(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】繊維搬送装置、及び、繊維搬送方法
(51)【国際特許分類】
D04H 1/736 20120101AFI20240423BHJP
D21B 1/06 20060101ALI20240423BHJP
D06B 23/04 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
D04H1/736
D21B1/06
D06B23/04 101
(21)【出願番号】P 2019112947
(22)【出願日】2019-06-18
【審査請求日】2022-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本橋 弘次
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】阿部 隆
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-109666(JP,A)
【文献】米国特許第05722529(US,A)
【文献】特開2000-107723(JP,A)
【文献】特開昭62-090203(JP,A)
【文献】特表平09-512775(JP,A)
【文献】特開2011-241497(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108609404(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 1/00-18/04
B27N 1/00- 9/00
D21B 1/00- 1/38
D21C 1/00-11/14
D21D 1/00-99/00
D21F 1/00-13/12
D21G 1/00- 9/00
D21H 11/00-27/42
D21J 1/00- 7/00
D06B 1/00-23/30
D06C 3/00-29/00
D06G 1/00- 5/00
D06H 1/00- 7/24
D06J 1/00- 1/12
B65G 33/00-33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維を含む繊維片を攪拌する攪拌装置と、前記繊維片を搬送する搬送装置と、前記搬送装置により搬送される前記繊維片の重量を検出する計量部と、制御部とを備え、
前記攪拌装置は、前記繊維片を収容するケースと、前記ケースの内部で回転して前記繊維片を攪拌する攪拌部と、前記攪拌部を回転させる第1駆動部と、を備え、
前記搬送装置は、前記ケースの側面に接続された搬送路に沿った軸線を中心として回転する回転体と、前記回転体の内部に配置されたスパイラル部材、前記回転体の外周面に設けられる従動ギアと、前記回転体を回転させる搬送モーターと、前記搬送モーターの駆動軸に取り付けられ前記従動ギアと噛み合う駆動ギアと、を備え、
前記制御部は、
前記攪拌部の回転
速度および回転方向の少なくとも一つを制御し、
前記回転体及び前記搬送モーターの回転速度、及び、前記回転体及び前記搬送モーターの回転方向を制御する、
繊維搬送装置。
【請求項2】
前記回転体は、前記搬送路を構成する筒であり、前記搬送モーターは前記筒を回転させる、請求項1記載の繊維搬送装置。
【請求項3】
前記筒は前記軸線方向の一端において前記ケースの内部空間に連通し、他端には前記繊維片を排出する排出口を有し、
前記筒の内面に、前記筒の軸に対して突起が螺旋状に配置されている、請求項2記載の繊維搬送装置。
【請求項4】
前記筒は、前記ケースとの接続部よりも前記排出口が鉛直下方方向に低くなるよう傾斜している、請求項3記載の繊維搬送装置。
【請求項5】
前記攪拌部は、前記ケースの底面の一部を構成する回転部と、前記回転部に立設された羽根と、を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の繊維搬送装置。
【請求項6】
前記搬送路は、前記ケースの高さ方向において前記羽根と重なる位置で前記ケースに接続される、請求項5記載の繊維搬送装置。
【請求項7】
前記繊維搬送装置を上から見て、前記攪拌部の回転中心から径方向に延びて前記攪拌部の周方向の通過位置を規定する仮想半直線に対して、前記回転体の軸線から前記搬送路の外側に延長される半直線状の延長仮想線が、前記攪拌部の回転中心から左側にずれた位置で直交するように、前記回転体は、配置され、
前記制御部は、前記繊維搬送装置を上から見て反時計回りに前記攪拌部を回転させる、請求項1から6のいずれか1項に記載の繊維搬送装置。
【請求項8】
前記繊維搬送装置を上から見て、前記攪拌部の回転中心から径方向に延びて前記攪拌部の周方向の通過位置を規定する仮想半直線に対して、前記回転体の軸線から前記搬送路の外側に延長される半直線状の延長仮想線が、前記攪拌部の回転中心から右側にずれた位置で直交するように、前記回転体は、配置され、
前記制御部は、前記繊維搬送装置を上から見て反時計回りに前記攪拌部を回転させる、請求項1から6のいずれか1項に記載の繊維搬送装置。
【請求項9】
繊維を含む繊維片を攪拌する攪拌装置と、前記繊維片を搬送する搬送装置と、前記搬送装置により搬送される前記繊維片の重量を検出する計量部と、制御部と、を備える繊維搬送装置による繊維搬送方法であって、
前記攪拌装置は、前記繊維片を収容するケースと、前記ケースの内部で回転して前記繊維片を攪拌する攪拌部と、前記攪拌部を回転させる第1駆動部と、を備え、
前記搬送装置は、前記ケースの側面に接続された搬送路に沿った軸線を中心として回転する回転体と、前記回転体の内部に配置されたスパイラル部材、前記回転体の外周面に設けられる従動ギアと、前記回転体を回転させる搬送モーターと、前記搬送モーターの駆動軸に取り付けられ前記従動ギアと噛み合う駆動ギアと、を備え、
前記制御部は、
前記攪拌部の回転
速度および回転方向の少なくとも一つを制御し、前記回転体及び前記搬送モーターの回転速度、及び、前記回転体及び前記搬送モーターの回転方向を制御することにより、前記繊維片の搬送量を制御する、
繊維搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維搬送装置、及び、繊維搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器内で攪拌された繊維片を容器から搬送する搬送装置が知られる。例えば、特許文献1には、紙材が攪拌される貯留容器の底面に排出口を設け、この排出口に、下方に延びる四角枠状のケーシングを連通させる構成が記載されている。特許文献1では、ケーシング内に配置された回転軸状の掻込み棒で、排出口からケーシング内に紙材を掻き落す。また、特許文献1では、ケーシング内に落下した紙材を、ケーシング内に対向して配置された一対の回転自在な送出ローラーでケーシングから排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構成では、排出口が容器の底面に設けられており、掻込み棒の動作状態に関わらず排出口に自重で繊維片が落下可能であり、送出ローラーに挟まれる紙片の状態がバラつくと、繊維片の搬送量を調整し難い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する一態様は、繊維を含む繊維片を収容するケースと、前記ケースの内部で回転して前記繊維片を攪拌する攪拌部と、前記攪拌部を回転させる第1駆動部と、前記ケースの側面に接続された搬送路を通じて前記繊維片を搬送する搬送装置と、前記攪拌部および前記搬送装置の回転状態を制御する制御部と、を備え、前記搬送装置は、前記搬送路に沿った軸線を中心として回転する回転体と、前記回転体を回転させる第2駆動部と、を有する、繊維搬送装置である。
【0006】
上記繊維搬送装置において、前記攪拌部および前記回転体の回転状態は、前記攪拌部の回転速度および回転方向の少なくとも一つであり、前記回転体の回転速度および回転方向の少なくとも一つである、構成であってもよい。
【0007】
上記繊維搬送装置において、前記回転体は、前記搬送路を構成する筒であり、前記第2駆動部は前記筒を回転させる、構成であってもよい。
【0008】
上記繊維搬送装置において、前記筒は軸方向の一端において前記ケースの内部空間に連通し、他端には前記繊維片を排出する排出口を有し、前記筒の内面に、前記筒の軸に対して突起が螺旋状に配置されている、構成であってもよい。
【0009】
上記繊維搬送装置において、前記筒は、前記ケースとの接続部よりも前記排出口が鉛直下方方向に低くなるよう傾斜している、構成であってもよい。
【0010】
上記繊維搬送装置において、前記攪拌部は、前記ケースの底面の一部を構成する回転部と、前記回転部に立設された羽根と、を有する、構成であってもよい。
【0011】
上記繊維搬送装置において、前記搬送路は、前記ケースの高さ方向において前記羽根と重なる位置で前記ケースに接続される、構成であってもよい。
【0012】
上記繊維搬送装置において、前記攪拌部の回転中心から径方向に延びて前記攪拌部の周方向の通過位置を規定する仮想半直線に対して、前記回転体の軸線から前記搬送路の外側に延長される半直線状の延長仮想線が、前記攪拌部の回転中心からずれた位置で直交し、前記制御部は、前記仮想半直線を通過する部分の前記攪拌部が前記搬送路に接近する方向に移動するように前記攪拌部を回転させる、構成であってもよい。
【0013】
上記繊維搬送装置において、前記攪拌部の回転中心から径方向に延びて前記攪拌部の周方向の通過位置を規定する仮想半直線に対して、前記回転体の軸線から前記搬送路の外側に延長される半直線状の延長仮想線が、前記攪拌部の回転中心からずれた位置で直交し、前記制御部は、前記仮想半直線を通過する部分の前記攪拌部が前記搬送路から離間する方向に移動するように前記攪拌部を回転させる、構成であってもよい。
【0014】
上記課題を解決する別の一態様は、繊維を含む繊維片を収容するケースと、前記ケースの内部で回転して前記繊維片を攪拌する攪拌部と、前記攪拌部を回転させる第1駆動部と、前記ケースの側面に接続された搬送路を通じて前記繊維片を搬送する搬送装置と、前記攪拌部および前記搬送装置を制御する制御部と、を備え、前記搬送装置は、前記搬送路に沿った軸線を中心として回転する回転体と、前記回転体を回転させる第2駆動部と、を有する繊維搬送装置を制御して、前記制御部は、前記第1駆動部および前記第2駆動部を制御することにより前記攪拌部および前記回転体の各々の回転状態を調整することにより、前記繊維片の搬送量を制御する、繊維搬送方法である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図7】正方向に回転するときの原料片の移動を示す説明図。
【
図8】逆方向に回転するときの原料片の移動を示す模式図。
【
図9】シート製造装置の制御系の要部構成を示すブロック図。
【
図10】第2実施形態の貯留部の平面視に対応する模式図。
【
図11】第3実施形態の貯留部の平面視に対応する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0017】
[1.第1実施形態]
[1-1.シート製造装置の全体構成]
図1は、シート製造装置100の構成を示す図である。
シート製造装置100は、木質系パルプ材料やクラフトパルプ、古紙、合成パルプ等の繊維を含む原料MAを繊維化して、シートSを製造する。
【0018】
シート製造装置100は、供給部10、粗砕部12、貯留部13、解繊部20、選別部40、第1ウェブ形成部45、回転体49、混合部50、分散部60、第2ウェブ形成部70、ウェブ搬送部79、加工部80、及び、切断部90を備える。
【0019】
供給部10は、粗砕部12に原料MAを供給する。粗砕部12は、粗砕刃14により原料MAを裁断するシュレッダーである。原料MAは、粗砕部12により紙片状に裁断されて原料片MSとなり、原料片MSはホッパー9により集められて貯留部13に搬送される。原料片MSは粗砕片、或いは裁断片ということができ、繊維を含む繊維片の一例に対応する。原料片MSは、例えば、長さが20mm、幅が3mm程度の長方形状である。
【0020】
貯留部13は、粗砕部12から供給された原料片MSを一時的に貯留し、所定量を解繊部20に供給する。これによって、シートSの製造工程に供給される原料片MSの供給量を安定させることが可能となる。
【0021】
解繊部20は、粗砕部12で裁断された細片を乾式で解繊して解繊物MBにする。解繊とは、複数の繊維が結着された状態の原料片MSを、1本または少数の繊維に解きほぐす加工である。乾式とは、液体中ではなく、空気中等の気中において、解繊等の処理を行うことを指す。解繊物MBは、例えば、原料MAに含まれた繊維や、樹脂粒、インクやトナーなどの色剤、にじみ防止材、紙力増強剤等の原料MAに由来する成分を含む。
【0022】
解繊部20は、例えば、筒状の固定子22と、固定子22の内部で回転するローター24とを備えるミルであり、原料片MSを固定子22とローター24との間に挟んで解繊する。解繊物MBは、配管を通じて選別部40に送られる。
【0023】
選別部40は、ドラム部41と、ドラム部41を収容するハウジング部43とを有する。ドラム部41は、網、フィルター、スクリーン等の開口を有する篩であり、図示しないモーターの動力により回転する。解繊物MBは、回転するドラム部41の内部でほぐされて、ドラム部41の開口を通過して下降する。解繊物MBの成分のうちドラム部41の開口を通過しないものは、管8を通じてホッパー9に搬送される。
【0024】
第1ウェブ形成部45は、多数の開口を有する無端形状のメッシュベルト46を備える。第1ウェブ形成部45は、ドラム部41から下降する繊維等をメッシュベルト46に堆積させることにより、第1ウェブW1を製造する。ドラム部41から下降した成分のうちメッシュベルト46の開口より小さいものは、メッシュベルト46を通過して吸引部48により吸引除去される。これにより、解繊物MBの成分のうち、シートSの製造に適しない短い繊維や、樹脂粒、インク、トナー、にじみ防止剤等が除去される。
【0025】
メッシュベルト46の移動経路には加湿器77が配置され、ミスト状の水または高湿度の空気により、メッシュベルト46に堆積した第1ウェブW1が加湿される。
第1ウェブW1は、メッシュベルト46により搬送され、回転体49に接触する。回転体49は、複数の羽根によって第1ウェブW1を分断し、材料MCとする。材料MCは管54を通じて混合部50に搬送される。
【0026】
混合部50は、材料MCに添加材料ADを添加する添加物供給部52、及び、材料MCと添加材料ADとを混合する混合ブロアー56を備える。添加材料ADは、複数の繊維を結着させるための樹脂などの結合材料を含み、着色剤、凝集抑制剤、難燃剤等を含んでもよい。混合ブロアー56は、材料MC及び添加材料ADが搬送される管54に気流を発生させて材料MCと添加材料ADとを混合し、混合物MXを分散部60に輸送する。
【0027】
分散部60は、ドラム部61と、ドラム部61を収容するハウジング63とを有する。ドラム部61は、ドラム部41と同様に構成される円筒形状の篩であり、図示しないモーターにより駆動されて回転する。ドラム部61の回転により、混合物MXは解きほぐされてハウジング63の内部を下降する。
【0028】
第2ウェブ形成部70は、多数の開口を有する無端形状のメッシュベルト72を備える。第2ウェブ形成部70は、ドラム部61から下降する混合物MXをメッシュベルト72に堆積させて第2ウェブW2を製造する。混合物MXの成分のうちメッシュベルト72の開口より小さいものは、メッシュベルト72を通過して吸引部76により吸引される。
【0029】
メッシュベルト72の移動経路には加湿器78が配置され、ミスト状の水または高湿度の空気により、メッシュベルト72に堆積した第2ウェブW2が加湿される。
【0030】
第2ウェブW2は、ウェブ搬送部79によってメッシュベルト72から剥がされ、加工部80に搬送される。加工部80は、加圧部82、及び、加熱部84を備える。加圧部82は、一対の加圧ローラーにより第2ウェブW2を挟み、所定のニップ圧で加圧して、加圧後シートSS1を形成する。加熱部84は、一対の加熱ローラーによって加圧後シートSS1を挟んで熱を加える。これにより、加圧後シートSS1に含まれる繊維が、添加材料ADに含まれる樹脂により結着し、加熱後シートSS2が形成される。加熱後シートSS2は、切断部90に搬送される。
【0031】
切断部90は、加熱後シートSS2を、搬送方向Fと交差する方向及び/または搬送方向Fに沿う方向に切断し、所定サイズのシートSを製造する。シートSは、排出部96に貯留される。
【0032】
シート製造装置100は、制御装置110を備える。制御装置110は、解繊部20、添加物供給部52、混合ブロアー56、分散部60、第2ウェブ形成部70、加工部80、及び切断部90を含むシート製造装置100の各部を制御して、シートSの製造方法を実行させる。また、制御装置110は、供給部10、選別部40、第1ウェブ形成部45、及び、回転体49の動作を制御するものであってもよい。
シート製造装置100は、本発明の繊維搬送装置の一例に対応する。
【0033】
[1-2.貯留部の構成]
図2は、貯留部13の斜視図である。
図3は、
図2のIII-III線における縦断面図である。
図3では、計量部134を省略している。
【0034】
貯留部13は、攪拌装置130と、排出パイプ132と、計量部134とを備える。
攪拌装置130は、ホッパー9から搬送された原料片MSを内部に一時的に貯留する機能、および、貯留している原料片MSを攪拌する機能を有する。攪拌装置130は、
図3に示すように、ケース170と、回転体172と、駆動機構174とを備える。
【0035】
ケース170の開口部184の上方には、ホッパー9が位置し、開口部184を通して、ホッパー9からケース170の内部に原料片MSが投入される。
【0036】
ケース170は、円筒形状の部材である側壁180を載置台136に載置することで形成され、原料片MSを収容する。側壁180の底部は開口し、載置台136の上面により塞がれる。すなわち、載置台136の上面がケース170の底面182を構成する。
【0037】
側壁180は、複数の支持部材122によって載置台136に固定される。支持部材122は、
図3に示すように、断面C字形状の柱状部材であり、載置台136の上面に立設される。支持部材122の上端には爪部124が設けられ、爪部124が側壁180の上端に係合することによって、側壁180が載置台136に固定される。本実施形態では、支持部材122がケース170の外周に沿って等間隔に4本配置された構成を例示する。
図2では、一部の支持部材122のみを図示している。なお、側壁180は、支持部材122を用いずに、接着剤等によって、載置台136に固定されていてもよい。また、支持部材122と側壁180とが接着剤により固定されてもよい。
【0038】
側壁180の内周面には、環状の張り出し部230が設けられる。張り出し部230は、攪拌装置130の内部で攪拌された原料片MSが開口部184からあふれ出ないように、原料片MSの巻き上げを規制する。張り出し部230の幅や高さ位置は、攪拌装置130の形状や大きさ、処理速度に応じて適宜に変更可能である。
【0039】
側壁180には、排出部186が設けられる。排出部186は、接続部の一例に対応する。排出部186は、側壁180の下部からケース170の外側に向けて設けられた空洞状の張り出し部である。ケース170の外側には、排出部186に対向するように、計量部134が配置される。
【0040】
排出部186は、計量部134に対向して下向きに傾斜する傾斜面188を有する。傾斜面188には排出口189が開口し、ケース170の内部から排出口189を通じて原料片MSを排出可能である。排出口189には排出パイプ132が接続される。
【0041】
ケース170の底部には原料片MSを攪拌する回転体172が配置される。回転体172は、攪拌部の一例に対応する。回転体172は、底面182に対して回転可能に設置され、回転部190、複数の羽根196、および突起部材198を備える。
【0042】
回転部190は、底面182に重ねて配置される円板形状の部材であり、回転部190と底面182との境界はシーリング部材192により封止される。シーリング部材192は、原料片MSが回転部190と底面182との間に入り込んで圧縮され、塊状になる事態を抑制する。シーリング部材192は、例えば、ポリアセタール等の樹脂によって形成される。
【0043】
回転部190の回転中心には、貫通孔である中心孔191が設けられる。また、底面182には、回転部190の中心に重なる位置に、貫通孔である底面孔183が設けられる。回転部190には、中心孔191を貫通して底面孔183の内部に達する接続部材194が配置される。接続部材194は、回転部190に固定される。
【0044】
回転体172は、駆動機構174に連結され、駆動機構174の動力により回転する。
駆動機構174は、攪拌モーター210と、収容部材214と、駆動軸216と、接続部材194とを備え、載置台136の下方に配置される。攪拌モーター210は、第1駆動部の一例に対応する。収容部材214は、駆動軸216を収容する円筒形の筐体であり、載置台136の下面に接続される。
【0045】
駆動軸216は、攪拌モーター210の出力軸であり、収容部材214の内部を通り、底面孔183の内部で、接続部材194の下部に形成された挿通部195に接続される。駆動軸216は、2つの軸受220により回転可能に収容部材214に支持される。
【0046】
この構成により、攪拌モーター210が動作して駆動軸216が回転すると、駆動軸216とともに回転体172が、ケース170の底部で回転する。
【0047】
回転部190の上面は、複数の羽根196が固定される。羽根196は、回転部190の回転中心から放射状に延びるように配置される。本実施形態では、回転体172に4つの羽根196が配置され、各々の羽根196は回転部190の周方向において所定の間隔を空けて配置される。羽根196の下端にはフランジ200が形成され、フランジ200が回転部190に面接触して固定される。この構成によれば、羽根196と回転部190との間に原料片MSが入り込むことを抑制する効果がある。なお、図には羽根196が略垂直に立設された例を示すが、羽根196は、回転部190の上面に対して鋭角をなす角度、或いは鈍角をなす角度で設置されてもよい。
【0048】
回転体172の中心の近傍において、羽根196の一端部は接続部材194に近接する。また、羽根196の他端部は回転部190の周縁に近接する位置にある。このため、回転体172が回転すると、ケース170の径方向において、より広範囲に亘って原料片MSが攪拌される。
【0049】
回転体172の外周部において、羽根196の端には、回転部190の径方向に突出する突出片204が形成されている。突出片204は、ケース170の高さ方向において、排出口189に重なる位置に配置される。突出片204は、回転体172が回転する間、原料片MSを排出口189に押し出すように作用する。
【0050】
回転部190の上面の回転中心には、突起部材198が配置される。突起部材198は半楕円球あるいは半球形状の部材であり、接続部材194を覆う。また、羽根196の端部と接続部材194との間は、隙間がなく、或いは隙間が小さくなるように接続される。突起部材198の高さは、羽根196の高さよりも高いことが好ましく、本実施形態では、側壁180の高さ寸法の半分程度である。
【0051】
突起部材198は、回転部190の回転中心における空間を閉塞し、この空間への原料片MSの堆積を抑制する。回転部190の回転中心に位置する原料片MSは、回転による遠心力の作用を受けにくく、羽根196に接触することもない。このため、回転部190を回転させた場合に、回転中心に原料片MSが滞留しやすい。回転部190の回転中心に突起部材198を配置して、回転中心の空間を塞ぐことで、原料片MSの滞留を抑制し、ケース170において原料片MSを効果的に攪拌できる。なお、突起部材198の形状は、半球や半楕円球に限定されず、円錐や角錐等の錐体であってもよく、先端が球面状に形成された錐体であってもよい。
【0052】
図4は、排出パイプ132の断面図である。
排出パイプ132は、中空の管状部材であり、攪拌装置130に貯留された原料片MSを計量部134に向けて搬送する。本実施形態では、排出パイプ132は断面円形の直管であり、断面の中心を通る仮想の軸線を中心軸L1とする。排出パイプ132は回転体の一例に対応する。排出パイプ132は、筒の一例に対応する。中心軸L1は、軸線の一例に対応する。本実施形態の排出パイプ132は、ABS樹脂で製造されるが、他の材料で製造してもよい。ここで、ABSは、Acrylonitrile Butadiene Styreneの略語である。
【0053】
排出パイプ132の両端は開口し、一方の端の開口は流入口132Aであり、他方の端部の開口は排出口132Bである。流入口132Aは、攪拌装置130の排出部186に接続されて、ケース170の内部空間170Aに連通し、排出口132Bは、計量部134に近接した位置に開口する。排出パイプ132は、内部空間170Aから計量部134に原料片MSを搬送する搬送路133として機能する。
排出パイプ132は、排出口132Bが流入口132Aと同じ高さ位置となるように水平に、或いは、排出口132Bが流入口132Aよりも低い位置となるように傾斜して、設置される。排出パイプ132の傾きは水平線L0に対する中心軸L1の角度θで特定され、例えば、角度θは0°以上15°以下の範囲内とすることが好適であり、5°が特に好適である。
【0054】
排出口132Bの縁には、円環状のリブ141が形成される。リブ141が形成されたことにより、排出口132Bの径が絞られる。リブ141には排出口132Bからの原料片MSの排出を抑制し、排出口132Bから排出される原料片MSの量の調整を容易にしている。
【0055】
排出パイプ132の内部には、スパイラル部材140が配置される。
図5は、スパイラル部材140の斜視図である。
スパイラル部材140は、断面矩形の薄板が螺旋を描く形状を有する。
図5に例示するスパイラル部材140は、等ピッチで三回半巻きの螺旋を構成するが、スパイラル部材140の巻き数およびピッチは任意に変更可能である。ここで、ピッチとは、1周回あたりのスパイラル部材140の軸線L2方向の長さをいう。軸線L2は、スパイラル部材140の周回の中心を通る仮想の軸線であり、軸線L2方向におけるスパイラル部材140の端を、端部140Aおよび端部140Bとする。スパイラル部材140の幅は、全体にわたって均一であってもよいが、本実施形態では、端部140Bを含むほぼ1周回の幅H2は、他の部分の幅H1より大きく、排出口132Bから排出される原料片MSの量が調整し易くなる。
【0056】
スパイラル部材140は、排出パイプ132の内周面132Cに沿って配置される。スパイラル部材140は内周面132Cに隙間なく密着することが好ましい。スパイラル部材140の軸線L2は、排出パイプ132の中心軸L1に一致するか、平行であることが好ましい。本実施形態では、スパイラル部材140の軸線L2は、排出パイプ132の中心軸L1に一致する。スパイラル部材140の端部140Aは排出パイプ132の流入口132Aの近傍に位置し、端部140Bは排出口132Bの近傍に位置する。端部140Aと流入口132Aとの間、および、端部140Bと排出口132Bとの間は離れていてもよい。
【0057】
スパイラル部材140を排出パイプ132の内部に配置することにより、内周面132Cに螺旋状の突起が形成される。スパイラル部材140が形成する突起の高さは、スパイラル部材140の幅H1、幅H2である。このため、排出パイプ132の内部空間において、排出口132Bに近い位置の突起の高さH2は、流入口132Aに近い位置における突起の高さH1よりも高い。
【0058】
排出パイプ132は、軸受137、137によって回転可能に支持される。排出パイプ132の外周面132Eには、円環状の軸受支持部132D、132Dが取り付けられ、軸受支持部132D、132Dが、それぞれ軸受137、137に嵌合する。一方の軸受137は、排出部186に固定され、他方の軸受137は、載置台136の側面に設けられたパイプ支持部材135に固定される。これにより、排出パイプ132は、長手方向における複数の位置で支持される。
【0059】
軸受支持部132D、132Dの間において、排出パイプ132の外周面132Eには従動ギア142が設けられる。従動ギア142は、外周面132Eに周方向に配置または形成された平歯車である。従動ギア142は、パイプ支持部材135の上面に設置された搬送モーター150に連結される。ここで、搬送モーター150は、第2駆動部の一例に対応する。搬送モーター150の駆動軸には駆動ギア152が取り付けられ、駆動ギア152が従動ギア142に噛合する。搬送モーター150が駆動軸を回転させることにより、排出パイプ132が中心軸L1を中心として回転する。搬送モーター150は、後述するように正方向への回転、および逆方向への回転が可能であり、搬送モーター150の回転方向を制御することにより、排出パイプ132の回転方向を制御可能である。ここで、排出パイプ132の回転方向を、正方向ROおよび逆方向RVとする。
【0060】
排出パイプ132、スパイラル部材140、従動ギア142、搬送モーター150、駆動ギア152などにより、原料片MSを搬送する搬送装置131が構成される。
【0061】
排出パイプ132は、搬送モーター150の回転速度に対応する速度で回転する。排出パイプ132の回転速度は、排出パイプ132により搬送される原料片MSの搬送量に影響する。従って、後述する制御装置110は、排出パイプ132の回転速度が適切な範囲内の速度となるように、搬送モーター150の回転を制御する。
【0062】
排出パイプ132の回転速度が低速すぎる場合、すなわち単位時間あたりの回転数が少ない場合、原料片MSを排出パイプ132内で持ち上げる作用が弱く、重力で落下させてほぐす効果が小さいため、塊状となっている原料片MSを崩すことが難しい。また、排出パイプ132の回転速度が遅いため、原料片MSが中心軸L1方向に移動しにくくなり、排出パイプ132により搬送される原料片MSの量が少なくなる。一方、排出パイプ132の回転速度が高速すぎる場合、すなわち単位時間あたりの回転数が多い場合、排出パイプ132内の原料片MSが、遠心力によって内周面132Cに付着した状態となり、原料片MSを排出パイプ132内で持ち上げた状態から重力で落下しないため搬送され難い。このため、原料片MSが中心軸L1方向に移動しにくくなり、排出パイプ132により搬送される原料片MSの量が少ない。
従って、排出パイプ132の回転速度を適切な範囲内に調整することにより、排出パイプ132内で、原料片MSがほぐされながら、安定的に搬送することができる。
【0063】
排出パイプ132の回転速度は、例えば、45rpm(回転数/分)以上105rpm以下の範囲内に調整される。特に、50rpm以上95rpm以下の範囲内の速度が好適であり、原料片MSを効果的に搬送することができる。本実施形態では、一例として、排出パイプ132を75rpmで回転させる。
【0064】
また、排出パイプ132の回転方向は、排出パイプ132により搬送される原料片MSの搬送量に影響する。従って、後述する制御装置110は、排出パイプ132の回転速度が適切な範囲内の速度となるように、搬送モーター150の回転方向を切り替える。
【0065】
図6は、貯留部13の平面視に対応する模式図である。
図6に示す貯留部13の平面視において、回転体172の回転中心172Aを通過する第1仮想直線L11と、第1仮想直線L11に直交し回転体172の回転中心172Aを通過する第2仮想直線L12とにより、回転体172の回転する領域を四分する。すなわち、
図6に示すように、第1仮想直線L11と第2仮想直線L12とにより、回転体172の回転する領域を領域D1、D2、D3、D4に四分する。ただし、第1仮想直線L11と第2仮想直線L12とは、第2仮想直線L12が延長軸L1aに対して直交するように配置する。ここで、延長軸L1aは、排出パイプ132の中心軸L1から、排出パイプ132の外側の延長方向Y1に延長される半直線状の仮想線である。延長軸L1aは、延長仮想線の一例に対応する。
【0066】
本実施形態では、延長軸L1aは、第1仮想直線L11の位置に一致し、排出パイプ132の流入口132Aは、四分された領域D1-D4のうち第2仮想直線L12よりも排出パイプ132側の二つの領域D2、D3に面する。本実施形態では、排出パイプ132の流入口132Aは、回転体172の外周部の接線上に配置される。
【0067】
ここで、本実施形態では、回転体172は平面視で円形状である。回転体172が回転する場合に、周方向の各位置における回転体172の外周部の速度ベクトルVの方向は、回転体172の外周部の接線方向であって、回転体172の回転方向の下流側を向く。流入口132Aの近傍、すなわち第2仮想直線L12よりも排出パイプ132側では、速度ベクトルVは、排出パイプ132の中心軸L1や延長軸L1aを、回転方向R1に応じた移動方向に横切る方向の成分を有し易い。
【0068】
したがって、回転体172が平面視で反時計回りの回転方向R1に回転する場合には、流入口132Aの近傍では、回転体172の速度ベクトルVは、中心軸L1や延長軸L1aを左方から右方に横切る方向の成分を有し易い。このため、回転体172から力を受けて移動する原料片MSは、排出パイプ132内には、中心軸L1に対して、回転体172の回転方向R1の下流側、すなわち、中心軸L1に対して右側に偏って進入し易い。
【0069】
図7は、正方向ROに回転するときの
図6の矢印方向Yに流入口132Aを見た場合の原料片MSの移動を示す説明図である。
図8は、逆方向RVに回転するときの
図6の矢印方向Yに流入口132Aを見た場合の原料片MSの移動を示す模式図である。
【0070】
図7の矢印Ta1で示すように、回転体172が反時計回りの回転方向R1に回転する場合、排出パイプ132内には右側に偏って原料片MSが流入し易い。排出パイプ132が正方向ROに回転する場合、右側に偏った原料片MSは、
図7の矢印Ta2で示すように、排出パイプ132の内周面132Cとの摩擦力で中心軸L1の下方を通って左側に移動し易い。よって、中心軸L1の右側にはスペース133Aが生じ易い。そして、中心軸L1の右側に生じたスペース133Aには、矢印Ta3で示すように、ケース170から新たな原料片MS2が流入し易い。
【0071】
一方、排出パイプ132が逆方向RVに回転する場合には、
図8の矢印Tb1、Tb2で示すように、排出パイプ132内に右側に偏って流入した原料片MSは、排出パイプ132の内周面132Cとの摩擦力により、中心軸L1の右側に保持され易い。このため、矢印Tb3で示すように、中心軸L1の右側から新たな原料片MS2が排出パイプ132内に進入しようとしても、原料片MSで流入が規制され易い。
【0072】
ここで、本実施形態の正方向ROは、
図7に示すように、排出口132B側から流入口132A側を見た場合に、排出パイプ132の中心軸L1よりも下方の部分が、回転体172の反時計回りの回転方向R1の反対方向に対応して、移動する方向である。また、逆方向RVは、
図8に示すように、排出口132B側から流入口132A側を見た場合に、排出パイプ132の中心軸L1よりも下方の部分が、回転体172の反時計回りの回転方向R1に対応して移動する方向である。
【0073】
すなわち、ケース170内の回転体172の回転状態に応じて、排出パイプ132の中心軸L1よりも下方の部分を、回転体172の回転方向R1に対応させて移動させたり、逆方向に移動させたりして、排出パイプ132の回転状態を切り替える。これにより、新たな原料片MS2が排出パイプ132内に流入することを許可したり、規制したりすることができる。よって、後述するように、本実施形態の制御装置110は、排出パイプ132の回転方向を正方向ROと逆方向RVとに切り替えることによって、排出口132Bから排出される原料片MSの排出量を調整できる。
【0074】
図2に示すように、排出パイプ132の排出口132Bの下方には、計量部134が配置される。計量部134は、排出口132Bから排出される原料片MSを貯留する受け部160と、受け部160の重量を検出するロードセル164とを備える。受け部160は、原料片MSを収容する容器の一例に対応する。ロードセル164は、支持台138に固定される。ロードセル164は、受け部160の重量を検出することによって受け部160に貯留された原料片MSの重量を検出するものであり、重量検出部の一例に対応する。
【0075】
受け部160は、上面が開口している中空の箱型部材である。受け部160の上面開口部166の上方には、排出口132Bが位置するので、原料片MSが排出口132Bから落下し、受け部160に貯留される。
【0076】
受け部160の側面には、側方に突出する突出部169が設けられ、突出部169の底部がロードセル164に当接する。このため、受け部160から突出部169を介してロードセル164に荷重が加わる。
【0077】
受け部160の底面には、底面開口部168が開口しており、底面開口部168には閉塞部材162が取り付けられる。
閉塞部材162は、軸160Aによって回動可能に取り付けられる。閉塞部材162は、後述する開閉モーター165の動力により、底面開口部168を閉塞する閉塞位置と、底面開口部168を開放する開放位置とに回動可能である。つまり、開閉モーター165の動作によって受け部160の底面開口部168が開閉される。底面開口部168が開かれると、受け部160に貯留されている原料片MSが排出され、解繊部20に送られる。なお、底面開口部168がスライドする板状部材により開閉される構成であってもよい。
【0078】
ロードセル164は、重さやトルク等の力を検出するセンサーである。
図2に示す構成において、ロードセル164は、突出部169を介して加わる力を検出し、検出値に応じた信号を制御装置110に出力する。
【0079】
[1-3.シート製造装置の制御系の構成]
図9は、シート製造装置100の制御系の要部構成を示すブロック図である。
制御装置110は、図示しない操作部における入力操作、および、シート製造装置100が備える各種センサーの検出値を取得し、これらに基づきシート製造装置100の各部を制御して、シートSを製造する。
【0080】
制御装置110は、例えば、CPUやマイコン等のプロセッサーを備え、プログラムを実行することにより、シート製造装置100の各部を制御する。制御装置110は、上記のプロセッサーのほか、ROM、RAM、その他の信号処理回路等を備える構成とすることができ、これらを統合したSoCで構成されてもよい。制御装置110は、例えばCPUが、ROMに記憶されたプログラムをRAMに読み出して処理を実行し、また例えば信号処理回路で信号処理を行って処理を実行する等、ハードウェアとソフトウェアとの協働により処理を実行する。また、制御装置110は、ASICを備え、ASICに実装された機能により処理を実行する構成等、ハードウェアに実装された機能で各種処理を実行する構成であってもよい。
【0081】
ここで、ROMは、Read Only Memoryの略語である。RAMは、Random Access Memoryの略語である。CPUは、Central Processing unitの略語である。SoCは、System-on-a-Chipの略語である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略語である。
【0082】
図9には、制御装置110に接続されるセンサーのうち、ロードセル164を図示する。また、制御装置110に接続される駆動部として、攪拌モーター210、搬送モーター150、および、開閉モーター165を図示する。これらのほか、制御装置110には、シート製造装置100の動作を制御するための各種センサー、および、シート製造装置100を動作させる各種の駆動部が接続されているが、これらの図示を省略する。
【0083】
制御装置110には、ロードセル164から、受け部160の重量の検出値を示す信号が入力される。制御装置110は、攪拌モーター210の駆動および停止を制御する。制御装置110は、搬送モーター150の駆動、停止、および、搬送モーター150の回転方向の切り替えを制御することにより、排出パイプ132を正回転および逆回転させる。制御装置110は、開閉モーター165の駆動、停止、および開閉モーター165の回転方向を制御し、閉塞部材162を動作させることにより、底面開口部168を開閉させる。
【0084】
制御装置110は、シートSの製造の開始を指示する操作を検出すると、シート製造装置100の各部を初期化し、動作を開始させる。この際、制御装置110は、攪拌モーター210および搬送モーター150の動作を開始させ、原料片MSの攪拌および搬送を開始させる。また、制御装置110は、ロードセル164の検出値が設定された目標値に達した場合に、開閉モーター165を動作させて底面開口部168を開く。
【0085】
制御装置110は、計時機能を有し、ロードセル164の検出値が目標値に達するまでの時間を計時する。制御装置110は、計時した時間を予め設定された閾値と比較することにより、搬送モーター150の回転方向を制御する。
制御装置110は、本発明の制御部の一例に対応する。
【0086】
[1-4.シート製造装置の動作]
シート製造装置100が起動されると、制御装置110は、貯留部13の攪拌装置130の攪拌モーター210を駆動して、回転体172を回転させる。また、制御装置110は、貯留部13の搬送装置131の搬送モーター150を駆動して、排出パイプ132を回転させる。
【0087】
この際に、攪拌装置130のケース170に、ホッパー9から原料片MSが投入されると、原料片MSは、ケース170内の底部で回転する回転体172によって攪拌される。原料片MSは、回転体172の羽根196で、回転体172の径方向外側、すなわちケース170の側壁180の方向に送り出されながら攪拌される。これにより、密度や厚さ、色などが異なる複数の種類の原料片MSが投入された場合であっても、ケース170内部において原料片MSの混ざり具合を均質化させ易くできる。回転体172は、底面182の一部を構成する回転部190と羽根196とが一体に回転する。このため、例えば、羽根のみが底面部に対して回転する場合とは異なり、原料片MSが、羽根196と、底面182との間で圧縮されて塊状になることを抑制できる。
【0088】
攪拌された原料片MSは、羽根196によって、ケース170の排出部186から搬送装置131の排出パイプ132に送られる。排出パイプ132の内部に送られた原料片MSは、排出パイプ132内では、排出パイプ132と共に回転するスパイラル部材140によって攪拌されながら排出口132Bに搬送される。これにより、原料片MSの搬送中に、原料片MSが塊状になることが抑制される。
【0089】
計量部134に送られた原料片MSは、上面開口部166から受け部160の内部に投入される。受け部160の内部の原料片MSが予め設定された目標値に達したことをロードセル164が検出すると、制御装置110が開閉モーター165を駆動させる。これによって、閉塞部材162は閉塞位置から開放位置に回動し、受け部160の底面開口部168が開放される。底面開口部168が開放されると、受け部160の原料片MSが自重で落下する。落下した原料片MSは、解繊部20に搬送される。なお、シート製造装置100では、攪拌装置130や搬送装置131が駆動し続けることにより、計量部134に原料片MSが搬送されることが繰り返される。よって、制御装置110は、開閉モーター165を動作させて計量部134を空にした場合に、計時した時間の値をリセットし、ロードセル164の検出値が目標値に達するまでの時間を計時することを繰り返す。
【0090】
搬送装置131では、攪拌装置130のケース170から、原料片MSが多く送られる場合があり、搬送装置131の排出パイプ132から原料片MSが多く排出される場合がある。
【0091】
この際に、制御装置110は、回転体172および搬送装置131の回転状態に基づいて、搬送装置131の回転状態を切り替える。本実施形態の制御装置110は、計量部134の重量が予め設定された目標値に到達する時間が、予め設定された閾値よりも小さい場合には、排出パイプ132を逆方向RVに回転させる。換言すれば、制御装置110は、原料片MSの重量の増加ペースが早い場合には、排出パイプ132を逆方向RVに回転させる。また、制御装置110は、受け部160の重量が予め設定された目標値に到達する時間が、予め設定された閾値よりも大きい場合には、排出パイプ132を正方向ROに回転させる。換言すれば、制御装置110は、原料片MSの重量の増加ペースが遅い場合には、排出パイプ132を正方向ROに回転させる。なお、計量部134の重量が目標値に到達する時間が小さいか否かを判定する場合には、開閉モーター165を開閉させるための目標値に代えて、この目標値よりも小さい値を用いて判定してもよい。
【0092】
排出パイプ132が逆方向RVに回転すると、
図8に示すように、排出パイプ132内で原料片MSが偏在して滞っているため、ケース170から排出パイプ132内に原料片MSが流入することが規制される。よって、本実施形態では、流入口132Aを開閉可能に移動するシャッター部材を設けなくても、ケース170から排出パイプ132内に原料片MSが流入することを防止、または流入を低減することでき、排出パイプ132の回転により流入口132Aの少なくとも一部を閉塞する効果が得られる。いわゆる、シャッター効果を得ることができる。これにより、排出パイプ132内の原料片MSの搬送量を調整可能である。また、原料片MSが排出パイプ132内に流入することを規制した状態で、回転体172を回転させて攪拌できる。
【0093】
特に、本実施形態のスパイラル部材140の巻き方向は、中心軸L1に沿って流入口132Aから排出口132Bに向かう場合に、中心軸L1の周りを時計回り方向に巻く方向である。すなわち、スパイラル部材140は、排出パイプ132が正方向ROに回転する場合に排出口132Bに向けて原料片MSを搬送し、排出パイプ132が逆方向RVに回転する場合に流入口132Aに向けて原料片MSを搬送する巻き方向である。よって、本実施形態では、原料片MSの流入を規制しようとして、排出パイプ132を逆方向RVに回転させる場合に、排出パイプ132内では原料片MSが流入口132A側に搬送される。よって、原料片MSがケース170から排出パイプ132内に流入することを、さらに抑制し易い。
【0094】
本実施形態では、制御装置110は回転体172を反時計回りの回転方向R1に回転させるが、回転体172を、反時計回りの回転方向R1とは逆の時計回り方向に回転させてもよい。この場合には、流入を許可する場合と規制する場合の排出パイプ132の回転方向は逆になる。すなわち、攪拌装置130の回転体172を時計回り方向に回転させる場合には、原料片MSの流入を許可する場合、排出パイプ132を逆方向RVに回転させ、原料片MSの流入を規制する場合、排出パイプ132を正方向ROに回転させる。さらに、これらに代えて、攪拌モーター210を、正回転および逆回転を切り替え可能な構成とし、攪拌モーター210の回転方向を制御することにより、回転体172の回転方向を切り替える制御をしてもよい。例えば、制御装置110が、予め設定されたタイミング毎に、回転体172の回転方向を、反時計回りの回転方向R1と、時計回りの回転方向とで切り替える制御をしてもよい。そして、制御装置110は、回転体172の回転方向に応じて、排出パイプ132の回転方向を、流入を許可する場合の回転方向と、流入を規制する場合の回転方向とを切り替えてもよい。予め設定されたタイミングとしては、例えば、一定時間毎のタイミングにしたり、計量部134の閉塞部材162が開閉されるタイミングにしたりできる。
【0095】
また、本実施形態の制御装置110は、受け部160の原料片MSの重量の増加ペースが早い場合に、排出パイプ132を逆方向RVに回転させる。しかし、排出パイプ132の回転を停止させてもよい。排出パイプ132の回転を停止させる場合、排出パイプ132内を原料片MSが搬送され難くなる。よって、流入口132Aの近傍に新たな原料片MS2が進入するスペースが生じ難くなると共に、原料片MSが流入口132Aの上流のケース170内に留まって流入口132Aを閉塞し易くなる。排出パイプ132の回転を停止させることでも、原料片MSが排出パイプ132内に流入することを抑制し、搬送量を調整できる。
【0096】
以上説明したように、本実施形態では、シート製造装置100は、繊維を含む原料片MSを収容するケース170と、ケース170の内部で回転して原料片MSを攪拌する回転体172と、攪拌部172を回転させる攪拌モーター210と、を備える。また、シート製造装置100は、ケース170の側壁180に接続された搬送路133を通じて原料片MSを搬送する搬送装置131と、回転体172および搬送装置131の回転状態を制御する制御部と、を備える。そして、シート製造装置100の搬送装置131は、搬送路133に沿った中心軸L1を中心として回転する排出パイプ132と、排出パイプ132を回転させる搬送モーター150と、を有する。したがって、回転体172および搬送装置131の回転状態に基づいて、搬送装置131の回転状態を切り替えることにより、搬送装置131の原料片MSの搬送量を調整することができる。このため、貯留部13から解繊部20へ、シートSを製造する原料である原料片MSを安定して供給でき、解繊部20に供給される原料片MSの量を安定化できる。
【0097】
本実施形態では、回転体172および排出パイプ132の回転状態は、回転体172の回転方向R1であり、排出パイプ132の回転速度および回転方向RO、RVである。つまり、制御装置110は、回転体172を回転方向R1に回転させる制御を行う。また、制御装置110は、排出パイプ132を正方向ROと逆方向RVに回転させる制御を行う。この場合に、制御装置110は、排出パイプ132の回転速度を一定の75rpmで回転させる制御を行う。ここで、回転体172の回転方向R1に基づいて、排出パイプ132内に原料片MSの流入を許可する場合と原料片MSの流入を規制する場合の排出パイプ132の回転方向が定まる。したがって、回転体172の回転方向R1に基づいて、搬送装置131の排出パイプ132の回転方向RO、RVを切り替えることにより、搬送装置131の原料片MSの搬送量を調整することができる。
【0098】
本実施形態では、排出パイプ132は、搬送路133を構成する筒であり、搬送モーター150は排出パイプ132を回転させる。したがって、原料片MSを、排出パイプ132内の搬送路133を通過させて搬送することができる。
【0099】
また、本実施形態では、排出パイプ132は軸方向の一端においてケース170の内部空間170Aに連通し、他端には原料片MSを排出する排出口132Bを有する。また、排出パイプ132の内面の一例に対応する内周面132Cには、排出パイプ132の中心軸L1に対してスパイラル部材140による突起が螺旋状に配置されている。したがって、スパイラル部材140の回転に伴う繊維片MSに対する搬送力を利用して、搬送量を調整することができる。
【0100】
また、本実施形態では、排出パイプ132は、ケース170との接続部の一例に対応する排出部186よりも排出口132Bが鉛直下方方向に低くなるよう傾斜している。したがって、原料MAを排出口132B側に重力を利用して移動させ易くできる。
【0101】
また、本実施形態では、回転体172は、ケース170の底面の一部を構成する回転部190と、回転部190に立設された羽根196と、を有する。したがって、回転部190の羽根196により、回転体172の回転力を原料片MSに大きく作用させることができる。
【0102】
また、本実施形態では、搬送路133は、ケース170の高さ方向において羽根196と重なる位置でケース170に接続される。したがって、回転体172の羽根196が原料片MSを攪拌する際に、ケース170から排出パイプ132に原料片MSを押し出す作用が期待できる。このため、排出パイプ132によって、より効率よく原料片MSを搬送できる。
【0103】
以上説明したように、本実施形態の繊維搬送方法では、シート製造装置100を制御する。このシート製造装置100は、繊維を含む原料片MSを収容するケース170と、ケース170の内部で回転して原料片MSを攪拌する回転体172と、回転体172を回転させる攪拌モーター210と、を備える。また、シート製造装置100は、ケース170の側壁180に接続された搬送路133を通じて原料片MSを搬送する搬送装置131と、回転体172および搬送装置131を制御する制御装置110と、を備える。搬送装置131は、搬送路133に沿った中心軸L1を中心として回転する排出パイプ132と、排出パイプ132を回転させる搬送モーター150と、を有する。そして、繊維搬送方法では、制御装置110は、攪拌モーター210および搬送モーター150を制御することにより回転体172および排出パイプ132の各々の回転状態を調整することにより、原料片MSの搬送量を制御する。したがって、回転体172および排出パイプ132の各々の回転状態を調整することにより、原料片MSの搬送量を調整することができる。
【0104】
[2.第2実施形態]
[2-1.シート製造装置の貯留部の構成]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、前述の第1実施形態と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0105】
図10は、第2実施形態の貯留部13の平面視に対応する模式図である。
図10に示すように、第2実施形態の貯留部13では、第1実施形態に対して、搬送路133を形成する排出パイプ132は、平面視で、延長軸L1aが回転体172の回転中心172Aから左側にずれて配置される。延長軸L1aは、第2仮想直線L12のうち、回転中心172Aから左側に延びる部分としての仮想半直線L12aに対して直交する。
【0106】
本実施形態では、排出パイプ132の流入口132Aは、第2仮想直線L12よりも排出パイプ132側の左側の領域D2に面する。排出パイプ132の流入口132Aは、領域D2における回転体172の外周部の接線上に配置される。
【0107】
制御装置110は、仮想半直線L12aを通過する部分の回転体172が排出パイプ132の流入口132Aに接近する方向に移動するように回転体172を回転させる。すなわち、制御装置110は、回転体172を、平面視で反時計回りの回転方向R1に回転させる。
【0108】
この場合、領域D2は、回転体172が、仮想半直線L12aを通過してから、回転中心172Aを中心として回転方向R1に90度回転するまでの領域に対応する。
そして、仮想半直線L12a上の位置P1における回転体172の外周部の速度ベクトルV1は、延長軸L1aに平行であり、延長軸L1aの延長方向Y1とは反対方向を向く。また、仮想半直線L12a上の位置P1から回転中心172Aを中心として回転方向R1に90度回転させた位置P2における回転体172の外周部の速度ベクトルV2は、延長軸L1aに直交し、延長軸L1aから離間する方向を向く。
【0109】
また、領域D2における回転体172の速度ベクトルVは、流入口132Aに接近する方向の成分を有し易い。また、領域D2における回転体172の速度ベクトルVは、中心軸L1や延長軸L1aを回転方向R1に応じて左方から右方に横切る方向の成分を有し易い。このため、原料片MSは、回転体172から力を受けて、中心軸L1よりも右側に偏って排出パイプ132内に進入し易くなっている。
【0110】
[2-2.シート製造装置の貯留部の動作]
第2実施形態のシート製造装置100の貯留部13では、原料片MSは、排出パイプ132内に流入する際に、中心軸L1に対して右側に偏り易い。よって、第1実施形態と同様に、制御装置110が搬送モーター150を制御して排出パイプ132の回転速度や回転方向などの回転状態を制御することにより、排出パイプ132内への原料片MSの流入量を調整される。
【0111】
また、本実施形態では、流入口132Aが面する領域D2では、回転体172が流入口132Aに接近する向きに回転している。このため、原料片MSは、回転体172から流入口132Aに接近する方向の力を受け易く、原料片MSが流入口132Aを通じて排出パイプ132内に流入し易い。よって、本実施形態では、排出パイプ132内に原料片MSを流入させ易く、原料片MSの搬送量を多くし易い。
【0112】
以上説明したように、第2実施形態でも、制御装置110は、第1実施形態と同様に攪拌モーター210および搬送モーター150を制御して回転体172および排出パイプ132の各々の回転速度や回転方向などの回転状態を調整することにより、原料片MSの搬送量を制御する。したがって、第1実施形態と同様に、原料片MSの搬送量を調整することができる。
【0113】
また、本実施形態では、仮想半直線L12aは、回転体172の回転中心172Aから径方向に延びて回転体172の周方向の通過位置を規定する。排出パイプ132の中心軸L1から搬送路133の外側に延長される半直線状の延長軸L1aが、仮想半直線L12aに対して、回転体172の回転中心172Aからずれた位置で直交する。制御装置110は、仮想半直線L12aを通過する部分の回転体172が搬送路133に接近する方向に移動するように回転体172を回転させる。したがって、排出パイプ132内に原料片MSを多く流入させ易く、搬送量を多くし易い。
【0114】
[3.第3実施形態]
[3-1.シート製造装置の貯留部の構成]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、前述の第1実施形態と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0115】
図11は、第3実施形態の貯留部13の平面視に対応する模式図である。
図11に示すように、第3実施形態の貯留部13では、第1実施形態に対して、搬送路133を形成する排出パイプ132は、平面視で、延長軸L1aが回転体172の回転中心172Aから右側にずれて配置される。延長軸L1aは、第2仮想直線L12のうち、回転中心172Aから右側に延びる部分としての仮想半直線L12bに対して直交する。
【0116】
本実施形態では、排出パイプ132の流入口132Aは、第2仮想直線L12よりも排出パイプ132側の右側の領域D3に面する。排出パイプ132の流入口132Aは、領域D3における回転体172の外周部の接線上に配置してもよい。
【0117】
制御装置110は、仮想半直線L12bを通過する部分の回転体172が排出パイプ132の流入口132Aから離間する方向に移動するように回転体172を回転させる。すなわち、制御装置110は、回転体172を、平面視で反時計回りの回転方向R1に回転させる。
【0118】
この場合、領域D3は、回転体172が、仮想半直線L12bに到達するまでに、回転中心172Aを中心として回転方向R1に90度回転する領域に対応する。
そして、仮想半直線L12b上の位置P3における回転体172の外周部の速度ベクトルV3は、延長軸L1aに平行であり、延長軸L1aの延長方向Y1と同一の方向を向く。また、仮想半直線L12b上の位置P3から回転中心172Aを中心として回転方向R1とは逆方向に90度回転させた位置P2における回転体172の外周部の速度ベクトルV2は、延長軸L1aに直交し、延長軸L1aに接近する方向を向く。
【0119】
また、領域D3における回転体172の速度ベクトルVは、流入口132Aから離間する方向の成分を有し易い。また、領域D3における回転体172の速度ベクトルVは、中心軸L1や延長軸L1aを回転方向R1に応じて左方から右方に横切る方向の成分を有し易い。このため、原料片MSは、回転体172から力を受けて、中心軸L1よりも右側に偏って排出パイプ132内に進入し易くなっている。
【0120】
[3-2.シート製造装置の貯留部の動作]
第3実施形態のシート製造装置100の貯留部13では、原料片MSは、排出パイプ132内に流入する際に、中心軸L1に対して右側に偏り易い。よって、第1実施形態と同様に、制御装置110が搬送モーター150を制御して排出パイプ132の回転速度や回転方向などの回転状態を制御することにより、排出パイプ132内への原料片MSの流入量が調整される。
【0121】
また、本実施形態では、流入口132Aが面する領域D3では、回転体172が流入口132Aから離間する向きに回転している。このため、原料片MSが規制されて流入口132Aのケース170側に滞留しても、滞留した原料片MSが回転体172と共に流入口132Aから離間し易い。よって、本実施形態では、排出パイプ132内に原料片MSが流入し難く、原料片MSの搬送量を少なくし易い。
【0122】
以上説明したように、第3実施形態でも、制御装置110は、第1実施形態と同様に攪拌モーター210および搬送モーター150を制御して回転体172および排出パイプ132の各々の回転速度や回転方向などの回転状態を調整することにより、原料片MSの搬送量を制御する。したがって、第1実施形態と同様に、原料片MSの搬送量を調整することができる。
【0123】
また、本実施形態では、仮想半直線L12bは、回転体172の回転中心172Aから径方向に延びて回転体172の周方向の通過位置を規定する。排出パイプ132の中心軸L1から搬送路133の外側に延長される半直線状の延長軸L1aが、仮想半直線L12bに対して、回転体172の回転中心172Aからずれた位置で直交する。制御装置110は、仮想半直線L12bを通過する部分の回転体172が搬送路133から離間する方向に移動するように回転体172を回転させる。したがって、原料片MSが排出パイプ132内に流入し難くなっており、搬送量を少なくし易くなっている。
【0124】
[4.他の実施形態]
上述した各実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明を実施する具体的態様に過ぎず、本発明を限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、例えば以下に示すように、種々の態様において実施することが可能である。
【0125】
上記実施形態において、スパイラル部材140が設けられた構成を説明したがスパイラル部材140を省略してもよい。なお、スパイラル部材140を省略した場合には、排出パイプ132が回転すると、排出パイプ132内の原料片MSは、遠心力などで上方に移動した後に崩れて下方に移動し、排出口132B側に移動する。これらが繰り返されことで、原料片MSは排出パイプ132内を搬送可能である。
【0126】
上記実施形態において、回転体172として円板状の回転部190が回転する構成を説明した。しかし、特許文献1に記載のように、回転体を、回転軸と回転軸に支持された棒部材とによって構成し、その回転体をケース170内で回転させる構成でもよい。
【0127】
上記実施形態では、突起の一例に対応するスパイラル部材140が長手方向に一体に連続して形成されたが、長手方向に分離された複数の螺旋部材が設けられる構成でもよい。また、突起は、螺旋状に湾曲した板材でなくてもよい。
【0128】
上記実施形態において、流入口132Aの一部を閉塞する閉塞部材を設けてもよい。例えば、中心軸L1に対して、流入口132Aの回転体172の回転方向R1の下流側を閉塞する閉塞部材を設ける。これにより、原料片MSが、流入口132Aの回転体172の回転方向R1の下流側から流入しようとする場合に、原料片MSの流入を効率的に規制できる。
【0129】
上記第2実施形態において、制御装置110は、回転体172を回転方向R1に回転させる制御を行い、原料片MSが排出パイプ132内に流入し易くしている。しかし、流入し難くするために、第2実施形態の貯留部13において、回転体172を回転方向R1とは逆方向に回転させてもよい。
【0130】
上記第3実施形態において、制御装置110は、回転体172を回転方向R1に回転させる制御を行い、原料片MSを排出パイプ132内に流入し難くしている。しかし、流入し易くするために、第3実施形態の貯留部13において、回転体172を回転方向R1とは逆方向に回転させてもよい。
【0131】
上記実施形態では、制御装置110は、回転体172や排出パイプ132は一定の回転速度で回転させる制御を行った。しかし、これに代えて、制御装置110が、回転体172や排出パイプ132の回転速度を変更する制御をする構成にしてもよい。例えば、回転体172の攪拌作用を増大させる場合には回転体172の回転速度を増大させ、回転体172の攪拌作用を抑制させる場合には回転体172の回転速度を減少させてもよい。また、例えば、排出パイプ132の回転速度を、回転体172の回転速度の増減に応じて、増減させる制御をしてもよい。
【符号の説明】
【0132】
13…貯留部、100…シート製造装置(繊維搬送装置)、110…制御装置(制御部)、122…支持部材、124…爪部、130…攪拌装置、131…搬送装置、132…排出パイプ(回転体、筒)、132B…排出口、132C…内周面(内面)、133…搬送路、134…計量部、135…パイプ支持部材、136…載置台、137…軸受、138…支持台、140…スパイラル部材(突起)、142…従動ギア、150…搬送モーター(第2駆動部)、152…駆動ギア、160…受け部(容器)、160A…軸、162…閉塞部材、164…ロードセル(重量検出部)、166…上面開口部、168…底面開口部、169…突出部、170…ケース、170A…内部空間、172…回転体(攪拌部)、180…側壁(側面)、182…底面、184…開口部、186…排出部(接続部)、188…傾斜面、189…排出口、190…回転部、192…シーリング部材、196…羽根、198…突起部材、210…攪拌モーター(第1駆動部)、230…張り出し部、D2…領域、D3…領域、L1…中心軸(軸線)、L1a…延長軸(延長仮想線)、L12a…仮想半直線、L12b…仮想半直線、R1…回転方向、RO…正方向、RV…逆方向、MA…原料、MS…原料片(繊維片)。