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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20240423BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
H01R13/42 D
H01R13/639 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021036038
(22)【出願日】2021-03-08
(65)【公開番号】P2022136436
(43)【公開日】2022-09-21
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西谷 章弘
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-086171(JP,A)
【文献】特開2004-311260(JP,A)
【文献】特開昭62-243269(JP,A)
【文献】実開平04-102577(JP,U)
【文献】特開2019-114422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/42
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線に固着された端子金具と、
インナハウジングにアウタハウジングを組み付けて構成されるコネクタハウジングとを備え、
前記インナハウジングには、前記端子金具を、前記端子金具と前記電線の並び方向と交差する方向から収容する端子収容室が形成され、
前記端子収容室には、前記端子収容室内の前記端子金具が前記電線側へ変位することを規制する抜止部が形成され、
前記アウタハウジングは、前記インナハウジングの外面における端子収容室の開口部を覆っており、
前記インナハウジングは、基板部と、前記基板部から突出して隣り合う前記端子収容室同士を区画する隔壁部とを有し、
前記アウタハウジングは、前記端子収容室の前記開口部を塞ぐ閉塞板部と、前記コネクタハウジングと相手側コネクタとを嵌合状態に保持するロックアームとを有し、
前記ロックアームは、前記基板部の外面に重なり、前記閉塞板部との間で前記インナハウジングを挟むように配置され、
前記基板部のうち前記ロックアームが重ならない領域は、前記コネクタハウジングの外面に露出しているコネクタ。
【請求項2】
前記端子金具は、角筒部を有し、
前記抜止部は、前記角筒部に対し前記電線側から係止している請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記抜止部が前記角筒部内に挿入されている請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記インナハウジングには、前記基板部の外面を凹ませた形状の撓み許容空間が形成され、
前記ロックアームが弾性変位したときの前記ロックアームの一部が前記撓み許容空間内に収容される請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記端子収容室には、前記基板部の一部を凹ませた切欠部が形成され、
前記基板部には、前記切欠部を前記撓み許容空間に連通させる連通部が形成されている請求項4に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コネクタハウジング内に形成した端子収容室に端子金具を挿入し、端子収容室に形成した可撓係止片によって端子金具を抜止めするコネクタが開示されている。端子金具を端子収容室に挿入する過程では、端子金具に押された可撓係止片が、端子金具の挿入方向の交差する方向へ撓む。端子金具の挿入が完了すると、可撓係止片が弾性復帰して端子金具に係止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-049081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コネクタハウジング内には、撓んでいない状態の可撓係止片を配置するための収容スペースに加え、可撓係止片が撓むための撓みスペースが確保されている。収容スペースと撓みスペースは、端子金具の挿入方向と交差する方向に重なるように確保される。そのため、上記コネクタは、端子金具の挿入方向と交差する方向において大型化する。
【0005】
本開示のコネクタは、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、低背化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、
電線に固着された端子金具と、
インナハウジングにアウタハウジングを組み付けて構成されるコネクタハウジングとを備え、
前記インナハウジングには、前記端子金具を、前記端子金具と前記電線の並び方向と交差する方向から収容する端子収容室が形成され、
前記端子収容室には、前記端子収容室内の前記端子金具が前記電線側へ変位することを規制する抜止部が形成され、
前記アウタハウジングは、前記インナハウジングの外面における端子収容室の開口部を覆っている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、低背化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例1のコネクタを斜め下後方から見た斜視図である。
図2図2は、インナハウジングとアウタハウジングを分離した状態を斜め下後方から見た斜視図である。
図3図3は、インナハウジングを斜め上後方から見た斜視図である。
図4図4は、端子金具を斜め下前方から見た斜視図である。
図5図5は、コネクタの側断面図である。
図6図6は、インナハウジングに端子金具を収容した状態をあらわす側断面図である。
図7図7は、インナハウジングとアウタハウジングを組み付けた状態をあらわす側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)電線に固着された端子金具と、インナハウジングにアウタハウジングを組み付けて構成されるコネクタハウジングとを備え、前記インナハウジングには、前記端子金具を、前記端子金具と前記電線の並び方向と交差する方向から収容する端子収容室が形成され、前記端子収容室には、前記端子収容室内の前記端子金具が前記電線側へ変位することを規制する抜止部が形成され、前記アウタハウジングは、前記インナハウジングの外面における端子収容室の開口部を覆っている。この構成によれば、端子収容室内に収容された端子金具は、抜止部によって電線側へ変位することを規制される。端子収容室の開口部をアウタハウジングで覆ったので、抜止部を弾性変形させる必要はない。本開示のコネクタは、抜止部が弾性変形するタイプのコネクタに比べると、端子金具と電線の並び方向と交差する方向において低背化を図ることができる。
【0010】
(2)前記端子金具は、角筒部を有し、前記抜止部は、前記角筒部に対し前記電線側から係止していることが好ましい。この構成によれば、端子金具の角筒部を利用して、端子金具の変位を規制しているので、端子金具には、抜止部と係止させるための専用部位を形成する必要がない。よって、端子金具の形状が複雑になることを回避できる。
【0011】
(3)(2)において、前記抜止部が前記角筒部内に挿入されていることが好ましい。この構成によれば、アウタハウジングが端子収容室の開口部を塞がない状態において、端子金具が開口部側へ変位することと、端子金具がインナハウジングに対して傾くことを防止できる。
【0012】
(4)前記インナハウジングは、基板部と、前記基板部から突出して隣り合う前記端子収容室同士を区画する隔壁部とを有し、前記アウタハウジングは、前記端子収容室の前記開口部を塞ぐ閉塞板部と、前記コネクタハウジングと相手側コネクタとを嵌合状態に保持するロックアームとを有し、前記ロックアームは、前記基板部の外面に重なり、前記閉塞板部との間で前記インナハウジングを挟むように配置され、前記基板部のうち前記ロックアームが重ならない領域は、前記コネクタハウジングの外面に露出していることが好ましい。この構成によれば、基板部の外面とロックアームとの間には、アウタハウジングを構成する板部が介在しないので、更なる低背化を実現できる。
【0013】
(5)(4)において、前記インナハウジングには、前記基板部の外面を凹ませた形状の撓み許容空間が形成され、前記ロックアームが弾性変位したときの前記ロックアームの一部が前記撓み許容空間内に収容されることが好ましい。この構成によれば、ロックアームの弾性変位に必要なスペースの一部が、基板部の厚さの範囲内に確保されているので、更なる低背化を実現することができる。
【0014】
(6)(5)において、前記端子収容室には、前記基板部の一部を凹ませた切欠部が形成され、前記基板部には、前記切欠部を前記撓み許容空間に連通させる連通部が形成されていることが好ましい。基板部のうち切欠部と撓み許容空間の両方が形成されている部位に、極薄の板部を残した場合、極薄の板部の破損が懸念される。上記構成によれば、基板部のうち切欠部と撓み許容空間の両方が形成されている部位には、極薄の板部が残らないので、基板部の破損を回避することができる。
【0015】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施例1]
本開示のコネクタを具体化した実施例1を、図1図7を参照して説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本実施例1において、前後の方向については、図1,2における斜め左下方、図3,4における斜め左上方、図5~7における左方を前方と定義する。上下の方向については、図1~7にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。上下の方向と高さの方向を同義で用いる。左右方向と幅方向を同義で用いる。
【0016】
本開示のコネクタは、複数の端子金具10と、1つのコネクタハウジング20とを備えている。端子金具10は、前後方向に細長い形状をなす雌形の端子である。図4~6に示すように、端子金具10の前端部には、前後両端が開放された角筒部11が形成されている。角筒部11内には弾性接触片12が収容されている。端子金具10の後端部には、角筒部11よりも高さ寸法の大きいオープンバレル状の圧着部13が形成されている。圧着部13は電線14の前端部に固着されている。端子金具10と電線14の前端部は、前後に並ぶように配置され、電線14は端子金具10の後端から後方へ延出している。
【0017】
コネクタハウジング20は、合成樹脂製のインナハウジング25と、同じく合成樹脂製のアウタハウジング36とを組み付けて構成されている。図1に示すように、コネクタハウジング20は全体として偏平な直方形をなす。即ち、コネクタハウジング20の上下寸法は、コネクタハウジング20の前後方向の寸法及び幅寸法に対して小さい。図1,5に示すように、コネクタハウジング20内には、前後方向に細長い複数の端子収容室21が形成されている。複数の端子収容室21は、幅方向に一定ピッチで並列するように配置されている。図5,7に示すように、コネクタハウジング20は、端子収容室21の前端を区画する前壁部22を有している。前壁部22には、コネクタハウジング20の外部と各端子収容室21とを個別に連通させる複数の挿入孔23が形成されている。
【0018】
図5に示すように、コネクタハウジング20は、相手側コネクタ50のフード部51内に嵌合されるようになっている。フード部51の下壁部には、ロック突起52が形成されている。相手側コネクタ50は、端子金具10に接続される雄形端子53を有する。雄形端子53のタブ54は、フード部51内に収容されている。
【0019】
インナハウジング25は、インナハウジング25を上から見た平面視の形状が方形をなす基板部26と、基板部26の上面から立ち上がる複数の隔壁部27とを有する単一部品である。基板部26と複数の隔壁部27は、複数の端子収容室21を構成する。図3に示すように、複数の隔壁部27は、前後方向に細長く延びており、幅方向に一定ピッチで配置されている。図7に示すように、隔壁部27は、幅方向に隣り合う端子収容室21間を区画する。隔壁部27の前端部27Fは、基板部26の前端26Fよりも前方へ突出している。図1~3に示すように、インナハウジング25の上面には、各端子収容室21をインナハウジング25の上方外部へ連通させる複数の開口部28が形成されている。
【0020】
各端子収容室21には、基板部26の上面から突出した抜止部30が形成されている。図5~7に示すように、抜止部30は、基板部26に対して直角方向に突出した基部31と、基部31の突出端部から前方へ突出した挿入部32とを有する。抜止部30は、基板部26及び隔壁部27に対して撓み変形を生じない程度の剛性を有する。
【0021】
図2,5~7に示すように、基板部26の内面、即ち基板部26のうち端子収容室21の後端部に臨む上面には、切欠部33が形成されている。基板部26の内面は、切欠部33において一段低くなっている。切欠部33には、圧着部13が収容される。基板部26の外面、即ちインナハウジング25の外面には、撓み許容空間34が形成されている。撓み許容空間34は、基板部26の外面における幅方向中央部を浅く凹ませた形状である。撓み許容空間34の後端部には、基板部26の外面と切欠部33とを連通させる連通部35が形成されている。
【0022】
図2に示すように、アウタハウジング36は、閉塞板部37と、前壁部22と、左右一対の側壁部38と、ロックアーム41とを有する単一部品である。アウタハウジング36を上から見た平面視におい、閉塞板部37は方形をなす。図2に示すように、前壁部22は、閉塞板部37の前端縁から全幅に亘って下方へ突出した形状である。側壁部38は、閉塞板部37の左右両側縁部から下方へ突出した形状である。ロックアーム41は、前壁部22の幅方向中央部から後方へ片持ち状に延出した板状の部位である。
【0023】
図5,7に示すように、前壁部22の後面には、挿入孔23と連通する凹部39が形成されている。図1,2に示すように、側壁部38の内側面には、前後方向に延びるガイド溝40が形成されている。ロックアーム41には、ロック孔42が形成されている。ロックアーム41は、前壁部22につらなる支持部43を支点として、閉塞板部37に対して接近・離隔するように上下方向へ弾性変位することが可能である。
【0024】
次に、コネクタの組み付け手順を説明する。まず、インナハウジング25の上面の開口部28から、端子金具10を端子収容室21内に収容する。端子収容室21に対する端子金具10の取付方向は、端子金具10と電線14が並ぶ前後方向、即ち端子金具10の長さ方向に対して直角に交差する方向である。端子収容室21に収容した端子金具10を後方へスライドさせると、角筒部11の後端部に抜止部30の挿入部32が挿入され、基部31が角筒部11の後端縁に対して後方から係止する。この係止によって、端子金具10は、インナハウジング25に対して後方、即ち電線14側へ相対移動することを規制される。
【0025】
挿入部32が角筒部11に挿入されることによって、端子金具10がインナハウジング25に対して上方へ相対変位することを規制される。以上により、端子金具10は端子収容室21内に位置決めされた状態に保持される。角筒部11の前端部は、基板部26の前端縁よりも前方へ突出している。圧着部13の一部である下端部は、角筒部11の下面よりも下方に位置するので、切欠部33内に収容される。圧着部13は連通部35において、インナハウジング25の外面に露出する。
【0026】
インナハウジング25に端子金具10を取り付けた後、アウタハウジング36とインナハウジング25を組み付けてコネクタハウジング20を構成する。インナハウジング25とアウタハウジング36を組み付けるときは、インナハウジング25の左右両側縁部を、アウタハウジング36の後方からガイド溝40に嵌合してスライドさせる。アウタハウジング36は、インナハウジング25に対し、閉塞板部37とロックアーム41との間で上下に挟み込むようにして組み付けられる。
【0027】
インナハウジング25とアウタハウジング36を組み付けた状態では、インナハウジング25の全ての開口部28が、閉塞板部37によって閉塞され、端子収容室21が全周に亘って区画されるとともに、端子金具10が端子収容室21内に収容された状態に保持される。端子金具10の角筒部11の前端部と、隔壁部27の前端部は、アウタハウジング36の前壁部22の凹部39に嵌入される。電線14は、コネクタハウジング20の後方へ導出される。
【0028】
ロックアーム41は、基板部26の外面に重なるように配置される。ロックアーム41は、前後方向及び左右方向において、撓み許容空間34を覆うように配置される。連通部35も、ロックアーム41で覆われる。基板部26の外面のうち、ロックアーム41が重ならない領域と、ガイド溝40に嵌入されない側縁部領域は、コネクタハウジング20の外面に露出している。以上により、コネクタハウジング20の組み付けと、コネクタハウジング20に対する端子金具10の取付けと、コネクタの製造が完了する。
【0029】
コネクタを相手側コネクタ50と嵌合する際には、コネクタハウジング20を相手側コネクタ50のフード部51に嵌合する。コネクタハウジング20とフード部51の嵌合過程では、ロックアーム41が、ロック突起52との干渉によって、基板部26に接近する方向へ弾性変位する。このとき、ロックアーム41の一部が撓み許容空間34内に進入する。コネクタハウジング20とフード部51が正規の嵌合状態に至ると、ロックアーム41が弾性復帰して、ロック孔42とロック突起52が嵌合する。ロック孔42とロック突起52の嵌合によって、コネクタハウジング20と相手側コネクタ50が嵌合状態にロックされる。
【0030】
本実施例1のコネクタは、電線14に固着された端子金具10と、インナハウジング25にアウタハウジング36を組み付けて構成されるコネクタハウジング20とを備えている。インナハウジング25には、端子金具10を、端子金具10と電線14の並び方向である前後方向と交差する方向から収容する端子収容室21が形成されている。端子収容室21には、端子収容室21内の端子金具10が、電線14側、即ち後方へ変位することを規制する抜止部30が形成されている。アウタハウジング36は、インナハウジング25の外面における端子収容室21の開口部28を覆っている。
【0031】
この構成によれば、端子収容室21内に収容された端子金具10は、抜止部30によって電線14側へ変位することを規制される。端子収容室21の開口部28をアウタハウジング36で覆ったので、抜止部30を弾性変形させる必要はない。本実施例1のコネクタは、抜止部30が弾性変形するタイプのコネクタに比べると、端子金具10と電線14の並び方向と交差する方向である上下方向において、低背化を図ることができる。
【0032】
端子金具10は、角筒部11を有している。抜止部30は、角筒部11に対し電線14側から係止されている。この構成によれば、端子金具10の角筒部11を利用して、端子金具10の変位を規制しているので、端子金具10には、抜止部30と係止させるための専用部位を形成する必要がない。よって、端子金具10の形状が複雑になることを回避できる。
【0033】
抜止部30の挿入部32が、後方から角筒部11内に挿入されている。この構成によれば、アウタハウジング36が端子収容室21の開口部28を塞がない状態、即ちインナハウジング25にアウタハウジング36を組み付けていない状態において、端子金具10が開口部28側へ変位して端子収容室21から離脱することを防止できる。また、端子金具10がインナハウジング25に対して上下方向へ傾くことも防止できる。
【0034】
インナハウジング25は、基板部26と、基板部26から突出して隣り合う端子収容室21同士を区画する隔壁部27とを有している。アウタハウジング36は、端子収容室21の開口部28を塞ぐ閉塞板部37と、コネクタハウジング20と相手側コネクタ50とを嵌合状態に保持するロックアーム41とを有している。ロックアーム41は、基板部26の外面に重なり、閉塞板部37との間でインナハウジング25を挟むように配置されている。基板部26のうちロックアーム41が重ならない領域は、コネクタハウジング20の外面に露出している。この構成によれば、基板部26の外面とロックアーム41との間には、アウタハウジング36を構成する板部が介在しないので、更なる低背化を実現できる。
【0035】
インナハウジング25には、基板部26の外面を凹ませた形状の撓み許容空間34が形成されている。ロックアーム41が弾性変位したときに、ロックアーム41の一部は撓み許容空間34内に収容される。この構成によれば、ロックアーム41の弾性変位に必要なスペースの一部が、基板部26の厚さの範囲内に確保されているので、更なる低背化を実現することができる。
【0036】
端子収容室21には、基板部26の一部を凹ませた形状の切欠部33が形成されている。基板部26には、切欠部33を撓み許容空間34に連通させる連通部35が形成されている。基板部26のうち切欠部33と撓み許容空間34の両方が形成されている部位に、極薄の板部を残した場合、極薄の板部の破損が懸念される。上記構成によれば、基板部26のうち切欠部33と撓み許容空間34の両方が形成されている部位には、極薄の板部が残らないので、基板部26の破損を回避することができる。
【0037】
[他の実施例]
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記のような実施形態も含まれることが意図される。
上記実施例1では、抜止部が角筒部に係止するが、抜止部は、端子金具のうち角筒部以外の部位に係止してもよい。
上記実施例1では、抜止部が角筒部内に挿入されるが、抜止部は角筒部内に挿入されない形状であってもよい。
上記実施例1では、ロックアームが閉塞板部と間でインナハウジングを挟むように配置されているが、ロックアームは閉塞板部の外面に沿うように配置されていてもよい。
上記実施例1では、インナハウジングの基板部の一部がコネクタハウジングの外面に露出しているが、基板部の全体がアウタハウジングによって覆われていてもよい。
上記実施例1では、基板部の外面に撓み許容空間を形成したが、基板部の外面に撓み許容空間を形成しなくてもよい。
上記実施例1では、端子収容室の切欠部と撓み許容空間とを連通させたが、切欠部と撓み許容空間とは連通しなくてもよい。
【符号の説明】
【0038】
10…端子金具
11…角筒部
12…弾性接触片
13…圧着部
14…電線
20…コネクタハウジング
21…端子収容室
22…前壁部
23…挿入孔
25…インナハウジング
26…基板部
26F:基板部の前端
27…隔壁部
27F:隔壁部の前端部
28…開口部
30…抜止部
31…基部
32…挿入部
33…切欠部
34…撓み許容空間
35…連通部
36…アウタハウジング
37…閉塞板部
38…側壁部
39…凹部
40…ガイド溝
41…ロックアーム
42…ロック孔
43…支持部
50…相手側コネクタ
51…フード部
52…ロック突起
53…雄形端子
54…タブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7