(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】電動ステープラ、後処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B27F 7/36 20060101AFI20240423BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20240423BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B27F7/36
B65H37/04 D
G03G15/00 432
(21)【出願番号】P 2020080670
(22)【出願日】2020-04-30
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 利行
(72)【発明者】
【氏名】千明 義雄
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-200577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27F 7/36
B65H 37/04
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙束を把持するクランプ部と、
前記用紙束にステープルを貫通させる貫通部と、
前記用紙束を貫通した前記ステープルを折り曲げて前記用紙束を綴じるクリンチ部と、
前記クランプ部、前記貫通部及び前記クリンチ部を駆動するモータとを備え、
前記モータの回転に伴い、前記クランプ部により前記用紙束を把持するクランプ工程、前記貫通部により前記用紙束に前記ステープルを貫通させる貫通工程及び前記クリンチ部により前記用紙束を貫通した前記ステープルを折り曲げるクリンチ工程を順に実行して綴じ処理を行う電動ステープラであって、
前記モータの回転位置が第1位置を通過したことを検出する第1位置検出手段と、
前記モータが前記第1位置を通過したのを検知した後、前記モータにブレーキをかけるブレーキ手段と、
前記モータの回転量を検出する回転量検出手段と、
前記モータの回転位置が前記第1位置を通過したのを前記第1位置検出手段が検知してから、前記ブレーキ手段によるブレーキ中に、前記回転量検出手段により検出した前記モータが停止するまでの回転量と、前記第1位置から予め定められた前記モータの停止目標位置までの前記モータの回転量との差分を算出する差分算出手段と、
前記算出した差分だけ前記モータを正転又は逆転させることにより、前記モータの回転位置を前記停止目標位置に移動させるモータ制御手段とを備え
、
前記モータの周方向に停止目標範囲が設定され、
前記停止目標範囲の始点に前記第1位置が設定され、前記停止目標範囲の終点に停止目標範囲終点位置が設定され、
前記停止目標位置は、前記第1位置と前記停止目標範囲終点位置の間に設定される
電動ステープラ。
【請求項2】
前記ブレーキ手段は、前記モータが前記第1位置を通過したのを検知した後、前記モータを所定時間減速させた後に前記モータにブレーキをかける
請求項1に記載の電動ステープラ。
【請求項3】
前記ブレーキ手段は、前記モータが前記第1位置を通過したのを検知した後、前記モータを所定距離減速させた後に前記モータにブレーキをかける
請求項1に記載の電動ステープラ。
【請求項4】
前記モータ制御手段は、前記モータの停止位置が、前記モータの回転方向において前記停止目標位置よりも下流側にあるときは、前記算出した差分だけ前記モータを逆転させることにより、前記モータの回転位置を前記停止目標位置に移動させる
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の電動ステープラ。
【請求項5】
前記モータ制御手段は、前記モータの停止位置が、前記モータの回転方向において前記停止目標位置よりも上流側にあるときは、前記算出した差分だけ前記モータを正転させることにより、前記モータの回転位置を前記停止目標位置に移動させる
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の電動ステープラ。
【請求項6】
前記回転量検出手段は、前記ブレーキを開始してから前記モータが停止するまでの前記モータの回転量を検出
し、
前記第1位置は、前記モータの回転方向において前記停止目標位置よりも下流側にあり、前記停止目標位置から第1距離だけ離れた位置に設定され、
前記差分算出手段は、前記モータの回転量と前記第1距離との差分を算出する
請求項1に記載の電動ステープラ。
【請求項7】
前記回転量検出手段は、前記モータが減速を開始してから前記モータが停止するまでの前記モータの回転量を検出
し、
前記第1位置は、前記モータの回転方向において前記停止目標位置よりも下流側にあり、前記停止目標位置から第1距離だけ離れた位置に設定され、
前記差分算出手段は、前記モータの回転量と前記第1距離との差分を算出する
請求項2または請求項3に記載の電動ステープラ。
【請求項8】
前記モータ制御手段は、前記モータの回転量が前記第1距離よりも大きいときは、前記算出した差分だけ前記モータを逆転させる
請求項6または請求項7に記載の電動ステープラ。
【請求項9】
前記モータ制御手段は、前記モータの回転量が前記第1距離よりも小さいときは、前記算出した差分だけ前記モータを正転させる
請求項6~請求項8のいずれか1項に記載の電動ステープラ。
【請求項10】
前記第1位置は、前記クランプ工程が実行されるときの前記モータの回転範囲と前記クリンチ工程が実行されるときの前記モータの回転範囲との間の範囲内に設定される
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の電動ステープラ。
【請求項11】
用紙束を把持するクランプ部と、
前記用紙束にステープルを貫通させる貫通部と、
前記用紙束を貫通した前記ステープルを折り曲げて前記用紙束を綴じるクリンチ部と、
前記クランプ部、前記貫通部及び前記クリンチ部を駆動するモータとを備え、
前記モータの回転に伴い、前記クランプ部により前記用紙束を把持するクランプ工程、前記貫通部により前記用紙束に前記ステープルを貫通させる貫通工程及び前記クリンチ部により前記用紙束を貫通した前記ステープルを折り曲げるクリンチ工程を順に実行して綴じ処理を行う電動ステープラであって、
前記モータの回転位置が第1位置を通過したことを検出する第1位置検出手段と、
前記モータが前記第1位置を通過したのを検知した後、前記モータの回転速度を減速させる減速手段と、
前記モータが減速を開始してからの前記モータの回転量を検出する回転量検出手段と、
前記モータが減速を開始してからの前記回転量が
、予め定められた前記モータの停止目標位置に到達する所定値になったことを検知したら前記モータにブレーキをかけるブレーキ手段と
を備え
、
前記モータの周方向に停止目標範囲が設定され、
前記停止目標範囲の始点に前記第1位置が設定され、前記停止目標範囲の終点に停止目標範囲終点位置が設定され、
前記停止目標位置は、前記第1位置と前記停止目標範囲終点位置の間に設定される
電動ステープラ。
【請求項12】
請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の電動ステープラを備えた
後処理装置。
【請求項13】
請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の電動ステープラを備えた後処理装置と、
画像形成装置を備えた
画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
用紙束をステープルで綴じる電動ステープラ、電動ステープラが搭載された後処理装置、後処理装置を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真技術を用いた画像形成装置及び後処理装置を備えた画像形成システムにおいて、後処理装置には、ステープルで用紙束を綴じる電動ステープラを搭載したものがある。
【0003】
電動ステープラでは、綴じ処理開始時のモータの回転開始位置により、打ち込み能力にばらつきが生じる。例えば、綴じ処理開始時のモータの回転開始位置が、所望の回転開始位置を過ぎていると、ステープルを打ち出すドライバが用紙束に近く、ステープルが用紙束に到達するまでにモータが加速しきれないことがある。
【0004】
電動ステープラでは、モータの回転位置を、モータにより駆動されるギアの回転位置をホームポジションセンサで検知することで取得し、モータやギアが所定の回転位置に達したことを検知したらブレーキを開始し、モータ及びギアが所望の回転位置に停止するように制御している。しかし、モータが実際に停止する位置は、電源電圧の変動、モータ特性、用紙枚数、紙質、温湿度等の外部環境、機械負荷等のばらつきによる外乱により一定しない。
【0005】
これに対して、特許文献1では、モータ(ギア)の回転位置が、ホームポジションセンサによる検知位置の手前にある状態からモータを減速させ、モータを減速させてから停止させることで、モータが所望の回転停止位置に停止するようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、モータ(ギア)の回転位置が、ホームポジションセンサによる検知位置の手前にある状態から、モータを減速させる構成では、減速によりモータを停止させるまでの時間が長くなり、結果として綴じ処理時間が長くなる。
【0008】
そこで、綴じ処理時間がそれほど長くならずに、モータまたはモータにより駆動されるギア等の回転体の停止位置を一定にすること(所望の位置に停止させること)が可能な電動ステープラを提供する。また、このような電動ステープラが搭載された後処理装置、後処理装置を備えた画像形成システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本開示に係る電動ステープラは、用紙束を把持するクランプ部と、用紙束にステープルを貫通させる貫通部と、用紙束を貫通したステープルを折り曲げて用紙束を綴じるクリンチ部と、クランプ部、貫通部及びクリンチ部を駆動するモータとを備え、モータの回転に伴い、クランプ部により用紙束を把持するクランプ工程、貫通部により用紙束にステープルを貫通させる貫通工程及びクリンチ部により用紙束を貫通したステープルを折り曲げるクリンチ工程を順に実行して綴じ処理を行う電動ステープラであって、モータの回転位置が第1位置を通過したことを検出する第1位置検出手段と、モータが第1位置を通過したのを検知した後、モータにブレーキをかけるブレーキ手段と、モータの回転量を検出する回転量検出手段と、モータの回転位置が第1位置を通過したのを第1位置検出手段が検知してから、ブレーキ手段によるブレーキ中に、回転量検出手段により検出したモータが停止するまでの回転量と、第1位置から予め定められたモータの停止目標位置までのモータの回転量との差分を算出する差分算出手段と、算出した差分だけモータを正転又は逆転させることにより、モータの回転位置を停止目標位置に移動させるモータ制御手段とを備え、モータの周方向に停止目標範囲が設定され、停止目標範囲の始点に第1位置が設定され、停止目標範囲の終点に停止目標範囲終点位置が設定され、停止目標位置は、第1位置と停止目標範囲終点位置の間に設定される電動ステープラである。
【0010】
上記電動ステープラでは、モータが停止した位置と予め定められたモータの停止目標位置との差分を算出し、算出した差分だけモータを正転又は逆転させることにより、モータの停止位置が停止目標位置に合わせられる。
【0011】
また、用紙束を把持するクランプ部と、用紙束にステープルを貫通させる貫通部と、用紙束を貫通したステープルを折り曲げて用紙束を綴じるクリンチ部と、クランプ部、貫通部及びクリンチ部を駆動するモータとを備え、モータの回転に伴い、クランプ部により用紙束を把持するクランプ工程、貫通部により用紙束にステープルを貫通させる貫通工程及びクリンチ部により用紙束を貫通したステープルを折り曲げるクリンチ工程を順に実行して綴じ処理を行う電動ステープラであって、モータの回転位置が第1位置を通過したことを検出する第1位置検出手段と、モータが第1位置を通過したのを検知した後、モータの回転速度を減速させる減速手段と、モータが減速を開始してからのモータの回転量を検出する回転量検出手段と、モータが減速を開始してからの回転量が、予め定められたモータの停止目標位置に到達する所定値になったことを検知したらモータにブレーキをかけるブレーキ手段とを備え、モータの周方向に停止目標範囲が設定され、停止目標範囲の始点に第1位置が設定され、停止目標範囲の終点に停止目標範囲終点位置が設定され、停止目標位置は、第1位置と停止目標範囲終点位置の間に設定される電動ステープラである。
【0012】
上記電動ステープラでは、モータの回転位置が、モータの減速を開始する目標位置である第1位置を通過すると、モータの回転速度を減速させ、減速を開始してからのモータの回転量が所定値になると、モータを停止させることにより、モータの停止位置が停止目標位置に合わせられる。
【発明の効果】
【0013】
上述した電動ステープラによれば、モータの停止位置を停止目標位置に合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施の形態の電動ステープラの一例を示す側面図である。
【
図3】電動ステープラの制御機能の一例を示すブロック図である。
【
図4】本実施の形態の画像形成システムの概要を示す構成図である。
【
図5A】本実施の形態の電動ステープラの第1の動作例を示すタイムチャートである。
【
図5B】本実施の形態の電動ステープラの第1の動作例を示すフローチャートである。
【
図6A】本実施の形態の電動ステープラの第2の動作例を示すタイムチャートである。
【
図6B】本実施の形態の電動ステープラの第2の動作例を示すフローチャートである。
【
図7A】本実施の形態の電動ステープラの第3の動作例を示すタイムチャートである。
【
図7B】本実施の形態の電動ステープラの第3の動作例を示すフローチャートである。
【
図8】電動ステープラの他の実施の形態を示す駆動部の一例を示す側断面図である。
【
図9A】他の実施の形態の電動ステープラの動作例を示すタイムチャートである。
【
図9B】他の実施の形態の電動ステープラの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の電動ステープラ、電動ステープラが搭載された後処理装置、後処理装置を備えた画像形成システムの実施の形態について説明する。
【0016】
<本実施の形態の電動ステープラの構成例>
図1は、本実施の形態の電動ステープラの一例を示す側面図である。
【0017】
電動ステープラ1Aは、用紙束Pを把持するクランプ部2と、用紙束Pにステープル10を貫通させる貫通部3と、用紙束Pを貫通したステープル10を折り曲げて用紙束Pを綴じるクリンチ部4を備える。また、電動ステープラ1Aは、クランプ部2、貫通部3及びクリンチ部4を駆動するモータ5を備える。
【0018】
電動ステープラ1Aは、貫通部3が設けられる打出ユニット30と、クリンチ部4が設けられる綴じユニット40を備える。
【0019】
クランプ部2は、所定の間隔を開けて対向する第1壁部21と第2の壁部22とを含む。クランプ部2は、綴じユニット40の打出ユニット30と対向する部位で第1壁部21が構成される。また、クランプ部2は、打出ユニット30の綴じユニット40と対向する部位で第2壁部22が構成される。
【0020】
電動ステープラ1Aは、軸31を支点とした回転動作で、綴じユニット40が打出ユニット30に対して近づく方向及び離れる方向に移動する。
【0021】
これにより、クランプ部2は、第1壁部21が第2壁部22に対して近づく方向と離れる方向に移動する。クランプ部2は、第1壁部21が第2壁部22に対して近づく方向に移動することで、第1壁部21と第2壁部22との間に用紙束Pを挟持する。また、第1壁部21が第2壁部22に対して離れる方向に移動することで、第1壁部21と第2壁部22との間に挟持した用紙束Pを解放する。
【0022】
打出ユニット30は、ステープル10が連結された形態で収容されるカートリッジ100が着脱可能に取り付けられる。貫通部3は、カートリッジ100に収容されるステープル10の最先端の1本を分離し、第1壁部21と第2壁部22との間に挟持した用紙束Pに打ち込んで、用紙束Pを貫通させる。
【0023】
なお、打出ユニット30は、カートリッジ100に収容されるステープル10を、貫通部3により打ち出し可能な位置に送る機構を備える。また、打出ユニット30は、シート状に連結されたステープルがカートリッジ100に収容されて供給される形態では、ステープル10をコ(ほぼU)字状に成形する機構を備える。
【0024】
クリンチ部4は、第1壁部21と第2壁部22との間に挟持した用紙束Pを貫通したステープル10を、所定の方向に折り曲げる。なお、綴じユニット40は、用紙束Pを貫通したステープル10の針足をカットする機構を備えてもよい。
【0025】
図2は、駆動部の一例を示す側断面図である。電動ステープラ1Aは、モータ5の回転をクランプ部2、貫通部3及びクリンチ部4に伝達する駆動部50を備える。駆動部50は、モータ5の回転を、クランプ部2、貫通部3及びクリンチ部4に伝達する駆動ギア51と、モータ5の回転を駆動ギア51に伝達する中間ギア52を備える。
【0026】
駆動部50は、モータ5のモータ軸5aの回転が、中間ギア52を介して駆動ギア51に伝達され、駆動ギア51が回転する。駆動部50は、駆動ギア51の回転が図示しないカム等に伝達されることで、綴じユニット40を打出ユニット30に対して近づく方向及び離れる方向に移動させ、クランプ2の開閉を行う。また、駆動部50は、駆動ギア51の回転が図示しないカム等に伝達されることで、貫通部3及びクリンチ部4を駆動する。
【0027】
電動ステープラ1Aは、駆動ギア51が一方向に回転する動作で、綴じユニット40が打出ユニット30に近づく方向に移動して、用紙束Pをクランプ部2で挟持する。
【0028】
そして、駆動ギア51が更に一方向に回転する動作で、カートリッジ100Aに収納されたステープル10を繰り出し、繰り出されたステープル10の最先端の1本を、クランプ部2で挟持された用紙束Pに貫通部3で打ち込んで、用紙束Pに貫通させる。
【0029】
更に、駆動ギア51が一方向に回転する動作で、用紙束Pを貫通したステープル10を、クリンチ部4で折り曲げる。そして、駆動ギア51が更に一方向に回転すると、綴じユニット40が打出ユニット30から離れる方向に移動して、クランプ部2での用紙束Pの挟持を解放する。
【0030】
このように、電動ステープラ1Aは、駆動ギア51が一方向に一回転する動作で、クランプ部2による用紙束Pの挟持を行うクランプ工程、貫通部3によりステープル10を用紙束Pに打ち込む貫通工程、クリンチ部4によりステープル10を折り曲げるクリンチ工程及びクランプ部2により挟持した用紙束Pを解放するリターン工程が行われる。
【0031】
次に、モータ5及び駆動ギア51の回転方向の位置及び回転量を検出する構成について説明する。
【0032】
電動ステープラ1Aにおいて、モータ5のモータ軸5aの回転方向に沿った位置を、モータ5の回転位置と称す。また、駆動ギア51の回転方向に沿った位置を、駆動ギア51の回転位置と称す。
【0033】
駆動部50は、駆動ギア51が中間ギア52と噛み合い、中間ギア52がモータ軸5aの図示しないギアと噛み合っているため、駆動ギア51の回転数は、モータ5の回転数に対して所定の減速比で減速した値となる。これにより、駆動ギア51の回転位置及び回転量は、モータ5の回転位置及び回転量に比例する。
【0034】
そこで、モータ5及び駆動ギア51の回転位置については、駆動ギア51の所定の回転位置を検出するホームポジションセンサ101(第1位置検出手段)を備える。また、モータ5及び駆動ギア51の回転量については、ブラシレスモータで構成されるモータ5の図示しないロータの位置検出で用いられる磁気センサ102(回転量検出手段)の出力から、モータ5の回転量を検出する。
【0035】
電動ステープラ1Aは、クランプ部2、貫通部3及びクリンチ部4を、所定のホームポジションで待機させるため、ホームポジションセンサ101で駆動ギア51の回転位置を検出する。
【0036】
そして、電動ステープラ1Aは、モータ5の駆動を停止する際に、駆動ギア51の回転位置が所定の位置で停止するようにするため、駆動ギア51の周方向の所定の範囲に停止目標範囲SEが設定される。
【0037】
電動ステープラ1Aは、矢印Fで示す駆動ギア51の正方向への回転に対し、ホームポジションセンサ101による検出位置P101に、停止目標範囲SEの始点となる停止目標範囲始点位置PS(第1位置)が到達すると、ホームポジションセンサ101の出力が例えば0(OFF)から1(ON)に変化するよう構成される。
【0038】
また、電動ステープラ1Aは、矢印Fで示す駆動ギア51の正方向への回転に対し、ホームポジションセンサ101による検出位置P101に、停止目標範囲SEの終点となる停止目標範囲終点位置PEが到達すると、ホームポジションセンサ101の出力が例えば1(ON)から0(OFF)に変化するよう構成される。
【0039】
これにより、電動ステープラ1Aは、ホームポジションセンサ101が駆動ギア51の停止目標範囲SEを検出可能に構成される。
【0040】
電動ステープラ1Aでは、停止目標範囲SE内に駆動ギア51の停止目標位置P1が設定され、本例では
図2に示すように停止目標位置P1は停止目標範囲SEのほぼ中央位置に設定される。電動ステープラ1Aは、駆動ギア51の停止目標位置P1がホームポジションセンサ101による検出位置P101に位置すると、クランプ部2、貫通部3及びクリンチ部4がそれぞれホームポジションに位置する。
【0041】
電動ステープラ1Aは、駆動ギア51の停止目標位置P1がホームポジションセンサ101による検出位置P101に位置する状態から、モータ5の正転により、駆動ギア51が矢印Fで示す正方向に回転すると、ホームポジションセンサ101による検出位置P101に停止目標範囲終点位置PEが到達する。
【0042】
矢印Fで示す駆動ギア51の正方向への回転に対し、停止目標範囲終点位置PEから所定の範囲が、クランプ工程において、クランプ部2による用紙束Pの挟持を行うクランプ範囲CLとなる。また、クランプ範囲CLの次に、貫通工程において、貫通部3によりステープル10を用紙束Pに打ち込む貫通範囲THとなる。なお、貫通範囲THの次に、クリンチ工程におけるクリンチ範囲、次に、リターン工程におけるクランプ解除範囲が設定されて、停止目標範囲始点位置PSに戻る。
【0043】
図3は、ステープラの制御機能の一例を示すブロック図である。電動ステープラ1Aは、モータ5を制御する制御部110と、モータ5を駆動する駆動回路111を備える。
【0044】
制御部110(ブレーキ手段、差分算出手段、モータ制御手段、減速手段を実現する)は、CPU110aを備え、記憶部110bに記憶されたプログラムを実行することにより、電動ステープラ1Aによる綴じ処理を実行する。駆動回路111は、磁気センサ102から出力される図示しないロータの位置情報に基づき、公知のPWM制御によりモータ5を駆動する。
【0045】
制御部110は、ホームポジションセンサ(HPセンサ)101で検出された駆動ギア51の回転位置と、磁気センサ102で検出されたモータ5の回転量、すなわち、駆動ギア51の回転量に基づき、モータ5の停止位置を制御する。
【0046】
<画像形成システム及び後処理装置の構成例>
図4は、本実施の形態の画像形成システムの概要を示す構成図である。本実施の形態の画像形成システム500Aは、画像形成装置501Aと、少なくとも1種類の処理が可能な後処理装置502Aを備える。画像形成装置501Aは、装置内または外部の図示しない給紙部から繰り出した用紙に画像を形成して出力する。画像形成装置501Aは、本例では、走査露光による静電潜像の形成、トナーによる静電潜像の現像、トナーの用紙への転写及び定着により用紙に画像を形成する。後処理装置502Aは、綴じ部503Aに上述した電動ステープラ1Aを備える。
【0047】
電動ステープラ1Aは、
図3に示す制御部110のCPU110aが、後処理装置502Aの図示しない制御部、及び、画像形成装置501Aの図示しない制御部と接続される。
【0048】
<本実施の形態の電動ステープラの動作例>
図5Aは、本実施の形態の電動ステープラの第1の動作例を示すタイムチャート、
図5Bは、本実施の形態の電動ステープラの第1の動作例を示すフローチャートである。制御部110は、モータ5を所定の高速正転させることにより、駆動ギア51を矢印Fに示す一方向に回転させる動作で、クランプ部2による用紙束Pの挟持を行うクランプ工程、貫通部3によりステープル10を用紙束Pに打ち込む貫通工程、クリンチ部4によりステープル10を折り曲げるクリンチ工程及びクランプ部2により挟持した用紙束Pを解放するリターン工程を行う。
【0049】
制御部110は、
図5A(1)のHPセンサONの検知、すなわち
図5BのステップSA1においてホームポジションセンサ101が、駆動ギア51の停止目標範囲始点位置PSを検出すると、
図5BのステップSA2で、モータ5の駆動を停止する制動制御を行う。この制動制御を、ブレーキ、ブレーキをかけるとも称す。なお、上述したように、駆動ギア51の回転位置及び回転量は、モータ5の回転位置及び回転量に比例する。これにより、ホームポジションセンサ101が、駆動ギア51の停止目標範囲始点位置PSを検出するということは、モータ5の回転位置が第1位置を通過したことを検出することと同義である。
【0050】
制御部110は、
図5A(1)のHPセンサONの検知から、
図5A(2)のブレーキ中の磁気センサパルスのカウント区間において、
図5BのステップSA3で、磁気センサ102から出力される位置情報に基づき回転量情報D1を取得する。回転量情報D1は、パルス数である。
【0051】
ホームポジションセンサ101が、駆動ギア51の停止目標範囲始点位置PSを検出してから、ホームポジションセンサ101の検出位置P101に駆動ギア51の停止目標位置P1が到達するまでのモータ5の回転量は決まっている。そして、停止目標位置P1は停止目標範囲始点位置PSから第1距離(本例(図示の例)では3パルス分)離れた位置に設定される。駆動ギア51の停止目標範囲始点位置PSを検出してから、ホームポジションセンサ101の検出位置P101に駆動ギア51の停止目標位置P1が到達するまでのモータ5の回転量を停止回転量D2と称す。
【0052】
制御部110は、
図5A(3)の停止判定時間において、
図5BのステップSA4で、モータ5が停止したと判断すると、
図5BのステップSA5で、
図5A(1)のHPセンサONの検知から、
図5A(2)のブレーキ中の磁気センサパルスのカウント区間でカウントした回転量情報D1(図示の例では6パルス)と、停止回転量D2(3パルス)を比較し、D1とD2の差分(3パルス)を算出する。制御部110は、回転量情報D1が停止回転量D2を超えていると、
図5BのステップSA6で、駆動ギア51の停止目標位置P1が、ホームポジションセンサ101による検出位置P101を過ぎた(図示の例では3パルス分超過)と判断する。HPセンサONの検知から、ブレーキ中の磁気センサパルスのカウント区間でカウントした回転量情報D1と、停止回転量D2を比較し、差分を算出するということは、モータ5が停止した位置と予め定められたモータ5の停止目標位置との差分を算出するということと同義である。また、駆動ギア51の停止目標位置P1が、ホームポジションセンサ101による検出位置P101を過ぎたということは、駆動ギア51及びモータ5の停止位置が、停止目標位置よりも下流側であるということと同義である。
【0053】
駆動ギア51の停止目標位置P1が、ホームポジションセンサ101による検出位置P101を過ぎたと判断すると、制御部110は、
図5BのステップSA7で、モータ5を所定の低速で逆転させる。本例ではモータ5を3パルス分逆転させる。なお、ここでの低速とは、クランプ工程、貫通工程及びクリンチ工程を実行する際のモータ5の正転に対して低速であるということである。制御部110は、
図5A(4)のモータ5の低速逆転開始から、
図5A(5)のモータ5の逆転中の磁気センサパルスのカウント区間で、磁気センサ102から出力される位置情報に基づき回転量情報D3を取得する。
【0054】
制御部110は、
図5A(5)のモータ5の逆転中の磁気センサパルスのカウント区間でカウントした回転量情報D3が、回転量情報D1と停止回転量D2の差分、すなわち本例では3パルスと一致すると、
図5A(6)に示すように、モータ5の低速逆転を停止させる。これにより、駆動ギア51の停止目標位置P1を、ホームポジションセンサ101による検出位置P101に位置させてモータ5の回転が停止する。モータ5の逆転中の磁気センサパルスのカウント区間でカウントした回転量情報D3が、回転量情報D1と停止回転量D2の差分と一致すると、モータ5の低速逆転を停止させるということは、算出した差分だけモータ5を逆転させることにより、モータ5の回転位置を停止目標位置に移動させることと同義である。
【0055】
電動ステープラ1Aでは、駆動ギア51の停止目標位置P1が、ホームポジションセンサ101による検出位置P101を過ぎた状態で停止していると、次に用紙束Pの綴じ動作を行う際、駆動ギア51が回転を開始してから、貫通範囲THに到達するまでの駆動ギア51の回転量が少なくなる。このような場合、ステープル10が用紙束Pに到達するまでにモータ5を十分に加速できない場合があり、そうすると、打ち込み能力が低下する可能性がある。
【0056】
これに対し、駆動ギア51の停止目標位置P1を、ホームポジションセンサ101による検出位置P101に位置させてモータ5の回転を停止させることで、次に用紙束Pの綴じ動作を行う際、駆動ギア51が回転を開始してから、貫通範囲THに到達するまでの駆動ギア51の回転量を確保できる。これにより、ステープル10が用紙束Pに到達するまでにモータ5を十分に加速でき、打ち込み能力の低下やばらつきを抑制することができる。
【0057】
なお、回転量情報D1が停止回転量D2未満であると、駆動ギア51の停止目標位置P1が、ホームポジションセンサ101による検出位置P101に到達していない。
【0058】
図5BのステップSA8で、駆動ギア51の停止目標位置P1が、ホームポジションセンサ101による検出位置P101に到達していないと判断すると、制御部110は、
図5BのステップSA9で、モータ7を所定の低速で正転させる。制御部110は、モータ5の正転中の磁気センサパルスのカウント区間でカウントした回転量情報D3が、回転量情報D1と停止回転量D2の差分と一致すると、モータ5の低速正転を停止させる。駆動ギア51の停止目標位置P1が、ホームポジションセンサ101による検出位置P101に到達していないということは、駆動ギア51及びモータ5の停止位置が、停止目標位置よりも上流側であるということと同義である。また、モータ5の正転中の磁気センサパルスのカウント区間でカウントした回転量情報D3が、回転量情報D1と停止回転量D2の差分と一致すると、モータ5の低速正転を停止させるということは、算出した差分だけモータ5を正転させることにより、モータ5の回転位置を停止目標位置に移動させることと同義である。
【0059】
図5BのステップSA10で、駆動ギア51の停止目標位置P1が、ホームポジションセンサ101による検出位置P101である場合、すなわちモータ5の回転位置(停止位置)が停止目標位置にある場合には、モータ5の低速正転、低速逆転は行わず、停止した状態を保持する。
【0060】
以上第1の動作例によれば、駆動ギア51の停止目標位置P1がホームポジションセンサ101による検出位置P101をオーバー(通り過ぎて)して停止した場合には、駆動ギア51をオーバーした分戻して(逆転して)やり、停止目標位置P1が検出位置P101よりもショートして(届かずに)停止した場合には、駆動ギア51をショートした分進めて(正転して)やることで、停止目標位置P1を所望の停止位置である検出位置P101に位置させることができる。このように、検出位置P101よりも手前(停止目標範囲始点位置(第1位置)PS)でモータ5にブレーキをかけ、モータ5(駆動ギア51)が所望の位置よりも行き過ぎて停止した場合には行き過ぎた分を戻し、所望の位置に届かずに停止した場合には届かなかった分を進めるようにすることで、検出位置P101よりも手前からモータ5を減速させて停止させる場合に比べて処理を早めることができるようになる。
【0061】
図6Aは、本実施の形態の電動ステープラの第2の動作例を示すタイムチャート、
図6Bは、本実施の形態の電動ステープラの第2の動作例を示すフローチャートである。制御部110は、モータ5を所定の高速正転させることにより、駆動ギア51を矢印Fに示す一方向に回転させる動作で、クランプ工程、貫通工程及びクリンチ工程等を行う。
【0062】
制御部110は、
図6A(0)のHPセンサONの検知で、ホームポジションセンサ101が、駆動ギア51の停止目標範囲始点位置PSを検出した後、
図6A(1)のHPセンサOFFの検知、
図6BのステップSB1で、ホームポジションセンサ101が、駆動ギア51の停止目標範囲終点位置PEを検出すると、
図6BのステップSB2で、モータ5の駆動を停止する制動制御を行う。すなわち制御部110は、駆動ギア51の停止目標範囲始点位置PSを検出してホームポジションセンサ101がONとなった後、ホームポジションセンサ101のON-OFF区間を経由して、モータ5にブレーキをかける。
【0063】
制御部110は、
図6A(0)のHPセンサONの検知から、
図6A(1)のHPセンサOFFの検知を経由して、
図6A(2)のブレーキ中の磁気センサパルスのカウント区間において、
図6BのステップSB3で、磁気センサ102から出力される位置情報に基づき回転量情報D1を取得する。
【0064】
制御部110は、
図6A(3)の停止判定時間において、
図6BのステップSB4で、モータ5が停止したと判断すると、
図6BのステップSB5で、
図6(0)のHPセンサONの検知から、
図6A(2)のブレーキ中の磁気センサパルスのカウント区間でカウントした回転量情報D1と、停止回転量D2を比較し、D1とD2の差分を算出する。本例では、回転量情報D1が9パルス(6パルス+3パルス)であり、停止回転量D2(3パルス)を超えており、駆動ギア51の停止目標位置P1が、ホームポジションセンサ101による検出位置P101を過ぎている。HPセンサONの検知から、ブレーキ中の磁気センサパルスのカウント区間でカウントした回転量情報D1と、停止回転量D2を比較し、差分を算出するということは、モータ5が停止した位置と予め定められたモータ5の停止目標位置との差分を算出するということと同義である。また、駆動ギア51の停止目標位置P1が、ホームポジションセンサ101による検出位置P101を過ぎたということは、駆動ギア51及びモータ5の停止位置が、停止目標位置よりも下流側であるということと同義である。そして、モータ5が停止した位置と予め定められたモータ5の停止目標位置との差分を算出するということは、モータ5の回転量と第1距離との差分を算出するということと同義である。
【0065】
駆動ギア51の停止目標位置P1が、ホームポジションセンサ101による検出位置P101を過ぎたと判断すると、制御部110は、
図6BのステップSB6で、モータ5を所定の低速で逆転させる。制御部110は、
図6A(4)のモータ5の低速逆転開始から、
図6A(5)のモータ5の逆転中の磁気センサパルスのカウント区間で、磁気センサ102から出力される位置情報に基づき回転量情報D3を取得する。
【0066】
制御部110は、
図6A(5)のモータ5の逆転中の磁気センサパルスのカウント区間でカウントした回転量情報D3が、回転量情報D1と停止回転量D2の差分と一致すると、
図6A(6)の停止で、モータ5の低速逆転を停止させる。本例では、回転量情報D3が6パルスになると、回転量情報D1(9パルス)と停止回転量D2(3パルス)の差分(6パルス)と一致することになるため、モータ5を6パルス分の低速逆転させて停止させる。これにより、駆動ギア51の停止目標位置P1を、ホームポジションセンサ101による検出位置P101に位置させてモータ5の回転が停止する。モータ5の逆転中の磁気センサパルスのカウント区間でカウントした回転量情報D3が、回転量情報D1と停止回転量D2の差分と一致すると、モータ5の低速逆転を停止させるということは、算出した差分だけモータ5を逆転させることにより、モータ5の回転位置を停止目標位置に移動させることと同義である。
【0067】
図7Aは、本実施の形態の電動ステープラの第3の動作例を示すタイムチャート、
図7Bは、本実施の形態の電動ステープラの第3の動作例を示すフローチャートである。制御部110は、モータ5を所定の高速正転させることにより、駆動ギア51を矢印Fに示す一方向に回転させる動作で、クランプ工程、貫通工程及びクリンチ工程等を行う。
【0068】
制御部110は、
図7A(1)のHPセンサONの検知、
図7BのステップSC1で、ホームポジションセンサ101が、駆動ギア51の停止目標範囲始点位置PSを検出すると、制御部110は、
図7BのステップSC2で、モータ7を所定の高速回転から減速させ、所定時間(ホームポジションセンサがONからOFFになるまでの時間)及び所定距離(ホームポジションセンサがONからOFFになるまでの距離)所定の低速で正転させる。ここでの低速とは、クランプ工程、貫通工程及びクリンチ工程を実行する際のモータ5の正転に対して低速であるということである。
【0069】
制御部110は、
図7A(2)のHPセンサOFFの検知、
図7BのステップSC3で、ホームポジションセンサ101が、駆動ギア51の停止目標範囲終点位置PEを検出すると、
図7BのステップSC4で、モータ5の駆動を停止する制動制御を行う。
【0070】
制御部110は、
図7A(1)のHPセンサONの検知から、
図7A(3)のブレーキ中の磁気センサパルスのカウント区間において、
図7BのステップSC5で、磁気センサ102から出力される位置情報に基づき回転量情報D1を取得する。
【0071】
制御部110は、
図7A(4)の停止判定時間において、
図7BのステップSC6で、モータ5が停止したと判断すると、
図7BのステップSC5で、
図7(1)のHPセンサONの検知から、
図7A(3)のブレーキ中の磁気センサパルスのカウント区間でカウントした回転量情報D1と、停止回転量D2を比較し、D1とD2の差分を算出する。本例では、回転量情報D1(8パルス(6パルス+2パルス))が停止回転量D2(3パルス)を超えており、駆動ギア51の停止目標位置P1が、ホームポジションセンサ101による検出位置P101を過ぎている。
【0072】
駆動ギア51の停止目標位置P1が、ホームポジションセンサ101による検出位置P101を過ぎたと判断すると、制御部110は、
図7BのステップSC8で、モータ5を所定の低速で逆転させる。制御部110は、
図7A(5)のモータ5の低速逆転開始から、
図7A(6)のモータ5の逆転中の磁気センサパルスのカウント区間で、磁気センサ102から出力される位置情報に基づき回転量情報D3を取得する。
【0073】
制御部110は、
図7A(6)のモータ5の逆転中の磁気センサパルスのカウント区間でカウントした回転量情報D3が、回転量情報D1と停止回転量D2の差分と一致すると、
図7(7)の停止で、モータ5の低速逆転を停止させる。本例では、回転量情報D3が5パルスとなると、回転量情報D1(8パルス)と停止回転量D2(3パルス)の差分(5パルス)と一致するため、モータ5の低速逆転を停止させる。これにより、駆動ギア51の停止目標位置P1を、ホームポジションセンサ101による検出位置P101に位置させてモータ5の回転が停止する。このように第3の動作例では、駆動ギア51の停止目標範囲始点位置PSを検出し、モータ5が減速を開始してからモータ5が停止するまでの距離(8パルス)と、停止目標範囲始点位置PSから停止目標位置P1までの距離(第1距離。本例では3パルス)の差分(5パルス)を算出し、モータ5を差分だけ逆転させてやることで、駆動ギア51の停止目標位置P1をホームポジションセンサ101による検出位置P101に位置させるようにしている。
【0074】
<電動ステープラの他の実施の形態例>
図8は、電動ステープラの他の実施の形態を示す駆動部の一例を示す側断面図である。電動ステープラ1A′の駆動部50A′は、停止目標範囲SEにおいて、停止目標範囲始点位置PSと停止目標範囲終点位置PEとの中間位置より、矢印Fで示す駆動ギア51の正方向への回転に対して前側に、駆動ギア51の停止目標位置P1が設定される。また、矢印Fで示す駆動ギア51の正方向への回転に対し、停止目標範囲終点位置PEから所定の範囲が、空送範囲ECとなり、空送範囲ECの次に、クランプ範囲CL、貫通範囲THと続く。
【0075】
図9Aは、他の実施の形態のステープラの動作例を示すタイムチャート、
図9Bは、他の実施の形態の電動ステープラの動作例を示すフローチャートである。制御部110は、モータ5を所定の高速正転させることにより、駆動ギア51を矢印Fに示す一方向に回転させる動作で、クランプ工程、貫通工程及びクリンチ工程等を行う。
【0076】
制御部110は、
図9A(1)のHPセンサONの検知、
図9BのステップSD1で、ホームポジションセンサ101が、駆動ギア51の停止目標範囲始点位置PSを検出すると、制御部110は、
図9BのステップSD2で、モータ5を所定の高速回転から減速させ、所定の低速で正転させる。駆動ギア51の停止目標範囲始点位置PSを検出するとモータ5を低速で正転させるということは、モータ5の回転位置が第1位置を通過したことを検出した後、モータ5の回転速度を減速させることと同義である。
【0077】
ホームポジションセンサ101が駆動ギア51の停止目標範囲始点位置PSを検出してから、ホームポジションセンサ101の検出位置P101に駆動ギア51の停止目標位置P1が到達するまでのモータ5の回転量を停止回転量D5と称す。
【0078】
制御部110は、
図9A(1)のHPセンサONの検知から、
図9A(2)の低速正転中の磁気センサパルスのカウント区間において、
図9BのステップSD3で、磁気センサ102から出力される位置情報に基づき回転量情報D1を取得する。
【0079】
制御部110は、
図9A(1)のHPセンサONの検知から、
図9A(2)の低速正転中の磁気センサパルスのカウント区間でカウントした回転量情報D1が、
図9BのステップSD4で停止回転量D5に到達すると、
図9A(3)の停止、
図9BのステップSD5で、モータ5の低速正転を停止させる。HPセンサONの検知からモータ5の低速正転中にカウントした回転量情報D1が停止回転量D5に到達すると、モータ5の低速正転を停止させるということは、モータ5が減速を開始してからのモータ5の回転量が所定値になったことを検出すると、モータ5にブレーキをかけるということと同義である。これにより、駆動ギア51の停止目標位置P1を、ホームポジションセンサ101による検出位置P101に位置させてモータ5の回転が停止する。
【符号の説明】
【0080】
1A・・・電動ステープラ、2・・・クランプ部、21・・・第1壁部、22・・・第2壁部、3・・・貫通部、4・・・クリンチ部、5・・・モータ、51・・・駆動ギア、101・・・ホームポジションセンサ(第1位置検出手段)、102・・・磁気センサ(回転量検出手段)、110・・・制御部(ブレーキ手段、差分算出手段、モータ制御手段、減速手段)、SE・・・停止目標範囲、PS・・・停止目標範囲始点位置(第1位置)、PE・・・停止目標範囲終点位置、P1・・・停止目標位置