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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】廃熱再利用装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
B01D53/26 200
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020075437
(22)【出願日】2020-04-21
(65)【公開番号】P2021171677
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(73)【特許権者】
【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中根 淳志
(72)【発明者】
【氏名】中井 基生
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 利幸
(72)【発明者】
【氏名】堀部 明彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 寛
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-030754(JP,A)
【文献】特開2007-024447(JP,A)
【文献】特開2006-242489(JP,A)
【文献】特開2007-132614(JP,A)
【文献】特開2016-043278(JP,A)
【文献】特開2012-215334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26-53/28
F24F 3/00- 3/167
F26B 1/00-25/22
B01J 20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイと、
設備から排出される熱風を前記トレイへ導き可能なフードと、を備えており、
前記トレイは、粒状のデシカント剤を水平方向に沿って載せ可能に構成されており、
前記トレイに前記デシカント剤を載せた状態で前記フードから前記熱風が導かれると、導かれた前記熱風が前記トレイに沿って通過し、
前記トレイは、高さ方向に沿って所定の間隔を隔てて複数段に重ねられ、
前記フードは、前記設備から前記排出される前記熱風を受け入れる入口と、前記入口から受け入れた前記熱風を前記トレイへ導く出口を有する四角錐筒状に構成され、
前記入口は、前記出口より開口サイズが狭く形成され、
前記フードの前記出口の幅長は、前記複数段に重ねられた全ての前記トレイが前記フードの前記出口に収まるように前記全ての前記トレイの幅長より長く設定され、
前記トレイは、開口サイズが前記デシカント剤の粒径より小さいメッシュ状に構成される廃熱再利用装置。
【請求項2】
請求項1に記載の廃熱再利用装置であって、
前記フードの前記出口には、前記熱風に含まれる粉塵を除去可能なフィルタを備えている廃熱再利用装置。
【請求項3】
請求項1~2のいずれかに記載の廃熱再利用装置であって、
前記デシカント剤は、高分子デシカント剤である廃熱再利用装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の廃熱再利用装置であって、
前記複数段に重ねられた前記トレイは、乾燥庫に収容され、
前記乾燥庫は、前記熱風の通過する方向に沿った側部が開口する廃熱再利用装置。
【請求項5】
請求項4に記載の廃熱再利用装置であって、
前記乾燥庫は、前記トレイが前記熱風の通過する方向に沿ってスライド可能に構成される廃熱再利用装置。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃熱再利用装置に関し、詳しくは、粒状のデシカント剤を再生する廃熱再利用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気中から湿気を取り除くために、例えば、粒状のデシカント剤を使用して除湿する技術が既に知られている。ここで、下記特許文献1には、除湿後(使用済み)のデシカント剤を加熱する技術が開示されている。これにより、除湿後のデシカント剤を再生できる。そのため、除湿後のデシカント剤を廃棄することなく繰り返し使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4753102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の技術では、デシカント剤を加熱する加熱装置および加熱装置を制御する制御装置が必要となっていた。そのため、これら加熱装置および制御装置を動作させるための外部電源(電力の供給源)が必要となっていた。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、粒状のデシカント剤を再生する廃熱再利用装置において、外部電源を不要とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの特徴によると、廃熱再利用装置は、トレイと、設備から排出される熱風をトレイへ導き可能なフードとを備えている。トレイは、粒状のデシカント剤を水平方向に沿って載せ可能に構成されている。トレイにデシカント剤を載せた状態でフードから熱風が導かれると、導かれた熱風がトレイに沿って通過する。
【0007】
そのため、トレイに除湿後の粒状のデシカント剤を載せておくと、デシカント剤が乾燥(放湿)し始める。したがって、設備から排出された熱風を利用して、除湿後の粒状のデシカント剤を再生できる。この再生において外部電源を不要にできる。
【0008】
本開示の他の特徴によると、トレイは、高さ方向に沿って所定の間隔を隔てて複数段に重ねられている。
【0009】
そのため、トレイの平面視サイズがコンパクトでも、一度に多くのデシカント剤を再生できる。
【0010】
また、本開示の他の特徴によると、フードの出口には、熱風に含まれる粉塵を除去可能なフィルタを備えている。
【0011】
そのため、綺麗な熱風によってデシカント剤を再生できる。したがって、再生後のデシカント剤に粉塵の付着を防止できる。
【0012】
また、本開示の他の特徴によると、トレイは、複数の開口を有するメッシュ状に構成されている。開口の開口サイズは、デシカント剤の粒径より小さく設定されている。
【0013】
そのため、デシカント剤の再生において、トレイの開口を介して設備から排出された熱風をデシカント剤に付与できる。したがって、デシカント剤を十分に乾燥(再生)させることができる。
【0014】
また、本開示の他の特徴によると、デシカント剤は、高分子デシカント剤である。
【0015】
そのため、デシカント剤の再生に高温(例えば、「200度」)を要することがない。したがって、比較的に低温(例えば、「40~80度」)でデシカント剤の再生ができるため、低温の熱風を捨てることなく有効利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る廃熱再利用装置の全体構成を示す縦断面の模式図である。
図2図1の廃熱再利用装置の全体構成の平面の模式図であり、乾燥庫の天板を透過した状態を示している。
図3図1の廃熱再利用装置の乾燥庫の斜視図である。
図4図1の廃熱再利用装置をフロアに設置した状態を説明する縦断面の模式図である。
図5図4の廃熱再利用装置の全体構成の平面の模式図であり、乾燥庫の天板を透過した状態を示している。
図6図4の廃熱再利用装置の使用状態を説明する縦断面の模式図である。
図7図6の廃熱再利用装置の全体構成の平面の模式図であり、乾燥庫の天板を透過した状態を示している。
図8】デシカント剤の収着割合の変化値を説明する図である。
図9】デシカント剤の体積膨張について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を、図1~9を用いて説明する。まず、図1~3を参照して、本発明の実施形態に係る廃熱再利用装置1の概略構成を説明する。また、以下の説明にあたって、上、下、前、後、左、右とは、上述した図に記載した、上、下、前、後、左、右の方向を示している。
【0018】
この廃熱再利用装置1は、主として、乾燥庫10と、トレイ群20と、フード30とを備えている。以下に、これら乾燥庫10と、トレイ群20と、フード30とを個別に説明する。
【0019】
はじめに、乾燥庫10を説明する。この乾燥庫10は、正方形状の天板11と、天板11に対向する正方形状の底板12と、天板11と底板12とを橋渡す長方形状の前側板13と、前側板13に対向する長方形状の後側板14とから矩形筒状に構成されている。そのため、この乾燥庫10は、乾燥庫10の左開口10cと右開口10dとを介して内部10aと外部10bとが連通している。
【0020】
また、この乾燥庫10は、作業者(図示しない)が所望する場所に持ち運んで据え置き可能に構成されている。この前側板13と後側板14との各内面には、前後に対向するレール13a、14aが上下に沿って5対形成されている。また、この前側板13の右上角の近傍および右下角の近傍には、後述するフード30を連結するための取付孔13bが形成されている。これと同様に、この後側板14の右上角の近傍および右下角の近傍には、後述するフード30を連結するための取付孔14bが形成されている。
【0021】
そのため、この5対のレール13a、14aに後述する5枚のトレイ21をそれぞれ橋渡して載せる(支持する)ことができる。また、この載せた5枚のトレイ21を左右方向に沿ってスライドさせることもできる。この5対のレール13a、14aは、互いが上下に沿って所定の間隔(例えば、「40mm」)を隔てて形成されている。この所定の間隔とは、5枚のトレイ21のスライドに差し支えることがないようにスムーズにスライドさせることができる間隔である。乾燥庫10は、このように構成されている。
【0022】
次に、トレイ群20を説明する。このトレイ群20は、防錆性の高い素材である金属製(例えば、ステンレス製)から成る正方形状の5枚のトレイ21から構成されている。この金属製により、後述する粒状のデシカント剤25の乾燥時(放湿時)における錆の発生を防止できる。このトレイ21は、平坦部と、この平坦部の4辺から立ち上がる4か所の側部とから構成されている。この4か所の側部により、平坦部に載せたデシカント剤25が脱落することを防止できる。この5枚のトレイ21は、デシカント剤25を水平方向に沿って重なることがないように平積み状態で載せ可能なメッシュ状(水平方向に沿った開口22を複数有する形状)に構成されている。
【0023】
なお、このトレイ21は、その全て(平坦部、前後左右の4か所の側部)がメッシュ状に構成されている。そのため、この5枚のトレイ21(平坦部)に粒状のデシカント剤25を載せても、この載せた粒状のデシカント剤25が5枚のトレイ21から抜け落ちることを防止できる。すなわち、このトレイ21の開口22の開口サイズは、デシカント剤25の粒径より小さく設定されている。
【0024】
このトレイ21は、平面視において、一辺が「300mm」の正方形状の四角形となっている。また、このトレイ21は、その高さが「20mm」となっている。このデシカント剤25は、再生温度が40~80度で放湿、再利用可能な粒形であり、平均粒径が「約2.6mm」の高分子デシカント剤であり、例えば、日本エクスラン工業株式会社製のポリアクリル酸系材料から成るものである。
【0025】
この5枚のトレイ21は、上述した乾燥庫10の5対のレール13a、14aに載せられている。そのため、この5枚のトレイ21は、上下方向(高さ方向)に沿って所定の間隔を隔てて5段(上から順番に、上段、上中段、中段、下中段、下段)に重ねられている。このように重ねられていると、5枚のトレイ21の間隔が「20mm」となっている。そのため、後述する熱風40の導きが阻害されることなく、5枚のトレイ21の間に十分に熱風40を行き亘らせることができる。トレイ群20は、このように構成されている。
【0026】
最後に、フード30を説明する。このフード30は、後述するモータ35の吹出口35fから排出される熱風40を5枚のトレイ21へ導き可能に、入口31の開口サイズが狭く、出口32の開口サイズが広い四角錐筒状に構成されている。そのため、この入口31から熱風40を取り込むと、この取り込んだ熱風40を上下方向および前後方向に拡散した状態で出口32から放出できる。
【0027】
この出口32には、内側(出口32の中心側)に向けて張り出した張出部32aが形成されている。この張出部32aの適宜個所には、押え部材34が溶接によって接合されている。また、この出口32には、これら張出部32aと押え部材34との間に挟まれるように、熱風40に含まれる粉塵(図示しない)を除去可能なフィルタ33が取り付けられている。また、この押え部材34には、出口32の四隅で、取付孔13b、14bに対応する取付孔34aを有する取付座34bが一体に形成されている。
【0028】
また、このフード30は、作業者が所望する場所に持ち運んで据え置き可能に構成されている。フード30は、このように構成されている。廃熱再利用装置1は、これら乾燥庫10と、トレイ群20と、フード30とを備えている。なお、このフード30の前側の両取付座34bの各取付孔34aと乾燥庫10の前側板13の各取付孔13bには、ボルト34cが挿し込まれている。この挿し込まれたボルト34cには、ナット34dが螺合されている。
【0029】
これと同様に、このフード30の後側の両取付座34bの各取付孔34aと乾燥庫10の後側板14の各取付孔14bには、ボルト34cが挿し込まれている。この挿し込まれたボルト34cには、ナット34dが螺合されている。そのため、乾燥庫10の右開口10dとフード30の出口32(フィルタ33)とが隣り合うように乾燥庫10にフード30が連結された状態となっている。
【0030】
続いて、廃熱再利用装置1の動作を説明する(図4~7参照)。なお、この説明にあたって、予め、作業者は、乾燥庫10から5枚のトレイ21を引き出して除湿後の粒状のデシカント剤25を水平方向に沿ってたくさん積み重なることがないように平積み状態(一~二層程度の状態)で載せておく。まず、作業者は、予め、フロア50に設置されている工作機械のヘッド38にボルト35aを介して取り付けられているモータケース35hの冷却ファン36側に設けられた吹出口35fとフード30の入口31とが対向するように廃熱再利用装置1を持ち運んでフロア50に据え置く作業を行う(図4~5参照)。そのため、フード30の入口31とモータケース35hの吹出口35fとが隣り合う状態となる。
【0031】
このモータ35を駆動(ロータ35bと共にモータ軸35dを回転)させると、このモータ軸35dに取り付けられている冷却ファン36が駆動(回転)する。これにより、モータケース35hの工作機械のヘッド38側に設けられた取込口35eから外気Aが取り込まれるため、この取り込まれた外気Aがロータ35bとステータ35cとの間の隙間35gを通過してモータ35の内部を冷却させる。この冷却させた外気Aは、モータケース35hの吹出口35fから、「45度」の熱風40として排出される(図6~7参照)。そのため、この排出された熱風40は、フード30の入口31から取り込まれ出口32(フィルタ33)を介して放出される。その後、この放出された熱風40は、乾燥庫10の右開口10dから左開口10cに向けて導かれる。
【0032】
モータ35は、モータケース35hと、モータケース35h内に設けられた軸受(図示しない)と、軸受に回転支持されるモータ軸35dと、モータケース35内に設けられたステータ35cと、モータ軸35dに取り付けられたロータ35bと、モータ軸35dの一端に取り付けられた冷却ファン36とを備えている。
【0033】
このとき、この放出された熱風40は、フード30によって上下方向および前後方向に拡散される。そして、この拡散された熱風40は乾燥庫10の5枚のトレイ21に沿って右側から左側に向けて導かれる(通過する)。そのため、この5枚のトレイ21に載せていた除湿後の粒状のデシカント剤25が均一に乾燥(放湿)し始める。やがて、この乾燥が始まってから所定の時間(例えば、「40分」)が経過すると、このデシカント剤25の乾燥が終了する。
【0034】
この所定の時間は、予め、タイマーによって計測された時間である。次に、作業者は、乾燥が終了した粒状のデシカント剤25が載せられた5枚のトレイ21をスライドさせて引き出す作業を行う。最後に、作業者は、この5枚のトレイ21から乾燥した粒状のデシカント剤25を回収し、吸湿した粒状のデシカント剤25に詰め替える作業を行う。このようにしてモータケース35hの吹出口35fから排出される熱風40を利用して、吸湿した粒状のデシカント剤25を再生できる。
【0035】
このデシカント剤25の再生において、モータケース35hの吹出口35fから排出された「45度」の熱風40が、乾燥庫10の左側に向けて導かれると「30度」となっている。そのため、モータ35において、潜熱による冷却効果(空調費用の削減効果)も得ることができる。すなわち、廃熱再利用装置1を冷却装置としても使用できる。なお、再生後のデシカント剤25は、例えば、乾燥箱、除湿保管設備、室内等の乾燥に使用されている。
【0036】
また、図8では、デシカント剤25の収着割合の変化値を説明している。このデシカント剤25の初期条件は、温度が「30度」であり、相対湿度が「75%」で収着させている。この図7の縦軸は、絶乾状態のデシカント剤25の質量に対するデシカント剤25から放湿(脱水)された水分質量(放湿量)である。すなわち、収着割合の変化値(Δmw/Δm0)を示している。このΔmwとは、脱着水分量のことである。このΔm0とは、絶乾時におけるデシカント剤25の質量のことである。また、この図7の横軸は、時間(秒)である。この図7から明らかなように、「40度以上」でなくてもデシカント剤25は放湿(乾燥)できる。
【0037】
また、図9では、絶乾状態のデシカント剤25と、収着状態のデシカント剤25の粒径と体積倍率との比較を示している。この図9から明らかなように、収着したデシカント剤25は、その体積が膨張する。すなわち、乾燥中において、デシカント剤25の体積は大きく減少する。そのため、デシカント剤25を縦詰めした状態で乾燥させると、乾燥中にデシカント剤25がトレイ21の下方に堆積する。
【0038】
したがって、トレイ21の上方に隙間ができてしまい、この隙間に熱風40が逃げてしまいデシカント剤25の再生が困難となる。結果として、デシカント剤25をトレイ21に平積みして乾燥させるのが好ましい。また、デシカント剤25を縦詰めした状態で乾燥させると、熱風40の妨げとなる。
【0039】
本発明の実施形態に係る廃熱再利用装置1は、上述したように構成されている。この構成によれば、廃熱再利用装置1は、乾燥庫10に載せられた5枚のトレイ21と、フード30とを備えている。この5枚のトレイ21は、デシカント剤25を水平方向に沿って重なることがないように平積み状態で載せ可能なメッシュ状(水平方向に沿った開口22を複数有する形状)に構成されている。また、フード30は、モータ35から排出される熱風40を5枚のトレイ21へ導き可能に、入口31の開口サイズが狭く、出口32の開口サイズが広い四角錐筒状に構成されている。そして、モータ35から排出された熱風40は、フード30の入口31から取り込まれ出口32を介して放出される。その後、この放出された熱風40は、5枚のトレイ21の右側から左側に向けて導かれる。そのため、この5枚のトレイ21に除湿後の粒状のデシカント剤25を載せておくと、この載せておいた除湿後の粒状のデシカント剤25が乾燥(放湿)し始める。したがって、モータ35から排出された熱風40を利用して、除湿後の粒状のデシカント剤25を再生できる。このように再生できると、デシカント剤25の再生に必要なランニングコストを抑えることができる。また、モータ35から排出された熱風40を利用して除湿後の粒状のデシカント剤25を再生するため、この再生において外部電源を不要にできる。また、モータ35から排出された熱風40を利用できるため、二酸化炭素の排出量の削減に換算できる。
【0040】
また、この構成によれば、5枚のトレイ21は、上下方向(高さ方向)に沿って所定の間隔を隔てて5段に重ねられている。そのため、5枚のトレイ21の平面視サイズがコンパクトでも、一度に多くのデシカント剤25を再生できる。
【0041】
また、この構成によれば、フード30の出口32には、熱風40に含まれる粉塵を除去可能なフィルタ33が取り付けられている。そのため、綺麗な熱風40によってデシカント剤25を再生できる。したがって、再生後のデシカント剤25に粉塵の付着を防止できる。
【0042】
また、この構成によれば、5枚のトレイ21は、デシカント剤25を水平方向に沿って重なることがないように平積み状態で載せ可能なメッシュ状(水平方向に沿った開口22を複数有する形状)に構成されている。すなわち、このトレイ21の開口22の開口サイズは、デシカント剤25の粒径より小さく設定されている。そのため、デシカント剤25の再生において、トレイ21の開口22を介してモータ35から排出された熱風40をデシカント剤25に付与できる。したがって、デシカント剤25を十分に乾燥(再生)させることができる。
【0043】
また、この構成によれば、デシカント剤25は、再生温度が「40~80度」の高分子デシカント剤である。そのため、デシカント剤25の再生に高温(例えば、「200度」)を要することがない。したがって、比較的に低温(例えば、「40~80度」)でデシカント剤25の再生ができるため、低温の熱風40を捨てることなく有効利用できる。また、上述した構成によれば、廃熱再利用装置1自体、無電源で、上述した効果を達成できる。
【0044】
なお、本発明の実施形態に係る廃熱再利用装置1にあっては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、次のように適宜個所を変更しても構わない。実施形態で説明した数値は、これに限ることなく、発明が成立するのであれば、この数値は幾らであっても構わない。また、熱風40が排出される設備は、モータ35に限られることなく、制御盤を冷却するファンを有する制御箱、放熱部を冷却するファンを有するオイルマチック排気部等、各種の設備であっても構わない。
【0045】
また、タイマーに基づいてデシカント剤25の乾燥の終了を判断することなく、乾燥庫10の内部10aの湿度を計測しておき、この計測した湿度に基づいてデシカント剤25の乾燥の終了を判断しても構わない。なぜなら、デシカント剤25の乾燥が始まると、乾燥庫10の内部10aの湿度が上昇していき、デシカント剤25の乾燥が終了すると、乾燥庫10の内部10aの湿度が上昇の前の湿度に戻るからである。
【0046】
また、トレイ21は、5段に重ねられることなく、何段(1段~複数段)であっても構わない。ただし、トレイ21は、複数段であっても、5段程度までが好ましい。なぜなら、下段、下中段のトレイ21に載せたデシカント剤25から放湿された水分が上段、上中段のトレイ21のデシカント剤25で再収着されることを防止するためである。また、十分にデシカント剤25を十分に加熱する観点からも、トレイ21は、5段程度までが好ましい。
【0047】
また、デシカント剤25を大量に再生すると、大規模な冷却装置となる。そのため、工場内といった広い空間でも冷却できる。また、廃熱再利用装置1は、作業者が持ち運んで据え置き可能に構成されているため、廃熱再利用装置1の設置の自由度を高めることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 廃熱再利用装置
21 トレイ
30 フード
25 デシカント剤
35 モータ(設備)
40 熱風
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9