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特許7476981シート搬送装置、およびシート搬送装置を備える画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】シート搬送装置、およびシート搬送装置を備える画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/00 20060101AFI20240423BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20240423BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B65H5/00 A
B65H7/14
G03G15/00 680
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022561856
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 JP2021040539
(87)【国際公開番号】W WO2022102501
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-05-08
(31)【優先権主張番号】P 2020189562
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕一郎
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-051625(JP,A)
【文献】特開2020-117328(JP,A)
【文献】特開平04-112149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00
B65H 7/00- 7/20
B65H 43/00-43/08
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送するシート搬送路と、
前記シート搬送路を構成する一方側の内壁面に形成された凹部に固定された固定板と、
前記固定板上に取付けられ、前記シートの通過を検知するシート検知センサーと、
を備え、
前記シート検知センサーは、前記シート搬送路と対向するセンサー面を有し、
前記固定板は、前記シート検知センサーが取付けられる取付面と、前記取付面から前記シート搬送路に向かって突出する、接地状態にある第1突出片を有し、
前記第1突出片は、シート搬送方向に対し前記固定板上の前記検知センサーよりも上流側の位置に配置され、前記取付面から前記第1突出片の先端までの距離は、前記取付面から前記センサー面までの距離よりも大きく、
前記固定板は、導電性材料によって形成された板状体であり、
前記第1突出片は、前記固定板全体の一部として一体的に形成されていることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記第1突出片の先端縁は、前記シート搬送方向に突出する複数の山型状の突起が前記シート搬送方向と直交する前記固定板の幅方向に沿って並列して形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記先端縁の前記突起の先端角は、鋭角となるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記固定板は、前記シート搬送方向に対し前記シート検知センサーよりも下流側の位置に配置され、前記取付面から前記シート搬送路に向かって突出する、接地状態にある第2突出片を有することを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記第1突出片の突出方向の先端部は、前記内壁面よりも前記凹部の内側に位置していることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記固定板は金属等の前記導電性材料によって形成されており、前記第1突出片は、前記固定板をL字状に折り曲げて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記シートに画像を形成する画像形成部と、
前記シートが積載されるシート積載部と、
前記シート積載部から前記画像形成部に前記シートを搬送する請求項1に記載のシート搬送装置と、
を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するためのシート搬送装置、およびそれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置として、シートを積載するシート積載部と、シートに画像を形成する画像形成部と、シート積載部から画像形成部にシートを搬送するシート搬送装置と、を備えるものがある。
【0003】
このようなシート搬送装置は、シート積載部及び画像形成部に接続された、シートを搬送するシート搬送路と、シート積載部から画像形成部の間に設けられ、シートの通過を検知するシート検知センサーと、を備えているのが一般的である。このシート検知センサーは、発光部と受光部とを有するセンサー面を備えた光学式センサーである。シート検知センサーは、シート搬送路の内壁面のうちの、一方側(画像形成装置の本体側)の内壁面に固定されている。センサー面は、シート検知センサーの端面に形成されており、シート搬送路の他方側(上記一方側よりも本体外側)の内壁面と対向している。
【0004】
シート検知センサーは、発光部から光を出射し、シートや内壁面によって反射した反射光を、受光部で検知する。シート検知センサーは、この反射光の光量や入射タイミング等の検知結果から、シートの通過位置等のシート情報を読み取ることができる。画像形成装置は、シート検知センサーに接続された制御部によって、シート検知センサーの検知結果に基づき、用紙切れや紙詰まり等を判定し、その判定結果を使用者に通告する。
【0005】
ここで、シートは、シート積載部からシート搬送路へ給送される際に、シート同士の摩擦によって静電気を帯びることがある。静電気を帯びたシートが上記のシート検知センサーの近くを通過すると、シートからシート検知センサーへと放電することがある。この放電によって、シート検知センサーが誤作動を起こしたり、破損したりするおそれがある。また、1回の放電では誤作動や破損が生じなくとも、多数のシートがシート検知センサーの近くを通過し、複数回放電が生じることで、シート検知センサーが誤作動を起こしたり、破損したりすることもある。
【0006】
このような問題を解決するため、特許文献1には、シート検知センサーの表面(側面、および端面)を金属製の固定板で覆ったシート搬送装置が開示されている。固定板は画像形成装置の本体部に固定され、接地状態となっている。固定板のシート検知センサーの端面を覆う部分には、貫通孔が形成されている。シート検知センサーの端面に、この貫通孔を通って固定板の外側に突出する突出部が設けられている。この突出部の先端に、上記のようなセンサー面が形成されている(特許文献1の図2参照)。
【0007】
このようにすることで、シート検知センサーの表面のうちの大部分が、接地状態の固定板に覆われることとなる。このため、静電気を帯びたシートがシート検知センサーの近くを通過しても、シートから固定板に放電されやすくなり、シート検知センサーの誤作動や破損を抑制できる。
【0008】
また、特許文献2には、シート検知センサーを固定板上に配置し、固定板上に除電ブラシを設けたシート搬送装置が開示されている。この除電ブラシは接地状態にあり、シート検知センサーのシート搬送方向の下流側に設けられている。シート搬送路を通過するシートは、この除電ブラシに接触して画像形成部へと搬送される。このため、静電気を帯びたシートが、シート検知センサーの近くを通っても、この除電ブラシによってシート上の静電気が除電される。したがって、シート検知センサーの電気量の増大を抑制し、シート検知センサーの誤作動や破損を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2007-161435号公報
【文献】特開平4-157863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1の突出部は、固定板の貫通孔から、固定板の外側に突出している。すなわち、シート検知センサーの近くを通過するシートと突出部との距離が、シートと固定板との距離よりも小さいものとなっている。このため、シートが静電気を帯びていると、シートからシート検知センサーに放電されるおそれがある。したがって、特許文献1のシート搬送装置は、シート検知センサーの誤作動や破損につながるおそれのあるものとなっている。
【0011】
また、特許文献2の除電ブラシは、シート検知センサーよりもシート搬送方向の下流側に設けられている。このため、シートは、除電ブラシよりも先に、シート検知センサーに近づく。すると、シート上の静電気が除電ブラシによって除電される前に、シートからシート検知センサーへ放電されてしまうおそれがある。したがって、特許文献2の搬送装置も、シート検知センサーの誤作動や破損につながるおそれのあるものとなっている。
【0012】
また、ここでは画像形成装置に設けられるシート搬送装置のシート検知センサーの破損等について例を挙げて説明したが、画像形成装置に接続される中継搬送装置や、用紙後処理装置等に設けられるシート搬送装置においても、同様の問題が発生する。
【0013】
そこで、本発明は上記問題に鑑み、シートからシート検知センサーへと放電されるのを抑制し、シート搬送装置の誤作動や破損を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、シート搬送路と、固定板と、シート検知センサーと、を備えるシート搬送装置である。シート搬送路は、シートを搬送する。固定板は、シート搬送路を構成する一方側の内壁面に形成された凹部に固定されている。シート検知センサーは、固定板上に取付けられ、シートの通過を検知する。シート検知センサーは、シート搬送路と対向するセンサー面を有する。固定板は、シート検知センサーが取付けられる取付面と、取付面からシート搬送路に向かって突出する、接地状態にある第1突出片を有する。第1突出片は、シート搬送方向に対し固定板上の検知センサーよりも上流側の位置に配置され、取付面から第1突出片の先端までの距離は、取付面からセンサー面までの距離よりも大きい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の構成によれば、取付面から第1突出片の先端までの距離は、取付面からセンサー面までの距離よりも大きいため、第1突出片の先端とシート搬送路との間隔が、センサー面とシート搬送路との間隔よりも狭くなる。また、シート検知センサーよりも上流側に第1突出片が設けられている。このため、搬送されるシートがシート検知センサーの近くを通過する際に、センサー面よりも先に、第1突出片の先端に近づく。すると、シートが静電気を帯びていたとしても、シートから、シート検知センサーよりも第1突出片に対して優先的に放電される。したがって、シート搬送装置の誤作動や破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係るシート搬送装置66を備えた画像形成装置100の概略構成を示す断面図
図2】搬送ローラー52の近傍を示す斜視図
図3図2のシート案送装置66をA-A断面線において切断した断面図
図4図3のシート搬送装置66をB-B断面線で切断し、固定板54を側方から示した断面図
図5】固定板54と、シート検知センサー56とを示す斜視図
図6】本発明の第2実施形態に係るシート搬送装置66の固定板54近傍の詳細を示す部分拡大図
図7】第2実施形態の固定板54と、シート検知センサー56とを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本発明のシート搬送装置66を備えた画像形成装置100の概略構成を示す断面図である。画像形成装置100は、本実施形態では、異なる4色(マゼンタ、シアン、イエローおよびブラック)に対応する4つの感光体ドラム1a、1b、1cおよび1dを並列配置して画像形成を行う、4連タンデム型のカラー複写機である。
【0018】
画像形成装置100内には、4つの画像形成部Pa、Pb、PcおよびPdが、図1では左側から順に配設されている。これらの画像形成部Pa~Pdは、異なる4色(マゼンタ、シアン、イエローおよびブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの画像を順次形成する。
【0019】
これらの画像形成部Pa~Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する上記の感光体ドラム1a~1dがそれぞれ配設されており、さらに図1において反時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa~Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a~1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a~1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ローラー9において用紙P(シート)上に一度に転写され、さらに、定着装置15において用紙P上に定着された後、画像形成装置100より排出される。感光体ドラム1a~1dを図1において時計回り方向に回転させながら、各感光体ドラム1a~1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0020】
画像形成装置100の下部には、用紙P(シート)が積載された用紙カセット16(シート積載部)が設けられている。用紙カセット16には、用紙搬送路14(シート搬送路)が接続されている。用紙搬送路14は、用紙カセット16から上方に向かって延びている。用紙搬送路14の上流側端部(用紙カセット16との接続部)には、給送部50が設けられている。給送部50は、用紙カセット16に積載された用紙Pを用紙搬送路14へと給送する。用紙搬送路14の中途の位置には、下から順に、搬送ローラー52、レジストローラー対13、上記の二次転写ローラー9、定着装置15が設けられている。
【0021】
中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、主に継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。中間転写ベルト8および二次転写ローラー9は、ベルト駆動モーター(図示せず)により感光体ドラム1a~1dと同一線速で回転駆動される。また、二次転写ローラー9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナー19が配置されている。
【0022】
次に、画像形成部Pa~Pdについて説明する。回転可能に設けられた感光体ドラム1a~1dの周囲および下方には、感光体ドラム1a~1dを帯電させる帯電装置2a、2b、2cおよび2dと、各感光体ドラム1a~1dに対して画像データに基づく露光を行う露光ユニット5と、感光体ドラム1a~1d上に形成される静電潜像をトナーで現像する現像装置3a、3b、3cおよび3dと、感光体ドラム1a~1d上でトナー像の転写後に残留した現像剤(トナー)を回収、除去するクリーニング装置7a、7b、7cおよび7dとが設けられている。
【0023】
画像読取部23は、複写時に原稿を照明するスキャナーランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCDセンサー等(いずれも図示せず)から構成されており、原稿画像を読み取って画像データに変換する。
【0024】
コピー動作を行う場合、画像読取部23において原稿の画像データを読み取り画像信号に変換する。また、帯電装置2a~2dによって感光体ドラム1a~1dの表面を一様に帯電させる。次いで、露光ユニット5によって、上記の読み取った画像データに基づいた光照射を行い、各感光体ドラム1a~1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a~3dは、感光体ドラム1a~1dに対向配置された現像ローラー(現像剤担持体)を備え、それぞれマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。
【0025】
なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a~3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはコンテナ4a~4dから各現像装置3a~3dに現像剤が補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a~3dにより感光体ドラム1a~1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光ユニット5の露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0026】
そして、一次転写ローラー6a~6dにより一次転写ローラー6a~6dと感光体ドラム1a~1dとの間に所定の転写電圧を付与することにより、感光体ドラム1a~1d上のマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。一次転写ローラー6a~6dは、一次転写駆動モーター(図示せず)により感光体ドラム1a~1dおよび中間転写ベルト8と同一線速で回転駆動される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a~1dの表面に残留したトナーがクリーニング装置7a~7dにより除去される。
【0027】
中間転写ベルト8は、従動ローラー10及び駆動ローラー11に掛け渡されており、上記ベルト駆動モーターによる駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回り方向に回転を開始すると、用紙Pが、レジストローラー対13から所定のタイミングで、二次転写ローラー9と中間転写ベルト8とのニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、ニップ部において用紙P上にフルカラー画像のトナー像が二次転写される。トナー像が転写された用紙Pは用紙搬送路14を通って定着装置15へと搬送される。
【0028】
定着装置15に搬送された用紙Pは、定着ローラー対15aのニップ部(定着ニップ部)を通過する際に加熱および加圧される。このとき、トナー像が用紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙Pは、排出ローラー対18によって、画像形成装置100の上面に設けられた排出トレイ20上に排出される。用紙カセット16から排出トレイ20までの、用紙Pの搬送される方向を、シート搬送方向と称する。また、シート搬送方向の用紙カセット16側を上流側、排出トレイ20側を下流側と称する。
【0029】
図2は、搬送ローラー52の近傍を示す斜視図である。図3は、図2のシート搬送装置66をA-A断面線において切断した断面図である。図4は、図3のシート搬送装置66をB-B断面線で切断し、固定板54を側方から示した断面図である。用紙搬送路14を構成する内壁面は、シート搬送方向に直交する方向(図3の左右方向)に対向する一方側(画像形成装置100の装置本体の内側)に位置する内側面64と、他方側(内側面64よりも画像形成装置100の装置本体の外側)に位置している外側面65とを有する。
【0030】
搬送ローラー52の一方のローラーと重なるように、搬送ガイド68が配置されている(図2図3参照)。搬送ガイド68は、シート搬送方向に対して、搬送ローラー52の上流側から下流側にかけて延びている。搬送ガイド68は、用紙搬送路14の一部を構成しており、搬送ガイド68の、用紙搬送路14側の面は、内側面64の一部となっている。搬送ガイド68は、シート搬送方向の下流側端部からシート搬送方向の上流側に向かって切り欠かれた切欠き部69を有する。
【0031】
内側面64の、二次転写ローラー9より上流側(図1参照)、かつ給送部50より下流側の位置に、内側面64から画像形成装置100の内側(図3に示す左側)に窪む凹部51が形成されている。より詳細には、凹部51は、給送部50の下流側(ここでは、搬送ローラー52より下流側)であって、かつレジストローラー対13よりも上流側の位置にある。凹部51は、内側面64から画像形成装置100の内側に向かって凹むように形成された凹形状の窪みである。
【0032】
凹部51の底面には、固定板54が固定されている。固定板54は、金属等の導電性材料によって形成された板状体である。固定板54は、画像形成装置100内に設けられたアース部材(図示省略)に電気的に接続されて、接地状態になっている。固定板54は、外側面65に対向する、平坦な取付面55を有する。
【0033】
取付面55上には、シート検知センサー56が積載されて、取り付けられている。シート検知センサー56は、樹脂材料等で形成された爪状の取付部(図示省略)を有している。この取付部は、弾性変形した状態で固定板54に接触している。シート検知センサー56は、取付部の復元力によって、固定板54を挟持するように、固定板54に連結されている。
【0034】
固定板54は、第1突出片60を有する。第1突出片60は、取付面55から、外側面65に向かって突出する板状体である。第1突出片60は、固定板54をL字状に折り曲げて、固定板54全体と一体的に形成されている。第1突出片60は、搬送ガイド68の切欠き部69と重なる位置にある。第1突出片60は、固定板54の幅方向(シート搬送方向と直交する方向)に長細くなっている。第1突出片60の突出方向の先端部61(第1突出片60の先端に位置する縁部分)(先端縁)は、内側面64よりも一方側(画像形成装置100の内側)に位置している。換言すると、第1突出片60は、用紙搬送路14までは到達していない。
【0035】
先端部61は、歯底部62と歯先部63とが、固定板54の幅方向に沿って交互に並んで、固定板54の幅方向に延びる鋸刃状(複数の山型状の突起が固定板54の幅方向に沿って並んだ形状)に形成されている。歯底部62は、第1突出片60の突出方向の端部から、内側面64に向かって凹んでいる。歯先部63は、歯底部62の底部から、用紙搬送路14に向かって延びている。歯先部63は、歯底部62の底部から先端に向かうにつれて先細りになるように形成されている。歯先部63の先端に位置する先端角θは、鋭角に形成されている。
【0036】
図5は、固定板54と、シート検知センサー56とを示す斜視図である。シート検知センサー56は、方形状(ここでは直方体状)をなす。シート検知センサー56の固定板54への積載方向と反対方向の端面に、センサー面57が形成されている。センサー面57は、用紙搬送路14と対向している。取付面55から第1突出片60(歯先部63)の先端までの距離L1は、取付面55からセンサー面57と内側面64までの距離L2よりも大きくなっている(図3図4参照)。すなわち、センサー面57と用紙搬送路14との間隔よりも、第1突出片60の先端と用紙搬送路14との間隔の方が狭くなっている。このため、用紙搬送路14内の用紙Pは、センサー面57より第1突出片60の近くを通るようにして、搬送される。センサー面57には、発光部58と、受光部59とが配置されている。
【0037】
シート検知センサー56は、画像形成装置100の制御部(図示省略)に接続されている。発光部58から出射した光が、外側面65や通過途中の用紙Pに反射し、受光部59に入射する。シート検知センサー56は、このときの受光部59に入射した光の光量や入射タイミング等からシート情報を検知する。上記の制御部は、シート検知センサー56の検知結果に基づいて、センサー面57と外側面65との間を用紙Pが通過したか否かを判断し、用紙切れや、用紙搬送路14での紙詰まりが発生していることを使用者に伝達することができる。
【0038】
上述の通り、取付面55から第1突出片60の先端までの距離L1は、取付面55からセンサー面57までの距離L2よりも大きいため、第1突出片60の先端と用紙搬送路14との間隔が、センサー面57と用紙搬送路14との間隔よりも狭くなる。また、シート検知センサー56よりも上流側に第1突出片60が設けられている。このため、用紙Pは、搬送ローラー52を通過した後に、センサー面57よりも先に第1突出片60の先端に近づく。仮に、用紙Pが静電気を帯びていた場合、用紙Pから、シート検知センサー56よりも第1突出片60に対して、優先的に放電される。第1突出片60は接地状態にあるため、この放電された電流は画像形成装置100の外部へと流れる。したがって、シート検知センサー56の誤作動や破損を抑制することができる。
【0039】
また、第1突出片60の先端部61に複数の歯先部63が形成されているため、用紙Pが静電気を帯びていた場合に、用紙Pから第1突出片60の歯先部63へ放電されやすくなる。また、この歯先部63が鋭角であれば、歯先部63の端部により放電されやすくなるため、より効果的にシート検知センサー56の誤作動等を抑制することができる。
【0040】
次に、第2実施形態に係るシート搬送装置66について、詳細に説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係るシート搬送装置66の固定板54近傍の詳細を示す部分拡大図である。図7は、第2実施形態の固定板54と、シート検知センサー56とを示す斜視図である。
【0041】
第2実施形態の固定板54は、接地状態にある第2突出片67を備えている。第2突出片67は、取付面55から、用紙搬送路14の外側面65に向かって突出する板状体である。第2突出片67は、第1突出片60とシート搬送方向に対向している。第2突出片67は、固定板54の幅方向に長細くなっている。第2突出片67の突出方向の先端部は、内側面64よりも一方側(画像形成装置100の内側)に位置している。換言すると、第2突出片67は、用紙搬送路14までは到達していない。第2突出片67の先端部は、第1突出片60の先端部61と同様に、歯底部62と歯先部63とが、固定板54の幅方向に沿って交互に並んで鋸刃状に形成されている。
【0042】
取付面55から第2突出片67の先端までの距離L3は、取付面55からセンサー面57までの距離L2よりも大きくなっている。すなわち、センサー面57と用紙搬送路14との間隔よりも、第2突出片67の先端と用紙搬送路14との間隔の方が狭くなっている。また、距離L3は、第1突出片60と内側面64との距離L1と同等である(図示省略)。
【0043】
このようにすることで、静電気を帯びた用紙Pがシート検知センサー56の近くを通過するときに、第1突出片60だけでなく、第2突出片67に対しても放電されやすくなり、シート検知センサー56への放電をより効果的に抑制することができる。
【0044】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に設けられた、シートを搬送するシート搬送装置に利用することができる。本発明の利用により、シート搬送装置は、静電気を帯びたシートがシートの情報を検知するシート検知センサーの近くを通過するときに、シートからシート検知センサーへと放電されにくくなる。このため、シート搬送装置の誤作動や破損を抑制することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7