(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】学習機器、学習方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 19/06 20060101AFI20240423BHJP
G09B 19/00 20060101ALI20240423BHJP
G09B 5/06 20060101ALI20240423BHJP
G06F 16/335 20190101ALI20240423BHJP
G06F 16/34 20190101ALI20240423BHJP
【FI】
G09B19/06
G09B19/00 H
G09B5/06
G06F16/335
G06F16/34
(21)【出願番号】P 2020038769
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】福島 章宏
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-032199(JP,A)
【文献】特開2016-118650(JP,A)
【文献】特開2016-045299(JP,A)
【文献】特開2003-330846(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0086016(KR,A)
【文献】履歴情報を用いた英単語学習ツールの開発,情報処理学会研究報告,Vol.2007 No.69,社団法人情報処理学会,2007年07月07日,9-13
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 19/06
G09B 19/00
G09B 5/06
G06F 16/335
G06F 16/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備えた学習機器であって、
前記プロセッサは、
複数の機能それぞれに対応するプログラムであって、それぞれが独立して起動可能な複数のプログラムをユーザ操作に基づいて排他的に起動させるとともに、前記複数のプログラムそれぞれが生成する情報を画面上に設けられた第1の表示領域に排他的に表示させることで、単語の学習が可能な複数の機能を
排他的に実行させる実行制御処理と、
前記実行制御処理により実行された機能で学習対象となった単語の学習履歴を、前記実行制御処理により過去に実行された機能で学習対象となった複数の単語の学習履歴とともに記憶手段に記憶させる記憶制御処理と、
前記記憶手段に学習履歴が記憶されている複数の単語であって、前記実行制御処理により実行中の機能
で学習対象となった単語以外で過去に学習対象となった単語を含む複数の単語を、決められた条件で順番に選択していくとともに、前記実行中の機能に関する情報を画面上に表示させたままの状態で、前記決められた条件で順番に選択されていく単語に関する情報
を、排他的に実行されるプログラムが切り替わった場合でも表示状態が維持されるように、前記第1の表示領域とは異なる前記画面上の特定領域に順次表示させていく表示制御処理と、
を実行する学習機器。
【請求項2】
プロセッサを備えた学習機器であって、
前記プロセッサは、
単語の学習が可能な複数の機能をユーザ操作に基づいて選択的に実行させる実行制御処理と、
前記実行制御処理により実行された機能で学習対象となった単語の学習履歴を、前記実行制御処理により過去に実行された機能で学習対象となった複数の単語の学習履歴とともに記憶手段に記憶させる記憶制御処理と、
前記記憶手段に学習履歴が記憶されている複数の単語であって、前記実行制御処理により実行中の機能で学習対象となった単語以外で過去に学習対象となった単語を含む複数の単語を、決められた条件で順番に選択していくとともに、前記実行中の機能に関する情報を画面上に表示させたままの状態で、前記決められた条件で順番に選択されていく単語に関する情報を前記画面上の特定領域に順次表示させていく処理を前記実行制御処理により実行される前記複数の機能とは非同期
に実行する
表示制御処理と、
を実行
する学習機器。
【請求項3】
プロセッサを備えた学習機器であって、
前記プロセッサは、
単語の学習が可能な複数の機能をユーザ操作に基づいて選択的に実行させる実行制御処理と、
前記実行制御処理により実行された機能で学習対象となった単語の学習履歴を、前記実行制御処理により過去に実行された機能で学習対象となった複数の単語の学習履歴とともに記憶手段に記憶させる記憶制御処理と、
前記記憶手段に学習履歴が記憶されている複数の単語
であって、前記実行制御処理により実行中の機能で学習対象となった単語以外で過去に学習対象となった単語を含む複数の単語を、所定時間毎に順番に選択していくとともに、
前記実行中の機能に関する情報を画面上に表示させたままの状態で、前記所定時間毎に選択された単語に関する情報を前記実行中の機能に関する情報の表示を妨げない前記画面上の特定領域に順次表示させていく
表示制御処理と、
を実行
する学習機器。
【請求項4】
プロセッサを備えた学習機器であって、
前記プロセッサは、
単語の学習が可能な複数の機能をユーザ操作に基づいて選択的に実行させる実行制御処理と、
前記実行制御処理により実行された機能で学習対象となった単語の学習履歴を、前記実行制御処理により過去に実行された機能で学習対象となった複数の単語の学習履歴とともに記憶手段に記憶させる記憶制御処理と、
前記記憶手段に学習履歴が記憶されている複数の単語であって、前記実行制御処理により実行中の機能で学習対象となった単語以外で過去に学習対象となった単語を含む複数の単語を、決められた条件で順番に選択していくとともに、前記実行中の機能に関する情報を画面上に表示させたままの状態で、前記決められた条件で順番に選択されていく単語に関する情報を、前記単語を対象として過去に実行した機能の実行を示す情報または当該機能を示す情報とともに、前記実行中の機能に関する情報の表示を妨げない前記画面上の
特定領域に順次表示させていく
表示制御処理と、
を実行
する学習機器。
【請求項5】
プロセッサを備えた学習機器であって、
前記プロセッサは、
単語の学習が可能な複数の機能をユーザ操作に基づいて選択的に実行させる実行制御処理と、
前記実行制御処理により実行された機能で学習対象となった単語の学習履歴を、前記実行制御処理により過去に実行された機能で学習対象となった複数の単語の学習履歴とともに記憶手段に記憶させる記憶制御処理と、
前記記憶手段に学習履歴が記憶されている複数の単語であって、前記実行制御処理により実行中の機能で学習対象となった単語以外で過去に学習対象となった単語を含む複数の単語を、決められた条件で順番に選択していくとともに、前記実行中の機能に関する情報を画面上に表示させたままの状態で、前記決められた条件で順番に選択されていく単語に関する情報を前記画面上の特定領域に順次表示させていく表示制御処理と、
前記特定領域に前記単語に関する情報が表示されている状態で、再学習の指示操作が行われた場合、前記指示操作のタイミングで前記特定領域に表示されていた単語を対象とし、当該単語を対象として過去に実行した機能に基づき再学習の処理を実行する
再学習処理と、
を実行
する学習機器。
【請求項6】
前記記憶制御処理は、前記実行制御処理により実行されている各機能で、ユーザが選択した単語の学習に係る処理が行われた場合に、前記ユーザが選択した単語に関する前記学習に係る処理の実行履歴を前記学習履歴として記憶手段に追加して記憶させる、
請求項1ないし
請求項5のいずれか一項に記載の学習機器。
【請求項7】
前記単語の学習に係る処理の実行履歴は、実行の対象となった単語、および実行からの経過時間または実行の頻度が特定可能な情報を含み、
前記表示制御処理は、前記実行履歴から特定される、各単語に対する過去の学習に係る処理の実行からの経過時間または実行頻度に基づき、前記記憶手段に記憶されている過去にユーザが学習対象とした単語を所定時間毎に順番に選択していく、
請求項6に記載の学習機器。
【請求項8】
前記単語の学習に係る処理の実行履歴は、実行の対象となった単語、および実行した機能を示す情報を含み、
前記表示制御処理は、前記実行履歴から特定される、各単語に対して実行された過去の機能に基づき、前記記憶手段に記憶されている過去にユーザが学習対象とした単語を所定時間毎に順番に選択していく、
請求項6または請求項7に記載の学習機器。
【請求項9】
前記表示制御処理は、前記複数の機能のうちのユーザが選択した任意の機能が実行されている状態で、前記実行履歴から特定される、実行中の機能に応じた過去の機能に基づき、前記記憶手段に記憶されている過去にユーザが学習対象とした単語を所定時間毎に順番に選択していく、
請求項8に記載の学習機器。
【請求項10】
前記複数の機能は、単語の検索、単語に関するテスト、単語に関する学習、のうちのいずれかを含む、
請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の学習機器。
【請求項11】
前記表示制御処理は、人間の時間経過に応じた忘却特性と、前記実行履歴から特定される、各単語に対する過去の学習に係る処理の実行からの経過時間とに基づいて、前記記憶手段に記憶されている過去にユーザが学習対象とした単語を所定時間毎に順番に選択していく、
請求項7に記載の学習機器。
【請求項12】
前記表示制御処理は、前記実行履歴から特定される、各単語に対する過去の学習に係る処理の実行からの経過時間の順に、前記記憶手段に記憶されている過去にユーザが学習対象とした単語を所定時間毎に順番に選択していく、
請求項7に記載の学習機器。
【請求項13】
前記表示制御処理は、前記記憶手段に記憶されている前記学習履歴に基づき、過去にユーザが学習対象とした単語を所定時間毎にランダムに選択していく、
請求項1
ないし請求項12のいずれか一項に記載の学習機器。
【請求項14】
前記画面上の特定領域は、前記複数の機能のうちの何れの機能の実行中においても、当該機能の実行に関わらず表示状態を維持する固定的な表示領域であり、
前記表示制御処理は、前記順番に選択された単語に関する情報を、前記固定的な表示領域に順次表示させていく、
請求項1ないし請求項13のいずれか一項に記載の学習機器。
【請求項15】
電子機器のプロセッサにより、
複数の機能それぞれに対応するプログラムであって、それぞれが独立して起動可能な複数のプログラムをユーザ操作に基づいて排他的に起動させるとともに、前記複数のプログラムそれぞれが生成する情報を画面上に設けられた第1の表示領域に排他的に表示させることで、単語の学習が可能な複数の機能を
排他的に実行させ、
前記実行された機能で学習対象となった単語の学習履歴を、過去に実行された機能で学習対象となった複数の単語の学習履歴とともに記憶手段に記憶させ、
前記記憶手段に学習履歴が記憶されている複数の単語であって、前記
排他的に実行中の機能
で学習対象となった単語以外で過去に学習対象となった単語を含む複数の単語を、決められた条件で順番に選択していくとともに、前記実行中の機能に関する情報を画面上に表示させたままの状態で、前記決められた条件で順番に選択されていく単語に関する情報
を、排他的に実行されるプログラムが切り替わった場合でも表示状態が維持されるように、前記第1の表示領域とは異なる前記画面上の特定領域に順次表示させていく、
学習方法。
【請求項16】
学習機器のプロセッサに、
複数の機能それぞれに対応するプログラムであって、それぞれが独立して起動可能な複数のプログラムをユーザ操作に基づいて排他的に起動させるとともに、前記複数のプログラムそれぞれが生成する情報を画面上に設けられた第1の表示領域に排他的に表示させることで、単語の学習が可能な複数の機能を
排他的に実行させる実行制御処理と、
前記実行制御処理により実行された機能で学習対象となった単語の学習履歴を、前記実行制御処理により過去に実行された機能で学習対象となった複数の単語の学習履歴とともに記憶手段に記憶させる記憶制御処理と、
前記記憶手段に学習履歴が記憶されている複数の単語であって、前記実行制御処理により実行中の機能
で学習対象となった単語以外で過去に学習対象となった単語を含む複数の単語を、決められた条件で順番に選択していくとともに、前記実行中の機能に関する情報を画面上に表示させたままの状態で、前記決められた条件で順番に選択されていく単語に関する情報
を、排他的に実行されるプログラムが切り替わった場合でも表示状態が維持されるように、前記第1の表示領域とは異なる前記画面上の特定領域に順次表示させていく表示制御処理と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単語の学習を行なうための学習機器、学習方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、単語の学習を行なうための装置として、単語を見出し語とする辞書情報から検索した単語とその意味を検索履歴として蓄積して記憶し、当該検索履歴として記憶された各単語とその意味を、単語帳として出力することで、当該各単語についての学習を効率的に行なえる電子辞書が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電子辞書は、単語を検索した検索履歴に基づき生成された単語帳のデータを、例えば当該単語帳のデータを開くための専用の[単語帳]キーを操作することで単語とその意味とを順次切り替えて表示させるようにしたり、生成された単語帳のデータを、携帯容易な小型の電子機器である電子単語帳に転送し、当該電子単語帳にて転送された各単語とその意味を順次切り替えて表示させたりすることで、単語の学習を効率的に行なえるものである。
【0005】
しかしながら、このような従来の電子辞書の検索履歴に基づいた単語帳の機能は、ユーザが自発的、意識的に単語帳を開く操作を行わない限り、ユーザが過去に検索して学習した単語を再度振り返って学習することはできない。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、例えばユーザ自らが過去に学習した単語を確認するための操作を行わなくとも、適切に単語の振り返り学習を行なうことが可能になる学習機器、学習方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る学習機器は、
プロセッサを備えた学習機器であって、
前記プロセッサは、
複数の機能それぞれに対応するプログラムであって、それぞれが独立して起動可能な複数のプログラムをユーザ操作に基づいて排他的に起動させるとともに、前記複数のプログラムそれぞれが生成する情報を画面上に設けられた第1の表示領域に排他的に表示させることで、単語の学習が可能な複数の機能を排他的に実行させる実行制御処理と、
前記実行制御処理により実行された機能で学習対象となった単語の学習履歴を、前記実行制御処理により過去に実行された機能で学習対象となった複数の単語の学習履歴とともに記憶手段に記憶させる記憶制御処理と、
前記記憶手段に学習履歴が記憶されている複数の単語であって、前記実行制御処理により実行中の機能で学習対象となった単語以外で過去に学習対象となった単語を含む複数の単語を、決められた条件で順番に選択していくとともに、前記実行中の機能に関する情報を画面上に表示させたままの状態で、前記決められた条件で順番に選択されていく単語に関する情報を、排他的に実行されるプログラムが切り替わった場合でも表示状態が維持されるように、前記第1の表示領域とは異なる前記画面上の特定領域に順次表示させていく表示制御処理と、を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の学習機器、学習方法およびプログラムの実施形態に係る電子辞書10の外観構成を示す図。
【
図2】電子辞書10の電子回路の構成を示すブロック図。
【
図3】電子辞書10の学習履歴記憶エリア22fに記憶される学習履歴データの一例を示す図。
【
図4】電子辞書10の選択基準管理テーブル22hに記憶される復習支援モード(1)~(6)に対応した選択基準設定データの一例を示す図。
【
図5】電子辞書10の学習処理を示すフローチャート。
【
図6】電子辞書10の学習処理に伴い所定時間毎の割り込み処理として実行される復習支援割り込み処理を示すフローチャート。
【
図7A】電子辞書10の学習処理および復習支援割り込み処理に従った英語辞書での学習に伴うメイン表示エリア17Mおよびサブ表示エリア17Sの表示動作の一例を示す図。
【
図7B】電子辞書10の学習処理および復習支援割り込み処理に従った日本語辞書での学習に伴うメイン表示エリア17Mおよびサブ表示エリア17Sの表示動作の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明の学習機器、学習方法およびプログラムの実施形態に係る電子辞書10の外観構成を示す図である。
【0011】
図2は、電子辞書10の電子回路の構成を示すブロック図である。
【0012】
電子辞書10は、以下に説明する専用の電子辞書として構成されるか、辞書検索機能を備えたタブレット型のPDA(personal digital assistants)、PC(personal computer)、携帯電話、電子ブック、携帯ゲーム機などとして構成される。
【0013】
電子辞書10は、その本体ケース11と蓋体ケース12とがヒンジ部13を介して展開/閉塞可能な折り畳み型ケースを備えて構成される。折り畳み型ケースを展開した本体ケース11には、[ホーム]キー14a、機能指定キー14b、文字入力キー14c、[決定]キー14d、[戻る]キー14e、カーソルキー14f、[シフト]キー14g、[履歴]キー14h、[復習支援]キー14i、などを含むキー入力部(キーボード)14、音声出力部(スピーカを含む)15、および音声入力部(マイクを含む)16が設けられる。
【0014】
また、蓋体ケース12には、タッチパネル式表示部(ディスプレイ)17が設けられる。タッチパネル式表示部17は、ユーザがペンや指などでタッチした位置を検出するタッチ位置検出装置と表示装置が一体となった構造であり、バックライト付きのカラー液晶表示画面に透明タッチパネルを重ねて構成される。
【0015】
タッチパネル式表示部17の表示エリアには、その中央に広いメイン表示エリア17Mと、右端に沿ったタッチキーエリア17Aと、下端に沿ったサブ表示エリア17Sとに分割されたエリアが設定される。
【0016】
タッチキーエリア17Aには、キー入力部14における一部のキーの押下操作や電子辞書10の一部の機能の指定操作を、タッチ操作により行うためのタッチキー([ホーム]キーBH、[戻る]キーBRなど)が表記されて設けられる。
【0017】
メイン表示エリア17Mには、ユーザ操作に基づき任意に選択された機能の実行に応じて、実行されている機能に関する情報が表示される。
【0018】
サブ表示エリア17Sには、ユーザ操作に基づき実行された単語の学習に関する機能の実行履歴に基づいて、過去にユーザが実行した機能で学習対象となった単語に関する情報が、所定時間毎に、後述の復習支援モード記憶エリア22gおよび選択基準管理テーブル22hに記憶された復習支援モードに対応した選択基準に従い順番に選択され、ユーザに対し当該単語の振り返り学習(再学習)を促す情報として表示される。
【0019】
例えば
図1では、タッチパネル式表示部17のサブ表示エリア17Sに対し、過去に学習した単語“take”とその意味「触れる,つかむ,とらえる」が、前回学習した日付[前回:19/11/21]と共に、当該単語の振り返り学習(再学習)を促す情報として表示された状態を示している。
【0020】
キー入力部14の[ホーム]キー14aは、電子辞書10のホーム画面であるメニュー画面GMをタッチパネル式表示部17のメイン表示エリア17Mに表示させるキーである。
【0021】
キー入力部14の機能指定キー14bは、各キーに沿って表記されている辞書コンテンツ([〇辞苑]など)、辞書コンテンツのカテゴリ([国語][古語][漢和][英和]など)、学習コンテンツ[コンテンツ一覧]、ツールの一つのカテゴリ[学習帳]を、それぞれ直接指定するためのキーである。
【0022】
また、キー入力部14のキーは、[シフト]キー14gが操作された後に続けて操作されることで、そのキーに沿って枠囲み無しで記載されたキー機能ではなく、枠囲みして記載されたキーとして機能できるようになっている。例えば、[シフト]キー14gの操作後に[決定]キー14dが操作(以下、[シフト]+[決定]キーと記す。)されると、登録対象として指定されているデータを登録する機能を起動させるための[登録]キーとなる。[シフト]+[削除]キーは[設定]キーとなる。
【0023】
キー入力部14の[履歴]キー14hは、後述の検索履歴記憶エリア22eに記憶された過去に検索された単語の一覧を、検索履歴画面(図示せず)としてタッチパネル式表示部17のメイン表示エリア17Mに表示させるキーである。
【0024】
キー入力部14の[復習支援]キー14iは、実施形態の電子辞書10が有する単語の振り返り学習機能(復習支援機能)において、後述の学習履歴記憶エリア22fに記憶されている過去に学習対象となった単語に関する情報を、所定時間毎に順番に選択して表示させるための選択基準を設定する復習支援モードの設定キーである。
【0025】
電子辞書10の電子回路は、
図2に示すように、コンピュータであるCPU(プロセッサ)21を備える。
【0026】
CPU21は、フラッシュROMなどの記憶部(ストレージ)22に予め記憶されたプログラム(検索処理プログラム22aおよび学習処理プログラム22bを含む)、あるいはメモリカードなどの外部記録媒体23から記録媒体読取部24により読み取られて記憶部22に記憶されたプログラム、あるいは通信ネットワークN上のWebサーバ(ここではプログラムサーバ)30から通信部25を介してダウンロードされ記憶部22に記憶されたプログラム、に従って回路各部の動作を制御する。
【0027】
CPU21には、データ及び制御バスを介して、記憶部22、記録媒体読取部24、通信部25を接続するほか、キー入力部14、音声出力部15、音声入力部16、タッチパネル式表示部17、を接続する。
【0028】
音声出力部15は、記憶部22に記憶されているかあるいは録音された音声データに基づく音声を出力する本体スピーカを備える。
【0029】
音声入力部16は、ユーザ等の音声を入力する本体マイクを備える。
【0030】
記憶部22は、プログラム(検索処理プログラム22aおよび学習処理プログラム22bを含む)を記憶するプログラム記憶エリアのほか、学習コンテンツ記憶エリア22c、辞書データ記憶エリア22d、検索履歴記憶エリア22e、学習履歴記憶エリア22f、復習支援モード記憶エリア22gおよび選択基準管理テーブル22hを備える。
【0031】
検索処理プログラム22aとしては、電子辞書10の全体の動作を司るシステムプログラム、通信部25を介して外部の電子機器と通信接続するためのプログラム、および辞書データ記憶エリア22dに記憶されている各種の辞書コンテンツデータ(英和辞典/和英辞典/国語辞典/…)に基づいて見出し語検索を行ない、検索された見出し語(単語)についての検索履歴を検索履歴記憶エリア22eに記憶させる辞書検索機能を実行するためのプログラムなどを記憶する。
【0032】
学習処理プログラム22bは、学習コンテンツ記憶エリア22cに記憶された各学習コンテンツ22cn…に基づく学習処理を実行させるためのプログラム、辞書コンテンツ(22d)に基づく単語の検索処理や学習コンテンツ22cnに基づく種々の学習処理の実行に伴い、単語の学習に関する実行履歴を学習履歴記憶エリア22eに記憶させるプログラム、学習履歴記憶エリア22eに記憶された単語の学習に関する実行履歴に基づいて、学習対象となった単語に関する情報を、復習支援モード記憶エリア22gおよび選択基準管理テーブル22hに記憶された復習支援モードに対応した選択基準に従い所定時間毎に順番に選択し、タッチパネル式表示部17のサブ表示エリア17Sに対し当該単語の振り返り学習(再学習)を促す情報として表示させるためのプログラムを含む。
【0033】
学習コンテンツ記憶エリア22cは、例えば、単語の語義を学習する単語学習コンテンツ22c1、単語に応じた文法を学習する文法学習コンテンツ22c2、単語の発音を学習する発音学習コンテンツ22c3、各種の語学検定試験の模擬テストを行なう模擬テストコンテンツ22c4など、様々な種類の学習を目的とした学習コンテンツデータを記憶する。
【0034】
辞書データ記憶エリア22dは、例えば、英和辞典、和英辞典、英英辞典、国語辞典などの各種の辞書コンテンツデータを記憶し、辞書コンテンツデータは、例えば、キー入力されるか、または表示画面上で指定される辞書検索の対象となる文字または文字列に基づいて、当該文字または文字列に対応する単語の説明情報を辞書検索して表示や音声により出力する機能を有する。
【0035】
なお、辞書コンテンツデータは、各種の辞書のそれぞれにおいて、見出し語である単語、単語の意味,内容を含む説明情報、単語を含む用例/成句/複合語などのテキストデータ、および当該テキストデータに対応する音声データを有する。
【0036】
実施形態の電子辞書10は、学習コンテンツ記憶エリア22cに記憶された各学習コンテンツ22c1,22c2,…および辞書データ記憶エリア22dに記憶された辞書コンテンツに基づいて、学習対象の単語を検索してその意味、発音、例文などを調べる処理のほか、単語のテストを行なう処理など、ユーザが単語の理解度を向上させるための単語の学習の処理全般を実行できる。
【0037】
また、実施形態の電子辞書10は、学習コンテンツ記憶エリア22cおよび辞書データ記憶エリア22dに記憶された各コンテンツのうち、ユーザ操作に応じて選択した任意の1つのコンテンツのプログラムを排他的に起動して実行する。
【0038】
検索履歴記憶エリア22eは、辞書データ記憶エリア22dに記憶された辞書コンテンツから見出し語検索により検索した単語を検索履歴として記憶する。
【0039】
図3は、電子辞書10の学習履歴記憶エリア22fに記憶される学習履歴データの一例を示す図である。
【0040】
学習履歴記憶エリア22fは、辞書コンテンツ(22d)に基づく単語の検索の学習処理や学習コンテンツ22cnに基づく種々の学習処理の実行に伴い、当該学習処理で学習対象となった単語、当該学習対象となったコンテンツの種類、当該コンテンツ内での学習対象となった単語のアクセス位置(アドレス等)、当該コンテンツ内での同単語の学習日時、当該コンテンツ内での同単語の学習回数を、その学習日時順に学習履歴として記憶する。
【0041】
なお、同じコンテンツ内の同じ単語を学習対象として学習処理が実行された場合、学習履歴記憶エリア22fには、既に記憶されている同学習対象の単語の学習履歴のうち、当該単語の学習日時と学習回数が更新され最新の学習履歴に書き換えられて記憶される。
【0042】
復習支援モード記憶エリア22gは、[復習支援]キー14iの操作に応じて設定される復習支援モードのモードデータ(ここではモード(1)~(6)の何れか)を記憶する。
【0043】
選択基準管理テーブル22hは、学習履歴記憶エリア22eに記憶された学習履歴から所定時間毎に順番に何れかの学習対象を復習候補として選択するための選択基準のデータを、復習支援モード(1)~(6)のそれぞれに対応して異なる選択基準として記憶する。
【0044】
図4は、電子辞書10の選択基準管理テーブル22hに記憶される復習支援モード(1)~(6)に対応した選択基準設定データの一例を示す図である。
【0045】
実施形態の選択基準管理テーブル22hでは、学習履歴記憶エリア22fに記憶された学習履歴について、復習支援モード(1)~(3)である場合、学習対象となったコンテンツの種類のうち全種類を対象に選択する選択基準を設定し、そのうちモード(1)では、学習日時と学習回数(学習頻度)に基づき設定されたタイミング(例えば、人間の忘却特性に基づいた前回の学習処理からの最適な復習のタイミング:初回から1日後(2回目)/3日後(3回目)/10日後(4回目)/30日後(5回目)…)を選択基準として記憶し、またモード(2)では、学習履歴順(例えば、学習日時の古い(早い)順)を選択基準として記憶し、またモード(3)では、ランダムを選択基準として記憶する。
【0046】
一方、復習支援モード(4)~(6)である場合、学習対象となったコンテンツの種類のうち実行中である学習処理の種類を対象に選択する選択基準を設定し、モード(1)~(3)と同様に、そのうちモード(4)では、学習日時と学習回数に基づき設定されたタイミング(初回から1日後/3日後/10日後/30日後など)を選択基準として記憶し、またモード(5)では、学習履歴順(学習日時の古い(早い)順)を選択基準として記憶し、またモード(6)では、ランダムを選択基準として記憶する。
【0047】
なお、実施形態では、復習支援モード(1)~(6)のうち、モード(1)をデフォルトとし、当該復習支援モードがモード(2)~(6)の何れかに設定されている場合であって、ユーザ任意の学習処理が実行されていない状態(例えば、学習対象のコンテンツが選択されていないメニュー画面GMの表示状態)では、デフォルトのモード(1)に対応する選択基準に従い学習履歴にある全種類のコンテンツを対象に、学習日時と学習回数に基づき設定されたタイミングで復習候補である学習履歴の学習対象(単語)が選択される。
【0048】
このように構成された電子辞書10は、CPU21が検索処理プログラム22aおよび学習処理プログラム22bに記述された命令に従い回路各部の動作を制御し、ソフトウエアとハードウエアとが協働して動作することにより、以下の動作説明で述べるような、学習機能および復習支援機能を実現する。
【0049】
次に、実施形態に係る電子辞書10の動作について説明する。
【0050】
図5は、電子辞書10の学習処理を示すフローチャートである。
【0051】
図6は、電子辞書10の学習処理に伴い所定時間毎の割り込み処理として実行される復習支援割り込み処理を示すフローチャートである。
【0052】
図7Aは、電子辞書10の学習処理および復習支援割り込み処理に従った英語辞書での学習に伴うメイン表示エリア17Mおよびサブ表示エリア17Sの表示動作の一例を示す図である。
【0053】
図7Bは、電子辞書10の学習処理および復習支援割り込み処理に従った日本語辞書での学習に伴うメイン表示エリア17Mおよびサブ表示エリア17Sの表示動作の一例を示す図である。
【0054】
<学習処理(
図5)>
電源の投入に応じて検索処理プログラム22aおよび学習処理プログラム22bが起動されると、CPU21は、タッチパネル式表示部17の表示エリアのうち、タッチキーエリア17Aを除いた表示エリアを、メイン表示エリア17Mとサブ表示エリア17Sとに分割して設定し(ステップS1)、メイン表示エリア17Mにホーム画面としてのメニュー画面GM(
図1参照)を表示させる(ステップS2)。
【0055】
メニュー画面GMにおいて、ユーザ操作に応じて任意のコンテンツ(例えば英和辞書)が選択されると(ステップS3(Yes))、CPU21は、選択されたコンテンツ(英和辞書)に基づく学習処理を開始し、例えば
図7Aに示すように、当該英和辞書を対象に見出し語を入力して検索するための見出し語検索画面GKをメイン表示エリア17Mに表示させる(ステップS4)。
【0056】
見出し語検索画面GKにおいて、文字入力キー14cの操作に応じてユーザが調べたい単語“genius”が学習対象として入力され、[決定]キー14の操作により英和辞書からの見出し語検索が指示されると(ステップS5(Yes))、CPU21は、入力された単語“genius”の見出し語検索を実行し(ステップS6)、英和辞書から検索した見出し語(単語)“genius”とその意味を含む説明情報を、今回の学習処理の実行結果としてメイン表示エリア17Mに表示させる(ステップS7)。
【0057】
CPU21は、検索した見出し語(単語)“genius”の情報を、今回の学習処理の実行情報として検索履歴記憶エリア22eに記憶させる(ステップS8)。
【0058】
またCPU21は、例えば
図3に示すように、学習対象である単語“genius”と、学習処理の種類であるコンテンツの種類(英語辞書)と、実行情報である見出し語(単語)“genius”のアクセス位置(英和辞書のアドレス)と、今回の学習処理の学習日時[2019/12/01]と、学習回数[1]と、を対応付けて学習履歴記憶エリア22fに記憶させる(ステップS9)。
【0059】
なお、今回の学習処理において、例えば、模擬テストコンテンツ22c4に含まれる英検コンテンツ「英検テスト1」の単語“continue”が学習対象として出題され、メイン表示エリア17Mに表示されると共に、回答としてユーザにより入力された単語“continue”の意味の正解/不正解の判定結果が同メイン表示エリア17Mに表示された場合(ステップS4~S7)、当該「英検テスト1」の単語“continue”の出題、判定の実行済みフラグを、実行情報として当該英検コンテンツ「英検テスト1」の該当するアドレスに記憶させる(ステップS8)。そして、学習履歴記憶エリア22fには、例えば
図3に示すように、学習対象である単語“continue”と、学習処理の種類であるコンテンツの種類(英検テスト1)と、実行情報である「英検テスト1」の単語“continue”のアクセス位置(英検コンテンツ「英検テスト1」内のアドレス)と、今回の学習処理の学習日時[2019/12/01]と、学習回数[1]と、を対応付けて学習履歴記憶エリア22fに記憶させる(ステップS9)。
【0060】
この後、選択されたコンテンツ内での学習処理が終了されずに繰り返された場合(ステップS10(No))、CPU21は、ステップS5~S10の処理を繰り返し実行し、また、選択されたコンテンツ内での学習処理が終了されると(ステップS10(Yes))、CPU21は、メイン表示エリア17Mにホーム画面としてのメニュー画面GM(
図1参照)を再表示させる(ステップS2)。
【0061】
一方、ユーザ任意のコンテンツによる学習処理を実行していない状態、つまりステップS2の処理に従ったメニュー画面GMの表示状態にあって(ステップS3(No))、[復習支援]キー14iが操作され、学習支援モードの変更、すなわち、学習履歴記憶エリア22fに記憶された学習対象(単語)の復習候補としての選択基準の変更が指示されると(ステップS11(Yes))、CPU21は、ユーザ操作に応じて学習支援モードを、モード(1)~(6)の何れかに変更して設定するための、学習支援モード設定ウインドウ(図示せず)をメニュー画面GM上に表示させる。学習支援モード設定ウインドウは、例えば選択基準管理テーブル22h(
図4参照)の内容を表記して構成される。
【0062】
学習支援モード設定ウインドウにおいて、ユーザ任意の選択基準に対応した学習支援モードが指定されると、CPU21は、指定された学習支援モード(モード(1)~(6)の何れか)のデータを学習支援モード記憶エリア22gに記憶させ、指定された選択基準に変更する(ステップS12)。
【0063】
<復習支援割り込み処理(
図6)>
復習支援割り込み処理は、
図5を参照して説明した学習処理に従い、電源投入後のメニュー画面GMの表示も含むユーザ任意の機能の実行によりメイン表示エリア17Mに何らかの画面が表示されている状態にあって、当該機能の実行とは非同期で、CPU21により、電源投入時から計時される所定時間(例えば10秒~3分)が経過したと判定される毎に繰り返し行われる。なお、所定時間は、学習処理プログラム22bにより予め設定された時間でもよいし、ユーザ任意に設定された時間でもよい。
【0064】
学習処理に従い、例えば、
図7Aで示したように、ユーザが選択した辞書コンテンツ(英和辞書)に基づく単語の学習処理が実行されている状態で、CPU21により、所定時間が経過したと判定されると(ステップB1(Yes))、CPU21は、復習支援モード記憶エリア22gに記憶されている復習支援モード(モード(1)~(6)の何れか)のデータに基づいて、選択基準管理テーブル22hに設定されている、学習履歴記憶エリア22f内の学習対象を復習候補として選択するための選択基準を取得する(ステップB2)。
【0065】
CPU21は、復習支援モードに対応して取得した選択基準に基づいて、学習履歴記憶エリア22fに過去の各学習処理の実行履歴として記憶されている各学習対象(単語)の中から、当該選択基準に応じた学習対象を選択する(ステップB3)。
【0066】
ここで、復習支援モードがモード(4)と仮定すると、学習対象の選択基準は、「実行中のコンテンツの種類を対象にした学習日時と学習回数に基づき設定したタイミング」となり、実行中のコンテンツの種類は、ここでは英和辞書であるので、CPU21は、学習履歴記憶エリア22f(
図3参照)の[種類:英語辞書]に対応付けられた学習対象(ここでは“genius”“take”…)の中から、学習日時と学習回数に基づき設定したタイミング(例えば、忘却特性に基づく経過時間と学習回数に応じた最適なタイミング)に対応した学習対象(単語)を選択する。ここでは、学習対象“take”を選択したと仮定する。
【0067】
CPU21は、選択した学習対象(単語)“take”に関する情報として、検索履歴記憶エリア22eに記憶されている当該単語“take”とその主要な意味「触れる,つかむ,とらえる」(例えば第一語義)を取得する(ステップB4)。
【0068】
CPU21は、
図7Aに示すように、メイン表示エリア17Mの見出し語検索画面GKを維持した状態で、サブ表示エリア17Sに対し、取得した単語“take”とその意味「触れる,つかむ,とらえる」を、前回の学習日時に対応する日付[前回:19/11/21]と共に、当該単語“take”の振り返り学習(再学習)を促す情報として表示させる(ステップB5)。なお、サブ表示エリア17Sには、取得した単語“take”の前回の学習日時に対応する日付に加え、当該単語の学習コンテンツ(英和辞書)を示す情報(例えば、コンテンツ名)を表示させてもよく、またはその何れか一方でもよい。
【0069】
ステップB1~B5の処理は、以下のステップB6からB7,B8の処理に移行しない限り、電源投入時から計時される所定時間(例えば10秒~3分)が経過したと判定される毎に繰り返し行われるので、メイン表示エリア17Mにおけるユーザ任意の学習処理に応じた表示とは関係なく、所定時間経過の都度、サブ表示エリア17Sには、復習支援モードに対応した復習候補の選択基準に応じて学習履歴記憶エリア22fから選択された過去に学習対象とした単語と当該単語に関する情報が、順次、繰り返しあるいは入れ替えられて表示されるようになる。
【0070】
ここでユーザにより、サブ表示エリア17Sに表示された単語“take”の振り返り学習(再学習)を行なうべく、当該サブ表示エリア17Sがタッチされ指示されると(ステップB6(Yes))、CPU21は、当該指示された単語“take”(学習対象)に対応付けられて学習履歴記憶エリア22fに記憶されているアクセス位置(英和辞書のアドレス)に基づいて、辞書データ記憶エリア22dに記憶されている英和辞書のコンテンツから、復習対象の見出し語(単語)“take”とその意味を含む説明情報を、当該単語“take”を見出し語検索して学習した学習処理の実行情報として取得する(ステップB7)。
【0071】
CPU21は、取得した見出し語(単語)“take”とその説明情報の画面を、メイン表示エリア17Mに、これまで表示されていた見出し語(単語)“genius”の見出し語検索画面GKから切り替えて表示させ、当該単語“take”の復習のための学習処理を実行する(ステップB8)。
【0072】
これにより、ユーザは、ユーザ自らの操作により、過去に学習対象とした単語を振り返って選び出し復習することなく、容易に過去に学習対象としたユーザにとって適切な単語に気付き、振り返りの学習(再学習)を行なうことができる。
【0073】
なお、
図7Aで示した英和辞書による学習処理の実行状態において、復習支援モードがモード(5)に設定されている場合、CPU21は、学習履歴記憶エリア22f(
図3参照)の[種類:英語辞書]に対応付けられた学習対象(ここでは“genius”“take”…)の中から、学習日時が古い(早い)順に当該学習対象を選択して取得し、取得した学習対象(単語)とその主要な意味を、サブ表示エリア17Sに、当該単語の振り返り学習(再学習)を促す情報として表示させる(ステップB2~B5)。
【0074】
また、
図7Aで示した英和辞書による学習処理の実行状態において、復習支援モードがモード(6)に設定されている場合、CPU21は、学習履歴記憶エリア22f(
図3参照)の[種類:英語辞書]に対応付けられた学習対象(ここでは“genius”“take”…)の中から、ランダムに当該学習対象を選択して取得し、取得した学習対象(単語)とその主要な意味を、サブ表示エリア17Sに、当該単語の振り返り学習(再学習)を促す情報として表示させる(ステップB2~B5)。
【0075】
また、例えば
図7Bに示すように、日本語辞書である〇辞苑のコンテンツを選択して、日本語の学習処理を実行している状態で、復習支援モードがモード(4)~(6)の何れかに設定されている場合、CPU21は、学習履歴記憶エリア22f(
図3参照)の[種類:日本語辞書]に対応付けられた学習対象(ここでは“アメリカ”…)の中から、当該モード(n)に応じた選択基準で学習対象を選択し、選択した学習対象(単語)(ここでは“アメリカ”)とその主要な説明「北アメリカと南アメリカの総称。」を、前回の学習日時に対応する日付[前回:19/11/10]と共に、サブ表示エリア17Sに、当該単語の振り返り学習(再学習)を促す情報として表示させる(ステップB2~B5)。
【0076】
一方、
図1で示したように、メイン表示エリア17Mにメニュー画面GMを表示させた状態では、復習支援モードはデフォルトのモード(1)に設定されるので、学習対象の選択基準は、「全種類のコンテンツを対象に学習日時と学習回数(学習頻度)に基づき設定したタイミング」となり、CPU21は、学習履歴記憶エリア22f(
図3参照)に記憶されている[種類]に関係なく全ての学習対象(ここでは“genius”“continue”“take”“アメリカ”…)の中から、学習日時と学習回数に基づき設定したタイミングに対応した学習対象(単語)を選択し、選択した学習対象(単語)(ここでは“take”)とその意味「触れる,つかむ,とらえる」を、前回の学習日時に対応する日付[前回:19/11/21]と共に、サブ表示エリア17Sに表示させる(ステップB5)。
【0077】
なお、学習履歴記憶エリア22fから、復習候補として選択する学習対象(単語)の選択基準は、
図4を参照して説明した選択基準管理テーブル22hに設定した各選択基準に限らないのは勿論である。
【0078】
(実施形態のまとめ)
実施形態に係る電子辞書10の学習機能および復習支援機能によれば、辞書コンテンツを含むユーザ任意の学習コンテンツ(22c,22d)に基づいて、単語を学習対象として含む学習処理を実行すると、単語とその説明情報を含む見出し語検索画面GK等の学習処理の実行結果がタッチパネル式表示部17のメイン表示エリア17Mに表示されると共に、当該学習対象の単語、コンテンツの種類、コンテンツのアクセス位置、学習日時、学習回数を対応付けた学習処理の実行履歴が学習履歴記憶エリア22fに記憶される。
【0079】
学習履歴記憶エリア22fに記憶された学習処理の実行履歴は、設定された所定時間毎に、ユーザ任意の復習支援モード(1)(2)…(6)に対応した復習候補の選択基準(22h:全種類の学習コンテンツまたは実行中の学習コンテンツを対象とした学習日時と学習回数(学習頻度)に基づくタイミングまたは履歴順またはランダム)に応じて選択され、選択された実行履歴で学習対象とした単語と当該単語に関する情報が、サブ表示エリア17Sに、順次、繰り返しあるいは入れ替えられて表示される。
【0080】
サブ表示エリア17Sに表示された単語がタッチされて指示されると、指示された単語(学習対象)に対応付けられて学習履歴記憶エリア22fに記憶されている学習コンテンツのアクセス位置に基づいて、当該単語を含む学習処理が再び実行されるので、ユーザは、自らの操作により、過去に学習対象とした単語を振り返って選び出し復習することなく、容易に過去に学習対象としたユーザにとって適切な単語に気付き、振り返りの学習(再学習)を行なうことができる。
【0081】
よって、例えばユーザ自らが過去に学習した単語を確認するための操作を行なう必要なく、ユーザ任意の機能を実行している状態で、適切に単語の振り返り学習を行なうことが可能になる。
【0082】
以上の各実施形態において記載した電子辞書10による各処理の手法、すなわち、
図5のフローチャートに示す学習処理および
図6のフローチャートに示す復習支援割り込み処理などの各手法は、何れもコンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカードなど)、磁気ディスク(フロッピ(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの外部記録装置の媒体に格納して配布することができる。そして、電子機器のコンピュータ(CPU)は、この外部記録装置の媒体に記録されたプログラムを記憶装置に読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、各実施形態において説明した学習機能および復習支援機能を実現し、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0083】
また、各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態として通信ネットワーク(N)上を伝送させることができ、この通信ネットワーク(N)に接続されたコンピュータ装置(プログラムサーバ)から、前記プログラムのデータを電子機器に取り込んで記憶装置に記憶させ、前述した学習機能および復習支援機能を実現することもできる。
【0084】
本願発明は、各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【0085】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0086】
[付記1]
プロセッサを備えた学習機器であって、
前記プロセッサは、
単語の学習が可能な複数の機能をユーザ操作に基づいて選択的に実行させる実行制御処理と、
前記実行制御処理により実行された機能で学習対象となった単語の学習履歴を、前記実行制御処理により過去に実行された機能で学習対象となった複数の単語の学習履歴とともに記憶手段に記憶させる記憶制御処理と、
前記記憶手段に学習履歴が記憶されている複数の単語であって、前記実行制御処理により実行中の機能以外で過去に学習対象となった単語を含む複数の単語を、決められた条件で順番に選択していくとともに、前記実行中の機能に関する情報を画面上に表示させたままの状態で、前記決められた条件で順番に選択されていく単語に関する情報を前記画面上の特定領域に順次表示させていく表示制御処理と、
を実行する学習機器。
【0087】
[付記2]
前記複数の機能それぞれに対応するプログラムであって、それぞれが独立して起動可能な複数のプログラムを有し、
前記実行制御処理は、ユーザ操作に基づいて前記複数のプログラムを排他的に起動させるとともに、前記複数のプログラムそれぞれが生成する情報を前記画面上に設けられた第1の表示領域に排他的に表示させることで、前記複数の機能を排他的に実行させ、
前記表示制御処理は、前記決められた条件で順番に選択されていく単語に関する情報を、排他的に実行されるプログラムが切り替わった場合でも表示状態が維持されるように前記画面上に設けられた前記第1の表示領域とは異なる第2の表示領域に順次表示させていく、
付記1に記載の学習機器。
【0088】
[付記3]
前記プロセッサは、
前記実行制御処理により実行される前記複数の機能とは非同期に前記表示制御処理を実行する、
付記1または付記2に記載の学習機器。
【0089】
[付記4]
前記表示制御処理は、前記記憶手段に学習履歴が記憶されている複数の単語を所定時間毎に順番に選択していくとともに、前記所定時間毎に選択された単語に関する情報を前記実行中の機能に関する情報の表示を妨げない前記画面上の特定領域に順次表示させていく、
付記1ないし付記3のいずれかに記載の学習機器。
【0090】
[付記5]
前記記憶制御処理は、前記実行制御処理により実行されている各機能で、ユーザが選択した単語の学習に係る処理が行われた場合に、前記ユーザが選択した単語に関する前記学習に係る処理の実行履歴を前記学習履歴として記憶手段に追加して記憶させる、
付記1ないし付記4のいずれかに記載の学習機器。
【0091】
[付記6]
前記単語の学習に係る処理の実行履歴は、実行の対象となった単語、および実行からの経過時間または実行の頻度が特定可能な情報を含み、
前記表示制御処理は、前記実行履歴から特定される、各単語に対する過去の学習に係る処理の実行からの経過時間または実行頻度に基づき、前記記憶手段に記憶されている過去にユーザが学習対象とした単語を所定時間毎に順番に選択していく、
付記5に記載の学習機器。
【0092】
[付記7]
前記単語の学習に係る処理の実行履歴は、実行の対象となった単語、および実行した機能を示す情報を含み、
前記表示制御処理は、前記実行履歴から特定される、各単語に対して実行された過去の機能に基づき、前記記憶手段に記憶されている過去にユーザが学習対象とした単語を所定時間毎に順番に選択していく、
付記5または付記6に記載の学習機器。
【0093】
[付記8]
前記表示制御処理は、前記複数の機能のうちのユーザが選択した任意の機能が実行されている状態で、前記実行履歴から特定される、実行中の機能に応じた過去の機能に基づき、前記記憶手段に記憶されている過去にユーザが学習対象とした単語を所定時間毎に順番に選択していく、
付記7に記載の学習機器。
【0094】
[付記9]
前記複数の機能は、単語の検索、単語に関するテスト、単語に関する学習、のうちのいずれかを含む、
付記1ないし付記8のいずれかに記載の学習機器。
【0095】
[付記10]
前記表示制御処理は、前記順番に選択された単語に関する情報を、前記単語を対象として過去に実行した機能の実行を示す情報または当該機能を示す情報とともに、前記実行中の機能に関する情報の表示を妨げない前記画面上の位置に順次表示させていく、
付記1ないし付記9のいずれかに記載の学習機器。
【0096】
[付記11]
前記表示制御処理は、人間の時間経過に応じた忘却特性と、前記実行履歴から特定される、各単語に対する過去の学習に係る処理の実行からの経過時間とに基づいて、前記記憶手段に記憶されている過去にユーザが学習対象とした単語を所定時間毎に順番に選択していく、
付記6に記載の学習機器。
【0097】
[付記12]
前記表示制御処理は、前記実行履歴から特定される、各単語に対する過去の学習に係る処理の実行からの経過時間の順に、前記記憶手段に記憶されている過去にユーザが学習対象とした単語を所定時間毎に順番に選択していく、
付記6に記載の学習機器。
【0098】
[付記13]
前記表示制御処理は、前記記憶手段に記憶されている前記学習履歴に基づき、過去にユーザが学習対象とした単語を所定時間毎にランダムに選択していく、
付記1に記載の学習機器。
【0099】
[付記14]
前記画面上の特定領域は、前記複数の機能のうちの何れの機能の実行中においても、当該機能の実行に関わらず表示状態を維持する固定的な表示領域であり、
前記表示制御処理は、前記順番に選択された単語に関する情報を、前記固定的な表示領域に順次表示させていく、
付記1ないし付記13のいずれかに記載の学習機器。
【0100】
[付記15]
前記プロセッサは、
前記画面上の特定領域に前記単語に関する情報が表示されている状態で、再学習の指示操作が行われた場合、前記指示操作のタイミングで前記特定領域に表示されていた単語を対象とし、当該単語を対象として過去に実行した機能に基づき再学習の処理を実行する、
付記1ないし付記14のいずれかに記載の学習機器。
【0101】
[付記16]
電子機器のプロセッサにより、
単語の学習が可能な複数の機能をユーザ操作に基づいて選択的に実行させ、
前記実行された機能で学習対象となった単語の学習履歴を、過去に実行された機能で学習対象となった複数の単語の学習履歴とともに記憶手段に記憶させ、
前記記憶手段に学習履歴が記憶されている複数の単語であって、前記選択的に実行中の機能以外で過去に学習対象となった単語を含む複数の単語を、決められた条件で順番に選択していくとともに、前記実行中の機能に関する情報を画面上に表示させたままの状態で、前記決められた条件で順番に選択されていく単語に関する情報を前記画面上の特定領域に順次表示させていく、
学習方法。
【0102】
[付記17]
学習機器のプロセッサに、
単語の学習が可能な複数の機能をユーザ操作に基づいて選択的に実行させる実行制御処理と、
前記実行制御処理により実行された機能で学習対象となった単語の学習履歴を、前記実行制御処理により過去に実行された機能で学習対象となった複数の単語の学習履歴とともに記憶手段に記憶させる記憶制御処理と、
前記記憶手段に学習履歴が記憶されている複数の単語であって、前記実行制御処理により実行中の機能以外で過去に学習対象となった単語を含む複数の単語を、決められた条件で順番に選択していくとともに、前記実行中の機能に関する情報を画面上に表示させたままの状態で、前記決められた条件で順番に選択されていく単語に関する情報を前記画面上の特定領域に順次表示させていく表示制御処理と、
を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0103】
10 …電子辞書(学習機器)
14 …キー入力部(キーボード)
14a…[ホーム]キー
14b…機能指定キー
14c…文字入力キー
14d…[決定]キー
14e…[戻る]キー
14f…カーソルキー
14g…[シフト]キー
14h…[履歴]キー
14i…[復習支援]キー
15 …音声出力部(スピーカ)
16 …音声入力部(マイク)
17 …タッチパネル式表示部(ディスプレイ)
17A…タッチキーエリア
17M…メイン表示エリア
17S…サブ表示エリア
21 …CPU(プロセッサ)
22 …記憶部(ストレージ)
22a…検索処理プログラム
22b…学習処理プログラム
22c…学習コンテンツ記憶エリア
22c1…単語学習コンテンツ
22c2…文法学習コンテンツ
22c3…発音学習コンテンツ
22c4…模擬テストコンテンツ
22d…辞書データ記憶エリア
22e…検索履歴記憶エリア
22f…学習履歴記憶エリア
22g…復習支援モード記憶エリア
22h…選択基準管理テーブル
23 …外部記録媒体(ストレージ)
24 …記録媒体読取部
25 …通信部
30 …Webサーバ
N …通信ネットワーク(インターネット)