(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】ビル管理データ処理装置、ビル管理データ処理方法、およびビル管理データ処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240423BHJP
G06Q 50/163 20240101ALI20240423BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06Q50/163
(21)【出願番号】P 2020078036
(22)【出願日】2020-04-27
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西野 隆久
(72)【発明者】
【氏名】川西 康友
(72)【発明者】
【氏名】島川 智行
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-115589(JP,A)
【文献】特開平10-320035(JP,A)
【文献】特開2003-022308(JP,A)
【文献】特開平10-275013(JP,A)
【文献】特開2004-003852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビル設備機器の状態を示すシステムデータ、および前記ビル設備機器を作業員が点検した設備点検データを収集する収集部と、
前記ビル設備機器について、サービスの提供元にかかる提供元関連項目と、サービスの提供先にかかる提供先関連項目とを示す分類情報を用いて、前記システムデータと前記設備点検データを統合する統合部と、を備えたビル管理データ処理装置。
【請求項2】
前記提供元関連項目は、前記ビル設備機器が設置されているフロアを示す第1フロア情報、前記ビル設備機器が設置されている設置場所情報、提供するサービスの用途を示す用途情報、および提供するサービスの種別を示す種別情報を含み、
前記提供先関連項目は、サービスが提供されるフロアを示す第2フロア情報、サービスが提供される場所の種別を示す提供先場所種別情報、およびサービスが提供される場所を示す提供先場所情報を含む、
請求項1に記載のビル管理データ処理装置。
【請求項3】
前記収集部は、前記システムデータ、および前記設備点検データに加えて、前記ビル設備機器の管理に用いる設備台帳データを収集し、
前記分類情報は、前記設備台帳データに含まれる、請求項1、または2に記載のビル管理データ処理装置。
【請求項4】
ビル設備機器の状態を示すシステムデータ、および前記ビル設備機器を作業員が点検した設備点検データを収集する収集ステップと、
前記ビル設備機器について、サービスの提供元にかかる提供元関連項目と、サービスの提供先にかかる提供先関連項目とを示す分類情報を用いて、前記システムデータと前記設備点検データを統合する統合ステップと、をコンピュータが実行するビル管理データ処理方法。
【請求項5】
ビル設備機器の状態を示すシステムデータ、および前記ビル設備機器を作業員が点検した設備点検データを収集する収集ステップと、
前記ビル設備機器について、サービスの提供元にかかる提供元関連項目と、サービスの提供先にかかる提供先関連項目とを示す分類情報を用いて、前記システムデータと前記設備点検データを統合する統合ステップと、をコンピュータに実行させるビル管理データ処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビル設備機器の運用、維持、保守管理にかかるデータを収集し、処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビル設備機器(配電設備機器、空調設備機器、照明設備機器、給排水設備機器、消火設備機器等)の運用、維持、保守管理にかかる人手を抑えるため、上位装置で各ビル設備機器の状態(消費電力、出力電圧等)や周辺環境(温度、湿度、照度等)等をセンサで計測した計測値をシステムデータとして収集し、また、上位装置から各ビル設備機器に対して制御指令を送出する監視制御システムが実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
なお、センサは、ビル設備機器に内蔵されているものもあれば、ビル設備機器の周辺に取り付けられているものもある。
【0004】
上記のシステムにおいて、ビル設備機器と、上位装置との間のデータ通信で利用されるプロトコルには、BACnet(Building Automation and Control Network)がある。BACnetは、ビル設備機器がメーカーの独自の通信仕様であっても、相互接続できるように標準化されたプロトコルである。
【0005】
また、複数のビル間で同じビル設備機器のシステムデータの比較、分析が行えるように、ビル設備機器名、データ名等の命名方法等を規定したプラットホームとしてTSC21や、ロングライフビル推進協会(BELCA)が規定している分類名、分類コードがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の監視制御システムでは、作業員が現場で点検したビル設備機器の点検結果(設備点検データ)をシステムデータに統合し、ビル設備機器の運用、維持、保守管理が行われていなかった。言い換えれば、従来のビル設備機器の運用、維持、保守管理では、作業員が現場で点検したビル設備機器の点検結果と、システムデータとが個別に用いて行われていた。
【0008】
そして、ビル設備機器の運用、維持、保守管理において、設備点検データとシステムデータとが統合されていないことで、例えば、ビル設備機器が空調機であれば、空調機本体の設備点検データと、この空調機によって調整される室内環境を計測したシステムデータとを関連付けた運用、維持、保守管理を行うことができなかった。
【0009】
この発明の目的は、作業員が現場で点検したビル設備機器の点検結果をシステムデータに統合し、ビル設備機器の運用、維持、保守管理が効率的に行える技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のビル管理データ処理装置は、上記目的を達成するため以下に示すように構成している。
【0011】
収集部が、ビル設備機器の状態を示すシステムデータ、およびビル設備機器を作業員が点検した設備点検データを収集する。統合部が、ビル設備機器について、サービスの提供元にかかる提供元関連項目と、サービスの提供先にかかる提供先関連項目とを示す分類情報を用いて、システムデータと設備点検データを統合する。ここで言うサービスとは、空調、照明、給水、排水等である。
【0012】
また、提供元関連項目は、例えば、ビル設備機器が設置されているフロアを示す第1フロア情報、ビル設備機器が設置されている設置場所情報、提供するサービスの用途を示す用途情報、および提供するサービスの種別を示す種別情報である。また、提供先関連項目は、例えば、サービスが提供されるフロアを示す第2フロア情報、サービスが提供される場所の種別を示す提供先場所種別情報、およびサービスが提供される場所を示す提供先場所情報である。
【0013】
この構成では、作業員が現場で点検したビル設備機器が、例えば屋上に設置されている空調機本体であり、この空調機本体によって室内環境が調整される2階のオフィスである場合、空調機本体の設備点検データと、この空調機本体によって調整される室内環境を計測したシステムデータとを統合し、ビル設備機器の運用、維持、保守管理が効率的に行える。
【0014】
また、収集部が、例えば、システムデータ、および設備点検データに加えて、ビル設備機器の管理に用いる設備台帳データを収集する構成にしてもよい。この場合、分類情報は、設備台帳データに含ませておけばよい。
【0015】
このように構成すれば、分類情報を作成する人手を削減できる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、作業員が現場で点検したビル設備機器の点検結果をシステムデータに統合し、ビル設備機器の運用、維持、保守管理が効率的に行える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】ビル管理システムの構成を示す概略図である。
【
図2】
図2(A)はシステムデータを示す図であり、
図2(B)は設備点検データを示す図であり、
図2(C)は設備台帳データを示す図である。
【
図3】
図3(A)は提供元関連項目を示す図であり、
図3(B)は提供先関連項目を示すである。
【
図5】ビル管理データ処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0019】
<1.適用例>
図1は、この例にかかるビル管理データ処理装置を適用したビル管理システムの構成を示す概略図である。この例のビル管理データ処理装置1には、管理対象のビル(
図1で、ビルA,ビルBの2つを示している。)の監視装置5(5a、5b)と、設備点検会社(
図1で、設備点検会社X、設備点検会社Yの2つを示している。)の点検データ管理装置6(6a、6b)と、がインタネット等のネットワークを介して接続されている。
【0020】
監視装置5は、ビルに設けられている各ビル設備機器の状態を示すデータ、センサで計測した周辺環境(温度、湿度、照度等)のデータ等をシステムデータとして収集する。システムデータは、ビル設備機器の種類、計測する周辺環境の種類によって異なる。監視装置5は、ビル設備機器やセンサと、例えばBACnet(Building Automation and Control Network)で接続される。監視装置5は、システムデータをビル管理データ処理装置1に送信する。
【0021】
また、点検データ管理装置6には、作業員が現場で点検したビル設備機器の点検結果が入力される。点検データ管理装置6は、点検結果の入力を、例えば作業員が所持しているタブレット端末との通信で行う構成であってもよいし、オペレータによる操作部(キーボードやマウス等)の操作で行う構成であってもよいし、その他の手法で行う構成であってもよい。ビル設備機器の種類によって、作業員が点検する点検項目は異なる。点検データ管理装置6は、入力されたビル設備機器の点検結果を、設備点検データとしてビル管理データ処理装置1に送信する。
【0022】
ビル管理データ処理装置1は、監視装置5から送信されてきたシステムデータ、および点検データ管理装置6から送信されてきた設備点検データを収集する。また、ビル管理データ処理装置1は、ビル設備機器の管理に用いる設備台帳データを収集している。設備台帳データは、ビルのオーナやビルの建設設計事業者から提供されるデータであり、設置されているビル設備機器のメーカー、型式、製品名、設置位置等を含み、ビル設備機器を管理するデータである。
【0023】
システムデータ、および設備台帳データにおいては、例えばTSC21によって規定されている命名方法や、ロングライフビル推進協会(BELCA)によって規定されている分類名、分類コードにしたがって、ビル設備機器名、データ名等が命名されている。
【0024】
また、設備台帳データは、ビル設備機器毎に、そのビル設備機器について、サービスの提供元にかかる提供元関連項目と、サービスの提供先にかかる提供先関連項目とを示す分類情報を有している。ここで言うサービスとは、空調、照明、給水、排水等である。
【0025】
提供元関連項目は、例えば、ビル設備機器が設置されているフロアを示す第1フロア情報、ビル設備機器が設置されている設置場所情報、提供するサービスの用途を示す用途情報、および提供するサービスの種別を示す種別情報を含んでいる。また、提供先関連項目は、例えば、サービスが提供されるフロアを示す第2フロア情報、サービスが提供される場所の種別を示す提供場先所種別情報、およびサービスが提供される場所を示す提供先場所情報を含んでいる。
【0026】
そして、ビル管理データ処理装置1は、提供元関連項目および提供先関連項目を用いて、収集したシステムデータと設備点検データを統合する。すなわち、作業員が現場で点検したビル設備機器の点検結果がシステムデータに統合される。これにより、例えば、屋上に設置されている空調機本体と、この空調機本体によって室内環境が調整される2階のオフィスの室内環境とを関連付けて、これらの運用、維持、保守管理を行うことができる。
【0027】
<2.構成例>
図1を参照して、この例にかかるビル管理データ処理装置1の構成について説明する。ビル管理データ処理装置1は、制御ユニット11と、通信部12と、システムデータデータベース13(システムデータDB13)と、設備点検データデータベース14(設備点検データDB14)と、設備台帳データデータベース15(設備台帳データDB15)と、統合データデータベース16(統合データDB16)と、入出力部17とを備えている。
【0028】
制御ユニット11は、ビル管理データ処理装置1本体各部の動作を制御する。また、制御ユニット11は、収集部11a、および統合部11bを備えている。制御ユニット11が有する収集部11a、および統合部11bの詳細については後述する。
【0029】
通信部12は、監視装置5、点検データ管理装置6等の装置との間におけるデータ通信を行う。
【0030】
システムデータDB13は、監視装置5から送信されてきたシステムデータを記憶するデータベースである。システムデータは、この例では、
図2(A)に示すように、対象のビルを示す建物情報、対象のビル設備機器の分類を示す設備分類、対象のビル設備機器を示す機器記号、センサ等で計測する計測対象の種類および計測値を示す管理項目等を対応付けたデータである。
【0031】
設備点検データDB14は、点検データ管理装置6から送信されてきた設備点検データを記憶するデータベースである。設備点検データは、この例では、
図2(B)に示すように、対象のビルを示す建物情報、対象のビル設備機器の分類を示す設備分類、対象のビル設備機器を示す機器記号、対象のビル設備機器の点検内容および点検結果を示す点検項目等を対応付けたデータである。
【0032】
設備台帳データDB15は、ビルのオーナやビルの建設設計事業者等から提供されたデータである。設備台帳データは、この例では、
図2(C)に示すように、対象のビルを示す建物情報、対象のビル設備機器の分類を示す設備分類、対象のビル設備機器を示す機器記号、サービスの提供元にかかる提供元関連項目と、サービスの提供先にかかる提供先関連項目等を対応付けたデータである。
【0033】
なお、
図2(A)、(B)、(C)に示すシステムデータ、設備点検データ、および設備台帳データは一例であり、この形式に限るものではない。
【0034】
また、提供元関連項目は、
図3(A)に示すように、ビル設備機器が設置されているフロアを示す提供元フロア情報(この発明で言う第1フロア情報に相当する。)、ビル設備機器が設置されている設置場所情報、提供するサービスの用途を示す用途情報、および提供するサービスの種別を示す種別情報を含んでいる。また、提供先関連項目は、
図3(B)に示すように、サービスが提供されるフロアを示す提供先フロア情報(この発明で言う第2フロア情報に相当する。)、サービスが提供される場所の種別を示す提供先場所種別情報、およびサービスが提供される場所を示す提供先場所情報を含んでいる。
【0035】
統合データDB16は、ビル毎に、そのビルのシステムデータ、設備点検データ、および設備台帳データを用いて生成された統合データが登録される。統合データの詳細については、後述する。
【0036】
入出力部17は、図示していない分析装置等の外部装置との間で、データの入出力を行う。
【0037】
次に、制御ユニット11が有する収集部11a、および統合部11bについて説明する。収集部11aは、監視装置5から送信されてきたシステムデータを通信部12で受信すると、受信したシステムデータをシステムデータDB13に登録する。すなわち、収集部11aは、各ビルのシステムデータを収集し、システムデータDB13に登録する処理を行う。
【0038】
また、収集部11aは、点検データ管理装置6から送信されてきた設備点検データを通信部12で受信すると、受信した設備点検データを設備点検データDB14に登録する。すなわち、収集部11aは、各ビルの設備点検データを収集し、設備点検データDB14に登録する処理を行う。
【0039】
さらに、収集部11aは、図示していないビルのオーナやビルの建設設計事業者から提供された設備台帳データを通信部12で受信したり、図示していないビル管理データ処理装置1本体の操作部でオペレータによる入力操作を受け付けたりすると、設備台帳データを設備台帳データDB15に登録する。すなわち、収集部11aは、各ビルの設備台帳データを収集し、設備台帳データDB15に登録する処理を行う。
【0040】
統合部11bは、ビル毎に、そのビルのシステムデータ、設備点検データ、および設備台帳データを用いて、各ビル設備機器の運用、維持、保守管理に用いる統合データを生成する。
図4は、統合データを示す図である。統合データは、
図4に示すように、建物情報、設備分類、機器記号、提供元関連項目、提供先関連項目、管理項目、および点検項目をビル設備機器毎に対応付けたデータである。統合部11bは、システムデータ、設備点検データ、および設備台帳データのそれぞれに含まれている、建物情報、設備分類、機器記号を用いて、この統合データを生成する。統合部11bにおいて生成された統合データが、統合データDB16に登録される。
【0041】
ビル管理データ処理装置1の制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、この発明にかかるビル管理データ処理プログラムを実行したときに、収集部11a、および統合部11bとして動作する。また、メモリは、この発明にかかるビル管理データ処理プログラムを展開する領域、このビル管理データ処理プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域等を有している。制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。また、ハードウェアCPUが、この発明にかかるビル管理データ処理方法を実行するコンピュータである。
【0042】
<3.動作例>
以下、この例のビル管理データ処理装置1の動作について説明する。
図5は、ビル管理データ処理装置の動作を示すフローチャートである。
【0043】
ビル管理データ処理装置1は、監視装置5からのシステムデータの取得の有無、点検データ管理装置6からの設備点検データの取得の有無、および設備台帳データの取得の有無を繰り返し判定している(s1~s3)。システムデータ、設備点検データ、および設備台帳データを取得するとは、通信部12においていずれかのデータを受信した場合だけでなく、図示していないビル管理データ処理装置1本体の操作部でオペレータによる入力操作を受け付けた場合を含んでいる。
【0044】
ビル管理データ処理装置1は、システムデータを取得したと判定すると、今回取得したシステムデータをシステムデータDB13に登録する(s4)。また、ビル管理データ処理装置1は、設備点検データを取得したと判定すると、今回取得した、設備点検データを設備点検データDB14に登録する(s5)。さらに、ビル管理データ処理装置1は、設備台帳データを取得したと判定すると、今回取得した設備台帳データを設備台帳データDB15に登録する(s6)。s4~s6は、収集部11aにおいて実行される処理である。
【0045】
また、統合部11bが、今回取得したシステムデータ、設備点検データ、および設備台帳データに基づき、該当するビルについて統合データDB16に登録されている統合データを更新し(s7)、s1に戻る。s7では、該当するビルの統合データが登録されていなければ、当該ビルについて統合データを生成できるかどうかを判定し、生成できると判定した場合に、統合データを生成し、生成した統合データを統合データDB16に登録する。
【0046】
統合データは、
図4に示したように、提供元関連項目、および提供先関連項目を含んでいる。また、提供元関連項目は、
図3(A)に示したように、提供元フロア情報、設置場所情報、用途情報、および種別情報を含んでおり、さらに提供先関連項目は、
図3(B)に示したように、提供先フロア情報、提供先種別情報、および提供先場所情報を含んでいる。したがって、統合データDB16に登録されている登録データによって、例えば作業員がビルの屋上に設置されている空調機本体を現場で点検した点結果と、この空調機本体によって室内環境が調整される2階のオフィスの室内環境を計測したシステムデータとを統合し、ビル設備機器の運用、維持、保守管理が効率的に行える。
【0047】
このように、この例にかかるビル管理データ処理装置1は、作業員が現場でビル設備機器を点検した点検結果と、ビル設備機器の状態や周辺環境等をセンサで計測したシステムデータと統合した統合データを用いて、ビル設備機器の運用、維持、保守管理を効率的に行える。より具体的には、サービスを提供するビル設備機器の状態と、このビル設備機器によって提供されているサービスの状況とを関連付けた運用、維持、保守管理が行える。
【0048】
また、上記の例では、提供元関連項目にかかるデータ、および提供先関連項目にかかるデータは、設備台帳データに含まれているとしたが、システムデータ、または設備点検データに含まれている構成であってもよい。さらには、提供元関連項目にかかるデータ、および提供先関連項目にかかるデータを、システムデータ、設備点検データ、および設備台帳データと別のデータとして、ビル管理データ処理装置1に収集させる構成であってもよい。
【0049】
また、この発明は、システムデータと、設備点検データを統合する構成であれば、設備台帳データを統合しない構成であってもよい。
【0050】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0051】
さらに、この発明に係る構成と上述した実施形態に係る構成との対応関係は、以下の付記のように記載できる。
<付記>
ビル設備機器の状態を示すシステムデータ、および前記ビル設備機器を作業員が点検した設備点検データを収集する収集部(11a)と、
前記ビル設備機器について、サービスの提供元にかかる提供元関連項目と、サービスの提供先にかかる提供先関連項目とを示す分類情報を用いて、前記システムデータと前記設備点検データを統合する統合部(11b)と、を備えたビル管理データ処理装置(1)。
【符号の説明】
【0052】
1…ビル管理データ処理装置
5(5a、5b)…監視装置
6(6a、6b)…点検データ管理装置
11…制御ユニット
11a…収集部
11b…統合部
12…通信部
13…システムデータデータベース(システムデータDB)
14…設備点検データデータベース(設備点検データDB)
15…設備台帳データデータベース(設備台帳データDB)
16…統合データデータベース
17…入出力部