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特許7476781情報処理装置、情報処理方法、プログラム、および格納施設
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラム、および格納施設
(51)【国際特許分類】
   B65G 63/00 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
B65G63/00 H
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020207692
(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公開番号】P2022094675
(43)【公開日】2022-06-27
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】氏福 誠治
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 継彦
(72)【発明者】
【氏名】長田 翔
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 まゆ
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-239359(JP,A)
【文献】特表2006-519150(JP,A)
【文献】特開2000-076220(JP,A)
【文献】特開2019-104578(JP,A)
【文献】特開2011-162349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 63/00-63/06
B65G 1/00- 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を消費する冷凍用の温度帯に設定可能な第1コンテナおよび前記冷凍用の温度帯より温度の高いチルド用の温度帯に設定可能な第2コンテナと、電力を消費しない第3コンテナとを含む複数種類のコンテナを格納可能な格納施設において、複数の格納候補位置から前記コンテナを格納する格納位置を決定する制御部を備えた情報処理装置であって、
前記制御部は、
所定の時点において前記格納施設に前記所定の時点から搬入される前記コンテナおよび既に格納されている前記コンテナをそれぞれ識別する識別情報によって識別される、搬入される前記コンテナおよび格納されている前記コンテナそれぞれの搬入出スケジュール情報を含むコンテナ情報、および前記格納施設に格納されるコンテナのコンテナ配置情報を取得して記憶部に格納し、
前記記憶部から、取得した前記識別情報に基づいた前記コンテナ情報および前記コンテナ配置情報を読み出し、
前記コンテナ情報および前記コンテナ配置情報に基づいて、前記所定の時点において前記格納施設に前記所定の時点から搬入される前記コンテナを前記搬入出スケジュール情報による所定期間だけ格納する場合の格納位置を前記格納施設内に格納される前記コンテナ全体での消費電力により決定する
情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記制御部が取得した、前記格納施設におけるコンテナの格納位置の環境に関する環境情報が更に格納され、
前記制御部は、前記記憶部から、取得した前記識別情報に基づいた前記コンテナ情報、前記コンテナ配置情報、および前記環境情報を読み出し、前記コンテナ情報、前記コンテナ配置情報、および前記環境情報に基づいて、前記格納施設に前記所定の時点から搬入される前記コンテナを前記所定期間だけ格納する場合の格納位置を、前記消費電力が最大となる格納候補位置以外の格納候補位置から決定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記消費電力が最大となる消費電力と最小となる消費電力との平均の消費電力以下となる格納候補位置から前記格納位置を決定する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記消費電力が最小となる格納候補位置を格納位置として決定する
請求項2または3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記記憶部から前記コンテナ情報、前記コンテナ配置情報、および前記環境情報を入力パラメータとして取得し、前記記憶部から読み出した前記コンテナ情報、前記コンテナ配置情報、および前記環境情報をコンテナ配置学習モデルに入力し、
前記複数の格納候補位置から、前記搬入されたコンテナを格納する少なくとも1箇所の格納候補位置を出力パラメータとして出力し、
前記コンテナ配置学習モデルは、前記記憶部に蓄積された前記コンテナ情報、前記コンテナ配置情報、および前記環境情報の少なくとも一部を学習用入力パラメータとし、前記複数の格納候補位置からあらかじめ選択された格納候補位置を学習用出力パラメータとして、機械学習によって生成された学習モデルである
請求項2~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記コンテナ情報は、前記コンテナを前記格納施設に保管する保管期間の情報を含む
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記コンテナ情報は、前記コンテナの種類および当該コンテナに収納する収納物の情報を含む
請求項1~6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記環境情報は、
前記格納施設内の複数の格納候補位置における、温度、湿度、風向き、風速、天候、日付に関連付けされた日の出および日の入りの時刻、および天空における太陽の軌跡のうちの少なくとも1つの情報を含む
請求項2、または請求項2を引用する請求項3~7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
電力を消費する冷凍用の温度帯に設定可能な第1コンテナおよび前記冷凍用の温度帯より温度の高いチルド用の温度帯に設定可能な第2コンテナと、電力を消費しない第3コンテナとを含む複数種類のコンテナを格納可能な格納施設において、複数の格納候補位置から前記コンテナを格納する格納位置を決定する制御部を備えた情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
所定の時点において前記格納施設に前記所定の時点から搬入される前記コンテナおよび既に格納されている前記コンテナそれぞれ識別する識別情報によって識別される、搬入される前記コンテナおよび格納されている前記コンテナそれぞれの搬入出スケジュール情報を含むコンテナ情報、および前記格納施設に格納された少なくとも1台の前記コンテナの格納状況に関するコンテナ配置情報を取得して記憶部に格納し、
前記記憶部から、取得した前記識別情報に基づいた前記コンテナ情報および前記コンテナ配置情報を読み出し、
前記コンテナ情報および前記コンテナ配置情報に基づいて、前記所定の時点において前記格納施設に前記所定の時点から搬入される前記コンテナを前記搬入出スケジュール情報による所定期間だけ格納する場合の格納位置を前記格納施設内に格納されるコンテナ全体での消費電力により決定する
情報処理方法。
【請求項10】
電力を消費する冷凍用の温度帯に設定可能な第1コンテナおよび前記冷凍用の温度帯より温度の高いチルド用の温度帯に設定可能な第2コンテナと、電力を消費しない第3コンテナとを含む複数種類のコンテナを格納可能な格納施設において、複数の格納候補位置から前記コンテナを格納する格納位置を決定する制御部を備えた情報処理装置における前記制御部に、
所定の時点において前記格納施設に前記所定の時点から搬入される前記コンテナおよび既に格納されている前記コンテナそれぞれ識別する識別情報によって識別される、搬入される前記コンテナおよび格納されている前記コンテナそれぞれの搬入出スケジュール情報を含むコンテナ情報、および前記格納施設に格納された少なくとも1台の前記コンテナの格納状況に関するコンテナ配置情報を取得して記憶部に格納し、
前記記憶部から、取得した前記識別情報に基づいた前記コンテナ情報および前記コンテナ配置情報を読み出し、
前記コンテナ情報および前記コンテナ配置情報に基づいて、前記所定の時点において前記格納施設に前記所定の時点から搬入される前記コンテナを前記搬入出スケジュール情報による所定期間だけ格納する場合の格納位置を前記格納施設内に格納されるコンテナ全体での消費電力により決定する
ことを実行させるプログラム。
【請求項11】
電力を消費するコンテナを格納可能な複数の格納位置を備えた格納施設であって、
請求項1~8のいずれか1項に記載の情報処理装置を備える
格納施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、プログラム、および格納施設に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内部の温度を一定に保持する機能を有したリーファコンテナを載置するリーファーエリアを有したコンテナターミナルにおいて、リーファーエリアに設置するリーファーエリア用移動屋根であって、リーファーエリアに設置したリーファースタンドの間に遮光性部材を配置し、遮光性部材をリーファースタンドに沿って開閉自在に構成する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-37573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載された技術においては、個々のリーファコンテナにおける消費電力を低減することを目的としている。ところが、コンテナなどの輸送容器が載置されるコンテナターミナルなどの格納施設に格納されるコンテナは、収納物に対応した温度制御機能を持たないドライコンテナと、収納物に対応した低温での輸送制御機能を有するリーファコンテナとがあるが、同じリーファコンテナであっても収納物によって設定する温度が異なるため、消費する消費電力も異なる。また、リーファコンテナの中には、通常よりも更に低温(例えば、-70℃程度)での制御可能なものや、温度制御の他に二酸化炭素濃度をコントロール可能で、青果物の鮮度維持に有用なものなどもある。
【0005】
このようにリーファコンテナは、内部温度が収納物に最適な温度帯となるように設定される。リーファコンテナの内部温度は具体的に、収納物が冷凍食品の場合には-20℃程度に維持され、野菜や果物などのチルド品の場合には0℃程度に維持される。特に、収納物がチルド品であるリーファコンテナにおいては、内部温度を0℃程度で一定に維持するために、ファンを動作させてコンテナ内部に通風を行って空気循環させる必要がある。すなわち、チルド品は、庫内の空気を循環させる必要から、温度の制御に加えてファンを駆動させる必要がある。したがって、リーファコンテナの消費電力は、収納物がチルド品の場合の方が、収納物が冷凍食品である場合の消費電力に加えて、ファンを駆動させるための電力だけ多くなる。また、リーファコンテナは、内部の温度を一定に維持する必要があることから、リーファコンテナの収納施設における温度、湿度、日光の照射の有無などのコンテナの周辺の環境に応じて消費電力が異なる。
【0006】
このように、リーファコンテナなどの電力を消費するコンテナは、収納する収納物の種類に対応して設定される内部温度や配置場所における環境に応じて消費電力が異なる。そのため、収納する収納物の種類に対応して設定される内部温度や配置場所における環境に応じて、消費電力を低減する技術が求められていた。
【0007】
また格納施設に搬入出されるコンテナの格納スケジュールはまちまちであり、個々のコンテナの消費電力が低減できる最適位置に必ずしも配置できるとは限らないのが実情である。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、電力を消費するコンテナを格納施設に格納させる場合に、個々のコンテナの消費電力ではなく格納施設全体の消費電力を低減することができる情報処理装置、情報処理方法、プログラム、および格納施設を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る情報処理装置は、電力を消費するコンテナを格納可能な格納施設において、複数の格納候補位置からコンテナを格納する格納位置を決定する制御部を備えた情報処理装置であって、前記制御部は、前記格納施設に搬入される前記コンテナを識別する識別情報によって識別されるコンテナ情報、前記格納施設に格納されるコンテナのコンテナ配置情報を取得して記憶部に格納し、前記記憶部から、取得した前記識別情報に基づいた前記コンテナ情報、前記コンテナ配置情報を読み出し、搬入されたコンテナを所定期間だけ格納する場合の格納位置を、前記コンテナ情報および前記コンテナ配置情報に基づく前記格納施設内に格納されるコンテナ全体での消費電力により決定する。
【0010】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、上記の発明において、前記記憶部は、前記制御部が取得した、前記格納施設におけるコンテナの格納位置の環境に関する環境情報が更に格納され、前記制御部は、前記記憶部から、取得した前記識別情報に基づいた前記コンテナ情報、前記コンテナ配置情報及び前記環境情報を読み出し、前記搬入されたコンテナを所定期間だけ格納する場合の格納位置を、前記コンテナ情報、前記コンテナ配置情報及び前記環境情報に基づく、前記消費電力が最大となる格納候補位置以外の格納候補位置から前記格納位置を決定する。
【0011】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、上記の発明において、前記制御部は、前記消費電力が最大となる消費電力と最小となる消費電力との平均の消費電力以下となる格納候補位置から前記格納位置を決定する。
【0012】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、上記の発明において、前記制御部は、前記消費電力が最小となる格納候補位置を格納位置として決定する。
【0013】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、上記の発明において、前記制御部は、前記記憶部から前記コンテナ情報、前記コンテナ配置情報、および前記環境情報を入力パラメータとして取得し、前記記憶部から読み出した前記コンテナ情報、前記コンテナ配置情報、および前記環境情報をコンテナ配置学習モデルに入力し、前記複数の格納候補位置から、前記搬入されたコンテナを格納する少なくとも1箇所の格納候補位置を出力パラメータとして出力し、前記コンテナ配置学習モデルは、前記記憶部に蓄積された前記コンテナ情報、前記コンテナ配置情報、および前記環境情報の少なくとも一部を学習用入力パラメータとし、前記複数の格納候補位置からあらかじめ選択された格納候補位置を学習用出力パラメータとして、機械学習によって生成された学習モデルである。
【0014】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、上記の発明において、前記コンテナ情報は、前記コンテナを前記格納施設に保管する保管期間の情報を含む。
【0015】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、上記の発明において、前記コンテナ情報は、前記コンテナの種類および当該コンテナに収納する収納物の情報を含む。
【0016】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、上記の発明において、前記環境情報は、前記格納施設内の複数の格納候補位置における、温度、湿度、風向き、風速、天候、日付に関連付けされた日の出および日の入りの時刻、および天空における太陽の軌跡のうちの少なくとも1つの情報を含む。
【0017】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、電力を消費するコンテナを格納可能な格納施設において、複数の格納候補位置から前記コンテナを格納する格納位置を決定する制御部を備えた情報処理装置が実行する情報処理方法であって、前記格納施設に搬入される前記コンテナを識別する識別情報を含むコンテナ情報、前記格納施設に格納された少なくとも1台の前記コンテナの格納状況に関するコンテナ配置情報を取得して記憶部に格納し、前記記憶部から、取得した前記識別情報に基づいた前記コンテナ情報、前記コンテナ配置情報を読み出し、搬入されたコンテナを所定期間格納する場合の格納位置を、前記コンテナ情報、前記コンテナ配置情報に基づく前記格納施設内に格納されるコンテナ全体での消費電力により決定する。
【0018】
本発明の一態様に係るプログラムは、電力を消費するコンテナを格納可能な格納施設において、複数の格納候補位置から前記コンテナを格納する格納位置を選択する制御部を備えた情報処理装置における前記制御部に、前記格納施設に搬入される前記コンテナを識別する識別情報を含むコンテナ情報、前記格納施設に格納された少なくとも1台の前記コンテナの格納状況に関するコンテナ配置情報を取得して記憶部に格納し、前記記憶部から、取得した前記識別情報に基づいた前記コンテナ情報、前記コンテナ配置情報を読み出し、搬入されたコンテナを所定期間格納する場合の格納位置を、前記コンテナ情報、前記コンテナ配置情報に基づく前記格納施設内に格納されるコンテナ全体での消費電力により決定することを実行させる。
【0019】
本発明の一態様に係る格納施設は、電力を消費するコンテナを格納可能な複数の格納位置を備えた格納施設であって、上記の発明による情報処理装置を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る情報処理装置、情報処理方法、プログラム、および格納施設は、電力を消費するコンテナを格納施設に格納させる場合に、格納施設の消費電力を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一実施形態による情報処理装置を適用した港湾管理システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施形態によるコンテナの格納庫を説明するための図である。
図3図3は、本発明の一実施形態による格納庫において消費電力が低減できるコンテナの格納位置について説明するための例を示す図である。
図4図4は、本発明の一実施形態によるコンテナの格納方法を説明するためのフローチャートである。
図5図5は、本発明の一実施形態による学習装置が出力するコンテナの格納位置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の一実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。また、本発明は以下に説明する一実施形態によって限定されるものではない。また、以下に説明する一実施形態は、例えば、コンテナ流通業務に関連したコンテナなどの輸送容器の格納に関するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態による情報処理装置を適用した管理システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本発明の一実施形態による管理システムとしての格納管理システム1は、ネットワーク2を介して互いに通信可能な、学習装置10、管理装置20、格納施設30、および気象情報サーバ40を有する。なお、管理装置20が学習装置10を備えてもよい。管理装置20は、ネットワーク2を介して格納施設30から各種情報を収集可能に構成される。
【0024】
ネットワーク2は、例えば、インターネットなどの公衆通信網であって、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、携帯電話などの電話通信網や公衆回線、VPN(Virtual Private Network)、および専用線などの一または複数の組み合わせからなる。ネットワーク2は、有線通信および無線通信が適宜組み合わされている。
【0025】
(格納施設)
コンテナ格納施設としての格納施設30は例えば、コンテナ38が通過するゲート31およびコンテナ38が格納される格納庫35などを備えた格納施設である。ゲート31は、少なくとも1台のカメラなどの撮像装置を有する撮像部32、および少なくとも1台のセンサを有するセンサ部33を備える。撮像部32を構成する撮像装置は、静止画を撮像するカメラや動画を撮像するカメラなどを挙げることができる。センサ部33を構成するセンサは、レーザを照射するレーザスキャンセンサやTOF(Time Of Flight)カメラなどの測距センサ、X線を照射するX線センサ、および赤外線を照射する赤外線センサなどを挙げることができる。なお、コンテナ38の識別情報としてのコンテナ識別IDを検知可能であれば、撮像部32およびセンサ部33のいずれか一方を備えていればよい。ゲート31は、輸送容器としてのコンテナ38を積載した例えば車両などの移動体50が通過可能に構成される。なお、ゲート31を通過する移動体50は、車両以外にも、コンテナ38を積載可能な種々の移動体であってもよい。
【0026】
図2は、本実施形態による格納庫35の一例を示す斜視図である。図2に示すように、格納庫35は、コンテナ38を載置する棚351、種々の位置に配置されたセンサ部352を備える。センサ部352は、例えば温度を計測する温度計を備える。格納庫35の棚351には例えば、ドライコンテナ38a、冷凍用の温度帯に温度設定されたリーファコンテナ38b(以下、冷凍用リーファコンテナ38b)、およびチルド用の温度帯に温度設定されたリーファコンテナ38c(以下、チルド用リーファコンテナ38c)が載置されて格納されている。冷凍用リーファコンテナ38bは、収納物が例えば冷凍食品などであって内部温度が例えば-10℃以下の低温に維持される。チルド用リーファコンテナ38cは、収納物が例えばチルド品などであって内部温度が例えばー10℃を超えて4℃以下に維持される。また、図1に示すように、格納庫35にはコンテナクレーン39が設けられている。コンテナクレーン39によって、コンテナ38を格納庫35内の所望の位置に格納することができる。なお、格納庫35は、複数段の棚351から構成される立体格納庫の例に限定されず、コンテナ38が載置されたコンテナヤードの概念も含む。
【0027】
(学習装置)
図1に戻り、本実施形態において機械学習装置としての学習装置10は、管理装置20から、格納施設30の格納庫35におけるコンテナ38の配置の情報などを取得可能に構成される。学習装置10は、格納施設30のゲート31において、撮像部32により撮像されたりセンサ部33により検知されたりして得られたコンテナ38のコンテナ識別IDを、通信部(図示せず)を介して取得可能としてもよい。なお、撮像部32が動画を撮像した場合の映像データは、複数の画像データとして扱うことができるので、画像データは映像データの概念を含む。また、学習装置10は、後述する気象情報サーバ40から、通信部42を介して送信される気象情報を、ネットワーク2を介して収集するデータ収集処理を実行する。
【0028】
学習装置10は、収集した種々の情報によって機械学習を実行可能である。学習装置10は、制御部11、記憶部12、通信部13、出力部14、および入力部15を備える。
【0029】
制御部11は、具体的に、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプロセッサ、およびRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの主記憶部(いずれも図示せず)を備える。
【0030】
記憶部12は、物理的には、RAMなどの揮発性メモリ、ROMなどの不揮発性メモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)、ソリッドステートドライブ(SSD、Solid State Drive)、およびリムーバブルメディアなどから選ばれた記憶媒体から構成される。なお、リムーバブルメディアは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、または、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、またはBD(Blu-ray(登録商標) Disc)のようなディスク記録媒体である。また、外部から装着可能なメモリカードなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体を用いて記憶部12を構成してもよい。記憶部12には、学習装置10の動作を実行するための、オペレーティングシステム(Operating System:OS)、各種プログラム、各種テーブル、各種データベースなどが記憶可能である。各種プログラムには、本実施形態による学習モデルやニューラルネットワーク(Neural Network)、および学習モデルやニューラルネットワークに基づいた処理を実現するプログラムも含まれる。これらの各種プログラムは、ハードディスク、フラッシュメモリ、CD-ROM、DVD-ROM、フレキシブルディスクなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して広く流通させることも可能である。
【0031】
記憶部12には、コンテナ配置情報データベース121、コンテナ情報データベース122、環境情報データベース123、およびコンテナ配置学習モデル124が格納されている。コンテナ配置情報データベース121には、格納庫35に格納されたコンテナ38の配置に関する情報(コンテナ配置情報)が格納される。コンテナ配置情報は、格納施設30内における格納位置のアドレス情報(位置情報)である。コンテナ配置情報は、後述するコンテナ情報データベース122のコンテナ情報や環境情報データベース123の環境情報に基づいて、格納施設30内においてすでに格納されているコンテナや、格納が予定されているコンテナがどのような状況で格納されるかの情報を含む。
【0032】
コンテナ情報データベース122には、格納庫35に現在格納されているコンテナ38のみならず、過去に格納されていたコンテナ38や、現在以後に格納庫35に格納される予定のコンテナ38に関する情報(以下、まとめて、コンテナ情報)が、コンテナ識別IDに関連付けされて格納されている。コンテナ情報は、コンテナ38が、ドライコンテナであるかリーファコンテナであるかのコンテナの種類に関する情報や、リーファコンテナ内に収納される収容物が冷凍品かチルド品か、青果などの二酸化炭素濃度制御が必要な品物か、といった収納物に関する情報や、コンテナ38が搬入される日時および搬出される日時(搬入出スケジュール)の情報や、コンテナ38が格納庫35に格納される期間(保管期間)の情報や、コンテナ38の内部の温度(庫内温度)の情報を含む。
【0033】
環境情報データベース123には、格納庫35に関連した環境に関する情報(環境情報)が格納されている。環境情報は、既知の方法で取得される格納庫35のGPS情報に基づいて、格納庫35の種々の配置位置における温度や湿度、風向き、風速、天候、日付に関連付けされた日の出や日の入りの時刻、天空における太陽の軌跡などの、それぞれのコンテナ38の格納位置(格納場所)における環境に関する情報である。環境情報は、気象情報サーバ40から取得可能な気象情報を含む。
【0034】
本実施形態において制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラムを主記憶部の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部などを制御することで、所定の目的に合致した機能を実現できる。具体的に、制御部11は、プログラムの実行によって、学習部111、判定部112、演算部113、および状態入力部114の機能を実現できる。
【0035】
制御部11によるプログラムの実行によって、学習部111の機能が実行される。学習部111は、学習装置10が受信した入出力データセットに基づいて機械学習を行うことができる。学習部111は、学習したコンテナ38の配置に関する学習結果を、容器配置学習モデルとしてのコンテナ配置学習モデル124として記憶部12に記憶させる。学習部111は、学習が行われたニューラルネットワークとは別に、所定のタイミングで、当該タイミングにおける最新の学習モデルを、記憶部12に記憶させてもよい。記憶部12に記憶させる際には、古いコンテナ配置学習モデル124を削除して最新のコンテナ配置学習モデル124を記憶させる更新でもよいし、古いコンテナ配置学習モデル124の一部または全部を保存したまま最新のコンテナ配置学習モデル124を記憶させる蓄積でもよい。なお、コンテナ配置学習モデル124は、例えばニューラルネットワークによる深層学習(ディープラーニング)により生成される学習モデルである。
【0036】
通信手段としての通信部13は、例えば、LAN(Local Area Network)インターフェースボードや、無線通信のための無線通信回路などである。LANインターフェースボードや無線通信回路は、ネットワーク2に接続される。通信部13は、ネットワーク2に接続して、管理装置20、格納施設30、または気象情報サーバ40との間で通信を行う。
【0037】
出力手段としての出力部14は、制御部11による制御に従って、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのディスプレイの画面上に、文字や図形などを表示したり、スピーカから音声を出力したりして、所定の情報を外部に通知するように構成される。さらに、出力部14は、印刷用紙などに所定の情報を印刷することによって出力するプリンタを含む。記憶部12に格納された各種情報は、例えば所定の事務所などに設置された出力部14のモニタなどで確認することができる。入力手段としての入力部15は、例えば、キーボードや出力部14の内部に組み込まれて表示パネルのタッチ操作を検出するタッチパネル式キーボード、または外部との間の通話を可能とする音声入力デバイスなどから構成される。なお、出力部14および入力部15を一体化させて、例えばタッチパネルディスプレイやスピーカマイクロホンなどの入出力部としてもよい。
【0038】
(管理装置)
管理装置20は、ネットワーク2を介して学習装置10、格納施設30、および気象情報サーバ40と通信可能な構成を有する。管理装置20は、制御部21、記憶部22、通信部23、出力部24、および入力部25を備える。制御部21、記憶部22、通信部23、出力部24、および入力部25はそれぞれ、物理的および機能的には、上述した制御部11、記憶部12、通信部13、出力部14、および入力部15と同様の構成を有する。
【0039】
本実施形態において制御部21は、記憶部22に記憶されたプログラムを主記憶部の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部などを制御することで、所定の目的に合致した機能を実現できる。具体的に、制御部21は、プログラムの実行によって、格納管理部211およびID認識部212の機能を実現できる。格納管理部211は、コンテナ38を格納施設30の格納庫35に搬入して格納したり格納庫35から搬出したりする、コンテナ38の搬入出に関する各種の管理を行う。ID認識部212は、個々のコンテナ38から、これらのコンテナ38を相互に識別するための固有のコンテナ識別IDを取得する。コンテナ識別IDは、コンテナ38に対して、撮像部32が撮像して得た画像データや、センサ部33によって検知することが可能である。コンテナ識別IDは、個々のコンテナ38を互いに識別するための各種情報を含み、コンテナ38に関連する情報の通信に際して、学習装置10や管理装置20にアクセスするために必要な情報を含む。格納管理部211は、それぞれのコンテナ38における消費電力の情報を、コンテナ識別IDに関連付けして逐次取得する。同様に、格納管理部211は、格納施設30および格納庫35における消費電力の情報を逐次取得する。取得した消費電力の情報は、記憶部22に格納される。
【0040】
記憶部22には、コンテナ配置情報データベース221、コンテナ情報データベース222、および環境情報データベース223が格納されている。コンテナ配置情報データベース221、コンテナ情報データベース222、および環境情報データベース223はそれぞれ、学習装置10の記憶部12に格納された、コンテナ配置情報データベース121、コンテナ情報データベース122、および環境情報データベース123と同様の情報が格納されている。コンテナ配置情報データベース221は、学習装置10のコンテナ配置情報データベース121と同期できる。コンテナ情報データベース222は、学習装置10のコンテナ情報データベース122と同期できる。環境情報データベース223は、学習装置10の環境情報データベース123と同期でき、気象情報サーバ40の気象情報データベース43の一部とも同期できる。
【0041】
通信部23は、ネットワーク2に接続して、学習装置10、格納施設30、および気象情報サーバ40との間で通信可能である。通信部23は、制御部21による制御に基づいて出力される指令信号によって、撮像部32が撮像した画像情報やセンサ部33により得られたセンサ情報などの各種情報を収集する。なお、通信部23によって送受信される情報は、これらの情報に限定されない。本実施形態において管理装置20は、ネットワーク2を介して通信可能なクラウドサーバとして機能させることもできる。
【0042】
(気象情報サーバ)
気象情報サーバ40は、制御部41、通信部42、および記憶部(図示せず)に格納された気象情報データベース43を備える。制御部41、通信部42、および記憶部はそれぞれ、物理的および機能的には、上述した制御部11,21および通信部13,23、および記憶部12,22と同様の構成を有する。気象情報データベース43は、個人が所有する端末、気象衛星、または他の気象情報サーバなどから取得する天気や気温などの気象に関する情報から構成される。
【0043】
(学習方法)
次に、本実施形態による上述した格納管理システム1における学習装置10による学習方法について説明する。本実施形態による学習方法は、まず、学習装置10におけるコンテナ配置情報データベース121を、管理装置20におけるコンテナ配置情報データベース221と同期させる。学習装置10の制御部11における学習部111は、コンテナ配置情報データベース121に格納されたコンテナ配置情報を取得する。これにより、管理装置20のコンテナ配置情報データベース221に蓄積されたコンテナ配置情報からコンテナ38の格納庫35におけるアドレス情報を取得できる。
【0044】
一方、コンテナ配置学習モデル124は、学習用入力パラメータとして、所定の時点において、コンテナ配置情報データベース121から取得したコンテナ配置情報、コンテナ情報データベース122から取得したコンテナ情報、環境情報データベース123から取得した環境情報、それぞれのセンサ部352によって計測された格納庫35の種々の位置における温度や湿度などのセンサ計測情報を用いる。所定の時点としては、現時点で計測した値(現在値)、過去の時点で計測した値(履歴値)、例えば予想気温などの、所定の時点より将来の時点での予測された値(予測値)などを用いる。
【0045】
一方、学習用出力パラメータとしては、格納庫35における格納位置の情報である。学習用出力パラメータとしての格納位置の情報は、搬入したコンテナ38を所定期間格納して保管しておく間に、格納庫35の全体における消費電力が低減できる格納庫35内における格納位置の情報である。ここで、消費電力が低減できる位置について、図3を用いて説明する。図3は、消費電力が低減できる位置について説明するための格納庫の例を示す図である。
【0046】
図3の左側は、ドライコンテナ38a、冷凍用リーファコンテナ38b、およびチルド用リーファコンテナ38cがそれぞれ収納されている格納庫35において、新規のチルド用リーファコンテナ38dが搬入される前の状態の例を示す。新規のチルド用リーファコンテナ38dが搬入される時点において、格納されているコンテナ38はそれぞれ、あらかじめ計画された搬入出スケジュールに基づいた期間において、搬入、保管、および搬出される。ここで、新たに搬入される新規のチルド用リーファコンテナ38dの格納庫35内における格納位置を決定する。格納位置の決定においては、これから搬入される新規のチルド用リーファコンテナ38dがある位置に格納されてから、所定期間が経過した後に搬出されるまでの間において、例えば格納庫35内のコンテナ38の全体における消費電力量が最も小さくなる位置を、複数の格納候補位置の中から決定する。
【0047】
図3に示す例においては、格納候補位置として、最下段の左側(パターンA)、中段の右側(パターンB)、最上段の中央(パターンC)の候補があるとする。格納庫35に格納されている全てのコンテナ38a,38b,38cが、新規のチルド用リーファコンテナ38dの搬出される予定の時点(例えば、搬入から7日後)より後に搬出されると仮定した場合、搬入される新規のチルド用リーファコンテナ38dの格納位置を、上述したパターンA~Cの候補となる格納位置に配置した場合の、格納庫35の全体の消費電力量を算出する。そして、新規のチルド用リーファコンテナ38dの格納位置は、上述した全体の消費電力量が最も小さいと判断された格納候補位置を選択して決定する。
【0048】
図3に示すように、学習装置10の演算部113は、パターンA~Cの候補となる格納位置のそれぞれに、チルド用リーファコンテナ38dを、所定期間の例えば7日間配置した場合、当該位置に配置されている間のチルド用リーファコンテナ38dにおいて消費される消費電力量を、当該位置に配置されることによって生ずる環境情報を考慮した形で算出して推定する。具体的に例えば、パターンAの場合、演算部113は、当該位置にコンテナ38dが配置されることによって変動する環境の影響を受けるコンテナ38a、コンテナ38b、およびコンテナ38cの消費電力量を同様に算出して推定する。演算部113は、これらのコンテナ38a~38dの消費電力の合計値の保管期間における1日当たりの平均値を算出する。すなわち、演算部113は、コンテナ38aの消費電力量+コンテナ38bの消費電力量+コンテナ38cの消費電力量+コンテナ38dの消費電力量における、保管期間における1日当たりの平均値を算出する。
【0049】
図3に示す例においては、消費電力量の平均は例えば、パターンAにおいて50kW/日、パターンBにおいて70kW/日、パターンCにおいて100kW/日と算出されるとする。この場合、新規のチルド用リーファコンテナ38dの格納期間において最も格納庫35の全体の消費電力量が抑制できるのは、パターンAの場合となる。
【0050】
以上のように決定した格納位置を、学習装置10の学習部111によってコンテナ配置学習モデル124を生成するための学習用出力パラメータにおける格納位置情報として用いる。なお、単純化するために既に格納されているコンテナ38a~38cの位置は、これから配置する新規のチルド用リーファコンテナ38dが格納されて搬出されるまで、変更しないことを前提としている。しかしながら、実際には、コンテナ38dが格納されている間に既に格納されていたコンテナ38a~38cが搬出されたり、さらに新たな別のコンテナが搬入されたりする場合も想定される。そこで、コンテナ配置学習モデル124によるコンテナ38dの格納位置の決定は、コンテナ38dが搬入されてから搬出されるまでの間において、格納庫35に搬入出される全てのコンテナの搬入出スケジュール情報に基づいて、消費電力合計量が低減できる位置を探索し、決定可能に学習させることによって決定することになる。
【0051】
また、消費電力合計値は必ずしも最小の消費電力合計値に限定されるものではなく、合算した消費電力値が最大になる格納位置以外の格納位置、好適には消費電力の合計の最大と最小との平均以下であっても良い。
【0052】
ここで、消費電力の比較においては、単位時間当たりの消費電力や、搬入されたコンテナ38が格納されている保管期間での消費電力や、24時間当たりの消費電力などの種々の時間の消費電力を採用することが可能である。コンテナ配置学習モデル124は、上述した学習用入力パラメータおよび学習用出力パラメータを教師データとして、例えばディープラーニングなどの機械学習によって生成される。
【0053】
以上により、コンテナ配置学習モデル124は、所定の時点、例えば現在の時点において、上述した情報、すなわち、搬入するコンテナ38、およびすでに格納されているコンテナ38における、コンテナの格納状況に関するコンテナ配置情報、コンテナ情報、環境情報、センサ計測情報における、履歴値、現在値、および予測値を入力パラメータとして入力すると、格納施設30の消費電力を、コンテナ38を空いている領域にランダムに格納した場合に比して低減できる少なくとも1箇所の格納位置の情報を、出力パラメータとして出力することができる。換言すると、コンテナ配置学習モデル124は、コンテナ38を、仮に、空いている領域のそれぞれの格納位置にそれぞれ格納した場合に格納庫35の消費電力が低減できる格納位置、例えば消費電力の合計のうちの最大の消費電力未満、好適には消費電力の合計が最小となる格納位置を少なくとも1箇所選択して、選択した格納位置の情報を、出力パラメータとして出力することができる。
【0054】
なお、上述した教師あり学習としてのディープラーニングなどの機械学習以外にも、教師なし学習としての強化学習を行うことも可能である。すなわち、格納庫35の空いている位置にコンテナ38をランダムに載置した場合における格納施設30の消費電力からの消費電力の低減分を報酬として、強化学習によりコンテナ配置学習モデル124を生成することも可能である。
【0055】
(情報処理方法)
次に、以上のように構成された格納管理システム1における学習装置10、管理装置20、格納施設30、および気象情報サーバ40において実行されるコンテナ38の格納方法について説明する。図4は、本実施形態によるコンテナの格納方法を説明するためのフローチャートである。なお、学習装置10と管理装置20と格納施設30と気象情報サーバ40との間における情報の送受信、供給、または取得は、ネットワーク2を介して実行されるが、都度の説明は省略する。
【0056】
図4に示すように、ステップST1において、コンテナ38を積載した移動体50が格納施設30のゲート31を通過して、コンテナ38が格納施設30に搬入される。この際、ゲート31に設けられた撮像部32およびセンサ部33の少なくとも一方によって、コンテナ38の外面、具体的に例えばコンテナ38の撮像可能な面を撮像して画像情報を取得したり、コンテナ38に対してセンシングすることによりセンサ情報を取得したりする。なお、撮像部32による撮像とセンサ部33によるセンシングのいずれか一方のみを実行してもよく、さらに作業者による目視による検査結果を画像情報やセンサ情報に追加してもよい。撮像部32が撮像した画像情報は、管理装置20に送信され、制御部21のID認識部212が取得する。また、格納施設30への搬入方法は、移動体50に積載される方法以外にも種々の方法を採用することが可能であり、特に限定されるものではない。
【0057】
次に、ステップST2に移行してID認識部212は、取得した画像情報に基づいて、コンテナ38のコンテナ識別IDを認識する。通常、コンテナ38に固有のコンテナ識別IDは、コンテナ38の外面に表示されているため、ID認識部212は、画像情報からコンテナ識別IDを抽出して認識できる。なお、コンテナ識別IDがRFIDなどによって記録されている場合には、センサ部33によってコンテナ識別IDをセンシングするようにしてもよい。ID認識部212は、認識したコンテナ識別IDをコンテナ配置情報データベース221およびコンテナ情報データベース222に格納する。
【0058】
続いて、ステップST3に移行してID認識部212は、認識したコンテナ識別IDを格納管理部211に出力する。格納管理部211は、取得したコンテナ識別IDに基づいて、コンテナ情報データベース222からコンテナ識別IDに関連付けされたコンテナ情報を読み出す。
【0059】
続いて、ステップST4に移行して格納管理部211は、コンテナ配置情報データベース221から、現在の格納庫35に格納されている少なくとも1台のコンテナ38のコンテナ配置情報を読み出す。格納管理部211は、読み出したコンテナ情報、およびコンテナ配置情報を学習装置10に送信する。
【0060】
ステップST5に移行して、学習装置10の制御部11の状態入力部114は、管理装置20から受信したコンテナ配置情報およびコンテナ情報をそれぞれ、コンテナ配置情報データベース121およびコンテナ情報データベース122に格納する。これにより、コンテナ配置情報データベース121,221およびコンテナ情報データベース122,222の同期が行われる。状態入力部114は、コンテナ配置情報およびコンテナ情報に基づいて、現在の格納庫35における状況を取得する。具体的に例えば、状態入力部114は、現在格納されているコンテナ38の格納位置の情報および空き位置の情報や、それぞれのセンサ部352によって計測された格納庫35の種々の位置における温度の情報などを取得する。また、状態入力部114は、気象情報サーバ40から気象情報を取得して環境情報データベース123に格納する。具体的に例えば、状態入力部114は、温度や日照などの気象情報における、過去の履歴値、現在値、および予測値と、環境状況に関する情報、天候、太陽の日照の日内変動とを取得して、環境情報データベース123に格納する。
【0061】
一方、判定部112は、記憶部12からコンテナ配置学習モデル124を読み出す。判定部112は、入力パラメータとして、記憶部12から、コンテナ配置情報、コンテナ情報、および環境情報を読み出して、コンテナ配置学習モデル124に入力させる。コンテナ配置学習モデル124は、出力パラメータとして、搬入されたコンテナ38における決定した格納位置を出力する。
【0062】
コンテナ配置学習モデル124から出力される、チルド用リーファコンテナ38cの格納位置としては、具体的に例えば、保管期間において、外気温の影響が最も小さくなる場所などが出力される。外気温の影響が最も小さくなる場所としては、例えば、気温の予測値に基づいて、保管期間における所定時間ごとの気温の累計が、格納庫35において、最大未満、好適には平均以下、より好適には最小になると予測できる場所である。格納位置における気温の累計が小さくなるほど、チルド用リーファコンテナ38cの消費電力は小さくなるためである。なお、冷凍用リーファコンテナ38bの格納位置についても同様であるが、チルド用リーファコンテナ38cに対する外気温の影響の低減が優先される。コンテナ配置学習モデル124は、格納庫35がコンテナヤードなどである場合、最も外気温が低い場所にチルド用リーファコンテナ38cが配置されるような格納位置を出力する。すなわち、コンテナ配置学習モデル124は、それぞれのリーファコンテナ38b,38c自体の電力の消費量を最小にする格納位置を導出して出力するのではなく、格納されているリーファコンテナ38b,38cの消費電力の合計が最大未満、好適には消費電力の合計の最大と最小との平均以下、より好適には最小になるような格納位置を導出して出力する。この場合、コンテナ配置学習モデル124は、チルド用リーファコンテナ38cなどの消費電力が大きいコンテナ38を優先して、周辺温度の上昇が比較的小さい格納位置を導出して出力する。また、コンテナ配置学習モデル124は、コンテナ38の保管期間や気象情報における天候、風向、および風速などの予測値に基づいて、外気温の上昇が比較的生じにくい場所を格納位置として導出して出力する。なお、上述した格納位置はあくまでも一例であり、搬入されたコンテナ38を格納する場合に、格納庫35の複数の格納位置から、複数の格納位置のそれぞれの格納位置に、搬入されたコンテナをそれぞれ格納した場合のうちから、格納施設に格納されたコンテナの消費電力の合計が最大となる格納位置以外の格納位置、好適には、消費電力の合計の最大と最小との平均以下、より好適には最小となる格納位置を選択すれば、上述した格納位置以外の格納位置であってもよい。
【0063】
また、ドライコンテナ38aに関しては外気温の影響を考慮する必要がない。そのため、コンテナ配置学習モデル124から出力されるドライコンテナ38aの格納位置としては例えば、ドライコンテナ38aを格納することによって、ドライコンテナ38aの保管期間において、すでに格納されていたり今後格納されたりする他のリーファコンテナ38b,38cに対する外気温の影響を低減できる位置などが出力される。また、コンテナ配置学習モデル124から出力されるドライコンテナ38aの格納位置としては例えば、太陽光が直接照射される場所などが出力される
【0064】
図5は、本実施形態による学習装置10が出力するコンテナの格納位置の一例を示す図である。チルド用リーファコンテナ38cは、保管期間において、日蔭になる時間が長い場所に格納することが好ましい。そのため、コンテナ配置学習モデル124は、搬入されてきたチルド用リーファコンテナ38cの格納位置として、保管期間において、日陰になって他の格納位置より外気温が低くなると推定される場所を出力したりする。また、図5に示すように、複数のチルド用リーファコンテナ38cが、太陽光が直接照射される格納位置にすでに格納されている場合、コンテナ配置学習モデル124は、新たに格納するコンテナ38の格納位置として、すでに格納されているチルド用リーファコンテナ38cに対して、太陽光を遮る場所を導出して出力する。これにより、チルド用リーファコンテナ38cに対して太陽光が直接照射されることを抑制できるので、すでに格納されているチルド用リーファコンテナ38cの消費電力を低減させることができる。すなわち、図5に示す格納位置Aの方が、格納位置Bよりも格納庫35を含む格納施設30における消費電力を低減させる効果が大きい。
【0065】
以上により、コンテナ配置学習モデル124は、入力パラメータとして、コンテナ配置情報、コンテナ情報、および環境情報が入力されると、出力パラメータとして、格納施設30の消費電力を、空いている領域にランダムにコンテナ38を格納する場合に比して低減できる格納位置の情報を出力することができる。
【0066】
学習装置10は、出力した格納位置の情報を、コンテナ識別IDと関連付けて、コンテナ配置情報データベース121に格納する一方、管理装置20に送信する。ステップST6に移行して管理装置20の格納管理部211は、受信したコンテナ38の格納位置の情報に基づいて、格納施設30のフォークリフトなどの荷役機やコンテナクレーン39に対して指示信号を送信する。指示信号を受信した荷役機やコンテナクレーン39は、受信した指示信号に基づいて、コンテナ38を指示された格納位置に格納するように制御される。以上により、実施形態によるコンテナの格納処理が終了する。なお、上述したコンテナの格納処理は、コンテナ38が格納施設30に搬入されるたびに繰り返し実行される。
【0067】
以上説明した一実施形態によれば、管理装置20が取得した、コンテナ情報、コンテナ配置情報、および環境情報に基づいて、学習装置10が、コンテナ配置学習モデル124によって、格納施設30における消費電力がコンテナ38をランダムな位置に格納した場合に比して小さくなるような場所を、コンテナ38の格納位置として導出して出力している。これにより、格納施設30における消費電力の低減を図ることができる。
【0068】
(記録媒体)
上述の一実施形態において、学習装置10や管理装置20が実行する処理方法を実行させるプログラムを、コンピュータその他の機械やウェアラブルデバイスなどの装置(以下、コンピュータなど、という)が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。コンピュータなどに、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、当該コンピュータなどが移動体制御装置として機能する。ここで、コンピュータなどが読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラムなどの情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータなどから読み取ることができる非一時的な記録媒体をいう。このような記録媒体のうちのコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、BD、DAT、磁気テープ、フラッシュメモリなどのメモリカードなどがある。また、コンピュータなどに固定された記録媒体としてハードディスク、ROMなどがある。さらに、SSDは、コンピュータなどから取り外し可能な記録媒体としても、コンピュータなどに固定された記録媒体としても利用可能である。
【0069】
また、一実施形態による学習装置10、および管理装置20に実行させるプログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。
【0070】
(その他の実施形態)
一実施形態においては、上述した「部」を、「回路」などに読み替えることができる。例えば、制御部は、制御回路に読み替えることができる。
【0071】
なお、本明細書におけるフローチャートの説明では、「まず」、「次に」、「その後」、「続いて」などの表現を用いてステップ間の処理の前後関係を明示していたが、本実施の形態を実施するために必要な処理の順序は、それらの表現によって一意的に定められるわけではない。すなわち、本明細書で記載したフローチャートにおける処理の順序は、矛盾のない範囲で変更することができる。
【0072】
なお、上述したように、実施形態においては格納位置の決定に機械学習を用いた例で説明しているが、格納位置の決定は、必ずしも機械学習を用いることに限定されるものではなく、ルールベースで格納位置を決定しても良い。例えば格納庫35が比較的小規模であって、格納位置の候補の数が少なく、格納されるコンテナの格納期間も短いなどの場合には、新規のチルド用リーファコンテナ38dが搬入されてきた段階で、それぞれの格納位置の候補に搬入されるコンテナ38dを配置した場合の消費電力の合計量を算出し、算出した消費電力の合計量に基づいて、格納位置を決定しても良い。
【0073】
その他、上述した実施形態においては、格納候補位置から格納位置を決定する際、環境情報を用いて決定しているが、比較的環境変動が小さいことが明らかな格納施設などの場合には、当該情報を用いて格納位置を決定することは必須ではない。
【0074】
その他、本開示のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。例えば、上述の一実施形態において挙げた数値や情報の種類はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値や情報の種類を用いてもよく、上述の一実施形態による本発明の開示の一部をなす記述および図面により本発明は限定されることはない。
【0075】
例えば、上述の一実施形態においては、格納管理システム1において、学習装置10、管理装置20、格納施設30、および気象情報サーバ40をそれぞれ別体として説明しているが、必ずしも別体で構成することに限定されない。具体的に例えば、学習装置10と管理装置20とを一体に構成してもよい。また、格納施設30が学習装置10を備えていてもよい。さらに、管理装置20を備える格納施設30が学習装置10をさらに備えてもよい。管理装置20のみを格納施設30に備えるように構成してもよい。
【0076】
例えば、上述した実施形態においては、機械学習の一例としてニューラルネットワークを用いたディープラーニング(深層学習)を用いたが、それ以外の方法に基づく機械学習を行ってもよい。例えば、サポートベクターマシン、決定木、単純ベイズ、k近傍法など、他の教師あり学習を用いてもよい。また、教師あり学習に代えて半教師あり学習を用いてもよい。
【0077】
例えば、上述した実施形態においては、コンテナ38の格納位置を導出するために、機械学習によって生成されたコンテナ配置学習モデル124を採用しているが、学習モデル以外のいわゆるルールベースに基づいて、コンテナ38の格納位置を導出してもよい。すなわち、気象情報(温度、日照、天候、これらの日内変動)、コンテナ配置情報、コンテナ情報、センサ部352により計測された温度などに基づいて、線形計画法によって、格納施設30における消費電力が最小になる格納位置を導出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 格納管理システム
2 ネットワーク
10 学習装置
11,21,41 制御部
12,22 記憶部
13,23,42 通信部
14,24 出力部
15,25 入力部
20 管理装置
30 格納施設
31 ゲート
32 撮像部
33 センサ部
35 格納庫
38 コンテナ
38a ドライコンテナ
38b 冷凍用リーファコンテナ
38c,38d チルド用リーファコンテナ
39 コンテナクレーン
40 気象情報サーバ
43 気象情報データベース
50 移動体
111 学習部
112 判定部
113 演算部
114 状態入力部
121,221 コンテナ配置情報データベース
122,222 コンテナ情報データベース
123,223 環境情報データベース
124 コンテナ配置学習モデル
211 格納管理部
212 ID認識部
351 棚
352 センサ部
図1
図2
図3
図4
図5