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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】設計支援装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20240423BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20240423BHJP
   G06F 30/27 20200101ALI20240423BHJP
   E04B 1/00 20060101ALI20240423BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240423BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/10
G06F30/27
E04B1/00 ESW
G06Q50/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020068415
(22)【出願日】2020-04-06
(65)【公開番号】P2021165893
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-03-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年4月20日 第65回構造工学シンポジウムにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年7月1日 structure NO.151 2019.7にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年7月1日 日経アーキテクチュア NO.1146 2019 6-27にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年10月10日 日経XTECH EXPO 2019にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年12月13日 日本建築学会 第42回 情報・システム・利用・技術シンポジウムにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年1月17日 JSCA30周年記念シンポジウムにて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年1月22日 JSCA広島新春技術発表会にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(73)【特許権者】
【識別番号】514080981
【氏名又は名称】HEROZ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 高義
(72)【発明者】
【氏名】内山 元希
(72)【発明者】
【氏名】亀森 淳也
(72)【発明者】
【氏名】金子 侑樹
(72)【発明者】
【氏名】川上 沢馬
(72)【発明者】
【氏名】中村 亮太
(72)【発明者】
【氏名】前田 周作
(72)【発明者】
【氏名】和多田 遼
(72)【発明者】
【氏名】木下 拓也
(72)【発明者】
【氏名】松岡 康友
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 琢也
(72)【発明者】
【氏名】九嶋 壮一郎
(72)【発明者】
【氏名】池田 周英
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 孝
(72)【発明者】
【氏名】井口 圭一
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 直樹
(72)【発明者】
【氏名】谷澤 理一
(72)【発明者】
【氏名】奥田 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】関 享太
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-332689(JP,A)
【文献】特開2005-215997(JP,A)
【文献】特開2020-035325(JP,A)
【文献】特開2003-141191(JP,A)
【文献】特開2004-245040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00-30/28
E04B 1/00
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された設計対象の建物のボリュームまたは平面形状に対して複数の構造部材を取得する構造部材取得部と、
設計条件に関する値を、連続的に変更させる変更指示を受け付け可能な状態で表示する設計条件表示部と、
前記変更指示を受け付けると、前記取得された複数の構造部材の各々について、前記受け付けた変更指示が表す前記設計条件に関する値と、前記構造部材の位置情報とに基づいて、前記構造部材の断面構造を計算する断面構造計算部と、
前記断面構造計算部による計算結果を表示する断面構造表示部と、
を含む設計支援装置。
【請求項2】
前記断面構造計算部は、前記取得された複数の構造部材の各々について、前記受け付けた変更指示が表す前記設計条件に関する値と、前記構造部材の位置情報とに基づいて、前記設計条件に関する値と、前記構造部材の位置情報とを入力とし、前記構造部材の断面構造を計算する予め学習された学習済みモデルを用いて、前記構造部材の断面構造を計算する請求項1記載の設計支援装置。
【請求項3】
前記構造部材取得部は、前記複数の構造部材からなる構造部材生成案を複数取得し、
前記断面構造計算部は、前記構造部材生成案毎に、前記構造部材生成案の複数の構造部材の各々について前記断面構造を計算し、
前記断面構造表示部は、前記構造部材生成案毎の計算結果を、比較可能に表示すると共に、前記構造部材生成案の何れを選択するかを受け付ける請求項1又は2記載の設計支援装置。
【請求項4】
前記取得された複数の構造部材を、前記建物のボリュームまたは平面形状に重畳させて表示する構造部材表示部を更に含み、
前記構造部材取得部は、入力された設計対象の建物のボリュームまたは平面形状に対して、前記受け付けた変更指示が表す前記設計条件に関する値に基づいて、複数の構造部材を生成する請求項1~請求項3の何れか1項記載の設計支援装置。
【請求項5】
前記取得された複数の構造部材を、前記建物のボリュームまたは平面形状に重畳させて表示すると共に、前記取得された複数の構造部材を、前記構造部材の追加、削除、又は移動する構造部材変更指示を受け付け可能な状態で表示する構造部材表示部を更に含み、
前記断面構造計算部は、前記構造部材変更指示を受け付けると、前記構造部材変更指示に応じた変更後の複数の構造部材の各々について、前記受け付けた変更指示が表す前記設計条件に関する値と、前記構造部材の位置情報とに基づいて、前記構造部材の断面構造を計算する請求項1~請求項4の何れか1項記載の設計支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄骨構造物の基本事項データを入力する工程と、前記基本事項データと予め設定された所定の部材配置ルールとに基づいて鉄骨構造物の構造部材データを生成する工程とを備えたことを特徴とする鉄骨構造物の設計支援システムが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-245040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術では、入力画面における基本事項データの入力完了後に、鉄骨構造物の構造部材データを生成して生成結果を表示する。しかし、上記特許文献1には、入力値を連続的に変化させながらリアルタイムで結果を表示することについては記載されていない。
【0005】
本発明は上記事実を考慮して、利便性の高いインタフェースで、効率的な建物の構造設計を支援することができることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る設計支援装置は、入力された設計対象の建物のボリュームまたは平面形状に対して複数の構造部材を取得する構造部材取得部と、設計条件に関する値を、連続的に変更させる変更指示を受け付け可能な状態で表示する設計条件表示部と、前記変更指示を受け付けると、前記取得された複数の構造部材の各々について、前記受け付けた変更指示が表す前記設計条件に関する値と、前記構造部材の位置情報とに基づいて、前記構造部材の断面構造を計算する断面構造計算部と、前記断面構造計算部による計算結果を表示する断面構造表示部と、を含んで構成されている。
【0007】
本発明に係る設計支援装置によれば、構造部材取得部によって、入力された設計対象の建物のボリュームまたは平面形状に対して複数の構造部材を取得する。設計条件表示部によって、設計条件に関する値を、連続的に変更させる変更指示を受け付け可能な状態で表示する。断面構造計算部によって、前記変更指示を受け付けると、前記取得された複数の構造部材の各々について、前記受け付けた変更指示が表す前記設計条件に関する値と、前記構造部材の位置情報とに基づいて、前記構造部材の断面構造を計算する。断面構造表示部によって、前記断面構造計算部による計算結果を表示する。
【0008】
このように、設計条件に関する値を、連続的に変更させる変更指示を受け付けると、前記取得された複数の構造部材の各々について、前記受け付けた変更指示が表す前記設計条件に関する値と、前記構造部材の位置情報とに基づいて、前記構造部材の断面構造を計算し、計算結果を表示することにより、利便性の高いインタフェースで、効率的な建物の構造設計を支援することができる。
【0009】
本発明に係る設計支援装置は、前記断面構造計算部は、前記取得された複数の構造部材の各々について、前記受け付けた変更指示が表す前記設計条件に関する値と、前記構造部材の位置情報とに基づいて、前記設計条件に関する値と、前記構造部材の位置情報とを入力とし、前記構造部材の断面構造を計算する予め学習された学習済みモデルを用いて、前記構造部材の断面構造を計算することができる。これにより、学習済みモデルを用いて、前記構造部材の断面構造を精度よく計算することができる。
【0010】
本発明に係る設計支援装置は、前記構造部材取得部は、前記複数の構造部材からなる構造部材生成案を複数取得し、前記断面構造計算部は、前記構造部材生成案毎に、前記構造部材生成案の複数の構造部材の各々について前記断面構造を計算し、前記断面構造表示部は、前記構造部材生成案毎の計算結果を、比較可能に表示すると共に、前記構造部材生成案の何れを選択するかを受け付けることができる。これにより、より効率的な建物の構造設計を支援することができる。
【0011】
本発明に係る設計支援装置は、前記取得された複数の構造部材を、前記建物のボリュームまたは平面形状に重畳させて表示する構造部材表示部を更に含み、前記構造部材取得部は、入力された設計対象の建物のボリュームまたは平面形状に対して、前記受け付けた変更指示が表す前記設計条件に関する値に基づいて、複数の構造部材を生成することができる。これにより、複数の構造部材を自動的に生成できるため、より効率的な建物の構造設計を支援することができる。
【0012】
本発明に係る設計支援装置は、前記取得された複数の構造部材を、前記建物のボリュームに重畳させて表示すると共に、前記取得された複数の構造部材を、前記構造部材の追加、削除、又は移動する構造部材変更指示を受け付け可能な状態で表示する構造部材表示部を更に含み、前記断面構造表示部は、前記構造部材変更指示を受け付けると、前記構造部材変更指示に応じた変更後の複数の構造部材の各々について、前記受け付けた変更指示が表す前記設計条件に関する値と、前記構造部材の位置情報とに基づいて、前記構造部材の断面構造を計算することができる。これにより、構造部材を変更できるため、より効率的な建物の構造設計を支援することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明の設計支援装置によれば、設計条件に関する値を、連続的に変更させる変更指示を受け付けると、前記取得された複数の構造部材の各々について、前記受け付けた変更指示が表す前記設計条件に関する値と、前記構造部材の位置情報とに基づいて、前記構造部材の断面構造を計算し、計算結果を表示することにより、利便性の高いインタフェースで、効率的な建物の構造設計を支援することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る学習装置及び設計支援装置を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係る学習装置を示す機能ブロック図である。
図3】フレームの部材情報及び断面情報を説明するための図である。
図4】学習済みモデルの例を示す図である。
図5】本発明の実施の形態に係る設計支援装置を示す機能ブロック図である。
図6】設計条件に関する値の変更指示を受け付ける画面の例を示す図である。
図7】フレーム構成案を比較可能に表示する画面の例を示す図である。
図8】フレーム構成案における断面構造の計算結果を表示する画面の例を示す図である。
図9】フレームの追加、削除、及び移動の指示を受け付ける画面の例を示す図である。
図10】本発明の実施の形態に係る設計支援装置の設計支援処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
[本発明の実施の形態]
<本発明の形態の学習装置の構成>
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る学習装置100は、CPU12、グラフィックカード13、GPU14、RAM16、HDD18、通信インタフェース21、及びこれらを相互に接続するためのバス23を備えている。
【0017】
CPU12、GPU14は、各種プログラムを実行する。RAM16は、CPU12による各種プログラムの実行時におけるワークエリア等として用いられる。記録媒体としてのHDD18には、後述する学習処理ルーチンを実行するためのプログラムを含む各種プログラムや各種データが記憶されている。
【0018】
本実施の形態における学習装置100を、学習処理ルーチンを実行するためのプログラムに沿って、機能ブロックで表すと、図2に示すようになる。学習装置100は、入力部10、演算部20、及び出力部50を備えている。
【0019】
入力部10は、建物の実績情報からフレームの各々について得られる、設計条件に関する値と、フレームの位置情報と、フレームの断面構造との組み合わせを含む学習用データを入力として受け付ける。
【0020】
具体的には、建物の実績情報から、フレーム毎に、部材情報(図3の長さL、角度θ、建物内の位置(高さ方向の位置、平面上の位置)、階高、部材密度(スパン)、負担面積、荷重条件、所属するフレームのせん断力負担率、等)と、断面構造を表す断面情報(図3の部材幅D、部材成B、部材厚t、材料強度、部材重量、部材性能、等)とを求め、フレーム毎に、部材情報と断面情報との組み合わせを含む学習用データを受け付ける。
【0021】
演算部20は、学習部22を備えている。
【0022】
学習部22は、入力部10により受け付けた複数の学習用データに基づいて、学習済みモデルを得る。
【0023】
具体的には、学習済みモデルは、部材情報(長さ、角度、建物内の位置(高さ方向の位置、平面上の位置)、階高、部材密度(スパン)、負担面積、荷重条件、所属するフレームのせん断力負担率、等)を入力データとし、断面情報(部材幅、部材成、部材厚、材料強度、部材重量、部材性能、等)を出力データとする(図4参照)。例えば、図4に示されるように、モデルの一例としてニューラルネットワークを用いることができ、学習アルゴリズムの一例としてディープラーニングを用いることができ、学習用データの部材情報を入力したときに、当該学習データの断面情報が出力されるように、学習済みモデルが学習される。
【0024】
<本発明の形態の設計支援装置の構成>
上記図1に示すように、本発明の実施の形態に係る設計支援装置200は、学習装置100と同様に、CPU12、グラフィックカード13、GPU14、RAM16、HDD18、通信インタフェース21、及びこれらを相互に接続するためのバス23を備えている。
【0025】
CPU12、GPU14は、各種プログラムを実行する。RAM16は、CPU12による各種プログラムの実行時におけるワークエリア等として用いられる。記録媒体としてのHDD18には、後述する設計支援処理ルーチンを実行するためのプログラムを含む各種プログラムや各種データが記憶されている。
【0026】
本実施の形態における設計支援装置200を、設計支援処理ルーチンを実行するためのプログラムに沿って、機能ブロックで表すと、図5に示すようになる。設計支援装置200は、入力部110、演算部120、及び出力部150を備えている。
【0027】
入力部110は、設計対象の建物のボリュームまたは平面形状を入力として受け付ける。また、入力部110は、設計条件に関する値を入力として受け付ける。例えば、設計条件に関する値として、階数、部材密度(スパン)、負担面積、荷重条件、フレームのせん断力負担率、等を受け付ける。
【0028】
演算部120は、構造部材生成部122、構造部材表示部124、設計条件表示部126、断面構造計算部128、モデル記憶部130、及び断面構造表示部132を備えている。
【0029】
設計条件表示部126は、設計条件に関する値の、連続的な変更指示を受け付け可能な状態で出力部150により表示する。例えば、図6に示すような画面において、X方向の代表スパン、Y方向の代表スパン、階数、荷重レベル、耐震要素数、耐震要素のせん断力負担率、等を、スライドバーで表示する。
【0030】
構造部材生成部122は、入力された設計対象の建物のボリュームまたは平面形状に対して、設計条件表示部126で受け付けた設計条件に関する値に基づいて、複数のフレームを生成し、構造部材表示部124により、上記図6に示すように、生成したフレームを、建物のボリュームに重畳させて表示する。例えば、建物のボリュームまたは平面形状に対して、設計条件に関する値に基づいて複数のフレームを生成するための予め学習されたモデルを用いて、複数のフレームを生成する。なお、設計対象の建物の構造種別(例えば、SRC)、フレーム生成案数(例えば、12)、使用するモデル(例えば、ジェネレータA)、モデルパラメータ(例えば、123)が、予め設定されているものとする。
【0031】
本実施の形態では、複数のフレーム生成案を生成するため、図7に示すような画面において、フレーム生成案毎に、生成したフレームを、建物のボリュームに重畳させて表示する。
【0032】
断面構造計算部128は、フレーム生成案毎に、当該フレーム生成案に含まれるフレームの各々について、受け付けた設計条件に関する値と、フレームの位置情報とに基づいて、モデル記憶部130に記憶されている学習済みモデルを用いて、フレームの断面構造を計算し、断面構造表示部132により、計算結果を表示する。
【0033】
例えば、フレーム毎に、設計条件に関する値及びフレームの位置情報を含む部材情報(長さ、角度、建物内の位置(高さ方向の位置、平面上の位置)、階高、部材密度(スパン)、負担面積、荷重条件、所属するフレームのせん断力負担率、等)を学習済みモデルに入力して、断面情報(部材幅、部材成、部材厚、材料強度、部材重量、部材性能、等)を求める。
【0034】
そして、図8に示すような画面において、計算結果として、計算された断面構造を反映したフレームを、建物のボリュームに重畳させて視覚的に表示したり、断面情報ごとに色分けして表示したり、計算されたフレームの断面構造を用いた、数量、重さ、コストの計算結果を表示したりする。また、上記図7に示すように、複数のフレーム生成案を、比較可能に表示し、何れのフレーム生成案を選択するかを受け付ける。
【0035】
また、断面構造計算部128は、設計条件表示部126で設計条件に関する値の変更指示を受け付けると、変更後の値を取得し、変更後の設計条件に関する値と、フレームの位置情報とに基づいて、フレームの断面構造を再計算し、断面構造表示部132により、リアルタイムで計算結果を表示する。
【0036】
例えば、上記図6に示すように、X方向の代表スパン、Y方向の代表スパン、階数、荷重レベル、耐震要素数、又は耐震要素のせん断力負担率の変更指示を、スライドバーで受け付けると、変更後の値を用いた部材情報を学習済みモデルに入力して、断面情報を求め、計算された断面構造を反映したフレームを、建物のボリュームに重畳させて視覚的に表示したり、計算されたフレームの断面構造を用いた、数量、重さ、コストの計算結果を表示したりする。
【0037】
更に、構造部材表示部124が、図9に示すような入力画面上で、フレームを追加・削除・移動する変更指示も受け付け可能に構成されてもよい。この場合、当該変更指示を受け付けると、断面構造計算部128は、変更後のフレームの位置情報を取得し、設計条件に関する値と、変更後のフレームの位置情報とに基づいて、フレームの断面構造を再計算し、断面構造表示部132により、リアルタイムで計算結果を表示する。
【0038】
モデル記憶部130には、学習装置100によって構造部材の種類毎に学習された学習済みモデルが記憶されている。
【0039】
<学習装置の動作>
次に、本発明の実施の形態に係る学習装置100の動作について説明する。
【0040】
入力部10によって、建物の実績情報からフレームの各々について得られる、設計条件に関する値と、フレームの位置情報と、フレームの断面構造との組み合わせを含む学習用データを入力として受け付ける。そして、学習部22は、入力部10により受け付けた複数の学習用データに基づいて、学習済みモデルを得る。
【0041】
<設計支援装置の動作>
次に、本発明の実施の形態に係る設計支援装置200の動作について説明する。
【0042】
まず、学習装置100によって学習された学習済みモデルに関するデータが、モデル記憶部130に格納される。
【0043】
そして、入力部110によって、設計対象の建物のボリュームまたは平面形状を入力として受け付けると共に、設計条件に関する値を受け付けると、設計支援装置200によって、図10に示す設計支援処理ルーチンが実行される。
【0044】
まず、ステップS100において、構造部材生成部122は、入力された設計対象の建物のボリュームまたは平面形状を取得する。ステップS102において、構造部材生成部122は、設計対象の建物のボリュームまたは平面形状に対して、受け付けた設計条件に関する値に基づいて、複数のフレームを生成する。このとき、複数のフレーム生成案を生成する。
【0045】
ステップS104では、構造部材表示部124により、上記図7に示すように、フレーム生成案毎に、生成したフレームを、建物のボリュームに重畳させて表示する。このとき、何れか一つのフレーム生成案の選択を受け付ける。
【0046】
ステップS106では、設計条件表示部126は、設計条件に関する値の、連続的な変更指示を受け付け可能な状態で出力部150により表示し、設計条件に関する値の変更指示を受け付けたか否かを判定する。変更条件を受け付けると、ステップS108へ進む。
【0047】
ステップS108では、断面構造計算部128は、選択中のフレーム生成案に含まれるフレームの各々について、設計条件に関する変更後の値を取得し、変更後の設計条件に関する値と、フレームの位置情報とに基づいて、学習装置10により学習した学習済みモデルを用いて、フレームの断面構造を計算する。なお、フレーム生成案毎に、当該フレーム生成案に含まれるフレームの各々について、設計条件に関する変更後の値を取得し、変更後の設計条件に関する値と、フレームの位置情報とに基づいて、学習装置10により学習した学習済みモデルを用いて、フレームの断面構造を計算するようにしてもよい。
【0048】
ステップS110では、構造部材表示部124により、選択中のフレーム生成案について、計算結果を反映したフレームを、建物のボリュームまたは平面形状に重畳させて表示すると共に、断面構造表示部132により、計算結果を表示する。
【0049】
ステップS112では、断面構造を再計算するか否かを判定する。例えば、入力部110により、断面構造を再計算する指示を受け付けると、上記ステップS106へ戻る。一方、入力部110により、断面構造の計算を終了する指示を受け付けると、ステップS114へ進む。
【0050】
ステップS114では、構造部材表示部124により、フレーム生成案毎に、断面構造の計算結果を反映したフレームを、建物のボリュームまたは平面形状に重畳させて表示し、何れか一つのフレーム生成案の選択を受け付けたか否かを判定する。何れか一つのフレーム生成案の選択を受け付けると、ステップS116へ進む。
【0051】
ステップS116では、構造部材表示部124により、最終的に選択されたフレーム生成案について、計算結果を反映したフレームを、建物のボリュームまたは平面形状に重畳させて表示すると共に、断面構造表示部132により、計算結果を表示し、設計支援処理ルーチンを終了する。
【0052】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る設計支援装置によれば、設計条件に関する値を、連続的に変更させる変更指示を受け付けると、設計対象の建物のボリュームまたは平面形状に対して生成された複数のフレームの各々について、受け付けた変更指示が表す設計条件に関する値と、フレームの位置情報とに基づいて、フレームの断面構造を計算し、計算結果を表示することにより、利便性の高いインタフェースで、効率的な建物の構造設計を支援することができる。
【0053】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0054】
例えば、上述した実施形態では、構造部材としての柱や梁であるフレームの断面構造を計算する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、フレーム以外の構造部材の断面構造を計算する場合に本発明を適用してもよい。例えば、壁の断面構造を計算するようにしてもよい。
【0055】
また、学習装置と設計支援装置とが別々の装置として構成されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、学習装置と設計支援装置とを一つの装置として構成してもよい。
【0056】
また、本発明のプログラムは、記憶媒体に格納して提供するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10、110 入力部
20、120 演算部
22 学習部
50、150 出力部
100 学習装置
122 構造部材生成部
124 構造部材表示部
126 設計条件表示部
128 断面構造計算部
130 モデル記憶部
132 断面構造表示部
200 設計支援装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10