(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】ケース
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
H05K13/02 D
(21)【出願番号】P 2023502401
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(86)【国際出願番号】 JP2022007007
(87)【国際公開番号】W WO2022181555
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】P 2021030243
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】中川 聖之
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-295618(JP,A)
【文献】国際公開第2013/042544(WO,A1)
【文献】特開2008-060190(JP,A)
【文献】特開2011-114084(JP,A)
【文献】米国特許第06041964(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィーダにセットされ、部品を供給対象に供給するためのケースであって、
複数の部品を収容
可能とする収容空間を有するケース本体と、
前記ケース本体に一体的に連結され、前記供給対象に部品を搬送する搬送路、及び前記搬送路から部品を排出する排出口を有する搬送部と、
前記収容空間と前記搬送路とを相互に連通し、前記収容空間から前記搬送路に部品を移動可能とする連通口と、を備え
、
前記搬送路は、前記供給対象に向かって上り勾配で傾斜する第2傾斜面を含む、ケース。
【請求項2】
前記連通口を開閉するシャッター部材を有する、請求項1に記載のケース。
【請求項3】
前記ケース本体は、前記連通口に向かって下り勾配で傾斜し
ている第1傾斜面を有する、請求項1または2に記載のケース。
【請求項4】
前記第1傾斜面は、前記ケースが前記フィーダにセットされたときの水平方向に対して、3°以上15°以下で傾斜している、請求項3に記載のケース。
【請求項5】
前記第2傾斜面は、前記ケースが前記フィーダにセットされたときの水平方向に対して、3°以上10°以下で傾斜している、請求項
1から4のいずれか1項に記載のケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ部品等の電子部品を収容し、収容した部品を所定の供給対象に供給するためのケースに関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に実装する際、電子部品を基板上の所定位置に実装する実装装置が用いられる。このような実装装置には、電子部品を個別に供給する必要がある。例えば特許文献1には、バラの状態の電子部品をまとめて収容し、底部の取出口から自重によって電子部品をフィーダに落下させるケースが開示されている。電子部品は、フィーダにより実装装置へ個別に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるようなケースにおいて、フィーダ内にケースから移載された部品が残り、新たにケースから供給した部品が、残存している部品に混入する可能性がある。部品の混入は、的確な部品の実装ができなくなったり、その後の工程での部品管理に支障が生じたりする不具合を招く。
【0005】
本発明は、ケースから部品供給先に部品を供給する過程において、ケース側の部品と供給先側の部品との混入を抑制することができるケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るケースは、フィーダにセットされ、部品を供給対象に供給するためのケースであって、複数の部品を収容する収容空間を有するケース本体と、前記ケース本体に一体的に連結され、前記供給対象に部品を搬送する搬送路、及び前記搬送路から部品を排出する排出口を有する搬送部と、前記収容空間と前記搬送路とを相互に連通し、前記収容空間から前記搬送路に部品を移動可能とする連通口と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ケースから部品供給先に部品を供給する過程において、ケース側の部品と供給先側の部品との混入を抑制することができるケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】フィーダにセットされた実施形態に係るケースの内部を一側方から見た図である。
【
図4】フィーダにセットされた実施形態に係るケースの内部を一側方から見た図であって、当該ケースから実装装置に電子部品を供給する状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係るケース1の内部を一側方から見た図、
図2はケース1の底面図、
図3は
図1のIII-III断面図である。
【0010】
図1に示すように、ケース1は、その内部に、部品としての複数の電子部品(
図1に図示)Mをバラの状態で収容する。複数の電子部品Mを収容したケース1は、フィーダ100に着脱可能にセットされる。本実施形態のフィーダ100は、振動することにより、ケース1内において電子部品Mを搬送してケース1から排出し、その電子部品Mを不図示の実装装置に供給する装置である。本実施形態の電子部品Mは、例えば長手方向の長さが1.2mm以下の微小な直方体状の電子部品である。そのような電子部品としては、コンデンサやインダクタ等が挙げられるが、本実施形態はこれらに限定されない。
【0011】
なお、
図1、
図2及び
図3のいずれかに記載の矢印X、矢印Y、矢印Zは、フィーダ100にセットされた状態でのケース1の左右方向、前後方向、上下方向をそれぞれ示している。そして、左右方向Xにおいて左方をX1、右方をX2、前後方向Yにおいて前方をY1、後方をY2、上下方向Zにおいて上方をZ1、下方をZ2で示している。また、
図4及び
図5においても、これら左右方向X、前後方向Y、上下方向Zを同様に適用している。以下の説明における左右方向、前後方向、上下方向のそれぞれは、上記の矢印で示す方向に基づく。
【0012】
図2及び
図3に示すように、ケース1は、第1部材2及び第2部材3が合体し、互いに接合されて左右対称に構成されている。
図1は、左側の第1部材2が無い状態であって、右側の第2部材3の内部を示す。ケース1は、前後方向に長く、左右方向の厚みが薄い偏平箱状の形状を有する。以下の説明では、必要な場合を除いて、第1部材2及び第2部材3を個別に説明せず、第1部材2と第2部材3とが接合された状態での構成を説明する。ケース1の材質は、表面抵抗率が例えば10E8~10E11Ω/mm
2程度であり、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
【0013】
本実施形態のケース1は、フィーダ100にセットされ、電子部品Mを、供給対象としての上記実装装置に供給するためのケースである。
図1に示すように、ケース1は、ケース本体10と、搬送部40と、ケース本体10と搬送部40との間に配置された連通口19と、シャッター部材30と、を備える。
【0014】
ケース本体10は、複数の電子部品Mをバラの状態で収容する収容空間11を有する。ケース本体10は、前後方向に延在する天板部12及び底板部13と、上下方向に延在する前壁部14及び後壁部15と、左右一対の側壁部16と、ケース本体10の内部を上下に仕切る仕切り板部17と、を有する。後壁部15は、外面を形成する外側後壁部15aと、外側後壁部の前方の内側後壁部15bとを含む。
【0015】
連通口19は、前壁部14の下部に設けられている。連通口19は、矩形状の開口である。なお、連通口19は矩形に限定されず、例えば円形状、楕円形状等の開口部でもよい。連通口19は、後述するシャッター部材30により開閉される。
【0016】
仕切り板部17は、左右の側壁部16の間、及び前壁部14と内側後壁部15bとの間に延びている。仕切り板部17は、ケース本体10の内部の上下方向中央よりも下側に配置されている。ケース本体10の内部において、仕切り板部17の上側が収容空間11となっており、下側が下側空間18となっている。
【0017】
仕切り板部17は、前後方向において前端から後側に1/3程度の位置を境(
図1中、17aで示す)として、前側に第1水平部21、後側に第1傾斜部22を有する。第1水平部21の上面は、ほぼ水平な第1水平面21aとなっている。第1傾斜部22は、連通口19に向かって下り勾配で傾斜しており、その上面は連通口19に向かって下り勾配で傾斜する第1傾斜面22aとなっている。本実施形態において第1傾斜面22aの傾斜角度θ1は、ケース1がフィーダ100にセットされたときの水平方向に対して10°程度である。第1傾斜面22aの傾斜角度θ1は、3°以上15°以下が好ましく、より好ましくは3°以上5°以下がよい。
【0018】
シャッター部材30は、連通口19を開閉する。シャッター部材30は、底板部13から前壁部14にわたって連続して延びている。シャッター部材30は、細長い帯状のフィルム部材である。シャッター部材30は、例えばPET(Polyethylene terephthalate)等の、ある程度剛性を有し、かつ、湾曲可能な可撓性の材料からなる。シャッター部材30の幅は、連通口19の幅より若干大きく、連通口19を隙間なく覆うことができる幅を有する。
図1及び
図3に示すように、シャッター部材30の前端部には、連通口19と略同形の開口部31が設けられている。
【0019】
ケース本体10は、連通口19の上方に配置された上側ガイド23と、連通口19の下方に配置された湾曲ガイド24と、底板部13の上方に配置された底部ガイド25と、を有する。シャッター部材30は、上側ガイド23、湾曲ガイド24及び底部ガイド25にわたって、摺動可能に挿入されている。上側ガイド23、湾曲ガイド24及び底部ガイド25のそれぞれは、シャッター部材30の面方向を左右方向に沿った状態に保持しながら、摺動可能に保持するスリット状の通路である。シャッター部材30は、底部ガイド25から湾曲ガイド24までの間は、前後方向にスライドし、湾曲ガイド24を通過することで概ね90°の角度で上に向けて屈曲し、上下方向に延びる姿勢に転換する。湾曲ガイド24から上側ガイド23の間において、シャッター部材30は上下方向にスライドする。
【0020】
シャッター部材30の後端に、シャッター部材30の開閉動作を行うための板片からなるスライダ32が取り付けられている。スライダ32は、シャッター部材30の下面側に突出するようにシャッター部材30と一体に取り付けられている。
図1及び
図2に示すように、底板部13には、スライダ32を下方に突出させ、かつ、スライダ32の前後方向の動きを許容する孔13aが設けられている。スライダ32が前後方向に動くと、シャッター部材30は上側ガイド23、湾曲ガイド24及び底部ガイド25に沿ってスライドする。シャッター部材30がスライドする範囲において、開口部31が連通口19に合致すると連通口19は開口し、開口部31が連通口19の上方の上側ガイドに配置されると、連通口19はシャッター部材30で塞がれる。
【0021】
スライダ32は、シャッター部材30の開口部31が連通口19と合致する位置と、シャッター部材30が連通口19を塞ぐ位置との2位置に、シャッター部材30のスライド位置を位置決めするストッパ33を有する。ストッパ33は、スライダ32の上面に突出形成された凸部で構成される。
【0022】
図1に示すように、下側空間18における底板部13の上方には、底部ガイド25を形成するプレート26が配置され、そのプレート26の下面に、前後一対の状態で前側凹部26a及び後側凹部26bが設けられている。ストッパ33は、これら前側凹部26a及び後側凹部26bのうちの一方に係合する。スライダ32が前方に移動してストッパ33が前側凹部26aに係合すると、開口部31は連通口19の上方の前壁部14に位置付けられ、
図1及び
図3に示すように連通口19はシャッター部材30で塞がれる。スライダ32が後方に移動してストッパ33が後側凹部26bに係合すると、開口部31は連通口19と合致し、
図4及び
図5に示すように連通口19は開口する。収容空間11に収容された電子部品Mは、開口した連通口19を通過して搬送部40に移っていく。
なお、スライダ32は、手動でスライドさせるようにしてもよいが、アクチュエータ等のデバイスを用いて駆動するようにしてもよい。
【0023】
図1に示すように、下側空間18の後部には、前後方向に長い帯状のRFIDタグ27が配置されている。RFIDタグ27は、例えばシール状に構成されて底板部13の上面に貼着される。RFIDタグ27は、送受信部、メモリ及びアンテナ等を有する公知の構成を備えるものである。フィーダ100には、RFIDタグ27に対して情報を読み書きする不図示のリーダーライタが配置される。
【0024】
ケース本体10は、上側把持部28A及び後側把持部28Bを有する。上側把持部28Aは、ケース本体10の上側の前後両端に設けられた前後一対の窪みである。後側把持部28Bは、ケース本体10の後側の上下の両端に設けられた上下一対の窪みである。上側把持部28A及び後側把持部28Bのそれぞれは、例えばロボットハンドによりケース1を運搬する際などにおいて、そのロボットハンドに把持される。
【0025】
搬送部40は、ケース本体10から前方に延在する直方体状の箱状に形成されている。搬送部40もケース本体10と同様に、上記の第1部材2と第2部材3とが合体して構成され、その左右方向の厚さは、ケース本体10と同じである。前後方向Yの長さに関して、搬送部40はケース本体10よりも短く、周辺装置との干渉をさける長さであればよい。
【0026】
搬送部40は、連通口19を通過してケース本体10から移送される電子部品Mを前方に搬送する搬送空間41を有する。搬送空間41は、連通口19を介してケース本体10の収容空間11と連通する。搬送部40は、前後方向に延在する天板部42及び底板部43と、上下方向に延在する前壁部44と、左右一対の側壁部46と、搬送部40内の搬送路47と、を有する。
【0027】
天板部42は、連通口19の上端位置から前方に延びている。底板部43は、ケース本体10側の底板部13と上下方向が同じ位置にあり、その底板部13から前方に延長する状態に連続的に前方に延びている。前壁部44は、底板部43の前端から上方に立ち上がっている。天板部42の前端は前壁部44に到達しておらず、天板部42の前端と前壁部44の上端との間に、上方に開口する排出口48が設けられている。
【0028】
搬送路47は、板状部材で構成されており、ケース本体10の仕切り板部17の第1水平部21に連続するように設けられている。搬送路47は、左右の側壁部46の間、及び搬送部40の後端から前壁部44との間に延びている。搬送路47は、前後方向において前端から後側に1/4程度の位置を境(
図1中、47aで示す)として、前側に第2水平部51、後側に第2傾斜部50を有する。第2水平部51の上面は第2水平面51aとなっており、排出口48は第2水平面51aの上方に配置されている。第2傾斜部50の上面は、前方の排出口48に向かって上り勾配で傾斜する第2傾斜面50aとなっている。
【0029】
本実施形態において第2傾斜面50aの傾斜角度θ2は、ケース1がフィーダ100にセットされたときの水平方向に対して10°程度である。第2傾斜面50aの傾斜角度θ2は、3°以上10°以下が好ましい。電子部品Mは、ケース本体10の第1水平面21aから連通口19を通過して搬送路47の第2傾斜面50a上に移る。θ2は、電子部品Mが上りやすい角度が好ましく、例えばθ1と等しくてもよい。なお、θ1とθ2は、後述する振動の条件に応じて、適宜調整される。
【0030】
図1に示すように、ケース1は、フィーダ100に着脱可能にセットするための複数の爪部を底面に有する。本実施形態では、第1爪部61、第2爪部62、第3爪部63、第4爪部64及び第5爪部65が、底面に前後方向に間隔をおいて設けられている。第1爪部61、第2爪部62及び第3爪部63は、搬送部40側に配置され、第4爪部64及び第5爪部65は、ケース本体10側に配置されている。
【0031】
第1爪部61は、フィーダ100の上面の第1凹所101に係合する。第1爪部61は、フィーダ100にセットする際のガイドとして機能する。第2爪部62、第3爪部63及び第4爪部64は、フィーダ100の上面の第2凹所102に係合する。第5爪部65は、フィーダ100の上面の第3凹所103に係合する。第5爪部65は、フィーダ100側に設けられる不図示のロック機構でロックされ、これによりケース1がフィーダ100に固定されるようになっている。
【0032】
フィーダ100は、上述したように振動し、ケース1を振動させる。フィーダ100は不図示の振動機によって振動が付与される。振動機としては、例えばフィーダ100に前後方向及び上下方向の3次元の振動を付与する3軸振動機が用いられる。振動により、ケース本体10側においては電子部品Mが第1傾斜面22aを下り、第1水平面21aを前方に搬送される。また、搬送部40側においては電子部品Mが第2傾斜面50aを上り、第2水平面51aを前方に搬送されて排出口48に到達する。
【0033】
このような搬送を行わせるために、ケース本体10側と搬送部40側とで振動の周波数等を変えて別の振動を付与してもよい。その場合には、搬送部40側の第1爪部61、第2爪部62及び第3爪部63に搬送部40を振動させる振動を付与し、ケース本体10側の第4爪部64及び第5爪部65にケース本体10を振動させる振動を付与する。
【0034】
上記構成のケース1は、シャッター部材30により連通口19を閉じた状態で、ケース本体10の収容空間11に所定数の電子部品Mがバラの状態で収容され、保管される。そして、収容されている電子部品Mを上記実装装置に個別に実装する際には、
図1に示すようにフィーダ100にセットし、スライダ32を用いてシャッター部材30を後方にスライドさせ、シャッター部材30の開口部31を連通口19に合致させて連通口19を開口する。この状態から、フィーダ100を振動させてケース1を振動させる。
【0035】
ケース1が振動すると、
図4に示すように、電子部品Mはケース本体10を前方に搬送されて連通口19を通過し、搬送部40において排出口48まで搬送される。排出口48に到達した電子部品Mは、実装装置のバキュームチャックやピック等によって1つずつピックアップされ、実装装置内において連続的に実装される。
【0036】
ケース本体10の収容空間11においては、フィーダ100にセットされた状態で第1水平面21a上にある電子部品Mから、順に連通口19まで搬送され、連通口19を通過して搬送部40の第2傾斜面50aに移る。第1傾斜面22a上にある電子部品Mは第1傾斜面22aを下り、第1水平面21aを連通口19まで搬送され、連通口19を通過して搬送部40の第2傾斜面50aに移る。搬送部40においては、電子部品Mは第2傾斜面50aを上ってから第2水平面51aを排出口48まで移動する。
【0037】
ケース1内の全ての電子部品Mを実装した後には、ケース1はフィーダ100から外される。ここで、ケース1内の全ての電子部品Mを実装せずに、ケース1内に電子部品Mが残った状態でケース1をフィーダ100から一旦外す場合がある。そのとき、電子部品Mが連通口19を通過していたとしても、その電子部品Mは搬送部40に残るため、残りの全ての電子部品Mはケース1内に収容されたままの状態が保持される。このため、ケース1をフィーダ100から外しても、電子部品Mがフィーダ100上に残ってしまうおそれがない。したがって、その後に、ケース1をフィーダ100に再度セットし、残っている電子部品Mを引き続き実装装置に供給しても、フィーダ100上に残存する電子部品Mの中に新たに供給する電子部品Mが混入するといった事態は起こらない。その結果、電子部品Mの的確な実装を引き続き行うことができる。また、部品管理に支障が生じるおそれもない。
【0038】
以上説明した実施形態に係るケース1によれば、以下の効果が奏される。
【0039】
(1)本実施形態に係るケース1は、フィーダ100にセットされ、電子部品Mを供給対象に供給するためのケースであって、複数の電子部品Mを収容する収容空間11を有するケース本体10と、ケース本体10に一体的に連結され、供給対象に電子部品Mを搬送する搬送路47、及び搬送路47から電子部品Mを排出する排出口48を有する搬送部40と、収容空間11と搬送路47とを相互に連通し、収容空間11から搬送路47に電子部品Mを移動可能とする連通口19と、を備える。
【0040】
これにより、ケース1から部品供給先の実装装置に電子部品Mを供給する過程において、ケース1側の電子部品Mと供給先側の部品との混入を防止することができる。
【0041】
(2)本実施形態に係るケース1は、連通口19を開閉するシャッター部材30を有する。
【0042】
これにより、連通口19をシャッター部材30で閉じておくことで電子部品Mが搬送部40側に意図せず移動することが抑えられ、全ての電子部品Mをケース本体10側に安全に収容保持することができる。
【0043】
(3)本実施形態に係るケース1において、ケース本体10は、連通口19に向かって下り勾配で傾斜し、収容空間11に収容された電子部品Mを連通口19に到達させる第1傾斜面22aを有する。
【0044】
これにより、ケース本体10内において電子部品Mを円滑、かつ、確実に連通口19に搬送することができる。
【0045】
(4)本実施形態に係るケース1において、第1傾斜面22aは、ケース1がフィーダ100にセットされたときの水平方向に対して、3°以上15°以下で傾斜していることが好ましい。
【0046】
これにより、第1傾斜面22aを搬送される電子部品Mを円滑、かつ、確実に連通口19に搬送することができる。
【0047】
(5)本実施形態に係るケース1において、搬送部40の搬送路47は、供給対象に向かって上り勾配で傾斜する第2傾斜面50aを含み、フィーダ100は、第2傾斜面50aに斜め上方へ振動を与えて電子部品Mを第2傾斜面50aに沿って上らせる構成が好ましい。
【0048】
これにより、搬送部40内において電子部品Mを円滑、かつ、確実に排出口48に搬送することができる。
【0049】
(6)本実施形態に係るケース1において、搬送部40の第2傾斜面50aは、ケース1がフィーダ100にセットされたときの水平方向に対して、3°以上10°以下で傾斜していることが好ましい。
【0050】
これにより、第2傾斜面50aを搬送される電子部品Mを円滑、かつ、確実に排出口48に搬送することができる。なお、第2傾斜面50aは表面に凹凸があってもよい。凹凸がある場合、電子部品Mが第2傾斜面50aを下っていく、つまり逆流することを防止しやすい。
【0051】
以上、実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、フィーダ100の振動により電子部品Mを供給する形式に代えて、単に傾斜面を搬送することで供給対象に電子部品Mを供給する構成でもよい。
ケース本体に一体的に連結される搬送部は、供給対象に部品を搬送する搬送路及び排出口を備えれば、その形状や構成は限定されない。
【符号の説明】
【0052】
1 ケース
10 ケース本体
11 収容空間
19 連通口
22a 第1傾斜面
30 シャッター部材
40 搬送部
47 搬送路
48 排出口
50a 第2傾斜面
100 フィーダ
M 電子部品(部品)