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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】開閉弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/44 20060101AFI20240423BHJP
   F16K 35/12 20060101ALI20240423BHJP
   F16K 35/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
F16K31/44 F
F16K35/12
F16K35/00 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020072025
(22)【出願日】2020-04-14
(65)【公開番号】P2021169822
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000151025
【氏名又は名称】株式会社タブチ
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】寺田 孝
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-145079(JP,U)
【文献】実開昭54-175631(JP,U)
【文献】実開昭54-043636(JP,U)
【文献】実開平01-032981(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 5/00- 5/22
31/44-31/62
35/00-35/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に内蔵されたボール弁を弁棒に取り付けたハンドルの回転操作によって開閉すると共に、開閉位置それぞれで前記ハンドルの回転を規制可能なロック部材を備えた開閉弁であって、前記本体は、側面から水平に突出する凸部を有し、前記ハンドルは、回転中に前記凸部の上方を通過し、開閉位置それぞれで前記凸部の側部に向かって端部が開口する貫通孔を有し、前記ロック部材は、前記ハンドルの上面側に回転可能、且つ上下動可能に軸支すると共に、一端部に開閉位置それぞれで前記貫通孔を下面側に突き抜けて係合し、前記凸部の側部に当接可能な爪部を有することを特徴とした開閉弁。
【請求項2】
ロック部材及びハンドルのそれぞれ上面には、爪部が貫通孔に係合したときに互いに一直線上に並ぶ標線を設けた請求項1記載の開閉弁。
【請求項3】
ロック部材を、爪部が貫通孔に係合する方向に付勢した請求項1または2記載の開閉弁。
【請求項4】
標線は、直線状の溝である請求項2または3記載の開閉弁。
【請求項5】
ロック部材は、爪部を有する一端部と他端部との平面視形状が互いに異なる請求項1から4のうち何れか一項記載の開閉弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、視認性がよく確実に操作することができる開閉弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上水などの開閉弁としては、多くの構造が公知である。基本的な構成としては、管路の途中にボールバルブを設け、このボール弁の回転軸をハンドルで回転させ、管路を開閉するものが一般的である。
【0003】
また、特許文献1に開示されているように、開閉位置それぞれでハンドル(操作部)をロック(回転を規制)するものも公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-7513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のものは、本体の側面に凸部を介して凹状の第1規制部と第2規制部を設け、ハンドルを前記規制部それぞれに係合させることで、開閉位置でハンドルをロックするものであるが、このような構造であると開閉を切り替えるときに、ハンドルを単に回転させるだけでなく、凸部を乗り越えるために、一旦、ハンドルを上方に持ち上げる必要があり、開閉操作性は必ずしも良好ではなかった。しかも、ハンドルの回転軸にはロック状態を保持するバネが存在するため、当該バネの付勢力に抗して凸部を乗り越える必要があり、開閉切替時のハンドル操作が不安定であるうえ、斜めに噛み込むなどして引っ掛かりが生じてハンドル操作が効かなくおそれがある。さらに、バネが変形や破断した場合、メンテナンスは本体を分解する必要がある。
【0006】
また、ハンドルのロックは規制部に係合するだけであるが、これを視覚的に確認する手段を有していないため、ハンドルが確実に規制部に係合してロックされていることを確認するには、ハンドルを操作してみて回転しないことを確認するしかない。
【0007】
本発明は上述した課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ハンドルの開閉操作が良好で、しかも、ハンドルが開閉位置それぞれでロックされていることを視覚的に確認することができる開閉弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために本発明では、本体に内蔵されたボール弁を弁棒に取り付けたハンドルの回転操作によって開閉すると共に、開閉位置それぞれで前記ハンドルの回転を規制可能なロック部材を備えた開閉弁であって、前記本体は、側面から水平に突出する凸部を有し、前記ハンドルは、回転中に前記凸部の上方を通過し、開閉位置それぞれで前記凸部の側部に向かって端部が開口する貫通孔を有し、前記ロック部材は、前記ハンドルの上面側に回転可能、且つ上下動可能に軸支すると共に、一端部に開閉位置それぞれで前記貫通孔を下面側に突き抜けて係合し、前記凸部の側部に当接可能な爪部を有するという手段を用いた。当該手段では、ボール弁を開閉するハンドルに対してロック部材が取り付けられており、ロック部材を上方に摘み上げて回転させることで爪部をハンドルの貫通孔に係脱させることができる。爪部が貫通孔に係合していないときはハンドルは開閉方向に操作自在である一方、係合時には爪部がハンドルの裏面側において本体の水平凸部の側部に当接することでハンドルの回転がロックされる。このように本発明では、ロック部材の操作によってハンドルの回転を確実にロックできる。
【0009】
また、本発明では、ロック部材及び前記ハンドルのそれぞれ上面には、前記爪部が前記貫通孔に係合したときに互いに一直線上に並ぶ標線を設ける。この手段では、ハンドルロック時には、ハンドルとロック部材に設けた互いの標線が一直線上に並ぶ。このように標線の一致によってハンドルロック状態にあることを視覚的に認識することができる。
【0010】
また、上記手段において、ロック部材をスプリング等で爪部が貫通孔に係合する方向に付勢すれば、ハンドルロック状態を確実に保持することができる。
【0011】
標線は、直線状の溝であることで、目視を容易且つ確実に行うことができる。
【0012】
また、溝に顔料または塗料を塗布したり、スパッタリングによって色彩が施されていることがより好ましい。特に、蓄光顔料や発光塗料を施せば、暗い中でも指標を確実に目視することができる。
【0013】
ところで、ロック部材は基本的には上方から平面視する機会が多いが、爪部は下向きに突出するため、その一端部と、その反対側の他端部が同一形状であると、何れの端部に爪部が存在するか把握しにくい。そこで、本発明では、ロック部材は、爪部を有する一端部と他端部との平面視形状を互いに異にするという手段を用いる。これによって、平面視であっても、ロック部材の何れの端部に爪部が存在するかを容易に把握することができる。どのような平面視形状とするかは任意であるが、例えばロック部材を平板から構成する場合、その一端を下方に折曲して矩形状の爪部を形成するとすれば、他端部は円弧状に形成する。
【0014】
なお、標線は、ハンドルとロック部材にそれぞれ1本ずつ形成すれば本発明の目的を達成することができるが、それぞれ2本以上の平行線とすれば、本数が多い分、より目視が容易となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ロック機構をハンドルの操作軸や本体等の内部に設けたのではなく、ハンドルに独立して設けているので、ハンドルによるボール弁の開閉操作は正逆に回転するだけであるから、当該開閉操作を良好に、且つ安定して行うことができる。また、ロック機構が外部に露出している為、不具合が生じたり、変形や破断した場合でも確認が容易であり、メンテナンスも容易である。さらに、ロック部材によってハンドルがロックされていることを標線によって視覚的に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る開閉弁の開位置でのハンドルフリー状態を示す平面図
図2】同、開位置でのハンドルロック状態を示す平面図
図3】同、閉位置でのハンドルフリー状態を示す平面図
図4】同、閉位置でのハンドルロック状態を示す平面図
図5】同、正面視断面図
図6】同、本体の(a)平面図、(b)左側面図
図7】同、ハンドルの(a)平面図、(b)正面図
図8】同、ロック部材の(a)平面図、(b)正面図
図9】同、ロック部材周辺の要部を示す拡大断面図
図10図1に対応した正面図
図11図1に対応した左側面図
図12図2に対応した正面図
図13図2に対応した左側面図
図14図2の状態からロック解除の方法を示す正面図
図15図3に対応した正面図
図16図3に対応した左側面図
図17図4に対応した正面図
図18図4に対応した左側面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。図1~18は本発明の一実施形態に係る開閉弁を示したもので、このうち図1・2は開位置、図3・4は閉位置を示した平面図であり、開閉位置それぞれでハンドルフリー状態とハンドルロック状態を示している。
【0018】
これら図1~4を用いて、本実施形態における開閉弁の基本的な構成部材を説明すると、図中、10は本体、20はハンドル、30はロック部材である。また、図5に示すように、本体10にはボール弁40が内蔵されており、その弁棒41にハンドル20の一端を取り付けている。
【0019】
各構成部材の詳細は、先ず本体10については、図5に示すように、ボール弁40の内蔵部の一次側と二次側の両端それぞれに水やガスなどの流体管Pを接続する継手部11・12を有する。また、前記内蔵部の中央上部に形成したネック部13の側部の正背面二箇所には、流路と直交する方向にそれぞれ水平な凸部14・15を突設している。なお、これら凸部14・15のうち、正面側の凸部14はロック部材30によるハンドルロックに使用するものであり、背面側の凸部15はハンドル20の開閉範囲を規定するものであるが、当該規制動作についての詳細は後述する。
【0020】
ハンドル20は、図7に示すように、横長の平板を基礎として、先端側のフラット面部21から段差を介してグリップ部22を形成している。そして、フラット面部21の略中心には、ボール弁40の開閉用回転軸である弁棒41に嵌合する嵌合孔23が形成されており、当該嵌合孔23を中心として、フラット面部21の先端側と一方の側部の90度位置には下向きのハンドル側爪部24・25が形成されている。これらハンドル側爪部24・25は、上述した本体10の背面側凸部15と当接することによって、当該ハンドル20の回転範囲をボール弁40を開閉するのに必要な90度の範囲に規制するものであるが、当該規制動作についての詳細は後述する。
【0021】
また、当該ハンドル20において、フラット面部21の爪部25と反対側の側部には外側に突出する膨出部26が延成されており、この膨出部26からフラット面部21にかけて、嵌合孔24の中心を通る斜め45度線OLと直交するスリット状の貫通孔27が形成されている。さらに、その延長上にはロック部材30の取付孔28が形成されている。また、フラット面部21の上面には、前記45度線OLに沿って、着色付きの溝からなるハンドル標線29も形成されている。
【0022】
なお、膨出部26とグリップ部22との間で、フラット面部21の側部に形成した切欠き部21aは、後述するハンドルフリー状態のときにロック部材30の爪部が係合する部分である。
【0023】
また、膨出部26の突出先端の湾曲状凹部26aは、後述するロック部材30を指で操作するときに指が位置決めされる部分である。
【0024】
次に、ロック部材30は、図8に示すように、平板部31の一端を下方に90度折曲してロック爪部32を形成した断面略L字形をなす。このロック爪部32は、ハンドル20のスリット状貫通孔27に係合すると共に、係合時にはハンドル20の下面側に突き抜けて、本体10の正面側の水平凸部14と当接するものである。
【0025】
このロック部材30の平板部31は、爪部32側の端部33が平面視直線に表れるのに対して、反対側の端部34は円弧状としている。また、平板部31の円弧状端部34における円弧と同心位置に雌ネジ孔35を形成すると共に、当該平板部31の上面の両端部33・34間には、雌ネジ孔35の中心を通る中心線CLに沿って、着色付きの溝からなるロック標線36を形成している。
【0026】
そして、このロック部材30は、図9に示すように、雌ネジ孔35に螺合するボルト状の取付軸50によってハンドル20の上面側に取り付けられる。ここで、取付軸50は、ハンドル20の下面側から取付孔28を上下動、且つ回転可能に挿通し、ハンドル20の上面側においてロック部材30の雌ネジ孔35に螺合している。このような取付構造により、ロック部材30は取付軸50の上部に固定されるため、ハンドル20の上面側において取付軸50と一体的に上下動、且つ回転可能である。
【0027】
さらに、本実施形態では、取付軸50にロック部材30を固定する前に、その軸に圧縮スプリング60を挿通し、そのうえでハンドル20の取付孔28を挿通し、ハンドル20の上面側に突出する先端部にロック部材30を螺合により固定している。このような構造により、圧縮スプリング60は取付軸50の下端部(ボルト頭部)とハンドル20の下面との間で圧縮の状態にあり、もってロック部材30を下方に引き下げるように付勢している。したがって、爪部32がハンドル20のスリット状貫通孔27に係合している場合には圧縮スプリング60の付勢力(弾性)によって当該係合状態が保持され、当該付勢力に抗してロック部材30を上方に摘み上げることで、爪部32が貫通孔27から脱して、前記係合状態を解除することができるようになっている。
【0028】
続いて、図1~4と、これらに対応する正面図・左側面図を示した図10~18にしたがって、上記構成の開閉弁の使用方法を説明する。なお、説明の便宜上、図1~4の平面図において、本体10に形成した凸部14・15、ハンドル側爪部24・25、及びロック部材30のロック爪部32については、適宜、実線とハッチにより図示することとする。
【0029】
先ず、図1の状態は、ハンドル20を開位置として通水状態にある。この状態では、ハンドル20のスリット状貫通孔27の端部が本体10の正面側凸部14の側部(図面上、一次側の側部)に向かって開口しているが、当該貫通孔27に対してロック部材30の爪部32が係合しておらず(図10も参照)、ハンドル20を閉方向に操作することが可能である。具体的には、図1の状態では、その側部のハンドル側爪部25が本体10の背面側凸部15と当接しており(図11も参照)、3時の位置にあるハンドル20を反時計回りに12時の方向に回転することは規制されているが、時計回りの6時の方向に回転することは許容されたハンドルフリー状態の状態であるため、ハンドル20を時計回りに90度回転させれば、図3に示した閉位置の状態となる。
【0030】
そして、図1の状態が開位置でのハンドルフリー状態にあることは、平面視でのハンドル20の向きと、ロック部材30の爪部32がハンドル20のスリット状貫通孔27に係合していないことを目視する他、ハンドル20の標線29とロック部材30の標線36とが一直線上に並ばず、不連続となっていることからも視認することができる。
【0031】
一方、図2の状態は、ハンドル20が図1と同じく開位置にあるが、ロック部材30の爪部32がハンドル20の貫通孔27に係合しており、しかも、ロック爪部32は貫通孔27を下方に突き抜けて、ハンドル20の下面側で本体10の正面側凸部14と当接しているため(図12も参照)、ハンドル20の閉方向(時計回り)の回転が規制されたハンドルロック状態にある。
【0032】
そして、図2の状態が開位置でのハンドルロック状態にあることは、平面視でのハンドル20の向きと、ロック部材30の爪部32がハンドル20のスリット状貫通孔27に係合していることを目視する他、ハンドル20の標線29とロック部材30の標線36とが一直線上に連続して並んでいることからも視認することができる。
【0033】
図2のハンドルロック状態から図1のハンドルフリー状態とするには、図14に示すように、ロック部材30を圧縮スプリング60の付勢力に抗して上方に摘み上げて、爪部32をハンドル20のスリット状貫通孔27から引き抜く。そして、ロック部材30を反時計回りに回転させればよい。その際、ハンドル20の膨出部26先端に形成した湾曲状凹部26aに指が位置決めされるため、ロック部材30の操作性が良好である。
【0034】
もちろん、図1のハンドルフリー状態から図2のハンドルロック状態に移行する場合も、ロック部材30を上方に摘み上げて回転させることで行え、この場合は、ロック部材30を時計回りに回転させ、爪部32がスリット状貫通孔27の上方位置になったときに指を離させば爪部32がスリット状貫通孔27に係合し、この係合状態は、圧縮スプリング60の付勢力によって保持される。
【0035】
一方、図1のハンドルフリー状態からハンドル20を時計回りに90度回転させれば、上述のように、図3の閉位置となり、通水が遮断される。この過程で、ハンドル20のスリット状貫通孔27は本体10の正面側凸部14の上方を通過して、その端部が当該正面側凸部14の側部(図面上、二次側の側部)に向かって開口するように変位する。そして、貫通孔27に対してロック部材30の爪部32が係合していないため(図15も参照)、ハンドル20を再度、開方向に操作することが可能である。具体的には、図3の状態では、先端側のハンドル側爪部24が本体10の背面側凸部15と当接しており(図16も参照)、6時の位置にあるハンドル20を反時計回りに9時の方向に回転することは規制されているが、時計回りの3時の方向に回転することは許容されたハンドルフリー状態の状態であるため、ハンドル20を時計回りに90度回転させれば、図1に示した閉位置の状態となる。
【0036】
そして、図3の状態が閉位置でのハンドルフリー状態にあることは、平面視でのハンドル20の向きと、ロック部材30の爪部32がハンドル20のスリット状貫通孔27に係合していないことを目視する他、ハンドル20の標線29とロック部材30の標線36とが一直線上に並ばず、不連続となっていることからも視認することができる。
【0037】
図3の状態から図4のハンドルロック状態とするには、ロック部材30を図14にて説明したのと同じ要領で摘み上げて回転し、その爪部32をハンドル20のスリット状貫通孔27に係合すればよい。即ち、図4の閉位置でのハンドルロック状態では、ロック部材30の爪部32がハンドル20のスリット状貫通孔27に係合したロック部材30の爪部32が貫通孔27を下方に突き抜けて、ハンドル20の下面側で本体10の正面側凸部14と当接しているため(図17も参照)、ハンドル20の開方向(反時計回り)の回転が規制され、ハンドルロック状態となる。
【0038】
そして、図4の状態が閉位置でのハンドルロック状態にあることは、平面視でのハンドル20の向きと、ロック部材30の爪部32がハンドル20のスリット状貫通孔27に係合していることを目視する他、ハンドル20の標線29とロック部材30の標線36とが一直線上に連続して並んでいることからも視認することができる。
【0039】
一方、図4の閉位置でのハンドルロック状態からロック部材30の係合を解除すれば、図3のハンドルフリー状態を経て、図1に示した開位置でのハンドルフリー状態に移行できることはもちろんである。
【0040】
また、ロック部材30は、ハンドル20に取り付けているから、ハンドル20の開閉操作時に、常に、その回転軌跡上に位置する。そして、ロック部材30はハンドル20の片方の側部に位置し、その爪部32の一部がハンドル20の側部切欠き21aに係合しているため、図1から図3への移行時はもちろん、図3から図1の何れの移行時にも、ロック部材30に単独で外力が作用しない限り、前記係合状態のままロック部材30をハンドル20と共回りさせることができる。
【0041】
このように本実施形態では、ロック部材30をハンドル20の操作軸や本体等の内部に設けたのではなく、ハンドル20に独立して設けているので、ハンドル20によるボール弁の開閉操作は正逆に回転するだけとなり、当該開閉操作を良好に、且つ安定して行うことができる。また、ロック部材30が外部に露出している為、不具合が生じたり、圧縮スプリング60等に変形や破断した場合でも確認が容易であり、メンテナンスも容易である。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、圧縮スプリング60を省略して、自重のみによりロック部材30の爪部32を貫通孔27に係合するようにしてもよいし、標線29・36は溝ではなく印刷であってよい。さらに、標線29・36を2本以上の平行線によって構成することも可能であり、この標線29・36そのものを省略することも本発明に含む。
【0043】
さらにまた、ロック部材30の爪部32と本体10の正面側凸部14とによるハンドルロック機構とは別に、本体10の背面側にも凸部15を設けると共に、ハンドル20にも爪部24・25を設けて、図1の状態と図3の状態を行き来する間、ハンドル20の回転角を90度の範囲で規制したが、当該規制手段も省略することができる。本発明で必要なことは、開位置にあるハンドルの閉方向の回転と、閉位置にあるハンドルの開方向の回転とを規制(ロック)すること、そして、このようなハンドルロック状態を標線により視覚的に把握できることである。
【符号の説明】
【0044】
10 本体
11・12 継手部
13 ネック部
14 凸部(ロック部材用)
15 凸部(ハンドル用)
20 ハンドル
21 フラット面部
21a 切欠き
22 グリップ部
23 嵌合孔
24 爪部(過閉方向回転規制用)
25 爪部(過開方向回転規制用)
26 膨出部
26a 湾曲状凹部
27 貫通孔
28 取付孔
29 標線
30 ロック部材
31 平板部
32 爪部
33 端部(直線状)
34 端部(円弧状)
35 雌ネジ孔
36 標線
40 ボール弁
41 弁棒
50 取付軸
60 圧縮スプリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18