(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像濃度不良の検出方法
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
G03G15/08 366
(21)【出願番号】P 2020100565
(22)【出願日】2020-06-10
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡村 憩
(72)【発明者】
【氏名】川崎 智広
(72)【発明者】
【氏名】小林 一敏
(72)【発明者】
【氏名】勝又 啓揮
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-093639(JP,A)
【文献】特開2015-175953(JP,A)
【文献】特開2006-106565(JP,A)
【文献】特開2014-021325(JP,A)
【文献】特開2010-286668(JP,A)
【文献】特開2010-019969(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0153578(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0261162(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に現像剤を供給するスクリュー状の現像剤供給部材と、
前記現像剤担持体から前記現像剤のトナーが供給されることによって画像が作像される像担持体と、
作像時に前記像担持体と前記現像剤担持体との間に流れる現像電流の値を検出する現像電流検出部と、
前記像担持体の回転方向に対して角度を持ち周期性を有する画像濃度不良を検出する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記像担持体上に前記像担持体の長手方向の幅が前記現像剤供給部材の羽の間隔より狭くかつ前記像担持体の回転方向の長さが前記画像濃度不良の周期よりも長い帯状画像を
、前記像担持体の長手方向に等間隔に、隣り合う前記帯状画像同士の間隔が前記現像剤供給部材の羽の間隔の整数倍となるように複数作像させ、複数の前記帯状画像の作像時に前記現像電流検出部により検出された現像電流の時間変化を解析することにより、前記画像濃度不良を検出する画像形成装置。
【請求項2】
現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に現像剤を供給するスクリュー状の現像剤供給部材と、
前記現像剤担持体から前記現像剤のトナーが供給されることによって画像が作像される像担持体と、
作像時に前記像担持体と前記現像剤担持体との間に流れる現像電流の値を検出する現像電流検出部と、
前記像担持体の回転方向に対して角度を持ち周期性を有する画像濃度不良を検出する制御部と、
前記現像剤のトナーの帯電量を検出するトナー帯電量検出部と、
を備え、
前記制御部は、
前記像担持体上に前記像担持体の長手方向の幅が前記現像剤供給部材の羽の間隔より狭くかつ前記像担持体の回転方向の長さが前記画像濃度不良の周期よりも長い帯状画像を作像させ、
前記トナー帯電量検出部のトナー帯電量検出結果に基づいて前記画像濃度不良の検出基準を設定し、前記帯状画像の作像時に前記現像電流検出部により検出された現像電流の時間変化を
前記画像濃度不良の検出基準に基づいて解析することにより、前記画像濃度不良を検出する画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記画像濃度不良の検出において、複数の前記帯状画像を前記像担持体上に作像させ、前記複数の帯状画像は、前記像担持体の長手方向に等間隔であり、隣り合う前記帯状画像同士の間隔が前記現像剤供給部材の羽の間隔の整数倍である請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記帯状画像の長辺は、前記像担持体の回転方向に対して角度を持った前記画像濃度不良の筋状のラインに対して交差する請求項
1~3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記画像濃度不良の検出結果に応じて作像条件を変更する請求項
1~4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記作像条件は、作像時に前記現像剤担持体に印加するバイアスの設定値である請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記作像条件は、前記現像剤のトナー濃度である請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に現像剤を供給するスクリュー状の現像剤供給部材と、
前記現像剤担持体から前記現像剤のトナーが供給されることによって画像が作像される像担持体と、
作像時に前記像担持体と前記現像剤担持体との間に流れる現像電流の値を検出する現像電流検出部と、
前記像担持体の回転方向に対して角度を持ち周期性を有する画像濃度不良を検出する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記像担持体上に前記像担持体の長手方向の幅が前記現像剤供給部材の羽の間隔より狭くかつ前記像担持体の回転方向の長さが前記画像濃度不良の周期よりも長い帯状画像を作像させ、前記帯状画像の作像時に前記現像電流検出部により検出された現像電流の時間変化を解析することにより、前記画像濃度不良を検出
し、前記画像濃度不良の検出結果に応じて、前記現像剤のトナー濃度を変更する画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記帯状画像の作像時に検出された前記現像電流の時間変化に周期性があり、前記現像電流の時間変化の周期が前記像担持体の回転方向における前記画像濃度不良の周期又はその整数倍であり、前記現像電流の時間変化の低い側の極値が所定の検出基準を下回る場合に、前記画像濃度不良が検出されたと判断する請求項1~
8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に現像剤を供給するスクリュー状の現像剤供給部材と、前記現像剤担持体から前記現像剤のトナーが供給されることによって画像が作像される像担持体と、作像時に前記像担持体と前記現像剤担持体との間に流れる現像電流の値を検出する現像電流検出部と、を備える画像形成装置における画像濃度不良の検出方法であって、
前記画像濃度不良は、前記像担持体の回転方向に対して角度を持ち周期性を有し、
前記像担持体上に前記像担持体の長手方向の幅が前記現像剤供給部材の羽の間隔より狭くかつ前記像担持体の回転方向の長さが前記画像濃度不良の周期よりも長い帯状画像を
、前記像担持体の長手方向に等間隔に、隣り合う前記帯状画像同士の間隔が前記現像剤供給部材の羽の間隔の整数倍となるように複数作像させる工程と、
複数の前記帯状画像の作像時に前記現像電流検出部により検出された現像電流の時間変化を解析することにより、前記画像濃度不良を検出する工程と、
を含む画像濃度不良の検出方法。
【請求項11】
現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に現像剤を供給するスクリュー状の現像剤供給部材と、前記現像剤担持体から前記現像剤のトナーが供給されることによって画像が作像される像担持体と、作像時に前記像担持体と前記現像剤担持体との間に流れる現像電流の値を検出する現像電流検出部と、
前記現像剤のトナーの帯電量を検出するトナー帯電量検出部と、を備える画像形成装置における画像濃度不良の検出方法であって、
前記画像濃度不良は、前記像担持体の回転方向に対して角度を持ち周期性を有し、
前記像担持体上に前記像担持体の長手方向の幅が前記現像剤供給部材の羽の間隔より狭くかつ前記像担持体の回転方向の長さが前記画像濃度不良の周期よりも長い帯状画像を作像する工程と、
前記トナー帯電量検出部のトナー帯電量検出結果に基づいて前記画像濃度不良の検出基準を設定する工程と、
前記帯状画像の作像時に前記現像電流検出部により検出された現像電流の時間変化を
前記画像濃度不良の検出基準に基づいて解析することにより、前記画像濃度不良を検出する工程と、
を含む画像濃度不良の検出方法。
【請求項12】
現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に現像剤を供給するスクリュー状の現像剤供給部材と、前記現像剤担持体から前記現像剤のトナーが供給されることによって画像が作像される像担持体と、作像時に前記像担持体と前記現像剤担持体との間に流れる現像電流の値を検出する現像電流検出部と、を備える画像形成装置における画像濃度不良の検出方法であって、
前記画像濃度不良は、前記像担持体の回転方向に対して角度を持ち周期性を有し、
前記像担持体上に前記像担持体の長手方向の幅が前記現像剤供給部材の羽の間隔より狭くかつ前記像担持体の回転方向の長さが前記画像濃度不良の周期よりも長い帯状画像を作像する工程と、
前記帯状画像の作像時に前記現像電流検出部により検出された現像電流の時間変化を解析することにより、前記画像濃度不良を検出する工程と、
前記画像濃度不良の検出結果に応じて、前記現像剤のトナー濃度を変更する工程と、
を含む画像濃度不良の検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像濃度不良の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置においては、画像の通紙方向に対して角度を持った斜めの周期性を有する画像濃度不良が発生することがある。この画像濃度不良は、現像装置の供給スクリューから現像ローラーに現像剤を供給する際の供給ムラが要因であり、スクリュームラと呼ばれる。スクリュームラは、軽微であれば作像条件(現像条件)を調整することで補修が可能である。従来、スクリュームラは画像解析機構により検出が可能であったが、画像解析機構はオプションでコストがかかるため、搭載しない画像形成装置も存在する。
【0003】
画像形成装置において画像不良を検出する技術としては、例えば、像担持体と現像剤担持体との間に流れる現像電流の実測値を検出する現像電流検出部を備え、画像形成条件に基づいて算出した現像電流の試算値と現像電流の実測値とを比較して、画像不良が発生しているか否かを判断する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スクリュームラは、横幅がスクリュームラの横の間隔であるスクリューピッチ(
図5参照)以上の画像では現像電流は均一になってしまうため、ユーザーが印刷する画像では検出できないケースが想定される。
【0006】
本発明の課題は、電子写真方式の画像形成装置において、画像解析機構を搭載することなく、スクリュームラを検出できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に現像剤を供給するスクリュー状の現像剤供給部材と、
前記現像剤担持体から前記現像剤のトナーが供給されることによって画像が作像される像担持体と、
作像時に前記像担持体と前記現像剤担持体との間に流れる現像電流の値を検出する現像電流検出部と、
前記像担持体の回転方向に対して角度を持ち周期性を有する画像濃度不良を検出する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記像担持体上に前記像担持体の長手方向の幅が前記現像剤供給部材の羽の間隔より狭くかつ前記像担持体の回転方向の長さが前記画像濃度不良の周期よりも長い帯状画像を、前記像担持体の長手方向に等間隔に、隣り合う前記帯状画像同士の間隔が前記現像剤供給部材の羽の間隔の整数倍となるように複数作像させ、複数の前記帯状画像の作像時に前記現像電流検出部により検出された現像電流の時間変化を解析することにより、前記画像濃度不良を検出する。
【0008】
また、本発明に係る画像形成装置は、
現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に現像剤を供給するスクリュー状の現像剤供給部材と、
前記現像剤担持体から前記現像剤のトナーが供給されることによって画像が作像される像担持体と、
作像時に前記像担持体と前記現像剤担持体との間に流れる現像電流の値を検出する現像電流検出部と、
前記像担持体の回転方向に対して角度を持ち周期性を有する画像濃度不良を検出する制御部と、
前記現像剤のトナーの帯電量を検出するトナー帯電量検出部と、
を備え、
前記制御部は、
前記像担持体上に前記像担持体の長手方向の幅が前記現像剤供給部材の羽の間隔より狭くかつ前記像担持体の回転方向の長さが前記画像濃度不良の周期よりも長い帯状画像を作像させ、前記トナー帯電量検出部のトナー帯電量検出結果に基づいて前記画像濃度不良の検出基準を設定し、前記帯状画像の作像時に前記現像電流検出部により検出された現像電流の時間変化を前記画像濃度不良の検出基準に基づいて解析することにより、前記画像濃度不良を検出する。
【0009】
また、本発明に係る画像形成装置は、
現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に現像剤を供給するスクリュー状の現像剤供給部材と、
前記現像剤担持体から前記現像剤のトナーが供給されることによって画像が作像される像担持体と、
作像時に前記像担持体と前記現像剤担持体との間に流れる現像電流の値を検出する現像電流検出部と、
前記像担持体の回転方向に対して角度を持ち周期性を有する画像濃度不良を検出する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記像担持体上に前記像担持体の長手方向の幅が前記現像剤供給部材の羽の間隔より狭くかつ前記像担持体の回転方向の長さが前記画像濃度不良の周期よりも長い帯状画像を作像させ、前記帯状画像の作像時に前記現像電流検出部により検出された現像電流の時間変化を解析することにより、前記画像濃度不良を検出し、前記画像濃度不良の検出結果に応じて、前記現像剤のトナー濃度を変更する。
【0010】
また、本発明に係る画像濃度不良の検出方法は、
現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に現像剤を供給するスクリュー状の現像剤供給部材と、前記現像剤担持体から前記現像剤のトナーが供給されることによって画像が作像される像担持体と、作像時に前記像担持体と前記現像剤担持体との間に流れる現像電流の値を検出する現像電流検出部と、を備える画像形成装置における画像濃度不良の検出方法であって、
前記画像濃度不良は、前記像担持体の回転方向に対して角度を持ち周期性を有し、
前記像担持体上に前記像担持体の長手方向の幅が前記現像剤供給部材の羽の間隔より狭くかつ前記像担持体の回転方向の長さが前記画像濃度不良の周期よりも長い帯状画像を、前記像担持体の長手方向に等間隔に、隣り合う前記帯状画像同士の間隔が前記現像剤供給部材の羽の間隔の整数倍となるように複数作像させる工程と、
複数の前記帯状画像の作像時に前記現像電流検出部により検出された現像電流の時間変化を解析することにより、前記画像濃度不良を検出する工程と、
を含む。
【0011】
また、本発明に係る画像濃度不良の検出方法は、
現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に現像剤を供給するスクリュー状の現像剤供給部材と、前記現像剤担持体から前記現像剤のトナーが供給されることによって画像が作像される像担持体と、作像時に前記像担持体と前記現像剤担持体との間に流れる現像電流の値を検出する現像電流検出部と、前記現像剤のトナーの帯電量を検出するトナー帯電量検出部と、を備える画像形成装置における画像濃度不良の検出方法であって、
前記画像濃度不良は、前記像担持体の回転方向に対して角度を持ち周期性を有し、
前記像担持体上に前記像担持体の長手方向の幅が前記現像剤供給部材の羽の間隔より狭くかつ前記像担持体の回転方向の長さが前記画像濃度不良の周期よりも長い帯状画像を作像する工程と、
前記トナー帯電量検出部のトナー帯電量検出結果に基づいて前記画像濃度不良の検出基準を設定する工程と、
前記帯状画像の作像時に前記現像電流検出部により検出された現像電流の時間変化を前記画像濃度不良の検出基準に基づいて解析することにより、前記画像濃度不良を検出する工程と、
を含む。
【0012】
また、本発明に係る画像濃度不良の検出方法は、
現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に現像剤を供給するスクリュー状の現像剤供給部材と、前記現像剤担持体から前記現像剤のトナーが供給されることによって画像が作像される像担持体と、作像時に前記像担持体と前記現像剤担持体との間に流れる現像電流の値を検出する現像電流検出部と、を備える画像形成装置における画像濃度不良の検出方法であって、
前記画像濃度不良は、前記像担持体の回転方向に対して角度を持ち周期性を有し、
前記像担持体上に前記像担持体の長手方向の幅が前記現像剤供給部材の羽の間隔より狭くかつ前記像担持体の回転方向の長さが前記画像濃度不良の周期よりも長い帯状画像を作像する工程と、
前記帯状画像の作像時に前記現像電流検出部により検出された現像電流の時間変化を解析することにより、前記画像濃度不良を検出する工程と、
前記画像濃度不良の検出結果に応じて、前記現像剤のトナー濃度を変更する工程と、
を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電子写真方式の画像形成装置において、画像解析機構を搭載することなく、スクリュームラを検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】画像形成装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
【
図6】
図2の制御部により実行される画像濃度不良検出処理を示すフローチャートである。
【
図7】感光体ドラムの全面に作像を行った場合の現像電流の時間変化を示すグラフである。
【
図8B】
図8Aの帯状画像の作像時の現像電流の時間変化を示すグラフである。
【
図9A】複数の縦の帯状画像からなる帯状画像群の一例を示す図である。
【
図9B】
図9Aの帯状画像群の作像時の現像電流の時間変化を示すグラフである。
【
図10】複数の斜めの帯状画像からなる帯状画像群の一例を示す図である。
【
図11】スクリュームラを検出するための検出基準を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0019】
(画像形成装置1の構成)
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。
図2は、第1の実施形態に係る画像形成装置1の主要な機能的構成を示すブロック図である。
図1、2に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用したカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー画像を中間転写ベルト421に転写(一次転写)し、中間転写ベルト421上で4色のトナー画像を重ね合わせた後、用紙Sに転写(二次転写)することにより、画像を形成する。
【0020】
画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に各色トナー画像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0021】
図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、記憶部70、通信部80、現像電流検出部90及び制御部100を備えている。
【0022】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して
図2に示す画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。
例えば、制御部100のCPU101は、ROM102に記憶されたプログラムとの協働により、
図6に示す画像濃度不良検出処理を実行する。
【0023】
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
【0024】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0025】
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
【0026】
画像処理部30は、入力された画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データは、画像形成部40に入力される。
【0027】
画像形成部40は、入力された画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
【0028】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。
図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
【0029】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム(本発明の「像担持体」に対応)413、帯電装置414、ドラムクリーニング装置415等を備える。画像形成ユニット41を構成する各装置(感光体ドラム413を含む)は、
図1に示すx方向を長手方向としている。
【0030】
感光体ドラム413は、例えばドラム径が80[mm]のアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。
【0031】
制御部100は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度で
図1の矢印の方向に回転させる。
【0032】
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
【0033】
現像装置412は、二成分現像方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー画像を形成する(作像する)。すなわち、現像装置412が有する現像ローラー32(本発明の「現像剤担持体」に対応)は、回転しながら現像剤を担持し、現像剤に含まれるトナーを感光体ドラム413に供給することによって感光体ドラム413の表面にトナー画像を形成する。現像装置412については詳細を後述する。
【0034】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。
【0035】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
【0036】
中間転写ベルト421は、無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
【0037】
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー画像を転写するための一次転写ニップが形成される。
【0038】
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー画像を転写するための二次転写ニップが形成される。
【0039】
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー画像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側(一次転写ローラー422と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー画像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
【0040】
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー画像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの裏面側(二次転写ローラー424と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー画像は用紙Sに静電的に転写される。トナー画像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
【0041】
ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421の表面に摺接するベルトクリーニングブレード等を有し、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。なお、二次転写ローラー424に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成(いわゆるベルト式の二次転写ユニット)を採用しても良い。
【0042】
定着部60は、トナー画像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー画像を定着させる。
【0043】
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a~51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)があらかじめ設定された種類毎に収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53a等の複数の搬送ローラー対を有する。
【0044】
給紙トレイユニット51a~51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー画像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
【0045】
なお、用紙Sは、長尺紙やロール紙であってもよい。この場合、用紙Sは、画像形成装置1と接続された給紙装置(図示せず)に収容されており、給紙装置が保有する用紙Sは、当該給紙装置から用紙給紙口54を介して画像形成装置1へと供給され、搬送経路部53へと送り出される。
【0046】
記憶部70は、例えば、不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブ等により構成される。記憶部70には、画像形成装置1に係る各種設定情報を始めとする各種データが記憶されている。
【0047】
通信部80は、例えばLAN(Local Area Network)カード等の通信制御カードで構成され、LAN、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。
【0048】
現像電流検出部90は、各画像形成ユニット41に配置され、感光体ドラム413へのトナー画像の作像時に感光体ドラム413と現像ローラー32との間に流れる現像電流を検出する。現像電流検出部90は、図示しない現像バイアス印加部により現像バイアスを現像ローラー32に印加することによる現像電流の値を検出し、制御部100に出力する。
【0049】
(現像装置412の構成)
ここで、現像装置412の構成を詳細に説明する。
図3は現像装置412の垂直断面図、
図4は現像装置412を上方から見た水平断面図である。
現像装置412は、
図3及び
図4に示すように、現像剤を収容し、現像装置412の全体構成を支持する筐体31と、感光体ドラム413へ現像剤のトナーを供給する現像剤担持体としての現像ローラー32と、現像ローラー32へ現像剤を供給する現像剤供給部材としての供給スクリュー33と、供給スクリュー33による現像剤搬送方向とは反対方向に現像剤を搬送する撹拌スクリュー34とを備える。
【0050】
現像剤は、トナーとキャリアを含む乾式二成分現像剤であり、トナーとキャリアを混合させて撹拌することによりトナーを帯電状態とすることができる。帯電したトナーは、現像ローラー32を通じて静電潜像が形成された感光体ドラム413の表面に付着され、トナー画像が現像される。
【0051】
筐体31は、感光体ドラム413に向けて開放された開口部を備えており、この開口部の近傍に形成された空間に現像ローラー32が回転可能に支持されている。
現像ローラー32と感光体ドラム413は、いずれも、円筒状であり、これらの回転軸は互いに平行且つ水平に向けられている。また、現像ローラー32の外周面と感光体ドラム413の外周面とは、所定の現像ギャップを形成するように配置されている。
【0052】
筐体31は、供給スクリュー33を格納した供給室311と、撹拌スクリュー34を格納した撹拌室312とを備えている。
筐体31内において、現像ローラー32と供給スクリュー33と撹拌スクリュー34は、いずれもその回転中心線がx方向に平行となるように支持されており、これらは略y方向に並んで配置されている。供給スクリュー33及び供給室311は、現像ローラー32の隣であって、感光体ドラム413の反対側に配置されている。また、撹拌スクリュー34及び撹拌室312は、供給スクリュー33及び供給室311の隣であって、現像ローラー32の反対側に配置されている。
現像ローラー32と供給スクリュー33と撹拌スクリュー34は、図示しないモーターを駆動源として図示しない動力伝達機構を介していずれも同じ回転方向に連動回転動作が付与される。
【0053】
供給スクリュー33は、筐体31内に回転可能に支持された第一軸331と、第一軸331に固定装備された螺旋状(スクリュー状)の撹拌羽根332とを備えている。
供給室311は、内底部のy-z平面に沿った断面形状が下に向かって凸となる円弧状であり、その内径は撹拌羽根332の最外径より僅かに大きく設定されている。そして、撹拌羽根332の外周は供給室311の内底部に接近した状態で配置されている。
供給室311内に現像剤が充填された状態で、供給スクリュー33が規定の正回転方向に回転駆動されることにより、供給室311内において、現像剤をx方向に平行な矢印H1方向に向かって撹拌しながら搬送することができる。
供給スクリュー33は、現像ローラー32のx方向の全長に渡って前記現像ローラー32に接近して配置されており、現像ローラー32の外周面全域にわたって現像剤に含まれるトナーを供給することができる。
【0054】
撹拌スクリュー34は、筐体31内に回転可能に支持された第二軸341と、第二軸341に固定装備された螺旋状の撹拌羽根342とを備えている。
撹拌室312は、内底部のy-z平面に沿った断面形状が下に向かって凸となる円弧状であり、その内径は撹拌羽根342の最外径より僅かに大きく設定されている。そして、撹拌羽根342の外周は撹拌室312の内底部に接近した状態で配置されている。
また、撹拌スクリュー34の撹拌羽根342は、供給スクリュー33の撹拌羽根332とは逆巻きの螺旋状に形成されている。
これにより、撹拌室312内に現像剤が充填された状態で、撹拌スクリュー34が規定の正回転方向に回転駆動されることにより、撹拌室312内において、現像剤をx方向に平行な矢印H2方向(矢印H1と逆方向)に向かって撹拌しながら搬送することができる。
【0055】
また、供給室311と撹拌室312とは、x-z平面に沿った隔壁313により仕切られており、当該隔壁313のx方向の一端部と他端部とには、それぞれ供給室311と撹拌室312との間を現像剤が流通する開口が設けられている。
図4において、隔壁313の右端に設けられた開口は、供給スクリュー33から撹拌スクリュー34に現像剤を受け渡す第一連通部314であり、隔壁313の左端に設けられた開口は、撹拌スクリュー34から供給スクリュー33に現像剤を受け渡す第二連通部315である。
即ち、供給スクリュー33は、前述したように矢印H1方向に向かって現像剤を搬送するので、現像剤は、供給室311において供給スクリュー33の正回転の搬送方向下流側に位置する第一連通部314から撹拌室312に矢印H3方向に向かって押し込まれることになる。
同様に、撹拌スクリュー34は、前述したように矢印H2方向に向かって現像剤を搬送するので、現像剤は、撹拌室312において撹拌スクリュー34の正回転の搬送方向下流側に位置する第二連通部315から供給室311に矢印H4方向に向かって押し込まれることになる。
つまり、筐体31内において、現像剤は、矢印H1,H3,H2,H4を連ねた環状の循環経路に沿って搬送が行われるようになっている。
【0056】
また、撹拌スクリュー34は、その一端部において、補給スクリュー35に連結されている。補給スクリュー35は、筐体31内に回転可能に支持された第三軸351と、第三軸351に固定装備された螺旋状の撹拌羽根352とを備えている。第三軸351は、撹拌スクリュー34の第二軸341と同心で連結され、一体的に回転を行う。撹拌羽根352は、撹拌スクリュー34の撹拌羽根342と現像剤の搬送方向が一致している。
【0057】
補給スクリュー35は、撹拌室312の片側に設けられた補給室316に収容されている。
補給室316は、y-z平面に沿った断面形状が撹拌室312とほぼ等しく設定されており、補給室316と撹拌室312との間には隔壁や段差などの境界が存在しない状態で連通している。
補給室316には、補給スクリュー35の周囲の壁面部(例えば、補給スクリュー35の上方)における撹拌室312寄りの位置に現像剤を筐体31内に補給する現像剤補給口317が設けられている(
図4では二点鎖線で図示)。
【0058】
補給室316の上方には、トナーが格納された補給トナー貯留部と当該補給トナー貯留部からトナーを搬送する搬送機構とからなる図示しない補給部が配置されている。そして、現像剤補給口317を通じて上方から補給室316内の補給スクリュー35にトナーが補給される。
これにより、補給されたトナーは、矢印H2と同方向に向かって、筐体31内の前述した環状の循環経路を循環する現像剤に合流し、撹拌スクリュー34によって撹拌される。
【0059】
乾式二成分現像剤は、画像形成を行うことによりトナーを消費する。このため、制御部100は、所定の条件を満たした場合に、補給部の搬送機構を作動させて規定量のトナーを供給する制御を行う。
【0060】
補給室316内において、x方向のほぼ全長に渡って補給スクリュー35が配置されている。そして、補給室316における、当該補給スクリュー35の正回転による現像剤の搬送方向(撹拌スクリュー34の搬送方向と一致)の現像剤補給口317よりも上流側となる補給スクリュー35の周囲の壁面には、撹拌室側現像剤排出口318が設けられている。
この撹拌室側現像剤排出口318は、補給室316の内底部から下方に向かって開口している。この撹拌室側現像剤排出口318から排出された現像剤は、図示しない廃棄現像剤貯蔵部に落下して貯蔵される。
【0061】
(画像形成装置1の動作)
次に、画像形成装置1の動作について説明する。
上述の供給スクリュー33から現像ローラー32へ現像剤を供給する際、現像剤の物性変化等による現像剤の嵩低下によって現像剤の供給ムラが発生し、感光体ドラム413の回転方向(ドラム回転方向)に対して角度を持った斜めの周期性を有するムラ(低濃度の画像濃度不良)が発生することがある。このムラをスクリュームラという。
【0062】
図5は、スクリュームラの一例を示す図である。スクリュームラの感光体ドラム413の長手方向(ドラム長手方向(横方向))の間隔である横ピッチXは、供給スクリュー33の撹拌羽根332の間隔dである。スクリュームラのドラム回転方向(縦方向)の間隔である縦ピッチYは、下記の(式1)によって決まる値である。
Y=((現像ローラー回転速度)÷(供給スクリューの回転数(rpm)×供給スクリュー巻き数))×(ドラム回転速度÷現像ローラー回転速度) ・・・(式1)
【0063】
スクリュームラが存在すると、画像形成装置1が出力する印刷物の仕上がり品質が低下する。そこで、画像形成装置1の制御部100は、
図6に示す画像濃度不良検出処理を実行することにより、上述のスクリュームラを現像電流検出部90により検出される現像電流に基づいて検出し、補修する。
画像濃度不良検出処理は、例えば、予め定められたプリント枚数がプリントされる毎、所定時間が経過する毎、所定の環境となったとき(例えば、機内の温度(又は湿度)が所定の閾値以上となったとき)、トナー帯電量が所定の閾値以下となったとき等、所定の条件となった場合に自動的に実行されることとしてもよいし、ユーザーの操作部22の操作に応じて実行することとしてもよい。
【0064】
図6に示す画像濃度検出処理において、まず、制御部100は、画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kのそれぞれにおいて、スクリュームラ検出用の帯状画像を感光体ドラム413上に作像させながら、現像電流検出部90に現像電流値を検出させることにより、帯状画像作像時の現像電流を取得する(ステップS1)。
例えば、感光体ドラム413に1つの走査ラインの画像を形成するごとに、現像電流検出部90により現像電流を検出させる。
【0065】
ここで、作像時の現像ローラー32と感光体ドラム413間のトナーの移動によって現像電流が発生する。現像電流は移動したトナー量に比例し、ドラム長手方向の平均画像濃度と相関がある。ドラム回転方向で平均画像濃度に変化がある場合、現像電流も対応して変化する。例えば、全面で濃度(階調値)が均一な画像を作像した場合、ドラム回転方向に周期をもつ横帯状のムラ(例えば現像ローラー32の振れ起因の濃度ムラ)が存在する場合、
図7にG1で示すように、現像電流も周期的に変化する。一方で、スクリュームラなどの斜めのムラが存在する場合、
図5に示すようにドラム長手方向において常に本来の濃度の部分と低濃度部分(ムラの部分)が均一に存在するので、
図7にG2で示すように、ドラム回転方向の各位置の現像電流も均一になってしまい検出が困難である。
【0066】
そこで、ステップS1においては、下記の(1)~(3)に示すいずれかの帯状画像を感光体ドラム413上に作像させる。なお、帯状画像は、階調値が均一の画像である。
(1)1本の縦帯状の帯状画像(帯状画像P1とする)
(2)等間隔に配置された複数の縦帯状の帯状画像(帯状画像群P2とする)
(3)等間隔に配置された複数の斜めの帯状画像(帯状画像群P3とする)
【0067】
(1)帯状画像P1
図8Aは、スクリュームラが発生している場合の帯状画像P1の一例を示す図である。
帯状画像P1は、帯の横幅(ドラム長手方向の幅)aが上述の横ピッチX(すなわち、供給スクリューの撹拌羽根332の間隔d)より狭く、帯の長さ(ドラム回転方向の長さ)が上述の縦ピッチYより長い1本の縦帯状の画像である。横ピッチXより幅の狭い帯状画像P1を作像することで、スクリュームラが発生している場合に、
図8Aに示すように、ドラム回転方向にスクリュームラ(低濃度の部分)がある位置とない位置に分けることができる。また、スクリュームラが発生している場合、帯状画像P1の作像時の現像電流を取得すると、
図8Bのグラフに示すように、縦ピッチYの周期で変動する波形が得られる。なお、帯状画像P1の横幅aを横ピッチX以上にしてしまうと、ムラのない位置がなくなってしまい、上記グラフのような周期性をもつ現像電流の変化が得られない。
【0068】
(2)帯状画像群P2
図9Aは、スクリュームラが発生している場合の帯状画像群P2の一例を示す図である。
上述の帯状画像P1のように、帯状画像が1本の場合、検出される現像電流が弱く波形から周期を解析するのが困難な場合がある。そこで、感光体ドラム413上に、複数本の縦帯状の帯状画像(帯状画像P1と同じ画像)を横ピッチXと同じか又はその整数倍の間隔b(b=nX(nは1以上の整数))で複数配置した帯状画像群P2を作像することで、(1)に比べてムラのない位置で検出される現像電流の強度を強くすることができ、スクリュームラが発生している場合に、
図9Bに示すように、ムラのある位置とない位置の現像電流をはっきり区別することができ、現像電流の周期の解析をしやすくすることができる。なお、帯状画像の配置間隔bを横ピッチXの倍数にしないと、ムラのない位置がなくなったり、ムラが複数周期で現れたりし、解析が困難となる。
【0069】
(3)帯状画像群P3
図10は、スクリュームラが発生している場合の帯状画像群P3の一例を示す図である。
帯状画像群P3は、以下の条件を満たす複数本の斜めの帯状画像が等間隔に並んで配置されたものである。
・帯状画像の長辺がスクリュームラに対して平行ではない(スクリュームラに対して交差している)。
・ドラム回転方向に対して直交していない。
・帯状画像の横幅(ドラム長手方向の幅)aが上述の横ピッチXより狭く、帯の長さ(ドラム回転方向の長さ)が上述の縦ピッチYより長い
すなわち、ドラム回転方向に対する斜めの帯状画像の角度θ´とすると、角度θ´の取り得る範囲は以下となる。
・0°≦θ´<90°
・90°<θ´<θ
・θ<θ´≦180°
ただし、θは、ドラム回転方向に対するスクリュームラの角度(スクリュームラのスジ状のラインの角度)であり、θ=180-arctan(X/Y)である。
斜めの帯状画像の間隔bは、横ピッチXの倍数(b=nX(nは1以上の整数))である。
帯状画像群P3を用いても、(1)に比べてムラのない位置で検出される現像電流の強度を強くすることができるので、スクリュームラが発生している場合に、
図9Bに示すように、ムラのある位置とない位置の現像電流をはっきり区別することができ、現像電流の周期の解析をしやすくすることができる。
なお、上記の条件を満たす1本の斜めの帯状画像をスクリュームラ検出用の帯状画像としてもよい。
【0070】
次いで、制御部100は、取得した現像電流の時間変化を解析し(ステップS2)、スクリュームラが検出されたか否かを判断する(ステップS3)。
ステップS3において、制御部100は、
図11に示すように、取得した現像電流を時系列に並べて現像電流の時間変化(ドラム回転方向の位置による現像電流の変化)のグラフを生成し、取得した現像電流の時間変化が以下の条件を満たす場合に、スクリュームラが検出されたと判断する。
・低濃度側電流値<許容濃度電流値
・現像電流に周期性がある
・現像電流周期=スクリュームラの縦ピッチY又はその整数倍
【0071】
ここで、低濃度側電流値とは、スクリュームラ部分の現像電流値(作像時の現像電流の時間変化を示すグラフの値が低い側の極値)である。高濃度側電流値とは、ムラのないベタ部分の現像電流値(すなわち、作像時の現像電流の時間変化を示すグラフの値が高い側の極値)である。許容濃度電流値とは、スクリュームラの検出基準となる現像電流値であり、ムラとして視認できない(許容される)濃度に対応する現像電流値である。制御部100は、許容濃度電流値を、高濃度側電流値との割合(例えば、高濃度側電流値の8割など)により設定するか、又は、トナー帯電量に基づいて以下の(式2)で算出して設定する。
許容濃度電流値=トナー帯電量×許容トナー付着量×帯状画像の横幅の合計×(サンプリング距離÷サンプリング時間)
ここで、制御部100は、トナー帯電量検出部として、例えば、濃度センサーにより検知された中間転写ベルト421上に形成したY、M、C、K各色のトナーのパッチ画像の光学反射濃度に基づいてトナー付着量を算出し、このトナー付着量と、パッチ画像を感光体ドラム413に作像したときに検出された現像電流とに基づいて、トナー帯電量を検出する。現像電流は、移動したトナーの総電荷量に比例するので、現像電流を測定することにより現像したトナーの総電荷量を測定することができ、トナー付着量の値と総電荷量との関係から単位質量あたりのトナー帯電量を算出することができる。
許容トナー付着量は、画像形成装置1の装置に予め定められた値である。
サンプリング距離は、帯状画像のドラム回転方向の長さである。サンプリング時間は、現像電流をサンプリングした時間である。
【0072】
なお、制御部100は、Y、M、C、Kの各色についてスクリュームラが検出されているか否かを判断する。
【0073】
ステップS3において、スクリュームラが検出されていないと判断した場合(ステップS3;NO)、制御部100は、画像濃度不良検出処理を終了する。
【0074】
ステップS3において、スクリュームラが検出されたと判断した場合(ステップS3;YES)、制御部100は、スクリュームラが検出された色について、作像条件を変更する(ステップS4)。
ここで、スクリュームラのムラ部分が完全に白く抜けている(トナーが現像できていない)ケースでなければ、作像条件を変えて現像性を向上させることでスクリュームラの影響を小さくすることができる。
例えば、制御部100は、現像ACバイアスの振幅の設定値を大きくするか、又は現像ACバイアスの周波数の設定値を大きくする。これにより、トナーを飛ばす力が増大する(現像性が向上する)ので、ムラ部分もトナーを現像しやすくなり、ムラ部分の濃度を濃くすることができる。また、制御部100は、現像装置412にトナーを補給して現像剤のトナー濃度を増やす。これにより、飛ばせるトナーが増える(現像性が向上する)ので、ムラ部分もトナーを現像しやすくなり、ムラ部分の濃度を濃くすることができる。なお、作像条件を変更しても、ムラの無い部分はすでに潜像の分だけトナーが飛んでいるため濃度は濃くならない。ムラ部分は潜像に対してトナーが乗りきっていないので現像性向上で不足分が乗るようになる。
【0075】
次いで、制御部100は、確認のため、再度、スクリュームラが検出された色の画像形成ユニット41において、スクリュームラ検出用の帯状画像を感光体ドラム413上に作像させながら、現像電流検出部90に現像電流値を検出させることにより、帯状画像作像時の現像電流を取得し(ステップS5)、取得した現像電流の時間変化を解析し(ステップS6)、スクリュームラが補修できたか否かを判断する(ステップS7)。
ステップS7では、ステップS3と同様の判断基準でスクリュームラが検出されたか否かを判断し、スクリュームラが検出されなければ、スクリュームラが補修できたと判断する。スクリュームラが検出された場合は、スクリュームラが補修できていないと判断する。
【0076】
スクリュームラが補修できたと判断した場合(ステップS7;YES)、制御部100は、画像濃度不良検出処理を終了する。
【0077】
スクリュームラが補修できていないと判断した場合(ステップS7;NO)、制御部100は、現像ACバイアス条件が上限値であり、かつ、トナー濃度が上限値であるか否かを判断する(ステップS8)。
ステップS8では、スクリュームラの補修のリトライを行うか否かを判定している。なお、上述のように作像条件でリトライを実施するか否か判定する代わりに、作像条件を変更した回数でリトライを実施するか否かを判定してもよい。
【0078】
現像ACバイアス条件が上限値ではないか、又はトナー濃度が上限値ではないと判断した場合(ステップS8;NO)、制御部100は、ステップS4に戻り、リトライを行う。
現像ACバイアス条件が上限値であり、かつ、トナー濃度が上限値であると判断した場合(ステップS8;YES)、制御部100は、エラー処理を実施し(ステップS9)、画像濃度不良検出処理を終了する。
ステップS9において、制御部100は、例えば、画像形成装置1の動作を停止させ、サービスマンを呼ぶように促す通知を表示部21に表示させる。または、画像形成装置1の動作を停止させずに、ユーザーにスクリュームラが発生していること及び発生している色を通知して注意喚起を促す表示を表示部21に表示させることとしてもよい。あるいは、上記通知を音声により出力することとしてもよい。
【0079】
以上説明したように、画像形成装置1の制御部100は、感光体ドラム413上にドラム長手方向の幅が供給スクリュー33の羽の間隔より狭くかつドラム回転方向の長さがスクリュームラの周期よりも長い帯状画像を作像させ、帯状画像の作像時に現像電流検出部90により検出された現像電流の時間変化を解析することにより、スクリュームラを検出する。
したがって、画像解析機構を搭載することなく、スクリュームラを検出することが可能となる。
【0080】
また、スクリュームラの検出において、感光体ドラム413の長手方向に等間隔であり、隣り合う帯状画像同士の間隔が供給スクリュー33の羽の間隔の整数倍である複数の帯状画像を感光体ドラム413上に作像させることで、検出される現像電流の強度を強くすることができるため、現像電流の周期を解析しやすくすることができ、スクリュームラの検出が容易となる。
【0081】
また、スクリュームラの検出結果に応じて、現像ACバイアスや現像剤のトナー濃度等の作像条件を変更することで、スクリュームラを補修することが可能となる。
【0082】
また、現像剤のトナー帯電量の検出結果に基づいてスクリュームラの検出基準を設定するようにすることで、トナーの帯電量に応じた検出基準でスクリュームラを検出することができる。
【0083】
なお、上述の実施形態における記述内容は、本発明の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、上記した実施形態では、感光体ドラムに形成された画像を中間転写ベルトに一次転写し、中間転写ベルトから二次転写ローラーにより用紙に画像を転写するカラーの画像形成装置を例にとり説明したが、本発明は、感光体ドラムから転写ローラーにより直接用紙に画像を転写するモノクロの画像形成装置においても適用可能である。
【0084】
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として、不揮発性メモリー、ハードディスク等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0085】
その他、画像形成装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 画像形成装置
100 制御部
10 画像読取部
20 操作表示部
30 画像処理部
40 画像形成部
411 露光装置
412 現像装置
32 現像ローラー
33 供給スクリュー
413 感光体ドラム
414 帯電装置
50 用紙搬送部
60 定着部
70 記憶部
80 通信部
90 現像電流検出部