(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】レプリケーション方法
(51)【国際特許分類】
G06F 11/14 20060101AFI20240423BHJP
G06F 13/10 20060101ALI20240423BHJP
G06F 3/06 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G06F11/14 651
G06F13/10 340A
G06F3/06 301W
G06F3/06 301X
G06F3/06 302J
G06F3/06 304F
G06F3/06 304B
(21)【出願番号】P 2020026039
(22)【出願日】2020-02-19
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【氏名又は名称】境 廣巳
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【氏名又は名称】桂木 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕司
【審査官】漆原 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-521762(JP,A)
【文献】特開2019-204278(JP,A)
【文献】特開2012-164166(JP,A)
【文献】特開2011-191933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/14
G06F 13/10
G06F 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レプリケーション装置が、
レプリケーション対象のデータのうちレプリケーション装置が有する記憶装置に格納されていない差分データと、レプリケーション対象のデータにおけるデータの並び順を示す情報とデータが属する世代を示す世代情報とを含む順番情報と、をストレージ装置から受信し、
受信した差分データを前記記憶装置に格納し、
前記世代情報と前記並び順を示す情報とを含む前記順番情報に基づいて、前記記憶装置に格納されているデータに対する再格納処理を行う
レプリケーション方法。
【請求項2】
請求項1に記載のレプリケーション方法であって、
前記記憶装置に格納されているデータが、前記順番情報が示す並び順となるように、前記再格納処理を行う
レプリケーション方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のレプリケーション方法であって、
データを分割した分割データをストレージ装置が有するストレージ装置側記憶装置が既に記憶しているか否か確認する重複排除処理の結果に応じて分割データを記憶するストレージ装置に格納されているデータと、前記記憶装置に格納されているデータと、の間の比較を行い、
比較の結果に基づいて抽出される前記差分データをストレージ装置から受信する
レプリケーション方法。
【請求項4】
請求項3に記載のレプリケーション方法であって、
ストレージ装置に格納されているデータと、前記記憶装置に格納されているデータと、の間の比較を、重複排除処理を行う容量の単位よりも細かい単位で行う
レプリケーション方法。
【請求項5】
請求項4に記載のレプリケーション方法であって、
重複排除処理を行う容量の単位よりも細かい単位で比較した結果抽出される前記差分データをストレージ装置から受信する
レプリケーション方法。
【請求項6】
請求項3から請求項5までのいずれか1項に記載のレプリケーション方法であって、
記憶対象のデータにおける分割データの並び順を示す情報に基づく再格納処理を行ったストレージ装置が記憶するデータと、前記記憶装置に格納されているデータと、の間の比較を行う
レプリケーション方法。
【請求項7】
レプリケーション対象のデータのうちレプリケーション装置が有する記憶装置に格納されていない差分データと、レプリケーション対象のデータにおけるデータの並び順を示す情報とデータが属する世代を示す世代情報とを含む順番情報と、をストレージ装置から受信する受信部と、
受信した差分データを前記記憶装置に格納する格納部と、
前記世代情報と前記並び順を示す情報とを含む前記順番情報に基づいて、前記記憶装置に格納されているデータに対する再格納処理を行う再格納部と、
を有する
レプリケーション装置。
【請求項8】
レプリケーション装置に、
レプリケーション対象のデータのうちレプリケーション装置が有する記憶装置に格納されていない差分データと、レプリケーション対象のデータにおけるデータの並び順を示す情報とデータが属する世代を示す世代情報とを含む順番情報と、をストレージ装置から受信する受信部と、
受信した差分データを前記記憶装置に格納する格納部と、
前記世代情報と前記並び順を示す情報とを含む前記順番情報に基づいて、前記記憶装置に格納されているデータに対する再格納処理を行う再格納部と、
を実現するためのプログラム。
【請求項9】
ストレージ装置が、
ストレージ装置が有するストレージ側記憶装置に格納されているデータと、レプリケーション装置が有する記憶装置に格納されているデータと、の比較を行い、比較の結果に基づいて差分データを抽出し、
抽出した差分データと、レプリケーション対象のデータにおけるデータの並び順を示す情報とデータが属する世代を示す世代情報とを含む順番情報と、をレプリケーション装置に対して送信し、
記憶対象のデータにおける分割データの並び順を示す情報に基づく再格納処理を行い、再格納処理後のデータと、レプリケーション装置が記憶するデータと、の間で比較を行う
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レプリケーション方法、レプリケーション装置、プログラム、情報処理方法、ストレージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データを分割したうえで格納するストレージが知られている。
【0003】
上記のような技術について記載された文献として、例えば、特許文献1がある。特許文献1には、分割元が異なるデータを順番に格納する手段と、読み出し処理がファイルから再度に読み出した位置を記憶する手段と、ファイル内でデータをソートする処理を記憶した位置に以降に格納されているデータに対して行う手段と、を有するストレージシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
格納されたデータの断片化は、特許文献1が示すような複数ストリームの書き込みの他に、例えば、レプリケーションを行う際にも生じる。このようなレプリケーションを行う際に生じる断片化は、特許文献1に記載の技術では解消できなかった。その結果、レプリケーションを行う際にデータが断片化されてしまい、読み出し速度が遅くなるおそれがある、という課題が生じていた。
【0006】
そこで、本発明の目的は、レプリケーションを行う際にデータが断片化されてしまい、読み出し速度が遅くなるおそれがある、という課題を解決するレプリケーション方法、レプリケーション装置、プログラム、情報処理方法、ストレージ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため本発明の一形態であるレプリケーション方法は、
レプリケーション装置が、
レプリケーション対象のデータのうちレプリケーション装置が有する記憶装置に格納されていない差分データと、レプリケーション対象のデータにおけるデータの並び順を示す情報である順番情報と、をストレージ装置から受信し、
受信した差分データを前記記憶装置に格納し、
前記順番情報に基づいて、前記記憶装置に格納されているデータに対する再格納処理を行う
という構成をとる。
【0008】
また、本発明の他の形態であるレプリケーション装置は、
レプリケーション対象のデータのうちレプリケーション装置が有する記憶装置に格納されていない差分データと、レプリケーション対象のデータにおけるデータの並び順を示す情報である順番情報と、をストレージ装置から受信する受信部と、
受信した差分データを前記記憶装置に格納する格納部と、
前記順番情報に基づいて、前記記憶装置に格納されているデータに対する再格納処理を行う再格納部と、
を有する
という構成をとる。
【0009】
また、本発明の他の形態であるプログラムは、
レプリケーション装置に、
レプリケーション対象のデータのうちレプリケーション装置が有する記憶装置に格納されていない差分データと、レプリケーション対象のデータにおけるデータの並び順を示す情報である順番情報と、をストレージ装置から受信する受信部と、
受信した差分データを前記記憶装置に格納する格納部と、
前記順番情報に基づいて、前記記憶装置に格納されているデータに対する再格納処理を行う再格納部と、
を実現するためのプログラムである。
【0010】
また、本発明の他の形態である情報処理方法は、
ストレージ装置が、
ストレージ装置が有するストレージ側記憶装置に格納されているデータと、レプリケーション装置が有する記憶装置に格納されているデータと、の比較を行い、比較の結果に基づいて差分データを抽出し、
抽出した差分データと、レプリケーション対象のデータにおけるデータの並び順を示す情報である順番情報と、をストレージ装置に対して送信する
という構成をとる。
【0011】
また、本発明の他の形態であるストレージ装置は、
ストレージ装置が有するストレージ側記憶装置に格納されているデータと、レプリケーション装置が有する記憶装置に格納されているデータと、の比較を行い、比較の結果に基づいて差分データを抽出するレプリケーション処理部と、
抽出した差分データと、レプリケーション対象のデータにおけるデータの並び順を示す情報である順番情報と、をストレージ装置に対して送信する送信部と、
を有する
という構成をとる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以上のように構成されることにより、レプリケーションを行う際にデータが断片化されてしまい、読み出し速度が遅くなるおそれがある、という課題を解決するレプリケーション方法、レプリケーション装置、プログラム、情報処理方法、ストレージ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態におけるシステムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図1で示すサーバの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図1で示すストレージ装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】バックアップデータと順序情報の一例を示す図である。
【
図6】差分データ格納後のバックアップデータと順序情報の一例を示す図である。
【
図7】再格納処理後のバックアップデータと順序情報の一例を示す図である。
【
図8】サーバとストレージ装置の動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態におけるシステムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】
図9で示すストレージ装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】
図9で示すレプリケーション装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図13】再格納処理前後のバックアップデータの一例を示す図である。
【
図14】レプリケーション処理の一例を説明するための図である。
【
図15】レプリケーション処理の一例を説明するための図である。
【
図16】レプリケーション処理の一例を説明するための図である。
【
図17】ストレージ装置とレプリケーション装置の動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図18】本発明の第3の実施形態におけるストレージ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図19】本発明の第3の実施形態におけるストレージ装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図20】本発明の第3の実施形態におけるレプリケーション装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態を
図1から
図8までを参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態におけるシステムの構成の一例を示すブロック図である。
図2は、サーバ100の構成の一例を示すブロック図である。
図3は、ストレージ装置200の構成の一例を示すブロック図である。
図4は、データ更新の一例を示す図である。
図5は、バックアップデータ251と順序情報252の一例を示す図である。
図6は、差分データ格納後のバックアップデータ251と順序情報252の一例を示す図である。
図7は、再格納処理後のバックアップデータ251の状態の一例を示す図である。
図8は、サーバ100とストレージ装置200の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0015】
本発明の第1の実施形態においては、記憶対象のデータを分割した分割データであるブロックデータを格納するストレージ装置200を有するシステムについて説明する。本実施形態におけるストレージ装置200は、新しい世代のデータを格納する際、古い世代のデータとの間で差分となる差分データのみを取得して格納する。後述するように、ストレージ装置200は、差分データを格納する際、記憶対象のデータにおけるブロックデータの並び順を示すブロック番号(順番情報)を示す情報を含む順序情報252を格納する。また、ストレージ装置200は、格納した順序情報252に基づいて、ブロックデータの並び順を並び替える処理である再格納処理を行う。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施形態におけるシステムの構成の一例を示している。
図1を参照すると、システムは、サーバ100とストレージ装置200とを有している。
図1で示すように、サーバ100とストレージ装置200とは、ネットワークなどを介して、互いに通信可能なよう接続されている。なお、
図1は、システム構成の一例を示しており、システムは
図1で例示する以外の構成であっても構わない。例えば、システムは、複数のストレージ装置200を有することが出来る。
【0017】
本実施形態において説明するシステムは、データを分割、重複排除してストレージ装置200に格納する。例えば、システムは、記憶するデータの内容に応じて設定される固有のコンテンツアドレスによって、当該データを格納した格納位置を特定するコンテンツアドレスストレージシステムなどであっても構わない。
【0018】
サーバ100は、外部装置などから記憶対象のデータを受信すると、受信したデータをブロックデータに分割して、ストレージ装置200に格納されていないブロックデータである差分データをストレージ装置200に対して送信する。
図2は、サーバ100の構成の一例を示している。
図2を参照すると、サーバ100は、ファイルの読み書きを制御するファイルシステム部などの一般的な構成に加えて、例えば、データ分割部110と、重複排除部120と、送受信部130と、を有している。
【0019】
例えば、サーバ100は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置と、記憶装置と、を有している。例えば、サーバ100は、記憶装置に格納されたプログラムを演算装置が実行することで、上述した各処理部を実現する。
【0020】
データ分割部110は、送受信部130が受信した記憶対象のデータを固定長(例えば、64KB)または可変長のブロックデータに分割する。
【0021】
重複排除部120は、データ分割部110が分割したブロックデータのデータ内容に基づいて、当該データ内容を代表するハッシュ値を算出する。例えば、重複排除部120は、予め設定されたハッシュ関数(例えば、SHA-2などの暗号学的ハッシュ関数)を用いて、ブロックデータのデータ内容からハッシュ値を算出する。
【0022】
また、重複排除部120は、算出したブロックデータのハッシュ値に基づいて、重複排除処理を行う。例えば、サーバ100は、ストレージ装置200に既に格納されているブロックデータの内容に基づくハッシュ値と、格納位置を表す情報と、を組み合わせたコンテンツアドレスなどの重複排除情報を記憶している。重複排除部120は、重複排除情報と、算出したハッシュ値と、に基づいて、同一内容のブロックデータがストレージ装置200に既に格納されているか否か判断する。
【0023】
例えば、ブロックデータに基づいて算出したハッシュ値が重複排除情報に含まれる場合、重複排除部120は、既に同一内容のブロックデータがストレージ装置200に格納されていると判断する。この場合、重複排除部120は、重複するブロックデータをストレージ装置200に対して送信しないと判断する。また、重複排除部120は、算出したハッシュ値に対応するコンテンツアドレスを重複排除情報から取得する。そして、重複排除部120は、取得したコンテンツアドレスを、記憶対象のブロックデータのコンテンツアドレスとしてファイルシステム部などに返却する。
【0024】
また、記憶対象のブロックデータに基づいて算出したハッシュ値が重複排除情報に含まれない場合、重複排除部120は、記憶対象のブロックデータがストレージ装置200にまだ格納されていないと判断する。この場合、重複排除部120は、例えば、重複していないブロックデータを、送受信部130を介してストレージ装置200へと送信すると判断する。
【0025】
送受信部130は、外部装置などから記憶対象のデータを受信する。また、送受信部130は、重複排除部120による判断の結果に応じた送信処理を行う。
【0026】
例えば、送受信部130は、重複排除部120が重複していないと判断したブロックデータをストレージ装置200へと送信する。また、送受信部130は、記憶対象のデータを分割した各ブロックデータが属する世代を示す世代情報や記憶対象のデータにおける各ブロックデータの並び順を示すブロック番号などを含む情報をストレージ装置200に対して送信する。
【0027】
例えば、送受信部130は、送信するブロックデータのメタデータとして、当該ブロックデータの世代情報やブロック番号などをブロックデータに対応づける。そして、送受信部130は、対応づけたブロックデータと当該ブロックデータのメタデータとをストレージ装置200に対して送信する。また、例えば、送受信部130は、重複により送信しないブロックデータのハッシュ値などと当該ブロックデータの世代情報やブロック番号などを対応付けて、ストレージ装置200に対して送信する。
【0028】
例えば、以上のように、送受信部130は、重複排除部120が重複していないと判断したブロックデータをストレージ装置200に対して送信するとともに、世代情報やブロック番号などを含む情報をストレージ装置200に対して送信する。
【0029】
以上が、サーバ100の構成の一例である。なお、サーバ100は、ブロックデータを複数のフラグメントデータなどにさらに分割したうえで、分割したフラグメントデータをストレージ装置200に対して送信するよう構成しても構わない。また、サーバ100は、分割したフラグメントデータを複数のストレージ装置200またはディスクに分散記憶させるよう構成しても構わない。
【0030】
ストレージ装置200は、データを格納する記憶装置を備えたサーバ装置である。
図3は、ストレージ装置200の構成の一例を示している。
図3を参照すると、ストレージ装置200は、例えば、送受信部210と、格納部220と、順序情報格納・更新部230と、再格納処理部240と、を有している。また、ストレージ装置200は、ディスク装置などの記憶装置250を有している。記憶装置250には、例えば、バックアップデータ251や順序情報252などが格納される。
【0031】
送受信部210は、サーバ100などとの間でデータの送受信を行う。例えば、送受信部210は、サーバ100が送信したブロックデータ、世代情報やブロック番号などを含む情報、などを受信する。
【0032】
格納部220は、送受信部210が受信したブロックデータをバックアップデータ251として記憶装置250に格納する。例えば、格納部220は、記憶装置250にバックアップデータ251として既に格納されているデータの後ろに、受信したブロックデータを順番に格納する。
【0033】
順序情報格納・更新部230は、送受信部210が受信した世代情報やブロック番号などを含む情報に基づいて、順序情報252の格納処理、更新処理を行う。ここで、順序情報252は、少なくともブロック番号を示す情報であり、例えば、世代情報とブロック番号とを含んでいる。順序情報252は、例えば、ブロックデータのメタデータなどとして、各ブロックデータに対応づけられている。
【0034】
再格納処理部240は、順序情報252に基づいて、データの再格納処理を行う。例えば、再格納処理部240は、新しい世代のデータを優先的に再格納する。また、再格納処理部240は、ブロック番号が示す並び順に応じた再格納を行う。
【0035】
なお、本実施形態においては、再格納処理部240が再格納処理を開始するタイミングについては、特に限定しない。例えば、再格納処理部240は、ストレージ装置200の負荷状況などに応じて再格納処理を開始することが出来る。再格納処理部240は、例えば、予め定められたタイミングなどで再格納処理を開始しても構わない。
【0036】
記憶装置250は、例えば、ディスク装置などである。記憶装置250には、例えば、バックアップデータ251や順序情報252などが格納される。なお、記憶装置250は、1つのディスクから構成されても構わないし、複数のディスクから構成されても構わない。
【0037】
以上が、ストレージ装置200の構成の一例である。
【0038】
ここで、
図4から
図7までを参照して、再格納処理の一例についてより詳細に説明する。例えば、以下においては、
図4で示すようなデータ更新が行われた際の再格納処理の一例について説明する。
【0039】
図4は、データ更新の一例を示している。
図4を参照すると、例えば、第1世代の記憶対象のデータ「ブロックA」「ブロックB」「ブロックC」「ブロックD」「ブロックE」が格納された状態から第2世代の記憶対象のデータ「ブロックA」「ブロックF」「ブロックC」「ブロックG」「ブロックD」「ブロックH」へとデータ更新を行うとする。
【0040】
この場合、データ更新の前において、バックアップデータ251と順序情報252とは、例えば、
図5で示すような状態となる。つまり、
図5を参照すると、「ブロックA」「ブロックB」「ブロックC」「ブロックD」「ブロックE」の順番で、バックアップデータ251としてブロックデータが記憶装置250に格納されている。また、「ブロックA」に「1-1」、「ブロックB」に「1-2」、「ブロックC」に「1-3」、「ブロックD」に「1-4」、「ブロックE」に「1-5」の順序情報252がそれぞれ対応付けられている。例えば、順序情報252「1-1」は、対応するブロックデータである「ブロックA」が第1世代の記憶対象のデータにおける1番目の並び順のブロックデータであることを示している。また、順序情報252「1-2」は、対応するブロックデータである「ブロックB」が第1世代の記憶対象のデータにおける2番目の並び順のブロックデータであることを示している。
【0041】
また、
図5で示すような状況から、
図4で示したようなデータ更新を行う場合、送受信部210は、データ更新前後において重複していないブロックデータである、「ブロックF」「ブロックG」「ブロックH」の実データをサーバ100から受信する。すると、格納部220は、受信したブロックデータを、既に格納している「ブロックE」の後に順番で格納する。その結果、
図6で示すように、記憶装置250において、バックアップデータ251として、「ブロックA」「ブロックB」「ブロックC」「ブロックD」「ブロックE」「ブロックF」「ブロックG」「ブロックH」の順番でブロックデータが格納される。また、順序情報格納・更新部230は、受信した世代情報やブロック番号などを含む情報に応じた格納・更新処理を行う。例えば、
図4で示すデータ更新を行う場合、順序情報格納・更新部230は、「ブロックA」、「ブロックC」、「ブロックD」に対応する順序情報252を更新するとともに、「ブロックF」「ブロックG」「ブロックH」に順序情報252を対応づける。その結果、
図6で示すように、「ブロックA」に「2-1」、「ブロックB」に「1-2」、「ブロックC」に「2-3」、「ブロックD」に「2-5」、「ブロックE」に「1-5」、「ブロックF」に「2-2」、「ブロックG」に「2-4」、「ブロックH」に「2-6」の順序情報252がそれぞれ対応付けられる。
【0042】
再格納処理部240は、上述した処理により更新された順序情報252を用いて再格納処理を行う。例えば、再格納処理部240は、順序情報252に含まれる最新世代である第2世代のブロックデータが、最新世代よりも前の世代である第1世代のブロックデータよりも前に格納されるように再格納処理を行う。また、再格納処理部240は、順序情報252に含まれる最新世代である第2世代においてブロック番号が示す並び順でブロックデータが格納されるように再格納処理を行う。このような再格納処理の結果、バックアップデータ251におけるブロックデータの並び順は、例えば、
図7で示すようになる。例えば、
図7を参照すると、再格納処理により、「ブロックA」「ブロックF」「ブロックC」「ブロックG」「ブロックD」「ブロックH」「ブロックB」「ブロックE」の順番でブロックデータが格納される。このように、順序情報252に基づく再格納処理を行うことで、データ更新後の記憶対象のデータの並び順でバックアップデータ251を構成することが可能となり、断片化を解消することが可能となる。
【0043】
以上が、再格納処理の一例である。
【0044】
続いて、
図8を参照して、サーバ100とストレージ装置200の動作の一例について説明する。
図8で示すように、サーバ100が記憶対象のデータを受信すると、データ分割部110が記憶対象のデータを固定長(例えば、64KB)または可変長のブロックデータに分割するとともに、重複排除部120によりブロックデータの重複排除を行う(ステップS101)。重複排除部120による重複排除処理は、例えば、ブロックデータのデータ内容に基づいて算出したハッシュ値に基づいて行う。
【0045】
送受信部130は、重複排除部120により重複していないと判断されたブロックデータをストレージ装置200に対して送信する。また、送受信部130は、記憶対象のデータを分割したブロックデータが属する世代を示す世代情報や記憶対象のデータにおけるブロックデータの並び順を示すブロック番号などを含む情報をストレージ装置200に対して送信する(ステップS102)。
【0046】
ストレージ装置200の格納部220は、送受信部210がブロックデータを受信すると、受信したブロックデータをバックアップデータ251として記憶装置250に格納する。格納部220によるブロックデータの格納は、例えば、送受信部210がブロックデータを受信した順番に沿って行われる。また、順序情報格納・更新部230は、送受信部210が受信した世代情報やブロック番号などを含む情報に基づいて、順序情報252の格納処理、更新処理を行う(ステップS201)。
【0047】
再格納処理部240は、順序情報252に基づいて、データの再格納処理を行う(ステップS202)。例えば、再格納処理部240は、新しい世代のデータを優先的に再格納する。また、再格納処理部240は、ブロック番号が示す並び順に応じた再格納を行う。
【0048】
以上が、サーバ100とストレージ装置200の動作の一例である。
【0049】
このように、ストレージ装置200は、世代情報やブロック番号などを含む情報を受信するよう構成されている。また、ストレージ装置200は、順序情報格納・更新部230と、再格納処理部240と、を有している。このような構成により、再格納処理部240は、順序情報格納・更新部230が更新する順序情報252に基づいて、データの再格納処理を行うことが出来る。このように順序情報252に基づく再格納処理を行うことで、記憶装置250において、最新世代のデータをリストアする場合の読み出し順序に応じた格納状態となる。これにより、複数世代のデータを格納する場合でも断片化を解消することが可能となり、読み出し性能を向上させることが可能となる。
【0050】
なお、本実施形態においては、サーバ100とストレージ装置200とを有するシステムについて説明した。しかしながら、本発明は、例えば、サーバ100としての機能とストレージ装置200としての機能とを有する1台の情報処理装置により実現されても構わない。また、サーバ100としての機能やストレージ装置200としての機能は、例えば、複数台の情報処理装置により実現されても構わない。
【0051】
また、本実施形態においては、サーバ100が重複排除処理を行う場合について説明した。しかしながら、例えば、ストレージ装置200がサーバ100とともに、または、ストレージ装置200が単独で重複排除処理を行うよう構成しても構わない。また、ストレージ装置200は、受信したブロックデータをさらに分割したり圧縮したりしたうえで格納するよう構成しても構わない。
【0052】
また、順序情報252は、バックアップデータ251に含まれる各ブロックデータのうちの最新世代の記憶対象のデータにおける並び順を示すブロック番号を有していれば、本実施形態において例示した以外の構成であっても構わない。例えば、順序情報252は、世代情報を含まなくても構わない。順序情報252が世代情報を含まない場合などにおいては、再格納処理部240は、ブロック番号を有する最新世代のブロックデータ以外のブロックデータの並び順をどのように再格納しても構わない。また、順序情報252は、ブロックデータのメタデータなどとして、各ブロックデータに対応づけられていなくても構わない。
【0053】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態を
図9から
図17までを参照して説明する。
図9は、本発明の第2の実施形態におけるシステムの構成の一例を示すブロック図である。
図10は、ストレージ装置300の構成の一例を示すブロック図である。
図11は、レプリケーション装置400の構成の一例を示すブロック図である。
図12は、データ更新の一例を示す図である。
図13は、ストレージ装置300における再格納処理後のバックアップデータ251の状態の一例を示す図である。
図14、
図15は、レプリケーション処理の一例を説明するための図である。
図16は、レプリケーション処理における再格納処理の一例を説明するための図である。
図17は、ストレージ装置300とレプリケーション装置400とがレプリケーション処理を実行する際の処理の一例を示すシーケンス図である。
【0054】
本発明の第2の実施形態においては、過去のフルバックアップと差分バックアップとから最新のフルバックアップイメージを生成する合成バックアップ、レプリケーションを行うシステムについて説明する。後述するように、本実施形態におけるストレージ装置300は、レプリケーション装置400に対して差分データを送信するとともに、レプリケーション対象のデータにおけるブロックデータの並び順を示すブロック番号などを含む情報を送信する。また、レプリケーション装置400は、格納した順序情報462に基づいて、格納されたデータの並び順を並び替える処理である再格納処理を行う。このように、本発明の第2の実施形態では、第1の実施形態で説明したストレージ装置200が行う再格納処理と同様の処理をレプリケーション装置400において行う場合について説明する。
【0055】
図9は、本発明の第2の実施形態におけるシステムの構成の一例を示している。
図9を参照すると、システムは、サーバ100とストレージ装置300とレプリケーション装置400とを有している。
図9で示すように、サーバ100とストレージ装置300とは、ネットワークなどを介して、互いに通信可能なよう接続されている。また、ストレージ装置300とレプリケーション装置400とは、ネットワークなどを介して、互いに通信可能なよう接続されている。
【0056】
本実施形態において説明するシステムは、第1の実施形態と同様に、データを分割、重複排除してストレージ装置300に格納する。例えば、システムは、記憶するデータの内容に応じて設定される固有のコンテンツアドレスによって、当該データを格納した格納位置を特定するコンテンツアドレスストレージシステムなどであっても構わない。また、本実施形態において説明するシステムでは、ストレージ装置300とレプリケーション装置400との間でレプリケーション処理を行う。
【0057】
サーバ100の構成は、第1の実施形態と同様であって構わない。そのため、サーバ100についての説明は省略する。
【0058】
ストレージ装置300は、例えば、第1の実施形態で説明したストレージ装置200と同様に順序情報252に基づく再格納処理を行うサーバ装置である。
図10は、ストレージ装置300の構成の一例を示している。
図10を参照すると、ストレージ装置300は、例えば、送受信部310と、格納部220と、順序情報格納・更新部230と、再格納処理部240と、レプリケーション処理部360と、を有している。また、ストレージ装置300は、ディスク装置などの記憶装置250を有している。記憶装置250には、例えば、バックアップデータ251や順序情報252などが格納される。
【0059】
上記のように、ストレージ装置300は、第1の実施形態で説明したストレージ装置200と同様の構成を有しており、さらに、レプリケーション処理部360を有している。以下、ストレージ装置300が有する構成のうち、本実施形態において特徴的な構成について説明する。
【0060】
レプリケーション処理部360は、後述するレプリケーション装置400が有するレプリケーション処理部420と協働して、レプリケーション処理を行う。
【0061】
例えば、レプリケーション処理部360は、レプリケーション処理部420と協働して、ストレージ装置300が有する記憶装置250に格納されているバックアップデータ251と、レプリケーション装置400が有する記憶装置460に格納されているレプリケーションデータ461と、を比較する。そして、レプリケーション処理部360は、バックアップデータ251とレプリケーションデータ461との間の差分となるデータである差分データを抽出する。
【0062】
なお、レプリケーション処理部360は、重複排除処理の単位となるブロックデータをさらに細分化した単位で比較を行って差分データを抽出するよう構成することが出来る。例えば、64KBで重複排除する場合、8KBや16KBなど重複排除を行うよりも細かな容量の単位で比較を行うことが出来る。このように、重複排除の単位とレプリケーション処理の際に比較を行って差分を抽出する単位とは、同一でなくて構わない。また、レプリケーション処理部360は、比較を行う際、重複排除処理の結果を利用することが出来る。例えば、レプリケーション処理部360は、重複排除処理により重複していないと判断されたブロックデータを比較の対象とするよう構成することが出来る。
【0063】
送受信部310は、第1の実施形態で説明した送受信部210が行う処理に加えて、レプリケーション処理部360が抽出した差分データをレプリケーション装置400に対して送信することが出来る。この際、レプリケーション処理部360は、例えば、差分データが属するブロックデータを判別可能なよう差分データを送信する。また、送受信部310は、上記送信を行う際、レプリケーション対象のデータにおけるブロックデータの並び順を示すブロック番号などを含む情報をレプリケーション装置400に対して送信することが出来る。なお、送受信部310は、ブロック番号とともに、世代情報などを含む情報を送信しても構わない。
【0064】
以上説明したように、ストレージ装置300は、第1の実施形態で説明したストレージ装置200が有する構成に加えて、レプリケーション処理を行うための構成を有している。また、ストレージ装置300は、レプリケーション装置400に対して差分データを送信する際に、レプリケーション対象のデータにおけるブロックデータの並び順を示すブロック番号などを含む情報をレプリケーション装置400に対して送信するよう構成されている。つまり、ストレージ装置300は、レプリケーション装置400に対して、レプリケーション対象のデータにおける並び順を通知するよう構成されている。
【0065】
レプリケーション装置400は、ストレージ装置300と協働してレプリケーション処理を行うサーバ装置である。レプリケーション装置400は、例えば、ストレージ装置300と同様の構成を有するサーバ装置であって構わない。
図11は、レプリケーション装置400の構成の一例を示している。
図11を参照すると、レプリケーション装置400は、例えば、送受信部410と、レプリケーション処理部420と、格納部430と、順序情報格納・更新部440と、再格納処理部450と、を有している。また、レプリケーション装置400は、ディスク装置などの記憶装置460を有している。記憶装置460には、例えば、レプリケーションデータ461や順序情報462などが格納される。
【0066】
送受信部410は、ストレージ装置300などとの間でデータの送受信を行う。例えば、送受信部410は、ストレージ装置300が送信した差分データ、世代情報やブロック番号などを含む情報、などを受信する。
【0067】
レプリケーション処理部420は、ストレージ装置300が有するレプリケーション処理部360と協働して、レプリケーション処理を行う。例えば、レプリケーション処理部420は、レプリケーション処理部360と協働して、ストレージ装置300が有する記憶装置250に格納されているバックアップデータ251と、レプリケーション装置400が有する記憶装置460が有するレプリケーションデータ461と、を比較する。
【0068】
格納部430は、送受信部410が受信した差分データをレプリケーションデータ461として記憶装置460に格納する。例えば、格納部430は、記憶装置460にレプリケーションデータ461として既に格納されているデータの後ろに、受信した差分データを順番に格納する。
【0069】
順序情報格納・更新部440は、送受信部210が受信した世代情報やブロック番号などを含む情報に基づいて、順序情報462の格納処理、更新処理を行う。
【0070】
再格納処理部450は、順序情報462に基づいて、データの再格納処理を行う。例えば、再格納処理部450は、新しい世代のデータを優先的に再格納する。また、再格納処理部450は、ブロック番号が示す並び順に応じた再格納を行う。また、再格納処理部450は、例えばブロックデータの一部を差分データとして受信した場合など必要に応じて、ブロックデータの再分割・再圧縮処理を行う。
【0071】
第1の実施形態の場合と同様、本実施形態においても、再格納処理部450が再格納処理を開始するタイミングについては特に限定しない。
【0072】
記憶装置460は、例えば、ディスク装置などである。記憶装置460には、例えば、レプリケーションデータ461や順序情報462などが格納される。なお、記憶装置460は、例えば、1つのディスクから構成されても構わないし、複数のディスクから構成されても構わない。
【0073】
以上が、レプリケーション装置400の構成の一例である。
【0074】
ここで、
図12から
図16までを参照して、ストレージ装置300とレプリケーション装置400とが協働して行うレプリケーション処理の一例についてより詳細に説明する。例えば、以下においては、
図12で示すようなデータ更新が行われた際のレプリケーション処理の動作の一例について説明する。
【0075】
図12は、記憶対象データのデータ更新の一例を示している。
図12を参照すると、例えば、第1世代の記憶対象のデータ「ブロックA」「ブロックB」「ブロックC」「ブロックD」「ブロックE」が格納された状態から第2世代の記憶対象のデータ「ブロックA」「ブロックF」「ブロックC」「ブロックG」「ブロックD」「ブロックH」へとデータ更新が行われている。
【0076】
また、
図12では、ストレージ装置300がブロックデータを分割・圧縮して格納する場合について示している。例えば、
図12を参照すると、ストレージ装置300の格納部220は、「ブロックA」を「ブロックA1」、「ブロックA2」に分割・圧縮して格納している。また、ストレージ装置300の格納部220は、「ブロックC」を「ブロックC1」、「ブロックC2」、「ブロックC3」に、「ブロックE」を「ブロックE1」、「ブロックE2」に、「ブロックH」を「ブロックH1」、「ブロックH2・H3」に分割・圧縮して格納する。
【0077】
なお、
図12で示す場合、ブロックデータである「ブロックH」は、「ブロックE」のうちE’の部分が変更されたデータである。「ブロックE1」「ブロックE2」の単位で重複排除を行う場合、「ブロックH1」は「ブロックE1」とハッシュ値が一致するため重複排除される。一方、「ブロックH2・H3」は「ブロックE2」とハッシュ値が一致しないため重複排除されない。
図12で示すように、「ブロックH2・H3」のうち「ブロックE2」と異なる部分であるE’(H2の部分)は、「ブロックH2・H3」のうちの一部分である。
【0078】
図12で示すようなデータ更新を行う場合、再格納処理部240による順序情報252に基づく再格納処理により、ストレージ装置300におけるバックアップデータ251は、例えば、
図13で示すような状態となる。なお、順序情報252を用いた再格納処理については、第1の実施形態で既に説明している。そのため、再格納処理についての詳細な説明は省略する。
【0079】
また、
図13で示すような再格納処理により、レプリケーション処理実行前の状態において、ストレージ装置300に格納されているバックアップデータ251とレプリケーション装置400に格納されているレプリケーションデータ461との間に差が生じることになる。
【0080】
レプリケーション処理を行う際には、
図14で示すように、レプリケーション処理部360とレプリケーション処理部420とが協働して、バックアップデータ251とレプリケーションデータ461とを比較する。比較を行う前に、ストレージ装置300において順序情報252に基づく再格納処理を予め行っておくことで、ストレージ装置300において実データの断片化が解消され実データが連続している状態となる。その結果、比較に要する時間を短縮することが可能となる。
【0081】
また、レプリケーション処理部360は、比較結果に基づいて、差分となるデータである差分データを抽出する。例えば、
図14の場合、レプリケーション処理部360は、差分データとして、「差分データF(ブロックF)」、「差分データG(ブロックG)」、「差分データH2」を抽出する。なお、上述したように、レプリケーション処理部360とレプリケーション処理部420とは、重複排除を行うよりも細かい単位で比較を行うことが出来る。そのため、レプリケーション処理部360は、ブロックデータの一部が差分となる場合などにおいて、「ブロックH2・H3」ではなく、差分となる部分である「差分データH2」の部分だけを抽出することが出来る。
【0082】
続いて、
図15で示すように、送受信部310は、抽出した差分データをレプリケーション装置400に対して送信する。つまり、送受信部310は、「差分データF」、「差分データG」、「差分データH2」をレプリケーション装置400に対して送信する。また、送受信部310は、レプリケーション対象のデータにおける世代情報やブロック番号などを含む情報をレプリケーション装置400に対して送信する。
【0083】
なお、例えば、重複排除の結果に基づいてデータを送信する場合、重複排除されていない「ブロックH2・H3」全体をレプリケーション装置400に対して送信することになる。重複排除処理の後、差分を比較した結果として抽出される差分データのみをレプリケーション装置400に対して送信するよう構成することで、実際の差分データ以外のデータを送信することを抑制することが可能となる。これにより、転送量を抑制したより効率的なレプリケーション処理を実現することが可能となる。
【0084】
レプリケーション装置400の送受信部410は、「差分データF」「差分データG」「ブロックH2」を受信する。すると、格納部430は、
図16で示すように、受信した差分データを、既に格納している「ブロックE2」の後に順番で格納する。また、順序情報格納・更新部440は、受信した情報に基づいて順序情報462を更新する。
【0085】
また、
図16を参照すると、再格納処理部450は、順序情報462に基づく再格納処理を行う。この際、再格納処理部450は、ブロックデータの再分割・再圧縮を行う。これにより、
図16で示すように、レプリケーション装置400におけるレプリケーションデータ461の並び順とストレージ装置300におけるバックアップデータ251の並び順とが同一のものとなる。例えば、上記処理の後、レプリケーション処理部420は、合成イメージを生成する。
【0086】
以上が、レプリケーション処理の一例である。
【0087】
続いて、
図17を参照して、ストレージ装置300とレプリケーション装置400とが協働してレプリケーション処理を行う際の動作の一例について説明する。
図17を参照すると、レプリケーション処理が開始されると、レプリケーション処理部360は、レプリケーション処理部420と協働して、ストレージ装置300が有する記憶装置250に格納されているバックアップデータ251と、レプリケーション装置400が有する記憶装置460が有するレプリケーションデータ461と、を比較する(ステップS301、ステップS401)。
【0088】
レプリケーション処理部360は、上記比較の結果に応じて、バックアップデータ251とレプリケーションデータ461との間の差分となるデータである差分データを抽出する。また、送受信部310は、レプリケーション処理部360が抽出した差分データをレプリケーション装置400に対して送信する。この際、送受信部310は、差分データを送信するとともに、レプリケーション対象のデータにおけるブロックデータの並び順を示すブロック番号などを含む情報をレプリケーション装置400に対して送信する。このように、送受信部310は、レプリケーション装置400に対して差分データを送信するとともに、ブロック番号などを含む情報を送信する(ステップS302)。
【0089】
レプリケーション装置400の格納部430は、送受信部410が差分データを受信すると、受信した差分データをレプリケーションデータ461として記憶装置460に格納する。格納部430による差分データの格納は、例えば、送受信部410が差分データを受信した順番に沿って行われる。また、順序情報格納・更新部440は、送受信部410が受信したブロック番号などを含む情報に基づいて、順序情報462の格納処理、更新処理を行う(ステップS402)。
【0090】
再格納処理部450は、順序情報462に基づいて、データの再格納処理を行う(ステップS403)。例えば、再格納処理部450は、新しい世代のデータを優先的に再格納する。また、再格納処理部450は、ブロック番号が示す並び順に応じた再格納を行う。
【0091】
レプリケーション処理部420は、合成イメージを生成する(ステップS404)。
【0092】
以上が、ストレージ装置300とレプリケーション装置400とが協働してレプリケーション処理を行う際の動作の一例である。
【0093】
このように、レプリケーション装置400は、ブロック番号などを含む情報を受信するよう構成されている。また、レプリケーション装置400は、順序情報格納・更新部440と、再格納処理部450と、を有している。このような構成により、再格納処理部450は、順序情報格納・更新部440が更新する順序情報462に基づいて、データの再格納処理を行うことが出来る。このように順序情報462に基づく再格納処理を行うことで、記憶装置460において断片化を解消することが可能となり、レプリケーション装置400においてもリード性能を向上させることが可能となる。
【0094】
また、ストレージ装置300は、順序情報252に基づく再格納処理を行うよう構成されている。このような構成により、ストレージ装置300において断片化を予め解消しておくことが可能となり、レプリケーション処理を行う際の比較に要する時間を短縮することが可能となる。
【0095】
また、ストレージ装置300は、重複していないブロックデータを送信する代わりに、比較の結果抽出される差分データを送信するよう構成されている。このような構成により、重複するデータの送信を抑制することが可能となり、転送量を抑制したより効率的なレプリケーション処理を実現することが可能となる。
【0096】
なお、第2の実施形態で説明したシステムにおいても、第1の実施形態と同様の変形例を採用することが出来る。
【0097】
また、本実施形態においては、ストレージ装置300が順序情報252に基づく再格納処理を行う場合について説明した。しかしながら、システムは、順序情報252に基づく再格納処理を行わないストレージ装置により構成されても構わない。順序情報252に基づく再格納処理を行わない場合でも、レプリケーション装置400が順序情報462に基づいて再格納処理を行うことで、レプリケーション装置400におけるリード性能を向上させることが出来る。
【0098】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について、
図18から
図20までを参照して説明する。
図18、
図19は、ストレージ装置500の構成の一例を示している。
【0099】
図18は、ストレージ装置500のハードウェア構成の一例を示している。
図18を参照すると、ストレージ装置500は、1台又は複数台のサーバ装置にて構成されており、一例として、以下のようなハードウェア構成を有している。
・CPU(Central Processing Unit)501(演算装置)
・ROM(Read Only Memory)502(記憶装置)
・RAM(Random Access Memory)503(記憶装置)
・RAM503にロードされるプログラム群504
・プログラム群504を格納する記憶装置505
・情報処理装置外部の記録媒体510の読み書きを行うドライブ装置506
・情報処理装置外部の通信ネットワーク511と接続する通信インタフェース507
・データの入出力を行う入出力インタフェース508
・各構成要素を接続するバス509
【0100】
また、ストレージ装置500は、プログラム群504をCPU501が取得して当該CPU501が実行することで、
図19に示す受信部521、格納部522、再格納部523、としての機能を実現することが出来る。なお、プログラム群504は、例えば、予め記憶装置505やROM502に格納されており、必要に応じてCPU501がRAM503などにロードして実行する。また、プログラム群504は、通信ネットワーク511を介してCPU501に供給されてもよいし、予め記録媒体510に格納されており、ドライブ装置506が該プログラムを読み出してCPU501に供給してもよい。
【0101】
なお、
図18は、ストレージ装置500であるサーバ装置のハードウェア構成の一例を示しており、サーバ装置のハードウェア構成は上述した場合に限定されない。例えば、サーバ装置は、ドライブ装置506を有さないなど、上述した構成の一部から構成されてもよい。
【0102】
受信部521は、記憶対象のデータを分割した分割データのうち記憶装置に格納していない分割データと、記憶対象のデータにおける分割データの並び順を示す情報である順番情報と、をサーバから受信する。
【0103】
格納部522は、受信部521が受信した分割データを記憶装置に格納する。
【0104】
再格納部523は、格納部522が分割データを記憶装置に格納した後、順番情報に基づいて、記憶装置に格納されている分割データを再格納する。
【0105】
このように、ストレージ装置500は、再格納部523を有している。このような構成により、再格納部523は、順番情報に基づいて分割データの再格納を行うことが出来る。このように順番情報に基づく再格納処理を行うことで、複数世代のデータを格納する場合でも断片化を解消することが可能となり、読み出し性能を向上させることが可能となる。
【0106】
なお、上述したストレージ装置500は、当該ストレージ装置500に所定のプログラムが組み込まれることで実現できる。具体的に、本発明の他の形態であるプログラムは、ストレージ装置500に、記憶対象のデータを分割した分割データのうち記憶装置に格納していない分割データと、記憶対象のデータにおける分割データの並び順を示す情報である順番情報と、をサーバから受信する受信部521と、受信部521が受信した分割データを前記記憶装置に格納する格納部522と、格納部522が分割データを記憶装置に格納した後、順番情報に基づいて、記憶装置に格納されている分割データを再格納する再格納部523と、を実現するためのプログラムである。
【0107】
また、上述したストレージ装置500により実行される情報格納方法は、ストレージ装置500が、記憶対象のデータを分割した分割データのうち記憶装置に格納していない分割データと、記憶対象のデータにおける分割データの並び順を示す情報である順番情報と、をサーバから受信し、受信した分割データを記憶装置に格納し、順番情報に基づいて、記憶装置に格納されている分割データを再格納する、という方法である。
【0108】
上述した構成を有する、プログラム、又は、情報格納方法、の発明であっても、上記ストレージ装置500と同様の作用・効果を有するために、上述した本発明の目的を達成することが出来る。
【0109】
また、本発明は、レプリケーションを行うレプリケーション装置600に適用しても構わない。
図20は、レプリケーション装置600の構成の一例を示している。
図20を参照すると、レプリケーション装置600は、例えば、受信部610と、格納部620と、再格納部630と、を有している。なお、レプリケーション装置600のハードウェア構成は、
図18を参照して説明したストレージ装置500と同様のものであって構わない。
【0110】
受信部610は、レプリケーション対象のデータのうち記憶装置に格納されていない差分データと、レプリケーション対象のデータにおけるデータの並び順を示す情報である順番情報と、をストレージ装置から受信する。
【0111】
格納部620は、受信した差分データを記憶装置に格納する。
【0112】
再格納部630は、順番情報に基づいて、記憶装置に格納されているデータに対する再格納処理を行う。
【0113】
このようなレプリケーション装置600、レプリケーション装置600が行う方法、レプリケーション装置600としての機能を実現するためのプログラムによると、レプリケーション装置600において断片化を解消することが可能となり、読み出し性能を向上させることが可能となる。
【0114】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明におけるレプリケーション方法などの概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
【0115】
(付記1)
レプリケーション装置が、
レプリケーション対象のデータのうちレプリケーション装置が有する記憶装置に格納されていない差分データと、レプリケーション対象のデータにおけるデータの並び順を示す情報である順番情報と、をストレージ装置から受信し、
受信した差分データを前記記憶装置に格納し、
前記順番情報に基づいて、前記記憶装置に格納されているデータに対する再格納処理を行う
レプリケーション方法。
(付記2)
付記1に記載のレプリケーション方法であって、
前記記憶装置に格納されているデータが、前記順番情報が示す並び順となるように、前記再格納処理を行う
レプリケーション方法。
(付記3)
付記1または付記2に記載のレプリケーション方法であって、
データを分割した分割データをストレージ装置が有するストレージ装置側記憶装置が既に記憶しているか否か確認する重複排除処理の結果に応じて分割データを記憶するストレージ装置に格納されているデータと、前記記憶装置に格納されているデータと、の間の比較を行い、
比較の結果に基づいて抽出される前記差分データをストレージ装置から受信する
レプリケーション方法。
(付記4)
付記3に記載のレプリケーション方法であって、
ストレージ装置に格納されているデータと、前記記憶装置に格納されているデータと、の間の比較を、重複排除処理を行う容量の単位よりも細かい単位で行う
レプリケーション方法。
(付記5)
付記4に記載のレプリケーション方法であって、
重複排除処理を行う容量の単位よりも細かい単位で比較した結果抽出される前記差分データをストレージ装置から受信する
レプリケーション方法。
(付記6)
付記3から付記5までのいずれか1項に記載のレプリケーション方法であって、
記憶対象のデータにおける分割データの並び順を示す情報に基づく再格納処理を行ったストレージ装置が記憶するデータと、前記記憶装置に格納されているデータと、の間の比較を行う
レプリケーション方法。
(付記7)
レプリケーション対象のデータのうちレプリケーション装置が有する記憶装置に格納されていない差分データと、レプリケーション対象のデータにおけるデータの並び順を示す情報である順番情報と、をストレージ装置から受信する受信部と、
受信した差分データを前記記憶装置に格納する格納部と、
前記順番情報に基づいて、前記記憶装置に格納されているデータに対する再格納処理を行う再格納部と、
を有する
レプリケーション装置。
(付記8)
レプリケーション装置に、
レプリケーション対象のデータのうちレプリケーション装置が有する記憶装置に格納されていない差分データと、レプリケーション対象のデータにおけるデータの並び順を示す情報である順番情報と、をストレージ装置から受信する受信部と、
受信した差分データを前記記憶装置に格納する格納部と、
前記順番情報に基づいて、前記記憶装置に格納されているデータに対する再格納処理を行う再格納部と、
を実現するためのプログラム。
(付記9)
ストレージ装置が、
ストレージ装置が有するストレージ側記憶装置に格納されているデータと、レプリケーション装置が有する記憶装置に格納されているデータと、の比較を行い、比較の結果に基づいて差分データを抽出し、
抽出した差分データと、レプリケーション対象のデータにおけるデータの並び順を示す情報である順番情報と、をストレージ装置に対して送信する
情報処理方法。
(付記10)
付記9に記載の情報処理方法であって、
記憶対象のデータにおける分割データの並び順を示す情報に基づく再格納処理を行い、再格納処理後のデータと、レプリケーション装置が記憶するデータと、の間で比較を行う
情報処理方法。
(付記11)
ストレージ装置が有するストレージ側記憶装置に格納されているデータと、レプリケーション装置が有する記憶装置に格納されているデータと、の比較を行い、比較の結果に基づいて差分データを抽出するレプリケーション処理部と、
抽出した差分データと、レプリケーション対象のデータにおけるデータの並び順を示す情報である順番情報と、をストレージ装置に対して送信する送信部と、
を有する
ストレージ装置。
【0116】
なお、上記各実施形態及び付記において記載したプログラムは、記憶装置に記憶されていたり、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されていたりする。例えば、記録媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体である。
【0117】
以上、上記各実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることが出来る。
【符号の説明】
【0118】
100 サーバ
110 データ分割部
120 重複排除部
130 送受信部
200 ストレージ装置
210 送受信部
220 格納部
230 順序情報格納・更新部
240 再格納処理部
250 記憶装置
251 バックアップデータ
252 順序情報
300 ストレージ装置
310 送受信部
360 レプリケーション処理部
400 レプリケーション装置
410 送受信部
420 レプリケーション処理部
430 格納部
440 順序情報格納・更新部
450 再格納処理部
460 記憶装置
461 レプリケーションデータ
462 順序情報
500 ストレージ装置
501 CPU
502 ROM
503 RAM
504 プログラム群
505 記憶装置
506 ドライブ装置
507 通信インタフェース
508 入出力インタフェース
509 バス
510 記録媒体
511 通信ネットワーク
521 受信部
522 格納部
523 再格納部
600 レプリケーション装置
610 受信部
620 格納部
630 再格納部