(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】発電電動機の制御装置、発電電動機の制御装置を備える発電装置、移動体、プログラム、及び発電電動機の制御方法
(51)【国際特許分類】
F02D 29/06 20060101AFI20240423BHJP
B60W 10/08 20060101ALI20240423BHJP
B60W 20/15 20160101ALI20240423BHJP
H02P 9/04 20060101ALI20240423BHJP
H02P 101/45 20150101ALN20240423BHJP
【FI】
F02D29/06 G
B60W10/08 900
B60W20/15 ZHV
H02P9/04 L
F02D29/06 D
H02P101:45
(21)【出願番号】P 2021042791
(22)【出願日】2021-03-16
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】坂本 章
(72)【発明者】
【氏名】河合 恵介
(72)【発明者】
【氏名】半田 祐一
(72)【発明者】
【氏名】上園 秀哉
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-180863(JP,A)
【文献】特開平11-22481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 29/06
H02P 9/04
H02P 101/45
B60W 20/15
B60W 10/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(41)に接続される発電電動機(42)の制御装置(50)であって、
前記内燃機関のトルク脈動の推定値である推定トルク脈動を推定する推定部(52)と、
前記内燃機関の推定トルク脈動において前記内燃機関の回転を妨げる負のトルクが生じる場合には
、前記内燃機関の回転速度の低減を抑制するように前記発電電動機を制御する制御部(53)と、を備え
、
前記制御部は、
前記内燃機関の推定トルク脈動において前記負のトルクとは逆方向の正のトルクが生じる場合に、前記発電電動機の発電トルク指令に基づいて前記発電電動機を発電機として駆動し、
前記内燃機関の回転変動が所定の閾値を超えていると判定した場合、前記内燃機関の推定トルク脈動において前記負のトルクが生じるときに、前記内燃機関の駆動を援助するように前記発電電動機を電動機として駆動する駆動アシスト運転を実行し、
前記内燃機関の回転変動が前記閾値以下であると判定した場合、前記内燃機関の推定トルク脈動において前記負のトルクが生じるときに、前記発電電動機の発電トルク指令に基づいて前記発電電動機を発電機として駆動する場合よりも発電電力を低減するように前記発電電動機を発電機として駆動する、発電電動機の制御装置。
【請求項2】
内燃機関(41)に接続される発電電動機(42)の制御装置(50)であって、
前記内燃機関のトルク脈動の推定値である推定トルク脈動を推定する推定部(52)と、
前記内燃機関の推定トルク脈動において前記内燃機関の回転を妨げる負のトルクが生じる場合には
、前記内燃機関の回転速度の低減を抑制するように前記発電電動機を制御する制御部(53)と、を備え
、
前記制御部は、
前記内燃機関の回転変動が所定の閾値を超えていると判定した場合、前記内燃機関の推定トルク脈動において前記負のトルクが生じるときに、前記内燃機関の駆動を援助するように前記発電電動機を電動機として駆動する駆動アシスト運転を実行し、
前記内燃機関の回転変動が前記閾値以下であると判定した場合、前記内燃機関の推定トルク脈動において前記負のトルクが生じるときに、前記発電電動機の駆動を停止して前記発電電動機の発電電力を0にする、発電電動機の制御装置。
【請求項3】
前記発電電動機の回転速度およびトルクに対応させて、前記内燃機関のクランク角に対するトルクの変化を示すトルク脈動をトルク脈動情報として記憶する記憶部(51)を備え、
前記推定部は、前記発電電動機の発電トルク指令および目標回転速度に基づいて前記トルク脈動情報から読み出した前記内燃機関のトルク脈動を、前記内燃機関の推定トルク脈動として推定する請求項1
又は2に記載の発電電動機の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記駆動アシスト運転時には、前記内燃機関のトルクの変化に応じて前記発電電動機の駆動アシスト量を変化させる請求項
1~3のいずれかに記載の発電電動機の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記発電電動機を発電機として駆動する発電運転時には、発電トルクを一定値として前記発電電動機を制御する請求項1~4のいずれかに記載の発電電動機の制御装置。
【請求項6】
前記内燃機関と、前記発電電動機と、請求項1~5のいずれかに記載の発電電動機の制御装置と、を備える発電装置。
【請求項7】
前記内燃機関と、前記発電電動機と、請求項1~5のいずれかに記載の発電電動機の制御装置と、を備える移動体。
【請求項8】
内燃機関(41)に接続される発電電動機(42)の制御装置(50)に適用されるプログラムであって、
前記制御装置に、
前記内燃機関のトルク脈動の推定値である推定トルク脈動を推定する推定処理と、
前記内燃機関の推定トルク脈動において前記内燃機関の回転を妨げる負のトルクが生じる場合には、前記内燃機関の回転速度の低減を抑制するように前記発電電動機を制御する制御処理と、を実行させ、
前記制御処理において、
前記内燃機関の推定トルク脈動において前記負のトルクとは逆方向の正のトルクが生じる場合に、前記発電電動機の発電トルク指令に基づいて前記発電電動機を発電機として駆動し、
前記内燃機関の回転変動が所定の閾値を超えていると判定した場合、前記内燃機関の推定トルク脈動において前記負のトルクが生じるときに、前記内燃機関の駆動を援助するように前記発電電動機を電動機として駆動する駆動アシスト運転を実行し、
前記内燃機関の回転変動が前記閾値以下であると判定した場合、前記内燃機関の推定トルク脈動において前記負のトルクが生じるときに、前記発電電動機の発電トルク指令に基づいて前記発電電動機を発電機として駆動する場合よりも発電電力を低減するように前記発電電動機を発電機として駆動する、プログラム。
【請求項9】
内燃機関(41)に接続される発電電動機(42)の制御装置(50)に適用されるプログラムであって、
前記制御装置に、
前記内燃機関のトルク脈動の推定値である推定トルク脈動を推定する推定処理と、
前記内燃機関の推定トルク脈動において前記内燃機関の回転を妨げる負のトルクが生じる場合には、前記内燃機関の回転速度の低減を抑制するように前記発電電動機を制御する制御処理と、を実行させ、
前記制御処理において、
前記内燃機関の回転変動が所定の閾値を超えていると判定した場合、前記内燃機関の推定トルク脈動において前記負のトルクが生じるときに、前記内燃機関の駆動を援助するように前記発電電動機を電動機として駆動する駆動アシスト運転を実行し、
前記内燃機関の回転変動が前記閾値以下であると判定した場合、前記内燃機関の推定トルク脈動において前記負のトルクが生じるときに、前記発電電動機の駆動を停止して前記発電電動機の発電電力を0にする、プログラム。
【請求項10】
内燃機関(41)に接続される発電電動機(42)の制御方法であって、
前記内燃機関のトルク脈動の推定値である推定トルク脈動を推定する推定ステップと、
前記内燃機関の推定トルク脈動において前記内燃機関の回転を妨げる負のトルクが生じる場合には、前記内燃機関の回転速度の低減を抑制するように前記発電電動機を制御する制御ステップと、を備え、
前記制御ステップにおいて、
前記内燃機関の推定トルク脈動において前記負のトルクとは逆方向の正のトルクが生じる場合に、前記発電電動機の発電トルク指令に基づいて前記発電電動機を発電機として駆動し、
前記内燃機関の回転変動が所定の閾値を超えていると判定した場合、前記内燃機関の推定トルク脈動において前記負のトルクが生じるときに、前記内燃機関の駆動を援助するように前記発電電動機を電動機として駆動する駆動アシスト運転を実行し、
前記内燃機関の回転変動が前記閾値以下であると判定した場合、前記内燃機関の推定トルク脈動において前記負のトルクが生じるときに、前記発電電動機の発電トルク指令に基づいて前記発電電動機を発電機として駆動する場合よりも発電電力を低減するように前記発電電動機を発電機として駆動する、発電電動機の制御方法。
【請求項11】
内燃機関(41)に接続される発電電動機(42)の制御方法であって、
前記内燃機関のトルク脈動の推定値である推定トルク脈動を推定する推定ステップと、
前記内燃機関の推定トルク脈動において前記内燃機関の回転を妨げる負のトルクが生じる場合には、前記内燃機関の回転速度の低減を抑制するように前記発電電動機を制御する制御ステップと、を備え、
前記制御ステップにおいて、
前記内燃機関の回転変動が所定の閾値を超えていると判定した場合、前記内燃機関の推定トルク脈動において前記負のトルクが生じるときに、前記内燃機関の駆動を援助するように前記発電電動機を電動機として駆動する駆動アシスト運転を実行し、
前記内燃機関の回転変動が前記閾値以下であると判定した場合、前記内燃機関の推定トルク脈動において前記負のトルクが生じるときに、前記発電電動機の駆動を停止して前記発電電動機の発電電力を0にする、発電電動機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
車両等の内燃機関に接続される発電電動機を制御する制御装置、発電電動機の制御装置を備える発電装置、移動体、プログラム、及び発電電動機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、内燃機関の出力軸との間で相互にトルクを伝達可能に接続された発電電動機において、内燃機関において、その回転を妨げる方向のトルク(負のトルク)が生じる期間には、発電電動機を電動機として運転して内燃機関の駆動アシスト運転を実行することにより、内燃機関のトルク脈動を緩和する技術が記載されている。内燃機関のトルク脈動を緩和することにより、内燃機関を制振する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、内燃機関のトルク脈動を低減するために、発電電動機の駆動アシスト運転を実行すると、発電電動機により発電した電力が駆動アシスト運転により消費されるため、発電効率が低下することが懸念される。発電電動機における発電効率を向上させるためには、駆動アシスト運転の実行を抑制することが好ましい。
【0005】
上記に鑑み、本発明は、内燃機関のトルク脈動を緩和するために生じ得る発電電動機における発電効率の低下を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内燃機関に接続される発電電動機の制御装置を提供する。この発電電動機の制御装置は、前記内燃機関のトルク脈動の推定値である推定トルク脈動を推定する推定部と、前記内燃機関の推定トルク脈動において前記内燃機関の回転を妨げる負のトルクが生じる場合には、発電電力を低減して前記内燃機関の回転速度の低減を抑制するように前記発電電動機を制御する制御部と、を備える。
【0007】
本発明に係る制御装置によれば、推定部により推定された内燃機関の推定トルク脈動において負のトルクが生じる場合には、制御部は、発電電力を低減して内燃機関の回転速度の低減を抑制するように、発電電動機を制御する。ここで、発電電力を低減するとは、発電電力量を低減して発電運転すること、発電を停止することを含み、いずれの場合にも、内燃機関の回転速度の低減を抑制して内燃機関のトルク脈動の緩和に寄与し得る。内燃機関の推定トルク脈動において負のトルクが生じる場合に、発電電動機における発電効率を低下させ得る駆動アシスト運転を常に実行してすることなく、発電電力量を低減することにより内燃機関のトルク脈動を緩和できる。その結果、内燃機関のトルク脈動を緩和するために生じ得る発電電動機における発電効率の低下を抑制できる。また、本発明は、内燃機関と、発電電動機と、上記の発電電動機の制御装置と、を備える発電装置または移動体として提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る発電電動機を搭載した車両システムの概要図。
【
図4】ECUにおいて実行される発電制御処理を示すフローチャート。
【
図5】内燃機関のトルクと回転速度との関係を示す図。
【
図6】クランク角/トルク脈動情報の一例を示す図。
【
図7】発電低減モードを実行した際のタイムチャート。
【
図8】駆動アシストモードを実行した際のタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
図1に、第1実施形態に係る発電電動機の制御装置が適用される車載システム40を例示する。車載システム40は、エンジン(ENG)41と、発電電動機(MG)42と、インバータ(INV)43と、2次電池(BAT)44と、制御装置(ECU)50とを備えている。ENG41は、例えば、吸気、圧縮、膨張、排気の4行程で駆動される4サイクルエンジンである。
【0010】
MG42として利用される発電電動機の一例を
図2に示す。
図2に示すように、発電電動機10は、車両の内燃機関(エンジン)におけるエンジンブロックの壁面11にハウジング16を介して固定されるとともに、シャフト12に取り付けられている。発電電動機10は、車両等の内燃機関に接続されることによって内燃機関と連動する。
【0011】
発電電動機10は、ステータ20と、ステータサポート22と、ロータ30と、ロータサポート33とを備えている。ハウジング16は、ボルト17,18の締結によってエンジンブロックの壁面11に固定されている。壁面11とハウジング16とによって囲まれた空間に、発電電動機10が収容されている。ステータサポート22は、ハウジング16の内壁面であって壁面11と対向する面に固定されている。ステータ20は、ボルト25,26の締結によって、ステータサポート22に固定されている。
【0012】
シャフト12は、軸AXを中心に回転する回転軸であり、内燃機関のクランクシャフトまたはこれに連動するものである。シャフト12は、壁面11を貫通して、ハウジング16の内部に配置される端部13に固定されている。ロータサポート33は、ボルト14,15の締結によって端部13に剛結合され、固定されている。ロータ30は、ボルト31,32の締結によってロータサポート33に剛結合され、固定されている。なお、剛結合とは、1つの剛体のように一体化されるように互いに結合されることを意味する。ロータサポート33を介して、シャフト12とロータ30とは互いに剛結合により固定されており、ロータ30は、シャフト12と連動して回転する。互いに剛結合されていることにより、部材間のガタ打ちを抑制することができ、ガタ打ちに起因する騒音(ガタ打ち音)を抑制できる。
【0013】
ステータ20は、ロータ30の内部に配置されている。軸AXは、ステータ20の中心軸でもある。ステータ20およびロータ30は、軸AX周りに環状であり、発電電動機10は、軸AXを中心とする回転電機である。発電電動機10は、永久磁石式の発電電動機であり、ステータ20にはコイル21が具備されており、ロータ30の表面または内部には永久磁石(図示していない)が具備されている。発電電動機10は、コイル21に通電することにより、ロータ30を回転させてシャフト12を回転駆動させる電動機(より具体的にはPMモータ)として機能する。また、発電電動機10は、シャフト12によりロータ30を回転駆動させてコイル21に誘導電流を生じさせることにより発電機として機能する。
【0014】
なお、発電電動機10として永久磁石式の発電電動機を例示して説明したが、これに限定されず、誘導機式であってもよい。
【0015】
図2に示すように、ENG41とMG42とは、シャフト12とロータ30とが互いに固定されて連動するように接続されている。ENG41の燃焼行程の際に、そのクランクシャフトに燃焼トルクが伝達され、シャフト12を介して、ロータ30を回転駆動することができる。シャフト12を介してロータ30に伝達されるトルク変動により、誘導電流が発生し、発電できる。なお、ENG41の4行程において発生するトルクは、ピストンの往復質量慣性や吸排気時の損失などにより変化する。なお、ENG41とMG42とは、
図2に示すように、フライホイール、ギア、ダンパを介することなく、シャフト12とロータ30とが互いに接続されている。
【0016】
INV43は、BAT44から供給される電力を直流から交流に変換してMG42に供給する機能を有するとともに、MG42において発電された電力を交流から直流に変換してBAT44に供給する機能を有する。
【0017】
ECU50は、ENG41、MG42,INV43,BAT44を制御する制御装置であり、CPUや各種メモリからなるマイコンを備える。MG42は、内燃機関であるENG41に接続される発電電動機であり、ECU50は、発電電動機であるMG42を制御する制御装置としての機能を有する。
【0018】
ECU50は、記憶部51と、推定部52と、制御部53とを備える。記憶部51は、MG42の回転速度NgおよびトルクTgに対応させて、ENG41のクランク角CAに対するトルクTeの変化を示すトルク脈動をトルク脈動情報として記憶する。トルク脈動情報は、MG42の回転速度NgおよびトルクTgとをパラメータとしてマップ化された状態で、各パラメータの組合せ毎に、ENG41のクランク角CAとトルクTeとの関係を示すトルク脈動が記憶されている。回転速度NgおよびトルクTgに基づいて、マップ化されたトルク脈動情報を読み出すことにより、ENG41のトルク脈動を推定することができる。
【0019】
推定部52は、ENG41のトルク脈動の推定値である推定トルク脈動を推定する。より具体的には、推定部52は、記憶部51により記憶されたトルク脈動情報のマップから、MG42の発電トルク指令Tgcおよび目標回転速度Ngrに基づいて、ENG41のトルク脈動を読み出す。そして、読み出したENG41のトルク脈動を、ENG41のトルク脈動の推定値として推定する。なお、本明細書では、ENG41のトルク脈動の推定値を推定トルク脈動と称することがある。また、ENG41のトルクについて、その回転方向のトルクを正のトルクと称し、回転を妨げる方向のトルクを負のトルクと称する。正のトルクと負のトルクとは互いに逆方向のトルクである。
【0020】
制御部53は、推定部52により推定された推定トルク脈動に基づいて、MG42の駆動制御を実行する。制御部53は、推定トルク脈動において、トルク値が正のトルクまたは零であると推定された区間では、MG42を発電機として駆動する。一方、制御部53は、推定トルク脈動において、トルク値が負のトルクであると推定された区間では、発電電力を低減してENG41の回転速度の低減を抑制するようにMG42を制御する。より具体的には、制御部53は、発電電力を低下させてMG42を発電機として駆動すること、MG42の駆動を停止すること、およびMG42を電動機として駆動すること、のいずれかを選択的に実行することにより、MG42における発電電力を低減してENG41の回転速度の低減を抑制する。
【0021】
制御部53は、車載システム40に含まれる各構成の状態に基づいて、発電電力を低減する運転内容として、低発電量での発電運転、運転停止、または、電動機として駆動することによりENG41の駆動を援助する駆動アシスト運転、のいずれかを選択し、選択した運転内容によりMG42を制御する。発電電力を低減することにより、駆動アシスト運転は、発電を停止した上で、電動機として駆動することにより、負のトルクをより効果的に緩和できる一方で、MG42の発電効率を低下させることが懸念される。
【0022】
制御部53は、例えば、ENG41の回転変動の大きさに基づいて、運転内容を選択するように構成されていてもよい。具体的には、例えば、制御部53は、ENG41の回転変動が大きい場合には、トルク脈動が大きいと推定されるため、ENG41における負のトルクの緩和を優先して、駆動アシスト運転によりENG41における回転速度の低減を効果的に抑制する。一方で、制御部53は、ENG41の回転変動が小さい場合には、トルク脈動が小さいと推定されるため、MG42の発電効率を優先して、低発電量での発電運転または運転停止によりENG41における回転速度の低減を抑制し、駆動アシスト運転は実行しない。
【0023】
制御部53は、例えば、ENG41の回転変動が所定の閾値以上である場合には、駆動アシスト運転を実行するように構成されていてもよい。所定の閾値は、例えば、実験やシミュレーションにより予め調べたENG41における回転変動とトルク脈動との関係に基づいて設定することができる。さらに、制御部53は、駆動アシスト運転時にはENG41のトルクの変化に応じてMG42の駆動アシスト量を変化させるように構成されていてもよい。また、制御部53は、MG42を発電機として駆動する発電運転時には、発電トルク指令を一定値としてMG42を制御するように構成されていてもよい。
【0024】
図3は、MG42の制御ブロック図であり、MG42が3相交流の発電電動機である場合を例示するものである。ECU50は、脈動推定部201と、区間設定部202と、区間判定部203と、ベクトル制御部204と、MG42を制御するインバータ205と、MG42の回転速度を計算する回転速度計算部206とを備えている。
【0025】
脈動推定部201は、ENG41の推定トルク脈動を推定する。脈動推定部201には、ENG41のクランク角CA、MG42の発電トルク指令Tgcおよび目標回転速度Ngrが入力される。脈動推定部201は、トルク脈動情報として記憶されたマップから、入力された発電トルク指令Tgcおよび目標回転速度Ngrに基づいて読み出したENG41のトルク脈動を、推定トルク脈動として推定する。脈動推定部201は、
図1における推定部52としての機能を有する。
【0026】
区間設定部202は、脈動推定部201において推定された推定トルク脈動においてトルク値が零以上である区間を、発電電力を低減しない通常の発電運転でMG42を制御する通常発電区間に設定する。また、推定トルク脈動においてトルク値が負である区間を、MG42における発電電力を低減してENG41の回転速度の低減を抑制する発電低減区間と設定する。
【0027】
区間判定部203は、区間設定部202において設定された各区間について、必要に応じて、発電トルク指令Tgcの書き換えを行う。区間判定部203には、発電トルク指令Tgcおよび偏差dTgが入力される。偏差dTgは、PI制御部207に入力されるMG42の目標回転速度Ngrおよび回転速度Ngとに基づいて、PIフィードバック手法を用いて算出される。区間判定部203は、発電低減区間について、入力された発電トルク指令Tgcを書き換えて、ベクトル制御部204に出力する。具体的には、ENG41の回転変動に基づいて、発電トルク指令Tgcよりも小さい発電トルク指令値、零、または駆動トルク指令値のいずれかに書き換える。本実施形態では、ENG41の目標回転速度および実際の回転速度は、MG42の目標回転速度Ngrおよび実際の回転速度Ngと等しい。このため、ENG41の回転変動として、MG42の目標回転速度Ngrと回転速度Ngとの差の絶対値(|Ng-Ngr|)を用いることができる。区間判定部203には、回転速度計算部206により計算されたMG42の実際の回転速度Ngと、目標回転速度NgrとがPI制御部207を介して入力される。
【0028】
区間設定部202において設定された各区間に関する情報と、区間判定部203において設定された発電トルク指令に関する情報は、ベクトル制御部204に出力される。また、ベクトル制御部204には、U、W相のモータ巻線を流れる電流の検出値iu,iwが入力される。ベクトル制御部204は、周知のベクトル制御を実行することにより、PWM制御に用いる3相の電圧指令(U,V,W相電圧指令Vu,Vv,Vw)を設定する。インバータ205は、MG42の各相の固定子巻線の通電電流を調整する周知のインバータ回路である。インバータ205は、例えば、MG42の相数と同数の上下アームを有するフルブリッジ回路により構成され、各アームにはスイッチ(例えば、半導体スイッチング素子)がそれぞれ設けられている。ベクトル制御部204により算出された3相の電圧指令Vu,Vv、Vwに基づいて、INV205のスイッチング制御が実行される。区間設定部202、区間判定部203、ベクトル制御部204、インバータ205は、制御部53としての機能を有する。
【0029】
図4は、ECU50において実行される発電電動機の制御処理を示すフローチャートである。
図4に示す処理は、所定の周期で繰り返し実行される。なお、
図4に示すフローチャートは、BAT44における充電量が過不足ない状態におけるものを示しており、BAT44における充填量が不足した場合には、
図4に示す制御処理に関わらず、MG42は、常に発電運転され得る。逆に、BAT44が満充電である場合には、常に停止され得る。また、車両故障に影響する優先度の高い割り込み処理を要する場合には、
図4に示す制御処理は停止され得る。
【0030】
ステップS101では、MG42の目標回転速度Ngrおよび発電トルク指令Tgcを算出する。ECU50には、
図5に示すような、ENG41の回転速度NeおよびトルクTeをパラメータとする動作ラインLaが記憶されている。動作ラインLaは、ENG41において熱効率が良好な動作点を結んだ線によって表され、ENG41の最小燃料消費率の近傍を通る。動作ラインLaは、予め実験やシミュレーション等により得ることができる。
【0031】
ECU50は、車両が要求する要求動力を満足するように、等パワーラインLpを設定し、動作ラインLaと等パワーラインLpとの交点をENG41の動作点Xpとして決定する。そして、動作点Xpと横軸の交点となるNeの値を、目標回転速度Ngrとして設定する。また、動作点Xpと縦軸との交点となるTeの値を、発電トルク指令Tgcとして設定する。
図5に示す動作点Xpの座標が(Te1,Ne1)であるとすると、目標回転速度NgrはNe1に設定され、発電トルク指令TgcはTe1に設定される。
【0032】
なお、等パワーラインLpは、必ずしもENG41に要求される動力の全てを賄うように設定される必要はなく、BAT44の蓄電量に基づいて変更してもよい。例えば、蓄電量が多い場合には、BAT44から供給される電力を補うことを考慮して、等パワーラインLpを低出力側にシフトさせて設定してもよい。また、例えば、蓄電量が少ない場合には、BAT44に電力を供給することを考慮して、等パワーラインLpを高出力側にシフトさせて設定してもよい。その後、ステップS102に進む。
【0033】
ステップS102では、ECU50に記憶されたトルク脈動情報に基づいて、ENG41の推定トルク脈動を推定する。ECU50には、MG42の回転速度NgとトルクTgとの組合せ毎に、
図6に示すようなENG41のクランク角CAとトルクTeとの関係を示すトルク脈動がマップ化されて記憶されている。トルク脈動情報は、MG42の回転速度NgとトルクTgとをパラメータとしてマップ化されており、回転速度NgとトルクTgを指定することにより、
図6に示すようなトルク脈動を読み出すことができる。
【0034】
なお、トルク脈動情報としては、例えば、
図1に示す車載システム40において動作点毎に実測したENG41のクランク角CAとトルクTeとの関係を記憶して用いることができる。または、トルク脈動情報は、ENG41と接続されるMG42の慣性Jに基づいて算出したものを用いることができる。具体的には、低慣性の構造物をENG41のクランク軸に接続した状態でENG41のトルク脈動を測定し、これを基本トルク脈動Te(base)に設定する。そして、基本トルク脈動Te(base)と、ENG41に取り付けるMG42の慣性Jとに基づいて、動作点毎のENG41のクランク角CAとトルクTeとの関係を算出できる。
【0035】
ステップS102では、ステップS101において算出したMG42の目標回転速度Ngrおよび発電トルク指令Tgcとに基づいて、ECU50に記憶されたトルク脈動情報から、
図6に示すようなトルク脈動を読み出し、これを推定トルク脈動に設定する。その後、ステップS103に進む。
【0036】
ステップS103では、読み出した推定トルク脈動から、ENG41のトルクTeが負となる区間を抽出する。具体的には、
図6におけるTe<0の区間を抽出する。そして、抽出したTe<0の区間について、MG42のアシストトルクTgaを算出する。アシストトルクTgaは、Te<0の区間におけるENG41のトルクTeの逆位相トルクとして算出できる。ステップS103では、さらに、アシストトルクTgaが正の値である区間を、MG42における発電電力を低減してENG41の回転速度の低減を抑制する発電低減区間と設定する。アシストトルクTgaが零以下である区間を、通常発電区間と設定する。なお、通常発電区間および発電低減区間は、ENG41のクランク角CAに基づいて区画される。その後、ステップS104に進む。
【0037】
ステップS104~S106では、ENG41の回転変動の大きさに基づいて、ステップS103において設定した発電低減区間における運転モードを選択する。本実施形態では、
図3に示すように、ENG41の回転変動は、MG42の回転変動に等しいため、回転速度Ngと目標回転速度Ngrとの差の絶対値(|Ng-Ngr|)と所定の閾値Xとの比較に基づいて、運転モードを選択する。
【0038】
ステップS104では、回転変動(|Ng-Ngr|)が所定の閾値Xを超えているか否かを判定する。超えている場合(|Ng-Ngr|>Xの場合)には、ステップS105に進み、発電低減モードを選択して、処理を終了する。超えていない場合(|Ng-Ngr|≦Xの場合)には、ステップS106に進み、駆動アシストモードを選択して、処理を終了する。なお、閾値Xは、例えば、MG42の使用者がENG41の回転変動を感じる程度の値(例えば、300rpm程度)に設定することができる。
【0039】
ステップS105に示す発電低減モードでは、ステップS103において設定した発電低減区間においては、MG42の発電量を低減する。具体的には、発電トルク指令Tgcよりも低いトルクでMG42を運転するか、MG42を停止させる。これによって、発電トルク指令Tgcで発電する場合よりも、MG42の発電電力を低減して、ENG41の回転速度の低減を抑制することができる。通常発電区間においては、発電トルク指令Tgcに基づいてMG42を運転する。
【0040】
図7は、発電低減モードにおいて、発電低減区間ではMG42を停止する制御を実行した場合のタイムチャートを同じ時間軸で示すものである。
図7において、横軸はENG41のクランク角を示し、縦軸は、上から順に、ENG41の推定トルク脈動に基づくトルク値、MG42の運転状態、Mg42の目標トルク値を示している。
図7に示すように、ENG41のトルクTeがTe≧0である区間は、MG42の通常発電区間に対応し、目標トルクTgrを発電トルク指令Tgcに設定してMG42の発電運転が実行される(Tgr=Tgc)。Te<0である区間は、MG42の発電低減区間に対応し、MG42の運転が停止される(Tgr=0)。発電低減区間において、MG42の発電量を零に制御することにより、発電運転によるENG41の回転速度の低減を抑制できるため、ENG41のトルク脈動を緩和できる。
【0041】
なお、発電低減モードにおいて、発電低減区間ではMG42の発電量を低減して発電運転を実行する場合には、MG42の目標トルクTgrは、発電トルク指令Tgcよりもトルク量が小さい値で適宜設定できる。例えば、目標トルクTgrは発電トルク指令Tgcの半分(Tgr=Tgc/2)と設定してもよい。また、ENG41の回転変動が大きいほどMG42の発電量が小さくなるように、目標トルクTgrのトルク量を小さく設定するようにしてもよい。
【0042】
ステップS106に示す駆動アシストモードでは、ステップS103において設定した発電低減区間においては、MG42を電動機として駆動し、ENG41の駆動を援助する駆動アシスト運転を実行する。発電運転によるENG41の回転速度の低減を解消した上で、MG42を電動機として駆動することによりENG41に正のトルクを付与し、ENG41の回転速度の低減をより効果的に抑制することができる。通常発電区間においては、発電トルク指令Tgcに基づいてMG42を運転する。
【0043】
図8は、駆動アシストモードにおけるタイムチャートを同じ時間軸で示すものである。
図8において、横軸および縦軸は、
図7と同様であるため説明を省略する。
図8に示すように、ENG41のトルクTeがTe≧0である区間は、MG42の通常発電区間に対応し、目標トルクTgrを発電トルク指令Tgcに設定してMG42の発電運転が実行される。Te<0である区間は、MG42の発電低減区間に対応し、MG42の駆動アシスト運転が実行される。発電低減区間においては、MG42の目標トルクTgrは、ENG41のトルクTeの変化を相殺するようにENG41のトルクに対して逆位相で変化している。
図8に示すように、駆動アシストモードでは、発電低減区間において、MG42の駆動アシスト運転を実行することにより、発電低減モードと比較して、ENG41のトルク脈動をより効果的に緩和できる。また、MG42の目標トルクTgrをENG41のトルクに対して逆位相で変化させることにより、MG42の駆動アシスト量を概ね過不足のない状態でENG41の負のトルクの緩和に充当できる。
【0044】
なお、
図7,8に示すように、通常発電区間においては、MG42の目標トルクTgrを一定値としてMG42を運転している。このように制御することにより、発電電力の急激な変化を抑制でき、発電電力量の見積もりやBAT44への充電量の算出を簡易化することができる。一方で、通常発電区間においても、MG42の目標トルクTgrを一定値ではなく変化させるように構成することもできる。
【0045】
上記のように、本実施形態によれば、ECU50は、推定部52により、ステップS102に示すように、ENG41の推定トルク脈動を推定する。そして、制御部53により、ステップS103~S106に示すように、ENG41の推定トルク脈動において負のトルクが生じる場合には、その区間をMG42の発電低減区間に設定し、発電電力を低減して内燃機関の回転速度の低減を抑制するように、MG42を制御する。より具体的には、発電低減区間においては、MG42は、発電電力量を低減または零にする発電低減モード、または、電動機としてアシスト駆動する駆動アシストモードのいずれかにより運転制御される。ENG41の回転変動が大きい場合には駆動アシストモードを選択してENG41の回転速度の低減を効果的に抑制する一方で、ENG41の回転変動が小さい場合には、発電低減モードを選択してMG42における発電効率の低下を抑制しながらENG41の回転速度の低減を抑制する。このため、ENG41の推定トルク脈動において負のトルクが生じる場合に常に駆動アシスト運転を実行する技術と比較すると、駆動アシスト運転によるMG42の発電効率の低下を抑制できる。
【0046】
ECU50によれば、MG42における発電効率の低下を抑制しながら、ENG41のトルク脈動を緩和できるため、発電電動機の制振や騒音のための構成の簡素化に寄与し得る。例えば、ECU50は、
図2に示す発電電動機10のように、フライホイールを備えておらず、フライホイール、ギア、ダンパを介することなく、シャフト12とロータ30とが互いに接続されることによって、内燃機関と接続されている発電電動機の制御装置として特に好適に用いることができる。一方で、ECU50は、フライホイール、ギア、ダンパを介して内燃機関と接続される発電電動機の制御装置としても用いることができ、ENG41のトルク脈動を緩和するために生じ得るMG42における発電効率の低下を抑制する効果を得ることができる。
【0047】
上記の各実施形態によれば、下記の効果を得ることができる。
【0048】
ECU50は、内燃機関(ENG41)に接続される発電電動機(MG42)の制御装置としての機能を有し、推定部52と、制御部53とを備える。推定部52は、ENG41のトルク脈動の推定値である推定トルク脈動を推定する。制御部53は、ENG41の推定トルク脈動においてENG41の回転を妨げる負のトルクが生じる場合には、発電電力を低減してENG41の回転速度の低減を抑制するようにMG42を制御する。ECU50によれば、ENG41の推定トルク脈動が負の値である場合に常に駆動アシスト運転を実行することなく、駆動アシスト運転が不要な場合には実行しないで発電電力の低減により内燃機関のトルク脈動を緩和できる。その結果、ENG41のトルク脈動を緩和するために生じ得るMG42における発電効率の低下を抑制できる。
【0049】
ECU50は、MG42の回転速度およびトルクに対応させて、ENG41のクランク角に対するトルクの変化を示すトルク脈動をトルク脈動情報として記憶する記憶部51を備えている。そして、推定部52は、MG42の発電トルク指令Tgcおよび目標回転速度Ngrに基づいてトルク脈動情報から読み出したENG41のトルク脈動を、ENG41の推定トルク脈動として推定する。
【0050】
制御部53は、ENG41の回転変動が所定の閾値以上である場合には、ENG41の推定トルク脈動において負のトルクが生じるときに、ENGの駆動を援助するようにMG42を電動機として駆動する駆動アシスト運転を実行する。ENG41の回転変動が大きい場合には駆動アシストモードを選択してENG41の回転速度の低減を効果的に抑制できるため、トルク脈動を効果的に抑制することができる。
【0051】
制御部53は、駆動アシスト運転時には、ENG41のトルクの変化に応じてMG42の駆動アシスト量を変化させる。ENG41における負のトルク脈動を適切に緩和するとともに、MG42における発電効率の低下を抑制できる。
【0052】
制御部53は、MG42を発電機として駆動する発電運転時には、発電トルク指令を一定値としてMG42を制御する。発電電力の急激な変化を抑制することにより、発電電力量の見積もりやBAT44への充電量の算出を簡易化することができる。
【0053】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0054】
本発明は、発電電動機の制御装置、または、2次電池から供給される電力を用いて駆動する装置に搭載される発電電動機の制御装置に適用され、例えば車両(乗用、商用、小型、2輪、牽引車含む)、航空機、船舶などの移動体や定置式発電機に搭載される発電電動機の制御装置に好適である。
【0055】
上記の移動体は、供給される電力を発電電動機の電動機としての駆動により消費して推進力を発生させることで移動ができる。また、上記の定置式発電機は、発電電動機で発電した電力を2次電池に充電したり、発電した電力と2次電池からの放電電力とを加算し、電力を直流から交流に変換する電力変換機器を介して供給したりすることができ、商用電源として機能し得る。本願は、上記各実施形態で説明した、内燃機関と、発電電動機と、発電電動機の制御装置と、を備える発電装置または移動体を提供する。
【符号の説明】
【0056】
41…内燃機関、42…発電電動機、50…制御装置、52…推定部、53…制御部