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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】電力変換システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240423BHJP
【FI】
H02M7/48 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020052421
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021153351
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】蛭間 淳之
(72)【発明者】
【氏名】久保 祐輝
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-095256(JP,A)
【文献】特開2002-272113(JP,A)
【文献】特開2015-192578(JP,A)
【文献】特開平09-037559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00-5/00
H02M3/00-3/44
H02M7/42-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源(11)に直流配電線(12)を介して接続され、入力された直流電力を変換して負荷(80、802)に供給する電力変換回路(72)、及び、前記電力変換回路の動作を制御する電力変換制御部(75、754)を備える電力変換器(70)と、
前記直流配電線と前記電力変換器との間に配置され、前記直流電源から印加される直流電圧(Vb)を安定化する電源安定化装置(20、204)と、
を含む電力変換システムであって、
前記電源安定化装置は、
トランスコア(33)、前記直流配電線と前記電力変換器との間に直列接続された一次巻線(31)、及び、前記トランスコアを介して前記一次巻線と磁気結合する二次巻線(32)を含むカレントトランス(30)と、
前記電力変換器に入力される直流電圧(Vinv)の変動成分を補償しつつ、前記一次巻線に流れる一次電流(Iaux)の直流電流成分による前記カレントトランスの直流偏磁を抑制するように、前記カレントトランスの電流制御を行う制御電源(50)と、
を備え、
前記制御電源は、
前記電力変換制御部が前記負荷への通電に係る制御演算に用いる制御情報から演算された電流情報又は電圧情報を取得し、前記電源安定化装置の制御情報として用いる電力変換システム。
【請求項2】
前記電源安定化装置は、前記電力変換器と同一の筐体(900)に収容されている請求項1に記載の電力変換システム。
【請求項3】
前記電力変換器の負荷は、表面磁石型のモータであり、
前記電力変換制御部または前記制御電源は、前記モータに通電されるq軸電流(Iq)に係数を乗じて前記一次電流の推定値(Iaux_est)を演算し、
前記制御電源は、前記一次電流の推定値を用いて前記カレントトランスの電流制御を行う請求項1または2に記載の電力変換システム。
【請求項4】
前記電力変換制御部または前記制御電源は、前記負荷に通電される電圧及び電流から前記電力変換器の電力(P)を算出し、前記電力変換器の電力を前記電力変換器に入力される直流電圧で除して前記一次電流の推定値(Iaux_est)を演算し、
前記制御電源は、前記一次電流の推定値を用いて前記カレントトランスの電流制御を行う請求項1または2に記載の電力変換システム。
【請求項5】
前記電源安定化装置(204)は、前記電力変換制御部(754)から取得した周波数情報に基づき、前記制御電源の制御遅れを補償する位相補償演算をさらに行う請求項1~4のいずれか一項に記載の電力変換システム。
【請求項6】
前記制御電源は、
前記電力変換器に入力される直流電圧のリップル電圧(Vinv_ac)を相殺するための電圧制御項(V*_v)、及び、前記一次巻線に流れる一次電流(Iaux)のうち前記一次巻線に直流起磁力を発生させる直流電流成分を相殺するように前記二次巻線に相殺電流(Ict)を注入するための電流制御項(V*_i)を演算し、
前記電圧制御項と前記電流制御項とを加算して得られた電圧指令値(Vout*)に基づいて出力電圧生成回路(52)を動作させることで、前記二次巻線に出力電圧(Vout)を印加する請求項1~5のいずれか一項に記載の電力変換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換器と電源安定化装置とを含む電力変換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電源と負荷との間に設けられ、電源の直流電圧のリップル成分を補償し、直流電圧を安定化させる装置が知られている。例えば特許文献1に開示された直流リアクトル装置は、直流リアクトル主巻線と、直流リアクトル鉄心を介して直流リアクトル主巻線と磁気的に結合する直流リアクトル補助巻線と、電圧源と、制御手段と、を備える。
【0003】
直流リアクトル主巻線は、交流電源を整流する整流回路と負荷側の平滑コンデンサとの間に接続されている。電圧源は、直流リアクトル補助巻線に接続され任意の電圧波形を発生する。制御手段は、直流リアクトルの磁気飽和を抑制するとともに直流リップルを補償するように電圧源を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-272113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、多相インバータやDC-DCコンバータ等の電力変換器に直流電圧を供給する電力変換システムを想定する。電力変換器の入力部において、特許文献1の技術のように3相交流電源をダイオード整流すると、直流電圧リップルが大きくなる。そこで、リップルを平滑し直流電圧を安定化するため、直流リアクトルと平滑コンデンサとからなるLCフィルタを用いることが多い。
【0006】
また、3相交流をダイオード整流する構成に限らず、直流電源に直流配電線を介して電力変換器が接続されたシステム構成において、電力変換器のスイッチング動作により高調波電流が発生する。この高調波電流が直流電源側のインダクタンス成分とキャパシタンス成分による共振現象を起こし直流電源が不安定になる場合がある。そのため、直流電源から印加される直流電圧を安定化する電源安定化装置を設けることが求められる。
【0007】
特許文献1の従来技術では、磁気飽和を抑制する制御を行うため、電流センサ(「直流一次巻線電流検出回路」)によりリップルを含む直流一次電流を検出して直流リアクトル装置の電圧源を制御していた。しかしながら、負荷の全電流が流れる直流一次電流の検出には、大電流を検出可能な大型の電流センサが必要となり、装置の大型化や重量増加を招くこととなる。また、一次電流の電流センサに限らず、電力変換器に入力される直流電圧の変動抑制のための電圧センサを電源安定化装置に設ける場合にも同様に、部品点数の増加や装置の大型化の問題が生じる。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、電源安定化装置用のセンサを減らし、部品低減及び装置の小型化を実現する電力変換システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電力変換システムは、電力変換器(70)と電源安定化装置(20、204)とを含む。電力変換器は、直流電源(11)に直流配電線(12)を介して接続され、入力された直流電力を変換して負荷(80、802)に供給する電力変換回路(72)、及び、電力変換回路の動作を制御する電力変換制御部(75、754)を備える。電源安定化装置は、直流配電線と電力変換器との間に配置され、直流電源から印加される直流電圧(Vb)を安定化する。
【0010】
電源安定化装置は、カレントトランス(30)と、制御電源(50)とを備える。カレントトランスは、トランスコア(33)、直流配電線と電力変換器との間に直列接続された一次巻線(31)、及び、トランスコアを介して一次巻線と磁気結合する二次巻線(32)を含む。
【0011】
制御電源は、電力変換器に入力される直流電圧(Vinv)の変動成分を補償しつつ、一次巻線に流れる一次電流(Iaux)の直流電流成分によるカレントトランスの直流偏磁を抑制するように、カレントトランスの電流制御を行う。制御電源は、「電力変換制御部が負荷への通電に係る制御演算に用いる制御情報」から演算された電流情報又は電圧情報を取得し、電源安定化装置の制御情報として用いる。
【0012】
例えば電力変換器から負荷に通電される電圧及び電流から算出された電力値を、電力変換器に入力される直流電圧で除することで、一次電流の推定値が算出される。この一次電流推定値を制御電源が取得することで、一次電流を検出する大電流用の電流センサを電源安定化装置に設ける必要が無くなる。したがって、電源安定化装置の部品を低減し、小型化することができる。
【0013】
また、本発明の電力変換システムにおいて、電源安定化装置は、電力変換器と同一の筐体(900)に収容されていることが好ましい。電力変換器と電源安定化装置とを一体に構成することで、信号伝送に係るワイヤハーネスやコネクタを廃止し、部品低減及び小型化をより実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1、第3実施形態による電力変換システムの全体構成図。
図2】制御電源の構成例の図。
図3】安定化制御回路の制御ブロック図。
図4】第1実施形態による一次電流推定演算の構成を示す制御ブロック図。
図5】第2実施形態による電力変換システムの全体構成図。
図6】第2実施形態による一次電流推定演算の構成を示す制御ブロック図。
図7】第3実施形態による一次電流推定演算の構成を示す制御ブロック図。
図8】第4実施形態による電力変換システムの全体構成図。
図9】第4実施形態において電力変換制御部の周波数情報を電源安定化装置の位相補償演算に用いる構成を示す制御ブロック図。
図10】位相補償演算部の制御ブロック図。
図11】電力変換システムにおける背景技術を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による電力変換システムの複数の実施形態を図面に基づいて説明する。複数の実施形態で実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。第1~第4実施形態を包括して「本実施形態」という。第1実施形態の図1に示すように、電力変換システム90は、直流配電系統における電力変換器70及び電源安定化装置20を含む。
【0016】
電力変換器70は、直流電源11に直流配電線12を介して接続され、入力された直流電力を変換して負荷に供給する電力変換回路72、及び、電力変換回路72の動作を制御する電力変換制御部75を備える。本実施形態では、「電力変換回路」は3相インバータ回路72であり、「負荷」は3相モータ80である。電源安定化装置20は、直流配電線12と電力変換器70との間に直列に配置され、直流電源11から印加される直流電圧Vbを安定化する。電源安定化装置20を直列配置とする構成では、電源安定化装置20による直流電源11の分担電圧が少なくて済み、装置容量を低減可能である。
【0017】
(背景技術)
本実施形態の説明に先立ち、図11を参照して背景技術を説明する。一般の電力変換システム99は、直流電源11、直流配電線12、及び、一つ又は複数の電力変換器70で構成される。図11に例示する電力変換器70は、インバータ回路72により直流電力を3相交流電力に変換し、3相モータ80のU相、V相、W相巻線81、82、83に通電する。以下、電力変換器70のインバータ回路72に入力される直流電圧を「インバータ入力電圧Vinv」と記す。電力変換器70は、インバータ入力電圧Vinvを平滑化するため、入力側に平滑コンデンサ71Cを内蔵することが多い。
【0018】
また、電力変換器によってはインダクタンス成分L及び抵抗成分Rを有するリアクトル71Lが追加され、LCフィルタ710が構成される。一方、直流配電線12は配線インダクタンスL及び配線抵抗Rを有する。こうして、平滑コンデンサ71CのC成分と配線12やリアクトル71LのL成分でLC共振回路が形成される。
【0019】
電力変換器70においてパワー素子のスイッチング動作に伴って高調波電流が発生すると、これが加振源となりLC共振を引き起こす場合がある。或いは、電力変換器が定電力制御されると負性抵抗特性となり、負荷変動等をきっかけに共振が励起されるおそれがある。共振現象が起きると直流配電線12のインピーダンス降下で直流電圧Vbが大きく変動したり、過大な共振電流が流れ、過電圧や過電流を引き起こしたりする。複数の電力変換器70が直流配電線12に接続された場合、さらに高次の複雑なLC共振特性となる。そこで、電源安定化装置により直流電圧Vbの変動を抑制し、インバータ入力電圧Vinvを安定化することが求められる。
【0020】
直流電源安定化に関する従来文献として特許文献1(特開2002-272113号公報)には、「電源安定化装置」に相当する直流リアクトル装置が開示されている。例えば特許文献1の図4に記載の直流リアクトル装置では、一次巻線電流Idc1(19)及び二次巻線電流Idc2(20)を検出し、一次巻線電流Idc1の直流成分を二次巻線電流Idc2に重畳してリアクトルの直流偏磁を相殺するように制御する。しかしながら、負荷の全電流が流れる一次巻線電流Idc1の検出には、大電流を検出可能な大型の電流センサが必要となり、装置の大型化や重量増加を招くという問題があった。
【0021】
そこで本実施形態では、電力変換器70において「モータ80への通電に係る制御演算に用いる制御情報から演算された電流情報又は電圧情報」を、電源安定化装置の制御情報として用いるシステム構成を提供する。本実施形態では、一次巻線に流れる一次電流を推定演算により求めることで、大電流用の電流センサを電源安定化装置に設ける必要が無くなる。続いて、各実施形態の詳細な構成について説明する。
【0022】
(第1実施形態)
図1図4を参照し、各実施形態に共通する構成、及び、第1実施形態による一次電流推定演算の構成について説明する。図1に電力変換システム90の全体構成を示す。上述の通り、電力変換システム90は電源安定化装置20及び電力変換器70を含む。電源安定化装置20には直流配電線12を介して直流電源11から直流電圧Vbが印加される。電力変換器70のインバータ回路72にはインバータ入力電圧Vinvが印加される。
【0023】
電源安定化装置20は、カレントトランス30及び制御電源50を備える。カレントトランス30は、トランスコア33、一次巻線31及び二次巻線32を含む。一次巻線31は、直流配電線12と電力変換器70との間に直列接続されている。二次巻線32は、制御電源50に接続されており、トランスコア33を介して一次巻線31と磁気結合する。なお、ここでは説明を簡単にするため、カレントトランス30の巻数比は1:1とする。巻数比が1:nの場合、その巻数比に応じて電圧、電流を換算すればよい。
【0024】
直流電源11から電力変換器70への経路である一次巻線31には、直流電流成分とリップル電流成分との両方を含んだ一次電流Iauxが流れる。一次電流Iauxの直流電流成分はトランスコア33を直流偏磁させ、電源安定化制御ができなくなる。また、トランスコア33の磁束密度が増加し、必要な寸法が大きくなる。
【0025】
制御電源50は、インバータ入力電圧Vinvの変動成分を補償しつつ、一次電流Iauxの直流電流成分によるカレントトランス30の直流偏磁を抑制するように、カレントトランス30の電流制御を行う。一次電流Iauxの直流電流成分を相殺し、カレントトランス30の直流偏磁を抑制するために制御電源50の出力電圧Voutによって二次巻線32に注入される電流を相殺電流Ictという。制御電源50の詳細な制御構成は、図2図3を参照して後述する。
【0026】
電力変換器70は、インバータ回路72、平滑コンデンサ71C、インバータ入力電圧Vinvを検出する電圧センサ73、相電流Iu、Ivを検出する電流センサ74、及び電力変換制御部75等を備える。電圧センサ73が検出したインバータ入力電圧Vinv、電流センサ74が検出した相電流Iu、Iv、及び、モータ80に設けられた回転角度センサ85が検出したロータ回転角度θは、電力変換制御部75に入力される。
【0027】
相電流の検出構成に関し、図1の例では、U相巻線81及びV相巻線82に設けた2つの電流センサ74で2相(U相及びV相)の電流Iu、Ivを検出し、他の1相(W相)の電流Iwをキルヒホッフの法則(すなわち3相電流和=0)により算出する。その他の構成として、3相全ての電流を検出してもよい。或いは、インバータ回路72の各相下アーム素子と低電位側線との間にシャント抵抗を配置し、3シャント方式で電流検出してもよい。また、全相を一括したバスラインにシャント抵抗を配置し、1シャント方式で相電流を検出してもよい。
【0028】
電力変換制御部75は、入力情報に基づく電流フィードバック制御等の制御演算により、インバータ回路72を動作させるゲート信号を生成する。また、電力変換制御部75は、「モータ80への通電に係る制御演算に用いる制御情報」から「電流情報」である一次電流推定値Iaux_estを演算し、「電圧情報」であるインバータ入力電圧Vinvと共に電源安定化装置20の制御電源50に伝送する。電力変換制御部75の詳細な制御構成は、図4を参照して後述する。
【0029】
加えて本実施形態では、電源安定化装置20と電力変換器70とは、太い一点鎖線で示すように、同一の筐体900に収容されている。仮に電源安定化装置20と電力変換器70とが別の筐体に収容される場合、一次電流推定値Iaux_est等の信号を電力変換制御部75から制御電源50に伝送するためのワイヤハーネスやコネクタが必要になる。
【0030】
そこで、電源安定化装置20と電力変換器70とを同一の筐体に収容し一体に構成することで、信号伝送に係るワイヤハーネスやコネクタを廃止し、部品低減及び小型化をより実現することができる。さらに同一筐体内において制御電源50及び電力変換制御部75を同一基板に実装したり、マイコンや電源回路を共用したりすることで、より一体化を進め、大幅な小型化が実現可能となる。
【0031】
次に図2図3を参照し、電源安定化装置20の制御電源50、及びカレントトランス30の二次巻線32部分の構成について説明する。制御電源50は、動作電源51、出力電圧生成回路52、及び、安定化制御回路60を含む。動作電源51は、図2に示すように専用の直流電源で構成されてもよい。或いは、直流配電線12から分岐された配電線に接続されることで、直流電源11の直流電圧Vbが利用されてもよい。
【0032】
出力電圧生成回路52は、安定化制御回路60からの指令に従って動作し、二次巻線32に印加される出力電圧Voutを生成する。出力電圧生成回路52は、高速にPWM制御された単相インバータ回路等で構成され、必要に応じてLCフィルタが追加される。単相インバータ回路の複数のスイッチング素子がPWM制御により高速スイッチング動作することで、動作電源51の電源電圧Estbを変換して出力電圧Voutを生成する。
【0033】
安定化制御回路60は、インバータ入力電圧Vinv、動作電源51の電源電圧Estb、相殺電流Ict及び一次電流Iauxに基づき、出力電圧生成回路52をPWM制御するためのデューティ比Dを演算する。図3に安定化制御回路60の演算構成を示す。安定化制御回路60は、電圧制御ブロック61、電流制御ブロック62、加算器63及び除算器64を含む。
【0034】
電圧制御ブロック61は直流電圧リップルを相殺する出力電圧Voutを発生させるための電圧制御項V*_vを演算する。図3に示すフィードバック制御構成の電圧制御ブロック61は、ハイパスフィルタ(図中及び以下「HPF」)611及びゲイン乗算器613を含む。HPF611は、リップル電圧を含んだインバータ入力電圧Vinv中の直流成分をカットし、リップル電圧成分Vinv_acを抽出する。
【0035】
ゲイン乗算器613は、リップル電圧成分Vinv_acにゲインKpvを乗じて電圧制御項V*_vとして演算する。
【0036】
電流制御ブロック62はカレントトランス30の直流電流成分を制御し直流偏磁を抑制するための電流制御項V*_iを演算する。図3に示す電流制御ブロック62は、ローパスフィルタ(図中及び以下「LPF」)621、624、偏差算出器622、及び電流制御器623を含む。LPF621には一次電流Iauxが入力される。LPF624には相殺電流Ictが入力される。本実施形態では、一次電流Iauxは電流センサの検出値でなく、電力変換制御部75の制御情報から演算された一次電流推定値Iaux_estが用いられる。
【0037】
LPF621は、一次電流Iaux中の直流電流成分以外をカットし、直流電流成分Ict*を出力する。LPF624は、相殺電流Ict中の直流電流成分以外をカットし、直流電流成分Ict_dcを出力する。偏差算出器622は、一次電流の直流電流成分Ict*と、実際に検出された相殺電流の直流電流成分Ict_dcとの電流偏差を算出する。電流制御器623は、電流偏差に比例制御のゲインKpiを乗じて電流制御項V*_iを演算する。ゲインKpiには、電流次元の値を電圧次元に変換する抵抗次元の係数が含まれる。或いは、比例制御に積分制御を加えた比例積分制御により電流制御項V*_iが演算されてもよい。なお、積分制御ブロックの図示を省略する。
【0038】
加算器63は、電圧制御項V*_vと電流制御項V*_iとを加算し、出力電圧生成回路52の電圧指令値Vout*を算出する。除算器64は、電圧指令値Vout*を動作電源51の電源電圧Estbで除算することで出力電圧生成回路52のデューティ比Dを演算する。出力電圧生成回路52がデューティ比Dに基づくPWM制御により動作すると、出力電圧Voutがカレントトランス30の二次巻線32に印加される。
【0039】
電圧指令値Vout*の電圧制御項V*_vが出力電圧Voutに反映されることで、一次巻線31においてインバータ入力電圧Vinvに含まれるリップル電圧に相当する出力電圧Voutが発生し、インバータ入力電圧Vinvの変動成分が補償される。
【0040】
さらに電圧指令値Vout*の電流制御項V*_iが出力電圧Voutに反映されることで、二次巻線32に相殺電流Ictを重畳させる磁束成分が供給される。したがって、二次巻線32に流れる相殺電流Ictにより、カレントトランス30の一次巻線31に発生する直流磁束成分が相殺される。
【0041】
このように電源安定化装置20の制御電源50は、インバータ入力電圧Vinvの変動成分を補償しつつ、一次電流Iauxの直流電流成分によるカレントトランス30の直流偏磁を抑制するように、カレントトランス30の電流制御を行う。これにより、直流電圧Vbが安定化される。また、カレントトランス30の直流偏磁が抑制され、カレントトランス30の小型化が可能となる。
【0042】
ここで、仮に電流制御ブロック62の制御応答が電圧制御ブロック61の制御応答よりも早いと、カレントトランス30内の磁束が常にゼロに制御されるため、出力電圧Voutを適切に発生させることできなくなる。すなわち、リップル電圧相殺と直流磁束制御との制御干渉が生じる。そこで、電圧制御ブロック61の制御応答が電流制御ブロック62の制御応答より早くなるように構成されることで、制御干渉が防止される。
【0043】
以上のように、制御電源50の制御演算には一次電流Iaux及び相殺電流Ictの情報が必要であり、それらを検出する場合、電流センサが必要となる。特に一次巻線31は電力変換器70の大電力の電流が流れるため、一般に巻数が少なく設計される。そのため、一次巻線31は線径が太くなり、電流センサのコアも大きくなる。したがって、電源安定化装置20が大型化するという課題が生じる。
【0044】
そこで制御電源50は、電力変換制御部75の制御情報から演算された電流情報である一次電流推定値Iaux_estを取得してカレントトランス30の電流制御を行う。これにより、電源安定化装置20に一次電流Iauxを検出する電流センサが不要となる。また、制御電源50は、電力変換制御部75の制御情報から演算された電圧情報であるインバータ入力電圧Vinvを取得してカレントトランス30の電流制御を行う。これにより、電源安定化装置20にインバータ入力電圧Vinvを検出する電圧センサが不要となる。なお、インバータ入力電圧Vinvについては、電圧センサ73の検出値がそのまま伝送されたとしても、例えば「インバータ入力電圧Vinvを1倍する」という演算がされた電圧情報であると解釈する。
【0045】
次に図4を参照し、電力変換制御部75の一般構成、及び、第1実施形態の一次電流推定部771による一次電流推定値Iaux_estの演算構成について説明する。電力変換制御部75は、ベクトル制御による電流フィードバック制御、且つPWM制御によってインバータ回路72の出力を制御し、モータ80を駆動する。つまり電力変換制御部75は、相電流センサ74によって検出されたモータ80の相電流を回転座標系のdq軸電流に座標変換し、dq軸電流指令値との偏差を0に近づけるように電圧指令値を演算する。そして電力変換制御部75は、PWM制御により電圧指令値からゲート信号を生成し、インバータ回路72のスイッチング素子を動作させる。
【0046】
詳しくは、電力変換制御部75は、電流指令部761、座標変換部762、電流制御器763、座標変換部764、キャリア周波数設定部765、ゲートドライブ部766等を含む。電流指令部761は、外部の上位制御回路等からの指令に基づき、dq軸電流指令値Id*、Iq*を演算する。座標変換部762は、ロータ回転角度θを用いて相電流Iu、Ivを、励磁電流であるd軸電流Id、及び、トルク電流であるq軸電流Iqに変換する。電流制御器763は、検出電流Id、Iqと電流指令値Id*、Iq*との偏差を0に近づけるように、PI演算等によりdq軸電圧指令値Vd*、Vq*を演算する。
【0047】
座標変換部764は、ロータ回転角度θを用いてdq軸電圧指令値Vd*、Vq*を3相電流指令値Vu*、Vv*、Vw*に変換する。キャリア周波数設定部765は、PWM制御のキャリア周波数fcを設定する。キャリア周波数fcは、例えばロータ回転速度に依らず一定でもよいし、ロータ回転速度に応じて可変に設定されてもよい。ゲートドライブ部766は、3相電流指令値Vu*、Vv*、Vw*から算出された各相のデューティ比をキャリアと比較し、インバータ回路72のゲート信号を生成する。
【0048】
さらに第1実施形態の一次電流推定部771は、dq軸の検出電流Id、Iq、及び、電圧指令値Vd*、Vq*から、式(1)により、電力変換器70の電力Pを算出する。ここで、電流制御の応答が十分早ければ、検出電流Id、Iqに代えて電流指令値Id*、Iq*を用いてもよい。
P=Vd*×Id+Vq*+Iq ・・・(1)
【0049】
次に一次電流推定部771は、得られた電力変換器70の電力Pをインバータ入力電圧Vinvで除することで、電力変換器70に流れ込む一次電流の推定値Iaux_estを演算する。
Iaux_est=P/Vinv ・・・(2)
【0050】
一次電流推定値Iaux_estは、電力変換制御部75から制御電源50に出力される。ここで、式(2)の演算結果は瞬時値であり、且つ、電力変換器70のスイッチング素子の損失を含んでいない。そのため、一次電流Iauxとして使用するにあたり、LPF処理してリップル電流成分を除去したり、ゲインを乗じてスイッチング素子の損失補正を行ったりしてもよい。また、一次電流推定値Iaux_estに加え、電圧センサ73で検出されたインバータ入力電圧Vinvが制御電源50に出力される。
【0051】
(第1実施形態の効果)
[1]電力変換システム90において、電源安定化装置20の制御電源50は、「電力変換制御部75がモータ80への通電に係る制御演算に用いる制御情報」から演算された電流情報又は電圧情報を取得し、電源安定化装置20の制御情報として用いる。具体的に制御電源50は、一次電流推定値Iaux_est及びインバータ入力電圧Vinvを取得する。これにより、一次電流Iauxを検出する大電流用の電流センサやインバータ入力電圧Vinv検出用の電圧センサを電源安定化装置20に設ける必要が無くなる。したがって、電源安定化装置20の部品を低減し、小型化することができる。
【0052】
[2]電源安定化装置20は、電力変換器70と同一の筐体900に収容されている。これにより、電力変換制御部75から制御電源50への信号伝送に係るワイヤハーネスやコネクタを廃止し、部品低減及び小型化をより実現することができる。
【0053】
[3]制御電源50の安定化制御回路60は、インバータ入力電圧Vinvのリップル電圧Vinv_acを相殺するための電圧制御項V*_v、及び、一次電流Iauxのうち一次巻線31に直流起磁力を発生させる直流電流成分を相殺するように二次巻線32に相殺電流Ictを注入するための電流制御項V*_iを演算する。そして安定化制御回路60は、電圧制御項V*_vと電流制御項V*_iとを加算して得られた電圧指令値Vout*に基づいて出力電圧生成回路52を動作させることで、二次巻線32に出力電圧Voutを印加する。これにより制御電源50は、インバータ入力電圧Vinvの変動成分を補償しつつ、カレントトランス30の直流偏磁を抑制することができる。
【0054】
(第2実施形態)
次に図5、6を参照し、第2実施形態について説明する。図5に示すように、第2実施形態では電力変換器70が駆動するモータがSPM(Surface Permanent Magnet)、すなわち表面磁石型のモータ802である。その他、図5図1と同じである。SPMモータでは基本的にd軸電流Idが「Id=0」に制御される。そのため、図6に示すように、一次電流推定部772はトルク電流であるq軸電流Iqのみを取得し、式(3)により、q軸電流Iqに係数kを乗じて一次電流推定値Iaux_estを演算する。
Iaux_est=k×Iq ・・・(3)
【0055】
第1実施形態と同様に、制御電源50は、電力変換制御部75から伝送された一次電流推定値Iaux_estを用いてカレントトランス30の電流制御を行う。第2実施形態では、電力変換器70が駆動するモータをSPMモータに限定することで、一次電流推定演算における電力Pの演算が不要となり、演算を簡素化することができる。
【0056】
(第3実施形態)
次に図7を参照し、第3実施形態について説明する。電力変換システム90の全体構成は第1実施形態の図1と同じである。一次電流推定部773は、モータ80の各相電流Iu、Iv、Iwと各相電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*とに基づいて、式(4)により、3相電力Pを算出する。なお、電流センサ74で2相の電流を検出する場合、他の1相の電流は、キルヒホッフの法則により算出される。例えばW相電流Iwは、U相電流Iu及びV相電流Ivから、「Iw=-Iu-Iv」で求められる。
P=Vu*×Iu+Vv*×Iv+Vw*×Iw ・・・(4)
【0057】
各相電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*に代えて、直接相電圧を検出しLPFで処理した電圧値が用いられてもよい。その後、第1実施形態と同様に、式(2)により電力Pをインバータ入力電圧Vinvで除して一次電流推定値Iaux_estが演算される。なお、図7の電力変換制御部75は、第1実施形態と同様に座標変換部762、764を有しベクトル制御を行うものであるが、第3実施形態の一次電流推定は、座標変換によるベクトル制御を行わない電力変換制御部にも適用可能である。
【0058】
(第4実施形態)
次に図8図10を参照し、第4実施形態について説明する。電源安定化装置20は、電力変換器70が発生する高い周波数の電圧を補償するため、制御電源50の絶縁回路や駆動素子の遅れ時間、マイコンの演算時間等が無駄時間となり、制御性能を悪化させる。制御性能を改善するためにはこれらの無駄時間分だけ指令値Vinvを進み補償する必要がある。しかし、電力変換器70によって発生する電圧は、複数の周波数スペクトルが含まれる。各々の周波数スペクトルは無駄時間に相当する遅れ位相角が異なるため各周波数に応じて位相補償を行う必要がある。
【0059】
これに対応するための制御構成として、第4実施形態の電源安定化装置204は、第1実施形態の電源安定化装置20の構成に加え、位相補償演算部55を有する。また、第4実施形態の電力変換制御部754は、モータ80のロータ回転角度θを微分してモータ回転速度fmを算出する微分器767を有する。
【0060】
位相補償演算部55には、インバータ入力電圧Vinv、モータ回転速度fm及びキャリア周波数fcが入力される。モータ回転速度fm及びキャリア周波数fcは、電力変換器70の制御情報のうち、「周波数情報」に相当する。電源安定化装置204は、電力変換制御部754から取得した周波数情報に基づき、制御電源50の制御遅れを補償する位相補償演算をさらに行う。
【0061】
電力変換器70で発生する高調波電流スペクトルの中心周波数fnは、電力変換器70のモータ回転数fm、キャリア周波数fc、及び、3相変調、2相変調等の変調方式に基づき、式(5)に示される離散スペクトルで一義的に決定される。式(5)のA、Bは正の整数である。
fn=fm×A±fc×B ・・・(5)
【0062】
このように、周波数スペクトルが離散スペクトルで一義的に決定されることから、各周波数スペクトルに適応するバンドパスフィルタを設け、周波数スペクトル毎に位相進み補償を行うことで無駄時間の補償ができる。図10に示すように、位相補償演算部55は、周波数抽出演算部56、複数のバンドパスフィルタ(図中「BPF」)571、572、573・・・、複数の無駄時間進み補償部581、582、583・・・及び加算器59を含む。周波数抽出演算部56は、式(5)により、周波数スペクトルの中心周波数fn(n=1、2、3・・・)を演算する。
【0063】
検出されたインバータ入力電圧Vinvのリップル成分は、複数のバンドパスフィルタ571、572、573・・・で離散的な周波数スペクトルに分離される。バンドパスフィルタ571、572、573・・・の中心周波数fnは、式(5)で表されるモータ回転速度fm及びキャリア周波数fcに応じて可変である。各周波数スペクトルに分離された信号は、複数の無駄時間進み補償部581、582、583・・・において周波数毎に無駄時間に相当する遅れ位相分が進み位相補償される。
【0064】
そして、補償された各周波数スペクトルの信号が加算器59で再び合算され、出力電圧基準値Vout_refが算出される。出力電圧基準値Vout_refは制御電源50に出力され、出力電圧Voutの補償指令値となる。すなわち、図3の電圧制御ブロック61におけるリップル電圧成分Vout*に置き換わる。図8図9では便宜上、位相補償演算部55を制御電源50の外に図示しているが、位相補償演算部55が図2の安定化制御回路60に含まれると解釈してもよい。
【0065】
第4実施形態では、電力変換制御部754から取得した周波数情報に基づき、制御電源50の制御遅れを補償することで、電源安定化装置20の制御性能を改善することができる。なお、図10の構成に対しバンドパスフィルタの構成段数を低減するため、バンドパスフィルタの通過帯域幅を広くし、隣接した複数の周波数スペクトルを一括して無駄時間補償してもよい。補償性能は多少低下するが、演算は簡素化される。
【0066】
(その他の実施形態)
(a)電力変換器70の駆動対象であるモータ80は、3相モータに限らず、単相、2相、又は4相以上の多相モータでもよい。また、電力変換器70はモータ80を駆動するものに限らず、モータ以外の負荷に電力供給してもよい。電力変換器70の電力変換回路72は一つのインバータ回路で構成されるものに限らず、複数のインバータ回路で構成されてもよい。また、電力変換器70は、制御情報から演算された電流情報又は電圧情報を制御電源50に出力可能であればよく、電力変換回路72はインバータ回路に限らずDC-DCコンバータ等であってもよい。
【0067】
(b)上述の通り、電源安定化装置20は電力変換器70と同一の筐体900に収容され、一体に構成されることが好ましい。ただし、本発明の電力変換システム90は、電源安定化装置20と電力変換器70とがそれぞれ別の筐体に収容され、各筐体間で制御情報が通信されるようにしてもよい。その場合、ワイヤハーネスやコネクタの部品が必要となるが、電流センサや電圧センサに比べて搭載スペースや部品費に占める割合は小さいためトータルメリットは確保される。また、既存の装置を改修する場合にも有効である。
【0068】
(c)上記実施形態の各ブロック図では、電力変換制御部75の内部に一次電流推定部771~773が図示されているが、制御電源50側で一次電流推定演算を実施してもよい。また、第1、第3実施形態において、電力Pの演算を電力変換制御部75側で行い、電力Pをインバータ入力電圧Vinvで除する演算を制御電源50側で実施してもよい。特に基板やマイコンが共用される構成では、演算の主体に実質的な区別はない。
【0069】
(d)上記実施形態では制御電源50が電力変換制御部75から一次電流推定値Iaux_est及びインバータ入力電圧Vinvの両方を取得するため、電源安定化装置20には一次電流の電流センサ及びインバータ入力電圧の電圧センサがいずれも不要である。これに対し、制御電源50が電力変換制御部75から一次電流推定値Iaux_est又はインバータ入力電圧Vinvのうち一方のみを取得し、他方を検出するための電流センサ又は電圧センサを電源安定化装置20に設けてもよい。例えば制御電源50が一次電流推定値Iaux_estのみを取得し、電源安定化装置20に電圧センサを設ける構成においても、大電流用の電流センサを省略することによる小型化の効果が得られる。
【0070】
(e)制御電源50の出力電圧生成回路52は、図2に例示する構成に限らず、特許文献1に開示されたチョッパ回路等を用いてもよい。また、出力電圧生成回路52の動作方式はデューティ比DによるPWM制御方式に限らず、どのような方式で出力電圧Voutを生成してもよい。
【0071】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【0072】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0073】
11・・・直流電源、 12・・・直流配電線、
20、204・・・電力変換システム、
30・・・カレントトランス、
31・・・一次巻線、 32・・・二次巻線、 33・・・トランスコア、
50・・・制御電源、
70・・・電力変換器、
72・・・インバータ回路(電力変換回路)、 75・・・電力変換制御部、
80、802・・・モータ(負荷)、
90・・・電力変換システム、 900・・・筐体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11