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特許7477143ストレージ制御装置、ストレージ制御方法、ストレージシステム、プログラム、及び記録媒体
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  • 特許-ストレージ制御装置、ストレージ制御方法、ストレージシステム、プログラム、及び記録媒体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】ストレージ制御装置、ストレージ制御方法、ストレージシステム、プログラム、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/06 20060101AFI20240423BHJP
   G06F 13/10 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
G06F3/06 304Z
G06F3/06 304N
G06F13/10 340A
G06F3/06 301X
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020043494
(22)【出願日】2020-03-12
(65)【公開番号】P2021144544
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】猪鹿倉 知広
【審査官】田中 啓介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/067388(WO,A1)
【文献】特開2005-258632(JP,A)
【文献】国際公開第2019/053534(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0036787(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/06-3/08
G06F11/07、11/28-11/36
G06F12/00-12/06、12/16
G06F13/10-13/18
G06F16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセス頻度計測手段、障害発生リスク判定手段、データ移行手段、及び通知手段を含み、
前記アクセス頻度計測手段は、ストレージ装置の論理ボリュームの領域毎にホスト装置からのアクセス頻度を計測し、
前記障害発生リスク判定手段は、前記論理ボリュームを構成する記録媒体、及びオンラインストレージ装置の記憶領域毎の障害発生リスクを判定し、
前記データ移行手段は、前記アクセス頻度の低さに比例して、前記論理ボリュームの領域に保存されたデータを前記障害発生リスクの高い記憶領域に移行し、
前記通知手段は、前記論理ボリューム上に作成されたファイルシステムに前記データが保存されている記憶領域を通知する、ストレージ制御装置。
【請求項2】
さらに、データ再配置手段を含み、
前記データ再配置手段は、前記移行した記憶領域内でデータの再配置を実施する、請求項1記載のストレージ制御装置。
【請求項3】
さらに、エラー処理条件変更手段を含み、
前記エラー処理条件変更手段は、前記障害発生リスクの低い記憶領域と、前記障害発生リスクの高い記憶領域とで、エラーが発生した場合の処理条件を変更する、請求項1または2記載のストレージ制御装置。
【請求項4】
さらに、監視手段を含み、
前記監視手段は、前記オンラインストレージ装置との接続状況を監視し、
前記通知手段は、前記オンラインストレージ装置と接続不可になった場合に、前記ファイルシステムに前記接続不可を通知する、請求項1から3のいずれか一項に記載のストレージ制御装置。
【請求項5】
さらに、アクセス制御手段を含み、
前記アクセス制御手段は、前記接続不可である前記オンラインストレージ装置の記憶領域に存在するデータへのアクセスを不可能にし、且つ前記接続状況が通信可能である前記オンラインストレージ装置または前記記録媒体の記憶領域に存在するデータへのアクセスを可能にし、
前記通知手段は、前記領域へのアクセスが可能か不可能かをユーザに通知する、請求項4記載のストレージ制御装置。
【請求項6】
前記障害発生リスク判定手段は、前記論理ボリュームを構成する記録媒体、及びオンラインストレージ装置の記憶領域毎の障害発生リスクを「高い」または「低い」の2段階で判定する、請求項1から5のいずれか一項に記載のストレージ制御装置。
【請求項7】
アクセス頻度計測工程、障害発生リスク判定工程、データ移行工程、及び通知工程を含み、
前記アクセス頻度計測工程は、ストレージ装置の論理ボリュームの領域毎にホスト装置からのアクセス頻度を計測し、
前記障害発生リスク判定工程は、前記論理ボリュームを構成する記録媒体、及びオンラインストレージ装置の記憶領域毎の障害発生リスクを判定し、
前記データ移行工程は、前記アクセス頻度の低さに比例して、前記論理ボリュームの領域に保存されたデータを前記障害発生リスクの高い記憶領域に移行し、
前記通知工程は、前記論理ボリューム上に作成されたファイルシステムに前記データが保存されている記憶領域を通知し、
前記各工程がコンピュータにより実行される、ストレージ制御方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載のストレージ制御装置と、ストレージ装置と、オンラインストレージ装置とを含み、
前記ストレージ制御装置は、通信回線網を介して、前記ストレージ装置及び前記オンラインストレージ装置と通信可能であり、
前記ストレージ装置は、複数の記録媒体により論理ボリュームが形成されており、
前記論理ボリュームの領域に保存されたデータを、前記ストレージ制御装置を介して、前記オンラインストレージ装置に移行する、ストレージシステム。
【請求項9】
請求項7記載の方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項9記載のプログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレージ制御装置、ストレージ制御方法、ストレージシステム、プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
オンプレミスにおけるストレージ装置の記憶容量が不足したときに、オンラインストレージ装置を使用して、前記ストレージ装置の記憶容量を拡張する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-004349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、ネットワークの切断等の理由により、前記オンラインストレージ装置が容易に使用不可の状態になるという問題がある。これにより、前記オンラインストレージ装置に保存したデータだけではなく、前記ストレージ装置を含めた仮想的なボリューム全体が使用不可になる。
【0005】
そこで、本発明は、通信障害等の障害の影響を最小限に抑えることができるストレージ制御装置、ストレージ制御方法、ストレージシステム、プログラム、及び記録媒体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明のストレージ制御装置は、
アクセス頻度計測手段、障害発生リスク判定手段、データ移行手段、及び通知手段を含み、
前記アクセス頻度計測手段は、ストレージ装置の論理ボリュームの領域毎にホスト装置からのアクセス頻度を計測し、
前記障害発生リスク判定手段は、前記論理ボリュームを構成する記録媒体、及びオンラインストレージ装置の記憶領域毎の障害発生リスクを判定し、
前記データ移行手段は、前記アクセス頻度の低さに比例して、前記論理ボリュームの領域に保存されたデータを前記障害発生リスクの高い記憶領域に移行し、
前記通知手段は、前記論理ボリューム上に作成されたファイルシステムに前記データが保存されている記憶領域を通知する、装置である。
【0007】
本発明のストレージ制御方法は、
アクセス頻度計測工程、障害発生リスク判定工程、データ移行工程、及び通知工程を含み、
前記アクセス頻度計測工程は、ストレージ装置の論理ボリュームの領域毎にホスト装置からのアクセス頻度を計測し、
前記障害発生リスク判定工程は、前記論理ボリュームを構成する記録媒体、及びオンラインストレージ装置の記憶領域毎の障害発生リスクを判定し、
前記データ移行工程は、前記アクセス頻度の低さに比例して、前記論理ボリュームの領域に保存されたデータを前記障害発生リスクの高い記憶領域に移行し、
前記通知工程は、前記論理ボリューム上に作成されたファイルシステムに前記データが保存されている記憶領域を通知する、方法である。
【0008】
本発明のストレージシステムは、
本発明のストレージ制御装置と、ストレージ装置と、オンラインストレージ装置とを含み、
前記ストレージ制御装置は、通信回線網を介して、前記ストレージ装置及び前記オンラインストレージ装置と通信可能であり、
前記ストレージ装置は、複数の記録媒体により論理ボリュームが形成されており、
前記論理ボリュームの領域に保存されたデータを、前記ストレージ制御装置を介して、前記オンラインストレージ装置に移行する、システムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば、通信障害等の障害の影響を最小限に抑えることができる。具体的には、例えば、通信障害が発生している場合であっても、業務に必要なデータを使用可能であり、業務を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1の装置の一例の構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態1の装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態1の装置における処理の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、実施形態2のシステムの一例の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のストレージ制御装置は、例えば、さらに、データ再配置手段を含み、
前記データ再配置手段は、前記移行した記憶領域内でデータの再配置を実施する、という態様であってもよい。
【0012】
本発明のストレージ制御装置は、例えば、さらに、エラー処理条件変更手段を含み、
前記エラー処理条件変更手段は、前記障害発生リスクの低い記憶領域と、前記障害発生リスクの高い記憶領域とで、エラーが発生した場合の処理条件を変更する、という態様であってもよい。
【0013】
本発明のストレージ制御装置は、例えば、さらに、監視手段を含み、
前記監視手段は、前記オンラインストレージ装置との接続状況を監視し、
前記通知手段は、前記オンラインストレージ装置と接続不可になった場合に、前記ファイルシステムに前記接続不可を通知する、という態様であってもよい。
【0014】
前記態様において、本発明のストレージ制御装置は、例えば、さらに、アクセス制御手段を含み、
前記アクセス制御手段は、前記接続不可である前記オンラインストレージ装置の記憶領域に存在するデータへのアクセスを不可能にし、且つ前記通信状況が通信可能である前記オンラインストレージ装置または前記記録媒体の記憶領域に存在するデータへのアクセスを可能にし、
前記通知手段は、前記領域へのアクセスが可能か不可能かをユーザに通知する、という態様であってもよい。
【0015】
本発明のストレージ制御装置において、例えば、前記障害発生リスク判定手段は、前記論理ボリュームを構成する記録媒体、及びオンラインストレージ装置の記憶領域毎の障害発生リスクを「高い」または「低い」の2段階で判定する、という態様であってもよい。
【0016】
本発明のストレージ制御方法は、例えば、さらに、データ再配置工程を含み、
前記データ再配置工程は、前記移行した記憶領域内でデータの再配置を実施する、という態様であってもよい。
【0017】
本発明のストレージ制御方法は、例えば、さらに、エラー処理条件変更工程を含み、
前記エラー処理条件変更工程は、前記障害発生リスクの低い記憶領域と、前記障害発生リスクの高い記憶領域とで、エラーが発生した場合の処理条件を変更する、という態様であってもよい。
【0018】
本発明のストレージ制御方法は、例えば、さらに、監視工程を含み、
前記監視工程は、前記オンラインストレージ装置との接続状況を監視し、
前記通知工程は、前記オンラインストレージ装置と接続不可になった場合に、前記ファイルシステムに前記接続不可を通知する、という態様であってもよい。
【0019】
前記態様において、本発明のストレージ制御方法は、例えば、さらに、アクセス制御工程を含み、
前記アクセス制御工程は、前記接続不可である前記オンラインストレージ装置の記憶領域に存在するデータへのアクセスを不可能にし、且つ前記通信状況が通信可能である前記オンラインストレージ装置または前記記録媒体の記憶領域に存在するデータへのアクセスを可能にし、
前記通知工程は、前記領域へのアクセスが可能か不可能かをユーザに通知する、という態様であってもよい。
【0020】
本発明のストレージ制御方法において、例えば、前記障害発生リスク判定工程は、前記論理ボリュームを構成する記録媒体、及びオンラインストレージ装置の記憶領域毎の障害発生リスクを「高い」または「低い」の2段階で判定する、という態様であってもよい。
【0021】
本発明のプログラムは、本発明のストレージ制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0022】
本発明の記録媒体は、本発明のプログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0023】
本発明の実施形態について図を用いて説明する。本発明は、以下の実施形態には限定されない。以下の各図において、同一部分には、同一符号を付している。また、各実施形態の説明は、特に言及がない限り、互いの説明を援用でき、各実施形態の構成は、特に言及がない限り、組合せ可能である。
【0024】
[実施形態1]
図1は、本実施形態のストレージ制御装置10の一例の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本装置10は、アクセス頻度計測手段11、障害発生リスク判定手段12、データ移行手段13、及び通知手段14を含む。
【0025】
本装置10は、例えば、前記各部を含む1つの装置でもよいし、前記各部が、通信回線網を介して接続可能な装置でもよい。また、本装置10は、前記通信回線網を介して、後述する外部装置と接続可能である。前記通信回線網は、特に制限されず、公知のネットワークを使用でき、例えば、有線でも無線でもよい。前記通信回線網は、例えば、インターネット回線、WWW(World Wide Web)、電話回線、LAN(Local Area Network)、SAN(Storage Area Network)、DTN(Delay Tolerant Networking)等があげられる。無線通信としては、例えば、WiFi(Wireless Fidelity)、Bluetooth(登録商標)等が挙げられる。前記無線通信としては、各装置が直接通信する形態(Ad Hoc通信)、アクセスポイントを介した間接通信のいずれであってもよい。本装置10は、例えば、システムとしてサーバに組み込まれていてもよい。また、本装置10は、例えば、本発明のプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータ(PC、例えば、デスクトップ型、ノート型)、スマートフォン、タブレット端末等であってもよい。
【0026】
図2に、本装置10のハードウエア構成のブロック図を例示する。本装置10は、例えば、中央演算装置(CPU,GPU等)101、メモリ102、バス103、記憶装置104、入力装置105、表示装置106、通信デバイス107等を有する。本装置10のハードウエア構成の各部は、それぞれのインタフェース(I/F)により、バス103を介して相互に接続されている。
【0027】
中央演算装置(中央処理装置)101は、本装置10の全体の制御を担う。本装置10において、中央演算装置101により、例えば、本発明のプログラムやその他のプログラムが実行され、また、各種情報の読み込みや書き込みが行われる。具体的には、例えば、中央演算装置101が、アクセス頻度計測手段11、障害発生リスク判定手段12、データ移行手段13、及び通知手段14として機能する。
【0028】
バス103は、例えば、外部装置とも接続できる。前記外部装置は、例えば、外部データベース、プリンター、オンラインストレージ装置等があげられる。本装置10は、例えば、バス103に接続された通信デバイス107により、前記通信回線網に接続でき、前記通信回線網を介して、外部装置と接続することもできる。
【0029】
メモリ102は、例えば、メインメモリ(主記憶装置)が挙げられる。中央演算装置101が処理を行う際には、例えば、後述する記憶装置104に記憶されている本発明のプログラム等の種々の動作プログラムを、メモリ102が読み込み、中央演算装置101は、メモリ102からデータを受け取って、プログラムを実行する。前記メインメモリは、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)である。また、メモリ102は、例えば、ROM(読み出し専用メモリ)であってもよい。
【0030】
記憶装置104は、例えば、前記メインメモリ(主記憶装置)に対して、いわゆる補助記憶装置ともいう。前述のように、記憶装置104には、本発明のプログラムを含む動作プログラムが格納されている。記憶装置104は、例えば、記録媒体と、記録媒体に読み書きするドライブとの組合せであってもよい。前記記録媒体は、特に制限されず、例えば、内蔵型でも外付け型でもよく、HD(ハードディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-RW、MO、DVD、フラッシュメモリー、メモリーカード等が挙げられる。記憶装置104は、例えば、記録媒体とドライブとが一体化されたハードディスクドライブ(HDD)、及びソリッドステートドライブ(SSD)であってもよい。
【0031】
本装置10において、メモリ102及び記憶装置104は、管理者からのアクセス情報及びログ情報、並びに、外部データベース(図示せず)から取得した情報を記憶することも可能である。
【0032】
本装置10は、例えば、さらに、入力装置105、表示装置106を有する。入力装置105は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等である。表示装置106は、例えば、LEDディスプレイ、液晶ディスプレイ等が挙げられる。
【0033】
つぎに、本実施形態のストレージ制御方法の一例を、図3のフローチャートに基づき説明する。本実施形態のストレージ制御方法は、例えば、図1のストレージ制御装置10を用いて、次のように実施する。なお、本実施形態のストレージ制御方法は、図1のストレージ制御装置10の使用には限定されない。
【0034】
まず、アクセス頻度計測手段11により、ストレージ装置の論理ボリュームの領域毎にホスト装置からのアクセス頻度を計測する(S1)。前記ストレージ装置は、特に制限されず、例えば、SANストレージ等があり、オンプレミスの装置である。前記ストレージ装置は、例えば、前記通信回線網を介して、本装置10と接続可能である。前記ストレージ装置は、例えば、前記ホスト装置(例えば、サーバ等)からのデータの書き込みコマンドにより、データを格納する。前記論理ボリュームは、例えば、前記ホスト装置が認識し得る前記ストレージ装置のデータ格納領域のことをいう。前記ホスト装置は、例えば、前記論理ボリューム上にファイルシステムを作成する。すなわち、前記ファイルシステムは、前記論理ボリュームを使用して、ファイルのデータを保存及び管理等を行う。前記ホスト装置からのアクセスは、特に制限されず、例えば、読み込み、書き込み等のアクセスである。
【0035】
つぎに、障害発生リスク判定手段12により、前記論理ボリュームを構成する記録媒体、及びオンラインストレージ装置の記憶領域毎の障害発生リスクを判定する(S2)。前記オンラインストレージ装置は、特に制限されず、例えば、本装置10によってアクセス可能なネットワーク上に設置され、ストレージサービスを提供する装置である。以下、前記オンラインストレージ装置の記憶領域を、オンライン記憶領域ともいう。前記障害発生リスクとは、例えば、障害が発生する程度を示す指標である。前記障害は、特に制限されず、例えば、通信障害、ハードウエア障害等がある。前記通信障害は、具体的に、例えば、前記オンラインストレージ装置における障害である。前記ハードウエア障害は、具体的に、例えば、HDDやSSD等の記録媒体における障害である。前記障害発生リスクの判定は、例えば、2段階(例えば、高い、低いの2段階等)、3段階以上(例えば、高い、通常、低いの3段階等)の判定であってもよい。前記記録媒体、前記論理ボリューム、及び前記オンライン記憶領域の数は、特に制限されず、例えば、1つでもよいし、2つ以上でもよい。
【0036】
つぎに、データ移行手段13により、前記アクセス頻度の低さに比例して、前記論理ボリュームの領域に保存されたデータを前記障害発生リスクの高い記憶領域に移行する(S3)。具体的には、例えば、前記記録媒体の記憶領域に対する前記障害発生リスクが「低」であり、前記オンライン記憶領域に対する前記障害発生リスクが「高」であるとする。このとき、データ移行手段13は、前記アクセス頻度の低い論理ボリュームの領域に保存されたデータを、前記オンライン記憶領域に移行する。また、データ移行手段13は、前記移行したデータを前記論理ボリュームから削除してもよい。前記障害発生リスクに応じた前記アクセス頻度の閾値は、特に制限されず、任意に設定できる。
【0037】
そして、通知手段14により、前記論理ボリューム上に作成されたファイルシステムに前記データが保存されている記憶領域を通知し(S4)、終了する(END)。
【0038】
本装置10は、例えば、前記ファイルシステムから、前記オンライン記憶領域に移行したデータへのアクセスが来た場合は、前記オンライン記憶領域からデータを取得し、前記データを前記ファイルシステムに送信する。
【0039】
本装置10は、例えば、さらに、データ再配置手段を含んでもよい。前記データ再配置手段は、前記移行した記憶領域内でデータの再配置を実施する。具体的には、例えば、各記憶領域における空き領域をなるべく連続した状態になるよう再編する(デフラグメンテーションともいう)。これにより、例えば、記録済みの記憶領域と空き領域を分離して広大な連続した空き容量を創出することができる。
【0040】
本装置10は、例えば、さらに、エラー処理条件変更手段を含んでもよい。前記エラー処理条件変更手段は、前記障害発生リスクの低い記憶領域と、前記障害発生リスクの高い記憶領域とで、エラーが発生した場合の処理条件を変更する。前記エラーは、特に制限されず、例えば、I/O(Input/Output)エラー等がある。前記処理条件は、特に制限されず、例えば、リトライ回数、タイムアウト時間等の条件がある。具体的には、例えば、前記障害発生リスクが低い記憶領域においては、前記障害発生リスクが高い記憶領域と比較して、前記リトライ回数を増加させたり、前記タイムアウト時間を長くさせる等がある。
【0041】
本装置10は、例えば、さらに、監視手段を含んでもよい。前記監視手段は、前記オンラインストレージ装置との接続状況を監視する。この場合、通知手段14は、さらに、前記オンラインストレージ装置と接続不可になった場合に、前記ファイルシステムに前記接続不可を通知する。前記監視は、例えば、連続的な監視でもよいし、間欠的(例えば、一定時間毎)の監視であってもよい。これにより、前記ファイルシステムは、前記接続不可であることを認識できる。
【0042】
本装置10が前記監視手段を含む形態において、本装置10は、例えば、さらに、アクセス制御手段を含んでもよい。前記アクセス制御手段は、前記接続不可である前記オンラインストレージ装置の記憶領域に存在するデータへのアクセスを不可能にし、且つ前記通信状況が通信可能である前記オンラインストレージ装置または前記記録媒体の記憶領域に存在するデータへのアクセスを可能にしてもよい。そして、通知手段14は、前記領域へのアクセスが可能か不可能かをユーザに通知してもよい。前記通知は、例えば、表示装置106に前記アクセスの可否を表示することにより、通知してもよい。また、前記通知は、例えば、前記通信回線網を介して、ユーザに端末に前記アクセスの可否に関する情報を送信することにより、通知してもよい。これにより、ユーザは、アクセス可能か否かを確認することができる。さらに、ユーザは、前記オンラインストレージ装置または前記記録媒体の記憶領域に存在するデータへのアクセスが可能であるため、業務を継続することができる。
【0043】
本実施形態のストレージ制御装置10によれば、論理ボリュームに保存されているデータを複数の記憶領域に分散することで、通信障害等の障害の影響を最小限に抑えることができる。また、前記計測したアクセス頻度及び前記判定した障害発生リスクに基づいたデータの移行を行うことで、例えば、通信障害が発生した場合であっても、業務に必要なデータを使用可能であり、業務を継続することができる。さらに、本装置10によれば、データをオンラインストレージ装置に移行することで、前記論理ボリュームの記憶容量を増やすことができる。また、本発明は、オンラインストレージ装置を用いることで、例えば、異なる性能のストレージ装置(例えば、HDD)を用いた形態よりも、記憶容量の追加が容易であり、且つコストを抑えることができる。
【0044】
[実施形態2]
本実施形態のストレージシステム100は、図4に示すように、前記実施形態1記載のストレージ制御装置10と、ストレージ装置20と、オンラインストレージ装置30とを含む。ストレージ制御装置10は、通信回線網(図示せず)を介して、ストレージ装置20及びオンラインストレージ装置30と通信可能である。
【0045】
ストレージ装置20は、複数の記録媒体21(21a~c)によって論理ボリューム22を形成している。ストレージシステム100は、例えば、ホスト装置40からのデータの書き込みコマンドにより、ストレージ装置20の論理ボリューム22にデータを格納する。ホスト装置40、例えば、論理ボリューム22上にファイルシステム(図示せず)を作成する。
【0046】
ストレージシステム100は、例えば、ストレージ制御装置10により、論理ボリューム22の領域のうち、前記アクセス頻度の低い領域22bに保存されたデータを、前記障害発生リスクの高い記憶領域と判定されたオンラインストレージ装置30のオンライン記憶領域31に移行する。一方で、前記アクセス頻度の高い領域22aに保存されたデータは、例えば、そのまま、記録媒体21の記憶領域(記録媒体21により形成される論理ボリューム22)に保存する。
【0047】
本実施形態のストレージシステムによれば、例えば、論理ボリュームに保存されているデータを複数の記憶領域に分散することで、通信障害等の障害の影響を最小限に抑えることができる。
【0048】
[実施形態3]
本実施形態のプログラムは、前記各実施形態の方法の各工程を、手順として、コンピュータに実行させるためのプログラムである。本発明において、「手順」は、「処理」と読み替えてもよい。また、本実施形態のプログラムは、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。前記記録媒体としては、特に限定されず、例えば、HD(ハードディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-RW、MO、DVD、フラッシュメモリー、メモリーカード等が挙げられる。
【0049】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0050】
<付記>
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
アクセス頻度計測手段、障害発生リスク判定手段、データ移行手段、及び通知手段を含み、
前記アクセス頻度計測手段は、ストレージ装置の論理ボリュームの領域毎にホスト装置からのアクセス頻度を計測し、
前記障害発生リスク判定手段は、前記論理ボリュームを構成する記録媒体、及びオンラインストレージ装置の記憶領域毎の障害発生リスクを判定し、
前記データ移行手段は、前記アクセス頻度の低さに比例して、前記論理ボリュームの領域に保存されたデータを前記障害発生リスクの高い記憶領域に移行し、
前記通知手段は、前記論理ボリューム上に作成されたファイルシステムに前記データが保存されている記憶領域を通知する、ストレージ制御装置。
(付記2)
さらに、データ再配置手段を含み、
前記データ再配置手段は、前記移行した記憶領域内でデータの再配置を実施する、付記1記載のストレージ制御装置。
(付記3)
さらに、エラー処理条件変更手段を含み、
前記エラー処理条件変更手段は、前記障害発生リスクの低い記憶領域と、前記障害発生リスクの高い記憶領域とで、エラーが発生した場合の処理条件を変更する、付記1または2記載のストレージ制御装置。
(付記4)
さらに、監視手段を含み、
前記監視手段は、前記オンラインストレージ装置との接続状況を監視し、
前記通知手段は、前記オンラインストレージ装置と接続不可になった場合に、前記ファイルシステムに前記接続不可を通知する、付記1から3のいずれかに記載のストレージ制御装置。
(付記5)
さらに、アクセス制御手段を含み、
前記アクセス制御手段は、前記接続不可である前記オンラインストレージ装置の記憶領域に存在するデータへのアクセスを不可能にし、且つ前記通信状況が通信可能である前記オンラインストレージ装置または前記記録媒体の記憶領域に存在するデータへのアクセスを可能にし、
前記通知手段は、前記領域へのアクセスが可能か不可能かをユーザに通知する、付記4記載のストレージ制御装置。
(付記6)
前記障害発生リスク判定手段は、前記論理ボリュームを構成する記録媒体、及びオンラインストレージ装置の記憶領域毎の障害発生リスクを「高い」または「低い」の2段階で判定する、付記1から5のいずれかに記載のストレージ制御装置。
(付記7)
アクセス頻度計測工程、障害発生リスク判定工程、データ移行工程、及び通知工程を含み、
前記アクセス頻度計測工程は、ストレージ装置の論理ボリュームの領域毎にホスト装置からのアクセス頻度を計測し、
前記障害発生リスク判定工程は、前記論理ボリュームを構成する記録媒体、及びオンラインストレージ装置の記憶領域毎の障害発生リスクを判定し、
前記データ移行工程は、前記アクセス頻度の低さに比例して、前記論理ボリュームの領域に保存されたデータを前記障害発生リスクの高い記憶領域に移行し、
前記通知工程は、前記論理ボリューム上に作成されたファイルシステムに前記データが保存されている記憶領域を通知する、ストレージ制御方法。
(付記8)
さらに、データ再配置工程を含み、
前記データ再配置工程は、前記移行した記憶領域内でデータの再配置を実施する、付記7記載のストレージ制御方法。
(付記9)
さらに、エラー処理条件変更工程を含み、
前記エラー処理条件変更工程は、前記障害発生リスクの低い記憶領域と、前記障害発生リスクの高い記憶領域とで、エラーが発生した場合の処理条件を変更する、付記7または8記載のストレージ制御方法。
(付記10)
さらに、監視工程を含み、
前記監視工程は、前記オンラインストレージ装置との接続状況を監視し、
前記通知工程は、前記オンラインストレージ装置と接続不可になった場合に、前記ファイルシステムに前記接続不可を通知する、付記7から9のいずれかに記載のストレージ制御方法。
(付記11)
さらに、アクセス制御工程を含み、
前記アクセス制御工程は、前記接続不可である前記オンラインストレージ装置の記憶領域に存在するデータへのアクセスを不可能にし、且つ前記通信状況が通信可能である前記オンラインストレージ装置または前記記録媒体の記憶領域に存在するデータへのアクセスを可能にし、
前記通知工程は、前記領域へのアクセスが可能か不可能かをユーザに通知する、付記10記載のストレージ制御方法。
(付記12)
前記障害発生リスク判定工程は、前記論理ボリュームを構成する記録媒体、及びオンラインストレージ装置の記憶領域毎の障害発生リスクを「高い」または「低い」の2段階で判定する、付記7から11のいずれかに記載のストレージ制御方法。
(付記13)
付記1から6のいずれかに記載のストレージ制御装置と、ストレージ装置と、オンラインストレージ装置とを含み、
前記ストレージ制御装置は、通信回線網を介して、前記ストレージ装置及び前記オンラインストレージ装置と通信可能であり、
前記ストレージ装置は、複数の記録媒体により論理ボリュームが形成されており、
前記論理ボリュームの領域に保存されたデータを、前記ストレージ制御装置を介して、前記オンラインストレージ装置に移行する、ストレージシステム。
(付記14)
付記7から12のいずれかに記載の方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
(付記15)
付記14記載のプログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、例えば、通信障害等の障害の影響を最小限に抑えることができる。このため、本発明は、例えば、オンラインストレージ装置を用いて、オンプレミス側の記憶容量を増やす場合に、特に有用である。
【符号の説明】
【0052】
10 ストレージ制御装置
11 アクセス頻度計測手段
12 障害発生リスク判定手段
13 データ移行手段
14 通知手段
20 ストレージ装置
21 記録媒体
22 論理ボリューム
30 オンラインストレージ装置
31 オンライン記憶領域
40 ホスト装置
100 ストレージシステム
101 中央演算装置
102 メモリ
103 バス
104 記憶装置
105 入力装置
106 表示装置
107 通信デバイス
図1
図2
図3
図4