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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】物品搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 15/02 20060101AFI20240423BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20240423BHJP
   B66C 1/28 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B66C15/02 C
B65G1/04 551B
B66C1/28 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021175679
(22)【出願日】2021-10-27
(65)【公開番号】P2023065082
(43)【公開日】2023-05-12
【審査請求日】2023-12-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】安部 健史
(72)【発明者】
【氏名】吉山 智裕
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-131702(JP,A)
【文献】国際公開第2018/142811(WO,A1)
【文献】特開2018-125411(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0019772(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 15/02
B65G 1/04
B66C 1/28
B65G 49/07
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する物品搬送装置であって、
前記物品の搬送のために移動する移動体と、前記物品を吊り下げるように保持する保持状態と前記物品の保持を解除する保持解除状態とに状態変更可能である保持部と、前記保持部を昇降させて、前記保持部に保持された前記物品を搬送用位置と前記搬送用位置より低い下降位置とに昇降移動させる昇降部と、落下規制部と、ガイド部と、を備え、
前記移動体は、前記保持部と前記昇降部と前記落下規制部と前記ガイド部とを支持し、
前記搬送用位置にある前記物品を搬送中物品として、前記落下規制部は、前記搬送中物品よりも下側において水平方向に互いに離間して配置された一対の規制体と、一対の前記規制体を規制位置と非規制位置とに移動させる規制駆動機構と、を備え、
前記規制位置では、上下方向に沿う上下方向視で一対の前記規制体の双方が前記物品と重複するように配置され、前記非規制位置では、前記上下方向視で一対の前記規制体の双方が前記物品と重複しないように配置され、
前記ガイド部は、一対の前記規制体よりも上側において前記搬送中物品に対して水平方向の両側に分かれて配置された少なくとも一対のガイド体を備え、
一対の前記ガイド体のそれぞれは、前記搬送中物品の側を向くガイド面を備え、
前記ガイド面は、前記上下方向の配置領域が前記搬送中物品と重複する第1領域と、前記搬送中物品よりも下側に配置される第2領域とを備え、
前記第2領域は、前記上下方向視で前記搬送中物品と重複せず、且つ、前記第1領域よりも前記搬送中物品に近い位置に配置されている、物品搬送装置。
【請求項2】
前記移動体の移動中における前記搬送中物品の前記水平方向の振幅の最大値を最大揺れ幅として、
前記第1領域は、前記搬送中物品との前記水平方向の距離が前記最大揺れ幅より大きくなるように配置されている、請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記水平方向に沿う方向における特定の方向を第1方向とし、前記水平方向に沿う方向であって前記第1方向に直交する方向を第2方向として、
前記ガイド体を第1ガイド体とし、前記ガイド面を第1ガイド面として、
一対の前記第1ガイド体は、前記搬送中物品に対して前記第1方向の両側に分かれて配置され、
前記ガイド部は、一対の前記規制体よりも上側において前記搬送中物品に対して前記第2方向の両側に分かれて配置された一対の第2ガイド体を更に備え、
一対の前記第2ガイド体のそれぞれは、前記搬送中物品の側を向く第2ガイド面を備え、
前記第2ガイド面は、前記上下方向の配置領域が前記搬送中物品と重複する第3領域と、前記搬送中物品よりも下側に配置される第4領域とを備え、
前記第4領域は、前記上下方向視で前記搬送中物品と重複せず、且つ、前記第3領域よりも前記搬送中物品に近い位置に配置されている、請求項1又は2に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記ガイド面は、前記第1領域と前記第2領域との上下方向の間において前記第1領域と前記第2領域とを接続する接続領域を更に備え、
前記接続領域は、下側へ向かうに従って前記搬送中物品に近づく側へ向かうように傾斜している、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品搬送装置。
【請求項5】
前記ガイド部は、一対の前記ガイド体をガイド位置と非ガイド位置とに移動させるガイド駆動機構を更に備え、
前記ガイド駆動機構は、前記規制駆動機構による一対の前記規制体の移動に連動させて、一対の前記規制体が前記規制位置にある場合に一対の前記ガイド体を前記ガイド位置とし、一対の前記規制体が前記非規制位置にある場合に一対の前記ガイド体を前記ガイド位置に比べて前記搬送中物品から離間した前記非ガイド位置とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の物品搬送装置。
【請求項6】
前記ガイド体が、前記規制体に固定されており、
前記ガイド駆動機構と前記規制駆動機構とが共通の駆動機構である、請求項5に記載の物品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品搬送装置の一例が、特開2015-131702号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示す符号又は名称は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に記載された物品搬送装置(天井搬送車1)は、走行レール(2)を走行する走行移動部(12)と、物品(搬送物6)を吊り下げて保持する保持部(支持機構19)と、保持部(19)を昇降移動自在に支持する昇降支持部(13)と、を備えている。昇降支持部(13)には、搬送用位置で支持されている物品の落下を防止する一対の落下防止体(27)が設けられている。一対の落下防止体(27)は、搬送用位置の物品よりも下側において、水平面に沿って出退するように設けられている。一対の落下防止体(27)には、複数の規制体(30)が固定されている。複数の規制体(30)は、物品の水平方向への移動を規制するために、搬送用位置の物品に対して水平方向の外側に配置されている。このため、物品の搬送中に、保持部(19)による物品の保持が解除されて、物品が一対の落下防止体(27)の上に落ちた場合でも、物品の水平方向への移動が規制される。これにより、物品が、一対の落下防止体(27)から落下することを回避できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-131702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような物品搬送装置では、規制体(30)が搬送用位置の物品に近い位置に配置されていると、落下防止体(27)の上に落ちた物品が水平方向に移動することを規制し易くなり、物品が落下防止体(27)から落下することを効果的に回避できる。一方、規制体(30)の位置が搬送用位置の物品に近ければ、走行移動部(12)の走行中の揺れに伴って、搬送用位置の物品が揺れて規制体(30)に接触し易くなる。搬送用位置の物品が揺れて規制体(30)に接触すると、搬送中の物品に衝撃が伝わり、当該物品が破損したり、物品搬送装置自体が故障したりする可能性がった。例えば、物品が半導体基板等の収容物を収容する容器である場合、規制体(30)との接触によって、収容物が破損するおそれもある。
【0006】
そこで、仮に物品の搬送中に物品の保持が解除された場合であっても、物品が物品搬送装置から落下することを回避できる物品搬送装置の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた、物品搬送装置の特徴構成は、物品を搬送する物品搬送装置であって、前記物品の搬送のために移動する移動体と、前記物品を吊り下げるように保持する保持状態と前記物品の保持を解除する保持解除状態とに状態変更可能である保持部と、前記保持部を昇降させて、前記保持部に保持された前記物品を搬送用位置と前記搬送用位置より低い下降位置とに昇降移動させる昇降部と、落下規制部と、ガイド部と、を備え、前記移動体は、前記保持部と前記昇降部と前記落下規制部と前記ガイド部とを支持し、前記搬送用位置にある前記物品を搬送中物品として、前記落下規制部は、前記搬送中物品よりも下側において水平方向に互いに離間して配置された一対の規制体と、一対の前記規制体を規制位置と非規制位置とに移動させる規制駆動機構と、を備え、前記規制位置では、上下方向に沿う上下方向視で一対の前記規制体の双方が前記物品と重複するように配置され、前記非規制位置では、前記上下方向視で一対の前記規制体の双方が前記物品と重複しないように配置され、前記ガイド部は、一対の前記規制体よりも上側において前記搬送中物品に対して水平方向の両側に分かれて配置された少なくとも一対のガイド体を備え、一対の前記ガイド体のそれぞれは、前記搬送中物品の側を向くガイド面を備え、前記ガイド面は、前記上下方向の配置領域が前記搬送中物品と重複する第1領域と、前記搬送中物品よりも下側に配置される第2領域とを備え、前記第2領域は、前記上下方向視で前記搬送中物品と重複せず、且つ、前記第1領域よりも前記搬送中物品に近い位置に配置されている点にある。
【0008】
本構成によれば、上下方向の配置領域が搬送中物品と重複するガイド面の第1領域については、移動体の移動中の搬送中物品の揺れによるガイド体と搬送中物品との干渉が生じ難いように、搬送中物品との間隔を十分に確保することができる。一方、ガイド面の第2領域は、保持部による物品の保持が維持されている状態では、搬送中物品よりも下側に配置される。そのため、移動体の移動中の搬送中物品の揺れによる搬送中物品との干渉を考慮する必要がない。そこで、第2領域を第1領域よりも搬送中物品に近い位置に配置することで、保持部による物品の保持が意図せずに解除されて物品が一対の規制体の上に落ちた場合であっても、移動体の移動による物品の水平方向の動きをガイド面の第2領域により最小限に抑えることができる。従って、一対の規制体から物品が落下することを回避できる。
すなわち、本構成によれば、物品搬送装置による物品の搬送中に、物品とガイド体との干渉を抑制しつつ、仮に保持部による物品の保持が解除されてしまった場合であっても、一対の規制体の上での物品の動きを小さく抑えることができ、当該物品が一対の規制体から落下することを回避できる。
【0009】
物品搬送装置のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する例示的且つ非限定的な実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】物品搬送装置の正面図
図2】物品搬送装置の正面図
図3】第1ガイド体と第2ガイド体との位置関係を示す図
図4】物品と第1ガイド体との位置関係を示す図
図5】規制位置にある状態の一対の規制体を示す平面図
図6】非規制位置にある状態の一対の規制体を示す平面図
図7】その他の実施形態に係るガイド体の位置を示す平面図
図8】その他の実施形態に係るガイド体の位置を示す平面図
図9】その他の実施形態に係るガイド体の側面図
図10】その他の実施形態に係るガイド体の側面図
図11】その他の実施形態に係るガイド体の側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.物品搬送装置
物品搬送装置100は、物品9を搬送する装置である。このような物品搬送装置100は、例えば半導体製造工場において用いることができ、搬送対象の物品として、半導体ウェハを収容するためのFOUP(Front Opening Unified Pod)やレチクルを収容するためのレチクルポッド等を例示することができる。以下、物品搬送装置100の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1及び図2に示すように、物品搬送装置100は、移動体1と、保持部2と、昇降部4と、落下規制部6と、ガイド部7と、を備えている。本実施形態では、物品搬送装置100は、保持部2に保持された物品9を収容する収容部3を更に備えている。
【0013】
本実施形態では、図1及び図2に示すように、物品搬送装置100は、移動経路5に沿って移動する。移動経路5は、物理的に形成されていても仮想的に設定されていてもよい。本実施形態では、移動経路5は、走行レール50を用いて物理的に形成されている。具体的には、走行レール50(ここでは、一対の走行レール50)は、天井11から吊り下げ支持されており、移動経路5は、天井11に沿って形成されている。すなわち、本実施形態では、物品搬送装置100は、天井11に沿って形成された移動経路5に沿って走行する天井搬送車である。
【0014】
本実施形態では、水平方向に沿う方向における特定の方向を第1方向Xとし、水平方向に沿う方向であって第1方向Xに直交する方向を第2方向Yとして説明する。本例では、図1に示すように、第1方向Xは移動経路5に沿う方向とされている。第2方向Yは、移動経路5に沿う方向に直交する方向とされている。
【0015】
2.移動体
移動体1は、物品9の搬送のために移動する。また、移動体1は、保持部2と昇降部4と落下規制部6とガイド部7とを支持している。本実施形態では、移動体1は、更に、収容部3を支持している。ここでは、図1及び図2に示すように、保持部2と昇降部4と落下規制部6とガイド部7と収容部3とは、移動体1により上方から吊り下げられた状態で支持されている。移動体1は、走行レール50を走行することで、移動経路5に沿う方向(第1方向X)に移動する。本例では、移動体1は、走行レール50の上を転動する複数の走行車輪10と、複数の走行車輪10のうちの少なくとも1つを駆動する走行駆動部10Mとを備えている。走行駆動部10Mは、モータと、当該モータの駆動力を走行車輪10に伝達する駆動力伝達機構とを含んでいる。走行駆動部10Mが駆動対象の走行車輪10を回転駆動することにより、第1方向Xの推進力が移動体1に付与される。図示の例では、複数の移動体1(ここでは2つ)が、第1方向Xに分かれて配置されている。
【0016】
3.昇降部
昇降部4は、保持部2を昇降させて、保持部2に保持された物品9を搬送用位置Prと搬送用位置Prより低い下降位置Ptとに昇降移動させる。本実施形態では、昇降部4は、移動体1と保持部2との間に設けられ、移動体1に対して保持部2及び保持部2に保持された物品9を昇降させるように構成されている。これにより、物品搬送装置100は、自己と、走行レール50よりも下側に配置された移載対象箇所12との間で物品9を移載可能に構成されている(図2参照)。本例では、図1及び図2に示すように、昇降部4は、保持部2に連結された昇降ベルト40と、昇降ベルト40を巻き取り又は繰り出して保持部2を昇降させる昇降駆動部4Mとを備えている。昇降駆動部4Mは、モータと、当該モータの駆動力を昇降ベルト40に伝達して昇降ベルト40を巻き取り又は繰り出すための機構(例えばプーリ等)とを含んでいる。そして、昇降部4は、昇降ベルト40を繰り出すことで保持部2を下降させ、昇降ベルト40を巻き取ることで保持部2を上昇させる。
【0017】
搬送用位置Prは、物品搬送装置100における搬送中の物品9が保持される位置である。本実施形態では、搬送用位置Prは、物品9が収容部3に収容される位置である。図1及び図2において実線で示された物品9の位置が搬送用位置Prである。本例では、昇降部4による物品9の昇降範囲における上限域に対応する位置が、搬送用位置Prとなっている。下降位置Ptは、搬送用位置Prよりも下側に設定されている。本実施形態では、下降位置Ptは、図2に2点鎖線で示すように、物品9が移載対象箇所12に対応する高さに設定されている。なお、互いに高さが異なる移載対象箇所12が複数存在する場合には、下降位置Ptは、それら複数の移載対象箇所12のそれぞれの高さに対応して複数設定される。本例では、移載対象箇所12は、処理装置のロードポート、自動倉庫の受け渡し用ポート、バッファの載置部等が該当する。以下では、搬送用位置Prにある物品9を搬送中物品9aとして説明する場合がある。
【0018】
4.保持部
保持部2は、物品9を保持する部分であり、物品9を吊り下げるように保持する保持状態と物品9の保持を解除する保持解除状態とに状態変更可能である。保持部2は、昇降部4を介して移動体1に支持されている。本実施形態では、図1及び図2に示すように、保持部2は、本体部20と、物品9を吊り下げて保持するために物品9に接触する保持体21(ここでは一対の保持体21)と、保持体21を駆動する保持駆動部21Mとを備えている。本体部20が昇降部4に連結されている。ここでは、昇降部4の昇降ベルト40が本体部20に連結されている。また、保持体21と保持駆動部21Mとは、本体部20に設けられている。本例では、一対の保持体21は、本体部20から下側に突出するように配置されている。
【0019】
保持駆動部21Mは、一対の保持体21を駆動して、当該一対の保持体21を、物品9を吊り下げるように保持可能な保持姿勢と、物品9の保持を解除する保持解除姿勢とに姿勢変更させる。本例では、保持駆動部21Mは、モータと、当該モータの駆動力を一対の保持体21に伝達して一対の保持体21を互いに接近離間させる伝達機構とを備えている。保持駆動部21Mは、一対の保持体21を互いに接近させることにより保持姿勢にする。また、保持駆動部21Mは、一対の保持体21を互いに離間させることにより保持解除姿勢にする。図1及び図2の実線は、一対の保持体21が保持姿勢である状態を示している。また、図2の二点鎖線は、一対の保持体21が保持解除姿勢である状態を示している。
【0020】
5.物品
本実施形態では、物品9は、物品本体部90と、物品本体部90の上部から上側に突出する被保持部91とを備えている。被保持部91は、フランジ状に形成されている。物品9は、一対の保持体21によって被保持部91が保持されることにより、保持部2に保持される。本例では、被保持部91が一対の保持体21により水平方向の両側から把持されることで、物品9が保持部2に保持される。
【0021】
6.収容部
本実施形態では、図1及び図2に示すように、収容部3は、保持部2と、保持部2に保持されて搬送用位置Prにある物品9とを収容する。言い換えると、収容部3は、保持部2と搬送中物品9aとを収容する。図示の例では、収容部3は、保持部2及び物品9に加えて、昇降部4も収容している。
【0022】
本例では、収容部3は、搬送中物品9aを側方(水平方向)から覆う側方カバー部31と、搬送中物品9aを上方から覆う上方カバー部32とを備えている。図示の例では、一対の側方カバー部31と上方カバー部32とが連結されて収容部3が構成されている。ここでは、上方カバー部32における、第1方向Xの両端部のそれぞれから、側方カバー部31が下方に延在している。そして、上方カバー部32は、搬送中物品9aの上側を覆い、一対の側方カバー部31は、搬送中物品9aの第1方向Xの両側を覆うように構成されている。
【0023】
7.落下規制部
図1図2図5、及び図6に示すように、落下規制部6は、搬送中物品9aよりも下側において水平方向に互いに離間して配置された一対の規制体61と、一対の規制体61を規制位置Pcと非規制位置Pdとに移動させる規制駆動機構60と、を備えている。本実施形態では、一対の規制体61は、搬送中物品9aの底面92よりも下側に配置されている。そして、一対の規制体61は、搬送中物品9aに対して第1方向Xに分かれて配置されている。言い換えると、一対の規制体61は、保持部2に対して第1方向Xにおける両側に分かれて設けられている。なお、一対の規制体61のそれぞれは、互いに同等の構造を備えている。
【0024】
図5及び図6に示すように、規制位置Pcでは、上下方向Zに沿う上下方向Z視で一対の規制体61の双方が物品9と重複するように配置され、非規制位置Pdでは、上下方向Z視で一対の規制体61の双方が物品9と重複しないように配置されている。本実施形態では、一対の規制体61は、第1方向Xに、互いに接近及び離間する方向に移動するように構成されている。そして、規制位置Pcでは、一対の規制体61の双方が、第1方向Xにおける搬送中物品9aに接近する側に突出した突出姿勢(図1及び図5参照)となる。これにより、一対の規制体61は、上下方向Z視で、搬送中物品9aと重複するように配置される。一方、非規制位置Pdでは、一対の規制体61の双方が、第1方向Xにおける搬送中物品9aから離れる側に退避した退避姿勢(図2及び図6参照)となる。これにより、一対の規制体61は、上下方向Z視で、搬送中物品9aと重複しないように配置される。
【0025】
本実施形態では、図1及び図2に示すように、規制体61は、収容部3に支持されている。すなわち、規制体61は、収容部3を介して、移動体1に支持されている。ここでは、規制体61は、一対の側方カバー部31のそれぞれに設けられた取付部材33(図5及び図6参照)に、規制駆動機構60を介して支持されている。そして、規制駆動機構60により、一対の規制体61のそれぞれが、突出姿勢と退避姿勢とに姿勢変更することで、規制位置Pcと非規制位置Pdとに移動する。図示の例では、規制体61は、第1方向X及び第2方向Yに沿って延在する板状の部材とされている(図5及び図6参照)。
【0026】
本例では、図5及び図6に示すように、規制駆動機構60は、一対の規制体61のそれぞれに対応するように、一対の取付部材33のそれぞれに設けられている。規制駆動機構60は、リンク機構で構成されている。本例では、規制駆動機構60を構成するリンク機構は、第1リンク62と第2リンク63と連結部材64と、を備えている。
【0027】
第1リンク62は、規制体61に対して上下軸心まわりに回転可能に、規制体61に連結されている。また、第1リンク62は、取付部材33に対して上下方向Zに沿う第1軸心Ax1まわりに回転可能に、取付部材33に連結されている。第2リンク63は、規制体61と第1リンク62との連結部に対して第2方向Yに離間した位置において、規制体61に対して上下軸心まわりに回転可能に、規制体61に連結されている。また、第2リンク63は、第1リンク62と取付部材33との連結部に対して第2方向Yに離間した位置において、取付部材33に対して上下方向Zに沿う第2軸心Ax2まわりに回転可能に、取付部材33に連結されている。連結部材64は、第1リンク62に対して上下軸心まわりに回転可能に、第1リンク62に連結されている。また、連結部材64は、第2リンク63に対して上下軸心まわりに回転可能に、第2リンク63に連結されている。図示の例では、連結部材64は、第2方向Yに沿うように配置されている(図5及び図6参照)。これにより、連結部材64は第1リンク62と第2リンク63とを連結している。
【0028】
本例では、規制駆動機構60は、規制体61を突出姿勢(図5参照)と退避姿勢(図6参照)とに姿勢を変更する規制駆動源60Mを備えている。図示の例では、規制駆動源60M(ここでは、駆動モータ)は、第2リンク63を第2軸心Ax2まわりに旋回させるように構成されている。そして、第2リンク63の旋回に伴い、連結部材64が第2方向Yに沿って移動し、第1リンク62が第1軸心Ax1まわりに旋回する。これにより、規制体61が第1方向Xに突出したり、退避したりする。なお、規制駆動機構60は、例えば、公知の直動案内機構(リニアガイドやリニアブッシュ等)を備えており、直動案内機構の案内により規制体61を、第1方向Xに沿って、規制位置Pcと非規制位置Pdとに移動させる構成としても良い。
【0029】
8.ガイド部
ガイド部7は、保持部2による物品9の保持が意図せずに解除されて、物品9が搬送用位置Prから一対の規制体61の上に落ちた場合に、物品9の水平方向での移動を規制する役割を果たす。
【0030】
図1及び図2に示すように、ガイド部7は、一対の規制体61よりも上側において搬送中物品9aに対して水平方向の両側に分かれて配置された少なくとも一対の第1ガイド体17を備えている。本実施形態では、一対の第1ガイド体17が、搬送中物品9aに対して第1方向Xの両側に分かれて配置されている。また本例では、図5及び図6に示すように、一対の第1ガイド体17は、第2方向Yの互いに異なる位置に配置されている。より具体的には、一対の第1ガイド体17は、上下方向Z視で矩形状の物品9の対角となる2つの隅部のそれぞれにおける第1方向Xを向く面に対向する位置に分かれて配置されている。
【0031】
図5及び図6に示すように、本実施形態では、第1ガイド体17は、規制体61に固定されている。本例では、一対の規制体61のそれぞれに、第1ガイド体17が1つずつ固定されており、これにより、搬送中物品9aに対して第1方向Xの両側に分かれて配置されている。また、一対の第1ガイド体17のそれぞれは、上記のとおり第2方向Yの互いに異なる位置に分かれて配置されていると共に、一対の規制体61のそれぞれが、規制位置Pcにある状態で、搬送中物品9aの第1方向Xを向く側面90Fに沿うように配置されている。
【0032】
図3及び図4に示すように、一対の第1ガイド体17のそれぞれは、搬送中物品9aの側を向く第1ガイド面18を備えている。本実施形態では、第1ガイド面18は、搬送中物品9aの第1方向Xを向く側面90Fに対向するように配置されている(図1及び図2参照)。本例では、第1ガイド体17は、上下方向Z及び第2方向Yに沿って延在している(図3参照)。そして、第1ガイド体17は、第1方向X視で矩形状に形成されている。ここでは、一対の第1ガイド面18のそれぞれは、第1方向X視で長方形状となっている。また、図1に示すように、本実施形態では、第1ガイド面18の上端は、搬送中物品9aの側面90Fの下端よりも上側に配置されている。これにより、保持部2による物品9の保持が意図せずに解除された場合であっても、当該物品9が第1方向Xにおける一対の第1ガイド体17よりも外側に飛び出すことを規制できる。なお、本実施形態では、第1ガイド体17が「ガイド体」であり、第1ガイド面18が「ガイド面」である。
【0033】
図3及び図4に示すように、第1ガイド面18は、上下方向Zの配置領域Eが搬送中物品9aと重複する第1領域Eaと、搬送中物品9aよりも下側に配置される第2領域Ebとを備えている。そして、第2領域Ebは、上下方向Z視で搬送中物品9aと重複せず、且つ、第1領域Eaよりも搬送中物品9aに近い位置に配置されている。本実施形態では、第1ガイド体17は、第1領域Eaを形成する第1上側部14と、第2領域Ebを形成する第1下側部16と、後述する第1接続領域Gを形成する第1接続部15と、を備えている。そして、第1上側部14の搬送中物品9aの側を向く面が第1領域Eaであり、第1下側部16の搬送中物品9aの側を向く面が第2領域Ebであり、第1接続部15の搬送中物品9aの側を向く面が第1接続領域Gである。そして、第1下側部16の搬送中物品9aの側を向く面、すなわち第2領域Ebが、第1上側部14の搬送中物品9aの側を向く面、すなわち第1領域Eaよりも、第1方向Xの内側、すなわち搬送中物品9aに近い側に配置されている。図示の例では、第1領域Ea及び第2領域Ebは、上下方向Z及び第2方向Yに沿うように形成されている。
【0034】
本実施形態では、図3及び図4に示すように、第1ガイド面18は、第1領域Eaと第2領域Ebとの上下方向Zの間において第1領域Eaと第2領域Ebとを接続する第1接続領域Gを更に備えている。本例では、第1接続領域Gは、1つの平面で形成されている。そして、第1接続領域Gを形成する第1接続部15は、第1上側部14と第1下側部16とを接続している。これにより、第1接続領域Gは、上下方向Zにおける第1領域Eaと第2領域Ebとの間に配置されている。そして、図3及び図4に示すように、第1接続領域Gは、下側へ向かうに従って搬送中物品9aに近づく側へ向かうように傾斜している。本例では、第1接続領域Gは、第1領域Eaの下端部と、第2領域Ebの上端部とを接続している。そのため、第1接続領域Gは、下側へ向うに従って、第1方向Xの内側(搬送中物品9aに近づく側)へ向かうように傾斜している。これに伴い、図示の例では、第2方向Y視で、第1上側部14と第1下側部16とが長方形状であるのに対し、第1接続部15は台形状に形成されている(図3参照)。また、本例では、第1上側部14と第1接続部15と第1下側部16とが一体形成されている。なお、第1ガイド体17は、複数の部材により構成されていても良い。例えば、第1ガイド体17が第1領域Eaに沿う面に沿って第1方向Xに2つの部材に分割され、第1領域Eaを形成する部分と、第1接続領域G及び第2領域Ebを形成する部分とが別の部材により構成されていても良い。或いは、第1上側部14と第1接続部15と第1下側部16とのそれぞれが、互いに異なる部材により構成されていても良い。なお、本実施形態では、第1接続領域Gが「接続領域」に相当する。
【0035】
本実施形態では、図4に示すように、移動体1の移動中における搬送中物品9aの水平方向の振幅の最大値を最大揺れ幅Vとして、第1領域Eaは、搬送中物品9aとの水平方向の距離Lが最大揺れ幅Vより大きくなるように配置されている。ここで、距離Lは、搬送中物品9aが適正姿勢(本例では底面92が水平面と平行になる姿勢)の状態における、第1領域Eaと搬送中物品9aとの最短距離である。このような構成により、移動体1の移動中に、移動体1の揺れによる、第1ガイド体17と搬送中物品9aとの干渉を回避することができる。ところで、本実施形態では、第2領域Ebは、搬送中物品9aとの水平方向の距離が、最大揺れ幅Vよりも小さくなるように配置されているが、第1領域Eaと第2領域Ebとを接続する部分には、下側へ向かうに従って第2領域Ebの側へ向かうように傾斜する第1接続領域Gが設けられている。これにより、仮に最大揺れ幅Vの位置で、保持部2による物品9の保持が解除された場合でも、物品9の第1方向Xにおける端部領域は、第1接続領域Gの上に落ちる。従って、当該物品9は、第1接続領域Gに適切にガイドされて、一対の規制体61の上に落下する。本実施形態では、このように、搬送中物品9aと、保持部2による保持が解除された物品9との双方を適切にガイドできる一対の第1ガイド体17の位置を、ガイド位置Peと称する。
【0036】
なお、図示の例では、一対の第1ガイド体17が、1組だけ設けられているが、一対の第1ガイド体17が、複数組設けられていても良い。例えば、一対の規制体61のそれぞれに、第2方向Yに分かれて2つの第1ガイド体17が配置され、合計2対の第1ガイド体17が設けられていても良い。また、第1ガイド体17は、規制体61に設けられていなくても良く、例えば、収容部3に直接連結された構成としても良い。
【0037】
本実施形態では、図5及び図6に示すように、ガイド部7は、一対の規制体61よりも上側において搬送中物品9aに対して第2方向Yの両側に分かれて配置された一対の第2ガイド体77を更に備えている。また本例では、一対の第2ガイド体77は、第1方向Xの互いに異なる位置に配置されている(図1及び図2も参照)。より具体的には、一対の第2ガイド体77は、上下方向Z視で矩形状の物品9の対角となる2つの隅部のそれぞれにおける第2方向Yを向く面に対向する位置に分かれて配置されている。なお、本実施形態では、一対の第2ガイド体77は、一対の第1ガイド体17と同等の構造を備えている。そのため、以下では、第2ガイド体77について、第1ガイド体17とは異なっている点を中心に説明する。
【0038】
本例では、図5及び図6に示すように、第2ガイド体77は、規制体61に固定されている。図示の例では、一対の規制体61のそれぞれに、第2ガイド体77が1つずつ固定されており、これにより、一対の第2ガイド体77は、第1方向Xに分かれて配置されている。また、一対の第2ガイド体77のそれぞれは、上記のとおり第2方向Yの互いに異なる位置に分かれて配置されていると共に、一対の規制体61のそれぞれが、規制位置Pcにある状態で、搬送中物品9aの第2方向Yを向く側面90Gに沿うように配置されている。更に、第2ガイド体77は、第1ガイド体17よりも第1方向Xの内側、且つ第2方向Yの外側に配置されている。
【0039】
本実施形態では、図3に示すように、一対の前記第2ガイド体77のそれぞれは、搬送中物品9aの側を向く第2ガイド面28を備えている。本例では、一対の第2ガイド面28のそれぞれは、一対の規制体61が規制位置Pcにある状態で、搬送中物品9aの第2方向Yを向く側面90Gに対向するように配置されている(図1参照)。また、本例では、第2ガイド体77は、上下方向Z及び第1方向Xに延在している(図1及び図2参照)。そして、第2ガイド体77は、第2方向Y視で矩形状に形成されている。ここでは、一対の第2ガイド面28のそれぞれは、第2方向Y視で長方形状となっている。また、図1に示すように、本実施形態では、第2ガイド面28の上端は、搬送中物品9aの側面90Gの下端よりも上側に配置されている。これにより、保持部2による物品9の保持が意図せずに解除された場合であっても、当該物品9が第2方向Yにおける一対の第2ガイド体77よりも外側に飛び出すことを規制できる。
【0040】
本実施形態では、図3に示すように、第2ガイド面28は、上下方向Zの配置領域Fが搬送中物品9aと重複する第3領域Faと、搬送中物品9aよりも下側に配置される第4領域Fbとを備えている。そして、第4領域Fbは、上下方向Z視で搬送中物品9aと重複せず、且つ、第3領域Faよりも搬送中物品9aに近い位置に配置されている。本例では、第2ガイド面28は、第3領域Faと第4領域Fbとを接続する第2接続領域Hを更に備えている。
【0041】
本例では、第2ガイド体77は、第3領域Faを形成する第2上側部82と、第4領域Fbを形成する第2下側部84と、第2接続領域Hを形成する第2接続部83と、を備えている。そして、第2上側部82の搬送中物品9aの側を向く面が第3領域Faであり、第2下側部84の搬送中物品9aの側を向く面が第4領域Fbであり、第2接続部83の搬送中物品9aの側を向く面が第2接続領域Hである。そして、第2下側部84の搬送中物品9aの側を向く面、すなわち第4領域Fbが、第2上側部82の搬送中物品9aの側を向く面、すなわち第3領域Faよりも、第2方向Yの内側、すなわち搬送中物品9aに近い側に配置されている。図示の例では、第3領域Fa及び第4領域Fbは、上下方向Z及び第1方向Xに沿うように形成されている。
【0042】
本例では、第2接続領域Hは、1つの平面で形成されている。そして、第2接続部83は、第2上側部82と第2下側部84とを接続している。これにより、第2接続領域Hは、上下方向Zにおける第3領域Faと第4領域Fbとの間に配置されている。そして、第2接続領域Hは、下側へ向うに従って、搬送中物品9aに近づく側へ向うように傾斜している。本例では、第2接続領域Hは、第3領域Faの下端部と、第4領域Fbの上端部とを接続している。そのため、第2接続領域Hは、下側へ向うに従って、第2方向Yの内側(搬送中物品9aに近づく側)へ向かうように傾斜している。図示の例では、第2上側部82と第2接続部83と第2下側部84とが一体形成されている。なお、第2ガイド体77は、複数の部材により構成されていても良い。
【0043】
また、図示の例では、一対の第2ガイド体77が、1組だけ設けられているが、一対の第2ガイド体77が、複数組設けられていても良い。例えば、一対の規制体61のそれぞれに、第2方向Yに分かれて向かい合うように2つの第2ガイド体77が配置され、合計2対の第2ガイド体77が設けられていても良い。また、第2ガイド体77は、規制体61に設けられていなくても良く、例えば、収容部3に直接連結された構成としても良い。
【0044】
本実施形態では、図5及び図6に示すように、ガイド部7は、一対の第1ガイド体17をガイド位置Peと非ガイド位置Pfとに移動させるガイド駆動機構70を更に備えている。本例では、更に、ガイド駆動機構70は、一対の第2ガイド体77をガイド位置Peと非ガイド位置Pfとに移動させる。具体的には、ガイド駆動機構70は、一対の第1ガイド体17を、第1方向Xに互いに接近させると共に、一対の第2ガイド体77を、第1方向Xに互いに接近させる。これにより、一対の第1ガイド体17及び一対の第2ガイド体77がガイド位置Peに移動する。また、ガイド駆動機構70は、一対の第1ガイド体17を、第1方向Xに互いに離間させると共に、一対の第2ガイド体77を、第1方向Xに互いに離間させる。これにより、一対の第1ガイド体17及び一対の第2ガイド体77が非ガイド位置Pfに移動する。本例では、ガイド位置Peは、一対の第1ガイド体17と一対の第2ガイド体77とのそれぞれが、搬送中物品9aと、保持部2による保持が解除された物品9との双方を適切にガイドできる位置とされている。
【0045】
本実施形態では、図1図2図5、及び図6に示すように、ガイド駆動機構70は、規制駆動機構60による一対の規制体61の移動に連動させて、一対の規制体61が規制位置Pcにある場合に一対の第1ガイド体17をガイド位置Peとし、一対の規制体61が非規制位置Pdにある場合に一対の第1ガイド体17をガイド位置Peに比べて搬送中物品9aから離間した非ガイド位置Pfとするように構成されている。本例では、一対の規制体61が規制位置Pcにある状態、すなわち一対の規制体61が突出姿勢である状態において、一対の第1ガイド体17及び一対の第2ガイド体77がガイド位置Peに配置される。そして、一対の規制体61が非規制位置Pdにある状態、すなわち一対の規制体61が退避姿勢である状態において、一対の第1ガイド体17及び一対の第2ガイド体77が非ガイド位置Pfに配置される。
【0046】
図5及び図6に示すように、本実施形態では、第1ガイド体17と第2ガイド体77とのそれぞれが、規制体61に固定されている。このため、一対の規制体61が規制位置Pcと非規制位置Pdとの間で移動することに伴って、一対の第1ガイド体17がガイド位置Peと非ガイド位置Pfとの間で移動する。すなわち、一対の第1ガイド体17を駆動するガイド駆動機構70と、一対の規制体61を駆動する規制駆動機構60とが、共通の駆動機構8となっている。言い換えると、規制駆動機構60がガイド駆動機構70を兼ねている。本例では、更に、一対の第2ガイド体77も、一対の規制体61が規制位置Pcと非規制位置Pdとの間で移動することに伴って、一対の第1ガイド体17と共にガイド位置Peと非ガイド位置Pfとの間で移動する。すなわち、ガイド駆動機構70は、一対の第1ガイド体17と共に一対の第2ガイド体77を駆動する機構となっている。このように、ガイド駆動機構70と規制駆動機構60を共通の駆動機構8とすることで、第1ガイド体17及び第2ガイド体77の移動を、規制体61の移動に連動させることができる。図示の例では、規制駆動機構60を構成するリンク機構(第1リンク62、第2リンク63、連結部材64)が、ガイド駆動機構70として共用されている。更に、ガイド駆動機構70を駆動するガイド駆動源70Mと、規制駆動源60Mとが共用されている。そして、ガイド駆動源70Mでもある規制駆動源60Mが、第2リンク63を第2軸心Ax2まわりに旋回させることで、連結部材64が第2方向Yに沿って移動し、第1リンク62が第1軸心Ax1まわりに旋回する。そして、一対の第1リンク62と一対の第2リンク63とが、それぞれ同じ方向に旋回することで、一対の規制体61が互いに接近又は離間する。これに伴って、一対の第1ガイド体17が互いに接近又は離間すると共に、一対の第2ガイド体77が互いに接近又は離間する。このような構成により、ガイド駆動機構70と規制駆動機構60の構成の簡略化を図ることができ、また、駆動源を別々に設ける場合に比べて装置の小型化を図ることができる。
【0047】
9.その他の実施形態
次に、物品搬送装置のその他の実施形態について説明する。
【0048】
(1)上記の実施形態では、物品搬送装置100は、天井11から吊り下げ支持された走行レール50を走行する天井搬送車である構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、物品搬送装置100は、例えば、床面上を移動する無人搬送車等の各種搬送車や、物品を搭載して飛行するドローン等の飛行体であっても良い。
【0049】
(2)上記の実施形態では、第1ガイド面18の第1領域Eaは、搬送中物品9aとの水平方向の距離Lが最大揺れ幅Vより大きくなるように配置されている構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、第1ガイド面18の第1領域Eaは、例えば、距離Lが、最大揺れ幅Vと同じになるように配置されていても良い。
【0050】
(3)上記の実施形態では、一対の第1ガイド体17は、搬送中物品9aに対して第1方向Xの両側に分かれて配置されていると共に、第2方向Yの互いに異なる位置に分かれて配置されている構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、例えば、一対の第1ガイド体17は、第2方向Yの同じ位置において第1方向Xに分かれて配置されていても良い。図7に示す例では、図5に示す例とは異なり、一対の第1ガイド体17のそれぞれは、第2方向Yに延在する規制体61の中央領域に配置されている。また、第1ガイド体17のそれぞれは、上下方向Z視で、第2方向Yに沿って延在する矩形状に形成されている。この場合、一対の第1ガイド面18は、第1方向Xに対向するように配置される。このように、第1ガイド体17の形状、大きさ、及び配置は、適宜変更可能である。例えば、図8に示す例のように、第1方向Xに向かい合う一対の第1ガイド体17が複数組(ここでは2組)配置されている構成としても良い。言い換えると、複数対の第1ガイド体17が配置されている構成としても良い。同様に、第2ガイド体77の形状、大きさ、及び配置する位置も、適宜変更可能である。例えば、図7に示すように、一対の第2ガイド体77が2組設けられ、一対の規制体61のそれぞれにおいて、2つの第2ガイド体77が、第1方向Xの同じ位置で第2方向Yに分かれて互いに対向するように配置されていても良い。言い換えると、複数対の第2ガイド体77が配置されている構成としても良い。また、例えば、ガイド部7は、第1ガイド体17のみを備え、一対の第2ガイド体77を備えない構成であっても良い。
【0051】
(4)上記の実施形態では、第1ガイド体17と第2ガイド体77とが別体である構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、例えば、第1ガイド体17と第2ガイド体77とが一体的に形成されていても良い。図8に示す例では、第1ガイド体17の第2方向Yの一端部と、第2ガイド体77の第1方向Xの一端部とが連結されて、上下方向Z視でL型状に形成されている。また、同様の形状で、第1ガイド体17と第2ガイド体77とが異なる部材で形成され、第1ガイド体17と第2ガイド体77とが互いに連結されていても良い。
【0052】
(5)上記の実施形態では、一対の第1ガイド面18のそれぞれは、第1接続領域Gを備えており、第1接続領域Gは、下側へ向うに従って搬送中物品9aに近づく側へ向うように傾斜している構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されない。例えば、図9に示すように、第1接続領域Gが、水平面に平行に配置されていても良い。図示の例では、図3に示した例とは異なり、第1ガイド体は、第1接続部15を備えておらず、第1領域Eaを形成する第1上側部14と、第2領域Eb及び第1接続領域Gを形成する第1下側部16とで構成されている。また、図10及び図11に示すように、第1ガイド面18の全体が、下側へ向うに従って搬送中物品9aに近づく側へ向うように傾斜した傾斜面とされていても良い。この場合、第1領域Eaと第2領域Ebとは、連続する1つの平面となっている。そして、第1ガイド体17は、第2方向Y視で、三角形状(図10参照)や、台形状(図11参照)になるように形成されている。
【0053】
(6)上記の実施形態では、ガイド駆動機構70と規制駆動機構60とが共通の駆動機構8である構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、例えば、ガイド駆動機構70と規制駆動機構60とが互いに独立した駆動機構であり、一対の第1ガイド体17の移動と、一対の規制体61の移動とが連動していなくても良い。この場合、ガイド駆動源70Mと規制駆動源60Mとは、それぞれ独立した駆動源とされると良い。或いは、ガイド駆動源70Mと規制駆動源60Mとが共通の駆動源であって、ガイド駆動機構70と規制駆動機構60とが、当該共通の駆動源により駆動されるが、一対の第1ガイド体17と一対の規制体61とを互いに異なる軌跡或いは互いに異なるタイミングで移動させる機構とされていても良い。この場合、例えば、ガイド駆動機構70と規制駆動機構60とが、共通の駆動源により駆動される、別々のリンク機構やカム機構等とすることができる。
【0054】
(7)上記の実施形態では、第1ガイド体17が規制体61に固定されることで、規制駆動機構60が、ガイド駆動機構70として共用されている構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、第1ガイド体17が規制体61以外の部材に支持された構成としても良い。例えば、一対の側方カバー部31のそれぞれに第1ガイド体17が支持されていても良い。この場合において、ガイド部7は、ガイド駆動機構70を備えず、一対の第1ガイド体17が、移動体1に対して移動しない構成であっても良い。例えば、一対の第1ガイド体17のそれぞれが側方カバー部31に対して移動しないように固定されていても良い。
【0055】
(8)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【0056】
10.上記実施形態の概要
以下では、上記において説明した物品収容設備の概要について説明する。
【0057】
物品搬送装置は、物品を搬送する物品搬送装置であって、前記物品の搬送のために移動する移動体と、前記物品を吊り下げるように保持する保持状態と前記物品の保持を解除する保持解除状態とに状態変更可能である保持部と、前記保持部を昇降させて、前記保持部に保持された前記物品を搬送用位置と前記搬送用位置より低い下降位置とに昇降移動させる昇降部と、落下規制部と、ガイド部と、を備え、前記移動体は、前記保持部と前記昇降部と前記落下規制部と前記ガイド部とを支持し、前記搬送用位置にある前記物品を搬送中物品として、前記落下規制部は、前記搬送中物品よりも下側において水平方向に互いに離間して配置された一対の規制体と、一対の前記規制体を規制位置と非規制位置とに移動させる規制駆動機構と、を備え、前記規制位置では、上下方向に沿う上下方向視で一対の前記規制体の双方が前記物品と重複するように配置され、前記非規制位置では、前記上下方向視で一対の前記規制体の双方が前記物品と重複しないように配置され、前記ガイド部は、一対の前記規制体よりも上側において前記搬送中物品に対して水平方向の両側に分かれて配置された少なくとも一対のガイド体を備え、一対の前記ガイド体のそれぞれは、前記搬送中物品の側を向くガイド面を備え、前記ガイド面は、前記上下方向の配置領域が前記搬送中物品と重複する第1領域と、前記搬送中物品よりも下側に配置される第2領域とを備え、前記第2領域は、前記上下方向視で前記搬送中物品と重複せず、且つ、前記第1領域よりも前記搬送中物品に近い位置に配置されている。
【0058】
本構成によれば、上下方向の配置領域が搬送中物品と重複するガイド面の第1領域については、移動体の移動中の搬送中物品の揺れによるガイド体と搬送中物品との干渉が生じ難いように、搬送中物品との間隔を十分に確保することができる。一方、ガイド面の第2領域は、保持部による物品の保持が維持されている状態では、搬送中物品よりも下側に配置される。そのため、移動体の移動中の搬送中物品の揺れによる搬送中物品との干渉を考慮する必要がない。そこで、第2領域を第1領域よりも搬送中物品に近い位置に配置することで、保持部による物品の保持が意図せずに解除されて物品が一対の規制体の上に落ちた場合であっても、移動体の移動による物品の水平方向の動きをガイド面の第2領域により最小限に抑えることができる。従って、一対の規制体から物品が落下することを回避できる。
すなわち、本構成によれば、物品搬送装置による物品の搬送中に、物品とガイド体との干渉を抑制しつつ、仮に保持部による物品の保持が解除されてしまった場合であっても、一対の規制体の上での物品の動きを小さく抑えることができ、当該物品が一対の規制体から落下することを回避できる。
【0059】
ここで、前記移動体の移動中における前記搬送中物品の前記水平方向の振幅の最大値を最大揺れ幅として、前記第1領域は、前記搬送中物品との前記水平方向の距離が前記最大揺れ幅より大きくなるように配置されていると好適である。
【0060】
本構成によれば、移動体の移動中に搬送中物品が揺れても干渉しないように、第1領域を、搬送中物品から離して配置することができる。従って、移動体の移動中に搬送中物品が揺れてガイド体と干渉することにより、搬送中物品に衝撃が伝わることを回避できると共に、規制駆動機構に衝撃が伝わることを回避して落下規制部に対する負荷を軽減することができる。
【0061】
また、前記水平方向に沿う方向における特定の方向を第1方向とし、前記水平方向に沿う方向であって前記第1方向に直交する方向を第2方向として、前記ガイド体を第1ガイド体とし、前記ガイド面を第1ガイド面として、一対の前記第1ガイド体は、前記搬送中物品に対して前記第1方向の両側に分かれて配置され、前記ガイド部は、一対の前記規制体よりも上側において前記搬送中物品に対して前記第2方向の両側に分かれて配置された一対の第2ガイド体を更に備え、一対の前記第2ガイド体のそれぞれは、前記搬送中物品の側を向く第2ガイド面を備え、前記第2ガイド面は、前記上下方向の配置領域が前記搬送中物品と重複する第3領域と、前記搬送中物品よりも下側に配置される第4領域とを備え、前記第4領域は、前記上下方向視で前記搬送中物品と重複せず、且つ、前記第3領域よりも前記搬送中物品に近い位置に配置されていると好適である。
【0062】
本構成によれば、仮に保持部による搬送中物品の保持が意図せずに解除されて物品が一対の規制体の上に落ちた場合であっても、第1ガイド面及び第2ガイド面により、第1方向及び第2方向の双方の物品の動きを最小限に抑えることができる。よって、一対の規制体から物品が落下することをより効果的に回避できる。
【0063】
また、前記ガイド面は、前記第1領域と前記第2領域との上下方向の間において前記第1領域と前記第2領域とを接続する接続領域を更に備え、前記接続領域は、下側へ向かうに従って前記搬送中物品に近づく側へ向かうように傾斜していると好適である。
【0064】
本構成によれば、搬送中物品の揺れに起因して、当該搬送中物品が上下方向視で第2領域と重複する位置にある状態で、保持部による物品の保持が意図せずに解除された場合であっても、物品が第2領域の上に乗り上げて停止することを回避でき、接続領域の傾斜に沿って物品を一対の規制体に接する高さまで降ろすことができる。よって、保持部による物品の保持が解除された場合であっても、物品を一対の規制体の上で適切に支えることができる。
【0065】
また、前記ガイド部は、一対の前記ガイド体をガイド位置と非ガイド位置とに移動させるガイド駆動機構を更に備え、前記ガイド駆動機構は、前記規制駆動機構による一対の前記規制体の移動に連動させて、一対の前記規制体が前記規制位置にある場合に一対の前記ガイド体を前記ガイド位置とし、一対の前記規制体が前記非規制位置にある場合に一対の前記ガイド体を前記ガイド位置に比べて前記搬送中物品から離間した前記非ガイド位置とすると好適である。
【0066】
本構成によれば、一対の規制体による物品の落下を規制することが不要な場合に、一対の規制体が規制位置から非規制位置へ移動するのに連動して、一対のガイド体を搬送中物品から離間させることができる。従って、物品を搬送用位置と下降位置とに昇降移動させる際に、ガイド体が邪魔になり難いようにできる。
【0067】
また、前記ガイド体が、前記規制体に固定されており、前記ガイド駆動機構と前記規制駆動機構とが共通の駆動機構であると好適である。
【0068】
本構成によれば、規制体とガイド体との双方を移動させる構成において、これらの駆動機構を簡素化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本開示に係る技術は、物品搬送装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 :移動体
2 :保持部
4 :昇降部
6 :落下規制部
7 :ガイド部
8 :駆動機構
9 :物品
9a :搬送中物品
17 :第1ガイド体
18 :第1ガイド面
28 :第2ガイド面
60 :規制駆動機構
61 :規制体
70 :ガイド駆動機構
77 :第2ガイド体
100 :物品搬送装置
E :配置領域
Ea :第1領域
Eb :第2領域
F :配置領域
Fa :第3領域
Fb :第4領域
L :距離
Pc :規制位置
Pd :非規制位置
Pe :ガイド位置
Pf :非ガイド位置
Pr :搬送用位置
Pt :下降位置
X :第1方向
Y :第2方向
Z :上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11