(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】媒体冷却装置及びこれを用いた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/20 20060101AFI20240423BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20240423BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G03G21/20
G03G15/20 510
G03G15/00 460
(21)【出願番号】P 2019174343
(22)【出願日】2019-09-25
【審査請求日】2022-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】三通田 真也
(72)【発明者】
【氏名】西川 聰
(72)【発明者】
【氏名】川島 伸二
(72)【発明者】
【氏名】竜崎 照代
(72)【発明者】
【氏名】黒田 能孝
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-180452(JP,A)
【文献】特開2008-170771(JP,A)
【文献】特開平09-062139(JP,A)
【文献】特開2011-075839(JP,A)
【文献】特開2009-175260(JP,A)
【文献】特開2004-145160(JP,A)
【文献】特開2011-081074(JP,A)
【文献】特開2017-097285(JP,A)
【文献】特開2007-086310(JP,A)
【文献】特開2014-021250(JP,A)
【文献】特開2007-241111(JP,A)
【文献】特開2008-112102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/20
G03G 15/20
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二つの張架部材に掛け渡されて循環移動し、上面部に媒体を保持して搬送するベルト状の搬送手段と、
前記搬送手段の上面部に対向して前記搬送手段の搬送方向に交差する交差方向に沿って延び、前記搬送手段の交差方向に対して連続的に接触した状態で前記搬送手段との間に媒体を挟持して回転する一若しくは複数のロール状の回転手段と、
前記媒体を空気流にて冷却する冷却手段と、
を備え、
前記冷却手段は、前記搬送手段及び前記回転手段の上方に配置され、空気流を生成する気流生成手段と、
前記気流生成手段にて生成された空気流を前記搬送手段の搬送方向に向かって斜め下方に向かうように案内する気流案内手段と、
を有し、
前記気流案内手段は、前記媒体の搬送方向に交差する方向に延びる寸法が前記媒体の搬送方向に交差する幅方向寸法よりも長く選定されていると共に、前記媒体の搬送方向に交差する方向に延びる寸法が前記回転手段の軸方向寸法よりも短く選定されていることを特徴とする媒体冷却装置。
【請求項2】
少なくとも二つの張架部材に掛け渡されて循環移動し、上面部に媒体を保持して搬送するベルト状の搬送手段と、
前記搬送手段の上面部に対向して前記搬送手段の搬送方向に交差する交差方向に沿って延び、前記搬送手段の交差方向に対して連続的に接触した状態で前記搬送手段との間に媒体を挟持して回転する複数のロール状の回転手段と、
前記媒体を空気流にて冷却する冷却手段と、
を備え、
前記冷却手段は、前記搬送手段及び前記回転手段の上方に配置され、空気流を生成する気流生成手段と、
前記気流生成手段にて生成された空気流を前記搬送手段の搬送方向に向かって斜め下方に向かうように案内する気流案内手段と、
を有し、
前記気流生成手段と前記回転手段との間には、前記気流生成手段にて生成された空気流が通過可能な通気口が形成された仕切り手段が配置されており、前記気流案内手段は当該仕切り手段の前記通気口に面して配置されていると共に、前記仕切り手段の前記通気口は前記回転手段が設置されていない前記搬送手段の上面部領域に対応して設けられていることを特徴とする媒体冷却装置。
【請求項3】
請求項
1又は2に記載の媒体冷却装置において、
前記気流案内手段は、その先端位置と前記搬送手段との間の間隙寸法に比べて、前記回転手段との間の最近接距離が狭くなるように配置されていることを特徴とする媒体冷却装置。
【請求項4】
請求項1乃至
3のいずれかに記載の媒体冷却装置において、
前記気流案内手段は、その先端位置が前記回転手段の前記搬送手段側への投影領域内に位置していることを特徴とする媒体冷却装置。
【請求項5】
請求項
1又は2に記載の媒体冷却装置において、
前記気流案内手段は、前記搬送手段と前記回転手段との接触域中心から見て前記媒体の搬送方向上流側に少なくとも前記回転手段の半径寸法を超える距離だけ離れた位置に配置されていることを特徴とする媒体冷却装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の媒体冷却装置において、
前記気流案内手段は、その先端位置と前記搬送手段との間の間隙寸法に比べて、前記回転手段との間の最近接距離が同じ若しくは広くなるように配置されていることを特徴とする媒体冷却装置。
【請求項7】
請求項
5又は6に記載の媒体冷却装置において、
前記気流案内手段は、その先端位置と前記搬送手段との間の間隙寸法が前記回転手段の半径寸法以上に選定されていることを特徴とする媒体冷却装置。
【請求項8】
請求項
2に記載の媒体冷却装置において、
前記気流案内手段は、前記媒体の搬送方向に交差する方向に延びる寸法が前記媒体の搬送方向に交差する幅方向寸法よりも長く選定されていることを特徴とする媒体冷却装置。
【請求項9】
請求項1乃至
8のいずれかに記載の媒体冷却装置において、
前記気流生成手段と前記回転手段との間には、前記気流生成手段にて生成された空気流が通過可能な通気口が形成された仕切り手段が配置されており、前記気流案内手段は当該仕切り手段の前記通気口に面して配置されていることを特徴とする媒体冷却装置。
【請求項10】
請求項1乃至
9のいずれかに記載の媒体冷却装置において、
前記気流案内手段は、前記搬送手段と前記回転手段との接触域に至る前記媒体の搬送経路に複数配置されていることを特徴とする媒体冷却装置。
【請求項11】
請求項
10に記載の媒体冷却装置において、
前記回転手段に近い側に位置する第1の気流案内手段と前記搬送手段との間の間隙寸法に比べて、前記回転手段から離れた側の第2の気流案内手段と前記搬送手段との間の間隙寸法が広くなるように選定されていることを特徴とする媒体冷却装置。
【請求項12】
請求項1乃至
11のいずれかに記載の媒体冷却装置において、
前記回転手段は、前記搬送手段の前記張架部材又は前記搬送手段の背面側に接触して配置された対向部材に対向して設けられることを特徴とする媒体冷却装置。
【請求項13】
請求項1乃至
12のいずれかに記載の媒体冷却装置において、
前記搬送手段のうち前記媒体の搬送経路を構成しない領域に対して別の冷却手段を備えていることを特徴とする媒体冷却装置。
【請求項14】
請求項1乃至
11のいずれかに記載の媒体冷却装置において、
前記冷却手段は、更に、前記搬送手段の前記張架部材の少なくとも二つを兼用し、当該張架部材内に長手方向に沿って延びる空洞部を空気流通路として形成する気流通路手段と、
前記気流通路手段の前記空洞部内に流れる空気流を生成する別の気流生成手段と、
を有することを特徴とする媒体冷却装置。
【請求項15】
媒体上に未定着画像を作製する作像手段と、
前記作像手段にて前記媒体上に作製された未定着画像を加熱定着する定着手段と、
前記定着手段にて定着された画像を保持する前記媒体を冷却する請求項1乃至
14のいずれかに記載の媒体冷却装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体冷却装置及びこれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来における媒体冷却装置としては例えば特許文献1~4に記載のものが既に提供されている。
特許文献1には、エンドレスベルトと回転部材との圧接部に冷却用のニップ部を形成する高熱伝導性の固定摺動部材を備えたシート冷却搬送装置が開示されている。
特許文献2には、用紙を冷却する送風ファンと、ファンの送風方向が用紙の搬送方向と同じ方向である用紙搬送部とを備えた画像形成装置が開示されている。
特許文献3には、定着器によって加熱され溶融状態となったトナー像側の記録材の面と接触し記録材を搬送しつつ冷却する冷却ベルトと、定着器と冷却ベルトの間にある記録材の溶融状態となったトナー面に向けて送風する送風手段とを備えた記録材冷却装置が開示されている。
特許文献4には、搬送ベルトの外周面に接触して配設されると共に搬送ベルト上で搬送される記録媒体を冷却する冷却部材と、搬送ベルトを介して冷却部材を加圧する加圧部材とを備えた記録媒体冷却装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-267177号公報
【文献】特開2008-292893号公報
【文献】特開2009-103822号公報
【文献】特開2010-145621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、ベルト状の搬送手段に沿って媒体を安定的に搬送しながら空気流により媒体を冷却するに当たり、空気流による媒体、搬送手段のばたつきを抑制し、冷却ムラのない良好な冷却性能を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、少なくとも二つの張架部材に掛け渡されて循環移動し、上面部に媒体を保持して搬送するベルト状の搬送手段と、前記搬送手段の上面部に対向して前記搬送手段の搬送方向に交差する交差方向に沿って延び、前記搬送手段の交差方向に対して連続的に接触した状態で前記搬送手段との間に媒体を挟持して回転する一若しくは複数のロール状の回転手段と、前記媒体を空気流にて冷却する冷却手段と、を備え、前記冷却手段は、前記搬送手段及び前記回転手段の上方に配置され、空気流を生成する気流生成手段と、前記気流生成手段にて生成された空気流を前記搬送手段の搬送方向に向かって斜め下方に向かうように案内する気流案内手段と、を有し、前記気流案内手段は、前記媒体の搬送方向に交差する方向に延びる寸法が前記媒体の搬送方向に交差する幅方向寸法よりも長く選定されていると共に、前記媒体の搬送方向に交差する方向に延びる寸法が前記回転手段の軸方向寸法よりも短く選定されていることを特徴とする媒体冷却装置である。
請求項2に係る発明は、少なくとも二つの張架部材に掛け渡されて循環移動し、上面部に媒体を保持して搬送するベルト状の搬送手段と、前記搬送手段の上面部に対向して前記搬送手段の搬送方向に交差する交差方向に沿って延び、前記搬送手段の交差方向に対して連続的に接触した状態で前記搬送手段との間に媒体を挟持して回転する複数のロール状の回転手段と、前記媒体を空気流にて冷却する冷却手段と、を備え、前記冷却手段は、前記搬送手段及び前記回転手段の上方に配置され、空気流を生成する気流生成手段と、前記気流生成手段にて生成された空気流を前記搬送手段の搬送方向に向かって斜め下方に向かうように案内する気流案内手段と、を有し、前記気流生成手段と前記回転手段との間には、前記気流生成手段にて生成された空気流が通過可能な通気口が形成された仕切り手段が配置されており、前記気流案内手段は当該仕切り手段の前記通気口に面して配置されていると共に、前記仕切り手段の前記通気口は前記回転手段が設置されていない前記搬送手段の上面部領域に対応して設けられていることを特徴とする媒体冷却装置である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る媒体冷却装置において、前記気流案内手段は、その先端位置と前記搬送手段との間の間隙寸法に比べて、前記回転手段との間の最近接距離が狭くなるように配置されていることを特徴とする媒体冷却装置である。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに係る媒体冷却装置において、前記気流案内手段は、その先端位置が前記回転手段の前記搬送手段側への投影領域内に位置していることを特徴とする媒体冷却装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1又は2に係る媒体冷却装置において、前記気流案内手段は、前記搬送手段と前記回転手段との接触域中心から見て前記媒体の搬送方向上流側に少なくとも前記回転手段の半径寸法を超える距離だけ離れた位置に配置されていることを特徴とする媒体冷却装置である。
請求項6に係る発明は、請求項5に係る媒体冷却装置において、前記気流案内手段は、その先端位置と前記搬送手段との間の間隙寸法に比べて、前記回転手段との間の最近接距離が同じ若しくは広くなるように配置されていることを特徴とする媒体冷却装置である。
請求項7に係る発明は、請求項5又は6に係る媒体冷却装置において、前記気流案内手段は、その先端位置と前記搬送手段との間の間隙寸法が前記回転手段の半径寸法以上に選定されていることを特徴とする媒体冷却装置である。
請求項8に係る発明は、請求項2に係る媒体冷却装置において、前記気流案内手段は、前記媒体の搬送方向に交差する方向に延びる寸法が前記媒体の搬送方向に交差する幅方向寸法よりも長く選定されていることを特徴とする媒体冷却装置である。
請求項9に係る発明は、請求項1乃至8のいずれかに係る媒体冷却装置において、前記気流生成手段と前記回転手段との間には、前記気流生成手段にて生成された空気流が通過可能な通気口が形成された仕切り手段が配置されており、前記気流案内手段は当該仕切り手段の前記通気口に面して配置されていることを特徴とする媒体冷却装置である。
請求項10に係る発明は、請求項1乃至9のいずれかに係る媒体冷却装置において、前記気流案内手段は、前記搬送手段と前記回転手段との接触域に至る前記媒体の搬送経路に複数配置されていることを特徴とする媒体冷却装置である。
請求項11に係る発明は、請求項10に係る媒体冷却装置において、前記回転手段に近い側に位置する第1の気流案内手段と前記搬送手段との間の間隙寸法に比べて、前記回転手段から離れた側の第2の気流案内手段と前記搬送手段との間の間隙寸法が広くなるように選定されていることを特徴とする媒体冷却装置である。
【0008】
請求項12に係る発明は、請求項1乃至11のいずれかに係る媒体冷却装置において、前記回転手段は、前記搬送手段の前記張架部材又は前記搬送手段の背面側に接触して配置された対向部材に対向して設けられることを特徴とする媒体冷却装置である。
請求項13に係る発明は、請求項1乃至12のいずれかに係る媒体冷却装置において、前記搬送手段のうち前記媒体の搬送経路を構成しない領域に対して別の冷却手段を備えていることを特徴とする媒体冷却装置である。
【0009】
請求項14に係る発明は、請求項1乃至11のいずれかに係る媒体冷却装置において、前記冷却手段は、更に、前記搬送手段の前記張架部材の少なくとも二つを兼用し、当該張架部材内に長手方向に沿って延びる空洞部を空気流通路として形成する気流通路手段と、前記気流通路手段の前記空洞部内に流れる空気流を生成する別の気流生成手段と、を有することを特徴とする媒体冷却装置である。
【0010】
請求項15に係る発明は、媒体上に未定着画像を作製する作像手段と、前記作像手段にて前記媒体上に作製された未定着画像を加熱定着する定着手段と、前記定着手段にて定着された画像を保持する前記媒体を冷却する請求項1乃至14のいずれかに係る媒体冷却装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1又は2に係る発明によれば、ベルト状の搬送手段に沿って媒体を安定的に搬送しながら空気流により媒体を冷却するに当たり、気流生成手段にて生成された空気流を搬送手段の搬送方向上流に向かって斜め下方に向かうようにした場合に比べて、空気流による媒体、搬送手段のばたつきを抑制し、冷却ムラのない良好な冷却性能を実現することができるという基本的効果を奏するほか、以下のような特有の効果を奏する。
請求項1に係る発明によれば、気流案内手段は、媒体の搬送方向に交差する方向に延びる寸法が回転手段の軸方向寸法よりも長い場合に比べて、媒体に吹き付けられた空気流を媒体の幅方向に逃がしたとき、気流案内手段の長手方向端部から空気流を外部へと逃がし易くすることができる。
請求項2に係る発明によれば、搬送手段と回転手段とで搬送されている媒体の表面に気流案内手段にて案内された空気流を確実に吹き付けることができる。
請求項3又は4に係る発明によれば、気流案内手段の先端位置と搬送手段との間の間隙寸法に比べて、回転手段との間の最近接距離が広くなるように配置されている場合、気流案内手段の先端位置が回転手段の搬送手段側への投影領域外に位置している場合に比べて、気流案内手段と回転手段との間の隙間への媒体の入り込みを効果的に抑制することができる。
請求項5に係る発明によれば、媒体に吹き付けられた空気流を回転手段と気流案内手段との間の隙間から上方に逃がすことができる。
請求項6に係る発明によれば、媒体に吹き付けられた空気流を回転手段と気流案内手段との間の隙間から上方に効率良く逃がすことができる。
請求項7に係る発明によれば、媒体に吹き付けられた空気流を回転手段と気流案内手段との間の隙間から上方に逃がし易くすることができる。
請求項8に係る発明によれば、媒体の搬送方向に交差する方向全域に空気流を吹き付けることができる。
請求項9に係る発明によれば、通気口を有する仕切り手段が配置されていない場合に比べて、空気流を気流案内手段で導き易くなる。
請求項10に係る発明によれば、搬送手段と回転手段とで搬送されている媒体に対して複数の箇所での空気流を吹き付けることができる。
請求項11に係る発明によれば、搬送手段と回転手段との接触域に対して媒体の先端を案内する機能を実現することができる。
請求項12に係る発明によれば、回転手段が搬送手段の張架部材又は対向部材に対向しない場合に比べて、搬送手段に対する空気流の吹き付けに伴う搬送手段のばたつきを抑えることができる。
請求項13に係る発明によれば、別の冷却手段を備えない場合に比べて、搬送手段の冷却効率を更に高めることができる。
請求項14に係る発明によれば、ベルト状の搬送手段に沿って媒体を安定的に搬送しながら空気流により媒体を冷却するに当たり、本構成を有しない場合に比べて、媒体の表裏面を同時に冷却することができ、空気流による媒体、搬送手段のばたつきを抑制し、冷却ムラのない良好な冷却性能を実現することができる。
請求項15に係る発明によれば、ベルト状の搬送手段に沿って媒体を安定的に搬送しながら空気流により媒体を冷却するに当たり、本構成を有しない場合に比べて、空気流による媒体、搬送手段のばたつきを抑制し、冷却ムラのない良好な冷却性能を実現することが可能な媒体冷却装置を含む画像形成装置を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(a)は本発明が適用された媒体冷却装置を含む画像形成装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は(a)に示す気流案内手段の要部を示す説明図、(c)は本発明が適用された別の媒体冷却装置を含む画像形成装置の実施の形態の概要を示す説明図である。
【
図2】実施の形態1に係る画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
【
図3】実施の形態1に係る画像形成装置で用いられる媒体冷却装置の詳細を示す説明図である。
【
図5】(a)は実施の形態1で用いられる媒体冷却装置の気流案内板の配置例を示す説明図、(b)は同気流案内板の先端と搬送ロールとの相対位置関係を示す説明図である。
【
図6】(a)は
図5(a)中VI方向から見た矢視図、(b)は実施の形態1で用いられる気流案内板により生成される気流の媒体に対する作用を模式的に示す説明図である。
【
図7】(a)は実施の形態2に係る媒体冷却装置の要部を示す説明図、(b)は同媒体冷却装置の作用を示す説明図である。
【
図8】実施の形態3に係る画像形成装置で用いられる媒体冷却装置の詳細を示す説明図である。
【
図10】(a)は実施の形態3に係る媒体冷却装置の気流案内板の配置例を示す説明図、(b)は同気流案内板の先端と搬送ロール、搬送ベルトとの相対位置関係を示す説明図である。
【
図11】実施の形態4に係る媒体冷却装置の詳細を示す説明図である。
【
図12】(a)は実施の形態4に係る媒体冷却装置の作用を示す説明図、(b)は同媒体冷却装置の好ましい構成例を示す説明図である。
【
図13】(a)は比較の形態1に係る媒体冷却装置を示す説明図、(b)は比較の形態2に係る媒体冷却装置を示す説明図、(c)は比較の形態3に係る媒体冷却装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
◎実施の形態の概要
図1(a)は本発明が適用された媒体冷却装置を含む画像形成装置の実施の形態の概要を示す。
同図において、画像形成装置は、媒体S上に未定着画像を作製する作像手段11と、作像手段11にて媒体S上に作製された未定着画像を加熱定着する定着手段12と、定着手段12にて定着された画像を保持する媒体Sを冷却する媒体冷却装置10とを備えている。
そして、媒体冷却装置10は、
図1(a)に示すように、少なくとも二つの張架部材2(本例では2a,2b)に掛け渡されて循環移動し、上面部に媒体Sを保持して搬送するベルト状の搬送手段1と、搬送手段1の上面部に対向して搬送手段1の搬送方向に交差する交差方向に沿って延び、搬送手段1の交差方向に対して連続的に接触した状態で搬送手段1との間に媒体を挟持して回転する一若しくは複数のロール状の回転手段3と、媒体Sを空気流にて冷却する冷却手段4と、を備え、冷却手段4は、搬送手段1及び回転手段3の上方に配置され、空気流を生成する気流生成手段5と、気流生成手段5にて生成された空気流を搬送手段1の搬送方向に向かって斜め下方に向かうように案内する気流案内手段6と、を有する外部冷却方式である。
【0014】
このような技術的手段において、媒体Sとしては、所謂カット紙などは勿論、連帳紙などの長尺なものをも適用対象とする。
また、ベルト状の搬送手段1としては熱伝導性の良い材料であればよく、主としては金属材料(Al、ニッケル、SUS等)が用いられる。
また、回転手段3としては、軸方向に沿って媒体Sに連続的に接触するロール状であるものを広く含み、回転軸に対して分割回転体を複数配置するものは含まない。この理由は、媒体Sに対して分割回転体が接触する領域と非接触領域とに分かれることから、媒体Sの表面に分割回転体が間隔を置いて接触することに伴う所謂ロール状マークが生じ易いことによる。
更に、冷却手段4としては、気流生成手段5と、当該気流生成手段5にて生成された気流を媒体Sへ向けて案内する気流案内手段6とを含んでいればよく、これ以外の要素(例えば
図1(b)に示す仕切り手段7等)を含んでいてもよい。
【0015】
ここで、気流生成手段5としては気流を生成するものであればファン、ブロワ等を広く含み、その設置数についても一つでもよいし、複数でも差し支えない。
また、気流案内手段6としては、
図1(b)に示すように、気流生成手段5にて生成された空気流Airを搬送手段1の搬送方向(媒体Sの搬送方向に相当)に向かって斜め下方に向かうように案内するものであれば適宜選定して差し支えない。ここで、気流案内手段6による空気流Airの案内面と搬送手段1の媒体Sの搬送面との間の角度をθとすれば、θは90°未満で適宜選定して差し支えないが、角度θが小さすぎると上方からの空気流Airを斜め下方に向けて案内し難くなってしまい、逆に、角度θが直角に近くなると、媒体Sの搬送方向へ向かう空気流Airによる押圧成分が小さくなってしまうことから、角度θとしては適切な範囲で選定すればよい。
【0016】
次に、本実施の形態に係る媒体冷却装置の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、気流案内手段6の好ましい態様としては、搬送手段1と回転手段3との接触域から見て媒体Sの搬送方向上流側に近接して配置されている態様(近接配置態様)が挙げられる。
この種の近接配置態様の気流案内手段6の配置例としては、気流案内手段6の先端位置と搬送手段1との間の間隙寸法に比べて、気流案内手段6と回転手段3との間の最近接距離が狭くなるように配置されている態様や、気流案内手段6の先端位置が回転手段3の搬送手段1側への投影領域内に位置している態様が挙げられる。これらの近接配置態様では、本例では、空気流Airが回転手段3側の隙間に逃げにくいことから、気流案内手段6に沿って流れてきた空気流Airは媒体Sの表面に吹き付けられた後、媒体Sの幅方向に沿って分流して逃げていく。
【0017】
また、気流案内手段6の別の好ましい態様としては、搬送手段1と回転手段3との接触域中心から見て媒体Sの搬送方向上流側に少なくとも回転手段3の半径寸法を超える距離だけ離れた位置に配置されている態様が挙げられる。本例は、気流案内手段6を近接して配置する態様ではあるものの、気流案内手段6と回転手段3との間に空気流Airを逃がすための隙間を確保した態様である。
この態様での気流案内手段6の配置例としては、気流案内手段6の先端位置と搬送手段1との間の間隙寸法に比べて、気流案内手段6と回転手段3との間の最近接距離が同じ若しくは広くなるように配置される態様や、あるいは、気流案内手段6の先端位置と搬送手段1との間の間隙寸法が回転手段3の半径寸法以上に選定されている態様が挙げられる。
【0018】
更に、気流案内手段6の別の好ましい態様としては、媒体Sの搬送方向に交差する方向に延びる寸法が媒体Sの搬送方向に交差する幅方向寸法よりも長く選定される態様が挙げられる。
この態様での気流案内手段6の配置例としては、気流案内手段6の媒体Sの搬送方向に交差する方向に延びる寸法が回転手段3の軸方向寸法よりも短く選定されている態様が挙げられる。本例は、媒体Sに吹き付けられた空気流Airが媒体Sの幅方向に沿って分流して逃げていくことになるが、分流した空気流Airは気流案内手段6の長手方向端部から気流案内手段6の側方空間へと分散して逃げ易くなっている。
【0019】
また、気流案内手段6の別の好ましい態様としては、
図1(a)(b)に示すように、気流生成手段5と回転手段3との間には、気流生成手段5にて生成された空気流Airが通過可能な通気口7aが形成された仕切り手段7が配置されており、気流案内手段6は当該仕切り手段7の通気口7aに面して配置されている態様が挙げられる。
このとき、回転手段3が複数配置されている態様にあっては、仕切り手段7の通気口7aは回転手段3が設置されていない搬送手段1の上面部領域に対応して設けられている態様が好ましい。本例では、気流案内手段6に沿って流れる空気流Airは、搬送手段1上の媒体Sの表面に吹き付けられることから、気流案内手段6の設置例として有効である。
【0020】
更に、気流案内手段6の別の好ましい態様としては、搬送手段1と回転手段3との接触域に至る媒体Sの搬送経路に複数配置されている態様が挙げられる。
本例においては、
図1(b)に実線及び仮想線で示すように、回転手段3に近い側に位置する第1の気流案内手段6f(6)と搬送手段1との間の間隙寸法に比べて、回転手段3から離れた側の第2の気流案内手段6r(6)と搬送手段1との間の間隙寸法が広くなるように選定されている態様が好ましい。
本例では、第1の気流案内手段6f(6)及び第2の気流案内手段6r(6)が併存することによって、搬送手段1と回転手段3とで搬送されている媒体Sに対する空気流Airの案内方向がより安定し、また、第1の気流案内手段6fは、搬送手段1と回転手段3との間の接触域に向けて媒体Sの先端を案内する働きも兼用し、更に、第2の気流案内手段6rは第1の気流案内手段6fと第2の気流案内手段6rとの間には媒体Sに吹き付けられた空気流Airを逃がす通路が確保されることから、媒体Sに吹き付けられた空気流Airは前述した通路を経由して媒体Sの幅方向側方へと逃げることになり、空気流Airが媒体Sを搬送方向の逆方向へ押圧し、媒体Sの搬送を阻害する懸念はない。
【0021】
また、媒体冷却装置10の別の代表的態様としては、
図1(c)に示すように、少なくとも二つの張架部材2(本例では2a,2b)に掛け渡されて循環移動し、上面部に媒体Sを保持して搬送するベルト状の搬送手段1と、搬送手段1の上面部に対向して搬送手段1の搬送方向に交差する交差方向に沿って延び、搬送手段1の交差方向に対して連続的に接触した状態で搬送手段1との間に媒体Sを挟持して回転する一若しくは複数のロール状の回転手段3と、媒体Sを空気流Airにて冷却する冷却手段4と、を備え、冷却手段4は、搬送手段1の張架部材2の少なくとも二つ(本例では2a,2b)を兼用し、当該張架部材2(2a,2b)内に長手方向に沿って延びる空洞部を空気流通路として形成する気流通路手段8と、気流通路手段8の空洞部内に流れる空気流を生成する気流生成手段9と、を有するものである。
【0022】
本例は、搬送手段1の張架部材2(2a,2b)を空気流通路として利用し、搬送手段1を内部から冷却することで媒体Sを間接的に冷却する内部冷却方式を採用している。
本例は内部冷却方式を採用した媒体冷却装置(気流通路手段8+気流生成手段9)であり、前述した外部冷却方式の媒体冷却装置(気流生成手段5+気流案内手段6)とは構成上相違するものの、いずれも未解決課題を共通とする技術的特徴を有するものであるため、両者は併合要件を充足するものである。
特に、内部冷却方式の媒体冷却装置10の好ましい態様としては、気流通路手段8を偶数備えた態様において、気流生成手段9は、気流通路手段8の空洞部を流れる空気流Airの向きを長手方向に対して互い違いにする態様が挙げられる。
【0023】
本例では、一般に、気流生成手段9は気流通路手段8の空洞部の長手方向一端側に設けられ、気流通路手段8を流れる空気流は出口側に至るにつれて張架部材2(2a,2b)に接触する搬送手段1から熱を奪うことから、気流通路手段8の空洞部のうち空気流の入口側の方が出口側に比べて低温という温度勾配になる傾向が高い。このため、仮に、偶数の気流通路手段8の空洞部に空気流を流すに当たって、同じ方向から流すと、気流通路手段8が長手方向に対して空気流の入口側が出口側に比べて低温になる温度勾配になり、搬送手段1の搬送方向に交差する方向に対して冷却温度ムラの要因になる虞れがある。
これに対し、本態様では、偶数の気流通路手段8の空洞部に空気流を流すに当たって、流す方向を互い違いにするため、各気流通路手段8の温度勾配が逆向きになり、これに接するベルト状の搬送手段1の幅方向の温度勾配は互いに打ち消し合って略均等な温度分布になる。
【0024】
また、外部冷却方式又は内部冷却方式の媒体冷却装置10の好ましい態様としては、回転手段3は、搬送手段1の張架部材2(2a,2b)又は搬送手段1の背面側に接触して配置された対向部材(図示せず)に対向して設けられる態様が挙げられる。本例は、搬送手段1のうち媒体Sの搬送経路を構成する部分が気流生成手段5(又は9)からの空気流の吹きつけに伴ってばたつこうとしても、当該搬送経路の構成部分は回転手段3と張架部材2や対向部材との間で挟持して搬送されることから、当該搬送経路の構成部分がばたつくことは抑えられる。
更に、搬送手段1を更に冷却するという観点からすれば、搬送手段1のうち媒体Sの搬送経路を構成しない領域に対して別の冷却手段を備えるようにしてもよい。
【0025】
また、本実施の形態では、外部冷却方式と内部冷却方式とを組み合わせて構成することも可能である。
この場合、媒体冷却装置10としては、少なくとも二つの張架部材2(2a,2b)に掛け渡されて循環移動し、上面部に媒体Sを保持して搬送するベルト状の搬送手段1と、搬送手段1の上面部に対向して搬送手段1の搬送方向に交差する交差方向に沿って延び、搬送手段1の交差方向に対して連続的に接触した状態で搬送手段との間に媒体Sを挟持して回転する一若しくは複数のロール状の回転手段3と、媒体Sとを空気流Airにて冷却する冷却手段4と、を備え、冷却手段4は、
図1(a)(c)に示すように、搬送手段1及び回転手段3の上方に配置され、空気流Airを生成する第1の気流生成手段(気流生成手段5に相当)と、第1の気流生成手段にて生成された空気流Airを搬送手段1の搬送方向に向かって斜め下方に向かうように案内する気流案内手段6と、搬送手段1の張架部材2の少なくとも二つ(2a,2b)を兼用し、当該張架部材2(2a,2b)内に長手方向に沿って延びる空洞部を空気流通路として形成する気流通路手段8と、気流通路手段8の空洞部内に流れる空気流Airを生成する第2の気流生成手段(気流生成手段9に相当)と、を有するように構成すればよい。
【0026】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
◎実施の形態1
図2は実施の形態1に係る画像形成装置の全体構成を示す。
-画像形成装置の全体構成-
同図において、画像形成装置は、図示外の装置筐体内に、複数の色成分(本実施の形態ではイエロ、マゼンタ、シアン、ブラック)画像を形成する画像形成部20(具体的には20a~20d)と、各画像形成部20にて形成された各色成分画像を順次転写(一次転写)保持するベルト状の中間転写体30と、中間転写体30上に転写された各色成分画像を用紙等の媒体Sに二次転写(一括転写)する二次転写装置(一括転写装置)40と、二次転写された画像を媒体S上に定着させる定着装置50と、定着装置50にて画像が定着された媒体Sを空気流で冷却する媒体冷却装置60と、を備えている。
【0027】
<画像形成部>
本実施の形態において、各画像形成部20(20a~20d)は、夫々ドラム状の感光体21を有し、各感光体21の周囲には、感光体21が帯電される帯電装置22、帯電された感光体21上に静電潜像が書き込まれるレーザ走査装置等の露光装置23、感光体21上に書き込まれた静電潜像が各色成分トナーにて現像される現像装置24、感光体21上のトナー画像が中間転写体30に転写される転写ロール等の一次転写装置25及び感光体21上の残留トナーが清掃される清掃装置26を夫々配設したものである。
【0028】
<中間転写体>
中間転写体30は、複数(本実施の形態では四つ)の張架ロール31~34に掛け渡されており、例えば張架ロール31が図示外の駆動モータにて駆動される駆動ロールとして用いられ、当該駆動ロールにて循環移動するようになっている。更に、張架ロール32~34はいずれも従動ロールとして用いられ、張架ロール33は中間転写体30に対して所定の張力を付与するテンションロールとして機能するようになっている。更にまた、中間転写体30の周面のうち張架ロール31に対向した部位には二次転写後の中間転写体30上の残留トナーを除去するための中間転写体清掃装置35が設けられている。
【0029】
<二次転写装置(一括転写装置)>
更に、二次転写装置(一括転写装置)40は、中間転写体30の周囲のうち張架ロール34に対向する部位には転写ロール41を中間転写体30の表面に接触するように配置し、張架ロール34を対向電極として転写ロール41と張架ロール34との間に所定の転写電界を作用させるようになっている。
本例では、転写ロール41は金属製シャフトの周囲に発泡ウレタンゴムやEPDMにカーボンブラック等が配合された弾性層を被覆した構成になっており、金属製シャフトが設置される一方、対向電極である張架ロール34には図示外の給電ロールが接触して配置され、この給電ロールには転写電圧を印加する図示外の転写用電源が接続されている。
【0030】
<定着装置>
定着装置50は、例えば媒体Sの画像保持面側に接触して配置される駆動回転可能な加熱定着ロール51と、当該加熱定着ロール51に対向して圧接配置され、加熱定着ロール51に追従して回転する加圧定着ロール52とを有し、両定着ロール51,52間の転写領域に媒体S上に保持された画像を通過させ、当該画像を加熱加圧定着するものである。
【0031】
-媒体冷却装置-
<媒体冷却装置の全体構成>
本実施の形態では、媒体冷却装置60は、
図2乃至
図4に示すように、複数(本例では二つ)の張架部材としての張架ロール62(具体的には62a,62b)に掛け渡されて循環移動する搬送手段としての搬送ベルト61と、搬送ベルト61の上面部を媒体Sの搬送経路とし、搬送ベルト61との間に媒体Sを挟持して回転する複数(本例では五つ)の回転手段としての搬送ロール65と、媒体Sを空気流にて冷却する冷却器具70と、を備えている。
【0032】
<搬送ベルト>
本例において、搬送ベルト61は、例えば熱伝導率の高いアルミニウム、Ni、SUS等の金属材料を用いて薄肉のベルト基材として構成されている。ここで、薄肉のベルト基材の肉厚寸法については、張架ロール62(62a,62b)に掛け渡し可能なものであれば適宜選定して差し支えなく、例えば150~200μmのものが用いられる。尚、搬送ベルト61としてはベルト基材をそのまま用いてもよいし、ベルト基材の表面に必要に応じて離型性の良い離型層を形成したものを用いるようにしてもよい。
また、本例において、二つの張架ロール62(62a,62b)としては、掛け渡される搬送ベルト61の金属疲労を防止する上で、例えばアルミニウム製の大径(例えばφ150~200程度)の中空ロールが用いられている。また、搬送ベルト61の上面部は媒体Sの搬送経路を構成しているが、当該搬送経路領域に位置する搬送ベルト61の背面には、搬送ベルト61の搬送方向に交差する幅方向に沿って延びる背面ロール63が予め決められた間隔で複数設けられ、搬送ベルト61に接触するように配置されている。
【0033】
<搬送ロール>
本例において、複数の搬送ロール65は、搬送ベルト61の搬送方向に交差する幅方向に沿って延び、搬送ベルト61の幅方向に対して当該搬送ベルト61に連続的に接触した状態で配置されている。本例では、搬送ロール65は、金属製のロール基材の表面にゴム等の弾性層を介して表面にポリイミド樹脂等の保護層で被覆する構成になっている。更に、金属製のロール基材の両端軸は図示外の軸受に回転可能に支持されており、付勢バネ66によって搬送ベルト61側に付勢されている。
そして、本例では、複数の搬送ロール65は、搬送ベルト61の張架ロール62(62a,62b)及び背面ロール63に夫々対向して設けられている。
従って、本例では、各搬送ロール65は搬送ベルト61の循環回転に追従して回転するようになっている。
【0034】
<冷却器具の全体構成>
本例では、冷却器具70は、
図3及び
図4に示すように、搬送ベルト61及び搬送ロール65の上方に配置され、空気流Airを生成する気流生成手段としての気流生成器71と、気流生成器71にて生成された空気流Airを搬送ベルト61の搬送方向に向かって斜め下方に向かうように案内する気流案内手段としての気流案内板80とを備えている。
そして、本例では、気流生成器71と搬送ベルト61及び搬送ロール65との間には仕切り手段としての仕切り板90が設置されており、この仕切り板90には複数の略矩形状の通気口91が開設されている。本例では、各通気口91は、搬送ベルト61上の媒体Sの搬送経路のうち、各搬送ロール65の設置箇所を除いて、各搬送ロール65間に位置する領域に対応して開設されている。
また、気流案内板80は仕切り板90の通気口91に面した位置に設けられ、気流生成器71から生成された空気流Airは仕切り板90の通気口91を通じて搬送ベルト61側に吹き付けられ、気流案内板80によって所定の方向に案内されるようになっている。
【0035】
<気流生成器>
本例において、気流生成器71は、ホルダケース72内に気流生成用の冷却ファン73を一若しくは複数(本例では二つ)搭載し、搬送ベルト61側に向かって空気流Airを吹き出すものである。
<気流案内板>
本例において、気流案内板80は、
図3乃至
図5(a)に示すように、平板状の板材を途中で折曲成形したもので構成されており、搬送ベルト61の搬送方向に向かって斜め下方に向かうように延びる案内板部81と、この案内板部81に対して略水平方向に折曲される取付板部82とを有している。
本例では、気流案内板80は、
図5(a)に示すように、仕切り板90のうち通気口91縁部に取付板部82を介して図示外の止め具にて固着されており、案内板部81を所定の姿勢をもって保持するようにしたものである。
【0036】
-気流案内板の配置例-
本例において、気流案内板80の案内板部81は、
図5(a)(b)に示すように、搬送ベルト61の媒体Sの搬送経路面に対して角度θで傾斜配置されており、本例では、角度θとしては45~90°、より好ましくは60°~70°の範囲になるように選定されている。
また、本例では、気流案内板80は、搬送ベルト61と搬送ロール65との接触域Rcに対して媒体Sの搬送方向上流側に近接して配置されている。
より具体的には、気流案内板80は、
図5(b)に示すように、案内板部81の先端位置と搬送ベルトとの間の間隙寸法gに比べて、案内板部81と搬送ロール65との間の最近接距離mが狭くなるように配置されている。但し、間隙寸法gは、気流案内板80が媒体Sの走行を邪魔しないように、少なくとも媒体Sの厚さtsよりも大きいことが必要である。
更にまた、本例では、気流案内板80は、その先端位置が搬送ロール65の搬送ベルト61側への投影領域内、言い換えれば、搬送ロール65の半径をrとすれば、搬送ベルト61上において、搬送ベルト61と搬送ロール65との接触域Rcの中心位置から媒体Sの搬送方向上流側に半径rだけ変位した領域内に位置するようになっている。
【0037】
また、本例では、気流案内板80は、
図6(a)に示すように、媒体Sの幅方向に延びる寸法w1が媒体Sの幅方向寸法w2よりも長く選定されている。
更に、気流案内板80は、媒体Sの幅方向に延びる寸法w1が搬送ロール65の軸方向寸法w3よりも短く選定されている。
【0038】
-画像形成装置の作動-
本実施の形態において、画像形成装置による作像処理を実施する場合には、作像モードを指示した後、図示外のスタートスイッチをオン操作するようにすればよい。
すると、
図2に示すように、各画像形成部20(20a~20d)で各成分画像が形成され、各色成分画像が一次転写装置25によって中間転写体30に一次転写された後、二次転写装置40によって媒体Sに二次転写される。
しかる後、二次転写された媒体Sは、定着装置50による加熱定着処理を経た後、媒体冷却装置60にて冷却され、その後、図示外の媒体排出受けに排出される。
【0039】
-媒体冷却装置による冷却作用-
本実施の形態によれば、媒体冷却装置60では媒体Sは以下のように冷却される。
つまり、定着装置50による加熱定着処理を経た媒体Sは、媒体冷却装置60の搬送ベルト61の搬送経路面に導かれた後、搬送ベルト61と搬送ロール65との間に挟持された状態で搬送されていく。
この間、冷却器具70の気流生成器71からは搬送ベルト61側に向かって空気流Air が生成され、生成された空気流Airは、仕切り板90の通気口91を経て搬送ベルト61のうち各搬送ロール65間に位置する領域に向かって吹き付けられ、通過する媒体Sを直接冷却する。
このとき、空気流Airは、
図6(b)に示すように、気流案内板80の案内板部81の傾斜姿勢に沿って、媒体Sの搬送方向に向かって斜め下方に向かうように案内される。この状態において、媒体Sには空気流Airによる吹き付け力Fが搬送ベルト61の搬送経路面に対して角度θで作用することになるが、この吹き付け力Fは媒体Sを搬送ベルト61に押圧する鉛直方向成分Fzと、媒体Sを搬送方向に押圧する水平方向成分Fxとの分力を有している。このため、搬送ベルト61上の媒体Sは、搬送ベルト61面に押し付けられ、かつ、搬送方向先端部の浮き上がりが抑制された状態で、搬送ベルト61の循環移動に伴って搬送される。よって、搬送ベルト61上の媒体Sは、搬送ベルト61上でばたつくことなく搬送され、搬送過程において、空気流Airの吹き付けによって冷却される。
【0040】
-気流案内板付近による媒体、空気流の挙動-
本実施の形態では、気流案内板80は、搬送ベルト61と搬送ロール65との接触域Rcに対して媒体Sの搬送方向上流側に近接して配置されており、気流案内板80の先端位置が搬送ロール65の搬送ベルト61面への投影領域内に位置するため、媒体Sの先端が搬送ベルト61と搬送ロール65との接触域Rcに突入する際には、媒体Sの先端部は気流案内板80の案内板部81の先端付近に沿って搬送ロール65の接触域Rcへと導かれる。つまり、本例の気流案内板80は、媒体Sの先端部を搬送ロール65の接触域Rcへと案内する案内機能をも発揮するようになっている。
また、本実施の形態では、気流案内板80と搬送ロール65との最近接距離mが狭く設定されているため、気流案内板80に沿って媒体Sに吹き付けられた空気流Airは、
図6(a)に示すように、媒体Sに吹き付けられた後、気流案内板80と搬送ロール65との間の隙間に逃げることはほとんどなく、気流案内板80の長手方向(媒体S幅方向に相当)に沿って分流して逃げ、その後、気流案内板80の長手方向両端部の隙間から外部へと逃げていく。
よって、媒体Sに吹き付けられた空気流Airが媒体Sに対して局部的に加圧する状態に至ることはほとんどなく、空気流Airの吹き付けに伴って媒体Sがばたつくという現象は起こり難い。
【0041】
-比較の形態に係る媒体冷却装置との対比-
次に、本実施の形態に係る媒体冷却装置の性能を評価する上で、従前から知られている比較の形態1~3に係る媒体冷却装置と対比する。
◎比較の形態1
比較の形態1に係る媒体冷却装置は160、
図13(a)に示すように、複数の張架ロール163に掛け渡された循環移動する対構成の合成樹脂製の搬送ベルト161,162を有し、これらの搬送ベルト161,162間で媒体Sを挟持搬送し、例えば一方の搬送ベルト161内にヒートシンク164を搭載し、ヒートシンク164によって一方の搬送ベルト161を冷却し、これによって媒体Sを冷却するものである。
本態様にあっては、所謂カット紙などの媒体Sの搬送性は良好に保たれるものの、対構成の搬送ベルト161,162を使用すると、装置構成が大型化するばかりか、媒体Sに対する冷却効率も充分とは言えず、更に、夫々の搬送ベルト161,162については夫々蛇行を制御するための備品を組み付ける必要があり、装置構成が複雑化せざるを得ない。
【0042】
◎比較の形態2
比較の形態2に係る媒体冷却装置160は、例えば
図13(b)に示すように、長尺な媒体(所謂連帳紙)を冷却対象とするもので、長尺な媒体Sが掛け渡される大径の掛け渡しロール165を有し、この掛け渡しロール165に冷却ファン166からの空気流Airを吹き付けて当該掛け渡しロール165を冷却し、もって、掛け渡しロール165に接触する長尺な媒体Sを冷却するものである。
本態様は、長尺な媒体Sに対する冷却効率は良好であるものの、カット紙などの媒体について搬送性を確保することが難しい。
【0043】
◎比較の形態3
比較の形態3に係る媒体冷却装置160は、例えば
図13(c)に示すように、実施の形態1と略同様な媒体Sの搬送方式、つまり、複数の張架ロール62(62a,62b)に掛け渡されて循環移動し、上面部の背面側に複数の背面ロール63で支持されている搬送ベルト61と、搬送ベルト61の媒体Sの搬送経路面に所定間隔毎に設置され、張架ロール62及び背面ロール63に対向した部位に設置される複数の搬送ロール65と、を備えた方式を採用し、搬送ベルト61内の張架ロール62間に位置する空洞部に気流生成器170(本例ではホルダケース171に複数の冷却ファン172)を搭載し、搬送ベルト61の上面部(媒体Sの搬送経路面を構成する部分)に対し背面側から空気流Airを吹き付けて冷却するものである。
本態様においては、搬送ベルト61の上面部の背面側に気流生成器170にて生成された空気流Airが吹き付けられ、搬送ベルト61を介して媒体Sを冷却する方式であるが、搬送ベルト61の上面部が空気流Airによってばたついてしまい、搬送ベルト61に対する媒体Sの密着性が確保できず、冷却ムラが生じ易いという懸念がある。
このように、本実施の形態に係る媒体冷却装置60は、比較の形態1~3に係る媒体冷却装置160に比べて、媒体Sに対する冷却性能が極めて良好であることが理解される。
【0044】
◎実施の形態2
図7(a)は、実施の形態2に係る媒体冷却装置の要部を示す説明図である。
同図において、媒体冷却装置60の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、冷却器具70を構成する気流案内板80の配置を、実施の形態1と異ならせるようにしたものである。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例では、気流案内板80は、実施の形態1と略同様に、案内板部81と取付板部82とを備え、仕切り板90の通気口91縁部に取付板部82を介して図示外の止め具にて固着されているが、実施の形態1と異なり、気流案内板80は、案内板部81の先端位置と搬送ベルト61との間の間隙寸法gに比べて、案内板部81と搬送ロール65との間の最近接距離mが同じ若しくは広くなるように配置されている。
更に、本例では、気流案内板80は、案内板部81の先端位置と搬送ベルト61との間の間隙寸法gが搬送ロール65の半径寸法r以上に選定されている。
【0045】
よって、本例では、気流案内板80に沿って案内された空気流Airは、
図7(b)に示すように、搬送ベルト61上の媒体Sに吹き付けられた後、案内板部81と搬送ベルト61との間の隙間を通じて、案内板部81と搬送ロール65との間の隙間から上方へと容易に逃げていく。
このため、本例では、気流案内板80に沿って媒体Sに吹き付けられた空気流Airは、案内板部81の長手方向に沿って分流して逃げていくほか、前述したように、案内板部81と搬送ロール65との間の隙間から上方へと逃げていく。このため、実施の形態1に比べて、媒体S吹き付け後の空気流Airの逃げ経路をより多く確保することが可能であるほか、搬送ロール65を空気流Airで冷却し、冷却効率を高めることが可能である。
【0046】
◎実施の形態3
図8及び
図9は実施の形態3に係る媒体冷却装置の要部を示す説明図である。
同図において、媒体冷却装置60の基本的構成は、実施の形態1,2と略同様であるが、気流案内手段としての気流案内板の構成が実施の形態1,2と異なっている。尚、実施の形態1,2と同様な構成要素については実施の形態1,2と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例において、冷却器具70の気流案内板80は、
図10(a)(b)に示すように、実施の形態1,2と異なり、搬送ベルト61と搬送ロール65との接触域Rcに至る媒体Sの搬送経路に複数(本例では二つ)設けられている。
ここで、二つの気流案内板80を第1の気流案内板80f、第2の気流案内板80rとすると、いずれの気流案内板80f,80rは、若干形状は異なるものの、案内板部81及び取付板部82を備えた形状として構成されている。
【0047】
本例において、第1の気流案内板80fは、実施の形態1と略同様に、搬送ベルト61と搬送ロール65との接触域Rcに対して近接して配置されるものである。つまり、
図10(a)(b)に示すように、案内板部81の傾斜姿勢が角度θであり、また、案内板部81の先端位置は搬送ロール65の搬送ベルト61への投影領域内に配置され、更に、案内板部81と搬送ロール65との最近接距離mが案内板部81の先端位置と搬送ベルト61との間の隙間寸法g1よりも狭く選定されている。
一方、第2の気流案内板80rは、
図10(a)(b)に示すように、仕切り板90の通気口91の略中央付近に案内板部81が配置されるように設置されている。尚、設置に際しては、例えば取付板部82を図示外のブラケットを介して仕切り板90に固着するようにすればよい。
そして、本例では、第2の気流案内板80rの案内板部81は、第1の気流案内板80fの案内板部81の傾斜姿勢と同様な傾斜姿勢をもって配置されており、その先端位置と搬送ベルト61との間の隙間寸法g2は、第1の気流案内板80fの隙間寸法g1よりも広く確保されるようになっている。
【0048】
従って、本実施の形態によれば、冷却器具70は、気流生成器71から生成される空気流Airを仕切り板90の通気口91を通じて搬送ベルト61側に導き、複数の気流案内板80(80f,80r)を介して空気流Airの方向を案内するようにしたものである。
本例においては、第1の気流案内板80fは、実施の形態1と略同様に、媒体Sのばたつきを抑えた状態で媒体Sを冷却するほか、吹き付けられた空気流Airについては案内板部81の長手方向に沿って分流して逃がし、更に、搬送ベルト61と搬送ロール65との接触域Rcに対して媒体Sの先端部の突入動作を案内する作用を奏する。
一方、第2の気流案内板80rは、第1の気流案内板80fと共に空気流Airの案内作用を行うことから、一つの気流案内板80を用いる態様に比べて、空気流Airの案内方向をより正確に調整することが可能である。また、第2の気流案内板80rに沿って媒体Sに吹き付けられた空気流Airは、案内板部81の長手方向に沿って分流して逃がすことができるほか、第1の気流案内板80fと第2の気流案内板80rとの間の隙間を空気流Airを逃がす空間としても利用することが可能である。
【0049】
尚、本実施の形態では、第1の気流案内板80fは搬送ロール65に近接して配置され、第2の気流案内板80rは搬送ロール65間の領域の略中央付近に配置されているが、これに限定されるものではなく、第1の気流案内板80fを実施の形態2に示す態様とし、第2の気流案内板80rの設置位置を適宜変更しても差し支えない。
【0050】
◎実施の形態4
図11は実施の形態4に係る媒体冷却装置の要部を示す。
尚、本実施の形態は本発明に関連する参考の形態を示すものである。
同図において、媒体冷却装置60の基本的構成は、実施の形態1~3と略同様に、搬送ベルト61、搬送ロール65を備えたものであるが、実施の形態1~3と異なり、搬送ベルト61を内部から冷却する内部冷却方式の冷却器具100を採用したものである。尚、実施の形態1~3と同様な構成要素については実施の形態1~3と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例において、冷却器具100は、
図11及び
図12(a)に示すように、搬送ベルト61の二つの張架ロール62(62a,62b)を兼用し、当該張架ロール62内に長手方向に沿って延びる空洞部111を空気流通路として形成する気流通路構成部材110と、気流通路構成部材110の空洞部111内に流れる空気流Airを生成する気流生成器120とを備えたものである。
ここで、気流生成器120としては冷却ファン121等が用いられる。
また、気流通路構成部材110としては既存の張架ロール62(62a,62b)としての中空ロールを有効に利用することが可能である。
【0051】
従って、本実施の形態によれば、搬送ベルト61の二つの張架ロール62(62a,62b)を兼用した気流通路構成部材110の空洞部111に長手方向に沿って空気流Airを流すようにしたので、気流通路構成部材110である張架ロール62(62a,62b)が空気流Airによって冷却され、この結果、張架ロール62に掛け渡されている搬送ベルト61が冷却され、搬送ベルト61に接触して搬送される媒体Sが冷却される。
特に、本例では、空気流Airは張架ロール62内を流れるため、空気流Airが搬送ベルト61や媒体Sに直接吹き付けられることはなく、媒体Sや搬送ベルト61が空気流Airによってばたつく懸念は全くない。
【0052】
特に、本実施の形態において、
図12(b)に示すように、偶数の気流通路構成部材110の空洞部111に空気流Airを流すに当たって、空気流Air方向を同じに設定すると、気流通路構成部材110(張架ロール62と兼用)が長手方向に対して空気流Airの入口側が出口側に比べて低温になる温度勾配になり、搬送ベルト61の搬送方向に交差する方向に対して冷却温度ムラの要因になる虞れがある。
このため、流す方向を互い違いにする構成を採用するようにすれば、各気流通路構成部材110の温度勾配が逆向きになり、これに接する搬送ベルト61の幅方向の温度勾配は互いに打ち消し合って略均等な温度分布になる。
【0053】
◎変形の形態1
実施の形態1~3に係る媒体冷却装置60はいずれも外部冷却方式の冷却器具70(気流生成器71+気流案内板80)を使用し、また、実施の形態4に係る媒体冷却装置60は内部冷却方式の冷却器具100(気流通路構成部材110+気流生成器120)を使用しているが、これに限られるものではなく、更に、媒体Sに対する冷却作用を強化するという観点からすれば、変形の形態1に係る媒体冷却装置60として、実施の形態1~3に係るいずれかの外部冷却方式の冷却器具70と、実施の形態4に係る内部冷却方式の冷却器具100とを組み合わせて用いる態様にしてもよいことは勿論である。
【0054】
◎変形の形態2
実施の形態1~3に係る媒体冷却装置60では、外部冷却方式の冷却器具70を用い、搬送ベルト61の上方から空気流Airを吹き付けて媒体を冷却し、また、実施の形態4に係る媒体冷却装置60では、内部冷却方式の冷却器具100を用い、搬送ベルト61内の張架ロール62(62a,62b)を空気流Airで冷却することで搬送ベルト61を冷却し、搬送ベルト61に接触する媒体Sを間接的に冷却する態様であるが、更に、媒体Sに対する冷却作用を強化するという要請がある場合には、例えば
図3及び
図4あるいは
図8及び
図9あるいは
図11に示すように、搬送ベルト61のうち媒体Sの搬送経路を構成しない領域、例えば搬送ベルト61の下面部領域に対して別の冷却器具130を設置するようにしてもよい。ここでいう冷却器具130としては、例えばホルダケース131内に気流生成用の冷却ファン132を一若しくは複数(本例では二つ)搭載し、搬送ベルト61の下面部に生成した空気流を吹き付けるようにすればよい。このようにすれば、別の冷却器具130によって搬送ベルト61が冷却され、これに伴って、搬送ベルト61に接触する媒体Sの冷却作用を更に促進することが可能である。
【符号の説明】
【0055】
1…搬送手段,2(2a,2b)…張架部材,3…回転手段,4…冷却手段,5…気流生成手段,6…気流案内手段,6f…第1の気流案内手段,6r…第2の気流案内手段,7…仕切り手段,7a…通気口,8…気流通路手段,9…気流生成手段,10…媒体冷却装置,11…作像手段,12…定着手段