(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G01D 7/00 20060101AFI20240423BHJP
B60K 35/22 20240101ALI20240423BHJP
【FI】
G01D7/00 303Z
B60K35/22
(21)【出願番号】P 2021507396
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(86)【国際出願番号】 JP2020011992
(87)【国際公開番号】W WO2020189720
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】P 2019053229
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】村山 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】石見 成行
(72)【発明者】
【氏名】高野 徹弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 匠
(72)【発明者】
【氏名】土田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】薄田 晋
(72)【発明者】
【氏名】藤井 純一
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-124119(JP,A)
【文献】特開2015-132702(JP,A)
【文献】特開2017-146167(JP,A)
【文献】国際公開第2016/181492(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0254107(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 7/00
B60K 35/00-35/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指示部を含む画像を表示する表示部と、
前記表示部を制御し、前記画像内で前記指示部を移動させ、前記指示部の移動速度が閾値以上のときには前記指示部の進行方向に位置する進行方向画像部を含むブラー画像を表示する制御部と、を備え、
前記ブラー画像は、前記進行方向画像部に加えて、前記指示部である指針画像の軌跡方向に位置する軌跡方向画像部を含み、
前記進行方向画像部及び前記軌跡方向画像部は、前記
指示部を囲む枠状をなし、
前記進行方向画像部の明度は前記軌跡方向画像部の明度よりも低く設定される、
表示装置。
【請求項2】
前記ブラー画像には、前記ブラー画像が前記指示部に重ならないように前記指示部に対応する領域がくり抜かれたくり抜き部が形成される、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記ブラー画像は前記指示部と重なるように表示され、
前記ブラー画像と前記指示部が重なる重複領域の明度は、前記ブラー画像を重ねる前の前記指示部の明度と同等となるように、前記重複領域における前記ブラー画像の明度と前記重複領域における前記指示部の明度が設定される、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示装置は、時計回り側画像部、及び前記時計回り側画像部よりも反時計回り方向に位置する反時計回り側画像部が合成された1つの元ブラー画像を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記指示部である指針画像が時計回り方向に回転する場合には、前記元ブラー画像における前記時計回り側画像部の明度を前記反時計回り側画像部よりも低く設定することにより前記ブラー画像を生成し、前記指針画像が反時計回り方向に回転する場合には前記元ブラー画像における前記反時計回り側画像部の明度を前記時計回り側画像部よりも低く設定することにより前記ブラー画像を生成する、
請求項1から3の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
指示部を含む画像を表示する表示部と、
前記表示部を制御し、前記画像内で前記指示部を移動させ、前記指示部の移動速度が閾値以上のときには前記指示部の進行方向に位置する進行方向画像部を含むブラー画像を表示する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記指示部である指針画像の移動速度が前記閾値である第1閾値以上であるときには前記ブラー画像である第1ブラー指針画像を表示し、前記指針画像が前記第1閾値より大きい第2閾値以上であるときには前記指針画像の軌跡方向であって前記指針画像から離れた位置に第2ブラー指針画像を表示する、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスプレイに画像として指針と文字盤を表示する表示装置が知られている。例えば、特許文献1に記載のグラフィックメータ表示装置では、指針の回動速度が閾値以上のときは、指針の回動方向と反対方向である軌跡方向にモーションブラー指針画像が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されるモーションブラー指針画像だけでは、指針の移動を滑らかに見せることに限界があった。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、指示部の移動をより滑らかに見せることができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る表示装置は、指示部を含む画像を表示する表示部と、前記表示部を制御し、前記画像内で前記指示部を移動させ、前記指示部の移動速度が閾値以上のときには前記指示部の進行方向に位置する進行方向画像部を含むブラー画像を表示する制御部と、を備え、前記ブラー画像は、前記進行方向画像部に加えて、前記指示部である指針画像の軌跡方向に位置する軌跡方向画像部を含み、前記進行方向画像部及び前記軌跡方向画像部は、前記指示部を囲む枠状をなし、前記進行方向画像部の明度は前記軌跡方向画像部の明度よりも低く設定される。
また、別の観点の表示装置は、指示部を含む画像を表示する表示部と、前記表示部を制御し、前記画像内で前記指示部を移動させ、前記指示部の移動速度が閾値以上のときには前記指示部の進行方向に位置する進行方向画像部を含むブラー画像を表示する制御部と、を備え、前記制御部は、前記指示部である指針画像の移動速度が前記閾値である第1閾値以上であるときには前記ブラー画像である第1ブラー指針画像を表示し、前記指針画像が前記第1閾値より大きい第2閾値以上であるときには前記指針画像の軌跡方向であって前記指針画像から離れた位置に第2ブラー指針画像を表示する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表示装置において、指示部の移動をより滑らかに見せることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る液晶パネルに表示される画像の正面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る表示装置のブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る液晶パネルに表示される画像の一部を拡大した拡大図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る(a)は
図3の範囲Cにおける指針画像が時計回り方向に回動する場合のブラー指針画像を示す拡大図であり、(b)は指針画像が反時計回り方向に回動する場合のブラー指針画像を示す拡大図であり、(c)は
図3の範囲Bにおけるブラー指針画像の拡大図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る(a)は指針画像が時計回り方向に回動する場合の指針画像にブラー指針画像が重なったときの概略図であり、(b)は指針画像が反時計回り方向に回動する場合の指針画像にブラー指針画像が重なったときの概略図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る制御部の指針表示処理のフローチャートである。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る指針画像にブラー指針画像が重なったときの概略図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る元ブラー画像とブラー指針画像を示す概略図である。
【
図9】比較例に係る(a)は幅方向における指針画像の明度を示すグラフであり、(b)は幅方向におけるブラー指針画像の明度を示すグラフであり、(c)は(a)と(b)を足し合わせた明度を示すグラフである。
【
図10】本発明の第3の実施形態に係る(a)は幅方向における指針画像の明度を示すグラフであり、(b)は幅方向におけるブラー指針画像の明度を示すグラフであり、(c)は(a)と(b)を足し合わせた明度を示すグラフである。
【
図11】本発明の第3の実施形態に係るブラー指針画像を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
本発明に係る表示装置の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、表示装置10は、画像により車速を示す指針計を表示するグラフィックメータ表示装置である。
【0010】
図2に示すように、表示装置10は、表示装置10の全体を制御する制御部55と、液晶パネル20と、液晶パネル20を照明する光源30と、を備える。制御部55は、マイコン(マイクロコンピュータ)50と、マイコン50による制御のもと液晶パネル20に画像を描画するGDC(Graphic Display Controller)40と、を備える。
【0011】
GDC40は、マイコン50による制御のもと、液晶パネル20に画像を描画する。液晶パネル20は、TFT(Thin Film Transistor)型の液晶パネルであり、GDC40による制御のもと、画素毎に光透過率を調整する。
光源30は、LED(Light Emitting Diode)により構成され、マイコン50による制御のもと、液晶パネル20に光、例えば白色光を照射する。
マイコン50は、予め定められたプログラムに従って各種の制御を行うCPU51と、CPU51が実行するプログラム、元画像等を格納したROM52と、各種データを格納するとともに、CPU51の処理作業に必要なワーキングエリアを有するRAM53と、を備える。
ROM52には、例えばメータ用の文字板を示す静止画像データと、この文字板上を回動する指針を示す指針画像データと、指針に対してブラー演出を行うためのブラー演出画像データと、各種の閾値TH1,TH2が記憶されている。
マイコン50は、外部から車速等を含む車両情報を取得し、GDC40を介して液晶パネル20に車両情報を含む画像を表示する。
【0012】
マイコン50は、GDC40を介して、静止画像データとして、
図1に示すように、背景画像Ibを表示する。背景画像Ibにおいては、数字及び目盛に対応する部位は光を透過することにより白色で表示され、当該部位以外の背景は光を透過させないことにより黒色で表示される。
【0013】
マイコン50は、GDC40を介して、指針画像データとして、
図3に示すように、指針画像80を表示する。指針画像80は、白色の棒状に形成され、背景画像Ibの数値と目盛に対して指針画像80の下端部を中心に回動する。指針画像80は、指針画像80の全域にわたって同一の光透過率に設定される。マイコン50は、所定の周期(例えば1/60秒)毎に、外部から車速を含む車両情報を取得し、指針画像80の位置を更新する。これにより、指針画像80は車速に応じて回動する。
【0014】
マイコン50は、GDC40を介して、ブラー演出画像データとして、
図3、
図4及び
図5に示すように、指針画像80のぶれを表現するブラー指針画像60,71,72を表示する。
図3及び
図4(c)に示すように、ブラー指針画像60は、指針画像80から離れた位置であって、指針画像80の回動方向と反対方向に位置し、グラデーションが付けられた白色の棒状に形成される。ブラー指針画像60は、指針画像80の回動速度が閾値TH2以上で回転しているときに指針画像80の残像を表現するために表示される。例えば、指針画像80が時計回り方向Cwに回転しているときには、
図3に示すように、ブラー指針画像60は指針画像80の反時計回り方向Ucwの位置に表示される。一方、指針画像80が反時計回り方向Ucwに回転しているときには、図示しないが、ブラー指針画像60は指針画像80の時計回り方向Cwの位置に表示される。ブラー指針画像60は、指針画像80の移動軌跡を表現するため、指針画像80の速度及び加速度に合わせて指針画像80に対する表示位置が制御部55により設定される。よって、ブラー指針画像71,72に比べてブラー指針画像60を表示するための制御部55の処理負担は大きくなる。
【0015】
図4(c)に示すように、ブラー指針画像60は、ブラー指針画像60の回動方向において中心から外側に向かうにつれて光透過率が低下するように、かつ、回動方向に直交する径方向内側に向かうにつれて光透過率が低下するようにグラデーションが設定される。ブラー指針画像60の回動方向(
図4の左右方向)の幅は、径方向内側(
図4の下方向)に向かうにつれて小さくなるように形成される。
【0016】
図4(a),(b)に示すように、ブラー指針画像71,72は、指針画像80の周囲を囲む枠状をなし、指針画像80の回動に伴い移動する。
図4(a)に示すように、ブラー指針画像71は、指針画像80の回動速度が閾値TH1以上で、指針画像80が時計回り方向Cwに回転する際に表示される。ブラー指針画像71は、指針画像80に重なる領域に形成されるくり抜き部71aと、くり抜き部71aに対して時計回り方向Cwに形成される時計回り側画像部71bと、くり抜き部71aに対して反時計回り方向Ucwに形成される反時計回り側画像部71cと、を備える。
図5(a)に示すように、くり抜き部71aにおいては指針画像80が表示される。時計回り側画像部71b及び反時計回り側画像部71cは、指針画像80の回転中心側(
図5の下側)に向かうにつれて、指針画像80の回動方向に沿う幅Wが短くなるように形成される。すなわち、時計回り側画像部71b及び反時計回り側画像部71cは扇状に形成される。反時計回り側画像部71cの幅Wは、時計回り側画像部71bの幅Wよりも長く形成される。言い換えると、反時計回り側画像部71cの面積は時計回り側画像部71bの面積よりも大きい。反時計回り側画像部71cの明度は、指針画像80の明度よりも低く、かつ時計回り側画像部71bの明度よりも高く設定されている。すなわち、各明度の大小関係は、「指針画像80の明度>反時計回り側画像部71cの明度>時計回り側画像部71bの明度」のように設定されている。このように各明度を設定することにより、より自然なブラー演出を行うことができる。
この大小関係の比較に係る明度は、指針画像80、反時計回り側画像部71c及び時計回り側画像部71bにおける各領域の平均的な明度であってもよいし、各領域の最高の明度であってもよい。
なお、明度は、液晶パネル20の光透過率が上げられること、又は光源30の出力が上げられることにより高められる。
【0017】
図4(b)及び
図5(b)に示すように、ブラー指針画像72は、指針画像80の回動速度が閾値TH1以上で、指針画像80が反時計回り方向Ucwに回転する際に表示される。ブラー指針画像72は、指針画像80に重なる領域に形成されるくり抜き部72aと、くり抜き部72aに対して時計回り方向Cwに形成される時計回り側画像部72bと、くり抜き部72aに対して反時計回り方向Ucwに形成される反時計回り側画像部72cと、を備える。
図5(b)に示すように、くり抜き部72aにおいては指針画像80が表示される。時計回り側画像部72b及び反時計回り側画像部72cは、指針画像80の回転中心側(
図5の下側)に向かうにつれて、指針画像80の回動方向に沿う幅Wが短くなるように形成される。すなわち、時計回り側画像部72b及び反時計回り側画像部72cは扇状に形成される。反時計回り側画像部72cの幅Wは、時計回り側画像部72bの幅Wよりも短く形成される。言い換えると、反時計回り側画像部72cの面積は時計回り側画像部72bの面積よりも小さい。時計回り側画像部72bの明度は、指針画像80の明度よりも低く、かつ反時計回り側画像部72cの明度よりも高く設定されている。すなわち、各明度の大小関係は、「指針画像80の明度>時計回り側画像部72bの明度>反時計回り側画像部72cの明度」のように設定されている。このように各明度を設定することにより、より自然なブラー演出を行うことができる。
【0018】
次に、
図6のフローチャートを参照しつつ、マイコン50による指針表示処理について説明する。この指針表示処理は繰り返し実行される。
まず、マイコン50は、指針画像80の回動速度が閾値TH1以上であるか否かを判定する(ステップS101)。閾値TH1は、例えば、20~30deg/secに設定される。マイコン50は、指針画像80の回動速度が閾値TH1未満である旨判定したとき(ステップS101;NO)、指針画像80の回動速度が低速領域であるとして、指針画像80のみを表示し、ブラー指針画像60,71,72を表示せず(ステップS102)、当該指針表示処理を終了する。
【0019】
一方、マイコン50は、指針画像80の回動速度が閾値TH1以上である旨判定したとき(ステップS101;YES)、指針画像80の回動速度が閾値TH2以上であるか否かを判定する(ステップS103)。閾値TH2は、例えば、40~50deg/secに設定される。マイコン50は、指針画像80の回動速度が閾値TH2未満である旨判定したとき(ステップS103;NO)、指針画像80の回動速度が中速領域であるとして、指針画像80の回動方向が時計回り方向Cwであるか否かを判定する(ステップS104)。
マイコン50は、指針画像80の回動方向が時計回り方向Cwである旨判定すると(ステップS104;YES)、指針画像80と1つのブラー指針画像71を表示し(ステップS105)、当該指針表示処理を終了する。
一方、マイコン50は、指針画像80の回動方向が時計回り方向Cwでない、すなわち、反時計回り方向Ucwである旨判定すると(ステップS104;NO)、指針画像80と1つのブラー指針画像72を表示し(ステップS106)、当該指針表示処理を終了する。
上記ステップS105,S106のブラー指針画像71,72により、指針画像80の回動速度が中速領域である場合には、比較的に軽い処理負担にて、指針画像80の回動方向に応じたブラー演出が可能となる。
【0020】
一方、マイコン50は、指針画像80の回動速度が閾値TH2以上である旨判定したとき(ステップS103;YES)、指針画像80の回動速度が高速領域であるとして、指針画像80の回動方向が時計回り方向Cwであるか否かを判定する(ステップS107)。マイコン50は、指針画像80の回動方向が時計回り方向Cwである旨判定すると(ステップS107;YES)、指針画像80と2つのブラー指針画像60,71を表示し(ステップS108)、当該指針表示処理を終了する。ここでは、2つのブラー指針画像60,71が表示されるため、上記ステップS105よりもブラー演出が強められる。よって、指針画像80の回動速度が高速である場合も自然なブラー演出が可能となる。
一方、マイコン50は、指針画像80の回動方向が時計回り方向Cwでない、すなわち、反時計回り方向Ucwである旨判定すると(ステップS107;NO)、指針画像80と2つのブラー指針画像60,72を表示し(ステップS109)、当該指針表示処理を終了する。ここでは、2つのブラー指針画像60,72が表示されるため、上記ステップS106よりもブラー演出が強められる。よって、指針画像80の回動速度が高速である場合も自然なブラー演出が可能となる。
以上で、指針表示処理の説明が終了となる。
【0021】
次に、指針画像80が原位置から目標位置に時計回り方向Cwに回動し、目標位置で停止する際の作用について説明する。
指針画像80が原位置から目標位置に向けて徐々に回動速度が上昇していく。指針画像80の回動速度が閾値TH1未満にあるとき、指針画像80が表示され、ブラー指針画像71,72が表示されない。そして、指針画像80の回動速度が上昇し、指針画像80の回動速度が閾値TH1以上で、かつ閾値TH2未満となったときに、ブラー指針画像71が表示される。ブラー指針画像71は指針画像80と一体で移動する。
さらに、指針画像80が目標位置に向けて指針画像80の回動速度が上昇し、指針画像80の回動速度が閾値TH2以上となったときに、ブラー指針画像71を維持しつつブラー指針画像60が表示される。ブラー指針画像60の表示位置は、指針画像80の速度及び加速度に合わせて制御部55により設定される。
【0022】
そして、指針画像80が目標位置に近づくにつれて徐々に回動速度が減少し、指針画像80の回動速度が閾値TH2未満となったときに、ブラー指針画像71を維持しつつブラー指針画像60が消去される。
さらに、指針画像80の回動速度が減少し、指針画像80の回動速度が閾値TH1未満となったときに、ブラー指針画像71が消去される。そして、ブラー指針画像71,60なしで指針画像80が目標位置に到達する。
なお、指針画像80が原位置から目標位置に反時計回り方向Ucwに回動する場合、ブラー指針画像71に代えてブラー指針画像72が表示される点を除き、上記の作用と同様である。
【0023】
(効果)
以上、説明した第1の実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)表示装置10は、指示部の一例である指針画像80を含む画像を表示する表示部の一例である液晶パネル20と、液晶パネル20を制御し、画像内で指針画像80を移動させる制御部55と、を備える。制御部55は、指針画像80の移動速度が閾値TH1以上であり、かつ、指針画像80の回動方向が時計回り方向Cwであるときには指針画像80の進行方向に位置する進行方向画像部の一例である時計回り側画像部71bを含むブラー画像の一例であるブラー指針画像71を表示する。一方、制御部55は、指針画像80の移動速度が閾値TH1以上であり、かつ、指針画像80の回動方向が反時計回り方向Ucwであるときには指針画像80の進行方向に位置する進行方向画像部の一例である反時計回り側画像部72cを有するブラー指針画像72を表示する。
この構成によれば、指針画像80の進行方向にブラー指針画像71の時計回り側画像部71b又はブラー指針画像72の反時計回り側画像部72cが表示される。これにより、液晶パネル20の応答性の遅れを補うことができる。また、従来の指針画像の軌跡方向にのみブラー指針画像が表示される場合に比べて、指針画像80の移動をより滑らかに見せることができ、より自然なブラー演出が可能となる。
【0024】
(2)ブラー指針画像71は、指針画像80の移動速度が閾値TH1以上であり、かつ、指針画像80の回動方向が時計回り方向Cwである場合、時計回り側画像部71bに加えて、指針画像80の軌跡方向に位置する軌跡方向画像部の一例である反時計回り側画像部71cを含む。時計回り側画像部71bの明度は反時計回り側画像部71cの明度よりも低く設定される。一方、ブラー指針画像72は、指針画像80の移動速度が閾値TH1以上であり、かつ、指針画像80の回動方向が反時計回り方向Ucwである場合、反時計回り側画像部72cに加えて、指針画像80の軌跡方向に位置する軌跡方向画像部の一例である時計回り側画像部72bを含む。反時計回り側画像部72cの明度は時計回り側画像部72bの明度よりも低く設定される。
この構成によれば、指針画像80の回動方向に応じて、反時計回り側画像部71c,72cの明度と時計回り側画像部71b,72bの明度が調整されることにより、より自然なブラー演出が可能となる。
【0025】
(3)ブラー指針画像71,72には、ブラー指針画像71,72が指針画像80に重ならないように指針画像80に対応する領域がくり抜かれたくり抜き部71a,72aが形成される。
この構成によれば、ブラー指針画像71,72が指針画像80に重なることが抑制され、これにより、ブラー指針画像71,72が指針画像80に重なったときに重複領域の明度が上がることが抑制され、ひいては、重複領域が発光して見えることが抑制される。
【0026】
(4)制御部55は、指針画像80の移動速度が第1閾値の一例である閾値TH1以上であるときには第1ブラー指針画像の一例であるブラー指針画像71,72を表示し、指針画像80が閾値TH1より大きい第2閾値の一例である閾値TH2以上であるときには指針画像80の軌跡方向であって指針画像80から離れた位置に第2ブラー指針画像の一例であるブラー指針画像60を表示する。
ブラー指針画像60によりブラー演出を行う場合、指針画像80の速度及び加速度に合わせてブラー指針画像60の位置を設定する必要があり、ブラー指針画像71,72によりブラー演出を行う場合に比べて制御部55の処理負担が大きくなる。上記構成によれば、指針画像80の移動速度が閾値TH1以上で、かつ閾値TH2未満である場合には、ブラー指針画像60によりブラー演出が行われない。このため、制御部55の処理負担を低減することができる。
【0027】
(第2の実施形態)
本発明に係る表示装置の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
本実施形態では、第1の実施形態に係るブラー指針画像71,72に代えて、
図7に示すように、ブラー指針画像73が表示される。
ブラー指針画像73は、ブラー指針画像71,72と同様に、くり抜き部73aと、時計回り側画像部73bと、反時計回り側画像部73cと、を備える。時計回り側画像部73b及び反時計回り側画像部73cはそれぞれ同一の幅Wを有する。指針画像80の回動方向に応じて、ブラー指針画像73における時計回り側画像部73b及び反時計回り側画像部73cの明度のバランスが調整される。
図8に示すように、指針画像80の回動方向が時計回り方向Cwである場合、ブラー指針画像73において時計回り側画像部73bの明度が反時計回り側画像部73cの明度よりも低く設定された時計回り用ブラー指針画像73Cwが表示される。
一方、指針画像80の回動方向が反時計回り方向Ucwである場合、ブラー指針画像73において反時計回り側画像部73cの明度が時計回り側画像部73bの明度よりも低く設定された反時計回り用ブラー指針画像73Ucwが表示される。
【0028】
次に、ブラー指針画像73の生成方法について説明する。
マイコン50は、ROM52に格納された
図8に示す元ブラー画像173を読み出す。元ブラー画像173は、くり抜き部173aと、時計回り側画像部173bと、反時計回り側画像部173cと、を備える。時計回り側画像部173b及び反時計回り側画像部173cの明度はそれぞれ初期値に設定されている。
マイコン50は、指針画像80の回動方向が反時計回り方向Ucwである旨判定すると、反時計回り側画像部173cの明度を時計回り側画像部173bの明度よりも低く設定することによりブラー指針画像73として反時計回り用ブラー指針画像73Ucwを生成する。
一方、マイコン50は、指針画像80の回動方向が時計回り方向Cwである旨判定すると、時計回り側画像部173bの明度を反時計回り側画像部173cの明度よりも低く設定することによりブラー指針画像73として時計回り用ブラー指針画像73Cwを生成する。
マイコン50は、生成したブラー指針画像73を液晶パネル20に表示する。
以上のように、1つの元ブラー画像173から、時計回り用ブラー指針画像73Cwと反時計回り用ブラー指針画像73Ucwが生成可能となる。
【0029】
(効果)
以上、説明した第2の実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)表示装置10は、時計回り側画像部173b、及び時計回り側画像部173bよりも反時計回り方向Ucwに位置する反時計回り側画像部173cが合成された1つの元ブラー画像173を記憶する記憶部の一例であるROM52を備える。制御部55は、指針画像80が時計回り方向Cwに回転する場合には、元ブラー画像173における時計回り側画像部173bの明度を反時計回り側画像部173cよりも低く設定することにより時計回り用ブラー指針画像73Cwを生成し、指針画像80が反時計回り方向Ucwに回転する場合には元ブラー画像173における反時計回り側画像部173cの明度を時計回り側画像部173bよりも低く設定することにより反時計回り用ブラー指針画像73Ucwを生成する。
1つの元ブラー画像173における時計回り側画像部173bの明度と反時計回り側画像部173cの明度を調整するだけで、時計回り用ブラー指針画像73Cwと反時計回り用ブラー指針画像73Ucwが生成可能となる。よって、2つの元ブラー画像を用意する必要がなく、マイコン50のROM52に記憶される画像データ量を低減することができる。
また、時計回り側画像部73bと反時計回り側画像部73cの両方が表示されることで、時計回り側画像部73bと反時計回り側画像部73cの境界が目立たなくなり、より違和感の少ないブラー指針画像73を表示することができる。
【0030】
(第3の実施形態)
本発明に係る表示装置の第3の実施形態について、図面を参照して説明する。以下、第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
図11に示すように、本実施形態におけるブラー指針画像74はくり抜き部を有しない。よって、ブラー指針画像74は指針画像80と重なる重複領域Gを有する。
【0031】
図9(a)及び
図10(a)は指針画像80の幅方向における指針画像80の明度を示すグラフであり、
図9(b)及び
図10(b)は指針画像80の幅方向におけるブラー指針画像74の明度を示すグラフであり、
図9(c)及び
図10(c)は指針画像80の明度とブラー指針画像74の明度を足し合わせた明度を示すグラフである。
【0032】
ブラー指針画像74と指針画像80が重なる重複領域Gにおいては、比較例である
図9(c)に示す足し合わせた明度は、
図9(a)に示すブラー指針画像74を重ねる前の指針画像80の明度よりも高くなる。よって、比較例では、指針画像80にブラー指針画像74が重ねられた場合、重複領域Gの明度が高まり、重複領域Gが発光して見えるため、視認者に違和感を与えていた。
この点、本実施形態では、制御部55は、ブラー指針画像74を指針画像80に重ねて表示する際、
図10(a)に示すように、重複領域Gにおける指針画像80の明度を低下させつつ、
図10(b)に示すように、重複領域Gにおけるブラー指針画像74の明度を低下させる。これにより、
図10(c)に示すように、重複領域Gにおける足し合わせた明度が
図9(a)に示すブラー指針画像74を重ねる前の指針画像80の明度と同等になる。この同等は、±3%の差分を含むものとする。これにより、指針画像80にブラー指針画像74が重ねて表示された場合に重複領域Gが発光して見えることが抑制され、視認者に違和感を与えることが抑制される。
なお、重複領域Gにおけるブラー指針画像74の明度の低下割合と重複領域Gにおける指針画像80の明度の低下割合の比率は適宜調整可能である。
【0033】
(効果)
以上、説明した第3の実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)ブラー指針画像74は指針画像80と重なるように表示される。ブラー指針画像74と指針画像80が重なる重複領域Gの明度は、ブラー指針画像74を重ねる前の指針画像80の明度と同等となるように、重複領域Gにおけるブラー指針画像74の明度と重複領域Gにおける指針画像80の明度が設定される。
この構成によれば、ブラー指針画像74が指針画像80に重なったときに重複領域Gが発光して見えることが抑制される。
【0034】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0035】
(変形例)
上記各実施形態においては、高速領域においてブラー指針画像60が表示されていたが、ブラー指針画像60が省略されてもよい。
【0036】
上記第2の実施形態においては、1つの元ブラー画像173から時計回り用ブラー指針画像73Cwと反時計回り用ブラー指針画像73Ucwが生成されていた。しかしながら、これに限らず、時計回り用ブラー指針画像73Cwと反時計回り用ブラー指針画像73Ucwそれぞれに対応する2つの元ブラー画像が記憶されていてもよい。
【0037】
上記各実施形態において、ブラー指針画像71のうち反時計回り側画像部71cが省略されてもよいし、ブラー指針画像72のうち時計回り側画像部72bが省略されてもよい。すなわち、進行方向画像部が表示されていればよく、軌跡方向画像部が省略されてもよい。
【0038】
上記各実施形態においては、表示装置10は画像により車速を示す指針計を表示していたが、車速に限らず、エンジン回転数や残燃料を示す指針計であってもよい。また、1つの画像に複数種類の指針計が表示されていてもよい。さらに、指針計に限らず、ユーザの操作に応じて指示部の一例であるポインタが画面上を移動する表示装置であってもよい。この場合、ポインタの移動速度に応じてブラー指針画像60,71,72,73,74と同様のブラー画像が表示される。
【0039】
上記各実施形態において、制御部55は、図示しない運転者の視線方向を検出する視線検出部の検出結果に基づき、ブラー演出の有無を切り替えてもよい。制御部55は、視線検出部を通じて運転者の視線方向が液晶パネル20を向いている旨判定するとブラー指針画像60,71,72,73,74を表示することによりブラー演出を行い、視線検出部を通じて運転者の視線方向が液晶パネル20を向いていない旨判定するとブラー指針画像60,71,72,73,74を非表示とすることによりブラー演出を行わない。これにより、運転者が液晶パネル20を視認していない状態での無駄なブラー演出の回数を減らすことができ、制御部55の処理負担を減らすことができる。
【0040】
上記実施形態においては、表示部は液晶パネル20であったが、液晶パネル20に限らず、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro-Luminescence Display)であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
10 表示装置
20 液晶パネル
30 光源
40 GDC
50 マイコン
51 CPU
52 ROM
53 RAM
55 制御部
60,71,72,73,74 ブラー指針画像
80 指針画像
71a,72a,73a,173a くり抜き部
71b,72b,73b 時計回り側画像部
71c,72c,73c 反時計回り側画像部
173 元ブラー画像
G 重複領域
TH1,TH2 閾値
Ib 背景画像
Cw 時計回り方向
Ucw 反時計回り方向