(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/20 20170101AFI20240423BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G06T7/20 300Z
A61B5/11 120
(21)【出願番号】P 2020153098
(22)【出願日】2020-09-11
【審査請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】513278471
【氏名又は名称】株式会社システムフレンド
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】朝山 俊雄
【審査官】藤原 敬利
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-189671(JP,A)
【文献】特開2018-108300(JP,A)
【文献】特開2004-138513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06- 5/22
G06T 7/00- 7/90
G06V 10/00-20/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物を撮像して画像データを生成するカメラ部と、
前記カメラ部によって生成された画像データに基づいて、人体の特徴点を示す複数のノードと、隣接するノードを接続するリンクとを含むボーン構造を取得する構造取得部と、
前記構造取得部によって取得されたボーン構造に基づいて、人物が歩行する場合に、当該人物の右脚と左脚とが側面視して重なる際の一方の脚の足首の位置としての第1位置と、次回、前記人物の右脚と左脚とが側面視して重なる際の他方の脚の足首の位置としての第2位置とを取得する位置取得部と、
前記位置取得部によって取得された第1位置と第2位置とに基づいて、前記人物の歩幅を取得する歩幅取得部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記歩幅取得部によって取得された歩幅に基づいて、前記人物の移動距離を取得する距離取得部を備える
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記位置取得部は、右膝を示す特徴点と、左膝を示す特徴点とに基づいて、右脚と左脚とが重なることを判定する
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記カメラ部によって生成される画像データに基づく画像に対して奥行方向となる深度を測定する深度測定部を備える
請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記カメラ部は、画像データとして、人物を動画で撮像することにより動画データを生成し、又は、人物を所定時間毎に静止画で撮像することにより複数の静止画データを生成する
請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
人物を撮像して画像データを生成するカメラ部を備えるコンピュータが、
前記カメラ部によって生成された画像データに基づいて、人体の特徴点を示す複数のノードと、隣接するノードを接続するリンクとを含むボーン構造を取得する構造取得ステップと、
前記構造取得ステップによって取得されたボーン構造に基づいて、人物が歩行する場合に、当該人物の右脚と左脚とが側面視して重なる際の一方の脚の足首の位置としての第1位置と、次回、前記人物の右脚と左脚とが側面視して重なる際の他方の脚の足首の位置としての第2位置とを取得する位置取得ステップと、
前記位置取得ステップによって取得された第1位置と第2位置とに基づいて、前記人物の歩幅を取得する歩幅取得ステップと、
を実行する情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータに、
人物を撮像して画像データを生成するカメラ機能と、
前記カメラ機能によって生成された画像データに基づいて、人体の特徴点を示す複数のノードと、隣接するノードを接続するリンクとを含むボーン構造を取得する構造取得機能と、
前記構造取得機能によって取得されたボーン構造に基づいて、人物が歩行する場合に、当該人物の右脚と左脚とが側面視して重なる際の一方の脚の足首の位置としての第1位置と、次回、前記人物の右脚と左脚とが側面視して重なる際の他方の脚の足首の位置としての第2位置とを取得する位置取得機能と、
前記位置取得機能によって取得された第1位置と第2位置とに基づいて、前記人物の歩幅を取得する歩幅取得機能と、
を実現させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人物を撮影することにより得られた画像データに基づいて、その人物の歩幅を取得する技術が存在する。特許文献1に記載された技術は、画像に記録される人物のつま先を特徴量として抽出し、抽出したつま先の特徴量に基づいて動きベクトルを算出して、人物の歩幅を計測する技術が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された技術は、人物の側方にある側部カメラによって得られた画像データに基づいて歩幅を計測するものである。このため、特許文献1の技術は、人物が側部カメラに対して斜め方向や前後方向等の側部カメラに対して奥行方向の移動成分を有する場合には、人物の正確な歩幅を計測することができない恐れが有った。
【0005】
本発明は、人物の歩幅を取得することが可能な情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様の情報処理装置は、人物を撮像して画像データを生成するカメラ部と、カメラ部によって生成された画像データに基づいて、人体の特徴点を示す複数のノードと、隣接するノードを接続するリンクとを含むボーン構造を取得する構造取得部と、構造取得部によって取得されたボーン構造に基づいて、人物が歩行する場合に、その人物の右脚と左脚とが側面視して重なる際の一方の脚の足首の位置としての第1位置と、次回、人物の右脚と左脚とが側面視して重なる際の他方の脚の足首の位置としての第2位置とを取得する位置取得部と、位置取得部によって取得された第1位置と第2位置とに基づいて、人物の歩幅を取得する歩幅取得部と、を備える。
【0007】
一態様の情報処理装置は、歩幅取得部によって取得された歩幅に基づいて、人物の移動距離を取得する距離取得部を備えることとしてもよい。
【0008】
一態様の情報処理装置では、位置取得部は、右膝を示す特徴点と、左膝を示す特徴点とに基づいて、右脚と左脚とが重なることを判定することとしてもよい。
【0009】
一態様の情報処理装置は、カメラ部によって生成される画像データに基づく画像に対して奥行方向となる深度を測定する深度測定部を備えることとしてもよい。
【0010】
一態様の情報処理装置では、カメラ部は、画像データとして、人物を動画で撮像することにより動画データを生成し、又は、人物を所定時間毎に静止画で撮像することにより複数の静止画データを生成することとしてもよい。
【0011】
一態様の情報処理方法では、人物を撮像して画像データを生成するカメラ部を備えるコンピュータが、カメラ部によって生成された画像データに基づいて、人体の特徴点を示す複数のノードと、隣接するノードを接続するリンクとを含むボーン構造を取得する構造取得ステップと、構造取得ステップによって取得されたボーン構造に基づいて、人物が歩行する場合に、その人物の右脚と左脚とが側面視して重なる際の一方の脚の足首の位置としての第1位置と、次回、人物の右脚と左脚とが側面視して重なる際の他方の脚の足首の位置としての第2位置とを取得する位置取得ステップと、位置取得ステップによって取得された第1位置と第2位置とに基づいて、人物の歩幅を取得する歩幅取得ステップと、を実行する。
【0012】
一態様の情報処理プログラムは、コンピュータに、人物を撮像して画像データを生成するカメラ機能と、カメラ機能によって生成された画像データに基づいて、人体の特徴点を示す複数のノードと、隣接するノードを接続するリンクとを含むボーン構造を取得する構造取得機能と、構造取得機能によって取得されたボーン構造に基づいて、人物が歩行する場合に、その人物の右脚と左脚とが側面視して重なる際の一方の脚の足首の位置としての第1位置と、次回、人物の右脚と左脚とが側面視して重なる際の他方の脚の足首の位置としての第2位置とを取得する位置取得機能と、位置取得機能によって取得された第1位置と第2位置とに基づいて、人物の歩幅を取得する歩幅取得機能と、を実現させる。
【発明の効果】
【0013】
一態様の情報処理装置は、画像データに基づいて人体のボーン構造を取得し、そのボーン構造に基づいて、人物が歩行する場合に、その人物の右脚と左脚とが側面視して重なる際の一方の脚の足首の位置としての第1位置と、次回、人物の右脚と左脚とが側面視して重なる際の他方の脚の足首の位置としての第2位置とを取得し、第1位置と第2位置とに基づいて人物の歩幅を取得する。すなわち、一態様の情報処理装置は、人物の歩幅を取得することができる。
一態様の情報処理方法及び情報処理プログラムは、一態様の情報処理装置と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係る情報処理装置について説明するための図である。
【
図2】右脚及び左脚の前後差について説明するための図である。
【
図3】一実施形態に係る情報処理装置について説明するためのブロック図である。
【
図4】人物が歩行する際のボーン構造について説明するための図である。
【
図5】人物が歩行する際のボーン構造に基づいた歩幅について説明するための図である。
【
図6】一実施形態に係る情報処理方法について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
本明細書では、「情報」の文言は「データ」と言い換えることができ、「データ」の文言は「情報」と言い換えることができる。
【0016】
図1は、一実施形態に係る情報処理装置1について説明するための図である。
図2は、右脚及び左脚の前後差について説明するための図である。
図2の横軸は右脚と左脚との前後差を示す。横軸のマイナス側は人物を横から見て右脚と左脚とが重なる位置から右脚が前に出た場合を示し、横軸のプラス側は左脚が前に出た場合を示す。
図2の縦軸は時間を示す。
【0017】
人物が歩行する際の歩幅を取得する場合、一般的には、一方の脚が着地した時のかかとの位置と、次に、他方の脚が着地した時のかかとの位置との距離を歩幅として取得することができる。しかし、カメラ部によって人物を撮像した画像データを利用して人物の歩幅を取得する場合、カメラ部によってかかとを撮像することができないため、歩幅を取得することができない。
【0018】
一方、
図1に示す情報処理装置1は、カメラ部18によって人物を撮像した画像データを利用することにより、人物の特徴点を含むボーン構造200を取得することができる。その人物の特徴点の一つには、足首の特徴点がある。しかし、人物の歩行速度によっては、足首の特徴点の位置と、かかとが着地したときの位置との差が一定でない可能性がある。ここで、人物が歩行する時の地面に対する脛の角度によっては、足首の位置とかかとが着地したときの位置とには差が生じる。
【0019】
このような検討の中で、一方の脚の膝と他方の脚の膝とが交差した直後は立脚中期であり、その時点での脛の角度は地面に対して略垂直になるため、かかとの着地点と足首の位置との差は少なくなるとの検討結果が得られた。
【0020】
図2に一例を示すように、人物が歩行する際に右脚が前に出る右ステップの歩幅は、横軸がプラス側の最大点Aからマイナス側の最大点Bまでとなる。同様に、左脚が前に出る左ステップの歩幅は、横軸がマイナス側の最大点Bからプラス側の最大点Cまでとなる。右脚と左脚との前後差がゼロになる位置は、人物を横から見て右脚と左脚とが重なっている位置であり、立脚中期である。したがって、左立脚中期(点D)の位置から右立脚中期(点E)の位置までを人物の歩幅と考えることができる。このため、立脚中期を検出することができれば、一方の脚が立脚中期となるその脚の足首の位置と、次に他方の脚が立脚中期となるその脚の足首の位置とに基づいて、人物の歩幅を得ることができる。
【0021】
図1に示す情報処理装置1は、上記のような検討結果を利用して、人物100が歩行する際の歩幅を取得する。この場合、情報処理装置1は、カメラ部18によって人物100を撮像した画像データに基づいて、その人物100のボーン構造200を取得する。情報処理装置1は、カメラ部18によって人物100の撮像を続けることにより、人物100の歩行に応じてボーン構造200が変化する。情報処理装置1は、そのようなボーン構造200を利用して、人物100を側面視した(横方向から見た)場合に右脚と左脚とが重なる際の足首の位置に基づいて、歩幅を取得する。
【0022】
以下、一実施形態に係る情報処理装置1について詳細に説明する。
図3は、一実施形態に係る情報処理装置1について説明するためのブロック図である。
【0023】
情報処理装置1は、カメラ部18、記憶部19、表示部20、深度測定部12、構造取得部13、位置取得部14、歩幅取得部15、距離取得部16及び出力制御部17を備える。深度測定部12、構造取得部13、位置取得部14、歩幅取得部15、距離測定部及び出力制御部17は、情報処理装置1の制御部11(例えば、演算処理装置等)の一機能として実現されてもよい。
【0024】
カメラ部18は、人物を撮像して画像データを生成する。カメラ部18は、人物を撮像する場合、例えば、一定方向を撮像するように固定されていてもよい。カメラ部18は、人物を動画又は静止画で撮像してもよい。すなわち、カメラ部18は、画像データとして、人物を動画で撮像することにより動画データを生成することとしてもよい。又は、カメラ部18は、人物を所定時間毎に静止画で撮像することにより複数の静止画データを生成することとしてもよい。
【0025】
カメラ部18は、例えば、所定時間毎に静止画を撮像する場合、人物の歩く速さ等を考慮して、人物を横方向から見た場合に右脚と左脚とが交差するシーンを撮像できるように撮像間隔を設定してもよい。
【0026】
記憶部19は、例えば、種々のデータ及びプログラムを記憶する。記憶部19は、後述する歩幅取得部15によって取得された歩幅に関するデータ、及び、後述する距離取得部16によって取得された移動距離に関するデータを記憶することとしてもよい。
【0027】
表示部20は、例えば、文字及び画像等を表示する。表示部20は、後述する歩幅取得部15によって取得された歩幅に関するデータに基づく文字及び画像、並びに、後述する距離取得部16によって取得された移動距離に関するデータに基づく文字及び画像等を表示することとしてもよい。
【0028】
深度測定部12は、カメラ部18によって生成される画像データに基づく画像に対して奥行方向となる深度を測定する。具体的な一例として、深度測定部12は、赤外線を出射し、人物で反射された赤外線を受光することに基づいて、奥行き方向の深度を測定することとしてもよい。この場合、深度測定部12は、例えば、赤外線の発光から受光までの時間を利用して取得した深度に基づいて、人物の立体的形状を取得することとしてもよい。
【0029】
構造取得部13は、カメラ部18によって生成された画像データに基づいて、人体の特徴点を示す複数のノードと、隣接するノードを接続するリンクとを含むボーン構造200を取得する。構造取得部13は、例えば、種々の公知の方法により人体の特徴点(ノード)及びリンクを含むボーン構造200を取得してもよい。具体的な一例として、構造取得部13は、Kinect等を利用することにより、ボーン構造200を取得してもよい。
【0030】
なお、構造取得部13は、例えば、深度測定部12によって測定される深度(人物の立体的形状)に基づいて、人物のボーン構造200を取得してもよい。すなわち、構造取得部13は、カメラ部18によって生成される画像データ及び深度測定部12によって測定される深度のうち少なくとも一方に基づいてボーン構造200を取得してもよい。
【0031】
位置取得部14は、構造取得部13によって取得されたボーン構造200に基づいて、人物が歩行する場合に、その人物の右脚と左脚とが側面視して重なる際の一方の脚の足首の位置としての第1位置と、次回、人物の右脚と左脚とが側面視して重なる際の他方の脚の足首の位置としての第2位置とを取得する。一例として、右脚が接地している場合に、人物を横から見て右脚と左脚とが重なっている際には、右脚(右脚の付け根の特徴点から右足首の特徴点までライン)は、直線状(略直線状)と考えられる。同様に、左脚が接地している場合に、人物を横から見て右脚と左脚とが重なっている際には、左脚(左脚の付け根の特徴点から左足首の特徴点までライン)は、直線(略直線)と考えられる。このような場合において、人物を横から見て右脚と左脚とが重なっている際の右足首の特徴点の位置(例えば、第1位置)と、次に、右脚と左脚とが重なる際の左足首の特徴点の位置(例えば、第2位置)との距離は、人物の歩幅となると考えられる。このため、位置取得部14は、人物のボーン構造200に基づいて、その人物を横から見て右脚と左脚とが重なる場合の右足首の位置と、次に、右脚と左脚とが重なる場合の左足首の位置を取得する。
【0032】
なお、この場合、位置取得部14は、右膝を示す特徴点と、左膝を示す特徴点とに基づいて、右脚と左脚とが重なることを判定することとしてもよい。人物の右膝と左脚とが重なる場合に、上述したように接地している側の脚のラインは直線上になると考えられる。この右脚と左脚との重なりの際、人物を横から見て右膝と左脚とが重なっていると考えられる。したがって、位置取得部14は、ボーン構造200の右膝及び左膝それぞれの特徴点を利用することにより、人物を横から見た場合の右脚と左脚との重なりを判定することが可能になる。
【0033】
上述した位置取得部14について、
図4及び
図5を用いて説明する。
図4は、人物が歩行する際のボーン構造200について説明するための図である。
図5は、人物が歩行する際のボーン構造200に基づいた歩幅について説明するための図である。
【0034】
人物を横から見た場合、
図4(A)に一例を示すように左脚201が前に出ている場合から、
図4(B)に一例を示すようにその左脚201を地面につき右脚202を前方に出す際(左立脚中期)には、左脚の付け根の特徴点203から左足首の特徴点204にかけては一直線(略一直線)になる。一例として、立脚中期以外(例えば、初期接地、荷重応答期、立脚終期及び前遊脚期)では、同じタイミングで足の位置(例えば、足首の位置)を取得することが困難である。換言すると、例えば、立脚中期であれば、右膝と左膝とが重なりに基づいて、同じ(略同じ)タイミングで足の位置(例えば、足首の位置)を取得することができる。
【0035】
位置取得部14は、上記の知見を利用して、
図5(A)に一例を示すように右立脚中期における右足首の特徴点205の位置(例えば、第1位置)と、
図5(B)に一例を示すように左立脚中期における左足首の特徴点206の位置(例えば、第2位置)との距離Lを歩幅として取得する
【0036】
また、上述したように、深度測定部12によって人物の深度が測定される。これにより、構造取得部13は、深度測定部12に対して奥行方向の人物の位置、例えば、右脚、左脚、右膝、左膝、右足首及び左脚首等の奥行方向の位置を取得することが可能になる。構造取得部13は、ボーン構造200に対して奥行方向の情報を加えることが可能である。これにより、位置取得部14は、人物が奥行方向に移動する場合でも、右脚(右膝)と左脚(左膝)との重なりを判定することが可能になり、また、右足首の位置(例えば、第1位置)及び左脚首の位置(例えば、第2位置)を取得することが可能になる。
【0037】
歩幅取得部15は、位置取得部14によって取得された第1位置と第2位置とに基づいて、人物の歩幅を取得する。歩幅取得部15は、種々の方法により、第1位置と第2位置とに基づいて、人物の歩幅を取得することが可能である。
一例として、情報処理装置1は、人物の身長が予め入力されている場合、入力された身長に基づいてボーン構造200上の人物の長さを取得し、その長さ、及び、第1位置と第2位置との距離に基づいて、人物の実際の歩幅を取得することとしてもよい。すなわち、歩幅取得部15は、例えば、入力された人物の身長と、画像上の第1位置と第2位置との距離とを乗算することにより、人物の実際の歩幅を取得することとしてもよい。この場合、歩幅取得部は、入力された人物の身長と、ボーン構造200における足首の特徴点と頭の特徴点との間の長さとに差がある場合には、ボーン構造200における足首の特徴点と頭の特徴点との間の長さを利用して、人物の実際の身長を補正してもよい。
また、一例として、歩幅取得部15は、深度測定部12によって人物までの深度(距離)が分かる場合には、その深度(距離)、及び、第1位置と第2位置との距離に基づいて、人物の実際の歩幅を取得することとしてもよい。この場合、歩幅取得部15は、上述した人物の身長と、第1位置と第2位置との距離とに基づいて人物の歩幅を取得する場合と同様に、人物の歩幅を取得することが可能である。
歩幅取得部15は、上記の例示の他にも種々の方法によって、第1位置と第2位置とに基づいて人物の実際の歩幅を取得することが可能である。この場合、歩幅取得部15は、例えば、情報処理装置1に入力される種々の情報を利用することにより、第1位置と第2位置とに基づいて人物の実際の歩幅を取得することが可能である。
【0038】
距離取得部16は、歩幅取得部15によって取得された歩幅に基づいて、人物の移動距離を取得する。距離取得部16は、例えば、歩幅取得部15によって取得された人物の実際の歩幅を加算することにより、人物の移動距離を取得する。また、距離取得部16は、人物の移動距離と、位置取得部14によって取得される第1位置及び第2位置に基づくその人物の歩数とに基づいて、その人物の平均歩幅を取得することとしてもよい。また、距離取得部16は、人物の移動距離と、人物の移動の始点から終点までの時間を計時する計時部(図示せず)によって取得される移動時間とに基づいて、その人物の移動速度を取得することとしてもよい。
【0039】
出力制御部17は、歩幅取得部15によって取得された歩幅、及び、距離取得部16によって取得された距離を出力するよう制御する。
例えば、出力制御部17は、歩幅取得部15によって取得された歩幅に関する情報、及び、距離取得部16によって取得された距離に関する情報を記憶部19に記憶するよう制御してもよい。また、例えば、出力制御部17は、歩幅取得部15によって取得された歩幅を示す文字及び画像、及び、距離取得部16によって取得された距離を示す文字及び画像を表示部20に表示するよう制御してもよい。また、例えば、出力制御部17は、歩幅取得部15によって取得された歩幅に関する情報、及び、距離取得部16によって取得された距離に関する情報をサーバ等の外部装置(図示せず)に送信するよう通信部(図示せず)を制御してもよい。
【0040】
次に、一実施形態に係る情報処理方法について説明する。
図6は、一実施形態に係る情報処理方法について説明するためのフローチャートである。
【0041】
ステップST101において、カメラ部18は、人物を撮像して画像データを生成する。この場合、カメラ部18は、画像データとして、動画データを生成してもよく、又は、静止画データを生成してもよい。カメラ部18は、静止画データを生成する場合、例えば、人物を所定時間毎に静止画で撮像することにより複数の静止画データを生成することとしてもよい。
また、深度測定部12は、人物の深度を測定する。すなわち、深度測定部12は、カメラ部18によって生成される画像データに基づく画像に対して奥行方向となる深度を測定する。
【0042】
ステップST102において、構造取得部13は、ステップST101で生成された画像データに基づいて、人体の特徴点を含むボーン構造200を取得する。構造取得部13は、例えば、公知の技術を利用して、ボーン構造200を取得することとしてもよい。また、構造取得部13は、例えば、深度測定部12によって測定される深度(人物の立体的形状)を利用して、ボーン構造200を取得することとしてもよい。
【0043】
ステップST103において、位置取得部14は、ステップST102で取得されるボーン構造200の特徴点(例えば、右膝、左膝、右脚首及び左足首等の特徴点)を利用して、第1位置及び第2位置を取得する。具体的には、位置取得部14は、人物を横から見て、右脚が接地する場合に右脚(例えば、右膝)と左脚(例えば、左膝)とが重なっている際の右脚首の位置(第1位置)を取得する。位置取得部14は、その次に、左脚が接地する場合に右脚(例えば、右膝)と左脚(例えば、左膝)とが重なっている際の左脚首の位置(第2位置)を取得する。
位置取得部14は、右脚(右膝)と左脚(左膝)とが重なる際の右足首の特徴点の位置と左足首の特徴点の位置とを繰り返し取得する。
【0044】
ステップST104において、歩幅取得部15は、ステップST103で取得された第1位置と第2位置とに基づいて、人物の歩幅を取得する。歩幅取得部15は、例えば、ステップST103で右脚(右膝)と左脚(左膝)とが重なる際の右足首の特徴点の位置と左足首の特徴点の位置とが繰り返し取得される場合、特徴点の位置が取得される毎に、又は、3つ以上の特徴点の位置が取得された後の所定のタイミングで、歩幅を取得することとしてもよい。
【0045】
ステップST105において、距離取得部16は、ステップST104で取得された歩幅に基づいて人物の移動距離を取得する。
【0046】
次に、本実施形態の効果について説明する。
情報処理装置1は、人物を撮像して画像データを生成するカメラ部18と、カメラ部18によって生成された画像データに基づいて、人体の特徴点を示す複数のノードと、隣接するノードを接続するリンクとを含むボーン構造200を取得する構造取得部13と、構造取得部13によって取得されたボーン構造200に基づいて、人物が歩行する場合に、その人物の右脚と左脚とが側面視して重なる際の一方の脚の足首の位置としての第1位置と、次回、人物の右脚と左脚とが側面視して重なる際の他方の脚の足首の位置としての第2位置とを取得する位置取得部14と、位置取得部14によって取得された第1位置と第2位置とに基づいて、人物の歩幅を取得する歩幅取得部15と、を備える。
情報処理装置1は、カメラ部18によって確実に撮像できる人物の右脚首及び左脚首を利用してその人物の歩幅を取得するので、人物の脚の他の部位を利用して歩幅を取得する場合に比べて、取得される歩幅の精度を向上させることができる。また、情報処理装置1は、人物のボーン構造200を取得するため、人物の部位を単純化でき、確実にその人物の右脚と左脚との重なりを取得することができる。
また、情報処理装置1は、カメラ部18によって人物を撮像することにより得られた画像データに基づいてボーン構造200を取得するため、人物に特徴点を示すマーカを装着することなくボーン構造200を得ることができる。よって、情報処理装置1は、ボーン構造200を取得する際の手間を簡略化することができ、容易に人物のボーン構造200を取得することができる。
また、情報処理装置1は、位置取得部14によってボーン構造200を利用して取得した第1位置及び第2位置に基づいて人物の歩幅を取得するので、例えば、かかとの着地点を利用して歩幅を取得する技術に比べて、容易に且つ正確に歩幅を取得することができる。すなわち、情報処理装置1は、人物の歩幅を取得する際の計算処理の負担を軽減することができる。
【0047】
情報処理装置1は、歩幅取得部15によって取得された歩幅に基づいて、人物の移動距離を取得する距離取得部16を備えることとしてもよい。
これにより、情報処理装置1は、カメラ部18により人物を撮像するだけで、その人物の移動距離を取得できるため、例えば、人物がリハビリを行う場面を始めとする種々の場面において利用されることができる。すなわち、情報処理装置1は、人物の移動距離を取得する場合の使い勝手を向上させることができる。
【0048】
情報処理装置1では、位置取得部14は、右膝を示す特徴点と、左膝を示す特徴点とに基づいて、右脚と左脚とが重なることを判定することとしてもよい。
これにより、情報処理装置1は、人物の特徴点(右膝の特徴点及び左膝の特徴点)を利用することにより人物が単純化されるため、人物を横から見た場合の右脚と左脚との重なりを容易に判定することができる。また、情報処理装置1は、一般的に、カメラ部18によって右膝及び左膝を確実に撮像できるため、右脚と左脚との重なりの判定精度を向上させることができる。
【0049】
情報処理装置1は、カメラ部18によって生成される画像データに基づく画像に対して奥行方向となる深度を測定する深度測定部12を備えることとしてもよい。
情報処理装置1は、カメラ部18に対して人物が横方向に移動する場合だけでなく、カメラ部18に対して人物が前後方向に移動する場合でも、人物の歩幅を取得することができる。すなわち、情報処理装置1は、カメラ部18に対する人物の移動方向にかかわらずその人物の歩幅を取得することができる。これにより、情報処理装置1は、一例として、リハビリ等を始めとする種々の場面において人物の歩幅を取得できるため、歩幅を取得する際の使い勝手を向上させることができる。
また、情報処理装置1は、深度測定部12によって深度を測定することに基づいて人物の立体的形状を取得した場合には、人物の立体的形状に基づいてボーン構造200を取得することができる。
【0050】
情報処理装置1では、カメラ部18は、画像データとして、人物を動画で撮像することにより動画データを生成し、又は、人物を所定時間毎に静止画で撮像することにより複数の静止画データを生成することとしてもよい。
これにより、情報処理装置1は、人物を横方向から見た場合にその人物の右脚と左脚とが重なるシーンを撮像できるため、そのシーンに基づいて人物の歩幅を取得することができる。
【0051】
情報処理方法では、人物を撮像して画像データを生成するカメラ部18を備えるコンピュータが、カメラ部18によって生成された画像データに基づいて、人体の特徴点を示す複数のノードと、隣接するノードを接続するリンクとを含むボーン構造200を取得する構造取得ステップと、構造取得ステップによって取得されたボーン構造200に基づいて、人物が歩行する場合に、その人物の右脚と左脚とが側面視して重なる際の一方の脚の足首の位置としての第1位置と、次回、人物の右脚と左脚とが側面視して重なる際の他方の脚の足首の位置としての第2位置とを取得する位置取得ステップと、位置取得ステップによって取得された第1位置と第2位置とに基づいて、人物の歩幅を取得する歩幅取得ステップと、を実行する。
情報処理方法は、カメラ部18によって確実に撮像できる人物の右脚首及び左脚首を利用してその人物の歩幅を取得するので、人物の脚の他の部位を利用して歩幅を取得する場合に比べて、取得される歩幅の精度を向上させることができる。また、情報処理方法は、人物のボーン構造200を取得するため、人物の部位を単純化でき、確実にその人物の右脚と左脚との重なりを取得することができる。
また、情報処理方法は、カメラ部18によって人物を撮像することにより得られた画像データに基づいてボーン構造200を取得するため、人物に特徴点を示すマーカを装着することなくボーン構造200を得ることができる。よって、情報処理方法は、ボーン構造200を取得する際の手間を簡略化することができ、容易に人物のボーン構造200を取得することができる。
また、情報処理方法は、位置取得ステップによってボーン構造200を利用して取得した第1位置及び第2位置に基づいて人物の歩幅を取得するので、例えば、かかとの着地点を利用して歩幅を取得する技術に比べて、容易に且つ正確に歩幅を取得することができる。すなわち、情報処理方法は、人物の歩幅を取得する際の計算処理の負担を軽減することができる。
【0052】
情報処理プログラムは、コンピュータに、人物を撮像して画像データを生成するカメラ機能と、カメラ機能によって生成された画像データに基づいて、人体の特徴点を示す複数のノードと、隣接するノードを接続するリンクとを含むボーン構造200を取得する構造取得機能と、構造取得機能によって取得されたボーン構造200に基づいて、人物が歩行する場合に、その人物の右脚と左脚とが側面視して重なる際の一方の脚の足首の位置としての第1位置と、次回、人物の右脚と左脚とが側面視して重なる際の他方の脚の足首の位置としての第2位置とを取得する位置取得機能と、位置取得機能によって取得された第1位置と第2位置とに基づいて、人物の歩幅を取得する歩幅取得機能と、を実現させる。
情報処理プログラムは、カメラ機能によって確実に撮像できる人物の右脚首及び左脚首を利用してその人物の歩幅を取得するので、人物の脚の他の部位を利用して歩幅を取得する場合に比べて、取得される歩幅の精度を向上させることができる。また、情報処理プログラムは、人物のボーン構造200を取得するため、人物の部位を単純化でき、確実にその人物の右脚と左脚との重なりを取得することができる。
また、情報処理プログラムは、カメラ機能によって人物を撮像することにより得られた画像データに基づいてボーン構造200を取得するため、人物に特徴点を示すマーカを装着することなくボーン構造200を得ることができる。よって、情報処理プログラムは、ボーン構造200を取得する際の手間を簡略化することができ、容易に人物のボーン構造200を取得することができる。
また、情報処理プログラムは、位置取得機能によってボーン構造200を利用して取得した第1位置及び第2位置に基づいて人物の歩幅を取得するので、例えば、かかとの着地点を利用して歩幅を取得する技術に比べて、容易に且つ正確に歩幅を取得することができる。すなわち、情報処理プログラムは、人物の歩幅を取得する際の計算処理の負担を軽減することができる。
【0053】
上述した情報処理装置1の各部は、コンピュータの演算処理装置等の機能として実現されてもよい。すなわち、情報処理装置1の深度測定部12、構造取得部13、位置取得部14、歩幅取得部15、距離測定部及び出力制御部17は、コンピュータの演算処理装置等による深度測定機能、構造取得機能、位置取得機能、歩幅取得機能、距離測定機能及び出力制御機能としてそれぞれ実現されてもよい。
情報処理プログラムは、上述した各機能をコンピュータに実現させることができる。情報処理プログラムは、外部メモリ又は光ディスク等の、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録されていてもよい。
また、上述したように、情報処理装置1の各部は、コンピュータの演算処理装置等で実現されてもよい。その演算処理装置等は、例えば、集積回路等によって構成される。このため、情報処理装置1の各部は、演算処理装置等を構成する回路として実現されてもよい。すなわち、情報処理装置1の深度測定部12、構造取得部13、位置取得部14、歩幅取得部15、距離測定部及び出力制御部17は、コンピュータの演算処理装置等を構成する深度測定回路、構造取得回路、位置取得回路、歩幅取得回路、距離測定回路及び出力制御回路として実現されてもよい。
また、情報処理装置1のカメラ部18、記憶部19及び表示部20は、例えば、演算処理装置等の機能を含むカメラ機能、記憶機能及び表示機能として実現されもよい。また、情報処理装置1のカメラ部18、記憶部19及び表示部20は、例えば、集積回路等によって構成されることによりカメラ回路、記憶回路及び表示回路として実現されてもよい。また、情報処理装置1のカメラ部18、記憶部19及び表示部20は、例えば、複数のデバイスによって構成されることによりカメラ装置、記憶装置及び表示装置として構成されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 情報処理装置
11 制御部
12 深度測定部
13 構造取得部
14 位置取得部
15 歩幅取得部
16 距離取得部
17 出力制御部
18 カメラ部
19 記憶部
20 表示部
200 ボーン構造