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特許7476527サーバー装置、通信システム、制御方法及び制御用のコンピュータープログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】サーバー装置、通信システム、制御方法及び制御用のコンピュータープログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240423BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240423BHJP
   G10L 15/22 20060101ALI20240423BHJP
   G10L 15/00 20130101ALI20240423BHJP
   G10L 17/00 20130101ALI20240423BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240423BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G06F3/12 331
H04N1/00 127A
H04N1/00 127B
G06F3/12 314
G06F3/12 385
G06F3/12 392
G10L15/22 453
G10L15/00 200A
G10L17/00 200C
B41J29/00 E
G03G21/00 396
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019221955
(22)【出願日】2019-12-09
(65)【公開番号】P2021092884
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 敦史
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-051887(JP,A)
【文献】特開2019-028721(JP,A)
【文献】特開2019-185734(JP,A)
【文献】特開2007-193138(JP,A)
【文献】特開2001-290619(JP,A)
【文献】特開平05-122419(JP,A)
【文献】特開2018-088095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00-29/70
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00-21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
G10L 15/00-17/26
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末、画像処理装置及びサーバー装置から構成される通信システムであって、
前記携帯端末は、
利用者から、音声入力により受け付けた音声データである音声指示を受け付ける受付手段と、
前記画像処理装置から、直接、個々の画像処理装置を識別する個体識別情報を受信する受信手段と、
前記個体識別情報に対して、音声合成を施して、音声識別情報を生成する音声合成手段と、
受け付けた前記音声指示及び生成した前記音声識別情報を、ネットワークを介して、前記サーバー装置に対して、送信する送信手段と、を備え、
前記サーバー装置は、
前記音声指示及び前記音声識別情報に対して、音声認識処理を施して、指示及び個体識別情報を生成し、生成した指示を画像処理装置における命令に変換し、生成した個体識別情報により識別される画像処理装置のネットワーク上におけるロケーションに対して、ネットワークを介して、前記命令を送信し、
前記画像処理装置は、前記命令に従って処理を実行する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記サーバー装置は、
前記携帯端末から、ネットワークを介して、前記音声指示及び前記音声識別情報を受信する受信手段と、
前記生成した指示を画像処理装置における命令に変換する変換手段と、
前記生成した個体識別情報により識別される画像処理装置の前記ネットワーク上におけるロケーションを取得する取得手段と、
前記ロケーションに存在する画像処理装置に、ネットワークを介して、前記命令を送信する送信手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記画像処理装置は、
前記携帯端末に対して、直接、前記個体識別情報を出力する出力手段と、
前記サーバー装置から、前記ネットワークを介して、前記命令を受信する受信手段と、
受信した前記命令に従って、処理を実行する実行手段と
を備えることを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記出力手段は、無線により、前記個体識別情報を放送する
ことを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記携帯端末は、さらに、無線により、前記個体識別情報を要求する信号を放送する放送手段を備え、
前記画像処理装置は、さらに、前記要求する信号を受信する受信手段を備え、
前記要求する信号を受信した場合、前記出力手段は、無線により、前記個体識別情報を送信し、
前記携帯端末の前記受信手段は、無線により、前記個体識別情報を受信する
ことを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項6】
前記携帯端末の前記受信手段は、無線による所定の周波数帯域内において、複数の周波数における各受信強度を測定し、最大の受信強度の周波数を選択し、選択した周波数の電波から、個体識別情報を抽出する
ことを特徴とする請求項1~5いずれか1項に記載の通信システム。
【請求項7】
前記画像処理装置の前記出力手段と、前記携帯端末の前記受信手段とは、無線による双方向の通信を確立済みであり、
前記画像処理装置の前記出力手段は、確立した通信により、前記個体識別情報を送信し、
前記携帯端末の前記受信手段は、確立した通信により、前記個体識別情報を受信する
ことを特徴とする請求項3に記載の通信システム。
【請求項8】
前記音声指示による処理は、前記画像処理装置における、原稿のスキャン、スキャンデータの生成及び前記スキャンデータの前記携帯端末に対する送信の実行であり、
前記画像処理装置の前記出力手段は、通信が確立した後に、さらに、無線により、前記スキャンデータを前記携帯端末に対して送信する
ことを特徴とする請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記音声指示による処理は、前記画像処理装置における、前記携帯端末からのプリントデータの取得及び取得した前記プリントデータによるプリントの実行であり、
前記携帯端末は、さらに、前記通信が確立した後に、前記プリントデータを、無線により送信する送信手段を備え、
前記画像処理装置は、さらに、前記通信が確立した後に、前記プリントデータを、無線により受信する受信手段を備える
ことを特徴とする請求項7に記載の通信システム。
【請求項10】
前記携帯端末の前記受付手段は、繰り返し、利用者から音声指示を受け付け、
音声指示を受け付ける都度、前記携帯端末の前記受信手段は、前記画像処理装置から、直接、前記個体識別情報を受信し、前記携帯端末の前記送信手段は、受け付けた前記音声指示及び生成した前記音声識別情報を、ネットワークを介して、前記サーバー装置に対して、送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項11】
前記携帯端末の前記受付手段は、繰り返し、利用者から音声指示を受け付け、
複数の音声指示を受け付ける都度、前記携帯端末の前記受信手段は、前記画像処理装置から、直接、前記個体識別情報を受信し、前記携帯端末の前記送信手段は、受け付けた前記複数の音声指示及び生成した前記音声識別情報を、ネットワークを介して、前記サーバー装置に対して、送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項12】
前記複数の音声指示は、一つのジョブを構成している
ことを特徴とする請求項11に記載の通信システム。
【請求項13】
前記個体識別情報は、文字列からなる
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項14】
携帯端末、画像処理装置、第一サーバー装置及び第二サーバー装置から構成される通信システムであって、
前記携帯端末は、
利用者から、音声入力により受け付けた音声データである音声指示を受け付ける受付手段と、
前記画像処理装置から、直接、個々の画像処理装置を識別する個体識別情報を受信する受信手段と、
前記個体識別情報に対して、音声合成を施して、音声識別情報を生成する音声合成手段と、
受け付けた前記音声指示及び生成した前記音声識別情報を、ネットワークを介して、前記第一サーバー装置に対して、送信する送信手段と、を備え、
前記第一サーバー装置は、前記音声指示及び前記音声識別情報に音声認識処理を施して、生成した指示及び個体識別情報を送信し、
前記第二サーバー装置は、前記生成された指示を画像処理装置における命令に変換し、前記生成された個体識別情報により識別される画像処理装置のネットワーク上におけるロケーションに対して、ネットワークを介して、前記命令を送信し、
前記画像処理装置は、前記命令に従って処理を実行する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項15】
前記第一サーバー装置は、
前記携帯端末から、ネットワークを介して、前記音声識別情報及び前記音声指示を受信する受信手段と、
前記音声指示及び前記音声識別情報に対して、音声認識処理を施して、指示及び個体識別情報を生成する音声認識手段と、
生成した前記指示と前記個体識別情報とを、ネットワークを介して、送信する送信手段と
を備えることを特徴とする請求項14に記載の通信システム。
【請求項16】
前記第二サーバー装置は、
前記第一サーバー装置から、ネットワークを介して、前記生成された前記指示及び前記個体識別情報を受信する受信手段と、
前記指示から処理の対象と動作を特定して、画像処理装置における命令に変換する変換手段と、
受信した前記個体識別情報により識別される画像処理装置の前記ネットワーク上におけるロケーションを取得する取得手段と、
前記ロケーションに存在する画像処理装置に、ネットワークを介して、前記命令を送信する送信手段と
を備えることを特徴とする請求項15に記載の通信システム。
【請求項17】
前記画像処理装置は、
前記携帯端末に対して、直接、前記個体識別情報を出力する出力手段と、
前記第二サーバー装置から、前記ネットワークを介して、前記命令を受信する受信手段と、
受信した前記命令に従って、処理を実行する実行手段と
を備えることを特徴とする請求項16に記載の通信システム。
【請求項18】
前記音声合成手段は、前記個体識別情報に対して、音声合成を施して、利用者の声紋を含む前記音声識別情報を生成し、
前記第一サーバー装置は、さらに、
利用者の声紋を記憶している記憶手段と、
受信した前記音声指示及び前記音声識別情報から声紋を抽出し、記憶されている声紋と抽出した声紋とを比較して、一致する場合に、前記音声認識手段に音声認識処理をさせ、一致しない場合に、受信した前記音声指示及び前記音声識別情報を破棄する制御手段と
を備えることを特徴とする請求項14に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、携帯端末により利用者から受け付けた操作に基づいて、画像処理装置においてパラメーターを設定し、画像処理を実行する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話から、携帯電話網及び広域網を介して、プリンターに対して、ドキュメントを送信して印刷させる技術が知られている。
【0003】
このような場合に、携帯電話は、プリンターのIPアドレスを取得できれば、プリンターに対して、ドキュメントを送信することができる。しかしながら、一般的に、携帯電話は、プリンターのIPアドレスを簡単に取得できない。例えば、携帯電話に蓄積されたドキュメントを、コンビニエンスストアのプリンターで印刷するような場合、プリンターにIPアドレスが表示されるわけではないし、コンビニエンスストアの店員などがプリンターのIPアドレスを教えてくれるわけでもない(特許文献1)。
【0004】
この問題を解決するため、特許文献1によると、携帯電話網及び広域網により接続された携帯電話とプリンターとを対応付けて通信可能とするため、利用者は、携帯電話及びプリンターの両方に自身の指をタッチする(第1の操作)。携帯電話及びプリンターは、それぞれ、利用者の指から指紋情報を取得し、取得した指紋情報をマッチングサーバーに対して送信する。マッチングサーバーは、携帯電話とプリンターとからそれぞれ送られてきた2個の指紋情報を比較する。マッチングサーバーは、例えば、2個の指紋情報が5秒以内に送られてきた場合、続けてタッチされたと判断し、2個の指紋情報の比較処理を行う。2個の指紋情報が一致すれば、マッチングサーバーは、携帯電話に対してプリンターのグローバルIPアドレスを通知する。利用者は、携帯電話により、取得したグローバルIPアドレス宛に、つまり、利用者の指が接触したプリンターに対して、ドキュメントを送信する(第2の操作)。プリンターは、そのドキュメントを印刷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-350588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1によると、利用者が、携帯電話及びプリンターにタッチ(第1の操作)してから、携帯電話がプリンターのグローバルIPアドレスを取得するまでの間、携帯電話の利用者には、印刷操作(第2の操作)をするために、待ち時間が発生するという問題がある。
【0007】
本開示は、上記の問題点を解決し、上記の待ち時間の発生を回避し、簡単な操作方法により、携帯端末と画像処理装置とを対応付けるサーバー装置、通信システム、制御方法及び制御用のコンピュータープログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
また、本開示の一態様は、ここで、携帯端末、画像処理装置及びサーバー装置から構成される通信システムであって、前記携帯端末は、利用者から、音声入力により受け付けた音声データである音声指示を受け付ける受付手段と、前記画像処理装置から、直接、個々の画像処理装置を識別する個体識別情報を受信する受信手段と、前記個体識別情報に対して、音声合成を施して、音声識別情報を生成する音声合成手段と、受け付けた前記音声指示及び生成した前記音声識別情報を、ネットワークを介して、前記サーバー装置に対して、送信する送信手段と、を備え、前記サーバー装置は、前記音声指示及び前記音声識別情報に対して、音声認識処理を施して、指示及び個体識別情報を生成し、生成した指示を画像処理装置における命令に変換し、生成した個体識別情報により識別される画像処理装置のネットワーク上におけるロケーションに対して、ネットワークを介して、前記命令を送信し、前記画像処理装置は、前記命令に従って処理を実行することを特徴とする。
【0012】
ここで、前記サーバー装置は、前記携帯端末から、ネットワークを介して、前記音声指示及び前記音声識別情報を受信する受信手段と、前記生成した指示を画像処理装置における命令に変換する変換手段と、前記生成した個体識別情報により識別される画像処理装置の前記ネットワーク上におけるロケーションを取得する取得手段と、前記ロケーションに存在する画像処理装置に、ネットワークを介して、前記命令を送信する送信手段とを備える、としてもよい。
【0013】
ここで、前記画像処理装置は、前記携帯端末に対して、直接、前記個体識別情報を出力する出力手段と、前記サーバー装置から、前記ネットワークを介して、前記命令を受信する受信手段と、受信した前記命令に従って、処理を実行する実行手段とを備える、としてもよい。
【0015】
ここで、前記出力手段は、無線により、前記個体識別情報を放送してもよい。
【0016】
ここで、前記携帯端末は、さらに、無線により、前記個体識別情報を要求する信号を放送する放送手段を備え、前記画像処理装置は、さらに、前記要求する信号を受信する受信手段を備え、前記要求する信号を受信した場合、前記出力手段は、無線により、前記個体識別情報を送信し、前記携帯端末の前記受信手段は、無線により、前記個体識別情報を受信してもよい。
【0017】
ここで、前記携帯端末の前記受信手段は、無線による所定の周波数帯域内において、複数の周波数における各受信強度を測定し、最大の受信強度の周波数を選択し、選択した周波数の電波から、個体識別情報を抽出してもよい。
【0018】
ここで、前記画像処理装置の前記出力手段と、前記携帯端末の前記受信手段とは、無線による双方向の通信を確立済みであり、前記画像処理装置の前記出力手段は、確立した通信により、前記個体識別情報を送信し、前記携帯端末の前記受信手段は、確立した通信により、前記個体識別情報を受信してもよい。
【0019】
ここで、前記音声指示による処理は、前記画像処理装置における、原稿のスキャン、スキャンデータの生成及び前記スキャンデータの前記携帯端末に対する送信の実行であり、
前記画像処理装置の前記出力手段は、通信が確立した後に、さらに、無線により、前記スキャンデータを前記携帯端末に対して送信してもよい。
【0020】
ここで、前記音声指示による処理は、前記画像処理装置における、前記携帯端末からのプリントデータの取得及び取得した前記プリントデータによるプリントの実行であり、前記携帯端末は、さらに、前記通信が確立した後に、前記プリントデータを、無線により送信する送信手段を備え、前記画像処理装置は、さらに、前記通信が確立した後に、前記プリントデータを、無線により受信する受信手段を備える、としてもよい。
【0021】
ここで、前記携帯端末の前記受付手段は、繰り返し、利用者から音声指示を受け付け、音声指示を受け付ける都度、前記携帯端末の前記受信手段は、前記画像処理装置から、直接、前記個体識別情報を受信し、前記携帯端末の前記送信手段は、受け付けた前記音声指示及び生成した前記音声識別情報を、ネットワークを介して、前記サーバー装置に対して、送信してもよい。
【0022】
ここで、前記携帯端末の前記受付手段は、繰り返し、利用者から音声指示を受け付け、複数の音声指示を受け付ける都度、前記携帯端末の前記受信手段は、前記画像処理装置から、直接、前記個体識別情報を受信し、前記携帯端末の前記送信手段は、受け付けた前記複数の音声指示及び生成した前記音声識別情報を、ネットワークを介して、前記サーバー装置に対して、送信してもよい。
【0023】
ここで、前記複数の音声指示は、一つのジョブを構成してもよい。
【0024】
ここで、前記個体識別情報は、文字列からなるとしてもよい。
【0026】
また、本開示の一態様は、携帯端末、画像処理装置、第一サーバー装置及び第二サーバー装置から構成される通信システムであって、前記携帯端末は、利用者から、音声入力により受け付けた音声データである音声指示を受け付ける受付手段と、前記画像処理装置から、直接、個々の画像処理装置を識別する個体識別情報を受信する受信手段と、前記個体識別情報に対して、音声合成を施して、音声識別情報を生成する音声合成手段と、受け付けた前記音声指示及び生成した前記音声識別情報を、ネットワークを介して、前記第一サーバー装置に対して、送信する送信手段と、を備え、前記第一サーバー装置は、前記音声指示及び前記音声識別情報に音声認識処理を施して、生成した指示及び個体識別情報を送信し、前記第二サーバー装置は、前記生成された指示を画像処理装置における命令に変換し、前記生成された個体識別情報により識別される画像処理装置のネットワーク上におけるロケーションに対して、ネットワークを介して、前記命令を送信し、前記画像処理装置は、前記命令に従って処理を実行してもよい。
【0027】
ここで、前記第一サーバー装置は、前記携帯端末から、ネットワークを介して、前記音声識別情報及び前記音声指示を受信する受信手段と、前記音声指示及び前記音声識別情報に対して、音声認識処理を施して、指示及び個体識別情報を生成する音声認識手段と、生成した前記指示と前記個体識別情報とを、ネットワークを介して、送信する送信手段とを備える、としてもよい。
【0028】
ここで、前記第二サーバー装置は、前記第一サーバー装置から、ネットワークを介して、前記生成された前記指示及び前記個体識別情報を受信する受信手段と、前記指示から処理の対象と動作を特定して、画像処理装置における命令に変換する変換手段と、受信した前記個体識別情報により識別される画像処理装置の前記ネットワーク上におけるロケーションを取得する取得手段と、前記ロケーションに存在する画像処理装置に、ネットワークを介して、前記命令を送信する送信手段とを備える、としてもよい。
【0029】
ここで、前記画像処理装置は、前記携帯端末に対して、直接、前記個体識別情報を出力する出力手段と、前記第二サーバー装置から、前記ネットワークを介して、前記命令を受信する受信手段と、受信した前記命令に従って、処理を実行する実行手段とを備える、としてもよい。
【0031】
ここで、前記音声合成手段は、前記個体識別情報に対して、音声合成を施して、利用者の声紋を含む前記音声識別情報を生成し、前記第一サーバー装置は、さらに、利用者の声紋を記憶している記憶手段と、受信した前記音声指示及び前記音声識別情報から声紋を抽出し、記憶されている声紋と抽出した声紋とを比較して、一致する場合に、前記音声認識手段に音声認識処理をさせ、一致しない場合に、受信した前記音声指示及び前記音声識別情報を破棄する制御手段とを備える、としてもよい。
【発明の効果】
【0034】
上記の態様によると、携帯端末からサーバー装置に対して、前記指示と前記識別情報が送信され、サーバー装置において、前記識別情報により示される画像処理装置のネットワーク上のロケーションが取得され、そのロケーションに存在する画像形成装置に対して、前記指示から生成された命令が送信されるので、先行技術のようにサーバー装置からアドレス情報の受信を待つ必要がなく、簡単に携帯端末と画像処理装置とを対応付けることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】通信システム1の構成を示す。
図2】携帯端末300の構成を示すブロック図である。
図3】画像形成装置10aの概略構成を示す図である。
図4】制御回路100の構成を示すブロック図である。
図5】音声認識サーバー400の構成を示すブロック図である。
図6】MFP管理サーバー500の構成を示すブロック図である。
図7】通信システム1における処理概要を示す処理概要図である。
図8】通信システム1の動作を示すシーケンス図である。
図9】(a)識別情報及び指示のセットの例を示す。(b)一つの識別情報及び複数の指示のセットの例を示す。
図10】プリントジョブを実行する場合における通信システム1の動作を示すシーケンス図の一部である。
図11】スキャンジョブを実行する場合における通信システム1の動作を示すシーケンス図の一部である。
図12】変形例の通信システム1の動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
1 実施の形態
本開示に係る一の実施の形態としての通信システム1について図面を参照しながら説明する。
【0037】
1.1 通信システム1
通信システム1は、図1に示すように、画像形成装置10a、10b、10c、音声認識サーバー400、MFP管理サーバー500及び携帯端末300が、ネットワーク2(例えば、LAN)及び携帯電話網3を介して、相互に接続されて、構成されている。
【0038】
なお、ネットワーク2は、例えば、広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network)としてもよい。
【0039】
携帯端末300は、利用者の音声から、音声データを生成する。音声データは、画像形成装置10aにおけるジョブ実行の指示を含む。続いて、携帯端末300は、画像形成装置10aから、画像形成装置10aの個体を識別する識別情報(個体識別情報)を受信する。次に、携帯端末300は、生成された音声データ及び受信した識別情報を、携帯電話網3及びネットワーク2を介して、音声認識サーバー400に対して、送信する。音声認識サーバー400は、受信した音声データに対して、音声認識処理を施して、指示を生成する。次に、音声認識サーバー400は、受信した識別情報及び生成したMFPコマンドをMFP管理サーバー500に対して、送信する。MFP管理サーバー500は、ネットワーク2上において、各画像形成装置が配置されている位置を示すアドレス情報(例えば、IPアドレス)と、識別情報とを対応付けて記憶している。MFP管理サーバー500は、識別情報及び指示を受信すると、受信した指示から、MFPコマンドを生成する。ここで、MFPコマンドは、画像形成装置において、ジョブ実行を指示する命令である。次に、MFP管理サーバー500は、受信した識別情報により識別される画像形成装置の、ネットワーク2上における位置を示すアドレス情報を特定する。次に、MFP管理サーバー500は、特定したアドレス情報により示される画像形成装置に対して、MFPコマンドを送信する。画像形成装置は、MFPコマンドを受信し、受信したMFPコマンドに従って、ジョブを実行する。
【0040】
1.2 携帯端末300
携帯端末300は、一例として、スマートフォンである。なお、携帯端末300は、タブレット、携帯電話機、携帯型のパーソナルコンピューター等であるとしてもよい。
【0041】
携帯端末300は、利用者から入力された音声により、画像形成装置10a~10cのいずれかに対して、ジョブ実行をさせる機能を有する。
【0042】
画像形成装置10a~10cのいずれかに対して、ジョブを実行させる場合、携帯端末300は、利用者から音声の入力を受け付け、入力された音声から音声データを生成する。音声データには、利用者がジョブを実行しようとする画像形成装置(以下において、利用者がジョブを実行しようとする画像形成装置を、画像形成装置10a~10cのうち、画像形成装置10aとする。)におけるジョブ実行の指示が含まれる。また、携帯端末300は、画像形成装置10aから、近距離無線により、画像形成装置10aを識別する識別情報を受信する。次に、携帯端末300は、生成された音声データ及び受信した識別情報を、携帯電話網3及びネットワーク2を介して、音声認識サーバー400に対して、送信する。
【0043】
携帯端末300は、一例として、図2に示すように、主制御部301、記憶部302、音声処理部306、スピーカー307、マイクロホン308、入出力制御部309、操作パネル310、第二無線通信部315、第一無線通信部316及び音声記憶部317等から構成されている。第二無線通信部315は、アンテナ312、第二通信回路313及び第二通信制御部314を備えている。第一無線通信部316は、アンテナ304、第一通信回路303及び第一通信制御部305を備えている。操作パネル310は、タッチパネル310a及びボタン入力部310bを備えている。
【0044】
携帯端末300は、具体的には、マイクロプロセッサー、信号処理プロセッサー、ROM、RAMなどから構成されるコンピューターシステムである。RAMには、制御用のコンピュータープログラムが記憶されている。マイクロプロセッサー及び信号処理プロセッサーは、制御用のコンピュータープログラムに従って動作する。これにより、主制御部301、音声処理部306、入出力制御部309、第二通信制御部314及び第一通信制御部305等は、その機能を達成する。
【0045】
(1)記憶部302及び音声記憶部317
記憶部302は、一例として、不揮発性の半導体メモリから構成されている。音声記憶部317も、一例として、不揮発性の半導体メモリから構成されている。音声記憶部317は、利用者の音声から生成された音声データ318を記憶するための領域を有している。
【0046】
(2)第一無線通信部316
第一無線通信部316(送信手段)を構成するアンテナ304、第一通信回路303及び第一通信制御部305は、例えば、CDMA(Code Division Multiple Access)2000、LTE(Long Term Evolution)等の規格に基づいて、移動体通信を実現する。
【0047】
アンテナ304は、無線基地局との間で無線回線を介して無線信号を送受信する。第一通信回路303は、アンテナ304により送受信される無線信号の周波数選択や周波数変換等を行う。第一通信制御部305は、第一通信回路303から受け取った信号を復調し、主制御部301又は音声処理部306に対して出力する。また、第一通信制御部305は、主制御部301又は音声処理部306から受け取った信号を変調して、第一通信回路303に対して出力する。
【0048】
一例として、第一無線通信部316は、主制御部301の制御により、音声データ及び識別情報を、携帯電話網3及びネットワーク2を介して、音声認識サーバー400に対して、送信する。
【0049】
(3)第二無線通信部315
第二無線通信部315(受信手段、放送手段)を構成するアンテナ312、第二通信回路313及び第二通信制御部314は、IEEE802.11a、b、n、ac等の無線LANの規格に基づいて、近距離無線による通信を行う。
【0050】
ここで、上記の近距離無線による通信機能を備える装置(例えば、携帯端末300、画像形成装置10a~10c、以下、近距離無線通信装置)には、特定の周波数帯域(例えば、2.4GHz帯域)が割り当てられている、としてもよい。周波数帯域には、複数のチャネルが設定され、各チャネルは、狭い帯域幅の周波数(例えば、20MHz)が割り当てられている。各近距離無線通信装置は、周波数帯域において、固有のチャネルを用いる。
【0051】
アンテナ312は、近距離無線通信装置(例えば、画像形成装置10a~10c)との間で、無線により、無線信号を送受信する。第二通信回路313は、アンテナ312により送受信される無線信号の周波数選択や周波数変換等を行う。第二通信制御部314は、第二通信回路313から受け取った信号を復調し、主制御部301に対して出力する。また、第二通信制御部314は、主制御部301から受け取った信号を変調して、第二通信回路313に対して出力する。
【0052】
このように、第二無線通信部315は、近距離無線通信装置が備える無線通信部との間で、無線により、データの送受信を行う。
【0053】
一例として、第二無線通信部315は、主制御部301の制御により、識別情報を要求するクエリーを、送信(放送)する。クエリーを受信した画像形成装置10a~10cは、クエリーに応答して、自身に割り当てられたチャネルにおいて、自身の識別情報を送信する。
【0054】
また、第二無線通信部315は、それぞれの近距離無線通信装置(例えば、画像形成装置10a~10c)に割り当てられたチャネルの周波数における電界強度を測定し、最大の電界強度の周波数のチャネルを選択し、選択したチャネルの周波数の電波から、識別情報を抽出してもよい。抽出した識別情報を主制御部301に対して出力する。
【0055】
複数のチャネルから、電界強度が最大の電波を選択し、その電波から識別情報を抽出するので、抽出された識別情報により示される画像形成装置は、携帯端末300に最も近い位置に存在していると考えられる。このため、利用者は、携帯端末300の最寄りの画像形成装置にジョブ実行を依頼できる。
【0056】
(4)音声処理部306、マイクロホン308及びスピーカー307
マイクロホン308は、音波を受けて振動する振動板とともに、磁界内でコイルが振動することにより、アナログ電気信号としての音声信号を生成する。マイクロホン308が受け取る音波は、一例として、利用者の音声であり、画像形成装置10a~10cに対する指示が含まれる。マイクロホン308は、次に、生成した音声信号を音声処理部306に対して出力する。
【0057】
スピーカー307は、音声処理部306からアナログ電気信号としての音声信号を受け取り、受け取った音声信号に従って振動板を振動させて、音波を出力する。
【0058】
利用者が他の携帯端末との間で通話する場合、受話中に、音声処理部306は、第一無線通信部316により受信し、音声情報が符号化された符号化音声情報を復号し、さらにアナログ電気信号に変換して、音声信号を生成する。次に、音声処理部306は、生成した音声信号をスピーカー307に対して出力する。また、送話中に、音声処理部306は、マイクロホン308から受け取った音声信号をデジタル電気信号に変換し、さらに、符号化して符号化音声情報を生成する。次に、音声処理部306は、生成した符号化音声情報を、第一通信制御部305に対して出力する。
【0059】
画像形成装置に対する音声指示が開始された場合、音声処理部306は、主制御部301の指示により、マイクロホン308から受け取った音声信号をデジタル電気信号に変換し、さらに、符号化して符号化音声情報(以下、音声データ)を生成する。次に、音声処理部306は、生成した音声データを、音声データ318として、音声記憶部317に書き込む。
【0060】
ここで、利用者による音声指示の開始は、携帯端末300が備える特定のボタンに対する押下の操作がされたこと、又は、携帯端末300に表示される特定のアイコンに対する接触の操作がされたことにより、検出される、としてもよい。また、音声処理部306は、マイクロホン308から受け取った音声信号を基にして、生成した音声データに音声認識処理を施して、音声データの最初の区間に、例えば、最初の2秒間の区間に、特定の語句、例えば、「ビズハブ」が含まれるか否かを判断し、含まれると判断する場合に、利用者による音声指示の開始であると判断してもよい。
【0061】
(5)操作パネル310及び入出力制御部309
操作パネル310(受付手段)を構成するタッチパネル310aは、矩形の表示面を有する表示パネル部及び表示面に取り付けられたタッチパッド部から構成されている。表示パネル部は、一例として、液晶ディスプレイである。表示パネル部は、各種メッセージ、各種の画像及び文字並びに操作用の複数のアイコン等を表示する。複数のアイコンには、画像形成装置に対するジョブ実行を指示するアイコンが含まれる。また、一つのアイコンは、利用者による音声指示の開始のために用いられる、としてもよい。タッチパッド部は、タッチパネル310aの操作面に対する利用者の指等の操作体の接触を検出する。これにより、タッチパッド部は、携帯端末300の利用者から、接触による操作を受け付ける。
【0062】
ボタン入力部310bは、複数のボタンを備える。各ボタンは、利用者により押下されることにより、操作される。また、一つのボタンは、利用者による音声指示の開始のために用いられる、としてもよい。
【0063】
入出力制御部309は、入力信号として、ボタン入力部310bから操作信号を受け取る。また、入出力制御部309は、入力信号として、タッチパネル310aからタッチパネル310a上における操作体が接触する位置を示す位置情報を受け取る。ここで、位置情報の一例は、表示パネル部に表示された複数のアイコンのうち、操作体により接触されたアイコンの位置を示す位置情報である。入出力制御部309は、受け取った入力信号を主制御部301に対して出力する。また、入出力制御部309は、主制御部301から、文字や画像を受け取り、受け取った文字や画像をタッチパネル310aに出力して表示するように制御する。
【0064】
(6)主制御部301
主制御部301は、記憶部302、第一通信制御部305、音声処理部306、入出力制御部309、第二通信制御部314及び音声記憶部317を制御する。
【0065】
主制御部301は、操作パネル310から、入出力制御部309を介して、入力信号として、画像形成装置に対するジョブ実行を指示するアイコンの位置を示す位置情報(以下、画像形成装置に対するジョブ実行の受け付けと呼ぶ。)を受信する。画像形成装置10aに対するジョブ実行を受け付けると、主制御部301は、音声処理部306に対して、音声入力を受け付け、音声データを音声記憶部317に書き込むように、指示する。また、画像形成装置に対するジョブ実行を受け付けると、主制御部301は、第二無線通信部315に対して、画像形成装置を識別する識別情報を要求するクエリーを、送信(放送)するように、制御する。
【0066】
また、主制御部301は、第二無線通信部315から、画像形成装置を識別する識別情報を受信する。
【0067】
識別情報を受信すると、主制御部301は、第一無線通信部316に対して、受信した識別情報及び音声記憶部317に記憶されている音声データ318を、携帯電話網3及びネットワーク2を介して、音声認識サーバー400へ送信するよう、制御する。
【0068】
1.3 画像形成装置10a
ここでは、画像形成装置10aについて、説明する。なお、画像形成装置10b及び10cも、画像形成装置10aと同じ構成を有しているので、画像形成装置10b及び10cについての説明を省略する。
【0069】
画像形成装置10aは、図3に示すように、スキャナー、プリンター及びコピー機の機能を有するタンデム型のカラー複合機(MFP:MultiFunction Peripheral)である。
【0070】
画像形成装置10aは、この図に示すように、筐体底部に、記録シートを収容し、給送する給紙部13が設けられている。給紙部13の上方には、電子写真方式により画像を形成するプリンター12(実行手段)が設けられている。プリンター12のさらに上方に、原稿を読み取って画像データを生成するイメージリーダー11(実行手段)、及び、操作画面を表示し、利用者から入力操作を受け付ける操作パネル19が設けられている。
【0071】
イメージリーダー11は、自動原稿搬送装置を有している。自動原稿搬送装置は、原稿トレイにセットされた原稿を、搬送路を介して、1枚ずつ原稿ガラス板へ搬送する。イメージリーダー11は、自動原稿搬送装置によって原稿ガラス板の所定位置に搬送された原稿、又は、利用者により原稿ガラス板の上に載置された画像をスキャナーの移動によって読み取り、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の多値デジタル信号からなる画像データを得る。
【0072】
イメージリーダー11で得られた各色成分の画像データは、制御回路100において各種のデータ処理を受け、更にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各再現色の画像データに変換される。
【0073】
プリンター12は、駆動ローラーと従動ローラーとバックアップローラーとにより張架される中間転写ベルト21、二次転写ローラー22、中間転写ベルト21に対向して中間転写ベルト21の走行方向Xに沿って所定間隔で配置された作像部20Y、20M、20C、20K、定着部50、制御回路100等からなる。
【0074】
作像部20Y、20M、20C、20Kは、それぞれ、Y、M、C、K色のトナー像を作像する。具体的には、各作像部は、像担持体である感光体ドラム、感光体ドラム表面を露光走査するためのLEDアレイ、帯電チャージャー、現像器、クリーナー及び一次転写ローラーなどからなる。
【0075】
給紙部13は、サイズの異なる記録シートを収容する給紙カセット60、61、62と、この記録シートを各給紙カセットから搬送路に繰り出すためのピックアップローラー63、64、65とから構成されている。
【0076】
作像部20Y~20Kのそれぞれにおいて、各感光体ドラムは、帯電チャージャーにより一様に帯電され、LEDアレイにより露光され、感光体ドラムの表面に静電潜像が形成される。各静電潜像は、対応する色の現像器により現像され、各感光体ドラムの表面にY~K色のトナー像が形成され、トナー像は、中間転写ベルト21の裏面側に配設された各一次転写ローラーの静電作用により、中間転写ベルト21の表面上に順次転写される。
【0077】
中間転写ベルト21上で、Y~K色のトナー像が多重転写されるように、各色の作像タイミングがずらされている。
【0078】
一方、給紙部13のいずれかの給紙カセットから、作像部20Y~20Kによる作像動作に合わせて、記録シートが給送される。
【0079】
記録シートは、二次転写ローラー22とバックアップローラーとが中間転写ベルト21を挟んで対向する二次転写位置へと搬送路上を搬送され、二次転写位置で、二次転写ローラー22の静電的作用により、中間転写ベルト21上で多重転写されたY~K色のトナー像が記録シートへ二次転写される。Y~K色のトナー像が二次転写された記録シートは、さらに定着部50まで搬送される。
【0080】
記録シートの表面のトナー像は、定着部50の加熱ローラー51とこれに圧接された加圧ローラー52との間に形成される定着ニップを通過する際に、加熱及び加圧により、記録シートの表面に融着して定着され、記録シートは、定着部50を通過した後、排出トレイ15へ送出される。
【0081】
操作パネル19には、液晶表示板などで構成される表示部が設けられ、利用者によって設定された内容や各種のメッセージを表示する。操作パネル19は、利用者からの、コピー開始の指示、コピー枚数の設定、複写条件の設定、データの出力先の設定などを受け付け、受け付けた内容を制御回路100に通知する。
【0082】
1.4 制御回路100
制御回路100は、図4に示すように、CPU101、ROM102、RAM103、画像メモリ104、画像処理回路105、ネットワーク通信回路106、スキャナー制御回路107、入出力回路108、プリンター制御回路109、記憶回路110及び無線通信部111等から構成されている。
【0083】
記憶回路110は、例えば、不揮発性の半導体メモリ等から構成されている。もちろん、記憶回路110は、ハードディスクから構成されている、としてもよい。記憶回路110は、予め、識別情報131(識別番号)を記憶している。識別情報131は、画像形成装置10aを一意に識別する識別子である。識別情報131は、文字列から構成されてもよいし、数字から構成されてもよい。
【0084】
CPU101、ROM102及びRAM103は、主制御部101aを構成している。
【0085】
RAM103は、各種の制御変数及び操作パネル19により設定されたコピー枚数などを一時記憶すると共に、CPU101によるプログラム実行時のワークエリアを提供する。
【0086】
ROM102には、コピー動作などの各種ジョブを実行させるための制御プログラムなどが格納されている。
【0087】
CPU101は、ROM102に記憶されている制御プログラムに従って動作する。
【0088】
CPU101が、制御プログラムに従って動作することにより、主制御部101aは、機能的に、統括制御部121、読出部122及び実行制御部123を構成する。
【0089】
統括制御部121は、画像メモリ104、画像処理回路105、ネットワーク通信回路106、スキャナー制御回路107、入出力回路108、プリンター制御回路109、記憶回路110及び無線通信部111等を統一的に制御する。
【0090】
また、統括制御部121は、読出部122及び実行制御部123を制御して、それぞれの動作を実行させる。
【0091】
さらに、統括制御部121は、操作パネル19から利用者の操作を受け付ける。利用者の操作が、例えば、プリント指示である場合、統括制御部121は、プリンター制御回路109に対して、画像形成処理を実行させる。利用者の操作がその他の指示である場合、統括制御部121は、その他の処理を実行させる。
【0092】
読出部122は、統括制御部121の制御により、記憶回路110から、識別情報131を読み出す。
【0093】
実行制御部123(実行手段)は、統括制御部121の制御により、MFP管理サーバー500から受信したMFPコマンドを実行する。つまり、実行制御部123は、受信したMFPコマンドに従って、ネットワーク通信回路106、スキャナー制御回路107、プリンター制御回路109に対して、ネットワークジョブ、コピージョブ、プリントジョブ等を実行させる。
【0094】
画像メモリ104は、プリントジョブ等の画像データを一時的に記憶する。
【0095】
画像処理回路105は、例えば、イメージリーダー11で得られたR、G、Bの各色成分の画像データに対して、各種のデータ処理を施して、Y、M、C、Kの各再現色の画像データに変換する。
【0096】
ネットワーク通信回路106(受信手段)は、LANなどのネットワークを介してPC(パーソナルコンピューター)などの外部端末装置からのプリントジョブを受け付ける。
【0097】
スキャナー制御回路107は、イメージリーダー11を制御し、原稿の画像の読み取り動作を実行させる。
【0098】
プリンター制御回路109は、プリンター12を制御し、画像形成を実行させる。
【0099】
無線通信部111(出力手段、受信手段)は、アンテナ112、無線通信回路113及び無線通信制御部114から、構成されている。無線通信部111は、IEEE802.11a、b、n、ac等の無線LANの規格に基づいて、近距離無線による通信を行う。
【0100】
アンテナ112は、近距離無線通信装置(例えば、携帯端末300)との間で、無線により、無線信号を送受信する。無線通信回路113は、アンテナ112により送受信される無線信号の周波数選択や周波数変換等を行う。無線通信制御部114は、無線通信回路113から受け取った信号を復調し、主制御部101aに対して出力する。また、無線通信制御部114は、主制御部101aから受け取った信号を変調して、無線通信回路113に対して出力する。
【0101】
このように、無線通信部111は、近距離無線通信装置の無線通信部との間で、無線により、データの送受信を行う。
【0102】
一例として、無線通信部111は、携帯端末300から、識別情報を要求するクエリーを受信する。また、無線通信部111は、クエリーを受信すると、主制御部101aの制御により、識別情報を送信する。
【0103】
1.5 音声認識サーバー400
音声認識サーバー400は、携帯端末300から、音声データ及び識別情報を受信する。音声認識サーバー400は、受信した音声データに対して、音声認識処理を施して、指示を生成する。次に、音声認識サーバー400は、識別情報及び指示を、MFP管理サーバー500に対して、送信する。
【0104】
音声認識サーバー400は、図5に示すように、主制御部401、記憶回路402及びネットワーク通信回路403から構成されている。
【0105】
音声認識サーバー400は、具体的には、CPU、ROM、RAM、その他のデバイスから構成されるコンピューターシステムである。
【0106】
(1)記憶回路402及びネットワーク通信回路403
記憶回路402は、例えば、ハードディスク等から構成され、データを記憶するために用いられる。
【0107】
ネットワーク通信回路403(受信手段、送信手段)は、ネットワーク2を介して、外部の装置に接続されている。
【0108】
(2)主制御部401
主制御部401は、ROMに記憶されている制御用のコンピュータープログラムに従って、CPUが動作することにより、機能的に、統括制御部411、送受信部412及び音声認識処理部413から構成されている。
【0109】
(送受信部412)
送受信部412は、携帯端末300から、携帯電話網3、ネットワーク2及びネットワーク通信回路403を介して、音声データ及び識別情報を受信する。
【0110】
また、送受信部412は、ネットワーク通信回路403及びネットワーク2を介して、識別情報及び指示を、MFP管理サーバー500に対して、送信する。
【0111】
(音声認識処理部413)
音声認識処理部413(変換手段)は、統括制御部411の制御により、以下に示すようにして、受信した音声データに音声認識処理を施して、指示を生成する。
【0112】
音声認識処理部413は、受信した音声データに対して、母音、子音、撥音の音素のパターンに一致する区間を特定し、音素を表す識別子の並びを生成する。次に、音声認識処理部413は、内蔵する単語辞書を参照して、識別子の並びから、単語を特定する。次に、音声認識処理部413は、意味解析を行って、品詞を特定し、係り受けの判定を行う。次に、音声認識処理部413は、処理の操作対象と動作等を特定する。こうして、音声認識処理部413は、特定した処理の操作対象と動作等を示す指示を生成する。
【0113】
例えば、利用者の音声入力が、「カラーで、3部コピーして」である場合、指示は、次のようになる。
【0114】
指示=(「コピー」、「カラー」、「3部」)
(統括制御部411)
統括制御部411は、記憶回路402、ネットワーク通信回路403、送受信部412及び音声認識処理部413を統一的に制御する。
【0115】
統括制御部411は、受信した識別情報及び生成された指示を関連付け、識別情報及び指示を、送受信部412により、ネットワーク通信回路403及びネットワーク2を介して、MFP管理サーバー500に対して、送信させる。
【0116】
1.6 MFP管理サーバー500
MFP管理サーバー500は、音声認識サーバー400から、識別情報及び指示を受信する。識別情報及び指示を受信すると、MFP管理サーバー500は、受信した指示をMFPコマンドに変換する。MFP管理サーバー500は、受信した識別情報により識別される画像形成装置の、ネットワーク2上における位置を示すアドレス情報を特定する。MFP管理サーバー500は、特定したアドレス情報によりその位置が示される画像形成装置に対して、MFPコマンドを送信する。
【0117】
MFP管理サーバー500は、図6に示すように、主制御部501、記憶回路502及びネットワーク通信回路503から構成されている。
【0118】
MFP管理サーバー500は、具体的には、CPU、ROM、RAM、その他のデバイスから構成されるコンピューターシステムである。
【0119】
(1)記憶回路502及びネットワーク通信回路503
記憶回路502(記憶手段)は、例えば、ハードディスク等から構成され、データを記憶するために用いられる。記憶回路502は、一例として、図6に示すMFP管理テーブル521を記憶している。
【0120】
MFP管理テーブル521は、複数の管理情報523を含んでいる。各管理情報523は、一台の画像形成装置に対応している。各管理情報523は、識別情報524及びアドレス情報525を含む。識別情報524は、上述したように、画像形成装置を一意に識別するための識別子である。アドレス情報525は、ネットワーク2上において、各画像形成装置が配置されている位置を示す。アドレス情報525は、例えば、IPアドレスである。
【0121】
ネットワーク通信回路503(受信手段、送信手段)は、ネットワーク2を介して、外部の装置に接続されている。
【0122】
(2)主制御部501
主制御部501は、ROMに記憶されている制御用のコンピュータープログラムに従って、CPUが動作することにより、機能的に、統括制御部511、送受信部512及び変換部513から構成されている。
【0123】
(送受信部512)
送受信部512は、音声認識サーバー400から、ネットワーク2及びネットワーク通信回路503を介して、識別情報及び指示を受信する。
【0124】
また、送受信部512は、統括制御部511の制御により、ネットワーク通信回路503及びネットワーク2を介して、アドレス情報により、その位置が示される画像形成装置に対して、MFPコマンドを送信する。
【0125】
(変換部513)
変換部513(変換手段)は、受信した指示を、画像形成装置上で動作するMFPコマンドに変換する。
【0126】
受信した指示が、「コピー」、「カラー」、「3部」である場合、MFPコマンドは、次のようになる。
【0127】
MFPコマンド=コピージョブ(色=カラー、部数=3)
(統括制御部511)
統括制御部511は、記憶回路502、ネットワーク通信回路503及び送受信部512を統一的に制御する。
【0128】
識別情報及び指示を受信すると、統括制御部511(取得手段)は、MFP管理テーブル521から、受信した識別情報に対応するアドレス情報を取得する。次に、統括制御部511は、送受信部512に対して、取得したアドレス情報により、その位置が示される画像形成装置に対して、生成されたMFPコマンドを送信させる。
【0129】
1.7 通信システム1における処理概要
通信システム1における処理概要について、図7に示す処理概要図を用いて、説明する。
【0130】
携帯端末300は、利用者から音声により、画像形成装置10aにおけるジョブ実行の指示を受け付ける(S11)。次に、携帯端末300は、識別情報を要求するクエリーを送信(放送)する(S12)。次に、携帯端末300は、受信電界強度の最も強い電波を選択して、選択された画像形成装置10aから、各画像形成装置10aを識別する識別情報を受信する(S13)。次に、携帯端末300は、入力された音声データ及び受信した識別情報を、携帯電話網3及びネットワーク2を介して、音声認識サーバー400に対して、送信する(S14)。音声認識サーバー400は、受信した音声データに対して、音声認識処理を施して、指示を生成し、識別情報と指示を紐づける(S15)。次に、音声認識サーバー400は、受信した識別情報及び生成した指示をMFP管理サーバー500に対して、送信する(S16)。MFP管理サーバー500は、識別情報及び指示を受信すると、指示をMFPコマンドに変換し、受信した識別情報により識別される画像形成装置の、ネットワーク2上におけるアドレス情報を特定する(S17)。MFP管理サーバー500は、特定したアドレス情報により示される画像形成装置に対して、MFPコマンドを送信する(S18)。画像形成装置は、受信したMFPコマンドに従って、ジョブを実行する(S19)。
【0131】
1.8 通信システム1における動作
通信システム1における動作について、図8に示すシーケンス図を用いて、説明する。
【0132】
操作パネル310は、画像形成装置に対するジョブ実行の音声指示の開始を示すアイコンに対する接触操作を受け付ける(ステップS101)。次に、主制御部301は、マイクロホン308から、利用者の音声の入力を受け付ける(ステップS102)。音声処理部306は、生成した音声データを、音声データ318として、音声記憶部317に書き込む(録音する)(ステップS103)。次に、第二無線通信部315は、各画像形成装置に対して、識別情報を要求するクエリーを送信(放送)する(ステップS104)。次に、読出部122は、画像形成装置10aを識別する識別情報を読み出し(ステップS105)、無線通信部111は、識別情報を送信する(ステップS106)。
【0133】
次に、第二無線通信部315は、受信電界強度の最も強い電波を判断し、最も強い電波から識別情報を受信する(ステップS107)。次に、第一無線通信部316は、音声データ及び識別情報を、携帯電話網3及びネットワーク2を介して、音声認識サーバー400に対して、送信する(ステップS108)。音声認識処理部413は、受信した音声データに対して、音声認識処理を施して、指示を生成し(ステップS109)、統括制御部411は、識別情報と指示を紐づける(ステップS110)。次に、送受信部412は、識別情報及び指示をMFP管理サーバー500に対して、送信する(ステップS111)。識別情報及び指示を受信すると、変換部513は、受信した指示をMPFコマンドに変換し(ステップS112)、統括制御部511は、識別情報により識別される画像形成装置の、ネットワーク2上におけるアドレス情報を取得し(ステップS113)、取得したアドレス情報により示される画像形成装置に対して、MFPコマンドを送信する(ステップS114)。画像形成装置は、受信したMFPコマンドに従って、ジョブを実行する(ステップS115)。
【0134】
上記の通り、本実施の形態においては、利用者が音声による指示(命令)を行う都度、識別情報を更新したうえで、音声認識サーバー400に音声データ及び識別情報を送信する。
【0135】
1.9 まとめ
以上説明したように、利用者の音声により、携帯端末300から画像形成装置に対して、ジョブ実行を指示する場合、携帯端末300は、画像形成装置から識別情報を受信し、入力された音声データ及び受信した識別情報を、音声認識サーバー400に対して、送信する。音声認識サーバー400は、音声データに対して、音声認識処理を施して、指示を生成し、受信した識別情報及び生成した指示をMFP管理サーバー500に対して、送信する。MFP管理サーバー500は、受信した指示からMFPコマンドを生成する。また、MFP管理サーバー500は、受信した識別情報から、画像形成装置が配置されているアドレス情報を取得し、取得したアドレス情報によりその位置が示される画像形成装置に対して、MFPコマンドを送信する。画像形成装置10aは、受信したMFPコマンドに従って、ジョブを実行する。
【0136】
上記の態様によると、携帯端末からサーバー装置に対して、前記指示と前記識別情報が送信され、サーバー装置において、前記識別情報により示される画像処理装置のネットワーク上の位置が取得され、その位置に存在する画像形成装置に対して、前記指示から生成された命令が送信されるので、先行技術のようにサーバー装置からアドレス情報の受信を待つ必要がなく、簡単に携帯端末と画像処理装置とを対応付けることができるという優れた効果を奏する。
【0137】
2 変形例
本開示について、上記の実施の形態に基づいて説明しているが、実施の形態に限定されない。以下に示すようにしてもよい。
【0138】
(1)
(a)画像形成装置10aは、無線通信部111に代えて、無線送信部を備える、としてもよい。無線送信部は、特定の周波数帯域において、画像形成装置10aを識別する識別情報を繰り返し、例えば、1秒間に1回、送信する。無線送信部が出力する電波は、例えば、無線送信部から10mの範囲内に到達する。
【0139】
携帯端末300は、第二無線通信部315に代えて、無線受信部を備える、としてもよい。無線受信部は、上記の特定の周波数帯域の電波を受信する。画像形成装置10aの無線送信部から出力される電波の到達する範囲内に、携帯端末300が存する場合、無線受信部は、画像形成装置10aの無線送信部から出力される電波を受信し、受信した電波から、識別情報を抽出してもよい。
【0140】
このように、画像形成装置10aと携帯端末300との間においては、双方向の通信を行わない。このため、画像形成装置10aと携帯端末300との間においては、通信を確立する必要がなく、データの送受信の手順を簡素化できる。
【0141】
(b)(a)の場合において、実施の形態に示すように、通信システム1が複数の画像形成装置を含むとき、上記の特定の周波数帯域内において、それぞれの画像形成装置の無線送信部に対して、異なる周波数(チャネル)が割り当てられている、としてもよい。
【0142】
携帯端末300が、複数の画像形成装置から出力される電波の到達範囲内に存するとき、携帯端末300の無線受信部は、上記の特定の周波数帯域内において、それぞれの周波数における電界強度を測定し、最大の電界強度の周波数を選択し、選択した周波数の電波から、識別情報を抽出してもよい。
【0143】
電界強度が最大の電波を選択し、その電波から識別情報を抽出するので、抽出された識別情報により示される画像形成装置は、携帯端末300に最も近い位置に存在していると考えられる。このため、利用者は、携帯端末300の最寄りの画像形成装置にジョブ実行を依頼できる。
【0144】
(2)上記の実施の形態において説明したように、携帯端末は、繰り返し、利用者から指示を受け付け、指示を受け付ける都度、画像形成装置から、直接、識別情報を受信し、受け付けた指示及び受信した識別情報を、ネットワークを介して、音声認識サーバーに対して、送信する。
【0145】
(a)この場合、携帯端末が利用者から受け付けた一つの指示は、一つのジョブを構成していると、してもよい。例えば、その指示がコピージョブである場合、指示は、コピーを示す命令、コピー部数の設定及び両面印刷の設定を含むとしてもよい。
【0146】
(b)また、携帯端末が利用者から受け付けた複数の指示が、一つのジョブを構成していると、してもよい。これらの複数の指示のそれぞれについて、携帯端末は、同じ画像形成装置から、同一の識別情報を受信してもよい。例えば、そのジョブがコピージョブである場合、第一の指示は、コピーを示す命令であり、第二の指示は、コピー部数の設定であり、第三の指示は、両面印刷の設定である、としてもよい。MPF管理サーバーは、第一、第二及び第三の指示を受信し、受信した第一、第二及び第三の指示から、一つのジョブの実行を指示する一つのコマンドを生成してもよい。MPF管理サーバーは、生成した一つのコマンドを画像形成装置に対して、送信する。
【0147】
(c)また、携帯端末が利用者から受け付けた複数の指示が、複数のジョブを構成していると、してもよい。例えば、第一のジョブは、画像形成装置10aにおいて実行すべきコピージョブであり、第二のジョブは、画像形成装置10bにおいて実行すべきスキャンジョブであり、第三のジョブは、画像形成装置10cにおいて実行すべきプリントジョブである、としてもよい。
【0148】
これらの複数の指示のそれぞれについて、携帯端末は、複数の画像形成装置から、それぞれの識別情報を受信してもよい。
【0149】
携帯端末は、例えば、図9(a)に示すように、識別情報及び指示のセットを複数受け取ると、してもよい。
【0150】
セット601、セット602、セット603、セット604、セット605、セット606は、それぞれ、「識別情報:S/N:5301」及び「指示:コピー」、「識別情報:S/N:5302」及び「指示:スキャン」、「識別情報:S/N:5303」及び「指示:プリント」、「識別情報:S/N:5301」及び「指示:部数=3」、「識別情報:S/N:5302」及び「指示:保存先=Box1」、「識別情報:S/N:5303」及び「指示:用紙サイズ=A4」である。
【0151】
各セットの指示は、その識別情報により示される画像形成装置に送信される。例えば、セット601、604の指示は、それぞれ、画像形成装置10aに送信され、セット602、605の指示は、それぞれ、画像形成装置10bに送信され、セット603、606の指示は、それぞれ、画像形成装置10cに送信される。
【0152】
セット601、604の指示は、一つのコピージョブを構成し、セット602、605の指示は、一つのスキャンジョブを構成し、セット603、606の指示は、一つのプリントジョブを構成する。
【0153】
従って、画像形成装置10a、画像形成装置10b及び画像形成装置10cにおいて、それぞれ、コピージョブ、スキャンジョブ及びプリントジョブが実行される。
【0154】
(3)利用者が音声による指示を開始したら、識別情報の更新を一旦停止する。これにより、指示を送信する画像形成装置を固定してもよい。現在の操作に該当する1つのジョブへの指示が完了した後に、識別情報の更新を再開し、指示を送信する画像形成装置の固定を解除してもよい。
【0155】
つまり、携帯端末は、繰り返し、利用者から指示を受け付ける。複数の指示を受け付ける都度、携帯端末は、画像処理装置から、直接、識別情報を受信し、受け付けた前記複数の指示及び受信した一つの識別情報を、ネットワークを介して、音声認識サーバーに対して、送信してもよい。
【0156】
携帯端末は、例えば、図9(b)に示すように、一つの識別情報及び複数の指示のセットを受け取る、としてもよい。
【0157】
セット610は、「識別情報:S/N:5301」611、「指示:コピー」612、「指示:部数=3」613、「指示:用紙サイズ=A4」614からなる。
【0158】
セット610の各指示は、識別情報により示される画像形成装置に送信される。例えば、セット610の指示は、画像形成装置10aに送信される。
【0159】
セット610の指示は、一つのコピージョブを構成する。
【0160】
従って、画像形成装置10aにおいて、コピージョブが実行される。
【0161】
(4)画像処理装置10aの無線通信部111と、携帯端末300の第二無線通信部315とは、無線による双方向の通信を確立済みであるとしてもよい。無線通信部111は、確立した通信により、識別情報を送信し、第二無線通信部315は、確立した通信により、識別情報を受信してもよい。
【0162】
画像処理装置10aの無線通信部111と、携帯端末300の第二無線通信部315との間で双方向の通信が確立した後に、次に示すようにしてもよい。
【0163】
(a)音声入力により、プリントジョブを実行する場合、図10に示すようにしてもよい。図10は、図8に示すフローチャートのうち、ステップS114以降について、示している。
【0164】
ここで、携帯端末300の記憶部302には、プリントデータが記憶されている、とする。
【0165】
MFP管理サーバー500の統括制御部511は、アドレス情報によりその位置が示される画像形成装置に対して、MFPコマンドを送信する(ステップS114)。次に、画像形成装置10aの統括制御部121は、無線通信部111を介して、携帯端末300に対して、プリントデータを要求する(ステップS201)。携帯端末300の主制御部301は、記憶部302からプリントデータを読み出し(ステップS202)、読み出したプリントデータを、第二無線通信部315を介して、送信する。画像形成装置10aは、無線通信部111により、プリントデータを受信する(ステップS203)。画像形成装置10aは、受信したMFPコマンドに従って、受信したプリントデータを印刷するプリントジョブを実行する(ステップS115)。
【0166】
上記の態様によると、携帯端末300に記憶されているプリントデータを画像形成装置10aにより、印刷することができる。また、無線通信により、プリントデータを携帯端末300から画像形成装置10aに対して、送信するので、携帯端末300から、携帯電話網3及びネットワーク2を介して、プリントデータを画像形成装置10aに対して送信する場合よりも、送信時間を短縮することができる。
【0167】
(b)音声入力により、スキャンジョブを実行する場合、図11に示すようにしてもよい。図11は、図8に示すフローチャートのうち、ステップS114以降について、示している。
【0168】
MFP管理サーバー500の統括制御部511は、アドレス情報によりその位置が示される画像形成装置に対して、MFPコマンドを送信する(ステップS114)。次に、画像形成装置10aの統括制御部121は、受信したMFPコマンドに従って、スキャンジョブを実行させる。これにより、スキャンデータが生成される(ステップS115)。次に、統括制御部121は、無線通信部111を介して、スキャンデータを、携帯端末300に対して送信する(ステップS211)。携帯端末300の主制御部301は、第二無線通信部315を介して、受信したスキャンデータを記憶部302の書き込む(ステップS212)。
【0169】
上記の態様によると、スキャンデータを携帯端末300に記憶することができる。また、無線通信により、スキャンデータを画像形成装置10aから携帯端末300に対して、送信するので、画像形成装置10aからから、ネットワーク2及び携帯電話網3を介して、プリントデータを携帯端末300に対して送信する場合よりも、送信時間を短縮することができる。
【0170】
(5)実施の形態においては、携帯端末300は、画像形成装置10aから受信した識別情報を、音声認識サーバー400に対して、送信している。
【0171】
しかし、本開示は、この態様には、限定されない。
【0172】
携帯端末300は、テキストデータから、音声合成により、音声データを生成する音声合成部を備える、としてもよい。
【0173】
携帯端末300は、画像形成装置10aから、テキストデータとしての識別情報を受信すると、音声合成部により、受信した識別情報から、音声合成により、音声データとして、音声識別情報を生成する。主制御部301は、生成された音声データ(音声識別情報)を、第一無線通信部316を介して、音声認識サーバー400に対して、送信してもよい。
【0174】
音声認識サーバー400は、識別情報を表した音声データ(音声識別情報)を受信し、受信した音声データに、音声認識処理を施して、識別情報を生成する。
【0175】
この態様によると、音声認識サーバー400は、識別情報を受信する仕組みが不要となる。
【0176】
この変形例の通信システム1の動作を、図12に示すシーケンス図を用いて、説明する。
【0177】
操作パネル310は、画像形成装置に対するジョブ実行の音声指示の開始を示すアイコンに対する接触操作を受け付ける(ステップS101)。次に、主制御部301は、マイクロホン308から、利用者の音声の入力を受け付ける(ステップS102)。音声処理部306は、生成した音声データを、音声データ318(001.raw)として、音声記憶部317に書き込む(録音する)(ステップS103)。次に、第二無線通信部315は、各画像形成装置に対して、識別情報を要求するクエリーを送信(放送)する(ステップS104)。次に、読出部122は、画像形成装置10aを識別する識別情報を読み出し(ステップS105)、無線通信部111は、識別情報を送信する(ステップS106)。
【0178】
次に、第二無線通信部315は、受信電界強度の最も強い電波を判断し、最も強い電波から識別情報を受信する(ステップS107)。
【0179】
次に、音声合成部は、受信した識別情報を音声合成して音声識別情報(002.raw)を生成する(ステップS201)。次に、主制御部301は、音声データ(001.raw)と、音声識別情報(002.raw)とを結合して、音声データ(003.raw)を生成する(ステップS202)。
【0180】
次に、第一無線通信部316は、音声データ(003.raw)を、携帯電話網3及びネットワーク2を介して、音声認識サーバー400に対して、送信する(ステップS108a)。音声認識処理部413は、受信した音声データ(003.raw)に対して、音声認識処理を施して、テキストを生成し(ステップS109a)、統括制御部411は、テキストから、指示と識別情報とを分離する(ステップS203)。統括制御部411は、識別情報と指示を紐づける(ステップS110)。次に、送受信部412は、識別情報及び指示をMFP管理サーバー500に対して、送信する(ステップS111)。識別情報及び指示を受信すると、変換部513は、受信した指示をMPFコマンドに変換し(ステップS112)、統括制御部511は、識別情報により識別される画像形成装置の、ネットワーク2上におけるアドレス情報を取得し(ステップS113)、取得したアドレス情報により示される画像形成装置に対して、MFPコマンドを送信する(ステップS114)。画像形成装置は、受信したMFPコマンドに従って、ジョブを実行する(ステップS115)。
【0181】
(利用者の声紋の合成)
音声合成部は、識別情報に対して、音声合成を施して、利用者の声紋を含む音声識別情報を生成してもよい。
【0182】
この場合、音声認識サーバー400の記憶回路402は、さらに、利用者の声紋を記憶している。また、音声認識サーバー400は、さらに、受信した音声識別情報から声紋を抽出し、記憶されている声紋と抽出した声紋とを比較して、一致する場合に、音声認識処理部413に音声認識処理をさせ、一致しない場合に、受信した音声指示及び音声識別情報を破棄する制御部を備える。
【0183】
また、音声認識サーバー400は、さらに、受信した音声指示から声紋を抽出し、記憶されている声紋と抽出した声紋とを比較して、一致する場合に、音声認識処理部413に音声認識処理をさせ、一致しない場合に、受信した音声指示及び音声識別情報を破棄する制御部を備えてもよい。
【0184】
このように構成することにより、音声指示を送信した携帯端末300の操作者が本人であるか否かを確認することができる。
【0185】
3 その他の変形例
本開示について、上記の実施の形態及び変形例等に基づいて説明しているが、上記の実施の形態及び変形例等に限定されない。以下に示すようにしてもよい。
【0186】
(1)実施の形態においては、音声認識サーバー400とMFP管理サーバー500とは、別々のサーバー装置としている。
【0187】
しかし、本開示は、この態様には、限定されない。
【0188】
音声認識サーバー400とMFP管理サーバー500とは、一体のサーバー装置から構成してもよい。
【0189】
(2)実施の形態においては、携帯端末300は、利用者から音声による入力を受け付け、音声データを音声認識サーバー400に送信している。音声認識サーバー400は、受信した音声データに音声認識処理を施して、指示の内容を取得している。
【0190】
しかし、これには限定されない。
【0191】
携帯端末300は、文書を作成、編集、保存、印刷するアプリケーションプログラムを記憶してもよい。
【0192】
文書を印刷する場合、アプリケーションプログラムの印刷設定画面に対する利用者操作により、MFP管理サーバー400を介して、画像形成装置に、文書を送信して印刷させる。
【0193】
この場合、携帯端末300は、上記の実施の形態と同様に、画像形成装置から識別情報を取得し、取得した識別情報を、印刷指示及び文書とともに、MFP管理サーバー400に対して送信する。
【0194】
MFP管理サーバー400は、携帯端末300から、識別情報、印刷指示及び文書を受信する。MFP管理サーバー400は、印刷指示を画像形成装置におけるMFPコマンドに変換する。また、MFP管理サーバー400は、識別情報により、画像形成装置のネットワーク上の位置を取得する。MFP管理サーバー400は、取得したその位置に対して、文書を送信する。
【0195】
画像形成装置は、文書を受信し、受信した文書を印刷する。
【0196】
携帯端末300が、利用者から音声による入力を受け付ける場合に限らず、上記の場合においても、簡単な操作により、携帯端末と画像形成装置とを対応付けることができる。
【0197】
(3)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0198】
本開示に係るサーバー装置は、先行技術のようにサーバー装置からアドレス情報の受信を待つ必要がなく、簡単に携帯端末と画像処理装置とを対応付けることができるという優れた効果を奏し、携帯端末により利用者から受け付けた操作に基づいて、画像処理装置において画像処理のパラメーターを設定し、画像処理を実行する技術として有用である。
【符号の説明】
【0199】
1 通信システム
2 ネットワーク
3 携帯電話網
10a~10c 画像形成装置
11 イメージリーダー
12 プリンター
13 給紙部
100 制御回路
101 CPU
101a 主制御部
102 ROM
103 RAM
104 画像メモリ
105 画像処理回路
106 ネットワーク通信回路
107 スキャナー制御回路
108 入出力回路
109 プリンター制御回路
110 記憶回路
111 無線通信部
112 アンテナ
113 無線通信回路
114 無線通信制御部
121 統括制御部
122 読出部
123 実行制御部
300 携帯端末
301 主制御部
302 記憶部
303 第一通信回路
304 アンテナ
305 第一通信制御部
306 音声処理部
307 スピーカー
308 マイクロホン
309 入出力制御部
310 操作パネル
310a タッチパネル
310b ボタン入力部
312 アンテナ
313 第二通信回路
314 第二通信制御部
315 第二無線通信部
316 第一無線通信部
317 音声記憶部
400 音声認識サーバー
401 主制御部
402 記憶回路
403 ネットワーク通信回路
411 統括制御部
412 送受信部
413 音声認識処理部
500 MFP管理サーバー
501 主制御部
502 記憶回路
503 ネットワーク通信回路
511 統括制御部
512 送受信部
513 変換部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12