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特許7476469充填システムのための通信および開ループ/閉ループ制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】充填システムのための通信および開ループ/閉ループ制御システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240423BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G05B23/02 Z
G05B23/02 V
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021502974
(86)(22)【出願日】2019-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2019063525
(87)【国際公開番号】W WO2020020515
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-03-25
(31)【優先権主張番号】102018212503.1
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506040652
【氏名又は名称】クロネス アクティェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ハーン, ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】プロノルド, ティモ
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-182794(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0088875(US,A1)
【文献】特開2004-164024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの充填システム(300)のための通信および開ループ/閉ループ制御システム(KSR1、KSR2、KSR3)であって、前記充填システムが、機械を備え、前記通信および開ループ/閉ループ制御システム(KSR1、KSR2、KSR3)が、
オペレータによる音声入力および/もしくはテキスト入力を認識し、かつ/または前記機械の動作状況に関する情報を出力もしくは表示するように構成された、チャットボット(K1、K2、K3)であって、前記オペレータを認識する話者認識モジュールを備え、前記認識されたオペレータとの対話を前記認識されたオペレータに適応させるように構成されたチャットボット(K1、K2、K3)と、
人工知能(AI)モジュールであって、前記チャットボット(K1、K2、K3)が、前記AIモジュールの助けによって学習し、前記学習の結果に従って前記チャットボット自体の対話行動を適応させるように構成されている、AIモジュールと、
データ通信のために前記チャットボットと接続され、前記チャットボット(K1、K2、K3)によって認識された前記音声入力および/またはテキスト入力に基づいて開ループおよび/または閉ループ方式で前記充填システム(300)の前記機械を制御するように構成された開ループ/閉ループ制御装置(SR1、SR2、SR3)と、
を有し、前記チャットボット(K1、K2、K3)が、前記オペレータとの対話に応答して、前記充填システム(300)の前記開ループ/閉ループ制御装置(SR1、SR2、SR3)とのデータ通信を介して操作プロセスを開始するように構成されている、通信および開ループ/閉ループ制御システム(KSR1、KSR2、KSR3)。
【請求項2】
前記開ループ/閉ループ制御装置(SR1、SR2、SR3)が、前記充填システムのすべての機械を開ループ/閉ループ方式で制御するための中央開ループ/閉ループ制御装置(322)の一部である、請求項1に記載の通信および開ループ/閉ループ制御システム(KSR1、KSR2、KSR3)。
【請求項3】
前記チャットボット(K1、K2、K3)が、複数の言語および/または方言でテキストおよび/または音声入力を認識するように構成された音声認識モジュールを備える、請求項1または2に記載の通信および開ループ/閉ループ制御システム(KSR1、KSR2、KSR3)。
【請求項4】
前記チャットボット(K1、K2、K3)が、前記充填システム(300)の1つまたは複数の機械(M1、M2、M3)に関する診断情報を提供するように構成されている、請求項1に記載の通信および開ループ/閉ループ制御システム(KSR1、KSR2、KSR3)。
【請求項5】
前記AIモジュールが、人工ニューラルネットワークであるか、または人工ニューラルネットワークを備える、請求項に記載の通信および開ループ/閉ループ制御システム(KSR1、KSR2、KSR3)。
【請求項6】
データ通信のために前記チャットボット(K1、K2、K3)に接続された協働ロボットをさらに有する、請求項1に記載の通信および開ループ/閉ループ制御システム(KSR1、KSR2、KSR3)。
【請求項7】
請求項1に記載の開ループ/閉ループ制御システム(KSR1、KSR2、KSR3)を有する飲料を充填するための充填システム(300)。
【請求項8】
充填機(305)と、ラベル貼り機(311、312)と、包装機(313、314)と、ダイレクト印刷機と、ブロー成形機(319、320)とをさらに備え、前記充填機(305)、前記ラベル貼り機(311、312)、前記包装機(313、314)、前記ダイレクト印刷機、および/または前記ブロー成形機(319、320)が、請求項1に記載の開ループ/閉ループ制御システム(KSR1、KSR2、KSR3)を各々備える、請求項に記載の充填システム(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填システムの分野に関し、特に、操作装置を用いて開ループ/閉ループ方式で充填システムを制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料等の充填システムは、充填機、ラベル貼り機、包装機などの、直列に接続されたいくつかの生産装置を備える。例えば、独国特許出願公開第102009040977号明細書に記載されるように、充填システムを少なくとも部分的に、回転移送装置を介して互いに結合された回転機械として構成することができる。あるいは、生産装置を、インライン装置として構成すること、ならびに/またはリニア搬送装置、分配装置、および生産バッファを介して互いに接続することもできる。それぞれのシステム概念は、例えば、独国特許第4442586号明細書、独国実用新案出願公開第202004012848号明細書、および欧州特許出願公開第2218664号明細書に記載されている。
【0003】
今日、充填システムは、一般に、充填システム内の個々の機械を開ループ/閉ループ方式で制御するための命令をオペレータが入力するためのタッチスクリーンを使用して操作される。オペレータからの入力に応答してそのオペレータが権限を与えられている操作のみが実行されるようにするために、例えば、オペレータの識別が符号化されたトランスポンダによるオペレータの認証を必須とすることが必要であり得る。オペレータによる入力の確認および動作状態または動作不良に関する情報をタッチスクリーン上に表示することができる。
【0004】
しかしながら、そのようなタッチスクリーンを介した操作に適した操作手段は、所望の操作を実現するために、それに対応して、オペレータの十分な根拠のある訓練、経験、および持続的な集中を必要とする。したがって、適切な操作がより確実かつ迅速に達成されるように、充填システムの現在の操作を簡素化するという目的が生じる。
【発明の概要】
【0005】
上記の目的は、少なくとも1つの充填システム(特に飲料を充填するための、複数のシステムを、おそらくは隣同士に配置して設けることもできる)のための通信および開ループ/閉ループ制御システムであって、充填システムが機械を備え通信および開ループ/閉ループ制御システムが、オペレータによる音声入力および/もしくはテキスト入力を認識し、かつ/または機械の動作状況に関する情報を出力もしくは表示するように構成された、ソフトウェア通信ロボット、特にチャットボットと、データ通信のためにソフトウェア通信ロボットと接続され、ソフトウェア通信ロボットによって認識された音声入力および/またはテキスト入力に基づいて開ループおよび/または閉ループ方式で機械を制御するように構成された開ループ/閉ループ制御装置と、を有する通信および開ループ/閉ループ制御システムによって達成される
【0006】
上記の機械は、例えば、充填機、ラベル貼り機、包装機、ダイレクト印刷機、またはブロー成形機とすることができる。搬送装置/搬送路を、ここでは同様に、機械という用語でカバーすることができる。開ループ/閉ループ制御システムという用語は、ここでは、開ループおよび/または閉ループの制御システムを意味すると理解される。開ループ/閉ループ制御システムは、すべての機械を開ループ/閉ループ方式で制御する充填システム全体の中央開ループ/閉ループ制御システムの一部とすることができる。ソフトウェア(ソフトウェア実装)通信ロボットを、少なくとも部分的に、充填システムの機械のうちの1つに配置することができ、ソフトウェア通信ロボットは、チャットボットであるかまたはチャットボットを備えることができる。特に、ソフトウェア通信ロボットは、表示装置を備えるかまたは表示装置に接続することができ、音声出力を備えるかまたは音声出力に接続することができる。そのような音声出力を介してオペレータとの対話を行うことができる。ソフトウェア通信ロボットを、充填システムの中央処理装置に実装することができる。いずれの場合も、ソフトウェア通信ロボットは、オペレータからマイクロフォンによって録音された音声入力またはテキスト入力を受け取る。
【0007】
チャットボットは、テキスト入力または音声を介したコミュニケーションを可能にするためのコンピュータ実装対話システムであり、よってオペレータが充填システム内の機械を操作するのをインテリジェントに支援する。一般に、ソフトウェア通信ロボットは、公知の先行技術のタッチスクリーン端末に優って充填システムの操作を大幅に簡素化する。特に、ソフトウェア通信ロボットは、オペレータが自分の好みの言語で充填システムを操作できるように複数の言語または方言でのテキストおよび/または(口頭での)音声入力の認識を可能にする音声認識モジュールを備えることができる。さらに、ソフトウェア通信ロボットを、オペレータによって言及された所望の操作もしくは問題、または独立して認識された問題について入力を問い質し、その解答を示すように構成することができる。
【0008】
さらに、ソフトウェア通信ロボットを、診断情報を提示するように構成することができる。充填システムの特定の機械に配置されるか、またはその機械と論理的に関連付けられたソフトウェア通信ロボットはそれぞれ、そこで充填システム内の別の機械の操作手順に関するデータを提示することもできる。データは、特に仮想現実アプリケーションまたは拡張現実アプリケーションを用いて情報を一般に提示するための、機械上または機械の場所に設けられた表示装置を介して提示することができる。情報を、音声出力によって出力することもできる。合成音声出力によって出力された情報の了解度を高めるために、オペレータによって装着されたヘッドセットを介して音声出力を行うことができる。また情報/データを、モバイル操作装置および/またはスマートフォンを使用して提示することもできる。
【0009】
ソフトウェア通信ロボットは、オペレータとの対話に応答する充填システムの開ループ/閉ループ制御装置とのデータ通信を介して操作プロセスを開始することができる。
【0010】
ソフトウェア通信ロボットは、特に話者識別に使用される話者認識モジュールを備えることができる。ソフトウェア通信ロボットは、話者検証、すなわち、オペレータによって事前に決定された話者の識別の検証にも使用することができる。ソフトウェア通信ロボットは、話者認識モジュールを使用してオペレータを認識することができ、次いで、認識されたオペレータとの対話をそのオペレータに適応させることができる。例えば、経験豊富なオペレータであると認識されるオペレータとの対話は、複雑度および詳細の点で、経験の浅いオペレータであると認識される別のオペレータとの対話とは異なることになる。したがって、対話をオペレータの訓練または経験に適切に適応させることができる。また対話を認識されたオペレータの能力に適応させることもできるので、オペレータが権限を与えられていない操作を開始しようとするのを防ぐことができる。
【0011】
ソフトウェア通信ロボットは、充填システムの、特に移動式の協働ロボットと、オペレータとの対話に応答してロボットに命令を発するために、例えば、無線通信やまたはイントラネットを介して、データ通信することもできる。さらに、ソフトウェア通信ロボットを、通信ネットワークを介して、オペレータとの対話に応答して、ソフトウェア通信ロボットと対話しているオペレータから離れた1人または複数の他のオペレータと通信するように構成することができる。
【0012】
ソフトウェア通信ロボットは、ソフトウェア通信ロボットが用いて学習することができる、人工知能(AI)モジュールを備えるか、またはAIモジュールと通信することができる。例えば、上記の話者認識モジュールを用いてオペレータを認識した後、ソフトウェア通信ロボットは、経時的に発展するオペレータの対話行動からオペレータの経験/訓練のレベルを推測し、学習結果に従ってロボット自体の対話行動を適応させることができる。このようにして、オペレータのオペレータプロファイルを動的に管理、保存し、学習に使用することができる。オペレータプロファイルは、そのオペレータがどの機械および機械の構成要素の操作にどの程度まで影響を及ぼし得るかを決定する、オペレータの資格および能力に関するデータを含むことができる。またオペレータプロファイルを、オペレータによる音声入力の音声認識に使用することもできる。上記の音声認識および話者認識の学習/訓練にAIモジュールを使用することもできる。
【0013】
AIモジュールを、機械学習のために構成することができ、AIモジュールは、人工ニューラルネットワークであるか、または人工ニューラルネットワークを備えることができる。学習は、少なくとも部分的に、ファジー論理に基づくものとすることができる。人工ニューラルネットワークは、ニューロファジーネットワークとすることができる。ファジーコントローラとニューラルネットワークとの組み合わせにより、学習およびオペレータとの対話を行うためのファジールールの自動適応または生成が可能になる。
【0014】
さらに、上記の例のうちの1つによる通信および開ループ/閉ループ制御システムを有する充填システムが、ここで提供される。原則として、充填システムの各機械、例えば、充填機、閉鎖機、ラベル貼り機、ブロー成形機、および包装機は、それぞれ、ソフトウェア通信ロボットまたはチャットボットを備えることができ、個々のソフトウェア通信ロボットまたはチャットボットを、それぞれ、互いにネットワーク接続することができる。
【0015】
本発明による方法の実施形態を、以下で図面を参照して説明する。説明される実施形態は、あらゆる面で例示にすぎず、限定ではないとみなされるべきであり、本発明には指定される特徴の様々な組み合わせが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一例による充填システムの機械と接続された通信および開ループ/閉ループ制御システムを概略的に示す図である。
図2】例えば、充填システム内の機械を操作するために使用できる、ソフトウェア通信ロボットが実装され得る通信構成を示すブロック図である。
図3】本発明による通信および開ループ/閉ループ制御システムを用いて操作することができる例示的な充填システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、充填システム内の機械の操作に関する。本発明によれば、機械は、オペレータによって、ソフトウェア通信ロボットへのテキストまたは音声入力を介して操作される。さらに、チャットボットがそのようなソフトウェア通信ロボットを代表することになるが、この説明にはソフトウェア通信ロボットの任意の実装形態が含まれる。チャットボットを、少なくとも部分的に、C++またはPythonでプログラムすることができる。
【0018】
図1に、いくつかの機械M1、M2、およびM3を備える充填システム100のラインを概略的に示す。機械は各々、機械が容器を処理するための、例えば、ビンまたはプレフォームを処理するための構成要素K11、K12およびK13または構成要素K21、K22およびK23または構成要素K31、K32およびK33をそれぞれ有する。第1の開ループ/閉ループ制御システムKSR1は、データ交換のために第1の機械M1と通信し、第2の開ループ/閉ループ制御システムKSR2は、データ交換のために第2の機械M2と通信し、第3の開ループ/閉ループ制御システムKSR3は、データ交換のために第3の機械M3と通信する。各開ループ/閉ループ制御システムKSR1、KSR2およびKSR3は、例えば、機械M1、M2、M3相互間の接続を介して、またはすべての機械M1、M2、M3に関するデータが受信される上位レベルのデータシステムを介して、任意の機械M1、M2およびM3からデータを受け取ることもできる。また開ループ/閉ループ制御システムKSR1、KSR2およびKSR3を、データ交換のために相互接続することもできる。
【0019】
通信および開ループ/閉ループ制御システムKSR1は、機械M1を開ループ/閉ループ方式で制御するため機械M1と接続した開ループ/閉ループ制御システムSR1と、チャットボットK1とを備え、通信および開ループ/閉ループ制御システムKSR2は、機械M2を開ループ/閉ループ方式で制御するため機械M2と接続した開ループ/閉ループ制御システムSR2と、チャットボットK2とを備え、通信および開ループ/閉ループ制御システムKSR3は、機械M3を開ループ/閉ループ方式で制御するため機械M3と接続した開ループ/閉ループ制御システムSR3と、チャットボットK3とを備える。チャットボットK1は、開ループ/閉ループ制御システムSR1と通信し、チャットボットK2は、開ループ/閉ループ制御システムSR2と通信し、チャットボットK3は、開ループ/閉ループ制御システムSR3と通信する。オペレータは、チャットボットK1、K2およびK3のうちの1つを介して機械M1、M2およびM3のうちの1つを操作することができる。各チャットボットを、図2に示される通信構成200で実装することができる。
【0020】
各開ループ/閉ループ制御システムSR1、SR2およびSR3は、中央開ループ/閉ループ制御システムの一部とすることができる。特に各開ループ/閉ループ制御システムSR1、SR2およびSR3は、機械M1、M2、M3のうちの1つのところに物理的に配置されなくてもよい。各開ループ/閉ループ制御システムSR1、SR2およびSR3は、機械のうちの1つに少なくとも論理的に割り当てられる。
【0021】
図2に示される通信構成200は、入力インターフェース210を備える。入力インターフェース210は、マイクロフォン(図示されていない)によって録音されたオペレータの音声入力を表すデータを受け取る。あるいは、入力インターフェース210はテキストデータを受け取ることもできる。入力インターフェース210を、ソフトウェアインターフェースとハードウェアインターフェースの組み合わせとして構成することができる。このデータは、入力インターフェース210から(データ)処理装置220に送られる。処理装置220は、充填システムの中心をなす、機械ごとに異なる処理装置を備えることができる処理装置の一部とすることができる。処理装置220は、データを処理するためのプロセッサを含むことができる。通信構成200は、出力装置230および出力インターフェース240も含むことができる。出力装置230を介して音声出力が生成され、音声出力をオペレータとの対話のために出力インターフェース240およびスピーカ(図示されていない)を介して出力することができる。出力インターフェース240も同様に、ソフトウェアインターフェースとハードウェアインターフェースの組み合わせとして構成することができる。
【0022】
処理装置220を、入力インターフェース210から受け取られたデータに基づいて話者認識を実行するように構成することができる。さらに、音声入力の意味内容は中央処理装置220によって決定される。意味内容の決定および話者認識は、それぞれ、モデルメモリー250に格納された、1つまたは複数の言語モデルまたは意味モデルを用いて行うことができる。意味内容を決定するときに、特定の単語が特定の順序で出現する確率を考慮に入れることができる。意味モデルは、ニューラルネットワークまたはベイズ分類器の形で実装することができる。出力装置230を用いて実行されるオペレータとの対話は、対話モデルメモリー260に格納された対話モデルに基づいて行われる。特に、処理装置220を、複数の言語および/または方言での音声入力を認識するように構成することができ、言語または方言ごとに異なるモデルがモデルメモリー250に提供される必要がある。自己学習チャットボットを、図2に示される通信構成200に実装することができる。学習プロセスは、データを収集および評価し、受け取られた音声データおよび認識された意味内容をメモリー280に格納する訓練装置270を用いて行われる。さらに、オペレータのオペレータプロファイルをメモリー280において格納および更新することができる。例えば、話者認識を用いて識別されたオペレータの知識のレベルが経時的にどのように変化するかを学習することができ、処理装置220によって制御されるこのオペレータとの対話を、経時的なオペレータの知識の変化レベルに適応させることができる。オペレータが、機械の所望の操作を開始するための初期段階に比較的狭く詳細な対話をまだ必要としていた場合には、その対話は、後になると、オペレータの知識のレベルが高まるので、おそらくは短くすることができ、それによって、機械がより速く操作されることが可能になる。音声入力の意味内容を決定するときにオペレータプロファイルも考慮に入れることができる。
【0023】
チャットボットの対話を行うための動的学習を、通信構成200に実装された人工知能を用いて行うことができる。また人工知能を、音声入力の音声認識または話者認識/識別/検証に使用することもできる。人工知能は、ニューラルネットワークの形で実装することができる。ニューラルネットワークは、任意の非線形関数を、したがって、これらの関数が例に基づいて利用できる場合には、例えば、ファジー論理の規則もシミュレートするのに適するツールを意味すると理解することができる。ニューラルネットワークの規則性、したがって重み付けを、その場合、事前に決定された、ただし再度適合可能な規則、例えば、あいまい量やファジールールを用いて表される、多数の例から学習/訓練することができる。ファジーコントローラとニューラルネットワークとの組み合わせにより、インテリジェント学習に関連した方法でファジールールを確立およびパラメータ化することが可能になる。
【0024】
ファジー理論では、規則、より正確には言語規則が、論理演算によって互いにリンクされたいくつかの言語値へのいくつかの入力変数のメンバーシップの形のいくつかの前提、いわゆる規則の前提条件、および言語値への出力変数のメンバーシップ関数)の形(一般には‘if-then’形式と呼ばれる)のアクションを含む。各規則を、原則として、専門家によって事前に決定し、かつ/または自動化された方法を使用して学習することができる。自動化された方法を、特に、前述の人工ニューラルネットワークを用いて実行することができる。事前に決定された、または学習された規則を、最適化ステップを通じてさらに適応させることができる。最適化ステップは、規則または規則の優先順位付けもしくは削除において使用される言語値と関連付けられたあいまい量の上記のパラメータの適応を含むことができる。優先順位付けまたは削除は、特に、規則のアクションの結果として得られるメンバーシップ関数に基づいて本発明による合計メンバーシップ関数を決定するときの規則の重み付けを設定または調整することによって行うことができる。
【0025】
2つ以上の言語値の論理演算を、通常の論理演算子、特にAND、ORおよびXORを使用して行うことができる。2項、3項、または4項以上のオペランドを有する演算子をそこで用いることができる。加えて、否定の単項演算を任意の言語値に適用することもできる。
【0026】
規則の前提の2つ以上の言語値の論理ANDを取ると、規則の前提条件の程度を、特に、入力変数の対応する言語値に対するメンバーシップの程度の最小値によって形成することができる。前提の2つ以上の言語値の論理ORを取ると、前提条件の程度を、特に、入力変数の対応する言語値に対するメンバーシップの程度の最大値によって形成することができる。あるいは、論理AND演算子および/または論理OR演算子を、制限された和を使用して実行することもできる。
【0027】
規則のアクションの結果として得られるメンバーシップ関数の決定は、規則の前提条件の程度、すなわち、論理的に接続された前提である規則の‘if’部分を、規則のアクションの言語値である、規則の‘then’部分に割り振ることによって行われる。この割り振りは、推論とも呼ばれ、前提条件の程度とアクションのメンバーシップ関数との間の最小値を形成することによって、すなわち、アクションのメンバーシップ関数を前提条件の程度のレベルで図式的に「切り捨てる」ことによって行うことができる。この代替方法として、割り振りを、前提条件の程度とアクションのメンバーシップ関数との積を形成することによって行うこともできる。
【0028】
規則は、前提条件として、2つ以上の前提、したがって2つ以上の言語値を含むことができる。2つ以上の言語値は等しくすることができる。代替として、またはこれに加えて、前提条件の言語値の一部である2つ以上のプロセス変数を等しくすることもできる。
【0029】
少なくとも最初の事前に決定された規則のアクションの最初の結果として得られるメンバーシップ関数に基づくn個の合計メンバーシップ関数の決定を、特に、合計メンバーシップ関数をアクションの結果として得られる最初のメンバーシップ関数と等しくすることによって行うことができる。結果として得られる最初のメンバーシップ関数を、重み付けによって、特に、規則のアクションの出力変数の範囲にわたる重み関数との乗算によって、かつ/または出力変数の値範囲を事前に決定された限度で切り捨てることによってさらに修正することができる。
【0030】
合計メンバーシップ関数からの出力変数の取得(非ファジー化)を、特に、合計メンバーシップ関数の下方に配置された領域の重心の横座標値を決定することによって行うことができる。あるいは、合計メンバーシップ関数がその最大値を有する出力変数の任意の値を、最大基準法(max criterion method)に従って選択することもできる。同様に、合計メンバーシップ関数がその(グローバル)最大値を想定する出力変数の値のセットの平均値を、最大平均法(mean-of-maxima method)に従って出力変数の値として選択することもできる。
【0031】
複合ニューロファジーシステムでは、どちらも通信構成200に実装することができる、協調システムまたはオフラインシステムとハイブリッドシステムまたはオンラインシステムとを、それぞれ、区別しなければならない。最初に述べたシステムでは、ニューラルネットワークは、特定の時間間隔でオフラインで、すなわち、非動作中に新しく訓練される。ハイブリッドシステムの場合には、訓練は生産活動中に行われる。これらのシステムが、プロセスパラメータが以前に決定された下限と上限の範囲内でのみ制御されることを可能にすることは、決して排他的にではないが、特に有用であり得る。
【0032】
さらに、仮想現実または拡張現実の出力を、出力装置230および出力インターフェース240の対応する形成によって、特に、図2には示されていない表示装置を介してオペレータに提示することができる。仮想現実または拡張現実の出力は、オペレータとの対話を支援するためと、診断その他の動作データを表示するための両方に使用することができる。仮想現実または拡張現実の出力は、特に、例えば、充填システム内の機械の動作プロセスに関する情報のシミュレートされたアニメーション表示を含むことができる。
【0033】
図1に示される通信および開ループ/閉ループ制御システムKSR1、KSR2およびKSR3を用いて操作することができる、詳細な充填システム300を、例として図3に示す。容器302、303を飲料等の液体製品で充填するための充填システム300は、容器302、303を充填および閉鎖するための充填機305と、容器302、303を2つの別々に制御可能な搬送路307、308上に分配するための、充填機305の下流に設けられた分配装置306とを備え、各搬送路307、308には、調整可能な容器ガイド309a、310aを有する少なくとも1つの容器バッファ309、310が設けられている。容器バッファ309、310の下流には、ラベル貼り機311、312と、容器パッケージ315を製造するための包装機313、314とが配置されている。容器パッケージ315は、容器パッケージ315が収集および分配装置316の下流に設けられた仕分けレーン317上に分配され、ピッキング装置318に供給され得るように収集および分配装置316に供給される。
【0034】
搬送路307、308は、各々単一トラックであり、容器302、303の非加圧搬送のために構成された入口側の第1の区間307a、308aを各々備える。さらに、搬送路307、308は、各々複数トラックであり、容器302、303の非加圧搬送のために構成された出口側の第2の区間307a、308aを各々備える。トラック切り替え307c、308cまたはそれぞれの分配設備が、単一トラックの第1の区間307a、308aから、例えば、別々のレーン307b1~307b3、308b1~308b3の形で構成された、第2の区間307b、308bの個々のレーンへの容器302、303の分配のために設けられている。
【0035】
さらに、充填システム300は、ブロー成形機319、320を備える。図示の例では、異なる容器302、303、例えば、異なる幾何学的形状を有する容器を製造するために、別々のブロー成形機319、320が設けられている。ブロー成形機319、320の少なくとも一方を、入口側の搬送路321を経由して充填機3055に接続することができる。さらなる処理のために入口側のトラック切り替え305aを介して異なる容器の流入を供給することができる。さらなる生産装置323、324を、例えば、収縮トンネルの形で設けることができる。
【0036】
中央開ループ/閉ループ制御装置322が、本発明による充填システム300を制御するために設けられ、特に、分配装置306、容器バッファ309、310、ラベル貼り機311、312、および、充填機305やブロー成形機319、320などの分配装置306の上流の生産装置と通信する。図1に示される開ループ/閉ループ制御システムKSR1、KSR2およびKSR3またはチャットボットK1、K2、K3は、中央開ループ/閉ループ制御装置322の一部とすることができる。中央データ処理および分散データ処理を用いた実装形態が可能である。
【0037】
図示の例では、ラベル貼り機311、312はチャットボットK1、K2に、充填機305はチャットボットK3に、ブロー成形機319、320はチャットボットK4、K5に接続されている。チャットボットK1、K2、K3、K4は、充填システム300のそれぞれの機械と論理的に関連付けられている。当然ながら、充填システム300のすべての機械にチャットボットを備えることができ、チャットボットを互いにネットワーク接続して、機械の動作状態およびオペレータの要件に関する情報を交換できるようにすることができる。セキュリティ上の理由で、チャットボットをその他の機械、移動式協働ロボットと、またオペレータのスマートフォンなどともネットワーク接続することを、(例えば、会社独自のネットワークの形で)画定された内部領域に一般に限定することができ、例えば、音声認識や話者識別に関する)、チャットボットによる独立した学習のためのインターネット上の交換を同時に可能にすることができる。
【0038】
中央開ループ/閉ループ制御装置322は、チャットボットに接続され、例えば、システム生産の段取りを組んだり、製品の種類を変更したりする場合の機械の協調および搬送技術を少なくとも部分的に担うことができる。各機械を、チャットボットおよび開ループ/閉ループ制御装置とともに通信および開ループ/閉ループ制御システムと論理的および/または物理的に関連付けることができる。オペレータは、音声入力および音声対話を使用してチャットボットK1、K2、K3、K4、K5を介してそれぞれの機械を操作することができる。チャットボットは、機械に配置された表示装置を使用して情報を表示することができる。
【0039】
チャットボットK1、K2、K3、K4、K5は、オペレータの入力を問い質し、提示もしくは認識された問題の解答を提出し、または特定のアクションを開始することができる。例えば、各チャットボットK1、K2、K3、K4、K5を、オペレータとの対話に応答して(資格に応じた、もしくは、例えば、セットアッププロセスもしくは障害の迅速な実施/除去の)支援のために別のオペレータを呼ぶか、または適切な空いている移動式協働ロボットを要求し、それを特定のアクションに直接割り当てる(図3では、例えば、チャットボットK2が協働ロボットCRに接続されている)ように構成することができる。さらに、チャットボットK1、K2、K3、K4、K5を、生産を自動的に終了、準備、および開始するとともに、材料の流れを開ループ/閉ループ制御装置によって、例えば、中央開ループ/閉ループ制御装置322を用いてしかるべく段取りし、オペレータにどんな作業がなされる必要があるかを伝えるように構成することもできる。すでに開始された生産の終止を、その終止が最初に実行される必要がなく、その後に再開が実行される必要があるように変更することも可能であろう。例えば、製品の新規注文を直前に受注しており、生産に必要な材料が入手できるか、または時間的な余裕をもって再注文できるという理由で、生産を自動化された方法で時間的に延長することも考えられるであろう。生産時間の延長または短縮の理由の1つは、直前に納入され、充填システム300に供給されるか、または供給されない可能性のある(例えば、飲料業界からの)空きビンの受領または受領していないことでもあり得る。
【0040】
チャットボットK1、K2、K3、K4、K5が提供できる他の種類の操作支援が、生産を別の製品に切り替える前に、厳密にどの他の製品をどの量で生産するかに関するオペレータとの対話による明確化、または新しい製品の生産のためにどの作業がどの順序で実行される必要があるか(例えば、洗浄プロセスおよび保守プロセス、材料の交換、フォーマットパーツ(format parts)の交換、設定などといった一般的な切り替えプロセス)に関するオペレータへの情報の出力である。
【0041】
さらに、以下の点でチャットボットK1、K2、K3、K4、K5が操作サポートを提供することができる。
洗浄/滅菌などといった自動部分プロセスが、オペレータによる承認の更新なしで正しい順序で、かつ/または所定の時間間隔で開始されること、
切り替えプロセスに必要な切り替え部品およびツール/材料が、コボット、無人搬送車、またはフォークリフト運転者によって注文され、入手できるようになること、
文書、アニメーション、またはビデオが、オペレータによって現在行われるべき作業について提供および提示されること、
それぞれの作業が行われるべき場所が機械において視覚的に表示されること、または
誤動作がプロセス中に機械もしくはシステムにおいて表示されること、
障害を除去または管理するための助言が与えられること。
【0042】
情報/データのそれぞれの提示を、そこで、移動制御装置および/またはスマートフォンを介して行うこともできる。
【0043】
一般に、充填システム300の予期される状態、例えば、予見できる/予測可能な停止や必要な介入を、例えば音声出力を伴って表示することができる。例えば、停止または誤動作、CIPまたは洗浄プロセス、および無菌システムにおける中間消毒などを回避するための予防措置を、推奨および/または直接開始することもできる。
【0044】
生産の開始前に(例えば、シフトの開始の前にも、レイマ(Reima)、殺菌装置および加熱器などの加熱、収縮スリーブや収縮パックのトンネルの加熱などといった準備動作を、自動化された方法でトリガし、必要な場合には、適切な包装材料を入手できるようにすることもできる。このために、オペレータとの対話を事前に行うことができ、この対話では、例えば、夕方/週末のシフトの終了時に、翌朝/月曜日のシフトの開始に関して質問される(例えば、「システム/機械をいつ生産できる状態にすべきか?」)。
【0045】
他の可能な用途は以下に関するものである。
生産からエネルギーおよびメディア効率への、ならびに/または予定された/迅速な注文処理への自動化された転換。
例えば、休憩中、人的配置時間中などのオペレータの対応可能性の考慮。オペレータはそこで、音声入力によって、またおそらくは、スマートフォンなどのモバイルデバイスによっても「対応不可」と報告することができる。
(例えば、シフトの変更時の)オペレータ交替の認識、ならびに対策の導出、システムの現在の状況および今後のアクションに関する情報の提供など。
生産中断の検出、およびおそらくはシステムがダウンする可能性が高い時間の長さに関するオペレータとの対話における問い合わせ。例えば、休憩を取ったり、機械の洗浄作業または保守を実行したりするために、他のオペレータにこのことを知らせることもできる。エネルギー消費を削減するために、機械のスイッチをオフにし、時間的な余裕をもってオンにすることもできる。以前の比較可能な状況からの経験値をこのために使用することもできる。
(資格、物理的制限などに関する)関与する/対応可能なオペレータに依存したシステムの切り替えプロセスの段取りおよびシステム状況およびコボット(その範囲、負荷容量など)。
【0046】
各チャットボットがオペレータとの個別の対話から動的に学習することができるので(上記参照)、上記すべての操作支援を、特に知識と能力のレベルに応じて、対応して作成および更新されたオペレータプロファイルに基づくパーソナル化された方法でオペレータに提供することができる。
【0047】
さらに、通信構成200に実装された人工知能(図2参照)は、セットアップやトラブルシューティングなどの特定の作業が実際にどれほどの時間続くかを、通常の使用の過程で学習することができる。例えば、このデータに基づいて生産計画が調整され、またはシフト管理者に提案が行われる。在庫レベルや天候や周囲条件(温度、湿度、時間など)といったデータも、生産データの最適化に組み込むことができる。
図1
図2
図3