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特許7476708気密封止パッケージ、赤外線検知器及び気密封止パッケージの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】気密封止パッケージ、赤外線検知器及び気密封止パッケージの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/02 20060101AFI20240423BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G01J1/02 C
H01L23/02 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020129261
(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公開番号】P2022026004
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】西村 望
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-10405(JP,A)
【文献】特開2014-67895(JP,A)
【文献】実開平1-176939(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0117181(US,A1)
【文献】米国特許第8008739(US,B2)
【文献】米国特許第9530982(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00-G01J 1/60
G01J 11/00
H01L 21/54
H01L 21/56
H01L 23/00-H01L 23/10
H01L 23/16-H01L 23/31
H10K 30/60-H10K 30/65
H10K 39/30
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスを配置するためのデバイス配置領域と、前記デバイス配置領域を囲うように設けられた閉じた帯状の第1のメタライズ層とを有する基材と、
前記第1のメタライズ層に対応する位置に設けられ、自身の上面が前記第1のメタライズ層の上面と平行な閉じた帯状の第2のメタライズ層を有する蓋材と、
前記第1のメタライズ層と前記第2のメタライズ層とを接合する第1の接合層と、
前記第1のメタライズ層および前記第2のメタライズ層と重ならない位置に配置され、前記第1のメタライズ層の厚さと前記第2のメタライズ層の厚さの和よりも高い所定の高さを有する複数のスペーサと、
を有し、
前記スペーサが、前記基材に形成された第1の部分と、前記蓋材に形成された第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分とを接合する第2の接合層とを含み、
前記第1の部分の厚さと前記第2の部分の厚さとの和が、前記第1のメタライズ層の厚さと前記第2のメタライズ層の厚さの和よりも大きく、
前記第1のメタライズ層と前記第2のメタライズ層との接合の前に前記第1のメタライズ層と前記第2のメタライズ層との間に配置された第1の溶融金属が、前記接合によって前記第1の接合層として前記第1のメタライズ層と前記第2のメタライズ層とを接合し、
前記接合の前に前記第1の部分と前記第2の部分との間に配置された第2の溶着金属が、前記接合によって前記第2の接合層として前記第1の部分と前記第2の部分とを接合し、
前記第1の部分の厚さと前記第2の部分の厚さと第2の溶着金属の厚さとの和は、前記第1のメタライズ層の厚さと前記第2のメタライズ層の厚さと前記第1の溶融金属の厚さとの和より大きい
ことを特徴とする気密封止パッケージ。
【請求項2】
前記スペーサが、
前記基材と一体化した第1の凸部を含む前記第1の部分を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の気密封止パッケージ。
【請求項3】
前記スペーサが、
前記第1の凸部の上面に形成された第3のメタライズ層を含む前記第1の部分と、
前記蓋材の、前記第3のメタライズ層に対応する位置に形成された第4のメタライズ層を含む前記第2の部分と、
前記第3のメタライズ層と前記第4のメタライズ層とを接合する前記第2の接合層と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の気密封止パッケージ。
【請求項4】
前記第3のメタライズ層と前記第4のメタライズ層の面積が異なる
ことを特徴とする請求項3に記載の気密封止パッケージ。
【請求項5】
前記スペーサが、
前記蓋材と一体化した第2の凸部を含む前記第2の部分を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の気密封止パッケージ。
【請求項6】
前記第1のメタライズ層と前記第2のメタライズ層と前記第1の接合層で囲まれた空間が真空排気されている
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の気密封止パッケージ。
【請求項7】
前記デバイス配置領域が、
前記デバイスを配置するための凹部を有している
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の気密封止パッケージ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の気密封止パッケージの前記デバイス配置領域に赤外線検知素子が実装され、
前記蓋材が赤外線透過材料で形成されている
ことを特徴とする赤外線検知器。
【請求項9】
デバイスを配置するためのデバイス配置領域と、前記デバイス配置領域を囲うように設けられた閉じた帯状の第1のメタライズ層と、前記第1のメタライズ層と重ならない位置に、前記第1のメタライズ層の厚さより高い所定の高さを有する複数のスペーサを有する基材と、
前記第1のメタライズ層に対応する位置に設けられ、厚さが前記スペーサの高さと前記第1のメタライズ層の厚さの差より小さく、閉じた帯状の第2のメタライズ層を有する蓋材と、を用い
前記スペーサが前記基材と前記蓋材との間隔を規制した状態で、前記第1のメタライズ層と前記第2のメタライズ層とを第1の接合層で接合し、
前記スペーサが、前記基材に形成された第1の部分と、前記蓋材に形成された第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分との間に配置された第2の溶着金属とを含み、
前記第1の部分の厚さと前記第2の部分の厚さとの和が、前記第1のメタライズ層の厚さと前記第2のメタライズ層の厚さとの和よりも大きく、
前記第1のメタライズ層と前記第2のメタライズ層との接合の前は、前記第1の部分の厚さと前記第2の部分の厚さと前記第2の溶着金属の厚さとの和が、前記第1のメタライズ層と前記第2のメタライズ層との間に配置された第1の溶融金属の厚さと前記第1のメタライズ層の厚さと前記第2のメタライズ層の厚さとの和よりも大きく、
前記接合によって、前記第1の溶融金属は前記第1の接合層として前記第1のメタライズ層と前記第2のメタライズ層とを接合し、前記第2の溶着金属は、第2の接合層として、前記第1の部分と前記第2の部分とを接合する
ことを特徴とする気密封止パッケージの製造方法。
【請求項10】
前記スペーサが、
前記基材に設けられた第1の凸部と、前記第1の凸部の上面に形成された第3のメタライズ層とを含む前記第1の部分を含み、
前記蓋材が、前記第3のメタライズ層に対応する位置に形成された第4のメタライズ層を含む前記第2の部分を有し、
前記スペーサが前記基材と前記蓋材との間隔を規制した状態で、前記第3のメタライズ層と前記第4のメタライズ層とを前記第2の接合層で接合する、
ことを特徴とする請求項9に記載の気密封止パッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気密封止パッケージ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体やセンサーなどの電子デバイスの中には、気密封止パッケージへの実装を必要とするものがある。気密封止パッケージの内部は、真空であったり、不活性ガスが封入されていたりする。
【0003】
このような気密封止パッケージの製造方法が、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1では、赤外線検知素子が設置されたセラミック容器と蓋材とを真空チャンバ内で溶着し、内部を真空状態にして気密封止している。具体的には、以下のような手順によって、気密封止パッケージを製造する。まず、真空チャンバ内の上下に配置されたヒータに、セラミック容器と、赤外線透過窓材が取り付けられた蓋材とを、それぞれセットし、真空チャンバ内を真空状態になるように排気する。次に、セラミック容器に配置されたロウ材をヒータの加熱により溶融させた状態とする。そして、真空チャンバ内に設置されたロボット機構を用いて、セラミック容器と蓋材とを加圧密着させ、ヒータの加熱を停止して該ロウ材を凝固させる。このようにして、赤外線検知素子を、内部空間を真空状態に保持した気密封止パッケージに実装することができる。
【0004】
また、特許文献2には、気密封止パッケージの蓋材に貫通穴を設け、真空状態にした真空チャンバ内で、貫通穴を封止する方法が開示されている。この方法では、真空チャンバ内に、封止材を溶融させて貫通穴に供給する機構を設ける必要があるが、ワーク(容器や蓋材)を上下させる機構が不要になるため、真空チャンバの設備を小型化することが可能である。
【0005】
また、特許文献3には、基材と蓋材によって形成される中空部を有する構造体で、排気口と排気口の封止を用いることなく、中空部を真空封止する方法が開示されている。この技術では、基材と蓋材に環状の接合部と、該環状の接合部の外側に配置された孤立した複数の接合部とを設ける。ここで、孤立した接合部では、蓋材側のパッドを、基板側のパッドよりも大きくしておく。そして、熱溶融材料を接合部に供給する際に、孤立した接合部に配置する熱溶融性材料の厚みを、環状の接合部に配置する熱溶融材料の厚みよりも厚くする。この構成で、構造体を真空チャンバに配置し、熱溶融性材料を溶融する。すると、熱溶融材料が溶融し始めた段階では、孤立した接合部が蓋材を支持し、環状の接合部同士が離れた状態になる。この状態では、広い隙間が空いているため、中空部の排気をスムーズに行うことができる。そして、熱溶融材料の溶融が進むと、孤立した接合部の熱溶融性材料が蓋材側のパッドに濡れ広がって、基材と蓋材の間隔が狭くなっていく。さらに溶融が進むと、環状の接合部も接合され、中空部を真空排気した状態で、中空部を封止することができる。特許文献3では、特許文献1のように、真空チャンバにロボット機構を設けたり、特許文献2のように、排気口を封止する機構を設けたりすることなく、気密封止を行うことができるため、真空チャンバの設備費を削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-139616号公報
【文献】特開平11-326037号公報
【文献】米国特許第6566170号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、特許文献1では真空チャンバ内部に機械部品を上下させる機構を設けなければならない。また特許文献2の技術では、上下機構は不要であるものの、貫通穴に封止材を供給する機構を設けなければならない。そのため、真空チャンバ自体が高価になり、製造装置の設備投資コストが高くなってしまうという課題があった。
【0008】
また、特許文献3に開示される方法では、複数の孤立したパッド部に供給された熱溶融性材料の溶融時間に差があると、熱溶融性材料の高さが減少する時間に差が生じ、蓋材が基材に対して傾くという問題があった。蓋材が傾くと、環状の接合部の熱溶融材料の厚さや幅に不均一が生じ、接合部に穴が開いたり、強度の弱い部分ができたりする場合があり、気密封止の信頼性が低下する。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、安価な設備で製造でき、信頼性の高い気密封止が可能な気密封止パッケージを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の気密封止パッケージは、基材と蓋材とを有し、基材と蓋材とが気密に接合され、両者の間に気密な中空構造が形成されている。基材は、デバイスを配置するためのデバイス配置領域と、デバイス配置領域を囲うように設けられた閉じた帯状の第1のメタライズ層とを有する。蓋材は、第1のメタライズ層に対応する位置に設けられ、自身の上面が第1のメタライズ層の上面と平行な閉じた帯状の第2のメタライズ層を有する。第1のメタライズ層と第2のメタライズ層とは、第1の接合層によって接合されている。また、第1のメタライズ層と重ならない位置に配置され、前記第1のメタライズ層の厚さと前記第2のメタライズ層の厚さの和よりも高い所定の高さを有する複数の島状のスペーサが配置されている。
【0011】
また、本発明の気密封止パッケージの製造方法は、デバイスを配置するためのデバイス配置領域を有する基材と、基材と接合されることによって、デバイス配置領域を気密封止する蓋材とを用いる。また基材は、デバイス配置領域を囲うように設けられた閉じた帯状の第1のメタライズ層と、第1のメタライズ層と重ならない位置に、第1のメタライズ層の厚さより高い所定の高さを有する複数のスペーサとを有する。蓋材は、第1のメタライズ層に対応する位置に設けられ、厚さが前記スペーサの高さと第1のメタライズ層の厚さの差より小さく、閉じた帯状の第2のメタライズ層を有する。そして、スペーサが基材と蓋材との間隔を規制した状態で、第1のメタライズ層と第2のメタライズ層とを第1の接合層で接合する、
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果は、安価な設備で製造でき、信頼性の高い気密封止が可能な気密封止パッケージを提供できることである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態の気密封止パッケージを示す断面図である。
図2】第2の実施形態の気密封止パッケージを示す断面図である。
図3】第2の実施形態の気密封止パッケージに用いる基材と蓋材を示す平面図である。
図4】第2の実施形態の気密封止パッケージの製造方法の第1の部分を示す断面図である。
図5】第2の実施形態の気密封止パッケージの製造方法の第2の部分を示す断面図である。
図6】第2の実施形態の気密封止パッケージの製造方法の第3の部分を示す断面図である。
図7】第2の実施形態の気密封止パッケージの製造方法の第4の部分を示す断面図である。
図8】第3の実施形態の気密封止パッケージを示す断面図である。
図9】第3の実施形態の気密封止パッケージの別の状態を示す断面図である。
図10】第4の実施形態の気密封止パッケージを示す断面図である。
図11】第4の実施形態の気密封止パッケージの別の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお各図面の同様の構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する場合がある。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の気密封止パッケージ1を示す断面図である。気密封止パッケージ1では、基材10と蓋材20とが気密に接合され、両者の間に気密な中空構造が形成されている。
【0016】
基材10は、デバイスを配置するためのデバイス配置領域11と、デバイス配置領域11を囲うように設けられた閉じた帯状の第1のメタライズ層12とを有する。
【0017】
蓋材20は、第1のメタライズ層12に対応する位置に設けられ、自身の上面が第1のメタライズ層12の上面と平行な閉じた帯状の第2のメタライズ層21を有する。
【0018】
第1のメタライズ層12と第2のメタライズ層21とは、第1の接合層30によって接合されている。
【0019】
また、第1のメタライズ層12および第2のメタライズ層21と重ならない位置に、基材10と蓋材20との間隔を所定の距離に保つ複数の島状のスペーサ13が配置されている。複数のスペーサ13の所定高さは、例えば、同じ高さにすることができる。
【0020】
上記の気密封止パッケージの製造は、例えば、以下のようにして行うことができる。まず、第1のメタライズ層12の上に、第1の接合層の元となる第1の溶着材料を配置し、基材10の上にスペーサ13を配置し、スペーサ13の上に、第1の溶着材料の融点で溶融する第2の溶着材料を配置する。次に第2のメタライズ層21が第1のメタライズ層12と対向するように、蓋材20を基材10に積層する。この状態では、第2の溶着材料によって蓋材20が持ち上げられているため、第1の溶着材料と第2のメタライズ層21との間には隙間ができている。このため、全体を真空チャンバ内に配置すれば、デバイス配置領域11を容易に真空排気することができる。次に、全体を加熱して、第1の溶着材料および第2の溶着材料を溶融させると、蓋材20が基材10に向かって沈み込み、蓋材20がスペーサ13に突き当たり、第2のメタライズ層21が第1の溶着材料に接触する。この時、スペーサ13と蓋材20との間には所定厚みの第2の溶着材料が存在していても良い。次に全体を冷却すると、第1の溶着材料が固化して、第1の接合層30が形成される。こうして、第1のメタライズ層12、第1の接合層30、第2のメタライズ層21で囲まれたデバイス配置領域11を真空封止することができる。上記の方法では、デバイス配置領域11を容易に真空排気することができるとともに、スペーサ13が蓋材20に突き当たることによって、蓋材20が基材10に対して傾くことなく、気密封止パッケージの気密封止を行うことができる。
【0021】
以上説明したように、本実施形態によれば、真空チャンバ内にロボット機構や封止装置などの機構を設けることなく、かつ、蓋材を基材に対して平行に固定して、真空封止を行うことができる。これにより、第1の接合層の厚さに不均一が生じることがなくなり、弱い部分や欠陥が生じにくくなる。その結果、安価な設備で製造でき、信頼性の高い気密封止が可能な気密封止パッケージを提供することができる。
【0022】
(第2の実施形態)
図2は、本実施形態の気密封止パッケージ1000を示す断面図である。気密封止パッケージ1000では、基材100と蓋材200とが気密に接合され、両者の間に気密な中空構造が形成されている。
【0023】
基材100は、電子デバイスを配置するための凹部110と、凹部110を囲うように設けられた閉じた帯状の第1のメタライズ層120と、第1のメタライズ層12に重ならない位置に設けられた複数の島状の第1の凸部130とを有する。第1の凸部130の上面には、第3のメタライズ層140が設けられている。複数の島状の第1の凸部130の高さは、第1のメタライズ層12の厚さと第2のメタライズ層21の厚さの合計よりも大きい。そして複数の第1の凸部130の高さは、例えば、同じ高さにすることができる。
【0024】
蓋材200は、第1のメタライズ層120に対応する位置に設けられた閉じた帯状の第2のメタライズ層210と、第3のメタライズ層140に対応する位置に設けられた複数の島状の第4のメタライズ層220とを有する。
【0025】
第1のメタライズ層120と第2のメタライズ層210とは、第1の溶着金属300によって接合され、第3のメタライズ層140と第4のメタライズ層220とは、第2の溶着金属310によって接合されている。
【0026】
図3は、気密封止パッケージ1000に用いる基材100と蓋材200の一例を示す平面図である。図3(a)に示すように、この例では、凹部110の平面形状を円形とし、第1のメタライズ層120を、凹部110を囲む環状にしている。また4つの第1の凸部130を第1のメタライズ層120の外側に設け、その上面に第3のメタライズ層140を配置している。また図3(b)に示すように、蓋材200では、第1のメタライズ層120に対応する位置に、環状の第2のメタライズ層210を配置し、第3のメタライズ層140に対応する位置に第4のメタライズ層220を配置している。ここで、第4のメタライズ層220は、第3のメタライズ層140よりも広い面積を有している。
【0027】
次に、気密封止パッケージ1000の製造方法について説明する。まず、図4に示すように基材100の凹部110に電子デバイス400を搭載し、電子デバイス400と基材100の配線とを電気接続する(図示なし)。
【0028】
続いて、図5に示すように基材100の第1のメタライズ層120に第1の溶着金属300を供給し、第3のメタライズ層140の上に第2の溶着金属310を供給する。
【0029】
次に、図6に示すように、基材100と蓋材200を積層した状態で、全体を不図示の真空チャンバ内に配置する。基材100と蓋材200を積層した状態では、第3のメタライズ層140に供給した第2の溶着金属310により、蓋材200が支えられている。この状態では、第1の溶着金属300と第2のメタライズ層210の間には隙間がある。ここで、真空チャンバ内を排気すると、この隙間を介して、第1のメタライズ層120の内側の基材100と蓋材200から構成される中空部150を、小さい排気抵抗をもって排気することが可能である。また、第1のメタライズ層120の外側では、複数の島状の第1の凸部130の間の隙間から排気が行われるため、こちらも排気抵抗が小さい。したがって、中空部150の排気を効率よく行い、中空部150が所定の真空度に達するまでの時間を短縮することができる。
【0030】
また、この積層工程において、蓋材200の上におもり500を載せている。なお、第3のメタライズ層140に設置した第2の溶着金属310が溶融した際、第2の溶着金属310の表面張力より、蓋材200の荷重が高ければ、おもりを載せなくてもよい。
【0031】
中空部150を真空チャンバ内で排気して真空状態にした後、基材100を、第1の溶着金属300および第2の溶着金属310の融点以上に加熱する。第1の溶着金属300と第2の溶着金属310が溶融すると、図7に示すように、第1のメタライズ層120と第2のメタライズ層210が接合され、第3のメタライズ層140と第4のメタライズ層220とが接合される。この時、第4のメタライズ層220の面積が第3のメタライズ層140の面積より広いため、第2の溶着金属310が第4のメタライズ層220の表面に濡れ広がり、第3のメタライズ層140と第4のメタライズ層220の間隔は極めて小さくなる。そして、図7に示すように、第2の溶着金属310の多くは、第3のメタライズ層140の外側で固化する。その結果、基材100と蓋材200の間隔は、第1の凸部130の高さと、第3のメタライズ層140の厚みと、第4のメタライズ層220の厚みとで決まり、間隔を精度よく制御することができる。このため、中空部150を封止する第1の溶着金属300の厚さに不均一が生じることがなく、溶着金属300に弱い部分や欠陥が生じにくいため、信頼性の高い気密封止を行うことができる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態によれば、ロボット機構等を含まない安価な真空チャンバを用いて、信頼性の高い気密封止パッケージを製造することができる。
(実施例)
次に、赤外線検知素子を気密封止パッケージに実装した赤外線検知器を例にして、具体的な気密封止パッケージの構成と製造方法について説明する。まず、具体的な製造方法の説明の前に、赤外線検知器と気密封止パッケージの関係について説明する。赤外線検知器は、赤外領域の光を受光し、電気信号に変換する素子である。そして、人間の視覚を刺激しない赤外線を用いて映像を取得できる、対象物の温度を遠くから非接触で瞬時に測定できるなどの特徴を持つ。赤外線検知器は動作原理により、熱型と量子型の2種類に分けられる。このうち熱型赤外線検知器では、赤外線を受光すると熱によって赤外線検知素子が温められ、素子温度の上昇によって変化する電気信号を検知する。熱型は、量子型に比べ感度、応答速度は低いが、波長帯域が広く常温で使えるのが特徴である。熱型の赤外線検知素子には、熱起電力効果を利用したサーモパイル、焦電センサーのPZT(Lead Zirconate Titanate)、温度変化によって電気抵抗が変化するサーミスター、ボロメーターなどがある。熱型の赤外線検知器では、赤外線エネルギーを熱に変え温度変化を計測することで光を検出するため、大気を通した熱放散を阻止する必要がある。このため、真空状態の密閉容器に収納し、機能させることが望ましい。内部を真空に維持することで空気を通じた熱の放出が減少し、赤外線検知素子の感度が上昇することが知られている。
【0033】
次に、気密封止パッケージを用いた赤外線検知器の構成例と、製造方法について説明する。なお、以降の説明では、構造に関しては図2、3を参照し、製造方法に関しては図4-7を参照し、対応する符号を併記する。
【0034】
赤外線検知器(1000)は、赤外線検知素子(400)と、キャビティ部(110)を有する基材としてのセラミック基板(100)と、キャビティ部(110)を塞ぐ蓋材としての赤外線透過窓(200)と、から構成されている(図2)。セラミック基板(100)と赤外線透過窓(200)とによって形成される中空部(150)は赤外線検知器(1000)外部と連通することなく気密封止され、かつ真空状態に保たれている。赤外線検知素子(400)はセラミック基板(100)のキャビティ部(110)に実装され、図示しないワイヤ等によりセラミック基板(100)と接続されている。なお、赤外線透過窓(200)はゲルマニウム、シリコン、サファイヤなどの赤外線透過性を有する材料から形成されている。
【0035】
さらに詳述すると、セラミック基板(100)のキャビティ部(110)周囲の縁と、赤外線透過窓(200)との間が、はんだ材料(300)により気密封止されている。接続されるセラミック基板(100)とはんだ材料(300)との間および、接続される赤外線透過窓(200)とはんだ材料(300)の間にはそれぞれ、第1のメタライズ層(120)と第2のメタライズ層(210)が形成されている。第1のメタライズ層(120)、第2のメタライズ層(210)の幅は、例えば、0.2mmから5mmの範囲とすることができる。
【0036】
セラミック基板(100)、赤外線透過窓(200)には、第1のメタライズ層(120)よりも外側に、それぞれ、複数の島状の第3のメタライズ層(140)、第4のメタライズ層(220)が形成されている。第3のメタライズ層(140)は、独立したパッド形状を持つ。第3のメタライズ層(140)と第4のメタライズ層(220)とは、はんだ材料(310)で接続されている。本実施例では、第1の溶着金属300と第2の溶着金属310をともに、はんだ材料としている。
【0037】
第3のメタライズ層(140)は、第1の凸部(130)上に形成されている。このため、セラミック基板(100)の第1のメタライズ層(120)が形成されている面と、第3のメタライズ層(140)が形成されている面には段差があり、第3のメタライズ層(140)の方が高くなっている。段差の高さは、例えば、0.1~2mmの範囲とすることができる。本実施例では、段差の高さを0.25mmとした。
【0038】
本実施例では、セラミック基板(100)と赤外線透過窓(200)が、図3に示すように上面から見て四角形状を有している。そして、第3のメタライズ層(140)、第4のメタライズ層(220)の位置は、四角形状のセラミック基板(100)のコーナー部の4箇所としている。しかしながら、第3のメタライズ層(140)、第4のメタライズ層(220)の位置は任意の位置に設置することが可能である。つまり、第2のメタライズ層(140)、第4のメタライズ層(220)は、第1のメタライズ層120、第2のメタライズ層210と重ならない位置に、島状に配置されていればよい。本実施例では、第3のメタライズ層(140)は、第1のメタライズ層(120)よりも外側に形成されている。
【0039】
第3のメタライズ層(140)は、例えばφ0.2~2.0mmの円形とし、第4のメタライズ層(220)は、第2のメタライズ層(140)より十分大きいことが望ましい。また、第3のメタライズ層(140)の形状は円形ではなく、四角形や六角形などに変更することも可能である。
【0040】
はんだ材料(300、310)としては、はんだ接続時の温度が、赤外線検知素子(400)の耐熱温度を超えない必要があり、赤外線検知素子(400)の耐熱温度に応じてSnAg系はんだやSnBi系はんだなどが用いられる。第1のメタライズ層(120)上のはんだ材料(300)と、第3のメタライズ層(140)上のはんだ材料(310)を異なる材料とすることもできる。また、セラミック基板(100)側に形成された第1のメタライズ層(120)、第3のメタライズ層(140)としては、Mo、Mn、Ti、Agなどの導電性パターン上にNi、Auなどのメッキがされたものを適用することができる。赤外線透過窓(200)側に形成された第2のメタライズ層(210)、第4のメタライズ層(220)は、例えば、Cr、Cu、Ni、Ag、Auなどで形成することができる。
【0041】
次に、本実施例の赤外線検知器の製造方法について説明する。まず、図4に示すようにセラミック基板(100)のキャビティ部(110)に赤外線検知素子(400)を搭載し、ワイヤボンディングにより赤外線検知素子(400)とセラミック基板(100)とを電気接続する。
【0042】
続いて、図5に示すように、セラミック基板(100)の表面に形成された第1のメタライズ層(120)と第3のメタライズ層(140)の上にそれぞれ、はんだ材料(300、310)を供給する。はんだ材料(300、310)の厚さは0.25mmとした。
【0043】
また、セラミック基板(100)の第1のメタライズ層(120)上へのはんだ材料(300)の供給(第1の溶着金属形成工程)は、例えば、板状のはんだを第1のメタライズ層(120)の上に設置し、溶融させることで行うことができる。このようにすると細長い環状の第1のメタライズ層(120)に、厚さの均一性が良いはんだ材料(300)の層を形成することが容易である。第3のメタライズ層(140)上へのはんだ材料(310)の供給(第2の溶着金属形成工程)は、例えば、ボール形状のはんだを第3のメタライズ層(140)の上に設置し、溶融させることで形成することができる。第3のメタライズ層(140)は島状であるため、はんだ材料(310)を点で供給することが適当である。ボール形状ではんだを供給することは一般的な技術であり、安価で性能の良いはんだ供給装置を利用することができる。
【0044】
また、上記の説明では2つの接合部の両方で、セラミック基板(100)側に、はんだ材料を供給した。しかし、2つのうちの1つ、または両方の接合部において、はんだ材料(300、310)を蓋材(200)側に供給しても良い。また、セラミック基板(100)への赤外線検知素子(400)を実装後に、はんだ材料(300、310)を供給するものとしたが、両者の順番は逆でも良い。
【0045】
次に、図6に示すようにセラミック基板(100)と赤外線透過窓(200)を積層した状態で、不図示の真空チャンバ内に配置する。セラミック基板(100)と赤外線透過窓(200)を積層した状態では、第3のメタライズ層(140)に供給したはんだ材料(310)により、赤外線透過窓(200)が支持されている。このため、はんだ材料(300)と第2のメタライズ層(210)との間には隙間が形成されている。この隙間から第1のメタライズ層(120)の内側の中空部(150)を排気することができる。また、この積層工程において、赤外線透過窓(200)の上におもりを載せている。おもり(500)によって、はんだ材料(300、310)の溶融時に、赤外線透過窓(200)を、セラミック基板(100)に向かって、沈みこませることができる。なお、第3のメタライズ層(140)に設置したはんだ材料(310)が溶融した際、第3のメタライズ層(140)上のはんだ材料(310)の表面張力より、赤外線透過窓(200)の荷重が高ければ、おもり(500)を載せなくてもよい。
【0046】
続いて、図6に示すように、セラミック基板(100)と赤外線透過窓(200)から構成される赤外線検知器(1000)の中空部(150)を、真空チャンバ内で排気して真空状態にする。図6に示す状態では、第2のメタライズ層(210)とはんだ材料(300)との間に環状の隙間ができているため、この隙間を通して、中空部(150)を効率よく排気することができる。その後、赤外線検知器(1000)をはんだ材料(30、31)の融点以上に加熱することで、該はんだ材料(300、310)を溶融させ、セラミック基板(100)と赤外線透過窓(200)を接続した(図7)。この時、赤外線透過窓(200)が沈み込み、はんだ材料(310)が第4のメタライズ層(220)上に濡れ広がる。これにより、第3のメタライズ層(140)と第4のメタライズ層(220)が近接し、はんだ材料(310)の大部分は第3のメタライズ層(140)の外側に移動する。そして、第1のメタライズ層(120)と第2のメタライズ層(210)とが、はんだ材料(300)によって接合され、中空部(150)が真空封止される。
【0047】
なお、中空部(150)を排気している際に、赤外線検知器(1000)を、はんだ材料(300、310)が溶融しない温度であって、赤外線検知素子(400)の耐熱性に問題がない温度まで予備加熱すると良い。これにより、赤外線検知器(1000)の中空部(150)が所定の真空度に達するまでの時間を短縮し、上記接続工程の時間を短縮することが可能である。この接続工程は真空雰囲気中で行われるが、真空チャンバ内に不活性ガスを導入して行われてもよい。
【0048】
以上の製造方法によれば、セラミック基板(100)や赤外線透過窓(200)をハンドリングするロボット機構や、排気のための貫通穴を封止する機構を用いることなく、真空封止を行うことができる。このため、設備投資を安価にできる。また、セラミック基板(100)と赤外線透過窓(200)の接合層の厚さを均一にできるため、信頼性の高い気密封止パッケージを製造することができる。
【0049】
また、第3のメタライズ層(140)と、第4のメタライズ層(220)の間に存在するはんだ材料(310)によって、第1のメタライズ層(120)上のはんだ材料(300)と第2のメタライズ層(210)との間に隙間を形成できる。この隙間からセラミック基板(100)と赤外線透過窓(200)の間の中空部(150)の排気を行うため、排気するためのエリアを広くできる。このため、微細な貫通穴から排気を行う方法に比べて、中空部(150)が真空状態に排気されるまでに要する時間を短縮することができる。
【0050】
また、はんだ材料(310)の溶融時に、第3のメタライズ層(140)と第4のメタライズ層(220)が、ほぼ接触した状態となるため、セラミック基板(100)と赤外線透過窓(200)との間隔が場所によらず一定になる。このため、赤外線透過窓(200)を、セラミック基板(100)に対して、傾きなく接続することが可能となる。
【0051】
なお、上記の説明は、凹部11の平面形状が円形で、第1のメタライズ層12と第3のメタライズ層21が円環状の例を用いて行ったが、凹部の平面形状は、矩形、多角形、非対称の形状など様々な形状とすることができる。また、第1のメタライズ層21と第3のメタライズ層21も様々な形状とすることができる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態の構成によれば、ロボット機構等を含まない安価な真空チャンバを用いて、信頼性の高い気密封止パッケージを得ることができる。
【0053】
(第3の実施形態)
第1、2の実施形態では、基材に凸部を設ける構成について説明したが、蓋材に凸部を設ける構成としても良い。図8は、蓋材200aに第2の凸部230を設けた気密封止パッケージ2000の構成を示す断面図である。基材100aは、電子デバイスを配置するための凹部110と、凹部110を囲うように設けられた閉じた帯状の第1のメタライズ層120と、第1のメタライズ層120に重ならない位置に設けられた複数の島状の第3のメタライズ層140aとを有する。
【0054】
蓋材200aは、第1のメタライズ層120に対応する位置に設けられた閉じた帯状の第2のメタライズ層210と、第3のメタライズ層140aに対応する位置に設けられた所定高さの複数の島状の第2の凸部230とを有する。第2の凸部230の上には、第4のメタライズ層220aが設けられている。基材100aに設けられた第3のメタライズ層140aは、第4のメタライズ層220aよりも広い面積を有している。
【0055】
第2の実施形態と同様に、第1のメタライズ層120と第2のメタライズ層210とは、第1の溶着金属300によって接合され、第3のメタライズ層140aと第4のメタライズ層220aとは、第2の溶着金属310によって接合されている。
【0056】
上記の構成では、第1の溶着金属300、第2の溶着金属310を溶融する前に、第1のメタライズ層120上の第1の溶着金属300と第2のメタライズ層210との間に、図9に示すように、隙間を作ることができる。そして、この隙間から、第1のメタライズ層120の内側の中空部150を排気して、排気抵抗の小さい排気を行うことができる。なお図9の例では、第2の溶着金属310を、蓋材200側の第4のメタライズ層220aに供給している。
【0057】
排気が完了して、第1の溶着金属300と第2の溶着金属310とを溶融させると、第2の溶着金属310が第3のメタライズ層140a上に濡れ広がる。こうして図8に示すような、第3のメタライズ層140aと第4のメタライズ層220aとがほぼ接触し、第1のメタライズ層120と第2のメタライズ層210が第1の溶着金属300で接合された構造を得ることができる。その結果、第1のメタライズ層120と第2のメタライズ層210とを接合する第1の溶着金属300の厚さを一定にすることができる。こうして、第2の実施形態と同様に、ロボット機構等を含まない安価な真空チャンバを用いて、信頼性の高い気密封止パッケージを得ることができる。
(第4の実施形態)
第2および第3の実施形態では、複数の島状の凸部を、閉じた帯状の第1のメタライズ層の外側に配置したが、第1のメタライズ層の内側に配置しても良い。図10は、この構成の気密封止パッケージ3000を示す断面図である。基材100bは、電子デバイスを配置するための凹部110を有し、凹部110の外側には、所定高さの複数の島状の第1の凸部130bが形成され、第1の凸部130bの上面には第3のメタライズ層140bが形成されている。また、閉じた帯状の第1のメタライズ層120bが、第3のメタライズ層140bが配置された領域を囲うように設けられている。
【0058】
蓋材200bには、第3のメタライズ層140bに対応する位置に、第4のメタライズ層220bが設けられ、第1のメタライズ層120bに対応する位置に、閉じた帯状の第2のメタライズ層210bが設けられている。第4のメタライズ層220bは、第3のメタライズ層140bよりも広い面積を持っている。
【0059】
第2、第3の実施形態と同様に、第1のメタライズ層120bと第2のメタライズ層210bとは、第1の溶着金属300によって接合され、第3のメタライズ層140bと第4のメタライズ層220bとは、第2の溶着金属310によって接合されている。
【0060】
上記の構成では、第1の溶着金属300、第2の溶着金属310を溶融する前に、第1のメタライズ層120b上の第1の溶着金属300と第2のメタライズ層210bとの間に、図11に示すように、隙間を作ることができる。そして、この隙間から、第1のメタライズ層120bの内側の中空部150を排気して、排気抵抗の小さい排気を行うことができる。そして、第3のメタライズ層140bと第4のメタライズ層220bとの接合では、第2の溶着金属310が、第4のメタライズ層220bに濡れ広がることで、両者がほぼ接する距離まで間隔が詰められる。その結果、基材100bと蓋材200bとの間隔は、加工精度の良い第1の凸部130bの高さ、第2のメタライズ層140bの厚さ、第4のメタライズ層220bの厚さで決まり、第1の溶着金属300、第2の溶着金属310の厚みによらない。その結果、第1のメタライズ層120bと第2のメタライズ層210bとを接合する第1の溶着金属300の厚さを一定にすることができる。こうして、第2、第3の実施形態と同様に、ロボット機構等を含まない安価な真空チャンバを用いて、信頼性の高い気密封止パッケージを得ることができる。
【0061】
以上、上述した第1から第4の実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0062】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
デバイスを配置するためのデバイス配置領域と、前記デバイス配置領域を囲うように設けられた閉じた帯状の第1のメタライズ層とを有する基材と、
前記第1のメタライズ層に対応する位置に設けられ、自身の上面が前記第1のメタライズ層の上面と平行な閉じた帯状の第2のメタライズ層を有する蓋材と、
前記第1のメタライズ層と前記第2のメタライズ層とを接合する第1の接合層と、
前記第1のメタライズ層および前記第2のメタライズ層と重ならない位置に配置され、前記第1のメタライズ層の厚さと前記第2のメタライズ層の厚さの和よりも高い所定の高さを有する複数のスペーサと、
を有することを特徴とする気密封止パッケージ。
(付記2)
前記スペーサが、
前記第1のメタライズ層の外側に配置されている
ことを特徴とする付記1に記載の気密封止パッケージ。
(付記3)
前記スペーサが、
前記第1のメタライズ層の内側に配置されている
ことを特徴とする付記1に記載の気密封止パッケージ。
(付記4)
前記スペーサが、
前記基材と一体化した第1の凸部を含む
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか一つに記載の気密封止パッケージ。
(付記5)
前記スペーサが、
前記第1の凸部の上面に形成された第3のメタライズ層と、
前記蓋材の、前記第3のメタライズ層に対応する位置に形成された第4のメタライズ層と、
前記第3のメタライズ層と前記第4のメタライズ層とを接合する第2の接合層と、
を含むことを特徴とする付記4に記載の気密封止パッケージ。
(付記6)
前記第3のメタライズ層と前記第4のメタライズ層の面積が異なる
ことを特徴とする付記5に記載の気密封止パッケージ。
(付記7)
前記第2の接合層が、はんだ材料である
ことを特徴とする付記5または6に記載の気密封止パッケージ。
(付記8)
前記スペーサが、
前記蓋材と一体化した第2の凸部を含む
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか一つに記載の気密封止パッケージ。
(付記9)
前記スペーサが、
前記第2の凸部の上面に形成された第5のメタライズ層と、
前記基材の、前記第5のメタライズ層に対応する位置に形成された第6のメタライズ層と、
前記第5のメタライズ層と前記第6のメタライズ層とを接合する第3の接合層と、
含むことを特徴とする付記8に記載の気密封止パッケージ。
(付記10)
前記第5のメタライズ層と前記第6のメタライズ層の面積が異なる
ことを特徴とする付記9に記載の気密封止パッケージ。
(付記11)
前記第3の接合層が、はんだ材料である
ことを特徴とする付記9または10に記載の気密封止パッケージ。
(付記12)
前記第1のメタライズ層と前記第2のメタライズ層と前記第1の接合層で囲まれた空間が真空排気されている
ことを特徴とする付記1乃至11に記載の気密封止パッケージ。
(付記13)
前記第1の接合層が、はんだ材料である
ことを特徴とする付記1乃至12のいずれか一つに記載の気密封止パッケージ。
(付記14)
前記基材がセラミック基板を用いて形成されている。
【0063】
ことを特徴とする付記1乃至13のいずれか一つに記載の気密封止パッケージ。
(付記15)
前記デバイス配置領域が、
前記デバイスを配置するための凹部を有している
ことを特徴とする付記1乃至14のいずれか一つに記載の気密封止パッケージ。
(付記16)
付記1乃至15のいずれか一つに記載の気密封止パッケージの前記デバイス配置領域に赤外線検知素子が実装され、
前記蓋材が赤外線透過材料で形成されている
ことを特徴とする赤外線検知器。
(付記17)
デバイスを配置するためのデバイス配置領域と、前記デバイス配置領域を囲うように設けられた閉じた帯状の第1のメタライズ層と、前記第1のメタライズ層と重ならない位置に、前記第1のメタライズ層の厚さより高い所定の高さを有する複数のスペーサを有する基材と、
前記第1のメタライズ層に対応する位置に設けられ、厚さが前記スペーサの高さと第1のメタライズ層の厚さの差より小さく、閉じた帯状の第2のメタライズ層を有する蓋材と、を用い
前記スペーサが前記基材と前記蓋材との間隔を規制した状態で、前記第1のメタライズ層と前記第2のメタライズ層とを第1の接合層で接合する、
ことを特徴とする気密封止パッケージの製造方法。
(付記18)
前記スペーサが、
前記基材に設けられた第1の凸部と、前記第1の凸部の上面に形成された第3のメタライズ層とを含み、
前記蓋材が、前記第3のメタライズ層に対応する位置に形成された第4のメタライズ層を有し、
前記スペーサが前記基材と前記蓋材との間隔を規制した状態で、前記第3のメタライズ層と前記第4のメタライズ層とを第2の接合層で接合する、
ことを特徴とする付記17に記載の気密封止パッケージの製造方法。
(付記19)
前記第3のメタライズ層と前記第4のメタライズ層の面積が異なり、前記第2の接合層の接合時に両者のうちの面積が大きい方に、前記第2の接合層を濡れ広がらせる
ことを特徴とする付記18に記載の気密封止パッケージの製造方法。
(付記20)
前記スペーサが前記基材と前記蓋材との間隔を規制した状態で、
前記第1の接合層を形成する第1の溶着金属と、前記第2の接合層を形成する第2の溶着金属とを真空中で溶融する
ことを特徴とする付記18または19に記載の気密封止パッケージの製造方法。
(付記21)
デバイスを配置するためのデバイス配置領域と、前記デバイス配置領域を囲うように設けられた閉じた帯状の第1のメタライズ層と、を有する基材と、
前記第1のメタライズ層に対応する位置に設けられた閉じた帯状の第2のメタライズ層と、前記第2のメタライズ層と重ならない位置に、前記第1のメタライズ層の厚さと前記第2のメタライズ層の厚さの和より高い所定の高さを有する複数のスペーサと、を有する蓋材と、を用い
前記スペーサが前記基材と前記蓋材との間隔を規制した状態で、前記第1のメタライズ層と前記第2のメタライズ層とを第1の接合層で接合する、
ことを特徴とする気密封止パッケージの製造方法。
(付記22)
前記スペーサが、
前記蓋材に設けられた第2の凸部と、前記第2の凸部の上面に形成された第4のメタライズ層とを含み、
前記基材が、前記第4のメタライズ層に対応する位置に形成された第3のメタライズ層を有し、
前記スペーサが前記基材と前記蓋材との間隔を規制した状態で、前記第3のメタライズ層と前記第4のメタライズ層とを第2の接合層で接合する、
ことを特徴とする付記21に記載の気密封止パッケージの製造方法。
(付記23)
前記第3のメタライズ層と前記第4のメタライズ層の面積が異なり、前記第2の接合層の接合時に両者のうちの面積が大きい方に、前記第2の接合層を濡れ広がらせる
ことを特徴とする付記22に記載の気密封止パッケージの製造方法。
(付記24)
前記スペーサが前記基材と前記蓋材との間隔を規制した状態で、
前記第1の接合層を形成する第1の溶着金属と、前記第2の接合層を形成する第2の溶着金属とを真空中で溶融する
ことを特徴とする付記22または23に記載の気密封止パッケージの製造方法。
【0064】
ことを特徴とする付記21または22に記載の気密封止パッケージの製造方法。
【符号の説明】
【0065】
1、1000、2000、3000 気密封止パッケージ
10、100 基材
11 デバイス配置領域
12、120 第1のメタライズ層
13 スペーサ
20、200 蓋材
21、210 第2のメタライズ層
30 第1の接合層
400 電子デバイス
110 凹部
130 第1の凸部
140 第3のメタライズ層
150 中空部
220 第4のメタライズ層
230 第2の凸部
300 第1の溶着金属
310 第2の溶着金属
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11