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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】保護システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20240423BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240423BHJP
   B41J 3/407 20060101ALI20240423BHJP
   B41J 3/28 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B41J2/165 101
B41J2/01 451
B41J2/01 303
B41J2/01 109
B41J3/407
B41J3/28
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023090582
(22)【出願日】2023-06-01
(62)【分割の表示】P 2021109803の分割
【原出願日】2021-07-01
(65)【公開番号】P2023101739
(43)【公開日】2023-07-21
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小金 孝行
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-361897(JP,A)
【文献】特開2000-272173(JP,A)
【文献】特開2020-037204(JP,A)
【文献】特開平09-131926(JP,A)
【文献】特開2016-087880(JP,A)
【文献】特開平11-058848(JP,A)
【文献】特表2020-513347(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0069620(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41J 3/28-3/407
A45D 29/00
A45D 34/04
A45D 44/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷を実行するときに印刷ヘッドが筐体に設けられた所定の開口部を介してインクを吐出可能なように、前記印刷ヘッドが前記開口部から露出しない第2の位置から前記印刷の実行位置であって前記印刷ヘッドが前記開口部から露出する第1の位置に移動される印刷装置と、
前記印刷装置が載置されるスタンドと、
電磁波を照射する照射部と前記照射部からの電磁波を受光する受光部とを有し、前記印刷装置が前記スタンドに接近したことを検出するためのセンサと、
を備え、
前記センサは、前記印刷装置が前記スタンドに載置されたときに前記開口部を介して前記照射部と前記受光部とが互いに対向する位置となるように、前記照射部が前記スタンドに配置されているとともに前記受光部が前記印刷装置に配置されており、
前記スタンドは、前記印刷装置が載置されたときに前記開口部に対して対向する位置に、前記印刷ヘッドを保護する保護部材を備え、
前記印刷装置は、当該印刷装置が前記スタンドに接近したことを前記センサにより検出したときにおいても前記印刷を実行するときと同様に、前記印刷ヘッドを前記第2の位置から前記第1の位置に移動させる、
ことを特徴とする保護システム。
【請求項2】
前記保護部材は、前記印刷装置が前記スタンドに載置されたときに当該保護部材の先端が前記開口部を介して前記印刷ヘッドに到達する高さに形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の保護システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば人の肌に化粧を施す場合等には、従来は人がスポンジやブラシ等の化粧用具を用いて手動で塗布作業を行っていた。
近年、このような人による塗布作業に替えて、皮膚の色等の液剤(化粧用インク)を肌に塗布(印刷)する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この装置によれば、インクジェット方式でノズルから肌用の液剤(特許文献1において「処置用組成物」)を噴射させて肌表面に塗布し、肌において偏差のある部分に被膜を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-141684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような印刷装置では、印刷位置や印刷範囲を特定するために、印刷対象を撮影装置によって撮影し、画像を取得することが必要となる。
この点、特許文献1の構成では、撮影装置(特許文献1において「画像撮像デバイス」)の光軸が印刷ヘッド(特許文献1において「ノズル」)の主軸から角度が付いてオフセットされており、印刷ヘッドと撮影装置とを近接して配置しても両者が干渉し合わないようになっている。
【0005】
しかしながら、画像から特定された印刷範囲に正しく印刷を行うために、できるだけ撮影が行われたのと同じ位置から印刷動作が行われることが好ましい。特許文献1に記載の構成のように、画像撮像デバイスの光軸がノズルの主軸からオフセットされていると、対象物の認識とインクの着弾位置とにズレが生じる可能性がある。
そこで、撮影装置による撮影時には撮影動作を妨げない位置まで印刷ヘッドを退避させることも考えられる。
例えば印刷は開口部から吐出部を露出させて行われるが、撮影時には印刷ヘッドを開口部に対応する位置から移動させる。このようにすれば、同じ開口部を通してほぼ同じ位置から撮影動作と印刷動作とを行うことができる。
【0006】
しかし、インクジェット方式の印刷装置では、吐出部の乾燥等を防ぐために、一連の処理が終了した際には吐出部にキャッピングをすることが好ましい。印刷ヘッドが移動する構成とした場合には、必ずしもキャッピングに適した位置で印刷ヘッドが停止するとは限らず、吐出部が乾燥してしまうおそれがある。
【0007】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、印刷ヘッドを自動的にキャッピングに適した位置に配置させることのできる保護システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明に係る保護システムは、
印刷を実行するときに印刷ヘッドが筐体に設けられた所定の開口部を介してインクを吐出可能なように、前記印刷ヘッドが前記開口部から露出しない第2の位置から前記印刷の実行位置であって前記印刷ヘッドが前記開口部から露出する第1の位置に移動される印刷装置と、
前記印刷装置が載置されるスタンドと、
電磁波を照射する照射部と前記照射部からの電磁波を受光する受光部とを有し、前記印刷装置が前記スタンドに接近したことを検出するためのセンサと、
を備え、
前記センサは、前記印刷装置が前記スタンドに載置されたときに前記開口部を介して前記照射部と前記受光部とが互いに対向する位置となるように、前記照射部が前記スタンドに配置されているとともに前記受光部が前記印刷装置に配置されており、
前記スタンドは、前記印刷装置が載置されたときに前記開口部に対して対向する位置に、前記印刷ヘッドを保護する保護部材を備え、
前記印刷装置は、当該印刷装置が前記スタンドに接近したことを前記センサにより検出したときにおいても前記印刷を実行するときと同様に、前記印刷ヘッドを前記第2の位置から前記第1の位置に移動させる、
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、印刷ヘッドを自動的にキャッピングに適した位置に配置させることができるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る印刷装置の前後方向に垂直な面での要部断面図であり、印刷装置の要部内部構成を模式的に示す図である。
図2】第1の実施形態に係る印刷装置及びこれと連携する端末装置の制御構成を示した要部ブロック図である。
図3】撮影部による印刷が行われる様子を示す装置本体の模式的な要部断面図である。
図4】印刷ヘッドが第1位置で印刷動作を行う様子を示す装置本体の模式的な要部断面図である。
図5】印刷ヘッドが第2位置に移動した状態を示す装置本体の模式的な要部断面図である。
図6】装置本体が載置部に接近したことが検出された状態を示す装置本体の模式的な要部断面図である。
図7】第1の実施形態におけるキャッピング制御処理を示すフローチャートである。
図8】第2の実施形態に係る印刷装置及びこれと連携する端末装置の制御構成を示した要部ブロック図である。
図9】第2の実施形態におけるキャッピング制御処理を示すフローチャートである。
図10】装置本体が載置部に接近したことが検出された状態を示す装置本体の一変形例を示す模式的な要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
図1から図7を参照しつつ、本発明に係る印刷装置、キャッピング制御方法及びプログラムの第1の実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0012】
図1は、本実施形態における印刷装置の要部断面図であり、印刷装置内部の要部構成を模式的に示す図である。
なお、以下の実施形態において、X方向、Z方向は、図1に示した方向をいうものとする。
また本実施形態では印刷装置1が外部装置である端末装置8と連携して動作するようになっている。図2は、印刷装置及びこれと連携する端末装置の機能的構成を示す要部ブロック図である。
【0013】
本実施形態の印刷装置1(後述の装置本体100)は、片手で持つことができる程度の大きさに形成され、手で持ったまま使用することのできるハンディタイプの印刷装置(塗布装置)である。
印刷装置1は、例えば人の肌表面S(図3図4参照)を印刷対象(塗布対象)とし、皮膚の色等の液剤(図示しない化粧用インク)を肌表面Sに塗布(印刷)するものであって、ユーザにより印刷対象(塗布対象)上に持ち運ばれて使用される。なお、本発明における印刷装置1の印刷対象(塗布対象)は人の肌表面Sに限るものではない。例えば爪表面を印刷対象(塗布対象)とし、爪の上に各色のカラーインクや白色等の下地用インクを塗布するネイルプリント装置等であってもよい。
【0014】
図1に示すように印刷装置1は、装置本体100と、この装置本体100と分離可能に構成されたスタンド200とを有している。
本実施形態においてスタンド200は、後述の印刷ヘッド41の吐出部(吐出面)411を覆って保護する保護部201を有する載置部(キャッピング装置)である。保護部201は、吐出部411を乾燥等から保護することができるものであればよく、具体的な構成や材料等は特に限定されない。
【0015】
本実施形態の印刷装置1は、不使用時(非印刷時)には装置本体100をスタンド200に載置するよう推奨されている。
後述するように、装置本体100には開口部21が設けられており、印刷ヘッド41の吐出部411は開口部21から露出可能となっている。吐出部411が開口部21から露出する位置が印刷ヘッド41のキャッピング位置(後述の「第1位置」)であり、スタンド200の保護部201は、印刷ヘッド41がこのキャッピング位置にある状態でスタンド200上に載置されたときに、吐出部411を覆うことのできる位置に配置されている(図1等参照)。
【0016】
また印刷装置1には、装置本体100と載置部としてのスタンド200(スタンド200に設けられている保護部201)との接近状態(すなわち、装置本体100とスタンド200とが接近したこと、又は離間したこと)を検出する検出部が設けられている。
本実施形態では、装置本体100及び載置部としてのスタンド200のいずれか一方に電磁波を照射する照射部が設けられており、検出部は、照射部から照射された電磁波を受信するものである。
【0017】
具体的には、スタンド200の上面であって保護部201の近傍に照射部75が設けられており、検出部は、装置本体100内であって照射部75からの電磁波を受けることのできる位置に設けられた受光部12である。
受光部12は、照射部75から電磁波が照射されたときにこれを検出する光学センサであり、電磁波を検出すると、受光した旨を示す受光信号を制御部71に出力する。
図1等では、受光部12が装置本体100内の天面であって開口部21に対応する位置に配置されている場合を示し、開口部21を通して照射部75からの電磁波を受ける場合を例示している。なお、受光部12の配置等は図示例に限定されず、例えば装置本体100外であって開口部21の近傍位置に、照射部75とほぼ対向するように配置してもよい。
【0018】
照射部75が照射する電磁波の種類や強さ等は特に限定されないが、室内の蛍光灯や外光等の下でも受光部12が正しく電磁波を検出することができるように、可視光線以外の波長域の電磁波(例えば可視光線よりも波長の長い赤外線等)であることが好ましい。
検出部としての受光部12には、照射部75が照射する電磁波に対して感度を有するものが適用される。
検出部としての受光部12によって検出された結果は、後述する制御部71に送られる。
【0019】
なお、照射部と検出部としての受光部とは、装置本体100及び載置部としてのスタンド200のいずれか一方に照射部が設けられ、いずれか一方(本実施形態では他方)に受光部が設けられていればよく、図示例とは逆に、装置本体100に照射部が設けられ、スタンド200側に検出部としての受光部が設けられていてもよい。この場合、スタンド200には、受光部による検出結果を装置本体100に対して伝送する伝送手段が設けられる。なお、この場合の伝送手段は例えば各種の無線通信等を含む。
【0020】
図1等に示すように、装置本体100は、ほぼ箱形に形成された筐体2を有している。
筐体2の下面には、前後方向(X方向)の左側寄りの位置に開口部21が設けられている。
開口部21は、後述の印刷ヘッド41の吐出部411を外部に露出させることができる程度の大きさに形成されており、印刷部4による印刷動作を妨げないようになっている。また、本実施形態では開口部21を通して、撮影部5による撮影が行われるとともに、受光部12による照射部75からの電磁波の受信も行われる。このため、開口部21は、撮影部5による撮影動作、受光部12による受光動作も妨げないように形成されている。
なお開口部21の具体的な形状や大きさ等は特に限定されない。
【0021】
また筐体2の表面には、操作部11(図2参照)等が設けられている。
操作部11は、ユーザが各種入力を行うものである。操作部11は、例えば、印刷装置1の電源をON/OFFする電源スイッチボタン、動作を停止させる停止ボタン、印刷開始を指示する印刷開始ボタン等、各種の入力を行うための操作ボタンで構成されている。例えば操作部11が電源スイッチボタンである場合、ユーザがボタン操作を行うと、操作に応じた指示信号が後述の制御装置7(図2参照)に出力されて、印刷装置1の電源がON/OFFされる。
筐体2各部の形状、操作部11の数や配置等は特に限定されない。例えば操作部11の設けられる位置は筐体2の前面、上面、側面等いずれでもよい。
【0022】
筐体2の内部には、印刷部4、撮影部5等が設けられている。
印刷部4は、印刷ヘッド41と、印刷ヘッド41を装置の前後方向(図1等におけるX方向)に移動させるためのヘッド移動機構45(図2参照)等を備えている。
印刷ヘッド41は、印刷対象(本実施形態では肌表面S、図3等参照)に印刷を行うものである。
印刷ヘッド41としては、液剤(本実施形態では皮膚の色等の化粧用インク)を貯留する貯留部を内蔵し、この液剤(インク)を吐出させる吐出部411(図示しないノズルが設けられた吐出面)を備えるカートリッジ一体型の印刷ヘッドが想定される。
【0023】
吐出部411は、印刷ヘッド41の下面(印刷対象である肌表面Sと対向する面)に設けられており、吐出部411は印刷動作時において筐体2の開口部21から下方に露出されている。
なお、印刷ヘッド41は、貯留部と吐出部411(吐出機構部分)とが一体となった構成のものに限定されない。例えば、貯留部と液剤を吐出させる吐出部411(吐出機構部分)とが別体で構成さられ、印刷の際には貯留部を、供給管等を介して吐出部411(吐出機構部分)と接続する構成のものであってもよい。
【0024】
本実施形態の印刷ヘッド41は、吐出部411から微滴化した液剤(インク)を印刷対象(肌表面S)に吹き付けて印刷を行うインクジェット方式のインクジェットヘッドである。インクの吐出方式は特に限定されないが、例えばインクを加熱して吐出させるサーマル式、電圧をかけることで変形する圧電素子(ピエゾ素子)の圧電効果を利用した吐出方式等が適用される。
液剤(インク)は、例えば白色から皮膚の色若しくはこれに近い色(例えば薄いピンク色や薄い黄色、薄いオレンジ色等)の化粧用インクである。
【0025】
印刷ヘッド41は、図示しないキャリッジに搭載(保持)された状態で、当該キャリッジをX方向(装置の前後方向)に移動(走査)させるためのX方向移動ステージに支持されている。
本実施形態において印刷ヘッド41は、吐出部411が開口部21に対応する「第1位置」と、吐出部411が開口部21に対応しない「第2位置」とを取り得るようになっている。ここで「開口部21に対応しない」位置とは、装置本体100内における「開口部21に対応しない」位置を意味する。
具体的には、印刷動作を行うとき(図4参照)と、装置本体100が載置部としてのスタンド200上に載置されるとき(図1参照)には、印刷ヘッド41が「第1位置」に配置され、それ以外のときには、印刷ヘッド41が「第2位置」に配置される(図3図5参照)。
【0026】
印刷ヘッド41が「第1位置」に配置された状態では、印刷ヘッド41によって開口部21のほぼ全体が塞がれた状態となる(図4参照)。
後述するように、検出部である受光部12が、装置本体100と載置部であるスタンド200とが接近したことを検出した際には、ヘッド移動機構45(図2参照)が印刷ヘッド41を「第1位置」に移動させるようになっている。
より具体的には、印刷ヘッド41は、装置本体100の開口部21と載置部であるスタンド200の保護部201とが対向し、かつ接近したことを検出部である受光部12が検出した際に、ヘッド移動機構45により「第1位置」に移動する。これにより、保護部201に開口部21が近づき、キャッピングへと向かう状態となったときに、開口部21から吐出部411が露出した状態となり、適切にキャッピングが行われる。
【0027】
ヘッド移動機構45は、印刷ヘッド41を、「第1位置」と、「第1位置」とは異なる「第2位置」と、に移動させる移動機構である。
ヘッド移動機構45は、印刷ヘッド41をX方向に適宜移動させる駆動部としてのX方向移動モータ46(図2参照)等を備えて構成されている。X方向移動モータ46が駆動することにより、キャリッジに搭載された印刷ヘッド41が、X方向移動ステージに設けられたX方向ガイド42に沿ってX方向に移動する。
【0028】
また、印刷部4には、印刷ヘッド41が原点位置(例えばX方向移動ステージの前側(図1等において左側)の端部)に到達したときにこれを検出する原点センサ47(図2参照)が設けられている。
原点センサ47は例えば光学センサである。なお、原点センサ47の具体的な構成は特に限定されない。
X方向移動モータ46は例えばステッピングモータであり、原点センサ47によって印刷ヘッド41の原点位置を検出したのち、ステッピングモータに投入されたパルス数等をカウントすることにより、印刷ヘッド41の位置が随時制御部71において把握される。
なお、印刷ヘッド41の位置を把握する手法はこれに限定されない。
【0029】
撮影部5は、装置本体100内に配置され、開口部21を通して装置本体100外を撮影する。本実施形態では、撮影部5は印刷ヘッド41が「第2位置」にあるときに装置本体100外を撮影可能となり、印刷対象(本実施形態では、肌表面S)を撮影して撮影画像を取得する。
撮影部5は、撮影装置51と、照明装置52とを備えている。
撮影装置51は、例えば、200万画素以上の画素を有するCCD(Charge Coupled Device)型やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型等の固体撮影素子とレンズ等を備えて構成された小型カメラである。また、照明装置52は、例えば白色LED等の照明灯である。
【0030】
本実施形態では、後述するように撮影画像を解析することで、肌表面Sにおいて色の偏差がある部分(例えばシミ部分)が印刷対象箇所として特定される。
図3等に示すように、撮影部5は、筐体2内であって開口部21の上方に配置され、当該開口部21から印刷対象を照明装置52で照明しつつ撮影装置51で撮影し、その画像を取得する。
撮影装置51は、ほぼ開口部21全体を撮影可能範囲としており、撮影装置51の図示しないレンズの光軸は、印刷ヘッド41が「第1位置」にあるとき(図4参照)の図示しないノズルの軸とほぼ一致する。これにより、撮影による対象物(肌表面S)の認識と印刷ヘッド41からのインクの着弾位置とにズレが生じず、印刷対象箇所とされた部分(例えばシミ部分)に正確に印刷を行うことができる。
【0031】
また本実施形態では、印刷装置1の装置本体100に、姿勢センサ13が設けられている。
姿勢センサ13は、装置本体100の移動方向(例えば前後、左右、上下の3方向)や移動速度(加速度)等を検出することのできるセンサであり、例えば加速度センサ、加速度センサとジャイロセンサ等を合わせた6軸センサ等である。
本実施形態の印刷装置1は、ユーザが手で装置本体を持った状態で印刷動作等が行われる。姿勢センサ13は、装置本体100のこうした動きを検出し、検出結果を適宜制御部71に出力する。
なお姿勢センサ13は、装置本体100動きや姿勢を検出することのできるものであればよく、その具体的な構成や配置される位置等は特に限定されない。
【0032】
その他、印刷装置1は、通信部73やI/F74、電源部10等を有している。また図示は省略するが、印刷装置1は表示部や各種ランプ、インジケータ等を備えていてもよい。
【0033】
通信部73は、印刷装置1と連携して動作する後述の端末装置8との間で情報の送受信が可能に構成されたものである。
印刷装置1と端末装置8との間での通信は、例えば無線LAN等により行われる。なお、印刷装置1と端末装置8との間での通信はこれに限定されず、いかなる方式によるものでもよい。例えば、インターネット等のネットワーク回線を使うものであってもよいし、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi等の近距離無線通信規格に基づく無線通信を行うものであってもよい。また、この通信は無線に限定されず、有線接続により両者間で各種データの送受信が可能な構成としてもよい。通信部73は端末装置8の通信方式に対応するアンテナチップ等を備えている。
【0034】
I/F74は、コネクタ、USB制御回路等を含み、例えば印刷装置1と各種の外部機器、周辺機器とのUSB等による接続を可能とする。
なお、通信部73やI/F74は印刷装置1の必須の構成要素ではなく、これらを有しないものでもよいし、いずれか一方のみ有するものでもよい。
電源部10は電源回路等を含み、装置各部に応じた電源電圧や供給電力を作り出し、適宜各部に供給する。
【0035】
さらに印刷装置1は、制御装置7を備えている。
制御装置7は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで構成される制御部71と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)で構成される記憶部72とを備えるコンピュータである。
なお、記憶部72の一部又は全部は別構成とし、制御装置7の外部に設けるようにしてもよい。
【0036】
記憶部72には、印刷装置1を動作させるための各種プログラム(例えば印刷処理等を行うためのプログラム等)や各種データ等が格納されており、制御部71がこれらのプログラムを例えばRAMの作業領域に展開して、プログラムが制御部71において実行されることによって、印刷装置1の各部が統括制御されるようになっている。
【0037】
特に本実施形態では、制御部71は、印刷部4を制御して印刷動作等を行わせ、撮影部5を制御して印刷対象等を撮影させるほか、装置本体100と保護部201を有するスタンド200(載置部)との接近を判断する接近判断部、印刷ヘッド41の移動を制御する移動制御部、撮影画像を解析した解析結果を取得する情報取得部等として機能する。こうした制御部71の各機能は、制御部71のCPUと記憶部72のROMに記憶されたプログラムとの協働によって実現される。
【0038】
接近判断部(受光判断部)としての制御部71は、検出部としての受光部12から受光信号を受信すると、装置本体100と保護部201を有するスタンド200(載置部)とが接近したと判断する。
接近判断部として、装置本体100とスタンド200(載置部)とが接近したと判断すると、制御部71は移動制御部として、ヘッド移動機構45を制御して、印刷ヘッド41を「第1位置」に移動させる。
【0039】
なお制御部71は、受光部12が検出した電磁波の強度レベルや電磁波を連続して検出した時間等についても判断し、検出された電磁波が所定の閾値レベル以上の強度である場合や、一定時間(予め設定された時間)連続して電磁波が検出された場合等に装置本体100とスタンド200(載置部)とが接近したと判断してもよい。
この場合、例えば後者の場合、検出部である受光部12が電磁波を一定時間(予め設定された時間)以上検出した場合に、ヘッド移動機構45が印刷ヘッド41を吐出部411が開口部21に対応する「第1位置」に移動させる。他方、受光部12が電磁波を検出した時間が一定時間(予め設定された時間)未満である場合には、ヘッド移動機構45は印刷ヘッド41を「第1位置」とは異なる位置である「第2位置」に配置させる。
【0040】
受光部12が電磁波をわずかでも検出したら装置本体100とスタンド200(載置部)とが接近したと判断すると、装置本体100がスタンド200近くをかすめて受光部12が電磁波を検出したが、実際にはまだ印刷途中であるような場合も「近接」と判断されてしまい、妥当でない。
この点、受光部12が検出する電磁波の強度レベルは、照射部75との距離が近くなるほど強くなる。また、電磁波が所定時間連続して検出されているときは、装置本体100がスタンド200に向って移動している可能性が高い。
【0041】
このため、例えば記憶部72等に、装置本体100とスタンド200(載置部)との距離と各距離における電磁波の強度レベルとの関係をテーブル等として記憶させておく。また、電磁波の強度レベルや電磁波が連続して検出された時間についての閾値を予め定めて記憶させておく。この場合、受光部12による検出結果が、これら予め定めた閾値を超えるものである場合に、装置本体100とスタンド200(載置部)とが接近したと判断する。
なお、電磁波の強度レベルや連続して電磁波が検出された時間についての閾値は適宜設定される。例えば受光部12が検出する電磁波は周りの光の環境等に左右され得る。このため、室内での使用か、屋外での自然光の下での使用か、等によって閾値を変えてもよい。
【0042】
また制御部71は、撮影部5によって撮影画像が取得されると、当該画像のデータを端末装置8に送信する。そして、当該撮影画像の解析結果として印刷データを端末装置8から受信する情報取得部としても機能する。印刷データは印刷対象箇所(印刷を行うべき範囲、例えばシミ部分)をXY座標値等で特定したものであり、位置を示す情報と、これを周りの肌に近づけるために塗布すべき液剤の量(例えばインクの重ね塗り回数等)に関する情報等である。
なお、情報取得部として機能する制御部71が端末装置8から受け取る情報は、これに限定されない。例えば、画像解析によりシミの範囲や色の濃さ等が取得できた場合に、当該データ自体を端末装置8から受信してもよい。印刷装置1側に表示部等が設けられている場合には、端末装置8から送られたデータに基づく表示等を行わせて、ユーザに示してもよい。
【0043】
また本実施形態の印刷装置1は、端末装置8等の外部装置と連携し、端末装置8等から入力された指示に従って動作する。
端末装置8としては、例えばスマートフォンやタブレット等の携帯端末装置が想定されるが、これに限定されない。端末装置8は、印刷装置1と通信可能なものであれば特に限定されず、例えばノート型又は定置型のパソコンや、ゲーム用の端末装置等であってもよい。
具体的に、端末装置8は、操作部83、通信部84、表示部85、制御装置80等を備えている。
【0044】
操作部83は、ユーザの操作に応じて各種の入力・設定等を行うことができるようになっており、操作部83が操作されると、当該操作に対応する入力信号が制御装置80に送信される。なお、本実施形態では表示部85の表面にタッチパネルが一体的に設けられており、ユーザはタッチパネルへのタッチ操作によっても各種の入力・設定等の操作を行うことができるようになっている。
なお、各種の入力・設定等の操作を行う操作部83はタッチパネルである場合に限定されない。例えば各種の操作ボタンやキーボード、ポインティングデバイス等が操作部83として設けられていてもよい。
操作部83を操作することで、印刷装置1において各種の入力・設定等が行われてもよい。例えばユーザが操作部83を操作することで、印刷装置1の印刷動作をスタートさせることができてもよい。
【0045】
通信部84は、印刷装置1の通信部73との間で通信を行う。例えば、印刷装置1から各種の画像等のデータが送信されたときには、これを受信する。通信部84は、印刷装置1の通信部73との間で通信可能な無線通信モジュール等を備えている。
なお、通信部84は、印刷装置1との間で通信を行うことのできるものであればよく、印刷装置1の通信部73の通信規格と合致するものが適用される。
【0046】
表示部85は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。
本実施形態において表示部85には、例えば印刷装置1から送信された画像等が表示可能となっている。
なお、前述のように、表示部85の表面に各種の入力を行うためのタッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合にはタッチパネルが操作部83等としても機能する。
【0047】
また表示部85は、制御部81の制御にしたがって各種の案内画面、警告表示画面等を表示可能となっている。その他表示部85は、印刷装置1から送られた撮影画像の解析結果(例えばシミの位置や範囲、シミの濃さ等)を表示させてもよい。
さらに、撮影装置51がライブビュー表示可能な動画像を撮影可能なものである場合には、表示部85は、撮影装置51によって撮影された動画像を随時ライブビュー表示してもよい。
撮影画像の解析結果や撮影装置51によって撮影された動画像等を表示させることができる場合には、ユーザが画面を見ながらどの部分、どの範囲に印刷を行うかを指示する入力を行うことができるようにしてもよい。
【0048】
制御装置80は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等により構成される制御部81と、図示しないROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等で構成される記憶部82とを備えるコンピュータである。
【0049】
記憶部82には、端末装置8の各部を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されている。
具体的には、本実施形態のROM等には、端末装置8の各部を統括制御するための動作プログラムの他、印刷装置1を用いた印刷処理を行うための印刷処理アプリケーションプログラム等の各種プログラム(いずれも図示せず)等が格納されており、制御装置80がこれらのプログラムを例えばRAMの作業領域に展開して実行することによって、端末装置8が制御されるようになっている。
【0050】
制御部81は、端末装置8の各部の動作を統合的に制御する。制御部81は、記憶部82に記憶されたプログラム(印刷処理アプリケーションプログラム等)との協働により、印刷装置1が印刷対象(肌表面S)に対して印刷を行うための各種機能を実現する。
【0051】
例えば本実施形態では、撮影部5によって取得された撮影画像が印刷装置1から端末装置8に送信されるようになっており、端末装置8の制御部81は、当該撮影画像を画像解析して印刷対象箇所(印刷を行うべき範囲、例えばシミ部分)の範囲や色の濃さ等を特定する。
そして制御部81は、印刷対象箇所(印刷を行うべき範囲、例えばシミ部分)をXY座標値等で示すとともに、どの部分にどの程度印刷を行うか(インクの重ね塗り回数等)を示す印刷データを生成し、生成された印刷データを解析結果として印刷装置1に対して送信する。
なお、ユーザが表示部85の画面を見ながらどの部分に印刷を行うかを指示する入力を行った場合には、制御部81は、当該入力内容に従って印刷データを生成する。
【0052】
以下、図7等を参照しつつ、本実施形態の印刷装置におけるキャッピング制御方法について説明する。
【0053】
本実施形態では、印刷装置1を用いて印刷を行う際、ユーザが印刷装置1の装置本体100を手で持ち、載置部であるスタンド200から取り外して、印刷対象である人の肌表面S(例えば頬や額等の顔表面)上を移動させながら印刷動作を行う。
具体的には、まずユーザが装置本体100をスタンド200から取り外して電源ボタンを操作すると、図7に示すように、入力操作に応じて電源がONとなる(ステップS1)。なお、電源がONとなるのはユーザの操作による場合に限定されず、装置本体100をスタンド200から取り外すと、スタンド200から装置本体100が離間したことを検知して自動的に電源が入るようになっていてもよい。
【0054】
装置本体100がスタンド200に載置されている状態(図1参照)では、印刷ヘッド41は吐出部411がスタンド200の保護部201によって覆われている位置、すなわち、「第1位置」に配置されている。
印刷装置1の電源がONとなると、制御部71は、ヘッド移動機構45のX方向移動モータ46を動作させて、印刷ヘッド41を「第1位置」から「第2位置」に移動させる(ステップS2)。
また印刷装置1と端末装置8との間で通信が開始されるとともに(ステップS3)、撮影部5が起動する(ステップS4)。
【0055】
ユーザが装置本体100の開口部21を肌表面Sに押し当てながら装置本体100を移動させると、制御部71が撮影部5の撮影装置51及び照明装置52を制御し、撮影装置51により、印刷対象である肌表面Sを撮影させる(図3参照)。これにより撮影画像が取得される(ステップS5)。
取得された撮影画像のデータは、通信部73を介して端末装置8に送信される。
端末装置8では、印刷装置1から受信した画像データについて制御部81により画像解析が行われる(ステップS6)。具体的には、肌表面Sにおいて色の濃淡に偏差のある部分(例えばシミ部分等)を検出する。なお、撮影画像やその解析結果等を表示部85に表示させ、端末装置8の表示画面上でユーザが随時確認できるようにしてもよい。
【0056】
そして、制御部81は、解析結果から印刷対象箇所を特定し、当該箇所に適切な印刷を行うための印刷データを生成する(ステップS7)。生成された印刷データは、通信部84を介して端末装置8から印刷装置1に送信される(ステップS8)。
なお、印刷データを送信前に、印刷対象箇所とされた位置に印刷を施すか否かをユーザに問い合わせる画面を表示させ、ユーザの判断を求めてもよい。このとき、肌表面Sの撮影画像の上に印刷データに基づいた印刷を行った場合の印刷後のイメージを重畳表示等させてもよい。これにより、印刷を行った場合の完成イメージをユーザが認識しやすくなる。
【0057】
印刷データを受信すると、印刷装置1の制御部71は、印刷部4に印刷データを出力するとともに、ヘッド移動機構45のX方向移動モータ46を動作させて、印刷ヘッド41を「第2位置」から「第1位置」に移動させる(ステップS9)。
そして、印刷ヘッド41が「第1位置」に配置された状態で、吐出部411からインクを吐出させ、印刷データにしたがった印刷処理が行われる(ステップS10、図4参照)。
【0058】
印刷処理が終了すると、制御部71は、再びヘッド移動機構45のX方向移動モータ46を動作させて、印刷ヘッド41を「第1位置」から「第2位置」に移動させる(ステップS11、図5参照)。
制御部71は、照射部75からの電磁波を受光した旨の受光信号が、検出部である受光部12から出力されたか否かを常に判断しており(ステップS12)、受光信号が出力されない場合(ステップS12;NO)は、ステップS5に戻って処理を繰り返す。
【0059】
すなわち、肌表面S等における印刷対象箇所(すなわち、例えばシミ等、印刷によってカバーしたい箇所)は複数ある可能性があり、本実施形態では1箇所印刷動作が終わると、図5に示すように、一旦印刷ヘッド41を「第2位置」に配置(撮影装置51の画角に入らない位置まで退避)させ、再び撮影部5によって肌表面Sを撮影させて次に印刷すべき印刷対象箇所を探すことが想定されている。このため、1箇所の印刷動作が終了するごとに、再びステップS5以下の処理が繰り返される。
【0060】
他方、受光部12から受光信号が出力された場合(ステップS12;YES、図6参照)には、制御部71は、ヘッド移動機構45のX方向移動モータ46を動作させて、印刷ヘッド41を「第2位置」から「第1位置」に移動させる(ステップS13)。
なお、前述のように、受光部12により受光された電磁波の強度レベルや、電磁波を受光し続けた時間等について所定の閾値が設定されている場合には、受光部12から受光信号が出力された場合であって、当該受光信号が所定の閾値を満たしている場合(すなわち、所定値以上の強度の電磁波を受光した、所定時間以上受光状態が継続している、又はこれらを組み合わせた条件を満たしている等)にはじめて、制御部71は装置本体100がスタンド200に載置されようとしていると判断し、印刷ヘッド41を「第2位置」から「第1位置」に移動させる。
【0061】
なお、印刷ヘッド41が「第2位置」から「第1位置」に完全に移動する前であれば、受光部12により検出された電磁波の受光レベルが下がった場合(例えば電磁波の強度レベルが下がった場合や受光状態の継続時間が途切れた場合)に、印刷ヘッド41の移動を中断して、再び印刷ヘッド41を「第2位置」に移動させ、引き続き、肌表面Sの撮影等を行うことのできる状態を維持させてもよい。
【0062】
例えば、ユーザが装置本体100をスタンド200に戻しかけたが、印刷を続けたいと思い直したような場合、印刷ヘッド41を「第1位置」に移動してしまうと、開口部21が印刷ヘッド41によって塞がれてしまうため、撮影装置51が撮影を行うことができなくなる。この場合には、電源ボタンを長押しする等により、再起動することが必要となり、ユーザにとって不便である。また、撮影部5による撮影や画像解析等が終わっているのに、印刷前に不用意に装置本体100をスタンド200に近づけてしまったような場合に、印刷処理等が終了状態となって再度撮影からやり直すことになるのは手間である。またこの場合、当該時点までの処理がリセットされて撮影や画像解析の結果等が消えてしまう等のおそれもある。
【0063】
この点、印刷ヘッド41が完全に「第1位置」に移動して開口部21が印刷ヘッド41によって塞がれてしまうと、照射部75からの電磁波を受光部12が受光できない状態となってしまう。このため、その後装置本体100がスタンド200から離れても、離れたことを検出することができない。
これに対し、受光部12が電磁波を受光できる状態の間は、受光状態の変化に応じて、引き続き、肌表面Sの撮影等を行うことのできる状態を維持させる構成とすることも可能である。
【0064】
なお、本実施形態では、印刷装置1の装置本体100に姿勢センサ13が設けられている。このため、制御部71は受光部12の受光状態と姿勢センサ13による検出結果とを合わせ考慮してもよい。そして制御部71が肌表面Sの撮影等を続けたい場合であると判断した場合には、装置本体100が一旦スタンド200に接近して印刷ヘッド41が「第1位置」に移動した後でも、再び印刷ヘッド41を「第2位置」に移動させて、撮影動作等を行うことが可能な状態に戻してもよい。
さらに、受光部12を装置本体100の外部の開口部21近傍等、印刷ヘッド41が「第1位置」に移動して開口部21を塞いでも照射部75からの電磁波を受光できる位置に設けた場合には、印刷ヘッド41が完全に「第1位置」に移動した後でも、受光部12の受光状態の変化に応じて、撮影動作等を続行できる構成としてもよい。
【0065】
そして本実施形態では、ユーザが電源ボタンを操作することで、入力操作に応じて電源がOFFとなり(ステップS14)、処理が終了する。なお、電源がOFFとなるのはユーザの操作による場合に限定されず、装置本体100をスタンド200上に載置されると自動的に電源が切れるようになっていてもよい。また、印刷ヘッド41が「第2位置」から「第1位置」に移動し終えたら自動的に電源が切れてもよいし、所定の時間何ら操作がない場合に自動的に電源が切れてもよい。これにより、ユーザが電源を切り忘れた場合でも、適切に印刷装置1の電源を切ることができる。
【0066】
このように構成することで、印刷ヘッド41が「第2位置」にある状態のまま装置本体100がスタンド200上に置かれてしまうことを回避して、吐出部411が確実に保護部201に覆われる状態となり、適切にキャッピングを行うことできる。
【0067】
以上のように、本実施形態の印刷装置1は、印刷時に印刷対象に対向する面に開口部21を有する装置本体100と、吐出部411を有し、印刷対象に印刷を施す印刷ヘッド41と、印刷ヘッド41を第1位置と、第1位置とは異なる第2位置とに移動させるヘッド移動機構45と、装置本体100と分離可能で、開口部21に対応する位置に、印刷ヘッド41の吐出部411を保護する保護部201を有する載置部であるスタンド200と、装置本体100とスタンド200とが接近したこと、又は離間したことを検出する検出部である受光部12と、を備え、ヘッド移動機構45は装置本体100とスタンド200とが接近したことを受光部12が検出した際に、印刷ヘッド41を「第1位置」に移動させる。
これにより、印刷ヘッド41を開口部21に対応しない位置(すなわち「第2位置」)としたままユーザが装置本体100をスタンド200上に置こうとしても、装置本体100がスタンド200に近づいたことが検知されただけで、印刷ヘッド41が保護部201に対応するキャッピング位置(すなわち「第1位置」)に自動的に移動する。
このため、印刷ヘッド41が装置本体100内で移動する構成の場合に、印刷ヘッド41の位置状態をユーザが意識しなくても、キャッピング不良が生じるのを回避することができる。
【0068】
また本実施形態において、「第1位置」は、吐出部411が開口部21に対応する位置であり、「第2位置」は、吐出部411が開口部21に対応しない位置である。
このため、装置本体100とスタンド200とが接近したことが検知されると、印刷ヘッド41が保護部201に対応するキャッピング位置(すなわち「第1位置」)に自動的に移動し、印刷ヘッド41の位置状態をユーザが意識しなくても、キャッピング不良が生じるのを回避することができる。
【0069】
また本実施形態において、ヘッド移動機構45は、開口部21と保護部201とが対向し、かつ接近したことを検出部である受光部12が検出した際に、印刷ヘッド41を「第1位置」に移動させる。
このため、開口部21から露出する吐出部411を保護部201で覆い、適切にキャッピングを行うことができる。
【0070】
また本実施形態の印刷装置1は、装置本体100内に配置され、開口部21を通して装置本体100外を撮影する撮影部5を備え、撮影部5は、印刷ヘッド41が「第2位置」にあるときに装置本体100外を撮影可能となる。
このように、印刷ヘッド41を「第2位置」に配置(撮影装置51の画角に入らない位置まで退避)させて撮影を行うため、撮影部5による撮影動作も印刷部4による印刷動作もともに同じ開口部21を通して行うことができる。
これにより、ほぼ同じX方向の位置から撮影動作と印刷動作とを行うことができ、撮影装置51の光軸と印刷ヘッド41の吐出部411のノズル軸とのずれを防ぐことができる。
このため、高精細な印刷を実現することができる。
そしてこのように印刷ヘッド41が印刷やキャッピングが行われる位置(すなわち「第1位置」)から移動する構成であっても、本実施形態ではキャッピング時には印刷ヘッド41を「第1位置」に配置させることができ、確実にキャッピングを行って吐出部411の乾燥等を防止することができる。
【0071】
また本実施形態の印刷装置1は、撮影部5によって取得された画像を解析した解析結果を取得する情報取得部として機能する制御部71をさらに備え、印刷ヘッド41は、情報取得部によって取得された解析結果に基づいて印刷を行う。
これにより、印刷ヘッド41の吐出部411のノズル軸と撮影装置51の光軸とのずれのない状態で取得された画像に基づく印刷を行うことができ、高精細な印刷を実現することができる。
【0072】
また本実施形態の印刷装置1は、装置本体100と載置部であるスタンド200のいずれか一方(本実施形態では、スタンド200)に設けられ、電磁波を照射する照射部75をさらに備え、検出部は、装置本体100とスタンド200のいずれか一方(本実施形態では、装置本体100)に設けられ、電磁波を検出する受光部12である。
これにより、照射部(発光部)と受光部のセットという比較的簡易な構成により、装置本体100とスタンド200との接近状態を検出することができる。
【0073】
また本実施形態では、検出部である受光部12が電磁波を予め設定された時間以上検出した場合に、ヘッド移動機構45が印刷ヘッド41を吐出部411が開口部21に対応する「第1位置」に移動させる。他方、受光部12が電磁波を検出した時間が予め設定された時間未満である場合には、ヘッド移動機構45は印刷ヘッド41を「第1位置」とは異なる位置である「第2位置」に配置させる。
【0074】
受光部12が電磁波をわずかでも検出したら装置本体100とスタンド200(載置部)とが接近したと判断すると、装置本体100がスタンド200近くをかすめて受光部12が電磁波を検出したが、実際にはまだ印刷途中であるような場合も「近接」と誤認されるおそれがある。
この点、受光部12によって電磁波が予め設定された時間以上、連続して検出されているような場合には、装置本体100がスタンド200に向って移動している可能性が高い。このため、電磁波を予め設定された時間以上検出したときには印刷ヘッド41をキャッピング位置である「第1位置」に移動させるとすることで、適切なタイミングでキャッピングを行うことができる。
【0075】
[第2の実施形態]
次に、図8及び図9を参照しつつ、本発明に係る印刷装置、キャッピング制御方法及びプログラムの第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、検出部の構成のみが第1の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0076】
図8は、第2の実施形態に係る印刷装置及びこれと連携する端末装置の制御構成を示した要部ブロック図である。
図8に示すように、本実施形態の印刷装置1Aは、装置本体100A側に、検出部としての気圧センサ14を有している。
気圧センサ14は、気圧(大気圧)の値Pを検知するセンサであり、比較的わずかな高さの変化で生じる気圧差も検出可能であるものが好ましい。このため、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いた容量性検知方式のセンサ等が気圧センサ14として好適に用いられる。
なお、気圧センサ14はこの構成はこれに限定されず、例えばシリコン(Si)半導体を使用したピエゾ抵抗方式のセンサ等であってもよい。また気圧センサ14を設ける位置等も特に限定されない。
【0077】
検出部としての気圧センサ14を設ける場合には、載置部であるスタンド200側に照射部や照射のための電源を供給する電源部等を設ける必要がない。このため、第1の実施形態と比較して、スタンド200の構成を簡易なものとすることができる。
【0078】
検出部が気圧センサ14である場合、装置本体100Aをスタンド200に載置した状態の気圧が基準となる。このため、装置本体100Aの記憶部72には、装置本体100Aをスタンド200に載置した状態の気圧の値P(この場合の値Pを「P0」とする。)が予め記憶される。
「P0」は、印刷装置1Aが使用される環境におけるスタンド200の置かれる位置により変わるため、ユーザがスタンド200を置く場所を決めた時点で装置本体100Aをスタンド200に載置し、気圧センサ14によって当該状態における気圧の値P0を取得し、記憶させておく。なお、当初の位置からスタンド200を置く高さ位置が変更された場合(例えば置き場所を床の上から棚の上に変更した場合等)には、当該場所で再度装置本体100Aをスタンド200に載置し、気圧センサ14によって気圧の値P0を取得し、記憶部72等に記憶させる。
【0079】
なお、その他の構成は、第1の実施形態と同様であることから、同一部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0080】
次に、図9を参照しつつ、本実施形態の印刷装置におけるキャッピング制御方法について説明する。
まず、第1の実施形態と同様に、印刷装置1Aの電源をONとし(ステップS21)、装置本体100Aをスタンド200に載置した状態における気圧の値P0を気圧センサ14によって取得し、記憶部72等に記憶させる(ステップS22)。
なお、すでに取得し、記憶されている気圧の値P0があり、当該値を取得したときからスタンド200の位置を変更していない場合には、改めて気圧の値P0を取得しなくても、すでに記憶されている値を用いればよい。
【0081】
ステップS23からステップS32は、第1の実施形態における図7のステップS2からステップS11と同様であるため、説明を省略する。
【0082】
気圧センサ14により検出された気圧の値Pは、随時制御部71に出力されており、制御部71は、常に気圧の値Pが、基準となる気圧の値P0±閾値の範囲内の値となったか否かを判断する(ステップS33)。この場合の閾値をどの程度に設定するかは、気圧センサ14の精度や印刷装置1Aの使用環境等に応じて適宜決められる。
【0083】
気圧の値Pが、基準となる気圧の値P0±閾値の範囲内の値となっていない場合(ステップS33;NO)には、装置本体100Aがスタンド200から離れている状態であり、制御部71は、ユーザが装置本体100Aを手に持って撮影動作等を行っていると判断し、ステップS26に戻って処理を繰り返す。
【0084】
他方、気圧センサ14によって検出された気圧の値Pが、基準となる気圧の値P0±閾値の範囲内の値である場合(ステップS33;YES)には、制御部71は、ヘッド移動機構45のX方向移動モータ46を動作させて、印刷ヘッド41を「第2位置」から「第1位置」に移動させる(ステップS34)。そして電源をOFFとして処理を終了する(ステップS35)。
【0085】
本実施形態のように、気圧センサ14によって検出された気圧の値Pによって、装置本体100Aとスタンド200との接近状態を検出する場合には、ユーザが装置本体100Aを一旦スタンド200上に置き掛けたが、再度持ち上げて撮影や印刷処理を続けたい場合、その動作が気圧センサ14の検出する気圧の値Pに現れる。このため、ユーザの意図に沿った処理を行うことができる。
すなわち、ユーザが装置本体100Aをスタンド200上に置いて印刷処理を終えたい場合には、そのままスタンド200の保護部201により印刷ヘッド41の吐出部411覆ってキャッピングする。またユーザが装置本体100Aを一旦スタンド200上に置き掛けたが、再度持ち上げた場合には、印刷ヘッド41を再び「第2位置」に戻して、撮影や印刷処理を続けることのできる状態とする。
なお、本実施形態の装置本体100Aにも第1の実施形態と同様に姿勢センサ13が設けられている。このため、気圧センサ14によって検出された気圧の値Pの変化と併せて姿勢センサ13による検出結果を参照することにより、一層ユーザによる実際の動作に合致した処理を行うことができる。
【0086】
また、気圧センサ14による検出結果に加えて、姿勢センサ13による検出結果を参照してもよい。
ユーザが装置本体100Aをスタンド200の位置から水平に移動させた場合のように、高度変化に乏しく気圧の値Pに反映されない動きをした場合には気圧センサ14で装置本体100Aとスタンド200との接近状態を判断することが難しい。このような場合でも、姿勢センサ13による検出結果を参照することで、装置本体100Aとスタンド200との接近状態を正しく把握することができ、より適切なキャッピング制御を行うことができる。
具体的には、例えば姿勢センサ13によって装置本体100Aの姿勢を判断し、装置本体100Aが水平又は殆ど水平であって、かつ気圧の値PがP0±閾値の範囲内となったときに印刷ヘッド41を「第2位置」から「第1位置」に移動させる等の構成を採用してもよい。これにより、装置本体100Aとスタンド200との接近状態をより正しく把握することができる。また、姿勢センサ13によって装置本体100Aとスタンド200との離間状態もより正しく把握することができる。
【0087】
なお、その他の点については、第1の実施形態と同様であることから、その説明を省略する。
【0088】
以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得られる他、以下の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態の検出部は、装置本体100Aに設けられた気圧センサ14である。
このため、装置本体100A側に気圧センサ14を設けるだけで、装置本体100Aとスタンド200との接近状態を容易に検出することが可能となる。
そして、印刷ヘッド41を開口部21に対応しない「第2位置」としたままユーザが装置本体100Aをスタンド200上に置こうとしても、装置本体100Aがスタンド200に近づいたことが検知されただけで、印刷ヘッド41が保護部201に対応するキャッピング位置(すなわち「第1位置」)に自動的に移動する。
このため、印刷ヘッド41が装置本体100A内で移動する構成の場合に、印刷ヘッド41の位置状態をユーザが意識しなくても、キャッピング不良が生じるのを回避することができる。
【0089】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0090】
例えば、上記各実施形態では、装置本体と保護部を有する載置部であるスタンド200との接近状態を検出する検出部が、受光部12である場合(第1の実施形態)、気圧センサ14である場合(第2の実施形態)を例示したが、検出部の構成はこれに限定されない。
例えば、肌表面Sを撮影するために設けられている撮影部5の撮影装置51を装置本体と保護部との接近状態を検出する検出部として機能させてもよい。
【0091】
具体的には、スタンド200に、バーコードやQRコード(登録商標)等の識別標識を付しておき、所定の距離まで近づいて撮影した場合に撮影装置51の焦点が合うように設定しておく。これにより、スタンド200に付された識別標識を撮影装置51で撮影するだけで装置本体と載置部とが接近状態にあるか否かを検出することが可能となる。また、スタンド200自体やその一部に識別しやすい形状を設けておき、撮影装置51によって当該形状が認識されたときに装置本体と載置部とが接近状態にあると判断する場合も同様である。
このような構成とした場合には、印刷装置に別途センサを追加する必要がなく、より簡易な構成で装置本体と載置部との接近状態を検出することができる。そして、装置の停止のタイミングにかかわらず、印刷ヘッド41を自動的にキャッピングに適した位置に配置させることが可能となる。
【0092】
また上記第1の実施形態では、装置本体100及び載置部としてのスタンド200のいずれか一方に照射部が設けられ、いずれか他方に受光部が設けられている場合を例示したが(実施形態ではスタンド200側に照射部が設けられ、装置本体100に検出部としての受光部が設けられる。)、装置本体100及びスタンド200のいずれか一方に、照射部と検出部としての受光部との両方が設けられていてもよい。
この場合は、例えば装置本体100及びスタンド200のいずれか一方に設けられた照射部から照射された光(電磁波)が、いずれか他方に反射し、当該反射した光(電磁波)を検出部としての受光部が検出する。そして、例えば所定の閾値以上の強度の光(電磁波)を検出したら装置本体100とスタンド200とが接近したと判断して印刷ヘッド41を第1位置に移動させる等の対応が取られるように構成する。
なお、反射光の強度を保つために、照射部から照射された光(電磁波)を反射させる箇所は鏡面としてもよい。また光(電磁波)を反射させる箇所に反射板等を設けて光(電磁波)が確実に反射するように構成してもよい。
【0093】
また、第1の実施形態では、印刷ヘッド41が「第1位置」に配置された状態では、印刷ヘッド41によって開口部21のほぼ全体が塞がれた状態となる場合を例示したが印刷ヘッド41の大きさや配置等はこれに限らない。
例えば、図10に示すように、印刷装置1Bの装置本体100Bに設けられている印刷ヘッド41BのX方向における幅を狭くして、印刷ヘッド41Bが「第1位置」に配置された状態でも開口部21B全体が塞がれず、照射部75から照射された光(電磁波)が受光部12で検出することができるように構成してもよい。
また、印刷ヘッド41BのX方向に直交する方向における幅を狭くして、開口部21Bの一部が塞がれないように構成し、印刷ヘッド41Bによって塞がれない部分に対応して照射部75及び受光部12を配置してもよい。
さらに、印刷ヘッド41Bの大きさは変えずに、開口部21Bの大きさを大きくして、印刷ヘッド41Bが「第1位置」に配置された状態でも開口部21B全体が塞がれないように構成し、印刷ヘッド41Bによって塞がれない部分に対応して照射部75及び受光部12を配置してもよい。
【0094】
このような構成とすることにより、照射部75から照射された光(電磁波)を受光部12で検出して装置本体100Bとスタンド200との接近が検出され、印刷ヘッド41Bが「第1位置」移動した後でも、受光部12が光(電磁波)を検出しなくなった場合には、再び装置本体100Bがスタンド200から離間したと判断でき、印刷ヘッド41を再び「第2位置」に戻して、撮影や印刷処理を続けることのできる状態とする等の制御を行うことができる。
【0095】
また上記各実施形態において、載置部であるスタンド200の上面等に、Z軸に沿ってほぼ垂直に立設された軸又は突起状の図示しないガイド部を設け、装置本体100の下面等にこのガイド部に対応した孔等を設けてもよい。
これにより、装置本体100をスタンド200上に載置させる際に装置本体100の置かれる位置が位置決めされるとともに、装置本体100を、傾かない状態でほぼ垂直にスタンド200上に載置させることができる。
この場合、ガイド部は数cm程度上方に延びる部材であることが好ましい。なお、この場合のガイド部や孔の形状、配置等は特に限定されない。
また、スタンド200の上面に装置本体100を受ける凹部等を形成して、装置本体100の置かれる位置を位置決めするとともに、装置本体100が安定して載置されるように構成してもよい。
さらに、スタンド200は台に限定されず、周囲を側壁で囲まれた箱状に形成し、装置本体100を箱状に形成された内部に入れることで正しくキャッピングがなされるようにしてもよい。
このような場合にも装置本体100をスタンド200上に載置させる際に装置本体100の置かれる位置が位置決めされるとともに、装置本体100を、傾かない状態でほぼ垂直にスタンド200上に載置させることができる。
【0096】
また、上記各実施形態では、印刷装置1が端末装置8と連携して印刷を行う場合を例示したが、印刷装置1はここに示すようなものに限定されず、単体で印刷動作が完結するように構成されたものであってもよい。
例えば、本実施形態では、印刷装置の撮影部5で撮影された画像を端末装置8に送信して、撮影画像に対する画像解析や解析結果に基づく印刷データの生成等を端末装置8側の制御部81で行う場合を例としたが、各種の処理等を印刷装置1側の制御部71において行う構成としてもよい。
また、上記各実施形態では、撮影部5で撮影された画像を端末装置8側の表示部85に表示させる場合を例示したが、印刷装置1に表示部を備えてもよく、この場合には当該表示部に撮影部5で撮影された画像を表示させてもよい。
【0097】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
印刷時に印刷対象に対向する面に開口部を有する装置本体と、
吐出部を有し、前記印刷対象に印刷を施す印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドを、第1位置と、前記第1位置とは異なる第2位置とに移動させる移動機構と、
前記装置本体と分離可能で、前記開口部に対応する位置に、前記印刷ヘッドの前記吐出部を保護する保護部を有する載置部と、
前記装置本体と前記載置部とが接近したこと、又は離間したことを検出する検出部と、を備え、
前記移動機構は、前記装置本体と前記載置部とが接近したことを前記検出部が検出した際に、前記印刷ヘッドを前記第1位置に移動させることを特徴とする印刷装置。
<請求項2>
前記第1位置は、前記吐出部が前記開口部に対応する位置であり、
前記第2位置は、前記吐出部が前記開口部に対応しない位置であることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
<請求項3>
前記移動機構は、前記開口部と前記保護部とが対向し、かつ接近したことを前記検出部が検出した際に、前記印刷ヘッドを前記第1位置に移動させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
<請求項4>
前記装置本体内に配置され、前記開口部を通して前記装置本体外を撮影する撮影部を備え、
前記撮影部は、前記印刷ヘッドが前記第2位置にあるときに前記装置本体外を撮影可能となることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の印刷装置。
<請求項5>
前記撮影部によって取得された画像を解析した解析結果を取得する情報取得部をさらに備え、
前記印刷ヘッドは、前記情報取得部によって取得された前記解析結果に基づいて印刷を行うことを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
<請求項6>
前記装置本体と前記載置部とのいずれか一方に設けられ、電磁波を照射する照射部をさらに備え、
前記検出部は、前記装置本体と前記載置部とのいずれか一方に設けられ、前記電磁波を検出する受光部であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の印刷装置。
<請求項7>
前記移動機構は、
前記検出部が前記電磁波を予め設定された時間以上検出した場合に、前記印刷ヘッドを前記第1位置に移動させ、
前記検出部が前記電磁波を検出した時間が前記予め設定された時間未満である場合には、前記印刷ヘッドを前記第2位置に配置させることを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
<請求項8>
前記検出部は、前記装置本体に設けられた気圧センサであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の印刷装置。
<請求項9>
印刷時に印刷対象に対向する面に開口部を有する装置本体と、吐出部を有し、前記印刷対象に印刷を施す印刷ヘッドと、前記装置本体と分離可能で、前記開口部に対応する位置に、前記印刷ヘッドの前記吐出部を保護する保護部を有する載置部と、を備える印刷装置のキャッピング制御方法であって、
非印刷時において、第1位置とは異なる第2位置に前記印刷ヘッドを配置させる第1の移動工程と、
前記装置本体と前記載置部とが接近したことを検出する検出工程と、
前記検出工程において前記装置本体と前記載置部とが接近したことが検出された際に前記印刷ヘッドを前記第1位置に配置させる第2の移動工程と、
を含んでいることを特徴とする印刷装置のキャッピング制御方法。
<請求項10>
印刷時に印刷対象に対向する面に開口部を有する装置本体と、吐出部を有し、前記印刷対象に印刷を施す印刷ヘッドと、前記装置本体と分離可能で、前記開口部に対応する位置に、前記印刷ヘッドの前記吐出部を保護する保護部を有する載置部と、を備える印刷装置のコンピュータに、
非印刷時において、第1位置とは異なる第2位置に前記印刷ヘッドを配置させる第1の移動機能と、
前記装置本体と前記載置部とが接近したことを検出する検出機能と、
前記検出機能によって前記装置本体と前記載置部とが接近したことが検出された際に前記印刷ヘッドを前記第1位置に配置させる第2の移動機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0098】
1 印刷装置
12 受光部
13 姿勢センサ
14 気圧センサ
2 筐体
21 開口部
4 印刷部
41 印刷ヘッド
411 吐出部
7 制御装置
71 制御部
72 記憶部
75 照射部
8 端末装置
100 装置本体
200 スタンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10