくは変異体に結合してもよい標的化部分を含む。ある実施形態では、SIRP1αはヒトSIRP1αである。様々な実施形態において、キメラタンパク質は、単量体、二量体、ヘテロ二量体、多量体、及び会合体を含む任意の形態のヒトSIRP1αに結合してもよい標的化部分を含む。ある実施形態では、標的化部分は単量体型のSIRP1αに結合する。別の実施形態では、標的化部分は二量体型のSIRP1αに結合する。
【0018】
ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、ヒトSIRP1α上に存在する1つ又は複数のエピトープを認識する認識ドメインを有する標的化部分を含む。ある実施形態では、標的化部分は、シグナルペプチド配列を含むヒトSIRP1αを認識する認識ドメインを含む。シグナルペプチド配列(下線部)を含む例示的なヒトSIRP1αポリペプチドを以下に示す。
【化1】
【0019】
ある実施形態では、標的化部分は、シグナルペプチド配列を含まないヒトSIRP1αを認識する認識ドメインを含む。シグナルペプチド配列を含まない例示的なヒトSIRP1αポリペプチドを以下に示す。
【化2】
【0020】
ある実施形態では、標的化部分は、ヒトSIRP1αアイソフォーム2をコードするポリペプチドを認識する認識ドメインを含む。
【化3】
【0021】
ある実施形態では、標的化部分は、ヒトSIRP1αアイソフォーム4をコードするポリペプチドを認識する認識ドメインを含む。
【化4】
【0022】
様々な実施形態において、本発明の標的化部分は、抗体又はその誘導体など、特異的結合が可能な任意のタンパク質物質であり得る。ある実施形態では、標的化部分は抗体を含む。様々な実施形態において、抗体は、2本の重鎖と2本の軽鎖を含む全長多量体タンパク質である。それぞれの重鎖は1つの可変領域(例えばV)と少なくとも3つの定常領域(例えばCH、CH、及びCH)を含み、それぞれの軽鎖は1つの可変領域(V)と1つの定常領域(C)を含む。可変領域は抗体の特異性を決定する。それぞれの可変領域は、比較的保存された4つのフレームワーク領域(FR)によって挟まれた相補性決定領域(CDR)としても知られる3つの超可変領域を含む。それら3つのCDRは、CDR1、CDR2、及びCDR3と呼ばれ、抗体の結合特異性に寄与する。いくつかの実施形態では、抗体はキメラ抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はヒト化抗体である。
【0023】
いくつかの実施形態では、標的化部分は抗体誘導体又は抗体フォーマットを含む。いくつかの実施形態では本開示のキメラタンパク質の標的化部分は、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる、米国特許第7,417,130号、米国特許出願公開第2004/132094号、米国特許第5,831,012号、米国特許出願公開第2004/023334号、米国特許第7,250,297号、米国特許第6,818,418号、米国特許出願公開第2004/209243号、米国特許第7,838,629号、米国特許第7,186,524号、米国特許第6,004,746号、米国特許第5,475,096号、米国特許出願公開第2004/146938号、米国特許出願公開第2004/157209号、米国特許第6,994,982号、米国特許第6,794,144号、米国特許出願公開第2010/239633号、米国特許第7,803,907号、米国特許出願公開第2010/119446号、及び/又は米国特許第7,166,697号などの米国特許又は米国特許出願に記載されるような、単一ドメイン抗体、組換え重鎖抗体(VHH)、一本鎖抗体(scFv)、サメ重鎖抗体(VNAR)、マイクロプロテイン(システインノットタンパク質、ノッチン)、DARPin、テトラネクチン(、アフィボディ、トランスボディ、アンチカリン、アドネクチン、アフィリン、ミクロボディ、ペプチドアプタマー、オルタラーゼ(alterase)、プラスチック抗体、ファイロマー(phylomer)、ストラドボディ、マキシボディ、エビボディ、フィノマー(fynomer)、アルマジロリピートタンパク質、Kunitzドメイン、アビマー(avimer)、アトリマー(atrimer)、プロボディ、イムノボディ、トリオマブ、トロイボディ、ペプボディ、ワクチボディ(vaccibody)、ユニボディ、アフィマー、デュオボディ、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、ペプチド模倣分子、又は合成分子である。Storz、MAbs.、2011年5月~6月、3(3):pp.310-317も参照されたい。
【0024】
ある実施形態では、標的化部分は、例えばラクダVHH、サメVHH、又はデザインVHHなどのVHH抗体を産生する生物に由来するVHHなどの単一ドメイン抗体を含む。VHHは、天然重鎖抗体に特有の構造的及び機能的特性を含む抗体由来治療タンパク質である。VHH技術は、軽鎖を有しないラクダ抗体に由来する完全機能性抗体に基づいている。これらの重鎖抗体は、単一の可変ドメイン(VHH)と2つの定常ドメイン(CH2及びCH3)を含む。VHHはNANOBODY又はNANOBODIESの商標で商業的に入手可能である。
【0025】
ある実施形態では、標的化部分はVHHを含む。いくつかの実施形態では、VHHはヒト化VHH又はラクダ化VHHである。
【0026】
いくつかの実施形態では、VHHは完全ヒトVドメイン、例えばHUMABODY(Crescendo Biologics社、英国、ケンブリッジ)を含む。いくつかの実施形態では、完全ヒトVドメイン、例えばHUMABODYは、一価、二価、又は三価である。いくつかの実施形態では、完全ヒトVドメイン、例えばHUMABODYは、単一特異性又は多重特異性、例えば、単一特異性、二特異性、又は三特異性である。例示的な完全ヒトVドメイン、例えばHUMABODYは、例えば国際公開第2016/113555号及び国際公開第2016/113557号に記載されており、それらの文献の開示の全体が参照により取り込まれる。
【0027】
例えば、いくつかの実施形態では本発明のキメラタンパク質は、選択的にSIRP1αに結合する1種類又は複数種類の抗体、抗体誘導体若しくは抗体フォーマット、ペプチド若しくはポリペプチド、VHH、又は融合タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、特異的にSIRP1αに結合する抗体又はその誘導体である標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、特異的にSIRP1αに結合するラクダ科重鎖抗体(VHH)である標的化部分を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、4つの「フレームワーク領域」(FR)及び3つの「相補性決定領域」(CDR)を有する単一アミノ酸鎖を含むVHHである標的化部分を含む。本明細書において使用される場合、「フレームワーク領域」又は「FR」は、CDRの間に位置する可変ドメイン内の領域を指す。本明細書において使用される場合、「相補性決定領域」又は「CDR」は、抗原性標的に特異的に結合可能なアミノ酸配列を含むVHH内の可変領域を指す。様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質は、CDR1配列、CDR2配列、及び/又はCDR3配列の少なくとも1つを含む可変ドメインを有するVHHを含む。
【0029】
様々な実施形態において、本発明の標的化部分は、SIRP1αを認識して結合することが知られている重鎖配列、軽鎖配列、重鎖可変領域配列、軽鎖可変領域配列、相補性決定領域(CDR)配列、及びフレームワーク領域配列の任意の組合せを含み得る。
【0030】
様々な実施形態において、本技術は本明細書に記載されるSIRP1α標的化部分の任意の天然類似体又は合成類似体、変異体、バリアント、アレル、ホモログ、及びオルソログ(本明細書において、まとめて「類似体」という)を使用することを意図している。様々な実施形態において、SIRP1α標的化部分のアミノ酸配列は、アミノ酸類似体、アミノ酸誘導体、又は他の非古典的アミノ酸をさらに含む。
【0031】
様々な実施形態において、キメラタンパク質は、本明細書に開示される配列のうちのいずれか1つに対して少なくとも60%同一である配列を含む標的化部分を含む。例えば、前記キメラタンパク質は、本明細書に開示される配列のうちのいずれかに対して、少なくとも約60%、少なくとも約61%、少なくとも約62%、少なくとも約63%、少なくとも約64%、少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも約67%、少なくとも約68%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%同一である(例えば、本明細書に開示される配列のうちのいずれか1つに対して約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約100%の配列が同一である)配列を含む標的化部分を含む場合がある。
【0032】
様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質は、SIRP1αを認識して結合することが知られている任意の標的化部分配列について1つ又は複数のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列を含む標的化部分を含む。様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質は、SIRP1αを認識して結合することが知られている任意の標的化部分配列について1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、30個、40個、又は50個のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列を含む標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のアミノ酸変異は、独立して置換、挿入、欠失、及び短縮化から選択され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、アミノ酸変異はアミノ酸置換であり、該アミノ酸変異には保存的置換及び/又は非保存的置換が含まれ得る。
【0034】
「保存的置換」は、例えば、含まれるアミノ酸残基の極性、電荷、サイズ、溶解性、疎水性、親水性、及び/又は両親媒性についての類似性に基づいて行われてもよい。20種類の天然アミノ酸は、(1)疎水性:Met、Ala、Val、Leu、Ile;(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;(3)酸性:Asp、Glu;(4)塩基性:His、Lys、Arg;(5)鎖の配向に影響を与える残基:Gly、Pro;及び(6)芳香族:Trp、Tyr、Pheの6つの標準的アミノ酸グループにグループ分けできる。
【0035】
本明細書において使用される場合、「保存的置換」は、上記の6つの標準的アミノ酸グループのうちの同じグループに記載される別のアミノ酸によるアミノ酸の交換であると規定される。例えば、AspのGluによる交換によってそのように改変されたポリペプチド内で1個の負の電荷が維持される。さらに、グリシン及びプロリンはそれらのαヘリックスを混乱させる能力に基づいて互いに置換され得る。
【0036】
本明細書において使用される場合、「非保存的置換」は、上記の6つの標準的アミノ酸グループ(1)~(6)のうちの異なるグループに記載される別のアミノ酸によるアミノ酸の交換であると規定される。
【0037】
様々な実施形態において、置換には、非典型的アミノ酸も含まれ得る。例示的な非典型的アミノ酸としては、一般的に、セレノシステイン、ピロロリシン、N-ホルミルメチオニン、β-アラニン、GABA、及びδ-アミノレブリン酸、4-アミノ安息香酸(PABA)、一般的アミノ酸のD-異性体、2,4-ジアミノ酪酸、α-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸、γ-Abu、ε-Ahx、6-アミノヘキサン酸、Aib、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、フルオロアミノ酸、デザイナーアミノ酸、例えばβ-メチルアミノ酸、C α-メチルアミノ酸、N α-メチルアミノ酸、及びアミノ酸類似体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0038】
様々な実施形態において、アミノ酸変異は、標的化部分のCDR(例えば、CDR1領域、CDR2領域、又はCDR3領域)中に存在し得る。別の実施形態では、アミノ酸の変更は、標的化部分のフレームワーク領域(FR)(例えば、FR1領域、FR2領域、FR3領域、又はFR4領域)中に存在し得る。
【0039】
アミノ酸配列の改変は、当技術分野の任意の既知の方法、例えば、部位特異的変異誘発又はPCRに基づいた変異誘発を用いて行われ得る。そのような方法は、例えば、Sambrook,et al.、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press、プレーンビュー、ニューヨーク州、1989、及びAusubel,et al.、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons、ニューヨーク、ニューヨーク州、1989に記載されている。
【0040】
様々な実施形態において、変異は、特異的にSIRP1αを認識して結合する本開示のキメラタンパク質の能力を実質的に低下させることがない。様々な実施形態において、変異は、特異的にSIRP1αに結合し、且つ、SIRP1αの機能を調整(例えば、部分的又は完全に中和)しない本開示のキメラタンパク質の能力を実質的に低下させない。
【0041】
様々な実施形態において、SIRP1αの全長、及び/又は成熟型、及び/又はアイソフォーム、及び/又はスプライスバリアント、及び/又は断片、及び/又は単量体型、及び/又は二量体型、及び/又は他の任意の天然若しくは合成の類似体、バリアント、若しくは変異体に対する本開示のキメラタンパク質の結合親和性は、平衡解離定数(K)によって記載され得る。様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質は、SIRP1αの全長、及び/又は成熟型、及び/又はアイソフォーム、及び/又はスプライスバリアント、及び/又は断片、及び/又は他の任意の天然若しくは合成の類似体、バリアント、若しくは変異体(単量体型及び/又は二量体型を含む)に約1uM未満、約900nM未満、約800nM未満、約700nM未満、約600nM未満、約500nM未満、約400nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、約30nM未満、約20nM未満、約10nM未満、又は約5nM未満、又は約1nM未満のKで結合する標的化部分を含む。
【0042】
様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質は、目的の抗原、すなわちSIRP1αに結合するがその機能を調整しない標的化部分を含む。例えば、様々な実施形態において、キメラタンパク質の標的化部分は単に、抗原を標的化するだけでその抗原が有する生物学的作用を実質的に機能的に調整しない(例えば、実質的に抑制、低減、又は中和しない)。様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質の標的化部分は、生物活性にとって重要である抗原の部位(例えば、抗原の活性部位)から物理的に離れているエピトープに結合する。
【0043】
他の実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、目的の抗原、すなわちSIRP1αに結合してその機能を調整する標的化部分を含む。例えば、様々な実施形態において、キメラタンパク質の標的化部分は、抗原、すなわちSIRP1αを標的化し、その抗原が有する生物学的作用を機能的に調整する(例えば、抑制、低減、又は中和する)。そのような結合及びそれに伴う機能の調整は、エフェクター抗原を介して活性免疫細胞を必要部位へ直接的又は間接的に動員するために本開示のキメラタンパク質を使用する方法を含む、本発明の様々な実施形態において活用され得る。
【0044】
例えば、様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質は、腫瘍を減少又は除去する方法においてSIRP1αを介してマクロファージを腫瘍細胞へ直接的又は間接的に動員するために使用され得る(例えば、本開示のキメラタンパク質は、抗SIRP1α抗原認識ドメイン及び腫瘍抗原又は受容体を指向する認識ドメイン(例えば、抗原認識ドメイン)を有する標的化部分を有する標的化部分を含んでいてもよい)。腫瘍細胞は、貪食を回避するようにSIRP1αと会合(engage)するCD47をしばしば上方制御するという証拠がある。よって、様々な実施形態において、マクロファージを腫瘍細胞へ直接的又は間接的に動員し、SIRP1αの抑制活性を抑制、低減、又は中和することによってマクロファージによる腫瘍細胞の貪食を引き起こすことが望ましいことがある。様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質はマクロファージによる腫瘍細胞又は他の任意の望ましくない細胞の貪食を促進する。
【0045】
本開示のキメラタンパク質を含む治療薬
シグナル伝達物質とのキメラ及び融合体
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、1種類又は複数種類のシグナル伝達物質とのキメラ又は融合体の一部である。よって、本発明は、例えば、SIRP1αに対する標的化部分及び1種類又は複数種類のシグナル伝達物質を含むキメラ又は融合タンパク質を提供する。
【0046】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質は、その受容体のうちの1つ又は複数に対する親和性又は活性を低下させるように改変されており、それによって活性(アゴニズム又はアンタゴニズムを含む)が減弱され、及び/又はキメラ若しくは融合タンパク質の非特異的シグナル伝達若しくは望ましくない隔離を防止する。様々な実施形態において、シグナル伝達物質は、野生型ではアンタゴニスト的であり、そのアンタゴニスト活性を減弱させる1つ又は複数の変異を有する。様々な実施形態において、シグナル伝達物質は、1つ又は複数の変異のためにアンタゴニスト的であり、例えばアゴニスト的シグナル伝達物質がアンタゴニスト的シグナル伝達物質に変換され、そのような変換されたシグナル伝達物質は、(例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第2015/007520号に記載されるように)所望によりそのアンタゴニスト活性を減弱させる1つ又は複数の変異も有してもよい。
【0047】
よって、様々な実施形態において、シグナル伝達物質は、1つ又は複数の変異を有するシグナル伝達物質の改変型(例えば変異体)である。様々な実施形態において、それらの改変(例えば変異)によって、改変型シグナル伝達物質は、未改変型又は未変異型、すなわち野生型のシグナル伝達物質と比べて(例えば、同じシグナル伝達物質を野生型と改変型又は変異体型との間で比較して)、結合親和性の低下、内在性活性の低下、及び特定の生物活性の低下うちの1つ又は複数など、活性のうちの1つ又は複数が減衰される。いくつかの実施形態では、結合又は親和性を減衰又は低下させる変異には、結合又は親和性を実質的に低下させるか又は除去する変異が含まれる。いくつかの実施形態では、結合又は親和性を減衰又は低下させる変異は、結合又は親和性を実質的に低下させるか又は除去する変異とは異なる。結果として、様々な実施形態において、それらの変異によって、シグナル伝達物質は、未変異型、すなわち野生型のシグナル伝達物質と比べて(例えば、同じシグナル伝達物質を野生型と改変型(例えば変異体型)との間で比較して)安全性が改善され、例えば、全身毒性が低減され、副作用が低減され、オフターゲット作用が低減される。
【0048】
本明細書に記載されるように、作用物質は1つ又は複数の改変、例えば変異により、安全性が改善され得る。様々な実施形態において、安全性の改善は、本開示のキメラタンパク質が低い毒性の低下(例えば、全身毒性及び/又は組織/器官関連毒性)、及び/又は副作用の低減若しくは実質的な除去、及び/又は忍容性の上昇、有害事象の低減若しくは実質的な除去、及び/又はオフターゲット作用の低減若しくは実質的な除去、及び/又は治療ウインドウの増大がもたらされることを意味する。
【0049】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質は、その受容体のうちの1つ又は複数に対する結合親和性又は活性を低下させる1つ又は複数の変異を有するように改変されている。いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は、受容体に対する結合親和性又は活性を実質的に低下させるか又は除去する1つ又は複数の変異を有するように改変されている。いくつかの実施形態では、野生型シグナル伝達物質による活性は受容体におけるアゴニズム(例えば、治療部位における細胞作用の活性化)である。例えば、野生型シグナル伝達物質はその受容体を活性化する場合がある。前記実施形態では、変異によって、改変型シグナル伝達物質は、受容体における活性化活性が低下するか又は除去されることになる。例えば、変異によって、改変型シグナル伝達物質が低減された活性化シグナルを標的細胞に送達することになる場合があるか、又は活性化シグナルが除去される可能性がある。いくつかの実施形態では、野生型シグナル伝達物質による活性は受容体におけるアンタゴニズム(例えば、治療部位における細胞作用の阻害又は減弱)である。例えば、野生型シグナル伝達物質は受容体を減弱又は阻害する場合がある。これらの実施形態では、変異によって改変型シグナル伝達物質は受容体におけるアンタゴナイズ活性が低下するか又は除去されることになる。例えば、変異によって改変型シグナル伝達物質が低減された抑制シグナルを標的細胞に送達することになる場合があるか、又は抑制シグナルが除去される可能性がある。様々な実施形態において、シグナル伝達物質は、1つ又は複数の変異のためにアンタゴニスト的であり、例えばアゴニスト的シグナル伝達物質が(例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第2015/007520号に記載されるように)アンタゴニスト的シグナル伝達物質に変換される。所望により、そのような変換されたシグナル伝達物質は、その受容体のうちの1種類又は複数種類に対するその結合親和性又は活性を低下させるか、又はその受容体のうちの1種類又は複数種類対する結合親和性若しくは活性を実質的に低下させるか若しくは除去する、1つ又は複数の変異を有していてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、受容体における親和性又は活性の低下は、本明細書に記載されるような標的化部分(例えば、SIRP1αに対する標的化部分、又は本明細書に記載される他の任意の標的化部分)のうちの1つ又は複数との結合によって回復可能である。他の実施形態では、受容体における親和性又は活性の低下は、標的化部分のうちの1つ又は複数の活性によって実質的に回復することがない。
【0051】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質では、それらのシグナル伝達物質が受容体において結合親和性又は活性を減弱させるか又は除去する変異を有するため、オフターゲット作用が低減される。様々な実施形態において、このような副作用の低減は、例えば、野生型シグナル伝達物質と比較して観察される。様々な実施形態において、標的化部分が実質的な活性化に必要とされる消失した/不十分な結合(及び/又は、限定されないが、結合活性など)を補償するので、シグナル伝達物質は標的細胞上で活性を有する。様々な実施形態において、改変型シグナル伝達物質は、治療活性部位への途中では実質的に不活性であり、特異的に標的化した細胞種に対して実質的に作用し、望まれない副作用が大いに低減される。
【0052】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は、ある受容体(すなわち、治療受容体)に対する結合又は親和性を減弱又は低下させる1つ又は複数の変異、及び第2の受容体における結合又は親和性を実質的に低下させるか又は除去する1つ又は複数の変異を含み得る。前記実施形態では、これらの変異は同じ位置にあってもよく、異なる位置にあってもよい(すなわち、同じ変異又は複数の変異であってもよい)。いくつかの実施形態では、ある受容体における結合及び/又は活性を低下させる変異は、別の受容体において実質的に低下させるか又は除去する変異と異なる。いくつかの実施形態では、ある受容体における結合及び/又は活性を低下させる変異は、別の受容体において実質的に低下させるか又は除去する変異と同一である。いくつかの実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、治療受容体において結合及び/又は活性を減弱させることで、(例えば、野生型シグナル伝達物質と比べて)より制御されたオンターゲット治療効果を可能にする変異、及び別の受容体において結合及び/又は活性を実質的に低下させるか又は除去することで、(例えば、野生型シグナル伝達物質と比べて)副作用を減少させる変異の両方の変異を有する改変型シグナル伝達物質を有する。
【0053】
いくつかの実施形態では、結合又は活性の実質的な低下又は除去は、標的化部分(例えば、SIRP1αに対する標的化部分又は本明細書に記載される他の任意の標的化部分)によって実質的に回復することがない。いくつかの実施形態では、結合又は活性の実質的な低下又は除去は、標的化部分によって回復可能である。様々な実施形態において、第2の受容体における結合又は活性の実質的な低下又は除去によっても他方の受容体が介在する有害作用が防止され得る。あるいは、又はさらに、他方の受容体における結合又は活性の実質的な低下又は除去により、治療キメラタンパク質が治療作用部位から離れて隔離されることが減少するか又は無くなるので、治療効果が改善されることになる。例えば、いくつかの実施形態では、これにより、他方の受容体における消失を補償する高用量の本開示のキメラタンパク質の必要性がなくなる。用量を低下させるそのような能力により、副作用の可能性がさらに低くなる。
【0054】
様々な実施形態において、改変型シグナル伝達物質は、その受容体のうちの1つ又は複数に対して、シグナル伝達物質の親和性を低下、実質的に低下、又は除去、例えば結合(例えばK)及び/又は活性化(例えば、改変型シグナル伝達物質が、例えば、K及び/又はEC50として測定可能なその受容体のアゴニストであるとき)及び/又は阻害(例えば、改変型シグナル伝達物質が、例えば、K及び/又はIC50として測定可能な受容体のアンタゴニストであるとき)させる、1つ又は複数の変異を含む。様々な実施形態において、シグナル伝達物質の受容体における親和性の低下によって活性(アゴニズム又はアンタゴニズムを含む)が減弱される。前記実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、野生型シグナル伝達物質と比べて、受容体に対する親和性が、約1%、又は約3%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約10%~20%、約20%~40%、約50%、約40%~60%、約60%~80%、約80%~100%である。いくつかの実施形態では、結合親和性は、野生型シグナル伝達物質と比べて、少なくとも約2倍低く、約3倍低く、約4倍低く、約5倍低く、約6倍低く、約7倍低く、約8倍低く、約9倍低く、少なくとも約10倍低く、少なくとも約15倍低く、少なくとも約20倍低く、少なくとも約25倍低く、少なくとも約30倍低く、少なくとも約35倍低く、少なくとも約40倍低く、少なくとも約45倍低く、少なくとも約50倍低く、少なくとも約100倍低く、少なくとも約150倍低く、又は約10~50倍低く、約50~100倍低く、約100~150倍低く、約150~200倍低く、又は200倍超低い。
【0055】
キメラタンパク質がある受容体において結合を低下させる変異、及び第2の受容体において結合を実質的に低下させるか又は除去する変異を有する改変型シグナル伝達物質を含む実施形態において、ある受容体に対する改変型シグナル伝達物質の結合親和性の減弱又は低下は、他方の受容体に対する親和性の実質的な低下又は除去に満たない。いくつかの実施形態では、ある受容体に対する改変型シグナル伝達物質の結合親和性の減弱又は低下は、他方の受容体に対する親和性の実質的な低下又は除去よりも約1%、又は約3%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、又は約95%少ない。様々な実施形態において、実質的な低下又は除去は、減弱又は低下よりも高い程度の結合親和性及び/又は活性の低下を意味する。
【0056】
様々な実施形態において、改変型シグナル伝達物質は、例えば、野生型シグナル伝達物質と比べて、該シグナル伝達物質の内在性活性を約75%、又は約70%、又は約60%、又は約50%、又は約40%、又は約30%、又は約25%、又は約20%、又は約10%、又は約5%、又は約3%、又は約1%まで低下させる1つ又は複数の変異を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、該シグナル伝達物質の受容体に対する親和性を低下されることになる1つ又は複数の変異を含み、この結合親和性は標的化部分の受容体に対する結合親和性よりも低い。いくつかの実施形態では、この結合親和性の差は、同じ細胞でのシグナル伝達物質/受容体の結合親和性と標的化部分/受容体の結合親和性との間の差である。いくつかの実施形態では、この結合親和性の差によって、シグナル伝達物質、例えば変異型シグナル伝達物質は、オンターゲット作用を局在化させることができ、且つ、野生型シグナル伝達物質に見られる副作用の根底にあるオフターゲット作用を最小限にすることができる。いくつかの実施形態では、この結合親和性は、少なくとも約2倍低く、少なくとも約5倍低く、少なくとも約10倍低く、少なくとも約15倍低く、少なくとも約25倍低く、少なくとも約50倍低く、少なくとも約100倍低く、又は少なくとも約150倍低い。
【0058】
受容体結合活性は、当技術分野において知られている方法を用いて測定可能である。例えば、親和性及び/又は結合活性は、結合データのスキャッチャードプロット分析及びコンピューターフィッティング(例えばScatchard,1949)によって、又はBrechtら(1993)によって記載されたようなフロースルー条件下での反射型干渉分光法によって評価可能であり、それらの文献の内容全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0059】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質は、免疫調節因子、例えばインターロイキン、インターフェロン、及び腫瘍壊死因子のうちの1つ又は複数である。
【0060】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質はインターロイキン又は改変型インターロイキンであり、例えば、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-25、IL-26、IL-27、IL-28、IL-29、IL-30、IL-31、IL-32、IL-33、IL-35、IL-36、又はその断片、バリアント、類似体、若しくはファミリーメンバーが挙げられる。インターロイキンは、リンパ球、単球、及びマクロファージによって合成される一群の多機能性サイトカインである。公知の機能としては、免疫細胞(例えば、ヘルパーT細胞、B細胞、好酸球、及びリンパ球)の増殖刺激、好中球、及びTリンパ球の化学遊走、及び/又はインターフェロンの阻害が挙げられる。インターロイキン活性は当技術分野において知られているアッセイ法、すなわち、Matthews et al.,Lymphokines and Interferons:A Practical Approach、Clemens et al.編、IRL Press、ワシントンD.C.、1987、221-225、及びOrencole and Dinarello、(1989)Cytokine、1、pp.14-20のアッセイ法を用いて決定可能である。
【0061】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は、インターフェロン、又はインターフェロンI型、II型、及びIII型などの改変型のインターフェロンである。インターフェロンの例としては、例えば、インターフェロン-α-1、2、4、5、6、7、8、10、13、14、16、17、及び21、インターフェロン-β及びインターフェロン-γ、インターフェロンκ、インターフェロンε、インターフェロンτ、及びインターフェロンωが挙げられる。
【0062】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は、腫瘍壊死因子(TNF)、又は改変型の腫瘍壊死因子(TNF)若しくはTNFファミリーのタンパク質であり、TNF-α、TNF-β、LT-β、CD40L、CD27L、CD30L、FASL、4-1BBL、OX40L、及びTRAILが挙げられるがこれらに限定されない。
【0063】
本明細書に記載される野生型シグナル伝達物質のアミノ酸配列は、当技術分野においてよく知られている。よって、様々な実施形態において、改変型シグナル伝達物質は、本明細書に記載されるシグナル伝達物質の公知の野生型アミノ酸配列と、少なくとも約60%、又は少なくとも約61%、又は少なくとも約62%、又は少なくとも約63%、又は少なくとも約64%、又は少なくとも約65%、又は少なくとも約66%、又は少なくとも約67%、又は少なくとも約68%、又は少なくとも約69%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約71%、又は少なくとも約72%、又は少なくとも約73%、又は少なくとも約74%、又は少なくとも約75%、又は少なくとも約76%、又は少なくとも約77%、又は少なくとも約78%、又は少なくとも約79%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約81%、又は少なくとも約82%、又は少なくとも約83%、又は少なくとも約84%、又は少なくとも約85%、又は少なくとも約86%、又は少なくとも約87%、又は少なくとも約88%、又は少なくとも約89%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約91%、又は少なくとも約92%、又は少なくとも約93%、又は少なくとも約94%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約96%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性(例えば約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。
【0064】
様々な実施形態において、改変型シグナル伝達物質は、本明細書に記載されるシグナル伝達物質のアミノ酸配列のいずれかと、少なくとも約60%、少なくとも約61%、少なくとも約62%、少なくとも約63%、少なくとも約64%、少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも約67%、少なくとも約68%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性(例えば約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。
【0065】
様々な実施形態において、改変型シグナル伝達物質は、1つ又は複数のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のアミノ酸変異は、独立して、置換、挿入、欠失、及び短縮化から選択され得る。いくつかの実施形態では、アミノ酸変異はアミノ酸置換であり、該アミノ酸変異には本明細書中に記載されるような保存的置換及び/又は非保存的置換が含まれ得る。
【0066】
様々な実施形態において、置換には、本明細書中のいずれかに記載されるような非典型的アミノ酸も含まれ得る。
【0067】
本明細書に記載されるように、改変型シグナル伝達物質は、1種類又は複数種類の受容体における親和性及び/又は活性に影響する変異を有する。様々な実施形態において、治療受容体、例えば所望の治療効果(例えばアゴニズム又はアンタゴニズム)に介在する受容体において親和性及び/又は活性が低下している。様々な実施形態において、改変型シグナル伝達物質は、受容体、例えば(無差別的な結合などの結果として)所望の治療効果を介在しない受容体において、親和性及び/又は活性を実質的に低下させるか又は除去する変異を有する。本明細書に記載されるような任意のシグナル伝達物質の受容体が当技術分野において知られている。
【0068】
受容体において親和性及び/又は活性の低下(例えばアゴニスト活性)の原因となる変異の例は、各々の内容全体が参照により本明細書に取り込まれる、国際公開第2013/107791号及び国際出願PCT/EP2017/061544号(例えばインターフェロンに関して)、国際公開第2015/007542号(例えばインターロイキンに関して)、及び国際公開第2015/007903号(例えばTNFに関して)に見出される。治療受容体において親和性及び/又は活性の低下(例えばアンタゴニスト活性)をもたらす変異の例は、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第2015/007520号に見出される。
【0069】
いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、I型サイトカイン受容体、II型サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリー内の受容体、TGF-β受容体、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリー内の受容体、及び/又はチロシンキナーゼスーパーファミリー内の受容体に対する該シグナル伝達物質の親和性及び/又は活性の低下させる1つ又は複数の変異を含む。
【0070】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質の受容体はI型サイトカイン受容体である。I型サイトカイン受容体は当技術分野において知られており、これらに限定されないが、IL2(β-サブユニット)、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL9、IL11、IL12、GM-CSF、G-CSF、LIF、及びCNTFの受容体が挙げられ、トロンボポエチン(TPO)、プロラクチン、及び成長ホルモンの受容体も挙げられる。I型サイトカイン受容体の例としては、GM-CSF受容体、G-CSF受容体、LIF受容体、CNTF受容体、TPO受容体、及びI型IL受容体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0071】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質の受容体はII型サイトカイン受容体である。II型サイトカイン受容体は異種構造のサブユニットから構成される多量体受容体であり、主にインターフェロンの受容体である。このファミリーの受容体としては、インターフェロン-α、インターフェロン-β、及びインターフェロン-γ、IL10、IL22、及び組織因子の受容体が挙げられるがこれらに限定されない。II型サイトカイン受容体の例としては、IFN-α受容体(例えば、IFNAR1及びIFNAR2)、IFN-β受容体、IFN-γ受容体(例えば、IFNGR1及びIFNGR2)、及びII型IL受容体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0072】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質の受容体はGタンパク質共役受容体である。ケモカイン受容体は7回膜貫通構造を有するGタンパク質共役受容体であり、シグナル伝達のためにGタンパク質に共役している。ケモカイン受容体としては、CCケモカイン受容体、CXCケモカイン受容体、CX3Cケモカイン受容体、及びXCケモカイン受容体(XCR1)が挙げられるがこれらに限定されない。例示的なケモカイン受容体としては、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR3B、CXCR4、CXCR5、CSCR6、CXCR7、XCR1、及びCX3CR1が挙げられるがこれらに限定されない。
【0073】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質の受容体はTNFRファミリーメンバーである。腫瘍壊死因子受容体(TNFR)ファミリーメンバーは、伸長分子を形成するCXXCXXCコアモチーフの周囲にある3つのジスルフィド結合から形成されるシステインリッチドメイン(CRD)を共通して有する。例示的な腫瘍壊死因子受容体ファミリーメンバーとしては、CD120a(TNFRSF1A)、CD120b(TNFRSF1B)、リンフォトキシンβ受容体(LTBR、TNFRSF3)、CD134(TNFRSF4)、CD40(CD40、TNFRSF5)、FAS(FAS、TNFRSF6)、TNFRSF6B(TNFRSF6B)、CD27(CD27、TNFRSF7)、CD30(TNFRSF8)、CD137(TNFRSF9)、TNFRSF10A(TNFRSF10A)、TNFRSF10B、(TNFRSF10B)、TNFRSF10C(TNFRSF10C)、TNFRSF10D(TNFRSF10D)、RANK(TNFRSF11A)、オステオプロテゲリン(TNFRSF11B)、TNFRSF12A(TNFRSF12A)、TNFRSF13B(TNFRSF13B)、TNFRSF13C(TNFRSF13C)、TNFRSF14(TNFRSF14)、神経成長因子受容体(NGFR、TNFRSF16)、TNFRSF17(TNFRSF17)、TNFRSF18(TNFRSF18)、TNFRSF19(TNFRSF19)、TNFRSF21(TNFRSF21)、及びTNFRSF25(TNFRSF25)が挙げられる。ある実施形態では、TNFRファミリーメンバーは、CD120a(TNFRSF1A)又はTNF-R1である。別の実施形態では、TNFRファミリーメンバーは、CD120b(TNFRSF1B)又はTNF-R2である。
【0074】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質の受容体はTGF-β受容体である。TGF-β受容体は1回貫通型セリン/トレオニンキナーゼ受容体である。TGF-β受容体としては、TGFBR1、TGFBR2、及びTGFBR3が挙げられるがこれらに限定されない。
【0075】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質の受容体はIgスーパーファミリー受容体である。免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーの受容体は免疫グロブリンとの構造的相同性を共通して有する。Igスーパーファミリーの受容体としては、インターロイキン-1受容体、CSF-1R、PDGFR(例えばPDGFRA及びPDGFRB)、及びSCFRが挙げられるがこれらに限定されない。
【0076】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質の受容体はチロシンキナーゼスーパーファミリー受容体である。チロシンキナーゼスーパーファミリーの受容体は当技術分野においてよく知られている。約58種類の公知の受容体チロシンキナーゼ(RTK)が存在し、それらは20種類のサブファミリーにグループ分けされる。チロシンキナーゼスーパーファミリーの受容体としては、FGF受容体及びそれらの様々なアイソフォーム、例えばFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、及びFGFR5が挙げられるがこれらに限定されない。
【0077】
いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質はインターフェロンαである。前記実施形態では、改変型IFN-α物質は、IFN-α/β受容体(IFNAR)、すなわち、IFNAR1鎖及び/又はIFNAR2鎖に対する親和性及び/又は活性が低下している。いくつかの実施形態では、改変型IFN-α物質は、IFN-α/β受容体(IFNAR)、すなわち、IFNAR1鎖及び/又はIFNAR2鎖に対する親和性及び/又は活性実質的に低下しているか又は除去されている。
【0078】
変異型のインターフェロンαが当業者に知られている。例示的な実施形態では、改変型シグナル伝達物質は配列番号46のアミノ酸配列を有するIFN-α2a対立遺伝子型である。
【0079】
例示的な実施形態では、改変型シグナル伝達物質は(IFN-α2aと23番目のアミノ酸位置において異なる)配列番号47のアミノ酸配列を有するIFN-α2b対立遺伝子型である。
【0080】
いくつかの実施形態では、IFN-α2変異体(IFN-α2a又はIFN-α2b)では144~154番目、例えば148番目、149番目、及び/又は153番目のアミノ酸位置において1つ又は複数のアミノ酸に変異が導入されている。いくつかの実施形態では、IFN-α2変異体は、L153A、R149A、及びM148Aから選択される1つ又は複数の変異を含む。そのような変異体は、例えば、国際公開第2013/107791号及びPiehler,et al.、(2000)J.Biol.Chem、275:40425-33に記載されており、それらの文献の内容全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0081】
いくつかの実施形態では、IFN-α2変異体は、IFNAR1に対する親和性及び/又は活性が低下している。いくつかの実施形態では、IFN-α2変異体は、国際公開第2010/030671号に記載されるようなF64A、N65A、T69A、L80A、Y85A、及びY89Aから選択される1つ又は複数の変異を含み、その文献の内容全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0082】
いくつかの実施形態では、IFN-α2変異体は国際公開第2008/124086号に記載されるようなK133A、R144A、R149A、及びL153Aから選択される1つ又は複数の変異を含み、その文献の内容全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0083】
いくつかの実施形態では、IFN-α2変異体は、国際公開第2015/007520号及び国際公開第2010/030671号に記載されるようなR120E及びR120E/K121Eから選択される1つ又は複数の変異を含み、それらの文献の内容全体が参照により本明細書に取り込まれる。前記実施形態では、IFN-α2変異体は野生型IFN-α2活性をアンタゴナイズする。前記実施形態では、変異IFN-α2は、IFNAR1に対する親和性及び/又は活性が低下している一方でIFNR2の親和性及び/又は活性は維持されている。
【0084】
いくつかの実施形態では、ヒトIFN-α2変異体は、(1)理論に捉われることを望むものではないが、アンタゴニスト作用を引き起こすR120E及びR120E/K121Eから選択される1つ又は複数の変異、及び(2)理論に捉われることを望むものではないが、例えば、IFNAR2における作用を減弱させるK133A、R144A、R149A、及びL153Aから選択される1つ又は複数の変異を含む。ある実施形態では、トIFN-α2変異体はR120E及びL153Aを含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、ヒトIFN-α2変異体は、開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第2013/059885号に開示されるような、L15A、A19W、R22A、R23A、L26A、F27A、L30A、L30V、K31A、D32A、R33K、R33A、R33Q、H34A、D35A、Q40A、D114R、L117A、R120A、R125A、K134A、R144A、A145G、A145M、M148A、R149A、S152A、L153A、及びN156Aから選択される1つ又は複数の変異を含む。いくつかの実施形態では、ヒトIFN-α2変異体は、国際公開第2013/059885号に開示されるような、H57Y、E58N、Q61S、及び/又はL30Aの変異を含む。いくつかの実施形態では、ヒトIFN-α2変異体は、国際公開第2013/059885号に開示されるような、H57Y、E58N、Q61S、及び/又はR33の変異Aを含む。いくつかの実施形態では、ヒトIFN-α2変異体は、国際公開第2013/059885号に開示されるような、H57Y、E58N、Q61S、及び/又はM148Aの変異を含む。いくつかの実施形態では、ヒトIFN-α2変異体は、国際公開第2013/059885号に開示されるような、H57Y、E58N、Q61S、及び/又はL153Aの変異を含む。いくつかの実施形態では、ヒトIFN-α2変異体は、国際公開第2013/059885号に開示されるような、変異N65A、L80A、Y85A、及び/又はY89Aの変異を含む。いくつかの実施形態では、ヒトIFN-α2変異体は、国際公開第2013/059885号に開示されるような、N65A、L80A、Y85A、Y89A、及び/又はD114Aの変異を含む。いくつかの実施形態では、ヒトIFN-α2変異体は、R144X、A145X、及びR33Aから選択される1つ又は複数の変異を含む(式中、XはA、S、T、Y、L、及びIから選択され、XはG、H、Y、K、及びDから選択される)。
【0086】
いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質はインターフェロンβである。前記実施形態では、改変型インターフェロンβ物質は、IFN-α/β受容体(IFNAR)、すなわち、IFNAR1鎖及び/又はIFNAR2鎖に対する親和性及び/又は活性が低下している。いくつかの実施形態では、改変型インターフェロンβ物質は、IFN-α/β受容体(IFNAR)、すなわち、IFNAR1鎖及び/又はIFNAR2鎖に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。
【0087】
ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質はインターフェロンβである。前記実施形態では、改変型インターフェロンβ物質は、IFN-α/β受容体(IFNAR)、すなわち、IFNAR1鎖及び/又はIFNAR2鎖に対する親和性及び/又は活性が低下している。いくつかの実施形態では、改変型インターフェロンβ物質は、IFN-α/β受容体(IFNAR)、すなわち、IFNAR1鎖及び/又はIFNAR2鎖に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。
【0088】
例示的な実施形態では、改変型シグナル伝達物質はIFN-βである。様々な実施形態において、IFN-βには、IFN-βの機能的な派生体、類似体、前駆体、アイソフォーム、スプライスバリアント、又は断片を包含する。様々な実施形態において、IFN-βは任意の種に由来するIFN-βが包含される。ある実施形態では、キメラタンパク質は改変型のマウスIFN-βを含む。別の実施形態では、キメラタンパク質は改変型のヒトIFN-βを含む。ヒトIFN-βは166アミノ酸残基を含む約22kDaの分子量のポリペプチドである。ヒトIFN-βのアミノ酸配列は配列番号48である。
【0089】
いくつかの実施形態では、ヒトIFN-βは、グリコシル化型のヒトIFN-βであるIFN-β-1aである。いくつかの実施形態では、ヒトIFN-βは、Met-1の欠失及びCys-17のSerへの変異を有する非グリコシル化型のヒトIFN-βであるIFN-β-1bである。
【0090】
様々な実施形態において、改変型IFN-βは、IFNARのIFNAR1サブユニットへの結合又は親和性を低下させる1つ又は複数の変異を有する。ある実施形態では、改変型IFN-βはIFNAR1における親和性及び/又は活性が低下している。様々な実施形態において、改変型IFN-βはヒトIFN-βであり、F67、R71、L88、Y92、I95、N96、K123、及びR124の位置に1つ又は複数の変異を有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の変異は、F67G、F67S、R71A、L88G、L88S、Y92G、Y92S、I95A、N96G、K123G、及びR124Gから選択される置換である。ある実施形態では、改変型IFN-βは、F67Gの変異を含む。ある実施形態では、改変型IFN-βはK123G変異を含む。ある実施形態では、改変型IFN-βは、F67G及びR71Aの変異を含む。ある実施形態では、改変型IFN-βは、L88G及びY92Gの変異を含む。ある実施形態では、改変型IFN-βは、Y92G、I95A、及びN96Gの変異を含む。ある実施形態では、改変型IFN-βは、K123G及びR124Gの変異を含む。ある実施形態では、改変型IFN-βは、F67G、L88G、及びY92Gの変異を含む。ある実施形態では、改変型IFN-βは、F67S、L88S、及びY92Sの変異を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、改変型IFN-βはIFNARのIFNAR2サブユニットへの結合又は親和性を低下させる1つ又は複数の変異を有する。ある実施形態では、改変型IFN-βはIFNAR2における親和性及び/又が低下している。様々な実施形態において、改変型IFN-βはヒトIFN-βであり、W22、R27、L32、R35、V148、L151、R152、及びY155の位置に1つ又は複数の変異を有する。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の変異は、W22G、R27G、L32A、L32G、R35A、R35G、V148G、L151G、R152A、R152G、及びY155Gから選択される置換である。ある実施形態では、改変型IFN-βはW22Gの変異を含む。ある実施形態では、改変型IFN-βはL32Aの変異を含む。ある実施形態では、改変型IFN-βはL32Gの変異を含む。ある実施形態では、改変型IFN-βはR35Aの変異を含む。ある実施形態では、改変型IFN-βはR35Gの変異を含む。ある実施形態では、改変型IFN-βはV148Gの変異を含む。ある実施形の態では、改変型IFN-βはR152Aの変異を含む。ある実施形態では、改変型IFN-βはR152Gの変異を含む。ある実施形態では、改変型IFN-βはY155Gの変異を含む。ある実施形態では、改変型IFN-βはW22G及びR27Gの変異を含む。ある実施形態では、改変型IFN-βはL32A及びR35Aの変異を含む。ある実施形態では、改変型IFN-βはL151G及びR152Aの変異を含む。ある実施形態では、改変型IFN-βはV148G及びR152Aの変異を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、改変型IFN-βは、R35A、R35T、E42K、M62I、G78S、A141Y、A142T、E149K、及びR152Hの変異のうちの1つ又は複数を有する。いくつかの実施形態では、改変型IFN-βは、R35A、R35T、E42K、M62I、G78S、A141Y、A142T、E149K、及びR152Hの変異のうちの1つ又は複数をC17S又はC17Aと組み合わせて有する。
【0093】
いくつかの実施形態では、改変型IFN-βは、R35A、R35T、E42K、M62I、G78S、A141Y、A142T、E149K、及びR152Hの変異のうちの1つ又は複数を本明細書に記載される他のIFN-β変異のうちのいずれかと組み合わせて有する。
【0094】
ヒトIFN-βの結晶構造が知られており、Karpusas et al.、(1998)PNAS、94(22):11813-11818に記載されている。具体的には、ヒトIFN-βの構造は、5つのα-ヘリックス(すなわち、A、B、C、D、及びE)及びこれらのヘリックスを連結する4つのループ領域(すなわち、ABループ、BCループ、CDループ、及びDEループ)を含むことが示されている。様々な実施形態において、改変型IFN-βは、Aヘリックス内、Bヘリックス内、Cヘリックス内、Dヘリックス内、Eヘリックス内、及び/又はABループ内、BCループ内、CDループ内、及びDEループ内に、IFNARなどの治療受容体において結合親和性又は活性を低下させる1つ又は複数の変異を有する。例示的な変異は、国際公開第2000/023114号及び米国特許出願公開第2015/0011732号に記載されており、それらの文献の内容全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、改変型IFN-βは15番目、16番目、18番目、19番目、22番目、及び/又は23番目のアミノ酸位置においてアラニン置換を含むヒトIFN-βである。例示的な実施形態では、改変型IFN-βは28~30番目、32番目、及び33番目のアミノ酸位置においてアラニン置換を含むヒトIFN-βである。例示的な実施形態では、改変型IFN-βは、36番目、37番目、39番目、及び42番目のアミノ酸位置においてアラニン置換を含むヒトIFN-βである。例示的な実施形態では、改変型IFN-βは64番目及び67番目のアミノ酸位置においてアラニン置換を含み、68番目の位置においてセリン置換を含むヒトIFN-βである。例示的な実施形態では、改変型IFN-βは、71~73番目のアミノ酸位置においてアラニン置換を含むヒトIFN-βである。例示的な実施形態では、改変型IFN-βは、92番目、96番目、99番目、及び100番目のアミノ酸位置においてアラニン置換を含むヒトIFN-βである。例示的な実施形態では、改変型IFN-βは、128、130番目、131番目、及び134番目のアミノ酸位置においてアラニン置換を含むヒトIFN-βである。例示的な実施形態では、改変型IFN-βは、149番目、153番目、156番目、及び159番目のアミノ酸位置においてアラニン置換を含むヒトIFN-βである。いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、且つ、W22に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0095】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、且つ、R27に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0096】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、W22に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、且つ、R27に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0097】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、且つ、L32に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0098】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、且つ、R35に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0099】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、L32に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、且つ、R35に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0100】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、且つ、F67に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0101】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、且つ、R71に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0102】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、F67に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、且つ、R71に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0103】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、且つ、L88に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0104】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、且つ、Y92に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0105】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、F67に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、L88に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、且つ、Y92に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0106】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、L88に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、且つ、Y92に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0107】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、I95に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、且つ、Y92に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0108】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、N96に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、且つ、Y92に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0109】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、Y92に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、I95に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、且つ、N96に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0110】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、且つ、K123に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0111】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、且つ、R124に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0112】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、K123に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、且つ、R124に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0113】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、且つ、L151に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0114】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、且つ、R152に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0115】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、L151に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、且つ、R152に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0116】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、且つ、V148に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、及びメチオニン(M)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0117】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、V148に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、且つ、R152に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0118】
いくつかの実施形態では、変異IFNβは、配列番号48を含み、且つ、Y155に変異を含み、前記変異はグリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、及びバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0119】
いくつかの実施形態では、本発明は、(a)配列番号48のアミノ酸配列及びW22の位置に変異を有し、前記変異が脂肪族疎水性残基である改変型IFN-β、及び(b)特異的に目的の抗原又は受容体(例えば、Clec9A)に結合する認識ドメインを含む1つ又は複数の標的化部分を含むキメラタンパク質であって、前記改変型IFN-β及び1つ又は複数の標的化部分が1つ又は複数のリンカーにより連結されていてもよいキメラタンパク質に関する。様々な実施形態において、W22の位置における変異は、G、A、L、I、M、及びVから選択される脂肪族疎水性残基である。様々な実施形態において、W22の位置における変異は、Gである。
【0120】
追加の例示的なIFNβ変異体は国際出願PCT/EP2017/061544号に示され、その文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0121】
いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質はインターフェロンγである。前記実施形態では、改変型インターフェロンγ物質は、インターフェロン-γ受容体(IFNGR)、すなわち、IFNGR1鎖及びIFNGR2鎖に対する親和性及び/又は活性が低下している。いくつかの実施形態では、改変型インターフェロンγ物質は、インターフェロン-γ受容体(IFNGR)、すなわち、IFNGR1鎖及びIFNGR2鎖に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。
【0122】
いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質はコンセンサスインターフェロンである。コンセンサスインターフェロンは、数種類のヒト非対立遺伝子性IFN-αサブタイプの配列を詳しく調べ、それぞれ対応する位置において最も頻繁に観察されるアミノ酸を選定することにより作成される。コンセンサスインターフェロンは、IFN-α2bと166アミノ酸のうちの20アミノ酸において異なっており(88%の相同性)、IFN-βとの比較によってアミノ酸位置の30%超で同一性が示される。様々な実施形態において、コンセンサスインターフェロンは、以下の配列番号49のアミノ酸配列を含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、コンセンサスインターフェロンは配列番号50のアミノ酸配列を含み、それは1つのアミノ酸によって配列番号49のアミノ酸配列と異なり、すなわち、配列番号50は配列番号49の開始メチオニン残基を含まない。
【0124】
様々な実施形態において、コンセンサスインターフェロンは、改変型のコンセンサスインターフェロン、すなわちコンセンサスインターフェロンバリアントをシグナル伝達物質として含む。様々な実施形態において、コンセンサスインターフェロンバリアントには、コンセンサスインターフェロンの機能的な派生体、類似体、前駆体、アイソフォーム、スプライスバリアント、又は断片が包含される。
【0125】
ある実施形態では、コンセンサスインターフェロンバリアントは、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる、米国特許第4,695,623号、同第4,897,471号、同第5,541,293号、及び同第8,496,921号に開示されるようなコンセンサスインターフェロンバリアントから選択される。例えば、コンセンサスインターフェロンバリアントは、米国特許第4,695,623号、第4,897,471号、及び第5,541,293号に開示されるようなIFN-CON又はIFN-CONのアミノ酸配列を含んでいてもよい。ある実施形態では、コンセンサスインターフェロンバリアントはIFN-CON(配列番号51)のアミノ酸配列を含む。
【0126】
ある実施形態では、コンセンサスインターフェロンバリアントはIFN-CON(配列番号52)のアミノ酸配列を含む。
【0127】
ある実施形態では、コンセンサスインターフェロンバリアントは、米国特許第8,496,921号に開示されるバリアントのうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。例えば、コンセンサスバリアントは配列番号53のアミノ酸配列を含む場合がある。
【0128】
別の実施形態では、コンセンサスインターフェロンバリアントは、配列番号54のアミノ酸配列を含み得る。
【0129】
いくつかの実施形態では、コンセンサスインターフェロンバリアントはPEG化されていてもよく、すなわちPEG部分を含む。ある実施形態では、コンセンサスインターフェロンバリアントは配列番号54のS156Cの位置に結合したPEG部分を含み得る。
【0130】
いくつかの実施形態では、改変型インターフェロンは、配列Glu-Glu-Phe-Asp-Gly-Asn-Gln(配列番号276)を得るために配列Glu-Glu-Phe-Gly-Asn-Gln(配列番号275)内の41番目の位置にAspの挿入を有し(したがって、IFN-α2a配列に対して配列の番号を付け直すことになる)、且つ、以下のArg23Lys、Leu26Pro、Glu53Gln、Thr54Ala、Pro56Ser、Asp86Glu、Ile104Thr、Gly106Glu、Thr110Glu、Lys117Asn、Arg125Lys、及びLys136Thrの変異を有するヒトIFN-α2aのバリアントである。コンセンサスインターフェロンについて記載する本明細書中の全ての実施形態は同様にこの改変型インターフェロンに適用される。
【0131】
様々な実施形態において、コンセンサスインターフェロンバリアントは、1つ又は複数のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、前記1つ又は複数のアミノ酸変異は、独立して置換、挿入、欠失、及び短縮化から選択され得る。
【0132】
いくつかの実施形態では、アミノ酸変異は、アミノ酸置換であり、保存的置換及び/又は非保存的置換が含まれ得る。
【0133】
様々な実施形態において、置換には、非典型的アミノ酸(例えば、一般的には、セレノシステイン、ピロロリシン、N-ホルミルメチオニン、β-アラニン、GABA、及びδ-アミノレブリン酸、4-アミノ安息香酸(PABA)、一般的アミノ酸のD-異性体、2,4-ジアミノ酪酸、α-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸、γ-Abu、ε-Ahx、6-アミノヘキサン酸、Aib、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、フルオロアミノ酸、デザイナーアミノ酸、例えばβ-メチルアミノ酸、C α-メチルアミノ酸、N α-メチルアミノ酸、及びアミノ酸類似体)も含まれ得る。
【0134】
様々な実施形態において、コンセンサスインターフェロンは、1つ又は複数の変異を有するように改変されている。いくつかの実施形態では、変異によって、コンセンサスインターフェロンバリアントは、未変異型、例えば野生型のコンセンサスインターフェロン(例えば、配列番号49又は50のアミノ酸配列を有するコンセンサスインターフェロン)と比べて結合親和性の低下、内在性活性の低下、及び特定の生物活性の低下うちの1つ又は複数など、1つ又は複数の活性が低下する。例えば、未変異型、例えば野生型のコンセンサスインターフェロンに対する、結合親和性の低下、内在性活性の低下、及び特定の生物活性の低下などの前記1つ又は複数の活性の低下は、IFNARなどの治療受容体において起こり得る。結果として、様々な実施形態において、それらの変異によって、前記コンセンサスインターフェロンバリアントは、未変異型、例えば野生型のコンセンサスインターフェロンと比べて、全身毒性が低減され、副作用が低減され、オフターゲット作用が低減される。
【0135】
様々な実施形態において、コンセンサスインターフェロンはIFNARなどの治療受容体での結合親和性又は活性を低下させる変異を有するように改変されている。いくつかの実施形態では、コンセンサスインターフェロンが提供する活性は治療受容体におけるアゴニズム(例えば、治療部位における細胞効果の活性化)である。例えば、前記コンセンサスインターフェロンは治療受容体を活性化する場合がある。前記実施形態では前記変異によってコンセンサスインターフェロンバリアントは前記治療受容体における活性化活性が低下することになる。
【0136】
いくつかの実施形態では、治療受容体における親和性又は活性の低下は、標的化部分(例えばSIRPα)との結合によって回復可能である。他の実施形態では、治療受容体における親和性又は活性の低下は、標的化部分との結合によって実質的に回復することがない。様々な実施形態において、本発明の治療キメラタンパク質は、コンセンサスインターフェロンバリアントが治療受容体における結合親和性又は活性を弱める変異を有るため、オフターゲット作用を減少させる。様々な実施形態において、これにより、例えば、野生型コンセンサスインターフェロンに見られる副作用が減少する。様々な実施形態において、コンセンサスインターフェロンバリアントは、治療活性部位への途中では実質的に不活性であり、特異的に標的化された細胞種に対して実質的に作用し、望まれない副作用が大いに低減される。
【0137】
様々な実施形態において、コンセンサスインターフェロンバリアントは、1種類又は複数種類の治療受容体に対するコンセンサスインターフェロンバリアントの親和性、例えば結合(例えばK)及び/又は活性化(例えば、K及び/又はEC50として測定可能なもの)を減弱又は低下させる1つ又は複数の変異を有する。様々な実施形態において、治療受容体における親和性の低下によって治療受容体からの活性及び/又はシグナル伝達が減弱している。
【0138】
様々な実施形態において、コンセンサスインターフェロンバリアントは、IFNARのIFNAR1サブユニットへの結合又は親和性を低下させる1つ又は複数の変異を有する。ある実施形態では、コンセンサスインターフェロンバリアントは、IFNAR1における親和性及び/又は活性が低下している。いくつかの実施形態では、コンセンサスインターフェロンバリアントは、IFNARのIFNAR2サブユニットへの結合又は親和性を低下させる1つ又は複数の変異を有する。いくつかの実施形態では、コンセンサスインターフェロンバリアントは、IFNAR1サブユニットとIFNAR2サブユニットの両方への結合又は親和性を低下させる1つ又は複数の変異を有する。
【0139】
いくつかの実施形態では、コンセンサスインターフェロンバリアントは、IFNAR1への結合又はIFNAR1に対する親和性を低下させる1つ又は複数の変異、及びIFNAR2への結合又はIFNAR2に対する親和性を実質的に低下させるか又は除去する1つ又は複数の変異を有する。いくつかの実施形態では、そのようなコンセンサスインターフェロンバリアントを有するキメラタンパク質により、標的選択的なIFNAR1活性(例えば、IFNAR1活性は、標的化部分、例えばSIRPαを介した標的化により回復可能である)がもたらされ得る。
【0140】
いくつかの実施形態では、コンセンサスインターフェロンバリアントは、IFNAR2への結合又はIFNAR2に対する親和性を低下させる1つ又は複数の変異、及びIFNAR1への結合又はIFNAR1に対する親和性を実質的に低下させるか又は除去する1つ又は複数の変異を有する。いくつかの実施形態では、そのようなコンセンサスインターフェロンバリアントを含むキメラタンパク質により、標的選択的なIFNAR2活性(例えば、IFNAR2活性は、標的化部分、例えばSIRPαを介した標的化により回復可能である)がもたらされ得る。
【0141】
いくつかの実施形態では、コンセンサスインターフェロンバリアントは、IFNAR1への結合又はIFNAR1に対する親和性を低下させる1つ又は複数の変異、及びIFNAR2への結合又はIFNAR2に対する親和性を低下させる1つ又は複数の変異を有する。いくつかの実施形態では、そのようなコンセンサスインターフェロンバリアントを含むキメラタンパク質により、標的選択的なIFNAR1及び/又はIFNAR2活性(例えば、IFNAR1及び/IFNAR2活性は、標的化部分、例えばSIRPαを介した標的化により回復可能である)がもたらされ得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、コンセンサスインターフェロンは、配列番号50における145~155番目のうちの1つ又は複数のアミノ酸、例えば149番目、150番目、及び/又は154番目のアミノ酸位置に変異を有するように改変されている。いくつかの実施形態では、コンセンサスインターフェロンは、配列番号50における145~155番目位置のうちの1つ又は複数のアミノ酸、例えば149番目、150番目、及び/又は154番目のアミノ酸位置に変異を有するように改変されており、それらの置換は所望により疎水性であってもよく、且つ、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシンから選択される。いくつかの実施形態では、コンセンサスインターフェロン変異体は、配列番号50におけるM149A、R150A、及びL154Aから選択される1つ又は複数の変異を含む。
【0143】
ある実施形態では、コンセンサスインターフェロンは、配列番号50におけるアミノ酸121番目の位置(すなわち、K121)に変異を有するように改変されている。ある実施形態では、コンセンサスインターフェロンは、配列番号50におけるK121E変異を含む。
【0144】
様々な実施形態において、改変型シグナル伝達物質は、改変型のサイトカイン、増殖因子、及びホルモンから選択される。そのようなサイトカイン、増殖因子、及びホルモンの例示的な例としては、リンホカイン、モノカイン;ヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモンなどの従来のポリペプチドホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン、インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;濾胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体形成ホルモン(LH)などの糖タンパク質ホルモン;肝細胞増殖因子;線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子-α及び腫瘍壊死因子-β;ミュラー管抑制物質;マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮細胞増殖因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF-αなどの神経成長因子;血小板由来増殖因子;TGF-α及びTGF-βなどのトランスフォーミング増殖因子(TGF);インスリン様成長因子-I及びインスリン様成長因子-II;骨誘導因子;例えば、インターフェロン-α、インターフェロン-β、及びインターフェロン-γ(並びにインターフェロンI型、II型、及びIII型)などのインターフェロン;マクロファージ-CSF(M-CSF)、顆粒球マクロファージ-CSF(GM-CSF)、及び顆粒球-CSF(G-CSF)などのコロニー刺激因子(CSF);例えば、IL-1、IL-1α、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、及びIL-18などのインターロイキン(IL);例えば、TNF-α又はTNF-βなどの腫瘍壊死因子、及び例えば、LIF及びkitリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子が挙げられるがこれらに限定されない。本明細書において使用される場合、サイトカイン、増殖因子、及びホルモンとしては、天然起源のタンパク質、又は組換え体細菌細胞培養系、組換え真核生物細胞培養系、若しくは組換え哺乳類細胞培養系から産生されるタンパク質、及び天然配列のサイトカインの生物学的活性同等物が挙げられる。
【0145】
いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、限定されないが、TGF-α及びTGF-βなどのトランスフォーミング増殖因子(TGF)(並びにTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3を含むTGF-βの様々なサブタイプを含むそれらのサブタイプ)、上皮成長因子(EGF)、インスリン様成長因子-I及びインスリン様成長因子-IIなどのインスリン様成長因子、線維芽細胞増殖因子(FGF)、ヘレグリン、血小板由来増殖因子(PDGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)から選択される増殖因子の改変型である。
【0146】
ある実施形態では、増殖因子は改変型の線維芽細胞増殖因子(FGF)である。FGFの例としては、FGF1、FGF2、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FGF10、FGF11、FGF12、FGF13、FGF14、マウスFGF15、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF20、FGF21、FGF22、及びFGF23が挙げられるがこれらに限定されない。
【0147】
いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は血管内皮細胞増殖因子(VEGF)である。VEGFは、生理的血管新生だけでなく病理的血管新生においても主要な役割を果たし、血管透過性を制御し、且つ、VEGF受容体発現細胞に対して増殖因子として作用可能な強力な増殖因子である。特に、その他の機能としては、マクロファージ系統細胞及び内皮細胞における細胞遊走の刺激が挙げられる。数種類のVEGFファミリー増殖因子のメンバー及び少なくとも3種類の受容体(VEGFR-1、VEGFR-2、及びVEGFR-3)が存在する。VEGFファミリーのメンバーは2種類以上のVEGFRに結合し、活性化することができる。例えば、VEGF-AはVEGFR-1及びVEGFR-2に結合し、ある方でVEGF-CはVEGFR-2及びVEGFR-3に結合可能である。VEGFR-1及びVEGFR-2の活性化は血管新生を制御し、ある方でVEGFR-3の活性化はリンパ脈管新生に関連する。主な血管新生促進シグナルはVEGFR-2の活性化から生じる。VEGFR-1の活性化は血管新生における負の役割と関連する可能性があると報告されている。VEGFR-1シグナルの伝達は(骨における前転移ニッチの形成に寄与する)骨髄由来VEGFR-1陽性細胞を介したin vivoでの腫瘍成長にとって重要である。主に血管新生に依存する様々なヒト腫瘍の治療に使用するためのVEGF-A指向性/中和治療抗体に基づくいくつかの治療法が開発されている。しかしながらこれらの治療法には副作用が無いわけではない。これらの抗体が一般的な非細胞/組織特異的VEGF/VEGFR相互作用阻害剤として作用することを考慮すると、このことは驚くべきことではないかもしれない。したがって、特定の標的細胞(例えば、腫瘍血管内皮細胞)にVEGF(例えばVEGF-A)/VEGFR-2阻害を限定することが好ましいことになる。
【0148】
いくつかの実施形態では、VEGFは、VEGF-A、VEGF-B、VEFG-C、VEGF-D、又はVEGF-E、並びにVEGF121、VEGF121b、VEGF145、VEGF165、VEGF165b、VEGF189、及びVEGF206など、VEGF-Aの様々なアイソフォームを含むそれらのアイソフォームである。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、VEGFR-1(Flt-1)及び/又はVEGFR-2(KDR/Flk-1)に対する親和性及び/又は活性が低下している。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、VEGFR-1(Flt-1)及び/又はVEGFR-2(KDR/Flk-1)に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、VEGFR-2(KDR/Flk-1)に対する親和性及び/又は活性が低下しており、及び/又はVEGFR-1(Flt-1)に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。前記実施形態は、例えば、(理論に捉われることを望むものではないが、内皮細胞機能及び血管新生に対するVEGFR-2の効果を介する)創傷治癒方法又は虚血関連疾患の治療に使用される。様々な実施形態において、がん及び炎症促進活性につながるVEGFR-1(Flt-1)への結合が回避される。様々な実施形態において、VEGFR-1(Flt-1)はデコイ受容体として作用し、したがってこの受容体における親和性が実質的に低下するか又は除去され、治療薬の隔離が回避される。ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、VEGFR-1(Flt-1)に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されており、及び/又はVEGFR-2(KDR/Flk-1)に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。いくつかの実施形態では、VEGFはVEGF-C又はVEGF-Dである。前記実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、VEGFR-3に対する親和性及び/又は活性が低下している。あるいは、改変型シグナル伝達物質は、VEGFR-3に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。
【0149】
血管新生誘導性治療法は様々な疾患(例えば虚血性心臓疾患、出血など)においても重要であり、それらの治療法にはVEGFに基づく治療術が含まれる。VEGFR-2の活性化は血管新生誘導性である(内皮細胞に対して作用する)。VEFGR-1の活性化は炎症細胞(例えばマクロファージを含む)の遊走の刺激を引き起こし、炎症関連性高血管透過性につながる可能性がある。VEFGR-1の活性化は骨髄関連腫瘍ニッチ形成も促進し得る。したがって、この場合ではVEGFR-2活性化について選択的なVEGFに基づく治療法が望ましいことになる。さらに、細胞特異的標的化、例えば内皮細胞に対する細胞特異的標的化が望ましいことになる。
【0150】
いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、VEGFR-2に対する親和性及び/又は活性が低下しており(例えばアンタゴニスト活性)、及び/又はVEGFR-1に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。腫瘍内皮細胞マーカー(例えばPSMA及びその他)に結合する標的化部分を介して腫瘍血管内皮細胞に標的化される場合、そのようなコンストラクトは、特にこのようなマーカーについて陽性の細胞上で、VEGFR-2活性化を阻害するが、一方で標的細胞への途中及び(活性が無い場合に)標的細胞上ではVEGFR-1を活性化しないので、炎症応答の誘導などが排除される。これにより、VEGF-A中和治療法と比較して、より選択的で安全な多くの種類の腫瘍に対する血管新生抑制治療法が得られることになる。
【0151】
いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、VEGFR-2に対する親和性及び/又は活性が低下しており(例えばアゴニスト活性)、及び/又はVEGFR-1に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。血管内皮への標的化を介して、いくつかの実施形態では、そのようなコンストラクトはVEGFR-1関連炎症応答誘導を引き起こさずに血管新生を促進する。したがって、そのようなコンストラクトは、VEGFR-2並びにVEGR-1の全身性活性化が引き起こす副作用のリスクが実質的に低下した標的化された血管新生誘導効果を有することになる。
【0152】
例示的な実施形態では、改変型シグナル伝達物質はVEGF165であり、配列番号55のアミノ酸配列を有する。
【0153】
別の例示的な実施形態では、改変型シグナル伝達物質はVEGF165bであり、配列番号56のアミノ酸配列を有する。
【0154】
これらの実施形態では、改変型シグナル伝達物質はアミノ酸I83に変異(例えば、I83番目の置換変異、例えばI83K、I83R、により受容体結合親和性の低下が引き起こされる場合があると考えられている。例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる米国特許第9,078,860号を参照されたい。
【0155】
いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、限定されないが、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、性腺刺激ホルモン放出ホルモン、アンドロゲン、エストロゲン、甲状腺刺激ホルモン、濾胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、プロラクチン、成長ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、抗利尿ホルモン、オキシトシン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、ソマトスタチン、ドーパミン、メラトニン、サイロキシン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、糖質コルチコイド、鉱質コルチコイド、アドレナリン、ノルアドレナリン、プロゲステロン、インスリン、グルカゴン、アミリン、カルシトリオール、カルシフェロール、心房性ナトリウム利尿ペプチド、ガストリン、セクレチン、コレシストキニン、ニューロペプチドY、グレリン、PYY3-36、インスリン様成長因子(IGF)、レプチン、トロンボポエチン、エリスロポエチン(EPO)、及びアンギオテンシノーゲンから選択されるホルモンの改変型である。
【0156】
いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質はTNF-αである。TNFは、細胞増殖制御、分化、アポトーシス、腫瘍形成、ウイルス複製、自己免疫、免疫細胞の機能及び輸送、炎症、並びに敗血症ショックを含む、多種多様な機能を有する多面的サイトカインであり、標的細胞上の2種類の別個の膜受容体、すなわちTNFR1(p55)及びTNFR2(p75)に結合する。TNFR1が非常に広範な発現パターンを示すある方でTNFR2はリンパ球、Treg、内皮細胞、ある種の神経細胞、ミクログリア、心筋細胞、及び間葉系幹細胞のある特定の集団において優先的に発現する。いくらかの重複もあるものの、受容体活性化に応答して、非常に異なる生物学的経路が活性化される。原則として、理論に捉われることを望むものではないが、TNFR1シグナル伝達はアポトーシス(細胞死)の誘導に関連し、TNFR2シグナル伝達は細胞生存シグナルの活性化(例えばNFkB経路の活性化)に関連する。TNFの投与は全身的には有毒であり、これは主としてTNFR1の関与に起因する。しかしながら、TNFR2の活性化も広範囲の活性に関連しており、TNFR1の場合のように、TNFに基づく治療法を開発の観点から、TNF標的化及びTNF活性の制御が重要であることに留意されたい。
【0157】
いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質はTNFR1及び/又はTNFR2に対する親和性及び/又は活性が低下している。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質はTNFR1及び/又はTNFR2に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。TNFR1が大半の組織において発現し、細胞死のシグナル伝達に関与するある方で対照的にTNFR2は細胞生存シグナル伝達に関与する。よって、がんの治療方法に関する実施形態では、改変型シグナル伝達物質はTNFR1に対する親和性及び/又は活性が低下しており、及び/又はTNFR2に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。これらの実施形態では、キメラタンパク質はアポトーシスが望まれる細胞、例えば腫瘍細胞又は腫瘍血管内皮細胞に標的化され得る。例えば神経変性障害の治療のための神経変性における細胞生存の促進方法に関する実施形態では、改変型シグナル伝達物質はTNFR2に対する親和性及び/又は活性が低下しており、及び/又はTNFR1に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。換言すると、本開示のキメラタンパク質は、いくつかの実施形態では、細胞死シグナル又は生存シグナルのどちらかを好むことを可能にする改変型TNF-α物質を含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、TNFR1に対する親和性及び/又は活性が低下しており、及び/又はTNFR2に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている改変型TNFを有する。そのようなキメラは、いくつかの実施形態では、野生型TNF及び/又はTNFR1に対する親和性及び/又は活性の低下の原因となる変異のみを有するキメラと比較して、より強力なアポトーシス誘導因子である。そのようなキメラは、いくつかの実施形態では、(例えばがんの治療における)腫瘍細胞死又は腫瘍血管内皮細胞死の誘導に使用される。また、いくつかの実施形態では、これらのキメラは、例えばTNFR2などを介したTreg細胞の活性化を回避又は抑制することで、in vivoでのTNFR1介在性抗腫瘍活性をさらに補助する。
【0159】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、TNFR2に対する親和性及び/又は活性が低下しており、及び/又はTNFR1に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている改変型TNFを有する。いくつかの実施形態では、そのようなキメラはある種類の細胞の細胞生存のより強力な活性化因子であり、それは、限定されないが、神経新生の刺激を含む様々な疾患背景における特定の治療対象であり得る。さらに、そのようなTNFR2をより好むキメラは、自己免疫疾患(例えば、クローン病、糖尿病、MS、大腸炎など、及び本明細書に記載される他の多くの疾患)の治療にも有用である。いくつかの実施形態では、キメラは自己反応性T細胞を標的とする。いくつかの実施形態では、キメラはTreg細胞の活性化と細胞傷害性T細胞の間接的抑制を促進する。
【0160】
いくつかの実施形態では、キメラ(例えば、TNFR2に対する親和性及び/又は活性が低下しており、及び/又はTNFR1に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去された改変型TNF)は、例えばTNFR2の活性化及び/又はTNFR1の回避によって、自己反応性T細胞の細胞死を引き起こす。理論に捉われることを望むものではないが、これらの自己反応性T細胞は、例えばNFkB経路の活性/シグナル伝達の変化によってそれらの細胞のアポトーシス/細胞生存シグナルを変化させる。いくつかの実施形態では、キメラはNFκB経路における損傷又は改変を有する自己反応性T細胞の細胞死を引き起こし、これは、ある細胞死誘導シグナル(例えば、TNFR2の活性化)に対する自己反応性T細胞の細胞死(アポトーシス)/生存シグナル伝達特性の不均衡、及び所望により感受性の変化の基礎となる。
【0161】
いくつかの実施形態では、TNFR-2に基づいたキメラは、特に、自己免疫疾患、様々な心疾患、脱髄性神経変性障害、及び感染症を含む疾患において、その他の治療用途を有する。
【0162】
ある実施形態では、野生型TNF-αは配列番号57のアミノ酸配列を有する。
【0163】
前記実施形態では、改変型TNF-α物質は、29番目、31番目、32番目、84番目、85番目、86番目、87番目、88番目、89番目、145番目、146番目、及び147番目のうちの1つ又は複数のアミノ酸位置に受容体結合親和性が低下した改変型TNF-αを産生する変異を有する。例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる米国特許第7,993,636号を参照されたい。
【0164】
いくつかの実施形態では、改変型ヒトTNF-α部分は、例えば内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第2015/007903号に記載されるように、R32、N34、Q67、H73、L75、T77、S86、Y87、V91、I97、T105、P106、A109、P113、Y115、E127、N137、D143、A145、及びE146のうちの1つ又は複数のアミノ酸位置に変異を有する(Genbank登録番号BAG70306、更新番号BAG70306.1、GI:197692685のヒトTNF配列に基づく付番)。いくつかの実施形態では、改変型ヒトTNF-α部分は、L29S、R32G、R32W、N34G、Q67G、H73G、L75G、L75A、L75S、T77A、S86G、S86T、Y87Q、Y87L、Y87A、Y87F、Y87H、V91G、V91A、I97A、I97Q、I97S、T105G、P106G、A109Y、P113G、Y115G、Y115A、E127G、N137G、D143N、A145G、A145R、A145T、E146D、E146K、及びS147Dから選択される置換変異を有する。いくつかの実施形態では、ヒトTNF-α部分は、Y87Q、Y87L、Y87A、Y87F、及びY87Hから選択される変異を有する。別の実施形態では、ヒトTNF-α部分は、I97A、I97Q、及びI97Sから選択される変異を有する。その他の実施形態では、ヒトTNF-α部分はY115A及びY115Gから選択される変異を有する。いくつかの実施形態では、ヒトTNF-α部分はE146K変異を有する。いくつかの実施形態では、ヒトTNF-α部分はY87H変異及びE146K変異を有する。いくつかの実施形態では、ヒトTNF-α部分はY87H変異及びA145R変異を有する。いくつかの実施形態では、ヒトTNF-α部分はR32W変異及びS86T変異を有する。いくつかの実施形態では、ヒトTNF-α部分はR32W変異及びE146K変異を有する。いくつかの実施形態では、ヒトTNF-α部分はL29S変異及びR32W変異を有する。いくつかの実施形態では、ヒトTNF-α部分はD143N変異及びA145R変異を有する。いくつかの実施形態では、ヒトTNF-α部分はD143N変異及びA145R変異を有する。いくつかの実施形態では、ヒトTNF-α部分はA145T変異、E146D変異、及びS147D変異を有する。いくつかの実施形態では、ヒトTNF-α部分はA145T変異及びS147D変異を有する。
【0165】
いくつかの実施形態では、改変型TNF-α物質は、その文献の内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第2008/124086号に記載されるような、N39Y、S147Y、及びY87Hから選択される1つ又は複数の変異を有する。
【0166】
いくつかの実施形態では、改変型ヒトTNF-α部分は、その文献の内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際出願PCT/IB2016/001668号に記載されるような受容体選択性をもたらす変異を有する。いくつかの実施形態では、TNFに対する変異はTNF-R1選択的である。いくつかの実施形態では、TNF-R1選択的であるTNFに対する変異は、R32、S86、及びE146の位置のうちの1つ又は複数に存在する。いくつかの実施形態では、TNF-R1選択的であるTNFに対する変異は、R32W、S86T、及びE146Kの位置のうちの1つ又は複数である。いくつかの実施形態では、TNF-R1選択的であるTNFに対する変異は、R32W、R32W/S86T、R32W/E146K、及びE146Kのうちの1つ又は複数である。いくつかの実施形態では、TNFに対する変異はTNF-R2選択的である。いくつかの実施形態では、TNF-R2選択的であるTNFに対する変異は、A145、E146、及びS147の位置のうちの1つ又は複数に存在する。いくつかの実施形態では、TNF-R2選択的であるTNFに対する変異は、A145T、A145R、E146D、及びS147Dのうちの1つ又は複数である。いくつかの実施形態では、TNF-R2選択的であるTNFに対する変異は、A145R、A145T/S147D、及びA145T/E146D/S147Dのうちの1つ又は複数である。
【0167】
ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質はTNF-βである。TNF-βはホモ二量体、又はLT-β(LT-α1β2)とヘテロ二量体を形成することができる。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質はTNFR1及び/又はTNFR2及び/又はヘルペスウイルス侵入メディエーター(HEVM)及び/又はLT-βRに対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。
【0168】
ある実施形態では、野生型TNF-βは配列番号58のアミノ酸配列を有する。
【0169】
前記実施形態では、改変型TNF-β物質は、TNFR2に対する受容体結合親和性が低下した改変型TNF-βを産生する変異を106~113番目の位置の1つ又は複数のアミノ酸に含み得る。ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、106~113番目のアミノ酸位置に1つ又は複数の置換変異を有する。例示的な実施形態では、それらの置換変異は、Q107E、Q107D、S106E、S106D、Q107R、Q107N、Q107E/S106E、Q107E/S106D、Q107D/S106E、及びQ107D/S106Dから選択される。別の実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、106~113番目の位置に約1個~約3個のアミノ酸の挿入を有する。
【0170】
いくつかの実施形態では、改変型作用物質は、それらの文献の内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第2015/007903号及び国際出願PCT/IB2016/001668号に記載されるような一本鎖三量体型であり得るTNFファミリーメンバー(例えばTNF-α、TNF-β)である。
【0171】
いくつかの実施形態では、改変型作用物質は、TNFR1において親和性及び/又は活性が低下している、すなわちアンタゴニスト活性(例えば、天然のアンタゴニスト活性、又は1つ若しくは複数の変異の結果であるアンタゴニスト活性であり、例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第2015/007520号を参照されたい)を有するTNFファミリーメンバー(例えばTNF-α、TNF-β)である。これらの実施形態では、改変型作用物質は、TNFR2に対して親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されていてもよいTNFファミリーメンバー(例えばTNF-α、TNF-β)である。いくつかの実施形態では、改変型作用物質は、TNFR2において親和性及び/又は活性が低下した、すなわちアンタゴニスト活性(例えば、天然のアンタゴニスト活性、又は1つ若しくは複数の変異の結果であるアンタゴニスト活性であり、例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第2015/007520号を参照されたい)を有するTNFファミリーメンバー(例えばTNF-α、TNF-β)である。これらの実施形態では、改変型作用物質は、TNFR1に対して親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されていてもよいTNFファミリーメンバー(例えばTNF-α、TNF-β)である。前記実施形態のコンストラクトは、例えば、細胞特異的にTNF応答を減弱させる方法において使用される。いくつかの実施形態では、アンタゴニスト的TNFファミリーメンバー(例えばTNF-α、TNF-β)は国際公開第2015/007903号に記載されるような一本鎖三量体型である。
【0172】
ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質はTRAILである。いくつかの実施形態では、改変型TRAIL物質は、DR4(TRAIL-RI)、及び/又はDR5(TRAIL-RII)、及び/又はDcR1、及び/又はDcR2に対する親和性及び/又は活性が低下している。いくつかの実施形態では、改変型TRAIL物質は、DR4(TRAIL-RI)、及び/又はDR5(TRAIL-RII)、及び/又はDcR1、及び/又はDcR2に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。
【0173】
ある実施形態では、野生型TRAILは配列番号59のアミノ酸配列を有する。
【0174】
前記実施形態では、改変型TRAIL物質は、T127~R132、E144~R149、E155~H161、Y189~Y209、T214~1220、K224~A226、W231、E236~L239、E249~K251、T261~H264、及びH270~E271のアミノ酸位置に変異を有し得る(Genbank登録番号NP_003801、更新番号10NP_003801.1、GI:4507593のヒト配列に基づく付番。上記参照)。
【0175】
いくつかの実施形態では、改変型TRAIL物質は、TRAIL-R1に対するその親和性及び/又は活性を実質的に低下させる1つ又は複数の変異を含み得る。そのような実施形態では、改変型TRAIL物質は、特異的にTRIL-R2に結合し得る。例示的な変異としては、Y189、R191、Q193、H264、I266、及びD267のうちの1つ又は複数のアミノ酸位置における変異が挙げられる。例えば、前記変異は、Y189Q、R191K、Q193R、H264R、I266L、及びD267Qのうちの1つ又は複数であってもよい。ある実施形態では、改変型TRAIL物質は、Y189Q、R191K、Q193R、H264R、I266L、及びD267Qの変異を含む。
【0176】
いくつかの実施形態では、改変型TRAIL物質は、TRAIL-R2に対するその親和性及び/又は活性を実質的に低下させる1つ又は複数の変異を含み得る。そのような実施形態では、改変型TRAIL物質は、特異的にTRIL-R1に結合し得る。例示的な変異としては、G131、R149、S159、N199、K201、及びS215のうちの1つ又は複数のアミノ酸位置における変異が挙げられる。例えば、前記突異は、G131R、R149I、S159R、N199R、K201H、及びS215Dのうちの1つ又は複数であってもよい。ある実施形態では、改変型TRAIL物質は、G131R、R149I、S159R、N199R、K201H、及びS215Dの変異を含む。他のTRAIL変異は、例えば、開示の全体が参照により本明細書に取り込まれるTrebing,et al.(2014)Cell Death and Disease、5:e1035に記載されている。
【0177】
ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質はTGFαである。前記実施形態では、改変型TGFα物質は、上皮成長因子受容体(EGFR)に対する親和性及び/又は活性が低下している。いくつかの実施形態では、改変型TGFα物質は、上皮成長因子受容体(EGFR)に対するに親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。
【0178】
ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質はTGFβである。前記実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、TGFBR1及び/又はTGFBR2に対する親和性及び/又が低下している。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質はTGFBR1及び/又はTGFBR2に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、TGFBR3に対する親和性及び/又は活性が低下しているか、実質的に低下しているか、又は除去されていてもよく、TGFBR3は、理論に捉われることを望むものではないが、TGF-β受容体のリガンドの貯蔵する作用を有する場合がある。いくつかの実施形態では、TGFβはTGFBR2よりもTGFBR1を好んでもよく、TGFBR1よりもTGFBR2を好んでもよい。同様に、理論に捉われることを望むものではないが、LAPはTGF-β受容体のリガンドの貯蔵する作用を有する場合がある。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、TGFBR1及び/又はTGFBR2に対する親和性及び/又は活性が低下しており、及び/又は潜在関連ペプチド(LAP)に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。いくつかの実施形態では、そのようなキメラは、カムラティ・エンゲルマン病、又は不適切なTGFβシグナル伝達と関連する他の疾患に使用される。
【0179】
いくつかの実施形態では、改変型作用物質は、TGFBR1、TGFBR2、TGFBR3のうちのうちの1つ又は複数において親和性及び/又は活性が低下している、すなわちアンタゴニスト活性(例えば、天然のアンタゴニスト活性、又は1若しくは複数の変異の結果であるアンタゴニスト活性であり、これについては、例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第2015/007520号を参照されたい)を有するTGFファミリーメンバー(例えばTGFα、TGFβ)である。これらの実施形態では、改変型作用物質はTGFBR1、TGFBR2、TGFBR3うちの1つ又は複数において所望により親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されているTGFファミリーメンバー(例えばTGFα、TGFβ)である。
【0180】
いくつかの実施形態では、改変型作用物質は、TGFBR1及び/又はTGFBR2において親和性及び/又は活性が低下している、すなわちアンタゴニスト活性(例えば、天然のアンタゴニスト活性、又は1若しくは複数の変異の結果であるアンタゴニスト活性であり、これについては、例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第2015/007520号を参照されたい)を有するTGFファミリーメンバー(例えばTGFα、TGFβ)である。これらの実施形態では、改変型作用物質はTGFBR3において所望により親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されているTGFファミリーメンバー(例えばTGFα、TGFβ)である。
【0181】
ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質はインターロイキンである。ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質はIL-1である。ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質はIL-1α又はIL-1βである。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質はIL-1R1及び/又はIL-1RAcPに対する親和性及び/又は活性が低下している。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質はIL-1R1及び/又はIL-1RAcPに対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質はIL-1R2に対する親和性及び/又は活性が低下している。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質はIL-1R2に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。例えば、いくつかの実施形態では、本開示の改変型IL-1物質はIL-1R2における相互作用を回避するので、治療薬に対するデコイ(decoy)及び/又はシンク(sink)としてのその機能を実質的に低下させる。
【0182】
ある実施形態では野生型IL-1βは配列番号60のアミノ酸配列を有する。
【0183】
IL1は炎症促進性サイトカインであって、重要な免疫系調節因子である。IL1はCD4 T細胞応答の強力な活性化因子であり、Th17細胞の割合を増やし、且つ、IFNγ産生細胞及びIL-4産生細胞の増殖を増強する。IL-1はCD8T細胞の強力な調節因子でもあり、抗原特異的CD8T細胞の増殖、分化、末梢への遊走、及び記憶を増強する。IL-1受容体はIL-1R1及びIL-1R2を含む。IL-1R1への結合及びIL-1R1からのシグナル伝達は、IL-1がその生物学的(及び病理学的)活性の多くを媒介する機構を構成する。IL1-R2はデコイ受容体として機能することが可能であり、それによってIL-1R1との相互作用及びIL-1R1からのシグナル伝達に対するIL-1の利用度を低下させる。
【0184】
いくつかの実施形態では、改変型IL-1はIL-1R1に対する親和性及び/又は活性が低下している(例えばアゴニスト活性)。いくつかの実施形態では、改変型IL-1は、IL-1R2に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。前記実施形態では、回復可能なIL-1/IL-1R1シグナル伝達、及びIL-R2における治療用キメラの消失の阻止、及びその結果としての(例えば、野生型、又はIL-R1に対する減弱変異のみを有するキメラと比べて)必要とされるIL-1用量の減少が見られる。そのようなコンストラクトは、例えば、抗がん反応を開始するために免疫系を刺激することを含むがんの治療方法において使用される。
【0185】
いくつかの実施形態では、改変型IL-1は、IL-1R1に対する親和性及び/又は活性が低下している(例えば、アンタゴニスト活性、例えば、天然のアンタゴニスト活性、又は1つ若しくは複数の変異の結果であるアンタゴニスト活性であり、例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第2015/007520号を参照されたい)。いくつかの実施形態では、改変型IL-1は、IL-1R2に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。前記実施形態では、回復可能ではないIL-1/IL-1R1シグナル伝達、及びIL-R2における治療用キメラの消失の阻止、及びその結果としての(例えば、野生型、又はIL-R1に対する減弱変異のみを有するキメラと比べて)必要なIL-1用量の減少が見られる。そのようなコンストラクトは、例えば、免疫系を抑制することを含む自己免疫疾患の治療方法において使用される。
【0186】
前記実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、I型IL-1Rに対する結合親和性が低下し、且つ生物活性が低下した改変型ヒトIL-1βを産生する、52~54番目のアミノ酸の欠失を有する。例えば、文献の内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第1994/000491号を参照されたい。いくつかの実施形態では、改変型ヒトIL-1βは、例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第2015/007542号及び国際公開第2015/007536号に記載されるようなIL-1Rへの結合の低下を示す、A117G/P118G、R120X、L122A、T125G/L126G、R127G、Q130X、Q131G、K132A、S137G/Q138Y、L145G、H146X、L145A/L147A、Q148X、Q148G/Q150G、Q150G/D151A、M152G、F162A、F162A/Q164E、F166A、Q164E/E167K、N169G/D170G、I172A、V174A、K208E、K209X、K209A/K210A、K219X、E221X、E221S/N224A、N224S/K225S、E244K、N245Q(Xは任意のアミノ酸の変更、例えば非保存的変更であり得る)から選択される1つ又は複数の置換変異を有する(Genbank登録番号NP_000567、更新番号NP-000567.1、GI:10835145のヒトIL-1β配列に基づく付番)。いくつかの実施形態では、改変型ヒトIL-1βは、R120A、R120G、Q130A、Q130W、H146A、H146G、H146E、H146N、H146R、Q148E、Q148G、Q148L、K209A、K209D、K219S、K219Q、E221S、及びE221Kから選択される1つ又は複数の変異を有し得る。ある実施形態では、改変型ヒトIL-1βは、Q131G及びQ148Gの変異を含む。ある実施形態では、改変型ヒトIL-1βは、Q148G及びK208Eの変異を含む。ある実施形態では、改変型ヒトIL-1βは、R120G及びQ131Gの変異を含む。ある実施形態では、改変型ヒトIL-1βは、R120G及びH146Aの変異を含む。ある実施形態では、改変型ヒトIL-1βは、R120G及びH146Nの変異を含む。ある実施形態では、改変型ヒトIL-1βは、R120G及びH146Rの変異を含む。ある実施形態では、改変型ヒトIL-1βは、R120G及びH146Eの変異を含む。ある実施形態では、改変型ヒトIL-1βは、R120G及びH146Gの変異を含む。ある実施形態では、改変型ヒトIL-1βは、R120G及びK208Eの変異を含む。ある実施形態では、改変型ヒトIL-1βは、R120G、F162A、及びQ164Eの変異を含む。
【0187】
ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質はIL-2である。前記実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、IL-2Rα及び/又はIL-2Rβ及び/又はIL-2Rγに対する親和性及び/又は活性が低下している。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、IL-2Rβ及び/又はIL-2Rγに対する親和性及び/又は活性が低下している。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、IL-2Rαに対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。前記実施形態は、例えば、改変型IL-2がIL-2Rβ及び/又はIL-2Rγにおいてアゴニスト的である場合に、がんの治療に適切であり得る。例えば、本開示のコンストラクトは、IL2受容体β及びγを有する(抗腫瘍作用を提供し得る)CD8T細胞の活性の減弱に有利であり、且つ、IL2受容体α、β、及びγを有する(免疫抑制性腫瘍促進作用を提供し得る)Tregに不利である。さらに、いくつかの実施形態では、IL-2RαよりもIL-2Rβ及び/又はIL-2Rγを優先することで肺水腫などのIL-2の副作用が回避される。また、IL-2に基づいたキメラは、例えば、改変型IL-2がIL-2Rβ及び/又はIL-2Rγにおいてアンタゴニスト的である(例えば、天然のアンタゴニスト活性、又は1つ若しくは複数の変異の結果であるアンタゴニスト活性であり、これについては、例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第2015/007520号を参照されたい)場合に疾患(例えば、自己免疫疾患)の治療に有用である。例えば、本開示のコンストラクトは、IL2受容体β及びγを有するCD8T細胞の活性の減弱に有利であり(したがって、免疫応答を減弱し)、且つ、IL2受容体α、β、及びγを有するTregに不利である。あるいは、いくつかの実施形態ではIL-2を有する、キメラはTregの活性化、したがって免疫抑制に有利であり、CD8T細胞の活性化に不利である。例えば、これらのコンストラクトは疾患、又は免疫抑制から利益を受け得る疾患、例えば自己免疫疾患の治療に使用される。
【0188】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質はCD8T細胞を指向する本明細書に記載されるような標的化部分、並びにIL-2Rβ及び/又はIL-2Rγに対する親和性及び/又は活性が低下しており、及び/又はIL-2Rαに対する親和性及び/又は活性を有する改変型IL-2物質が実質的に低下しているか又は除去されている。いくつかの実施形態では、これらのコンストラクトは標的化CD8T細胞活性を提供し、且つ、Treg細胞に対しては一般的に不活性である(又は活性が実質的に低下している)。いくつかの実施形態ではそのようなコンストラクトは(例えば、理論に捉われることを望むものではないが、Tregを刺激しないことにより)野生型IL-2と比較して免疫刺激作用が増強されており、その一方でIL-2に関連する全身毒性を除去又は低減する。
【0189】
ある実施形態では野生型IL-2は配列番号61のアミノ酸配列を有する。
【0190】
前記実施形態では、改変型IL-2物質は、アミノ酸L72(L72G、L72A、L72S、L72T、L72Q、L72E、L72N、L72D、L72R、又はL72K)、アミノ酸F42(F42A、F42G、F42S、F42T、F42Q、F42E、F42N、F42D、F42R、又はF42K)を、及びアミノ酸Y45(Y45A、Y45G、Y45S、Y45T、Y45Q、Y45E、Y45N、Y45D、Y45R又はY45K)に1つ又は複数の変異有する。理論に捉われることを望むものではないが、野生型IL-2と比較すると、これらの改変型IL-2物質は高親和性IL-2受容体に対して親和性が低下しており、且つ、中親和性IL-2受容体に対する親和性が維持されていると考えられている。例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる米国特許出願公開第2012/0244112号を参照されたい。
【0191】
いくつかの実施形態では、改変型IL-2物質は、アミノ酸R38、F42、Y45、及びE62に1つ又は複数の変異を有する。例えば、前記改変型IL-2物質は、R38A、F42A、Y45A、及びE62Aのうちの1つ又は複数を含む場合がある。いくつかの実施形態では、改変型IL-2物質はC125に変異を含み得る。例えば、前記変異はC125Sであってもよい。前記実施形態では、改変型IL-2物質は、例えば、開示の全体が参照により本明細書に取り込まれるCarmenate,et al.、(2013)The Journal of Immunology、190:6230-6238に記載されるように、IL-2Rαに対する親和性及び/又は活性が実質的に低下していてもよい。いくつかの実施形態では、R38、F42、Y45、及び/又はE62に変異を有する改変型IL-2物質は、CD8+T細胞及びNK細胞を含むエフェクター細胞の増殖を誘導することが可能であるが、Treg細胞の増殖を誘導することはできない。いくつかの実施形態では、R38、F42、Y45、及び/又はE62に変異を有する改変型IL-2物質は、野生型IL-2物質よりも毒性が低い。IL-2Rαに対する親和性及び/又は活性が実質的に低下した改変型IL-2物質を含むキメラタンパク質は、腫瘍学などに適用され得る。
【0192】
他の実施形態では、改変型IL-2物質は、例えば、開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第2016/025385号に記載されるようにIL-2Rβに対する実質的に低下した親和性及び/又は活性を有し得る。前記実施形態では、改変型IL-2物質Treg細胞の増殖を誘導することが可能であるが、CD8+T細胞及びNK細胞などのエフェクター細胞の増殖を誘導することはできない。IL-2Rβに対する親和性及び/又は活性が実質的に低下している、改変型IL-2物質を含むキメラタンパク質は自己免疫疾患等の治療に適用され得る。いくつかの実施形態では、改変型IL-2物質はアミノ酸N88、D20、及び/又はA126に1つ又は複数の変異を含み得る。例えば、前記改変型IL-2物質はN88R、N88I、N88G、D20H、Q126L、及びQ126Fのうちの1つ又は複数を含む場合がある。
【0193】
様々な実施形態において、改変型IL-2物質は、D109又はC125に変異を含み得る。例えば、前記変異はD109C又はC125Sであってもよい。いくつかの実施形態では、D109又はC125に変異を有する改変型IL-2は、PEG部分への結合のために利用され得る。
【0194】
ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質はIL-3である。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、共通β(βc又はCD131)サブユニットと対合した特有のα鎖を含むヘテロ二量体であるIL-3受容体に対する親和性及び/又は活性が低下している。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、共通β(βc又はCD131)サブユニットと対合した特有のα鎖を含むヘテロ二量体であるIL-3受容体に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。
【0195】
ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質はIL-4である。前記実施形態では、改変型シグナル伝達物質は1型及び/又は2型IL-4受容体に対する親和性及び/又は活性が低下している。前記実施形態では、改変型シグナル伝達物質は1型及び/又は2型IL-4受容体に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。1型IL-4受容体は、IL-4Rαサブユニットと共通γ鎖から構成され、特異的にIL-4に結合する。2型IL-4受容体は、IL-13Rα1として知られる異なるサブユニットに結合したIL-4Rαサブユニットを含む。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、2型IL-4受容体に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。
【0196】
ある実施形態では野生型IL-4は配列番号62のアミノ酸配列を有する。
【0197】
前記実施形態では、改変型IL-4物質は、アミノ酸R121(R121A、R121D、R121E、R121F、R121H、R121I、R121K、R121N、R121P、R121T、R121W)、アミノ酸E122(E122F)、Y124(Y124A、Y124Q、Y124R、Y124S、Y124T)、及びアミノ酸S125(S125A)に1つ又は複数の変異を有する。理論に捉われることを望むものではないが、これらの改変型IL-4物質は、I型受容体が介在する活性を維持するが、他の受容体が介在する生物活性を著しく低下させると考えられている。例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる米国特許第6,433,157号を参照されたい。
【0198】
ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質はIL-6である。IL-6は、リガンド結合性IL-6R鎖(CD126)とシグナル伝達要素gp130を含む細胞表面I型サイトカイン受容体複合体を介してシグナルを伝達する。IL-6はIL-6Rの細胞外部分である可溶型IL-6R(sIL-6R)に結合する場合もある。SIL-6R/IL-6複合体は神経突起伸長と神経細胞生存に関与することがあり、したがって再ミエリン化を介した神経再生に重要であり得る。よって、いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質はIL-6R/gp130及び/又はsIL-6Rに対する親和性及び/又は活性が低下している。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質はIL-6R/gp130及び/又はsIL-6Rに対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。
【0199】
ある実施形態では、野生型IL-6は配列番号63のアミノ酸配列を有する。
【0200】
前記実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、58番目、160番目、163番目、171番目、又は177番目のアミノ酸に1つ又は複数の変異を有する。理論に捉われることを望むものではないが、これらの改変型IL-6物質は、IL-6Rαに対する結合親和性の低下及び生物活性の低下を示すと考えられている。例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第97/10338号を参照されたい。
【0201】
ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質はIL-10である。前記実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、IL-10受容体-1及びIL-10受容体-2に対する親和性及び/又は活性が低下している。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、IL-10受容体-1及びIL-10受容体-2に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。
【0202】
ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質はIL-11である。前記実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、IL-11Rα及び/又はIL-11Rβ及び/又はgp130に対する親和性及び/又は活性が低下している。前記実施形態では、改変型シグナル伝達物質はIL-11Rα及び/又はIL-11Rβ及び/又はgp130に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。
【0203】
ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質はIL-12である。前記実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、IL-12Rβ1及び/又はIL-12Rβ2に対する親和性及び/又は活性が低下している。前記実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、IL-12Rβ1及び/又はIL-12Rβ2に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。
【0204】
ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質はIL-13である。前記実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、IL-4受容体(IL-4Rα)及びIL-13Rα1に対する親和性及び/又は活性が低下している。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、IL-4受容体(IL-4Rα)又はIL-13Rα1に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。
【0205】
ある実施形態では、野生型IL-13は配列番号64のアミノ酸配列を有する。
【0206】
前記実施形態では、改変型IL-13物質は、13番目、16番目、17番目、66番目、69番目、99番目、102番目、104番目、105番目、106番目、107番目、108番目、109番目、112番目、113番目、及び114番目のアミノ酸に1つ又は複数の変異を有する。理論に捉われることを望むものではないが、これらの改変型IL-13物質は生物活性が低下していると考えられている。例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第2002/018422号を参照されたい。
【0207】
ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質はIL-18である。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、IL-18Rα及び/又はIL-18Rβに対する親和性及び/又は活性が低下している。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、IL-18Rα及び/又はIL-18Rβに対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、シグナル伝達に必要なTIRドメインを欠いているIL-18RαのアイソフォームであるII型IL-18Rαに対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。
【0208】
ある実施形態では、野生型IL-18は配列番号65のアミノ酸配列を有する。
【0209】
前記実施形態では、改変型IL-18物質は、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第2015/007542号に記載されるように、Y37~K44、R49~Q54、D59~R63、E67~C74、R80、M87~A97、N127~K129、Q139~M149、K165~K171、R183、及びQ190~N191から選択されるアミノ酸又はアミノ酸領域に1つ又は複数の変異を含み得る(Genbank登録番号AAV38697、更新番号AAV38697.1、GI:54696650のヒトIL-18配列に基づく付番)。
【0210】
ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質はIL-33である。前記実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、ST-2受容体及びIL-1RAcPに対する親和性及び/又は活性が低下している。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、ST-2受容体及びIL-1RAcPに対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。
【0211】
ある実施形態では、野生型IL-33は配列番号66のアミノ酸配列を有する。
【0212】
前記実施形態では、改変型IL-33物質は、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第2015/007542号に記載されるように、I113~Y122、S127~E139、E144~D157、Y163~M183、E200、Q215、L220~C227、及びT260~E269から選択されるアミノ酸又はアミノ酸領域に1つ又は複数の変異を含み得る(Genbank登録番号NP_254274、更新番号NP_254274.1、GI:15559209のヒト配列に基づく付番)。
【0213】
ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質は上皮成長因子(EGF)である。EGFは強力な増殖因子のファミリーのメンバーである。メンバーには、EGF、HB-EGF、及び他のもの、例えばTGFα、アンフィレギュリン、ニューレギュリン、エピレギュリン、ベータセルリンが含まれる。EGFファミリー受容体には、EGFR(ErbB1)、ErbB2、ErbB3、及びErbB4が含まれる。これらの受容体は、ホモ二量体受容体サブタイプ及び/又はヘテロ二量体受容体サブタイプとして機能する場合がある。異なるEGFファミリーメンバーは、様々な受容体サブタイプに対して異なった選択性を示す。例えば、EGFは、ErbB1/ErbB1、ErbB1/ErbB2、ErbB4/ErbB2、及び他のいくつかのヘテロ二量体サブタイプと結合する。HB-EGFは類似のパターンを有するが、ErbB4/4とも結合する。EGF(EGF様)増殖因子シグナル伝達の調整には正の調整でも負の調整でも高い治療上の興味を引く。例えば、EGFRシグナルの伝達が主要な増殖促進シグナルを構成している様々ながんの治療において、EGFRシグナル伝達の阻害は興味を引く。あるいは、EGFRシグナル伝達の刺激には、例えば、創傷治癒(急性及び慢性)の促進、口腔粘膜炎(放射線療法を含むがこれに限定されない様々ながん療法の主要な副作用)における治療上の興味を引く。
【0214】
いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、ErbB1、ErbB2、ErbB3、及び/又はErbB4に対する親和性及び/又は活性が低下している。前記実施形態は、例えば、創傷を治療する方法において使用される。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は1つ又は複数のErbB1、ErbB2、ErbB3、及びErbB4に結合し、その受容体の活性をアンタゴナイズする。前記実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、ErbB1、ErbB2、ErbB3、及び/又はErbB4に対する親和性及び/又は活性が低下しており、それによってその受容体の活性が減弱されるようにアンタゴナイズされる。前記実施形態は、例えば、がんの治療において使用される。ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、ErbB1に対する親和性及び/又は活性が低下している。ErbB1は、選択性があまり無いために大半が副作用を有するキナーゼ阻害剤(例えば、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ブリガチニブ、及びイコチニブ)の治療上の標的である。いくつかの実施形態では、アンタゴニストによるErbB1シグナル伝達の減弱はEGFの受容体を標的とする他の作用物質よりも標的に的中し、副作用が少ない。
【0215】
いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、ErbB1に対する親和性及び/又は活性が低下しており(例えばアンタゴニスト活性、例えば、天然のアンタゴニスト活性、又は1つ若しくは複数の変異の結果であるアンタゴニスト活性であり、例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第2015/007520号を参照されたい)、及び/又はErbB4若しくは相互作用し得る他のサブタイプに対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。標的化部分を介した特異的標的化により、ErbB1/ErbB1受容体活性化の細胞選択的抑制(アンタゴニズム、例えば、天然のアンタゴニスト活性、又は1つ若しくは複数の変異の結果であるアンタゴニスト活性であり、これについては、例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第2015/007520号を参照されたい)が達成されることになるが、阻害関連副作用に関連する可能性がある他の受容体サブタイプには関係しない。したがって、身体のすべての種類の細胞においてEGFR活性を阻害するEGFRキナーゼ阻害剤とは対照的に、そのようなコンストラクトは副作用が低減された細胞(例えば、受容体の増幅、過剰発現などのためにEGFRシグナル伝達が活性化されている腫瘍細胞)選択的抗EGFR(ErbB1)薬作用を提供することになる。
【0216】
いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、ErbB4及び/又は相互作用し得る他のサブタイプに対する親和性及び/又は活性が低下している(例えばアゴニスト活性)。標的化部分を介した特定の標的細胞への標的化により、ErbB1シグナル伝達の(例えば、上皮細胞)選択的活性化が達成される。いくつかの実施形態では、そのようなコンストラクトは、副作用が減少した(創傷治癒を促進する)創傷の治療、特に慢性状態の治療、及び治療薬の局所適用以外の適用(例えば、全身創傷治癒)に使用される。
【0217】
ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、インスリン又はインスリン類似体である。いくつかの実施形態では、改変型インスリン又はインスリン類似体は、インスリン受容体及び/又はIGF1受容体若しくはIGF2受容体に対する親和性及び/又は活性が低下している。いくつかの実施形態では、改変型インスリン又はインスリン類似体は、インスリン受容体及び/又はIGF1受容体若しくはIGF2受容体に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。インスリン受容体における応答の減弱によって、糖尿病、肥満、代謝障害などの管理が可能になり、一方でIGF1受容体又はIGF2受容体から離すことによってがん促進作用が回避される。
【0218】
ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、インスリン様成長因子-I又はインスリン様成長因子-II(IGF-1又はIGF-2)である。ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質はIGF-1である。前記実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、インスリン受容体及び/又はIGF1受容体に対する親和性及び/又は活性が低下している。ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質IGF1受容体に結合し、その受容体の活性をアンタゴナイズし得る。前記実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、IGF1受容体に対する親和性及び/又は活性が低下しており、それによってその受容体の活性が減弱されるようにアンタゴナイズされる。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、インスリン受容体及び/又はIGF1受容体に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質のIGF2受容体に対する親和性及び/又は活性が低下していることでその受容体の活性が減弱されるようにアンタゴナイズされる。ある実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、インスリン受容体に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されており、したがってインスリンシグナル伝達に干渉しない。様々な実施形態においてこれはがんの治療に適用される。様々な実施形態において、本開示の作用物質は、IRアイソフォームAががん治療に対して耐性となることを防止する。
【0219】
いくつかの実施形態では、改変型シグナル伝達物質は、EPOである。様々な実施形態において、改変型EPO作用物質は、野生型EPO又は本明細書に記載される他のEPOに基づいた作用物質と比べて、EPO受容体(EPOR)受容体及び/又はエフリン受容体(EphR)に対する親和性及び/又は活性が低下している。いくつかの実施形態では、改変型EPO作用物質は、EPO受容体(EPOR)受容体及び/又はEph受容体(EphR)に対する親和性及び/又は活性が実質的に低下しているか又は除去されている。EPO受容体の例としては、EPORホモ二量体又はEPOR/CD131ヘテロ二量体が挙げられるがこれらに限定されない。ベータ共通受容体(βcR)もEPO受容体として挙げられる。Eph受容体の例としては、EPHA1、EPHA2、EPHA3、EPHA4、EPHA5、EPHA6、EPHA7、EPHA8、EPHA9、EPHA10、EPHB1、EPHB2、EPHB3、EPHB4、EPHB5、及びEPHB6が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、改変型EPOタンパク質は、EPOタンパク質が1種類又は複数種類のEPO受容体又はEph受容体を含む受容体(例えば、EPOR-EPHB4、EPOR-βcR-EPORを非限定的な例として含むヘテロ二量体、ヘテロ三量体)に対する親和性が低下している原因となる、1つ又は複数の変異を含む。内容全体が参照により本明細書に取り込まれる欧州特許出願公開第2492355号の受容体も提示され、NEPORが非限定的な例として挙げられる。
【0220】
いくつかの実施形態では、ヒトEPOは配列番号67のアミノ酸配列を有する(最初の27アミノ酸はシグナルペプチドである)。
【0221】
いくつかの実施形態では、ヒトEPOタンパク質は、配列番号68の配列を有する166アミノ酸残基からなる糖タンパク質である成熟型の(シグナルペプチドが切除されている)EPOである。
【0222】
ヒトEPOタンパク質の構造は、ヘリックスA、ヘリックスB、ヘリックスC、及びヘリックスDを含む4ヘリックスバンドルを含むと予想される。様々な実施形態において、改変型EPOタンパク質は、生物活性にとって重要であるEPOタンパク質の4つの領域、すなわち10~20番目、44~51番目、96~108番目、及び142~156番目のアミノ酸残基内に位置する1つ又は複数の変異を含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の変異は、11~15番目、44~51番目、100~108番目、及び147~151番目の残基に位置する。これらの残基は、ヘリックスA(Val11、Arg14、及びTyr15)、ヘリックスC(Ser100、Arg103、Ser104、及びLeu108)、ヘリックスD(Asn147、Arg150、Gly151、及びLeu155)、及びA/B接続ループ(42~51番目mp残基)に局在する。いくつかの実施形態では、改変型EPOタンパク質は、41~52番目のアミノ酸の間の残基、並びに147番目、150番目、151番目、及び155番目のアミノ酸に変異を含む。理論に捉われることを望むものではないが、これらの残基の変異は、受容体結合及びin vitro生物活性の両方に対してかなりの効果を有すると考えられている。いくつかの実施形態では、改変型EPOタンパク質は、11番目、14番目、15番目、100番目、103番目、104番目、及び108番目の残基に変異を含む。理論に捉われることを望むものではないが、これらの残基の変異は、受容体結合活性に対して適度な効果を有し、in vitro生物活性に対してより大きな効果を有すると考えられている。置換の例としては、Val11Ser、Arg14Ala、Arg14Gln、Tyr15Ile、Pro42Asn、Thr44Ile、Lys45Asp、Val46Ala、Tyr51Phe、Ser100Glu、Ser100Thr、Arg103Ala、Ser104Ile、Ser104Ala、Leu108Lys、Asn147Lys、Arg150Ala、Gly151Ala、及びLeu155Alaのうちの1つ又は複数が挙げられるがこれらに限定されない。
【0223】
いくつかの実施形態では、改変型EPOタンパク質は、生物活性をもたらすが結合はもたらさない変異、例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれるEliot,et al.、Mapping of the Active Site of Recombinant Human Erythropoietin、1997年1月15日、Blood、89(2)に記載される変異を含む。
【0224】
いくつかの実施形態では、改変型EPOタンパク質は、受容体との接触に関与するEPOタンパク質の表面残基に関係する1つ又は複数の変異を含む。理論に捉われることを望むものではないが、これらの表面残基の変異はタンパク質フォールディングに影響する可能性が低く、したがって生物活性がいくらか保持されると考えられている。変異導入可能な表面残基の例としては、147番目及び150番目の残基が挙げられるがこれらに限定されない。例示的な実施形態では、変異は置換であり、N147A、N147K、R150A、及びR150Eのうちの1つ又は複数が含まれる。
【0225】
いくつかの実施形態では、改変型EPOタンパク質は、残基N59、E62、L67、及びL70における1つ又は複数の変異、及びジスルフィド結合形成に影響する1つ又は複数の変異を含む。理論に捉われることを望むものではないが、これらの変異はフォールディングに影響し、及び/又は埋没した位置に存在すると予測され、したがって間接的に生物活性に影響すると考えられている。
【0226】
ある実施形態では、改変型EPOタンパク質は受容体への結合を著しく低下させるK20E置換を含む。内容全体が参照により本明細書に取り込まれるElliott,et al.、(1997)Blood、89:493-502を参照されたい。
【0227】
本発明のキメラEPOタンパク質に組み込まれ得るその他のEPO変異は、例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれるElliott,et al.、(1997)Blood、89:493-502及び内容全体が参照により本明細書に取り込まれるTaylor,et al.、(2010)PEDS、23(4):251-260に開示されている。
【0228】
ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、(i)SIRP1αに対する標的化部分を有し、且つ(ii)本明細書に記載される改変型又は変異体型シグナル伝達物質のうちのいずれかと共に腫瘍細胞を指向する標的化部分を有する。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、マクロファージ上のSIRP1αを指向する標的化部分、及び腫瘍細胞上のPD-L1又はPD-L2を指向する第2標的化部分を有する。
【0229】
様々な実施形態において、シグナル伝達物質は毒素又は毒性酵素である。いくつかの実施形態では、毒素又は毒性酵素は植物及び細菌に由来する。毒素又は毒性酵素の例としては、ジフテリア毒素、緑膿菌毒素、炭疽毒素、リシン及びサポニンなどのリボソーム不活性化タンパク質(RIP)、モデシン、アブリン、ゲロニン、及びヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質が挙げられるがこれらに限定されない。その他の毒素としては、開示の全体が参照により本明細書に取り込まれるMathew,et al.、(2009)Cancer Sci、100(8):1359-65に開示される毒素が挙げられる。前記実施形態では、本発明のキメラタンパク質は細胞種特異的に細胞死を誘導するために利用され得る。前記実施形態では、毒素は、本明細書中の他のシグナル伝達物質について記載されるように、効果を減弱させるためにその毒素の親和性及び/又は活性を低下させるために改変、例えば変異導入され得る。
【0230】
シグナル伝達物質との多重特異性キメラ及び融合体
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、本明細書に記載される1種類又は複数種類のシグナル伝達物質及び/又は(すなわち、SIRP1αに対する、標的化部分に加えて)1つ又は複数の追加標的化部分を含む。よって、本発明は、1種類又は複数種類のシグナル伝達物質、SIRP1αに対する標的化部分、及び/又は1つ又は複数の追加標的化部分を含むキメラ又は融合タンパク質を提供する。
【0231】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、(例えば、シナプスを作成するために)2つの異なる細胞を標的とする標的化部分、又は(例えば、より集中したシグナル伝達物質作用を得るために)同一の細胞を標的とする標的化部分を有する。
【0232】
様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は多重特異性であり、すなわち、前記キメラタンパク質は2種類以上の標的(例えば、抗原、又は受容体、又はエピトープ)を認識して結合する認識ドメイン(例えば、抗原認識ドメイン)を有する2つ以上の標的化部分を含む。前記実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、同一の抗原上、異なる抗原上、又は異なる受容体上の2種類以上のエピトープを認識して結合する認識ドメインを有する2つ以上の標的化部分を含み得る。様々な実施形態において、そのような多重特異性キメラタンパク質は、結合力の増大及び/又は選択性の改善などの有利な特性を示す。ある実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、2つの標的化部分を含み、二特異性であり、すなわち、同一の抗原上、異なる抗原上、又は異なる受容体上の2種類のエピトープに認識して結合する。
【0233】
様々な実施形態において、本発明の多重特異性キメラタンパク質は、それぞれが本明細書に記載されるような抗体又は抗体誘導体である2つ以上の標的化部分を含む。例示的な実施形態では、本発明の多重特異性キメラタンパク質は、SIRP1αに対する抗原認識ドメインを含む少なくとも1種類の抗体又は抗体誘導体(例えば、VHH)、及び腫瘍抗原に対する認識ドメインを含む1種類の抗体又は抗体誘導体を含む。
【0234】
様々な実施形態において、本開示の多重特異性キメラタンパク質は、異なる抗原又は受容体を標的とする2つ以上の標的化部分を有し、1つの標的化部分はその抗原又は受容体に対して減弱されていてもよく、例えば、標的化部分はその抗原又は受容体に低い親和性又は結合力で結合する(例えば、その他の標的化部分がその抗原又は受容体について有している親和性又は結合力よりも低い親和性又は結合力を含み、例えば結合親和性の間の差が、約10倍、25倍、50倍、100倍、300倍、500倍、1000倍、又は5000倍であり得る。例えば、親和性又は結合力が低い標的化部分は、中~高nM範囲又は低~中μM範囲のKでその抗原又は受容体に結合し得るが、一方で親和性又は結合力が高い標的化部分は、中~高pM範囲又は低~中nM範囲のKでその抗原又は受容体に結合し得る)。例えば、いくつかの実施形態では、本開示の多重特異性キメラタンパク質は、無差別な(promiscuous)抗原又は受容体を指向する減弱された標的化部分を含み、これにより(例えば、その他の標的化部分を介した)目的の細胞への標的化が改善され、且つ、(例えば、これらの実施形態においてもたらされる親和性よりも高い親和性で無差別な抗原又は受容体に結合することによって)治療の標的とされない細胞を含む複数の種類の細胞にわたる作用が防止され得る。
【0235】
本発明の多重特異性キメラタンパク質は、当技術分野において知られている方法を用いて構築可能である。例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる米国特許第9,067,991号、米国特許出願公開第2011/0262348号、及び国際公開第2004/041862号を参照されたい。例示的な実施形態では、2つ以上の標的化部分を含む本発明の多重特異性キメラタンパク質は、例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれるBlattler,et al.、Biochemistry、24、1517-1524及び欧州特許第294703号に記載されるように、アミノ酸残基を有機誘導体化剤と反応させることによる化学架橋によって構築可能である。別の例示的な実施形態では、2つ以上の標的化部分を含む、多重特異性キメラタンパク質は遺伝子融合により、すなわちそれらの個々の標的化部分のポリペプチドを含む単一ポリペプチドを構築することにより構築される。例えば、SIRP1αに対する抗原認識ドメインを有する第一の抗体又は抗体誘導体(例えば、VHH)及び腫瘍抗原に対する認識ドメインを有する第二の抗体又は抗体誘導体をコードする単一ポリペプチドコンストラクトを形成可能である。二価又は多価のVHHポリペプチドコンストラクトを作製するための方法は、その文献の内容全体が参照により本明細書に取り込まれるPCT特許出願国際公開第96/34103号に開示されている。その他の例示的な実施形態では、本発明の多重特異性キメラタンパク質は、リンカーの使用により構築可能である。例えば、SIRP1αに対する抗原認識ドメインを有する第一の抗体又は抗体誘導体(例えば、VHH)のカルボキシ末端を腫瘍抗原に対する認識ドメインを有する第二の抗体又は抗体誘導体のアミノ末端に連結(又はその逆)してもよい。使用可能なリンカーの例は本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、本発明の多重特異性キメラタンパク質の構成要素は、リンカーを使用せずに直接的に相互に連結される。
【0236】
様々な実施形態において、本発明の多重特異性キメラタンパク質は、SIRP1α及び1種類又は複数種類の免疫細胞上に見られる1種類又は複数種類の抗原を認識して結合する。免疫細胞としては、これらに限定されないが、巨核球、血小板、赤血球、肥満細胞、好塩基球、好中球、好酸球、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、Tリンパ球(例えば、細胞傷害性Tリンパ球、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞)、Bリンパ球、形質細胞、樹状細胞、又はそれらのサブセットが挙げられ得る。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、目的の抗原に特異的に結合し、効果的に1種類又は複数種類の免疫細胞を直接的又は間接的に動員する。
【0237】
様々な実施形態において、本発明の多重特異性キメラタンパク質は、SIRP1α及び腫瘍細胞上に見られる1種類又は複数種類の抗原を認識して結合する。これらの実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、免疫細胞(例えば、マクロファージ)を腫瘍細胞又は腫瘍微小環境へ直接的又は間接的に動員し得る。前記実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、マクロファージによる腫瘍細胞の貪食を促進する。
【0238】
いくつかの実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、腫瘍の免疫攻撃に有利である免疫細胞のバランスを変化させることができ、又はそのような変化を伴う方法において使用することができる。例えば、本開示のキメラタンパク質は、腫瘍を死滅させ得る及び/又は抑制し得る細胞(例えば、抗腫瘍性マクロファージ(例えばM1マクロファージ)、T細胞、細胞傷害性Tリンパ球、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、B細胞、及び樹状細胞)に有利であり、且つ、腫瘍を防護する細胞(例えば、骨髄性抑制細胞(MDSC)、制御性T細胞(Treg)、腫瘍関連好中球(TAN)、M2マクロファージ、腫瘍関連マクロファージ(TAM)、又はそれらのサブセット)に抵抗するように、免疫細胞の比率を臨床的に重要な部位において変化させることができる。いくつかの実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、制御性T細胞に対するエフェクターT細胞の比率を増加させることができる。
【0239】
いくつかの実施形態では、本発明の多重特異性キメラタンパク質は、腫瘍細胞に関連する標的(例えば、抗原又は受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、腫瘍細胞を直接的又は間接的に動員する。例えば、いくつかの実施形態では、腫瘍細胞の動員は、腫瘍細胞を貪食する、死滅させる、及び/又は抑制することができる1種類又は複数種類のエフェクター細胞(例えば、マクロファージ)への動員である。
【0240】
腫瘍細胞又はがん細胞は、身体の器官及び系の正常な機能に干渉する細胞又は組織の無制御増殖、及び/又は細胞生存の異常増加、及び/又はアポトーシスの抑制に関連する。例えば、腫瘍細胞には良性及び悪性のがん、ポリープ、過形成、並びに休眠腫瘍又は微小転移巣が含まれる。腫瘍細胞の例としては、基底細胞がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん、脳及び中枢神経系のがん、乳がん、腹膜がん、子宮頸部がん、絨毛癌、大腸がん、結合組織がん、消化器がん、子宮内膜がん、食道がん、眼のがん、頭頚部がん、胃がん(胃腸がんを含む)、神経膠芽腫、肝細胞癌、肝癌、上皮内新生物、腎臓がん、喉頭がん、白血病、肝臓がん、肺がん(例えば小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔がん(口唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸がん、呼吸器がん、唾腺癌、肉腫、皮膚がん、扁平上皮がん、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮又は子宮内膜のがん、泌尿器がん、外陰がん、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫並びにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、及びワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症を含む)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病、並びに他の癌及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、並びに母斑症に関連する異常血管増殖、浮腫(例えば脳腫瘍に関連する浮腫)、及びメグズ症候群の細胞が挙げられるがこれらに限定されない。
【0241】
腫瘍細胞又はがん細胞としては、これらに限定されないが、癌、(例えば、腺癌、基底細胞癌、扁平上皮癌、及び移行上皮癌を含む様々なサブタイプ)、肉腫(例えば、骨肉腫及び軟組織肉腫を含む)、白血病(例えば、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、及び有毛細胞白血病を含む)、リンパ腫及び骨髄腫(例えば、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、軽鎖骨髄腫、非分泌型骨髄腫、MGUS、及び形質細胞腫を含む)、及び中枢神経系がん(例えば、脳がん(例えば、神経膠腫(例えば、星状細胞腫、希突起神経膠腫、及び上衣腫)、髄膜腫、下垂体腺腫、及び神経腫)、及び脊髄腫瘍(例えば、髄膜腫及び神経繊維腫))が挙げられる。
【0242】
腫瘍抗原の例としては、MART-1/メランA、gp100、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)、アデノシンデアミナーゼ結合タンパク質(ADAbp)、シクロフィリンb、大腸がん関連抗原(CRC)-0017-1A/GA733、癌胎児性抗原(CEA)及びその免疫原性エピトープであるCAP-1及びCAP-2、etv6、aml1、前立腺特異的抗原(PSA)及びその免疫原性エピトープであるPSA-1、PSA-2、及びPSA-3、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、T細胞受容体/CD3ζ鎖、MAGEファミリー腫瘍抗原(例えば、MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A5、MAGE-A6、MAGE-A7、MAGE-A8、MAGE-A9、MAGE-A10、MAGE-A11、MAGE-A12、MAGE-Xp2(MAGE-B2)、MAGE-Xp3(MAGE-B3)、MAGE-Xp4(MAGE-B4)、MAGE-C1、MAGE-C2、MAGE-C3、MAGE-C4、MAGE-C5)、GAGEファミリー腫瘍抗原(例えば、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、GAGE-8、GAGE-9)、BAGE、RAGE、LAGE-1、NAG、GnT-V、MUM-1、CDK4、チロシナーゼ、p53、MUCファミリー、HER2/neu、p21ras、RCAS1、α-フェトプロテイン、E-カドヘリン、α-カテニン、β-カテニン及びγ-カテニン、p120ctn、gp100 Pmel117、PRAME、NY-ESO-1、cdc27、大腸腺腫症タンパク質(APC)、フォドリン、コネキシン37、Igイディオタイプ、p15、gp75、GM2ガングリオシド及びGD2ガングリオシド、ヒトパピローマウイルスタンパク質などのウイルス産物、Smadファミリー腫瘍抗原、lmp-1、NA、EBVコード核内抗原(EBNA)-1、脳グリコーゲンホスホリラーゼ、SSX-1、SSX-2(HOM-MEL-40)、SSX-1、SSX-4、SSX-5、SCP-1CT-7、c-erbB-2、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD37、CD56、CD70、CD74、CD138、AGS16、MUC1、GPNMB、Ep-CAM、PD-L1、PD-L2、PMSA、及びBCMA(TNFRSF17)が挙げられるがこれらに限定されない。様々な実施形態において、キメラタンパク質は、これらの腫瘍抗原のうちの1つ又は複数に結合する標的化部分を含む。
【0243】
いくつかの実施形態では、本開示の多重特異性キメラタンパク質は、腫瘍細胞上の抗原だけではなくSIRP1αも認識して結合する。いくつかの実施形態では、多重特異性キメラタンパク質は、マクロファージを腫瘍細胞又は腫瘍微小環境へ直接的又は間接的に動員する。
【0244】
いくつかの実施形態では、本発明の多重特異性キメラタンパク質は、T細胞に関連する標的(例えば、抗原又は受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、T細胞を直接的又は間接的に動員する。ある実施形態では、抗原認識ドメインはエフェクターT細胞に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗原認識ドメインは、エフェクターT細胞を直接的又は間接的に動員し、例えばいくつかの実施形態では、治療部位(例えば、1種類又は複数種類の疾患細胞又は治療効果が調整される細胞を含む場所)へ動員する。エフェクターT細胞の例としては、細胞傷害性T細胞(例えばαβTCR、CD3、CD8、CD45RO)、CD4エフェクターT細胞(例えばαβTCR、CD3、CD4、CCR7、CD62Lhi、IL7R/CD127);CD8エフェクターT細胞(例えばαβTCR、CD3、CD8、CCR7、CD62Lhi、IL7R/CD127);エフェクターメモリーT細胞(例えばCD62Llow、CD44、TCR、CD3、IL7R/CD127、IL-15R、CCR7low);セントラルメモリーT細胞(例えばCCR7、CD62L、CD27、又はCCR7hi、CD44、CD62Lhi、TCR、CD3、IL-7R/CD127、IL-15R);CD62LエフェクターT細胞;初期エフェクターメモリーT細胞(CD27CD62L)及び後期エフェクターメモリーT細胞(CD27CD62L)(それぞれTemE及びTemL)を含むCD8エフェクターメモリーT細胞(TEM)、CD127()CD25(low/-)エフェクターT細胞;CD127()CD25()エフェクターT細胞;CD8幹細胞メモリーエフェクター細胞(TSCM)(例えばCD44(low)CD62L(high)CD122(high)sca());TH1エフェクターT細胞(例えばCXCR3、CXCR6及びCCR5、又はαβTCR、CD3、CD4、IL-12R、IFNγR、CXCR3);TH2エフェクターT細胞(例えばCCR3、CCR4及びCCR8、又はαβTCR、CD3、CD4、IL-4R、IL-33R、CCR4、IL-17RB、CRTH2);TH9エフェクターT細胞(例えばαβTCR、CD3、CD4);TH17エフェクターT細胞(例えばαβTCR、CD3、CD4、IL-23R、CCR6、IL-1R);CD4CD45ROCCR7エフェクターT細胞、ICOSエフェクターT細胞;CD4CD45ROCCR7()エフェクターT細胞;並びにIL-2、IL-4及び/又はIFN-γを分泌するエフェクターT細胞が挙げられる。
【0245】
目的のT細胞抗原(及び、適用可能な場合は細胞外ドメインも含まれる)の例としては、例えば、CD8、CD3、SLAMF4、IL-2Rα、4-1BB/TNFRSF9、IL-2Rβ、ALCAM、B7-1、IL-4R、B7-H3、BLAME/SLAMFS、CEACAM1、IL-6R、CCR3、IL-7Rα、CCR4、CXCR1/IL-SRA、CCR5、CCR6、IL-10Rα、CCR7、IL-10Rβ、CCRS、IL-12Rβ1、CCR9、IL-12Rβ2、CD2、IL-13Rα1、IL-13、CD3、CD4、ILT2/CDS5j、ILT3/CDS5k、ILT4/CDS5d、ILT5/CDS5a、インテグリンα4/CD49d、CDS、インテグリンαE/CD103、CD6、インテグリンαM/CD11b、CDS、インテグリンαX/CD11c、インテグリンβ2/CDlS、KIR/CD15S、CD27/TNFRSF7、KIR2DL1、CD2S、KIR2DL3、CD30/TNFRSFS、KIR2DL4/CD15Sd、CD31/PECAM-1、KIR2DS4、CD40リガンド/TNFSF5、LAG-3、CD43、LAIR1、CD45、LAIR2、CDS3、ロイコトリエンB4-R1、CDS4/SLAMF5、NCAM-L1、CD94、NKG2A、CD97、NKG2C、CD229/SLAMF3、NKG2D、CD2F-10/SLAMF9、NT-4、CD69、NTB-A/SLAMF6、共通γ鎖/IL-2Rγ、オステオポンチン、CRACC/SLAMF7、PD-1、CRTAM、PSGL-1、CTLA-4、RANK/TNFRSF11A、CX3CR1、CX3CL1、L-セレクチン、CXCR3、SIRPβ1、CXCR4、SLAM、CXCR6、TCCR/WSX-1、DNAM-1、サイモポエチン、EMMPRIN/CD147、TIM-1、EphB6、TIM-2、Fas/TNFRSF6、TIM-3、Fasリガンド/TNFSF6、TIM-4、FcγRIII/CD16、TIM-6、TNFR1/TNFRSF1A、グラニュライシン、TNFRIII/TNFRSF1B、TRAIL R1/TNFRSF10A、ICAM-1/CD54、TRAIL R2/TNFRSF10B、ICAM-2/CD102、TRAILR3/TNFRSF10C、IFN-γR1、TRAILR4/TNFRSF10D、IFN-γR2、TSLP、IL-1R1、及びTSLP Rが挙げられる。様々な実施形態において、キメラタンパク質は、これらのT細胞抗原の例うちの1つ又は複数に結合する標的化部分を含む。
【0246】
非限定的な例として、様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質は、T細胞上に発現するチェックポイントマーカー、例えばPD-1、CD28、CTLA4、ICOS、BTLA、KIR、LAG3、CD137、OX40、CD27、CD40L、TIM3、及びA2aRのうちの1つ又は複数を指向する標的化部分を有する。
【0247】
いくつかの実施形態では、本発明の多重特異性キメラタンパク質は、B細胞に関連する標的(例えば、抗原又は受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、B細胞を直接的又は間接的に動員し、例えば、いくつかの実施形態では、治療部位(例えば、1種類又は複数種類の疾患細胞又は治療効果が調整される細胞を含む場所)へ動員する。目的のB細胞抗原の例としては、例えば、CD10、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD37、CD38、CD39、CD40、CD72、CD73、CD74、CDw75、CDw76、CD77、CD78、CD79a/b、CD80、CD81、CD82、CD83、CD84、CD85、CD86、CD89、CD98、CD126、CD127、CDw130、CD138、及びCDw150が含まれる。様々な実施形態において、キメラタンパク質は、これらのB細胞抗原の例のうちの1つ又は複数に結合する標的化部分を含む。
【0248】
いくつかの実施形態では、本発明の多重特異性キメラタンパク質は、ナチュラルキラー細胞に関連する標的(例えば、抗原又は受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、ナチュラルキラー細胞を直接的又は間接的に動員し、例えば、いくつかの実施形態では、治療部位(例えば、1種類又は複数種類の疾患細胞又は治療効果が調整される細胞を含む場所)へ動員する。目的のナチュラルキラー細胞抗原の例としては、例えば、TIGIT、2B4/SLAMF4、KIR2DS4、CD155/PVR、KIR3DL1、CD94、LMIR1/CD300A、CD69、LMIR2/CD300c、CRACC/SLAMF7、LMIR3/CD300LF、Kir1α、DNAM-1、LMIR5/CD300LB、Fc-εRII、LMIR6/CD300LE、Fc-γR1/CD64、MICA、Fc-γRIIB/CD32b、MICB、Fc-γRIIC/CD32c、MULT-1、Fc-γRIIA/CD32a、ネクチン-2/CD112、Fc-γRIII/CD16、NKG2A、FcRH1/IRTA5、NKG2C、FcRH2/IRTA4、NKG2D、FcRH4/IRTA1、NKp30、FcRH5/IRTA2、NKp44、Fc受容体様分子3/CD16-2、NKp46/NCR1、NKp80/KLRF1、NTB-A/SLAMF6、Rae-1、Rae-1α、Rae-1β、Rae-1δ、H60、Rae-1ε、ILT2/CD85j、Rae-1γ、ILT3/CD85k、TREM-1、ILT4/CD85d、TREM-2、ILT5/CD85a、TREM-3、KIR/CD158、TREML1/TLT-1、KIR2DL1、ULBP-1、KIR2DL3、ULBP-2、KIR2DL4/CD158d、及びULBP-3が挙げられる。様々な実施形態において、キメラタンパク質は、これらのNK細胞抗原の例のうちの1つ又は複数に結合する標的化部分を含む。
【0249】
いくつかの実施形態では、本発明の多重特異性キメラタンパク質は、マクロファージ/単球に関連する標的(例えば、抗原又は受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、マクロファージ/単球を直接的又は間接的に動員し、例えば、いくつかの実施形態では、治療部位(例えば、1種類又は複数種類の疾患細胞又は治療効果が調整される細胞を含む場所)へ動員する。目的のマクロファージ/単球抗原の例としては、例えば、SIRP1a、B7-1/CD80、ILT4/CD85d、B7-H1、ILT5/CD85a、共通β鎖、インテグリンα4/CD49d、BLAME/SLAMF8、インテグリンαX/CD11c、CCL6/C10、インテグリンβ2/CD18、CD155/PVR、インテグリンβ3/CD61、CD31/PECAM-1、ラテキシン(Latexin)、CD36/SR-B3、ロイコトリエンB4R1、CD40/TNFRSF5、LIMPIIISR-B2、CD43、LMIR1/CD300A、CD45、LMIR2/CD300c、CD68、LMIR3/CD300LF、CD84/SLAMF5、LMIR5/CD300LB、CD97、LMIR6/CD300LE、CD163、LRP-1、CD2F-10/SLAMF9、MARCO、CRACC/SLAMF7、MD-1、ECF-L、MD-2、EMMPRIN/CD147、MGL2、エンドグリン/CD105、オステオアクチビン/GPNMB、Fc-γRI/CD64、オステオポンチン、Fc-γRIIB/CD32b、PD-L2、Fc-γRIIC/CD32c、シグレック-3/CD33、Fc-γRIIA/CD32a、SIGNR1/CD209、Fc-γRIII/CD16、SLAM、GM-CSF Rα、TCCR/WSX-1、ICAM-2/CD102、TLR3、IFN-γR1、TLR4、IFN-γR2、TREM-1、IL-1RII、TREM-2、ILT2/CD85j、TREM-3、ILT3/CD85k、TREML1/TLT-1、2B4/SLAMF4、IL-10Rα、ALCAM、IL-10Rβ、アミノペプチダーゼN/ANPEP、ILT2/CD85j、共通β鎖、ILT3/CD85k、C1qR1/CD93、ILT4/CD85d、CCR1、ILT5/CD85a、CCR2、CD206、インテグリンα4/CD49d、CCR5、インテグリンαM/CD11b、CCR8、インテグリンαX/CD11c、CD155/PVR、インテグリンβ2/CD18、CD14、インテグリンβ3/CD61、CD36/SR-B3、LAIR1、CD43、LAIR2、CD45、ロイコトリエンB4-R1、CD68、LIMPIIISR-B2、CD84/SLAMF5、LMIR1/CD300A、CD97、LMIR2/CD300c、CD163、LMIR3/CD300LF、凝固因子III/組織因子、LMIR5/CD300LB、CX3CR1、CX3CL1、LMIR6/CD300LE、CXCR4、LRP-1、CXCR6、M-CSF R、DEP-1/CD148、MD-1、DNAM-1、MD-2、EMMPRIN/CD147、MMR、エンドグリン/CD105、NCAM-L1、Fc-γRI/CD64、PSGL-1、Fc-γRIIIICD16、RP105、G-CSF R、L-セレクチン、GM-CSF Rα、シグレック-3/CD33、HVEM/TNFRSF14、SLAM、ICAM-1/CD54、TCCR/WSX-1、ICAM-2/CD102、TREM-1、IL-6R、TREM-2、CXCR1/IL-8RA、TREM-3、及びTREML1/TLT-1が挙げられる。様々な実施形態において、キメラタンパク質は、これらのマクロファージ/単球抗原の例のうちの1つ又は複数に結合する標的化部分を含む。
【0250】
いくつかの実施形態では、本発明の多重特異性キメラタンパク質は、樹状細胞に関連する標的(例えば、抗原又は受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、樹状細胞を直接的又は間接的に動員し、例えば、いくつかの実施形態では、治療部位(例えば、1種類又は複数種類の疾患細胞又は治療効果が調整される細胞を含む場所)へ動員する。目的の樹状細胞抗原の例としては、例えば、CLEC9A、XCR1、RANK、CD36/SRB3、LOX-1/SR-E1、CD68、MARCO、CD163、SR-A1/MSR、CD5L、SREC-1、CL-P1/COLEC12、SREC-II、LIMPIIISRB2、RP105、TLR4、TLR1、TLR5、TLR2、TLR6、TLR3、TLR9、4-IBBリガンド/TNFSF9、IL-12/IL-23 p40、4-アミノ-1、8-ナフタルイミド、ILT2/CD85j、CCL21/6Ckine、ILT3/CD85k、8-オキソ-dG、ILT4/CD85d、8D6A、ILT5/CD85a、A2B5、インテグリンα4/CD49d、Aag、インテグリンβ2/CD18、AMICA、ランゲリン、B7-2/CD86、ロイコトリエンB4R1、B7-H3、LMIR1/CD300A、BLAME/SLAMF8、LMIR2/CD300c、C1qR1/CD93、LMIR3/CD300LF、CCR6、LMIR5/CD300LB CCR7、LMIR6/CD300LE、CD40/TNFRSF5、MAG/シグレック-4-a、CD43、MCAM、CD45、MD-1、CD68、MD-2、CD83、MDL-1/CLEC5A、CD84/SLAMF5、MMR、CD97、NCAML1、CD2F-10/SLAMF9、オステオアクチビンGPNMB、Chern23、PD-L2、CLEC-1、RP105、CLEC-2、CLEC-8、シグレック-2/CD22、CRACC/SLAMF7、シグレック-3/CD33、DC-SIGN、DCE205、シグレック-5、DC-SIGNR/CD299、シグレック-6、DCAR、シグレック-7、DCIR/CLEC4A、シグレック-9、DEC-205、シグレック-10、デクチン-1/CLEC7A、シグレック-F、デクチン-2/CLEC6A、SIGNR1/CD209、DEP-1/CD148、SIGNR4、DLEC、SLAM、EMMPRIN/CD147、TCCR/WSX-1、Fc-γR1/CD64、TLR3、Fc-γRIIB/CD32b、TREM-1、Fc-γRIIC/CD32c、TREM-2、Fc-γRIIA/CD32a、TREM-3、Fc-γRIII/CD16、TREML1/TLT-1、ICAM-2/CD102、及びバニロイドR1が挙げられる。様々な実施形態において、キメラタンパク質は、これらの例DC抗原の例のうちの1つ又は複数に結合する標的化部分を含む。
【0251】
いくつかの実施形態では、本発明の多重特異性キメラタンパク質は、限定されないが、巨核球、血小板、赤血球、肥満細胞、好塩基球、好中球、好酸球、又はそれらのサブセットから選択される免疫細胞に関連する標的(例えば、抗原又は受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、抗原認識ドメインは、巨核球、血小板、赤血球、肥満細胞、好塩基球、好中球、好酸球、又はそれらのサブセットを直接的又は間接的に動員し、例えば、いくつかの実施形態では、治療部位(例えば、1種類又は複数種類の疾患細胞又は治療効果が調整される細胞を含む場所)へ動員する。
【0252】
いくつかの実施形態では、本発明の多重特異性キメラタンパク質は、巨核球及び/又は血小板に関連する標的(例えば、抗原又は受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。目的の巨核球抗原及び/又は血小板抗原の例としては、例えば、GPIIb/IIIa、GPIb、vWF、PF4、及びTSPが挙げられる。様々な実施形態において、キメラタンパク質はこれらの巨核球及び/又は血小板抗原の例のうちの1つ又は複数に結合する標的化部分を含む。
【0253】
いくつかの実施形態では、本発明の多重特異性キメラタンパク質は、赤血球に関連する標的(例えば、抗原又は受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。目的の赤血球抗原の例としては、例えば、CD34、CD36、CD38、CD41a(血小板糖タンパク質IIb/IIIa)、CD41b(GPIIb)、CD71(トランスフェリン受容体)、CD105、グリコプロテインA、グリコプロテインC、c-kit、HLA-DR、H2(MHC-II)、及びRh抗原が挙げられる。様々な実施形態において、キメラタンパク質は、これらの赤血球抗原の例のうちの1つ又は複数に結合する標的化部分を含む。
【0254】
いくつかの実施形態では、本発明の多重特異性キメラタンパク質は、肥満細胞に関連する標的(例えば、抗原又は受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。目的の肥満細胞抗原の例としては、例えば、SCFR/CD117、FcεRI、CD2、CD25、CD35、CD88、CD203c、C5R1、CMA1、FCER1A、FCER2、TPSAB1が挙げられる。様々な実施形態において、キメラタンパク質は、これらの肥満細胞抗原のうちの1つ又は複数に結合する標的化部分を含む。
【0255】
いくつかの実施形態では、本発明の多重特異性キメラタンパク質は、好塩基球に関連する標的(例えば、抗原又は受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。目的の好塩基球抗原の例としては、例えば、FcεRI、CD203c、CD123、CD13、CD107a、CD107b、及びCD164が挙げられる。様々な実施形態において、キメラタンパク質は、これらの好塩基球抗原のうちの1つ又は複数に結合する標的化部分を含む。
【0256】
いくつかの実施形態では、本発明の多重特異性キメラタンパク質は、好中球に関連する標的(例えば、抗原又は受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。目的の好中球抗原の例としては、例えば、7D5、CD10/CALLA、CD13、CD16(FcRIII)、CD18タンパク質(LFA-1、CR3、及びp150、95)、CD45、CD67、及びCD177が挙げられる。様々な実施形態において、キメラタンパク質は、これらの好中球抗原のうちの1つ又は複数に結合する標的化部分を含む。
【0257】
いくつかの実施形態では、本発明の多重特異性キメラタンパク質は、好酸球に関連する標的(例えば、抗原又は受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。目的の好酸球抗原の例としては、例えば、CD35、CD44、及びCD69が挙げられる。様々な実施形態において、キメラタンパク質は、これらの好酸球抗原のうちの1つ又は複数に結合する標的化部分を含む。
【0258】
様々な実施形態において、本発明の多重特異性キメラタンパク質は、当業者に知られている適切な抗原又は細胞表面マーカーに特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、抗原又は細胞表面マーカーは、組織特異的マーカーである。組織特異的マーカーの例としては、ACE、CD14、CD34、CDH5、ENG、ICAM2、MCAM、NOS3、PECAM1、PROCR、SELE、SELP、TEK、THBD、VCAM1、VWFなどの内皮細胞表面マーカー;ACTA2、MYH10、MYH11、MYH9、MYOCDなどの平滑筋細胞表面マーカー;ALCAM、CD34、COL1A1、COL1A2、COL3A1、FAP、PH-4などの線維芽細胞(間質)細胞表面マーカー;CD1D、K6IRS2、KRT10、KRT13、KRT17、KRT18、KRT19、KRT4、KRT5、KRT8、MUC1、TACSTD1などの上皮細胞表面マーカー;CD13、TFNA、アルファ-vベータ-3(αVβ3)、E-セレクチンなどの血管新生マーカー;及びADIPOQ、FABP4、及びRETNなどの脂肪細胞表面マーカーが挙げられるがこれらに限定されない。様々な実施形態において、キメラタンパク質は、これらの抗原のうちの1つ又は複数に結合する標的化部分を含む。様々な実施形態において、キメラタンパク質の標的化部分は、これらの抗原を有する細胞のうちの1つ又は複数に結合する。
【0259】
様々な実施形態において、本発明の多重特異性キメラタンパク質は、チェックポイントマーカー、例えばPD-1/PD-L1又はPD-L2、CD28/CD80又はCD86、CTLA4/CD80又はCD86、ICOS/ICOSL又はB7RP1、BTLA/HVEM、KIR、LAG3、CD137/CD137L、OX40/OX40L、CD27、CD40L、TIM3/Gal9、及びA2aRのうちの1つ又は複数を指向する1つ又は複数の標的化部分を有する。
【0260】
非限定的な例として、様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質は、(i)T細胞上に発現するチェックポイントマーカー、例えば、PD-1、CD28、CTLA4、ICOS、BTLA、KIR、LAG3、CD137、OX40、Cd27、CD40L、TIM3、及びA2aRのうちの1つ又は複数を指向する標的化部分を有し、且つ(ii)本明細書に記載される改変型(例えば、変異体型)シグナル伝達物質のうちのいずれかと共に腫瘍細胞を指向する標的化部分を有する。
【0261】
様々な実施形態において、本開示の多重特異性キメラタンパク質は、PD-1を指向する1つ又は複数の標的化部分を有する。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、選択的にPD-1ポリペプチドに結合する1つ又は複数の標的化部分を有する。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、PD-1ポリペプチドに選択的に結合する1つ又は複数の抗体、抗体誘導体若しくは抗体フォーマット、ペプチド若しくはポリペプチド、又は融合タンパク質を含む。
【0262】
ある実施形態では、標的化部分は、抗PD-1抗体であるペムブロリズマブ(MK-3475、キイトルーダとしても知られる)又はその断片を含む。ペムブロリズマブ及び他のヒト化抗PD-1抗体は、Hamid,et al.、(2013)New England Journal of Medicine、369(2):pp.134-44、米国特許第8,354,509号、及び国際公開第2009/114335号に開示されており、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、ペムブロリズマブ、又は本明細書に記載される方法に使用するための抗原結合断片は、配列番号69のアミノ酸配列を含む重鎖、及び/又は配列番号70のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0263】
ある実施形態では、標的化部分は、抗PD-1抗体であるニボルマブ(BMS-936558、MDX-1106、ONO-4538、OPDIVOとしても知られる)又はその断片を含む。ニボルマブ(クローン5C4)、及びPD-1に特異的に結合する他のヒトモノクローナル抗体は、米国特許第8,008,449号及び国際公開第2006/121168号に開示されており、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、ニボルマブ又はその抗原結合断片は、配列番号71のアミノ酸配列を含む重鎖、及び/又は配列番号72のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0264】
ある実施形態では、標的化部分は、抗PD-1抗体であるピディリズマブ(CT-011、hBAT又はhBAT-1としても知られる)又はその断片を含む。ピディリズマブ及び他のヒト化抗PD-Iモノクローナル抗体は、米国特許出願公開第2008/0025980号及び国際公開第2009/101611号に開示されており、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態ではこの抗PD-1抗体、又は本明細書に記載される方法に使用するためのその抗原結合断片は米国特許出願公開第2008/0025980号の配列番号15~18(米国特許出願公開第2008/0025980号の配列番号15(配列番号73)、米国特許出願公開第2008/0025980号の配列番号16(配列番号74)、米国特許出願公開第2008/0025980号の配列番号17(配列番号75)、及び米国特許出願公開第2008/0025980号の配列番号18(配列番号76))から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、及び/又は米国特許出願公開第2008/0025980号の配列番号20~24(米国特許出願公開第2008/0025980号の配列番号20(配列番号77)、米国特許出願公開第2008/0025980号の配列番号21(配列番号78)、米国特許出願公開第2008/0025980号の配列番号22(配列番号79)、米国特許出願公開第2008/0025980号の配列番号23(配列番号80)、及び米国特許出願公開第2008/0025980号の配列番号24(配列番号81))から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0265】
ある実施形態では、標的化部分は、米国特許出願公開第2008/0025980号の配列番号18を含む軽鎖(配列番号76)及び米国特許出願公開第2008/0025980号の配列番号22を含む重鎖(配列番号79)を含む。
【0266】
ある実施形態では、標的化部分はAMP-514(MEDI-0680としても知られる)を含む。
【0267】
ある実施形態では、標的化部分は、国際公開第2010/027827号及び国際公開第2011/066342号に開示されている、PD-L2-Fc融合タンパク質であるAMP-224を含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。前記実施形態では、標的化部分は、国際公開第2010/027827号の配列番号4を含む標的化ドメイン(配列番号82)、及び/又は国際公開第2010/027827号の配列番号83を含むB7-DC融合タンパク質(配列番号83)を含んでいてもよい。
【0268】
ある実施形態では、標的化部分は、米国特許出願公開第2011/0318373号又は米国特許第8,907,053号に開示されるAUNP12ペプチド又は他のペプチドのいずれかを含む。例えば、標的化部分は、以下の配列(配列番号84)を有するAUNP12(すなわち、米国特許出願公開第2011/0318373号の化合物8又は配列番号49)を含む場合がある。
【化5】
【0269】
ある実施形態では、標的化部分は、米国特許出願公開第2014/0044738号に開示されるような抗PD-1抗体である1E3又はその断片を含み、その文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための1E3又はその抗原結合断片は、配列番号85のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は配列番号86のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0270】
ある実施形態では、標的化部分は、米国特許出願公開第2014/0044738号におい開示されるような抗PD-1抗体である1E8又はその断片を含み、その文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための1E8又はその抗原結合断片は、配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は配列番号88のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0271】
ある実施形態では、標的化部分は、米国特許出願公開第2014/0044738号に開示されるような抗PD-1抗体である1H3又はその断片を含み、その文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための1H3又はその抗原結合断片は、配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は配列番号90のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0272】
ある実施形態では、標的化部分は、例えば米国特許第8,907,065号及び国際公開第2008/071447号に開示されるようなPD-1を指向するVHHを含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、PD-1に対するVHHは、米国特許第8,907,065号の配列番号347~351(米国特許第8,907,065号の配列番号347(配列番号91)、米国特許第8,907,065号の配列番号348(配列番号92)、米国特許第8,907,065号の配列番号349(配列番号93)、米国特許第8,907,065号の配列番号350(配列番号94)、及び米国特許第8,907,065号の配列番号351(配列番号95))を含む。
【0273】
ある実施形態では、標的化部分は、米国特許出願公開第2011/0271358号及び国際公開第2010/036959号に開示されるような抗PD-1抗体のうちのいずれか1つ又はその断片を含み、それらの文献の内容全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための前記抗体又はその抗原結合断片は、米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号25~29(米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号25(配列番号96)、米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号26(配列番号97)、米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号27(配列番号98)、米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号28(配列番号99)、及び米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号29(配列番号100))から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、及び/又は米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号30~33(米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号30(配列番号101)、米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号31(配列番号102)、米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号32(配列番号103)、及び米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号33(配列番号104))から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0274】
様々な実施形態において、本開示の多重特異性キメラタンパク質は、TSR-042(Tesaro社)、REGN2810(Regeneron Pharmaceuticals社)、PDR001(Novartis Pharmaceuticals社)、及びBGB-A317(BeiGene社)から選択される1つ又は複数の抗PD-1抗体又はその抗体断片を含む。
【0275】
様々な実施形態において、本開示の多重特異性キメラタンパク質は、PD-L1を指向する1つ又は複数の標的化部分を有する。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、PD-L1ポリペプチドに選択的に結合する1つ又は複数の標的化部分を有する。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は選択的にPD-L1ポリペプチドに結合する1種類又は複数種類の抗体、抗体誘導体若しくは抗体フォーマット、ペプチド若しくはポリペプチド、又は融合タンパク質を含む。
【0276】
ある実施形態では、標的化部分は、抗PD-L1抗体であるMEDI4736(デュルバルマブとしても知られる)又はその断片を含む。MEDI4736はPD-L1に対して選択的であり、PD-1受容体及びCD80受容体へのPD-L1の結合を阻害する。本明細書に記載される方法に使用するためのMEDI4736及びその抗原結合断片は、重鎖と軽鎖、又は重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含む。MEDI4736の配列は国際公開第2016/06272号に開示されており、その文献の内容全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するためのMEDI4736又はその抗原結合断片は、配列番号105のアミノ酸配列を含む重鎖、及び/又は配列番号106のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0277】
例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するためのMEDI4736又はその抗原結合断片は、国際公開第2016/06272号の配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(配列番号107)、及び/又は国際公開第2016/06272号の配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(配列番号108)を含む。
【0278】
ある実施形態では、標的化部分は、抗PD-L1抗体であるアテゾリズマブ(MPDL3280A、RG7446としても知られる)又はその断片を含む。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するためのアテゾリズマブ又はその抗原結合断片は、配列番号109のアミノ酸配列を含む重鎖、及び/又は配列番号110のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0279】
ある実施形態では、標的化部分は抗PD-L1抗体であるアベルマブ(MSB0010718Cとしても知られる)又はその断片を含む。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するためのアベルマブ又はその抗原結合断片は、配列番号111のアミノ酸配列を含む重鎖、及び/又は配列番号112のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0280】
ある実施形態では、標的化部分は、米国特許出願公開第2013/0309250号及び国際公開第2007/005874号に開示されるような抗PD-L1抗体であるBMS-936559(12A4、MDX-1105としても知られる)又はその断片を含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するためのBMS-936559又はその抗原結合断片は、配列番号113のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は配列番号114のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0281】
ある実施形態では、標的化部分は米、国特許出願公開第2013/0309250号及び国際公開第2007/005874号に開示されるような抗PD-L1抗体である3G10又はその断片を含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための3G10又はその抗原結合断片は、配列番号115のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は配列番号116のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0282】
ある実施形態では、標的化部分は、米国特許出願公開第2013/0309250号及び国際公開第2007/005874号に開示されるような抗PD-L1抗体である10A5又はその断片を含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための10A5又はその抗原結合断片は、配列番号117のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0283】
ある実施形態では、標的化部分は、米国特許出願公開第2013/0309250号及び国際公開第2007/005874号に開示されるような抗PD-L1抗体である5F8又はその断片を含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための5F8又はその抗原結合断片は、配列番号119のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は配列番号120のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0284】
ある実施形態では、標的化部分は、米国特許出願公開第2013/0309250号及び国際公開第2007/005874号に開示されるような抗PD-L1抗体である10H10又はその断片を含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための10H10又はその抗原結合断片は、配列番号121のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は配列番号122のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0285】
ある実施形態では、標的化部分は、米国特許出願公開第2013/0309250号及び国際公開第2007/005874号に開示されるような抗PD-L1抗体である1B12又はその断片を含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための1B12又はその抗原結合断片は、配列番号123のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は配列番号124のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0286】
ある実施形態では、標的化部分は、米国特許出願公開第2013/0309250号及び国際公開第2007/005874号に開示されるような抗PD-L1抗体である7H1又はその断片を含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための7H1又はその抗原結合断片は、配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は配列番号126のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0287】
ある実施形態では、標的化部分は、米国特許出願公開第2013/0309250号及び国際公開第2007/005874号に開示されるような抗PD-L1抗体である11E6又はその断片を含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための11E6又はその抗原結合断片は、配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は配列番号128のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0288】
ある実施形態では、標的化部分は、米国特許出願公開第2013/0309250号及び国際公開第2007/005874号に開示されるような抗PD-L1抗体である12B7又はその断片を含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための12B7又はその抗原結合断片は、配列番号129のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は配列番号130のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0289】
ある実施形態では、標的化部分は、米国特許出願公開第2013/0309250号及び国際公開第2007/005874号に開示されるような抗PD-L1抗体である13G4又はその断片を含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための13G4又はその抗原結合断片は、配列番号131のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は配列番号132のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0290】
ある実施形態では、標的化部分は、米国特許出願公開第2014/0044738号に開示されるような抗PD-L1抗体である1E12又はその断片を含み、その文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための1E12又はその抗原結合断片は、配列番号133のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は配列番号134のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0291】
ある実施形態では、標的化部分は、米国特許出願公開第2014/0044738号に開示されるような抗PD-L1抗体である1F4又はその断片を含み、その文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための1F4又はその抗原結合断片は、配列番号135のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は配列番号136のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0292】
ある実施形態では、標的化部分は、米国特許出願公開第2014/0044738号に開示されるような抗PD-L1抗体である2G11又はその断片を含み、その文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための2G11又はその抗原結合断片は、配列番号137のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は配列番号138のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0293】
ある実施形態では、標的化部分は、米国特許出願公開第2014/0044738号に開示されるような抗PD-L1抗体である3B6又はその断片を含み、その文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための3B6又はその抗原結合断片は、配列番号139のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は配列番号140のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0294】
ある実施形態では、標的化部分は、米国特許出願公開第2014/0044738号及び国際公開第2012/145493号に開示されるような抗PD-L1抗体である3D10又はその断片を含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための3D10又はその抗原結合断片は、配列番号141のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は配列番号142のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0295】
ある実施形態では、標的化部分は、米国特許出願公開第2011/0271358号及び国際公開第2010/036959号に開示されるような抗PD-L1抗体のうちのいずれか1つを含み、それらの文献の内容全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための前記抗体又はその抗原結合断片は、米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号34~38(米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号34(配列番号143)、米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号35(配列番号144)、米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号36(配列番号145)、米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号37(配列番号146)、及び米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号38(配列番号147))から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、及び/又は米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号39~42(米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号39(配列番号148)、米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号40(配列番号149)、米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号41(配列番号150)、及び米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号42(配列番号151))から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0296】
ある実施形態では、標的化部分は、国際公開第2011/066389号、米国特許第8,779,108号、及び米国特許出願公開第2014/0356353号に開示されるような抗PD-L1抗体である2.7A4又はその断片を含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための2.7A4又はその抗原結合断片は、国際公開第2011/066389号の配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(配列番号152)、及び/又は国際公開第2011/066389号の配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(配列番号153)を含む。
【0297】
ある実施形態では、標的化部分は、国際公開第2011/066389号、米国特許第8,779,108号、及び米国特許出願公開第2014/0356353号に開示されるような抗PD-L1抗体である2.9D10又はその断片を含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための2.9D10又はその抗原結合断片は、国際公開第2011/066389号の配列番号12のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(配列番号154)、及び/又は国際公開第2011/066389号の配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(配列番号155)を含む。
【0298】
ある実施形態では、標的化部分は、国際公開第2011/066389号、米国特許第8,779,108号、及び米国特許出願公開第2014/0356353号に開示されるような抗PD-L1抗体である2.14H9又はその断片を含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための2.14H9又はその抗原結合断片は、国際公開第2011/066389号の配列番号22のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(配列番号156)、及び/又は国際公開第2011/066389号の配列番号27のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(配列番号157)を含む。
【0299】
ある実施形態では、標的化部分は、国際公開第2011/066389号、米国特許第8,779,108号、及び米国特許出願公開第2014/0356353号に開示されるような抗PD-L1抗体である2.20A8又はその断片を含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための2.20A8又はその抗原結合断片は、国際公開第2011/066389号の配列番号32のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(配列番号158)、及び/又は国際公開第2011/066389号の配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(配列番号159)を含む。
【0300】
ある実施形態では、標的化部分は、国際公開第2011/066389号、米国特許第8,779,108号、及び米国特許出願公開第2014/0356353号に開示されるような抗PD-L1抗体である3.15G8又はその断片を含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための3.15G8又はその抗原結合断片は、国際公開第2011/066389号の配列番号42のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(配列番号160)、及び/又は国際公開第2011/066389号の配列番号47のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(配列番号161)を含む。
【0301】
ある実施形態では、標的化部分は、国際公開第2011/066389号、米国特許第8,779,108号、及び米国特許出願公開第2014/0356353号に開示されるような抗PD-L1抗体である3.18G1又はその断片を含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための3.18G1又はその抗原結合断片は、国際公開第2011/066389号の配列番号52のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(配列番号162)、及び/又は国際公開第2011/066389号の配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(配列番号163)を含む。
【0302】
ある実施形態では、標的化部分は、国際公開第2011/066389号、米国特許第8,779,108号、及び米国特許出願公開第2014/0356353号、及び米国特許出願公開第2014/0356353号に開示されるような抗PD-L1抗体である2.7A4OPT又はその断片を含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための2.7A4OPT又はその抗原結合断片は、国際公開第2011/066389号の配列番号62のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(配列番号164)、及び/又は国際公開第2011/066389号の配列番号67のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(配列番号165)を含む。
【0303】
ある実施形態では、標的化部分は、国際公開第2011/066389号、米国特許第8,779,108号、及び米国特許出願公開第2014/0356353号に開示されるような抗PD-L1抗体である2.14H9OPT又はその断片を含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための2.14H9OPT又はその抗原結合断片は、国際公開第2011/066389号の配列番号72のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(配列番号166)、及び/又は国際公開第2011/066389号の配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(配列番号167)を含む。
【0304】
ある実施形態では、標的化部分は、国際公開第2016/061142号に開示されるような抗PD-L1抗体のうちのいずれか1つを含み、その文献の内容全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための前記抗体又はその抗原結合断片は、国際公開第2016/061142号の配列番号18、30、38、46、50、54、62、70、及び78(国際公開第2016/061142号の配列番号18(配列番号168)、国際公開第2016/061142号の配列番号30(配列番号169)、国際公開第2016/061142号の配列番号38(配列番号170)、国際公開第2016/061142号の配列番号46(配列番号171)、国際公開第2016/061142号の配列番号50(配列番号172)、国際公開第2016/061142号の配列番号54(配列番号173)、国際公開第2016/061142号の配列番号62(配列番号174)、国際公開第2016/061142号の配列番号70(配列番号175)、及び国際公開第2016/061142号の配列番号78(配列番号176))から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、及び/又は国際公開第2016/061142号の配列番号22、26、34、42、58、66、74、82、及び86(国際公開第2016/061142号の配列番号22(配列番号177)、国際公開第2016/061142号の配列番号26(配列番号178)、国際公開第2016/061142号の配列番号34(配列番号179)、国際公開第2016/061142号の配列番号42(配列番号180)、国際公開第2016/061142号の配列番号58(配列番号181)、国際公開第2016/061142号の配列番号66(配列番号182)、国際公開第2016/061142号の配列番号74(配列番号183)、国際公開第2016/061142号の配列番号82(配列番号184)、及び国際公開第2016/061142号の配列番号86(配列番号185))から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0305】
ある実施形態では、標的化部分は、国際公開第2016/022630号に開示されるような抗PD-L1抗体のうちのいずれか1つを含み、その文献の内容全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための前記抗体又はその抗原結合断片は、国際公開第2016/022630号の配列番号2、6、10、14、18、22、26、30、34、38、42、及び46(国際公開第2016/022630号の配列番号2(配列番号186)、国際公開第2016/022630号の配列番号6(配列番号187)、国際公開第2016/022630号の配列番号10(配列番号188)、国際公開第2016/022630号の配列番号14(配列番号189)、国際公開第2016/022630号の配列番号18(配列番号190)、国際公開第2016/022630号の配列番号22(配列番号191)、国際公開第2016/022630号の配列番号26(配列番号192)、国際公開第2016/022630号の配列番号30(配列番号193)、国際公開第2016/022630号の配列番号34(配列番号194)、国際公開第2016/022630号の配列番号38(配列番号195)、国際公開第2016/022630号の配列番号42(配列番号196)、及び国際公開第2016/022630号の配列番号46(配列番号197))から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、及び/又は国際公開第2016/022630号の配列番号4、8、12、16、20、24、28、32、36、40、44、及び48(国際公開第2016/022630号の配列番号4(配列番号198)、国際公開第2016/022630号の配列番号8(配列番号199)、国際公開第2016/022630号の配列番号12(配列番号200)、国際公開第2016/022630号の配列番号16(配列番号201)、国際公開第2016/022630号の配列番号20(配列番号202)、国際公開第2016/022630号の配列番号24(配列番号203)、国際公開第2016/022630号の配列番号28(配列番号204)、国際公開第2016/022630号の配列番号32(配列番号205)、国際公開第2016/022630号の配列番号36(配列番号206)、国際公開第2016/022630号の配列番号40(配列番号207)、国際公開第2016/022630号の配列番号44(配列番号208)、及び国際公開第2016/022630号の配列番号48(配列番号209))から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0306】
ある実施形態では、標的化部分は、国際公開第2015/112900号に開示されるような抗PD-L1抗体のうちのいずれか1つを含み、その文献の内容全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための前記抗体又はその抗原結合断片は、国際公開第2015/112900号の配列番号38、50、82、及び86(国際公開第2015/112900号の配列番号38(配列番号210)、国際公開第2015/112900号の配列番号50(配列番号211)、国際公開第2015/112900号の配列番号82(配列番号212)、及び国際公開第2015/112900号の配列番号86(配列番号213))から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、及び/又は国際公開第2015/112900号の配列番号42、46、54、58、62、66、70、74、及び78(国際公開第2015/112900号の配列番号42(配列番号214)、国際公開第2015/112900号の配列番号46(配列番号215)、国際公開第2015/112900号の配列番号54(配列番号216)、国際公開第2015/112900号の配列番号58(配列番号217)、国際公開第2015/112900号の配列番号62(配列番号218)、国際公開第2015/112900号の配列番号66(配列番号219)、国際公開第2015/112900号の配列番号70(配列番号220)、国際公開第2015/112900号の配列番号74(配列番号221)、及び国際公開第2015/112900号の配列番号78(配列番号222))から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0307】
ある実施形態では、標的化部分は、国際公開第2010/077634号及び米国特許第8,217,149号に開示されるような抗PD-L1抗体のうちのいずれか1つを含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための前記抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片は、国際公開第2010/077634号の配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖領域(配列番号223)、及び/又は国際公開第2010/077634号の配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(配列番号224)を含む。
【0308】
ある実施形態では、標的化部分は、米国特許出願公開第2012/0039906号に開示されるようなCNCM I-4122、CNCM I-4080、及びCNCM I-4081のCNCM受託番号で入手可能なハイブリドーマから得ることが可能な抗PD-L1抗体のうちのいずれか1つを含み、その文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0309】
ある実施形態では、標的化部分は、例えば米国特許第8,907,065号及び国際公開第2008/071447号に記載されるようなPD-L1に対するVHHを含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、PD-L1に対するVHHには、米国特許第8,907,065号の配列番号394~399(米国特許第8,907,065号の配列番号394(配列番号225)、米国特許第8,907,065号の配列番号395(配列番号226)、米国特許第8,907,065号の配列番号396(配列番号227)、米国特許第8,907,065号の配列番号397(配列番号228)、米国特許第8,907,065号の配列番号398(配列番号229)、及び米国特許第8,907,065号の配列番号399(配列番号230))が含まれる。
【0310】
様々な実施形態において、本開示の多重特異性キメラタンパク質は、PD-L2を指向する1つ又は複数の標的化部分を有する。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、PD-L2ポリペプチドに選択的に結合する1つ又は複数の標的化部分を有する。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、PD-L2ポリペプチドに選択的に結合する1つ又は複数の抗体、抗体誘導体若しくは抗体フォーマット、ペプチド若しくはポリペプチド、又は融合タンパク質を含む。
【0311】
ある実施形態では、標的化部分は、例えば米国特許第8,907,065号及び国際公開第2008/071447号に記載されるようなPD-L2を指向するVHHを含み、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、PD-1に対するVHHは、米国特許第8,907,065号の配列番号449~455(米国特許第8,907,065号の配列番号449(配列番号231)、米国特許第8,907,065号の配列番号450(配列番号232)、米国特許第8,907,065号の配列番号451(配列番号233)、米国特許第8,907,065号の配列番号452(配列番号234)、米国特許第8,907,065号の配列番号453(配列番号235)、米国特許第8,907,065号の配列番号454(配列番号236)、及び米国特許第8,907,065号の配列番号455(配列番号237))を含む。
【0312】
ある実施形態では、標的化部分は、米国特許出願公開第2011/0271358号及び国際公開第2010/036959号に開示される抗PD-L2抗体のうちのいずれか1つを含み、それらの文献の内容全体が参照により本明細書に取り込まれる。例示的な実施形態では、本明細書に記載される方法に使用するための前記抗体又はその抗原結合断片は、米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号43~47(米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号43(配列番号238)、米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号44(配列番号239)、米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号45(配列番号240)、米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号46(配列番号241)、及び米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号47(配列番号242))から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、及び/又は米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号48~51(米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号48(配列番号243)、米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号49(配列番号244)、米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号50(配列番号245)、及び米国特許出願公開第2011/0271358号の配列番号51(配列番号246))から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0313】
様々な実施形態において、本発明の標的化部分は、本明細書に開示される配列のうちのいずれかに対して、少なくとも約60%、少なくとも約61%、少なくとも約62%、少なくとも約63%、少なくとも約64%、少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも約67%、少なくとも約68%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は100%同一である(例えば、本明細書に開示される配列のうちのいずれかと約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約100%の配列が同一である)PD-1、PD-L1、及び/又はPD-L2を標的とする配列を含み得る。
【0314】
様々な実施形態において、本発明の標的化部分は、本明細書に開示されるようなPD-1、PD-L1、及び/又はPD-L2を標的とする、重鎖配列、軽鎖配列、重鎖可変領域配列、軽鎖可変領域配列、相補性決定領域(CDR)配列、及びフレームワーク領域配列の任意の組合せを含み得る。
【0315】
PD-1、PD-L1、及び/又はPD-L2に選択的に結合する又はこれらを標的とするその他の抗体、抗体誘導体若しくは抗体フォーマット、ペプチド若しくはポリペプチド、又は融合タンパク質は、国際公開第2011/066389号、米国特許出願公開第2008/0025980号、米国特許出願公開第2013/0034559号、米国特許第8,779,108号、米国特許出願公開第2014/0356353号、米国特許第8,609,089号、米国特許出願公開第2010/028330号、米国特許出願公開第2012/0114649号、国際公開第2010/027827号、国際公開第2011/066342号、米国特許第8,907,065号、国際公開第2016/062722号、国際公開第2009/101611号、国際公開第2010/027827号、国際公開第2011/066342号、国際公開第2007/005874号、国際公開第2001/014556号、米国特許出願公開第2011/0271358号、国際公開第2010/036959号、国際公開第2010/077634号、米国特許第8217149号、米国特許出願公開第2012/0039906号、国際公開第2012/145493号、米国特許出願公開第2011/0318373号、米国特許第8779108号、米国特許出願公開第2014/0044738号、国際公開第2009/089149号、国際公開第2007/00587号、国際公開第2016/061142号、国際公開第2016/02263号、国際公開第2010/077634号、及び国際公開第2015/112900号に開示されており、それらの文献の開示の全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0316】
いくつかの実施形態では、標的化部分はケモカインなどの天然リガンドである。本発明のキメラタンパク質に含まれ得る例示的なケモカインとしては、CCL1、CCL2、CCL4、CCL5、CCL6、CCL7、CCL8、CCL9、CCL10、CCL11、CCL12、CCL13、CCL14、CCL15、CCL16、CL17、CCL18、CCL19、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CLL25、CCL26、CCL27、CXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL4、CXCL5、CXCL6、CXCL7、CXCL8、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL15、CXCL16、CXCL17、XCL1、XCL2、CX3CL1、HCC-4、及びLDGF-PBPが挙げられるがこれらに限定されない。例示的な実施形態では、標的化部分は、樹状細胞受容体XCR1を認識して結合するケモカインであるXCL1であってもよい。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR8を認識して結合するケモカインであるCCL1である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR2又はCCR9を認識して結合するケモカインであるCCL2である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR1、CCR5、又はCCR9を認識して結合するケモカインであるCCL3である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR1、CCR5、又はCCR9を認識して結合するケモカインであるCCL4である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR1、CCR3、CCR、4又はCCR5を認識して結合するケモカインであるCCL5である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR1を認識して結合するケモカインであるCCL6である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR2又はCCR9を認識して結合するケモカインであるCCL7である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR1、CCR2、CCR2B、CCR5、又はCCR9を認識して結合するケモカインであるCCL8である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR1を認識して結合するケモカインであるCCL9である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR1を認識して結合するケモカインであるCCL10である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR2、CCR3、CCR5、又はCCR9を認識して結合するケモカインであるCCL11である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR2、CCR3、CCR5、又はCCR9を認識して結合するケモカインであるCCL13である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR1又はCCR9を認識して結合するケモカインであるCCL14である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR1又はCCR3を認識して結合するケモカインであるCCL15である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR1、CCR2、CCR5、又はCCR8を認識して結合するケモカインであるCCL16である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR4を認識して結合するケモカインであるCCL17である。別の例示的な実施形態では、記標的化部分は、CCR7を認識して結合するケモカインであるCCL19である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR6を認識して結合するケモカインであるCCL20である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR7を認識して結合するケモカインであるCCL21である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR4を認識して結合するケモカインであるCCL22である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR1を認識して結合するケモカインであるCCL23である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR3を認識して結合するケモカインであるCCL24である。別の例示的な実施形態では、標的化部分はC、CCR9を認識して結合するケモカインであるCL25である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR3を認識して結合するケモカインであるCCL26である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR10を認識して結合するケモカインであるCCL27である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CCR3又はCCR10を認識して結合するケモカインであるCCL28である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CXCR1又はCXCR2を認識して結合するケモカインであるCXCL1である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CXCR2を認識して結合するケモカインであるCXCL2である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CXCR2を認識して結合するケモカインであるCXCL3である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CXCR3Bを認識して結合するケモカインであるCXCL4である。別の例示的な実施形態では、標的化部分はCXCL5であり、CXCR2を認識して結合するケモカインである。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CXCR1又はCXCR2を認識して結合するケモカインであるCXCL6である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CXCR1又はCXCR2を認識して結合するケモカインであるCXCL8である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CXCR3を認識して結合するケモカインであるCXCL9である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CXCR3を認識して結合するケモカインであるCXCL10である。別の例示的な実施形態では、標的化部分はCXCL11であり、CXCR3又はCXCR7を認識して結合するケモカインである。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CXCR4又はCXCR7を認識して結合するケモカインであるCXCL12である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CXCR5を認識して結合するケモカインであるCXCL13である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CXCR6を認識して結合するケモカインであるCXCL16である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CXCR2を認識して結合するケモカインであるLDGF-PBPである。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、XCR1を認識して結合するケモカインであるXCL2である。別の例示的な実施形態では、標的化部分は、CX3CR1を認識して結合するケモカインであるCX3CL1である。
【0317】
様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質は、標的化部分の様々な組み合わせを含む。例示的な実施形態では、本開示のキメラタンパク質は2つの標的化部分を含む場合があり、両方の標的化部分が抗体又は抗体誘導体である。別の例示的な実施形態では、本開示のキメラタンパク質は2つの標的化部分を含む場合があり、両方の標的化部分が細胞受容体の天然リガンドである。その他の例示的な実施形態では、本開示のキメラタンパク質は2つの標的化部分を含む場合があり、それらの標的化部分のうちの一方が抗体又は抗体誘導体であり、他方の標的化部分が細胞受容体の天然リガンドである。
【0318】
様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質の認識ドメインは、目的の標的(例えば、抗原、受容体)の機能を調整し(非限定的な例として、部分的又は完全に中和し)、例えば、抗原が有する生物学的作用を実質的に抑制、低減、又は中和する。例えば、様々な認識ドメインが、腫瘍を有する患者などの免疫系を能動的に抑制している、又は抑制する能力を有する、1種類又は複数種類の腫瘍抗原を対象とする場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、免疫抑制シグナル(例えば、チェックポイント抑制因子)、例えば、TIM-3、BTLA、PD-1、CTLA-4、B7-H4、GITR、ガレクチン-9、HVEM、PD-L1、PD-L2、B7-H3、CD244、CD160、TIGIT、SIRPα、ICOS、CD172a、及びTMIGD2のうちの1つ又は複数の機能を調整する。例えば、いくつかの実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、非限定的な例として、PD-L1若しくはPD-L2とのPD-1の結合、及び/又はAP2M1、CD80、CD86、SHP-2、及びPPP2R5Aのうちの1つ又は複数とのCTLA-4の結合による免疫抑制シグナルの伝達を妨害、阻止、抑制、及び/又は阻害するように改変されている。
【0319】
様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質の認識ドメインは、目的の標的(例えば、抗原、受容体)に結合するがその機能を調整せず、例えば、認識ドメインは、結合抗体であるか、又は結合抗体に類似している。例えば、様々な実施形態において、認識ドメインは単に抗原又は受容体を標的化するが、該抗原又は受容体が有する生物学的作用を実質的に阻害、抑制、又は機能調整しない。例えば、上述の(例えば、全長抗体などと比較して)小さい抗体フォーマットの中には、接近し難いエピトープを標的とする能力を有し、且つ、より広範な位置での特異的な結合をもたらすものもある。様々な実施形態において、認識ドメインは、生物活性にとって重要である抗原又は受容体の部位(例えば、抗原の活性部位)から物理的に離れているエピトープに結合する。
【0320】
そのような非中和性結合は、エフェクター抗原、例えば本明細書に記載される任意のエフェクター抗原を介して、活性免疫細胞を必要部位へ直接的又は間接的に動員するために本開示のキメラタンパク質を使用する方法を含む、本発明の様々な実施形態において使用される。例えば、様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質は、腫瘍を減少させる、又は除去する方法において、CD8を介して細胞傷害性T細胞を腫瘍細胞へ直接的又は間接的に動員するために使用され得る(例えば、本開示のキメラタンパク質は、抗CD8認識ドメイン及び抗腫瘍抗原認識ドメインを含んでいてもよい)。前記実施形態では、CD8発現性細胞傷害性T細胞を直接的又は間接的に動員するが、CD8活性を機能的に調整しないことが望ましい。反対に、これらの実施形態では、CD8シグナル伝達は、腫瘍減少作用又は腫瘍除去作用に重要である。他の例として、本開示のキメラタンパク質は、腫瘍を減少させるか又は除去する様々な方法において、CLEC9Aを介して樹状細胞(DC)を直接的又は間接的に動員するために使用される(例えば、本開示のキメラタンパク質は、抗CLEC9A認識ドメイン及び抗腫瘍抗原認識ドメインを含んでいてもよい)。前記実施形態では、CLEC9A発現性DCを直接的又は間接的に動員するが、CLEC9A活性を機能的に調整しないことが望ましい。反対に、これらの実施形態では、CLEC9Aシグナル伝達は、腫瘍減少作用又は腫瘍除去作用に重要である。
【0321】
様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質の認識ドメインは、例えば、樹状細胞上のXCR1に結合する。例えば、前記認識ドメインは、いくつかの実施形態では、XCL1の全体若しくは一部、又は非中和性抗XCR1因子を含む。
【0322】
様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質の認識ドメインは、免疫調節性(例えば、免疫刺激性又は免疫抑制性)抗原に結合する。様々な実施形態において、免疫調節性抗原は、4-1BB、OX-40、HVEM、GITR、CD27、CD28、CD30、CD40、ICOSリガンド、OX-40リガンド、LIGHT(CD258)、GITRリガンド、CD70、B7-1、B7-2、CD30リガンド、CD40リガンド、ICOS、ICOSリガンド、CD137リガンド、及びTL1Aのうちの1つ又は複数である。様々な実施形態において、このような免疫刺激性抗原は腫瘍細胞上に発現する。様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質の認識ドメインは、このような免疫刺激性抗原に結合するがその機能を調節せず、したがって該抗原を発現する細胞の潜在的な腫瘍減少能力又は腫瘍除去能力を減少又は消失させることなくこれらの細胞を動員することが可能になる。
【0323】
様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質の認識ドメインは、中和活性を有する2つの認識ドメインを含むか、非中和(例えば、結合)活性を有する2つの認識ドメイン含むか、又は中和活性を有する1つの認識ドメイン及び非中和(例えば、結合)活性を有する1つの認識ドメインを含むキメラタンパク質という状態であってもよい。
【0324】
様々な実施形態において、多重特異性キメラタンパク質は、非細胞構造体部分である標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有する標的化部分を有する。いくつかの実施形態では、抗原又は受容体は、完全な細胞又は細胞構造体の不可欠な構成要素ではない。いくつかの実施形態では、抗原又は受容体は細胞外抗原又は受容体である。いくつかの実施形態では、標的は非タンパク質性の非細胞性マーカーであり、それには、限定されないが、DNA又はRNAを含む核酸、例えば、ネクローシス腫瘍細胞から放出されたDNA、又はコレステロールなどの細胞外沈着物が含まれる。
【0325】
いくつかの実施形態では、目的の標的(例えば、抗原、受容体)は、間質若しくは細胞外マトリックス(ECM)又はそれらの関連マーカーの非細胞成分の一部である。本明細書において使用される場合、間質は組織又は器官の結合支持骨格を指す。間質には、線維芽細胞/筋線維芽細胞、膠細胞、上皮細胞、脂肪細胞、免疫細胞、血管細胞、平滑筋細胞、及び免疫細胞などの細胞と細胞外マトリックス(ECM)及び細胞外分子との集合物が含まれることがある。様々な実施形態において、目的の標的(例えば、抗原、受容体)は、細胞外マトリックス及び細胞外分子など、間質の非細胞成分の一部である。本明細書において使用される場合、ECMは全ての組織及び器官内に存在する非細胞成分を指す。ECMは、限定されないが、タンパク質、糖タンパク質、プロテオグリカン、及び多糖類を含む、多くの生化学的に別個の構成成分から構成される。ECMのこれらの構成成分は、通常は、隣接する細胞によって産生され、エクソサイトーシスによってECMに分泌される。分泌されるとECM構成成分は凝集して巨大分子の複雑なネットワーク構造を形成することが多い。様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質は、ECMの任意の構成成分上に局在する標的(例えば、抗原若しくは受容体又は非タンパク質性分子)を認識する標的化部分を含む。ECMの構成成分の例としては、プロテオグリカン、非プロテオグリカン多糖類、線維、及び他のECMタンパク質又はECM非タンパク質、例えば多糖類及び/又は脂質、又はECM結合分子(例えばタンパク質又は非タンパク質、例えば多糖類、核酸、及び/又は脂質)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0326】
いくつかの実施形態では、標的化部分は、ECMプロテオグリカン上の標的(例えば、抗原、受容体)を認識する。プロテオグリカンはグリコシル化されたタンパク質である。基本的なプロテオグリカン単位は、1つ又は複数の共有結合したグリコサミノグリカン(GAG)鎖をコアタンパク質と共に含む。プロテオグリカンは正に荷電したナトリウムイオン(Na+)を誘引する正味の負の電荷を有し、それにより浸透作用を介して水分子を誘引し、ECM及び常在性細胞を水和状態に保つ。プロテオグリカンはECM内に増殖因子を捕捉及び貯蔵することにも役立つ場合がある。本発明のキメラタンパク質が標的とし得るプロテオグリカンの例としては、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、及びケラタン硫酸が挙げられるがこれらに限定されない。ある実施形態では、標的化部分は、ヒアルロン酸などの非プロテオグリカン多糖類上の標的(例えば、抗原、受容体)を認識する。
【0327】
いくつかの実施形態では、標的化部分は、ECM線維上の標的(例えば、抗原、受容体)を認識する。ECM線維としては、コラーゲン線維及びエラスチン線維が挙げられる。いくつかの実施形態では、標的化部分は、コラーゲン又はコラーゲン線維上の1つ又は複数のエピトープを認識する。コラーゲンはECM中に最も大量に存在するタンパク質である。コラーゲンは線維性タンパク質としてECM中に存在し、常在性細胞に構造的支持を提供する。1つ又は複数の実施形態において、標的化部分は、限定されないが、線維性コラーゲン(I型、II型、III型、V型、XI型)、FACITコラーゲン(IX型、XII型、XIV型)、短鎖コラーゲン(VIII型、X型)、基底膜コラーゲン(IV型)、及び/又はVI型、VII型、若しくはXIII型のコラーゲンを含むECM内に存在する様々な種類のコラーゲンを認識して結合する。エラスチン線維は組織に弾性を与え、それにより必要時に組織が伸長した後に元の状態まで戻ることが可能になる。いくつかの実施形態では、標的部分は、エラスチン又はエラスチン線維上の1つ又は複数のエピトープを認識する。
【0328】
いくつかの実施形態では、標的化部分は、限定されないが、テネイシン、フィブロネクチン、フィブリン、ラミニン、又はナイドジェン/エンタクチンを含む1種類又は複数種類のECMタンパク質を認識する。
【0329】
ある実施形態では、標的化部分はテネイシンを認識して結合する。糖タンパク質であるテネイシン(TN)ファミリーには、テネイシン-C、テネイシン-R、テネイシン-X、及びテネイシンWの少なくとも4つのメンバーが含まれる。テネイシンタンパク質の一次構造は同じ連続配列、すなわち、アミノ末端7アミノ酸リピート、上皮成長因子(EGF)様リピート、フィブロネクチンIII型ドメインリピート、及びカルボキシル末端フィブリノーゲン球状ドメインの順で並んだ数個の共通モチーフを含む。各タンパク質メンバーは、EGF様リピート及びフィブロネクチンIII型リピートの数と性質についての典型的な多様性と関連している。特にテネイシン-Cに関してはアイソフォームバリアントも存在する。27種類を超えるテネイシン-Cのスプライスバリアント及び/又はアイソフォームが知られている。特定の実施形態では、標的化部分は、テネイシン-CA1を認識して結合する。同様に、テネイシン-Rも様々なスプライスバリアント及びアイソフォームを有する。テネイシン-Rは、通常、二量体又は三量体として存在する。テネイシン-Xはテネイシンファミリーの中で最大のメンバーであり、三量体として存在することが知られている。テネイシン-Wは三量体として存在する。いくつかの実施形態では、標的化部分は、テネイシンタンパク質上の1つ又は複数のエピトープを認識する。いくつかの実施形態では、標的化部分は、単量体型、及び/又は二量体型、及び/又は三量体型、及び/又は六量体型のテネイシンタンパク質を認識する。
【0330】
ある実施形態では、標的化部分はフィブロネクチンを認識して結合する。フィブロネクチンはECM中のコラーゲン線維と細胞を連結する糖タンパク質であり、細胞がECMを介して移動することを可能にする。インテグリンに結合すると、フィブロネクチンは折り畳み構造がほどけて機能的二量体を形成する。いくつかの実施形態では、標的化部分は単量体型及び/又は二量体型のフィブロネクチンを認識する。いくつかの実施形態では、標的化部分は、フィブロネクチン上の1つ又は複数のエピトープを認識する。例示的な実施形態では、標的化部分は、フィブロネクチン細胞外ドメインA(EDA)又はフィブロネクチン細胞外ドメインB(EDB)を認識する。EDAレベルの上昇は、乾癬、リウマチ性関節炎、糖尿病、及びがんを含む様々な疾患及び障害に関連している。いくつかの実施形態では、標的化部分は、EDAアイソフォームを含有するフィブロネクチンを認識し、癌細胞を含む疾患細胞にキメラタンパク質を標的化するために利用され得る。いくつかの実施形態では、標的化部分はEDBアイソフォームを含有するフィブロネクチンを認識する。様々な実施形態において、そのような標的化部分は、腫瘍新生血管を含む腫瘍細胞にキメラタンパク質を標的化するために利用され得る。
【0331】
ある実施形態では、標的化部分はフィブリンを認識して結合する。フィブリンはECMのマトリックスネットワーク構造中に見出されることが多い別のタンパク質物質である。フィブリンは、フィブリンの重合を引き起こすフィブリノーゲンに対するトロンビンプロテアーゼの作用によって形成される。いくつかの実施形態では、標的化部分はフィブリン上の1つ又は複数のエピトープを認識する。いくつかの実施形態では、標的化部分は単量体型及び多量体型のフィブリンを認識する。
【0332】
ある実施形態では、標的化部分はラミニンを認識して結合する。ラミニンは、細胞及び器官のためのタンパク質ネットワーク基盤である基底膜の主要構成成分である。ラミニンはα鎖、β鎖、及びγ鎖を含むヘテロ三量体タンパク質である。いくつかの実施形態では、標的化部分はラミニン上の1つ又は複数のエピトープを認識する。いくつかの実施形態では、標的化部分は単量体型、二量体型、並びに三量体型のラミニンを認識する。
【0333】
ある実施形態では、標的化部分はナイドジェン又はエンタクチンを認識して結合する。ナイドジェン/エンタクチンは非常によく保存された硫酸化糖タンパク質のファミリーである。それらの糖タンパク質は基底膜の主要構造形成成分を構成し、基底膜においてラミニン及びコラーゲンIVネットワーク構造を連結するように機能する。このファミリーのメンバーには、ナイドジェン-1及びナイドジェン-2が含まれる。様々な実施形態において、標的化部分は、ナイドジェン-1及び/又はナイドジェン-2上のエピトープを認識する。
【0334】
様々な実施形態において、標的化部分は、本明細書に記載される標的(例えば、ECMタンパク質)のうちのいずれかの上に存在するエピトープを認識する抗原認識ドメインを含む。ある実施形態では、抗原認識ドメインは、タンパク質上に存在する1つ又は複数の直鎖状エピトープを認識する。本明細書において使用される場合、直鎖状エピトープとは、タンパク質上に存在するアミノ酸の任意の連続配列のことをいう。別の実施形態では、抗原認識ドメインは、タンパク質上に存在する1つ又は複数の立体構造エピトープを認識する。本明細書において使用される場合、立体構造エピトープとは抗原認識ドメインが認識可能である特徴及び/又は形状及び/又は三次構造を有する三次元表面を形成する(不連続であってもよい)アミノ酸の1つ又は複数のセクションのことをいう。
【0335】
様々な実施形態において、標的化部分は、本明細書に記載される標的(例えばECMタンパク質)のうちのいずれかの全長、及び/又は成熟型、及び/又はアイソフォー、ム及び/又はスプライスバリアント、及び/又は断片、及び/又は他の任意の天然若しくは合成の類似体、バリアント、若しくは変異体に結合してもよい。様々な実施形態において、標的化部分は、単量体、二量体、三量体、四量体、ヘテロ二量体、多量体、及び会合体を含む、本明細書に記載される任意の形態のタンパク質に結合してもよい。様々な実施形態において、標的化部分は、グリコシル化型及び/又はリン酸化型など、本明細書に記載される翻訳後修飾型のタンパク質に結合してもよい。
【0336】
様々な実施形態において、標的化部分は、DNAなどの細胞外分子を認識する抗原認識ドメインを含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、DNAを認識する抗原認識ドメイン含む。ある実施形態では、前記DNAは、ネクローシス腫瘍細胞又はアポトーシス腫瘍細胞又は他の疾患細胞から細胞外空間に放出される。
【0337】
様々な実施形態において、標的化部分は、アテローム性動脈硬化プラークに関連する1種類又は複数種類の非細胞構造体を認識する抗原認識ドメイン含む。2種類のアテローム性動脈硬化プラークが知られている。線維-脂質(線維-脂肪)性プラークは、動脈の内膜下の脂肪含有細胞の蓄積を特徴とする。内皮の下にプラークのアテローム性コアを覆う線維性被膜が存在する。コアには、組織コレステロール及びコレステロールエステル含量が高い担脂肪細胞(マクロファージ及び平滑筋細胞)、フィブリン、プロテオグリカン、コラーゲン、エラスチン、及び細胞破片が含まれる。進行したプラークでは、プラークの中央コアは通常では(死んだ細胞から放出された)細胞外コレステロール沈着物を含有し、それにより空の針状の割れ目を有するコレステロール結晶を含む領域を形成する。プラークの辺縁には比較的に若い泡沫細胞及び毛細血管が存在する。線維性プラークは、動脈壁内で、内膜の下にも局在することで壁を肥厚及び増大させることになり、時には局在する斑状のプラークが管腔を狭めるとともに筋肉層をいくらか萎縮させる。線維性プラークは、コラーゲン線維(好酸性)、カルシウム沈殿物(好ヘマトキシリン性)、及び脂肪含有細胞を含有する。いくつかの実施形態では、標的化部分は、フィブリン、プロテオグリカン、コラーゲン、エラスチン、細胞破片、及びカルシウム又は他の鉱物沈着物若しくは沈殿物など、これらのプラークの非細胞成分うちの1つ又は複数を認識して結合する。いくつかの実施形態では、細胞破片は、死んだ細胞から放出された核酸、例えばDNA又はRNAである。
【0338】
様々な実施形態において、標的化部分は、神経変性疾患に関連する脳プラークに見られる1種類又は複数種類の非細胞構造体を認識する抗原認識ドメイン含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、アルツハイマー病の患者の脳に見られるアミロイドプラーク中に局在する1種類又は複数種類の非細胞構造体を認識して結合する。例えば、標的化部分は、アミロイドプラークの主要成分であるアミロイドβペプチドを認識して結合することがある。いくつかの実施形態では、標的化部分は、ハンチントン病の患者に見られる脳プラーク中に局在する1種類又は複数種類の非細胞構造体を認識して結合する。様々な実施形態において、標的化部分は、レビー小体型認知症及び封入体筋炎などの他の神経変性疾患又は筋骨格疾患に関連するプラークに見られる1種類又は複数種類の非細胞構造体を認識して結合する。
【0339】
リンカー及び官能基
様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質は、1つ又は複数の官能基、残基、又は部分を含んでよい。様々な実施形態において、1つ又は複数の官能基、残基、又は部分は、本明細書に記載されるシグナル伝達物質又は標的化部分(例えば、SIRP1α)うちのいずれかに結合されるか、又は遺伝的に融合される。いくつかの実施形態ではそのような官能基、残基、又は部分によって、本発明のキメラタンパク質に1種類又は複数種類の所望の特性又は機能が付与される。そのような官能基の例、及びそれらの官能基を本開示のキメラタンパク質に導入するための方法の例は当技術分野において知られており、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Mack Publishing社、ペンシルバニア州、イーストン(1980)を参照されたい。
【0340】
様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質は、半減期を延長するか、又は薬力学的特性及び薬物動態学的特性を改善するために、別の作用物質と結合(conjugate)及び/又は融合されてもよい。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、PEG、XTEN(例えば、rPEGなど)、ポリシアル酸(POLYXEN)、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン又はHAS)、エラスチン様タンパク質(ELP)、PAS、HAP、GLK、CTP、トランスフェリンなどのうちの1つ又は複数と融合又は結合されてもよい。いくつかの実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、抗体又はFc断片などの抗体断片と融合又は結合されてもよい。例えば、キメラタンパク質は、ヒト免疫グロブリン(Ig)GのFcドメインのN末端又はC末端のいずれかに融合されてもよい。様々な実施形態において、個々のキメラタンパク質のそれぞれが、内容全体が参照により本明細書に取り込まれるBioDrugs、(2015)29:215-239に記載される作用物質のうちの1つ又は複数に融合されている。
【0341】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、又は部分は、適切な薬学的に許容可能な重合体、例えばポリ(エチレングリコール)(PEG)又はその誘導体(メトキシポリ(エチレングリコール)、すなわちmPEGなど)を含む。いくつかの実施形態では、PEG部分の結合によりSIRP1α結合タンパク質の半減期が増加し、及び/又は免疫原性が低下する。一般に任意の適切な形態のPEG化、例えば抗体及び抗体断片(限定されないが、VHHなどの単一ドメイン抗体を含む)の技術分野において使用されるPEG化などを用いることができる。例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれるChapman、Nat.Biotechnol.、54、pp.531-545(2002)、Veronese及びHarris、Adv.Drug Deliv.Rev.、54、pp.453-456(2003)、Harris and Chess、Nat.Rev.Drug.Discov.、2(2003)、及び国際公開第04/060965号を参照されたい。タンパク質のPEG化のための様々な試薬は市販もされており、例えば米国のNektar Therapeutics社より入手可能である。いくつかの実施形態では、部位特異的PEG化、特にシステイン残基を介した部位特異的PEG化が用いられる(例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれるYang,et al.、Protein Engineering、16、10、pp.761-770(2003)を参照されたい)。例えば、この目的のために、本発明のキメラタンパク質において元から存在するシステイン残基にPEGを結合してもよい。いくつかの実施形態では、当技術分野において知られている方法を用いて、PEG結合のための1つ又は複数のシステイン残基を適切に導入するように本発明のキメラタンパク質が改変されているか、又はPEG結合のための1つ又は複数のシステイン残基を含むアミノ酸配列が本開示のキメラタンパク質のアミノ末端及び/又はカルボキシ末端に融合されていてもよい。
【0342】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、又は部分は、N結合グリコシル化又はO結合グリコシル化を含む。いくつかの実施形態では、N結合グリコシル化又はO結合グリコシル化は、同時翻訳修飾及び/又は翻訳後修飾の一部として導入される。
【0343】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、又は部分は、1つ又は複数の検出可能標識又は他のシグナル生成基若しくは部分を含む。適切な標識、並びにそれらの標識を結合するための方法、使用するための方法、及び検出するための方法が当技術分野において知られており、蛍光標識(フルオレセイン、イソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒド、及びフルオレスカミン、並びにEu又はランタニド系列の他の金属などの蛍光性金属など)、燐光発光標識、化学発光標識又は生物発光標識(ルミナール、イソルミノール、セロマチック・アクリジニウムエステル(theromatic acridinium ester)、イミダゾール、アクリジニウム塩、シュウ酸エステル、ジオキセタン、又はGFP及びその類似体など)、放射性同位体、金属、金属キレート又は金属カチオン、又はin vivo、in vitro、若しくはin situの診断及び画像撮影での使用に特に適している他の金属若しくは金属カチオン、並びに発色団及び酵素(リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、δ-V-ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α-グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ビオチンアビジンペルオキシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース-VI-リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ、及びアセチルコリンエステラーゼなど)が挙げられるがこれらに限定されない。他の適切な標識としては、核磁気共鳴分光法又は電子スピン共鳴分光法を使用して検出可能な部分が挙げられる。本発明のそのような標識されたVHH及びポリペプチドは、例えば、(ELISA、RIA、EIA、及び他の「サンドイッチアッセイ」などのそれ自体が公知の免疫アッセイを含む)in vitroアッセイ、in vivoアッセイ、又はin situアッセイ、並びに特定の標識の選択に依存したin vivoの診断及び画像撮影目的のために使用され得る。
【0344】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、又は部分は、本開示のキメラタンパク質に結合されているか(attached)、又は遺伝的に融合されているタグを含む。いくつかの実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、単一のタグを含んでもよく、複数のタグを含んでいてもよい。タグは、例えば、本開示のキメラタンパク質のSIRP1α、又は例えば腫瘍抗原などの他の任意の目的の抗原への結合を阻害又は妨害しないペプチド、糖、又はDNA分子である。様々な実施形態において、タグは、少なくとも約3~5アミノ酸長、5~8アミノ酸長、8~12アミノ酸長、12~15アミノ酸長、又は15~20アミノ酸長である。タグの例は、例えば、米国特許出願公開第2013/0058962号に記載されている。いくつかの実施形態では、タグは、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)タグ及びヒスチジン(His)タグなどのアフィニティータグである。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質はHisタグを含む。
【0345】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、又は部分は、例えば、金属又は金属カチオンのうちの1つをキレートするためのキレート基を含む。例えば、適切なキレート基としては、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0346】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、又は部分は、ビオチン-(ストレプト)アビジン結合対などの特定の結合対の一部である官能基を含む。そのような官能基は、その結合対の他方に結合されている別のタンパク質、ポリペプチド、化学化合物に、すなわち結合対の形成を介して、本発明のキメラタンパク質を連結するために使用され得る。例えば、本発明のキメラタンパク質はビオチンと結合され、アビジン又はストレプトアビジンに結合した別のタンパク質、ポリペプチド、化合物、又は担体に連結されてもよい。例えば、そのような複合体化された本開示のキメラタンパク質は、検出可能なシグナル生成物質がアビジン又はストレプトアビジンに結合されている診断系などにおいてレポーターとして使用され得る。そのような結合対は、製薬目的に適切な担体を含む担体への本開示のキメラタンパク質の結合のためにも使用され得る。ある非限定的な例は、Cao and Suresh、Journal of Drug Targeting、8、4、pp.257(2000)に記載されるリポソーム製剤である。そのような結合対は、治療活性物質を本発明のキメラタンパク質に連結するためにも使用され得る。
【0347】
いくつかの実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、所望により1つ又は複数のリンカーを含む。いくつかの実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、標的化部分とシグナル伝達物質を接続するリンカーを含む。いくつかの実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、(例えば、三量体を得るための2つのリンカーを含む一本鎖TNFの場合)シグナル伝達物質内にリンカーを含む。
【0348】
いくつかの実施形態では、単一のヌクレオチド配列として本明細書に記載されるリンカーのいずれかにより連結された本開示のキメラタンパク質をコードするベクターが提供され、そのようなキメラタンパク質を調製するために使用可能である。
【0349】
いくつかの実施形態では、リンカーの長さによって、標的化部分とシグナル伝達物質のそれらの受容体への効率的な結合が可能になる。例えば、いくつかの実施形態では、リンカーの長さによって、同じ細胞上の受容体への標的化部分のうちの1つとシグナル伝達物質の効率的な結合、及び別の細胞への他方の結合化部分の効率的な結合が可能になる。細胞の組み合わせの例は本明細書中のいずれかに記載されている。
【0350】
いくつかの実施形態では、リンカーの長さは、同じ細胞上の受容体への標的化部分のうちの1つの結合部位とシグナル伝達物質の結合部位との間の最小の距離に少なくとも等しい。いくつかの実施形態では、リンカーの長さは、同じ細胞上の受容体への標的化部分のうちの1つの結合部位とシグナル伝達物質の結合部位との間の最小の距離に少なくとも2倍、又は3倍、又は4倍、又は5倍、又は10倍、又は20倍、又は25倍、又は50倍、又は100倍、又はそれより高い倍率の距離である。
【0351】
本明細書に記載されるように、リンカーの長さによって標的化部分のうちの1つとシグナル伝達物質の同じ細胞上の受容体への効率的な結合が可能になり、その結合は連続的に起こり、例えば標的化部分と受容体の結合がシグナル伝達物質と受容体の結合に先行する。
【0352】
いくつかの実施形態では、2つのリンカーが単一のキメラに存在し、それぞれのリンカーがシグナル伝達物質を標的化部分に接続している。様々な実施形態において、リンカーは、疾患細胞又はエフェクター細胞のどちらかの細胞の調整を妨害することになる立体障害を有しない、それらの細胞が有する部位の形成を可能にする長さを有する。
【0353】
本発明は様々なリンカー配列の使用を意図している。様々な実施形態において、リンカーは天然マルチドメインタンパク質に由来するか、又は内容全体が参照により本明細書に取り込まれるChichili,et al.、(2013)Protein Sci.、22(2):153~167;Chen,et al.、(2013)Adv Drug Deliv Rev.、65(10):pp.1357-1369などに記載されるような実験に基づいたリンカーであってもよい。いくつかの実施形態では、リンカーは、内容全体が参照により本明細書に取り込まれるChen,et al.、(2013)Adv Drug Deliv Rev.、65(10):pp.1357-1369及びCrasto,et al.、(2000)Protein Eng.、13(5):pp.309-312に記載されるようなリンカー設計データベース及びコンピュータープログラムを使用して設計され得る。様々な実施形態において、リンカーは機能的であってもよい。例えば、限定されないが、リンカーは、本開示のキメラタンパク質のフォールディング及び/又は安定性を改善し、発現を改善し、薬物動態を改善し、及び/又は生物活性を改善するように機能する場合がある。
【0354】
いくつかの実施形態では、リンカーはポリペプチドである。いくつかの実施形態では、リンカーの長さは約100アミノ酸未満である。例えば、リンカーの長さは、約100アミノ酸未満、約95アミノ酸未満、約90アミノ酸未満、約85アミノ酸未満、約80アミノ酸未満、約75アミノ酸未満、約70アミノ酸未満、約65アミノ酸未満、約60アミノ酸未満、約55アミノ酸未満、約50アミノ酸未満、約45アミノ酸未満、約40アミノ酸未満、約35アミノ酸未満、約30アミノ酸未満、約25アミノ酸未満、約20アミノ酸未満、約19アミノ酸未満、約18アミノ酸未満、約17アミノ酸未満、約16アミノ酸未満、約15アミノ酸未満、約14アミノ酸未満、約13アミノ酸未満、約12アミノ酸未満、約11アミノ酸未満、約10アミノ酸未満、約9アミノ酸未満、約8アミノ酸未満、約7アミノ酸未満、約6アミノ酸未満、約5アミノ酸未満、約4アミノ酸未満、約3アミノ酸未満、又は約2アミノ酸未満であってもよい。いくつかの実施形態では、リンカーはポリペプチドである。いくつかの実施形態では、リンカーの長さは約100アミノ酸を超える。例えば、リンカーの長さは約100アミノ酸超、約95アミノ酸超、約90アミノ酸超、約85アミノ酸超、約80アミノ酸超、約75アミノ酸超、約70アミノ酸超、約65アミノ酸超、約60アミノ酸超、約55アミノ酸超、約50アミノ酸超、約45アミノ酸超、約40アミノ酸超、約35アミノ酸超、約30アミノ酸超、約25アミノ酸超、約20アミノ酸超、約19アミノ酸超、約18アミノ酸超、約17アミノ酸超、約16アミノ酸超、約15アミノ酸超、約14アミノ酸超、約13アミノ酸超、約12アミノ酸超、約11アミノ酸超、約10アミノ酸超、約9アミノ酸超、約8アミノ酸超、約7アミノ酸超、約6アミノ酸超、約5アミノ酸超、約4アミノ酸超、約3アミノ酸超、又は約2アミノ酸超であってもよい。いくつかの実施形態では、リンカーは可動性がある。別の実施形態では、リンカーは可動性に欠ける。
【0355】
いくつかの実施形態では、あるリンカーが2つの標的化部分を相互接続し、このリンカーの長さは短く、あるリンカーが標的化部分とシグナル伝達物質を接続し、このリンカーは2つの標的化部分を接続するリンカーよりも長い。例えば、2つの標的化部分を接続するリンカーと標的化部分とシグナル伝達物質を接続するリンカーとの間のアミノ酸長の差は、約100アミノ酸、約95アミノ酸、約90アミノ酸、約85アミノ酸、約80アミノ酸、約75アミノ酸、約70アミノ酸、約65アミノ酸、約60アミノ酸、約55アミノ酸、約50アミノ酸、約45アミノ酸、約40アミノ酸、約35アミノ酸、約30アミノ酸、約25アミノ酸、約20アミノ酸、約19アミノ酸、約18アミノ酸、約17アミノ酸、約16アミノ酸、約15アミノ酸、約14アミノ酸、約13アミノ酸、約12アミノ酸、約11アミノ酸、約10アミノ酸、約9アミノ酸、約8アミノ酸、約7アミノ酸、約6アミノ酸、約5アミノ酸、約4アミノ酸、約3アミノ酸、又は約2アミノ酸であり得る。
【0356】
様々な実施形態において、リンカーはグリシン残基とセリン残基から実質的に(例えば、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、又は約97%のグリシン及びセリン)構成される。例えば、いくつかの実施形態では、リンカーは(GlySer)であり、式中、nは約1~約8、例えば1、2、3、4、5、6、7、又は8である(配列番号247~配列番号254)。ある実施形態では、リンカー配列はGGSGGSGGGGSGGGGS(配列番号255)である。その他のリンカーの例としては、LE、GGGGS(配列番号247)、(GGGGS)(n=1~4)(配列番号247~配列番号250)、(Gly)(配列番号256)、(Gly)(配列番号257)、(EAAAK)(n=1~3)(配列番号258~配列番号260)、A(EAAAK)A(n=2~5)(配列番号261~配列番号264)、AEAAAKEAAAKA(配列番号261)、A(EAAAK)ALEA(EAAAK)A(配列番号265)、PAPAP(配列番号266)、KESGSVSSEQLAQFRSLD(配列番号267)、EGKSSGSGSESKST(配列番号268)、GSAGSAAGSGEF(配列番号269)、及びXがいずれかのアミノ酸、例えば、Ala、Lys、又はGluを示す(XP)の配列を有するリンカーが挙げられるがこれらに限定されない。様々な実施形態において、リンカーはGGSである。
【0357】
いくつかの実施形態では、リンカーは、GGGSE(配列番号270)、GSESG(配列番号271)、GSEGS(配列番号272)、GEGGSGEGSSGEGSSSEGGGSEGGGSEGGGSEGGS(配列番号273)、及び4アミノ酸間隔ごとに無作為に配置されたG、S、及びEからなるリンカーうちの1つ又は複数である。
【0358】
いくつかの実施形態では、リンカーは、抗体の(例えば、サブクラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4、並びにIgA1及びIgA2)を含むIgG、IgA、IgD、及びIgEの)ヒンジ領域である。様々な実施形態において、リンカーは抗体の(例えば、サブクラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4、並びにIgA1及びIgA2)を含むIgG、IgA、IgD、及びIgE)のヒンジ領域である。IgGクラス、IgAクラス、IgDクラス、及びIgEクラスの抗体に見られるヒンジ領域は可動性スペーサーとして作用し、Fab部分が空間中を自由に動くことを可能にする。定常領域と対照的に、ヒンジドメインは構造的に多様であり、免疫グロブリンのクラス及びサブクラスの中で配列と長さの両方について異なっている。例えば、ヒンジ領域の長さと可動性はIgGサブクラスの中で異なっている。IgG1のヒンジ領域は216~231番目のアミノ酸を包含し、そのヒンジ領域は自由に曲がりやすいため、Fab断片はその対称軸を中心に回転可能であり、且つ、2つの重鎖間ジスルフィド架橋のうちの最初の架橋を中心とした球内で移動可能である。IgG2はIgG1よりも短いヒンジを有し、12個のアミノ酸残基と4個のジスルフィド架橋を含む。IgG2のヒンジ領域はグリシン残基を欠いており、比較的に短く、且つ、追加の重鎖間ジスルフィド結合によって安定化された堅固なポリプロリンダブルヘリックスを含む。これらの特性によりIgG2分子の可動性が制限される。IgG3は、(21個のプロリンと11個のシステインを含む)62個のアミノ酸を含み、可動ではないポリプロリンダブルヘリックスを形成する、特有の長いヒンジ領域(IgG1ヒンジの約4倍の長さ)によって他のサブクラスと異なる。IgG3ではFab断片はFc断片から比較的に離れており、それにより分子の可動性がより高くなる。IgG3の長いヒンジはまた、他のサブクラスと比較して大きい分子量の原因となる。IgG4のヒンジ領域はIgG1のヒンジ領域よりも短く、その可動性はIgG1のヒンジ領域の可動性とIgG2のヒンジ領域の可動性との中間である。ヒンジ領域の可動性は、IgG3>IgG1>IgG4>IgG2の順に低下すると報告されている。
【0359】
結晶学的研究によれば、免疫グロブリンのヒンジ領域は、機能的に3つの領域、すなわち上部ヒンジ領域、コア領域、及び下部ヒンジ領域にさらに細分化可能である。Shin,et al.、1992、Immunological Reviews、130:pp.87を参照されたい。上部ヒンジ領域は、CH1のカルボキシ末端から動きを制限するヒンジ内の最初の残基、一般的には2本の重鎖間に鎖間ジスルフィド結合を形成する1番目のシステイン残基までのアミノ酸を含む。上部ヒンジ領域の長さは抗体のセグメント可動性と相関している。コアヒンジ領域は、重鎖間ジスルフィド架橋を有し、下部ヒンジ領域はCH2ドメインのアミノ末端に連結し、且つ、CH2内の残基を含む。野生型ヒトIgG1のコアヒンジ領域は配列Cys-Pro-Pro-Cys(配列番号274)を含み、ジスルフィド結合の形成によって二量体化されると旋回軸として作用すると考えられる環状オクタペプチドが生じ、これにより可動性が与えられると考えられる。様々な実施形態において、本開示のリンカーは、任意の抗体の(例えば、サブクラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4、並びにIgA1及びIgA2)を含むIgG、IgA、IgD、及びIgEの)上部ヒンジ領域、コア領域、及び下部ヒンジ領域のうちの1つ、2つ、又は3つを含む。ヒンジ領域は1つ又は複数のグリコシル化部位を含む場合もあり、それらの部位には炭水化物結合のための多数の構造的に異なる種類の部位が含まれる。例えば、IgA1はヒンジ領域の17個のアミノ酸セグメント内に5つのグリコシル化部位を含み、それらの部位は分泌性免疫グロブリンにとって有利な特性であると考えられる腸管プロテアーゼに対するヒンジ領域ポリペプチドの耐性を付与する。様々な実施形態において、本発明のリンカーは1つ又は複数のグリコシル化部位を含む。様々な実施形態において、リンカーはヒトIgG4抗体のヒンジ-CH2-CH3ドメインである。
【0360】
所望により本開示のキメラタンパク質はC2ドメイン及びC3ドメインのうちの一方又は両方を含む抗体Fc領域に連結可能であり、及び所望によりヒンジ領域に連結可能である。例えば、単一のヌクレオチド配列としてFc領域に連結された本開示のキメラタンパク質をコードするベクターを使用してそのようなポリペプチドを調製することが可能である。
【0361】
いくつかの実施形態では、リンカーはPEGなどの合成リンカーである。
【0362】
様々な実施形態において、リンカーには機能的であってもよい。例えば、限定されないが、リンカーは本開示のキメラタンパク質のフォールディング及び/又は安定性を改善し、発現を改善し、薬物動態を改善し、及び/又は生物活性を改善するように機能してもよい。別の例では、リンカーは、キメラタンパク質を特定の細胞種又は特定の場所へ標的化するように機能してもよい。
【0363】
キメラタンパク質の改変と作製
様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質は、VHHである標的化部分(例えば、SIRP1α)を含む。様々な実施形態において、VHHは特定の生物起源に限定されず、又は特定の調製方法に限定されない。例えば、VHHは、通常、(1)天然の重鎖抗体のVHドメインを単離することによって、(2)天然のVHドメインをコードするヌクレオチド配列を発現させることによって、(3)天然のVHドメインを「ヒト化」すること、又はそのようなヒト化VHドメインをコードする核酸を発現させることによって、(4)例えばヒト由来など、哺乳類種などの任意の動物種由来の天然のVHドメインを「ラクダ化」すること、又はそのようなラクダ化VHドメインをコードする核酸を発現させることによって、(5)当技術分野において記載されるような「ドメイン抗体」若しくは「Dab」を「ラクダ化」すること、又はそのようなラクダ化VHドメインをコードする核酸を発現させることによって、(6)タンパク質、ポリペプチド、又は当技術分野において知られている他のアミノ酸配列を調製するための合成方法又は半合成方法を使用することによって、(7)当技術分野において知られている核酸合成方法を使用してVHHコード核酸を調製した後に、得られた核酸を発現させることによって、及び/又は(8)前述したもののうちの1つ又は複数からなる任意の組合せによって得ることができる。
【0364】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、ヒトSIRP1αを指向する天然の重鎖抗体のVHドメインに対応するVHHを含む。いくつかの実施形態では、そのようなVH配列は、通常、SIRP1α分子でラクダ科の種の動物を適切に免疫すること(すなわち、SIRP1αを指向する免疫応答及び/又は重鎖抗体を生じさせるように免疫すること)、該ラクダ科動物由来の適切な生体試料(例えば、血液試料又は任意のB細胞試料)を得ること、及び任意の適切な公知の方法を用いて該試料からSIRP1αに対するVH配列を生成することによって生成又は取得可能である。いくつかの実施形態では、SIRP1αに対する天然のVHドメインは、ラクダ科VH配列のナイーブライブラリーから、例えば、当技術分野において知られている1つ又は複数のスクリーニング方法を用いて、SIRP1α、又は少なくともその一部、断片、抗原決定基、若しくはエピトープを使用してそのようなライブラリーをスクリーニングすることにより得ることができる。そのようなライブラリー及び方法は、例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる、国際公開第99/37681号、国際公開第01/90190号、国際公開第03/025020号、及び国際公開第03/035694号に記載されている。いくつかの実施形態では、ナイーブVHライブラリーに由来する改良された合成又は半合成ライブラリーが使用可能であり、例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第00/43507号等に記載されるようなランダム変異導入及び/又はCDRシャッフリングなどの方法によってナイーブVHライブラリーから得られるVHライブラリーが使用可能である。いくつかの実施形態では、SIRP1αを指向するVH配列を得るための別の方法には、重鎖抗体を発現可能である遺伝子導入哺乳類動物を適切に免疫すること(すなわち、SIRP1αを指向する免疫応答及び/又は重鎖抗体を生じさせるように免疫すること)、該遺伝子導入哺乳類動物由来の適切な生体試料(例えば、血液試料又は任意のB細胞試料)を得ること、及び任意の適切な公知の方法を用いて該試料からSIRP1αに対するVH配列を生成することが含まれる。例えば、この目的のために、国際公開第02/085945号及び国際公開第04/049794号(内容全体が参照により本明細書に取り込まれる)に記載される重鎖抗体発現マウス並びにその他の方法及び技術が利用可能である。
【0365】
ある実施形態では、キメラタンパク質は「ヒト化」されているVHH、すなわち天然のVH配列のアミノ酸配列中(特にフレームワーク配列中)の1つ又は複数のアミノ酸残基を、ヒト由来の従来の4本鎖抗体から、VHドメイン中の対応する位置に存在するアミノ酸残基のうちの1つ又は複数で置き換えることによりヒト化されているVHHを含む。これは、当技術分野において知られているヒト化方法を用いて行うことができる。いくつかの実施形態では、可能なヒト化置換又はヒト化置換の組合せは、当技術分野において知られている方法、例えば、VHHの配列と天然のヒトVHドメインの配列との間の比較によって決定され得る。いくつかの実施形態では、ヒト化置換は、結果として得られるヒト化VHHが有利な機能特性をなお保持するように選択される。通常、本発明のVHHは、ヒト化の結果として、対応する天然のVHドメインと比較して、免疫原性の低下などの好ましい特性を保持しつつ、より「ヒトに近い」ものになり得る。様々な実施形態において、本発明のヒト化VHHは、当技術分野において知られている任意の適切な方法で得ることができ、したがって出発物質としての天然のVHドメインを含むポリペプチドを使用して得られたポリペプチドに厳密に限定されることはない。
【0366】
ある実施形態では、キメラタンパク質は「ラクダ化」されているVHH、すなわち従来の4本鎖抗体由来の天然のVHドメインのアミノ酸配列中の1つ又は複数のアミノ酸残基を、ラクダの重鎖抗体のVHドメイン中の対応する位置に存在するアミノ酸残基のうちの1つ又は複数で置き換えることによりラクダ化されているVHHを含む。いくつかの実施形態では、そのような「ラクダ化」置換は、VH/VL境界面を形成する及び/又はその境界面に存在するアミノ酸の位置、及び/又はいわゆるラクダ科の特徴的な残基(例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第94/04678号を参照されたい)に挿入される。いくつかの実施形態では、ラクダ化VHHを生成又は設計するための出発物質又は出発点として使用されるVH配列は、動物由来のVH配列、例えばVH3配列などのヒトのVH配列である。様々な実施形態において、ラクダ化VHHは当技術分野において知られている任意の適切な方法(すなわち、上述の(1)~(8)で示されたような方法)で取得可能であり、出発物質としての天然のVHドメインを含むポリペプチドを使用して得られたポリペプチドに厳密に限定されることはない。
【0367】
様々な実施形態において「ヒト化」及び「ラクダ化」は、それぞれ天然のVHドメイン又はVHドメインをコードするヌクレオチド配列を供給し、次に、新しいヌクレオチド配列がそれぞれ「ヒト化」VHH又は「ラクダ化」VHHをコードするように該ヌクレオチド配列中の1つ又は複数のコドンを当技術分野において知られている方法で交換することにより実行可能である。次に、本発明の所望のVHHが供給されるように当技術分野において知られている方法でこの核酸を発現させることができる。あるいは、天然VHドメイン又は天然VHドメインのそれぞれのアミノ酸配列に基づいて、本発明の所望のヒト化VHH又はラクダ化VHHのアミノ酸配列を設計し、次に当技術分野において知られているペプチド合成方法を用いて新規合成することができる。また、天然VHドメイン又は天然VHドメインのそれぞれのアミノ酸配列又はヌクレオチド配列に基づいて、所望のヒト化VHH又はラクダ化VHHをコードするヌクレオチド配列をそれぞれ設計し、次に当技術分野において知られている核酸合成方法を用いて新規合成することができ、その後、得られた核酸を本発明の所望のVHHが供給されるように当技術分野において知られている方法で発現させることができる。天然のVH配列又はVH配列から出発して本発明のVHH及び/又はそれらをコードする核酸を得るための他の適切な方法及び技術は当技術分野において知られており、例えば、1種類又は複数種類の天然VH配列の1つ又は複数の部分(1種類又は複数種類のFR配列及び/又はCDR配列など)、1種類又は複数種類の天然VH配列の1つ又は複数の部分(1種類又は複数種類のFR配列又はCDR配列など)、及び/又は1種類又は複数種類の合成配列又は半合成配列を、本発明のVHH又はそれをコードするヌクレオチド配列若しくは核酸をもたらすように、適切に組み合わせることを含んでいてもよい。
【0368】
本発明のキメラタンパク質を作製するための方法は本明細書に記載される。例えば、本発明のキメラタンパク質をコードするDNA配列(例えば、改変型シグナル伝達物質、標的化部分、及びリンカーをコードするDNA配列)は、当技術分野において知られている方法を用いて化学的に合成可能である。発現制御配列などを含む他の適切なヌクレオチド配列に、合成DNA配列をライゲーションして所望のキメラタンパク質をコードする遺伝子発現コンストラクトを作製することができる。よって、様々な実施形態において、本発明は、本発明のキメラタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸を提供する。
【0369】
本発明のキメラタンパク質をコードする核酸を発現ベクターに組み込む(ライゲーションする)ことができ、該ベクターは、トランスフェクション法、形質転換法、又は形質導入法によって発現宿主細胞に導入され得る。例えば、本発明のキメラタンパク質をコードする核酸は、レトロウイルス形質導入によって宿主細胞に導入され得る。宿主細胞の例には、大腸菌細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胎児由来腎臓293(HEK293)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎細胞(COS)、ヒト肝細胞がん細胞(例えば、Hep G2)、及び骨髄腫細胞がある。形質転換宿主細胞は、それらの宿主細胞が本発明のキメラタンパク質をコードする遺伝子を発現することを可能にする条件下で培養され得る。よって、様々な実施形態において、本発明は、本発明のキメラタンパク質をコードする核酸を含む発現ベクターを提供する。様々な実施形態において、本発明は、そのような発現ベクターを含む宿主細胞をさらに提供する。
【0370】
具体的な発現及び精製の条件は使用する発現系に応じて異なることになる。例えば、遺伝子を大腸菌内で発現させる場合、最初に、Trp又はTacなどの適切な細菌プロモーター及び原核生物シグナル配列の下流に改変遺伝子を配置することにより遺伝子を発現ベクターにクローニングする。別の例では、改変遺伝子をCHO細胞などの真核生物宿主細胞内で発現させる場合、最初に、例えば、適切な真核生物プロモーター、分泌シグナル、エンハンサー、及び様々なイントロンを含む発現ベクターに改変遺伝子を挿入する。トランスフェクション法、形質転換法、又は形質導入法を用いて遺伝子コンストラクトを宿主細胞に導入することができる。
【0371】
本発明のキメラタンパク質は、該タンパク質をコードする発現ベクターをトランスフェクションした宿主細胞を、該キメラタンパク質を発現させる条件下で培養することにより作製可能である。発現後、当技術分野においてよく知られている方法、例えばグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)タグ及びヒスチジンタグなどのアフィニティータグを用いて、又はクロマトグラフィーによって、タンパク質を回収及び精製することができる。
【0372】
よって、様々な実施形態において、本発明は、本発明のキメラタンパク質をコードする核酸を提供する。様々な実施形態において、本発明は、本発明のキメラタンパク質をコードする核酸を含む宿主細胞を提供する。
【0373】
様々な実施形態において、本開示のSIRP1α標的化部分又はSIRP1α標的化部分を含むキメラタンパク質は、in vivoで、例えば患者内で発現されてもよい。例えば、様々な実施形態において、本開示のSIRP1α標的化部分又はSIRP1α標的化部分を含むキメラタンパク質は、本開示のSIRP1α標的化部分又はSIRP1α標的化部分を含むキメラタンパク質をコードする核酸の形態で投与されてもよい。様々な実施形態において、核酸はDNA又はRNAである。いくつかの実施形態では、本開示のSIRP1α標的化部分又はSIRP1α標的化部分を含むキメラタンパク質は、修飾mRNA、すなわち1つ又は複数の修飾ヌクレオチドを含むmRNAによってコードされる。いくつかの実施形態では、修飾mRNAは、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる米国特許第8,278,036号に見られる1種類又は複数種類の修飾を含む。いくつかの実施形態では、修飾mRNAは、m5C、m5U、m6A、s2U、Ψ、及び2’-O-メチル-Uのうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、本開示のキメラタンパク質のうちの1つ又は複数をコードする修飾mRNAの投与に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、修飾mRNAを含む遺伝子治療ベクターに関する。いくつかの実施形態では、本発明は、修飾mRNAの投与を含む遺伝子治療方法に関する。様々な実施形態において、核酸は、腫瘍溶解性ウイルス、例えばアデノウイルス、レオウイルス、麻疹ウイルス、ヘルペス単純ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、又はワクシニアウイルスの形態である。
【0374】
薬学的に許容可能な塩及び賦形剤
本明細書に記載されるキメラタンパク質は、無機酸又は有機酸と反応可能な十分に塩基性である官能基、又は無機塩基若しくは有機塩基と反応可能なカルボキシル基を有することで薬学的に許容可能な塩を形成することができる。当技術分野においてよく知られているように、薬学的に許容可能な酸から薬学的に許容可能な酸付加塩が形成される。そのような塩としては、例えば、全体が参照により本明細書に取り込まれるJournal of Pharmaceutical Science、66、pp.2-19(1977)及びThe Handbook of Pharmaceutical Salts;Properties,Selection,and Use.、P.H.Stahl及びC.G.Wermuth(編)、Verlag、チューリッヒ(スイス)2002に記載される薬学的に許容可能な塩が挙げられる。
【0375】
薬学的に許容可能な塩としては、非限定的な例として、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、パモ酸塩、フェニル酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アクリル酸塩、クロロ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、o-アセトキシ安息香酸塩、ナフタレン-2-安息香酸塩、イソ酪酸塩、フェニル酪酸塩、α-ヒドロキシ酪酸塩、ブチン-1,4-ジカルボン酸塩、ヘキシン-1,4-ジカルボン酸塩、カプリン酸塩、カプリル酸塩、桂皮酸塩、グリコール酸塩、ヘプタン酸塩、馬尿酸塩、リンゴ酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、ニコチン酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、プロピオル酸塩、プロピオン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、セバシン酸塩、スベリン酸塩、p-ブロモベンゼンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、エチルスルホン酸塩、2-ヒドロキシエチルスルホン酸塩、メチルスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、ナフタレン-1,5-スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、及び酒石酸塩(が挙げられる。
【0376】
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、カルボン酸官能基などの酸性官能基を有する本発明の組成物と塩基の塩も指す。適切な塩基としては、ナトリウム、カリウム、及びリチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウム及びマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウム及び亜鉛などの他の金属の水酸化物;アンモニア、及び有機アミン、例えば非置換又はヒドロキシ置換されたモノ-、ジ-、又はトリ-アルキルアミン、ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N-メチル,N-エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ-、ビス-、又はトリス-(2-OH-低級アルキルアミン)、例えばモノ-、ビス-、又はトリス-(2-ヒドロキシエチル)アミン、2-ヒドロキシ-tert-ブチルアミン、又はトリス-(ヒドロキシメチル)メチルアミン;N,N-ジ-低級アルキル-N-(ヒドロキシル-低級アルキル)-アミン、例えばN,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミン又はトリ-(2-ヒドロキシエチル)アミン;N-メチル-D-グルカミン;並びにアルギニン、リジンなどのアミノ酸などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0377】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、薬学的に許容可能な塩の形態である。
【0378】
医薬組成物及び製剤
様々な実施形態において、本発明は、本明細書に記載されるキメラタンパク質及び薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。本明細書に記載される任意の医薬組成物は、薬学的に許容可能な担体又は溶媒を含む組成物の一成分として対象に投与可能である。そのような組成物は、適正な投与のための形態にするために適切な量の薬学的に許容可能な賦形剤を含んでいてもよい。
【0379】
様々な実施形態において、製薬用賦形剤は、水及び油などの液体であってもよく、石油起源、動物起源、植物起源、又は合成起源の油、例えばピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ゴマ油などが含まれる。それらの製薬用賦形剤は、例えば、生理食塩水、アカシアガム、ゼラチン、デンプン糊、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素などであってもよい。さらに、補助剤、安定化剤、増粘剤、滑沢剤、及び着色剤を使用してもよい。ある実施形態では、対象に投与される場合、薬学的に許容可能な賦形剤は無菌である。水は本明細書に記載されるいずれかの作用物質が静脈内投与される場合に有用な賦形剤である。生理食塩水溶液並びにブドウ糖水溶液及びグリセロール溶液は、液体賦形剤、具体的には注射剤用の液体賦形剤としても使用可能である。適切な製薬用賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、ショ糖、ゼラチン、モルト、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどが挙げられる。本明細書に記載されるいずれの作用物質も、少量の湿潤剤若しくは乳化剤、又はpH緩衝剤を含んでいてもよい。適切な製薬用賦形剤の他の例は、参照により本明細書に取り込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences、pp.1447-1676(Alfonso R.Gennaro編、第19版、1995)に記載されている。
【0380】
本発明は、本記載の医薬組成物(及び/又は追加治療薬)を様々な剤型で含む。本明細書に記載される本発明の医薬組成物(及び/又は追加治療薬)はいずれも、液剤、懸濁剤、乳剤、滴剤、錠剤、丸剤、ペレット剤、カプセル剤、液剤含有カプセル剤、ゼラチンカプセル剤、粉剤、徐放性製剤、坐剤、乳剤、エアロゾル剤、スプレー剤、懸濁剤、凍結乾燥粉剤、凍結懸濁剤、乾燥粉剤、又は使用に適した他の任意の形態であってもよい。ある実施形態では、組成物はカプセル剤の剤形である。別の実施形態では、組成物は錠剤の剤形である。さらに別の実施形態では、医薬組成物は軟質ゲルカプセル剤の剤形で製剤される。その他の実施形態では、医薬組成物はゼラチンカプセル剤の剤形で製剤される。さらに別の実施形態では、医薬組成物は液剤として製剤される。
【0381】
本発明の医薬組成物(及び/又はその他の作用物質)は必要な場合に可溶化剤を含むこともできる。また、作用物質は当技術分野において知られている適切な溶媒又は送達装置によって送達可能である。本明細書において概説される併用療法は単一の送達溶媒又は送達装置で共送達可能である。
【0382】
本発明の医薬組成物(及び/又はその他の作用物質)を含む本発明の製剤は、便宜上、単位剤形として提供されてよく、調剤学の分野においてよく知られている方法のうちのいずれかによって調製されてもよい。そのような方法は、1種類又は複数種類の付属成分を構成する担体と治療薬を会合させる工程を含むことが一般的である。通常、製剤は、治療薬を液状担体、細粒化固形担体、又はそれらの両方と均一、且つ、密接に会合させた後、必要に応じてその産物を所望の製剤の剤形に成形すること(例えば、湿式又は乾式造粒、粉末ブレンドなどの後に当技術分野において知られている従来法を用いた打錠)により調製される。
【0383】
様々な実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物(及び/又はその他の作用物質)はいずれも、本明細書に記載される投与方法に適合した組成物として、常法に準拠して製剤される。
【0384】
投与経路としては、例えば、口腔経路、皮内経路、筋肉内経路、腹膜内経路、静脈内経路、皮下経路、鼻腔内経路、硬膜外経路、舌下経路、鼻腔内経路、脳内経路、膣内経路、経皮経路、直腸経路、吸入による経路、又は局所経路が挙げられる。投与は局所性投与又は全身性投与であってもよい。いくつかの実施形態では、投与は経口的に達成される。別の実施形態では、投与は非経口注射による。投与方法は医師の裁量に任せてよく、部分的にはその病気の部位に依存する。ほとんどの場合、本明細書に記載される作用物質はいずれも、投与されると血流に放出される。
【0385】
ある実施形態では、本明細書に記載されるキメラタンパク質は、経口投与に適合した組成物として常法に従って製剤される。経口送達用の組成物は、例えば、錠剤、トローチ剤、水性若しくは油性懸濁剤、顆粒剤、粉剤、乳剤、カプセル剤、シロップ剤、又はエリキシル剤などの剤形であってもよい。経口投与される組成物は、薬学的に口に合う調剤を提供するために、1種類又は複数種類の薬剤、例えば、果糖、アスパルテーム、又はサッカリンなどの甘味剤;ペパーミント、冬緑油、又はチェリーなどの香味剤;着色剤、及び保存料を含むことができる。さらに錠剤又は丸剤の剤形の場合、組成物を被覆すれることで胃腸管での崩壊及び吸収を遅らせ、それによって長期間にわたって持続的作用をもたらすことができる。本明細書に記載される任意のキメラタンパク質の浸透圧活性の周囲を覆う選択的透過膜も経口投与組成物に適切である。これらの後者のプラットフォームでは、カプセル周囲の環境の液体が駆動化合物により吸収され、該駆動化合物は膨潤して穴を通してその作用物質又は作用物質組成物を押し出す。これらの送達プラットフォームは即放性製剤のスパイク状プロファイルとは対照的に、基本的にゼロ次の送達プロファイルを生成することができる。モノステアリン酸グリセロール又はステアリン酸グリセロールなどの時間遅延物質も有用であり得る。経口組成物は、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、及び炭酸マグネシウムなどの標準的賦形剤を含むことができる。ある実施形態では、賦形剤は製薬グレードのものである。懸濁剤は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天、トラガカントなど、及びそれらの混合物などの懸濁剤を含有してもよい。
【0386】
非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、腹膜内、皮下、及び関節内の注射及び点滴)に適切な剤形としては、例えば、液剤、懸濁剤、分散剤、乳剤などが挙げられる。それらの剤形は、使用直前に無菌注射媒体中に溶解又は懸濁可能な無菌固形組成物(例えば凍結乾燥組成物)の形態で製造されてもよい。無菌固形組成物は、例えば、当技術分野において知られている懸濁剤又は分散剤を含んでよい。非経口投与に適切な製剤成分としては、注射用水、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又は他の合成溶媒などの無菌希釈剤;ベンジルアルコール又はメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;EDTAなどのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩などの緩衝剤;及び塩化ナトリウム又はブドウ糖などの浸透圧調節剤が挙げられる。
【0387】
静脈内投与について適切な担体としては、生理食塩水、静菌水、クレモフォールEL(商標)(BASF社、パーシッパニー、ニュージャージー州)、又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。担体は、製造条件下及び貯蔵条件下で安定でなくてはならず、且つ、微生物に抗して保存される必要がある。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール)、及びそれらの適切な混合物を含む溶媒又は分散媒であってもよい。
【0388】
本明細書において提供される組成物は、単独で、又は他の適切な構成成分と組み合わせて、吸入によって投与されるエアロゾル製剤に製剤され得る(すなわち、「噴霧化」され得る)。エアロゾル製剤は、加圧可能な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、プロパン、及び窒素などに混入可能である。
【0389】
本明細書に記載される本発明の医薬組成物(及び/又はその他の作用物質)はいずれも、当業者によく知られている制御放出手段又は持続放出手段によって、又は送達装置によって投与可能である。例としては、各々の全体が参照により本明細書に取り込まれる、米国特許第3,845,770号、同第3,916,899号、同第3,536,809号、同第3,598,123号、同第4,008,719号、同第5,674,533号、同第5,059,595号、同第5,591,767号、同第5,120,548号、同第5,073,543号、同第5,639,476号、同第5,354,556、及び同第5,733,556号に記載されるものが挙げられるがこれらに限定されない。そのような剤形は、例えば、ヒドロプロピルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過膜、浸透圧系、多層被覆、微小粒子、リポソーム、ミクロスフィア、又は所望の放出プロファイルを実現するための色々な割合でのそれらの組合せを使用する1種類又は複数種類の有効成分の制御放出又は持続放出の実現に有用であり得る。本明細書に記載される製剤を含む、当業者に知られている適切な制御放出製剤又は持続放出製剤は、本明細書に記載される作用物質の有効成分との使用について容易に選択可能である。したがって、本発明は、経口投与に適切な単回単位剤形、例えば、これら限定されないが、制御放出又は持続放出に適合した、錠剤、カプセル剤、ゲルキャップ剤、及びカプレット剤を提供する。
【0390】
有効成分の制御放出又は持続放出は、これら限定されないが、pHの変化、温度変化、適切な波長の光による刺激、酵素の濃度若しくは利用可能性、水の濃度若しくは利用可能性、又は他の生理学的な条件若しくは化合物を含む様々な条件によって刺激可能である。
【0391】
別の実施形態では、治療される標的領域の近くに制御放出系を配置することができ、したがって全身用量のうちの一部のみが必要とされる(例えば、Medical Applications of Controlled Release、上掲、第2巻、pp.115-138(1984)内のGoodsonの著作を参照されたい)。Langer、1990、Science、249:1527~1533)による総説内で考察されている他の制御放出系を使用してもよい。
【0392】
医薬製剤は無菌であることが好ましい。滅菌は、例えば、無菌濾過膜を介した濾過により達成され得る。組成物が凍結乾燥される場合、凍結乾燥及び再構成の前か、またはその後にフィルター滅菌を実施することができる。
【0393】
投与及び投与量
本発明に従って投与される本開示のキメラタンパク質の実際の用量は、特定の剤形及び投与方法に応じて異なることが理解される。当業者は本開示のキメラタンパク質の作用を改変し得る多数の要因(例えば、体重、性別、食事、投与時間、投与経路、排出率、対象の状態、薬品の組合せ、遺伝的性質、及び反応感度)を考慮に入れることができる。投与は最大耐量内で連続投与又は1回若しくは複数回の分割投与によって実施可能である。当業者は従来の用量投与試験を用いて所与の条件について最適な投与速度を確認することができる。
【0394】
いくつかの実施形態では、本開示のキメラタンパク質の適切な投薬量は、対象の体重1kg当たり約0.01mg~約10g、対象の体重に対して約0.01mg~約1g、対象の体重に対して約0.01mg~約100mg、対象の体重1kg当たり約0.01mg~約10mgの範囲内であり、例えば、体重の体重1kg当たり約0.01mg、約0.02mg、約0.03mg、約0.04mg、約0.05mg、約0.06mg、約0.07mg、約0.08mg、約0.09mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約1.1mg、約1.2mg、約1.3mg、約1.4mg、約1.5mg、約1.6mg、約1.7mg、約1.8mg、1.9mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約100mg、約1g、約10gであり、それらの上限と下限の値の間の全ての値と範囲を含む。
【0395】
キメラタンパク質の個々の用量は、例えば、約0.01mg~約100g、約0.01mg~約75g、約0.01mg~約50g、約0.01mg~約25g、約0.01mg~約10g、約0.01mg~約7.5g、約0.01mg~約5g、約0.01mg~約2.5g、約0.01mg~約1g、約0.01mg~約100mg、約0.1mg~約100mg、約0.1mg~約90mg、約0.1mg~約80mg、約0.1mg~約70mg、約0.1mg~約60mg、約0.1mg~約50mg、約0.1mg~約40mgの有効成分、単位剤形当たり約0.1mg~約30mg、約0.1mg~約20mg、約0.1mg~約10mg、約0.1mg~約5mg、約0.1mg~約3mg、約0.1mg~約1mg、又は単位剤形当たり約5mg~約80mgを含有する単位剤形(例えば錠剤又はカプセル剤)として投与可能である。例えば、単位剤形は約0.01mg、約0.02mg、約0.03mg、約0.04mg、約0.05mg、約0.06mg、約0.07mg、約0.08mg、約0.09mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約200mg、約500mg、約1g、約2.5g、約5g、約10g、約25g、約50g、約75g、約100gであってもよく、それらの上限と下限の値の間の全ての値と範囲を含む。
【0396】
ある実施形態では、キメラタンパク質は、約0.01mg~約100gの1日量、約0.01mg~約75gの1日量、約0.01mg~約50gの1日量、約0.01mg~約25gの1日量、約0.01mg~約10gまでの量、約0.01mg~約7.5gの1日量、約0.01mg~約5gまでの量、約0.01mg~約2.5gの1日量、約0.01mg~約1gの1日量、約0.01mg~約100mgの1日量、約0.1mg~約100mgの1日量、約0.1mg~約95mgの1日量、約0.1mg~約90mgの1日量、約0.1mg~約85mgの1日量、約0.1mg~約80mgの1日量、約0.1mg~約75mgの1日量、約0.1mg~約70mgの1日量、約0.1mg~約65mgの1日量、約0.1mg~約60mgの1日量、約0.1mg~約55mgの1日量、約0.1mg~約50mgの1日量、約0.1mg~約45mgの1日量、約0.1mg~約40mgの1日量、約0.1mg~約35mgの1日量、約0.1mg~約30mgの1日量、約0.1mg~約25mgの1日量、約0.1mg~約20mgの1日量、約0.1mg~約15mgの1日量、約0.1mg~約10mgの1日量、約0.1mg~約5mgの1日量、約0.1mg~約3mgの1日量、約0.1mg~約1mgの1日量、又は約5mg~約80mgの1日量で投与される。様々な実施形態において、キメラタンパク質は、約0.01mg、約0.02mg、約0.03mg、約0.04mg、約0.05mg、約0.06mg、約0.07mg、約0.08mg、約0.09mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約200mg、約500mg、約1g、約2.5g、約5g、約7.5g、約10g、約25g、約50g、約75g、約100gの1日用量、それらの上限と下限の値の間の全ての値と範囲を含む1日用量で投与される。
【0397】
本発明のある特定の実施形態によれば、本開示のキメラタンパク質を含む医薬組成物は、例えば、1日に1回より多い回数(例えば、1日に約2回、約3回、約4回、約5回、約6回、約7回、約8回、約9回、又は約10回)、1日に約1回、2日毎に約1回、3日毎に約1回、1週間に約1回、2週間毎に約1回、毎月に約1回、2か月毎に約1回、3か月毎に約1回、6か月毎に約1回、又は毎年に約1回投与されてもよい。
【0398】
併用療法及び追加治療薬
様々な実施形態において、本発明の医薬組成物は追加治療薬と併せて共投与される。共投与は同時投与であってもよく、又は連続投与であってもよい。
【0399】
ある実施形態では、追加治療薬と本発明のキメラタンパク質は同時に対象に投与される。「同時」という用語は、本明細書において使用される場合、追加治療薬と本開示のキメラタンパク質が約60分間以内に、例えば約30分間以内、約20分間以内、約10分間以内、約5分間以内、又は約1分間以内に投与されることを意味する。追加治療薬及び本開示のキメラタンパク質の投与は、単一の製剤(例えば、追加治療薬及び本開示のキメラタンパク質を含有する製剤)の同時投与、又は別々の製剤(例えば、追加治療薬を含有する第一の製剤及び本開示のキメラタンパク質を含有する第二の製剤)の同時投与によるものであってもよい。
【0400】
治療薬の投与タイミングが追加治療薬と本開示のキメラタンパク質の薬理学的活性が時間的に重なるようなものであり、それによって複合治療効果が発揮される場合、共投与はそれらの治療薬が同時に投与されることを必要としない。例えば、追加治療薬と本開示のキメラタンパク質は、連続的に投与可能である。「連続的」という用語は、本明細書において使用される場合、追加治療薬と本開示のキメラタンパク質が約60分以上の時間を空けて投与されることを意味する。例えば、追加治療薬と本開示のキメラタンパク質の順次投与の間の時間は、約60分間、約2時間、約5時間、約10時間、約1日、約2日、約3日、約1週間、約2週間、又は約1か月間以上であってもよい。最適な投与時間は、投与される追加治療薬及び本開示のキメラタンパク質の代謝速度、排出率、及び/又は薬力学的活性に依存する。追加治療薬又は本開示のキメラタンパク質細胞のどちらが最初に投与されてもよい。
【0401】
共投与は同じ投与経路によって対象に治療薬を投与することも必要としない。むしろ、各々の治療薬は任意の適切な経路によって、例えば非経口的又は非-非経口的に投与可能である。
【0402】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるキメラタンパク質は、別の治療薬と共投与された場合に相乗的に作用する。前記実施形態では、本開示のキメラタンパク質及び追加治療薬は、それらの薬剤が単剤療法に関連して使用される場合に用いられる用量よりも少ない用量で投与され得る。
【0403】
いくつかの実施形態では、本発明は追加治療薬としての化学療法剤に関する。例えば、限定されないが、本開示のキメラタンパク質と化学療法剤のそのような組合せは、本明細書中のいずれかに記載されるようにがんの治療に使用される。化学療法剤の例としては、チオテパ及びCYTOXAN(シクロホスファミド)などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;ベンゾドパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドパ(meturedopa)、及びウレドパ(uredopa)などのアジリジン類;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;アセトゲニン類(例えば、ブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン合成類似体、カルゼレシン合成類似体、及びビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン類(例えば、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体であるKW-2189及びCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチインA;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノボエンビキン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード類;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチンなどのニトロソウレア類;エンジイン抗生物質(例えば、カリケアミシン、特にカリケアミシンγII及びカリケアミシンωII(例えば、Agnew.Chem Intl.Ed.Engl.、33:pp.183-186(1994)を参照されたい)などの抗生物質;ダイネミシンAを含むダイネミシン;クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラミシン;並びにネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン類、アクチノマイシン、アンラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン類、カクチノマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(ドキソルビシン)(モルホリノドキソルビシン、シアノモルホリノドキソルビシン、2-ピロリノドキソルビシン、及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン;マイトマイシンCなどのマイトマイシン類;ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン類、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン類;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤;フォリン酸などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デメコルシン;ジアジコン;エルフォルミチン(elformithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;メイタンシン及びアンサマイトシン類などのメイタンシノイド類;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖複合体(JHS Natural Products社、ユージーン、オレゴン州);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン類(例えば、T-2トキシン、ベラキュリン(verracurin)A、ロリジンA、及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド類、例えば、タキソールパクリタキセル(Bristol-Myers Squibb oncology社、プリンストン、ニュージャージー州)、クレモフォール非含有ABRAXANE(パクリタキセルのアルブミン添加ナノ粒子製剤)(American Pharmaceutical Partners社、シャンバーグ、イリノイ州)、及びタキソテレドセタキセル(Rhone-Poulenc Rorer社、アントニー、フランス);クロラムブシル;GEMZAR(ゲムシタビン);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン、オキサリプラチン、及びカルボプラチンなどのプラチナ類似体;ビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE(ビノレルビン);ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(Camptosar、CPT-11)(イリノテカンと5-FU及びロイコボリンからなる治療レジメンを含む);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド類;カペシタビン;コンブレタスタチン;ロイコボリン(LV);オキサリプラチン治療レジメン(FOLFOX)を含むオキサリプラチン;Tykerb(ラパチニブ);細胞増殖を減少させるPKC-α阻害剤、Raf阻害剤、H-Ras阻害剤、EGFR阻害剤(例えば、Terceva(エルロチニブ))、及びVEGF-A阻害剤、並びに上記のいずれかの薬学的に許容可能な塩、酸、又は誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。加えて、治療方法は放射線の使用をさらに含み得る。加えて、前記治療方法は光線力学療法の使用をさらに含み得る。
【0404】
ある実施形態では、本発明は、がん治療における追加治療薬としてのスプライセオソームの任意の構成要素を含む、スプライセオソームを標的とする任意の薬剤に関する。
【0405】
ある実施形態では、本発明は、がん治療における追加治療薬としてのMycを標的とする任意の薬剤(すなわち、抗Myc治療薬)に関する。
【0406】
限定されないが、感染症用途を含むいくつかの実施形態では、本発明は追加治療薬としての抗感染症薬に関する。いくつかの実施形態では、抗感染症薬はアバカビル、アシクロビル、アデフォビル、アンプレナビル、アタザナビル、シドフォビル、ダルナビル、デラビルジン、ジダノシン、ドコサノール、エファビレンツ、エルビテグラビル、エムトリシタビン、エンフビルチド、エトラビリン、ファムシクロビル、及びホスカルネットを含むがこれらに限定されない抗ウイルス剤である。いくつかの実施形態では、抗感染症薬は、セファロスポリン抗生物質(セファレキシン、セフロキシム、セファドロキシル、セファゾリン、セファロシン、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、及びセフトビプロール);フルオロキノロン抗生物質(シプロ、レバクイン、フロキシン、テクイン、アベロックス、及びノルフロックス);テトラサイクリン抗生物質(テトラサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、及びドキシサイクリン);ペニシリン抗生物質(アモキシシリン、アンピシリン、ペニシリンV、ジクロキサシリン、カルベニシリン、バンコマイシン、及びメチシリン);モノバクタム抗生物質(アズトレオナム)、及びカルバペネム抗生物質(エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチン、及びメロペネム)を含むがこれらに限定されない抗細菌剤である。いくつかの実施形態では、抗感染症薬は、抗マラリア剤(例えば、クロロキン、キニン、メフロキン、プリマキン、ドキシサイクリン、アルテメテル/ルメファントリン、アトバコン/プログアニル、及びスルファドキシン/ピリメタミン)、メトロニダゾール、チニダゾール、イベルメクチン、ピランテルパモ酸塩、及びアルベンタゾールを含む。
【0407】
限定されないが、自己免疫用途を含むいくつかの実施形態では、追加治療薬は免疫抑制剤である。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤は、ステロイド系抗炎症剤又は非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)などの抗炎症剤である。ステロイド、特に副腎の副腎皮質ステロイド及びそれらの合成類似体は当技術分野においてよく知られている。本発明において有用な副腎皮質ステロイドの例としては、ヒドロキシルトリアムシノロン、α-メチルデキサメタゾン、β-メチルベタメタゾン、プロピオン酸ベクロメタゾン、安息香酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン(fluadrenolone)、フルクロロンアセトニド、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチン(flucortine)ブチルエステル、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド(flucetonide)、フルドロコルチゾン、酢酸ジフルオロゾン、フルラドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル(amcinafel)、アムシナフィド、ベタメタゾン及びそのエステルの平衡物(balance)、クロロプレドニゾン、クロコルテロン、クレスシノロン(clescinolone)、ジクロリゾン、ジフルルプレドネート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロピオン酸ベクロメタゾンが挙げられるがこれらに限定されない。本明細書において使用され得る(NSAIDS)としては、サリチル酸、アセチルサリチル酸、メチルサリチル酸、グリコールサリチル酸、サリチルアミド、ベンジル-2、5-ジアセトキシ安息香酸、イブプロフェン、フリンダク、ナプロキセン、ケトプロフェン、エトフェナメート、フェニルブタゾン、及びインドメタシンが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤は、アルキル化剤、代謝拮抗剤(例えば、アザチオプリン、メトトレキサート)、細胞傷害性抗生物質、抗体(例えば、バシリキシマブ、ダクリズマブ、及びムロモナブ)、抗イムノフィリン薬(例えば、サイクロスポリン、タクロリムス、シロリムス)、インターフェロン、オピオイド、TNF結合タンパク質、ミコフェノレート、及び低分子生物剤(例えば、フィンゴリモド、ミリオシン)などの細胞分裂阻害剤であってもよい。その他の抗炎症剤は、例えば、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる米国特許第4,537,776号に記載されている。
【0408】
いくつかの実施形態では、本発明は、追加治療薬として肥満治療に使用される様々な薬剤に関する。肥満治療に使用される薬の例としては、オルリスタット(例えば、ALL1、XENICAL)、ロルカセリン(例えば、BELVIQ)、フェンテルミン-トピラマート(例えばQSYMIA)、シブトラミン(例えば、REDUCTIL又はMERJDIA)、リモナバン(ACOMPLIA)、エキセナチド(例えば、BYETTA)、プラムリンチド(例えば、SYMLIN)フェンテルミン、ベンズフェタミン、ジエチルプロピオン、フェンジメトラジン、ブプロピオン、及びメトホルミンが挙げられるがこれらに限定されない。食物中の特定の栄養素を吸収する身体の能力に干渉する薬剤、例えばオルリスタット(例えば、ALU、XENICAL)、グルコマンナン、及びグアーガムも追加薬剤に含まれる。食欲を抑制する薬剤、例えばカテコールアミン類及びそれらの誘導体(フェンテルミン及び他のアンフェタミン系薬剤など)、様々な抗うつ剤及び気分安定剤(例えば、ブプロピオン及びトピラマート)、食欲低下薬(例えばデクセドリン、ジゴキシン)も追加薬剤に含まれる。身体の代謝を上げる薬剤も追加薬剤に含まれる。
【0409】
いくつかの実施形態では、追加治療薬は、食欲抑制剤、神経伝達物質再取り込み阻害剤、ドーパミン作動薬、セロトニン作動薬、GABA作動性シグナル伝達の調節薬、抗けいれん薬、抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、P物質(NK1)受容体アンタゴニスト、メラノコルチン受容体アゴニスト及びアンタゴニスト、リパーゼ阻害剤、脂肪吸収阻害剤、エネルギー摂取又は代謝の調節薬、カンナビノイド受容体調節薬、嗜癖治療薬、メタボリックシンドローム治療薬、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)調節薬;ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)アンタゴニスト、心血管疾患治療薬、高トリグリセリド治療薬、低HDL治療薬、高コレステロール血症治療薬、及び高血圧治療薬の中から選択され得る。心血管疾患用の薬剤としては、スタチン(例えば、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、及びプラバスタチン)及びオメガ-3薬(例えば、LOVAZA、EPANQVA、VASCEPA、エステル化オメガ-3類、一般には魚油、オキアミ油、藻類油)が挙げられる。いくつかの実施形態では、追加薬剤は、アンフェタミン、ベンゾジアゼピン、スルホニルウレア、メグリチニド、チアゾリジンジオン、ビグアニド、β-ブロッカー、XCE阻害剤、利尿薬、硝酸塩、カルシウムチャネル遮断薬、フェンテルミン、シブトラミン、ロルカセリン、セチリスタット、リモナバン、タラナバン、トピラマート、ガバペンチン、バルプロ酸、ビガバトリン、ブプロピオン、チアガビン、セルトラリン、フルオキセチン、トラゾドン、ゾニサミド、メチルフェニデート、バレニクリン、ナルトレキソン、ジエチルプロピオン、フェンジメトラジン、レパグリニド、ナテグリニド、グリメピリド、メトホルミン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、及びシタグリプチンの中から選択され得る。
【0410】
いくつかの実施形態では、本発明は、追加治療薬として糖尿病治療に使用される薬剤に関する。抗糖尿病薬の例としては、スルホニルウレア(例えば、DYMELOR(アセトヘキサミド)、DIABINESE(クロルプロパミド)、ORINASE(トルブタミド)、及びTOLINASE(トラザミド)、GLUCOTROL(グリピジド)、GLUCOTROL XL(徐放性)、DIABETA(グリブリド)、MICRONASE(グリブリド)、GLYNASE PRESTAB(グリブリド)、及びAMARYL(グリメピリド));ビグアナイド(例えば、メトホルミン(GLUCOPHAGE、GLUCOPHAGE XR、RIOMET、FORTAMET、及びGLUMETZA));チアゾリジンジオン(例えば、ACTOS(ピオグリタゾン)及びAVANDIA(ロシグリタゾン);α-グルコシダーゼ阻害剤(例えば、PRECOSE(アカルボース)及びGLYSET(ミグリトール);メグリチニド(例えば、PRANDIN(レパグリニド)及びSTARLIX(ナテグリニド));ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)阻害剤(例えば、JANUVIA(シタグリプチン)、NESINA(アログリプチン)、ONGLYZA(サキサグリプチン)、及びTRADJENTA(リナグリプチン));ナトリウム-グルコース共役輸送体2(SGLT2)阻害剤(例えば、INVOKANA(カナグリフロジン))、及び混合丸剤(例えば、グリブリド(スルホニルウレア)とメトホルミンの合剤であるGLUCOVANCE、グリピジド(スルホニルウレア)とメトホルミンの合剤であるMETAGLIP、及び1錠の丸剤の中にメトホルミンとロシグリタゾン(AVANDIA)の両方を使用しているAVANDAMET、KAZANO(アログリプチン及びメトホルミン)、OSENI(アログリプチンとピオグリタゾン)、経口METFORMIN、経口ACTOS、BYETTA皮下注、経口JANUVIA、経口WELCHOL、経口JANUMET、経口グリピジド、経口グリメピリド、経口GLUCOPHAGE、LANTUS皮下注、経口グリブリド、経口ONGLYZA、経口AMARYI、LANTUS SOLOSTAR皮下注、BYDUREON皮下注、LEVEMIR FLEXPEN皮下注、経口ACTOPLUS MET、経口GLUMETZA、経口TRADJENTA、経口ブロモクリプチン、経口KOMBIGLYZE XR、経口INVOKANA、経口PRANDIN、LEVEMIR皮下注、経口PARLODEL、経口ピオグリタゾン、NOVOLOGグ皮下注、NOVOLOG FLEXPEN皮下注、VICTOZA 2-PAK皮下注、HUMALOG皮下注、経口STARLIX、経口FORTAMET、経口GLUCOVANCE、経口GLUCOPHAGE XR、NOVOLOG Mix 70-30 FLEXPEN皮下注、経口GLYBURIDE-METFORMIN、経口アカルボース、SYMLINPEN 60皮下注、経口GLUCOTROI XL、NOVOLIN R注、経口GLUCOTROL、経口DUETACT、経口シタグリプチン、SYMLINPEN 120皮下注、HUMALOG KWIKPEN皮下注、経口JANUMET XR、経口GLIPIZIDE-METFORMIN、経口CYCLOSET、HUMALOG MIX 75-25皮下注、経口ナテグリニド、HUMALOG MIX 75-25 KWIKPEN皮下注、皮下HUMULIN 70/30、経口PRECOSE、皮下APIDRA、ヒューマリンR注、経口ジェンタデュエット、ビクトーザ 3-パック皮下注、ノボリン70/30皮下注、NOVOLIN N皮下注、インスリンデテミル皮下注、経口微粒子化グリブリド、経口GLYNASE、HUMULIN N皮下注、インスリングラルギン皮下注、経口RIOMET、経口ピオグリタゾン-メトホルミン、APIDRA SOLOSTAR皮下注、インスリンリスプロ皮下注、経口GLYSET、HUMULIN 70/30 Pen 皮下注、経口コレセベラム、経口シタグリプチン-メトホルミン、経口DIABETA、ヒトインスリンレギュラー注、HUMULIN N Pen皮下注、エキセナチド皮下注、HUMALOG Mix 50-50 KWIKPEN皮下注、リラグルチド皮下注、経口KAZANO、経口レパグリニド、経口クロルプロパミド、インスリンアスパルト皮下注、NOVOLOG Mix 70-30皮下注、HUMALOG Mix 50-50皮下注、経口サキサグリプチン、経口ACTOPLUS Met XR、経口ミグリトール、組換えNPHヒトインスリン皮下注、NPHインスリン及びヒトインスリンレギュラー皮下注、経口トラザミド、経口ミフェプリストン、インスリンアスパルトプロタム-インスリンアスパルト皮下注、経口レパグリニド-メトホルミン、経口サキサグリプチン-メトホルミン、経口リナグリプチン-メトホルミン、経口NESINA、経口OSENI、経口トルブタミド、インスリンリスプロ・プロタミン及びインスリンリスプロ皮下注、プラムリンチド皮下注、インスリングルリジン皮下注、経口ピオグリタゾン-グリメピリド、経口PRANDIMET、NOVOLOG PenFill皮下注、経口リナグリプチン、皮下注用エキセナチド細粒、経口KORLYM、経口アログリプチン、経口アログリプチン-ピオグリタゾン、経口アログリプチン-メトホルミン、経口カナグリフロジン、リスプロ(HUMALOG);アスパルト(NOVOLOG);グルリジン(APIDRA);レギュラー(NOVOLIN R又はHUMULIN R);NPH(NOVOLIN N又はHUMULIN N);グラルギン(LANTUS);デテミル(LEVEMIR);HUMULIN又はNOVOLIN 70/30、及びNOVOLOG Mix 70/30 HUMALOG MIX 75/25又は50/50が挙げられるがこれらに限定されない。
【0411】
いくつかの実施形態では、本発明は輸血との併用療法に関する。例えば、本開示の組成物は輸血を補う。いくつかの実施形態では、本発明は鉄補給剤との併用療法に関する。
【0412】
いくつかの実施形態では、本発明は、1種類又は複数種類のEPO系薬剤との併用療法に関する。例えば、本開示の組成物は他のEPO系薬剤に対するアジュバントとして使用され得る。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、他のEPO系薬剤に対する維持療法として使用される。他のEPO系薬剤は以下のもの、すなわち、DARBEPOETIN(Aranesp社)、EPOCEPT(Lupin Pharma社)、NANOKINE(Nanogen Pharmaceutical社)、EPOFIT(Intas Pharma社)、EPOGEN(Amgen社)、EPOGIN、EPREX、(Janssen-Cilag社)、BINOCRIT(Sandoz社)、PROCRITを含むがこれらに限定されないエポエチンα;NEORECORMON(Hoffmann-La Roche社)、RECORMON、メトキシポリエチレングリコール-エポエチンβ(MIRCERA;Roche社)を含むがこれらに限定されないエポエチンβ;DYNEPO(赤血球生成刺激タンパク質;Shire PLC社)を含むがこれに限定されないエポエチンδ;EPOMAXを含むがこれに限定されないエポエチンω;SILAPO(STADA社)及びRETACRIT(Hospira社)を含むがこれらに限定されないエポエチンζ、及び他のEPOを含み、それらの他のEPOにはEPOCEPT(Lupin Pharmaceuticals社)、EPOTRUST(Panacea Biotec社)、ERYPRO SAFE(Biocon社)、REPOITIN(Serum Institute Of India)、VINTOR(Emcure Pharmaceuticals社)、EPOFIT(Intas Pharma社)、ERYKINE(Intas Biopharmaceutica社)、WEPOX(Wockhardt Biotech社)、ESPOGEN(LG Life Sciences社)、RELIPOIETIN(Reliance Life Sciences社)、SHANPOIETIN(Shantha Biotechnics社)、ZYROP(Cadila Healthcar社)、EPIAO(RHUEPO社)(Shenyang Sunshine Pharmaceutica社)、CINNAPOIETIN(CINNAGEN社)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0413】
いくつかの実施形態では、本発明は1種類又は複数種類の免疫調節因子、例えば、限定されないが、免疫チェックポイントを調整する薬剤との併用療法に関する。様々な実施形態において、免疫調節因子は、PD-1、PD-L1、及びPD-L2のうちの1つ又は複数を標的とする。様々な実施形態において、免疫調節因子はPD-1阻害剤である。様々な実施形態において、免疫調節因子は、PD-1、PD-L1、及びPD-L2のうちの1つ又は複数に特異的な抗体である。例えば、いくつかの実施形態では、免疫調節因子は、限定されないが、ニボルマブ、(ONO-4538/BMS-936558、MDX1106、OPDIVO;Bristol Myers Squibb社)、ペムブロリズマブ(キイトルーダ;メルク社)、ピディリズマブ(CT-011;キュア・テック社)、MK-3475(メルク社)、BMS936559(ブBristol Myers Squibb社)、MPDL328OA(Roche社)などの抗体である。いくつかの実施形態では、免疫調節因子はCD137又はCD137Lのうちの1つ又は複数を標的とする。様々な実施形態において、免疫調節因子はCD137又はCD137Lのうちの1つ又は複数に特異的な抗体である。例えば、いくつかの実施形態では、免疫調節因子は、限定されないが、ウレルマブ(BMS-663513及び抗4-1BB抗体としても知られる)などの抗体である。いくつかの実施形態では本開示のキメラタンパク質は固形腫瘍及び/又はB細胞非ホジキンリンパ腫及び/又は頭頚部がん及び/又は多発性骨髄腫の治療のためにウレルマブと(所望によりニボルマブ、リリルマブ、及びウレルマブのうちの1つ又は複数と)組み合わせられる。いくつかの実施形態では、免疫調節因子は、CTLA-4、AP2M1、CD80、CD86、SHP-2、及びPPP2R5Aのうちの1つ又は複数を標的とする薬剤である。様々な実施形態において、免疫調節因子は、CTLA-4、AP2M1、CD80、CD86、SHP-2、及びPPP2R5Aのうちの1つ又は複数に特異的な抗体である。例えば、いくつかの実施形態では、免疫調節因子は、限定されないが、イピリムマブ(MDX-010、MDX-101、Yervoy;BMS社)及び/又はトレメリムマブ(Pfizer社)などの抗体である。いくつかの実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、黒色腫、前立腺がん、及び肺がんうちの1つ又は複数の治療のためにイピリムマブと(所望によりバビツキシマブと)組み合わせられる。様々な実施形態において、免疫調節因子はCD20を標的とする。様々な実施形態において、免疫調節因子はCD20に特異的な抗体である。例えば、いくつかの実施形態では、免疫調節因子は、限定されないが、オファツムマブ(Genmab社)、オビヌツズマブ(Gazyva社)、AME-133v(Applied Molecular Evolution社)、オクレリズマブ(Genentech社)、TRU-015(Trubion社/Emergent社)、ベルツズマブ(IMMU-106)などの抗体である。
【0414】
いくつかの実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法と併用された場合に相乗的に作用する。例示的な実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、腫瘍又はがんの治療においてCAR-T細胞療法と併用された場合に相乗的に作用する。ある実施形態では、キメラタンパク質は、血液系腫瘍の治療においてCAR-T細胞療法と併用された場合に相乗的に作用する。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、固形腫瘍の治療においてCAR-T細胞療法と併用された場合に相乗的に作用する。例えば、本開示のキメラタンパク質とCAR-T細胞の使用は、相乗的に作用して腫瘍又はがんを減少させるか又は除去するか、あるいは腫瘍若しくはがんの成長及び/又は進行及び/又は転移を遅らせることがある。様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質はCAR-T細胞の細胞分裂を誘導する。様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質はCAR-T細胞の増殖を誘導する。様々な実施形態において、本発明のキメラタンパク質はCAR-T細胞のアネルギーを防止する。
【0415】
様々な実施形態において、CAR-T細胞療法には、限定されないが、炭酸脱水素酵素IX(CAIX)、5T4、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD47、CS1、CD138、ルイスY抗原、L1-CAM、MUC16、ROR-1、IL13Rα2、gp100、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、B細胞成熟抗原(BCMA)、ヒトパピローマウイルス16E6型(HPV-16E6)、CD171、葉酸受容体α(FR-α)、GD2、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、メソテリン、EGFRvIII、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、癌胎児性抗原(CEA)、及び血管内皮細胞増殖因子受容体2(VEGF-R2)、並びに当技術分野においてよく知られている他の腫瘍抗原などの抗原(例えば、腫瘍抗原)を標的とするCAR-T細胞が含まれる。追加の腫瘍抗原の例としては、MART-1/メランA、gp100、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)、アデノシンデアミナーゼ結合タンパク質(ADAbp)、シクロフィリンb、大腸癌関連抗原(CRC)-0017-1A/GA733、癌胎児性抗原(CEA)及びその免疫原性のエピトープであるCAP-1及びCAP-2、etv6、aml1、前立腺特異的抗原(PSA)及びその免疫原性のエピトープであるPSA-1、PSA-2、及びPSA-3、T細胞受容体/CD3ζ鎖、MAGEファミリー腫瘍抗原(例えば、MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A5、MAGE-A6、MAGE-A7、MAGE-A8、MAGE-A9、MAGE-A10、MAGE-A11、MAGE-A12、MAGE-Xp2(MAGE-B2)、MAGE-Xp3(MAGE-B3)、MAGE-Xp4(MAGE-B4)、MAGE-C1、MAGE-C2、MAGE-C3、MAGE-C4、MAGE-C5)、GAGEファミリー腫瘍抗原(例えば、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、GAGE-8、GAGE-9)、BAGE、RAGE、LAGE-1、NAG、GnT-V、MUM-1、CDK4、チロシナーゼ、p53、MUCファミリー、HER2/neu、p21ras、RCAS1、α-フェトプロテイン、E-カドヘリン、α-カテニン、β-カテニン及びγ-カテニン、p120ctn、gp100 Pmel117、PRAME、NY-ESO-1、cdc27、大腸腺腫症タンパク質(APC)、フォドリン、コネキシン37、Igイディオタイプ、p15、gp75、GM2及びGD2ガングリオシド、ヒトパピローマウイルスタンパク質などのウイルス産物、Smadファミリー腫瘍抗原、lmp-1、NA、EBVコード核内抗原(EBNA)-1、脳グリコーゲンホスホリラーゼ、SSX-1、SSX-2(HOM-MEL-40)、SSX-1、SSX-4、SSX-5、SCP-1CT-7、c-erbB-2、CD19、CD37、CD56、CD70、CD74、CD138、AGS16、MUC1、GPNMB、Ep-CAM、PD-L1、及びPD-L2が挙げられるがこれらに限定されない。
【0416】
例示的なCAR-T細胞療法としては、JCAR014(Juno Therapeuticsス社)、JCAR015(Juno Therapeutics社)、JCAR017(Juno Therapeutics社)、JCAR018(Juno Therapeutics社)、JCAR020(Juno Therapeutics社)、JCAR023(Juno Therapeutics社)、JCAR024(Juno Therapeutics社)、CTL019(Novartis社)、KTE-C19(Kite Pharma社)、BPX-401(Bellicum pharmaceuticals社)、BPX-501(Bellicum pharmaceuticals社)、BPX-601(Bellicum pharmaceuticals社)、bb2121(Bluebird Bio社)、CD-19スリーピングビューティー細胞(Ziopharm Oncology社)、UCART19(Cellectis社)、UCART123(Cellectis社)、UCART38(Cellectis社)、UCARTCS1(Cellectis社)、OXB-302(Oxford BioMedica社)、MB-101(Mustang Bio社)及びInnovative Cellular Therapeutics社によって開発されたCAR-T細胞が挙げられるがこれらに限定されない。
【0417】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、多発性硬化症(MS)を併用治療する方法において、3-インターフェロン、グラチラマー酢酸塩、T-インターフェロン、IFN-β-2(米国特許出願公開第2002/0025304号)、スピロゲルマニウム(例えば、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-2-アザ-8,8-ジメチル-8-ゲルマンスピロ[4:5]デカン、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-2-アザ-8,8-ジエチル-8-ゲルマスピロ[4:5]デカン、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-2-アザ-8,8-ジプロピル-8-ゲルマスピロ[4:5]デカン、及びN-(3-ジメチルアミノプロピル)-2-アザ-8,8-ジブチル-8-ゲルマスピロ[4:5]デカン)、ビタミンD類似体(例えば、1,25(OH)2D3(例えば、米国特許第5,716,946号を参照されたい))、プロスタグランジン(例えば、ラタノプロスト、ブリモニジン、PGE1、PGE2及びPGE3;例えば、米国特許出願公開第2002/0004525号を参照されたい)、テトラサイクリン及び誘導体(例えば、ミノサイクリン及びドキシサイクリン;例えば、米国特許出願公開第2002/0022608号を参照されたい)、VLA-4結合抗体(例えば、米国特許出願公開第2009/0202527号を参照されたい)、副腎皮質刺激性ホルモン、副腎皮質ステロイド、プレドニゾン、メチルプレドニゾン、2-クロロデオキシアデノシン、ミトキサントロン、スルファサラジン、メトトレキサート、アザチオプリン、シクロホスファミド、サイクロスポリン、フマル酸塩、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)、及びチザニジン塩酸塩を含むがこれらに限定されない1種類又は複数種類のMS治療薬と共に使用される。
【0418】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、MSの1種類又は複数種類の症状を治療する1種類又は複数種類の治療薬と併用される。そのような作用物質としては、アマンタジン、バクロフェン、パパベリン、メクリジン、ヒドロキシジン、スルファメトキサゾール、シプロフルオキサシン、ドクサート、ペモリン、ダントロレン、デスモプレシン、デキサメタゾン、トルテロジン、フェニトイン、オキシブチニン、ビサコジル、ベンラファキシン、アミトリプチリン、メテナミン、クロナゼパム、イソニアジド、バルデナフィル、ニトロフラントイン、サイリウム親水性ムシロイド、アルプロスタジル、ガバペンチン、ノルトリプチリン、パロキセチン、臭化プロパンテリン、モダフィニル、フルオキセチン、フェナゾピリジン、メチルプレドニゾロン、カルバマゼピン、イミプラミン、ジアゼパム、シルデナフィル、ブプロピオン、及びセルトラリンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0419】
いくつかの実施形態では、本開示のキメラタンパク質は、本明細書に記載される疾患修飾療法(DMT)(例えば、表Aに記載の薬剤)のうちの1種類又は複数種類の療法と共に多発性硬化症を併用治療する方法において使用される。いくつかの実施形態では、本発明は、1種類又は複数種類の本開示の結合薬剤を使用しない本明細書に記載されるDMT(例えば、下記の表に記載される薬剤)のうちの1種類又は複数種類を使用する場合と比較して改善された治療効果を実現する。ある実施形態では、本開示のキメラタンパク質と1種類又は複数種類のDMTを組み合わせることによって相乗的な治療効果が生じる。
【0420】
【表1】



【0421】
MS疾患の進行は、疾患進行の初期において最も強く、且つ、最も有害であり得る。よって、例えば費用及び副作用の軽減を考慮した、多くの費用費還付政策及び医師の診療とは反対に、長期疾患状態の患者には最も強力なDMT、例えばいわゆる第二選択療法で治療を開始することが最も有益であり得る。いくつかの実施形態では、第二選択療法と組わせたキメラタンパク質での治療法によって患者が治療される。そのような組合せは1種類又は複数種類の第二選択療法の副作用プロファイルを低減するために使用される。いくつかの実施形態では、前記組合せは、1種類又は複数種類の第二選択療法の投与回数を低減するために使用される。例えば、組み合わせることで上に提示した表に記載された薬剤の用量が、約50%、又は約40%、又は約30%、又は約25%減少する場合があり、及び/又は投与回数が半分又は3分の1に減る場合があり、又は例えば、毎日から1日おき又は1週間に1回、1日おきから1週間に1回又は2週間に1回、1週間に1回から2週間に1回又は月に1回などに減る場合がある。よって、いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、より便利な治療法を可能にすることで患者アドヒアランスを向上させる。さらに、いくつかのDMTには生涯投与量制限の目安があり、例えば、ミトキサントロンについては、140mg/mの生涯累積投与量又は2~3年間の治療期間に厳密に制限されているはずである。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質を追加することでこのDMTによる低用量又は低頻度の投与が可能になり、それにより患者は継続してミトキサントロンを利用することができる。
【0422】
いくつかの実施形態では、患者は1種類又は複数種類のDMTを使用する治療を受けたことがない未処置の患者であり、キメラタンパク質は第二選択療法の副作用を緩和するために使用される。よって、未処置の患者は疾患の発端時に第二選択療法の長期利益の恩恵を受けることができる。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は第二選択療法の使用に先立つ入口療法として使用される。例えば、キメラタンパク質は疾患を安定化させるために約3か月の初期治療期間にわたって投与される場合があり、その後に患者は第二選択薬剤の維持療法に移行する場合がある。
【0423】
未処置の患者は、1種類又は複数種類のDMTを受けたことがあり、おそらくは不首尾に終わった患者と比較して治療に応答する可能性が高いと一般に考えられている。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、1種類又は複数種類のDMTを受けたことがあり、おそらくは不首尾に終わった患者において使用される。例えば、いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、1種類又は複数種類のDMTを受けたことがあり、おそらくは不首尾に終わった患者において治療効果を高め、これらの患者が未処置の患者のように応答することを可能にし得る。
【0424】
いくつかの実施形態では、患者は1種類又は複数種類のDMTを使用する治療を受けたことがあるか、又は受けているところであり、且つ、よく応答していない。例えば、患者は治療抵抗性であるか、又は1種類又は複数種類のDMTに対する応答性が乏しい場合がある。いくつかの実施形態では、患者は治療抵抗性であるか、又はテリフルノミド(AUBAGIO(Genzyme社))、インターフェロンβ-1a(AVONEX(Biogen Idec社)、インターフェロンβ-1b(BETASERON(Bayer Healthcare Pharmaceuticals社)、グラチラマー酢酸塩(COPAXONE(TEVA Neuroscience社)、インターフェロンβ-1b(EXTAVIA(Novartis Pharmaceuticals社)、フィンゴリモド(GILENYA(Novartis Pharmaceuticals社)、アレムツズマブ(LEMTRADA(Genzyme社)、ミトキサントロン(NOVANTRONE(EMD Serono社)、PEG化インターフェロンβ-1a(PLEGRIDY(Biogen Idec社)、インターフェロンβ-1a(REBIF(EMDセローノ社)、フマル酸ジメチル(BG-12)(TECFIDERA(Biogen Idec社)、及びナタリズマブ(TYSABRI(Biogen Idec社)のうちの1つ又は複数に対する応答性が乏しい。いくつかの実施形態では、本開示の1種類又は複数種類の結合薬剤は、患者における1種類又は複数種類のDMTの治療上の利益を達成し、したがってそのDMTに対する非応答性を抑制又は除去する。例えば、これにより、より高い用量又は頻度で1種類又は複数種類のDMTを使用する患者の治療を免れる場合がある。
【0425】
より侵攻性の疾患を有する患者では、アプローチの一つとして、強力な効力を有するが安全性への懸念が高い治療法が最初に行なわれて続いて維持療法が行われる誘導性治療モデルある。そのようなモデルの一例としては、アレムツズマブを使用する初期治療及びそれに続くIFN-β、GA、又はBG-12による治療が挙げられ得る。いくつかの実施形態では、本開示の1種類又は複数種類の結合薬剤は、維持のために治療法を切り換える必要性を未然に防ぐために使用される。いくつかの実施形態では、本開示の1種類又は複数種類の結合薬剤は、第二選択療法を含む1種類又は複数種類のDMTに対する維持療法として使用される。いくつかの実施形態では、本開示の1種類又は複数種類の結合薬剤が誘導性治療において第一療法として使用され、続いて、例えば、第一選択療法などの維持療法として、別のDMTが使用される。
【0426】
いくつかの実施形態では、本開示の1種類又は複数種類の結合薬剤は、疾患を安定化させるために約3か月の初期治療期間にわたって投与されてよく、その後、患者は第一選択薬剤の維持療法に移行されてもよい。
【0427】
様々な実施形態において、本開示の1種類又は複数種類の結合薬剤は、限定されないが、本明細書に開示されるいずれかの薬剤を含むDMTの1種類又は複数種類の副作用を抑制するために使用される。例えば、本開示の1種類又は複数種類の結合薬剤は、1種類又は複数種類のDMTの投与量の節約を可能にし、したがって副作用を少なくする投与法において使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、本開示の1種類又は複数種類の結合薬剤は、AUBAGIO又は関連する薬剤の1種類又は複数種類の副作用の抑制が可能であり、それらの副作用には、薄毛、下痢、インフルエンザ、吐き気、異常な肝臓試験値及び異常な手足の痺れ又は刺痛(感覚異常)、感染症のリスクを高め得る白血球レベル、血圧上昇、及び重篤な肝臓障害が含まれ得る。いくつかの実施形態では、本開示の1種類又は複数種類の結合薬剤は、AVONEX又は関連する薬剤の1種類又は複数種類の副作用の抑制が可能であり、それらの副作用には、注射後のインフルエンザ様症状、鬱、中程度の貧血、肝臓異常、アレルギー性反応、及び心臓の問題が含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の1種類又は複数種類の結合薬剤は、BETASERON又は関連する薬剤の1種類又は複数種類の副作用の抑制が可能であり、それらの副作用には、注射後のインフルエンザ様症状、注射部位反応、アレルギー性反応、鬱、肝臓異常、及び低白血球数が含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の1種類又は複数種類の結合薬剤は、COPAXONE又は関連する薬剤の1種類又は複数種類の副作用の抑制が可能であり、それらの副作用には、注射部位反応、血管拡張(血管の拡大)、胸痛、並びに不安感、胸痛、動悸、息切れ、及び紅潮を含む注射直後の反応が含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の1種類又は複数種類の結合薬剤は、EXTAVIA又は関連する薬剤の1種類又は複数種類の副作用の抑制が可能であり、それらの副作用には、注射後のインフルエンザ様症状、注射部位反応、アレルギー性反応、鬱、肝臓異常、及び低白血球数が含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の1種類又は複数種類の結合薬剤は、GILENYA又は関連する薬剤の1種類又は複数種類の副作用の抑制が可能であり、それらの副作用には、頭痛、インフルエンザ、下痢、背部痛、肝臓酵素値上昇、咳、初回投与後の心拍数低下、感染症、及び眼球膨張が含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の1種類又は複数種類の結合薬剤は、LEMTRADA又は関連する薬剤の1種類又は複数種類の副作用の抑制が可能であり、それらの副作用には、発疹、頭痛、発熱、鼻づまり、吐き気、尿路感染症、疲労感、不眠症、上気道感染症、じんましん、痒み、甲状腺障害、真菌感染症、関節、四肢、及び背中の痛み、下痢、嘔吐、紅潮、及び輸注反応(吐き気、じんましん、痒み、不眠症、悪寒、紅潮、疲労感、息切れ、味覚変化、消化不良、めまい、疼痛を含む)が含まれる。いくつかの実施形態では本開示の1種類又は複数種類の結合薬剤は、NOVANTRONE又は関連する薬剤の1種類又は複数種類の副作用の抑制が可能であり、それらの副作用には、投与から24時間後の青緑色の尿、感染症、骨髄抑制(疲労感、皮下出血、低血液細胞数)、吐き気、薄毛、膀胱感染症、口の痛み、並びに重篤な肝臓及び心臓の障害が含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の1種類又は複数種類の結合薬剤は、PLEGRIDY又は関連する薬剤の1種類又は複数種類の副作用の抑制が可能であり、それらの副作用には、注射後のインフルエンザ様症状、注射部位反応、鬱、中程度の貧血、肝臓異常、アレルギー性反応、及び心臓の問題が含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の1種類又は複数種類の結合薬剤は、REBIF又は関連する薬剤の1種類又は複数種類の副作用の抑制が可能であり、それらの副作用には、注射後のインフルエンザ様症状、注射部位反応、肝臓異常、鬱、アレルギー性反応、及び低赤血球数又は白血球数が含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の1種類又は複数種類の結合薬剤は、TECFIDERA又は関連する薬剤の1種類又は複数種類の副作用の抑制が可能であり、それらの副作用には、紅潮(熱感又は痒み及び皮膚の発赤)、胃腸の問題(吐き気、下痢、腹痛)、発疹、タンパク尿、肝臓酵素値上昇、及び血中リンパ球(白血球)数の減少が含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の1種類又は複数種類の結合薬剤は、TYSABRI又は関連する薬剤の1種類又は複数種類の副作用の抑制が可能であり、それらの副作用には、頭痛、疲労感、尿路感染症、鬱、気道感染症、関節痛、胸やけ、腹部不快感、下痢、膣炎、腕又は脚の痛み、発疹、点滴から2時間以内のアレルギー性反応又は過敏症反応(めまい、発熱、発疹、痒み、吐き気、紅潮、低血圧、息苦しさ、胸痛)が含まれる。
【0428】
いくつかの実施形態では、本発明は、内容全体が参照により本明細書に取り込まれる国際公開第2013/10779号、国際公開第2015/007536号、国際公開第2015/007520号、国際公開第2015/007542号、及び国際公開第2015/007903号に記載される1種類又は複数種類のキメラ作用物質との併用療法に関する。
【0429】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるキメラタンパク質は、修飾されている誘導体、すなわち、任意の種類の分子のその組成物への共有結合により、その共有結合がその組成物の活性を妨害しないように修飾されている誘導体を含む。例えば、限定されないが、誘導体としては、特に、グリコシル化、脂質化、アセチル化、PEG化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞性リガンド又は他のタンパク質への結合などによって修飾されている組成物が挙げられる。特異的な化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含むがこれらに限定されない公知の方法によって多数の化学的修飾のうちのいずれかを実施することができる。
【0430】
さらに他の実施形態では、本明細書に記載されるキメラタンパク質は細胞傷害性薬剤をさらに含み、例示的な実施形態では、毒素、化学療法剤、放射性同位体、及びアポトーシス又は細胞死を引き起こす薬剤を含む。本明細書に記載される組成物にはそのような薬剤が複合体化され得る。
【0431】
したがって、本明細書に記載されるキメラタンパク質は、化学リンカー、例えば蛍光色素、酵素、基質、生物発光物質、放射性物質、及び化学発光部分などの検出可能部分、又は例えばストレプトアビジン、アビジン、ビオチン、細胞毒素、細胞傷害剤、及び放射性物質などの機能性部分など、エフェクター部分を翻訳後に付加するために改変される場合がある。
【0432】
細胞傷害剤の例としては、メトトレキサート、アミノプテリン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシル、ダカルバジン;メクロレタミン、チオテパ、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、マイトマイシンC、ロムスチン(CCNU)、1-メチルニトロソウレア、シクロホスファミド、メクロレタミン、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、cis-ジクロロジアミンプラチナ(II)(DDP)シスプラチン、及びカルボプラチン(パラプラチン)などのアルキル化剤;ダウノルビシン(以前のダウノマイシン)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、デトルビシン、カルミノマイシン、イダルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、及びビサントレンを含むアントラサイクリン類;ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ブレオマイシン、カリチアマイシン、ミトラマイシン、及びアントラマイシン(AMC)を含む抗生物質;及びビンカアルカロイド、ビンクリスチン、及びビンブラスチンなどの抗有糸分裂剤が挙げられるがこれらに限定されない。他の細胞傷害剤としては、パクリタキセル(タキソール)、リシン、緑膿菌外毒素、ゲムシタビン、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、エトポシド、テニポシド、コルヒチン、ジヒドロキシアントラシンジオン(dihydroxy anthracin dione)、1-デヒドロテストステロン、糖質コルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、アスパラギナーゼ、副腎皮質ステロイド、ミトタン(O,P’-(DDD))、インターフェロン、及びこれらの細胞傷害剤の混合物が挙げられる。
【0433】
その他の細胞傷害剤にはカルボプラチン、シスプラチン、パクリタキセル、ゲムシタビン、カリチアマイシン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、シクロホスファミド、ビンクリスチン、ブレオマイシン、VEGFアンタゴニスト、EGFRアンタゴニスト、プラチン類、タキソール類、イリノテカン、5-フルオロウラシル、ゲムシタビン、ロイコボリン、ステロイド類、シクロホスファミド、メルファラン、ビンカアルカロイド類(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、及びビノレルビン)、ムスチン、チロシンキナーゼ阻害剤、放射線療法、性ホルモンアンタゴニスト、選択性アンドロゲン受容体調節薬、選択性エストロゲン受容体調節薬、PDGFアンタゴニスト、TNFアンタゴニスト、IL-1アンタゴニスト、インターロイキン(例えばIL-12又はIL-2)、IL-12Rアンタゴニスト、毒素結合モノクローナル抗体、腫瘍抗原特異的モノクローナル抗体、アービタックス、アバスチン、ペルツズマブ、抗CD20抗体、リツキサン、オクレリズマブ、オファツムマブ、DXL625、ハーセプチン(登録商標)、又はそれらの任意の組合せなどの化学療法剤が含まれるがこれらに限定されない。リシン、ジフテリア毒素、及び緑膿菌毒素などの植物及び細菌に由来する毒性酵素を、治療薬(例えば抗体)に複合体化して細胞種特異的死滅試薬をしてもよい(Youle,et al.、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA、77:pp.5483(1980)、Gilliland,et al.、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA、77:pp.4539(1980)、Krolick,et al.、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA、77:pp.5419(1980))。
【0434】
他の細胞傷害剤としては、米国特許第6,653,104号内でGoldenbergによって説明されているような細胞傷害性リボヌクレアーゼが挙げられる。本発明の実施形態は、α粒子又はβ粒子を放射する放射性核種が複合体形成剤を使用して、又は使用せずに、安定的に本開示のキメラタンパク質に結合している放射性免疫複合体にも関する。そのような放射性核種には、リン-32、スカンジウム-47、銅-67、ガリウム-67、イットリウム-88、イットリウム-90、ヨウ素-125、ヨウ素-131、サマリウム-153、ルテチウム-177、レニウム-186、又はレニウム-188などのβ放射体、及びアスタチン-211、鉛-212、ビスマス-212、ビスマス-213、又はアクチニウム-225などのα放射体が含まれる。
【0435】
検出可能部分の例としては、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、及びルシフェラーゼがさらに挙げられるがこれらに限定されない。その他の蛍光物質の例としては、ローダミン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ウンベリフェロン、ジクロロトリアジニルアミン、フィコエリトリン、及び塩化ダンシルが挙げられるがこれらに限定されない。その他の化学発光部分の例としてはルミノールが含まれるがこれらに限定されない。その他の生物発光物質の例としては、ルシフェリン及びエクオリンが挙げられるがこれらに限定されない。その他の放射性物質の例としては、ヨウ素-125、炭素-14、硫黄-35、トリチウム、及びリン-32が挙げられるがこれらに限定されない。
【0436】
治療方法
本明細書に記載される方法と組成物は、がん、感染症、免疫障害、貧血、自己免疫疾患、心血管疾患、創傷治癒、虚血関連疾患、神経変性疾患、代謝性疾患、並びに他の多くの疾患及び障害を含むがこれらに限定されない様々な疾患及び障害の治療に適用される。
【0437】
さらに、本開示の作用物質のうちのいずれも、がん、感染症、免疫障害、炎症性疾患又は症状、及び自己免疫疾患を含むがこれらに限定されない様々な疾患及び障害の治療に、又はそれらの様々な疾患及び障害を治療するための医薬の製造に使用され得る。
【0438】
いくつかの実施形態では、本発明は、慢性肉芽腫症、大理石骨病、特発性肺線維症、フリードライヒ運動失調症、アトピー性皮膚炎、シャーガス病、がん、心不全、自己免疫疾患、鎌状赤血球症、サラセミア、失血、輸血反応、糖尿病、ビタミンB12欠乏症、コラーゲン血管疾患、シュワックマン症候群、血小板減少性紫斑病、セリアック病、甲状腺機能低下症又はアジソン病などの内分泌不全状態、クローン病などの自己免疫疾患、全身性エリテマトーデス、リウマチ性関節炎又は若年性リウマチ性関節炎、潰瘍性大腸炎、好酸球性筋膜炎などの免疫障害、低免疫グロブリン血症、又は胸腺腫/胸腺がん、移植片対宿主病、前白血病、非造血系症候群(例えばダウン症候群、デュボヴィッツ症候群、ゼッケル症候群)、フェルティー症候群、溶血性尿毒症症候群、骨髄異形成症候群、発作性夜間ヘモグロビン尿症、骨髄線維症、汎血球減少症、赤芽球癆、シェーンライン・ヘノッホ紫斑病、マラリア、タンパク質欠乏症、月経過多、全身性硬化症、肝硬変、代謝低下状態、及びうっ血性心不全のうちの1つ又は複数の治療に関し、又はそれらのうちの1つ又は複数を有する患者に関する。
【0439】
いくつかの実施形態では、本発明は、慢性肉芽腫症、大理石骨病、特発性肺線維症、フリードライヒ運動失調症、アトピー性皮膚炎、シャーガス病、マイコバクテリウム感染症、癌、強皮病、肝炎、C型肝炎、敗血症ショック、及びリウマチ性関節炎のうちの1つ又は複数の治療に関し、又はそれらのうちの1つ又は複数を有する患者に関する。
【0440】
いくつかの実施形態では、本発明は、がんの治療、又はがんを有する患者に関する。本明細書において使用される場合、がんとは身体の器官及び系の正常な機能実行に干渉し得る任意の無制御細胞増殖であり、がんには原発腫瘍と転移腫瘍の両方が含まれる。元の場所から移動し、且つ、生命維持に必要な器官に広まった原発腫瘍又は原発がんはそれらの冒された器官の機能悪化を介して最終的に対象の死を引き起こし得る。転移がんは原発腫瘍由来がん細胞の身体の他の部分への転移の結果として生じる癌細胞又はがん細胞群であり、原発腫瘍の場所とは異なる。転移がんは最終的に対象の死を引き起こす場合がある。例えば、がんには良性及び悪性のがん、ポリープ、過形成、並びに休眠腫瘍又は微小転移巣が含まれ得る。
【0441】
治療され得るがんの例としては、細胞腫、例えば、腺がん、基底細胞がん、扁平上皮がん、及び移行上皮がん)、肉腫(例えば、骨肉腫及び軟組織肉腫を含む)、白血病(例えば、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、及び有毛細胞白血病を含む)、リンパ腫及び骨髄腫(例えば、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、軽鎖骨髄腫、非分泌型骨髄腫、MGUS、及び形質細胞腫を含む)、及び中枢神経系がん(例えば、脳がん(例えば、神経膠腫(例えば星状細胞腫、希突起神経膠腫、及び上衣腫)、髄膜腫、下垂体腺腫、及び神経腫)、及び脊髄腫瘍(例えば髄膜腫及び神経繊維腫))含む様々なサブタイプのものなどの細胞腫が挙げられるがこれらに限定されない。
【0442】
治療され得るがんの例としては、基底細胞がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん、脳及び中枢神経系のがん、乳癌、腹膜がん、子宮頸部がん、絨毛癌、大腸がん、結合組織がん、消化器がん、子宮内膜がん、食道がん、眼のがん、頭頚部がん、胃がん(胃腸がんを含む)、神経膠芽腫、肝細胞癌、肝癌、上皮内新生物、腎臓がん、喉頭がん、白血病、肝臓がん、肺がん(例えば、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔がん(口唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸がん、呼吸器がん、唾腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮がん、胃がん、精巣がん、甲状腺癌がん、子宮又は子宮内膜のがん、泌尿器がん、外陰がん、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫並びにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、及びワルデンストレーム型マクログロブリン血症を含む)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病、並びに他のがん及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、並びに母斑症に関連する異常血管増殖、浮腫(例えば脳腫瘍に関連する浮腫)、及びメグズ症候群が挙げられるがこれらに限定されない。
【0443】
様々な実施形態において、本発明は、Myc誘発性のがん、すなわちMycを過剰発現するがん細胞の治療に関する。いくつかの実施形態では、それらの癌細胞は、c-Myc、N-Myc、及び/又はL-Mycのうちのいずれか1つを過剰発現する。いくつかの実施形態では、本発明の方法によって、がん細胞は本明細書に記載される抗癌治療薬のうちのいずれか1つを使用する治療に対して感受性になる。いくつかの実施形態では、本発明の方法によって、がん細胞の転写活性が低下する。
【0444】
いくつかの実施形態では、本発明は、微生物感染症及び/又は慢性感染症の治療、あるいは微生物感染症及び/又は慢性感染症を有する患者に関する。感染症の例としては、シャーガス病、HIV/AIDS、結核、骨髄炎、B型肝炎、C型肝炎、エプスタイン・バーウイルス又はパルボウイルス、T細胞白血病ウイルス、細菌過剰症候群、真菌又は寄生生物の感染症が挙げられるがこれらに限定されない。
【0445】
様々な実施形態において、本開示の組成物は、1種類又は複数種類の炎症性疾患又は症状、例えば、炎症、急性炎症、慢性炎症、呼吸器疾患、アテローム性硬化症、再狭窄、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、敗血症ショック、リウマチ性関節炎、炎症性腸疾患、骨盤内炎症性疾患、疼痛、眼炎症性疾患、セリアック病、リー症候群、グリセロールキナーゼ欠損症、家族性好酸球増加症(FE)、常染色体劣性痙攣性運動失調症、炎症性喉頭疾患;結核、慢性胆嚢炎、気管支拡張症、珪肺症、及び他の塵肺症を治療又は予防するために使用される。
【0446】
様々な実施形態において、本開示の組成物は、1種類又は複数種類の自己免疫性疾患又は症状、例えば、多発性硬化症、真性糖尿病、ループス、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、ギラン・バレー症候群、硬皮、グッドパスチャー症候群、ウェゲナー肉芽腫症、自己免疫性てんかん、ラスムッセン脳炎、原発性胆管硬化症、硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、アジソン病、橋本甲状腺炎、線維筋痛症、メニエール症候群;移植拒絶(例えば、同種移植片拒絶反応の防止)悪性貧血、リウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、ライター症候群、グレーブス病、及び他の自己免疫疾患を治療又は予防するために使用される。
【0447】
様々な実施形態において、本開示の組成物は、冠動脈心疾患(CHD)、脳血管性疾患(CVD)、大動脈弁狭窄症、末梢血管疾患、アテローム性硬化症、動脈硬化症、心筋梗塞(心臓発作)、脳血管性疾患(脳卒中)、一過性虚血性発作(TIA)、狭心症(安定型及び不安定型)、心房細動、不整脈、弁膜症、及び/又はうっ血性心不全を含むがこれらに限定されない心臓及び血管を冒す疾患又は症状など、心血管疾患を治療、管理、又は予防するために使用される。
【0448】
様々な実施形態において、本開示の組成物は、1種類又は複数種類の代謝関連障害を治療又は予防するために使用される。様々な実施形態において、本発明は、1型糖尿病、2型糖尿病、及び肥満関連糖尿病を含む糖尿病の治療、管理、又は予防に有用である。本発明の組成物と方法は糖尿病関連障害の治療又は予防に有用であり、糖尿病関連障害には糖尿病性腎症、高血糖症、耐糖能異常、インスリン抵抗性、肥満、脂質異常症、脂質異常血症、高脂質血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル、高LDLレベル、アテローム性硬化症及びその続発症、血管再狭窄、過敏性腸症候群、クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患、他の炎症症状、膵臓炎、腹部肥満、神経変性疾患、網膜症、腫瘍性疾患、脂肪肉腫などの脂肪細胞腫瘍及び脂肪細胞がん、前立腺がん、並びに胃がん、乳がん、膀胱がん、及び結腸がんを含む他のがん、血管新生、アルツハイマー病、乾癬、高血圧、メタボリックシンドローム(例えば、以下の障害、すなわち腹部肥満、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール、高血圧、及び高空腹時血漿グルコースのうちの3つ以上を有する人物)、卵巣高アンドロゲン症(多嚢胞性卵巣症候群)、及びインスリン抵抗性が一要素である睡眠時無呼吸症などの他の障害が含まれるがこれらに限定されない。本発明の組成物及び方法は、遺伝的肥満又は環境的肥満を含む肥満、及び肥満関連障害の治療、管理、又は予防に有用である。本明細書において肥満関連障害は肥満に付随し、肥満が原因となり、又は肥満により生じる。肥満関連障害の例としては、肥満、糖尿病、多食症、過食症、及び大食症、高血圧、血漿中インスリン濃度上昇及びインスリン抵抗性、脂質異常血症、高脂血症、子宮内膜がん、乳がん、前立腺がん、腎臓がん、及び結腸がん、骨関節炎、閉塞型睡眠時無呼吸症、胆石、心疾患、異常心拍リズム及び不整脈、心筋梗塞、うっ血性心不全、冠動脈心疾患、突然死、脳卒中、多嚢胞性卵巣症、頭蓋咽頭腫、プラダー・ウィリー症候群、フレーリヒ症候群、GH欠損性対象、正常範囲内変異型小人症、ターナー症候群、及び代謝活性の低下又は総除脂肪体重の割合としての休息時エネルギー消費の低下を示す他の病態、例えば急性リンパ芽球性白血病の子供が挙げられる。肥満関連障害のその他の例は、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性症候群、生殖ホルモン異常症、性及び生殖機能不全、例えば男性における生殖障害、不稔、性腺機能不全症と女性における男性型多毛症、母体肥満に関連する胎児欠損、肥満関連胃食道逆流症などの胃腸運動障害、肥満低換気症候群(ピックウィック症候群)などの呼吸器障害、息切れ、心血管障害、血管の全身性炎症などの炎症、動脈硬化症、高コレステロール血症、腰痛、胆嚢疾患、高尿酸血症、痛風、及び腎臓がん、及び麻酔危険度の上昇である。本発明の組成物と方法はアルツハイマー病の治療にも有用である。
【0449】
様々な実施形態において、本開示の組成物は、1種類又は複数種類の呼吸器疾患、例えば特発性肺線維症(IPF)、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、肺血管収縮、炎症、アレルギー、呼吸障害、呼吸困難症候群、嚢胞性線維症、肺高血圧、肺血管収縮、肺気腫、ハンタウイルス肺性症候群(HPS)、レフラー症候群、グッドパスチャー症候群、胸膜炎、肺臓炎、肺水腫、肺線維症、サルコイドーシス、呼吸器合胞体ウイルス感染症の合併症、及び他の呼吸器疾患を治療又は予防するために使用される。
【0450】
いくつかの実施形態では、本発明は、1種類又は複数種類の神経変性疾患を治療又は予防するために使用される。神経変性疾患の例としては、フリードライヒ運動失調症、多発性硬化症(限定されないが、良性多発性硬化症、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)、二次性進行型多発性硬化症(SPMS)、進行性再発型多発性硬化症(PRMS)、及び一次性進行型多発性硬化症(PPMS)を含む)、アルツハイマー病(限定されないが、若年性アルツハイマー病、遅発性アルツハイマー病、及び家族性アルツハイマー病(FAD)を含む)、パーキンソン病とパーキンソン症候群(限定されないが、特発性パーキンソン病、血管性パーキンソン症、薬剤性パーキンソン症候群、レビー小体型認知症、遺伝性パーキンソン病、若年性パーキンソン病を含む)、ハンチントン病、筋委縮性側索硬化症(ALS;限定されないが、孤発性ALS、家族性ALS、西太平洋地域ALS、若年性ALS、平山病を含む)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0451】
様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質は、創傷、例えば、非治癒性創傷、潰瘍、火傷、又は凍傷、慢性又は急性創傷、開いているか又は閉じた創傷、内部又は外部の創傷(外部創傷の例は、貫通創傷及び非貫通創傷である)の治療に使用される。様々な実施形態において、本開示のキメラタンパク質は、虚血、非限定的な例では急性冠動脈虚血症候群、急性肺障害(ALI)、急性心筋梗塞(AMI)、急性呼吸困難症候群(ARDS)、動脈閉塞性疾患、動脈硬化症、関節軟骨欠損、無菌性全身炎症、アテローム性心血管疾患、自己免疫疾患、骨折、骨折、脳浮腫、脳灌流圧低下、バージャー病、火傷、がん、心血管疾患、軟骨損傷、脳梗塞、脳虚血、脳卒中、脳血管性疾患、化学療法誘発性末梢神経障害、慢性感染症、慢性腸管虚血、跛行、うっ血性心不全、結合組織損傷、打撲傷、冠動脈疾患(CAD)、重症虚血肢(CLI)、クローン病、深部静脈血栓症、深部創傷、潰瘍治癒遅延、創傷治癒遅延、糖尿病(I型及びII型)、糖尿病性神経障害、糖尿病誘発性虚血、播種性血管内凝固症候群(DIC)、塞栓性脳虚血、凍傷、移植片対宿主病、遺伝性出血性末梢血管拡張症、虚血性血管疾患、高酸素症、低酸素症、炎症、炎症性腸疾患、炎症性疾患、腱損傷、間欠性跛行症、腸管虚血、虚血、虚血性脳疾患、虚血性心臓疾患、虚血性末梢血管疾患、胎盤虚血、虚血性腎臓疾患、虚血性血管疾患、虚血性再灌流障害、裂傷、左主幹冠動脈疾患、虚血肢、下肢虚血、心筋梗塞、心筋虚血、器官虚血、骨関節炎、骨粗鬆症、骨肉腫、パーキンソン病、末梢動脈疾患(PAD)、末梢動脈疾患、末梢性虚血、末梢神経障害、末梢血管疾患、前がん、肺水腫、肺性塞栓、リモデリング疾患、腎虚血、網膜虚血、網膜症、敗血症、皮膚潰瘍、臓器移植、脊髄損傷、脳卒中、軟骨下骨嚢胞、血栓症、血栓性脳虚血、組織虚血、一過性虚血性発作(TIA)、外傷性脳損傷、潰瘍性大腸炎、腎臓の血管疾患、血管炎症、フォン・ヒッペル・リンダウ症候群、又は組織若しくは器官に対する創傷の治療に使用される。
【0452】
様々な実施形態において、本発明は、慢性腎臓疾患(例えば、透析)により生じる貧血、及び/又は抗がん剤(例えば、化学療法)により生じる貧血、及び/又はHIV治療(例えばジドブシン(INN)又はアジドチミジン(AZT))により生じる貧血を含む貧血、炎症性腸疾患(例えば、クローン病及び潰瘍性大腸炎)、炎症症状(例えば、関節炎、狼瘡、IBD)に関連する貧血、糖尿病に関連する貧血、精神分裂病、大脳マラリア、再生不良性貧血、及び癌の治療(例えば、化学療法及び/又は放射線)による脊髄形成異常、及び様々な骨髄異型性症候群(例えば、鎌状赤血球貧血、ヘモグロビンSC病、ヘモグロビンC病、アルファ及びベータサラセミア、早産後の新生児貧血、及び同等の症状)のうちの1つ又は複数の治療に関する。
【0453】
いくつかの実施形態では、本発明は、貧血、すなわち赤血球の数及び/又は赤血球に見られるヘモグロビンの量が正常に満たない状態の治療、又は貧血を有する患者に関する。様々な実施形態において、貧血は急性貧血でも慢性貧血でもよい。例えば、本開示の貧血としては、鉄欠乏性貧血、腎性貧血、慢性疾患/炎症の貧血、大球性胃酸欠乏性貧血、若年性悪性貧血、及び先天性悪性貧血などの悪性貧血、がん関連貧血、抗がん関連貧血(例えば化学療法関連貧血、放射線療法関連貧血)、赤芽球癆、過剰量の芽細胞を伴う難治性貧血、再生不良性貧血、X連鎖鉄芽球性貧血、溶血性貧血、鎌状赤血球貧血、ESAの産生不全に起因する貧血、脊髄形成異常症候群、低色素性貧血、小赤血球性貧血、鉄芽球性貧血、自己免疫性溶血性貧血、クーリー貧血、地中海性貧血、ダイアモンド・ブラックファン貧血、ファンコーニ貧血、及び薬剤誘発性溶血性貧血が挙げられるがこれらに限定されない。貧血は、低酸素症、慢性疲労症、集中力欠如、青白い肌、低血圧、めまい、及び心不全を含む重篤な症状の原因となることがある。
【0454】
いくつかの実施形態では、本発明は、慢性腎不全の結果生じる貧血の治療に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、透析、血液透析、腹膜透析、血液濾過、血液透析濾過、及び腎臓移植を含む1種類又は複数種類の腎代替療法を使用した結果生じる貧血の治療に関する。
【0455】
いくつかの実施形態では、本発明は、透析を受けていない慢性腎臓疾患の患者の治療に関する。例えば、本発明は、ステージ1のCKD、又はステージ2のCKD、又はステージ3のCKD、又はステージ4のCKD、又はステージ5のCKDの患者に関する。いくつかの実施形態では、本開示の患者は、ステージ4のCKD又はステージ5のCKDの患者である。いくつかの実施形態では、本患者は、腎臓移植を受けたことがある。いくつかの実施形態では、本発明は、急性腎障害(AKI)の患者の貧血の治療に関する。
【0456】
いくつかの実施形態では、貧血は化学療法によって誘発される。例えば、化学療法は任意の骨髄抑制性化学療法であってもよい。ある実施形態では、化学療法は、レブリミド、サロミド、デキサメタゾン、アドリアマイシン、及びドキシルのうちの1つ又は複数である。いくつかの実施形態では、化学療法は、シスプラチン(例えば、PLATINOL)及びカルボプラチン(例えば、PARAPLATIN)を含む1種類又は複数種類のプラチナ系薬品である。いくつかの実施形態では、化学療法は、本明細書に記載される化学療法剤のうちのいずれか1つである。いくつかの実施形態では、化学療法は、内容全体が参照により本明細書に取り込まれるGroopman,et al.、J Natl Cancer Inst、(1999)91(19):pp.1616-1634に記載されるいずれかの薬剤である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物及び方法は、後期ステージがん(例えば、ステージIV、又はステージIII、又はステージIIのがん)の患者の化学療法関連貧血の治療に使用される。いくつかの実施形態では、本開示の組成物及び方法は、投与集中(dose-dense)化学療法又は他の積極的な化学療法レジメンを受けているがん患者の化学療法関連貧血の治療に使用される。
【0457】
いくつかの実施形態では、本発明は、1種類又は複数種類の血液系のがん、例えば、白血病、リンパ腫、及び多発性骨髄腫の患者の貧血の治療に関する。そのようながんは骨髄を直接的に冒す。さらに、本発明は、骨又は骨髄に転移した転移がんに関する。いくつかの実施形態では、本発明は、放射線療法を受けている患者の貧血の治療に関する。そのような放射線療法は、骨髄に損傷を与え、その赤血球産生能を低下させる場合がある。その他の実施形態では本発明は鉄、ビタミンB12、及び葉酸のうちの1つ又は複数の低下又は欠乏がある患者の貧血の治療に関する。その他の実施形態では、本発明は、限定されないが、手術後の出血、又は内部出血を引き起こしている腫瘍からの出血を含む多量の出血がある患者の貧血の治療に関する。その他の実施形態では、本発明は、慢性疾患の貧血がある患者の貧血の治療に関する。
【0458】
いくつかの実施形態では、本開示の方法及び組成物は赤血球生産を刺激する。いくつかの実施形態では、本開示の方法及び組成物は、骨髄中の発生運命の決まった始原細胞の分裂及び分化を刺激する。
【0459】
本発明のある特定の実施形態は、がん患者における化学療法誘発性貧血の治療に特に有用である。いくつかの実施形態では、本開示の方法及び組成物により、がん患者の化学療法が終わった後に本開示のキメラタンパク質の投与を続けることが可能になる。いくつかの実施形態では、本開示の方法及び組成物により、非がん患者と比べて用量を減少させることなくがん患者の治療が可能になる。いくつかの実施形態では、本開示の方法及び組成物により、化学療法を受けており、且つ、治癒可能と考えられているがん患者の治療が可能になる。様々な実施形態において、がん患者には血栓の履歴、最近の手術、長期のベッドでの静養又は活動の制限、及び化学療法剤での治療のうちの1つ又は複数がある。
【0460】
キット
本発明は本明細書に記載される任意の作用物質(例えば、様々な追加治療薬を含む、又は含まないキメラタンパク質)を投与するためのキットも提供する。キットは材料又は構成要素の集合体であり、本明細書に記載される本発明の医薬組成物のうちの少なくとも1つを含む。したがって、いくつかの実施形態では、キットは本明細書に記載される医薬組成物のうちの少なくとも1つを含む。
【0461】
キットを構成する構成要素の正確な種類は意図する目的に依存する。ある実施形態では、キットはヒト対象の治療を目的として構成されている。
【0462】
キットには取扱説明書が含まれていてもよい。取扱説明書は、通常、所望の結果を達成するために、例えばがんを治療するために、キットの構成要素の使用時に用いる方法を説明する明確な表現を含んでいる。所望により、キットは、希釈剤、緩衝剤、薬学的に許容可能な担体、注射器、カテーテル、塗布器、ピペット若しくは計測具、包帯、又は当業者には理解することが容易であるような他の有用な道具類一式のような他の有用な構成要素を含んでいてもよい。
【0463】
キットに組み合わせられた材料及び構成要素は、それらの操作性と有用性を維持する任意の簡便、且つ、適切な方法で保管され、実施者に提供され得る。例えば、構成要素は、室温、冷蔵温度、又は冷凍温度で提供され得る。構成要素は適切な包装材の中に入っていることが典型的である。様々な実施形態において、包装材は、好ましくは無菌で汚染混入物質を含まない環境を提供するためによく知られている方法で作製される。包装材は、キットの内容物及び/又は目的、及び/又はそのキットの構成要素を表示する外部ラベルを有してもよい。
【0464】
定義
本明細書において使用される場合、「a」、「an」、又は「the」は1又は1より多くを意味し得る。
【0465】
具体的に説明されない限り、又は文脈から明らかではない限り、本明細書において使用される場合、「又は(or)」という用語は包括的であり、且つ、「又は(or)」と「及び(and)」の両方を含むと理解される。
【0466】
さらに、「約」という用語は、参照する数字と接続して使用されるとき、その参照する数字±その参照する数字の最大で10%、例えば、表示値の(±)10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%を意味する。例えば、「約50」という言葉は45~55の範囲を包含する。
【0467】
「有効量」は、医学的利用に関連して使用されるとき、目的の疾患の測定可能な治療、予防、又は発病率の低下をもたらすために有効な量である。
【0468】
本明細書において使用される場合、薬剤又は刺激が存在する場合にそのような調整が存在しない場合と比較して活性及び/又は効果の読みしが量が著しい量低減している場合、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又はそれ以上、少なくとも約100%を含むそれ以下低減している場合、何かが「減少」している。当業者が理解するように、いくつかの実施形態では、活性が減少し、且つ、何らかの下流読み出し値が減少することになるが、他のものは増加する場合がある。
【0469】
反対に、薬剤又は刺激が存在する場合にそのような薬剤又は刺激が存在しない場合と比較して活性及び/又は効果の読み出しが著しい量増大している場合、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又はそれ以上、少なくとも約100%を含むそれ以上、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍増大している場合、活性が「増加」している。
【0470】
本明細書において参照される場合、全ての組成比率は、別段の定めが無い限り組成物の総重量に対する比率である。本明細書において使用される場合、「含む(include)」という単語とその変形には、リスト中の事物の列挙が本技術の組成物及び方法に有用であり得る他の同様の事物を除外することにならないように非限定的であることが意図されている。同様に、「できる(can)」及び「してもよい(may)」という単語及びそれらの変形には、ある実施形態がある特定の要素又は特徴を含み得る、又は含むことがあるという記述がそれらの要素又は特徴を含まない本技術の他の実施形態を除外しないように非限定的であることが意図されている。
【0471】
「含む(including)」、「含む(containing)」、又は「有する(having)」などの用語の同義語としての「含む(comprising)」という開放型の用語が本発明を説明し、且つ、本発明を主張するために本明細書において使用されているが、本発明又は本発明の実施形態は「から成る(consisting of)」又は「から基本的に成る(consisting essentially of)」などの代替的な用語を使用して代わりに説明されることがある。
【0472】
本明細書において使用される場合、「好ましい」及び「好ましくは」という単語はある特定の状況下である特定の利益を生じる本技術の実施形態を指す。しかしながら、他の実施形態が同一又は他の状況下で好まれることもある。さらに、1つ又は複数の好ましい実施形態の列挙は他の実施形態が有用ではないことを意味しているのではなく、本技術の範囲から他の実施形態を除外することを意図するものではない。
【0473】
治療効果を達成するために必要とされる本明細書に記載される組成物の量は、その特定の目的のために従来法に従って実験に基づいて決定され得る。治療目的での治療薬の投与のためには、それらの治療薬を薬理学的に有効な用量で投与することが一般的である。「薬理学的有効量」、「薬理学的有効用量」、「治療有効量」、又は「有効量」は、所望の生理学的効果を生み出すために十分な量、又は所望の結果を達成することが可能な量、特に障害又は疾患を治療することが可能な量のことである。本明細書において使用される場合の有効量には、例えば、障害又は疾患の症状の発生を遅らせ、障害又は疾患の症状の経過を変え(例えば、その疾患の症状の進行を遅らせ)、障害又は疾患の1種類又は複数種類の症状又は兆候を抑制又は除去し、且つ、障害又は疾患の症状を反転させるのに十分な量が含まれる。治療上の利益には、改善が実現するかしないか関係なく、根底にある疾患又は障害の進行を停止させること、又は遅らせることも含まれる。
【0474】
有効量、毒性、及び治療効力は、例えば、LD50(集団の約50%にとって致死的である用量)及びED50(集団の約50%において治療的に有効である用量)を決定するための細胞培養物又は実験動物における標準的な薬学的方法によって決定可能である。投与量は使用する剤形及び利用する投与経路に応じて異なっていてもよい。毒性効果と治療効果との間の用量の比率が治療指数であり、それはLD50/ED50という比率で表現可能である。いくつかの実施形態では、高い治療指数を示す組成物及び方法が好ましい。治療有効用量は、最初に、例えば細胞培養アッセイを含むin vitroアッセイから推定可能である。また、細胞培養又は適切な動物モデルにおいて決定されるようなIC50を含む循環血漿中濃度範囲を達成するために動物モデルにおいて用量を明確化することができる。血漿中の本開示の組成物のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定可能である。どの特定の投薬の効果も適切なバイオアッセイによってモニター可能である。医師によって投薬量が決定され、観察される治療の効果に適合するように必要に応じて調節され得る。
【0475】
ある特定の実施形態では、効果によって少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、又は少なくとも約90%の定量可能な変化が生じる。いくつかの実施形態では、効果によって約10%、約20%、約30%、約50%、約70%、又は約90%以上もの定量可能な変化が生じる。治療上の利益には、改善が実現するかしないか関係なく、根底にある疾患又は障害の進行を停止させること、又は遅らせることも含まれる。
【0476】
本明細書において使用される場合、「治療方法」は、本明細書に記載される疾患又は障害を治療するための組成物の使用、及び/又は本明細書に記載される疾患又は障害を治療するための医薬の製造における使用に対して同等に適用可能である。
【実施例
【0477】
「Acタフェロン(Ac Taferon)」という用語は、本明細書において、インターフェロンに基づいたキメラに言及するために使用されることがある。
【0478】
記述がない限り、以下の実施例ではIFNに対する変異はヒトIFN-α2に対するものである。
【0479】
Q124R変異はマウスモデルにおいてin vivoでアッセイ可能な減弱されたヒトIFNα2変異を表す。具体的には、Q124Rは、マウスで使用するのに適切なヒトIFN変異である(すなわち、Q124Rはマウスで機能するヒト変異IFNである)。内容全体が参照により本明細書に取り込まれるNat.Comm.、2014、5:3016、doi:10.1038/ncomms4016を参照されたい。
【0480】
実施例1.マウスSIRP1αを指向するVHHはSIRP1αに結合し、SIRP1α/CD47相互作用を中和する
HEK293T細胞にマウスSIRP1α発現プラスミドを一過的にトランスフェクションし、10%FBSを添加したDMEM培地中でそれらの細胞を37℃で48時間維持した。細胞を解離し、PBSで洗浄して、1%FBSを添加したPBS中の表示濃度の精製Hisタグ付きVHHで1時間処理した。試料をPBSで洗浄し、1%FBSを添加したPBS中のAlexa488結合抗His抗体(RnD Systems社)と共に1時間インキュベートした。FACSCalibur分析機(BD Biosciences社)上で試料を測定した。
【0481】
図1Aに示されるように、FACSに基づいたmSIRPA結合アッセイにおいて、抗マウスSIRP1α VHHの段階希釈物をマウスSIRP1α発現細胞上で試験した。蛍光強度の幾何平均をプロットした。抗マウスSIRP1α VHHはマウスSIRP1αに特異的に結合する(図1B)。
【0482】
抗マウスSIRP1α VHHがCD47との相互作用を中和するかどうかも試験した(図1B)。
【0483】
HEK293T細胞にマウスSIRP1α発現プラスミドを一過的にトランスフェクションし、1種類の抗マウスSIRP1α VHHを表示濃度で添加した96ウェルプレート中のDMEM培地中にそれらの細胞を播種して37℃で1時間に維持した。次に、SEAP(分泌型アルカリホスファターゼ)に結合させたマウスCD47(N末端の158アミノ酸)からなる融合タンパク質を含有する条件培地でそれらの細胞を37℃で2時間処理した。保温後、それらの細胞をPBS+0.05% Tween-20で4回洗浄し、製造業者(ThermoFisher Scientific社)の指示に従ってPhosphaLightアッセイを用いてホスファターゼ活性を測定した。
【0484】
図1Bに示されるように、抗マウスSIRP1α VHHの段階希釈物をマウスCD47-マウスSIRPα結合アッセイにおいて試験した。三連測定の平均値±標準偏差を図1Bにプロットした。抗マウスSIRP1α VHHは、用量依存的にCD47結合を阻害する。抗マウスSIRP1α VHHはSIRP1α-CD47相互作用を中和することがデータより示された。
【0485】
実施例2.SIRP1α二特異性キメラのin vivo抗腫瘍作用
抗マウスSirp1α VHH/ヒトIFN Q124Rキメラを使用してB16モデルにおいてマウスin vivo試験を行った。
【0486】
SIRP1α標的化キメラ(マウスSIRP1αに特異的なN末端側中和VHHに20×GGSリンカーを介して結合したhIFNα2 Q124R)をpHen6ベクター中に構築し、大腸菌内でHisタグ付きSIRP1aキメラの大量生産を実施した。それらの大腸菌を定常期(0.7~0.8のOD600)になるまで培養し、IPTG(BioScientific社)を添加してLacZプロモーターを活性化した。一晩培養した後に細胞上清を回収した。ショ糖溶液を使用した浸透圧ショックにより周辺質画分中のタンパク質を分離し、コバルトイオンがロードされたHiTrap Sepharose樹脂(Clontech、Takara Biotechnology社)上での固定化金属イオンクロマトグラフィー(IMAC)により精製した。タンパク質の結合後、0.5%EMPIGEN(Calbiochem、Millipore社)、0.5%CHAPS(Sigma-Aldrich社)、及びPBSでカラムを洗浄した。イミダゾール(Merck社)を溶出のために使用し、PD-10ゲル濾過カラム(GE Healthcare社)を使用してそのイミダゾールを除去した。280nmでの吸光度を用いてタンパク質濃度を決定し、SDS-PAGEにより純度を評価した。Limulus Amebocyte Lysate(LAL) QCL-1000(Lonza社)を使用してLPSレベルを定量した。それでも存在する場合はEndotoxin Removal Resin(Thermo Scientific社)を使用してLPSを除去した。以前に説明された(Nat.Comm.、2014、5:pp.3016、doi:10.1038/ncomms4016)ように、WHO国際マウスIFNα標準物質Ga02-901-511に対してマウスルシフェラーゼレポーター細胞株LL171を使用する機能性アッセイにより全ての産物の生物活性を評価した。
【0487】
12時間明期/12時間暗期の周期で温度制御環境中の無病原体条件下にマウスを維持し、マウスが餌及び水を自由に摂取できるようにした。雌のC57BL/6Jマウス(Charles River Laboratories社、サンジェルマン シュル ラルブレル、フランス)に対し、(4%イソフルランを使用して)軽く麻酔をかけたマウスの毛刈りした脇腹に30Gインスリン用注射器を使用して50μLの懸濁液中のB16-mCD20クローン(mCD20の発現カセットを含むプラスミドが安定的にトランスフェクションされたB16Bl6細胞)の5×10細胞を8週齢の時点で接種した。
【0488】
腫瘍の接種から7日後から腫瘍境界の皮下である病変周囲(p.l.)に腫瘍の処置を実施した。マウス(n=5)は、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目、14日目、15日目、及び16日目にSIRP1α-キメラ処置を受けた。対照として、マウス(n=4)を100μLのPBSで処置した。キメラは35μgのタンパク質(1.6mg/kg)に相当する5,500IUを処置毎に投与された。最後の腫瘍処置から1日後に尾静脈から血液をEDTAコートmicrovetteチューブ(Sarstedt社)に採取し、Hemavet950FS(Drew Scientific社、ウォーターバリー、米国)全血計測機において分析した。白血球、リンパ球、好中球、及び単球をK/μL単位で表し、赤血球をM/μL単位で表し、ヘモグロビンをg/dL単位で表し、ヘマトクリットを%単位で表し、血小板をK/μL単位で表し、平均血小板容積をfL単位で表す。
【0489】
図2A~Bに示されるように、PBS対照(上の曲線)と比較して、抗マウスSirp1α VHH/ヒトIFN Q124Rキメラ(下の曲線)によって腫瘍成長が大幅に阻害された。さらに、様々な血液細胞に基づいたパラメーター(白血球数(「wbc」)、リンパ球数(「ly」)、好中球数(「ne」)、単球数(「mo」)、赤血球数(「rbc」)、ヘモグロビン(「hb」)、ヘモクリット(「hct」)、血小板(「plt」)、及び平均血小板容積(「mpv」))によって評価されるように、Sirp1α VHH/ヒトIFN Q124Rキメラは安全であることが示された。重要なことに、これらのパラメーターについて抗マウスSirp1α VHH/ヒトIFN Q124RキメラとPBSはほとんど差を示さない。野生型インターフェロンはin vivoでは良好な耐容性を示さないことが知られている。
【0490】
実施例3.SIRP1α二特異性キメラ
抗マウスSirp1α VHH/抗マウスPD-L1 VHH/ヒトIFN Q124R二特異性キメラを検討した。具体的には、FACS分析を実施してマウスPD-L1陽性B16細胞株におけるSTAT1リン酸化を定量した。
【0491】
10%FBSを添加したDMEM培地中において、Sirp1α二特異性キメラでB16細胞を37℃で15分間刺激した。刺激後に1倍容量のFix Buffer I(BDバイオサイエンス社)を添加することにより細胞を37℃で10分間に固定し、2倍容量のPerm III Fix Buffer I(BD Biosciences社)中に再懸濁することにより氷上で30分間透過処理した。抗STAT1 pY701抗体(BD Biosciences社)で試料を4℃で20分間染色し、FACSCalibur(BD Biosciences社)及びCellQuest Pro Version 4.0.2ソフトウェア(BD Biosciences社)で分析した。
【0492】
図3に示されるように、100ng/mLの抗マウスSirp1α VHH/抗マウスPD-L1 VHH/ヒトIFN Q124R二特異性キメラ及びBcII10 VHH-ヒトQ124R IFNキメラでB16細胞を37℃で15分間刺激するか又は刺激をしないままにした。固定及び透過処理の後にリン酸化STAT1について細胞を染色して、FACSで分析した。非標的化(BcII10 VHH)キメラと比較すると、二特異性キメラによってPD-L1標的化がSTAT1のリン酸化を著しく増加させたことがデータより明確に示されている。
【0493】
実施例4:SIRP1α二特異性キメラ
本実施例では、変異型ヒトIFNアルファ2(IFNα2)、及びヒトSIRP1αを標的とする組換え重鎖抗体(VHH)を含むキメラタンパク質を構築し、それらのキメラタンパク質の特性を解析する。
【0494】
CD20陽性末梢血単核細胞(PBMC)及びCD20陰性末梢血単核細胞(PBMC)におけるSTAT1リン酸化をFACSで定量化することにより、上記キメラタンパク質を調べる。
【0495】
キメラタンパク質の作成、作出、及び精製
変異型IFNα2に基づくキメラタンパク質を作成するために、ヒトSIRP1αを標的とするVHHの配列に可動性の20×Gly-Gly-Ser可動性リンカーを介して野生型ヒトIFNα2をコードする核酸配列を融合する。得られた核酸コンストラクト中の野生型ヒトIFNα2に、R33A、R144A、R144S、R144T、R144Y、R144L、R144I、A145G、A145H、A145Y、A145K、A145D、M148A、R149A、及びL153Aの変異のうちの1つを導入する。野生型IFNα2のみを有する核酸コンストラクト又はヒトSIRP1αを標的とするVHHに融合した野生型IFNα2を有する核酸コンストラクトを対照として使用する。
【0496】
上述の核酸コンストラクトを細菌発現用のpHEN6Cベクターに挿入する。1mMのIPTGを使用してタンパク質発現を一晩誘導し、細胞を沈殿させ、TES緩衝液(0.2M トリス、pH8.0、0.5mM EDTA、0.5M ショ糖)及びTES/4緩衝液を使用して周辺質抽出物を調製する。製造業者のガイドラインに従ってTALON金属アフィニティー樹脂を使用してタンパク質を抽出物から精製し、PD10カラム(GE Healthcare社)を使用してそれらの試料からイミダゾールを除去する。
【0497】
PBMCにおけるSTAT1リン酸化
Lymphoprep(StemCell Technologies社)を使用す密度勾配遠心分離を用いて健康なドナーのバフィーコートに由来するPBMCを単離する。細胞をFACS緩衝液(PBS中の2%FBS、1mM EDTA)で2回洗浄し、抗ヒトCD20-FITC(SinoBiologicals社)を用いて4℃で20分間染色する。2回の洗浄後、野生型IFNα2、野生型IFNα2/SIRP1αキメラタンパク質、又は上述の変異型IFNα2/SIRP1αキメラタンパク質のうちの1つの段階希釈物で細胞を37℃で15分間刺激する。固定(10分間、37℃、Fix Buffer I;BD Biosciences社)、透過処理(30分間、氷上、Perm III Fix Buffer I;BD Biosciences社)及び洗浄の後、抗STAT1 pY701抗体(BD Biosciences社)で細胞を染色する。FACSCalibur(BDバイオサイエンス社)を使用して試料を捕捉し、FlowJo Version 10.2ソフトウェア(LLC社)で分析する。
【0498】
結果
CD20陽性細胞及びCD20陰性細胞は、野生型ヒトIFNα2単独に対して同等の感受性を有すると考えられる。SIRP1α標的化VHHへの野生型ヒトIFNα2の融合によって、CD20陰性細胞と比較してCD20陽性細胞においてSTAT1リン酸化の著しい増加がもたらされる、すなわちイムノカイン(ImmunoKine)作用が生じることになるとも考えられる。
【0499】
変異型IFNα2を有するキメラタンパク質は、CD20陰性細胞における活性がほとんどないに等しいと考えられる。変異型IFNα2を有するキメラタンパク質の活性喪失は、CD20抗原がPBMC上で発現すると大いに回復することになるとさらに考えられる。
【0500】
実施例5.SIRP1α二特異性キメラのin vivo抗腫瘍作用
B16モデルにおいて、これらの実施例の抗マウスSIRP1α VHH/変異型ヒトIFNα2キメラタンパク質を使用してマウスin vivo試験を実施する。
【0501】
マウスSIRP1αに特異的なN末端側中和VHHに20×GGSリンカーを介して結合した変異型ヒトIFNα2を含むSIRP1α VHH/変異型ヒトIFNα2キメラタンパク質をコードする核酸コンストラクトをpHen6ベクター内に構築する。前記ヒトIFNα2内の変異は、R33A、R144A、R144S、R144T、R144Y、R144L、R144I、A145G、A145H、A145Y、A145K、A145D、M148A、R149A、及びL153Aから選択される。大腸菌内でHisタグ付きSIRP1α VHH/変異型ヒトIFNα2キメラタンパク質の大量生産を実施する。それらの大腸菌を定常期(0.7~0.8のOD600)になるまで培養し、IPTG(BioScientific社)を添加してLacZプロモーターを活性化する。一晩培養の後に細胞上清を回収する。ショ糖溶液を使用する浸透圧ショックにより周辺質画分中のタンパク質を分離し、コバルトイオンがロードされたHiTrap Sepharose樹脂(Clontech、Takara Biotechnology社)上での固定化金属イオンクロマトグラフィー(IMAC)により精製する。タンパク質の結合後、0.5%EMPIGEN(Calbiochem、Millipore社)、0.5%CHAPS(Sigma-Aldrich社)及びPBSでカラムを洗浄する。イミダゾール(Merck社)を溶出のために使用し、PD-10ゲル濾過カラム(GE Healthcare社)を使用してそのイミダゾールを除去する。280nmでの吸光度を用いてタンパク質濃度を決定し、SDS-PAGEにより純度を評価する。Limulus Amebocyte Lysate(LAL)QCL-1000(Lonza社)を使用してLPSレベルを定量する。それでも存在する場合はEndotoxin Removal Resin(Thermo Scientific社)を使用してLPSを除去する。以前に説明された(Nat.Comm.、2014、5:pp.3016、doi:10.1038/ncomms4016)ように、WHO国際マウスIFNα標準物質Ga02-901-511に対してマウスルシフェラーゼレポーター細胞株LL171を使用する機能性アッセイにより全ての産物の生物活性を評価する。
【0502】
12時間明期/12時間暗期の周期を有する温度制御環境中の無病原体条件下にマウスを維持し、マウスが餌及び水を自由に摂取できるようにする。雌のC57BL/6Jマウス(Charles River Laboratories社、サンジェルマン シュル ラルブレル、フランス)に対し、(4%イソフルランを使用して)軽く麻酔をかけたマウスの毛刈りした脇腹に30Gインスリン用注射器を使用して50μLの懸濁液中のB16-mCD20クローン(mCD20の発現カセットを含むプラスミドを安定的にトランスフェクションされたB16Bl6細胞)の5×10細胞を8週齢の時点で接種する。
【0503】
腫瘍の接種から7日後より腫瘍境界の皮下である病変周囲(p.l.)に腫瘍の処置を実施する。マウス(n=5)は、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目、14日目、15日目、及び16日目にSIRP1α-キメラタンパク質処置を受ける。対照として、マウス(n=4)を100μLのPBSで処置する。キメラタンパク質を処置されるマウスは、35μgのタンパク質(1.6mg/kg)に相当する5,500IUを処置毎に投与される。最後の腫瘍処置から1日後に尾静脈から血液をEDTAコートmicrovetteチューブ(Sarstedt社)に採取し、Hemavet950FS(Drew Scientific社、ウォーターバリー、米国)全血計測機において分析する。白血球、リンパ球、好中球、及び単球をK/μL単位で表し、赤血球をM/μL単位で表し、ヘモグロビンをg/dL単位で表し、ヘマトクリットを%単位で表し、血小板をK/μL単位で表し、平均血小板容積をfL単位で表す。
【0504】
PBS対照と比較して、抗マウスSIRP1α VHH/変異型ヒトIFNα2キメラタンパク質で処理されたマウスにおいて腫瘍成長の大幅な阻害が観察されることになると考えられる。様々な血液細胞に基づいたパラメーター(白血球数(「wbc」)、リンパ球数(「ly」)、好中球数(「ne」)、単球数(「mo」)、赤血球数(「rbc」)、ヘモグロビン(「hb」);ヘモクリット(「hct」)、血小板(「plt」)、及び平均血小板容積(「mpv」))によって評価されるように、SIRP1αVHH/変異型ヒトIFNαキメラタンパク質は安全であることが示されることになるとも考えられる。さらに、これらのパラメーターについて、抗マウスSIRP1αVHH/変異型ヒトIFNα2キメラタンパク質とPBSはほとんど差を示さないと考えられる。野生型インターフェロンはin vivoでは良好な耐容性を示さないことが知られている。
【0505】
均等論
本発明を本発明の特定の実施形態との関係で説明してきたが、本発明はさらに改変することが可能であり、本出願は、一般的には本発明の原理に従い、且つ、本発明が関係する技術分野内の公知の慣例又は慣行の範囲内に入り、且つ、本明細書においてこれまでに示されており、添付されている特許請求の範囲の通りの基本的な特徴に適用可能であるような本開示からの逸脱を含む本発明の任意の変形形態、使用、又は改変を包含するものとされていることが理解される。
【0506】
当業者は本明細書に具体的に記載される具体的な実施形態と同等の多数の実施形態を理解するか、又はわずかに日常的な実験法を使うだけで確認することができる。そのような同等の実施形態は以下の特許請求の範囲に包含されるものとする。
【0507】
参照による援用
本明細書において参照された全ての特許及び文献はそれらの全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0508】
本明細書において記載された文献は、単に本出願の出願日の前のそれらの開示を示すものである。本明細書は、本発明が先行発明によるそのような公開に先行するという権利が無いことを認めたものと解釈されるべきではない。
【0509】
本明細書において使用される場合、全ての見出しは単に編成のためであり、本発明を限定することを一切意図してはいない。いずれの段落の内容も全ての段落に同等に適用可能であり得る。
本発明の態様は以下を含む。
[付記1]
(a)SIRP1αを認識して結合する認識ドメインを含む標的化部分、及び
(b)野生型シグナル伝達物質と比べて改善された安全性をもたらす1つ又は複数の変異を野生型シグナル伝達物質と比較すると有している改変型シグナル伝達物質、
を含み、前記標的化部分及び、改変型シグナル伝達物質が1つ又は複数のリンカーにより連結されていてもよい、キメラタンパク質。
[付記2]
1つ又は複数の追加標的化部分をさらに含む、付記1に記載のキメラタンパク質。
[付記3]
前記1つ又は複数の追加標的化部分が腫瘍細胞上の抗原又は受容体を認識して結合する認識ドメインを含む、付記2に記載のキメラタンパク質。
[付記4]
前記1つ又は複数の追加標的化部分が免疫細胞上の抗原又は受容体を認識して結合する認識ドメインを含む、付記2に記載のキメラタンパク質。
[付記5]
前記免疫細胞がマクロファージ、単球、及び樹状細胞から選択される、付記4に記載のキメラタンパク質。
[付記6]
前記1つ又は複数の追加標的化部分が、PD-L1、PD-L2、PD-1、及びClec9Aのうちの1つ又は複数を認識する、付記2~付記5のいずれか一項に記載のキメラタンパク質。
[付記7]
前記認識ドメインが、全長抗体、単一ドメイン抗体、組換え重鎖抗体(VHH)、一本鎖抗体(scFv)、サメ重鎖抗体(VNAR)、マイクロプロテイン(例えばシステインノットタンパク質、ノッチン)、DARPin、アンチカリン、アドネクチン、アプタマー、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、ペプチド模倣分子、受容体の天然リガンド、又は合成分子を含む、付記1~付記6のいずれか一項に記載のキメラタンパク質。
[付記8]
前記認識ドメインが目的の抗原又は受容体を機能的に調整する、付記1~付記7のいずれか一項に記載のキメラタンパク質。
[付記9]
前記認識ドメインが目的の抗原又は受容体を認識して結合するがその機能を調整しない、付記1~付記8のいずれか一項に記載のキメラタンパク質。
[付記10]
前記改変型シグナル伝達物質が、受容体における、シグナル伝達物質の親和性又は活性を野生型シグナル伝達物質と比べて低下させる1つ又は複数の変異を含む、付記1~付記9のいずれか一項に記載のキメラタンパク質。
[付記11]
前記改変型シグナル伝達物質が、受容体に対する親和性又は活性を野生型シグナル伝達物質と比べて実質的に低下させるか又は除去する1つ又は複数の変異を含む、付記1~付記10のいずれか一項に記載のキメラタンパク質。
[付記12]
前記改変型シグナル伝達物質が、
(a)受容体に対する親和性を野生型シグナル伝達物質と比べて実質的に低下させるか又は除去する1つ又は複数の変異、及び
(b)受容体に対する親和性又は活性を野生型シグナル伝達物質と比べて低下させる1つ又は複数の変異
の両方を含み、
前記受容体が互いに異なっている、付記1~付記11のいずれか一項に記載のキメラタンパク質。
[付記13]
前記1つ又は複数の変異によって活性が減弱している、付記10に記載のキメラタンパク質。
[付記14]
アゴニスト活性又はアンタゴニスト活性が減弱している、付記13に記載のキメラタンパク質。
[付記15]
前記改変型シグナル伝達物質が自身の活性をアゴニスト活性からアンタゴニスト活性へ変換する1つ又は複数の変異を含む、付記13又は付記14に記載のキメラタンパク質。
[付記16]
前記変異が、1つ又は複数の標的化部分への結合によって回復可能である親和性又は活性の低下をもたらすものである、付記10に記載のキメラタンパク質。
[付記17]
前記変異が、1つ又は複数の標的化部分への結合によって実質的に回復することがない親和性又は活性の実質的な低下又は除去をもたらすものである、付記11に記載のキメラタンパク質。
[付記18]
前記改変型シグナル伝達物質が、インターフェロン、インターロイキン、及び腫瘍壊死因子のうちの1つ又は複数から選択される、付記1~付記17のいずれか一項に記載のキメラタンパク質。
[付記19]
前記シグナル伝達物質がインターフェロンである、付記1~付記18のいずれか一項に記載のキメラタンパク質。
[付記20]
前記キメラタンパク質が、がん、感染症、免疫障害、自己免疫疾患、心血管疾患、創傷、虚血関連疾患、神経変性疾患、及び/又は代謝性疾患のうちの1つ又は複数を有する患者における使用に適している、付記1~付記19のいずれか一項に記載のキメラタンパク質。
[付記21]
(a)SIRP1αを認識して結合する認識ドメインを含む第1の標的化部分、
(b)PD-1を認識して結合する認識ドメインを含む第2の標的化部分、及び
(b)シグナル伝達物質の受容体における親和性又は活性を野生型シグナル伝達物質と比較して低下させる1つ又は複数の変異を有し、該変異は、L153A、R149A、M148A、R144X1、A145X2、R33Aから選択されてもよい、ヒトインターフェロンα2
を含み、
X1がA、S、T、Y、L、及びIから選択され、
X2がG、H、Y、K、及びDから選択され、且つ
前記標的化部分及び前記改変型シグナル伝達物質が1つ又は複数のリンカーにより連結されていてもよい、キメラタンパク質。
[付記22]
付記1~付記21のいずれか一項に記載のキメラタンパク質のうちの1つをコードする組換え核酸組成物。
[付記23]
付記22に記載の核酸を含む宿主細胞。
[付記24]
付記1~付記23のいずれか一項に記載のキメラタンパク質の有効量を、該キメラタンパク質の投与を必要とする患者に投与することを含むがんの治療方法。
[付記25]
前記がんが、基底細胞がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん、脳及び中枢神経系のがん、乳がん、腹膜がん、子宮頸部がん、絨毛癌、大腸がん、結合組織がん、消化器がん、子宮内膜がん、食道がん、眼のがん、頭頚部がん、胃がん(胃腸がんを含む)、神経膠芽腫、肝細胞癌、肝癌、上皮内新生物、腎臓がん、喉頭がん、白血病、肝臓がん、肺がん(例えば小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔がん(口唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸がん、呼吸器がん、唾腺癌、肉腫、皮膚がん、扁平上皮がん、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮又は子宮内膜のがん、泌尿器がん、外陰がん、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫並びにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大腫瘤病変NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、及びワルデンストレーム型マクログロブリン血症を含む)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病、並びに他のがん腫及び肉腫、及び移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、並びに母斑症に関連する異常血管増殖、浮腫(例えば脳腫瘍に関連する浮腫)、及びメグズ症候群のうちの1つ又は複数から選択される、付記24に記載の方法。
[付記26]
前記がんがMycタンパク質を過剰発現する、付記24又は付記25に記載の方法。
[付記27]
前記方法がマクロファージによるがん細胞の貪食を誘導及び/又は促進する、付記24~付記26のいずれか一項に記載の方法。
[付記28]
医薬として使用される付記1~付記27のいずれか一項に記載のキメラタンパク質。
[付記29]
がんの治療において使用される付記1~付記28のいずれか一項に記載のキメラタンパク質。
[付記30]
肝炎の治療において使用される付記1~付記29のいずれか一項に記載のキメラタンパク質。
[付記31]
医薬の製造における付記1~付記30のいずれか一項に記載のキメラタンパク質の使用。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
【配列表】
0007476467000001.app