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特許7476954映像管理装置、映像管理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】映像管理装置、映像管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20240423BHJP
   H04N 5/92 20060101ALI20240423BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20240423BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240423BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
H04N7/18 D
H04N7/18 U
H04N5/92 010
G08B25/00 510M
G08B25/04 K
G08B21/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022526567
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(86)【国際出願番号】 JP2021019741
(87)【国際公開番号】W WO2021241550
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2020094553
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141519
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 邦之
(72)【発明者】
【氏名】宮川 友輔
(72)【発明者】
【氏名】宜寿次 盛路
(72)【発明者】
【氏名】下温湯 剛
(72)【発明者】
【氏名】今田 勇
【審査官】長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-119310(JP,A)
【文献】特開2010-237291(JP,A)
【文献】特開2017-033047(JP,A)
【文献】特開2001-356680(JP,A)
【文献】特開2009-163726(JP,A)
【文献】特開2019-102044(JP,A)
【文献】特開2003-242202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G08B 21/02
G08B 25/00-25/14
H04N 5/77
H04N 5/92
G06F 16/00
G06Q 50/04
G06Q 50/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の作業現場にそれぞれ関連付けられる複数の第1の端末から送信される情報に応じて、前記複数の第1の作業現場の安全性のそれぞれに関する複数の第1の作業現場情報を作業管理データベースに登録する作業現場情報登録手段と、
前記複数の第1の作業現場において異常が発生したことをそれぞれ示す複数の異常発生情報を取得する異常発生情報取得手段と、
前記複数の異常発生情報の各々の取得に応じて、前記複数の第1の作業現場のそれぞれにおいて異常発生時刻で撮像された複数の異常映像データを、それぞれの第1の作業現場の安全性に関する第1の作業現場情報に関連付けて異常映像データベースに登録する異常映像登録手段と、
前記複数の異常映像データが登録されたことに関する情報を、第2の作業現場に関連付けられる第2の端末に通知する通知処理手段と、
前記第2の端末から、前記第2の作業現場に関する第2の作業現場情報を取得する作業現場情報取得手段と、
前記第2の作業現場情報を解析することにより得られた情報を用いて前記作業管理データベースを検索して、前記複数の第1の作業現場の中から前記第2の作業現場に関連付けられる第1の作業現場を決定する解析処理手段と、
前記第2の端末からの要求に応じて、前記異常映像データベースにおける前記複数の異常映像データの中から、前記第2の作業現場に関連付けられる異常映像データを、前記第2の端末に配信する映像配信処理手段と、を備える映像管理装置。
【請求項2】
前記複数の第1の作業現場情報のそれぞれは、前記第1の端末から送信される画像データの解析結果に関する情報を含む、請求項1記載の映像管理装置。
【請求項3】
前記複数の異常発生情報の各々の取得に応じて、それぞれの第1の作業現場において撮像された作業映像データを用いて、それぞれの第1の作業現場において異常発生時刻で撮像された異常映像データを生成する異常映像生成手段を更に備える、請求項1又は2記載の映像管理装置。
【請求項4】
前記複数の第1の作業現場情報の各々の登録に応じて、それぞれの第1の作業現場において撮像された作業映像データを取得する作業映像取得手段を更に備える、請求項3記載の映像管理装置。
【請求項5】
前記第2の作業現場情報は、前記第2の端末から送信される画像データの解析結果に関する情報を含む、請求項記載の映像管理装置。
【請求項6】
前記複数の異常発生情報の各々は、それぞれの第1の作業現場に関連付けられる異常検出装置から送信される情報に基づいた情報である、請求項1乃至のうち何れか1項記載の映像管理装置。
【請求項7】
複数の第1の作業現場にそれぞれ関連付けられる複数の第1の端末から送信される情報に応じて、前記複数の第1の作業現場の安全性のそれぞれに関する複数の第1の作業現場情報を作業管理データベースに登録することと、
前記複数の第1の作業現場において異常が発生したことをそれぞれ示す複数の異常発生情報を取得することと、
前記複数の異常発生情報の各々の取得に応じて、前記複数の第1の作業現場のそれぞれにおいて異常発生時刻で撮像された複数の異常映像データを、それぞれの第1の作業現場の安全性に関する第1の作業現場情報に関連付けて異常映像データベースに登録することと、
前記複数の異常映像データが登録されたことに関する情報を、第2の作業現場に関連付けられる第2の端末に通知することと、
前記第2の端末から、前記第2の作業現場に関する第2の作業現場情報を取得することと、
前記第2の作業現場情報を解析することにより得られた情報を用いて前記作業管理データベースを検索して、前記複数の第1の作業現場の中から前記第2の作業現場に関連付けられる第1の作業現場を決定することと、
前記第2の端末からの要求に応じて、前記異常映像データベースにおける前記複数の異常映像データの中から、前記第2の作業現場に関連付けられる異常映像データを、前記第2の端末に配信することと、を備える映像管理方法。
【請求項8】
複数の第1の作業現場にそれぞれ関連付けられる複数の第1の端末から送信される情報に応じて、前記複数の第1の作業現場の安全性のそれぞれに関する複数の第1の作業現場情報を作業管理データベースに登録することと、
前記複数の第1の作業現場において異常が発生したことをそれぞれ示す複数の異常発生情報を取得することと、
前記複数の異常発生情報の各々の取得に応じて、前記複数の第1の作業現場のそれぞれにおいて異常発生時刻で撮像された複数の異常映像データを、それぞれの第1の作業現場の安全性に関する第1の作業現場情報に関連付けて異常映像データベースに登録することと、
前記複数の異常映像データが登録されたことに関する情報を、第2の作業現場に関連付けられる第2の端末に通知することと、
前記第2の端末から、前記第2の作業現場に関する第2の作業現場情報を取得することと、
前記第2の作業現場情報を解析することにより得られた情報を用いて前記作業管理データベースを検索して、前記複数の第1の作業現場の中から前記第2の作業現場に関連付けられる第1の作業現場を決定することと、
前記第2の端末からの要求に応じて、前記異常映像データベースにおける前記複数の異常映像データの中から、前記第2の作業現場に関連付けられる異常映像データを、前記第2の端末に配信することと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば作業現場で生じうる事故事例などの映像に関する管理を行う映像管理装置、映像管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工事現場などの作業現場では、様々な事故が発生する。事故防止のための対策を行っても、過去に発生した事故に類似する事故が繰り返し発生しうる。新たな対策及び規範は、事故発生に伴って増加する傾向にある。言い換えれば、現場もしくは管理者の工数が増加する傾向にある。
【0003】
さらに、作業員の集中力が規範と実作業とに分散される。このため負荷と緊張が高まり作業効率に影響が生じうる。このような現場において発生する事故やヒヤリハット(ニアミス)事例には、作業の環境及び背景など様々な理由によって生じうる。
【0004】
既知の事故および事例などが、安全意識の向上のための教育および規範強化に利用されている。しかし、このような事故発生時の緊迫感および恐ろしさなどを等しく作業員間で共有することは困難である。また、事故および事例に対する問題点および改善策は、事故当事者による記録および記憶に基づくため、これらの精度は一定ではない。言い換えれば、本質的な原因を全て網羅すること、及び教育受講者に事故防止へ対する意識向上を継続させることは困難である。
【0005】
上記のような問題に対して、例えば特許文献1には、集団確認活動テーブルが集団確認活動において注意事項を確認する際に用いられること、及び集団確認活動テーブルが作業予定者によって所定事項が入力されることで作成されること、が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、画像データベースに作業者が装着しているカメラで撮影されたカメラ画像を記憶すること、カメラ画像判定部が一時的に大きい画像レベルに変化したカメラ画像のブレ測定波形からカメラ画像の異常を判定すること、及び管理者の操作する管理者端末に対して作業者が危険を伴う異常状態に陥った旨の通知を行うこと、が開示されている。
【0007】
さらに、特許文献3には、危険情報データベースが過去の事故情報(事故内容、原因、注意事項など)と、事故発生時の作業内容及び作業画像、作業位置等とを対応付けて記憶すること、が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2019-174945号公報
【文献】特開2018-142169号公報
【文献】特開2004-145807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1-3などに開示されている技術では、リアルタイムに複数の現場で発生した事故事例を、同時間帯で同様の作業が行われている別の現場に適切に通知することができなかった。
【0010】
本発明の目的は、リアルタイムに複数の現場で発生した事故事例を、同時間帯で同様の作業を行っている別の現場に適切に通知することを可能にする映像管理装置、映像管理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一つの態様によれば、映像管理装置は、複数の第1の作業現場にそれぞれ関連付けられる複数の第1の端末から送信される情報に応じて、上記複数の第1の作業現場の安全性のそれぞれに関する複数の第1の作業現場情報をデータベースに登録する作業現場情報登録部と、上記複数の第1の作業現場において異常が発生したことをそれぞれ示す複数の異常発生情報を取得する異常発生情報取得部と、上記複数の異常発生情報の各々の取得に応じて、上記複数の第1の作業現場のそれぞれにおいて異常発生時刻で撮像された複数の異常映像データを、それぞれの第1の作業現場の安全性に関する第1の作業現場情報に関連付けてデータベースに登録する異常映像登録部と、上記複数の異常映像データが登録されたことに関する情報を、第2の作業現場に関連付けられる第2の端末に通知する通知処理部と、上記第2の端末からの要求に応じて、上記複数の異常映像データの中から、上記第2の作業現場に関連付けられる異常映像データを、上記第2の端末に配信する映像配信処理部と、を備える。
【0012】
本発明の一つの態様によれば、映像管理方法は、複数の第1の作業現場にそれぞれ関連付けられる複数の第1の端末から送信される情報に応じて、上記複数の第1の作業現場の安全性のそれぞれに関する複数の第1の作業現場情報をデータベースに登録することと、上記複数の第1の作業現場において異常が発生したことをそれぞれ示す複数の異常発生情報を取得することと、上記複数の異常発生情報の各々の取得に応じて、上記複数の第1の作業現場のそれぞれにおいて異常発生時刻で撮像された複数の異常映像データを、それぞれの第1の作業現場の安全性に関する第1の作業現場情報に関連付けてデータベースに登録することと、上記複数の異常映像データが登録されたことに関する情報を、第2の作業現場に関連付けられる第2の端末に通知することと、上記第2の端末からの要求に応じて、上記複数の異常映像データの中から、上記第2の作業現場に関連付けられる異常映像データを、上記第2の端末に配信することと、を備える。
【0013】
本発明の一つの態様によれば、プログラムは、複数の第1の作業現場にそれぞれ関連付けられる複数の第1の端末から送信される情報に応じて、上記複数の第1の作業現場の安全性のそれぞれに関する複数の第1の作業現場情報をデータベースに登録することと、上記複数の第1の作業現場において異常が発生したことをそれぞれ示す複数の異常発生情報を取得することと、上記複数の異常発生情報の各々の取得に応じて、上記複数の第1の作業現場のそれぞれにおいて異常発生時刻で撮像された複数の異常映像データを、それぞれの第1の作業現場の安全性に関する第1の作業現場情報に関連付けてデータベースに登録することと、上記複数の異常映像データが登録されたことに関する情報を、第2の作業現場に関連付けられる第2の端末に通知することと、上記第2の端末からの要求に応じて、上記複数の異常映像データの中から、上記第2の作業現場に関連付けられる異常映像データを、上記第2の端末に配信することと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一つの態様によれば、リアルタイムに複数の現場で発生した事故事例を、同時間帯で同様の作業を行っている別の現場に適切に通知するが可能になる。なお、本発明により、当該効果の代わりに、又は当該効果とともに、他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1の実施形態に係る映像管理装置100aの概略的な構成の例を示すブロック図である。
図2図2は、映像管理装置100aとの間でデータの送受信が行われる各々の端末の具体例を示す図である。
図3図3は、映像管理装置100aと種々の端末との間で行われる全体的な処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図4図4は、種々のデータ登録に関する詳細動作を説明するためのフローチャートである。
図5図5は、異常発生時に関する詳細動作を説明するためのフローチャートである。
図6図6は、異常発生時に関する詳細動作を説明するためのフローチャートである。
図7図7は、KYMシート、服装、工具などの具体的な登録時の動作例を示す図である。
図8図8は、ウェアラブル端末の情報(脈拍、心拍)をトリガに事故映像をトリミングする動作例を示す図である。
図9図9は、服装、工具などの検索キーに基づいた事故検索処理の動作例を示す図である。
図10図10は、作業管理データベース121に登録される情報の具体例を示す図である。
図11図11は、作業映像データベース123に登録される情報の具体例を示す図である。
図12図12は、異常映像データベース125に登録される情報の具体例を示す図である。
図13図13は、第2の実施形態に係る映像管理装置100bの概略的な構成の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、同様に説明されることが可能な要素については、同一の符号を付することにより重複説明が省略され得る。
【0017】
説明は、以下の順序で行われる。
1.本発明の実施形態の概要
2.第1の実施形態
2.1.映像管理装置100aの構成
2.2.動作例
3.第2の実施形態
3.1.映像管理装置100bの構成
3.2.動作例
4.他の実施形態
【0018】
<<1.本発明の実施形態の概要>>
まず、本発明の実施形態の概要を説明する。
【0019】
(1)技術的課題
工事現場などの作業現場では、様々な事故が発生する。事故防止のための対策を行っても、過去に発生した事故に類似する事故が繰り返し発生しうる。新たな対策及び規範は、事故発生に伴って増加する傾向にある。言い換えれば、現場もしくは管理者の工数が増加する傾向にある。
【0020】
さらに、作業員の集中力が規範と実作業とに分散される。このため負荷と緊張が高まり作業効率に影響が生じうる。このような現場において発生する事故及びヒヤリハット(ニアミス)事例には、作業の環境及び背景など様々な理由によって生じうる。
【0021】
既知の事故および事例などが、安全意識の向上のための教育および規範強化に利用されている。しかし、このような事故発生時の緊迫感および恐ろしさなどを等しく作業員間で共有することは困難である。また、事故および事例に対する問題点および改善策は、事故当事者による記録および記憶に基づくため、これらの精度は一定ではない。言い換えれば、本質的な原因を全て網羅すること、及び教育受講者に事故防止へ対する意識向上を継続させることは困難である。
【0022】
上記のような問題に対して、例えば以下の[Ref.1]には、集団確認活動テーブルが集団確認活動において注意事項を確認する際に用いられること、及び集団確認活動テーブルが作業予定者によって所定事項が入力されることで作成されること、が開示されている。
[Ref.1]特開2019-174945号公報
【0023】
また、以下の[Ref.2]には、画像データベースに作業者が装着しているカメラで撮影されたカメラ画像を記憶すること、カメラ画像判定部が一時的に大きい画像レベルに変化したカメラ画像のブレ測定波形からカメラ画像の異常を判定すること、及び管理者の操作する管理者端末に対して作業者が危険を伴う異常状態に陥った旨の通知を行うこと、が開示されている。
[Ref.2]特開2018-142169号公報
【0024】
さらに、以下の[Ref.3]には、危険情報データベースが過去の事故情報(事故内容、原因、注意事項等)と、事故発生時の作業内容及び作業画像、作業位置等とを対応付けて記憶すること、が開示されている。
[Ref.3]特開2004-145807号公報
【0025】
しかし、[Ref.2]及び[Ref.3]などには、データベースなどに過去の事故情報が登録される手順が具体的に記載されておらず、リアルタイムに複数現場で発生した事故事例の映像を、同時に同様の作業が行われている別の現場に提供することができないという問題があった。
【0026】
ここで、[Ref.3]には、過去の事故情報登録のために、何らかのマニュアル入力が必要になることが想定される。よって、任意の時点で発生した異常事象を、即座にデータベース化し、同日中の別の現場で同様の異常事象を事前に作業者に認識させることができないという問題があった。[Ref.3]に記載された技術では、過去事故情報が蓄積されるまでに、同様の事故が発生してしまう現状の課題を解決できないという問題がある。また、[Ref.3]に記載されたデータベースは、リアルタイムの事故情報を蓄積したデータベースではないという問題がある。
【0027】
[Ref.4]には、事故対応処理部が発生事故と同じ過去の事故事例の対応映像を建設現場に出力して動画表示させることが開示されている。[Ref.4]に記載された技術は、事故の観点からの動画表示を行うことができるが、作業者の服装、工具などを考慮した事故の動画表示を行うことができないという問題がある。
[Ref.4]特開2003-242202号公報
【0028】
また、[Ref.4]には、事故名と工事名称と関連危険予知情報と状況内容と写真情報とが登録されている事故データベースを参照して事故名を特定することにより、過去に起きた事故の内容を知ることができると、記載されている。このため、[Ref.4]に記載の技術は、新規の作業現場で事故データベースを検索する際に、容易に過去の事故名を特定することができないという問題がある。
【0029】
さらに、[Ref.5]には、規定された事故防止警告を表示する時間帯及び曜日になると、当該時間帯及び曜日に予め対応付けられた事故防止警報画像を表示装置に表示させることが開示されている。しかし、[Ref.5]には、作業現場の状況、作業員の装備などを考慮した事故データをリアルタイムに表示することができないという問題がある。
[Ref.5]特開2019-082924号公報
【0030】
また、[Ref.5]には、事故の種類と、曜日、時間、天候及び気温の少なくとも一つの属性とを対応付けた警報情報が開示されているに過ぎない。このため、[Ref.5]に記載された技術は、同様の作業現場の状況、作業員の装備、及び作業員のバイタルデータ(心拍、脈拍等)などをどのように対応付けるかについて考慮されていない。ここで、[Ref.5]には、作業者が身に着けたウエアラブルセンサーから検出データを受信し、当該検出データを基に、作業の危険度、作業員の位置、健康状態を一覧で表示装置に表示することが開示されているに過ぎない。すなわち、[Ref.5]には、現状状態を確認する点が開示されているだけで、このような現状状態の情報に基づいて、作業の危険映像を蓄積すること、過去の類似事故の映像の検索及び表示を行うことなどについて具体的な検討がなされていないという問題がある。
【0031】
そこで、本実施形態では、リアルタイムに複数の現場で発生した事故事例を、同時間帯で同様の作業を行っている別の現場に適切に通知することを可能にすることを目的とする。
【0032】
(2)技術的特徴
本発明の実施形態では、複数の第1の作業現場にそれぞれ関連付けられる複数の第1の端末から送信される情報に応じて、上記複数の第1の作業現場の安全性のそれぞれに関する複数の第1の作業現場情報をデータベースに登録し、上記複数の第1の作業現場において異常が発生したことをそれぞれ示す複数の異常発生情報を取得し、上記複数の異常発生情報の各々の取得に応じて、上記複数の第1の作業現場のそれぞれにおいて異常発生時刻で撮像された複数の異常映像データを、それぞれの第1の作業現場の安全性に関する第1の作業現場情報に関連付けてデータベースに登録し、上記複数の異常映像データが登録されたことに関する情報を、第2の作業現場に関連付けられる第2の端末に通知し、上記第2の端末からの要求に応じて、上記複数の異常映像データの中から、上記第2の作業現場に関連付けられる異常映像データを、上記第2の端末に配信する。
【0033】
これにより、例えば、リアルタイムに複数の現場で発生した事故事例を、同時間帯で同様の作業を行っている別の現場に適切に通知することが可能になる。なお、上述した技術的特徴は本発明の実施形態の具体的な一例であり、当然ながら、本発明の実施形態は、上述した技術的特徴に限定されない。
【0034】
<<2.第1の実施形態>>
続いて、図1図12を参照して、第1の実施形態を説明する。
【0035】
<2.1.映像管理装置100aの構成>
図1を参照して、第1の実施形態に係る映像管理装置100aの構成の例を説明する。図1は、第1の実施形態に係る映像管理装置100aの概略的な構成の例を示すブロック図である。図1を参照すると、映像管理装置100aは、ネットワーク通信部110、記憶部120、及び処理部130を備える。
【0036】
(1)ネットワーク通信部110
ネットワーク通信部110は、ネットワークから信号を受信し、ネットワークへ信号を送信する。
【0037】
(2)記憶部120
記憶部120は、映像管理装置100aの動作のためのプログラム(命令)及びパラメータ、並びに様々なデータを、一時的に又は恒久的に記憶する。当該プログラムは、映像管理装置100aの動作のための1つ以上の命令を含む。また、記憶部120は、作業管理データベース121、作業映像データベース123、及び異常映像データベース125を含む。作業管理データベース121、作業映像データベース123、及び異常映像データベース125の具体的な構成などについては後述する。
【0038】
(3)処理部130
処理部130は、映像管理装置100aの様々な機能を提供する。処理部130は、作業現場情報登録部131、異常発生情報取得部133、異常映像登録部135、通知処理部137、映像配信処理部139、異常映像生成部141、作業映像取得部143、作業現場情報取得部145、及び解析処理部147を備える。なお、処理部130は、これらの構成要素以外の他の構成要素をさらに含みうる。すなわち、処理部130は、これらの構成要素の動作以外の動作も行いうる。作業現場情報登録部131、異常発生情報取得部133、異常映像登録部135、通知処理部137、映像配信処理部139、異常映像生成部141、作業映像取得部143、作業現場情報取得部145、及び解析処理部147の具体的な動作は、後に詳細に説明する。
【0039】
(4)実装例
ネットワーク通信部110は、ネットワークアダプタ並びに/又はネットワークインタフェースカード等により実装されてもよい。記憶部120は、メモリ(例えば、不揮発性メモリ及び/若しくは揮発性メモリ)並びに/又はハードディスク等により実装されてもよい。処理部130は、1つ以上のプロセッサにより実装されてもよい。作業現場情報登録部131、異常発生情報取得部133、異常映像登録部135、通知処理部137、映像配信処理部139、異常映像生成部141、作業映像取得部143、作業現場情報取得部145、及び解析処理部147は、同一のプロセッサにより実装されてもよく、別々に異なるプロセッサにより実装されてもよい。上記メモリ(記憶部120)は、上記1つ以上のプロセッサ内に含まれていてもよく、又は、上記1つ以上のプロセッサ外にあってもよい。
【0040】
映像管理装置100aは、プログラム(命令)を記憶するメモリと、当該プログラム(命令)を実行可能な1つ以上のプロセッサとを含んでもよい。当該1つ以上のプロセッサは、上記プログラムを実行して、処理部130の動作(作業現場情報登録部131、異常発生情報取得部133、異常映像登録部135、通知処理部137、映像配信処理部139、異常映像生成部141、作業映像取得部143、作業現場情報取得部145、及び/又は解析処理部147の動作)を行ってもよい。上記プログラムは、処理部130の動作(作業現場情報登録部131、異常発生情報取得部133、異常映像登録部135、通知処理部137、映像配信処理部139、異常映像生成部141、作業映像取得部143、作業現場情報取得部145、及び/又は解析処理部147の動作)をプロセッサに実行させるためのプログラムであってもよい。
【0041】
<2.2.動作例>
次に、第1の実施形態に係る動作例について説明する。
【0042】
第1の実施形態によれば、映像管理装置100a(作業現場情報登録部131)は、複数の第1の作業現場にそれぞれ関連付けられる複数の第1の端末から送信される情報に応じて、上記複数の第1の作業現場の安全性のそれぞれに関する複数の第1の作業現場情報をデータベース(例えば作業管理データベース121)に登録する。
【0043】
また、映像管理装置100a(異常発生情報取得部133)は、上記複数の第1の作業現場において異常が発生したことをそれぞれ示す複数の異常発生情報を取得する。
【0044】
また、映像管理装置100a(異常映像登録部135)は、上記複数の異常発生情報の各々の取得に応じて、上記複数の第1の作業現場のそれぞれにおいて異常発生時刻で撮像された複数の異常映像データを、それぞれの第1の作業現場の安全性に関する第1の作業現場情報に関連付けてデータベース(例えば、異常映像データベース125)に登録する。
【0045】
また、映像管理装置100a(通知処理部137)は、上記複数の異常映像データが登録されたことに関する情報を、第2の作業現場に関連付けられる第2の端末に通知する。
【0046】
また、映像管理装置100a(映像配信処理部139)は、上記第2の端末からの要求に応じて、上記複数の異常映像データの中から、上記第2の作業現場に関連付けられる異常映像データを、上記第2の端末に配信する。
【0047】
(1)第1の作業現場情報
上記複数の第1の作業現場情報のそれぞれは、上述したように、複数の第1の端末から送信される情報に応じて登録される情報である。ここで、上記第1の端末は、例えば、第1の作業現場の作業員により用いられる、電子危険予知訓練シート登録端末、写真撮影用カメラ、又はウェアラブル端末などである。
【0048】
具体的に、上記電子危険予知訓練シート登録端末は、上記第1の作業現場の作業員によって作成された危険予知訓練(以下、KYTとも呼ぶ。)に関する情報を、映像管理装置100aに送信する。この場合、映像管理装置100aは、上記電子危険予知訓練シート登録端末から受信したKYTに関する情報を、作業管理データベース121に登録する。すなわち、上記複数の第1の作業現場情報のそれぞれは、KYTに関する情報を含む。
【0049】
また、上記写真撮影用カメラは、上記第1の作業現場の作業員などによって撮影された画像データを、映像管理装置100aに送信する。この場合、映像管理装置100a(例えば解析処理部147)は、上記写真撮影用カメラから受信した画像データを解析し、その解析結果から得られる情報を、作業管理データベース121に登録する。すなわち、上記複数の第1の作業現場情報のそれぞれは、上記写真撮影用カメラから送信される画像データの解析結果に関する情報を含む。
【0050】
また、上記ウェアラブル端末は、当該端末の端末識別情報を、映像管理装置100aに送信する。この場合、映像管理装置100aは、上記ウェアラブル端末から受信した端末識別情報を、作業管理データベース121に登録する。すなわち、上記複数の第1の作業現場情報のそれぞれは、上記ウェアラブル端末の端末識別情報を含む。
【0051】
(2)異常発生情報
上記複数の異常発生情報の各々は、それぞれの第1の作業現場に関連付けられる異常検出装置から送信される情報に基づいた情報である。例えば異常発生情報は、異常発生時刻情報、異常発生の内容情報などが含まれる。具体的に、上記異常検出装置は、例えば第1の作業現場の作業員が利用するウェアラブル端末である。この場合、映像管理装置100a(異常発生情報取得部133)は、当該ウェアラブル端末から受信した生体情報などに基づいて、当該ウェアラブル端末を利用する作業員に異常が発生したかどうかを判断することにより、当該作業員が作業する第1の作業現場に関連付けられる異常発生情報を取得する。
【0052】
(3)異常映像データ
上記複数の異常映像データのそれぞれは、例えば次のようにして取得される。まず、映像管理装置100a(作業映像取得部143)は、上記複数の第1の作業現場情報の各々の登録に応じて、それぞれの第1の作業現場において撮像された作業映像データを取得する。すなわち、映像管理装置100a(作業映像取得部143)は、作業管理データベース121に第1の作業現場情報を登録すると、当該第1の作業現場情報と関連付けられる第1の作業現場での作業映像データを取得し、当該作業映像データを作業映像データベース123に記憶する。
【0053】
次に、映像管理装置100a(異常映像生成部141)は、上記複数の異常発生情報の各々の取得に応じて、それぞれの第1の作業現場において撮像された作業映像データを用いて、それぞれの第1の作業現場において異常発生時刻で撮像された異常映像データを生成する。すなわち、映像管理装置(異常映像生成部141)は、上記異常発生情報を取得すると、例えば、当該異常発生情報に関連付けられる第1の作業現場の作業映像データから、異常発生時刻の前後数分間に撮像された作業映像データをトリミングすることにより、異常映像データを生成する。
【0054】
(4)第2の作業現場に関連付けられる第1の作業現場の決定
上記第2の作業現場に関連付けられる第1の作業現場は、例えば次のようにして決定される。
【0055】
まず、映像管理装置100a(作業現場情報取得部145)は、上記第2の端末から、上記第2の作業現場に関する第2の作業現場情報を取得する。ここで、上記第2の作業現場情報は、具体的には、例えば上記第2の作業現場の作業環境、作業者の情報などを示す情報を含む。これらの情報は、例えば、上記第2の端末から送信される画像データの解析結果に関する情報であってもよい。この場合、当該画像データの解析は、解析処理部147により行われてもよい。
【0056】
次に、映像管理装置100a(解析処理部147)は、上記第2の作業現場情報を解析して、上記複数の第1の作業現場の中から上記第2の作業現場に関連付けられる上記第1の作業現場を決定する。具体的には、映像管理装置100a(解析処理部147)は、上記第2の作業現場に類似する作業環境を有する作業現場を、上記第2の作業現場に関連付けられる上記第1の作業現場として決定する。
【0057】
(5)処理の流れ
次に、第1の実施形態に係る処理の流れについて説明する。図2は、映像管理装置100aとの間でデータの送受信が行われる各々の端末の具体例を示す図である。
【0058】
図2を参照すると、上記第1の作業現場に相当する作業現場1では、電子危険予知訓練シート登録端末11が、作業員によって入力されたKYTに関する情報を、映像管理装置100aに送信する。また、作業現場1では、写真撮影用カメラ12が、作業現場1で作業を行う作業員の服装、装備などを撮像して、撮像した画像データを映像管理装置100aに送信する。これらの送信された情報は、映像管理装置100a内の作業管理データベース121に登録される。
【0059】
また、作業現場1では、作業映像撮像カメラ13が、作業現場1の作業映像データを撮像して、撮像した作業映像データを映像管理装置100aに送信する。作業映像データは、上述したように、映像管理装置100a内の作業映像データベース123に登録される。また、作業現場1では、ウェアラブル端末14が作業現場1の作業員の生体情報を検出して、検出結果に基づいて異常発生情報を映像管理装置100aに送信する。映像管理装置100aは、異常発生情報を以下に説明する検索用端末21に通知するとともに、異常発生情報に基づいて、作業映像データから異常映像データの生成を行う。
【0060】
また、上記第2の作業現場に相当する作業現場2では、異常発生情報が検索用端末21に通知されると、検索用端末21が、作業現場2に関する作業現場情報を送信する。映像管理装置100aは、作業現場2に関する作業現場情報を受信すると、作業現場2に関連付けられる作業現場(例えば作業現場1)の異常映像データを異常映像データベース125から検索して検索用端末21に送信する。
【0061】
-全体的な処理の流れ
図3は、映像管理装置100aと種々の端末との間で行われる全体的な処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【0062】
図3を参照すると、映像管理装置100aは、電子危険予知訓練シート登録端末11から電子KYMシート(KYMに関する情報)を受信し、当該電子KYMシートを作業管理データベース121に登録する(S301)。次に、映像管理装置100aは、写真撮影用カメラ12から写真データを受信し、当該写真データを作業管理データベース121に登録する(S303)。次に、映像管理装置100aは、作業映像撮像カメラ13から作業映像データを受信し、作業映像データを作業映像データベース123に登録する処理を開始する(S305)。次に、映像管理装置100aは、ウェアラブル端末14との間の通信に基づいて、異常が発生したかどうかを判断し、異常が発生した場合(S307:YES)には、異常処理を開始してステップS309に進み、異常が発生していない場合(S307)には登録処理を終了する。
【0063】
異常処理が開始されると、映像管理装置100aは、異常が発生したことを示す情報を、作業現場2の作業員が利用する検索用端末21に通知する(S309)。次に、映像管理装置100aは、作業映像データをトリミングすることにより、異常映像データを生成する(S311)。次に、映像管理装置100aは、生成された異常映像データを異常映像データベース125に蓄積して(S313)、異常処理を終了し、ステップS307に戻る。
【0064】
また、異常が発生したことを示す情報の通知(S309)に応じて、次のような検索処理が実行される。まず、検索用端末21は、作業現場2の写真データを映像管理装置100aに送信する(S315)。次に、検索用端末21は、当該写真データの送信に応じて映像管理装置100aから送信される異常映像データを表示して(S317)、当該検索処理を終了する。
【0065】
-データ登録に関する詳細動作
図4は、種々のデータ登録に関する詳細動作を説明するためのフローチャートである。
【0066】
図4を参照すると、映像管理装置100aは、電子危険予知訓練シート登録端末11から電子KYMシート(KYMに関する情報)を受信し、当該電子KYMシートを作業管理データベース121に登録する(S401)。
【0067】
次に、写真撮影用カメラ12は、例えば作業者の顔写真、服装、工具、又は作業環境の写真を撮像し、当該写真データを映像管理装置100aに送信する(S403-1)。次に、映像管理装置100a(解析処理部147)は、写真撮影用カメラ12から送信された写真データを解析して、解析結果を作業管理データベース121に登録する(S403-2)。
【0068】
次に、作業映像撮像カメラ13は、作業映像データの撮像を開始し、撮像開始を示す情報を、映像管理装置100aに送信する。これにより、当該撮像開始を示す情報が作業管理データベース121に登録される(S405-1)。次に、映像管理装置100aは、作業者のカメラ情報と作業日時の情報をキーとして、当該作業の作業映像データ名を作業管理データベース121に登録する(S405-2)。次に、作業映像撮像カメラ13は、作業映像データを映像管理装置100aに送信する。これにより作業映像データが作業映像データベース123に蓄積される(S405-3)。ここで、作業映像データベース123は、撮影対象時間、作業映像データを継続的に蓄積するが、例えば3日間ごとなど一定期間で作業映像データを上書き記録してもよい。
【0069】
次に、ウェアラブル端末14は、作業者の生体情報に基づいて異常発生を検出する(S407)。ウェアラブル端末14が異常を検出した場合、図5に示す異常発生時の動作に移行する。
【0070】
-異常発生時に関する詳細動作
図5は、異常発生時に関する詳細動作を説明するためのフローチャートである。
【0071】
図5を参照すると、ウェアラブル端末14は、異常を検知した場合、映像管理装置100aに、異常発生情報を送信する(S501)。
【0072】
次に、映像管理装置100a(異常発生情報取得部133)は、ウェアラブル端末14の識別情報とその取得日時とをキーとして、作業管理データベース121を検索して、当該異常発生情報に関連付けられる作業映像データ名を取得する(S503-1)。次に、映像管理装置100a(異常映像生成部141)は、異常発生情報取得部133により取得された作業映像データ名をキーとして作業映像データベース123を検索して、作業映像データ名に対応する作業映像データを取得する(S503-2)。次に、映像管理装置100a(異常映像生成部141)は、ウェアラブル端末14から取得した異常発生情報(例えば、異常発生時刻情報)をキーに、作業映像データから該当時間の10分前後の映像データを検索することにより、異常映像データをトリミングする(S503-3)。ここで、トリミング対象の時間は任意に設定可能とする。次に、映像管理装置100a(異常映像登録部135)は、トリミングされた異常映像データを異常映像データベース125に登録する(S503-4)。
【0073】
映像管理装置100a(異常映像登録部135)は、異常映像データ名を、ウェアラブル端末14の識別情報と日時情報をキーとして作業管理データベース121に登録する(S505)。
【0074】
-事故事例検索の詳細動作
図6は、異常発生時に関する詳細動作を説明するためのフローチャートである。
【0075】
図6を参照すると、検索用端末21は、例えば作業現場2の作業者の顔写真、服装、工具、又は作業環境の写真を撮像し、当該写真データを映像管理装置に送信する(S601-1)。次に、映像管理装置100a(作業現場情報取得部145)は、取得した写真データを解析処理部147に提供し、解析処理部147による解析結果により、服装、工具、作業環境の写真解析情報を取得する(S601-2)。次に、映像管理装置100a(映像配信処理部139)は、解析結果により得られた写真解析情報をキーとして作業管理データベース121を検索し、異常映像データ名を取得する(S601-3)。次に、映像管理装置100a(映像配信処理部139)は、異常映像データ名をキーに異常映像データベース125を検索することにより異常映像情報を取得して、当該異常映像情報を検索用端末21に送信する(S601-4)。
【0076】
次に、検索用端末21は、映像管理装置100aから異常映像データ名の一覧を取得し、ユーザ(例えば作業員)の操作に応じて、視聴対象の異常映像データの視聴要求を映像管理装置100aに提供する(S603-1)。次に、検索用端末21は、映像管理装置100aから異常映像データを取得して、ディスプレイなどに表示する(S603-2)。
【0077】
-KYMシート、服装、工具などの具体的な登録時の動作例
図7は、KYMシート、服装、工具などの具体的な登録時の動作例を示す図である。
【0078】
図7を参照すると、電子KYMシート登録ステップS701において、作業者Aが利用するウェアラブル端末の情報、作業者Aが利用するカメラ情報を登録する。
【0079】
次に、写真データ登録ステップS703において、作業員Aが作業を行う作業現場の車種データが解析処理部147に入力される。そして、作業員Aの顔写真、服装(ヘルメット、安全帯、脚絆、腕章、安全靴等)の写真、工具(ドライバー、カッター、トルクレンチ等)の写真、作業環境(屋外、屋内、高所、開口部等)の写真が解析され、当該解析情報が作業管理データベース121に登録される。
【0080】
作業映像撮影ステップS705において、作業現場の作業映像が撮像される。また、カメラと日時の情報をキーに作業映像データ名が作業管理データベース121に登録される。また、作業映像データが作業映像データベース123に蓄積される。正常であれば蓄積処理が継続される。
【0081】
異常発生検出ステップS707において、作業者Aが利用するウェアラブル端末は、異常を検知した場合、図8に示す異常発生時の動作に移行する。この動作は、ウェアラブル端末から得られる生体情報(脈拍、心拍など)の閾値超過を契機に行われる。
【0082】
-事故映像をトリミングする動作例
図8は、ウェアラブル端末の情報(脈拍、心拍)をトリガに事故映像をトリミングする動作例を示す図である。
【0083】
異常発生通知ステップS801において、ウェアラブル端末により得られる生体情報(脈拍、心拍)の閾値超過を契機に異常検知され、異常発生情報が映像管理装置100aに通知される。
【0084】
異常映像データトリミングステップS803において、異常映像データがトリミングされる。具体的には、まず、ウェアラブル端末の識別情報をキーに作業管理データベース121が検索されることにより、作業映像データ名が取得される。次に、作業映像データ名をキーに作業映像データベース123が検索されることにより、作業映像データが取得される。次に、ウェアラブル端末から取得された時間情報をキーとした検索が行われることにより、作業映像データから該当時間の10分前後の作業映像データが、異常映像データとしてトリミングされる。次に、トリミングされた異常映像データが異常映像データベース125に登録される。
【0085】
次に、異常映像データ蓄積ステップS805において、異常映像データ名が、ウェアラブル端末の識別情報と日時情報をキーとして作業管理データベース121に登録される。
【0086】
-服装、工具などの検索キーに基づいた事故検索処理の動作例
図9は、服装、工具などの検索キーに基づいた事故検索処理の動作例を示す図である。
【0087】
図9を参照すると、写真データ送信ステップS901において、作業者Bの検索用端末は、作業者Bの服装、工具、作業環境の写真を撮像して、映像管理装置100a(作業現場情報取得部145)に送信する。次に、当該写真データが解析処理部147に送信され、服装、工具、作業環境の写真解析情報が取得される。次に、服装、工具、作業環境の写真解析情報をキーに作業管理データベース121を検索することにより異常映像データ名が取得される。次に、異常映像データ名をキーに異常映像データベース125を検索することにより、異常映像データ情報が作業者Bにより利用される検索用端末に返信される。
【0088】
次に、異常映像データ視聴ステップS903において、作業者Bの検索用端末は、異常映像データ名の一覧やサムネイル映像のリストから、作業者Bが視聴したい映像が選択される。当該視聴したい映像は、異常映像データベース125に要求され、検索用端末を用いて作業者Bにより映像視聴される。
【0089】
-各種のデータベースの具体例
例えば、図10は、作業管理データベース121に登録される情報の具体例を示す図である。また、図11は、作業映像データベース123に登録される情報の具体例を示す図である。図12は、異常映像データベース125に登録される情報の具体例を示す図である。
【0090】
(6)まとめ
上述した第1の実施形態によれば、リアルタイムに複数の現場で発生した事故事例を、同時間帯で同様の作業を行っている別の現場に適切に通知することが可能になる。
【0091】
例えば、具体例として、福岡、大阪、東京の3拠点で同日に現場作業があるものを想定する。この場合、例えば、午前11時に福岡で事故が起きると、当該事故に関する異常映像データが生成される。その際に、大阪、東京の作業者に、異常映像データが生成されたこと、すなわち、事故が発生したことを通知することができる。
【0092】
さらに、例えば午後1時開始の作業前ミーティングにて、大阪、東京の作業現場では、上述した検索用端末を利用して、福岡で発生した事故の映像を確認可能であり、同様のミスを行わないというリスクアセスメントを実現することができる。
【0093】
上述した第1の実施形態によれば、事故事例動画の自動収集、保存、解析、及び閲覧を行うことが可能となり、作業者や管理者の工数を大きく削減することが可能となる。これにより、全体的な業務に余裕がうまれ、根本的な異常事態の削減を図ることが可能となる。
【0094】
また、作業の状況を様々な視点から工数をかけずに正確に保存可能となる。これにより、不認知であった異常事象、事後分析の際に出なかった問題および対策などを検討することが可能となる。これらは作業員の安全に対する意識において、実際の動画を用いて状況を共有する事が可能であるため、新規従事者、及び未経験者に対しても更なる意識の向上、及び安全対策の必要性を高度な水準で報知することが可能となる。
【0095】
(7)他の具体例
異常発生情報は、上述したウェアラブル端末からの情報に限らず、次のような情報に基づいてもよい。異常発生情報は、高所エリアで繋ぐべきである安全帯が外れたことを示す検知情報、指定された作業エリアから作業員が消えたことを示す検知情報、又は「あぶない」等の危険時に発生される音声認識された情報などに基づいてもよい。
【0096】
また、図2に示した例のような写真撮影用カメラ12及び作業映像撮像カメラ13に限らず、作業現場に既設の監視カメラを利用してもよい。異常映像データの録画時間は目的により変更可能であり、様々な局面において利用可能である。作業管理データベース121に「作業員名簿」の情報を登録することにより、事故発生時の緊急連絡先、血液型、等救命救急に必要な情報を即座に参照可能としてもよい。
【0097】
また、映像管理装置100aは、各種工事、作業現場での利用、高度な監視カメラ、医療での自動ナースコール及び遠隔診察、運転手の管理および監視(自動車、鉄道、飛行機など)、自動運転、(スポーツ、コンサートなどにおける)リアルタイムなカメラワーク自動編集、ウェアラブル端末との連携による危険予知の自動検出、工場などの生産現場(生産ラインの異常など)の管理及び監視などの分野に利用することができる。
【0098】
<<3.第2の実施形態>>
続いて、図13を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。上述した第1の実施形態は、具体的な実施形態であるが、第2の実施形態は、より一般化された実施形態である。
【0099】
<3.1.映像管理装置100bの構成>
図13は、第2の実施形態に係る映像管理装置100bの概略的な構成の例を示すブロック図である。図13を参照すると、映像管理装置100bは、作業現場情報登録部151、異常発生情報取得部153、異常映像登録部155、通知処理部157、及び映像配信処理部159を備える。
【0100】
作業現場情報登録部151、異常発生情報取得部153、異常映像登録部155、通知処理部157、及び映像配信処理部159は、1つ以上のプロセッサと、メモリ(例えば、不揮発性メモリ及び/若しくは揮発性メモリ)並びに/又はハードディスクとにより実装されてもよい。作業現場情報登録部151、異常発生情報取得部153、異常映像登録部155、通知処理部157、及び映像配信処理部159は、同一のプロセッサにより実装されてもよく、別々に異なるプロセッサにより実装されてもよい。上記メモリは、上記1つ以上のプロセッサ内に含まれていてもよく、又は、上記1つ以上のプロセッサ外にあってもよい。
【0101】
<3.2.動作例>
第2の実施形態に係る動作例を説明する。
【0102】
第2の実施形態によれば、映像管理装置100b(作業現場情報登録部151)は、複数の第1の作業現場にそれぞれ関連付けられる複数の第1の端末から送信される情報に応じて、上記複数の第1の作業現場の安全性のそれぞれに関する複数の第1の作業現場情報をデータベースに登録する。
【0103】
また、映像管理装置100b(異常発生情報取得部153)は、上記複数の第1の作業現場において異常が発生したことをそれぞれ示す複数の異常発生情報を取得する。
【0104】
また、映像管理装置100b(異常映像登録部155)は、上記複数の異常発生情報の各々の取得に応じて、上記複数の第1の作業現場のそれぞれにおいて異常発生時刻で撮像された複数の異常映像データを、それぞれの第1の作業現場の安全性に関する第1の作業現場情報に関連付けてデータベースに登録する。
【0105】
また、映像管理装置100b(通知処理部157)は、上記複数の異常映像データが登録されたことに関する情報を、第2の作業現場に関連付けられる第2の端末に通知する。
【0106】
また、映像管理装置100a(映像配信処理部159)は、上記第2の端末からの要求に応じて、上記複数の異常映像データの中から、上記第2の作業現場に関連付けられる異常映像データを、上記第2の端末に配信する。
【0107】
-第1の実施形態との関係
一例として、第2の実施形態に係る映像管理装置100bが備える作業現場情報登録部151、異常発生情報取得部153、異常映像登録部155、通知処理部157、及び映像配信処理部159は、それぞれ、第1の実施形態に係る映像管理装置100aが備える作業現場情報登録部131、異常発生情報取得部133、異常映像登録部135、通知処理部137、及び映像配信処理部139の動作を行ってもよい。この場合に、第1の実施形態についての説明は、第2の実施形態にも適用されうる。なお、第2の実施形態は、この例に限定されない。
【0108】
以上、第2の実施形態を説明した。第2の実施形態によれば、リアルタイムに複数の現場で発生した事故事例を、同時間帯で同様の作業を行っている別の現場に適切に通知することが可能になる。
【0109】
<<4.他の実施形態>>
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は例示にすぎないということ、及び、本発明のスコープ及び精神から逸脱することなく様々な変形が可能であるということは、当業者に理解されるであろう。
【0110】
例えば、本明細書に記載されている処理におけるステップは、必ずしもシーケンス図に記載された順序に沿って時系列に実行されなくてよい。例えば、処理におけるステップは、シーケンス図として記載した順序と異なる順序で実行されても、並列的に実行されてもよい。また、処理におけるステップの一部が削除されてもよく、さらなるステップが処理に追加されてもよい。
【0111】
また、本明細書において説明した映像管理装置の構成要素(例えば、作業現場情報登録部、異常発生情報取得部、異常映像登録部、通知処理部、及び/又は映像配信処理部)を備える装置(例えば、映像管理装置を構成する複数の装置(又はユニット)のうちの1つ以上の装置(又はユニット)、又は上記複数の装置(又はユニット)のうちの1つのためのモジュール)が提供されてもよい。また、上記構成要素の処理を含む方法が提供されてもよく、上記構成要素の処理をプロセッサに実行させるためのプログラムが提供されてもよい。また、当該プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体(Non-transitory computer readable medium)が提供されてもよい。当然ながら、このような装置、モジュール、方法、プログラム、及びコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体も本発明に含まれる。
【0112】
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0113】
(付記1)
複数の第1の作業現場にそれぞれ関連付けられる複数の第1の端末から送信される情報に応じて、前記複数の第1の作業現場の安全性のそれぞれに関する複数の第1の作業現場情報をデータベースに登録する作業現場情報登録部と、
前記複数の第1の作業現場において異常が発生したことをそれぞれ示す複数の異常発生情報を取得する異常発生情報取得部と、
前記複数の異常発生情報の各々の取得に応じて、前記複数の第1の作業現場のそれぞれにおいて異常発生時刻で撮像された複数の異常映像データを、それぞれの第1の作業現場の安全性に関する第1の作業現場情報に関連付けてデータベースに登録する異常映像登録部と、
前記複数の異常映像データが登録されたことに関する情報を、第2の作業現場に関連付けられる第2の端末に通知する通知処理部と、
前記第2の端末からの要求に応じて、前記複数の異常映像データの中から、前記第2の作業現場に関連付けられる異常映像データを、前記第2の端末に配信する映像配信処理部と、を備える映像管理装置。
【0114】
(付記2)
前記複数の第1の作業現場情報のそれぞれは、前記第1の端末から送信される画像データの解析結果に関する情報を含む、付記1記載の映像管理装置。
【0115】
(付記3)
前記複数の異常発生情報の各々の取得に応じて、それぞれの第1の作業現場において撮像された作業映像データを用いて、それぞれの第1の作業現場において異常発生時刻で撮像された異常映像データを生成する異常映像生成部を更に備える、付記1又は2記載の映像管理装置。
【0116】
(付記4)
前記複数の第1の作業現場情報の各々の登録に応じて、それぞれの第1の作業現場において撮像された作業映像データを取得する作業映像取得部を更に備える、付記3記載の映像管理装置。
【0117】
(付記5)
前記第2の端末から、前記第2の作業現場に関する第2の作業現場情報を取得する作業現場情報取得部と、
前記第2の作業現場情報を解析して、前記複数の第1の作業現場の中から前記第2の作業現場に関連付けられる前記第1の作業現場を決定する解析処理部と、を更に備える付記1乃至4のうち何れか1項記載の映像管理装置。
【0118】
(付記6)
前記第2の作業現場情報は、前記第2の端末から送信される画像データの解析結果に関する情報を含む、付記5記載の映像管理装置。
【0119】
(付記7)
前記複数の異常発生情報の各々は、それぞれの第1の作業現場に関連付けられる異常検出装置から送信される情報に基づいた情報である、付記1乃至6のうち何れか1項記載の映像管理装置。
【0120】
(付記8)
複数の第1の作業現場にそれぞれ関連付けられる複数の第1の端末から送信される情報に応じて、前記複数の第1の作業現場の安全性のそれぞれに関する複数の第1の作業現場情報をデータベースに登録することと、
前記複数の第1の作業現場において異常が発生したことをそれぞれ示す複数の異常発生情報を取得することと、
前記複数の異常発生情報の各々の取得に応じて、前記複数の第1の作業現場のそれぞれにおいて異常発生時刻で撮像された複数の異常映像データを、それぞれの第1の作業現場の安全性に関する第1の作業現場情報に関連付けてデータベースに登録することと、
前記複数の異常映像データが登録されたことに関する情報を、第2の作業現場に関連付けられる第2の端末に通知することと、
前記第2の端末からの要求に応じて、前記複数の異常映像データの中から、前記第2の作業現場に関連付けられる異常映像データを、前記第2の端末に配信することと、を備える映像管理方法。
【0121】
(付記9)
複数の第1の作業現場にそれぞれ関連付けられる複数の第1の端末から送信される情報に応じて、前記複数の第1の作業現場の安全性のそれぞれに関する複数の第1の作業現場情報をデータベースに登録することと、
前記複数の第1の作業現場において異常が発生したことをそれぞれ示す複数の異常発生情報を取得することと、
前記複数の異常発生情報の各々の取得に応じて、前記複数の第1の作業現場のそれぞれにおいて異常発生時刻で撮像された複数の異常映像データを、それぞれの第1の作業現場の安全性に関する第1の作業現場情報に関連付けてデータベースに登録することと、
前記複数の異常映像データが登録されたことに関する情報を、第2の作業現場に関連付けられる第2の端末に通知することと、
前記第2の端末からの要求に応じて、前記複数の異常映像データの中から、前記第2の作業現場に関連付けられる異常映像データを、前記第2の端末に配信することと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0122】
この出願は、2020年5月29日に出願された日本出願特願2020-094553を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0123】
リアルタイムに複数の現場で発生した事故事例を、同時間帯で同様の作業を行っている別の現場に適切に通知することが可能になる。
【符号の説明】
【0124】
100a、100b 映像管理装置
131、151 作業現場情報登録部
133、153 異常発生情報取得部
135、155 異常映像登録部
137、157 通知処理部
139、159 映像配信処理部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13