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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/41 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
G01N21/41 102
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020142615
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2022038231
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】小宮 研一
(72)【発明者】
【氏名】新井 竜一
(72)【発明者】
【氏名】山邊 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】小川 雄一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 哲仁
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-158768(JP,A)
【文献】特開2003-014622(JP,A)
【文献】特開2017-142346(JP,A)
【文献】国際公開第2014/017430(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
G01N 21/62 - G01N 21/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持する設置部と、
互いに発生する磁力が異なる複数の磁力発生部と、
前記基板に電磁波を照射する照射部と、
前記電磁波によって前記基板に形成されるビームスポットのビーム径を調整する調整部と、
前記基板からの反射波又は透過波の強度を検出する検出部と、
前記複数の磁力発生部から、規定量のサンプルに含まれる被検出物を引き寄せるために用いる磁力発生部を選択し、
前記調整部に、ビーム径を選択された前記磁力発生部に対応するビーム径に調整させ、
前記検出部を用いて前記規定量のサンプルが添付されている前記基板からの反射波又は透過波の強度を取得し、
前記強度に基づいて前記規定量のサンプルに含まれる被検出物の量を検出する、
プロセッサと、
を備える検出装置。
【請求項2】
前記設置部は、前記複数の磁力発生部を備え、
前記プロセッサは、前記設置部に、選択された前記磁力発生部を前記基板の下部に移動させる、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記サンプルを滴下するピペットを備え、
前記プロセッサは、
前記ピペットに、前記規定量よりも少ない量のサンプルを滴下させ、
所定の磁力発生部を用いて前記規定量よりも少ない量の前記サンプルに含まれる被検出物の量を検出し、
検出された前記被検出物の量に基づいて、前記複数の磁力発生部から、前記規定量のサンプルに含まれる被検出物を引き寄せるために用いる前記磁力発生部を選択する、
請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記所定の磁力発生部は、前記複数の磁力発生部の中で最も小さい磁力発生部である、
請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
選択された前記磁力発生部に対応するビーム径は、選択された前記磁力発生部の磁力によって引き寄せられる被検出物を包含するビームスポットのビーム径である、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性ビーズなどの磁性体を固定した被検出物を添付した基板に電磁波を照射して被検出物を検出する検出装置が提供されている。そのような検出装置には、磁石などの磁力発生部を用いて被検出物を基板の所定の領域に引き寄せるものがある。
【0003】
従来、検出装置は、被検出物が引き寄せられた領域に適切に電磁波を照射できないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-158768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の課題を解決するため、被検出物が引き寄せられた領域に適切に電磁波を照射することができる検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、設置部と複数の磁力発生部と照射部と調整部と検出部とプロセッサとを備える。設置部は、基板を支持する。複数の磁力発生部は、互いに発生する磁力が異なる。照射部は、前記基板に電磁波を照射する。調整部は、前記電磁波によって前記基板に形成されるビームスポットのビーム径を調整する。検出部は、前記基板からの反射波又は透過波の強度を検出する。プロセッサは、前記複数の磁力発生部から、規定量のサンプルに含まれる被検出物を引き寄せるために用いる磁力発生部を選択し、前記調整部に、ビーム径を選択された前記磁力発生部に対応するビーム径に調整させ、前記検出部を用いて前記規定量のサンプルが添付されている前記基板からの反射波又は透過波の強度を取得し、前記強度に基づいて前記規定量のサンプルに含まれる被検出物の量を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る検出装置の構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る検出装置の制御系を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る基板の構成例を概略的に示す上面図である。
図4図4は、実施形態に係る基板の構成例を概略的に示す断面図である。
図5図5は、実施形態に係る検出装置の動作例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る検出装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。なお、各図は実施形態とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは適宜、設計変更することができる。
【0009】
実施形態に係る検出装置は、サンプルに含まれる大腸菌などの有機物(被検出物)を検出する。被検出物には、磁性ビーズなどの磁性体が固定されている。検出装置は、空隙が設けられた構造体を有する基板にサンプルを添付する。検出装置は、サンプルが添付されている基板に対して所定の周波数を有する電磁波を照射して基板からの反射波を検出する。検出装置は、反射波の強度に基づいて基板上に被検出物が存在するか否かを判定する。
【0010】
図1は、検出装置1の構成例を概略的に示す。図1が示すように、検出装置1は、電磁波発生部12、光学系13、ビーム径調整部14、ステージ16、光学系17、電磁波受信部18、ピペット19及び基板20などを備える。
【0011】
電磁波発生部12(照射部)は、後術するプロセッサ111の制御に従って基板20に電磁波(照射波)を照射する。電磁波発生部12は、印加される電圧に応じた周波数の電磁波を照射する。たとえば、電磁波発生部12は、数テラヘルツ程度の周波数の電磁波を照射する。たとえば、電磁波発生部12は、所定のバイアス電圧の印加によって所定の周波数で発振する共鳴トンネルダイオードなどから構成される。
【0012】
光学系13は、照射波の焦点を基板20上に合わせるレンズである。たとえば、光学系13は、複数のレンズから構成される。
【0013】
ビーム径調整部14(調整部)は、基板20に照射される照射波の径の大きさを調整する。即ち、ビーム径調整部14は、基板20上において照射波が集光される領域(ビームスポット)の径(ビーム径)を調整する。ビーム径調整部14は、プロセッサ111からの制御に従ってビーム径を調整する。
【0014】
たとえば、ビーム径調整部14は、レンズなどから構成される。また、ビーム径調整部14は、絞り羽根などから構成されるものであってもよい。
【0015】
ステージ16(設置部)は、基板20を支持する部材である。ステージ16は、所定の台に固定さている。
また、ステージ16は、複数の磁力発生部10(第1の磁力発生部101、第2の磁力発生部102及び第3の磁力発生部103)などを備える。
【0016】
第1の磁力発生部101、第2の磁力発生部102及び第3の磁力発生部103は、磁力を発生する部材である。たとえば、第1の磁力発生部101、第2の磁力発生部102及び第3の磁力発生部103は、互いに大きさが異なる球形又は円柱形の磁石である。ここでは、第1の磁力発生部101が最も小さく、第2の磁力発生部102が次いで小さく、第3の磁力発生部103が最も大きい。
【0017】
なお、第1の磁力発生部101、第2の磁力発生部102及び第3の磁力発生部103は、同一の素材から構成されるものであってもよいし、異なる素材から構成されるものであってもよい。
【0018】
また、第1の磁力発生部101、第2の磁力発生部102及び第3の磁力発生部103は、円錐形又は円錐台形などの磁石であってもよい。
【0019】
また、第1の磁力発生部101、第2の磁力発生部102及び第3の磁力発生部103は、複数の磁石を積層させたものであってもよい。また、第1の磁力発生部101、第2の磁力発生部102及び第3の磁力発生部103は、複数種類の磁石(たとえば、ネオジム磁石とフェライト磁石など)を組み合わせたものであってもよい。
【0020】
また、第1の磁力発生部101、第2の磁力発生部102及び第3の磁力発生部103は、電磁石であってもよい。
【0021】
第1の磁力発生部101、第2の磁力発生部102及び第3の磁力発生部103の形状、素材及び構造は、特定の構成に限定されるものではない。
【0022】
ステージ16は、プロセッサ111の制御に従って、磁力発生部10の1つを基板20に下部に移動させる。即ち、ステージ16は、磁力発生部10の1つを当該磁力発生部10の磁力が基板20に供給される位置に移動させる。
【0023】
なお、ステージ16は、ステージ16上において基板20を移動させてもよい。即ち、ステージ16は、磁力発生部10の1つの磁力が供給される位置に基板20を移動させてもよい。
【0024】
光学系17は、基板20で反射した電磁波(反射波)の焦点を電磁波受信部18に合わせるためのレンズである。たとえば、光学系17は、複数のレンズから構成される。
【0025】
電磁波受信部18(検出部)は、反射波の強度を検出する。電磁波受信部18は、反射波の強度に応じた電圧に変換する。たとえば、電磁波受信部18は、所定のバイアス電圧の印加によってテラヘルツ帯域までの感度を有するショットキーバリアダイオードなどから構成される。
【0026】
ピペット19は、サンプルを基板20に滴下する部材である。サンプルは、磁性ビーズが固定された被検出物を含む(含み得る)液体である。
【0027】
ピペット19は、液体を吸入する吸入機構と放出する送液機構と液体の放出位置を移動させる移動機構とを有する。ピペット19は、ピペットチップを備える。ピペット19は、複数のピペットチップを備えるものであってもよい。例えば、ピペット19は、複数のピペットチップを並べて備え、各ピペットチップから液を吸入及び放出する構成であってもよい。
【0028】
また、ピペット19が備えるピペットチップは、使用後にチップ廃棄ボックスなどに廃棄される。
【0029】
送液機構としてのピペット19は、ピペットチップの先端から液体を吸入及び放出する。ピペット19は、プロセッサ111の制御に従ってピペットチップの先端からサンプルを容器などから吸入する。また、ピペット19は、プロセッサ111の制御に従ってサンプルを基板20に放出する。
移動機構としてのピペット19は、プロセッサ111からの制御に従って移動する。
【0030】
次に、検出装置1の制御系について説明する。
図2は、検出装置1の制御系を示すブロック図である。検出装置1は、電磁波発生部12、ビーム径調整部14、ステージ16、電磁波受信部18、ピペット19、プロセッサ111、メモリ112、アドレスデコーダ113、発生部ドライバ114、A/Dコンバータ115、モータドライバ116、調整ドライバ117、ポンプドライバ118、移動ドライバ119、アンプ120、ステージモータ121、調整モータ122、ポンプモータ123及び移動モータ124などを備える。
【0031】
アドレスデコーダ113は、プロセッサ111、メモリ112、発生部ドライバ114、A/Dコンバータ115、モータドライバ116、調整ドライバ117、ポンプドライバ118及び移動ドライバ119に接続する。A/Dコンバータ115は、アンプ120に接続する。アンプ120は、電磁波受信部18に接続する。モータドライバ116は、ステージモータ121に接続する。ステージモータ121は、ステージ16に接続する。調整ドライバ117は、調整モータ122に接続する。調整モータ122は、ビーム径調整部14に接続する。ポンプドライバ118は、ポンプモータ123に接続する。ポンプモータ123は、ピペット19に接続する。移動ドライバ119は、移動モータ124に接続する。移動モータ124は、ピペット19に接続する。
電磁波発生部12、ビーム径調整部14、ステージ16、電磁波受信部18及びピペット19は、前述の通りである。
【0032】
プロセッサ111は、検出装置1全体の動作を制御する。たとえば、プロセッサ111は、ステージ16を制御して磁力発生部10の位置などを制御する。また、プロセッサ111は、電磁波発生部12に電磁波を照射させる。また、プロセッサ111は、電磁波受信部18が検出した反射波の強度に基づいて被検出物を検出する。
【0033】
たとえば、プロセッサ111は、CPUなどから構成される。また、プロセッサ111は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などから構成されるものであってもよい。また、プロセッサ111は、FPGA(Field Programmable Gate Array)などから構成されるものであってもよい。
【0034】
メモリ112は、種々のデータを格納する。たとえば、メモリ112は、ROM、RAM及びNVMとして機能する。
たとえば、メモリ112は、制御プログラム及び制御データなどを記憶する。制御プログラム及び制御データは、検出装置1の仕様に応じて予め組み込まれる。たとえば、制御プログラムは、検出装置1で実現する機能をサポートするプログラムなどである。
【0035】
また、メモリ112は、プロセッサ111の処理中のデータなどを一時的に格納する。また、メモリ112は、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータ及びアプリケーションプログラムの実行結果などを格納してもよい。
【0036】
アドレスデコーダ113は、アドレスバスに従ってプロセッサ111からの制御信号を各部に供給する。たとえば、アドレスデコーダ113は、プロセッサ111からの制御信号が示すアドレスに基づいて、制御信号を供給する対象を決定する。
【0037】
発生部ドライバ114は、電磁波発生部12を制御するためのインターフェースである。たとえば、発生部ドライバ114は、プロセッサ111からの制御に従って電磁波発生部12に電圧を印加する。即ち、発生部ドライバ114は、制御信号をアナログ信号に変換して電磁波発生部12に印加する。
【0038】
アンプ120は、電磁波受信部18からの電圧を所定の倍率で増幅する。アンプ120は、増幅した電圧をA/Dコンバータ115に出力する。
【0039】
A/Dコンバータ115は、アンプ120が出力した電圧を示すセンサ信号(デジタル信号)を生成する。即ち、A/Dコンバータ115は、アンプ120からの電圧をデジタル信号に変換する。A/Dコンバータ115は、センサ信号をプロセッサ111に送信する。
【0040】
ステージモータ121は、磁力発生部10を移動させるためのモータである。ステージモータ121は、第1の磁力発生部101を移動させるためのモータ、第2の磁力発生部102を移動させるためのモータ及び第3の磁力発生部103を移動させるためのモータから構成されるものであってもよい。
【0041】
モータドライバ116は、プロセッサ111からの制御に従ってステージモータ121を駆動する。たとえば、モータドライバ116は、ステージモータ121に電圧又はパルス信号などを供給する。
【0042】
調整モータ122は、ビーム径調整部14を駆動させるためのモータである。即ち、調整モータ122は、ビーム径を変更するためのモータである。たとえば、調整モータ122は、ビーム径調整部14のレンズなどを移動させるためのモータである。
【0043】
調整ドライバ117は、プロセッサ111からの制御に従って調整モータ122を駆動する。たとえば、調整ドライバ117は、調整モータ122に電圧又はパルス信号などを供給する。
【0044】
ポンプモータ123は、送液機構としてのピペット19を駆動させるためのモータである。即ち、ポンプモータ123は、ピペット19に装着されるピペットチップの先端からサンプルを吸入及び放出させる。
【0045】
ポンプドライバ118は、プロセッサ111からの制御に従ってポンプモータ123を駆動する。たとえば、ポンプドライバ118は、ポンプモータ123に電圧又はパルス信号などを供給する。
【0046】
移動モータ124は、移動機構としてのピペット19を駆動させるためのモータである。即ち、移動モータ124は、ピペット19を移動させる。
【0047】
移動ドライバ119は、プロセッサ111からの制御に従って移動モータ124を駆動する。たとえば、移動ドライバ119は、移動モータ124に電圧又はパルス信号などを供給する。
【0048】
なお、検出装置1は、図1及び図2が示すような構成の他に必要に応じた構成をさらに具備したり、検出装置1から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0049】
次に、基板20について説明する。図3は、基板20の上面図である。図3は、基板20を図3のF4-F4で切断した断面図である。
図3及び図4が示すように、基板20は、基材21及び構造体22などから構成される。
【0050】
基材21は、たとえば、所定の大きさの矩形に形成される。基材21は、電磁波発生部12が放射する電磁波に対して変化を生じさせない素材から構成されるのが望ましい。即ち、基材21は、電磁波発生部12が照射する電磁波の周波数帯において透過性を有する素材から構成されることが望ましい。たとえば、基材21は、シリコンウエハなどから構成される。また、基材21は、ポリエチレンなどの有機材料から構成されてもよい。
【0051】
たとえば、基材の厚さは、100~800μmの範囲である。たとえば、基材21の厚さは、525μmである。
基材21の素材及び外寸は、特定の構成に限定されるものではない。
【0052】
構造体22は、基材21の所定の面に形成される。構造体22は、電磁波発生部12が照射する電磁波を反射する。構造体22は、反射率において周波数特性を有する。構造体22は、電磁波発生部12が照射する電磁波の周波数帯において反射性を有する導体であることが望ましい。
【0053】
たとえば、構造体22は、金又はアルミニウムなどの導電体から形成される。構造体22は、複数の層を備える構造であってもよい。たとえば、構造体22は、基材21との接着層としてクロム又はチタンなどの層を備えてもよい。
たとえば、構造体22の厚さは、0.1μから50μmの範囲である。たとえば、構造体22の厚さは、0.2μmである。
【0054】
構造体22は、複数の空隙23(周期構造体)を備える。構造体22は、所定の間隔で縦方向及び横方向に周期的に空隙23を備える。
【0055】
構造体22は、空隙23によって、相補型分割リング共振器を形成する。構造体22は、空隙23によってLCR(コイル、コンデンサ、抵抗)回路を形成する。構造体22は、LCR回路によって所定の共振周波数において共振特性を有する。
【0056】
空隙23は、環状構造である。空隙23は、環の一部が切断する構造である。即ち、空隙23は、C字型に形成される。たとえば、空隙23の外寸は、数十μmである。また、空隙23の幅(隙間の幅)は、数μmである。
【0057】
たとえば、構造体22は、空隙23によって数テラヘルツ帯において反射率のピーク又は極小を有する。
なお、構造体22が有する空隙23の大きさ、形状又は個数は、特定の構成に限定されるものではない。
【0058】
次に、検出装置1が実現する機能について説明する。以下の機能は、検出装置1のプロセッサ111がメモリ112などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
【0059】
まず、プロセッサ111は、ビーム径調整部14に、ビーム径を磁力発生部10に対応するビームスポットのビーム径に調整させる機能を有する
ここでは、メモリ112は、各磁力発生部10に対応するビームスポットのビーム径を予め格納しているものとする。
プロセッサ111は、メモリ112を参照して、被検出物の検出に用いる磁力発生部10に対応するビームスポットのビーム径を取得する。
【0060】
図5は、各磁力発生部10に対応するビームスポットの例を示す。図5は、第1のビームスポット201、第2のビームスポット202及び第3のビームスポット203を示す。
【0061】
第1のビームスポット201は、第1の磁力発生部101に対応するビームスポットである。図5が示すように、第1の磁力発生部101によって第1の集積層301が形成される。
【0062】
第1の集積層301は、第1の磁力発生部101が発生する磁力によって引き寄せられた被検出物から構成される。即ち、第1の集積層301は、第1の磁力発生部101が基板20の下部にある状態でサンプルが基板20に滴下され乾燥すると形成される。第1の集積層301の大きさは、第1の磁力発生部101が発生する磁力の強度又は範囲などによって決定される。
【0063】
第1のビームスポット201の大きさは、第1の集積層301の大きさに対応する。ここでは、第1のビームスポット201は、第1の集積層301を包含する。
【0064】
第2のビームスポット202は、第2の磁力発生部102に対応するビームスポットである。図5が示すように、第2の磁力発生部102によって第2の集積層302が形成される。
【0065】
第2の集積層302は、第2の磁力発生部102が発生する磁力によって引き寄せられた被検出物から構成される。即ち、第2の集積層302は、第2の磁力発生部102が基板20の下部にある状態でサンプルが基板20に滴下され乾燥すると形成される。第2の集積層302の大きさは、第2の磁力発生部102が発生する磁力の強度又は範囲などによって決定される。ここでは、第2の集積層302は、第1の集積層301よりも大きい。
【0066】
第2のビームスポット202の大きさは、第2の集積層302の大きさに対応する。ここでは、第2のビームスポット202は、第2の集積層302を包含する。また、第2のビームスポット202は、第1のビームスポット201よりも大きい。
【0067】
第3のビームスポット203は、第3の磁力発生部103に対応するビームスポットである。図5が示すように、第3の磁力発生部103によって第3の集積層303が形成される。
【0068】
第3の集積層303は、第3の磁力発生部103が発生する磁力によって引き寄せられた被検出物から構成される。即ち、第3の集積層303は、第3の磁力発生部103が基板20の下部にある状態でサンプルが基板20に滴下され乾燥すると形成される。第3の集積層303の大きさは、第3の磁力発生部103が発生する磁力の強度又は範囲などによって決定される。ここでは、第3の集積層303は、第2の集積層302よりも大きい。
【0069】
第3のビームスポット203の大きさは、第3の集積層303の大きさに対応する。ここでは、第3のビームスポット203は、第3の集積層303を包含する。また、第3のビームスポット203は、第2のビームスポット202よりも大きい。
【0070】
プロセッサ111は、第1の磁力発生部101を用いる場合、第1のビームスポット201のビーム径を取得する。また、プロセッサ111は、第2の磁力発生部102を用いる場合、第2のビームスポット202のビーム径を取得する。また、プロセッサ111は、第3の磁力発生部103を用いる場合、第3のビームスポット203のビーム径を取得する。
【0071】
ビーム径を取得すると、プロセッサ111は、ビーム径調整部14に、現在のビーム径を取得されたビーム径に調整させる。ビーム径調整部14は、プロセッサ111からの制御に従って、照射波によって形成されるビームスポットのビーム径が取得されたビーム径となるようにレンズなどを調整する。
【0072】
また、プロセッサ111は、被検出物の検出に用いる磁力発生部10を選択する機能を有する。
【0073】
ここでは、ピペット19は、サンプルを保持しているものとする。また、ステージ16に基板20がセットされているものとする。
【0074】
プロセッサ111は、ステージ16に、第1の磁力発生部101を基板20の下部に移動させる。第1の磁力発生部101を移動させると、プロセッサ111は、ビーム径調整部14に、ビーム径を第1の磁力発生部101に対応するビーム径に調整させる。
【0075】
ビーム径調整部14にビーム径を調整させると、プロセッサ111は、ピペット19を基板20にサンプルを滴下可能な位置(滴下位置)に移動させる。ピペット19を滴下位置に移動させると、プロセッサ111は、ピペット19に所定の規定量よりも少ない量(規定量の1/n)のサンプルを基板20に滴下させる。なお、プロセッサ111は、ピペット19に、第1の磁力発生部101が存在する位置にサンプルを滴下させてもよい。
【0076】
ピペット19にサンプルを滴下させると、プロセッサ111は、ピペット19を待避させる。ピペット19を待避させると、プロセッサ111は、サンプルを乾燥させる。たとえば、プロセッサ111は、加熱機構などを用いてサンプルを乾燥させる。また、プロセッサ111は、サンプルが自然に乾燥するまで待機してもよい。
【0077】
サンプルを乾燥させると、プロセッサ111は、滴下されたサンプル内の被検出物の量を検出する。
たとえば、プロセッサ111は、電磁波発生部12に、照射波を基板20に照射させる。電磁波発生部12に照射波を照射させると、プロセッサ111は、電磁波受信部18を通じて、反射波の強度(反射強度)を取得する。
【0078】
反射強度を取得すると、プロセッサ111は、基準強度及び取得された反射強度などに基づいて被検出物の量を検出する。基準強度は、サンプルを添付していない基板20からの反射波の強度である。基準強度は、メモリ112に予め格納されるものであってもよい。また、基準強度は、基板20にサンプルを滴下する前に測定されるものであってもよい。
【0079】
たとえば、プロセッサ111は、基準強度と取得された反射強度との差に基づいて被検出物の量を検出する。プロセッサ111が被検出物の量を検出する方法は、特定の方法に限定されるものではない。
【0080】
滴下されたサンプル内の被検出物の量を検出すると、プロセッサ111は、当該量に基づいて磁力発生部10の1つを選択する。たとえば、プロセッサ111は、当該量から規定量のサンプルに含まれる被検出物の総量を推定する。総量を推定すると、プロセッサ111は、推定された総量の被検出物を最も精度よく検出することができる磁力発生部10を選択する。
【0081】
たとえば、メモリ112は、各磁力発生部10が精度よく検出できる被検出物の量を予め格納する。プロセッサ111は、メモリ112を参照して、推定された総量に対応する磁力発生部10を選択する。
【0082】
また、プロセッサ111は、選択された磁力発生部10を用いてサンプルに含まれる被検出物の量を検出する機能を有する。
【0083】
プロセッサ111は、ステージ16に、選択された磁力発生部10を基板20の下部に移動させる。選択された磁力発生部10を移動させると、プロセッサ111は、ビーム径調整部14に、ビーム径を選択された磁力発生部10に対応するビーム径に調整させる。
【0084】
ビーム径調整部14にビーム径を調整させると、プロセッサ111は、ピペット19を滴下位置に移動させる。ピペット19を滴下位置に移動させると、プロセッサ111は、規定量のサンプルを基板20に滴下させる。なお、プロセッサ111は、ピペット19に、第1の磁力発生部101が存在する位置にサンプルを滴下させてもよい。
【0085】
ピペット19に規定量のサンプルを滴下させると、プロセッサ111は、サンプルを乾燥させる。たとえば、プロセッサ111は、加熱機構などを用いてサンプルを乾燥させる。また、プロセッサ111は、サンプルが自然に乾燥するまで待機してもよい。また、ここで、プロセッサ111は、ピペット19を待避させてもよい
サンプルを乾燥させると、プロセッサ111は、滴下されたサンプル内の被検出物の量を検出する。
たとえば、プロセッサ111は、電磁波発生部12に、照射波を基板20に照射させる。電磁波発生部12に照射波を照射させると、プロセッサ111は、電磁波受信部18を通じて、反射強度を取得する。
【0086】
反射強度を取得すると、プロセッサ111は、上記の通り、基準強度及び取得された反射強度などに基づいて被検出物の量を検出する。なお、基準強度は、各ビーム径に対応するものであってもよい。
【0087】
被検出物の量を検出すると、プロセッサ111は、被検出物の量を示す情報をメモリ112に格納する。また、プロセッサ111は、被検出物の量を表示部などに表示してもよい。また、プロセッサ111は、被検出物の量を示す情報を外部装置に送信してもよい。
【0088】
次に、検出装置1の動作例について説明する。
図6は、検出装置1の動作例について説明するためのフローチャートである。
【0089】
ここでは、ピペット19は、サンプルを保持するものとする。また、ステージ16には、基板20がセットされているものとする。
【0090】
まず、検出装置1のプロセッサ111は、ステージ16に、第1の磁力発生部101を基板20の下部に移動させる(ACT11)。ステージ16に第1の磁力発生部101を移動させると、プロセッサ111は、ビーム径調整部14に、ビーム径を第1のビームスポット201に対応するビーム径に調整させる(ACT12)。
【0091】
ビーム径調整部14にビーム径を調整させると、プロセッサ111は、ピペット19を滴下位置に移動させる(ACT13)。ピペット19を滴下位置に移動させると、プロセッサ111は、ピペット19に規定量よりも少ない量のサンプルを基板20へ滴下させる(ACT14)。
【0092】
ピペット19にサンプルを滴下させると、プロセッサ111は、ピペット19を待避させる(ACT15)。ピペット19を待避させると、プロセッサ111は、基板20に滴下されたサンプルを乾燥させる(ACT16)。
【0093】
サンプルを乾燥させると、プロセッサ111は、基板20に滴下されたサンプルに含まれる被検出物の量を検出する(ACT16)。被検出物の量を検出すると、プロセッサ111は、被検出物の量に基づいて、磁力発生部10の1つを選択する(ACT18)。
【0094】
磁力発生部10の1つを選択すると、プロセッサ111は、ステージ16に、選択された磁力発生部10を基板20の下部に移動させる(ACT19)。ステージ16に選択された磁力発生部10を移動させると、プロセッサ111は、ビーム径調整部14に、ビーム径を選択された磁力発生部に対応するビーム径に調整させる(ACT20)。
【0095】
ビーム径調整部14にビーム径を調整させると、プロセッサ111は、ピペット19を滴下位置に移動させる(ACT21)。ピペット19を滴下位置に移動させると、プロセッサ111は、ピペット19に規定量のサンプルを基板20へ滴下させる(ACT22)。
【0096】
ピペット19にサンプルを滴下させると、プロセッサ111は、基板20に滴下されたサンプルを乾燥させる(ACT23)。
【0097】
サンプルを乾燥させると、プロセッサ111は、基板20に滴下されたサンプルに含まれる被検出物の量を検出する(ACT24)。被検出物の量を検出すると、プロセッサ111は、被検出物の量をメモリ112に格納する(ACT25)。
被検出物の量をメモリ112に格納すると、プロセッサ111は、動作を終了する。
【0098】
なお、オペレータは、ACT22の前に基板20を交換してもよい。
また、検出装置1は、2つ又は4つ以上の磁力発生部10を備えてもよい。
【0099】
また、電磁波受信部18は、基板20からの透過波の強度を検出するものであってもよい。この場合、電磁波受信部18は、電磁波発生部12に対抗する位置及び向きに設置される。また、プロセッサ111は、基板20に滴下されたサンプルが乾燥した後に、ステージ16などに、基板20を電磁波発生部12と電磁波受信部18との間に移動させてもよい。
【0100】
また、ステージ16は、プロセッサ111からの制御に従って移動又は回転するものであってもよい。
また、電磁波発生部12は、複数の周波数を有する照射波を照射するものであってもよい。
また、検出装置1は、複数の磁力発生部の代わりに、発生する磁力を変更することができる磁力発生部(電磁石など)を備えてもよい。
【0101】
以上のように構成された検出装置は、最も小さい磁力発生部を用いて規定量よりも少ないサンプルに含まれる被検出物の量を検出する。検出装置は、検出された量に応じた磁力発生部を選択する。検出装置は、選択された磁力発生部を用いて規定量のサンプルに含まれる被検出物の量を検出する。その結果、検出装置は、規定量のサンプルに含まれる被検出物を適切に検出することができる。
【0102】
また、検出装置は、選択された磁力発生部に対応するビームスポットが基板に形成されるようにビーム径を調整する。その結果、検出装置は、選択された磁力発生部によって引き寄せられた被検出物に適切に照射波を照射することができる。そのため、検出装置は、被検出物の量を効果的に検出することができる。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
1…検出装置、10…磁力発生部、12…電磁波発生部、13…光学系、14…ビーム径調整部、16…ステージ、17…光学系、18…電磁波受信部、19…ピペット、20…基板、21…基材、22…構造体、23…空隙、101…第1の磁力発生部、102…第2の磁力発生部、103…第3の磁力発生部、111…プロセッサ、112…メモリ、113…アドレスデコーダ、114…発生部ドライバ、115…A/Dコンバータ、116…モータドライバ、117…調整ドライバ、118…ポンプドライバ、119…移動ドライバ、120…アンプ、121…ステージモータ、122…調整モータ、123…ポンプモータ、124…移動モータ、201…第1のビームスポット、202…第2のビームスポット、203…第3のビームスポット、301…第1の集積層、302…第2の集積層、303…第3の集積層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6