(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】搬送ガイドユニット
(51)【国際特許分類】
B65H 31/00 20060101AFI20240423BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240423BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B65H31/00 Z
G03G21/16 109
G03G21/16 147
G03G15/00 460
(21)【出願番号】P 2020090844
(22)【出願日】2020-05-25
【審査請求日】2023-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100141298
【氏名又は名称】今村 文典
(74)【代理人】
【識別番号】100187492
【氏名又は名称】新保 元啓
(72)【発明者】
【氏名】角田 昌之
(72)【発明者】
【氏名】日比野 梨紗
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-240763(JP,A)
【文献】特開2003-202718(JP,A)
【文献】特開2017-142478(JP,A)
【文献】特開2003-206065(JP,A)
【文献】特開2009-084053(JP,A)
【文献】特開2021-165180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00
G03G 21/16
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成装置と、当該画像形成装置の側面に着脱可能に装着され、画像形成された前記シートに後処理を行う後処理装置との間の隙間に配置される搬送ガイドユニットであって、
前記後処理装置は、内部に後処理機構を収容する筐体と、該筐体における前記画像形成装置側の面に形成されたシート搬入口と、前記筐体の上面部から上側に突出するとともに内部にシート排出機構を収容する排出ハウジング部と、前記筐体の上面における前記排出ハウジング部よりも画像形成装置側に形成された排出トレイ部と、前記排出ハウジング部における画像形成装置側の面に形成されたシート排出口とを有していて、前記シート搬入口から搬入されるシートに前記後処理機構によって後処理を施した後に、当該シートを前記シート排出機構によって前記シート排出口から前記画像形成装置側に向けて排出するように構成され、
前記画像形成装置のシート排出口又は該画像形成装置に装着される中継搬送装置のシート排出口から排出されるシートを、前記後処理装置のシート搬入口へと導くガイド部材と、
前記ガイド部材を支持する支持フレームと、
前記支持フレームに取付けられて、前記ガイド部材の上側及び前記ガイド部材におけるシート搬送方向に直交する搬送幅方向の両側を覆う外装カバーとを備え、
前記外装カバーは、その上面が、前記後処理装置における前記排出トレイ部のシート排出方向下流側への延長部として機能するように構成されている、搬送ガイドユニット。
【請求項2】
請求項1記載の搬送ガイドユニットにおいて、
前記外装カバーの上面における前記排出トレイ部側の縁部が、前記画像形成装置と前記後処理装置との対向方向において、前記後処理装置側から前記画像形成装置側に向かって上側に傾斜するか又は前記排出トレイ部のシート排出方向の下流側端部に段差無く繋がることで、前記排出トレイ部上に排出されるシートの移動を阻害しないように形成されている、搬送ガイドユニット。
【請求項3】
請求項1又は2記載の搬送ガイドユニットにおいて、
前記搬送幅方向は、前記画像形成装置の前後方向に一致しており、
前記画像形成装置の前面部には、前カバーが着脱自在に装着されており、
前記前カバーにおける前記後処理装置側の端縁部には取手部が形成され、
前記外装カバーにおける前記前後方向の前側の端面は、前記前カバーの取手部よりも前記前後方向の後側に位置している、搬送ガイドユニット。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の搬送ガイドユニットにおいて、
前記搬送幅方向は、前記画像形成装置の前後方向に一致しており、
前記画像形成装置における前記後処理装置との対向面には、吸気用又は排気用の通気口が形成され、
前記外装カバーにおける前記前後方向の後側の端面は、前記通気口よりも前記前後方向の前側に位置している、搬送ガイドユニット。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の搬送ガイドユニットにおいて、
前記搬送幅方向は、前記画像形成装置の前後方向に一致しており、
前記画像形成装置の上端部に設けられ、内部に画像読取部を収容するとともに上面にコンタクトガラスが装着されたスキャナー筐体部と、
前記スキャナー筐体部の上側に設けられ、前記コンタクトガラス上を原稿が通過するように原稿を搬送する原稿自動送り装置とを備え、
前記原稿自動送り装置は、内部に原稿搬送機構を収容するケーシングと、該ケーシングの上壁面から後処理装置側の壁面に亘って形成された開口部と、該開口部を開閉する開閉カバーとを有しており、
前記開閉カバーは、前記後処理装置側の端縁部が、前後方向に延びる軸線回りに回動可能になるように前記ケーシングに支持されていて、前記開口部を閉塞する閉位置と、該閉位置から前記軸線回りに上側に所定角度回転した最大開放位置との間で変位可能であり、
前記画像形成装置と前記後処理装置との対向方向における前記外装カバーの幅寸法をWとし、前記開閉カバーを前記最大開放位置に変位させた状態における、前記画像形成装置の前記側面を基準とする前記開閉カバーの前記後処理装置側への突出量をZとしたとき、W>Zの関係を満たしている、搬送ガイドユニット。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の搬送ガイドユニットにおいて、
前記ガイド部材を支持する前記支持フレームは、前記後処理装置と前記画像形成装置とを連結する連結機構のフレーム部材として兼用されている、搬送ガイドユニット。
【請求項7】
請求項6記載の搬送ガイドユニットにおいて、
前記外装カバーは、前記連結機構を覆うカバーとしても兼用されている、搬送ガイドユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置から後処理装置に搬送されるシートをガイドする搬送ガイドユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置から排出されるシートに対して穿孔処理、ステープル処理、中折り処理等の後処理を行う後処理装置は知られている(例えば、特許文献1参照)。この後処理装置は、後処理を実行する後処理機構を収容する筐体を有している。
筐体にはシート搬入口が形成されており、このシート搬入口は、中継搬送装置を介して画像形成装置のシート排出口に接続されている。中継搬送装置は画像形成装置の胴内排紙空間に装着されている。後処理装置は、前記筐体のシート搬入口から搬入される印刷済のシートを順次搬送して後処理機構に供給する。後処理機構は、当該シートに後処理を施すとともに、後処理後のシートをシート排出口から排出トレイに排出する。このシート排出口は、筐体における画像形成装置側とは反対側の面に形成されている。前記排出トレイは、シート排出口の下端縁付近に接続されている。そして、シート排出口から排出されたシートは排出トレイ上に順次積載される。尚、画像形成装置から排出される印刷済みのシートを中継搬送装置を介さずに後処理装置に直接供給する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す後処理装置では、排出トレイが筐体の側面から突出しているのでスペース効率が悪いという問題がある。そこで、
図30に示すように、筐体701の上面の一部に排出トレイ部702を形成した後処理装置700が提案されている。この後処理装置700では、筐体701の上面における画像形成装置800側とは反対側の端部に、排出ハウジング701aが突設されている。排出ハウジング701a内には、排出機構(図示省略)が収容されている。排出トレイ部702は、筐体701の上面における該排出ハウジング701aよりも画像形成装置800側に形成されている。排出ハウジング701aにおける画像形成装置800側の壁面にはシート排出口701bが形成されている。前記排出機構は、後処理後のシートを、シート排出口701bから画像形成装置800側に向かって順次排出して排出トレイ部702上に積載する。
【0005】
しかしながら、
図30に示す後処理装置700では、排出ハウジング701aのシート排出口701bから排出されたシートSが、画像形成装置800の側面に衝突してシートSの積載性が損なわれるという問題がある。また、画像形成装置800が胴内排紙型である場合には、シート排出口701bから排出されたシートSが胴内空間内に進入してしまい、排出トレイ部702上にシートSが積載されないという問題が生じる。
【0006】
この問題を解消するために、筐体701の上面の排出トレイ部702をシート排出方向(後処理装置700と画像形成装置800との対向方向)に拡大することでシートSの積載スペースを確保することが考えられる。しかし、筐体701の上面の排出トレイ部702を拡大しようとすると、筐体701が大型化してスペース効率の低下を招くという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、後処理装置を大型化することなく、筐体上面の排出トレイ部に排出されるシートの積載性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するために、後処理装置と画像形成装置との隙間に搬送ガイドユニットを配置し、この搬送ガイドユニットの外装カバーの上面を排出トレイ部の延長部として利用するようにした。
【0009】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置と、当該画像形成装置の側面に着脱可能に装着され、画像形成された前記シートに後処理を行う後処理装置との間の隙間に配置される搬送ガイドユニットであって、前記後処理装置は、内部に後処理機構を収容する筐体と、該筐体における前記画像形成装置側の面に形成されたシート搬入口と、前記筐体の上面部から上側に突出するとともに内部にシート排出機構を収容する排出ハウジング部と、前記筐体の上面における前記排出ハウジングよりも画像形成装置側に形成された排出トレイ部と、前記排出ハウジング部における画像形成装置側の面に形成されたシート排出口とを有していて、前記シート搬入口から搬入されるシートに前記後処理機構によって後処理を施した後に、当該シートを前記シート排出機構によって前記シート排出口から前記画像形成装置側に向けて排出するように構成され、前記画像形成装置のシート排出口又は該画像形成装置に装着される中継搬送装置のシート排出口から排出されるシートを、前記後処理装置のシート搬入口へと導くガイド部材と、前記ガイド部材を支持する支持フレームと、前記支持フレームに取付けられて、前記ガイド部材の上側及び前記ガイド部材におけるシート搬送方向に直交する搬送幅方向の両側を覆う外装カバーとを備え、前記外装カバーは、その上面が、前記後処理装置における前記排出トレイ部のシート排出方向下流側への延長部として機能するように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、後処理装置を大型化することなく、筐体上面の排出トレイ部に排出されるシートの積載性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態における搬送ガイドユニットと画像形成装置と後処理装置とを含む画像形成システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、画像形成システムの外観斜視図である。
【
図3】
図3は、画像形成装置本体部の前面部を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図4】
図4は、後処理装置と、該後処理装置に取付けられた連結機構を含む搬送ガイドユニットとを示す外観斜視図である。
【
図5】
図5は、後処理装置と、該後処理装置に連結された連結機構とを示す外観斜視図である。
【
図6】
図6は、後処理装置に連結された連結機構を示す外観斜視図である。
【
図7】
図7は、画像形成装置本体部の左側面を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、画像形成装置本体部の左側面における被連結部材の周辺を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図9】
図9は、連結機構における連結部材と被連結部材との連結状態を示す水平断面図である。
【
図10】
図10は、搬送ガイドユニットの外装カバーを示す外観斜視図である。
【
図11】
図11は、カバー部材を示す表裏方向の裏側から見た側面図である。
【
図12】
図12は、カバー部材を示す表裏方向の表側から見た側面図である。
【
図14】
図14は、カバー部材の延設方向の一側端部を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図16】
図16は、一方のカバー部材の一側端部に形成された一側組付部と、他方のカバー部材の他側端部に形成された他側組付部とを拡大して示す、表裏方向の表側から見た側面図である。
【
図17】
図17は、一方のカバー部材の一側端部に形成された一側組付部と、他方のカバー部材の他側端部に形成された他側組付部とを拡大して示す拡大斜視図である。
【
図18】
図18は、一側組付部と他側組付部とを直線組付状態で組付けることで二つのカバー部材が一直線状に連結された状態を示す、表裏方向の表側から見た側面図である。
【
図19】
図19は、
図18における一側組付部と他側組付部との組付け状態を示す、表裏方向の裏側から見た斜視図である。
【
図20】
図20は、搬送ガイドユニットの外装カバーを幅方向の中央位置で切断したカットモデルであって、外装カバーの上側半部を拡大して示す図である。
【
図21】
図21は、
図20における外装カバーの上側且つ前側の角部を拡大して示す拡大図である。
【
図22】
図22は、搬送ガイドユニットの外装カバーの第一固定箇所を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図23】
図23は、搬送ガイドユニットの外装カバーの第二固定箇所を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図24】
図24は、搬送ガイドユニットの外装カバーの第三固定箇所を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図25】
図25は、後処理装置の排出トレイ部と搬送ガイドユニットの外装カバーの上端部とを拡大して示す前側から見た側面図である。
【
図26】
図26は、後処理装置及び画像形成装置及び搬送ガイドユニットの外装カバーの上端部のみを拡大して示す前側から見た側面であって、原稿自動送り装置の開閉カバーが開放位置にある状態を示す図である。
【
図27】
図27は、後処理装置及び画像形成装置及び搬送ガイドユニットの外装カバーの前端部のみを拡大して示す平面図である。
【
図28】
図28は、後処理装置及び画像形成装置を後方斜め左側から見た斜視図である。
【
図29】
図29は、後処理装置及び画像形成装置及び搬送ガイドユニットの外装カバーの後端部のみを拡大して示す平面図である。
【
図30】
図30は、比較例における後処理装置の排出トレイ部と画像形成装置の上端部とを拡大して示す前側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
《実施形態》
図1は、本実施形態における搬送ガイドユニット900と、搬送ガイドユニット900を介して連結された画像形成装置1及び後処理装置400を含む画像形成システムMを示している。以下の説明において、特に断らない限り、「前側」、「後側」は、画像形成装置1の前側、後側を意味し、「左側」「右側」は、画像形成装置1を前側から見たときの左側、右側を意味する。
【0014】
[画像形成装置1の構成]
前記画像形成装置1は、胴内排紙型の複写機であって、画像形成装置本体部100とスキャナー筐体部200と連結筐体部150とを有している。
【0015】
スキャナー筐体部200は、画像形成装置本体部100よりも上側に配置されている。画像形成装置本体部100とスキャナー筐体部200とは連結筐体部150を介して連結されている。
【0016】
画像形成装置本体部100とスキャナー筐体部200との間には胴内排紙空間Eが形成されている。連結筐体部150は、画像形成装置本体部100の後端部に連結された後側連結筐体部(図示省略)と画像形成装置本体部100の右側端部に連結された右側連結筐体部150aとを有している。右側連結筐体部150aにおける胴内排紙空間Eに臨む立壁部155には、上側排出口151と下側排出口152とが上下に並んで形成されている。胴内排紙空間Eには中継搬送装置300が着脱可能になっている。中継搬送装置300は、下側排出口152から排出される画像形成後のシートSを後処理装置400へと搬送する。
【0017】
前記スキャナー筐体部200の上面にはコンタクトガラス200aが装着されている。コンタクトガラス200aの上面は、原稿カバー202によって開閉可能に覆われている。原稿カバー202の上面には原稿自動送り装置30が一体的に取付けられている。スキャナー筐体部200内には、後述する固定方式又はシートスルー方式により原稿シートGの画像を光学的に読取る読取ユニット201が収容されている。読取ユニット201は、原稿画像を光電変換により読取るCISセンサーを有していて左右方向に往復移動可能に構成されている。
【0018】
原稿自動送り装置30は、スキャナー筐体部200の後端部に一対のヒンジ機構を介して回動自在に支持されている。原稿自動送り装置30は、シートスルー方式による画像読取時にはコンタクトガラス200a上の原稿読取位置Rに原稿シートGを供給する。
【0019】
具体的には、原稿自動送り装置30は、原稿給紙トレイ31と、原稿給紙トレイ31の下側に設けられた原稿排紙トレイ32と、該原稿給紙トレイ31から原稿排紙トレイ32に至るU字状の原稿搬送路33と、原稿搬送路33に沿って原稿シートGを搬送する複数の搬送ローラー対34(原稿搬送機構の一例)と、複数の搬送ローラー対34を収容するケーシング35とを有している。ケーシング35には、その上壁面から後処理装置400側の壁面に至るジャム処理用の開口部35b(
図2参照)が形成されている。この開口部35bは、開閉カバー35aにより開閉可能に閉塞されている。開閉カバー35aは、後処理装置400側の端縁部が、前後方向に延びる軸線36(後述する
図26参照)を支点に回動可能になるようにケーシング35に支持されている。開閉カバー35aは、開口部35bを閉塞する閉位置と、該閉位置から前記軸線36回りに上側に所定角度回転した最大開放位置との間で変位可能に構成されている。
【0020】
原稿自動送り装置30は、シートスルー方式による画像読取時には、原稿給紙トレイ31にセットされた原稿シートGを、原稿搬送路33に沿って配置された複数の搬送ローラー対34によって一枚ずつ下流側に送り出して前記原稿読取位置Rを通過させた後、原稿排紙トレイ32に排出する。前記シートスルー方式では、原稿読取位置Rの直下に読取ユニット201を位置させて、原稿読取位置Rを通過する原稿シートGの画像を読取ユニット201に読取る。
【0021】
一方、シート固定方式による読取り時には、原稿自動送り装置30をその後端部のヒンジ機構を支点に上側に回動させて開位置に位置させる。そして、コンタクトガラス200aの上面に原稿シートGをセットし、その後、原稿自動送り装置30を閉位置に戻して原稿シートGをコンタクトガラス200aの上面に固定する。この状態で、読取ユニット201を左右方向に移動させて原稿シートGからの反射光を該読取ユニット201に搭載されたCISセンサーにより光電変換することで原稿画像データを生成する。
【0022】
[画像形成装置本体部100の構成]
前記画像形成装置本体部100は略直方体状に形成されており、その下面には移動用のキャスター102が取付けられている。画像形成装置本体部100内には画像形成部20が収容されている。画像形成装置本体部100内における画像形成部20の上側には定着部40が設けられ、画像形成部20の左斜め下側には、給紙部10が上下二段に亘って配置されている。各給紙部10は、シートSが収容される給紙カセット10aと、該給紙カセット10a内のシートSを取り出して該カセット外に送り出すためのピックアップローラー10bとを有している。給紙カセット10aよりカセット外に送り出されたシートSは、搬送ローラー対11を介して画像形成部20に供給される。また、画像形成装置本体部100内における二つの給紙部10の下側には、大容量給紙カセット15が左右に並んで配置されている。大容量給紙カセット15内のシートSは、不図示のピックアップローラーによりカセット外に取り出されて画像形成部20に供給される。
【0023】
画像形成部20は、感光ドラム21、帯電器23、露光装置25、現像装置27、及び転写器29を有している。画像形成部20では、先ず、帯電器23によって感光ドラム21の周面を帯電させ、次いで、露光装置25によって感光ドラム21の表面に原稿画像データ(読取ユニット201により生成された原稿画像の画像データ)に基づくレーザー光を照射することで静電潜像を形成し、形成した静電潜像を現像装置27によって現像することでトナー像を形成し、その後、転写器29によって給紙部10から供給されるシートSに対して前記トナー像を転写すると共に該転写後のシートSを定着部40に供給する。尚、図中の符号24は、感光ドラム21の表面に残った残トナーを除去するクリーニング部である。
【0024】
前記定着部40では、画像形成部20より供給されるシートSを定着ローラー40a及び加圧ローラー40b間で加圧及び加熱することにより、当該シートSにトナー像を定着させる。そして、定着部40にてトナー像が定着されたシートSは、両ローラー40a,40bにより上方に搬送される。シートSが搬送される搬送路は、定着部40の上側において第一搬送路T1と第二搬送路T2とに分岐しており、定着ローラー40a及び加圧ローラー40bより送り出されたシートSはこの第一搬送路T1又は第二搬送路T2に供給される。
【0025】
第一搬送路T1は、定着部40から上側に向かって左側に湾曲して前記下側排出口152に接続されている。下側排出口152の下流側端部には第一排出ローラー対12(排出機構の一例)が設けられている。第二搬送路T2は、定着部40から上側に向かって延びた後に左側に屈曲して前記上側排出口151に接続されている。上側排出口151の下流側端部には第二排出ローラー対13が設けられている。前記第二搬送路T2にはさらに、シートSに両面印刷を行う際に該シートSをスイッチバックさせて画像形成部20に再供給するための両面印刷用搬送路T3が接続されている。
【0026】
胴内排紙空間Eから中継搬送装置300を取外した状態(図示省略)では、前記下側排出口152から排出されたシートSがシートトレイ101に排出される。尚、上側排出口151は、シートSのスイッチバック搬送時等に使用される。一方、胴内排紙空間Eに中継搬送装置300を装着した状態(
図1に示す状態)では、下側排出口152から排出された画像形成後のシートSは、中継搬送装置300内の中継搬送路T4に供給される。
【0027】
中継搬送装置300は、胴内排紙空間Eの底壁部であるシートトレイ101上に装着される。中継搬送装置300は、全体視が略直方体状の本体ケース部303を有している。本体ケース部303の右側壁には、上側排出口151に連通するシート搬入口301が形成され、左側壁には後処理装置400の搬入口401cに連通するシート排出口302が形成されている。中継搬送装置300内には前記中継搬送路T4が設けられている。中継搬送路T4は、4つの搬送ローラー対304により形成されていて、シート搬入口301からシート排出口302に向かって略水平に延びている。中継搬送装置300の上面には、上側排出口151から排出されるシートSを受け止める排紙トレイ部305が形成されている。
【0028】
[画像形成装置本体部100の前面部の構成]
図2及び
図3に示すように、画像形成装置本体部100の下部には、前記二つの給紙カセット10aと二つの大容量給紙カセット15とが前側に引出し可能に収容されている。画像形成装置本体部100の前側面における二つの給紙カセット10aよりも上側の部分は前カバー103により覆われている。前カバー103は、前側から見て横長の矩形状をなしており、前カバー103の左右方向の両端部にはそれぞれ凹状の取手部103a(
図2及び
図3では一方のみを示す)が形成されている。前カバー103は、画像形成装置本体部100に対して着脱自在に装着されている。ユーザーは、取手部103aに指を掛けて前カバー103を取外すことで、各種のメンテナンス作業(例えば、図示しないトナーコンテナの交換作業)を行うことができる。
【0029】
[後処理装置400の構成]
後処理装置400は、画像形成装置本体部100の左側面に後述する搬送ガイドユニット900を介して着脱可能に連結されている。後処理装置400は、画像形成装置本体部100にて画像形成処理が施されたシートS(印刷済みのシート)に対して後処理を行う装置である。この後処理の一例として、例えばステープラー処理、ソート処理、及び中折り処理等が挙げられる。
【0030】
具体的には、後処理装置400は、
図1に示すように、上下方向に長い筐体401を有している。筐体401の下面には、移動用のキャスター402が取付けられている。筐体401の内部の下方には、前記後処理を行うための後処理機構403が収容されている。筐体401の右側面には、画像形成装置1から供給される印刷済みのシートSを受入れるシート搬入口401cが形成されている。筐体401の上面部の左側端部には、上側に突出する直方体状の排出ハウジング部401aが形成されている。排出ハウジング部401aの右側面には、第一排出口401dが形成されている。筐体401の上面における排出ハウジング部401aの右側に隣接する部分は、シートSが積載される排出トレイ部401bとされている。
【0031】
筐体401の左側面における前記シート搬入口401cに対向する部分には第二排出口401eが形成されている。筐体401内には、シート搬入口401cから後処理機構403に至る導入搬送路H0と、後処理機構403から第一排出口401dに至る第一排出搬送路H1と、後処理機構403から第二排出口401eに至る第二排出搬送路H2とが設けられている。各搬送路H0,H1,H2はそれぞれ、複数のローラー対によって形成されている。
図1では、これらの複数のローラー対のうち、シート搬入口401cに対向して配置された搬入ローラー対406と、第一排出口401dに対向して配置された第一排出ローラー対407(排出機構の一例)と、第二排出口401eに対向して配置された第二排出ローラー対408とを図示して、その他のローラー対については図示を省略している。第一排出ローラー対407は、前記排出ハウジング部401a内に収容されていて、シートSを第一排出口401dから
図1のX1方向に排出する。X1方向は、後処理装置400と画像形成装置1との対向方向における後処理装置400側から画像形成装置1側に向かう方向である。
【0032】
前記後処理機構403による後処理後のシートSの搬送路は、後処理装置400の制御部によって制御される。具体的には、該制御部は、画像形成装置1からの指令を基に、筐体401内に設けられた不図示の搬送路切替片の位置を切替えることで、後処理後のシートSの搬送路を第一排出搬送路H1と第二排出搬送路H2とのいずれか一方に選択的に切替える。第一排出搬送路H1は、後処理後のシートSを第一排出口401dから排出トレイ部401bに排出する際に使用される。一方、第二排出搬送路H2は、後処理後のシートSを筐体401の左側に装着される他の後処理装置(図示省略)に搬送する場合や、他の後処理装置を装着しない場合には第二排出口401eの下方に排出トレイを装着して、搬送方向において比較的に長い大サイズのシートSを排出する場合に使用される。
【0033】
[搬送ガイドユニット900の構成]
搬送ガイドユニット900(
図1参照)は、画像形成装置1に装着された中継搬送装置300のシート排出口302から排出されるシートSを、後処理装置400のシート搬入口401cへとガイドするユニットである。搬送ガイドユニット900を設けることで、例えば中継搬送装置300のシート排出口302と後処理装置400のシート搬入口401cとの高さが異なっていたとしても、シートSを中継搬送装置300から後処理装置400へと確実に供給搬送することができる。本例では、搬送ガイドユニット900は、画像形成装置本体部100と後処理装置400とを連結する後述の連結機構500と一体化されている。
【0034】
搬送ガイドユニット900は、
図1及び
図5に示すように、一対の導入ガイド板515と、外装カバーUとを有している。一対の導入ガイド板515がガイド部材に相当する。一対の導入ガイド板515は、上下方向に隙間を空けて配置されており、この隙間がシート搬送路として機能する。一対の導入ガイド板515は、平面視において、前後方向(シート搬送方向に直交する搬送幅方向)に延びる矩形板状をなしている。一対の導入ガイド板515の上流側端部は上下にハの字状に開放していて、中継搬送装置300のシート排出口302に対向している。一対の導入ガイド板515の前後方向の両側端部は、前側縦フレーム512及び後側縦フレーム513に支持されている。前側縦フレーム512及び後側縦フレーム513が支持フレームに相当する。前側縦フレーム512及び後側縦フレーム513は、後処理装置400に螺子で固定されている。
外装カバーUは、
図10に示すように、前後方向に延びるとともに一対の導入ガイド板515の上側を覆う上側辺部u1と、上下方向に延びて一対の導入ガイド板515の前後方向の両側を覆う前側辺部u2及び後側辺部u3を有している。外装カバーUは後述する連結機構500の外装カバーとしても兼用されている。
[連結機構500の構成]
図4~
図9を参照して連結機構500の構成を説明する。連結機構500は、後処理装置400の右側面に取付けられた連結部材510と、画像形成装置本体部100の左側面に取付けられた被連結部材520(
図7参照)とを有している。連結部材510は、
図4に示すように、外装カバーUよりも右側に露出して画像形成装置1の被連結部材520に連結される。
【0035】
図5及び
図6に示すように、連結部材510は、鉛直に配置された矩形状の鉛直板部511の上端部に前後方向にスライド可能に支持されている。
【0036】
鉛直板部511の前後方向の両端部はそれぞれ、上下方向に延びる前側縦フレーム512及び後側縦フレーム513に固定されている。前側縦フレーム512及び後側縦フレーム513は、後処理装置400における筐体401の右側面に螺子等により固定されている。前側縦フレーム512及び後側縦フレーム513の上部はステー514及び導入ガイド板515により互いに連結されている。
【0037】
鉛直板部511の上端部には、左右方向(厚さ方向)に貫通する位置決め孔511aが形成されている。この位置決め孔511aには、画像形成装置1の被連結部材520に突設された位置決めピン522が嵌合する。
【0038】
連結部材510は、一枚の板金を折曲げて形成されていて、前後方向に延設されている。連結部材510の上端部には、コ字状に折曲げられて鉛直板部511の上端部に摺動可能に係合する係合スライド部510aが形成されている。連結部材510における鉛直板部511の右側面に対向する板部には、前後方向に間隔を空けて並ぶ一対の矩形開口部510bと、各矩形開口部510bの前側に位置する一対の長孔510eとが形成されている。各長孔510eは前後方向の延びるスリット孔からなり、連結部材510は、一対の長孔510eに挿通された螺子518によって鉛直板部511に前後方向に移動可能に取付けられている。前記一対の矩形開口部510bの上端縁には、右側に突出する突出板部510dが接続されている。また、各矩形開口部510bの前側端縁には、右側に突出する係合片510cが接続されている
【0039】
図7及び
図8に示すように、被連結部材520は、一枚の板金を折り曲げて形成されていて、前後方向に延設されている。被連結部材520は、対角方向に離間した二つの螺子521によって画像形成装置本体部100の左側面に固定されている。被連結部材520における画像形成装置本体部100の左側面に対向する板部には、左側に向かって水平に突出する一対の突出板部520aが折曲げ形成されている。各突出板部520aには前後方向に延びるとともに前側に開放するスリット状の溝部520bが形成されている。
【0040】
図9は、後処理装置400に取付けられた連結部材510と、画像形成装置本体部100に取付けられた被連結部材520とが連結された状態を示す水平断面図である。後処理装置400を画像形成装置本体部100に取付ける際には、被連結部材520における一対の突出板部520aが、連結解除位置に移動された前記連結部材510の一対の矩形開口部510bに対して
図6の矢印Cで示す方向に挿入される。そして、この状態から連結部材510を後側にスライドさせて所定の連結位置まで移動させる。
【0041】
この連結状態では、連結部材510における一対の矩形開口部510bの前側端縁に形成された係合片510cが、被連結部材520における一対の突出板部520aの溝部520bに係合している。この状態から連結部材510を前側にスライドさせて所定の連結解除位置まで移動させると、一対の係合片510cが各溝部520bの外側に移動して、連結部材510と被連結部材520との連結が解除される。連結部材510を連結解除位置から後側にスライドさせて連結位置に戻すと、連結部材510と被連結部材520とが連結される。この連結部材510のスライド操作は、ユーザーが手動で行えばよい。連結部材510と被連結部材520とを連結させた後、連結部材510の係合固定部510fを、前側縦フレーム512のコ字状フレーム部512aに前側から係合させて螺子517(
図6参照)で固定すればよい。これにより、連結部材510が意図せず前側に動いて連結部材510と被連結部材520との連結が意図せず解除されるのを防止することができる。
【0042】
[前側縦フレーム512及び後側縦フレーム513の構成]
図6に示すように、前側縦フレーム512は、左側に開放する断面コ字状のコ字状フレーム部512aと、コ字状フレーム部512aの後端縁に連結されて上下方向に延びる平板フレーム部512bとを有している。平板フレーム部512bの上端部には左右方向に長い矩形固定板部512cが形成されている。矩形固定板部512cには厚さ方向に貫通する螺子孔512dが形成されている。螺子孔512dは、後述するように外装カバーUの固定用に使用される。
【0043】
後側縦フレーム513は、前側縦フレーム512の平板フレーム部512bに対向する平板状をなしている。
図5に示すように、後側縦フレーム513の上端部には、前側に向かって水平に突出する折曲固定板部513dが形成されている。折曲固定板部513dには、上下方向に貫通する螺子孔513eが形成されている。螺子孔513eは、後述する外装カバーUの固定用に使用される。後側縦フレーム513の下端部には、前側に向かって水平に突出する水平板部513aと、水平板部513aの前側端縁に接続された鉛直板部513bとが形成されている。鉛直板部513bには厚さ方向に貫通する螺子孔513cが形成されている。この螺子孔513cは、後述するように外装カバーUの固定用に使用される。
【0044】
[外装カバーUの詳細構成]
次に、
図10~
図21を参照して、前記外装カバーUの構成を説明する。外装カバーUは、互いに同じ形状の複数(本実施形態では四つ)のカバー部材600を組合わせて構成されている。各図では、複数のカバー部材600の組合わせ構造を理解し易いように、それぞれのカバー部材600の一側端部に「A」の文字を表記し、他側端部に「B」の文字を表記している。
【0045】
外装カバーUは、上側辺部u1、前側辺部u2、及び後側辺部u3により構成されている。上側辺部u1は、画像形成装置1の前後方向(装置前後方向)に水平に延びて前記導入ガイド板515を含む連結機構500の上側を覆うように配置されている。前側辺部u2は、上側辺部u1の前側端部から下側に延びて前記導入ガイド板515を含む連結機構500の前側を覆うように配置されている。後側辺部u3は、上側辺部u1の後側端部から下側に延びて前記導入ガイド板515を含む連結機構500の後側を覆うように配置されている。連結機構500の後側は、画像形成装置1の前側に立つユーザーから見て死角になるため前側に比べて隠す必要性が少ない。そこで、外装カバーUの後側辺部u3を、一つのカバー部材600のみで構成することで、二つのカバー部材600を直線配置した前側辺部u2に比べて長さが短くなるようにしている。
【0046】
図11及び
図12に示すように、カバー部材600は、所定方向(
図11及び
図12の上下方向)に延びる樹脂製部材からなる。カバー部材600は、金型内に樹脂を射出して固化させた型成形品からなる。尚、カバー部材600は、樹脂材料に限ったものではなく、金属材料で形成されていてもよい。また、カバー部材600の成形方法は、必ずしも型成形に限らず、例えば板金部材の折曲げ加工やプレス成形等を採用してもよい。
【0047】
カバー部材600は、前記所定方向に延びる延設壁601を有している。延設壁601の表側面(意匠面)601aは、
図12及び
図13に示すように、矩形板の平坦面部601bと、該平坦面部601bの幅方向の一端縁に滑らかに接続された傾斜面部601cとを有している。延設壁601の一端縁には、カバー部材600の裏面側に突出する平板状の側壁602(
図11参照)が接続されている。側壁602の延設方向の中間部には略矩形状の切欠部602a(
図10参照)が形成されている。延設壁601の裏面と側壁602の内面とは、カバー部材600の延設方向に間隔を空けて並ぶ複数のリブ606(
図11参照)を介して連結されている。
【0048】
カバー部材600の延設方向の一側端部には一側組付部K1が形成され、他側端部には他側組付部K2が形成されている。二つのカバー部材600は、一方のカバー部材600の一側組付部K1を他方のカバー部材600の他側組付部K2に係合させることで連結される。本実施形態では、一方のカバー部材600の一側組付部K1と、他方のカバー部材600の他側組付部K2は、直線組付状態と直交組付状態とに選択的に組替え可能に構成されている。直線組付状態では、二つのカバー部材600は互いの延設方向を一致させて一直線状に連結される(後述する
図18参照)。一方、直交組付状態では、二つのカバー部材600は互いの延設方向が直交してL字状に連結される(後述する
図21参照)。このように、二つのカバー部材600を直線組付状態と直交組付状態とに組替え可能に構成することで、外装カバーUの形状を、
図10に示す形状に限らず様々な形状に変更することができる。
【0049】
[一側組付部K1の構成]
図11~
図15を参照して、一側組付部K1の構成を説明する。一側組付部K1は、カバー部材600の表側面601aに対して裏面側に凹む凹部604を有している。凹部604は、カバー部材600の延設方向の一側(
図12の上側)及び幅方向の側壁602側(
図12の右側)に開放している。
【0050】
凹部604は、座面604a及び側面604bとで形成されている。座面604aは、カバー部材600の表裏方向(
図12の紙面垂直方向)に垂直な平坦面からなる。側面604bは、座面604aにおけるカバー部材600の延設方向の他側の端縁から起立している。座面604aの裏面側の周縁部には、側壁602に連結されたコ字状壁605(
図11等参照)が立設されている。
【0051】
座面604aには、カバー部材600の幅方向に並ぶ一対の位置決め孔604c,604dが形成されている。座面604aにおける一対の位置決め孔604c,604dの間には貫通孔604eが形成されている。また、座面604aには、カバー幅方向に長い矩形状の逃げ孔604fが形成されている。逃げ孔604fは、一対の位置決め孔604c,604dよりも前記延設方向の一側に位置している。
【0052】
側面604bは、
図14及び
図15に示すように、カバー幅方向に沿って延びる平坦面部604jと、平坦面部604jのカバー幅方向の一側端縁に所定角度で滑らかに接続された傾斜面部604kとを有している。側面604bは、カバー表裏方向から見て、略への字状に形成されている。この側面604bは嵌合形状部として機能する。
【0053】
凹部604の側面604bには、
図15に示すように、カバー幅方向に長い矩形状の被係合孔604gと、一対の位置決め孔604h,604iとが形成されている。一対の位置決め孔604h,604iは、被係合孔604gよりもカバー表裏方向の表側に位置している。
【0054】
[他側組付部K2の構成]
次に、
図11~
図13、
図16及び
図17を参照して、他側組付部K2の構成を説明する。他側組付部K2は、
図11に示すように、延設壁601におけるカバー延設方向の他側端縁から裏面側に突出する端部壁603と、端部壁603の突出側端部の内面及び側壁602の内面に接続された矩形板状の座板部610(後述する
図21も参照)とを有している。この座板部610におけるカバー表裏方向の裏側(
図11の紙面手前側)の面が、直線組付け状態において前記座面604aに当接する当接面610aを構成している。
【0055】
座板部610には、カバー幅方向に並ぶ一対の位置決め突部611,612が突設されている。一対の位置決め突部611,612は共に円柱状に形成されている。座板部610における一対の位置決め突部611,612の間には螺子孔613が形成されている。座板部610の当接面610aには、カバー表裏方向の裏側(
図11の紙面手前側)に突出する係合フック614が突設されている。係合フック614は、螺子孔613よりもカバー延設方向の一側(内側)に位置している。係合フック614は、カバー延設方向(
図11の上下方向)に可撓可能な突出板の先端部に係合爪を形成してなる。
【0056】
端部壁603は、
図12、
図13、
図16及び
図17に示すように、カバー幅方向に沿って延びる平坦面部603bと、該平坦面部603bにおけるカバー幅方向の一側端縁に所定角度で滑らかに接続された傾斜面部603cとを有している。この端部壁603は、前記一側組付部K1における凹部側面604b(嵌合形状部)に嵌合可能な被嵌合形状部として機能する。
【0057】
[直線組付状態の説明]
図16及び
図17に示すように、二つのカバー部材600を用意し、一方のカバー部材600の一側組付部K1における凹部側面604bと他方のカバー部材600における他側組付部K2の端部壁603とを嵌合させることで、一側組付部K1と他側組付部K2とが直線組付状態となる。これにより、二つのカバー部材600が、
図18に示すように一直線状に連結される。直線組付状態では、
図19に示すように、一側組付部K1の一対の位置決め孔604c,604dに、他側組付部K2の一対の位置決め突部611,612がそれぞれ係合する。これにより、二つのカバー部材600が互いに位置決めされる。この状態で、一側組付部K1の貫通孔604eに螺子650を挿通して他側組付部K2の螺子孔613(
図11参照)に螺合させることで、二つのカバー部材600が分離不能に固定される。直接組付状態では、後述する直交組付状態において使用する他側組付部K2の係合フック614は、一側組付部K1に設けられた逃げ孔604fに遊びを持って貫通する。
【0058】
[直交組付状態の説明]
次に、
図20及び
図21を基に、一側組付部K1と他側組付部K2との直交組付状態について説明する。
図20は、外装カバーUを左右方向の中央位置で切断したカットモデルである。この図に示すように、一側組付部K1と他側組付部K2との直交組付状態による組付けは、例えば外装カバーUの上側の前後の角部に適用される。
【0059】
図21は、
図20のカットモデルにおける前側の角部を拡大して示す拡大図である。この図の例に示すように、直交組付状態では、上下方向に延びるカバー部材600(一方のカバー部材の一例)における一側組付部K1の凹部側面604bに、左右方向に延びるカバー部材600(他方のカバー部材の一例)における他側組付部K2の当接面610aを当接させることで、二つのカバー部材600を直交させる。
【0060】
そして、他側組付部K2の係合フック614を、一側組付部K1における凹部側面604bの被係合孔604gに係合させる。これにより係合フック614の爪部が被係合孔604g(引掛部の一例)の縁部に引っ掛かるので、二つのカバー部材600が直交状態で固定される。尚、直交組付状態においては、図示していないが、他側組付部K2の当接面610aに突設された一対の位置決め突部611,612(
図11参照)が、一側組付部K1の凹部側面604bに形成された一対の位置決め孔604h,604i(
図15参照)にそれぞれ係合する。これにより、二つのカバー部材600が互いに位置決めされる。
【0061】
[外装カバーUの固定構造]
外装カバーUは、
図4に示すように、連結機構500に対して、第一固定箇所F1と第二固定箇所F2と第三固定箇所F3との三箇所で固定されている。
【0062】
図22は、第一固定箇所F1を示す拡大斜視図である。第一固定箇所F1では、外装カバーUの上側辺部u1を構成するカバー部材600の後端部を、後側縦フレーム513の上端部に固定している。具体的には、該カバー部材600の後端部に位置する一側組付部K1の座面604aに形成された貫通孔604eに螺子651を挿通し、挿通した螺子651を、後側縦フレーム513の上端部に形成された折曲固定板部513d(
図5参照)の螺子孔513eに螺合している。
【0063】
図23は、第二固定箇所F2を示す斜視図である。第二固定箇所F2では、外装カバーUの前側辺部u2を構成する上側のカバー部材600の上端部を、前側縦フレーム512の上端部に固定している。具体的には、該カバー部材600の上端部に位置する一側組付部K1の貫通孔604eに螺子652を挿通して、該螺子652を、前側縦フレーム512の上端部に形成された矩形固定板部512cの螺子孔512dに螺合している。
【0064】
図24は、第三固定箇所F3を示す斜視図である。第三固定箇所F3では、外装カバーUの後側辺部u3を構成するカバー部材600の下端部を、後側縦フレーム513の下端部に固定している。具体的には、該カバー部材600の下端部に位置する一側組付部K1の貫通孔604eに螺子653を挿通して、該螺子653を、後側縦フレーム513の下端部に形成された鉛直板部513bの螺子孔513c(
図5参照)に螺合している。
【0065】
[画像形成装置1及び後処理装置400に対する外装カバーUの位置関係]
図25に示すように、外装カバーUの上面は、後処理装置400の排出トレイ部401bの延長部として機能する。排出トレイ部401bは、左側から右側に向かって上側に傾斜する傾斜面部401fと、傾斜面部401fの上端縁から右側に水平に延びる平坦面部401gとを有している。外装カバーUの上面は、上側辺部u1を構成するカバー部材600の表側面601a、より詳しくは傾斜面部601c及び平坦面部601bにより構成されている。
この傾斜面部601cは、左側から右側に向かって上側に略45°で傾斜している。傾斜面部601cの下端縁は、排出トレイ部401bの平坦面部401gよりも下側に位置し、傾斜面部601cの上端縁は、排出トレイ部401bの平坦面部401gよりも上側に位置している。
図25の例では、排出トレイ部401bの平坦面部401gの高さ位置は、上側辺部u1を構成するカバー部材600の傾斜面部601cの上下方向中央の高さ位置に一致している。そして、該カバー部材600の傾斜面部601cは、排出トレイ部401bに排出されるシートSの先端を右斜め上側に向かうようにガイドして平坦面部601b上に到達させるように形成されている。したがって、
図25に示すように、第一排出口401dから排出されたシートSは、外装カバーUによってシートの移動が阻害されることなく、排出トレイ部401bと外装カバーUの上面とに跨がって積載される。尚、本実施形態のように、排出トレイ部401bと外装カバーUの上面との間に段差(三角柱状の凹部)を有する構成に限らず、排出トレイ部401bと外装カバーの上面とを連続的に繋げて面一にしてもよい。
【0066】
図26に示すように、外装カバーUの左右方向の幅寸法Wは、開閉カバー35aを最大開放位置に変位させた状態における左側への突出量Zよりも大きい。左側への突出量Zとは即ち、画像形成装置本体部100の左側面(被連結部材520の取付面)に対する開閉カバー35aの後処理装置400側への突出量である。
【0067】
図27に示すように、後処理装置400の前側面には開閉扉404が設けられている。開閉扉404は、閉状態において後側に開放する矩形ケース状に形成されている。開閉扉404は、閉状態においてその右側端縁の上端部に凹状の取手部404aを有している。開閉扉404の左側の端縁は、上下方向に延びる軸線405回りに回動可能になるように筐体401に支持されている。ユーザーは、取手部404aに指を掛けて開閉扉404を軸線405回り前側に開放することで、後処理装置400の内部にアクセスして各種メンテナンス作業を行うことができる。そして、外装カバーUの前側辺部u2における開閉扉404側の端縁部は、後側から前側に向かって画像形成装置1側に傾斜する傾斜面とされている。この傾斜面は、外装カバーUの上側辺部u1を構成するカバー部材600の端部壁603の傾斜面部603cと、前側辺部u2を構成する各カバー部材600の表側面601aの傾斜面部601c(
図25参照)とからなる。
【0068】
また、
図27に示すように、外装カバーUの前側辺部u2を構成するカバー部材600は、画像形成装置本体部100の前カバー103に形成された取手部103aよりも後側に位置している。
【0069】
図28及び
図29に示すように、画像形成装置1の左側面の後端部には、矩形状の通気口100aが形成されている。通気口100aは、不図示の送風ファンによって画像形成装置本体部100内に取込まれた冷却空気を外部に排出するための排気口とされている。
【0070】
そして、外装カバーUの後側辺部u3を構成するカバー部材600は、
図29に示すように、前記通気口100aよりも前側に配置されている。尚、通気口100aは、排気用に限ったものではなく吸気用であってもよい。
【0071】
[本実施形態の作用効果]
以上説明したように本実施形態では、搬送ガイドユニット900は、画像形成装置1に装着される中継搬送装置300のシート排出口302から排出されるシートSを、後処理装置400のシート搬入口401cへと導く一対の導入ガイド板515と、一対の導入ガイド板515を支持する前側縦フレーム512及び後側縦フレーム513と、前側縦フレーム512及び後側縦フレーム513に取付けられて、一対の導入ガイド板515の上側及び該一対の導入ガイド板515の搬送幅方向の両側を覆う外装カバーUとを備えている。そして、外装カバーUは、その上面が、後処理装置400における排出トレイ部401bのシート排出方向下流側への延長部として機能するように構成されている(
図25参照)。
【0072】
この構成によれば、搬送ガイドユニット900の外装カバーUの上面を排出トレイ部401bとして利用するようにしたことで、後処理装置400を大型化することなく、シートSの積載スペースを確保してシートSの積載性を向上させることできる。また、搬送ガイドユニット900を利用することで、専用の延長トレイを設ける場合に比べてコストを低減することができる。
【0073】
また、本実施形態では、外装カバーUの上面における排出トレイ部401b側の縁部が、左右方向(対向方向)の後処理装置400側から画像形成装置1側に向かって上側に傾斜して、排出トレイ部401b上に排出されるシートSの移動を阻害しないように形成されている(
図25参照)
【0074】
これにより、排出トレイ部401bに排出されたシートSが外装カバーUと干渉して折れ曲がったりつっかえたりし難くなる。よって、シートSの積載性をより一層向上させることができる。
【0075】
また、本実施形態では、外装カバーUにおける前後方向の前側の端面は、画像形成装置1の前カバー103の取手部103aよりも前後方向の後側に位置している(
図27参照)。これにより、前カバー103の着脱作業時に外装カバーUが邪魔にならず、ユーザーは前カバー103の着脱作業を容易に行うことができる。
【0076】
また、本実施形態では、画像形成装置1における後処理装置400との対向面(左測面)には、通気口100aが形成されており、外装カバーUにおける前後方向の後側の端面は、前記通気口100aよりも前側に位置している(
図29参照)。
【0077】
この構成によれば、外装カバーUにより通気口100aが塞がれるのを防止することができる。よって、通気口100aにおける空気の流通性を確保することができる。
【0078】
また、本実施形態では、画像形成装置1と後処理装置400との対向方向における外装カバーUの幅寸法をW(
図26参照)は、原稿自動送り装置30の開閉カバー35aを前記最大開放位置に変位させた状態における、画像形成装置本体部100の左側面を基準とする開閉カバー35aの後処理装置400側への突出量Zよりも大きい。
【0079】
この構成によれば、後処理装置400と画像形成装置1との間に、開閉カバー35aを最大開放位置まで開放できるだけの隙間が確保される。したがって、開閉カバー35aを開いて行うジャム処理作業やメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0080】
また、本実施形態では、一対の導入ガイド板515を支持する前側縦フレーム512及び後側縦フレーム513は、後処理装置400と画像形成装置1とを連結する連結機構500のフレーム部材として兼用されている。また、外装カバーUは、連結機構500を覆うカバーとしても兼用されている。これにより、部品の共通化を図ってコストを低減することができる。
【0081】
《他の実施形態》
前記実施形態では、画像形成装置1の胴内排紙空間Eに中継搬送装置300を装着し、中継搬送装置300から排出されるシートSを搬送ガイドユニット900によって後処理装置400へとガイドするようにしているが、これに限ったものではない。例えば、胴内排紙空間Eを有さない直方体状の画像形成装置のシート排出口から排出されるシートSを、搬送ガイドユニット900によって後処理装置400へとガイドするようにしてもよい。
【0082】
また、前記実施形態では、外装カバーUは複数のカバー部材600を組合わせて構成されているが、これに限ったものではなく、外装カバーUは一つの部材で構成されていてもよい。
【0083】
前記実施形態では、搬送ガイドユニット900は連結機構500と一体化されているが、これに限ったものではなく、搬送ガイドユニット900と連結機構500とを別体化してもよい。
【0084】
前記実施形態では、画像形成装置1が複写機である例を説明したが、これに限ったものではない。画像形成装置1は、例えばプリンター、ファクシミリー、又は複合機(MFP)等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上説明したように、本発明は、画像形成装置から後処理装置に搬送されるシートをガイドする搬送ガイドユニットに有用であり、特に、画像形成装置がプリンター、ファクシミリー、複写機又は複合機(MFP)である場合に有用である。
【符号の説明】
【0086】
1 :画像形成装置
30 :原稿自動送り装置
35 :ケーシング
35a :開閉カバー
35b :開口部
36 :軸線
100a :通気口
103 :前カバー
103a :取手部
200 :スキャナー筐体部
200a :コンタクトガラス
300 :中継搬送装置
301 :シート搬入口
302 :シート排出口
400 :後処理装置
401 :筐体
401a :排出ハウジング部
401b :排出トレイ部
401c :シート搬入口
403 :後処理機構
500 :連結機構
512 :前側縦フレーム(支持フレーム)
513 :後側縦フレーム(支持フレーム)
604b :側面
700 :後処理装置
701 :筐体
701a :排出ハウジング
701b :シート排出口
702 :排出トレイ部
800 :画像形成装置
900 :搬送ガイドユニット
S :シート
U :外装カバー
W :幅寸法
Z :突出量