(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】精米設備
(51)【国際特許分類】
B02B 7/00 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
B02B7/00 Z
B02B7/00 B
(21)【出願番号】P 2021055614
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】越智 輝久
【審査官】小林 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-188747(JP,A)
【文献】特開2005-21752(JP,A)
【文献】特開2021-11788(JP,A)
【文献】特開2012-152684(JP,A)
【文献】特開2011-72871(JP,A)
【文献】特開2017-148722(JP,A)
【文献】実開昭56-27781(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 1/00-7/02
E04H 1/00-1/14
E04H 3/00-4/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋(1)内を仕切壁(4)で客室(2)と機械室(3)とに仕切る精米設備において、客室(2)を出入りする客室扉(20)の直上の正面壁(T1)に外気導入口(30)を形成すると共に、仕切壁(4)に操作盤(14)を設け、操作盤(14)より下側の部位で、かつ、外気導入口(30)よりも低い位置に客室(2)から機械室(3)へ流れる外気が通過する外気通過口(42)を設け、外気導入口(30)と外気通過口(42)にそれぞれフィルタ(32,45)を設けることを特徴とする精米設備。
【請求項2】
建屋(1)の側壁部(T2)に機械室(3)へ出入りする機械室扉(21)を設け、機械室扉(21)の直上方に外気吸入口(50)を設け、外気吸入口(50)から吸入した外気を機械室(3)へ向けて通過する外気通過通路(54)を設け、外気通過通路にフィルタ(55)を設けることを特徴とする請求項1記載の精米設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人の建屋式の精米設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、客室と機械室とに仕切りされた建屋式の無人精米設備について、機械室内に外気を取り入れるために、屋根の内部の空間を利用する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によると、屋根の内部の空間に虫の侵入防止用のフィルタを設けるので、フィルタが高い位置にありフィルタの交換がし難いという課題があった。
【0005】
本発明は、外気導入のフィルタの交換を容易にすることを課題とする。
【0006】
また、客室内の外気の導入を良好にして利用者の使用環境を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、請求項1記載の発明は、
建屋(1)内を仕切壁(4)で客室(2)と機械室(3)とに仕切る精米設備において、客室(2)を出入りする客室扉(20)の直上の正面壁(T1)に外気導入口(30)を形成すると共に、仕切壁(4)に操作盤(14)を設け、操作盤(14)より下側の部位で、かつ、外気導入口(30)よりも低い位置に客室(2)から機械室(3)へ流れる外気が通過する外気通過口(42)を設け、外気導入口(30)と外気通過口(42)にそれぞれフィルタ(32,45)を設けることを特徴とする精米設備とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、
建屋(1)の側壁部(T2)に機械室(3)へ出入りする機械室扉(21)を設け、機械室扉(21)の直上方に外気吸入口(50)を設け、外気吸入口(50)から吸入した外気を機械室(3)へ向けて通過する外気通過通路(54)を設け、外気通過通路にフィルタ(55)を設けることを特徴とする請求項1記載の精米設備とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、フィルタの位置を低くすることができ、フィルタの交換を容易にすることができる。
【0010】
また、客室内の外気が上から下へ流れることで、特に夏場に利用する利用者に冷気を作用させることができ、客室での使用環境を向上させることができる。また、機械室内の負圧を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図4】平面から見た精米設備の内部を示す図である。
【
図5】側面から見た精米設備の内部を示す図である。
【
図8】背面から見た精米設備の建屋を示す図である。
【
図9】平面から見た精米設備の建屋を示す図である。
【
図10】(A)建屋を吊り上げるときの模式図である。(B)建屋を運搬するときの模式図である。(C)天井看板を設置するときの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態の建屋式の精米設備について
図1~
図5に基づいて以下説明する。
【0013】
正面壁T1と側壁T2と背面壁T3と床Y1と屋根Y2とを備える建屋1の内部に、利用者が精米作業をする客室2と、第一昇降機10、石抜機11、第二昇降機12、精米機13等の装置を設置する機械室3とを備え、客室2と機械室3とを仕切壁4で仕切っている。正面壁T1に利用者が出入りするための客室扉20を備える。側壁T2には精米設備の管理者が出入りする機械室扉21を備える。
【0014】
客室2側の仕切壁4の左右中央部には操作盤14を取り付け、操作盤14の左右一側には白米タンク15を設け、操作盤14の左右他側には投入用扉16を備える。投入用扉16が開くと投入ホッパ17に利用者が持参玄米を投入可能に構成している。
【0015】
機械室3の背面壁T3には換気扇22を設けている。
【0016】
精米作業について説明する。
【0017】
客室2で利用者が料金投入口18に料金を投入すると投入用扉16が開き、利用者は持参玄米を投入ホッパ17に投入する。操作盤14の精白度選択スイッチ19を操作すると機械室3の装置が駆動を開始する。投入ホッパ17の玄米は第一昇降機10で石抜機11に供給され、玄米に混じる石が選別される。石抜機11を通過した玄米は第二昇降機12で精米機13に供給されて精米処理され、精白米が白米タンク15に供給される。利用者は白米タンク15を取り出して持ち帰る。
【0018】
石抜機11は送風ファン11aと多数の通風孔を形成する石抜選別板11bを備える周知の構成である。精米機13は精米処理の際に発生する糠を吸引ファン13aで吸引して糠搬送筒13bで建屋1外に設ける糠貯留部Nに空気搬送する周知の構成である。
【0019】
建屋の詳細の構成について説明する。
【0020】
利用者が出入りするスライド式の客室扉20は正面壁T1に取り付けられ、客室扉20の上部の正面壁T1には外気導入口30を設ける。外気導入口30は多数の小さな導入孔30aを設定間隔に設ける。本実施の形態の多数の導入孔30aは客室扉20の左右幅にわたって直線状に配列する構成である。
【0021】
外気導入口30の建屋1内側の対向部位には、樹脂の弾性部材で方形のフィルタ32を収容するフィルタ収容室33を設ける。フィルタ収容室33は正面壁T1の背面から後方に向かって突出するフィルタ載置体34とフィルタ32を上側から覆うフィルタ覆い部材35を設ける。フィルタ載置体34は正面壁T1に固定し、フィルタ覆い部材35は正面壁T1の背面に対して取り付け具35aを介して着脱自在とする。フィルタ覆い部材35は後斜め下がりの姿勢とし、下端部をフィルタ載置体35に当接させる構成で、フィルタ32の後部を押圧することで、
図11に示すようにフィルタ32が略台形状に変形してフィルタ収容室33内に収容される構成である。フィルタ載置体34とフィルタ収容室33は客室扉20の直上方に位置する。フィルタ覆い部材35には多数の外気流入孔35bを形成している。
【0022】
仕切壁4には操作盤15を設け、操作盤14の下方には精米設備の制御機器等を収容する収容室40を設け、収容室40の正面側には客室2側に開く収容室扉41を設けている。収容室扉41の下方と床Y1の間には多数の外気通過口42を形成する。外気は外気導入口30から外気流入口35bを経て客室2に入り、客室2から外気通過口42を経て外気が機械室3内に流入する。外気通過口42は多数の外気通過孔42aを外気通過ユニット43に形成し、外気通過ユニット43は収容室扉41の幅にわたって設ける。外気通過ユニット43は側面視でコの字状のフィルタ収容体44に形成し、客室2側を壁部44aとし、機械室3側を開口部44bしてフィルタ収用室44dを形成してフィルタ45を収容する。フィルタ45の背面側は側面視でコの字状で幅の小さいフィルタ保持体46で支持される。フィルタ収容体44の正面は収容室扉41の背面と当接すると共に、建屋1の床面Y1と建屋1の正面側上下柱Y3との間のスペースにフィルタ収容体44の脚部44cを挿入することで位置固定する構成である。収容室扉41を開けると収容室扉41とフィルタ収容体44が離間することで、フィルタ収容体44を客室2側から取り出せる構成としている。
【0023】
精米設備の管理者が機械室3へ出入りする機械室扉21を建屋1の側壁T2に設ける。
【0024】
機械室扉21はドアノブ21aを把持して縦軸芯に開閉する構成である。機械室扉21の上端部より上側の機壁T2に外気吸入口50を設ける。外気吸入口50の上側には機械室扉21の幅にわたって庇51を設ける。庇51は側壁T2面から外側に向かって斜め下がり部51aに構成し、斜め下がり部51aの基端部から上方に延びる上下壁部51bを形成し、上下壁部51bの上端部より内側に向かって折り曲げ部51cを構成する。折り曲げ部51cの上部は建屋1の側壁T2の一部の役割を果たしている。庇51の斜め下がり部51aの突出長さはドアノブ21aを覆う程度の長さ程度が望ましい。
【0025】
外気吸入口50の内側には外気を機械室21内へ案内する外気案内体52を設ける。外気案内体52は外気を機械室21の天井側に向かって案内する部材であり、庇51と略平行な姿勢の斜め部52aと斜め部52aから上下壁部51bと略平行する姿勢の延長部52bを設ける。延長部52bの上端部は折り曲げ部51cより低い位置にあり、延長部52bと折り曲げ部51cの間に外気進入口53を設ける。延長部52bと上下壁部51bの間に形成される外気通過通路54にフィルタ55を設ける。上下壁部51bから外気通過通路54にかけてボルト56を設定間隔で複数配置し、フィルタ55を下から支持する。フィルタ55の交換は外気進入口53から出し入れする。外気通過通路54及びフィルタ55は機械室扉21の幅にわたる構成である。
【0026】
外気導入口30と外気吸入口50の効果について以下、説明する。
【0027】
機械室3内は略密閉空間であり、精米機13の吸引ファン13a、換気扇22の作用により負圧になるので、外気を機械室3内に流入させる必要がある。外気導入口30と外気吸入口50より外気が流入することで機械室3内の負圧による吸引ファン13aや換気扇22の作用低下を防止することができる。外気導入口42からの外気は客室扉20より高い位置から、客室扉20より低い位置の外気通過口42を通過する。そのため、
図5の矢印Jに示すように外気が客室2の上部から下部に向かって流れる。それにより、外気の冷気が客室2内の利用者に作用することで、特に外気温の高い夏場等に精米作業する利用者に涼感を提供することができる。
【0028】
また、外気導入口30のフィルタ32は比較的低い高さ位置に設け、外気通過口のフィルタ45は低い位置に設けることで、いずれも客室2側からフィルタの交換が容易となる。また、フィルタ覆い部材35や外気通過ユニット43は着脱することができるので、フィルタの交換が容易となると共に、フィルタの姿勢を保持するため、フィルタの位置がずれることによる外気導入孔30aや外気通過孔42aが露出することにより虫が進入することを防止することができる。
【0029】
また、外気通過通路54のフィルタ55についても機械室3側で作業する管理者は外気進入口53からの出し入れがし易いのでフィルタ55の交換作業が容易である。
【0030】
建屋1の天井部Y2から上方に向けてポール60を設け、ポール60には天井看板61を取り付けている。ポール60は建屋の屋根Y2の上方にわたって延びる横フレーム66に取り付けられる構成で、ポール60は回動可能に構成することで天井看板61が所望の位置に向けられるようにする。
【0031】
建屋1の側壁T2上部にはフック62を設ける。精米設備をトラックに搭載して運搬するときには運搬用ロープ63を斜め下方に引っ張り姿勢でトラックの荷台に固定することができ、トラックへの積み下ろし時にクレーン67等で持ち上げるときに運搬用ロープ63で吊り上げ、ポール60を設置するときにはポール60の位置固定用ロープ64で固定することができる。
【0032】
フック62は建屋1の横看板65と側壁T2の間に設ける構成であるため、外側からフック62が視認しにくいので建屋1の外観が良好になる。
【符号の説明】
【0033】
1 建屋
2 客室
3 機械室
4 仕切壁
14 操作盤
20 客室扉
21 機械室扉
30 外気導入口
32 フィルタ
42 外気通過口
45 フィルタ
50 外気吸入口
54 外気通過通路
55 フィルタ
T1 正面壁
T2 側壁