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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/44 20060101AFI20240423BHJP
   B65H 3/46 20060101ALI20240423BHJP
   B65H 11/00 20060101ALI20240423BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B65H3/44 H
B65H3/44 F
B65H3/46 C
B65H3/46 D
B65H11/00 A
G03G21/16 138
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020133002
(22)【出願日】2020-08-05
(65)【公開番号】P2022029623
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩川 剛
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-262996(JP,A)
【文献】特開2003-054778(JP,A)
【文献】特開2002-356245(JP,A)
【文献】特開2008-087875(JP,A)
【文献】特開2016-139044(JP,A)
【文献】特開2007-047404(JP,A)
【文献】特開2018-010074(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107608191(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 3/44
B65H 3/46
B65H 11/00
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体から挿抜可能とされ、用紙の搬送経路が構成された搬送架台と、
用紙が載置される用紙載置部と、
前記搬送架台に設けられ、用紙を前記用紙載置部から前記搬送経路に給送する給紙部と、
前記搬送架台が装置本体から抜き出された状態において前記給紙部を前記搬送架台に可動支持する可動支持部と、を備え、
前記給紙部は、前記搬送架台ともに装置本体に挿入された状態において前記搬送経路のうちの所定の搬送経路部を覆い、
前記用紙載置部は前記装置本体に設けられ、前記搬送架台が装置本体から抜き出される時に前記給紙部から離れ、
前記可動支持部は、前記給紙部が前記搬送経路部から退避するように動くことを可能とする画像形成装置。
【請求項2】
前記給紙部は、前記搬送架台が装置本体に挿入された状態において前記搬送架台に対向する面に、保護カバーを有する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記可動支持部は、前記給紙部の回動動作を可能とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記可動支持部は、前記給紙部の直線動作を可能とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記可動支持部は、前記給紙部の自重により前記搬送架台とともに装置本体に挿入可能な状態に当該給紙部が復帰する自重復帰動作を可能とする請求項1から請求項4のうちいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記可動支持部による前記給紙部の動作範囲は、いずれの位置からも前記自重復帰動作が起こる範囲とされている請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記自重復帰動作の速度を抑えるダンパー装置を備える請求項5又は請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記搬送経路部の前記給紙部が覆う側のガイド部材は、当該搬送経路部を露出するように可動支持されている請求項1から請求項7のうちいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ガイド部材は、前記可動支持部による前記給紙部の動作に連動して動作する請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記給紙部は、取っ手を有する請求項1から請求項9のうちいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記搬送架台が装置本体に挿入される時に前記給紙部と前記用紙載置部との位置を決める位置決め部を備える請求項1から請求項10のうちいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記位置決め部は、前記搬送架台の挿抜方向を軸方向とした位置決めピンと、これに嵌合する位置決め穴を有する請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記搬送架台を装置本体に挿入可能な状態において、前記搬送架台の挿抜方向の前記搬送架台と前記給紙部との位置を決める位置決め部を備える請求項1から請求項12のうちいずれか一に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙上に画像を形成する画像形成装置が知られている。上記の画像形成装置として、特許文献1,2に記載されるように用紙の搬送経路が構成された搬送架台が装置本体から挿抜可能とされるものがある。
さらに手差し給紙部(捌きローラー/手差し給紙ローラー)が搬送架台に一体化しており、搬送架台の挿抜時に、手差し給紙部も挿抜されるものがある。
搬送架台の搬送経路にて用紙のJAMが発生した時にユーザー等により、搬送架台を引き出し、用紙を案内するガイド板の片側(上部など)を開閉し、用紙を取り除くことが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-54778号公報
【文献】特開2002-356245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のように搬送架台に付設される給紙部(給紙機構部)が該搬送架台に一体化されていると、搬送経路のガイド板を開くためスペースが狭いため、開口が十分ではなく、用紙のJAM処理が難しい場合がある。
また近年、装置のダウンサイズ化が求められているが、用紙の搬送経路の開口量を拡大するために給紙部と搬送経路との間に空間を設けると、装置サイズが大きくなってしまう。
【0005】
本発明は、稼働時の画像形成装置のサイズを大きくすることなく、JAM処理のための停止時にJAM紙を除去するスペースを確保して、画像形成装置のJAM処理性を向上することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の画像形成装置は、装置本体から挿抜可能とされ、用紙の搬送経路が構成された搬送架台と、用紙が載置される用紙載置部と、前記搬送架台に設けられ、用紙を前記用紙載置部から前記搬送経路に給送する給紙部と、前記搬送架台が装置本体から抜き出された状態において前記給紙部を前記搬送架台に可動支持する可動支持部と、を備え、前記給紙部は、前記搬送架台ともに装置本体に挿入された状態において前記搬送経路のうちの所定の搬送経路部を覆い、前記用紙載置部は前記装置本体に設けられ、前記搬送架台が装置本体から抜き出される時に前記給紙部から離れ、前記可動支持部は、前記給紙部が前記搬送経路部から退避するように動くことを可能とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、稼働時の画像形成装置のサイズを大きくすることなく、JAM処理のための停止時にJAM紙を除去するスペースを確保して、画像形成装置のJAM処理性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の水平断面図で搬送架台を挿入した状態を示す。
図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の水平断面図で搬送架台を抜き出した状態を示す。
図4】本発明の一実施形態に係る手差しトレイから搬送架台に掛けての垂直断面図である。
図5図5の状態から手差し給紙部を回動させて上げた状態を示す。
図6図6の状態からガイド部材を回動させて上げた状態を示す。
図7】本発明の他の実施形態に係る手差しトレイから搬送架台に掛けての垂直断面図であって、手差し給紙部を直線動作により斜め上方に上げた状態を示す。
図8】本発明の他の実施形態に係る手差しトレイから搬送架台に掛けての垂直断面図であって、手差し給紙部を直線動作により直上に上げた状態を示す。
図9】本発明の一実施形態に係る手差し給紙部のダンパー装置を示す垂直断面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る手差しトレイから搬送架台に掛けての垂直断面図であって、手差し給紙部とガイド部材とのリンク機構を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
〔画像形成装置の概要〕
図1に示す本実施形態に係る画像形成装置1は、原稿から画像を読み取って得られた画像データ、又は、外部装置から受信した画像データに基づいて、電子写真方式によりカラー画像を形成する。画像形成装置1は、図1に示すように、操作部11と、表示部12と、原稿読取ユニット13と、画像形成部14と、給紙部15とを備えて構成されている。また画像形成装置1は、画像形成制御部、記憶部、コントローラーIF(Inter Face)、画像処理部等を備える。
【0011】
操作部11は、表示部12の表示画面上を覆うように形成されたタッチパネルや、数字ボタン、スタートボタン等の各種操作ボタンを備え、ユーザーの操作に基づく操作信号を画像形成制御部に出力する。
【0012】
表示部12は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、画像形成制御部から入力される表示信号の指示に従って各種画面を表示する。
【0013】
原稿読取ユニット13は、ADF(自動原稿給紙装置)、スキャナー等を備え、原稿の画像を読み取って得られた画像データを画像形成制御部に出力する。
【0014】
画像形成部14は、画像処理部により画像処理が行われた画像データに基づいて、給紙部15から供給された用紙上に画像を形成する。
画像形成部14は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する感光体ドラム141Y,141M,141C,141K、中間転写ベルト142、2次転写ローラー143、定着部144等を備えて構成されている。
【0015】
感光体ドラム141Yは、一様に帯電された後、イエロー色の画像データに基づいてレーザービームにより走査露光され、静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム141Y上の静電潜像にイエロー色のトナーが付着され、現像が行われる。
感光体ドラム141M,141C,141Kについても、扱う色が異なることを除いて、感光体ドラム141Yと同様であるため、説明を省略する。
【0016】
感光体ドラム141Y,141M,141C,141K上に形成された各色のトナー像は、回転する中間転写ベルト142上に逐次転写される(1次転写)。すなわち、中間転写ベルト142上には、4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
中間転写ベルト142上のカラートナー像は、2次転写ローラー143により、用紙上に一括して転写される(2次転写)。
【0017】
定着部144は、カラートナー像が転写された用紙を加熱する加熱ローラー、当該用紙を加圧する加圧ローラーを備え、加熱・加圧によりカラートナー像を用紙に定着させる。
【0018】
給紙部15は、給紙トレイT11~T13を備え、画像形成部14に用紙を供給する。各給紙トレイT11~T13には、給紙トレイごとに予め定められた紙種やサイズの用紙が収納されている。
【0019】
画像形成制御部は、CPU、ROM、メモリーを備えて構成される。
CPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出し、当該プログラムに従って、各部の動作を集中制御する。
ROMは、不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターやファイル等を記憶している。
メモリーは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等により構成され、プログラムや各種画像処理に係る画像データ等の各種データを一時的に記憶する。
【0020】
記憶部は、プログラムや画像データ等の各種データを記憶するHDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリー等の不揮発性の記憶装置である。記憶部には、プログラムデータや各種設定データ等のデータを画像形成制御部から読み書き可能に記憶する。
コントローラーIFは、外部装置から入力される画像データを受信する。
【0021】
画像処理部は、記憶部に記憶された画像データ、原稿読取ユニット13により原稿から画像を読み取って得られた画像データ、外部装置から入力された画像データに必要な画像処理を行い、画像処理後の画像データを画像形成部14に送信する。画像処理には、階調処理、中間調処理、色変換処理等が含まれる。階調処理は、画像データの各画素の階調値を、用紙上に形成された画像の濃度特性が目標の濃度特性と一致するように補正された階調値に変換する処理である。中間調処理は、誤差拡散処理、組織的ディザ法を用いたスクリーン処理等である。色変換処理は、RGBの各階調値をCMYKの各階調値に変換する処理である。
【0022】
〔搬送架台の詳細〕
次に搬送架台とこれに関連した機構につき説明する。
図1に示すように給紙部15からの搬送経路R11、反転搬送経路R12及び、手差しトレイT2からの手差し搬送経路R13が、中間転写ベルト142と2次転写ローラー143との接点である転写ニップへの搬送経路R10に合流する。
図2から図10に示す搬送架台20は、装置本体100から挿抜可能とされ、用紙の搬送経路R10等が構成されたものである。給紙トレイT11~T13、手差しトレイT2は、用紙が載置される用紙載置部に相当する。
【0023】
図4等に示すように手差し給紙部30は、手差し給紙ローラー31、捌きローラー32等の搬送ローラーを有し手差し搬送経路R13を構成するものであり、用紙を手差しトレイT2から搬送架台20に設けられた搬送経路R10に給送する。
図2から図5等に示すように手差し給紙部30は、搬送架台20に設けられている。画像形成装置1は、搬送架台20が装置本体から抜き出された状態(図3)において手差し給紙部30を搬送架台20に可動支持する可動支持部33を備える。
【0024】
本実施形態の可動支持部33は、手差し給紙部30の回動動作を可能とするヒンジ機構である。
図5に示すように手差し給紙部30はY軸回りに回動する。手差し給紙部30が回動可能になるのは、搬送架台20が装置本体から抜き出された状態(図3)においてである。
手差し給紙部30は図4に示す下がった状態にあっては、搬送架台20ともに装置本体100に挿入可能な状態である。図2に示すように実際に挿入された状態では、手差し給紙部30は所定位置に固定されるので、また装置本体100内にスペースがないため、図5に示すような回動動作はできない。
【0025】
手差しユニット40は、手差しトレイT2と、手差しトレイT2を昇降させるモーターM等を含んだ昇降機構41とを一体に有し、装置本体100の右側面に固定されている。
手差し給紙部30は、図2に示す挿入状態において手差しユニット40と所定位置で接続する。手差しユニット40は装置本体100に設けられ、搬送架台40が装置本体100から抜き出される時に手差し給紙部30から離れる。
【0026】
手差し給紙部30は、図4に示す搬送架台20ともに装置本体100に挿入可能な状態において搬送架台20に構成される搬送経路のうちの所定の搬送経路部R11aを覆う。本実施形態では、搬送経路部R11aは、給紙部15からの搬送経路R11の一部である。
可動支持部33は、図5に示すように手差し給紙部30が搬送経路部R11aから退避するように動くことを可能とする。
したがって、作業者は、搬送架台20を抜き出し手差し給紙部30を図5に示すように上げて搬送経路部R11aから退避させることによって、搬送経路部R11aに停滞しているJAM紙を取り除く作業をしやすくすることができる。
【0027】
さらに本実施形態では、搬送経路部R11aの手差し給紙部30が覆う側のガイド部材21は、搬送経路部R11aを露出するように可動支持されている。したがって、図6に示すようにガイド部材21も搬送経路部R11aから退避するように開くことで、搬送経路部R11aに停滞しているJAM紙を取り除く作業をさらにしやすくすることができる。
【0028】
図5に示す手差し給紙部30と搬送経路部R11aとの間の広いスペースS1は、図4に示す状態ではほぼ消失し、同状態で搬送架台20及び手差し給紙部30は装置本体100内に挿入される。
したがって、稼働時(図2図4)の画像形成装置1のサイズを大きくすることなく、JAM処理のための停止時にJAM紙を除去するスペースS1を確保して、画像形成装置1のJAM処理性を向上することができる。
【0029】
可動支持部33は、スペースS1を確保できるものであれば、図7に示すように斜めに、又は図8に示すように直上に、手差し給紙部30の直線動作を可能とするものであってもよい。この場合、可動支持部としてはスライドレール等の直動ガイドを用いることができるが、機構は限定されない。
【0030】
さらに詳細を説明する。
可動支持部33は、手差し給紙部30の自重により搬送架台20とともに装置本体に挿入可能な状態(図4)に当該手差し給紙部30が復帰する自重復帰動作を可能としている。作業者が手差し給紙部30を図5に示すように上げて開いている状態にして手を離せば、図4に示すように手差し給紙部30は自重により落ちて閉じる。
図5に示す手差し給紙部30が開いた状態で、図2に示すように搬送架台20を装置本体100に挿入しようとすると、手差し給紙部30と装置本体100とが衝突する事故のおそれがある。手差し給紙部30が自重により落ちて閉じることにより、作業者の手差し給紙部30の閉め忘れにより生じ得る、そのような事故を防止できる。また、このような事故防止機能を無動力で簡素に実現できる。
【0031】
可動支持部33による手差し給紙部30の動作範囲は、いずれの位置からも上記の自重復帰動作が起こる範囲とされている。
図5において、手差し給紙部30の重心が可動支持部33の回転中心より左側に超えると、手差し給紙部30が自重により落ちて閉じ図4の状態に復帰することなくなる。このようになると上記事故防止機能が働かない。
そのため、可動支持部33による手差し給紙部30の動作範囲は、最大に開く限度として図5に示すような手差し給紙部30の重心が可動支持部33の回転中心を超えない範囲に規制されている。
したがって、手差し給紙部30の動作範囲は、図4から図5に示す範囲とされ、常に手差し給紙部30の重心が閉まる側にある。そのため、いずれの位置からも上記の自重復帰動作が起こり、上記事故防止機能が働かなくなることがなく安全である。
なお、図7,8に示したように手差し給紙部30を直線動作により上げて開く支持機構とすれば、手差し給紙部30の動作範囲をいずれの位置からも閉まった状態に自重復帰動作が起こる範囲とすることは容易である。
【0032】
手差し給紙部30は、搬送架台20が装置本体100に挿入された状態(図2図4)において搬送架台20に対向する面に、損傷防止のための保護カバー34を有する。保護カバー34としては樹脂製のものを適用できる。
図5に示すように手差し給紙部30を開いた状態において、手差し給紙部30と搬送架台20との間のスペースS1に作業者が手を入れている状態で、手差し給紙部30が下がってくる恐れがある。
手差し給紙部30には、金属材料等による構造部品、機械部品が配置されている。これらを保護カバー34により覆い、手差し給紙部30の破損を防ぐとともに、作業者の手を保護する。
【0033】
さらに図9に示すように上記の自重復帰動作の速度を抑えるダンパー装置50を設けてもよい。ダンパー装置50としてはガススプリングを用いることができる。
これにより、上記の自重復帰動作の速度が抑えられて、さらに搬送架台20及び手差し給紙部30の破損を防ぐとともに、作業者の手を保護できる。
【0034】
上述のガイド部材21は、図10に示すように可動支持部33による手差し給紙部30の動作に連動して動作するものとすることができる。作業者が手差し給紙部30を開くほかに、ガイド部材21を個別に開く作業がなくなり、効率的にJAM処理が行える。
かかる連動は、図10に示すようにリンク22を設けて実現してもよいし、他の機構で実現してもよい。
【0035】
図3に示すように手差し給紙部30は、取っ手35を有する。作業者が手差し給紙部30を持ち上げる時に掴むためのものである。取っ手35を、樹脂材料等で構成し、掴みやすく上げ下げしやすい形状、配置とする。取っ手35が設けられることで、手差し給紙部30を持ち上げる手を手差し給紙部30の下に入れないように誘導できる。また、掴みやすく取っ手35があることで、不意に手差し給紙部30を下降させてしまうことが防がれる。
【0036】
上述したように手差しトレイT2を含む手差しユニット40は装置本体100に設けられから、搬送架台20が装置本体100から抜き出される時に手差し給紙部30から離れる。すなわち、手差し給紙部30と手差しユニット40とは、搬送架台20の抜き出し時に分離し、搬送架台20の挿入時に接続する。
このような分離・接続する構造においては、手差しトレイT2からの給紙を円滑に安定させるために、接続時の位置精度が重要である。次にそのための位置決め部につき説明する。
【0037】
画像形成装置1は、搬送架台20が装置本体100に挿入される時に手差し給紙部30と手差しユニット40との位置を決める位置決め部を備える。当該位置決め部は、図2図3に示すように搬送架台20の挿抜方向Yを軸方向とした位置決めピンP1,P2と、これに嵌合する位置決め穴F1,F2を有する。
位置決めピンP1,P2は、手差し給紙部30に固定されており、XZ面に平行な断面の形状は円形で、先端部に案内用のテーパー部を有する。
位置決め穴F1,F2は、手差しユニット40に固定されており、XZ面に平行な断面の形状は円形で、位置決めピンP1,P2の外径部に嵌合する内径を有する。
位置決めピンP1は、位置決め穴F1に嵌合する。位置決めピンP2は、位置決め穴F2に嵌合する。
位置決めピンP1(P2)が位置決め穴F1(F2)に嵌合することで、X方向位置及びZ方向位置が決まる。但し、当該嵌合に、Z方向位置の規制のみを担わせてもよい。可動支持部33によってX方向位置が規制されるからである。位置決め穴F1(F2)において位置決めピンP1(P2)のX方向位置の規制を解くには、位置決め穴F1(F2)をX方向に長い長孔として位置決めピンP1(P2)との間にX方向に遊びを設ければよい。逆に可動支持部33においてX方向位置の自由度を設ける場合には、本実施形態のように位置決めピンP1(P2)が位置決め穴F1(F2)に嵌合することで、X方向位置及びZ方向位置が決まることとすればよい。なお、位置決め機能が実現できればピン形状や穴形状は任意に選択してよい。
Y方向位置は、Y方向の押し当てによって決まる。当該Y方向の押し当ては、位置決めピンP1(P2)の基端周囲面と、位置決め穴F1(F2)の周囲面などその他、XZ面に平行な面であればよい。
位置決めピンP1及び位置決め穴F1は手前側に設けられ、位置決めピンP2及び位置決め穴F2は奥側に設けられており、Y方向の両端部で位置決めするので、さらに位置精度は向上する。
搬送架台20を装置本体100に挿入すれば、以上の位置決め部(P1,P2,F1,F2)により、手差し給紙部30と手差しユニット40との位置が決まる。したがって、手差し給紙部30と手差しユニット40との接続時の位置精度が向上し、手差しトレイT2からの給紙を円滑に安定させることができる。
【0038】
さらに画像形成装置1は、図2から図5等に示すように装置本体100に挿入可能な状態において、搬送架台20の挿抜方向Yの搬送架台20と手差し給紙部30との位置を決める位置決め部としての位置決めピンP3とこれに嵌合する位置決め穴F3を備える。位置決めピンP3は手差し給紙部30に固定されている。位置決め穴F3は搬送架台20に固定されている。
位置決め穴F3は、図2図3に示すようにX方向に長い長孔状に形成されている。手差し給紙部30の回動に伴って動く位置決めピンP3を逃がすためである。
位置決め穴F3のY方向端のエッジ(=X方向に平行なエッジ)が位置決めピンP3のY方向位置を規制する。
これにより、搬送架台20と手差し給紙部30とのY方向の位置精度が向上する。
以上により手差しトレイT2から搬送架台20までのY方向の用紙位置制御精度が向上して、その結果、用紙に対する画像形成位置精度が向上する。
【0039】
以上の実施形態に拘わらず、画像形成装置を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
以上の実施形態においては手差し給紙部に本発明を適用したが、本発明はこれに限らず他の給紙部に適用してもよい。すなわち、給紙元の用紙載置部が手差しトレイであるか、装置内外に配置される他の給紙トレイであるかは問わない。
【符号の説明】
【0040】
1 画像形成装置
11 操作部
12 表示部
13 原稿読取ユニット
14 画像形成部
15 給紙部
20 搬送架台
21 ガイド部材
22 リンク
30 手差し給紙部
33 可動支持部
34 保護カバー
35 取っ手
40 手差しユニット
50 ダンパー装置
100 装置本体
141Y,141M,141C,141K 感光体ドラム
142 中間転写ベルト
143 2次転写ローラー
144 定着部
F1,F2 位置決め穴
F3 位置決め穴
P1,P2 位置決めピン
P3 位置決めピン
R11a 搬送経路部
S1 スペース
T11~T13 給紙トレイ
T2 手差しトレイ
Y 挿抜方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10