(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】蓄電デバイスモジュールおよび蓄電デバイスモジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 2/02 20060101AFI20240423BHJP
H01M 50/20 20210101ALI20240423BHJP
H01G 4/38 20060101ALI20240423BHJP
H01G 11/10 20130101ALI20240423BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20240423BHJP
H01G 11/84 20130101ALI20240423BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
H01G2/02 101E
H01M50/20
H01G4/38 A
H01G11/10
H01G11/78
H01G11/84
H01G4/228 E
(21)【出願番号】P 2020026065
(22)【出願日】2020-02-19
【審査請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000228578
【氏名又は名称】日本ケミコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】三浦 正樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 早稀
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-029960(JP,A)
【文献】特開2000-286150(JP,A)
【文献】特開2002-136154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 2/02
H01M 50/20
H01M 50/50
H01M 50/543
H01G 4/38
H01G 11/10
H01G 11/78
H01G 11/84
H01G 4/228
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダー本体と、このホルダー本体に設置される蓄電デバイスとを備える蓄電デバイスモジュールであって、
第1のバスバーを載置可能な第1の段部からなる第1の載置部と、前記第1のバスバーと形状が異なる第2のバスバーを載置可能な第2の段部からなる第2の載置部とを前記ホルダー本体に備え、
前記第2の段部は前記第1の段部と高さが異な
り、
前記第1のバスバーが載置された時に該第1のバスバーが占有する領域と、前記第2のバスバーが載置された時に該第2のバスバーが占有する領域とは、たがいに対向するように配置されることを特徴とする蓄電デバイスモジュール。
【請求項2】
前記蓄電デバイスは、ねじ部と側面部と端子端面とを有する電極端子を備え、
前記電極端子は、前記ホルダー本体を貫通して、前記ねじ部、前記側面部および前記端子端面が前記ホルダー本体から突出されており、
前記第2の段部は、前記端子端面と同じまたはほぼ同じ高さであることを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイスモジュール。
【請求項3】
ホルダー本体と、このホルダー本体に設置される蓄電デバイスとを備える蓄電デバイスモジュールであって、
第1のバスバーを載置可能な第1の段部からなる第1の載置部と、前記第1のバスバーと形状が異なる第2のバスバーを載置可能な第2の段部からなる第2の載置部とを前記ホルダー本体に備え、
前記蓄電デバイスは、ねじ部と側面部と端子端面とを有する電極端子を備え、
前記電極端子は、前記ホルダー本体を貫通して、前記ねじ部、前記側面部および前記端子端面が前記ホルダー本体から突出されており、
前記第2の段部は、前記第1の段部と高さが異なり、前記端子端面と同じまたはほぼ同じ高さであり、
前記蓄電デバイスモジュールは、さらに、前記第1の載置部に載置された前記第1のバスバーを備え、
前記第1のバスバーは、前記電極端子に対応する位置に接続孔を有し、前記接続孔の径は前記側面部の外径よりも大きく、
前記第1のバスバーの表面が前記端子端面と一致またはほぼ一致していることを特徴とする蓄電デバイスモジュール。
【請求項4】
前記第2の段部は、前記第1の載置部に載置される前記第1のバスバーの載置領域であって上面視で画定される前記第1のバスバーの載置領域の外側に隣接する位置に配置されていることを特徴とする請求項1
ないし請求項3のいずれか一項に記載の蓄電デバイスモジュール。
【請求項5】
さらに、前記第2の段部よりも高い第3の段部を前記ホルダー本体に備え、
前記第3の段部は、前記第2の載置部に載置される前記第2のバスバーの載置領域であって上面視で画定される前記第2のバスバーの載置領域の外側に隣接する位置に配置されていることを特徴とする請求項1
ないし請求項4のいずれか一項に記載の蓄電デバイスモジュール。
【請求項6】
さらに、前記第2の載置部に載置された前記第2のバスバーを備え、
前記第2のバスバーは、前記電極端子に対応する位置に接続孔を有し、前記接続孔の径は前記ねじ部の径よりも大きく、
前記接続孔と前記ねじ部とが同軸上に配置されていることを特徴とする請求項
2に記載の蓄電デバイスモジュール。
【請求項7】
ホルダー本体と、前記ホルダー本体に設置され、形状が異なる複数のバスバーのうちの任意のバスバーを載置可能な複数の載置部とを作製する工程
、前記複数の載置部は、前記任意のバスバーとして第1のバスバーを載置可能な第1の段部からなる第1の載置部と、前記任意のバスバーとして第2のバスバーを載置可能な第2の段部からなる第2の載置部とを含み、前記第2の段部は前記第1の段部と高さが異なる
、と、
前記ホルダー本体に、電極端子を有する蓄電デバイスを設置する工程と、
前記ホルダー本体に備えた前記第1の載置部または前記第2の載置部に、前記第1のバスバーまたは前記第2のバスバーを載置する工程と、
前記第1のバスバーまたは前記第2のバスバーを載置した後に、前記電極端子と前記第1のバスバーまたは前記第2のバスバーとを接続する工程と、
を含むことを特徴とする蓄電デバイスモジュールの製造方法。
【請求項8】
前記電極端子と前記第1のバスバーまたは前記第2のバスバーとを接続する工程において、前記第1のバスバーと前記電極端子とが溶接され、または前記第2のバスバーと前記電極端子とがねじ止めされることを特徴とする請求項
7に記載の蓄電デバイスモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、蓄電デバイスモジュールおよび蓄電デバイスモジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電デバイスモジュールは、複数の蓄電デバイスを保持するためにホルダーを有している。ホルダーは、複数の蓄電デバイスの電極端子をホルダーの外側表面に露出させる。複数の蓄電デバイスの電極端子は、ホルダーの外側表面側でバスバーに接続され、これによりたとえば隣り合う蓄電デバイスがバスバーを介して電気的に接続される。このような蓄電デバイスモジュールに関し、バスバーは、たとえば溶接により電極端子に接続され、またはナットを介して電極端子に接続されることが知られている(たとえば、特許文献1)。溶接により接続される電極端子(以下、「溶接用端子」という)とナットを介して接続される電極端子(以下、「ねじ止め用端子」という)はたがいに異なる形状を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、蓄電デバイスの電気特性を安定させるため、電極端子は、たとえば蓄電デバイスの蓄電素子に十分に固定される。また、電極端子は、たとえば蓄電デバイスの封口部材に設置されており、蓄電デバイスの密封性に関わる重要な部材である。蓄電デバイスの電気特性および密封性を維持しつつ蓄電デバイスの完成後に電極端子を交換するのは容易でない。また、完成後に電極端子が交換された蓄電デバイスの性能保証は容易でない。そのため、たとえば蓄電デバイスモジュール用の蓄電デバイスの製造に際し、溶接、ねじ止め固定などのバスバーの接続手段を確認するとともに、接続手段に合った電極端子であるか否かを確認しなければならないという課題がある。もしくは、たとえば溶接用の蓄電デバイスとねじ止め用の蓄電デバイスの両方を製造するとともに在庫しておき、蓄電デバイスモジュールの製造に際し、接続手段を確認するとともに、接続手段に合った蓄電デバイスを選択しなければならないという課題がある。いずれにしても、蓄電デバイスの製造が煩雑になるという課題がある。
【0005】
斯かる課題の開示や示唆はなく、特許文献1に開示された構成では斯かる課題を解決することができない。
【0006】
そこで、本開示は、たとえば蓄電デバイスの製造の煩雑さを解消することを目的とする。
【0007】
また、本開示は、たとえば蓄電デバイスモジュールの製造の煩雑さを軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本開示の第1の側面によれば、蓄電デバイスモジュールは、ホルダー本体と、このホルダー本体に設置される蓄電デバイスとを含む。第1のバスバーを載置可能な第1の段部からなる第1の載置部と、前記第1のバスバーと形状が異なる第2のバスバーを載置可能な第2の段部からなる第2の載置部とが前記ホルダー本体に備えられ、前記第2の段部は前記第1の段部と高さが異なり、前記第1のバスバーが載置された時に該第1のバスバーが占有する領域と、前記第2のバスバーが載置された時に該第2のバスバーが占有する領域とは、たがいに対向するように配置される。前記蓄電デバイスは、ねじ部と側面部と端子端面とを有する電極端子を含んでもよい。前記電極端子は、前記ホルダー本体を貫通してもよく、前記ねじ部、前記側面部および前記端子端面が前記ホルダー本体から突出されてもよい。前記第2の段部は、前記端子端面と同じまたはほぼ同じ高さであってもよい。
上記目的を達成するため、本開示の第2の側面によれば、蓄電デバイスモジュールは、ホルダー本体と、このホルダー本体に設置される蓄電デバイスとを含む。第1のバスバーを載置可能な第1の段部からなる第1の載置部と、前記第1のバスバーと形状が異なる第2のバスバーを載置可能な第2の段部からなる第2の載置部とが前記ホルダー本体に備えられ、前記蓄電デバイスは、ねじ部と側面部と端子端面とを有する電極端子を含む。前記電極端子は、前記ホルダー本体を貫通して、前記ねじ部、前記側面部および前記端子端面が前記ホルダー本体から突出される。前記第2の段部は、前記第1の段部と高さが異なり、前記端子端面と同じまたはほぼ同じ高さである。前記蓄電デバイスモジュールは、さらに、前記第1の載置部に載置された前記第1のバスバーを含む。前記第1のバスバーは、前記電極端子に対応する位置に接続孔を有し、前記接続孔の径は前記側面部の外径よりも大きい。前記第1のバスバーの表面が前記端子端面と一致またはほぼ一致している。
【0009】
上記蓄電デバイスモジュールにおいて、前記第2の段部は、前記第1の載置部に載置される前記第1のバスバーの載置領域であって上面視で画定される前記第1のバスバーの載置領域の外側に隣接する位置に配置されてもよい。
【0010】
上記蓄電デバイスモジュールにおいてさらに、前記第2の段部よりも高い第3の段部が前記ホルダー本体に備えられてもよい。前記第3の段部は、前記第2の載置部に載置される前記第2のバスバーの載置領域であって上面視で画定される前記第2のバスバーの載置領域の外側に隣接する位置に配置されてもよい。
【0014】
上記蓄電デバイスモジュールはさらに、前記第2の載置部に載置された前記第2のバスバーを含んでいてもよい。前記第2のバスバーは、前記電極端子に対応する位置に接続孔を有していてもよく、前記接続孔の径は前記ねじ部の径よりも大きくてもよい。前記接続孔と前記ねじ部とが同軸上に配置されていてもよい。
【0015】
上記目的を達成するため、本開示の第3の側面によれば、蓄電デバイスモジュールの製造方法は、ホルダー本体と、前記ホルダー本体に設置され、形状が異なる複数のバスバーのうちの任意のバスバーを載置可能な複数の載置部とを作製する工程、前記複数の載置部は、前記任意のバスバーとして第1のバスバーを載置可能な第1の段部からなる第1の載置部と、前記任意のバスバーとして第2のバスバーを載置可能な第2の段部からなる第2の載置部とを含み、前記第2の段部は前記第1の段部と高さが異なる、と、前記ホルダー本体に、電極端子を有する蓄電デバイスを設置する工程と、前記ホルダー本体に備えた前記第1の載置部または前記第2の載置部に、前記第1のバスバーまたは前記第2のバスバーを載置する工程と、前記第1のバスバーまたは前記第2のバスバーを載置した後に、前記電極端子と前記第1のバスバーまたは前記第2のバスバーとを接続する工程と、を含む。
【0017】
前記電極端子と前記第1のバスバーまたは前記第2のバスバーとを接続する工程において、前記第1のバスバーと前記電極端子とが溶接されてもよく、または前記第2のバスバーと前記電極端子とがねじ止めされてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本開示の技術によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0019】
(1) 高さが異なる第1の段部および第2の段部を有するので、形状が異なる複数のバスバーのうちの任意のバスバーをホルダーのバスバー載置部に載置することができる。第1の段部と第2の段部の高さが異なるので、載置されるバスバーに応じて、バスバーの載置の高さを異ならせることができる。そのため、載置されたバスバーに適合した接続手段で、バスバーを蓄電デバイスの電極端子に接続することができる。
【0020】
(2) 蓄電デバイスまたは蓄電デバイスの電極端子を変更することなく、複数のバスバーのうちの任意のバスバーを電極端子に接続することができる。そのため、接続されるバスバーに応じて蓄電デバイスまたは電極端子を選択する必要がない。蓄電デバイスの製造の煩雑さを抑制でき、蓄電デバイスの製造負荷を抑制できる。
【0021】
(3) 接続されるバスバーに応じて蓄電デバイスまたは電極端子を選択する必要がない。そのため、蓄電デバイスモジュールの製造の煩雑さを抑制することができ、蓄電デバイスモジュールの製造負荷を抑制できる。
【0022】
(4) バスバーの載置の高さの違いにより、いずれのバスバーが載置されているのかが平面観察で判別できる。そのため、バスバーと電極端子の接続工程における接続ミスを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施の形態に係る蓄電デバイスモジュールの一例を示す図である。
【
図2】蓄電デバイスモジュールの上部の拡大図である。
【
図3】一部の蓄電デバイスをホルダーから取り外した状態および取り外された蓄電デバイスの上部を示す図である。
【
図4】蓄電デバイスモジュールの上側面の部分拡大図である。
【
図5】第1のホルダー、電極端子およびバスバーの部分断面図である。
【
図6】バスバーを含む蓄電デバイスモジュールの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して実施の形態等を説明する。
実施の形態
【0025】
図1は、実施の形態に係る蓄電デバイスモジュールの一例を示している。
図2は、蓄電デバイスモジュールの上部の拡大図である。
図3は、一部の蓄電デバイスをホルダーから取り外した状態および取り外された蓄電デバイスの上部を示している。
図1、
図2および
図3に示す構成は一例であって、斯かる構成に本開示の技術が限定されるものではない。この実施の形態では、蓄電デバイスモジュールの電極端子側を上側と称し、反対側を下側と称する。
【0026】
蓄電デバイスモジュール2は、複数の蓄電デバイス4、第1のホルダー6(以下、「ホルダー6」という)、第2のホルダー8(以下、「ホルダー8」という)および二つのホルダー接続部材10を含む。
【0027】
蓄電デバイス4は、蓄電機能を有し、たとえば電解コンデンサまたは電気二重層コンデンサである。蓄電デバイス4は、外装ケース16、蓄電素子、電解液、封口部材18(
図3)および電極端子20-1、20-2などを含む。
【0028】
外装ケース16は、たとえば底を有する円筒状のケースであって、たとえばアルミニウムなどの金属を含んでいる。蓄電素子および電解液は、外装ケース16の内部に挿入されている。封口部材18は、外装ケース16の開口部に設置され、外装ケース16の内部を閉じている。封口部材18は、たとえば絶縁性樹脂を含む絶縁板である。
【0029】
電極端子20-1、20-2は、たとえば導電性を有する金属部材である。電極端子20-1、20-2は、たとえばインサート成形により封口部材18に一体に取り付けられている。電極端子20-1の素子側端部は、たとえば蓄電素子の陽極箔に接続され、電極端子20-2の素子側端部は、たとえば蓄電素子の陰極箔に接続されている。電極端子20-1、20-2の外側端部は封口部材18の外側表面から突出している。電極端子20-1、20-2の突出している外側端部は、それぞれ、ねじ部22、側面部24および端子端面26(
図3)を有する。ねじ部22はたとえば雌ねじである。電極端子20-1、20-2の外側端部は、たとえば円筒形状を有している。
【0030】
複数の電極端子20-1、20-2が直線上にたとえば交互に配列されるように、複数の蓄電デバイス4は配置されている。蓄電デバイス4の数は、たとえば三つである。蓄電デバイス4の数は、二つであってもよく、四つ以上であってもよい。
【0031】
ホルダー6は、たとえば熱可塑性樹脂を含む樹脂部材である。ホルダー6の下側表面、つまり蓄電デバイス4側表面には、複数の蓄電デバイス4が設置されている。ホルダー6は、板状のホルダー本体28、壁部30、複数の端子孔32およびバスバー載置部34を含む。
【0032】
壁部30は、ホルダー本体28の下側表面に形成されている。壁部30は、設置された複数の蓄電デバイス4の側面形状に対応する内面形状を有し、複数の蓄電デバイス4の上側の側面、つまり電極端子20-1、20-2側の側面を囲っている。そのため、ホルダー6に対する蓄電デバイス4の設置が安定し、たとえば蓄電デバイスモジュール2の耐振性が高められる。
【0033】
複数の端子孔32は、ホルダー本体28に形成された孔であって、配列された複数の電極端子20-1、20-2に対応する位置に形成されている。複数の蓄電デバイス4の設置状態において、電極端子20-1、20-2の外側端部が端子孔32を貫通して、外側端部の一部がホルダー6の上側表面、つまりバスバーが載置される側のバスバー載置面から突出している。このホルダー6のバスバー載置面はたとえばホルダー6の外側表面でもある。
【0034】
バスバー載置部34は、ホルダー本体28の上側表面、つまりバスバー載置面に設置されている。バスバー載置部34は、ホルダー6の長手方向に沿って配置され、かつ長手方向に直交する方向(以下、「幅方向」という)においてホルダー6の中央部分に配置されている。バスバー載置部34は、配列された複数の電極端子20-1、20-2に沿って配置されている。バスバー載置部34は、たとえば、複数の第1の段部36-1、36-2、36-3、36-4(以下、「段部36-1、36-2、36-3、36-4」という)からなる第1の載置部、および複数の第2の段部38-1、38-2、38-3(以下、「段部38-1、38-2、38-3」という)からなる第2の載置部を含んでいる。段部36-1、36-2、36-3、36-4および段部38-1、38-2、38-3は、ホルダー本体28のバスバー載置面に設置され、上部に平らな載置面を有している。段部36-1、36-2、36-3、36-4と段部38-1、38-2、38-3とは、ホルダー本体28のバスバー載置面に対してたがいに異なる高さを有している。そのため、バスバー載置部34は、形状が異なる複数のバスバーのうちの任意のバスバーを段部36-1、36-2、36-3、36-4(つまり第1の載置部)または段部38-1、38-2、38-3(つまり第2の載置部)のいずれかの載置部で載置する機能を有している。複数のバスバーは、たとえば第1のバスバー42(
図5のA、以下、「バスバー42」という)および第2のバスバー44(
図5のB、以下、「バスバー44」という)であり、任意のバスバーは、たとえばバスバー42またはバスバー44である。バスバー42は、たとえば溶接用バスバーであり、バスバー44は、たとえばねじ止め用バスバーである。
【0035】
ホルダー8は、たとえば熱可塑性樹脂を含む樹脂部材である。ホルダー8の上側面、つまり蓄電デバイス4側面には、複数の蓄電デバイス4が設置されている。ホルダー8は、上側面に壁部40を含む。壁部40は、設置された複数の蓄電デバイス4の下側、つまり蓄電デバイス4の非電極端子側の側面形状に対応する内面形状を有し、複数の蓄電デバイス4の下側の側面を囲っている。そのため、ホルダー8に対する蓄電デバイス4の設置が安定し、たとえば蓄電デバイスモジュール2の耐振性が高められる。
【0036】
ホルダー接続部材10は、たとえば熱可塑性樹脂を含む樹脂部材である。ホルダー接続部材10は、蓄電デバイス4の長手方向の長さとほぼ同じ長さを有している。ホルダー接続部材10の一端は、ホルダー6の端部に接続され、ねじ15などの固定部材によりホルダー6の端部に固定されている。ホルダー接続部材10の他端は、ホルダー8の端部に接続され、図示されていない固定部材によりホルダー8の端部に固定されている。ホルダー6、ホルダー8および二つのホルダー接続部材10は枠を形成し、この枠の形成により蓄電デバイスモジュール2の耐振性または強度が高められている。複数の蓄電デバイス4は、この枠の中に配置される。ホルダー接続部材10は、ホルダー6とホルダー8との間の間隔を一定に保ち、これにより複数の蓄電デバイス4がホルダー6またはホルダー8から外れることを防止する。
【0037】
蓄電デバイスモジュール2は、端末部材12-1、12-2を含んでいてもよい。端末部材12-1、12-2は、ホルダー6およびホルダー8と同様に、たとえば熱可塑性樹脂を含む樹脂部材である。端末部材12-1は、長手方向におけるホルダー6の端部に着脱可能に設置される。端末部材12-2は、長手方向におけるホルダー8の端部に着脱可能に設置される。なお、ホルダー6の両端部は、たとえば同じ形状を有し、互いに接続可能な形状を有している。また、ホルダー8の両端部は、たとえば同じ形状を有し、互いに接続可能な形状を有している。そのため、ホルダー6の各端部は他のホルダー6の端部に接続でき、ホルダー8の各端部は他のホルダー8の端部に接続できる。つまり、複数の蓄電デバイスモジュール2は長手方向に接続できる。長手方向に接続された蓄電デバイスモジュール2は、たとえば連結バスバーにより電気的に接続できる。
【0038】
ホルダー6およびホルダー8は、係合部13-1、13-2を含んでいてもよい。係合部13-1、13-2は、ホルダー6、8の幅方向において、ホルダー6およびホルダー8の側面に設置されている。係合部13-1、13-2の係合により、複数のホルダー6は幅方向に接続でき、複数のホルダー8は幅方向に接続できる。つまり、複数の蓄電デバイスモジュール2は幅方向に接続できる。幅方向に接続された蓄電デバイスモジュール2は、ホルダー6上の接続通路14に配置される連結バスバーにより電気的に接続できる。
【0039】
蓄電デバイスモジュール2は、蓄電デバイス4の下側に緩衝部材41(
図3)を含んでいてもよい。緩衝部材41は、弾力性を有し、蓄電デバイス4とホルダー8との間に配置されて、振動を吸収することができる。つまり、緩衝部材41は、蓄電デバイスモジュール2の耐振性を高めることができる。また、緩衝部材41は、接触している蓄電デバイス4を押し上げて蓄電デバイス4をホルダー6に押し付け、蓄電デバイス4の上下方向の移動を抑制することができる。
【0040】
蓄電デバイスモジュール2は、図示されていないバランス回路、温度検知回路、電圧検知回路などの付加回路を含んでいてもよい。付加回路は、たとえばバスバー載置部34の周辺領域に設置することができる。付加回路は、たとえば載置されているバスバー42またはバスバー44に接続される。たとえばバランス回路は、蓄電デバイス4の直列接続により生じる電圧の変動を抑制することができる。
【0041】
図4のAおよび
図4のBは、蓄電デバイスモジュールの上側面の部分拡大図である。
図4のAにおいて、一点鎖線で囲われた領域により第1のバスバー42の載置領域43が示されており、
図4のBにおいて、一点鎖線で囲われた領域により第2のバスバー44の載置領域45が示されている。各載置領域は、上面視において画定されるバスバーの載置領域であって、具体的にはホルダー6のバスバー載置面を投影面として平行投影により描かれた、各バスバー42、44の投影である。各載置領域は、各バスバー42、44の載置を想定してホルダー6のバスバー載置面上に設定された領域である。なお、バスバー44の大きさはバスバー42よりもわずかに大きく、そのためバスバー44の載置領域45は、バスバー42の載置領域43を包含している。
【0042】
バスバー42の載置領域43およびバスバー44の載置領域45は、短辺、長辺および二つの側辺を有する。短辺は、長辺に平行またはほぼ平行であって、長辺よりも短い。側辺は、長辺に接続されるとともに端子孔32に沿って湾曲している湾曲辺と、湾曲辺および短辺に接続する傾斜辺とを含んでいる。載置領域43、45の形状は、等脚台形、またはほぼ等脚台形(すなわち、各辺の端部が湾曲している等脚台形)である。載置領域43は、バスバー42の外形と一致し、載置領域45は、バスバー44の外形と一致する。
【0043】
段部36-1、36-2、36-3、36-4は、
図4のAに示すように、バスバー42の載置領域43内に配置されている。段部36-1、36-2、36-3、36-4は、ホルダー本体28のバスバー載置面の基準面Rs(
図5のA、
図5のB)に対して同じ高さH1(
図5のA)を有している。段部36-1は、載置領域43の長辺および端子孔32の近傍に配置されている。段部36-2は、バスバー42の湾曲辺および端子孔32の近傍に配置され、たとえば湾曲辺と端子孔32との間に配置されている。段部36-3は、載置領域43の傾斜辺の近傍に配置されている。段部36-4は、端子孔32の近傍に配置されている。段部36-1、36-2、36-3、36-4の数はそれぞれ、たとえば二つであり、段部36-1、36-2、36-3、36-4は、等脚台形またはほぼ等脚台形の載置領域43の対称軸に対して左右対称に配置されている。バスバー42の重心は、段部36-1、36-2、36-3により囲まれる領域内にある。そのため、段部36-1、36-2、36-3、36-4はバスバー42を安定的に支持することができる。また、段部36-1、36-2、36-4は、均等またはほぼ均等に端子孔32の周りに配置されている。そのため、段部36-1、36-2、36-4は、端子孔32の周りでバスバー42を安定的に支持することができる。なお、基準面Rsは、
図5のAに示すように、たとえば段部36-1、36-2、36-3、36-4周辺のホルダー本体28の表面に設定される。この基準面Rsは、段部36-1、36-2、36-3、36-4などの高さの比較のために任意の面に設定してもよい。
【0044】
段部38-1、38-2、38-3は、
図4のAに示すように、載置領域43に隣接し、かつ載置領域43を断続的に囲うように配置されている。また、段部38-1、38-2、38-3は、ホルダー本体28のバスバー載置面の基準面Rsに対して同じ高さH2(
図5のB)を有し、段部36-1、36-2、36-3、36-4よりも高い高さを有している。そのため、段部38-1、38-2、38-3は、段部36-1、36-2、36-3、36-4に載置されたバスバー42の水平方向の移動を規制することができる。また、バスバー42の水平方向の移動を規制する他の方法として、段部38-1、38-2、38-3以外の図示しない段部を備えてもよい。
【0045】
段部38-1、38-2、38-3は、
図4のBに示すように、バスバー44の載置領域45内に配置されている。段部38-1は、載置領域45の長辺の近傍に配置されている。段部38-2は、載置領域45の短辺および一方の側辺の近傍であって、この短辺および一方の側辺に沿って配置されている。段部38-3は、載置領域45の他方の側辺の近傍であって、この他方の側辺に沿って配置されている。段部38-3は、接続通路14を確保するため、段部38-2から離れている。バスバー44の重心は、段部38-1、38-2、38-3により囲まれる領域内にある。そのため、段部38-1、38-2、38-3はバスバー44を安定的に支持することができる。
【0046】
バスバー載置部34は、複数の第3の段部46-1、46-2(以下、「段部46-1、46-2」という)を含んでいる。段部46-1、46-2は、
図4のBに示すように、載置領域45に隣接し、かつ載置領域45を断続的に囲うように配置されている。段部46-1、46-2は、段部38-1、38-2、38-3よりも高い高さを有している。そのため、段部46-1、46-2は、段部38-1、38-2、38-3に載置されたバスバー44の水平方向の移動を規制することができる。
【0047】
段部46-1は、隣り合う載置領域45の間に配置され、この隣り合う載置領域45の二つの湾曲辺に沿った湾曲形状を有している。そのため、二つの段部46-1の間に配置されたバスバー44の湾曲辺が段部46-1により規制される。また、段部46-1は載置領域45の間に配置されているので、段部46-1は、異物の侵入などによる隣り合うバスバー間の短絡を防止できる。
【0048】
段部46-2は、載置領域45の短辺および傾斜辺の一部に沿った湾曲形状を有している。段部46-2は、段部46-1によるバスバー44の規制を補強する。
【0049】
図5のAは、バスバー42の載置状態の一例を示し、
図5のBは、バスバー44の載置状態の一例を示している。
図5のAおよび
図5のBは、第1のホルダー6、電極端子20-1、20-2およびバスバー42、44の部分断面図であって、段部36-2、38-2、38-3、46-1ならびに電極端子20-1、20-2を横切る縦断面を示している。
【0050】
図6のAは、溶接仕様の蓄電デバイスモジュールの一例を示し、
図6のBは、ねじ止め仕様の蓄電デバイスモジュールの一例を示している。溶接仕様の蓄電デバイスモジュール2は、バスバー42を含み、ねじ止め仕様の蓄電デバイスモジュール2は、バスバー44を含んでいる。
図6のAにおいて、溶接により形成される溶接痕が省略されている。
図6のBにおいて、いくつかのボルトが省略されている。
【0051】
バスバー42は、電極端子20-1、20-2に対応する位置に二つの接続孔48を有している。接続孔48の径は、電極端子20-1、20-2の側面部24の外径よりもわずかに大きい。そのため、バスバー42の載置状態において、電極端子20-1、20-2の一部が接続孔48の内部に配置され、端子端面26が露出している。バスバー42の外側表面が上下方向において端子端面26と一致またはほぼ一致するように、段部36-1、36-2、36-3、36-4の高さH1は調整されている。接続孔48の上側縁部が端子端面26を囲み、バスバー42を端子端面26に溶接するための良好な環境が形成されている。
【0052】
バスバー42の下側表面、つまりホルダー側表面は、段部36-1、36-2、36-3、36-4により基準面Rsから離されている。そのため、ホルダー6に対するバスバー42の接触面積は、段部36-1、36-2、36-3、36-4により低減され、バスバー42とホルダー本体28の間に隙間が形成されている。この隙間は、溶接時に高温状態になっているバスバー42の熱をホルダー本体28に伝わりにくくさせ、熱によるホルダー本体28の損傷を抑制することができる。
【0053】
バスバー44は、電極端子20-1、20-2に対応する位置に二つの接続孔50を有している。接続孔50の径は、電極端子20-1、20-2の側面部24の外径よりも小さく、ねじ部22の径よりもわずかに大きい。そのため、バスバー44の載置状態において、バスバー44の下側表面が電極端子20-1、20-2の端子端面26に載置される。バスバー44の下側表面が端子端面26に接触するように、段部38-1、38-2、38-3の高さH2は調整されている。つまり、段部38-1、38-2、38-3は、端子端面26と同じ高さを有する。接続孔50とねじ部22とは同軸上に配置されている。ボルト52(
図6)などの雄ねじがねじ部22に取り付けられると、接続孔50の縁部が雄ねじと端子端面26との間に挟まれて、電極端子20-1、20-2に固定される。つまり、ねじ止め固定のための良好な環境が形成される。
【0054】
バスバー42は、
図6のAに示すように、後退部54を有している。後退部54は、たとえばバスバー42の長辺に形成され、バスバー42の載置状態において段部38-1が後退部54の中に配置される。後退部54の位置が、等脚台形またはほぼ等脚台形のバスバー42において非対称であると、バスバー42の二つの主表面を外側表面または下側表面に区別することができる。下側表面が外側になるようにバスバー42が配置されると、段部38-1が後退部54の中に配置されず、バスバー42の表面に当たることになる。そのため表面の反転を認識することができる。
【0055】
バスバー42は、
図6のAに示すように、ねじ孔56を有していてもよく、バスバー44は、
図6のBに示すように、ねじ孔56を有していてもよい。ねじ孔56は、たとえばバスバー42、44と付加回路との接続に用いられる。ねじ孔56は、たとえばバスバー42、44の対称軸上に配置されている。バスバー42およびバスバー44の形状が等脚台形またはほぼ等脚台形であり中央部分の幅が広く、付加回路との接続が容易である。また、電流が流れる方向に対して垂直に交わるバスバーの断面が広く、バスバーの電気抵抗を抑制することができる。
【0056】
バスバー42は、
図5のAに示すように、バスバー42の外側表面が上下方向において端子端面26と一致またはほぼ一致するように配置される。これに対し、バスバー44は、
図5のBに示すように、バスバー44の下側表面が電極端子20-1、20-2の端子端面26に載置されるように配置される。つまり、バスバー42が載置された時にバスバー42が占有する領域(つまり、
図5のAにおいてバスバー42が図示されている場所)と、バスバー44が載置された時にバスバー44が占有する領域(つまり、
図5のBにおいてバスバー44が図示されている場所)とは、たがいに対向するように配置され、高さH1、H2方向において、バスバー42、44が占有する領域が異なっている。
【0057】
蓄電デバイスモジュール2が端末部材12-1を含む場合、ホルダー6の両端に配置されている電極端子20-1、20-2はそれぞれ、隣接する端末部材12-1に端末バスバー58または端末バスバー60で接続される。端末バスバー58は、バスバー42と同様にたとえば溶接用バスバーであり、端末バスバー60は、バスバー44と同様にたとえばねじ止め用バスバーである。
【0058】
端末バスバー58、60が載置される載置領域には、バスバー載置部34と類似のバスバー載置部が形成され、端末部材12-1側のバスバー載置部は、たとえば段部36-1、36-2、36-3、36-4と類似の第1の段部および段部38-1、38-2、38-3と類似の第2の段部を含んでいる。そのため、バスバー載置部は、端末バスバー58を第1の段部により載置することができ、端末バスバー60を第2の段部により載置することができる。
【0059】
蓄電デバイスモジュール2は、たとえば次のような製造手順により製造することができる。以下に示す製造手順は、蓄電デバイスモジュールの製造方法の一例であって、斯かる製造手順に本開示の技術が限定されるものではない。
【0060】
蓄電デバイス4、ホルダー6、8およびホルダー接続部材10を作製する。また、蓄電デバイスモジュール2の仕様に応じて、バスバー42を作製し、またはバスバー44およびボルト52を作製する。これらの部材は独自に作製してもよく、作製されたこれらの部材を外部から調達してもよい。
【0061】
蓄電デバイス4の作製では、外装ケース16、蓄電素子、電極端子20-1、20-2を作製する。また、作製された電極端子20-1、20-2が取り付けられている金型に樹脂を注入して、電極端子20-1、20-2が取り付けられた封口部材18を作製する。蓄電素子および電解液を外装ケース16の内部に挿入し、電極端子20-1、20-2を蓄電素子に接続し、封口部材18を外装ケース16の開口部に取り付けて、蓄電デバイス4が得られる。
【0062】
ホルダー6、8およびホルダー接続部材10は、たとえば樹脂成形または3Dプリンタにより作製される。バスバー42、44は、たとえば板金加工技術を用いて作製される。
【0063】
蓄電デバイス4およびホルダー接続部材10をホルダー6、8に取り付ける。ホルダー接続部材10をホルダー6、8に固定して、これらの部材を一体化させる。
【0064】
蓄電デバイスモジュール2の仕様に応じて、バスバー42またはバスバー44をホルダー6のバスバー載置部34に載置し、バスバー42またはバスバー44を電極端子20-1、20-2に接続する。バスバー42の接続では、バスバー42が段部36-1、36-2、36-3、36-4に載置され、たとえばバスバー42の接続孔48の上側縁部が端子端面26に溶接される。バスバー44の接続では、バスバー44が段部38-1、38-2、38-3に載置され、たとえばバスバー44の接続孔50の縁部をボルト52と端子端面26との間に挟み込む。
【0065】
実施の形態によれば、次のような作用または効果が得られる。
【0066】
(1) バスバー載置部34はバスバー42、44のうちの任意のバスバーを載置することができる。段部36-1、36-2、36-3、36-4と段部38-1、38-2、38-3の高さが異なるので、バスバー42とバスバー44の載置の高さを異ならせることができる。バスバー42が載置されると、バスバー42の外側表面の位置が電極端子20-1、20-2の端子端面26の位置と一致またはほぼ一致する。また、バスバー42の接続孔48の上側縁部が端子端面26を囲み、接続孔48の上側縁部を端子端面26に溶接するための良好な環境が形成される。バスバー44が載置されると、バスバー44の下側表面が端子端面26と接触する。バスバー44の接続孔50と電極端子20-1、20-2のねじ部22とが同軸上に配置され、ねじ止め固定のための良好な環境が形成される。
【0067】
(2) 蓄電デバイス4、または蓄電デバイス4の電極端子20-1、20-2を変更することなく、バスバー42、44のうちの任意のバスバーを電極端子20-1、20-2に接続することができる。そのため、接続される任意のバスバーに応じて蓄電デバイス4または電極端子20-1、20-2を選択する必要がない。蓄電デバイス4の製造の煩雑さを抑制でき、蓄電デバイスの製造負荷を抑制できる。
【0068】
(3) 接続される任意のバスバーに応じて蓄電デバイス4または電極端子20-1、20-2を選択する必要がない。そのため、蓄電デバイスモジュール2の製造の煩雑さを抑制することができ、蓄電デバイスモジュール2の製造負荷を抑制できる。
【0069】
(4) 溶接のためには、溶接設備が必要である。溶接設備費用は固定費であるので、溶接仕様の蓄電デバイスモジュール2は、少量生産に不向きであり、多量生産に有利である。溶接による接続は、ねじ止め固定よりも強固であるので、溶接仕様の蓄電デバイスモジュール2は、ねじ止め仕様の蓄電デバイスモジュール2よりも耐振性、接続部分の低電力損失において有利である。一方、ねじ止め仕様の蓄電デバイスモジュール2では、ボルト52の取り外しによりバスバー44を電極端子20-1、20-2から容易に取り外すことができる。バスバー接続前の蓄電デバイスモジュール2は、溶接またはねじ止め固定のいずれにも適用でき、少量生産から多量生産までの様々な生産に対応できる。
【0070】
(5) バスバー42、44のいずれのバスバーが載置されているのかが平面観察で判別できる。そのため、バスバーと電極端子20-1、20-2の接続工程における接続ミスを抑制することができる。
【0071】
実施の形態の特徴事項や変形例を以下に列挙する。
【0072】
(1) 上記実施の形態では、電極端子20-1、20-2に対するバスバー42、44の複数の接続手段として、溶接およびねじ止め固定が例示されている。しかしながら、接続手段は、単純接触、導電性樹脂による接続、はんだなどの導電性金属による接続、係合ピンと係合孔による係合接続などの他の接続手段であってもよい。
【0073】
(2) バスバー載置部34は、バスバー42およびバスバー44以外の他のバスバーを載置する機能を有していてもよい。たとえば、バスバー載置部34は、第1、第2、および第3の段部以外の他の段部を含み、この他の段部が他のバスバーを載置してもよい。他の段部の高さおよび配置位置は、バスバー42およびバスバー44の載置の妨げとならないように設定されればよく、他の段部の高さは、他のバスバーの接続手段に応じて設定されればよい。
【0074】
(3) 段部36-1、36-2、36-3、36-4は、バスバー42をたとえば安定的に載置できればよく、実施の形態において既述されている構成に限らない。段部38-1、38-2、38-3は、バスバー44をたとえば安定的に載置できればよく、実施の形態において既述されている構成に限らない。段部46-1、46-2は、バスバー44の移動を抑制できればよく、実施の形態において既述されている構成に限らない。段部36-1、36-4は細長い段部でもよく、段部36-2は段部38-3から離れていてもよく、段部36-2は独立した段部でもい。また、段部36-1、36-2、36-3、36-4のいくつかまたは全てが結合していてもよい。段部38-1は独立した段部または細長い段部でもよく、段部38-2、38-3は独立した段部または点状の段部でもよい。また、段部38-1、38-2、38-3のいくつかまたは全てが結合していてもよい。つまり、第1の段部および第2の段部は、結合された一つの段部であってもよい。
【0075】
(4) 上記実施の形態では、段部36-1、36-2、36-3、36-4、38-1、38-2、38-3は、平らな載置面を有している。しかしながら、段部36-1、36-2、36-3、36-4、38-1、38-2、38-3は、バスバー42、44を支持できればよく、平らな形状に限らない。たとえば、一部または全ての段部が鋭利または湾曲した先端形状を有していてもよい。
【0076】
(5) 上記実施の形態では、ねじ部22は雌ねじを有し、ボルト52などの雄ねじが取り付けられている。しかしながら、ねじ部22は、側面にねじ山を有する円形の棒体、すなわち雄ねじでもよく、この棒体のねじ部22にナットなどの雌ねじが取り付けられてもよい。
【0077】
(6) 上記実施の形態では、バスバー42、44および載置領域43、45が等脚台形、またほぼ等脚台形を有している。しかしながらバスバー42、44および載置領域43、45の形状は既述の形状に限らない。バスバー42、44が左右対称の形状であれば、裏表無関係にバスバー42、44をバスバー載置部34に載置することができる。バスバー42、44が非対称の形状であれば、裏表を設定することができる。
【0078】
(7) 上記実施の形態では、後退部54がバスバー42の長辺に形成され、段部38-1が後退部54の中に配置される。しかしながら、後退部54が長辺以外の辺に形成され、段部38-1以外の段部が後退部54の中に配置されてもよい。また、後退部54の代わりに孔が形成され、段部38-1以外の段部がこの孔の中に挿入されるようにしてもよい。このような構成であっても、後退部54または孔の位置がバスバー42において非対称であると、バスバー42において外側表面と下側表面とを設定することができる。
【0079】
(8) 上記実施の形態では、後退部54がバスバー42の長辺に形成されている。しかしながら、後退部54は省略されてもよい。この場合、段部38-1は、後退部54を含まない載置領域43の長辺の外側に配置される。
【0080】
以上説明したように、本開示の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本開示は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、または明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本開示の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本開示の技術は、たとえば、乗用車、産業用車両などの移動体の電源または蓄電デバイスとして有用である。
【符号の説明】
【0082】
2 蓄電デバイスモジュール
4 蓄電デバイス
6 第1のホルダー
8 第2のホルダー
10 ホルダー接続部材
12-1、12-2 端末部材
13-1、13-2 係合部
14 接続通路
15 ねじ
16 外装ケース
18 封口部材
20-1、20-2 電極端子
22 ねじ部
24 側面部
26 端子端面
28 ホルダー本体
30、40 壁部
32 端子孔
34 バスバー載置部
36-1、36-2、36-3、36-4 第1の段部(第1の載置部)
38-1、38-2、38-3 第2の段部(第2の載置部)
41 緩衝部材
42 第1のバスバー
44 第2のバスバー
43、45 載置領域
46-1、46-2 第3の段部
48、50 接続孔
52 ボルト
54 後退部
56 ねじ孔
58、60 端末バスバー