(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】推定システム、推定方法および推定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20230101AFI20240423BHJP
G06Q 30/0601 20230101ALI20240423BHJP
【FI】
G06Q30/02
G06Q30/0601 330
(21)【出願番号】P 2022551088
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(86)【国際出願番号】 JP2020036617
(87)【国際公開番号】W WO2022064688
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】吉永 直生
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-145043(JP,A)
【文献】特開2019-148897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象顧客の購入商品と合計購入金額と来店頻度とのうちの少なくとも1つを含む購買データを取得する取得手段と、
前記対象顧客の行動を推定する行動模倣器と、最適な前記行動模倣器を選択する行動方針選択器を含む推定モデルを用いて、
前記対象顧客の推定時点までの購買データ
を入力データとし、前記対象顧客を優良顧客に変容させるための購買行動を推定する推定手段と、
前記推定手段により推定される購買行動を出力する出力手段と
を備え
、
前記行動模倣器は、複数の顧客の購買データのうち前記購入商品を入力データとし、前記合計購入金額または前記来店頻度に関する優良顧客の条件とに基づいて、優良顧客であるかを示すデータをラベルとした教師データを用いて、前記顧客の行動を推定し、
前記行動方針選択器は、前記行動模倣器による推定結果と前記入力データとを比較し、推定精度を基に最適な前記行動模倣器を選択し、
前記推定モデルは、前記行動方針選択器による比較結果を基に、前記行動方針選択器および前記行動模倣器を同時に学習することで生成される推定システム。
【請求項2】
前記取得手段は、前記対象顧客の購買行動を変容させるために過去に実施されたアクションを取得し、
前記推定手段は、前記複数の顧客それぞれの購買行動を変容させるために過去に実施されたアクションにさらに基づいて生成される前記推定モデルを用いて、前記取得手段により取得されるアクションに基づいて、前記対象顧客を優良顧客に変容させるためのアクションを推定し、
前記出力手段は、前記推定手段により推定されるアクションを出力する
請求項
1に記載の推定システム。
【請求項3】
前記購買データは、前記対象顧客の手に取った未購入の商品と、店内の
前記対象顧客の位置情報と、店のwebサイトまたはアプリへのアクセス履歴との少なくとも1つを含む
請求項1
又は2に記載の推定システム。
【請求項4】
前記出力手段により出力される購買行動は、来店回数を増加させる、購入金額を増加させる、特定の商品を購入させる、のうちの少なくとも1つである
請求項1から
3いずれかに記載の推定システム。
【請求項5】
前記出力手段により出力されるアクションは、割引クーポンの送付、商品の割引情報の送付、特典情報の送付、試供品の提供、イベントの開催通知の少なくとも1つである
請求項
2に記載の推定システム。
【請求項6】
前記複数の顧客の購買データを入力データとし、前記優良顧客を示すラベルを用いた機械学習によって前記推定モデルを生成する生成手段を
さらに備える請求項1から
5いずれかに記載の推定システム。
【請求項7】
前記生成手段は、前記優良顧客を示す基準を満たさない負例を用いた入力データをさらに用いて前記推定モデルを生成する
請求項
6に記載の推定システム。
【請求項8】
コンピュータが、
対象顧客の購入商品と合計購入金額と来店頻度とのうちの少なくとも1つを含む購買データを取得し、
前記対象顧客の行動を推定する行動模倣器と、最適な前記行動模倣器を選択する行動方針選択器を含む推定モデルを用いて、
前記対象顧客の推定時点までの購買データ
を入力データとし、前記対象顧客を優良顧客に変容させるための購買行動を推定し、
推定される購買行動を出力
し、
前記行動模倣器は、複数の顧客の購買データのうち前記購入商品を入力データとし、前記合計購入金額または前記来店頻度に関する優良顧客の条件とに基づいて、優良顧客であるかを示すデータをラベルとした教師データを用いて、前記顧客の行動を推定し、
前記行動方針選択器は、前記行動模倣器による推定結果と前記入力データとを比較し、推定精度を基に最適な前記行動模倣器を選択し、
前記推定モデルは、前記行動方針選択器による比較結果を基に、前記行動方針選択器および前記行動模倣器を同時に学習することで生成される
推定方法。
【請求項9】
対象顧客の購入商品と合計購入金額と来店頻度とのうちの少なくとも1つを含む購買データを取得する処理と、
前記対象顧客の行動を推定する行動模倣器と、最適な前記行動模倣器を選択する行動方針選択器を含む推定モデルを用いて、
前記対象顧客の推定時点までの購買データ
を入力データとし、前記対象顧客を優良顧客に変容させるための購買行動を推定する処理と、
推定される購買行動を出力する処理と
をコンピュータに実行させ
、
前記行動模倣器は、複数の顧客の購買データのうち前記購入商品を入力データとし、前記合計購入金額または前記来店頻度に関する優良顧客の条件とに基づいて、優良顧客であるかを示すデータをラベルとした教師データを用いて、前記顧客の行動を推定し、
前記行動方針選択器は、前記行動模倣器による推定結果と前記入力データとを比較し、推定精度を基に最適な前記行動模倣器を選択し、
前記推定モデルは、前記行動方針選択器による比較結果を基に、前記行動方針選択器および前記行動模倣器を同時に学習することで生成される
推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優良顧客を推定する技術に関するものであり、特に、優良顧客に変容する行動を推定する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
営業活動の効率化、業績の向上などを目的として営業支援システムが広く用いられるようになっている。例えば、小売業等では商品を購入する可能性が高い顧客、商品の購入金額が多い顧客など優良顧客を推定する技術の開発が行われている。そのような、優良顧客の推定に関する技術としては、例えば、特許文献1のような技術が開示されている。
【0003】
特許文献1の広告装置は、製品を購入した実績のある顧客の行動履歴を基にしたモデルを用いて、製品を購入する可能性が高い顧客を推定する。特許文献1の広告装置は、製品を購入する可能性が高い顧客を広告配信の対象とすることで、広告効果を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術は、製品を購入した実績のある顧客の行動履歴と行動が類似している顧客のうち製品を購入していない顧客を広告配信の候補としている。しかし、特許文献1では、顧客がどのような状態なのかを考慮して推定していない。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、顧客を優良顧客に変容させるための行動を精度よく推定することができる推定システム等を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の推定システムは、取得部と、推定部と、出力部を備えている。取得部は、対象顧客の購入商品と合計購入金額と来店頻度とのうちの少なくとも1つを含む購買データを取得する。推定部は、複数の顧客の購買データと優良顧客の条件とに基づいて生成される推定モデルを用いて、取得部により取得される購買データに基づいて、対象顧客を優良顧客に変容させるための購買行動を推定する。出力部は、推定部により推定される購買行動を出力する。
【0008】
本発明の推定方法は、対象顧客の購入商品と合計購入金額と来店頻度とのうちの少なくとも1つを含む購買データを取得する。本発明の推定方法は、複数の顧客の購買データと優良顧客の条件とに基づいて生成される推定モデルを用いて、取得される購買データに基づいて、対象顧客を優良顧客に変容させるための購買行動を推定する。本発明の推定方法は、推定部により推定される購買行動を出力する。
【0009】
本発明のプログラム記録媒体は、推定プログラムを記録している。推定プログラムは、対象顧客の購入商品と合計購入金額と来店頻度とのうちの少なくとも1つを含む購買データを取得する処理をコンピュータに実行させる。推定プログラムは、複数の顧客の購買データと優良顧客の条件とに基づいて生成される推定モデルを用いて、取得される購買データに基づいて、対象顧客を優良顧客に変容させるための購買行動を推定する処理をコンピュータに実行させる。推定プログラムは、推定される購買行動を出力する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、顧客を優良顧客に変容させるための行動を精度よく推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態の構成の概要を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態の推定モデルの生成動作の例を模式的に示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態の推定モデルの生成動作の例を模式的に示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態の推定システムの動作フローを示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態の購買データの例を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態の購買データから抽出したデータの例を示す図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態の推定システムの動作フローを示す図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態の購買データの例を示す図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態の推定結果の表示画面の例を示す図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態の推定結果の表示画面の例を示す図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態の推定結果の表示画面の例を示す図である。
【
図12】本発明の第2の実施形態の構成の概要を示す図である。
【
図13】本発明の第2の実施形態の推定システムの動作フローを示す図である。
【
図14】本発明の第2の実施形態のアクションの履歴データの例を示す図である。
【
図15】本発明の第2の実施形態の推定システムの動作フローを示す図である。
【
図16】本発明の第2の実施形態の推定結果の表示画面の例を示す図である。
【
図17】本発明の第3の実施形態の構成の概要を示す図である。
【
図18】本発明の第3の実施形態の推定システムの動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図を参照して詳細に説明する。図は、本実施形態の推定システム10の構成の概要を示す図である。本実施形態の推定システム10は、取得部11と、記憶部12と、データ生成部13と、生成部14と、推定部15と、出力部16を備えている。
【0013】
推定システム10の取得部11、記憶部12、データ生成部13、生成部14、推定部15および出力部16は、同一のサーバに備えられていてもよく、分散して別のサーバに備えられていて、ネットワークを介して接続されていてもよい。
【0014】
本実施形態の推定システム10は、優良顧客になる可能性が高い顧客の購買行動を推定するシステムである。すなわち、本実施形態の推定システム10は、対象顧客を優良顧客に変容させるための購買行動を推定するシステムである。優良顧客とは、例えば、所定期間における商品の合計購入金額が基準以上である顧客や、特定の商品を定期的に購入する顧客などのことをいう。優良顧客は、来店頻度、購入数、会員制度のランクまたはポイント制度のポイント数など他の指標に基づいたものであってもよい。また、購買行動には、実施に商品を購入する行動だけでなく、店舗において商品を手にする、商品棚を見る、店舗に来店するまたはWebサイトで商品のページを見るなどの購買に関連する行動も含まれる。以下では購買に関連する行動のことを購買関連行動ともいう。
【0015】
図1を参照して推定システム10の構成について説明する。
【0016】
取得部11は、顧客の購買行動のデータ(以下、購買データともいう。)を取得する。取得部11は、例えば、小売店のPOS(Point Of Sale)システムから顧客の購買データを取得する。取得部11は、顧客が商品購入時に使用したクレジットカードの管理システムまたはポイントカードの管理システム等のPOSシステム以外から顧客の購買データを取得してもよい。
【0017】
顧客の購買データとは、顧客による商品の購入に関するデータのことをいう。顧客の購買データには、例えば、商品の購入日時、購入した商品の商品名、購入数、合計購入数、購入額または合計購入金額などのデータのうち1または複数の項目が含まれる。
【0018】
購買データには、商品を購入した店舗名、付与されたサービス、付与されたポイントおよび割引額のうち、1つまたは複数の項目が含まれていてもよい。また、購買データには、来店頻度、店舗内で立ち寄った場所および店舗内で立ち寄った場所の数など顧客の購入に関する行動に関するデータが含まれていてもよい。また、顧客の購入に関する行動に関するデータ(すなわち、購買関連行動)には、例えば、店舗がWeb上に構築されてものであったとき、例えば、Webサイトの各情報のクリックまたはタップ、会員サイトの閲覧またはログインの有無、アプリへのログインの有無、商品ページの閲覧履歴などが含まれていてもよい。また、顧客の購買に関する行動のデータのうち、Webサイトの各情報のクリックなど商品の購入に直接的に関連していない行動に関するデータは、購買関連データともいう。
【0019】
記憶部12は、顧客の購買データを記憶する。また、記憶部12は、購買データから抽出されたデータおよび購買データを基に生成されたデータを記憶する。
【0020】
データ生成部13は、顧客の購買データから購買行動を抽出する。また、データ生成部13は、顧客の購買データから顧客の状態データを生成する。状態データとは、顧客の購買データから抽出された顧客の状態を示すデータのことをいう。顧客の状態とは、商品を売る側から見たときの顧客の状態のことをいう。顧客の状態とは、例えば、商品の合計購入金額の変化または合計購入数の変化など顧客の行動の変容に関することをいう。顧客の状態のデータは、例えば、小売店にとっての優良顧客を判断する際に用いられる。顧客の状態を示すデータは、例えば、1回の来店における合計購入金額、1回の来店における合計購入数、単位期間あたりの合計購入金額、1回の来店における合計購入数、購入頻度、来店頻度および獲得ポイント数のうち1つまたは複数の項目のデータのことをいう。顧客の状態を示すデータは、顧客のランク分け制度における顧客のランクであってもよい。顧客のランク分け制度は、顧客の購入実績を基に顧客を複数のランクに分け、ランクに応じて優待サービスなどを行う制度のことをいう。
【0021】
生成部14は、顧客の購買データまたは購買データから抽出された状態データを入力データとし、優良顧客に変容する顧客が行う購買行動を推定結果として出力する推定モデルを生成する。生成部14は、顧客の購買行動または購買データから抽出された状態データを入力データとし、優良顧客であるかを示すデータをラベルとして教師データに用いた機械学習によって推定モデルを生成する。
【0022】
生成部14は、例えば、SAiL(Skill Acquisition Learning)法を用いて推定モデルを生成する。
図2は、SAiL法における推定モデルの生成動作を模式的に示す図である。
【0023】
SAiL法において、生成部14は、過去の事例を入力とし、次に行う行動を推定する。
図2において、生成部14は、顧客の購買データを入力とし、行動模倣器(行動模倣器A、B、・・・)において優良顧客が次に行う行動を推定する。例えば、過去事例Aが入力されると、行動模倣器は、行動の推定事例Bを出力する。左側の過去事例Aの下に示す矢印は、過去事例Aの生成部14への入力を示している。また、行動の推定事例Bの下の矢印は、行動の推定事例Bの生成部14からの出力を示している。過去事例Aおよび行動の推定事例Bの丸印は、顧客の行動を示している。また、過去事例Aおよび行動の推定事例Bの三角印は、行動の後の顧客の状態を示している。過去事例Aの間の矢印は、同一の事例であることを示している。すなわち、
図2の過去事例Aや推定事例Bでは、顧客が丸印(〇)の行動を起こすことにより、当該顧客の状態が三角印の状態に推移したことを示している。
【0024】
次の行動を推定すると、生成部14は、行動方針選択器において、入力と推定結果を比較し、推定精度を基に最適な行動模倣器を選択する。
図2の過去事例Aと行動の推定事例Bの間の矢印は、入力である過去事例Aと、推定結果である行動の推定事例Bの比較を示している。比較の矢印の左側にある行動方針選択器および行動模倣器に向けた矢印は、比較結果が行動方針選択器と行動模倣器に入力されることを示している。
【0025】
生成部14は、入力と推定結果の比較結果を基に、行動方針選択器と、行動模倣器を同時に学習することで推定モデルを生成する。
【0026】
図3は、行動模倣器を最適化する動作を模式的に示す図である。生成部14は、行動模倣器をACIL(Adversarial Cooperative Imitation Learning)法によって生成する。生成部14は、行動方針選択器の一部である成功事例分類器において、行動模倣器が生成した事例と、過去の成功事例と比較する。また、生成部14は、行動方針選択器の一部である失敗事例分類器において、行動模倣器が生成した事例と、過去の失敗事例と比較する。
図3の過去の成功事例Xは、正例として用いられる入力データである。また、過去の失敗事例Zは、負例として用いられる入力データである。生成された事例Yは、入力データを基に行動模倣器によって生成されたデータである。各事例の丸印は、上記
図2での説明と同様、顧客の行動を示している。各事例の三角印は、上記
図2での説明と同様、行動の後の顧客の状態を示している。
【0027】
成功事例分類器は、過去の成功事例と行動模倣器が生成した事例を見分ける(または分類する)動作を行う。そのため、行動模倣器と成功事例分類器は、過去の成功事例に近づけようとする行動模倣器と見分けようとする成功事例分類器とで、敵対しながら学習(最適な行動模倣器の選択)を進める。敵対とは、行動模倣器が成功事例との差が小さい事例を生成しようとするのに対し、成功事例分類器が小さな差をさらに見極めようとすることで、入力データである成功事例と推定結果である生成された事例の差が小さくなるように学習を進めていく処理のことをいう。
【0028】
一方で、失敗事例分類器は、過去の成功事例と失敗事例を見分ける(または分類する)動作を行う。そのため、行動模倣器と失敗事例分類器は、過去の失敗事例に遠ざけようとする行動模倣器と見分けようとする成功事例分類器とで、協調しながら学習を進める。協調とは、行動模倣器が失敗事例との差が大きい事例を生成しようとするのに対し、失敗事例分類器が差がより大きい事例を選択しようとすることで、入力データである失敗事例と推定結果である生成された事例の差が大きくなるように学習を進めていく処理のことをいう。このように、敵対と協調の両方を用いて機械学習を行うことで、致命的な失敗に至ることなく精度の高い推定を行うことができる推定モデルを得ることが可能になる。
【0029】
ACIL法およびSAiL法の詳細は、Lu Wand et al., " Adversarial Cooperative Imitation Learning for Dynamic Treatment Regimes", Proceedings of The Web Conference 2020 (WWW '20), [2020年9月3日検索] Internet <URL: https://dl.acm.org/doi/10.1145/3366423.3380248>に記載されている。
【0030】
上記において、生成部14は、優良顧客であるか否かをラベルとした教師データを用いて機械学習を行っているが、生成部14は、所定のKPI(Key Performance Indicator)に基づいて設定されたラベルを用いて機械学習を行ってもよい。所定のKPIを用いたラベルは、合計購入金額、来店頻度、獲得したポイント数または顧客のランクなど顧客の状態を示す数値によって設定されたラベルの少なくとも1つを含む。尚、購買行動に関する情報であれば、所定のKPIは上記の例に限定されない。また、生成部14は、正例と負例の学習データを用いて機械学習を行って推定モデルを生成しているが、生成部14は、正例の学習データのみを用いて機械学習を行って推定モデルを生成してもよい。
【0031】
推定部15は、生成部14が生成した推定モデルを用いて顧客を優良顧客に変容させる購買行動を推定する。推定部15は、推定対象となる顧客の購買データ入力として、推定モデルを用いて、推定結果として推定対象の顧客を優良顧客に変容させる購買行動を推定する。また、推定対象の顧客のことを対象顧客ともいう。
【0032】
出力部16は、推定部15の推定結果を出力する。出力部16は、推定結果が表示装置に表示されるように制御する表示制御部であってもよい。
【0033】
本実施形態の推定システム10の動作について説明する。始めに機械学習による推定モデルの生成について説明する。
図4は、推定モデルの生成動作のフローを示す図である。
【0034】
図4において、取得部11は、複数の顧客についての過去の購買データを取得する(ステップS11)。
【0035】
図5は、顧客の購買データの例を示した図である。
図5の購買データは、顧客A、顧客Bおよび顧客Cについての、商品を購入した日付、購入した商品の品目、購入した商品の1個あたりの価格および商品ごとの購入した数を含むデータによって構成されている。尚、
図5の例では日付に時間が含まれていないが、時間を含めてもよい。購買データを取得すると、取得部11は、取得した購買データを記憶部12に保存する。
【0036】
購買データが保存されると、データ生成部13は、記憶部12から購買データを読み出し、顧客の購買データから購買行動を抽出する。また、データ生成部13は、顧客の購買データから顧客の状態を示す状態データを生成する(ステップS12)。
【0037】
図6は、顧客の状態データの例を示す図である。
図6の状態データは、顧客ごとの1か月の購入額と、来店頻度の情報によって構成されている、
図6の例では、来店頻度は、1週間あたりの来店回数として示されている。状態データを生成すると、データ生成部13は、生成した状態データを記憶部12に保存する。
【0038】
状態データが保存されると、生成部14は、顧客の購買データを機械学習における入力データとし、顧客が優良顧客であるかを示すデータをラベルとして教師データに用いた機械学習を実行する(ステップS13)。
【0039】
図5および
図6の例では、生成部14は、購買データのうち顧客が購入した購入した商品を入力データとし、状態データのうち合計購入金額を優良顧客の基準としたラベルを用いた機械学習を実行する。例えば、生成部14は、合計購入金額が20000円以上を正例、合計購入金額が20000円未満を負例としたSAiL法による機械学習を実行し、顧客を優良顧客に変容させる購買行動を予測する推定モデルを生成する。推定モデルを生成すると、生成部14は、学習済みの推定モデルのデータを推定部15に出力する(ステップS14)。
【0040】
推定モデルのデータを受け取ると、推定部15は、推定モデルのデータを内部に保存し、優良顧客となるための顧客の購買行動を推定する際に推定モデルを使用する。
【0041】
次に推定モデルを用いて、優良顧客になる確率の高い顧客の購買行動を推定する動作について説明する。
図7は、推定システム10において、優良顧客になる確率の高い顧客の購買行動を推定する際の動作フローを示す図である。
【0042】
図7において、取得部11は、推定の対象顧客についての推定時点までの購買データを取得する(ステップS21)。
図8は、対象顧客の購買データの例を示す図である。
図8では、対象顧客Dについて、商品を購入した日付、購入した商品の品目、購入した商品の1個あたりの価格および商品ごとの購入した数を含むデータによって構成されている。
購買データを取得すると、取得部11は、取得したデータを記憶部12に保存する。尚、取得部11は、予め抽出された対象顧客の購買行動を取得してもよい。
【0043】
データ生成部13は、記憶部12から購買データを読み出し、購買データから顧客の購買行動を抽出する。顧客の購買行動を抽出すると、データ生成部13は、抽出した購買のデータを推定部15に送る。
【0044】
購買行動のデータを受け取ると、推定部15は、生成部14が生成した推定モデルを用いて顧客を優良顧客に変容させる購買行動を推定する(ステップS22)。例えば、推定部15は、顧客の推定時点までの購買行動を入力データとし、推定モデルを用いて顧客が優良顧客となる確率が高い購買行動 を推定する。顧客が優良顧客となる確率が高い購買行動を推定すると、推定部15は、推定結果を出力部16に送る。
【0045】
推定結果を受け取ると、出力部16は、推定結果を出力する。出力部16は、例えば、推定結果を表示装置に表示する。出力部16は、推定対象の顧客が優良顧客にするための購買行動の推定結果を出力する(ステップS23)。出力部16は、推定結果を利用者の端末装置またはネットワークを介して接続された他の情報処理装置に出力してもよい。
【0046】
図9は、推定結果の表示画面の例を示す図である。
図9の例では、対象顧客が優良顧客になる確率が高い購買行動が推奨する購買行動として示されている。出力部16は、対象顧客が優良顧客になる確率が高い順に購買行動を、推奨する購買行動として表示する。
図9の表示画面の例は、「米を購入」することが、対象顧客が優良顧客になる確率が最も高い購買行動であることを示している。推定システム10の利用者は、
図9に示された表示結果を参照し、対象顧客に米を購入してもらう施策を実行することで、対象顧客が優良顧客になる可能性を高めることができる。
【0047】
図10は、
図9と同様の推定結果の表示画面において購買行動を推奨する理由が表示されている例を示している。
図10の例では、菓子を継続的に購入し、2か月経過した人が米を購入することで優良顧客になる可能性が高いことを示している。また、
図11の例は、
図10と同様の推定結果の他の表示形態の例を示したものである。
図11の例では、推奨する購買行動として米の行動を提示している。また、
図11では、購買行動として菓子を連続して買った後、米を買うことが優良顧客になる可能性を高めることを可視化している。推定システム10の利用者は、対象顧客が既に菓子を継続している購入している段階では米を、その前段階では菓子を対象顧客に勧めることで対象顧客が優良顧客となる可能性を高めることができる。
【0048】
本実施形態の推定システム10は、購買行動を含む購買データを用いて生成された推定モデルを用いて、対象顧客を優良顧客にするための購買行動を推定している。推定モデルを用いて推定する際に、推定の対象となる対象顧客の購買データを入力として推定を行うことで、対象顧客の現在の状態を基に、対象顧客が優良顧客となる可能性を高める購買行動を推定することができる。本実施形態の推定システム10では、対象顧客の状態を基に、優良顧客となる可能性を高める購買行動を推定することで対象顧客ごとにより精度の高い推定を行うことができる。そのため、推定システム10の利用者は、対象顧客が優良顧客となる可能性を高める購買行動の推定結果を参照し、対象顧客に推定された購買行動を行わせるように施策を実行することで顧客が優良顧客となる可能性を高めることができる。
【0049】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図を参照して詳細に説明する。
図12は、本実施形態の推定システム20の構成の概要を示す図である。本実施形態の推定システム20は、取得部21と、記憶部22と、データ生成部23と、生成部24と、推定部25と、出力部26を備えている。
【0050】
推定システム20の取得部21、記憶部22、データ生成部23、生成部24、推定部25および出力部26は、同一のサーバに備えられていてもよく、分散して別のサーバに備えられていて、ネットワークを介して接続されていてもよい。
【0051】
第1の実施形態の推定システム10は、対象顧客が優良顧客となる確率が高い、対象顧客自身の購買行動の推定を行っている。そのような構成に対し、本実施形態の推定システム20は、対象顧客が優良顧客となる可能性を高めるために、対象顧客に対して行うアクションを推定することを特徴とする。
【0052】
取得部21は、顧客の購買データおよび顧客に対して行ったアクションの履歴データを取得する。顧客に対して行うアクションとは、例えば、商品の購入を促すために顧客に対して行う行動のことをいう。顧客に対して行うアクションは、例えば、電話勧誘、ペール送信、Webページへの商品情報の表示、スマートフォンのアプリへの商品情報の表示、割引クーポンの送付、特典情報の送付、ポイントの付与、試供品の提供、イベントの開催の通知およびセミナーの実施のうち1つまたは複数の項目のことをいう。尚、アクションは、顧客の購買行動を促進可能なアクションであれば、上記に限定されない。
【0053】
取得部21は、顧客に対して行ったアクションの履歴データに加え、顧客に対して行ったアクションに対する顧客の反応データを取得してもよい。顧客の反応データとは、例えば、顧客にメールを送信した際に、顧客がメール中に記載されたWebサイトにアクセスしたかの記録を示すデータである。また、顧客の反応データとは、例えば、顧客の端末装置にインストールされるアプリを介して通知した際に、顧客がアプリを開く又は当該通知にアクセスしたかの記録を示すデータであってもよい。
【0054】
記憶部22は、顧客の購買データおよび顧客に対して行ったアクションの履歴データを記憶する。また、顧客に対して行ったアクションに対する顧客の反応データが取得された場合には、記憶部22は、顧客の反応データを記憶する。
【0055】
データ生成部23は、第1の実施形態のデータ生成部13と同様に、顧客の購買データから購買行動を抽出する。また、データ生成部23は、顧客の購買データから状態データを生成する。尚、取得部21が、予め抽出された購買行動を取得してもよい。
【0056】
生成部24は、対象顧客の購買行動および対象顧客に対して行ったアクションを入力データとし、対象顧客を優良顧客にするために顧客に対して行うアクションを出力する推定モデルを生成する。生成部24は、顧客の購買行動および対象顧客に対して行ったアクションを機械学習の入力データ、優良顧客であるかを示すデータをラベルとした教師データを用いた機械学習によって推定モデルを生成する。生成部24は、第1の実施形態と同様に、例えば、SAiL法を用いて推定モデルを生成する。また、生成部24は、第1の実施形態の生成部14と同様に、所定のKPIを基に設定されたラベルを用いて機械学習を行って推定モデルを生成してもよい。また、生成部24は、第1の実施形態の生成部14と同様に、正例の学習データのみを用いて機械学習を行って推定モデルを生成してもよい。
【0057】
推定部25は、生成部24が生成した推定モデルを用いて顧客を優良顧客にするために、顧客に対して行うアクションを推定する。推定部25は、推定時点までの推定対象の顧客の購買行動および顧客に対するアクションを入力として、推定モデルを用いた推定を行い、推定対象の顧客を優良顧客にするために、顧客に対して行うアクションを推定結果として出力する。また、生成部24は、推定部25の推定結果に基づいて実際に顧客に対して行われたアクションと、優良顧客になったかの結果を用いて再学習により推定モデルを再生成してもよい。再学習を行うことで、推定モデルによる推定の精度を向上することができる。
【0058】
出力部26は、推定部25の推定結果を出力する。出力部26は、推定結果が表示装置に表示されるように制御する表示制御部であってもよい。
【0059】
本実施形態の推定システム20の動作について説明する。始めに推定システム20において対象顧客を優良顧客にするために行うアクションを推定する推定モデルを生成する際の動作について説明する。
図13は、対象顧客を優良顧客にするためのアクションを推定する推定モデルを生成する際の動作フローを示す図である。
【0060】
図13において、取得部21は、複数の顧客についての過去の購買データと、顧客に対して行ったアクションの履歴データを取得する(ステップS31)。
【0061】
図14は、顧客に対して行ったアクションの履歴データの例を示す図である。
図14の顧客に対して行ったアクションの履歴データは、顧客にアクションを行った日付、アクションを行った対象の顧客および顧客に対して行ったアクションの種類の情報によって構成されている。また、取得部21は、購買データとして第1の実施形態と同様に
図5のようなデータを取得する。購買データおよび顧客に対して行ったアクションのデータを取得すると、取得部21は、取得したデータを記憶部22に保存する。
【0062】
データ生成部23は、記憶部22から購買データを読み出し、第1の実施形態と同様に購買データから顧客の購買行動と状態データを生成する(ステップS32)。購買行動と状態データを生成すると、データ生成部23は、購買行動と状態データを記憶部22に保存する。
【0063】
購買行動と状態データが保存されると、生成部24は、対象顧客の購買行動および対象顧客に対して行ったアクションを機械学習の入力データとし、顧客が優良顧客であるかを示すデータをラベルとした教師データを用いて機械学習を実行する(ステップS33)。生成部24は、SAiL法を用いた機械学習によって顧客を優良顧客にするために顧客に対して行うアクションを推定する推定モデルを生成する。推定モデルを生成すると、生成部24は、学習済みの推定モデルのデータを推定部25に出力する(ステップS34)。
【0064】
推定モデルのデータを受け取ると、推定部25、推定モデルのデータを内部に保存し、顧客を優良顧客にするための顧客へのアクションを推定する際に推定モデルを使用する。
【0065】
次に推定モデルを用いて、顧客を優良顧客にするための顧客へのアクションを推定する動作について説明する。
図15は、推定システム20が、推定モデルを用いて顧客を優良顧客にするための顧客へのアクションを推定する動作のフローを示す図である。
【0066】
図15において、取得部21は、推定時点までの顧客に対して行ったアクションおよび推定対象の顧客についての購買データを取得する(ステップS41)。顧客に対して行ったアクションおよび購買データを取得すると、取得部21は、取得したデータを記憶部22に保存する。
【0067】
データ生成部23は、記憶部22から購買データを読み出し、購買データから対象顧客の購買行動を抽出する。対象顧客の購買行動を抽出すると、データ生成部23は、対象顧客の購買行動を推定部25に送る。
【0068】
対象顧客の購買データを受け取ると、推定部25は、推定時点までの顧客の購買行動および顧客へのアクションを入力データとし、推定モデルを用いて対象顧客を優良顧客にするための対象顧客へのアクションを推定する(ステップS42)。対象顧客を優良顧客にするための購買行動を推定すると、推定部25は、推定結果を出力部26に送る。
【0069】
推定結果を受け取ると、出力部26は、対象顧客を優良顧客にするための顧客へのアクションの推定結果を出力する(ステップS43)。出力部26は、例えば、推定結果を表示装置に表示する。出力部26は、推定結果を利用者の端末装置またはネットワークを介して接続された他の情報処理装置に出力してもよい。
【0070】
図16は、推定結果の表示画面の例を示す図である。
図16では、顧客を優良顧客にするための対象顧客へのアクションを推奨アクションとして表示している。
図16では、対象顧客を優良顧客にするためのアクションが、対象顧客が優良顧客になる可能性が高い順に示されている。
図16の例では、顧客への割引クーポンの送付が優良顧客にする確率が最も高いアクションとして示されている。また、
図16の例では、割引クーポンの送付によって合計購入金額が増加することが理由として示されている。
【0071】
本実施形態の推定システム20は、顧客の購買データと顧客に対して行ったアクションの履歴を用いて生成された推定モデルを用いて、対象顧客を優良顧客にするための顧客へのアクションを推定している。推定モデルを用いて推定する際に、推定の対象となる対象顧客の購買データを入力として推定を行うことで、対象顧客の現在の状態を基に、対象顧客を優良顧客にするためのアクションを推定することができる。本実施形態の推定システム20では、対象顧客の購買データと、アクションの履歴を基に、優良顧客にするために顧客に対するアクションを推定することで対象顧客ごとにより精度の高い推定を行うことができる。
【0072】
(第3の実施形態)
本発明の推定システムの動作について説明する。
図17は、本実施形態の推定システムの構成を示す図である。本実施形態の推定システム100は、取得部101と、推定部102と、出力部103を備えている。取得部101は、対象顧客の購入商品と合計購入金額と来店頻度とのうちの少なくとも1つを含む購買データを取得する。推定部102は、複数の顧客の購買データと優良顧客の条件とに基づいて生成される推定モデルを用いて、取得部101により取得される購買データに基づいて、対象顧客を優良顧客に変容させるための購買行動を推定する。出力部103は、推定部102により推定される購買行動を出力する。
【0073】
ここで、第1の実施形態の取得部11および第2の実施形態の取得部21は、それぞれ取得部101の一例である。また、取得部101は、取得手段の一態様である。第1の実施形態の推定部15および第2の実施形態の推定部25は、推定部102の一例である。また、推定部102は、取得手段の一態様である。第1の実施形態の出力部16および第2の実施形態の出力部26は、出力部103の一例である。また、出力部103は、出力手段の一態様である。
【0074】
本実施形態の推定システム100の動作について説明する。
図18は、推定システム100の動作フローを示す図である。
【0075】
取得部101は、対象顧客の購入商品と合計購入金額と来店頻度とのうちの少なくとも1つを含む購買データを取得する(ステップS101)。購買データが取得されると、推定部102は、複数の顧客の購買データと優良顧客の条件とに基づいて生成される推定モデルを用いて、取得部101により取得される購買データに基づいて、対象顧客を優良顧客に変容させるための購買行動を推定する(ステップS102)。対象顧客を優良顧客に変容させるための購買行動が推定されると、出力部103は、推定部102により推定される購買行動を出力する(ステップS103)。
【0076】
本実施形態の推定システム100は、対象顧客の現在の状態を基に、対象顧客を優良顧客にするための購買行動を推定することで、優良顧客にするための購買行動の推定の精度を向上することができる。
【0077】
第1乃至第3の実施形態の推定システムにおける各処理は、コンピュータプログラムをコンピュータで実行することによって行うことができる。
図19は、第1乃至第3の実施形態の推定システムにおける各処理を行うコンピュータプログラムを実行するコンピュータ200の構成の例を示したものである。コンピュータ200は、CPU(Central Processing Unit)201と、メモリ202と、記憶装置203と、入出力I/F(Interface)204と、通信I/F205を備えている。
【0078】
CPU201は、記憶装置203から各処理を行うコンピュータプログラムを読み出して実行する。CPU201は、CPUとGPU(Graphics Processing Unit)の組み合わせによって構成されていてもよい。メモリ202は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等によって構成され、CPU201が実行するコンピュータプログラムや処理中のデータが一時記憶される。記憶装置203は、CPU201が実行するコンピュータプログラムを記憶している。記憶装置203は、例えば、不揮発性の半導体記憶装置によって構成されている。記憶装置203には、ハードディスクドライブ等の他の記憶装置が用いられてもよい。入出力I/F204は、作業者からの入力の受付および表示データ等の出力を行うインタフェースである。通信I/F205は、推定システムを構成する各装置および利用者の端末等との間でデータの送受信を行うインタフェースである。
【0079】
また、各処理の実行に用いられるコンピュータプログラムは、記録媒体に格納して頒布することもできる。記録媒体としては、例えば、データ記録用磁気テープや、ハードディスクなどの磁気ディスクを用いることができる。また、記録媒体としては、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の光ディスクを用いることもできる。不揮発性の半導体記憶装置を記録媒体として用いてもよい。
【0080】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0081】
[付記1]
対象顧客の購入商品と合計購入金額と来店頻度とのうちの少なくとも1つを含む購買データを取得する取得手段と、
複数の顧客の購買データと優良顧客の条件とに基づいて生成される推定モデルを用いて、前記取得手段により取得される購買データに基づいて、前記対象顧客を優良顧客に変容させるための購買行動を推定する推定手段と、
前記推定手段により推定される購買行動を出力する出力手段と
を備える推定システム。
【0082】
[付記2]
前記出力手段は、前記取得手段に取得される購買データのうちの前記推定に寄与したデータをさらに出力する
付記1に記載の推定システム。
【0083】
[付記3]
前記取得手段は、前記対象顧客の購買行動を変容させるために過去に実施されたアクションを取得し、
前記推定手段は、前記複数の顧客それぞれの購買行動を変容させるために過去に実施されたアクションにさらに基づいて生成される前記推定モデルを用いて、前記取得手段により取得されるアクションに基づいて、前記対象顧客を優良顧客に変容させるためのアクションを推定し、
前記出力手段は、前記推定手段により推定されるアクションを出力する
付記1または2に記載の推定システム。
【0084】
[付記4]
前記購買データは、前記対象顧客の手に取った未購入の商品と、店内の位置情報と、店のwebサイトまたはアプリへのアクセス履歴との少なくとも1つを含む
付記1から3いずれかに記載の推定システム。
【0085】
[付記5]
前記出力手段により出力される購買行動は、来店回数を増加させる、購入金額を増加させる、特定の商品を購入させる、のうちの少なくとも1つである
付記1から4いずれかに記載の推定システム。
【0086】
[付記6]
前記出力手段により出力されるアクションは、割引クーポンの送付、商品の割引情報の送付、特典情報の送付、試供品の提供、イベントの開催通知の少なくとも1つである
付記3に記載の推定システム。
【0087】
[付記7]
前記複数の顧客の購買データを入力データとし、前記優良顧客を示すラベルを用いた機械学習によって前記推定モデルを生成する生成手段を
さらに備える付記1から6いずれかに記載の推定システム。
【0088】
[付記8]
前記生成手段は、前記優良顧客を示す基準を満たさない負例を用いた入力データをさらに用いて前記推定モデルを生成する
付記7に記載の推定システム。
【0089】
[付記9]
前記優良顧客を示すラベルは、所定のKPI(Key Performance Indicator)に基づいて設定されている
付記7または8に記載の推定システム。
【0090】
[付記10]
対象顧客の購入商品と合計購入金額と来店頻度とのうちの少なくとも1つを含む購買データを取得し、
複数の顧客の購買データと優良顧客の条件とに基づいて生成される推定モデルを用いて、取得される購買データに基づいて、前記対象顧客を優良顧客に変容させるための購買行動を推定し、
推定される購買行動を出力する推定方法。
【0091】
[付記11]
取得される購買データのうちの前記推定に寄与したデータをさらに出力する付記10に記載の推定方法。
【0092】
[付記12]
前記対象顧客の購買行動を変容させるために過去に実施されたアクションを取得し、
前記複数の顧客それぞれの購買行動を変容させるために過去に実施されたアクションにさらに基づいて生成される前記推定モデルを用いて、取得されるアクションに基づいて、前記対象顧客を優良顧客に変容させるためのアクションを推定し、
推定されるアクションを出力する付記10または11に記載の推定方法。
【0093】
[付記13]
前記購買データは、前記対象顧客の手に取った未購入の商品と、店内の位置情報と、店のwebサイトまたはアプリへのアクセス履歴との少なくとも1つを含む付記10から12いずれかに記載の推定方法。
【0094】
[付記14]
出力される購買行動は、来店回数を増加させる、購入金額を増加させる、特定の商品を購入させる、のうちの少なくとも1つ付記10から13いずれかに記載の推定方法。
【0095】
[付記15]
出力されるアクションは、割引クーポンの送付、商品の割引情報の送付、特典情報の送付、試供品の提供、イベントの開催通知の少なくとも1つである
付記12に記載の推定方法。
【0096】
[付記16]
前記複数の顧客の購買データを入力とし、前記優良顧客を示すラベルを用いた機械学習によって前記推定モデルを生成する付記10から15いずれかに記載の推定方法。
【0097】
[付記17]
前記優良顧客を示す基準を満たさない負例を用いた入力データをさらに用いて前記推定モデルを生成する付記16に記載の推定方法。
【0098】
[付記18]
前記優良顧客を示すラベルは、所定のKPI(Key Performance Indicator)に基づいて設定されている付記16または17に記載の推定方法。
【0099】
[付記19]
対象顧客の購入商品と合計購入金額と来店頻度とのうちの少なくとも1つを含む購買データを取得する処理と、
複数の顧客の購買データと優良顧客の条件とに基づいて生成される推定モデルを用いて、取得される購買データに基づいて、前記対象顧客を優良顧客に変容させるための購買行動を推定する処理と、
推定される購買行動を出力する処理と
をコンピュータに実行させる推定プログラムを記録したプログラム記録媒体。
【0100】
[付記20]
前記推定プログラムは、
取得される購買データのうちの前記推定に寄与したデータをさらに出力する処理
をコンピュータに実行させる付記19に記載のプログラム記録媒体。
【0101】
[付記21]
前記推定プログラムは、
前記対象顧客の購買行動を変容させるために過去に実施されたアクションを取得する処理と、
前記複数の顧客それぞれの購買行動を変容させるために過去に実施されたアクションにさらに基づいて生成される前記推定モデルを用いて、取得されるアクションに基づいて、前記対象顧客を優良顧客に変容させるためのアクションを推定する処理と、
推定されるアクションを出力する処理と
をコンピュータに実行させる付記19または20に記載のプログラム記録媒体。
【0102】
[付記22]
前記購買データは、前記対象顧客の手に取った未購入の商品と、店内の位置情報と、店のwebサイトまたはアプリへのアクセス履歴との少なくとも1つを含む付記19から21いずれかに記載のプログラム記録媒体。
【0103】
[付記23]
出力される購買行動は、来店回数を増加させる、購入金額を増加させる、特定の商品を購入させるのうちいずれかである付記19から22いずれかに記載のプログラム記録媒体。
【0104】
[付記24]
出力されるアクションは、割引クーポンの送付、商品の割引情報の送付、特典情報の送付、試供品の提供、イベントの開催通知の少なくとも1つである付記21に記載のプログラム記録媒体。
【0105】
[付記25]
前記推定プログラムは、
前記複数の顧客の購買データを入力とし、前記優良顧客を示すラベルを用いた機械学習によって前記推定モデルを生成する処理
をコンピュータに実行させる付記19から24いずれかに記載のプログラム記録媒体。
【0106】
[付記26]
前記推定プログラムは、
前記優良顧客を示す基準を満たさない負例を用いた入力データをさらに用いて前記推定モデルを生成する処理
をコンピュータに実行させる付記25に記載のプログラム記録媒体。
【0107】
[付記27]
前記優良顧客を示すラベルは、所定のKPI(Key Performance Indicator)に基づいて設定されている付記25または26に記載のプログラム記録媒体。
【0108】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0109】
10 推定システム
11 取得部
12 記憶部
13 データ生成部
14 生成部
15 推定部
16 出力部
20 推定システム
21 取得部
22 記憶部
23 データ生成部
24 生成部
25 推定部
26 出力部
100 推定システム
101 取得部
102 推定部
103 出力部
200 コンピュータ
201 CPU
202 メモリ
203 記憶装置
204 入出力I/F
205 通信I/F