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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】可変光路長システムのための光源
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20240423BHJP
   G01J 3/08 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G01N21/27 A
G01J3/08
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022576798
(86)(22)【出願日】2021-07-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 US2021041423
(87)【国際公開番号】W WO2022020138
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-02-03
(31)【優先権主張番号】16/935,454
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520466032
【氏名又は名称】シー テクノロジーズ、インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シー、イ-ツン
(72)【発明者】
【氏名】サレルノ、マーク
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ユーシェン
(72)【発明者】
【氏名】ハラティン、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ゴルブノフ、ブラジミア
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-98218(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0013190(US,A1)
【文献】特開2004-191498(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0028348(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/01
G01N 21/17-G01N 21/61
G01J 3/00-G01J 4/04
G01J 7/00-G01J 9/04
G02B 6/26-G02B 6/27
G02B 6/30-G02B 6/34
G02B 6/42-G02B 6/43
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルの特性を測定するためのシステムであって、
光を分光計の入力に導くように配置されている光源であって、前記分光計は、前記光源からの前記光を受信し、前記光を、それぞれが異なる波長を有している複数の光出力に分割するように配置されている、光源と、
光受信構成要素を有している能動的波長選択モジュールと、
前記分光計と前記光受信構成要素とのうちの少なくとも1つに結合されて、前記複数の光出力のうちの選択された1つから前記光受信構成要素によって光を受信できるように前記分光計と前記能動的波長選択モジュールとの間の相対配置を走査方向に沿って選択的に調整しているアクチュエータであって、前記光受信構成要素は前記受信した光をサンプルに導くように構成されている、アクチュエータと、
前記サンプルを通過する光の一部を収集するように配置されて、前記収集された光を分析モジュールに伝送しているコレクタとを備え、
前記アクチュエータは、前記複数の光出力のうちの選択された1つの内の所望の光強度が存在する位置に、前記複数の光出力のうちの選択された1つに対して前記光受信構成要素を位置決めするように、前記走査方向に垂直な方向に前記光受信構成要素を選択的に調整するように構成され、前記複数の光出力の前記所望の光強度の各々は、前記走査方向に垂直な軸に沿った異なる位置に位置し、
前記分析モジュールは前記サンプルを透過した光の量を測定し、透過光を前記サンプルの特性と相関させるように構成されている、システム。
【請求項2】
前記アクチュエータは、前記所望の光強度が前記複数の光出力のうちの選択された1つの内の最大光強度となるように前記光受信構成要素と前記分光計との間の相対配置を選択的に調整するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光受信構成要素は単一の光ファイバ又は光ファイバアレイを含んでいる、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記サンプルの前記特性は前記サンプル中の標的化合物の濃度、消衰係数、散乱、又は色のうちの少なくとも1つである、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記標的化合物は、タンパク質、抗体、ウイルス、遺伝子治療、細胞治療、ウシ血清アルブミン(BSA)、ワクチン、遺伝子・細胞治療薬からのウイルス、DNA、RNA、細胞比率、抗体複合体、ビール、ワイン、及び界面活性剤のうちの少なくとも1つである、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記分析モジュールは可変光路長機器を含んでいる、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記アクチュエータの走査長は前記分光計からの受信した光の100nmから1mmである、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
サンプル分析で使用するための波長選択機構であって、
光源から光を受信するための、及び複数の異なる波長で光を出力するための分光計と、
前記分光計によって出力された前記光を受信するための光受信構成要素と、
前記光受信構成要素及び前記分光計のうちの1つに結合されているアクチュエータであって、前記アクチュエータは、前記光受信構成要素が複数の光出力のうちの選択された1つを受信するように前記光受信構成要素と前記分光計との間の相対配置を第1の軸に沿って選択的に調整するように構成されており、前記複数の光出力のうちの前記選択された1つは、サンプル中の標的化合物を測定するための波長を有しており、前記アクチュエータは、前記複数の光出力のうちの選択された1つの内の所望の光強度が存在する位置に、前記複数の光出力のうちの選択された1つに対して前記光受信構成要素を位置決めするように、前記第1の軸に垂直である第2の軸に沿って前記光受信構成要素の相対位置を調整するように構成され、前記複数の光出力の前記所望の光強度の各々は、前記第2の軸に沿った異なる位置に位置する、アクチュエータとを備えている波長選択機構。
【請求項9】
前記アクチュエータは、前記所望の光強度が前記複数の光出力のうちの選択された1つの内の最大光強度となるように前記光受信構成要素と前記分光計との間の相対配置を選択的に調整するように構成されている、請求項8に記載の波長選択機構。
【請求項10】
前記光受信構成要素は単一の光ファイバ又は光ファイバアレイを含んでいる、請求項8又は9に記載の波長選択機構。
【請求項11】
前記サンプルの特性は前記サンプル中の標的化合物の濃度、消衰係数、散乱、又は色のうちの少なくとも1つである、請求項8から10のいずれか一項に記載の波長選択機構。
【請求項12】
前記標的化合物は、タンパク質、抗体、及びウイルスのうちの少なくとも1つである、請求項11に記載の波長選択機構。
【請求項13】
分析モジュールは可変光路長機器を含んでいる、請求項8から12のいずれか一項に記載の波長選択機構。
【請求項14】
前記アクチュエータの走査長は前記分光計からの受信した光の100nmから1mmである、請求項8から13のいずれか一項に記載の波長選択機構。
【請求項15】
サンプルの特性を測定する方法であって、
光を分光計の入力に導く段階と、
前記分光計にて、前記光を、それぞれが異なる波長を有している複数の光出力に分割する段階と、
前記複数の光出力を能動的波長選択モジュールに投影する段階と、
光受信構成要素が前記複数の光出力のうちの選択された1つから光を受信するように、前記分光計と、前記能動的波長選択モジュールの前記光受信構成要素とのうちの少なくとも1つを走査方向に沿って互いに対して移動させる段階と、
前記分光計と前記能動的波長選択モジュールの前記光受信構成要素の少なくとも一方を、走査方向に対して垂直な方向に互いに対して移動させ、前記複数の光出力のうちの選択された1つに対して、前記複数の光出力のうちの選択された1つの内の所望の光強度が存在する位置に前記光受信構成要素を位置決めし、前記複数の光出力の前記所望の光強度の各々は、前記走査方向に垂直な軸に沿った異なる位置に位置する段階と、
前記受信した光をサンプルに導く段階と、
前記サンプルを通過するある分量の前記受信した光を収集する段階と、
前記収集された分量の前記受信した光を分析モジュールに導く段階と、
前記分析モジュールにて、前記収集された光を前記サンプルの特性と相関させる段階とを含んでいる方法。
【請求項16】
前記分光計と前記光受信構成要素とのうちの少なくとも1つを移動させる段階は、前記所望の光強度が前記複数の光出力のうちの選択された1つの内の最大光強度となるように前記光受信構成要素と前記分光計との間の相対配置を調整する段階を含んでいる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記光受信構成要素は単一の光ファイバ又は光ファイバアレイを含んでいる、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記サンプルの前記特性は前記サンプル中の標的化合物の濃度、消衰係数、散乱、又は色のうちの少なくとも1つである、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記標的化合物は、タンパク質、抗体、ウイルス、遺伝子治療、細胞治療、ウシ血清アルブミン(BSA)、ワクチン、遺伝子・細胞治療薬からのウイルス、DNA、RNA、細胞比率、抗体複合体、ビール、ワイン、及び界面活性剤のうちの少なくとも1つである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記分析モジュールは可変光路長機器を含んでいる、請求項15から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
アクチュエータの走査長は前記分光計からの受信した光の100nmから1mmである、請求項15から20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、光学分光法で使用するための光源に関し、より具体的には、分光計測を容易にする可変光路長サンプリング装置と共に使用するための、改善された、高解像度かつ小型な光源に関する。
【背景技術】
【0002】
分光分析は広範な分野であり、ここでは、エネルギーとの相互作用(例えば、吸収、発光、放出等)により生じる電磁スペクトルから、任意の相(気相、液相、固相)の状態の材料の組成及び特性を測定している。分光法として知られている分光化学分析の一態様は、放射エネルギーと対象材料との相互作用を伴う。そのような物質-放射相互作用を調査するために使用される特定の方法は、分光法の多くの下位分野を規定している。
【0003】
吸収分光法は液体物質の光吸収スペクトルを計測する。吸収スペクトルは光波長の関数としての光の減衰(吸光による)の分布である。例えば、簡単な分光計において、調査すべきサンプル物質を、キュベット又はサンプルセルとしても知られる透明な容器内に置く。既知の波長λ(例えば、紫外線、赤外線、可視光等)及び強度Iの電磁放射(光)が透明な容器(例えば、キュベット又はサンプルセル)の片側に入射する。出射光の強度を計測する検出器が透明な容器(例えば、キュベット又はサンプルセル)の反対側に置かれている。光がサンプルを貫いて伝播する長さが距離dである。
【0004】
標準的なUV/可視分光計は、1cmの光路長を有し、通常50~2000μLのサンプルを保持する標準的なキュベットを利用する。濃度cの単一の均質な物質から構成されるサンプルの場合、サンプルを透過した光は、ベールの法則として知られる関係式に従う。A=εcl
【0005】
ここで、Aは波長λでのサンプルの吸光度(光学密度(OD)としても知られている)、ODは透過光の入射光に対する比について-logをとったもの、εは吸収率すなわち消衰係数(通常は所与の波長λにおいて定数)、cはサンプルの濃度、lはサンプルを貫く光の光路長である。
【0006】
溶液の分光計測は、様々な分野で広く使用されている。多くの場合、溶液中の対象化合物は高濃縮されている。例えば、タンパク質、DNA、又はRNAなどの特定の生体サンプルは、吸光度を計測したときに、多くの場合、分光計の線形範囲から外れた濃度で分離している。したがって、機器の線形範囲内にある吸光度値を計測するには、多くの場合、サンプルの希釈が必要になる。つまり、一般的に言えば、サンプルセルの濃度が高すぎる場合、機器は、その濃度を測定するのに十分な感度を持っていない(例えば、高濃度のサンプルは、放出された光の高吸収と同等であり、したがって、少量の光が検出器に到達する)。その結果、ユーザは通常、溶液を希釈して濃度を下げ、十分な量の光が検出器に到達するポイントまで到達させる。
【0007】
ただし、多くの場合、サンプルの複数回にわたる希釈が必要になり、これは、希釈誤差と、任意の下流用途のために、希釈されたサンプルを除去することの両方につながる。結果として、可能な濃度を知らずに既存のサンプルを採取し、希釈せずにこれらのサンプルの吸収を計測することが望ましい。
【0008】
希釈を防止する、又は少なくとも最小限に抑えるための1つのアプローチすなわち解決策が、可変光路長分光計を利用することである。米国特許第9,939,373号(この内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる)は、可変光路長(VPL)装置を開示しており、ソフトウェア制御によるリアルタイム計測に応じてパラメータを動的に適合させ、従来の分光計のダイナミックレンジを拡大することで、およそいかなる濃度のサンプルでも、元のサンプルの濃度から希釈せずに計測できる。また、そこに開示されている1つ又は複数の方法によれば、サンプルの濃度を測定するために、光路長が既知である必要はない。
【0009】
すなわち、米国特許第9,939,373号は、サンプルの分光計測のための双方向型可変光路長装置及び方法を開示している。使用時には、機器を使用して、約0.2μm以上の光路長を提供することで、極めて濃縮されたサンプルの濃度を計測できる。このような短い光路長により、従来の分光計で計測するには濃度が高すぎるサンプルの計測が可能になる。さらに、機器及び方法は、2つ又は3つの異なる光路長区分でスペクトル走査を提供する。これにより、ユーザは1回の実行でサンプルの最適な吸光度ピークを測定できる。そのため、複数の光路長と複数の波長での吸光度ピークデータを比較することにより(サンプルの内容物により、これらの値が異なる場合がある)、濃度計測の最適化に関する情報が提供され得る。これは、このすべてのデータを同時に提示できない、標準的な固定光路長キュベットを使用する機器とは対照的である。
【0010】
図1を参照すると、複数の光路長でのサンプルの濃度を測定するための可変光路長機器10は、プローブチップ22を有しているプローブ20と、サンプル容器30と、プローブチップとサンプル容器を相対的に移動させる機構(例えば、サンプル容器30をプローブ20に対して移動させて可変光路長を提供できるように、サンプル容器30に動作可能に連結されたモータ40)と、電磁放射を検出できる検出器50と、光路長制御及び計測パラメータ用の妥当なソフトウェアとを備えている。使用時には、検出器50は、プローブ20から発せられる電磁放射に対して実質的に垂直になるように準備及び構成される。光源(図示せず)はプローブ20の上端(例えば、プローブ20の、プローブチップ22とは反対側の端)に取り付けられ、他方、プローブチップ22の下端は、サンプル容器30内に配置されたサンプルセルに接触するか、又はその中に浸される。プローブチップ22とサンプル容器30は互いに対して移動可能である(例えば、サンプル容器30は静止していてもよく、プローブ20はサンプル容器30に対して移動可能であってもよく、又はその逆、若しくは両方の組み合わせであってもよい(すなわち、サンプル容器30とプローブ20の両方を移動可能にしてもよい))。使用時には、サンプル容器30に対してプローブ20を移動させることにより、光路長は調整可能になる。例えば、より高濃度のサンプルの場合、より短い光路長を利用して、所望の範囲の吸光度値を取得することができる。
【0011】
使用時には、サンプル容器30内にサンプルが置かれる。次に、プローブ20を移動させることで、プローブチップ22をサンプル内に浸しながら、プローブチップ22をサンプル容器30の底部に接触させる。その後、プローブ20をサンプル容器30に対して移動させることで、プローブ20をサンプル容器30の底部からサンプル中を通って所定の増分だけ移動させ、そうすることで、予め選択された、溶液中を通る光路長を取得する。所定の波長での吸光度を読み取る。サンプルに対してプローブ20を移動させる段階と、計測を行う段階を繰り返す。吸光度及び光路長の回帰直線を生成するとともに、回帰直線の勾配を取得する。最後に、回帰直線の勾配をサンプルの消衰係数で割って、サンプルの濃度を決定する。
【0012】
現在のシステムの1つの不利な点は、そのようなシステムで使用される光源がかさばることである。例えば、現在の光源は、20インチ(50.8センチメートル)×22インチ(55.88センチメートル)×8インチ(20.32センチメートル)の全体寸法を有し得るが、これは、多くの場合に窮屈な分析スペースになり得るものへの要望よりも大きい。したがって、可変光路長機器又は他の分析機器に直接的に統合できる小型光源が有利になる。
【0013】
現在のシステムの別の不利な点は、そのようなシステムで使用される光源が所望の高解像度で光を提供しないことである。
【0014】
これらの不利な点を念頭に置いて、本開示は提供される。
【発明の概要】
【0015】
この概要は、「発明を実施するための形態」において更に後述される特定の概念を簡略化した形態で紹介するべく提供されるものである。この概要には、特許請求される主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定する意図はなく、また、特許請求される主題の範囲を決定するにあたり、その支援を行う意図もない。
【0016】
本明細書に開示されるのは、サンプルの特性を測定するためのシステムである。一実施形態では、システムは、光を分光計の入力に導くように配置されている光源であって、前記分光計は、前記光源からの前記光を受信し、前記光を、それぞれが異なる波長を有している複数の光出力に分割するように配置されている、光源と、光受信構成要素(ORC)を有している能動的波長選択モジュール(AWSM)と、前記分光計と前記ORCのうちの少なくとも1つに結合されて、前記複数の光出力のうちの選択された1つから前記ORCによって光を受信できるように前記分光計と前記AWSMの間の相対配置を選択的に調整しているアクチュエータであって、前記ORCは前記受信した光をサンプルに導くように構成されている、アクチュエータと、前記サンプルを通過する光の一部を収集するように配置されて、前記収集された光を分析モジュールに伝送しているコレクタとを備え、前記分析モジュールは前記サンプルを透過した光の量を測定し、透過光を前記サンプルの特性と相関させるように構成されている。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記アクチュエータは、前記ORCが前記複数の光出力のうちの選択された1つを受信するように前記ORCと前記分光計との間の相対配置を相互に垂直な第1及び第2方向に選択的に調整するように構成されている。
【0018】
一実施形態では、前記ORCは単一の光ファイバ又は光ファイバアレイを含んでいる。
【0019】
一実施形態では、前記サンプルの前記特性は前記サンプル中の標的化合物の濃度、消衰係数、散乱、又は色である。
【0020】
一実施形態では、前記標的化合物は、タンパク質、抗体、ウイルス、遺伝子治療、細胞治療、ウシ血清アルブミン(BSA)、ワクチン、遺伝子・細胞治療薬からのウイルス、DNA、RNA、細胞比率、抗体複合体、ビール、ワイン、及び界面活性剤のうちの少なくとも1つである。
【0021】
一実施形態では、前記分析モジュールは可変光路長機器を含んでいる。
【0022】
一実施形態では、前記アクチュエータの走査長は前記分光計からの受信した光の100ナノメートル(nm)から1ミリメートル(mm)である。
【0023】
別の実施形態では、サンプル分析に使用するための波長選択機構が開示されている。一実施形態では、前記波長選択機構は、光源から光を受信するための、及び複数の異なる波長で光を出力するための分光計と、前記分光計によって出力された前記光を受信するための光受信構成要素と、前記光受信構成要素及び前記分光計のうちの1つに結合されているアクチュエータであって、前記アクチュエータは、前記光受信構成要素が前記複数の光出力のうちの選択された1つを受信するように前記光受信構成要素と前記分光計との間の相対配置を選択的に調整するように構成されており、前記複数の光出力のうちの前記選択された1つは、前記サンプル中の標的化合物を測定するための波長を有している、アクチュエータとを備えている。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記アクチュエータは、前記ORCが前記複数の光出力のうちの選択された1つを受信するように前記ORCと前記分光計との間の相対配置を相互に垂直な第1及び第2方向に選択的に調整するように構成されている。
【0025】
一実施形態では、前記ORCは単一の光ファイバ又は光ファイバアレイを含んでいる。
【0026】
一実施形態では、前記サンプルの前記特性は前記サンプル中の標的化合物の濃度、消衰係数、散乱、又は色のうちの少なくとも1つである。
【0027】
一実施形態では、前記標的化合物は、タンパク質、抗体、及びウイルスのうちの少なくとも1つである。
【0028】
一実施形態では、前記分析モジュールは可変光路長機器を含んでいる。
【0029】
一実施形態では、前記アクチュエータの走査長は前記分光計からの受信した光の100nmから1mmである。
【0030】
別の実施形態では、サンプルの特性を測定する方法が開示される。一実施形態では、前記方法は、光を分光計の入力に導く段階と、前記分光計にて、前記光を、それぞれが異なる波長を有している複数の光出力に分割する段階と、前記複数の光出力を能動的波長選択モジュール(AWSM)に投影する段階と、前記ORCが前記複数の光出力のうちの選択された1つから光を受信するように、前記分光計と、前記AWSMの光受信構成要素(ORC)とのうちの少なくとも1つを互いに対して移動させる段階と、前記受信した光をサンプルに導く段階と、前記サンプルを通過するある分量の前記受信した光を収集する段階と、前記収集された分量の前記受信した光を分析モジュールに導く段階と、前記分析モジュールにて、前記収集された光を前記サンプルの特性と相関させる段階とを含んでいる。
【0031】
いくつかの実施形態では、前記分光計と前記ORCのうちの少なくとも1つを移動させる段階は、前記ORCが前記複数の光出力のうちの選択された1つを受信するように前記ORCと前記分光計との間の相対配置を相互に垂直な第1及び第2方向に調整する段階を含んでいる。
【0032】
一実施形態では、前記ORCは単一の光ファイバ又は光ファイバアレイを含んでいる。
【0033】
一実施形態では、前記サンプルの前記特性は前記サンプル中の標的化合物の濃度、消衰係数、散乱、又は色のうちの少なくとも1つである。
【0034】
一実施形態では、前記標的化合物は、タンパク質、抗体、ウイルス、遺伝子治療、細胞治療、ウシ血清アルブミン(BSA)、ワクチン、遺伝子・細胞治療薬からのウイルス、DNA、RNA、細胞比率、抗体複合体、ビール、ワイン、及び界面活性剤のうちの少なくとも1つである。
【0035】
一実施形態では、前記分析モジュールは可変光路長機器を含んでいる。
【0036】
一実施形態では、前記アクチュエータの走査長は前記分光計からの受信した光の100nmから1mmである。
【0037】
別の実施形態では、サンプル分析で使用するための選択機構を較正する方法が開示される。前記方法は、分光計にて、入力光を、それぞれが異なる波長を有している複数の光出力に分割する段階と、前記複数の光出力を能動的波長選択モジュール(AWSM)の光受信構成要素(ORC)に投影する段階と、前記ORCが前記複数の光出力のうちの選択された1つから光を受信するように、前記分光計と前記ORCのうちの少なくとも1つを所定の量だけ移動させる段階と、前記受信した光を較正モジュールに導く段階と、前記較正モジュールにて、前記ORCの配置を、前記配置で受信された前記光の波長と相関させる段階と、メモリ装置において、前記ORCの前記配置及び前記配置で受信された前記光の前記波長を保存する段階と、前記投影する段階、移動させる段階、導く段階、相関させる段階、及び保存する段階を繰り返して、前記ORCの複数の配置を、前記複数の配置のそれぞれで受信された光の複数の波長と相関させる較正行列を取得する段階とを含んでいる。いくつかの実施形態では、前記分光計と前記ORCのうちの少なくとも1つを所定の量だけ移動させる段階は、前記分光計と前記ORCのうちの少なくとも1つを相互に垂直な第1及び第2方向に移動させる段階を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
添付図面は、その原理を実際に適用するためにこれまでに考案された、開示されている方法の好ましい実施形態を例示している。
【0039】
図1】公知の可変光路長システムの例示的な実施形態の概略図である。
【0040】
図2】本開示の一態様による、図1の可変光路長システムに光を提供するための光源システムの例示的な実施形態の概略図である。
【0041】
図3】本開示の一態様による、図1の可変光路長システムに光を出力するための光源システムの例示的な実施形態の概略図である。
【0042】
図4】本開示の一態様による、サンプルの特性を測定するための方法の例示的な実施形態のフローチャートである。
【0043】
図5】本開示の一態様による、サンプル分析で使用するための選択機構を較正するための方法の例示的な実施形態のフローチャートである。
【0044】
図6】分光計から最適化された光ビーム強度を取得するために、波長選択面に沿った、最適化されたORC配置を例示する例示的な実施形態の概略図である。
【0045】
図面は必ずしも縮尺通りではなく、開示されている実施形態は時々、図式的にかつ部分的に例示されていることを理解するべきである。特定の例では、開示されている方法及び装置の理解に必要ではない、又は他の詳細部を認識し難くする詳細部は省略されている場合がある。さらに、本開示は、本明細書に例示される特定の実施形態に限定されないことを理解するべきである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
サンプルの特性を測定するための、例えば、可変光路長(VPL)システム又は機器と共に使用するための小型光源システムの様々な特徴、態様又は同種のものを、添付図面を参照して以下でより完全に説明するとともに、ここでは光源システムの1つ又は複数の態様又は特徴を示し、説明する。小型光源システムは、VPLシステムに関連して説明されるが、その用途はそのように限定されないこと、そして、小型光源システムは、分析対象のサンプル内の成分又は成分の特性を分析するために使用できる任意の様々な他のシステム(その非限定的な例はフルオロメータである)とともに使用できることを理解されるだろう。様々な特徴、態様又は同種のものを、互いに独立して、又は互いに組み合わせて使用することができることを理解するべきである。本明細書に開示される光源システムは、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではないことを理解されるだろう。むしろ、これらの実施形態を提供することで、本開示により光源システムの特定の態様又は特徴が当業者に伝わるようになる。これらの図面では、特記しない限り、全体を通して類似の番号が類似の要素を指している。
【0047】
本明細書に開示されるのは、図1に例示され、米国特許第9,939,373号(この内容全体が本明細書に組み込まれる)に開示されているようなVPLシステムに光を供給するために使用される光源システムの実施形態の実施例である。使用時には、光源システムを使用してVPLシステムに光を供給し、サンプルの1つ又は複数のパラメータを計測してもよい。一実施形態では、サンプルは液体であってもよく、1つ又は複数のパラメータを、サンプルを希釈することなく計測してもよい。例えば、UV分光計の光を使用してサンプルセルの特性を計測(これが含む例を挙げるなら、サンプルセル内のタンパク質と抗体の濃度を計測)してもよい。ただし、システムを使用して消衰係数、散乱、色、粒子サイズ、細胞数、純度など、サンプルの任意の様々な特性を計測してもよいことを理解するべきである。しかしながら、システムは前述の特性の計測に限定されるものではなく、システムを使用して、観察中の材料の任意の妥当な物理的特性を計測できることを理解されるだろう。また、システムを使用して任意の様々な標的化合物を計測してもよく、その標的化合物には、例えば、ワクチン、遺伝子・細胞治療薬からのウイルス、DNA、RNA、細胞比率、抗体複合体、ビール、ワイン、界面活性剤及び同種のものが含まれるが、これらに限定されないことを理解するべきである。そのため、本開示は、明示的に主張されない限り、いかなる特定のサンプルセル及び/又は特性にも限定されるべきではない。
【0048】
図2及び3を参照して、実施形態の一実施例では、光源システム100は光源110及び分光計120を含んでもよい。使用時には、光源110は、分光計120の上流に配置されてもよく、光を分光計120の入力122に導くように準備及び構成されるとともに、その分光計は、光源110から光を受信し、その光を、それぞれが異なる波長λ、λ、λ・・・λを有している複数の光出力125に分割するように準備及び構成されている。このように準備されているので、光源システム100は、入ってきた光を所望の高解像度(≒0.15nm)で異なる波長に分割することに利用できる小型の又は非常に小さな分光計120を提供することにより、従来技術の欠点を克服している。
【0049】
光源110は、現在公知の又は今後開発される任意の適切な光源であってもよい。例えば、非限定的で例示的な一実施形態では、光源110をキセノンライト又は単色LEDなどのLEDライトとしてもよいが、他の妥当な任意の光源を使用できることを理解されるだろう。使用時には、その光を、光ファイバ要素を介して分光計120の入力122に送信してもよいが、任意の適切な光送信機構を使用してもよい。
【0050】
例示のように、分光計120は光源110の下流に配置され、光源に結合されて、そこから光を受信する。使用時には、分光計120は、光源110から光を受信し、その光を、それぞれが異なる波長λ、λ、λ・・・λを有している複数の光出力125に分割するように準備及び構成されている(例えば、分光計120は入力光を受信し、その光を、各出力が異なる波長λ、λ、λ・・・λを有している個々の別々の出力に分割し、続いて、これらは能動的波長選択モジュール150に出力されるが、これについては、以下でより詳細に説明する)。一実施形態では、分光計120は、小型な構成で準備及び構成されるとともに、光を、所望の高解像度(≒0.15nm)で異なる波長に分割するように準備及び構成されている。
【0051】
例示及び前述のように、一実施形態では、光源システム100は能動的波長選択モジュール(AWSM)150を備えている。使用時には、AWSM150は、選択的に再配置可能な光受信構成要素(ORC)160を介して複数の光出力125のうちの1つ又は複数を選択的に受信するように構成されている。一実施形態では、ORC160を、光ファイバ、サブミクロン精度の単一要素検出器、単一の光ファイバ、光ファイバアレイ、又は現在公知の若しくは今後開発される他の任意の適切な光搬送構成要素としてもよい。一実施形態では、分光計120及び/又はORC160を、現在公知の又は今後開発される任意の適切な機構によって互いに対して移動可能としてもよい。例えば、一実施形態では、例えば、ステッピングモータ、ソレノイドモータ、又は任意の他の機構若しくはモータなどのアクチュエータ165を、検証可能な増分運動を提供するように準備及び構成してもよい。使用時には、AWSM150は、ORC160に直接的又は間接的のどちらかで結合されたアクチュエータ165を備えて(図2に概略を示す)、ORCを分光計120に対して移動させてもよい。しかしながら、代替的に、アクチュエータ165を分光計120に結合して、分光計120をORC160に対して移動させることで、複数の光出力125のうちの選択された1つからORC160によって所望の光出力を受信できるようにしてもよい。このようにして、以下でより詳細に説明するように、ユーザは、分析される特性及び/又はサンプルに応じて、所望の波長λ、λ、λ・・・λを選択する、又はそれにダイヤルを合わせることができる。
【0052】
使用時には、AWSM150は、能動的かつ高精度の駆動機構として作動するように準備及び構成されている。使用時には、AWSM150は、ORC160及び分光計120を互いに対して移動させるように準備及び構成されることで、ORC160は、分光計120に沿った複数の位置125のうちの1つで光を収集できるようになる。上述のように、各位置125が所望の出力光波長λ、λ、λ・・・λに対応することで、複数の位置125のうちの選択された1つにORC160を配置することにより、ORC160は所望の波長の光を収集できるようになる(例えば、複数の配置125から選ばれた、配置125のうちの1つにORC160を再配置することにより、ユーザは、個々の用途にそれぞれ合わせた所望の波長を正確に選択できる)。
【0053】
例えば、一実施形態では、分光計120は、その全長にわたって延在する複数の出力光位置125を備えてもよい。非限定的で例示的な一実施形態では、走査長は100nmから1mmの間の出力光波長に対応してもよい。非限定的で例示的な他の実施形態では、走査長は200nmから400nmの間の出力光波長に対応してもよい。これらは単なる例であり、他の走査長を使用できることが理解されるだろう。使用時には、走査長に沿った任意の場所にORC160を配置して、特定のサンプルの分析にとって妥当な個々の波長を選択してもよい。例えば、図3の例示の実施形態では、AWSM150は12個の個々の光「選択」位置を提供してもよいが、これは単なる例示のためであり、限定を意図するものではない。
【0054】
このように準備されているので、分光計120又はORC160の一方を選択的に移動、再配置、又は同様のことをすることにより、ユーザは、VPTシステムに送信される光について所望の波長を選択することができる。そのため、様々な異なるサンプル種類及び濃度の分析が容易になるように、システムは準備及び構成されている。つまり、光波長を調整できるようにすることで、システムは、様々な異なる光波長を必要とする異なるサンプルを分析するために使用されるように準備及び構成される。当業者であれば理解できるであろうが、所望の分析結果を提供するためには、検査されるサンプル及び、より具体的には、サンプルの特性に応じて、異なる波長が必要になる。開示されているシステム及び方法により、ユーザは所望の波長を単に選択して、又はそれにダイヤルを合わせて、所与のサンプルに特化した分析を実行することができる。例えば、ユーザは、ウイルス、遺伝子治療、細胞治療、タンパク質、抗体、ウシ血清アルブミン(BSA)又は同種のものを分析してもよく、ユーザは、どのような波長が必要かを知っている。例えば、タンパク質は280nmの波長を必要とする場合があり、カフェインは272nmの波長を必要とする場合があり、色素は310nm又は412nmの波長を必要とする場合がある。使用時には、ユーザは、分析されるサンプルを貫いて特定の波長を透過させるのに必要な特定の波長にシステムを調整して、必要な吸光度値を取得することができる。このように準備されているので、ユーザが複数の吸収ピークをサンプリングできる複数のセットアップを可能にするように、システムは準備及び構成されている(例えば、異なる波長で異なる吸収ピークを見つける走査が、異なる波長にダイヤルを合わせて異なるピークを得ることを、システムは可能にしている)。以下の表1は、一般的な材料のいくつかの非限定的で例示的な吸収ピークを特定している。
【表1】
【0055】
図2に概略を示すように、収集された光をORC160によって、サンプル容器30などのサンプルセル170を貫いて、例えば、検出器50などのコレクタ、検出器又は同種のもの180へ透過させることができる。使用時には、サンプルセル又は容器170を通過する光の一部を収集するようにコレクタ180を配置して、収集された光を分析モジュール185に伝送してもよく、分析モジュール185は、サンプルを透過した光の量を測定し、透過光をサンプルの特性と相関させるように構成されている。非限定的で例示的な一実施形態では、分析モジュール185はVPLシステムの形態であってもよい。分析モジュール185はプロセッサ186及びメモリ187を備えているか、それらに結合されてもよい。また、プロセッサ186を直接的又は間接的のどちらかで、AWSM150、エンコーダ190、アクチュエータ165、及び/又はシステムの他の任意の構成要素に結合して、システム100又はその一部の1つ又は複数の態様の自動制御を可能にしてもよい。
【0056】
上述のように、システムは、分光計120及びORC160を互いに対して移動させるように構成されたアクチュエータを備えることで、分光計120の複数の光出力125のうちの選択された1つからORC160によって光を受信できるようにしてもよい。したがって、アクチュエータを分光計120に結合して、ORC160に対して分光計を移動させてもよい。代替的に、アクチュエータをORC160に結合して、分光計120に対してORCを移動させてもよい。さらに、アクチュエータをORC160と分光計120の両方に結合し、両方の要素を移動させてそれらの相対配置を調整することで、分光計120の複数の光出力125のうちの選択された1つからORC160によって光を受信できるようにしてもよい。一実施形態では、アクチュエータの走査長を、分光計120からの受信した光の100nmから1mmとしてもよく、又は非限定的で例示的な一実施形態では、200nmから400nmとしてもよい。
【0057】
図4を参照すると、サンプル200の特性を測定するための方法の例示的な実施形態が開示されている。例示のように、段階210で、光を分光計120の入力122に導く。段階220で、分光計120にて、その光を、それぞれが異なる波長λ、λ、λ・・・λを有している複数の光出力125に分割する。段階230で、複数の光出力125をAWSM150に投影する。段階240で、分光計120と、AWSM150のORC160とのうちの少なくとも1つを互いに対して移動させることで、ORC160が複数の光出力125のうちの選択された1つから光を受信するようになる。段階250で、受信した光をサンプルに導く。段階260で、サンプルを通過するある分量の受信した光を収集する。段階270で、収集された分量の受信した光を分析モジュール185に導く。段階280で、分析モジュール280にて、収集された光をサンプルの特性と相関させる。
【0058】
一実施形態では、本開示の1つ又は複数の態様にしたがって、ここで、開示されているシステムの較正方法について説明する。使用時には、正確な計測値を取得するために、正確で繰り返し選択可能な波長で光を提供することが望ましい。このような波長精度を確実に取得するため(例えば、選択される波長が、送信又は出力される波長と確実に相関するため)、システムを較正して、分光計120から受信した光の特定の波長を、分光計120とORC160との間の特定の相対配置と関連付けてもよい。例示的な一実施形態では、システムはエンコーダ190を備えてもよく、これを、ORC160を移動させる構成要素に取り付けてもよい。エンコーダ190を2軸で調整可能にして、ORC160の長手方向及び上下方向の調整を提供してもよい。使用時には、エンコーダ190は分光計120とORC160との相対配置を、分光計120によって出力され、ORC160によって受信された光125の特定の波長と相関させる。相対配置情報を、プロセッサ186に関連付けられたメモリ187に格納することができる。複数の配置と光波長を相関させて格納することで、較正ライブラリを生成し、メモリ187に格納することができる。その結果、ユーザが、分析中の特定のサンプルで使用される特定の光波長を選択したとき、システムは較正ライブラリを使用して、選択された波長を、分光計120とORC160との間の格納された相対配置と相関させることができる。次に、エンコーダ190はアクチュエータ165(例えば、ステッピングモータ又は他の装置)に命令して、分光計120とORC160との間の相対配置を所定の値に調整することで、ORC160は特定の光波長で分光計120から光を受信することができるようになる。
【0059】
例えば、一実施形態では、較正方法を開始してもよい。ORC160が分光計120に対する第1位置に配置された状態で、分光計120からの出力光の波長を計測し、第1位置に関連付けられたエンコーダ配置と共にメモリに格納することができる。次に、ORC160を、分光計120に対する第2位置に移動させることができ、分光計120からの出力光の波長を計測し、第2位置に関連付けられたエンコーダ配置と共にメモリに格納することができる。つまり、ORC160又は分光計120は走査方向(例えば、ORC160を分光計120に対して移動させる方向)に移動する。このプロセスを、分光計120とORC160との間の複数の相対配置について繰り返して、複数の波長/配置ペアを含んでいるライブラリを構築することができる。ライブラリがいったん記録されると、ユーザは、特定のサンプルで使用する所望の波長を選択することができ、システムはその波長を、分光計120とORC160との間の特定の相対配置と相関させることができる。次に、システムは分光計120、ORC160、又は両方を移動させて、選択された波長に関連付けられた所定の配置を達成することができる。
【0060】
図5を参照して、サンプル分析300で使用するための選択機構を較正する方法の例示的な実施形態が開示される。例示のように、段階310で、分光計120にて、入力光を、それぞれが異なる波長λ、λ、λ・・・λを有している複数の光出力125に分割する。段階320で、複数の光出力を、AWSM150のORC160に投影する。段階330で、分光計120とORC160のうちの少なくとも1つを所定の量だけ移動させることで、ORC160は、複数の光出力125のうちの選択された1つから光を受信するようになる。段階340で、受信した光を較正モジュールに導く。段階350で、較正モジュールにて、ORC160の配置を、その配置で受信された光の波長と相関させる。段階360で、メモリ装置において、ORC160の配置及びその配置で受信された光の波長を格納する。段階370で、段階320(投影する段階)、330(移動させる段階)、340(導く段階)、350(相関させる段階)、及び360(保存する段階)を繰り返して、ORC160の複数の配置を、その複数の配置のそれぞれで受信された光の複数の波長と相関させる較正行列を取得する。
【0061】
本開示によると、より小さく、より小型な(例えば、より小さな設置面積)光源110を利用することができ、それによりシステムの可搬性が増すことになる。また、本開示の態様を組み込むことにより、使用しやすく、複雑でないシステムを達成できる。さらに、このシステムは、必要に応じて様々な構成要素の構築及び組立を可能にするモジュラー構造を提供している。
【0062】
ここで図6を参照して、本明細書に開示される他の態様と共に使用され得る本開示の別の態様によると、選択された各波長配置でORC160が受信する光の量を最大にするために、個々の光ビーム125のそれぞれに対する所望の位置にORC160を配置するように、システム100を構成してもよい。このような準備により、ORC160は、サンプル計測での誤差を最小限に抑えるために、様々な波長にわたって終始変わらぬ光強度を確実に取得することができる。
【0063】
理解されるように、分光計120によって放出された光ビーム125のプロファイルは、円形、楕円形、長方形等の異なる形状を有している可能性があり、光の強度は完全なビーム形状全体に均一に分散しない場合がある。したがって、最大光強度が存在する、各光ビーム内の位置にORC160を配置することが望ましい可能性がある。図6は非限定的な実施形態を例示しているが、ここで、分光計によって様々な波長λ、λ、λ・・・λで放出された光出力125は楕円形になっており、各光出力の最適な光強度(すなわち、最大強度)は、各ビーム内の異なる配置に位置している。例えば、例示の実施形態では、最大光強度の配置は、1つ又は複数の他の波長λ、λ、λ・・・λと比較して、y軸(走査軸に垂直な軸)に沿った異なる配置に位置し得る。
【0064】
したがって、いくつかの実施形態では、AWSM150又は分光計120に、又はその中に、追加的な程度の運動を提供して、y軸での配置調整を可能にすることができるので、システム100が各波長配置での最大光強度の位置にORC160を配置することが可能になる。ORC160又は分光計120を、走査方向(図6のx軸)に垂直な方向(図6のy軸)に移動するように準備することにより、システムは、各ビーム125内の最大ビーム強度スポットを取得するように、ORC160及び/又は分光計120を配置することができる。
【0065】
この最適なビーム強度配置を、図5に関連して説明された較正方法に統合することで、各所望の波長λ、λ、λ・・・λに対するORC160の走査方向(x軸)配置を格納することに加えて、各所望の波長の最大光強度に対応してORC160の追加的なy軸配置を取得して、格納することができるようになる。その結果、稼働中に、走査軸(x軸)に沿って移動することに加えて、ORC160(又は分光計120)を走査軸に垂直なy軸方向に移動させることで、ORC160を、関連付けられた光ビーム125内の最大ビーム強度位置に配置することができるようになる。
【0066】
そのため、較正中、起動時、又はサンプルを計測する前に、光強度を調整又は最適化できる。これは、所定の波長の光ビームをAWSM150のORC160に結合することによって達成され得る。光強度の調整を可能にすることで、量を増加させた透過光をサンプルの濃度計測に使用できるので、これにより、より高いサンプル濃度など、より広い範囲のサンプル計測が可能になる。
【0067】
前述の準備は、ORCによる光の収集を最適化する方法の一実施例にすぎず、他の準備を使用できることを理解されるだろう。例えば、光源110を調整することにより、例えば、入口及び/若しくは出口スリット、妥当な光学系又は同種のものを組み込むことにより、光強度の調整が可能になることが想定される。
【0068】
本発明は、特定の実施形態に関連して開示されてきたが、説明された実施形態に対する数多くの修正、変更、変化が、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく可能である。よって、本発明は説明された実施形態に制限されず、それは、以下の特許請求の範囲の言語及びその等価物により定義される全範囲を有することが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6