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特許7476713データ管理システム、データ管理方法、および、データ管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】データ管理システム、データ管理方法、および、データ管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240423BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G05B23/02 F
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020132480
(22)【出願日】2020-08-04
(65)【公開番号】P2022029243
(43)【公開日】2022-02-17
【審査請求日】2022-10-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江間 伸明
(72)【発明者】
【氏名】吉田 善貴
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/028269(WO,A2)
【文献】特開2018-077237(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0041235(US,A1)
【文献】特開2018-206081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原材料から製品を製造する製造環境を測定した環境データをIoTセンサである環境センサから取得する環境データ取得部と、
前記環境センサとの間の関連度に応じて、前記製造の対象となる製造対象を測定するプロセス制御用の測定センサの中から、特定のセンサを選択するセンサ選択部と、
前記環境データに基づいて、前記特定のセンサにおける測定パラメータを設定するパラメータ設定部と
を備え
前記センサ選択部は、前記環境センサが測定した前記環境データの時系列変化と前記測定センサが測定した測定データの時系列変化との間の相関に基づいて、前記測定センサの前記関連度を決定する
データ管理システム。
【請求項2】
前記センサ選択部は、前記環境センサからの距離に基づいて、前記測定センサの前記関連度を決定する、請求項1に記載のデータ管理システム。
【請求項3】
前記センサ選択部は、前記環境センサが測定した物理量の種別に基づいて、前記測定センサの前記関連度を決定する、請求項1または2に記載のデータ管理システム。
【請求項4】
前記センサ選択部は、前記特定のセンサとして選択された実績に基づいて、前記測定センサの前記関連度を決定する、請求項1からのいずれか一項に記載のデータ管理システム。
【請求項5】
前記関連度が予め定められた閾値よりも高い前記測定センサである候補センサのリストを出力するリスト出力部を更に備え、
前記センサ選択部は、ユーザ入力に応じて前記候補センサの中から前記特定のセンサを選択する、請求項1からのいずれか一項に記載のデータ管理システム。
【請求項6】
前記パラメータ設定部は、前記環境データが予め定められた範囲外となった場合に、前記測定パラメータを変更する、請求項1からのいずれか一項に記載のデータ管理システム。
【請求項7】
前記パラメータ設定部は、前記環境データが予め定められた範囲内となった場合に、前記測定パラメータを初期化する、請求項に記載のデータ管理システム。
【請求項8】
前記パラメータ設定部は、前記測定パラメータとして、前記製造対象を測定する周期を設定する、請求項1からのいずれか一項に記載のデータ管理システム。
【請求項9】
前記パラメータ設定部は、前記測定パラメータとして、前記製造対象を測定する感度を設定する、請求項1からのいずれか一項に記載のデータ管理システム。
【請求項10】
前記環境データ取得部は、前記環境データとして、前記製造環境における振動、温度、湿度、照度、臭気、ガス濃度、圧力、気圧、応力、磁界、音、および、画像の少なくともいずれかを取得する、請求項1からのいずれか一項に記載のデータ管理システム。
【請求項11】
前記製造対象を測定した測定データを前記測定センサから取得する測定データ取得部と、
前記測定データを記録するデータ記録部と、を更に備える、請求項1から10のいずれか一項に記載のデータ管理システム。
【請求項12】
前記データ記録部は、更に、前記測定パラメータを設定変更したタイミングを示す情報を記録する、請求項11に記載のデータ管理システム。
【請求項13】
原材料から製品を製造する製造環境を測定した環境データをIoTセンサである環境センサから取得することと、
前記環境センサとの間の関連度に応じて、前記製造の対象となる製造対象を測定するプロセス制御用の測定センサの中から、特定のセンサを選択することと、
前記環境データに基づいて、前記特定のセンサにおける測定パラメータを設定することと
を備え
前記特定のセンサの選択において、前記環境センサが測定した前記環境データの時系列変化と前記測定センサが測定した測定データの時系列変化との間の相関に基づいて、前記測定センサの前記関連度を決定する
データ管理方法。
【請求項14】
コンピュータにより実行されて、前記コンピュータを、
原材料から製品を製造する製造環境を測定した環境データをIoTセンサである環境センサから取得する環境データ取得部と、
前記環境センサとの間の関連度に応じて、前記製造の対象となる製造対象を測定するプロセス制御用の測定センサの中から、特定のセンサを選択するセンサ選択部と、
前記環境データに基づいて、前記特定のセンサにおける測定パラメータを設定するパラメータ設定部と
して機能させ
前記センサ選択部は、前記環境センサが測定した前記環境データの時系列変化と前記測定センサが測定した測定データの時系列変化との間の相関に基づいて、前記測定センサの前記関連度を決定する
データ管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ管理システム、データ管理方法、および、データ管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「フィールド機器10の周囲環境の状態や、フィールド機器10自身に備えたセンサ11によって取得することができない他の設備の動作状態などの外部機器情報を取得する」ことが記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2017-091258号
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、データ管理システムを提供する。データ管理システムは、原材料から製品を製造する製造環境を測定した環境データを環境センサから取得する環境データ取得部を備えてよい。データ管理システムは、環境センサとの間の関連度に応じて、製造の対象となる製造対象を測定する測定センサの中から、特定のセンサを選択するセンサ選択部を備えてよい。データ管理システムは、環境データに基づいて、特定のセンサにおける測定パラメータを設定するパラメータ設定部を備えてよい。
【0004】
センサ選択部は、環境センサからの距離に基づいて、測定センサの関連度を決定してよい。
【0005】
センサ選択部は、環境センサが測定した物理量の種別に基づいて、測定センサの関連度を決定してよい。
【0006】
センサ選択部は、環境センサが測定した環境データの時系列変化と測定センサが測定した測定データの時系列変化との間の相関に基づいて、測定センサの関連度を決定してよい。
【0007】
センサ選択部は、特定のセンサとして選択された実績に基づいて、測定センサの関連度を決定してよい。
【0008】
データ管理システムは、関連度が予め定められた閾値よりも高い測定センサである候補センサのリストを出力するリスト出力部を更に備え、センサ選択部は、ユーザ入力に応じて候補センサの中から特定のセンサを選択してよい。
【0009】
パラメータ設定部は、環境データが予め定められた範囲外となった場合に、測定パラメータを変更してよい。
【0010】
パラメータ設定部は、環境データが予め定められた範囲内となった場合に、測定パラメータを初期化してよい。
【0011】
パラメータ設定部は、測定パラメータとして、製造対象を測定する周期を設定してよい。
【0012】
パラメータ設定部は、測定パラメータとして、製造対象を測定する感度を設定してよい。
【0013】
環境データ取得部は、環境データとして、製造環境における振動、温度、湿度、照度、臭気、ガス濃度、圧力、気圧、応力、磁界、音、および、画像の少なくともいずれかを取得してよい。
【0014】
データ管理システムは、製造対象を測定した測定データを測定センサから取得する測定データ取得部と、
測定データを記録するデータ記録部と、を更に備えてよい。
【0015】
データ記録部は、更に、測定パラメータを設定変更したタイミングを示す情報を記録してよい。
【0016】
本発明の第2の態様においては、データ管理方法を提供する。データ管理方法は、原材料から製品を製造する製造環境を測定した環境データを環境センサから取得することを備えてよい。データ管理方法は、環境センサとの間の関連度に応じて、製造の対象となる製造対象を測定する測定センサの中から、特定のセンサを選択することを備えてよい。データ管理方法は、環境データに基づいて、特定のセンサにおける測定パラメータを設定することを備えてよい。
【0017】
本発明の第3の態様においては、データ管理プログラムを提供する。データ管理プログラムは、コンピュータにより実行されてよい。データ管理プログラムは、コンピュータを、原材料から製品を製造する製造環境を測定した環境データを環境センサから取得する環境データ取得部として機能させてよい。データ管理プログラムは、コンピュータを、環境センサとの間の関連度に応じて、製造の対象となる製造対象を測定する測定センサの中から、特定のセンサを選択するセンサ選択部として機能させてよい。データ管理プログラムは、コンピュータを、環境データに基づいて、特定のセンサにおける測定パラメータを設定するパラメータ設定部として機能させてよい。
【0018】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係るデータ管理システム100のブロック図の一例を、プラント10と共に示す。
図2】プラント10に設けられた測定センサ20および環境センサ30の配置例を示す。
図3】本実施形態に係るデータ管理システム100が、環境データに基づいて測定パラメータを設定するフローの一例を示す。
図4】本実施形態の変形例に係るデータ管理システム100のブロック図の一例を示す。
図5】本実施形態の変形例に係るデータ管理システム100が出力する候補センサのリストの一例を示す。
図6】本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0021】
図1は、本実施形態に係るデータ管理システム100のブロック図の一例を、プラント10と共に示す。本図においては、データ管理システム100が、プラント10に設けられた複数のセンサから取得したデータを管理対象とする場合について一例として示す。しかしながら、これに限定されるものではない。データ管理システム100は、プラント10とは異なる如何なる場所に設けられた1または複数のセンサからの測定データを管理対象としてもよい。
【0022】
プラント10は、化学等の工業プラントの他、ガス田や油田等の井戸元やその周辺を管理制御するプラント、火力・水力・原子力等の発電を管理制御するプラント、太陽光や風力等の環境発電を管理制御するプラント、および、上下水やダム等を管理制御するプラント等であってよい。プラント10においては、原材料から製品を製造するにあたって、上流から下流へとプロセスが進行する。このようなプラント10には、1または複数の測定センサ20、および、1または複数の環境センサ30が設けられていてよい。
【0023】
測定センサ20は、プラント10において製造の対象となる製造対象の物理量を測定する。測定センサ20は、例えば、OT(Operational Technology)領域に設置されているセンサ(例えば、プロセス制御(測定)用センサ)であってよく、プラントに設けられた1または複数のフィールド機器と接続、または、一体に構成された産業用(Industrial)センサであってよい。一例として、測定センサ20は、製造対象となる原材料(原料および材料)、半製品、および、製品等における流量、圧力、および、温度等の物理量を測定した測定データを取得可能であってよい。
【0024】
環境センサ30は、原材料から製品を製造する製造環境を測定する。環境センサ30は、例えば、プラント10に後付けで設置されたIoT(Internet of Things)センサであってよい。一例として、環境センサ30は、製造環境における振動、温度、湿度、照度、臭気、ガス濃度、圧力、気圧、応力、磁界、音、および、画像等の物理量を測定した環境データを取得可能であってよい。
【0025】
本実施形態に係るデータ管理システム100は、環境センサ30から環境データを取得する。そして、データ管理システム100は、取得した環境データに基づいて、測定センサ20の中から選択された特定のセンサにおける測定パラメータを設定する。
【0026】
データ管理システム100は、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ワークステーション、サーバコンピュータ、または汎用コンピュータ等のコンピュータであってよく、複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムであってもよい。このようなコンピュータシステムもまた広義のコンピュータである。また、データ管理システム100は、コンピュータ内で1または複数実行可能な仮想コンピュータ環境によって実装されてもよい。これに代えて、データ管理システム100は、データの管理用に設計された専用コンピュータであってもよく、専用回路によって実現された専用ハードウェアであってもよい。また、データ管理システム100がインターネットに接続可能な場合、データ管理システム100は、クラウドコンピューティングにより実現されてもよい。
【0027】
データ管理システム100は、測定データ取得部110と、データ記録部120と、環境データ取得部130と、センサ選択部140と、パラメータ設定部150とを備える。なお、これらブロックは、それぞれ機能的に分離された機能ブロックであって、実際のデバイス構成とは必ずしも一致していなくてもよい。すなわち、本図において、1つのブロックとして示されているからといって、それが必ずしも1つのデバイスにより構成されていなくてもよい。また、本図において、別々のブロックとして示されているからといって、それらが必ずしも別々のデバイスにより構成されていなくてもよい。
【0028】
測定データ取得部110は、製造対象を測定した測定データを測定センサ20から取得する。一例として、測定データ取得部110は、通信部であってよく、例えば、通信ネットワークを介して、製造対象を測定した測定データを複数の測定センサ20のそれぞれから時系列に取得する。なお、上述の説明では、測定データ取得部110が通信ネットワークを介して複数の測定センサ20のそれぞれから測定データを取得する場合を一例として示したが、これに限定されるものではない。測定データ取得部110は、例えば、ユーザ入力や各種メモリデバイス等、通信ネットワークとは異なる他の手段を介して複数の測定センサ20のそれぞれから測定データを取得してもよい。
【0029】
このような通信ネットワークは、複数のコンピュータを接続するネットワークであってよい。例えば、通信ネットワークは、複数のコンピュータネットワークを相互接続したグローバルなネットワークであってよく、一例として、通信ネットワークは、インターネット・プロトコルを使用したインターネット等であってよい。これに代えて、通信ネットワークは、専用回線により実現されていてもよい。すなわち、測定データ取得部110は、携帯電話、スマートフォン、第4世代(4G)端末、および、第5世代(5G)端末等との間で直接的に、または、間接的にやり取りし、測定データを取得することもできる。
【0030】
測定データ取得部110は、例えば、製造対象となる原材料、半製品、および、製品等における流量、圧力、温度、および、これらの組み合わせ等の測定データを、複数の測定センサ20のそれぞれから取得してよい。また、測定データ取得部110は、これらのデータを基に数式を用いて生成された値を測定データとして取得してもよい。測定データ取得部110は、複数の測定センサ20のそれぞれから取得した測定データを、データ記録部120およびセンサ選択部140へ供給する。
【0031】
データ記録部120は、測定データを記録する。一例として、データ記録部120は、測定データ取得部110から供給された複数の測定センサ20からの測定データを、測定センサ20毎に時系列に記録してよい。
【0032】
環境データ取得部130は、原材料から製品を製造する製造環境を測定した環境データを環境センサ30から取得する。一例として、環境データ取得部130は、測定データ取得部110と同様、例えば、通信ネットワークを介して、製造環境を測定した環境データを複数の環境センサ30のそれぞれから時系列に取得する。なお、上述の説明では、環境データ取得部130が通信ネットワークを介して複数の環境センサ30のそれぞれから環境データを取得する場合を一例として示したが、これに限定されるものではない。環境データ取得部130は、測定データ取得部110と同様、例えば、ユーザ入力や各種メモリデバイス等、通信ネットワークとは異なる他の手段を介して複数の環境センサ30のそれぞれから環境データを取得してもよい。
【0033】
環境データ取得部130は、環境データとして、例えば、製造環境における振動、温度、湿度、照度、臭気、ガス濃度、圧力、気圧、応力、磁界、音、および、画像の少なくともいずれかを取得してよい。また、環境データ取得部130は、これらのデータを基に数式を用いて生成された値を環境データとして取得してもよい。環境データ取得部130は、複数の環境センサ30のそれぞれから取得した環境データを、センサ選択部140へ供給する。
【0034】
センサ選択部140は、測定データ取得部110から供給された測定データを取得する。また、センサ選択部140は、環境データ取得部130から供給された環境データを取得する。そして、センサ選択部140は、環境センサ30との間の関連度に応じて、製造の対象となる製造対象を測定する測定センサ20の中から、特定のセンサを選択する。この際、センサ選択部140は、例えば、環境センサ30からの距離に基づいて、測定センサ20の関連度を決定してよい。また、センサ選択部140は、例えば、環境センサが測定した物理量の種別に基づいて、測定センサ20の関連度を決定してよい。また、センサ選択部140は、例えば、環境センサ30が測定した環境データの時系列変化と測定センサ20が測定した測定データの時系列変化との間の相関に基づいて、測定センサ20の関連度を決定してよい。これについては後述する。センサ選択部140は、選択した特定のセンサに関する情報をパラメータ設定部150へ供給する。
【0035】
パラメータ設定部150は、センサ選択部140から、特定のセンサに関する情報を取得する。そして、パラメータ設定部150は、環境データに基づいて、特定のセンサにおける測定パラメータを設定する。この際、パラメータ設定部150は、例えば、特定のセンサが製造環境を測定する測定パラメータとして、製造対象を測定する周期を設定してよい。また、パラメータ設定部150は、例えば、特定のセンサが製造環境を測定する測定パラメータとして、製造対象を測定する感度を設定してよい。これについても後述する。これに応じて、測定センサ20は、パラメータ設定部150によって設定されたパラメータに従って製造対象を測定する。
【0036】
また、パラメータ設定部150は、設定した測定パラメータに関する設定情報をデータ記録部120へ供給してよい。ここで、このような設定情報には、例えば、どのタイミングで測定パラメータを変更したかを示す情報(例えば、フラグ等)が含まれていてよい。これに応じて、データ記録部120は、測定データに加えて、更に、測定パラメータを設定変更したタイミングを示す情報を記録してよい。
【0037】
図2は、プラント10に設けられた測定センサ20および環境センサ30の配置例を示す。本図においては、一例として、プラント10において、原材料MおよびNから、流路A~Cを介して、製品XおよびYを製造する場合を一例として示している。本図に示すように、流路Aには、測定センサ20a1(「測定センサ20a」とも呼称する。)が設けられているものとする。また、流路Bには、上流から下流に向けて、複数の測定センサ20b1、20b2、20b3、20b4、および、20b5(「測定センサ20b」と総称する。)が設けられているものとする。また、流路Cには、上流から下流に向けて、複数の測定センサ20c1、20c2、20c3、20c4、および、20c5(「測定センサ20c」と総称する。また、測定センサ20a、20b、および、20cを「測定センサ20」と総称する。)が設けられているものとする。また、プラント10には、プラント10内の様々な位置において様々な製造環境を測定するべく、複数の環境センサ30i、30j、30k、および、30l(「環境センサ30」と総称する。)が設けられているものとする。本実施形態に係るデータ管理システム100は、例えばこのようなプラント10に設けられた環境センサ30から環境データを取得する。そして、データ管理システム100は、取得した環境データに基づいて、測定センサ20の中から選択された特定のセンサにおける測定パラメータを設定する。これについて、フローを用いて詳細に説明する。
【0038】
図3は、本実施形態に係るデータ管理システム100が、環境データに基づいて測定パラメータを設定するフローの一例を示す。
【0039】
ステップ310において、データ管理システム100は、測定データを取得する。一例として、測定データ取得部110は、通信ネットワークを介して、製造対象を測定した測定データを複数の測定センサ20のそれぞれから時系列に取得する。この際、測定データ取得部110は、例えば、製造対象、すなわち、流路A、B、および、Cを流れる原材料MおよびN、半製品、並びに、製品XおよびYにおける流量、圧力、温度、およびこれらの組み合わせ等の測定データを、複数の測定センサ20のそれぞれから取得してよい。測定データ取得部110は、複数の測定センサ20のそれぞれから取得した測定データを、データ記録部120およびセンサ選択部140へ供給する。
【0040】
ステップ320において、データ管理システム100は、測定データを記録する。一例として、データ記録部120は、ステップ310において測定データ取得部110が複数の測定センサ20のそれぞれから取得した測定データを、測定センサ20毎に時系列に記録する。
【0041】
ステップ330において、データ管理システム100は、環境データを取得する。一例として、環境データ取得部130は、通信ネットワークを介して、原材料から製品を製造する製造環境を測定した環境データを複数の環境センサ30のそれぞれから時系列に取得する。この際、環境データ取得部130は、例えば、環境データとして、製造環境における振動、温度、湿度、照度、臭気、ガス濃度、圧力、気圧、応力、磁界、音、および、画像の少なくともいずれかを取得してよい。一例として、環境データ取得部130は、環境センサ30iから製造環境における振動を測定した環境データを取得する。また、環境データ取得部130は、環境センサ30jから製造環境におけるガス濃度を測定した環境データを取得する。また、環境データ取得部130は、環境センサ30kから製造環境における音を測定した環境データを取得する。また、環境データ取得部130は、環境センサ30lから製造環境における温度を測定した環境データを取得する。環境データ取得部130は、複数の環境センサ30のそれぞれから取得した環境データを、センサ選択部140へ供給する。なお、本図においては、データ管理システム100が測定データを取得した後に環境データを取得する場合を一例として示したが、これに限定されるものではない。データ管理システム100は、環境データを取得した後に測定データを取得してもよい。すなわち、ステップ330は、ステップ310およびステップ320よりも先に行われてもよい。
【0042】
ステップ340において、データ管理システム100は、設定変更条件を満たすか否か判定する。一例として、センサ選択部140は、ステップ330において環境データ取得部130から供給された環境データを、複数の環境センサ30のそれぞれに対応する基準と照らし合わせる。そして、環境データ取得部130は、それぞれに対応する基準と照らしてステータスが変化した環境データがある場合に、設定変更条件を満たすと判定する。
【0043】
例えば、センサ選択部140は、環境センサ30iから取得した振動データを、当該環境センサ30iに対応する予め定められた基準と照らし合わせる。そして、センサ選択部140は、振動データが予め定められた範囲内から範囲外へと変化したことを検知した場合に、測定パラメータの設定変更条件(例えば、測定パラメータを初期値とは異なる第一の値に設定する条件)を満たすと判定してよい。すなわち、センサ選択部140は、環境データに基づいて製造環境における許容範囲外の振動を検知した場合に、測定パラメータの設定変更条件を満たすと判定してよい。また、センサ選択部140は、その後、振動データが上述の予め定められた範囲内である状態が一定期間継続したことを検知した場合に、測定パラメータを初期化する条件(例えば、測定パラメータを第一の値から初期値に戻す条件)を満たすと判定してよい。すなわち、センサ選択部140は、環境データに基づいて製造環境における許容範囲外の振動が一定期間検知されなかった場合に、測定パラメータを初期化する条件を満たすと判定してよい。さらに、センサ選択部140は、例えば、定常状態において、振動データが、上述の予め定められた範囲と同一の、または、異なる、安定的な範囲内である状態が一定期間継続したことを検知した場合に、測定パラメータの設定変更条件(例えば、測定パラメータを初期値とは異なる第二の値に設定する条件)を満たすと判定してもよい。
【0044】
同様に、センサ選択部140は、環境センサ30jから取得したガス濃度データを、当該環境センサ30jに対応する予め定められた基準と照らし合わせる。そして、センサ選択部140は、環境センサ30jから取得したガス濃度データにおいて特定のガス成分の濃度が予め定められた範囲内から範囲外へと変化したことを検知した場合に、測定パラメータの設定変更条件を満たすと判定してよい。すなわち、センサ選択部140は、環境データに基づいて製造環境におけるガス漏れを検知した場合に、測定パラメータの設定変更条件を満たすと判定してよい。また、センサ選択部140は、その後、特定のガス成分の濃度が上述の予め定められた範囲内である状態が一定期間継続したことを検知した場合に、測定パラメータを初期化する条件を満たすと判定してよい。すなわち、センサ選択部140は、環境データに基づいて製造環境におけるガス漏れが一定期間検知されなかった場合に、測定パラメータを初期化する条件を満たすと判定してよい。さらに、センサ選択部140は、例えば、定常状態において、ガス濃度データが、上述の予め定められた範囲と同一の、または、異なる、安定的な範囲内である状態が一定期間継続したことを検知した場合に、測定パラメータの設定変更条件を満たすと判定してもよい。
【0045】
同様に、センサ選択部140は、環境センサ30kから取得した音データを、当該環境センサ30kに対応する予め定められた基準と照らし合わせる。そして、センサ選択部140は、環境センサ30kから取得した音データが予め定められた範囲内から範囲外へと変化したことを検知した場合に、測定パラメータの設定変更条件を満たすと判定してよい。すなわち、センサ選択部140は、環境データに基づいて製造環境における異音(例えば、爆発音や破裂音等)を検知した場合に、測定パラメータの設定変更条件を満たすと判定してよい。また、センサ選択部140は、音データが上述の予め定められた範囲内である状態が一定期間継続したことを検知した場合に、測定パラメータを初期化する条件を満たすと判定してよい。すなわち、センサ選択部140は、環境データに基づいて製造環境における異音が一定期間検知されなかった場合に、測定パラメータを初期化する条件を満たすと判定してよい。さらに、センサ選択部140は、例えば、定常状態において、音データが、上述の予め定められた範囲と同一の、または、異なる、安定的な範囲内である状態が一定期間継続したことを検知した場合に、測定パラメータの設定変更条件を満たすと判定してもよい。
【0046】
同様に、センサ選択部140は、環境センサ30lから取得した温度データを、当該環境センサ30lに対応する予め定められた基準と照らし合わせる。そして、センサ選択部140は、環境センサ30lから取得した温度データが予め定められた範囲内から範囲外へと変化したことを検知した場合に、測定パラメータの設定変更条件を満たすと判定してよい。すなわち、センサ選択部140は、環境データに基づいて製造環境における許容範囲外の温度を検知した場合(例えば、特定の設備における表面温度または周辺温度が予め定められた閾値を超える高温となったことを検知した場合)に、測定パラメータの設定変更条件を満たすと判定してよい。また、センサ選択部140は、その後、温度データが上述の予め定められた範囲内である状態が一定期間継続したことを検知した場合に、測定パラメータを初期化する条件を満たすと判定してよい。すなわち、センサ選択部140は、環境データに基づいて製造環境における許容範囲外の温度が一定期間検知されなかった場合に、測定パラメータを初期化する条件を満たすと判定してよい。さらに、センサ選択部140は、例えば、定常状態において、温度データが、上述の予め定められた範囲と同一の、または、異なる、安定的な範囲内である状態が一定期間継続したことを検知した場合に、測定パラメータの設定変更条件を満たすと判定してもよい。
【0047】
ステップ340において測定パラメータの設定変更条件を満たさない(No)と判定された場合、データ管理システム100は、処理をステップ310に戻してフローを継続する。一方、ステップ340において測定パラメータの設定変更条件を満たす(Yes)と判定された場合、データ管理システム100は、処理をステップ350に進める。
【0048】
ステップ350において、データ管理システム100は、関連度を決定する。一例として、センサ選択部140は、ステップ340において測定パラメータの設定変更条件を満たすと判定した際に用いた環境データを測定した環境センサ30と、複数の測定センサ20との間の関連度をそれぞれ決定する。
【0049】
例えば、ステップ340において製造環境における許容範囲外の振動が検知された場合、センサ選択部140は、当該振動を検知した際に用いた振動データを測定した環境センサ30iと、複数の測定センサ20との間の関連度をそれぞれ決定する。この際、センサ選択部140は、一例として、環境センサ30iからの距離に基づいて、測定センサ20の関連度を決定してよい。すなわち、センサ選択部140は、複数の測定センサ20のそれぞれに対して、環境センサ30iが設けられた位置から複数の測定センサ20のそれぞれが設けられた位置までの距離に応じてスコア化した関連度(例えば、1から0)を決定してよい。この場合、センサ選択部140は、距離が近づくにつれて高くなり(例えば、1に近づき)、距離が遠のくにつれて低くなる(例えば、0に近づく)ように、複数の測定センサ20のそれぞれに対して関連度を決定してよい。
【0050】
なお、上述の説明では、対象とする環境センサ30iが設けられた位置と測定センサ20が設けられた位置との間の距離に基づいて関連度を決定する場合を一例として示した。しかしながら、これに限定されるものではない。上述の説明に代えて、または、加えて、センサ選択部140は、対象とする環境センサ30iが設けられた位置と流路との間の距離に基づいて関連度を決定してもよい。すなわち、センサ選択部140は、対象とする環境センサ30iからの距離が近い流路(例えば、流路A)上に設けられた測定センサ20ほど高くなり、対象とする環境センサ30iからの距離が遠い流路上に設けられた測定センサ20ほど低くなるように、複数の測定センサ20のそれぞれに対して関連度を決定してもよい。
【0051】
また、例えば、ステップ340において製造環境における許容範囲外の温度が検知された場合、センサ選択部140は、当該温度を検知した際に用いた温度データを測定した環境センサ30lと、複数の測定センサ20との間の関連度をそれぞれ決定する。一例として、環境センサ30lが流路Cの配管における表面温度を測定している場合、センサ選択部140は、当該流路C上に設けられた測定センサ20cの方が、他の流路AおよびB上に設けられた測定センサ20aおよび20bよりも高くなるように、関連度を決定してよい。この場合においても、センサ選択部140は、流路C上に設けられた複数の測定センサ20cのそれぞれに対して、環境センサ30lが設けられた位置から複数の測定センサ20cのそれぞれが設けられた位置までの距離に応じてスコア化した関連度を決定してもよい。
【0052】
これに代えて、または、加えて、センサ選択部140は、一例として、環境センサ30が測定した物理量の種別に基づいて、測定センサ20の関連度を決定してよい。例えば、ステップ340において製造環境におけるガス漏れが検知された場合、当該ガス漏れが検知された成分への関与が高い測定センサ20ほど高くなり、関与が低い測定センサ20ほど低くなるように、複数の測定センサ20のそれぞれに対して関連度を決定してよい。すなわち、ガス漏れが検知された特定のガス成分が原材料Mに起因するものであった場合、センサ選択部140は、流路A上に設けられた測定センサ20a、および、流路B上の流路Aとの合流地点よりも下流側に設けられた測定センサ20b3、20b4、および、20b5の方が、流路C上に設けられた測定センサ20c、および、流路B上の流路Aとの合流地点よりも上流側に設けられた測定センサ20b1、および、20b2よりも高くなるように、関連度を決定してよい。換言すれば、センサ選択部140は、環境センサ30が測定した物理量の種別と、測定センサ20が測定する測定対象(例えば、原材料、半製品、および、製品等)と間の関連性に応じて、複数の測定センサ20のそれぞれに対して関連度を決定してよい。
【0053】
また、ステップ340において製造環境における異音が検知された場合、センサ選択部140は、複数の測定センサ20のうち物理量として圧力を測定する測定センサ20の方が、複数の測定センサ20のうち物理量として流量および温度を測定する測定センサ20よりも高くなるように、関連度を決定してもよい。換言すれば、センサ選択部140は、環境センサ30が測定した物理量の種別と、測定センサ20が測定した物理量の種別との間の関連性に応じて、複数の測定センサ20のそれぞれに対して関連度を決定してもよい。
【0054】
これに代えて、または、加えて、センサ選択部140は、一例として、環境センサ30が測定した環境データの時系列変化と測定センサ20が測定した測定データの時系列変化との間の相関に基づいて、測定センサ20の関連度を決定してよい。例えば、ステップ340において製造環境における異音が検知された場合、当該異音が発生したタイミングを境に測定データの時系列変化の特性が変わった測定センサ20の方が、当該時系列変化の特性が変わらなかった測定センサ20よりも高くなるように、関連度を決定してよい。すなわち、環境センサ30kからの環境データに基づいて異音が検知された場合において、流路A上に設けられた測定センサ20aおよび流路B上に設けられた測定センサ20bの測定データの時系列変化の特性が、当該異音の発生前後で変わらなかった一方で、流路C上に設けられた測定センサ20cの測定データの時系列変化の特性が、当該異音の発生前後で変わったとする。この場合、センサ選択部140は、測定センサ20cの方が測定センサ20aおよび20bよりも高くなるように、関連度を決定してよい。
【0055】
このように、センサ選択部140は、1または複数の指標により、複数の測定センサ20のそれぞれに対して関連度を決定する。なお、複数の指標により関連度を決定する場合、センサ選択部140は、複数の指標毎にそれぞれの関連度を決定してもよい。これに代えて、センサ選択部140は、複数の指標により決定されたそれぞれの関連度を演算(例えば、乗算)することで1の関連度を決定してもよい。この際、センサ選択部140は、それぞれの関連度を演算して1の関連度を決定するにあたって、指標毎に異なる重み付けを用いてもよい。
【0056】
ステップ360において、データ管理システム100は、特定のセンサを選択する。一例として、センサ選択部140は、環境センサ30との間の関連度に応じて、製造の対象となる製造対象を測定する測定センサ20の中から、特定のセンサを選択する。例えば、センサ選択部140は、ステップ350において決定された関連度が予め定められた閾値を超える1または複数の測定センサ20(関連度が0.8以上である測定センサ20等)を、特定のセンサとして選択してよい。これに代えて、または、加えて、センサ選択部140は、ステップ350において決定された関連度が相対的に高い1または複数の測定センサ20(関連度が上位2番目までの測定センサ20等)を、特定のセンサとして選択してもよい。センサ選択部140は、選択した特定のセンサに関する情報をパラメータ設定部150へ供給する。
【0057】
ステップ370において、データ管理システム100は、測定パラメータを設定する。一例として、パラメータ設定部150は、ステップ360において選択された特定のセンサに関する情報を取得する。そして、パラメータ設定部150は、環境データに基づいて、特定のセンサにおける測定パラメータを設定する。この際、パラメータ設定部150は、例えば、特定のセンサが製造環境を測定する測定パラメータとして、製造対象を測定する周期を設定してよい。また、パラメータ設定部150は、例えば、特定のセンサが製造環境を測定する測定パラメータとして、製造対象を測定する感度を設定してよい。
【0058】
すなわち、環境センサ30iからの環境データに基づいて製造環境における許容範囲外の振動が検知された場合において環境センサ30iからの距離が比較的近い測定センサ20b4および20b3が特定のセンサとして選択された場合に、パラメータ設定部150は、これら特定のセンサに対して、製造対象を測定する周期が設定変更前の値(初期値)よりも短い第一の値となるように、測定パラメータを設定してよい。同様に、環境センサ30iからの環境データに基づいて製造環境における許容範囲外の振動が検知された場合において環境センサ30iからの距離が比較的近い測定センサ20b4および20b3が特定のセンサとして選択された場合に、パラメータ設定部150は、これら特定のセンサに対して、製造対象を測定する感度が設定変更前の値(初期値)よりも高い第一の値となるように、測定パラメータを設定してよい。この際、パラメータ設定部150は、特定のセンサに対して、関連度に応じた測定パラメータを設定してよい。一例として、測定センサ20b4の関連度が測定センサ20b3の関連度よりも高い場合、パラメータ設定部150は、測定センサ20b4の測定パラメータの設定変更前後における変化率が、測定センサ20b3の測定パラメータの設定変更前後における変化率よりも大きくなるように、これら特定のセンサに対して測定パラメータを設定してよい。このように、パラメータ設定部150は、環境データが予め定められた範囲外となった場合に、特定のセンサにおける測定パラメータを変更してよい。
【0059】
また、その後、環境センサ30iからの環境データに基づいて製造環境における許容範囲外の振動が一定期間検知されなかった場合に、パラメータ設定部150は、これら特定のセンサに対して、設定変更前の値(初期値)となるように、測定パラメータを変更してよい。このように、パラメータ設定部150は、環境データが予め定められた範囲内となった場合に、測定パラメータを初期化してよい。なお、上述の説明では、パラメータ設定部150が、特定のセンサにおける測定パラメータを、設定変更前の値に戻すことで測定パラメータを初期化する場合を一例として示した。しかしながら、これに限定されるものではない。パラメータ設定部150は、特定のセンサにおける測定パラメータを、プラント10の運用開始時の値に戻すことで測定パラメータを初期化してもよい。さらに、定常状態において、環境センサ30iからの環境データに基づいて製造環境における振動が安定的な範囲内である状態が一定期間継続した場合に、パラメータ設定部150は、これら特定のセンサに対して、製造対象を測定する周期が設定変更前の値(初期値)よりも長い第二の値となるように、測定パラメータを設定してよい。同様に、定常状態において、環境センサ30iからの環境データに基づいて製造環境における振動が安定的な範囲内である状態が一定期間継続した場合に、パラメータ設定部150は、これら特定のセンサに対して、製造対象を測定する感度が設定変更前の値(初期値)よりも低い第二の値となるように、測定パラメータを設定してよい。
【0060】
そして、パラメータ設定部150は、このようにして設定した測定パラメータに関する設定情報をデータ記録部120へ供給する。なお、このような設定情報には、上述のように、どのタイミングで測定パラメータを変更したかを示す情報が含まれていてよい。これに応じて、データ記録部120は、測定データに加えて、更に、測定パラメータを設定変更したタイミングを示す情報を記録してよい。
【0061】
従来、作業員の感覚によって得られていたような情報をセンサの測定結果から取得する技術が知られている。このような従来技術においては、設備の動作状態を判断するためにこのような情報を追加的に取得している。これに対して、本実施形態に係るデータ管理システム100は、環境センサ30から環境データを取得する。そして、データ管理システム100は、環境センサ30との間の関連度に応じて、測定センサ20の中から特定のセンサを選択し、環境データに基づいて、当該特定のセンサにおける測定パラメータを設定する。これにより、本実施形態に係るデータ管理システム100によれば、従来、固定的に設定されていた、または、作業員の経験や勘に基づいて手動で設定されていた測定センサ20の測定パラメータを、環境センサ30から取得した環境データに基づいて適宜設定変更することができる。また、この際、本実施形態に係るデータ管理システム100は、環境データとして、製造環境における振動、温度、湿度、照度、臭気、ガス濃度、圧力、気圧、応力、磁界、音、および、画像の少なくともいずれかを取得する。これにより、本実施形態に係るデータ管理システム100によれば、作業員の五感により検知されるような状態に加えて、人間の感覚のみでは検知することができないような状態をも考慮して、測定パラメータを設定することができる。また、本実施形態に係るデータ管理システム100は、例えば、環境センサ30からの距離、環境センサ30が測定した物理量の種別、および、環境データの時系列変化と測定データの時系列変化との間の相関に基づいて、関連度を決定する。これにより、本実施形態に係るデータ管理システム100によれば、測定パラメータを変更するにあたって、複数の測定センサ20の中から、客観的な指標に従って対象とする特定のセンサを自動的に選択することができる。また、本実施形態に係るデータ管理システムは、環境データが予め定められた範囲外となった場合に、測定パラメータを変更する。この際、本実施形態に係るデータ管理システム100は、例えば、測定パラメータとして、製造対象を測定する周期や感度を設定する。これにより、本実施形態に係るデータ管理システム100によれば、環境データが予め定められた範囲外、すなわち、製造環境に何らかの異常が検知された場合に、測定センサ20が製造対象を測定する周期や感度を設定変更するので、製造環境の状態に適した測定条件で、測定センサ20に製造対象の測定を実行させることができる。また、本実施形態に係るデータ管理システム100は、その後、環境データが予め定められた範囲内となった場合に、測定パラメータを初期化する。これにより、本実施形態に係るデータ管理システム100によれば、製造環境が定常状態に戻った場合に、初期設定した設定変更条件で、測定センサ20に製造対象の測定を実行させることができる。また、本実施形態に係るデータ管理システム100によれば、測定データ取得部110と、データ記録部120とを更に備える。これにより、本実施形態に係るデータ管理システム100によれば、データロガーとしての機能と測定パラメータの設定機能とを同一のシステムにより実現することができる。また、本実施形態に係るデータ管理システム100において、データ記録部120は、測定データに加えて、更に、測定パラメータを設定変更したタイミングを示す情報を併せて記録する。これにより、本実施形態に係るデータ管理システム100によれば、時系列に記録した測定データと測定パラメータを設定変更したタイミングとを関連付けることができ、各時点における測定データがどのような設定条件下で測定されたものであるかを認識することができる。
【0062】
図4は、本実施形態の変形例に係るデータ管理システム100のブロック図の一例を示す。図4においては、図1と同じ機能および構成を有する部材に対して同じ符号を付すとともに、以下相違点を除き説明を省略する。本変形例に係るデータ管理システム100は、リスト出力部410と、インターフェイス部420とを更に備える。
【0063】
上述の説明では、センサ選択部140が、複数の測定センサ20のそれぞれに対して決定した関連度に基づいて自動的に特定のセンサを選択する場合を一例として示した。しかしながら、本変形例に係るデータ管理システム100においては、センサ選択部140は、複数の測定センサ20のそれぞれに対して関連度を決定した後、関連度が予め定められた閾値よりも高い1または複数の候補センサに関する情報をリスト出力部410へ供給する。
【0064】
リスト出力部410は、関連度が予め定められた閾値よりも高い測定センサ20である候補センサのリストを出力する。一例として、リスト出力部410は、表示部であってよく、センサ選択部140から供給された候補センサのリストを表示する。しかしながら、これに限定されるものではない。リスト出力部410は、例えば、通信部であってもよく、センサ選択部140から供給された候補センサのリストを他のシステムに送信してもよい。
【0065】
インターフェイス部420は、ユーザ入力を受け付ける。一例として、インターフェイス部420は、候補センサのリストを閲覧したユーザからの入力を、GUI(Graphical User Interface)を介して、取得する。例えば、インターフェイス部420は、候補センサのリストの中からユーザがどの測定センサ20を特定のセンサとして選択したかに関する情報を、GUIを介して取得する。
【0066】
そして、本変形例に係るデータ管理システム100においては、センサ選択部140は、ユーザ入力に応じて候補センサの中から特定のセンサを選択する。一例として、センサ選択部140は、候補センサの中からユーザが選択した1または複数の測定センサ20を特定のセンサとして選択する。
【0067】
なお、本変形例に係るデータ管理システム100において、センサ選択部140は、特定のセンサとして選択された実績に基づいて、測定センサ20の関連度を決定してもよい。本変形例に係るデータ管理システム100においては、センサ選択部140は、インターフェイス部420を介したユーザ入力により、候補センサの中からユーザが実際にどの測定センサ20を特定のセンサとして選択したかを知ることができる。すなわち、センサ選択部140は、特定のセンサとして選択された実績を知ることができる。したがって、センサ選択部140は、当該実績に基づいて、例えば、対象とする環境センサ30に対して、過去に特定のセンサとして選択された実績のある測定センサ20の方が、特定のセンサとして選択された実績のない測定センサ20よりも高くなるように、関連度を決定してよい。
【0068】
図5は、本実施形態の変形例に係るデータ管理システム100が出力する候補センサのリストの一例を示す。本図においては、環境センサ30iに対して関連度が上位5番目までの測定センサ20を候補センサとしてリスト化した例を示している。本図に示すように、リスト出力部410は、例えば、関連度と測定センサ20を識別する識別情報とを対応付けて、関連度の降順にリスト化した候補センサのリストを出力してよい。そして、インターフェイス部420は、候補センサのリストの中からユーザがどの測定センサ20(本図においては、測定センサ20b4および20a1)を特定のセンサとして選択したかに関する情報を、例えば、GUIを介して取得してよい。
【0069】
本変形例に係るデータ管理システム100は、候補センサのリストを出力する。そして、本変形例に係るデータ管理システム100は、ユーザ入力に応じて候補センサの中から特定のセンサを選択する。これにより、本変形例に係るデータ管理システム100によれば、特定のセンサの選択において、関連度の高い候補リストをユーザに提供するとともに、実際のセンサの選択においてはユーザの意思を反映させることができる。また、本変形例に係るデータ管理システム100は、特定のセンサとして選択された実績に基づいて、関連度を決定する。これにより、本変形例に係るデータ管理システム100によれば、過去における実績をも加味して、複数の測定センサ20のそれぞれに対して関連度を決定することができる。
【0070】
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0071】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0072】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0073】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0074】
図6は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0075】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インターフェイス2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0076】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0077】
通信インターフェイス2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0078】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0079】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0080】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェイス2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェイス2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0081】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0082】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0083】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0084】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0085】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0086】
10 プラント
20 測定センサ
30 環境センサ
100 データ管理システム
110 測定データ取得部
120 データ記録部
130 環境データ取得部
140 センサ選択部
150 パラメータ設定部
410 リスト出力部
420 インターフェイス部
2200 コンピュータ
2201 DVD-ROM
2210 ホストコントローラ
2212 CPU
2214 RAM
2216 グラフィックコントローラ
2218 ディスプレイデバイス
2220 入/出力コントローラ
2222 通信インターフェイス
2224 ハードディスクドライブ
2226 DVD-ROMドライブ
2230 ROM
2240 入/出力チップ
2242 キーボード
図1
図2
図3
図4
図5
図6