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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】車両の周辺監視システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240423BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20240423BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G5/00 A
H04N7/18 J
H04N7/18 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020087632
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021182281
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100133916
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 興
(72)【発明者】
【氏名】橋口 拓允
(72)【発明者】
【氏名】安竹 昭
(72)【発明者】
【氏名】有永 剛
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/195933(WO,A1)
【文献】特開2019-182211(JP,A)
【文献】特開2006-180326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、撮影部を有し、前記車両の車外を飛行可能な飛行体と、
前記車両に設けられ、前記撮影部が撮影した画像を受信可能な通信部と、
前記通信部が受信した画像を記録する画像記録部と、
前記飛行体を制御する制御部と、
前記車両からの人員の降車を検出する降車検出部と、
を備え、
前記制御部は、前記降車検出部が前記車両からの人員の降車を検出した場合に、前記飛行体が前記車両から離陸し、前記撮影部が前記車両の周辺を撮影し、前記撮影部が撮影した画像を前記通信部に送信するよう制御し、
前記降車検出部が前記車両からの人員の降車を検出した場合に、前記撮影部は、複数の方向から前記車両の周辺を撮影し、前記車両の周囲に駐車されている駐車車両のナンバープレートを含む画像を撮影する、車両の周辺監視システム。
【請求項2】
前記車両は前記撮影部が撮影した画像を表示する表示部を備え、
前記車両の駆動力が停止した場合に、前記表示部は、前記撮影部が撮影した画像を表示する、請求項に記載の車両の周辺監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の周辺監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、カメラを備えた飛行体を車両に搭載し、車内のナビゲーション装置からの制御により車両上空で飛行体を飛行させることによって撮影画像を取得し、その撮影画像の解析結果に基づいて車両の走行支援等を行うナビゲーションシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-138853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両は、駐車場等での駐車中に当て逃げ等の被害を受ける可能性がある。その対策として、衝撃センサが車両への衝撃を検知した場合に、車両前後に搭載されたカメラが車両周辺の撮影を開始する監視システムが実用化されている。しかし、例えば、自車の右隣に駐車していた車両が駐車枠から出て自車前を左方に通り過ぎる時に当て逃げを行った場合には、カメラの撮影方向に対して加害車両は真横を向いているため、撮影映像において加害車両の車体の側面は記録されているものの、車両を特定するための情報(特にナンバープレート)が記録されていない場合がある。従って、自車の近隣に駐車していた車両が加害車両である場合の当て逃げにおいて、加害車両を特定するための情報を確実に記録として残すことができる手段の実現が望まれる。
【0005】
しかし、上記特許文献1に開示されたナビゲーションシステムによると、駐車中の自車両が当て逃げ等の被害を受けた場合に、飛行体のカメラによる撮影画像を、加害車両を特定する手掛かりとして活用することは、何ら考えられていない。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、飛行体の撮影部による撮影画像を、当て逃げ等の加害車両を特定する手掛かりとして活用することが可能な、車両の周辺監視システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る車両の周辺監視システムは、車両に搭載され、撮影部を有し、前記車両の車外を飛行可能な飛行体と、前記車両に設けられ、前記撮影部が撮影した画像を受信可能な通信部と、前記通信部が受信した画像を記録する画像記録部と、前記飛行体を制御する制御部と、前記車両からの人員の降車を検出する降車検出部と、を備え、前記制御部は、前記降車検出部が前記車両からの人員の降車を検出した場合に、前記飛行体が前記車両から離陸し、前記撮影部が前記車両の周辺を撮影し、前記撮影部が撮影した画像を前記通信部に送信するよう制御し、前記降車検出部が前記車両からの人員の降車を検出した場合に、前記撮影部は、複数の方向から前記車両の周辺を撮影し、前記車両の周囲に駐車されている駐車車両のナンバープレートを含む画像を撮影することを特徴とするものである。
【0008】
この態様によれば、制御部は、降車検出部が車両からの人員の降車を検出した場合に、飛行体が車両から離陸し、撮影部が車両の周辺(予め設定された所定範囲、例えば、車両を中心とする半径5~10メートル程度の範囲)を撮影し、撮影部が撮影した画像を通信部に送信するよう、飛行体を制御する。これにより、駐車場等において自車両の周囲に駐車されている駐車車両の画像を、画像記録部に記録することができる。その結果、駐車中の自車両が当て逃げ等の被害を受けた場合に、飛行体の撮影部による撮影画像を、加害車両を特定する手掛かりとして活用することが可能となる。
【0010】
この態様によれば、撮影部は複数の方向から車両の周辺を撮影し、撮影部が撮影した画像が画像記録部に記録される。従って、画像記録部に記録された画像(複数のアングルから撮影された画像)を確認することによって、自車両の周辺の駐車車両等の状況を正確に把握できるため、飛行体による撮影画像の証拠画像としての有益性を向上することが可能となる。
【0012】
この態様によれば、撮影部は、車両の周囲に駐車されている駐車車両のナンバープレートを含む画像を撮影する。従って、自車両の周囲に駐車されている駐車車両が当て逃げの加害車両である場合に、画像記録部にはその加害車両のナンバープレートの画像が記録されているため、飛行体による撮影画像の証拠画像としての有益性をさらに向上することが可能となる。
【0013】
上記態様において、前記車両は前記撮影部が撮影した画像を表示する表示部を備え、前記車両の駆動力が停止した場合に、前記表示部は、前記撮影部が撮影した画像を表示することが望ましい。
【0014】
この態様によれば、車両の駆動力が停止した場合に、人員に降車する意思があると判断して、降車とみなした制御を行う。よって、駆動力の停止が検出された場合に、人員が車室内に着座している状態であっても飛行体の飛行及び撮影制御を直ちに開始させることにより、撮影画像を早期に表示部に表示させることができる。その結果、飛行体による撮影映像を、人員が車両から降車する前であっても、車室内から車両周辺の安全確認に活用することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、飛行体の撮影部による撮影画像を、当て逃げ等の加害車両を特定する手掛かりとして活用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る車両周辺監視システムの適用例を示す図である。
図2】飛行体の外観を模式的に示す図である。
図3】飛行体の機能構成を示すブロック図である。
図4】車両の機能構成を示すブロック図である。
図5】飛行体制御部の機能構成を示すブロック図である。
図6】飛行体の規定飛行経路の一例を示す図である。
図7】飛行体の規定飛行経路の一例を示す図である。
図8】車両情報検出部の機能構成を示す図である。
図9】車両の制御部による飛行体の制御フローを示すフローチャートである。
図10】飛行体の撮影部が自車の隣の駐車車両のナンバープレートを撮影している状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る車両周辺監視システムの適用例を示す図である。車両1には、車両1の車外を飛行可能な飛行体2が搭載されている。車両1の所定箇所(この例ではリアウインドウ上)には、飛行体2の発着台3が配置されている。発着台3は、飛行体2が離着陸を行うための水平な発着面を有する。発着面の下方には、巻き取りリール19(図1には表れない)が配置されている。巻き取りリール19は、給電用のケーブルであるテザー4が巻装された回転軸(図略)を有している。発着面の略中央部には貫通孔が設けられており、巻き取りリール19の回転軸に巻装されたテザー4は、この貫通孔内を挿通して発着面の上方に引き出され、飛行体2に接続されている。
【0019】
図2は、飛行体2の外観を模式的に示す図である。飛行体2は、いわゆるクワッドコプター型のドローンとして構成されている。飛行体2は、本体部111と、本体部111の前面に配置されたカメラ112と、本体部111の四隅に配置されたプロペラ113と、本体部111の左右両面から垂直に延在するシャフト114と、本体部111を内包する網目球体状の緩衝部材115とを備えている。本体部111と緩衝部材115とは、シャフト114によって互いに固定されている。本体部111の底面にテザー4が接続されている。
【0020】
図3は、飛行体2の機能構成を示すブロック図である。図3に示すように飛行体2は、通信部21、撮影部22、駆動部23、位置検出部24、及び姿勢検出部25を有している。また、飛行体2は、これら各処理部の動作を制御することによって飛行体2の全体の制御を司る制御部20を有している。さらに、飛行体2は、これら各処理部及び制御部20に駆動電力を供給する電力供給部29を有している。電力供給部29は、テザー4に接続されている。飛行体2の駆動電力を、テザー4を介して車両1側から供給することにより、飛行体2へのバッテリの搭載を省略でき、その結果、飛行体2の軽量化が図られている。飛行体2の総重量は、重量に基づく飛行規制の対象となる制限重量(例えば200グラム)未満である。
【0021】
通信部21は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信方式によって、後述する車両1側の通信部122との間で双方向にデータ通信を行う。但し、テザー4内にデータ通信線を追加することにより、通信部21と通信部122とが当該データ通信線を介して有線通信を行う構成としても良い。
【0022】
撮影部22は、図2に示したカメラ112を含む。撮影部22によって撮影される画像には、静止画像(写真)及び動画像(映像)の双方が含まれる。以下の説明では、撮影部22によって映像が撮影される場合を例にとる。撮影部22は、カメラ112によって撮影された映像の映像データをリアルタイムで出力する。
【0023】
駆動部23は、図2に示したプロペラ113のプロペラシャフトを回転駆動するためのモータを含む。駆動部23は、4つのプロペラ113の回転方向及び回転速度を個別に制御する。これにより、飛行体2は、前進、後進、上昇、降下、旋回、及びホバリング等の任意の飛行動作を行うことができる。
【0024】
位置検出部24は、GPS受信機及び高度センサ等を含み、飛行体2の位置をリアルタイムに検出することにより、その検出された位置を示す位置データを出力する。
【0025】
姿勢検出部25は、加速度センサ、ジャイロセンサ、及び方位センサ等を含み、飛行体2の姿勢をリアルタイムに検出することにより、その検出された姿勢を示す姿勢データを出力する。
【0026】
制御部20は、撮影部22から出力された映像データ、位置検出部24から出力された位置データ、及び姿勢検出部25から出力された姿勢データを、リアルタイムで通信部21から車両1に送信する。
【0027】
図4は、車両1の機能構成を示すブロック図である。図4に示すように車両1は、バッテリ制御部11、飛行体制御部12、車両制御部13、車両情報検出部14、及び表示部16を有している。また、車両1は、これら各処理部の動作を制御することによって車両1の全体の制御を司る制御部10を有している。さらに、車両1は、これら各処理部及び制御部10に駆動電力を供給するバッテリ18を有している。テザー4は、バッテリ18に接続されている。また、車両1は、巻き取りリール19を有している。巻き取りリール19の駆動電力は、バッテリ18から供給される。巻き取りリール19は、テザー4が巻装された回転軸(図略)と、当該回転軸を回転駆動するためのモータ(図略)とを有している。巻き取りリール19は、飛行体2の飛行状況に応じた適正量のテザー4が回転軸から繰り出されるように、モータによる回転軸の駆動によってテザー4の送出及び回収を制御する。
【0028】
バッテリ制御部11は、バッテリ18の充放電動作を制御する。また、バッテリ制御部11は、バッテリ18からテザー4への電力供給の開始及び停止を制御する。
【0029】
飛行体制御部12は、飛行体2の飛行を制御する。飛行体制御部12の詳細については後述する。
【0030】
車両制御部13は、車両1の照明装置(ヘッドライト、テールライト、及びルームライト等)の点灯又は消灯を制御する照明コントローラを含む。また、車両制御部13は、車両1のホーンの吹鳴を制御するホーンコントローラを含む。
【0031】
車両情報検出部14は、車両1の各種情報を検出する。車両情報検出部14の詳細については後述する。
【0032】
表示部16は、LCD又は有機EL等の任意の表示装置を用いた車載ディスプレイを含む。表示部16は、カーナビゲーション装置が備えるディスプレイであっても良い。
【0033】
図5は、飛行体制御部12の機能構成を示すブロック図である。図5に示すように飛行体制御部12は、通信部122、飛行経路記憶部123、操縦信号生成部124、撮影信号生成部125、リール制御部126、及び映像記録部127を有している。また、飛行体制御部12は、これら各処理部の動作を制御する制御部121を有している。
【0034】
通信部122は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信方式によって、上述した飛行体2側の通信部21との間で双方向にデータ通信を行う。通信部122は、飛行体2側の通信部21から送信された映像データ、位置データ、及び姿勢データを受信する。
【0035】
飛行経路記憶部123は、フラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性メモリを用いて構成されている。発着台3の位置を基準とする飛行体2の規定飛行経路が予め定められて、その規定飛行経路を示す飛行経路データが、飛行経路記憶部123に予め記憶されている。例えば、車両1の周囲の駐車車両のナンバープレートを撮影できるように車両1の周辺(予め設定された所定範囲、例えば、車両1を中心とする半径5~10メートル程度の範囲)の上空で所定周回数の旋回を行う旋回経路(図6)が、規定飛行経路として飛行経路記憶部123に記憶されている。規定飛行経路は、旋回経路以外の任意の経路であって良く、例えば、車両1の右後方から左前方に向かって車両1の上空を斜行(高度変化を伴っても良い)しながら横断する斜行横断経路(図7)であっても良い。なお、車両1の周囲の駐車状況を撮影部22によって撮影し、その撮影映像を人工知能等によって解析することにより、各駐車車両のナンバープレートを順に撮影するための最短の飛行経路を規定飛行経路として作成しても良い。飛行体2の撮影部22が自車の隣の駐車車両200のナンバープレートを撮影している様子を、図10に示す。
【0036】
操縦信号生成部124は、通信部122が受信した映像データ、位置データ、及び姿勢データに基づいて、飛行経路記憶部123から読み出した規定飛行経路に沿って飛行体2を飛行させるための操縦信号を生成する。
【0037】
撮影信号生成部125は、飛行体2の飛行状況に応じて、飛行体2の撮影部22に対して撮影を開始させるための撮影開始信号、及び、撮影を停止させるための撮影停止信号を生成する。
【0038】
リール制御部126は、巻き取りリール19を制御する。具体的にリール制御部126は、飛行体2の飛行状況に応じた適正量のテザー4が巻き取りリール19の回転軸から繰り出されるように、モータによる回転軸の駆動によってテザー4の送出及び回収を制御する。
【0039】
映像記録部127は、車両1に設けられており、フラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性メモリを用いて構成されている。映像記録部127は、通信部122から転送された映像データを記録する。なお、映像データを車外のサーバ装置に転送して記録するようにしても良い。
【0040】
制御部121は、操縦信号生成部124によって生成された操縦信号、並びに、撮影信号生成部125によって生成された撮影開始信号及び撮影停止信号を、リアルタイムで通信部122から飛行体2に送信する。
【0041】
図8は、車両情報検出部14の機能構成を示す図である。図8に示すように車両情報検出部14は、ドア開閉センサ142、シートセンサ143、始動検知センサ144、及び車内侵入検知センサ146を含む。
【0042】
ドア開閉センサ142は、車両1のドアの開状態/閉状態を検出する。シートセンサ143は、車両1のシートへの人員の着座状態を検出する。始動検知センサ144は、イグニッションセンサにより、又は、バッテリと走行モータとを接続するリレースイッチのオン/オフ状態を検出することにより、車両1の駆動力発生装置(エンジン又は走行モータ等)の始動状態/停止状態を検出する。車内侵入検知センサ146は、駐車中の車両1の車内を監視エリアとして、その監視エリア内における侵入者の有無を検知する。
【0043】
図9は、車両1の制御部10による飛行体2の制御フローを示すフローチャートである。まずステップSP11において制御部10は、車両情報検出部14によって車両1からの乗員の降車を検出する。車両情報検出部14は、例えば、車両1の駆動力発生装置がオン状態からオフ状態に切り替えられたことが始動検知センサ144によって検出され、かつ、その後に車両1の少なくとも運転席ドアの開閉動作が行われたことがドア開閉センサ142によって検出され、かつ、その後に車両1の車内が有人から無人になったことがシートセンサ143又は車内侵入検知センサ146によって検出されたことにより、車両1からの乗員の降車が完了したことを検出する。
【0044】
車両情報検出部14が降車を検出しない場合(ステップSP11:NO)は、制御部10はステップSP11の処理を繰り返し実行する。
【0045】
車両情報検出部14が降車を検出した場合(ステップSP11:YES)は、次にステップSP12において制御部10は、飛行体制御部12に飛行体2の離陸制御を実行させる。具体的には図3~5を参照して、まずバッテリ制御部11は、バッテリ18からテザー4を介して飛行体2への電力供給を開始する。次に制御部121は、飛行経路記憶部123から規定飛行経路データを読み出す。次に操縦信号生成部124は、その規定飛行経路に沿って飛行体2を飛行させるための操縦信号を生成する。また、撮影信号生成部125は、飛行体2の撮影部22に対して撮影を開始させるための撮影開始信号を生成する。次に通信部122は、その操縦信号及び撮影開始信号を飛行体2に送信する。次に飛行体2側の通信部21は、車両1側の通信部122から送信された操縦信号及び撮影開始信号を受信する。次に駆動部23は、その操縦信号に基づいてプロペラ113を駆動することにより、規定飛行経路に沿って飛行体2を飛行させるための制御を開始する。これにより、発着台3から飛行体2が離陸する。また、撮影部22はカメラ112による撮影を開始し、位置検出部24は飛行体2の位置検出を開始し、姿勢検出部25は飛行体2の姿勢検出を開始する。制御部20は、撮影部22から出力された映像データ、位置検出部24から出力された位置データ、及び姿勢検出部25から出力された姿勢データを、リアルタイムで通信部21から車両1に送信する。
【0046】
次にステップSP13において制御部10は、飛行体制御部12に飛行体2の飛行制御及び撮影制御を継続させる。操縦信号生成部124は、通信部122が通信部21から受信した映像データ、位置データ、及び姿勢データに基づいて、規定飛行経路に沿って飛行体2を飛行させるための操縦信号を生成する。上記と同様に、この操縦信号が飛行体2に送信されることによって、飛行体2の飛行が制御される。
【0047】
次にステップSP14において制御部10は、通信部122が通信部21から受信した映像データを映像記録部127に転送することにより、カメラ112による撮影映像を映像記録部127に記録する。
【0048】
次にステップSP15において制御部10は、飛行体制御部12に対して、通信部122が受信した位置データに基づいて飛行体2の飛行軌跡を解析させることにより、規定飛行経路に沿った飛行及び撮影が完了したか否かを判定する。
【0049】
規定飛行経路に沿った飛行及び撮影が完了していない場合(ステップSP15:NO)は、制御部10はステップSP13~SP15の処理を繰り返し実行する。
【0050】
規定飛行経路に沿った飛行及び撮影が完了した場合(ステップSP15:YES)は、次にステップSP16において制御部10は、飛行体制御部12に飛行体2の帰艦制御を実行させる。具体的に、操縦信号生成部124は、通信部122が受信した映像データ、位置データ、及び姿勢データに基づいて、飛行体2を発着台3に向けて飛行させるための操縦信号を生成する。上記と同様に、この操縦信号が飛行体2に送信されることによって飛行体2の飛行が制御され、飛行体2は発着台3に帰艦する。次に、撮影信号生成部125は、飛行体2の撮影部22に対して撮影を停止させるための撮影停止信号を生成する。撮影停止信号は飛行体2に送信され、撮影部22はカメラ112による撮影を停止する。その後、バッテリ制御部11は、バッテリ18から飛行体2への電力供給を停止する。
【0051】
本実施の形態に係る車両周辺監視システムによれば、制御部10は、車両情報検出部14(降車検出部)によって車両1からの人員の降車が検出された場合に、車両1から飛行体2を飛行させ、車両1の周辺を飛行体2の撮影部22によって撮影させ、撮影された映像を映像記録部127に記録させる。これにより、自車両1の周囲に駐車されている駐車車両の映像を、映像記録部127に記録することができる。その結果、駐車中の自車両1が当て逃げ等の被害を受けた場合に、飛行体2の撮影部22による撮影映像を、加害車両を特定する手掛かりとして活用することが可能となる。
【0052】
また、制御部10は、規定飛行経路に沿って飛行体2を移動飛行させることにより、車両1の周辺を複数方向から撮影部22によって撮影させ、撮影された複数方向の映像を映像記録部127に記録させる。従って、映像記録部127に記録された映像(複数のアングルから撮影された映像)を確認することによって、車両1の周辺の駐車車両等の状況を正確に把握できるため、飛行体2による撮影画像の証拠画像としての有益性を向上することが可能となる。
【0053】
また、制御部10は、規定飛行経路に沿って飛行体2を飛行させることにより、車両1の周囲に駐車されている駐車車両のナンバープレートを含む画像を、撮影部22に撮影させる。従って、車両1の周囲に駐車されている駐車車両が当て逃げの加害車両である場合に、映像記録部127にはその加害車両のナンバープレートの映像が記録されているため、飛行体2による撮影画像の証拠画像としての有益性をさらに向上することが可能となる。
【0054】
また、車両情報検出部14は、車両1の駆動力発生装置の停止動作が行われ、かつ、車両1の運転席ドアの開閉動作が行われ、かつ、車両1の車内が無人になったことが検出された場合に、降車を検出する。これにより、車両1からの人員の降車が完了したことを確実に検出することが可能となる。
【0055】
また、制御部10は、撮影部22による撮影が完了した場合に、飛行体2を車両1に帰還させる。従って、撮影完了後に飛行体2が飛行を継続してバッテリ18の電力が消費され続ける事態を、予め回避することが可能となる。
【0056】
<第1変形例>
上記実施の形態では、制御部10は、車両1からの人員の降車が完了したことが検出された場合に飛行体2の飛行を開始させたが、降車の動作が完了する前であっても、乗員による降車の意思が確認された場合には、制御部10は直ちに飛行体2の飛行を開始させても良い。制御部10は、例えば、車両1の駆動力発生装置がオン状態からオフ状態に切り替えられたことが始動検知センサ144によって検出された場合に、乗員による降車の意思が確認されるとして、降車を検出する。制御部10は、降車を検出したことにより、上記実施の形態と同様に、規定飛行経路に沿って飛行体2を飛行させつつ、撮影部22によって撮影された映像を映像記録部127に記録させる。
【0057】
また、本変形例において、制御部10は、飛行体2から受信した映像データを表示部16に転送することにより、撮影部22による撮影映像を表示部16に表示させても良い。
【0058】
本変形例によれば、車両情報検出部14は、車両1の駆動力発生装置(エンジン又は走行モータ)が発生する駆動力が停止した場合に、人員に降車する意思があると判断して、降車とみなした制御を行う。よって、駆動力の停止が検出された場合に、人員が車室内に着座している状態であっても飛行体2の飛行及び撮影制御を直ちに開始させることにより、撮影画像を早期に表示部16に表示させることができる。その結果、飛行体2による撮影映像を、人員が車両1から降車する前であっても、車室内から車両周辺の安全確認に活用することが可能となる。
【0059】
<第2変形例>
飛行体2を車両1に帰還させる場合には、制御部10は、飛行体2を帰還させるための操縦信号を操縦信号生成部124に生成させる代わりに、リール制御部126によって巻き取りリール19の回転軸を高速に回転駆動させることによって、飛行体2を強制的に回収しても良い。これにより、飛行体2を迅速に回収することが可能となる。
【符号の説明】
【0060】
1 車両
2 飛行体
4 テザー
10 制御部
12 飛行体制御部
14 車両情報検出部
16 表示部
19 巻き取りリール
22 撮影部
127 映像記録部
142 ドア開閉センサ
143 シートセンサ
144 始動検知センサ
146 車内侵入検知センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10