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特許7477100配筋支持具、及び配筋支持具を用いた基礎の打設方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】配筋支持具、及び配筋支持具を用いた基礎の打設方法
(51)【国際特許分類】
   E04C 5/20 20060101AFI20240423BHJP
   E02D 27/01 20060101ALI20240423BHJP
   E04G 21/12 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
E04C5/20
E02D27/01 Z
E04G21/12 105D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020111449
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022010744
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】594059226
【氏名又は名称】木下工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】松原 由幸
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 洋平
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 明弘
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-247032(JP,A)
【文献】特開2000-240219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 5/20
E02D 27/01
E04G 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎に埋設される横筋及び縦筋を支持する配筋支持具であって、
左右方向を長手方向とし、前後方向を短手方向としており、上方を向く上面を有する本体と、
上記本体の下端部から前後方向へ突出する脚部と、
上記上面の左右方向の一方から上方へ延びる支持部と、
上記支持部から左右方向へ延びて上記上面の上方に位置しており、上下方向を軸線方向とする円環形状であって、水平方向を向く開口を有する保持体と、を具備しており、
上記上面は、上記保持体の下方より左右方向の他方において、左右方向に沿って下方へ湾曲する載置面を有しており、
上記上面から凹む凹部が、上記保持体の下方に設けられている配筋支持具。
【請求項2】
上記上面は、左右方向における上記本体の中央に位置しており、
上記支持部は、上記上面の左右方向の両側方にそれぞれ位置しており、
上記保持体は、一方の上記支持部と接続している、請求項に記載の配筋支持具。
【請求項3】
基礎に埋設される横筋及び縦筋を支持する配筋支持具であって、
左右方向を長手方向とし、前後方向を短手方向としており、上方を向く上面を有する本体と、
上記本体の下端部から前後方向へ突出する脚部と、
上記上面の左右方向の一方側から上方へ延びる支持部と、
上記支持部から左右方向へ延びて上記上面の上方に位置しており、上下方向を軸線方向とする円環形状であって、水平方向を向く開口を有する保持体と、を具備しており、
上記上面は、左右方向における上記本体の中央に位置しており、且つ上記保持体の下方より左右方向の他方側において、左右方向に沿って下方へ湾曲する載置面を有しており、
上記支持部は、上記上面の左右方向の両側方にそれぞれ位置しており、
上記保持体は、一方側の上記支持部と接続している配筋支持具。
【請求項4】
上記本体、上記脚部、上記支持部、及び上記保持体が一体に形成された樹脂成型品である、請求項2または3に記載の配筋支持具。
【請求項5】
上記保持体の上記開口は、前後方向を向く、請求項から4のいずれかに記載の配筋支持具。
【請求項6】
上記保持体の上記開口は、左右方向を向く、請求項から4のいずれかに記載の配筋支持具。
【請求項7】
請求項5に記載の配筋支持具を用いた基礎の打設方法であって、
上記配筋支持具を設置する第1工程と、
縦筋と結合する横筋を上記載置面に載置する第2工程と、
上記横筋を上記載置面上において前後方向に沿って滑らせて上記縦筋を上記保持体に嵌め込む第3工程と、
互いに対向する一対の型枠を上記支持部に載置する第4工程と、
一対の上記型枠間にコンクリートを流し込んで基礎を打設する第5工程と、を備える、基礎の打設方法。
【請求項8】
請求項6に記載の配筋支持具を用いた基礎の打設方法であって、
上記配筋支持具を設置する第1工程と、
縦筋と結合する横筋を上記載置面に載置する第2工程と、
上記載置面上において、前後方向に沿う上記横筋の軸線周りに当該横筋を回動させて、上記縦筋を上記保持体に嵌め込む第3工程と、
互いに対向する一対の型枠を上記支持部に載置する第4工程と、
一対の上記型枠間にコンクリートを流し込んで基礎を打設する第5工程と、を備える、基礎の打設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに結合された横筋と縦筋とを有する配筋を支持する配筋支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、横筋及び縦筋(立上り筋)を保持する配筋支持具を開示する。この配筋支持具では、横筋と縦筋とがそれぞれ別々に組み付けられる。具体的には、作業者は、横筋支持面に横筋を載置し、縦筋を嵌合凹部に上から落とし込んで嵌め込み、横筋及び縦筋を配筋支持具にそれぞれ組み付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-247032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
溶接などによって互いに結合された横筋及び縦筋からなる配筋を、特許文献1に記載の配筋支持具に組み付けることは困難である。詳しく説明すると、縦筋を上から落とし込んで配筋支持具に組み付けようとすると、特許文献1に記載の配筋支持具では、縦筋と結合された横筋が組み付けを阻害する。
【0005】
本発明は、互いに結合された横筋と縦筋とからなる配筋を支持し、かつ配筋の組み付けが容易な配筋支持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る配筋支持具は、基礎に埋設される横筋及び縦筋を支持し、左右方向を長手方向とし、前後方向を短手方向としており、上方を向く上面を有する本体と、上記本体の下端部から前後方向へ突出する脚部と、上記上面の左右方向の一方から上方へ延びる支持部と、上記支持部から前後方向へ延びて上記上面の上方に位置しており、上下方向を軸線方向とする円環形状であって、水平方向を向く開口を有する保持体と、を具備する。上記上面は、上記保持体の下方より左右方向の他方において、左右方向に沿って下方へ湾曲する載置面を有する。
【0007】
作業者は、地面や捨てコンクリートに配筋支持具を設置する。そして、作業者は、横筋を本体の載置面に載置した後、載置面上において横筋を前後方向に滑らせ、或いは載置面上において横筋を回動させて、横筋と結合する縦筋を保持体の開口から保持体に嵌め込む。保持体に嵌め込まれた縦筋は、横筋を軸に回動することが防止される。すなわち、本発明に係る配筋支持具は、縦筋を回動させることなく、互いに結合された縦筋及び横筋を支持することができる。また、横筋が載置される載置面は、左右方向に沿って下方へ湾曲しているので、横筋を滑らせる際、縦筋と保持体の開口とが位置ずれすることが防止される。或いは、横筋周りに縦筋を容易に回動させて縦筋を保持体に嵌め込むことができる。すなわち、本発明に係る配筋支持具は、横筋と結合する縦筋を保持体に嵌め込む作業者の作業を容易にすることができる。
【0008】
(2) 本発明に係る配筋支持具は、上記上面から凹む凹部を、上記保持体の下方に有していてもよい。
【0009】
縦筋の下端が凹部に嵌め込まれる。すなわち、本発明に係る配筋支持具は、縦筋の周面を保持体で保持し、かつ縦筋の下端を凹部で保持する。その結果、配筋支持具は、縦筋及び横筋を、さらに確実に支持することができる。
【0010】
(3) 上記上面は、左右方向における上記本体の中央に位置しており、上記支持部は、上記上面の左右方向の両側方にそれぞれ位置しており、上記保持体は、一方の上記支持部と接続していてもよい。
【0011】
保持体は、左右一対の支持部の一方に設けられる。横筋を軸に回動しようとする縦筋は、保持体を通じて支持部に支持される。すなわち、保持体が支持部に設けられることにより、縦筋の回動を、より確実に防止することができる。
【0012】
(4) 本発明に係る配筋支持具は、上記本体、上記脚部、上記支持部、及び上記保持体が一体に形成された樹脂成型品であってもよい。
【0013】
(5) 上記保持体の上記開口は、前後方向を向いていることが好ましい。
【0014】
作業者は、横筋を本体の載置面に載置した後、載置面上において横筋を前後方向に滑らせて、前後方向を向く開口から縦筋を保持体に嵌め込む。
【0015】
(6) 上記保持体の上記開口は、左右方向を向いていることが好ましい。
【0016】
作業者は、横筋を本体の載置面に載置した後、載置面上において横筋周りに縦筋を回動させて、左右方向を向く開口から縦筋を保持体に嵌め込む。
【0017】
(7) 本発明に係る基礎の打設方法は、保持体の開口が前後方向を向く配筋支持具を用いた基礎の打設方法であって、上記配筋支持具を設置する第1工程と、縦筋と結合する横筋を上記載置面に載置する第2工程と、上記横筋を上記載置面上において前後方向に沿って滑らせて上記縦筋を上記保持体に嵌め込む第3工程と、互いに対向する一対の型枠を上記支持部に載置する第4工程と、一対の上記型枠間にコンクリートを流し込んで基礎を打設する第5工程と、を備える。
【0018】
本発明は、基礎の打設方法として捉えることもできる。
【0019】
(8) 本発明に係る基礎の打設方法は、保持体の開口が左右方向を向く配筋支持具を用いた基礎の打設方法であって、上記配筋支持具を設置する第1工程と、縦筋と結合する横筋を上記載置面に載置する第2工程と、上記載置面上において、前後方向に沿う上記横筋の軸線周りに当該横筋を回動させて、上記縦筋を上記保持体に嵌め込む第3工程と、互いに対向する一対の型枠を上記支持部に載置する第4工程と、一対の上記型枠間にコンクリートを流し込んで基礎を打設する第5工程と、を備える。
【0020】
本発明は、基礎の打設方法として捉えることもできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る配筋支持具は、互いに結合された横筋と縦筋とからなる配筋を支持し、かつ作業者による配筋の組み付けを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、配筋支持具10の斜視図である。
図2図2は、配筋支持具10に配筋20を組み付ける作業の説明図である。
図3図3は、配筋20を支持した状態の配筋支持具10の正面図である。
図4図4は、複数の配筋支持具10で配筋20を支持した状態の説明図である。
図5図5は、配筋支持具10が配筋20及び型枠25を支持した状態の説明図である。
図6図6(A)は、変形例に係る配筋支持具15の斜視図であり、図6(B)は、変形例に係る配筋支持具15の嵌入凹孔43の模式的な断面図である。
図7図7は、配筋支持具15に配筋20を組み付ける作業の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0024】
本実施形態では、図1に示される配筋支持具10が説明される。配筋支持具10は、図5に示されるように、配筋20及び型枠25を支持する器具である。配筋支持具10が支持する型枠25間にコンクリートが流し込まれることにより、配筋20が埋設された基礎が打設される。配筋支持具10は、支持する配筋20とともに基礎に埋設される。
【0025】
以下では、配筋支持具10が地面や捨てコンクリートの上に載置された状態における鉛直方向を上下方向11と記載し、一対の型枠25が対向する方向を左右方向13と記載し、上下方向11及び左右方向13に直交する方向を前後方向12と記載して説明する。なお、本実施形態では、布基礎の立ち上がり部の型枠である型枠25のみが示されており、フーチン部の型枠については説明が省略されている。また、本実施形態では、布基礎を例に説明がされるが、配筋支持具10が支持する型枠によって打設される基礎は、布基礎に限定されず、ベタ基礎などであってもよい。
【0026】
まず、配筋支持具10が支持する配筋20について説明する。図4に示されるように、配筋20は、横筋21と複数の縦筋22とを備える。横筋21及び縦筋22は、例えば規格品であり、所定の直径の丸棒状である。縦筋22は、横筋21と直交して配置され、溶接や結合部材などによって横筋21と固着されている。すなわち、横筋21と縦筋22とは、一体である。
【0027】
図1に示されるように、配筋支持具10は、本体31と、複数の前脚部32及び後脚部33と、左脚部34及び右脚部35と、左支持部36及び右支持部37と、2つの保持体50と、を備える。配筋支持具10は、合成樹脂成型品である。すなわち、本体31、前脚部32、後脚部33、左右一対の支持部36、37及び2つの保持体50は、連続一体である。ただし、配筋支持具10は、金属製品であってもよい。
【0028】
本体31は、左右方向13を長手方向とし、上下方向11を短手方向とし、前後方向12を厚みが沿う方向とする矩形板状である。すなわち、打設される基礎における配筋支持具10の容積を低減して当該基礎の強度を高めるため、本体31は、板状とされている。
【0029】
本体31は、配筋20を支持する上面41を有する。上面41は、左右方向13における本体31の中央部に位置しており、上方を向く面である。上面41が配筋20を支持する構成について、詳しくは後述する。
【0030】
4つの前脚部32が、本体31の一方の主面である前面45の下端部から前方に向かって突出し、4つの後脚部33が、本体31の他方の主面である後面46の下端部から後方に向かって突出している。4つの前脚部32は、左右方向13に沿って互いに離間して並んでいる。4つの後脚部33は、左右方向13に沿って互いに離間して並んでいる。一の前脚部32と一の後脚部33は、前後方向12に沿う一直線上に位置している。なお、前脚部32の個数及び後脚部33の個数は、4つに限られない。
【0031】
左脚部34は、本体31の左端面47の下端部から左向きに突出している。右脚部35は、本体31の右端面48の下端部から右向きに突出している。
【0032】
配筋支持具10は、本体31の下面及び脚部32、33、34、35を捨てコンクリートや地面に当接させて載置される。すなわち、脚部32、33、34、35は、配筋支持具10を支持する。
【0033】
左支持部36は、本体31の左端部から上向きに突出している。右支持部37は、本体31の右端部から上向きに突出している。すなわち、左支持部36と右支持部37とは、左右方向13において互いに離間している。また、左支持部36及び右支持部37は、本体31と略同一の厚みの矩形板状である。そして、左支持部36及び右支持部37は、型枠25を支持する上面である支持面38をそれぞれ有している。すなわち、左支持部36及び右支持部37は、一対の型枠25を、左右方向13において互いに離間して支持可能である。
【0034】
配筋支持具10は、本体31、左支持部36、及び右支持部37を前後方向12において貫通する貫通孔40を有している。基礎が打設される際、配筋支持具10が支持する一対の型枠25間に流し込まれたコンクリートは、貫通孔40を通る。すなわち、配筋支持具10は、コンクリートの流れを阻害しない。
【0035】
保持体50は、左支持部36の右端面39から右方へ延びて設けられている。すなわち、保持体50は、本体31の上面41の上方に位置している。保持体50が設けられた左支持部36は、上面の左右方向の一方から上方へ延びる支持部の一例である。
【0036】
保持体50は、軸線14が延びる方向を上下方向11とする円環形状である。保持体50の内周面の直径(内径)は、配筋20の縦筋22の直径(外径)と、略同一である。そして、保持体50は、前方を向く開口51を有している。左右方向13における開口51の幅は、縦筋22の直径よりも僅かに小さい。縦筋22が、開口51から保持体50の内側に嵌め込まれる。保持体50の内周面が縦筋22の周面と当接することにより、保持体50は、縦筋22を保持する。
【0037】
2つの保持体50が配筋支持具10に設けられている。2つの保持体50は、軸線14を一致させて、上下方向11において互いに離間して並んでいる。以下では、上側の保持体50を上保持体50と記載し、下側の保持体50を下保持体50と記載し、上保持体50と下保持体50とを区別しない場合、保持体50と記載して説明する。上保持体50の開口51と、下保持体50の開口51とは、いずれも前方を向いている。
【0038】
上保持体50は、左支持部36の右端面39の上端部と繋がっている。下保持体50は、右端面39の上下方向11における中央に位置している。すなわち、下保持体50は本体31の上面41から上方に離間して設けられている。図3に示されるように、上下方向11における下保持体50と後述の載置面42の最下点との離間距離Lは、横筋21の外径Dよりも十分に大きい。したがって、配筋20を配筋支持具10に組み付ける際、横筋21が下保持体50と干渉することがない。
【0039】
本体31は、上面41から下方へ凹み、かつ開口が円形状の嵌入凹孔43を有する。嵌入凹孔43は、その軸線が保持体50の軸線14と一致する位置に設けられている。すなわち、嵌入凹孔43は、保持体50の真下に位置している。そして、嵌入凹孔43の開口の直径は、縦筋22の外径と略同一、或いは縦筋22の外径よりも僅かに大きい。すなわち、嵌入凹孔43は、縦筋22の下端部を上方から嵌め込み可能である。縦筋22は、保持体50に嵌め込まれた後、下方へ下ろされて嵌入凹孔43に嵌め込まれる。本体31は、嵌入凹孔43に嵌め込まれた縦筋22の下端部を保持する。嵌入凹孔43は、凹部の一例である。
【0040】
本体31の上面41は、横筋21が載置される載置面42を有する。載置面42は、嵌入凹孔43に隣接して設けられている。具体的には、載置面42は、嵌入凹孔43の右方であって、左右方向13における本体31の中央となる位置に設けられている。
【0041】
載置面42は、左右方向13に沿って下方へ湾曲する湾曲面である。載置面42の湾曲の直径は、横筋21の外径と略同一、或いは横筋21の外径よりも僅かに大きい。すなわち、載置面42は、横筋21を載置され得る。
【0042】
また、載置面42は、前後方向12へ延びる湾曲面である。すなわち、載置面42に載置された横筋21は、前後方向12に沿って載置面42上を滑ることができる。配筋20は、横筋21を載置面42上で滑らせて配筋支持具10に組み付けられる。
【0043】
以下では、配筋20が埋設された基礎の打設の手順について説明する。まず、作業者は、複数の配筋支持具10を、施工図面にしたがって、作業現場に載置して設置する。例えば、1つの型枠25を2個の配筋支持具10が支持可能な数だけ、また、型枠25の長さに応じた長さだけ互いに離間させて、複数の配筋支持具10を設置する。また、作業者は、複数の配筋支持具10のそれぞれの短手方向を一致させて複数の配筋支持具10を設置する。作業者が配筋支持具10を設置する工程は、第1工程の一例である。
【0044】
次に、作業者は、図2(A)に示されるように、配筋20の横筋21を配筋支持具10の載置面42に載置する。このとき、作業者は、縦筋22が配筋支持具10の保持体50の開口51側となるように、配筋20を載置面42に載置する。作業者が配筋20を載置面42に載置する工程は、第2工程の一例である。
【0045】
次に、作業者は、図2(A)の矢印の向きへ横筋21を載置面42上において、縦筋22が配筋支持具10に当接するまで滑らせる。そして、作業者は、配筋20を少し持ち上げて、図2(B)が示すように、開口51から縦筋22を保持体50に挿入して嵌め込む。作業者は、縦筋22を下ろし、縦筋22の下端を嵌入凹孔43に嵌め込む。作業者が横筋21を載置面42上で滑らせて配筋20を配筋支持具10に組み付ける工程は、第3工程の一例である。
【0046】
上述のように、上下方向11における下保持体50と載置面42の最下点との離間距離Lは、横筋21の外径Dよりも十分に大きい(図3)。したがって、作業者は、横筋21が下保持体50に当たることを気にすることなく、横筋21を載置面42上において滑らせることができる。また、載置面42は、左右方向13において下方に湾曲しており、横筋21が載置面42上で滑らされる際に、左右方向13における横筋21の位置ずれを防止する。左右方向13における横筋21の位置ずれが防止されることにより、縦筋22が保持体50の開口51に案内される。すなわち、作業者は、左右方向13における縦筋22の位置を調整することなく、縦筋22を保持体50に嵌め込むことができる。さらに、載置面42は、前後方向12に沿って延びる面であるので、作業者は、横筋21を載置面42上で容易に滑らせることができる。その結果、配筋20を配筋支持具10に組み付ける際の作業者の作業性が向上する。
【0047】
保持体50に嵌め込まれた縦筋22は、横筋21周りの回動を防止される。すなわち、縦筋22が横筋21を軸に、自重によって左向きに倒れようとする場合、縦筋22は、左支持部36によって支持される。また、縦筋22が横筋21を軸に、自重によって右向きに倒れようとする場合、縦筋22は、円環形状の保持体50によって支持される。
【0048】
また、嵌入凹孔43に下端部が嵌め込まれた縦筋22は、下端の周面が嵌入凹孔43の周面に当接することにより、前後方向12に沿った移動を防止される。すなわち、保持体50及び嵌入凹孔43に嵌め込まれた縦筋22は、前後方向12及び左右方向13において固定される。
【0049】
次に、作業者は、型枠25を配筋支持具10の左支持部36及び右支持部37にそれぞれ載置して、複数の型枠25を設置する(図5)。また、作業者は、不図示のアンカーボルトを、いわゆるアンカー定規などの吊下部材を用いて、対向する一対の型枠25間に吊り下げる。作業者が型枠25を配筋支持具10に載置する工程は、第4工程の一例である。
【0050】
次に、作業者は、型枠25間にコンクリートを流し込み、基礎を打設する。その際、流し込まれたコンクリートは、配筋支持具10の貫通孔40を通る。すなわち、配筋支持具10は、コンクリートの流れを妨げない。作業者が型枠25間にコンクリートを流し込んで基礎を打設する工程は、第5工程の一例である。
【0051】
[作用効果]
本実施形態では、配筋支持具10は、縦筋22が嵌め込まれる円環形状の保持体50を備えるので、横筋21周りの縦筋22の回動を防止することができる。
【0052】
また、横筋21が載置される載置面42は、左右方向13に沿って下方に湾曲する湾曲面であるので、横筋21が前後方向12に沿って載置面42上を滑らされる際に、横筋21が左右方向13において位置ずれすることが防止される。その結果、配筋支持具10は、作業者が配筋20を配筋支持具10に組み付ける作業の作業性を高めることができる。
【0053】
また、配筋支持具10は、縦筋22の下端部が嵌入される嵌入凹孔43を有する。したがって、配筋支持具10は、前後方向12に沿った縦筋22の移動を防止することができる。すなわち、配筋支持具10は、縦筋22の回動だけでなく、前後方向12においても配筋20を保持することができる。その結果、配筋支持具10は、配筋20をさらに確実に保持することができる。
【0054】
保持体50は、型枠25を支持する左支持部36に設けられている。すなわち、保持体50は、型枠25を支持可能なだけの強度を有する左支持部36に設けられている。したがって、保持体50は、横筋21周りの縦筋22の回動を確実に防止することができる。
【0055】
[変形例]
本変形例では、保持体50(図1)に代えて保持体60が設けられた配筋支持具15(図6(A))が説明される。なお、配筋支持具15において、保持体60以外の構成は実施形態で説明された配筋支持具10の構成と同一である。配筋支持具10と同一の構成については、実施形態と同一の符号を付して説明が省略される。
【0056】
図6(A)に示されるように、保持体60は、左支持部36の右端面39から右方へ延びて設けられている。すなわち、保持体60は、保持体50と同様に、嵌入凹孔43の上方に位置している。
【0057】
保持体60は、軸線14が延びる方向を上下方向11とする円環形状である。保持体60の内周面の直径(内径)は、配筋20の縦筋22の直径(外径)と、略同一である。そして、保持体60は、右方を向く開口61を有している。前後方向12における開口61の幅は、縦筋22の直径よりも僅かに小さい。縦筋22が、開口61から保持体60の内側に嵌め込まれる。保持体60の内周面が縦筋22の周面と当接することにより、保持体60は、縦筋22を保持する。
【0058】
2つの保持体60が配筋支持具15に設けられている。2つの保持体60は、軸線14を一致させて、上下方向11において互いに離間して並んでいる。以下では、上側の保持体60を上保持体60と記載し、下側の保持体60を下保持体60と記載し、上保持体6と下保持体60とを区別しない場合、保持体60と記載して説明する。上保持体60の開口61と、下保持体50の開口61とは、いずれも右方を向いている。
【0059】
上保持体60は、左支持部36の右端面39の上端部と繋がっている。下保持体60は、右端面39の上下方向11における中央に位置している。すなわち、下保持体60は本体31の上面41から上方に離間して設けられている。上下方向11における下保持体60と載置面42の最下点との離間距離は、横筋21の外径D(図3)よりも十分に大きい。したがって、配筋20を配筋支持具15に組み付ける際、横筋21が下保持体60と干渉することがない。
【0060】
次に、図7を参照して、配筋20を配筋支持具15に組み付ける手順について説明する。作業者は、図7(A)に示されるように、配筋20の横筋21を配筋支持具10の載置面42に載置するとともに、縦筋22の下端を配筋支持具15の嵌入凹孔43(図6)に斜め上方から嵌入する。次に、作業者は、横筋21の軸線周りに縦筋22を回動させ、縦筋22を開口61から保持体60内に挿入して嵌め込む。作業者が縦筋22を保持体60に嵌め込んで配筋20を配筋支持具15に組み付ける工程は、第3工程の一例である。なお、基礎を打設する第3工程以外の工程は、上述の実施形態と同じである。
【0061】
[変形例の作用効果]
本変形例では、配筋支持具15は、縦筋22が嵌め込まれる円環形状の保持体60を備えるので、横筋21周りの縦筋22の回動を防止することができる。
【0062】
また、載置面42は、左右方向13において下方に湾曲しているので、縦筋22を横筋21周りに容易に回動させることができる。
【0063】
また、縦筋22の下端が嵌入凹孔43に嵌っているので、縦筋22を回動させる際に、縦筋22が前後方向12において位置ずれすることが防止される。すなわち、回動された縦筋22は、開口61から保持体60内に確実に挿入される。その結果、配筋20を配筋支持具15に組み付ける際の作業者の作業性が向上する。
【0064】
また、上下方向11における下保持体60と載置面42の最下点との離間距離は、横筋21の外径D(図3)よりも十分に大きいので、作業者は、横筋21が下保持体60に当たることを気にすることなく、縦筋22を回動させて縦筋22を保持体60に嵌め込むことができる。
【0065】
なお、第3工程において、縦筋22の下端部を斜め上方から嵌入凹孔43に嵌め込み易くするために、嵌入凹孔43の開口の右部が、図6(B)に示されるように、右方に拡大されていてもよい。その場合、嵌入凹孔43の右側の周面の上部は、縦筋22の下端を嵌入凹孔43の奥へ案内する案内面44となる。
【0066】
[その他の変形例]
上述の実施形態では、保持体50が、一対の支持部36、37の一方のみに設けられた例が説明された。しかしながら、保持体50は、一対の支持部36、37の両方に設けられていてもよい。その場合、配筋支持具10の前後の区別がなくなる。したがって、作業者は、配筋支持具10を前向きに設置してもよいし、後ろ向きに設置してもよい。すなわち、作業者は、配筋支持具10の前後の向きを気にすることなく、配筋支持具10を設置することができる。その結果、作業者の作業性がさらに向上する。
【0067】
また、上述の実施形態では、上下に並ぶ2つの保持体50が配筋支持具10に設けられた例が説明された。しかしながら、1つの保持体50のみが配筋支持具10に設けられていてもよいし、上下に並ぶ3つ以上の保持体50が配筋支持具10に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0068】
10、15・・・配筋支持具
14・・・軸線
20・・・配筋
21・・・横筋
22・・・縦筋
31・・・本体
32、33、34、35・・・脚部
36、37・・・支持部
41・・・上面
42・・・載置面
43・・・嵌入凹孔(凹部)
50、60・・・保持体
51、61・・・開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7