(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】和室の内装構造
(51)【国際特許分類】
E06B 3/46 20060101AFI20240423BHJP
E06B 3/70 20060101ALI20240423BHJP
E06B 3/32 20060101ALI20240423BHJP
E04F 19/08 20060101ALN20240423BHJP
【FI】
E06B3/46
E06B3/70 C
E06B3/70 B
E06B3/32 Z
E04F19/08 B
(21)【出願番号】P 2020134434
(22)【出願日】2020-08-07
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】青野 拓司
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-065382(JP,U)
【文献】特開平11-093431(JP,A)
【文献】実開平01-041596(JP,U)
【文献】実開昭54-144957(JP,U)
【文献】特開2006-291508(JP,A)
【文献】登録実用新案第3135552(JP,U)
【文献】特開2011-078464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/46
E06B 3/70
E06B 3/32
E04F 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁体に沿って板の間が形成された和室の内装構造であって、
屋外空間に隣接し、開口部が形成された前記壁体と、
前記開口部に設置され、透光性を有する窓と、
前記窓よりも屋内側に設置され、前記窓の屋内側の面を覆う障子戸を具備した内障子と、
前記内障子よりも屋内側に設置されるとともに、前記障子戸と面内方向を揃えて設置される木板パネルと、
前記障子戸及び前記木板パネルを収納する戸袋と、を備え、
前記
木板パネル及び前記障子戸は、前記壁体に沿って、少なくとも前記開口部の水平方向の一端から他端までの間をスライド自在に設置されることを特徴とする和室の内装構造。
【請求項2】
前記壁体は、水平方向に前記開口部に隣接して、当該開口部が形成されていない非開口壁部を有しており、
前記内障子は、複数の前記障子戸を具備する引違い戸であり、
前記障子戸を全閉した時の複数の前記障子戸全体の幅は、前記開口部と略同一であり、
前記
木板パネルは、その全体が前記開口部に隣接しつつ、前記非開口壁部に重なるようにスライド可能であることを特徴とする請求項1に記載の和室の内装構造。
【請求項3】
前記板の間の天井は、前記木板パネルの屋内側の面との境界部分に、前記木板パネルのスライド方向へ延びるピクチャーレールを有することを特徴とする請求項1
又は請求項
2に記載の和室の内装構造。
【請求項4】
前記木板パネルは、屋内側の面に着脱可能なフックを有することを特徴とする請求項1から請求項
3のいずれかに記載の和室の内装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板の間を有する和室の内装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に我が国の伝統的な日本家屋には和室が設置されるが、ライフスタイルの変化に伴い、近年は住宅における和室のニーズが減少傾向にある。また和室を設置する場合であっても、現代のライフスタイルに適合した機能的な造りの和室とすることがある(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
【0003】
特許文献1及び特許文献2に記載の発明には、和室において、床の間の奥側に収納スペースを設けることにより、空間を有効活用する点が記載されている。これらの発明では、床の間と収納スペースとの間に設置された引き戸を開閉することにより、機能性と意匠性を兼ね備えた和室空間を構築することができる。
【0004】
また、特許文献3に記載の発明では、室内に設けられた出窓を床の間空間とすることにより、特別な造作を施すことなく住宅に和の要素を取り入れることができる床の間装置が提案されている。この発明では、出窓に引違いの窓及び内障子を設置するとともに、床面に板の間を形成することで、特別な造作を施すことなく容易に床の間を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-28021
【文献】特開平10-246016
【文献】実開平5-52085
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1及び特許文献2に記載の和室は、機能性を有しているものの、伝統的な和の要素が強いため、現代のライフスタイルにおいて他室の内装とのバランスが取りづらい。また特許文献3に記載の床の間空間は、和の要素が薄いものの、常時内障子が露出しているため、床の間廻りの雰囲気を他室に合わせて変えることは難しい。そして昨今は、和室や和空間を設ける場合であっても、ライフスタイルや他室との関係性を考慮して、天井や壁の仕上げを他室と同様の洋室仕様とし、床のみを畳敷きとするような簡素な造りとすることが多い。一方、床を畳敷きとしただけで、和の雰囲気を醸し出す部材や季節のしつらえを施すスペースが無い空間を和室と定義付けすることには、疑問が生じる。
【0007】
そこで本発明は、上述した課題を鑑みてなされたものであって、現代のライフスタイルに適合させながらも、伝統的な和の要素を併せ持つ和室の内装構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の和室の内装構造は、壁体に沿って板の間が形成された和室の内装構造であって、屋外空間に隣接し、開口部が形成された前記壁体と、前記開口部に設置され、透光性を有する窓と、前記窓よりも屋内側に設置され、前記窓の屋内側の面を覆う障子戸を具備した内障子と、前記内障子よりも屋内側に設置されるとともに、前記障子戸と面内方向を揃えて設置される木板パネルと、前記障子戸及び前記木板パネルを収納する戸袋と、を備え、前記木板パネル及び前記障子戸は、前記壁体に沿って、少なくとも前記開口部の水平方向の一端から他端までの間をスライド自在に設置されることを特徴としている。
【0009】
本発明の第2の和室の内装構造は、前記壁体が、水平方向に前記開口部に隣接して、当該開口部が形成されていない非開口壁部を有しており、前記内障子が、複数の前記障子戸を具備する引違い戸であり、前記障子戸を全閉した時の複数の前記障子戸全体の幅が、前記開口部と略同一であり、前記木板パネルが、その全体を前記開口部に隣接しつつ、前記非開口壁部に重なるようにスライド可能であることを特徴としている。
【0011】
本発明の第3の和室の内装構造は、前記板の間の天井が、前記木板パネルの屋内側の面との境界部分に、前記木板パネルのスライド方向へ延びるピクチャーレールを有することを特徴としている。
【0012】
本発明の第4の和室の内装構造は、前記木板パネルが、屋内側の面に着脱可能なフックを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の和室の内装構造によると、屋外側から順に窓、内障子、及び木板パネルが設置され、また、板パネル及び障子戸が、壁体に沿って、少なくとも開口部の水平方向の一端から他端までの間をスライド自在に設置されるとされる。したがって、障子戸や木板パネルの位置を調整することにより、板の間の意匠や雰囲気を状況に応じて変えることができ、多彩なしつらえを可能とする和室を構築することができる。
【0014】
本発明の第2の和室の内装構造によると、内障子は、複数の障子戸を具備する引違い戸であり、障子戸を全閉した時の複数の障子戸全体の幅は、開口部と略同一であるとされ、また、板パネルは、その全体が開口部に隣接しつつ、壁体の非開口壁部に重なるようにスライド可能であるとされる。したがって、板パネル全体を壁体の非開口壁部に重なるようにスライドことにより、板の間の壁の意匠を障子戸及び木板パネルを組み合わせたものとすることができる。さらに、木板パネルを障子戸の前に配置することにより、非開口壁部を露出させることができるため、板の間の壁の意匠を、障子戸、木板パネル、及び非開口壁部を組み合わせたものとすることができ、よりバリエーションに富んだしつらえを施すことが可能となる。
【0015】
本発明の第1の和室の内装構造によると、障子戸及び木板パネルを収納する戸袋を備えているので、障子戸及び木板パネルを戸袋に収納することにより、和の要素を薄めることができ、洋室仕様の他室と相性が良いすっきりとした印象の和室とすることができる。
【0016】
本発明の第3の和室の内装構造によると、板の間の天井は、木板パネルの屋内側の面との境界部分に、木板パネルのスライド方向へ延びるピクチャーレールを有するとされる。したがって、木板パネルの前に掛け軸や絵画を吊るすことができ、和の趣のあるしつらえを施すことができる。
【0017】
本発明の第4の和室の内装構造によると、木板パネルは、屋内側の面に着脱可能なフックを有するため、一輪挿しの花瓶を木板パネルに設置することができ、和の趣のあるしつらえを施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】障子戸及び木板パネルを第1板の間に露出させた状態を示す平面図。
【
図3】障子戸及び木板パネルを戸袋に収納した状態の和室を示す平面図。
【
図5】障子戸を窓の前に設置し、木板パネルを戸袋に収納した状態を示す平面図。
【
図9】障子戸を窓の前に設置するとともに、木板パネルを障子戸の前に設置した状態を示す平面図、
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る和室の内装構造の最良の実施形態について各図を参照しつつ説明する。本願の和室の内装構造は、主に住宅に配置される和室に用いられる構造であるが、住宅以外の建物に設置される和室に用いてもよい。ここでは、和室が住宅の一室に設けられる場合について説明する。なお、本発明における壁体、板の間、非開口壁部は、本実施形態においては、それぞれ第1壁体W1、第1板の間21a、第1非開口壁部W11が相当する。
【0020】
本願の和室の内装構造1は、
図1に示すように、第1壁体W1に沿って第1板の間21aが形成された和室2に用いられる構造であって、屋外空間3に隣接し、開口部D1が設置された第1壁体W1と、開口部D1に設置され、透光性を有する窓4と、窓4の屋内側に設置され、窓4の屋内側の面4aを覆う障子戸51を具備した内障子5と、内障子5よりも屋内側に設置されるとともに、障子戸51と面内方向を揃えて設置される木板パネル6と、を備えている。
【0021】
図1に示す和室2は、住宅7内に設置された室であり、人が過ごすための空間である居室部2Aと、障子戸51及び木板パネル6を収納する戸袋2Bと、物品を収納する押入れ2C及び収納スペース2Dと、から構成されている。図示するように、居室部2Aは、平面視一直線状の第1壁体W1と、第1壁体W1に直交するとともに、互いに相対向する第2壁体W2及び第3壁体W3と、第1壁体W1に相対向するとともに、第2壁体W2と第3壁体W3との間を繋ぐ第4壁体W4と、によって周囲を囲われる平面視略矩形状の居室空間である。また第2壁体W2は、第1壁体W1の水平方向の一端部W1aに接合しており、第1壁体W1の水平方向の他端部W1bは、第3壁体W3よりも居室部2Aと反対の方向へ突出している。
【0022】
図示するように、第1壁体W1には、開口部D1が形成されており、この開口部D1に設置された掃出し窓である窓4を通じて、居室部2Aと屋外空間3とが行き来可能となっている。また第1壁体W1は、開口部D1の水平方向の両隣りに、開口部が形成されていない第1非開口壁部W11及び第2非開口壁部W12、を有しており、一端部W1a側に位置し、居室部2Aに面する第1非開口壁部W11の幅L1は、
図2に示す木板パネル6の幅6aと略同一となっている。一方、第4壁体W4には引違いの第1襖W4aが設置されており、居室部2Aと、住宅7内に設けられた洋室仕様の他室71と、の行き来を可能としている。居室部2Aは、第1壁体W1及び第4壁体W4に沿ってそれぞれ第1板の間21a及び第2板の間21bが形成されており、各板の間21a、21bの間に設けられた畳敷きスペース22の略中央には堀座卓22aが設置されている。そして、第1壁体W1側に設けられた第1板の間21aは、和のしつらえを施す床の間としての機能を有している。なお、居室部2Aの天井及び壁の仕上げ材は、各板の間21a、21bを含め一般的な洋室仕様とすることができ、例えば、天井及び壁ともにクロス仕上げとすることができる。
【0023】
図1に示すように、戸袋2Bは、第3壁体W3側に形成される。第1壁体W1の他端部W1b側に位置する第2非開口壁部W12は、第1非開口壁部W11と比較して壁厚が薄く、戸袋2Bは、この壁厚が薄い第2非開口壁部W12と、第2非開口壁部W12に直交するとともに第1壁体W1の他端部W1bに接合する第5壁体W5と、第2非開口壁部W12と相対向するとともに、第3壁体W3と第5壁体W5との間を繋ぐ第6壁体W6と、によって周囲を囲われている。また第2非開口壁部W12と第6壁体W6との間に位置する第3壁体W3には、開き戸W3aが形成されており、この開き戸W3aを通じて障子戸51及び木板パネル6を出入することができる。そして、この開き戸W3aを閉めることにより、戸袋2B内部が居室部2Aから視認されることを防止できる。
【0024】
図1に示すように、押入れ2C及び収納スペース2Dは、第6壁体W6と第4壁体W4との間に並んで設置されるとともに、居室部2Aに面して配置される。押入れ2Cは、第3壁体W3、第5壁体W5、第6壁体W6、及び第6壁体W6に相対向し、第3壁体W3と第5壁体W5との間を繋ぐ第7壁体W7によって周囲を囲まれており、一方、収納スペース2Dは、第3壁体W3、第4壁体W4、第7壁体W7、及び第3壁体W3に相対向し、第4壁体W4と第7壁体W7との間を繋ぐ第8壁体W8によって周囲を包囲されている。また押入れ2C及び収納スペース2Dは、第3壁体W3に設置された引違いの第2襖W3bを開閉することにより居室部2Aから物品の出入をすることができる。また戸袋2Bよりも屋内側に押入れ2Cを配置することにより、戸袋2Bは居室部2Aにほとんど露出しなくなるため、居室部2Aをすっりとした印象の室空間とすることができる。
【0025】
図2、
図4、及び
図5に示すように、窓4、障子戸51、及び木板パネル6は、居室部2Aの天井高と略同一の高さで形成される。窓4は、引違いのガラス窓であり、屋外空間3からの外光を居室部2Aに取り入れることができる。また窓4の屋内側に配置される内障子5は、2枚の障子戸51からなる引違い戸であり、各障子戸51は、開口部D1の第2壁体W2側の一端D1aから戸袋2Bまで延びる図外の障子枠に嵌め込まれることで、第1壁体W1に沿って、開口部D1の一端D1aから第5壁体W5までの間をスライドすることができる。また
図5に示す障子戸51を全閉した時の2枚の障子戸51の全体の幅5aは、開口部D1と略同一であり、開口部D1の一端D1aから他端D1bまでの間に位置する窓4を全面覆うことができる。各障子戸51の幅は特に限定されないが、例えば、900mm~1000mm程度大きさで形成することができる。なお、本実施形態では障子戸51を2枚設置しているが、開口部D1の幅に応じて3枚以上設置してもよい。
【0026】
図6に示す障子戸51は、それぞれ一対の竪框と横桟を格子状に組んでなる枠材51aに複数の組子51bを格子状に設置し、組子51b間を埋めるように和紙51cを貼着することで形成される。なお、本実施形態では全体に和紙51cを貼着する水越障子としているが、下部に腰板を設置した腰付障子としてもよい。さらに、組子51b間には和紙51cを設置しているが、透光性を有し、外光を取り入れ可能な部材であれば、和紙51c以外の部材を設置してもよい。
【0027】
図2に示す木板パネル6は、表面に木目が現れているパネルであり、居室部2Aに和の要素を添えるとともに、和のしつらえを違和感なく施すための装置である。
図7及び
図8に示すように、木板パネル6は、角材を格子状に組んで形成された芯材61と、表面に木目が現れている薄板パネル62と、を有しており、芯材61の屋内外側の面を各々薄板パネル62で挟み込むことにより形成されている。また、屋内側の薄板パネル62には、フック63を取付けるための孔62aが形成されており、このフック63に一輪挿しの花瓶64や飾りなどを掛けることができる。
【0028】
薄板パネル62に用いる木材の種類や木目の種類は特に限定されないが、例えば、杉、檜、桧葉など一般的に和室に使用される木材の柾目材とすれば和の雰囲気をより一層高めることができる。なお木板パネル6は、少なくとも屋内側の面6bに木目が現れていればよく、屋外側の薄板パネル62は表面に木目の現れない仕上げであってもよい。また、木板パネル6自体を1枚の天然木のみからなる木板としてもよい。
【0029】
木板パネル6の設置方法は特に限定されないが、例えば、
図7に示すように、第1壁体W1に沿って延びるガイドレール6cに、木板パネル6の上端部に固定されたローラー材6dを引掛けることにより、木板パネル6を第1壁体W1に沿ってスライドさせることができる。このとき、木板パネル6の下端部にも床面に当接するローラー材6dを設置しておけば、木板パネル6の面内方向へのぐらつきを若干抑えることができる。また、
図2に示す木板パネル6の幅6aは、内障子5を構成する各障子戸51と略同一であり、障子戸51を窓4の前にスライドさせた状態で木板パネル6を第2壁体W2に当接させると、略同じ形状の3枚のパネル材が水平方向に並ぶため、第1板の間21aを規則性のある落ち着いた印象の空間とすることができる。なお、本実施形態では木板パネル6を1枚のみ設置しているが、木板パネル6を複数枚設置してより多様なしつらえを施してもよい。
【0030】
図1及び
図7に示すように、第1板の間21aの天井21cは、木板パネル6の屋内側の面6bとの境界部分に、木板パネル6のスライド方向へ延びるピクチャーレール21dを有している。このピクチャーレール21dにレールフック21eを係止させ、
図10に示すような掛け軸65を引掛けて木板パネル6の前に配置することで和の趣のあるしつらえを可能とすることができる。
【0031】
このように形成される和室の内装構造1は、状況に応じて容易に居室部2Aの雰囲気を変えることができる。例えば、和の要素を抑えてすっきりとした印象の居室部2Aとしたい場合は、
図3及び
図4に示すように、和の要素が強い障子戸51及び木板パネル6を戸袋2Bまでスライドさせて収納し、第1板の間21aに第1非開口壁部W11及び窓4が露出した状態とする。この状態では、居室部2Aの畳材以外に和の趣を感じさせる要素がほとんど露出していないため、洋室仕様の他室71と相性が良く、現代的な印象の強い居室部2Aとすることができる。
【0032】
また
図5及び
図6に示すように、木板パネル6を戸袋2B内に収納し、障子戸51をスライドさせて窓4の前に配置させると、第1板の間21aに窓4を露出させた状態と比較して和の要素を高めることができ、落ち着いた印象の居室部2Aとすることができる。またこの状態では、屋外空間3からの外光が障子戸51の和紙51cを通じて拡散されるため、柔らかな明るさを感じる室空間を演出することができる。
【0033】
そして、
図1及び
図2に示すように、木板パネル6を第2壁体W2に当接するまでスライドさせるとともに障子戸51で窓4を覆うと、第1板の間21aに障子戸51のみを露出させた場合と比較して、より和の要素を高めることができる。このとき、図示するように木板パネル6に花瓶64を設置したり、木板パネル6前の床面に器66を設置するなど、和のしつらえを施すことにより、より趣のある和室空間を構築することができる。そして
図9及び
図10に示すように、障子戸51で窓4を覆った状態で木板パネル6を第1板の間21aの略中央に配置すると、第1板の間21aの壁の意匠を、障子戸51、木板パネル6、及び第1非開口壁部W11を組み合わせたものとすることができ、より多くのバリエーションに富んだしつらえを施すことが可能となる。
【0034】
このように、本願の和室の内装構造1は、障子戸5及び木板パネル6をスライドさせることにより、居室部2A内の雰囲気を状況に応じて容易に変化させることができるので、現代のライフスタイルに適合させながらも伝統的な和の要素を併せ持つこれまでにない和室空間を構築することができる。また障子戸51及び木板パネル6を収納する戸袋2Bは、居室部2Aから視認されないため、居室部2Aの美観性を保持することができる。なお、本実施形態では第1壁体W1に第1非開口壁部W11を形成しているが、第1非開口壁部W11を形成せず、開口部D1の幅を第2壁体W2から第3壁体W3まで広げてもよい。
【0035】
本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係る和室の内装構造は、住宅内に和室を配置する際に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 和室の内装構造
2 和室
2B 戸袋
21a 第1板の間(板の間)
21c 第1板の間(板の間)の天井
21d ピクチャーレール
3 屋外空間
4 窓
4a 窓の屋内側の面
5 内障子
5a 障子戸を全閉した時の障子戸全体の幅
51 障子戸
6 木板パネル
6b 木板パネルの屋内側の面
63 フック
W1 第1壁体(壁体)
W11 第1非開口壁部(非開口壁部)
D1 開口部
D1a 開口部の水平方向の一端
D1b 開口部の水平方向の他端