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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】建物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/00 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
E04B1/00 502J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020040073
(22)【出願日】2020-03-09
(65)【公開番号】P2021139241
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-12-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 積水ハウス株式会社は、カタログ「邸。」にて、中原潤平が発明した「建物」を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 積水ハウス株式会社は、建築現場にて、中原潤平が発明した「建物」を公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中原 潤平
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-266422(JP,A)
【文献】特開2016-113877(JP,A)
【文献】特開2000-027290(JP,A)
【文献】特開2001-132092(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0275526(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎と、前記基礎に固定される建物本体と、植物を配置できるフレームとを備える建物であって、
前記建物本体は、外壁としての第1外壁と、外壁としての第2外壁とを含み、前記建物が建てられる敷地の庭に面する第1面と、前記第1面に交差するように設けられて前記庭に面する第2面とを有し、前記第1面および前記第2面それぞれに開口部が設けられ、
前記第1外壁は、前記第1面に沿うように延び、
前記第2外壁は、前記第2面に沿うように延び、
前記フレームは、前記建物の前記第1面に対向する第1フレーム部と、前記建物の前記第2面に対向する第2フレーム部とを備え、
前記フレームは、前記基礎に固定される複数の柱と、前記複数の柱のうちの2つの柱の間に配置される複数の梁とを備え、
前記第1フレーム部の梁は、前記第1外壁の梁と直線状に接続され、
前記第2フレーム部の梁は、前記第2外壁の梁と直線状に接続される、
建物。
【請求項2】
前記基礎は、前記建物本体を支持する第1基礎部と、前記第1基礎部に繋がり前記フレームを支持する第2基礎部とを備え、
前記フレームは、前記第2基礎部に固定され、かつ、前記建物本体の梁に接続される
請求項1に記載の建物。
【請求項3】
前記梁は、プランターを配置可能に構成される
請求項1または2に記載の建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリーンウォール用フレームを有する建物に関する。
【背景技術】
【0002】
グリーンウォールを有する建物が知られている(例えば、特許文献1)。グリーンウォールは、建物の外壁から所定距離だけ離れたところに設けられるフレーム(同文献では、緑化用壁体)を備える。植物は、フレームの下部の近くに置かれるプランターに植えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-138571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、地震等によって、グリーンウォール用フレームが倒れると、建物に被害が及ぶ虞がある。そこで、フレームの倒れを抑制できる建物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する建物は、基礎と、前記基礎に固定される建物本体と、植物を配置できるフレームとを備え、前記フレームは、前記建物本体に接続される。
この構成によれば、フレームが建物本体に接続されているため、フレームの倒れを抑制できる。
【0006】
(2)上記(1)の建物において、前記基礎は、前記建物本体を支持する第1基礎部と、前記第1基礎部に繋がり前記フレームを支持する第2基礎部とを備え、前記フレームは、前記第2基礎部に固定され、かつ、前記建物本体の梁に接続される。この構成によれば、建物およびフレームの耐震性が向上する。
【0007】
(3)上記(1)または(2)の建物において、前記建物本体は、前記建物が建てられる敷地の庭に面する第1面と、前記第1面に交差するように設けられて前記庭に面する第2面とを有し、前記第1面および前記第2面それぞれに開口部が設けられ、前記フレームは、前記建物の前記第1面に対向する第1フレーム部と、前記建物の前記第2面に対向する第2フレーム部とを備える。この構成によれば、建物は、庭に面する開口部を有し、かつ、開口部に対向するようにフレームが配置される。これによって、異なる方向から太陽光を建物内に採り入れることができ、建物内に太陽光を採り入れることが出来る時間を長くできる。
【0008】
(4)上記(1)~(3)のいずれか1つの建物において、前記フレームは、前記基礎に固定される複数の柱と、前記複数の柱のうちの2つの柱の間に配置される複数の梁とを備え、前記梁の少なくとも1つは、前記建物本体の梁に接続される。この構成によれば、フレームと建物とが一体の構造体になるため、フレームを含めた建物全体の耐震性を向上できる。
【0009】
(5)上記(4)の建物において、前記梁は、プランターを配置可能に構成される。この構成によれば、蔓植物の他、蔓植物以外の植物によってもグリーンウォールを形成できる。
【発明の効果】
【0010】
上記建物によれば、フレームの倒れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】グリーンウォールを有する建物の斜視図。
図2】グリーンウォールを取り除いた建物の斜視図。
図3図1のIII-III線に沿う建物の断面図。
図4】基礎において、建物の1階の配置およびフレームの配置を示す模式図。
図5】フレームの平面図。
図6】フレームの第1フレーム部の正面図。
図7】フレームの第2フレーム部の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1図7を参照して、建物について説明する。
図1および図2に示されるように、建物1は、基礎2と、基礎2に固定される建物本体10と、植物18を配置できるフレーム20とを備える。フレーム20に植物18が配置されることによって、グリーンウォール19が構成される。植物18は、蔓植物であってもよいし、蔓植物以外の植物であってもよい。植物18が蔓植物の場合、フレーム20に絡ませることによってグリーンウォール19が形成される。蔓植物以外の植物18の場合、植物18が植えられたプランターがフレーム20に設置されることによってグリーンウォール19が形成される。フレーム20には、植物18以外の物が置かれてもよい。例えば、フレーム20の上部に散水機が設けられてもよい。
【0013】
本実施形態では、建物1は、庭5を有する。庭5は、建物1が建てられる敷地6の角部7に設けられる。庭5は、建物本体10とフレーム20とによって囲まれるように構成される。フレーム20に植物18が配置されることによってグリーンウォール19が形成されると、庭5は、グリーンウォール19によって敷地6外から仕切られるようになり、中庭のような空間になる。
【0014】
具体的には、建物本体10は、敷地6内の庭5に面する第1面11と、第1面11に交差するように設けられて庭5に面する第2面12とを有する。第1面11は、東に向く。第2面12は南に向く。本実施形態において、「東」は、北東から南東までの範囲を含む。「南」は、南東から南西までの範囲を含む。第1面11および第2面12それぞれに開口部13,14が設けられる。一例では、第2面12は、第1面11に直交する。建物本体10には、第1面11および第2面12から太陽光が入る。
【0015】
図3に示されるように、建物1とフレーム20によって囲まれる庭空間は、上空に向かって開口する。建物1には、庭空間に突き出るようにベランダ17が設けられる。ベランダ17は、庭空間を通る橋を介してフレーム20に接続されてもよい。
【0016】
図4に示されるように、基礎2は、建物本体10を支持する第1基礎部3と、第1基礎部3に繋がってフレーム20を支持する第2基礎部4とを備える。第2基礎部4は、第1基礎部3と一体に構成されることが好ましい。庭5は、第1基礎部3と第2基礎部4とによって囲まれる部分に設けられる。
【0017】
フレーム20は、建物本体10の周囲に設置される。フレーム20は、建物本体10の外壁15に沿うように設けられてもよい。フレーム20は、庭5に沿うように設けられてもよい。本実施形態では、フレーム20は、建物1の庭5と敷地6外とを仕切るように設けられる。
【0018】
フレーム20は、建物本体10に接続される。好ましくは、フレーム20は、基礎2に固定される。具体的には、フレーム20は、第2基礎部4に固定され、かつ、建物本体10の梁16に接続される(図6図7参照)。
【0019】
図5図7を参照して、フレーム20の一例を説明する。図5は、フレーム20の平面図である。図6は、第1面11の開口部13から見た第1フレーム部21の正面図である。図7は、第2面12の開口部14から見た第2フレーム部22の正面図である。
【0020】
フレーム20は、基礎2に固定される複数の柱23と、複数の柱23のうちの2つの柱23の間に配置される複数の梁24とを備える。柱23は、H形鋼、I形鋼、T形鋼、山形鋼、溝形鋼、角形鋼管、または円形鋼管によって構成される。
【0021】
梁24の少なくとも1つは、建物本体10の外壁15に接続される。好ましくは、梁24の少なくとも1つは、建物本体10の梁16に接続される。
フレーム20は、建物1の第1面11に対向する第1フレーム部21と、建物1の第2面12に対向する第2フレーム部22とを備える。第1フレーム部21と第2フレーム部22とは、接続部材26(図5参照)によって接続される。
【0022】
第1フレーム部21は、2個の柱23と、2個の柱23を接続する5個の梁24とを備える。5個の梁24のそれぞれの間には、上下方向に延びるつなぎ材25が設けられる。2個の柱23の間には、メンテナンス用つなぎ材27が設けられる。5個の梁24のうち2つの梁24は、柱23から突き出るように構成されて、建物本体10の梁16に接続される。
【0023】
第2フレーム部22は、第1フレーム部21と同様に構成される。本実施形態では、第2フレーム部22は、2個の柱23と、5個の梁と、1つのメンテナンス用つなぎ材27とを備える。
【0024】
梁24は、プランターを配置可能に構成される。梁24は、プランターが入る溝を有することが好ましい。梁24は、梁24の長手方向に延びる底板部に対して垂直に延びる2つの縦壁を有することが好ましい。2つの縦壁は、長手方向に延びて、長手方向に垂直な方向に間隔をあけて配置される。例えば、梁24は、H形鋼、または溝形鋼によって構成される。
【0025】
図1に示されるように、フレーム20の最上部の位置は、最上階の一つ下の階の天井の位置よりも高い位置で、かつ、最上階の天井よりも低い位置に配置される。これによって、最上階の見晴らしを確保できる。
【0026】
本実施形態の作用を説明する。フレーム20が建物本体10に接続される。これによって、フレーム20が倒れ難くなる。好ましくは、フレーム20の柱23が、建物本体10の基礎2と一体に構成されている第2基礎部4に固定される。さらに、フレーム20の梁24が、建物本体10の梁16に接続される。これによって、基礎2、建物本体10とフレーム20とが構造的に一体になるため、フレーム20が倒れ難くなる。
【0027】
本実施形態の効果を説明する。
(1)植物18を配置できるフレーム20は、建物本体10に接続される。
この構成によれば、フレーム20が建物本体10に接続されているため、フレーム20の倒れを抑制できる。
【0028】
(2)フレーム20は、第2基礎部4に固定され、かつ、建物本体10の梁16に接続される。この構成によれば、建物1およびフレーム20の耐震性が向上する。
(3)建物本体10は、庭5に面する第1面11と、第1面11に交差するように設けられて庭5に面する第2面12とを有する。第1面11および第2面12それぞれに開口部13,14が設けられる。フレーム20は、建物1の第1面11に対向する第1フレーム部21と、建物1の第2面12に対向する第2フレーム部22とを備える。この構成によれば、建物1は、庭5に面する開口部13,14を有し、かつ、開口部13,14それぞれに対向するようにフレーム20が配置される。これによって、異なる方向から太陽光を建物1に採り入れることができ、建物1内に太陽光を採り入れることが出来る時間を長くできる。
【0029】
(4)フレーム20は、基礎2に固定される複数の柱23と、複数の柱23のうちの2つの柱23の間に配置される複数の梁24とを備える。梁24の少なくとも1つは、建物本体10の梁16に接続される。この構成によれば、フレーム20と建物1とが一体の構造体になるため、フレーム20を含めた建物1全体の耐震性を向上できる。
【0030】
(5)梁24は、プランターを配置可能に構成される。この構成によれば、蔓植物の他、蔓植物以外の植物18によってもグリーンウォール19を形成できる。また、プランターを交換することによって、グリーンウォール19を構成する植物の種類を簡単に変更できる。
【0031】
<変形例>
上記実施形態は、建物1が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。建物1は実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例の一例を示す。
【0032】
・本実施形態では、グリーンウォール19は、平面視でL字形状であるが、グリーンウォール19の形状はこれに限定されない。グリーンウォール19は、平面視で円弧状であってもよい。グリーンウォール19は、矩形から一辺が削除された形状に構成されてもよい。
【0033】
・グリーンウォール19は、建物本体10において、2階以上の部分に設けられてもよい。この場合、グリーンウォール19において、建物本体10の1階に対応する部分は、開放されてもよく、壁に構成されてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1…建物
2…基礎
3…第1基礎部
4…第2基礎部
5…庭
6…敷地
10…建物本体
11…第1面
12…第2面
13…開口部
14…開口部
16…梁
18…植物
20…フレーム
21…第1フレーム部
22…第2フレーム部
23…柱
24…梁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7